JP2019080491A - 免疫細胞療法用ny−eso1抗原特異的t細胞の誘導方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 NY−ESO1抗原特異的T細胞を他家移植する免疫細胞療法における、免疫細胞療法用T細胞の誘導方法を提供する。【解決手段】 (1)NY−ESO1抗原特異的T細胞受容体を有するヒト多能性幹細胞を提供する工程、および(2)工程(1)の多能性幹細胞からT前駆細胞あるいは成熟T細胞を誘導する工程を含む、免疫細胞療法用T細胞を誘導する方法を提供する。NY−ESO1抗原特異的T細胞受容体を有するヒト多能性幹細胞は、好ましくはヒトから単離あるいは誘導されたNY−ESO1抗原特異的T細胞からiPS細胞を誘導し(T−iPS)、T−iPS細胞からT細胞を再生することによって調製される。【選択図】 なし
Description
本願は免疫細胞療法用T細胞の誘導方法に関する。本願は特に、NY−ESO1抗原特異的T細胞を他家移植する免疫細胞療法における、免疫細胞療法用T細胞の誘導方法に関する。
個々のT細胞は異なる特異性のT細胞受容体(TCR)を発現している。感染症が生じた時、特定の特異性の細胞が増殖し、細胞集団(クローン)を形成して病原体の対処にあたる。これが獲得免疫系の基本型である。特定の特異性のT細胞を人為的に増殖(クローニングという)できれば治療に用いることができることが期待される。実際に、特定の特異性を示すT細胞を患者から採取し、増やして患者に戻す(自家移植)方法は臨床応用されている。ただしこのような試みの殆どはクローニングというほど純化されていないし、また、in vitroで何代も継代培養するうちに、がん細胞を殺す活性が低下するという問題もあった。
T細胞を不死化することにより無限に増やす方法も提案されている。1つの細胞を不死化して増殖させ、クローニングする。細胞の不死化はがん細胞との融合による方法と、TCR刺激とサイトカインの刺激による長期間培養などの方法が挙げられる。しかしながら、こうして不死化したT細胞は、いわばがん細胞であり、患者本人に戻す自家移植は危険である。また、クローニング工程において機能が低下するという問題もあった。
NY−ESO1はメラノーマ、食道癌、多発性骨髄腫、成人T細胞性白血病(ATL)の一部で発現が認められるが、正常組織では精巣以外には発現しない、がん・精巣抗原である。NY−ESO1抗原はがん抗原として最も臨床的に注目され研究が進められている抗原の一つである。NY−ESO1抗原ペプチドを用いた癌ワクチン療法について、臨床試験が行われている。
NY−ESO1抗原特異的T細胞レセプター(TCR=T cell receptor)遺伝子が単離されている。TCR遺伝子を患者の正常T細胞(多くのクローンの集合体)に発現させて患者の体内に戻す(自家移植)遺伝子治療について臨床試験が実施されており、特定のがん種で有効であると報告されている。(非特許文献1〜3)。TCRを発現させる際には、患者の正常T細胞がもともと発現しているTCRをsiRNA等により抑制することが行われている。
る。
る。
このTCR遺伝子療法には、少なくとも以下の3つの問題がある。1)レトロウイルスベクターを用いてTCR遺伝子の導入が行われるが、これはすなわち遺伝子治療であり、導入を受けた患者のT細胞ががん化する可能性がある。2)siRNAによる内因性TCRの抑制は完全ではなく、多様な内因性TCRa鎖やTCRb鎖と導入したTCRa鎖やTCRb鎖とのスワッピング等により、患者の組織を攻撃するような想定外の反応性が出現する危険性がある。3)患者ごとにT細胞の回収、遺伝子改変、投与を行う必要があり、事前準備ができず治療に時間がかかる。
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本願は、NY−ESO1抗原特異的T細胞を他家移植する免疫細胞療法における、免疫細胞療法用T細胞の誘導方法を提供することを目的とする。本願はさらに、当該多能性幹細胞から誘導されたT細胞を用いる免疫細胞療法を提供することを目的とする。
本願はまた、NY−ESO1抗原に特異的なT細胞受容体遺伝子を有する多能性幹細胞を提供することを目的とする。
本願は(1)NY−ESO1抗原に特異的なT細胞受容体遺伝子を有するヒト多能性幹細胞を提供する工程、および
(2)工程(1)の多能性幹細胞からT細胞を誘導する工程
を含む、免疫細胞療法用T細胞を誘導する方法を提供する。
(2)工程(1)の多能性幹細胞からT細胞を誘導する工程
を含む、免疫細胞療法用T細胞を誘導する方法を提供する。
本願の第1の態様において、NY−ESO1抗原に特異的なT細胞受容体遺伝子を有する多能性幹細胞は提供者からNY−ESO1抗原特異的T細胞を単離または誘導し、当該T細胞から多能性幹細胞を誘導する。多能性幹細胞としてiPS細胞を誘導する場合、T細胞から誘導されたiPS細胞をT−iPS細胞という。NY−ESO1抗原特異的T細胞の提供者は健常人であっても、NY−ESO1抗原を有する健常人あるいは癌患者であってもよい。
本願の第2の態様において、NY−ESO1抗原に特異的なT細胞受容体遺伝子を有する多能性幹細胞は、多能性幹細胞へNY−ESO1抗原に特異的なT細胞受容体遺伝子を導入することによって得ることができる。
得られたNY−ESO1抗原に特異的なT細胞受容体遺伝子を有する多能性幹細胞、T−iPS細胞からT前駆細胞または成熟T細胞であるT細胞を誘導し、これを免疫細胞療法に用いる。
本願の方法で得られるT前駆細胞または成熟T細胞は、細胞免疫療法に用いることができる。細胞免疫療法においては、本願の成熟T細胞は自家移植のみならず、HLAが一定以上一致した他人への他家移植による治療において特に好適に用いることができる。
他人由来のT細胞を移植するというアイデアは、従来よく知られている免疫細胞療法の常識に反するものでる。例えば血液系の悪性腫瘍(白血病など)では、造血幹細胞を移植する骨髄移植が行われるが、ドナーの骨髄がレシピエントによって拒絶されないように、通常はレシピエントと一致したHLA型のドナーから移植される。しかしながら他人間においては、HLA以外の多くのタンパク分子においてアミノ酸配列が不一致であり、ドナーT細胞はこれらの不一致を攻撃対象と認識し得る。その結果、移植したドナーT細胞の一部がレシピエントの体の細胞を攻撃する反応であるいわゆる移植片対宿主反応が生じる。HLAが一致していない場合は、この移植片対宿主反応はさらに強く起こる。これらは実際に骨髄移植後に高頻度に認められている。そのような背景から、医療関係者の間では「他人のT細胞を移植するのは危険」というのは常識である。
しかるに本願の発明により得られる特定の抗原特異的T細胞受容体遺伝子を有する多能性幹細胞から誘導されたT細胞を用いることにより、従来の技術認識における問題を予想外にも解決することができる。
すなわち、本願の第1の態様であるT−iPS細胞法は遺伝子治療ではないので、遺伝子導入に起因する細胞癌化の危険性は生じない。またiPS細胞から再生されるCTLでは内在性のTCRの再構成が抑制され導入したTCRしか発現しないので、想定外の危険が生じる危険が少ない。また、iPS段階で内在性TCR遺伝子の発現を制御すればより安全である。TCR−iPS細胞はクローンとして扱えるので、遺伝子挿入箇所を同定して安全なクローンを確定して用いることで遺伝子を傷つける危険性を回避できる。
さらに、本願の第2の態様ではNY−ESO1抗原特異的T細胞受容体遺伝子(TCR遺伝子)を多能性幹細胞に導入する工程を含む方法にて得られることから、下記の効果が得られる:
1)効果並びに安全性が保障されたTCRの遺伝子を導入することにより、得られる移植用T細胞の品質が保証される。
