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JP2019081667A - 窒素含有炭素材料及びその製造方法、並びにそれを用いた燃料電池電極 - Google Patents

窒素含有炭素材料及びその製造方法、並びにそれを用いた燃料電池電極 Download PDF

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JP2019081667A JP2017209102A JP2017209102A JP2019081667A JP 2019081667 A JP2019081667 A JP 2019081667A JP 2017209102 A JP2017209102 A JP 2017209102A JP 2017209102 A JP2017209102 A JP 2017209102A JP 2019081667 A JP2019081667 A JP 2019081667A
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Takeo Ichihara
健生 市原
綾一 小島
Ayaichi Kojima
綾一 小島
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Abstract

【課題】高い酸素還元活性を有し、当該活性を維持することができる、すなわち、耐久性を有する窒素含有炭素材料を提供すること。【解決手段】70℃、相対湿度90%における吸湿率が、20%未満である、窒素含有炭素材料。【選択図】なし

Description

本発明は、窒素含有炭素材料及びその製造方法、並びにそれを用いた燃料電池電極に関する。
固体高分子形燃料電池は、発電効率が高く、出力密度が高く、急速な起動停止が可能であり、小型軽量化が可能である、といった利点があり、携帯用電源、移動用電源、及び小型定置用発電機等への適用が期待されている。
固体高分子形燃料電池では、その正極で起こる酸素還元反応を促進するために、一般に白金又は白金合金が触媒として用いられる。しかし、白金の資源量が極めて少なく、また高価であるために実用化への大きな障壁となっている。そこで、白金等の貴金属を必要としない燃料電池用電極触媒として窒素を含有することによって酸素還元活性を発現した炭素材料(以下、「窒素含有炭素材料」という。)が注目を集めている。
例えば、特許文献1においては、鉄フタロシアニン、コバルトフタロシアニン、銅フタロシアニン等の金属と窒素含有有機配位子とを有する遷移金属錯体と、フェノール樹脂の混合物を炭化して窒素含有炭素材料を合成し、これを燃料電池の電極触媒として用いることが提案されている。
窒素含有炭素材料を電極触媒として用いた燃料電池は、経時的に発電性能が顕著に低下すること、すなわち、耐久性が低下することが知られている。その原因は必ずしも明らかではないが、発電時に発生する水が活性点近傍に蓄積し、活性点への酸素の供給が阻害される可能性が指摘されている。
燃料電池の耐久性を向上させるために、非特許文献1には、窒素含有炭素材料を高温で熱処理することにより窒素含有量を減らし、親水性を低減させる方法が開示されている。
特開2012−101155号公報
エレクトロキミカ アクタ、2015年、159号、184−197頁
非特許文献1における、窒素含有炭素材料の燃料電池の耐久性を向上させる方法では、高温処理を行うため、初期の酸素還元活性が低いという問題がある。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高い酸素還元活性を有し、当該活性を維持することができる、すなわち、耐久性を有する窒素含有炭素材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、70℃、相対湿度90%における吸湿率が特定範囲である窒素含有炭素材料は、高い酸素還元活性を有し、且つ、耐久性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記のとおりである。
[1]
70℃、相対湿度90%における吸湿率が、20%未満である、窒素含有炭素材料。
[2]
表面に疎水性官能基を有する、[1]に記載の窒素含有炭素材料。
[3]
疎水性官能基が、アルキル基及び/又はフルオロアルキル基である、[2]に記載の窒素含有炭素材料。
[4]
原料の窒素含有炭素材料を還元処理した後に、疎水性官能基を導入する工程を含む、[2]又は[3]に記載の窒素含有炭素材料の製造方法。
[5]
[1]〜[3]のいずれかに記載の窒素含有炭素材料を用いた、燃料電池電極。
本発明によると、高い酸素還元活性と耐久性とを両立した窒素含有炭素材料を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
〔窒素含有炭素材料〕
本実施形態の窒素含有炭素材料は、70℃、相対湿度90%における吸湿率が20%未満である(以下、本実施形態の窒素含有炭素材料を「疎水的な窒素含有炭素材料」ともいう)。上記吸湿率は、好ましくは18%未満であり、より好ましくは15%未満である。
吸湿率の下限は、特に限定されず、耐久性の観点から、0%が理想であるが、5%以上であってもよい。
吸湿率が20%未満であることにより、燃料電池の電極として用いた際に耐久性が向上する傾向にある。この理由の詳細は明らかではないが、窒素含有炭素材料の活性点近傍への水の蓄積が抑制されるためと考えられる。
吸湿率を20%未満にする方法としては、特に限定されないが、例えば、高い酸素還元活性と疎水性を両立する観点から、高い酸素還元活性を有する比較的親水的な窒素含有炭素材料(以下、「原料の窒素含有炭素材料」ともいう。)に、疎水性官能基を導入する方法等が挙げられる。
70℃、相対湿度90%における吸湿率は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
(原子比(N/C))