2)TCR遺伝子挿入箇所を同定し、安全なクローンを確定して用いることができ、移植細胞のがん化の問題を予め回避できる。
3)多能性幹細胞へTCR遺伝子挿入して得られる多能性幹細胞をT細胞へ分化させる場合、分化過程で導入TCRが先に発現することから細胞が元々もっている(以下内因性と表記)TCRが再構成されず、想定外の反応が出現することがほとんどない。
1)効果並びに安全性が保障されたTCRの遺伝子を導入することにより、得られる移植用T細胞の品質が保証される。
2)TCR遺伝子挿入箇所を同定し、安全なクローンを確定して用いることができ、移植細胞のがん化の問題を予め回避できる。
3)多能性幹細胞へTCR遺伝子挿入して得られる多能性幹細胞をT細胞へ分化させる場合、分化過程で導入TCRが先に発現することから細胞が元々もっている(以下内因性と表記)TCRが再構成されず、想定外の反応が出現することがほとんどない。
本願においては、特定の抗原特異的T細胞受容体を有する多能性幹細胞をつくり、当該多能性幹細胞からT前駆細胞または成熟T細胞を誘導してこれを細胞免疫療法に用いる。かかる方法を採ることにより移植する細胞は単一の特異性を有するT細胞になるために移植片対宿主反応を起こす心配がなく、自家移植のみならず他家移植が可能になることを初めて見出した。すなわち、本願によってはじめて「T細胞を他人に移植する」ことが可能となる。
今まで提案されている種々のiPS細胞から分化誘導させたT細胞以外の細胞や組織を移植する治療法では、当該細胞が一生涯生着し続けることが期待されている。従って、他家移植を前提とするiPS細胞ストック事業においてiPS細胞から分化誘導される細胞を移植する際には、患者は免疫抑制剤を飲み続ける必要がある。この点は、自家iPS細胞と比して不利な点である。しかるに、本願におけるT−iPSまたはTCR−iPS細胞由来T細胞の場合、一定期間後に拒絶される。すなわちドナーとレシピエント間でHLAが一定以上一致するとはいえ、他人間ではマイナー組織適合抗原が一致しないのでいずれは拒絶される。この点で、iPS細胞を用いた他の細胞の他家移植とは全く異なり予想外の優れた効果が示される。
T−iPS細胞、TCR−iPS細胞ともに患者ごとにつくる必要はなく、あらかじめ多くの種類のT−iPS細胞やTCR−iPS細胞をつくっておくことができる。よってT−iPS細胞、TCR−iPS細胞レベル、またはかかる細胞から誘導したT前駆細胞もしくはT細胞レベルでバンク化することが可能である。すなわち、本願によってはじめて「T細胞を他人に移植する」を施行する体制の構築が大幅に加速されることになった。また、治療までの時間が短縮できるだけでなく、移植する前に移植細胞の品質の確認ができるというメリットもある。
本明細書ならびに請求の範囲において「多能性幹細胞」とは、生体に存在する多くの細胞に分化可能である多能性を有し、かつ、自己増殖能を併せもつ幹細胞である。多能性幹細胞には、例えば胚性幹(ES)細胞、核移植により得られるクローン胚由来の胚性幹(ntES)細胞、胚性生殖細胞(「EG細胞」)、人工多能性幹(iPS)細胞、培養線維芽細胞や骨髄幹細胞由来の多能性細胞(Muse細胞)などが例示される。多能性幹細胞は、好ましくは哺乳動物の多能性幹細胞であり、より好ましくはヒト多能性幹細胞である。特定のHLAを有するヒト由来の細胞を用いて、治療法の細胞バンクを製造することを考慮すると、iPS細胞を用いるのが好ましい。
本願明細書および請求の範囲において、「T細胞」とは表面にT細胞受容体(TCR)と賞される抗原受容体を発現している細胞を意味する。T細胞からiPS細胞を誘導してもTCRが維持されることは、例えばWO2011/096482およびVizcardo et al., Cell Stem Cell 12, 31-36 2013に報告されている。
本願の第1の態様においては、所望の抗原特異的T細胞からiPS細胞を得る。iPS細胞へと誘導されるT細胞としては、好ましくはCD3を発現しており、且つCD4及びCD8からなる群から選択される少なくとも一の分子が発現しているT細胞である。このようなヒトT細胞としては、例えば、CD4陽性細胞であるヘルパー/制御性T細胞、CD8陽性細胞である細胞傷害性T細胞、ナイーブT細胞(CD45RA+CD62L+細胞)、セントラルメモリーT細胞(CD45RA−CD62L+細胞)、エフェクターメモリーT細胞(CD45RA−CD62L−細胞)、及びターミナルエフェクターT細胞(CD45RA+CD62L−細胞)が挙げられる。
ヒトT細胞は、ヒトの組織から公知の手法により単離することができる。ヒトの組織としては、前記T細胞を含む組織であれば特に制限はないが、例えば、末梢血、リンパ節、骨髄、胸腺、脾臓、臍帯血、病変部組織が挙げられる。これらの中では、ヒトに対する侵襲性が低く、調製が容易であるという観点から、末梢血、臍帯血が好ましい。ヒトT細胞を単離するための公知の手法としては、例えば、後述の実施例に示すようなCD4等の細胞表面マーカーに対する抗体と、セルソーターとを用いたフローサイトメトリーが挙げられる。また、サイトカインの分泌や機能性分子の発現を指標に、所望のT細胞を単離することも出来る。かかる場合、例えば、T細胞は、Th1タイプかTh2タイプかで分泌されるサイトカインが異なるので、そのようなサイトカインを指標に選別して、所望のThタイプを有するT細胞を単離することができる。また、グランザイムやパーフォリンなどの分泌又は産生を指標として、細胞傷害性(キラー)T細胞を単離することが出来る。
NY−ESO1抗原特異的な細胞障害性T細胞は、ヒトより常法により取得したリンパ球、例えば末梢血単核球を、NY−ESO1抗原またはそのエピトープペプチドにて刺激して得ることができる。NY−ESO1抗原のエピトープペプチドは複数が同定されており、NY−ESO1抗原特異的細胞障害性T細胞を誘導する方法も良く知られている。または、NY−ESO1抗原を発現するがん細胞を用いてリンパ球を刺激してもよい。
NY−ESO1抗原特異的細胞傷害性T細胞は、NY−ESO1抗原を発現する癌に罹患している患者またはかかる癌の既往のある対象の細胞から誘導しても、健常人から誘導してもよい。健常人のT細胞から得たT−iPS細胞を用いる場合には、下記の効果が得られる:
1)健常人の細胞から種々の抗原特異的T細胞を誘導することができるため、予め多くの種類のTCR遺伝子を有するT−iPS細胞をつくっておくことができる。
2)健常人を対象とするので、T−iPSバンクを作製にあたってドナーを集めやすい。
1)健常人の細胞から種々の抗原特異的T細胞を誘導することができるため、予め多くの種類のTCR遺伝子を有するT−iPS細胞をつくっておくことができる。
2)健常人を対象とするので、T−iPSバンクを作製にあたってドナーを集めやすい。
一般に抗原特異的なT細胞は感染症やがんの患者本人から採取することが考えられている。それは、抗原特異的T細胞は感染症やがん患者の体内で増幅されており、特定の反応性のT細胞を検出/採取しやすいと考えられているからである。本願ではそのように疾病を有する患者から疾病に関連する抗原に特異的なT細胞を採取し、それを他家移植用のT−iPS細胞の材料にする方法を提供する。
特定の抗原特異的ヒトT細胞を単離する場合、NY−ESO1抗原特異的T細胞を含むヒト培養細胞またはヒトの組織より、目的の抗原を固定化したアフィニティカラム等を用いて精製する方法を採用することができる。また、所望の抗原を結合させたMHC(主要組織適合遺伝子複合体)を4量体化させたもの(いわゆる「MHCテトラマー」)を用いて、ヒトの組織より特定の抗原特異性、例えばNY−ESO1抗原に特異性を有するT細胞を精製する方法も採用することができる。
上記のごとく得られるNY−ESO1抗原特異的なT細胞から多能性幹細胞を誘導する。T細胞から多能性幹細胞細胞を得るには、例えばVizcardo et al., Cell Stem Cell 12, 31-36 2013に記載の方法を持いてもよい。例えば治療対象とする疾患に対する免疫を獲得した対象から所望の抗原特異的T細胞を得、この細胞へヤマナカ因子を導入してT−iPS細胞を得ることができる(Takahashi and Yamanaka, Cell 126, 663-673 (2006), Takahashi et al., Cell 131, 861-872(2007)および Grskovic et al., Nat. Rev. Drug Dscov. 10,915-929(2011))。
人工多能性幹(iPS)細胞は、特定の初期化因子を、体細胞に作用させることによって作製することができる、ES細胞とほぼ同等の特性を有する体細胞由来の人工の幹細胞である(K. Takahashi and S. Yamanaka (2006) Cell, 126:663-676; K. Takahashi et al. (2007), Cell, 131:861-872; J. Yu et al. (2007), Science, 318:1917-1920; Nakagawa, M.ら,Nat. Biotechnol. 26:101-106 (2008);国際公開WO 2007/069666)。初期化因子は、ES細胞に特異的に発現している遺伝子、その遺伝子産物もしくはnon−cording RNAまたはES細胞の未分化維持に重要な役割を果たす遺伝子、その遺伝子産物もしくはnon−coding RNA、あるいは低分子化合物によって構成されてもよい。初期化因子に含まれる遺伝子として、例えば、Oct3/4、Sox2、Sox1、Sox3、Sox15、Sox17、Klf4、Klf2、c−Myc、N−Myc、L−Myc、Nanog、Lin28、Fbx15、ERas、ECAT15−2、Tcl1、beta−catenin、Lin28b、Sall1、Sall4、Esrrb、Nr5a2、Tbx3またはGlis1等が例示され、これらの初期化因子は、単独で用いても良く、組み合わせて用いても良い。初期化因子の組み合わせとしては、WO2007/069666、WO2008/118820、WO2009/007852、WO2009/032194、WO2009/058413、WO2009/057831、WO2009/075119、WO2009/079007、WO2009/091659、WO2009/101084、WO2009/101407、WO2009/102983、WO2009/114949、WO2009/117439、WO2009/126250、WO2009/126251、WO2009/126655、WO2009/157593、WO2010/009015、WO2010/033906、WO2010/033920、WO2010/042800、WO2010/050626、WO 2010/056831、WO2010/068955、WO2010/098419、WO2010/102267、WO 2010/111409、WO 2010/111422、WO2010/115050、WO2010/124290、WO2010/147395、WO2010/147612、Huangfu D, et al. (2008), Nat. Biotechnol., 26: 795-797、Shi Y, et al. (2008), Cell Stem Cell, 2: 525-528、Eminli S, et al. (2008), Stem Cells. 26:2467-2474、Huangfu D, et al. (2008), Nat Biotechnol. 26:1269-1275、Shi Y, et al. (2008), Cell Stem Cell, 3, 568-574、Zhao Y, et al. (2008), Cell Stem Cell, 3:475-479、Marson A, (2008), Cell Stem Cell, 3, 132-135、Feng B, et al. (2009), Nat Cell Biol. 11:197-203、R.L. Judson et al., (2009), Nat. Biotechnol., 27:459-461、Lyssiotis CA, et al. (2009), Proc Natl Acad Sci U S A. 106:8912-8917、Kim JB, et al. (2009), Nature. 461:649-643、Ichida JK, et al. (2009), Cell Stem Cell. 5:491-503、Heng JC, et al. (2010), Cell Stem Cell. 6:167-74、Han J, et al. (2010), Nature. 463:1096-100、Mali P, et al. (2010), Stem Cells. 28:713-720、Maekawa M, et al. (2011), Nature. 474:225-9.に記載の組み合わせが例示される。(本段落に記載の文献は引用により本願の一部を構成する)
初期化因子は、その形態に応じた公知の方法にて体細胞へ接触、または体細胞内へ導入すればよい。
タンパク質の形態の場合、例えばリポフェクション、細胞膜透過性ペプチド(例えば、HIV由来のTATおよびポリアルギニン)との融合、マイクロインジェクションなどの手法によって体細胞内に導入してもよい。
DNAの形態の場合、例えば、ウイルス、プラスミド、人工染色体などのベクター、リポフェクション、リポソーム、マイクロインジェクションなどの手法によって体細胞内に導入することができる。ウイルスベクターとしては、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター(以上、Cell, 126, pp.663-676, 2006; Cell, 131, pp.861-872, 2007; Science, 318, pp.1917-1920, 2007)、アデノウイルスベクター(Science, 322, 945-949, 2008)、アデノ随伴ウイルスベクター、センダイウイルスベクター(WO 2010/008054)などが例示される。また、人工染色体ベクターとしては、例えばヒト人工染色体(HAC)、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC、PAC)などが含まれる。プラスミドとしては、哺乳動物細胞用プラスミドを使用しうる(Science, 322:949-953, 2008)。ベクターには、核初期化物質が発現可能なように、プロモーター、エンハンサー、リボゾーム結合配列、ターミネーター、ポリアデニル化サイトなどの制御配列を含むことができるし、さらに、必要に応じて、薬剤耐性遺伝子(例えばカナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ピューロマイシン耐性遺伝子など)、チミジンキナーゼ遺伝子、ジフテリアトキシン遺伝子などの選択マーカー配列、緑色蛍光タンパク質(GFP)、βグルクロニダーゼ(GUS)、FLAGなどのレポーター遺伝子配列などを含むことができる。また、上記ベクターには、体細胞へ一旦導入して作用させた後、初期化因子をコードする遺伝子もしくはプロモーターとそれに結合する初期化因子をコードする遺伝子を共に切除するために、それらの前後にLoxP配列を有してもよい。(本段落に記載の文献は引用により本願の一部を構成する)