原料の窒素含有炭素材料及び疎水的な窒素含有炭素材料における、窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)は、好ましくは0.005〜0.300であり、より好ましくは0.010〜0.200であり、さらに好ましくは0.020〜0.150である。
原子比(N/C)が上記範囲内であることにより、酸素還元活性がより高くなる傾向にある。
原子比(N/C)は、後述する原料となる窒素含有炭素材料の製造方法において、炭素原料と窒素原料との比率を調整することにより、制御することができる。
原子比(N/C)は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
(遷移金属)
原料の窒素含有炭素材料及び疎水的な窒素含有炭素材料は、遷移金属をさらに含むことが好ましい。原料となる窒素含有炭素材料及び疎水的な窒素含有炭素材料は、窒素及び遷移金属を含むことによって、高い酸素還元活性が発揮される傾向にある。遷移金属原子としては、特に限定されないが、例えば、Fe,Co,Ni,Cu,Mn,及びCrが挙げられ、好ましくは、Fe,Co,及びCuであり、より好ましくはFe及びCoである。これらの遷移金属原子は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。
原料の窒素含有炭素材料及び疎水的な窒素含有炭素材料における、遷移金属原子の含有率は、それぞれ、好ましくは0.1〜20質量%であり、より好ましくは0.3〜15質量%であり、さらに好ましくは0.5〜10質量%、よりさらに好ましくは0.5〜3.0質量%である。
遷移金属原子の含有率が上記範囲内であることにより、酸素還元活性がより高くなる傾向にある。
遷移金属原子の含有率は、遷移金属原料の配合量を調整することにより制御することができる。
遷移金属原子の含有率は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
(疎水性官能基)
本実施形態の窒素含有炭素材料は、高い酸素還元活性を有し、且つ、当該活性を維持する観点から、表面に疎水性官能基を有する窒素含有炭素材料であることが好ましい。
疎水性官能基としては、原料の窒素含有炭素材料の親水性を低下させるものであれば特に限定されないが、例えば、疎水性の高さから、アルキル基、及びフルオロアルキル基等が好適である。これらの疎水性官能基は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。
アルキル基としては、例えば、炭素数1〜20のアルキル基を挙げることができ、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等が挙げられる。
これらの中でも、好ましくは、炭素数4〜20のアルキル基であり、より好ましくは炭素数8〜20のアルキル基である。
フルオロアルキル基とは、アルキル基の少なくとも一つの水素原子がフッ素原子で置換された基である。フルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロn−プロピル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロn−ブチル基、パーフルオロt−ブチル基、パーフルオロn−ヘキシル基、パーフルオロn−オクチル基、パーフルオロn−デシル基、及びパーフルオロn−ドデシル基等のパーフルオロアルキル基;並びに、パーフルオロエチル基、パーフルオロn−プロピル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロn−ブチル基、パーフルオロt−ブチル基、パーフルオロn−ヘキシル基、パーフルオロn−オクチル基、パーフルオロn−デシル基及びパーフルオロn−ドデシル基のいずれかを有する、メチル基、エチル基、又はn−プロピル基等のパーフルオロアルキルアルキル基;等が挙げられる。
これらの中でも、好ましくは、パーフルオロn−オクチル基を有するエチル基、すなわち、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ヘプタデカフルオロデシル基である。
疎水性官能基を導入する方法としては特に限定されないが、例えば、原料の窒素含有炭素材料の表面にある酸素官能基と疎水性官能基を有する試薬とを反応させる方法等を好適に用いることができる。
酸素官能基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボニル基等が挙げられ、疎水性官能基を有する試薬との反応性の高さの観点から、好ましくはヒドロキシ基である。
〔窒素含有炭素材料の製造方法〕
本実施形態の窒素含有炭素材料の製造方法は、上記原料の窒素含有炭素材料に疎水性官能基を導入する工程を含むことが好ましい。
また、疎水基の導入量を増やす観点から、原料の窒素含有炭素材料の表面にあるカルボキシ基、カルボニル基、ラクトン構造、酸無水物構造を還元してヒドロキシ基とすることが好ましい。
すなわち、本実施形態の窒素含有炭素材料の製造方法は、原料である窒素含有炭素材料を還元処理した後に、疎水性官能基を導入する工程を含むことがより好ましい。
原料の窒素含有炭素材料は、炭素原料と、窒素原料と、必要に応じて遷移金属原料とから製造することができる。
原料の窒素含有炭素材料の製造方法は、例えば、炭素原料と、窒素原料と、必要に応じて遷移金属原料とを含む組成物から前駆体を調製する前駆体調製工程、前駆体を焼成して窒素含有炭素材料を得る熱処理工程、並びに炭素化物を粉砕して粒子径を調整する粒子径調整工程を有することが好ましい。
〔前駆体調製工程〕
前駆体調製工程は、炭素原料及び窒素原料、又は、炭素原料、窒素原料及び遷移金属原料を複合化して、前駆体を調製する工程である。
(前駆体)
前駆体は、炭素原料及び窒素原料を複合化したものであっても、炭素原料、窒素原料、及び遷移金属原料を複合化したものであってもよい。前駆体は、必要に応じて他の成分も含むことができる。他の成分としては、特に限定されないが、例えば、ホウ素及び/又はリンを含有する化合物等が挙げられる。