初期化因子がRNAの形態の場合、例えばリポフェクション、マイクロインジェクションなどの手法によって体細胞内に導入しても良い。分解を抑制するため、5−メチルシチジンおよびpseudouridine(TriLink Biotechnologies)を取り込ませたRNAを初期化因子として用いても良い(Warren L, (2010) Cell Stem Cell. 7:618-630)。(本段落に記載の文献は引用により本願の一部を構成する)
iPS細胞誘導のための培養液は、例えば、10〜15%FBSを含有するDMEM、DMEM/F12又はDME培養液(これらの培養液にはさらに、LIF、penicillin/streptomycin、puromycin、L−グルタミン、非必須アミノ酸類、β−メルカプトエタノールなどを適宜含むことができる。)または市販の培養液[例えば、マウスES細胞培養用培養液(TX−WES培養液、トロンボX社)、霊長類ES細胞培養用培養液(霊長類ES/iPS細胞用培養液、リプロセル社)、無血清培地(mTeSR,Stemcell Technology社)]などが例示される。
iPS細胞誘導の例としては、たとえば、37℃、5%CO2存在下にて、10%FBS含有DMEM又はDMEM/F12培養液上で体細胞と初期化因子とを接触させ約4〜7日間培養し、その後、細胞をフィーダー細胞(たとえば、マイトマイシンC処理STO細胞、SNL細胞等)上にまきなおし、体細胞と初期化因子の接触から約10日後からbFGF含有霊長類ES細胞培養用培養液で培養することによって、該接触から約30〜約45日又はそれ以上ののちにES様コロニーを生じさせることができる。
あるいは、37℃、5%CO2存在下にて、フィーダー細胞(たとえば、マイトマイシンC処理STO細胞、SNL細胞等)上で10%FBS含有DMEM培養液(これにはさらに、LIF、ペニシリン/ストレプトマイシン、ピューロマイシン、L−グルタミン、非必須アミノ酸類、β−メルカプトエタノールなどを適宜含むことができる。)で体細胞と初期化因子を接触させて培養し、約25〜約30日又はそれ以上ののちにES様コロニーを生じさせることができる。望ましくは、フィーダー細胞の代わりに、初期化される体細胞そのものを用いる(Takahashi K, et al. (2009), PLoS One. 4:e8067またはWO2010/137746)、もしくは細胞外基質(例えば、Laminin−5(WO2009/123349)、Laminin−10(US2008/0213885)、その断片(WO2011/043405)およびマトリゲル(BD社))を用いる方法が例示される。(本段落に記載の文献は引用により本願の一部を構成する)
この他にも、血清を含有しない培地を用いてiPS細胞を樹立する方法も例示される(Sun N, et al. (2009), Proc Natl Acad Sci U S A. 106:15720-15725)。さらに、樹立効率を上げるため、低酸素条件(0.1%以上、15%以下の酸素濃度)によりiPS細胞を樹立しても良い(Yoshida Y, et al.(2009), Cell Stem Cell. 5:237-241またはWO2010/013845)。(本段落に記載の文献は引用により本願の一部を構成する)
iPS細胞の樹立効率を高めるための成分として、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤[例えば、バルプロ酸(VPA)、トリコスタチンA、酪酸ナトリウム、MC1293、M344等の低分子阻害剤、HDACに対するsiRNAおよびshRNA(例、HDAC1 siRNA Smartpool(TM)(Millipore)、HuSH29mer shRNA Constructs against HDAC1 (OriGene)等)等の核酸性発現阻害剤など]、MEK阻害剤(例えば、PD184352、PD98059、U0126、SL327およびPD0325901)、Glycogen synthase kinase-3阻害剤(例えば、BioおよびCHIR99021)、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば、5−azacytidine)、ヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば、BIX−01294等の低分子阻害剤、Suv39hl、Suv39h2、SetDBlおよびG9aに対するsiRNAおよびshRNA等の核酸性発現阻害剤など)、L-channel calcium agonist(例えばBayk8644)、酪酸、TGFβ阻害剤またはALK5阻害剤(例えば、LY364947、SB431542、616453およびA−83−01)、p53阻害剤(例えばp53に対するsiRNAおよびshRNA)、ARID3A阻害剤(例えば、ARID3Aに対するsiRNAおよびshRNA)、miR−291−3p、miR−294、miR−295およびmir−302などのmiRNA、Wnt Signaling(例えばsoluble Wnt3a)、神経ペプチドY、プロスタグランジン類(例えば、プロスタグランジンE2およびプロスタグランジンJ2)、hTERT、SV40LT、UTF1、IRX6、GLISl、PITX2、DMRTBl等が知られている。iPS細胞の樹立の際にはかかる樹立効率の改善目的にて用いられる成分を添加した培養液を用いてもよい。
上記培養の間には、培養開始2日目以降から毎日1回新鮮な培養液と培養液交換を行う。核初期化に使用する体細胞の細胞数は、限定されないが、培養ディッシュ100cm2あたり約5×103〜約5×106細胞の範囲である。
iPS細胞は、形成したコロニーの形状により選択することが可能である。一方、体細胞が初期化された場合に発現する遺伝子(例えば、Oct3/4、Nanog)と連動して発現する薬剤耐性遺伝子をマーカー遺伝子として導入し、対応する薬剤を含む培養液(選択培養液)で培養を行うことにより樹立したiPS細胞を選択することができる。また、マーカー遺伝子として蛍光タンパク質遺伝子を導入し、蛍光顕微鏡で観察することによって、発光酵素遺伝子の場合は発光基質を加えることによって、iPS細胞を選択することができる。誘導されたiPS細胞(T−iPS細胞)は由来するT細胞のT細胞受容体遺伝子を維持する。
本願の第2の態様においては、NY−ESO1抗原特異的TCRの遺伝子を多能性幹細胞へ導入する。
種々のがんについてNY−ESO1抗原多能幹細胞の段階でRag1あるいはRag2遺伝子をゲノム編集技術等により破壊し、その後にT細胞への分化誘導をTCR遺伝子が報告されている。TCR遺伝子はまた、所望の抗原特異的T細胞をがん患者から単離し、あるいは健常人より誘導し、当該T細胞からTCRの遺伝子を単離してもよい。本願においては、所望の抗原特異的TCR遺伝子をドナー細胞から誘導された多能性幹細胞、例えばiPS細胞へ導入する。TCR遺伝子のiPS細胞への導入は常套の方法で行えばよく、例えばMorgan R.A. et al, Science, 314:126. 2006に記載の方法に準じて行えば良い。具体的にはTCR遺伝子を適当なベクターに載せてiPS細胞へ導入すればよい。例えば、ウイルス、プラスミド、人工染色体などのベクター、リポフェクション、リポソーム、マイクロインジェクションなどの手法によって体細胞内に導入することができる。ウイルスベクターとしては、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、センダイウイルスベクターなどが例示される。また、人工染色体ベクターとしては、例えばヒト人工染色体(HAC)、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC、PAC)などが含まれる。プラスミドとしては、哺乳動物細胞用プラスミドを使用しうる。ベクターには、TCRが発現可能なように、プロモーター、エンハンサー、リボゾーム結合配列、ターミネーター、ポリアデニル化サイトなどの制御配列を含むことができるし、さらに、必要に応じて、薬剤耐性遺伝子(例えばカナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ピューロマイシン耐性遺伝子など)、チミジンキナーゼ遺伝子、ジフテリアトキシン遺伝子などの選択マーカー配列、緑色蛍光タンパク質(GFP)、βグルクロニダーゼ(GUS)、FLAGなどのレポーター遺伝子配列などを含むことができる。
種々のがんについてNY−ESO1抗原多能幹細胞の段階でRag1あるいはRag2遺伝子をゲノム編集技術等により破壊し、その後にT細胞への分化誘導をTCR遺伝子が報告されている。TCR遺伝子はまた、所望の抗原特異的T細胞をがん患者から単離し、あるいは健常人より誘導し、当該T細胞からTCRの遺伝子を単離してもよい。本願においては、所望の抗原特異的TCR遺伝子をドナー細胞から誘導された多能性幹細胞、例えばiPS細胞へ導入する。TCR遺伝子のiPS細胞への導入は常套の方法で行えばよく、例えばMorgan R.A. et al, Science, 314:126. 2006に記載の方法に準じて行えば良い。具体的にはTCR遺伝子を適当なベクターに載せてiPS細胞へ導入すればよい。例えば、ウイルス、プラスミド、人工染色体などのベクター、リポフェクション、リポソーム、マイクロインジェクションなどの手法によって体細胞内に導入することができる。ウイルスベクターとしては、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、センダイウイルスベクターなどが例示される。また、人工染色体ベクターとしては、例えばヒト人工染色体(HAC)、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC、PAC)などが含まれる。プラスミドとしては、哺乳動物細胞用プラスミドを使用しうる。ベクターには、TCRが発現可能なように、プロモーター、エンハンサー、リボゾーム結合配列、ターミネーター、ポリアデニル化サイトなどの制御配列を含むことができるし、さらに、必要に応じて、薬剤耐性遺伝子(例えばカナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ピューロマイシン耐性遺伝子など)、チミジンキナーゼ遺伝子、ジフテリアトキシン遺伝子などの選択マーカー配列、緑色蛍光タンパク質(GFP)、βグルクロニダーゼ(GUS)、FLAGなどのレポーター遺伝子配列などを含むことができる。
所望のTCR遺伝子を有している多能性幹細胞を、T前駆細胞または成熟T細胞へと分化誘導する。多能性幹細胞からT細胞への分化誘導方法としては、例えばTimmermans et al., Journal of Immunology, 2009, 182: 6879-6888に記載の方法が挙げられる。また、多能性幹細胞からT細胞を誘導する前に、TCR遺伝子の再構成が起こらないようにするために、WO2016/010148に記載されている技術等を用いて、多能幹細胞の段階でRag1あるいはRag2遺伝子をゲノム編集技術等により破壊し、その後にT細胞への分化誘導を開始してもよい。
本明細書ならびに請求の範囲において「T前駆細胞」とは、造血細胞の中の最も未分化な細胞である造血幹細胞に相当する段階から、正の選択/負の選択を受ける直前の細胞の段階に相当するまでを含む。T細胞の分化についてはBlood 111:1318(2008)およびNature Immunology 11: 585(2010)に説明されている。
T細胞には大きく分けてαβT細胞とγδT細胞があり、αβT細胞にはキラーT細胞とヘルパーT細胞が含まれる。本願は全てのT細胞を対象とする。T細胞はT前駆細胞およびT成熟細胞のいずれをも含むものとし、好ましくはCD3を発現しており、且つCD4及びCD8からなる群から選択される少なくとも一の分子が発現しているT細胞を言うものとする。好ましくはCTL活性を有するT細胞であり、CD4陰性CD8陽性細胞である。NY−ESO1抗原特異的TCRを有する多能性幹細胞をT細胞へ分化誘導し、FACS等を用いて適宜ソートすることによって、同一のNY−ESO1抗原特異的TCRを含むT細胞(再生T細胞)から構成される細胞集団を得ることができる。多能幹細胞の段階でRag1あるいはRag2遺伝子をゲノム編集技術等により破壊し、その後にT細胞への分化誘導を行うことにより、より細胞集団の純度を上げることができる。例えばNY−ESO1抗原特異的TCRを有するiPS細胞をT細胞へ分化誘導することによって、培養物に含まれる90%以上、好ましくは95%以上のT細胞が同一のNY−EOS1特異的TCRを有するT細胞培養物を得ることができる。
いろいろな種類の固形がんや血液系のがんで高率にNY−ESO1抗原の発現が確認されている。本願は、かかるNY−ESO1抗原を発現する癌の免疫細胞療法へ応用することができる。
本願によって、NY−ESO1抗原をターゲットとするT細胞製剤が提供される。具体例として、健常人からNY−ESO1抗原特異的T細胞を誘導し、かかる細胞からT−iPS細胞を作製し、そのT−iPS細胞から作製したT細胞を用いることができる。T−iPS細胞が由来する健常人の細胞を用いてそのT−iPS細胞から再生されたT細胞の機能を確認した上で、そのT−iPS細胞をバンク化して保存しておく。
治療対象とするNY−ESO1抗原を発現するがんに罹った患者のHLAを調べ、バンク化したT−iPS細胞から適合するHLA由来の細胞を選択し、当該T−iPS細胞から作製したT細胞を用いて細胞免疫治療が可能である。T−iPS細胞を予めT細胞まで分化誘導させた上で凍結保存しておけば、より多くの患者により迅速に投与できる。また投与した細胞はいずれ拒絶されるので投与細胞のがん化のリスクは考えなくてよい。
治療対象とするNY−ESO1抗原を発現するがんに罹った患者のHLAを調べ、バンク化したT−iPS細胞から適合するHLA由来の細胞を選択し、当該T−iPS細胞から作製したT細胞を用いて細胞免疫治療が可能である。T−iPS細胞を予めT細胞まで分化誘導させた上で凍結保存しておけば、より多くの患者により迅速に投与できる。また投与した細胞はいずれ拒絶されるので投与細胞のがん化のリスクは考えなくてよい。
本願の免疫細胞療法においては、誘導されたT細胞を適当な媒体、例えば生理的食塩水やPBSに懸濁してHLAが一定以上一致する対象とする患者へ投与する。ドナーと患者とのHLA型は、完全に一致する場合、ドナーがHLAハプロタイプホモの場合には、少なくともその一方のHLAハプロタイプが一致する場合が例示される。患者への投与は経静脈的に行えばよい。投与量は限定的ではないが、成熟T細胞とする場合には106−107細胞/kgで、1回ないし複数回、患者へ経静脈投与する。T前駆細胞とする場合には、その10分の1−1000分の1程度の投与量でよい。
投与細胞数は特に限定されず、患者の年齢、性別、身長、体重、対象疾患、症状等に応じて適宜定めればよい。最適な投与細胞数は臨床試験により適宜決定すればよい。
T細胞は多様な抗原を攻撃対象とすることができ、本願の方法はがん、感染症、自己免疫疾患、アレルギーなどいろいろな疾患を対象とした免疫細胞療法への応用が可能である。
T細胞は多様な抗原を攻撃対象とすることができ、本願の方法はがん、感染症、自己免疫疾患、アレルギーなどいろいろな疾患を対象とした免疫細胞療法への応用が可能である。