炭素原料、窒素原料、及び遷移金属原料は、それぞれ炭素原子、窒素原子、遷移金属原子を含有しているものであれば特に限定されず、一種類の化合物を複数の原子の原料としてもよく、ある原子の原料として複数の化合物を用いてもよい。一種類の化合物を複数の原子の原料とするとは、例えば、炭素原子、窒素原子及び遷移金属原子を含有する金属フタロシアニン等のみを前駆体の原料とすることである。また、ある原子の原料として複数の化合物を用いるとは、例えば、炭素原子を含有するカーボンブラックと、炭素原子及び窒素原子を含有するポリアニリンとを、前駆体の原料とすることである。。
ここで、「複合化」とは、炭素原料及び窒素原料、又は、炭素原料、窒素原料及び遷移金属原料が物理的に混合している状態であってもよく、炭素原料及び窒素原料、又は、炭素原料、窒素原料及び遷移金属原料が化学結合を形成している状態であってもよい。前駆体中の各原料は、それぞれが均一に分散していることが好ましい。
(炭素原料)
炭素原料としては、特に限定されないが、例えば、炭素原子を有する有機化合物及び炭素材料そのものが挙げられる。炭素原子を有する有機化合物としては、窒素ガス流通下で、1000℃、1時間熱処理を施して得られる炭素材料の収率が1質量%以上である化合物が好ましい。
炭素原子を有する有機化合物としては、特に限定されないが、例えば、フェノール樹脂、ポリフルフリルアルコール、フラン、フラン樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリチオフェン、ポリスルフォン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリエ−テル、ポリエーテルエーテルケトン、セルロース、カルボキシメチルセルロース、リグニン、ピッチ、ポリカルバゾール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル及びポリメタクリル酸等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
炭素材料としては、特に限定されないが、例えば、黒鉛、活性炭、アモルファスカーボン、カーボンブラック、石炭、木炭、コークス、カーボンナノチューブ、フラーレン及びグラフェン等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
(窒素原料)
窒素原料としては、特に限定されないが、例えば、窒素原子を有する低分子の有機化合物、窒素原子を有する高分子の有機化合物を用いることができ、それらの2種以上の混合物であってもよい。
窒素原子を有する低分子の有機化合物としては、特に限定されないが、例えば、窒素原子を有する数平均分子量1000未満の有機化合物が挙げられる。窒素原子を有する低分子の有機化合物としては、具体的には、ジアミノマレオニトリル、フタロシアニン、ポルフィリン、フェナントロリン、メラミン、アクリロニトリル、ピロール、ピリジン、ビニルピリジン、アニリン、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、ベンゾイミダゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピペラジン、キノキサリン、ピラゾール、モルホリン、ヒドラジン、ヒドラジド、尿素、サレン、トリアジン及びシアヌル酸等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
窒素原子を有する高分子の有機化合物としては、特に限定されないが、例えば、窒素原子を有する数平均分子量1000以上の有機化合物が挙げられる。窒素原子を有する高分子の有機化合物としては、具体的には、アズルミン酸、ジアミノマレオニトリル重合体、メラミン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル−ポリメタクリル酸共重合体、ポリピロール、ポリビニルピロール、ポリビニルピリジン、ポリアニリン、ポリベンゾイミダゾ−ル、ポリイミド、ポリアミド、キチン、キトサン、ポリアミノ酸、絹、毛、核酸、DNA、RNA、ポリウレタン、ポリアミドアミン、ポリカルボジイミド、ポリビスマレイミド及びポリアミノビスマレイミド等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態に用いる窒素含有炭素材料は、このような窒素原料を用いて製造することにより、原子比(N/C)を調整することができる。
このなかでも、窒素原料及び炭素原料としては、フェノール樹脂、並びに、アズルミン酸及び/又はジアミノマレオニトリルを含むことが好ましく、フェノール樹脂、ジアミノマレオニトリルがより好ましい。フェノール樹脂、並びに、アズルミン酸及び/又はジアミノマレオニトリルを含むことにより、窒素含有炭素材料粉体の酸素還元活性がより向上する傾向にある。また、溶媒への溶解性がより高いジアミノマレオニトリルを含むことにより、遷移金属と窒素原料及び炭素原料との錯体形成が好適に進行し、ひいては、遷移金属がより均等に分散した窒素含有炭素材料が得られるため、窒素含有炭素材料の酸素還元活性がより向上する傾向にある。
(遷移金属原料)
遷移金属原料としては、特に限定されないが、例えば、遷移金属塩、遷移金属錯体を用いることができ、それらの2種類以上の混合物であってもよい。遷移金属としては、特に限定されないが、例えば、Fe,Co,Ni,Cu,Mn,Cr等が挙げられ、Fe,Co,Cuが好ましく、Fe,Coがより好ましい。遷移金属塩としては、特に限定されないが、例えば、遷移金属の塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸化物、硫酸化物、リン酸化物、酢酸化物、シアン化物等が挙げられる。遷移金属錯体としては、例えば、遷移金属のアセチルアセトン錯体、シクロペンタジエニル錯体、フタロシアニン錯体、ポルフィリン錯体、フェナントロリン錯体等が挙げられる。本実施形態の窒素含有炭素材料は、このような遷移金属を含むことにより、酸素還元活性がより向上する傾向にある。
鉄(Fe)塩としては、特に限定されないが、例えば、塩化鉄(II)、塩化鉄(II)四水和物、塩化鉄(III)、塩化鉄(III)六水和物、臭化鉄(II)、臭化鉄(II)六水和物、臭化鉄(III)、臭化鉄(III)六水和物、ヘキサシアノ鉄(II)酸アンモニウム三水和物、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム三水和物、ヘキサシアノ鉄(III)酸アンモニウム、ヘキサシアノ鉄(III)カリウム、ヘキサシアノ鉄(II)酸ナトリウム十水和物、ヘキサシアノ鉄(III)酸ナトリウム一水和物、硝酸鉄(II)六水和物、硝酸鉄(III)九水和物、チオシアン酸鉄(III)、炭酸鉄(II)、炭酸鉄(II)一水和物、ヘキサクロロ鉄(III)酸メチルアンモニウム、テトラクロロ鉄(II)酸テトラメチルアンモニウム、ペンタシアノニトロシル鉄(III)酸カリウム二水和物、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム鉄(III)水和物、ペンタシアノニトロシル鉄(III)酸ナトリウム二水和物、アンミンペンタシアノ鉄(II)酸ナトリウム三水和物、アクアペンタシアノ鉄(II)酸ナトリウム七水和物、チオシアン酸鉄(II)三水和物、酢酸鉄、シュウ酸鉄(III)五水和物、シュウ酸鉄(II)二水和物、クエン酸鉄(III)三水和物、ヨウ化鉄(II)、ヨウ化鉄(II)四水和物、硫酸鉄(III)、硫酸鉄(III)九水和物、テトラクロロ鉄(II)酸アンモニウム、過塩素酸鉄(II)六水和物、過塩素酸鉄(III)六水和物、アクアペンタフルオロ鉄(III)酸カリウム、硫酸カリウム鉄(III)十二水和物、ビス(スルファト)鉄(II)二アンモニウム六水和物、トリス(硫酸)鉄(III)酸ナトリウム三水和物、リン酸鉄(III)二水和物、リン酸鉄(II)八水和物、硫酸鉄(II)七水和物等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、臭化鉄(II)、臭化鉄(III)、硝酸鉄(III)九水和物である。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
コバルト(Co)塩としては、特に限定されないが、例えば、ヘキサシアノコバルト(III)酸カリウム、硝酸コバルト(II)六水和物、フッ化コバルト(II)、臭化コバルト(II)、臭化コバルト(II)六水和物、炭酸コバルト(II)、チオシアン酸コバルト(II)三水和物、酢酸コバルト(II)四水和物、酢酸コバルト(III)、塩化コバルト(II)、塩化コバルト(II)六水和物、テトラクロロコバルト(II)酸セシウム、ヘキサフルオロコバルト(III)酸カリウム、ヨウ化コバルト(II)、ヨウ化コバルト(II)六水和物、ヘキサニトロコバルト(III)酸カリウム、リン酸コバルト(II)、リン酸コバルト(II)八水和物、硫酸コバルト(II)、硫酸コバルト(II)七水和物等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、塩化コバルト(II)、臭化コバルト(II)、硝酸コバルト(II)六水和物である。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ニッケル(Ni)塩としては、特に限定されないが、例えば、塩化ニッケル(II)、塩化ニッケル(II)六水和物、臭化ニッケル(II)、硝酸ニッケル(II)六水和物等が挙げられる。
銅(Cu)塩としては、特に限定されないが、例えば、塩化銅(II)、塩化銅(II)二水和物、臭化銅(II)、硝酸銅(II)二水和物等が挙げられる。
マンガン(Mn)塩としては、特に限定されないが、例えば、塩化マンガン(II)、臭化マンガン(II)、硝酸マンガン(II)四水和物等が挙げられる。
クロム(Cr)塩としては、特に限定されないが、例えば、塩化クロム(III)、臭化クロム(III)、硝酸クロム(III)九水和物等が挙げられる。
これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
前駆体中の遷移金属原子の含有量は、好ましくは0.01質量%〜10質量%であり、より好ましくは0.03質量%〜5質量%であり、さらに好ましくは0.05質量%〜3質量%である。前駆体中の遷移金属原子の含有量が上記範囲内であることにより、窒素含有炭素材料の酸素還元活性がより向上する傾向にある。
また、用いる炭素原料及び窒素原料によって、熱処理工程によって得られる窒素含有炭素材料中の窒素含有量が大きく異なるため、窒素含有炭素材料の窒素原子と炭素原子との原子比(N/C)が所望の範囲になるよう、炭素原料と窒素原料との比率を調整することが好ましい。
原子比(N/C)は、原子比(N/C)の高い窒素原料を用いる及び/又は前駆体中の窒素原料の比率を上げることにより、大きくするように制御することができ、原子比(N/C)の低い窒素原料を用いる及び/又は前駆体中の窒素原料の比率を下げることにより、小さくするように制御することができる。
窒素原料、炭素原料、及び遷移金属原料の複合化の方法としては、特に限定されないが、例えば、各原料が予め複合化した原料を前駆体として用いる方法、各原料を溶媒に溶かした後に蒸発乾固する方法、各原料をボールミル等で物理混合する方法等が挙げられる。
また、複合化方法としては、特に限定されないが、例えば、一つの溶媒に全ての原料を溶解させてもよく、それぞれ異なる溶媒に各原料を溶解させた後に各溶媒を混合してもよい。「各原料が予め複合化した」原料とは、例えば、鉄フタロシアニン錯体のように単独の化合物で窒素原料、炭素原料及び遷移金属原料になるものを前駆体等を指す。
溶媒として、特に限定されず、各原料の溶解度が高い溶媒を適宜選択すればよい。溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〔熱処理工程〕
熱処理工程は、炭素原料と、窒素原料と、を含む前駆体を熱処理して、窒素含有炭素材料を得る工程である。熱処理工程は、一段階の熱処理であってもよく、二段階以上の熱処理であってもよい。
また、熱処理工程を二段階以上で行う場合は、その間に他の工程を組み込んでもよい。