NY−ESO1遺伝子はメラノーマ、食道癌、多発性骨髄腫、成人T細胞性白血病(ATL)などにおいて高発現しており、NY−ESO1抗原特異的なT−iPS細胞またはTCR−iPS細胞からCTL細胞を分化誘導した細胞を用いる場合には、NY−ESO1遺伝子を発現するこれら種々の癌の免疫細胞療法への応用が可能である。
NY−ESO1抗原特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)からのiPS細胞の作製(NY−ESO1−T−iPS)と、NY−ESO1−T−iPSからのNY−ESO1抗原特異的CTLの再生
1)NY−ESO1抗原特異的CTLの誘導並びに増幅
健常人由来のリンパ芽球細胞株LCL(Lymphoblastoid cell line)を用い、NY−ESO1抗原特異的CTLを誘導し、これを増幅した。用いた材料を以下に示す。
i)培地
健常人由来のリンパ芽球細胞株LCL(Lymphoblastoid cell line)を用い、NY−ESO1抗原特異的CTLを誘導し、これを増幅した。用いた材料を以下に示す。
i)培地
ii) NY−ESO1ペプチド
SLLMWITQC(配列番号1)
Jaeger E et al. J.Exp.Med.187:265-270(1998)
SLLMWITQC(配列番号1)
Jaeger E et al. J.Exp.Med.187:265-270(1998)
iii) LCL(Lymphoblastoid cell line)
京都大学病院血液腫瘍内科(日本国京都府京都市)にてHLA−A0201陽性健常人ボランティアから採取されたLCLを用いた。
京都大学病院血液腫瘍内科(日本国京都府京都市)にてHLA−A0201陽性健常人ボランティアから採取されたLCLを用いた。
A. ヒト末梢血からのT細胞の単離とペプチドによる刺激
1. 健常人ボランティアの末梢血より単核球をFicollによって精製し、T細胞培地で懸濁した。
2. 96穴U底プレートに1穴あたり2.5x105/mLとなるように細胞を播種し、ペプチドを100nMとなるように添加した。
3. 3日目にIL−2(最終濃度12.5U/mL)、IL−7(最終濃度5ng/mL)、IL−15(最終濃度1ng/mL)を加え、1週間ごとにサイトカインを添加したT細胞用培地で培地交換しながら2週間培養を行った。
1. 健常人ボランティアの末梢血より単核球をFicollによって精製し、T細胞培地で懸濁した。
2. 96穴U底プレートに1穴あたり2.5x105/mLとなるように細胞を播種し、ペプチドを100nMとなるように添加した。
3. 3日目にIL−2(最終濃度12.5U/mL)、IL−7(最終濃度5ng/mL)、IL−15(最終濃度1ng/mL)を加え、1週間ごとにサイトカインを添加したT細胞用培地で培地交換しながら2週間培養を行った。
B. LCLへのペプチド添加
1. LCLを回収し、35Gyの放射線照射を行った。
2. T細胞用培地に浮遊させ、5×105/mLとなるように調整した。
3. ペプチドを100nMとなるよう添加し2時間培養した。
4. LCLを回収し、T細胞用培地で洗浄後、2×105/mLとなるように調整した。
1. LCLを回収し、35Gyの放射線照射を行った。
2. T細胞用培地に浮遊させ、5×105/mLとなるように調整した。
3. ペプチドを100nMとなるよう添加し2時間培養した。
4. LCLを回収し、T細胞用培地で洗浄後、2×105/mLとなるように調整した。
C. ペプチドをパルスしたLCLとT細胞との共培養
1. ペプチド刺激を加えた後、2週間培養したT細胞を回収し、洗浄後にT細胞用培地に懸濁し、2×106/mLに調整した。この時一部の細胞をフローサイトメトリー解析のために取り分けた。
2. 24穴プレートに、ペプチドを加えて培養したLCLの浮遊液(2×105/mL)を0.5mL/well、T細胞浮遊液(2×105/mL)を0.5mL/wellとなるように加えた(LCL:T=1×105/well:1×106/well=1:10)。
3. 3日目にIL−2(最終濃度12.5U/mL)、IL−7(最終濃度5ng/mL)、IL−15(最終濃度1ng/mL)を加えた。1週間ごとにサイトカインを添加したT細胞用培地で培地交換しながら2週間培養を行った。(LCLによるペプチド刺激1クール目)
4. 再度100nMのペプチドと加えた培地でLCLを2時間培養し、ここにCTLを加えた。
5. 3日目にIL−2(最終濃度12.5U/mL)、IL−7(最終濃度5ng/mL)、IL−15(最終濃度1ng/mL)を加えた。1週間ごとにサイトカインを添加したT細胞用培地で培地交換しながら2週間培養を行った。(LCLによるペプチド刺激2クール目)
6. 再度100nMのペプチドと加えた培地でLCLを2時間培養し、ここにCTLを加えた。
7. 3日目にIL−2(最終濃度12.5U/mL)、IL−7(最終濃度5ng/mL)、IL−15(最終濃度1ng/mL)を加えた。1週間ごとにサイトカインを添加したT細胞用培地で培地交換しながら2週間培養を行った。(LCLによるペプチド刺激3クール目)
8. フローサイトメトリー解析により、CD8陽性NY−ESO1テトラマー陽性分画がCD8陽性T細胞中に約10%の割合で検出されることを確認した。結果を図1に示す。
1. ペプチド刺激を加えた後、2週間培養したT細胞を回収し、洗浄後にT細胞用培地に懸濁し、2×106/mLに調整した。この時一部の細胞をフローサイトメトリー解析のために取り分けた。
2. 24穴プレートに、ペプチドを加えて培養したLCLの浮遊液(2×105/mL)を0.5mL/well、T細胞浮遊液(2×105/mL)を0.5mL/wellとなるように加えた(LCL:T=1×105/well:1×106/well=1:10)。
3. 3日目にIL−2(最終濃度12.5U/mL)、IL−7(最終濃度5ng/mL)、IL−15(最終濃度1ng/mL)を加えた。1週間ごとにサイトカインを添加したT細胞用培地で培地交換しながら2週間培養を行った。(LCLによるペプチド刺激1クール目)
4. 再度100nMのペプチドと加えた培地でLCLを2時間培養し、ここにCTLを加えた。
5. 3日目にIL−2(最終濃度12.5U/mL)、IL−7(最終濃度5ng/mL)、IL−15(最終濃度1ng/mL)を加えた。1週間ごとにサイトカインを添加したT細胞用培地で培地交換しながら2週間培養を行った。(LCLによるペプチド刺激2クール目)
6. 再度100nMのペプチドと加えた培地でLCLを2時間培養し、ここにCTLを加えた。
7. 3日目にIL−2(最終濃度12.5U/mL)、IL−7(最終濃度5ng/mL)、IL−15(最終濃度1ng/mL)を加えた。1週間ごとにサイトカインを添加したT細胞用培地で培地交換しながら2週間培養を行った。(LCLによるペプチド刺激3クール目)
8. フローサイトメトリー解析により、CD8陽性NY−ESO1テトラマー陽性分画がCD8陽性T細胞中に約10%の割合で検出されることを確認した。結果を図1に示す。
2) NY−ESO1−T−iPS細胞の樹立
A. センダイウィルスによる山中4因子とSV40の導入
1. FACS AriaによりNY−ESO1テトラマー陽性CD8陽性細胞をソートした。ソートしたNY−ESO1特異的CTLをT細胞用培地に浮遊させ、山中4因子とSV40が組み込まれたセンダイウィルスを培地中に添加し、そのまま2日間培養した。
2。T細胞用培地で洗浄し、さらにIL−2(最終濃度12.5U/mL)、IL−7(最終濃度5ng/mL)、IL−15(最終濃度1ng/mL)を加えたT細胞用培地で2日間培養した。
3. 全ての細胞を回収後、サイトカインを含まないT細胞用培地でT細胞を懸濁し、フィーダー細胞上に播種した。
4. 2日目にiPS細胞用培地に半量交換し、翌日から毎日iPS細胞用培地への半量交換を行い続け、培養を続けた。