熱処理工程は、前記前駆体を不活性ガス雰囲気下で熱処理する第1の熱処理工程と、前記第1の熱処理工程で処理された前駆体をアンモニア含有ガス雰囲気下で熱処理する第2の熱処理工程と、を含むことが好ましい。
このなかでも、熱処理工程において、前駆体を不活性ガス雰囲気下で熱処理する第1の熱処理工程と、前記第1の熱処理工程で得られた窒素含有炭素材料を粉砕して平均粒子径を調整する粒子径調整工程と、前記平均粒子径を調整した窒素含有炭素材料粉体をアンモニア含有ガス雰囲気下で熱処理する第2の熱処理工程とをこの順に行なうことが好ましい。不活性ガス雰囲気下における第1の熱処理工程は主に炭素化を目的とするものであり、アンモニア含有ガス雰囲気下における第2の熱処理工程は主に賦活化を目的とするものであり、このような熱処理工程を行うことで、酸素還元活性により優れる窒素含有炭素材料粉体が得られる傾向にある。
(第1の熱処理工程)
第1の熱処理工程は、前記前駆体を不活性ガス雰囲気下で熱処理する。上記不活性ガスとしては、特に限定されないが、例えば、窒素、希ガス、真空等を用いることができる。不活性ガス雰囲気下における熱処理温度は、好ましくは400〜1500℃であり、より好ましくは500〜1400℃であり、さらに好ましくは550〜1300℃である。熱処理温度が400℃以上であることにより、前駆体の炭素化が十分に進行する傾向にある。また、熱処理温度が1500℃以下であることにより、十分な収率が得られる傾向にある。
不活性ガス雰囲気下における熱処理時間は、好ましくは5分〜50時間であり、より好ましくは10分〜20時間であり、さらに好ましくは20分〜10時間である。熱処理時間が5分以上であることにより、前駆体の炭素化が十分に進行する傾向にある。また、熱処理時間が50時間以下であることにより、十分な収率が得られる傾向にある。
(第2の熱処理工程)
第2の熱処理工程は、第1の熱処理工程で処理された前駆体をアンモニア含有ガス雰囲気下で熱処理する。第2の熱処理工程における熱処理の対象は、上述したとおり細孔形成工程を行った後の窒素含有炭素材料粉体であってもよい。
アンモニア含有ガスとしては、特に限定されないが、例えば、アンモニアのみ、又はアンモニアを窒素や希ガスで希釈したガスを用いることが好ましい。アンモニア含有ガス雰囲気下における熱処理温度は、好ましくは600〜1200℃であり、より好ましくは700〜1100℃であり、さらに好ましくは800〜1050℃である。熱処理温度が600℃以上であることにより、前記細孔を形成した窒素含有炭素材料粉体の賦活化が十分に進行し、酸素還元活性により優れる窒素含有炭素材料粉体が得られる傾向にある。また、熱処理温度が1200℃以下であることにより、十分な収率が得られる傾向にある。
アンモニア含有ガス雰囲気下における熱処理時間は、好ましくは5分〜5時間であり、より好ましくは10分〜3時間であり、さらに好ましくは15分〜2時間である。熱処理時間が5分以上であることにより、前記細孔を形成した窒素含有炭素材料粉体の賦活化が十分に進行し、酸素還元活性により優れる窒素含有炭素材料粉体が得られる傾向にある。また、熱処理時間が5時間以下であることにより、十分な収率が得られる傾向にある。
(遷移金属除去工程)
不活性ガス雰囲気下における第1の熱処理工程及び/又はアンモニア含有ガス雰囲気下における第2の熱処理工程の前後には、塩酸や硫酸等を用いて遷移金属の一部を除去してもよい。特に、熱処理によって表面に遷移金属粒子が生成する場合には、結晶化度増大の抑制の観点から、該熱処理工程後に遷移金属粒子を除去することが好ましい。遷移金属粒子のできやすさは遷移金属の種類、濃度、分散性、又は熱処理温度等によって変化する。また、遷移金属粒子の除去率を高めるために、不活性ガス雰囲気下での第1の熱処理工程及び/又はアンモニア含有ガス雰囲気下での第2の熱処理工程を複数のサブ工程に分割し、熱処理工程と遷移金属除去工程とを繰り返し行うことも好ましい。
〔平均粒子径調整工程〕
窒素含有炭素材料の平均粒子径(体積平均粒子径)は、電極触媒としての活性と電極内の物質輸送との観点から、1nm以上100μm以下であることが好ましく、5nm以上10μm以下であることがより好ましく、10nm以上1μm以下であることが更に好ましい。窒素含有炭素材料の粒子径を調整する方法は特に限定されず、前駆体調製工程において前駆体の平均粒子径を制御してもよいし、熱処理工程後の窒素含有炭素材料を粉砕して調整してもよい。前駆体調製工程において前駆体の平均粒子径を制御する場合は、特に限定されないが、例えば、炭素原料、窒素原料及び遷移金属原料を含む溶液をスプレードライヤーにて造粒する方法や、重合によって微粒子を得る方法を用いることができる。また、粉砕方法としては、特に限定されないが、例えば、前駆体又は窒素含有炭素材料を、乾式ボールミル、乾式ジェットミル、湿式ビーズミル、湿式ジェットミル等にて粉砕する方法が挙げられる。
〔疎水化工程〕
本実施形態の窒素含有炭素材料の製造方法は、上述したように、上記原料の窒素含有炭素材料に疎水性官能基を導入する工程を含むことが好ましく、原料の窒素含有炭素材料に疎水性官能基を有する試薬を接触させることにより、当該原料の窒素含有炭素材料の表面にある酸素官能基と、当該試薬とを反応させる。
また、本実施形態の窒素含有炭素材料の製造方法は、上述したように、原料の窒素含有炭素材料を還元処理することが好ましい。
原料の窒素含有炭素材料の還元処理では、原料の窒素含有炭素材料を、溶媒の存在下又は非存在下、還元剤と反応させる。
還元剤としては、原料の窒素含有炭素材料の表面に存在する、カルボキシ基、カルボニル基、ラクトン構造、酸無水物構造等の官能基を還元してヒドロキシ基とできるものであれば特に限定されないが、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、ボラン−テトラヒドロフラン錯体、水素化アルミニウムリチウム等が挙げられる。反応後に副生する塩の除去の容易性の観点から、これらの中でも、水素化ホウ素ナトリウム及びボラン−テトラヒドロフラン錯体が好ましい。
還元剤の量は、特に限定されないが、原料の窒素含有炭素材料の質量に対して、通常0.1〜100質量倍であり、好ましくは0.5〜10質量倍であり、より好ましくは0.5〜5.0質量倍である。