A. センダイウィルスによる山中4因子とSV40の導入
1. FACS AriaによりNY−ESO1テトラマー陽性CD8陽性細胞をソートした。ソートしたNY−ESO1特異的CTLをT細胞用培地に浮遊させ、山中4因子とSV40が組み込まれたセンダイウィルスを培地中に添加し、そのまま2日間培養した。
2。T細胞用培地で洗浄し、さらにIL−2(最終濃度12.5U/mL)、IL−7(最終濃度5ng/mL)、IL−15(最終濃度1ng/mL)を加えたT細胞用培地で2日間培養した。
3. 全ての細胞を回収後、サイトカインを含まないT細胞用培地でT細胞を懸濁し、フィーダー細胞上に播種した。
4. 2日目にiPS細胞用培地に半量交換し、翌日から毎日iPS細胞用培地への半量交換を行い続け、培養を続けた。
B. iPS細胞コロニーのピックアップ
1.3週間後にiPS細胞コロニーを目視により確認した。
2. 200ulチップによりコロニーを物理的に拾い上げた。
3. 各クローンを個別にiPS細胞として樹立した。得られたクローンの写真を図2に示す。
1.3週間後にiPS細胞コロニーを目視により確認した。
2. 200ulチップによりコロニーを物理的に拾い上げた。
3. 各クローンを個別にiPS細胞として樹立した。得られたクローンの写真を図2に示す。
3) NY−ESO1−T−iPS細胞からT細胞への分化誘導
使用した培地は下記である。
*ペニシリン/ストレプトマイシン溶液は、ペニシリン10000U/mLおよびストレプトマイシン10000μg/mLからなり、それぞれの最終濃度を100U/mLおよび100μg/mLとした。
使用した培地は下記である。
OP9細胞の準備
0.1% ゼラチン/PBS溶液6mlを10cm培養ディッシュに入れ、37℃で30分以上静置した。コンフルエントになったOP9細胞をトリプシン/EDTA溶液で剥がし、1/4相当量をゼラチンコートした10cm培養ディッシュに播種した。培地はmedium Aを10mlとなるように加えた。
4日後に播種したOP9細胞培養ディッシュに新たにmedium Aを10ml加え、全量が20mlとなるようにした。
0.1% ゼラチン/PBS溶液6mlを10cm培養ディッシュに入れ、37℃で30分以上静置した。コンフルエントになったOP9細胞をトリプシン/EDTA溶液で剥がし、1/4相当量をゼラチンコートした10cm培養ディッシュに播種した。培地はmedium Aを10mlとなるように加えた。
4日後に播種したOP9細胞培養ディッシュに新たにmedium Aを10ml加え、全量が20mlとなるようにした。
iPS細胞からの血球前駆細胞誘導
共培養に使用するOP9細胞の培地を吸引し、新しいmedium Aに交換した。またiPS細胞培養ディッシュの培地も同様に吸引し、新しいmedium Aを10ml加えた。EZ-passageローラーでiPS細胞塊を切った。カットしたiPS細胞塊を200ulピペットマンでピペッティングすることで浮遊させ、目視でおおよそ600個のiPS細胞塊をOP9細胞上に播種した。
共培養に使用するOP9細胞の培地を吸引し、新しいmedium Aに交換した。またiPS細胞培養ディッシュの培地も同様に吸引し、新しいmedium Aを10ml加えた。EZ-passageローラーでiPS細胞塊を切った。カットしたiPS細胞塊を200ulピペットマンでピペッティングすることで浮遊させ、目視でおおよそ600個のiPS細胞塊をOP9細胞上に播種した。
iPS細胞1クローンあたり3枚以上のディッシュを用い、継代するときには細胞を一度一つに合わせてから同じ枚数に再分配することでディッシュ間のばらつきを減らした。
Day 1 (培地交換)
iPS細胞塊が接着し分化し始めているかどうかを確認し、培地を新しいmedium A 20mlに交換した。
Day 5 (培地半量交換)
半量分の培地を新しいmedium A 10mlに交換した。
Day 9 (培地交換)
半量分の培地を新しいmedium A 10mlに交換した。
Day 13 (誘導した中胚葉細胞をOP9細胞上からOP9/DLL1細胞上へ移しかえる)
培地を吸引し、HBSS(+Mg+Ca)で細胞表面上の培地を洗い流した。その後250U collagenase IV/HBSS(+Mg+Ca)溶液10mlを加え、37℃で45分間培養した。
Collagenase溶液を吸引し、PBS(−)10mlで洗い流した。その後5mlの0.05%トリプシン/EDTA溶液を加え、37℃で20分培養した。培養後、細胞が膜状に剥がれてくるので、ピペッティングにより物理的に細かくし、接着細胞同士を離した。
iPS細胞塊が接着し分化し始めているかどうかを確認し、培地を新しいmedium A 20mlに交換した。
Day 5 (培地半量交換)
半量分の培地を新しいmedium A 10mlに交換した。
Day 9 (培地交換)
半量分の培地を新しいmedium A 10mlに交換した。
Day 13 (誘導した中胚葉細胞をOP9細胞上からOP9/DLL1細胞上へ移しかえる)
培地を吸引し、HBSS(+Mg+Ca)で細胞表面上の培地を洗い流した。その後250U collagenase IV/HBSS(+Mg+Ca)溶液10mlを加え、37℃で45分間培養した。
Collagenase溶液を吸引し、PBS(−)10mlで洗い流した。その後5mlの0.05%トリプシン/EDTA溶液を加え、37℃で20分培養した。培養後、細胞が膜状に剥がれてくるので、ピペッティングにより物理的に細かくし、接着細胞同士を離した。
ここに新しいmedium Aを20ml加え、さらに37℃で45分間培養した。培養後、浮遊細胞を含む上清を、100μmのメッシュを通して回収した。4℃、1200rpmで7分間遠心し、ペレットを10mlのmedium Bに懸濁させた。このうち1/10をFACS解析用にとりわけ、残りの細胞を新たに用意したOP9/DLL1細胞上に播種した。複数枚のディッシュから得た細胞をプールした場合、元々の枚数と同じ枚数になるように再分配して細胞を播き直した。
得られた細胞に造血前駆細胞が含まれているかどうかを確かめるために抗CD34抗体、抗CD43抗体を用いてFACS解析した。CD34lowCD43+細胞分画に十分な細胞数が確認できたことから、造血前駆細胞が誘導されていると確認した。
C. 血球前駆細胞からのT細胞分化誘導
次いで細胞をOP9/DLL1細胞上に播種した。この工程において、CD34lowCD43+細胞分画の細胞のソーティングは行わなかった。この分画をソーティングした場合、得られる細胞数が減少してしまうことやソーティングによる細胞へのダメージから、ソーティングしなかった場合に比べてT細胞への分化誘導効率が落ちることがある。
次いで細胞をOP9/DLL1細胞上に播種した。この工程において、CD34lowCD43+細胞分画の細胞のソーティングは行わなかった。この分画をソーティングした場合、得られる細胞数が減少してしまうことやソーティングによる細胞へのダメージから、ソーティングしなかった場合に比べてT細胞への分化誘導効率が落ちることがある。
培養期間中に分化段階を確認するためにFACS解析を行うが、全ての期間において培養中に死細胞が多くみられる。そのためFACS解析時にはPI(Propidium Iodide)、7−AADなどを用い、死細胞除去したうえで解析を行った。
Day 16 (細胞の継代)
OP9細胞に緩く接着している細胞を、穏やかに複数回ピペッティングし、100μmのメッシュを通して50mlコニカルチューブに回収した。4℃、1200rpmで7分間遠心し、ペレットを10mlのmedium Bに懸濁させた。これらの細胞を新たに用意したOP9/DLL1細胞上に播種した。