還元剤と反応させるときの温度は、使用する還元剤に応じて適宜調整すればよいが、還元反応を進行させる観点から、通常−20℃〜100℃であり、好ましくは0℃〜80℃であり、より好ましくは0℃〜40℃である。また、還元剤を安全に取扱い、還元反応を穏やかに進行させる観点から、温度を、原料の窒素含有炭素材料に還元剤を添加する時は4℃以下とし、徐々に昇温してもよい。
還元剤との反応時間は、使用する還元剤に応じて適宜調整すればよいが、通常0.5時間〜3日であり、好ましくは1時間〜2日であり、より好ましくは5時間〜24時間である。
還元反応は停止せずに、続く疎水性官能基を導入する工程を行ってよく、反応混合物より還元剤を除去することや、塩酸水溶液等の酸水溶液を添加し還元剤を失活させること等によって、反応を停止した後に続く疎水性官能基を導入する工程を行ってもよい。
還元処理後の原料の窒素含有炭素材料は、濾過、水による洗浄、乾燥等によって適宜精製した後に、疎水性官能基を導入する工程に供することが好ましい。
疎水性官能基を導入する工程では、溶媒の存在下又は非存在下、若しくは、塩基の存在か又は非存在か、還元処理後の原料の窒素含有炭素材料と、疎水性官能基を有する試薬とを接触させる。
疎水性官能基を有する試薬としては、例えば、ヒドロキシ基との反応性の高いハロゲン化物が好ましい。
疎水性官能基を有する試薬としては、アルキル基を導入する場合、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、1−ヨウ化プロピル等のヨウ化アルキル等が挙げられる。
疎水性官能基を有する試薬としては、フルオロアルキル基を導入する場合、例えば、ヨウ化パーフルオロアルキルや、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ヘプタデカフルオロ−10−ヨードデカン等のヨウ化パーフルオロアルキルアルキル等が挙げられる。
疎水性官能基を有する試薬の量は、特に限定されないが、原料の窒素含有炭素材料の質量に対して、通常0.1〜100質量倍であり、好ましくは0.5〜10質量倍であり、より好ましくは0.5〜5.0質量倍である。
塩基としては、原料の窒素含有炭素材料に含まれる水酸基の水素を引き抜くことができるものであれば特に限定されないが、例えば、水素化ナトリウム、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(NaHMDS)等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは水素化ナトリウムである。
塩基の量は、特に限定されないが、原料の窒素含有炭素材料の質量に対して、通常0.1〜100質量倍であり、好ましくは0.5〜10質量倍であり、より好ましくは0.5〜5.0質量倍である。
疎水性官能基を導入する工程における反応温度は、使用する疎水性官能基を有する試薬や塩基に応じて適宜調整すればよいが、反応を進行させる観点から、通常−20℃〜100℃であり、好ましくは0℃〜80℃であり、より好ましくは0℃〜40℃である。また、塩基を安全に取扱い、反応を穏やかに進行させる観点から、温度を、原料の窒素含有炭素材料に、疎水性官能基を有する試薬や塩基を添加する時は4℃以下とし、徐々に昇温してもよい。
反応時間は、使用する疎水性官能基を有する試薬や塩基に応じて適宜調整すればよいが、通常0.5時間〜24時間であり、好ましくは1時間〜12時間であり、より好ましくは1時間〜10時間である。
反応終了後、反応混合物より塩基を除去することや、塩酸水溶液等の酸水溶液を添加し塩基を中和すること等によって、反応を停止してもよい。
また、得られた窒素含有炭素材料は、濾過、水による洗浄、乾燥等によって適宜精製した後に、疎水化した窒素含有炭素材料としてもよい。
〔燃料電池〕
疎水的な窒素含有炭素材料は、固体高分子形燃料電池やアニオン交換膜形燃料電池、直接メタノール形燃料電池等の正極に用いることができる。燃料電池の構造は特に限定されないが、主に膜電極接合体(MEA)と正極セパレータと負極セパレータとからなる。
〔MEAの製法〕
MEAの製造方法は特に限定されず、例えば、触媒層(正極触媒層、負極触媒層を総称して触媒層という。)の構成成分を溶媒中に分散させたインクを負極側、正極側の両方用意し、高分子電解質膜の片方の主面ともう片方の主面にそれぞれ塗布して乾燥させ、乾燥後にマイクロポーラス層付きガス拡散層を圧着する方法が挙げられる。また、前記インクをポリテトラフルオロエチレン等のフィルムに塗布・乾燥し、負極側と正極側で高分子電解質膜を挟んで熱圧着した後に両側の該フィルムを剥がし、マイクロポーラス層付きガス拡散層を圧着する方法が挙げられる。また、前記インクをマイクロポーラス層付きガス拡散層に塗布・乾燥し、負極側と正極側で高分子電解質膜を挟んで熱圧着する方法等の一般的な方法を用いることができる。前述の項に記載したように、マイクロポーラス層付きガス拡散層は市販のものを使用することができる。
〔負極の製法〕
負極触媒層の電極触媒としては、特に限定されないが、例えば、白金微粒子をカーボンブラックに担持した触媒、白金ルテニウム合金の微粒子をカーボンブラックに担持した触媒等の直接メタノール形燃料電池の一般的な負極の電極触媒を用いることができる。高分子電解質としてはナフィオン分散液を好ましく用いることができる。溶媒としては、水、低級アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール等)及びその混合物を好ましく用いることができる。(高分子電解質重量)/(触媒重量)の比率は、0.1〜2が好ましく、0.2〜1がより好ましく、0.3〜0.8が更に好ましい。溶媒と固形分の比率は特に限定されず、用いる塗布装置に適した粘度に調整することが好ましい。塗布装置は特に限定されず、例えば、バーコーター、スプレーコーター、スクリーンプリンター等の一般的な方法を用いることができる。
〔正極の製法〕
疎水的な窒素含有炭素材料は正極触媒として用いることができる。高分子電解質としてはナフィオン分散液を好ましく用いることができる。溶媒としては、水、低級アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール等)及びその混合物を好ましく用いることができる。(高分子電解質重量)/(触媒重量)の比率は、0.1〜5が好ましく、0.2〜3がより好ましく、0.3〜2が更に好ましい。溶媒と固形分の比率は特に限定されず、用いる塗布装置に適した粘度に調整することが好ましい。塗布装置は特に限定されず、例えば、バーコーター、スプレーコーター、スクリーンプリンター等の一般的な方法を用いることができる。
〔用途〕
上述の疎水的な窒素含有炭素材料は固体高分子形燃料電池の正極触媒として用いることができる。
以下に実施例等を挙げて本実施形態をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであり、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。当業者は、以下に示す実施例に様々な変更を加えて本実施形態として実施することができ、係る変更は本発明の範囲に包含される。
分析方法は以下のとおりとした。
(吸湿率)
実施例及び比較例で得られた窒素含有炭素材料を、リガク製のTG−DTA/HUM−1に導入し、まずはサンプルを窒素ガス流通下100℃で1時間乾燥した。その後、サンプル温度を70℃に下げ、70℃で相対湿度90%まで加湿した窒素ガスを流通し、2時間保持し、下記式(1)の通り吸湿率を測定した。
吸湿率(%)={(加湿サンプル質量)−(乾燥サンプル質量)}/(乾燥サンプル質量)×100・・・式(1)
(N/C)
JIS M8819「石炭類及びコークス類−機器分析装置による元素分析方法」に従って実施例及び比較例で得られた窒素含有炭素材料中の炭素及び窒素の質量濃度を測定した。これを原子比に換算したものをN/Cとした。
測定装置にはヤナコテクニカルサイエンス製のCHNコーダーMT−6を使用した。
(遷移金属の含有率)
実施例及び比較例で得られた窒素含有炭素材料を、空気流通下900℃で1時間熱処理して炭素及び窒素を焼き飛ばし、残渣を王水に溶解させてICP発光分光分析することによって窒素含有炭素材料中の遷移金属の含有率を測定した。
測定装置にはエスアイアイ・ナノテクノロジー製のSPS3520UV−DDを使用した。
(酸素還元活性測定)
実施例及び比較例で用いた、電極作製法及び回転電極法によるリニアスイープボルタンメトリーの測定(北斗電工の回転リングディスク電極装置「HR−301」、ポテンショスタット「HZ−5000」を使用。)は、以下のとおり行った。
まず、バイアル瓶に、実施例又は比較例で作製した窒素含有炭素材料5mgを秤取し、そこに、ガラスビーズをスパチュラ一杯、5質量%ナフィオン分散液(シグマアルドリッチジャパン製)を50μL、並びにイオン交換水及びエタノールをそれぞれ150μLずつ添加し、それらの混合物に20分間超音波を照射してスラリーを作製した。
このスラリーを4μL秤取し、回転電極のガラス状炭素上(0.2828cm2)に塗布し、真空乾燥した。乾燥後の回転電極を作用極とし、可逆水素電極(RHE)を参照極として、炭素電極を対極とした。0.5M硫酸を電解液とし、その電解液にまず窒素を30分間バブリングした後、掃引速度5mV/s、回転速度1500rpmで1.1Vから0Vまで掃引してボルタモグラムを得た。
続いて酸素を30分間バブリングした後、先ほどと同条件でボルタモグラムを得た。酸素下のボルタモグラムと窒素下のボルタモグラムの差分が酸素還元電流であり、酸素還元電流が−10μA/cm2になる電位を開始電位とした。
(耐久性測定)
<MEA作製>
実施例又は比較例で作製した窒素含有炭素材料から以下の方法でMEAを作製した。まず窒素含有炭素材料50mg、エタノール200mg及び1mmφジルコニアビーズ1.5gをマイクロ遠心チューブに入れ、ディスラプターホモジナイザー(サイエンティフィックインダストリーズ社製)を用いて、2850rpmで10分間撹拌した。次に、I/C(=ナフィオンの質量/窒素含有炭素材料の質量)が所定の値となるように20%ナフィオン溶液(和光純薬(株)製、DE2021CS)を添加し、ディスラプターホモジナイザーを用いて、2850rpmで15分間撹拌し、正極インクを作製した。なお、用いる窒素含有炭素材料ごとにMEAの発電量が最大となるようI/Cを調整した。この正極インクをスクリーン印刷機(ミタニマイクロニクス社製、MEC−2400)にてマイクロポーラス層付きガス拡散層(SGL製、29BC)に塗布し、120℃で30分間乾燥した。窒素含有炭素材料の塗布量は2mg/cm2とした。このように作製した正極触媒層−正極マイクロポーラス層−正極ガス拡散層の上に、ナフィオン膜(デュポン製、NR211)、白金−ルテニウム担持触媒付きガス拡散層((株)ケミックス製、白金−ルテニウム0.5mg/cm2担持)を載せ、150℃、0.2MPaにて熱圧着し、MEAを得た。
<燃料電池運転>
上記のMEAの発電評価をポテンショガルバノスタット(ソーラトロン社製、1285A)にて実施した。負極には水素(0.2MPa、80℃、相対湿度100%、流量300cc/min)を供給し、正極には空気(0.2MPa、80℃、相対湿度40%、流量300cc/min)大気圧を供給し、セル温度は80℃にし、0.4Vで100時間連続運転を行った。電流保持率(%)=(連続運転後の0.4Vでの電流値)/(連続運転前の0.4Vでの電流値)×100とし、これを耐久性の指標とした。
[比較例1]
<前駆体調製工程>
1Lのナス型フラスコにジアミノマレオニトリル6g、フェノール樹脂(群栄化学工業(株)製、レヂトップPSK−2320)6g、塩化鉄(II)0.082g及びメタノール400ccを加え、室温で各成分が溶解するまで撹拌した。その後、60℃の水浴中にて、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去し、真空乾燥機にて80℃で2時間乾燥させて前駆体を得た。
<第1の熱処理工程>
調製した前駆体12gをアルミナボートに載置し、それをボックス炉に収容した。炉内を大気圧、1NL/minの窒素流通下で60分間かけて室温から800℃まで昇温し、800℃のまま1時間保持することで6.6gのサンプルを得た。
<平均粒子径調整工程>
上記第1の熱処理工程サンプルを遊星ボールミル(フリッチュ・ジャパン(株)製のPulverisette−5を使用)にて直径10mmのジルコニアボールを用いて乾式粉砕することにより、平均粒子径を980nmに調整したサンプルを得た。
<第2の熱処理工程>
上記の平均粒子径を調整したサンプル6.6gを石英ボートに載置し、それを内径36mmの石英管状炉に収容した。炉内を大気圧、2NL/minのアンモニアガス流通下で60分間かけて室温から975℃まで昇温し、975℃のまま1時間保持することで3.3gの窒素含有炭素材料を得た。
<物性評価>
前述の方法にて、吸湿率測定、N/C測定、遷移金属の含有率測定、酸素還元活性測定を実施した。結果を表1に示す。
<耐久性評価>
前述の方法にて、MEAを作製し(I/C=1.25)、耐久性測定を実施した。電流保持率は36%だった。
[実施例1]
<還元処理工程>
比較例1で得られた窒素含有炭素材料を原料の窒素含有炭素材料とした。
まず、50mLのナス型フラスコに原料の窒素含有炭素材料50mgとテトラヒドロフラン20mLを加え、0℃に冷却した。そこに、水素化ホウ素ナトリウム56mgを少しずつ添加した後、室温に戻して一晩撹拌した。その後、フラスコを氷冷しながら数滴のイオン交換水を滴下し、pH=3の塩酸水溶液を30mL加え、室温に戻した後3時間撹拌し、メンブレンフィルターで濾過を行った。フィルター上の残渣をpH3の塩酸水溶液50mL、イオン交換水50mLで洗浄後、室温で減圧乾燥し、51mgの還元処理サンプルを得た。
<疎水化工程>
50mLのナス型フラスコに上記の還元処理サンプル15mgとテトラヒドロフラン10mLを加え、0℃に冷却し、水素化ナトリウム22mg及びヨウ化メチル27μLを加えた。室温に戻して3時間撹拌後、イオン交換水を10mL滴下し、メンブレンフィルターで濾過を行った。フィルター上の残渣をヘキサン100mL、エタノール100mLで洗浄後、室温で減圧乾燥し、室温で減圧乾燥し、疎水化した窒素含有炭素材料を15mg得た。
<物性評価>
前述の方法にて、吸湿率測定、N/C測定、遷移金属の含有率測定、酸素還元活性測定を実施した。結果を表1に示す。
<耐久性評価>
前述の方法にて、MEAを作製し(I/C=0.73)、耐久性測定を実施した。電流保持率は44%だった。
[比較例2]
<疎水化工程>
比較例1で得られた窒素含有炭素材料を原料の窒素含有炭素材料とした。
まず、50mLのナス型フラスコに原料の窒素含有炭素材料15mgとアセトン20mLを加え、0℃に冷却し、水素化ナトリウム10mg及びヨウ化メチル2.7μLを加えた。室温に戻して3時間撹拌後、イオン交換水を10mL滴下し、メンブレンフィルターで濾過を行った。フィルター上の残渣をイオン交換水50mLで洗浄後、室温で減圧乾燥し、15mgのサンプルを得た。
<物性評価>
前述の方法にて、吸湿率測定、N/C測定、遷移金属の含有率測定、酸素還元活性測定を実施した。結果を表1に示す。
[比較例3]
<物性評価>
実施例1の還元処理工程で得られた還元処理サンプルを、前述の方法にて、吸湿率測定、N/C測定、遷移金属の含有率測定、酸素還元活性測定を実施した。結果を表1に示す。
[実施例2]
<還元処理工程>
比較例1で得られた窒素含有炭素材料を原料の窒素含有炭素材料とした。
まず、50mLのナス型フラスコに原料となる窒素含有炭素材料50mgとテトラヒドロフラン20mLを加え、0℃に冷却した。そこに、ボラン−テトラヒドロフラン錯体(8.5%テトラヒドロフラン溶液)0.31mLを少しずつ添加した後、室温に戻して4時間撹拌した。その後、フラスコを氷冷しながらイオン交換水50mLを滴下し、メンブレンフィルターで濾過を行った。フィルター上の残渣をイオン交換水300mLで洗浄後、室温で減圧乾燥し、51mgのサンプルを得た。
<疎水化工程>
実施例1の疎水化工程と同様の方法で疎水化を実施した。
<物性評価>
前述の方法にて、吸湿率測定、N/C測定、遷移金属の含有率測定、酸素還元活性測定を実施した。結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1におけるヨウ化メチルをヨウ化t−ブチルに変えた以外は実施例1と同様の方法で窒素含有炭素材料を合成し、物性評価を実施した。結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1におけるヨウ化メチルをヨウ化n−デシルに変えた以外は実施例1と同様の方法で窒素含有炭素材料を合成し、物性評価を実施した。結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1におけるヨウ化メチルを1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ヘプタデカフルオロ−10−ヨードデカンに変えた以外は実施例1と同様の方法で窒素含有炭素材料を合成し、物性評価を実施した。結果を表1に示す。
また、前述の方法にて、MEAを作製し(I/C=0.53)、耐久性測定を実施した。電流保持率は48%だった。
本発明の窒素含有炭素材料は、燃料電池用電極として産業上の利用可能性を有する。

Claims (5)

  1. 70℃、相対湿度90%における吸湿率が、20%未満である、窒素含有炭素材料。
  2. 表面に疎水性官能基を有する、請求項1に記載の窒素含有炭素材料。
  3. 疎水性官能基が、アルキル基及び/又はフルオロアルキル基である、請求項2に記載の窒素含有炭素材料。
  4. 原料の窒素含有炭素材料を還元処理した後に、疎水性官能基を導入する工程を含む、請求項2又は3に記載の窒素含有炭素材料の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の窒素含有炭素材料を用いた、燃料電池電極。
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