OP9細胞に緩く接着している細胞を、穏やかに複数回ピペッティングし、100μmのメッシュを通して50mlコニカルチューブに回収した。4℃、1200rpmで7分間遠心し、ペレットを10mlのmedium Bに懸濁させた。これらの細胞を新たに用意したOP9/DLL1細胞上に播種した。
Day 23 (細胞の継代): 血液細胞コロニーが見え始めた。
OP9細胞に緩く接着している細胞を、穏やかに複数回ピペッティングし、100μmのメッシュを通して50mlコニカルチューブに回収した。4℃、1200rpmで7分間遠心し、ペレットを10mlのmedium Bに懸濁させた。
OP9細胞に緩く接着している細胞を、穏やかに複数回ピペッティングし、100μmのメッシュを通して50mlコニカルチューブに回収した。4℃、1200rpmで7分間遠心し、ペレットを10mlのmedium Bに懸濁させた。
Day 36 : NY−ESO1テトラマー陽性T細胞の確認。
NY−ESO1特異的T細胞が誘導されているかどうかを確かめるために抗CD3抗体、NY−ESO1テトラマーを用いてFACS解析した。 T細胞マーカーであるCD3+細胞がみられるようになり、大部分の細胞はCD3+NY−ESO1テトラマー+にまで分化していることが確認された。FACS解析結果を図3に示す。
また、同じ細胞を抗CD8抗体、抗CD4抗体を用いてさらにFACS解析したところこれらの細胞はCD4−CD8+細胞であることが確認された(図4左)。また、抗CD8α抗体および抗CD8β抗体により解析したところ、CD8α+CD8β+の表面形質を持っていることが確認された(図4右)。
NY−ESO1特異的T細胞が誘導されているかどうかを確かめるために抗CD3抗体、NY−ESO1テトラマーを用いてFACS解析した。 T細胞マーカーであるCD3+細胞がみられるようになり、大部分の細胞はCD3+NY−ESO1テトラマー+にまで分化していることが確認された。FACS解析結果を図3に示す。
また、同じ細胞を抗CD8抗体、抗CD4抗体を用いてさらにFACS解析したところこれらの細胞はCD4−CD8+細胞であることが確認された(図4左)。また、抗CD8α抗体および抗CD8β抗体により解析したところ、CD8α+CD8β+の表面形質を持っていることが確認された(図4右)。
さらにNY-ESO-1のTCRα鎖およびβ鎖の配列を常法により決定した。
実施例1で得られた再生CTLの機能をin vitroで評価した。
A ペプチド特異的細胞傷害活性の評価
得られた再生CTLがin vitroでNY−ESO1ペプチド特異的CTL活性を持つかどうかを、NY−ESO−1ペプチド抗原を自家のLCLと反応させた細胞を標的として、細胞障害活性を評価した。
自家LCLをNY−ESO−1ペプチド(1μM、100nM、10nM、1nMおよびペプチドなし(0nM))と2時間反応させた。LCLを回収し、再生CTLとLCLを1:3、1:1、3:1、9:1の割合で混合後、37℃5%CO2の環境下で5時間培養を行った。その後、Annexin V陽性細胞の割合で、細胞障害活性を評価した。結果を図5に示す。その結果、ペプチド濃度および細胞数依存的に細胞障害活性が高まっていることが示され、NY−ESO−1抗原特異的な細胞障害活性を持つことが裏付けられた。
A ペプチド特異的細胞傷害活性の評価
得られた再生CTLがin vitroでNY−ESO1ペプチド特異的CTL活性を持つかどうかを、NY−ESO−1ペプチド抗原を自家のLCLと反応させた細胞を標的として、細胞障害活性を評価した。
自家LCLをNY−ESO−1ペプチド(1μM、100nM、10nM、1nMおよびペプチドなし(0nM))と2時間反応させた。LCLを回収し、再生CTLとLCLを1:3、1:1、3:1、9:1の割合で混合後、37℃5%CO2の環境下で5時間培養を行った。その後、Annexin V陽性細胞の割合で、細胞障害活性を評価した。結果を図5に示す。その結果、ペプチド濃度および細胞数依存的に細胞障害活性が高まっていることが示され、NY−ESO−1抗原特異的な細胞障害活性を持つことが裏付けられた。
B A0201陽性かつNY−ESO1を発現する細胞株に対する細胞障害活性の評価
A0201を有しかつNY−ESO−1を発現している成人T細胞性白血病株TL−Om1および多発性骨髄腫細胞株U266に対する、得られた再生CTLの細胞障害活性を評価した。陰性コントロールにはA0201を発現しないNY−ESO−1陽性の成人T細胞性白血病株(ATN−1、TL−Su)および多発性骨髄腫株(RPMI8226、KMS28BM)を使用した。結果を図6A〜C並びに図7A〜Cに示す。
再生CTLはA0201陽性かつNY−ESO1を発現する細胞株であるTL−Om1(図6A 実線)およびU266(図7A 実線)を細胞数依存的に障害することが分かった。またこのTL−Om1およびU266に対する細胞障害活性は抗HLA抗体を投与することにより抑制されることから(図6A破線、図7A破線)抗原特異的な細胞障害活性であることが示された。即ち、得られた再生CTLは、HLA−A0201拘束性にNY−ESO1を認識し、キラー活性を発揮する。
A0201を有しかつNY−ESO−1を発現している成人T細胞性白血病株TL−Om1および多発性骨髄腫細胞株U266に対する、得られた再生CTLの細胞障害活性を評価した。陰性コントロールにはA0201を発現しないNY−ESO−1陽性の成人T細胞性白血病株(ATN−1、TL−Su)および多発性骨髄腫株(RPMI8226、KMS28BM)を使用した。結果を図6A〜C並びに図7A〜Cに示す。
再生CTLはA0201陽性かつNY−ESO1を発現する細胞株であるTL−Om1(図6A 実線)およびU266(図7A 実線)を細胞数依存的に障害することが分かった。またこのTL−Om1およびU266に対する細胞障害活性は抗HLA抗体を投与することにより抑制されることから(図6A破線、図7A破線)抗原特異的な細胞障害活性であることが示された。即ち、得られた再生CTLは、HLA−A0201拘束性にNY−ESO1を認識し、キラー活性を発揮する。
実施例1で得られた再生CTLの機能をin vivoで評価した。
実施例2の細胞障害活性がin vivoでも同様に認められるかどうかを検討した。
免疫不全NOGマウスに1×107個のTL−Om−1細胞を腹腔内投与した。次に一方のマウスにはPBSを、もう一方のマウスには1×107個の再生したCTLを第1、2、4、7、9、11病日に投与し、その生存を解析した。結果を図8に示す。実施例2で得た再生CTLを投与した群では有意に生存の延長が認められた。
実施例2の細胞障害活性がin vivoでも同様に認められるかどうかを検討した。
免疫不全NOGマウスに1×107個のTL−Om−1細胞を腹腔内投与した。次に一方のマウスにはPBSを、もう一方のマウスには1×107個の再生したCTLを第1、2、4、7、9、11病日に投与し、その生存を解析した。結果を図8に示す。実施例2で得た再生CTLを投与した群では有意に生存の延長が認められた。
マウスに1×107個のU266細胞を腹腔内投与した。次に一方のマウスにはPBSを、もう一方のマウスには1×107個の再生したCTLを第1、3、5、8、15、22病日に投与し、その生存を解析した。結果を図9に示す。再生したCTLを投与した群では有意に生存の延長が認められた(図9)。以上より再生CTLはin vivoでもNY−EOS1を発現するがん細胞に対する細胞傷害活性を有することが確認された。
Claims (20)
- (1)NY−ESO1抗原特異的T細胞受容体を有するヒト多能性幹細胞を提供する工程、および
(2)工程(1)の多能性幹細胞からT前駆細胞あるいは成熟T細胞を誘導する工程
を含む、免疫細胞療法用T細胞を誘導する方法。 - NY−ESO1抗原特異的T細胞受容体を有するヒト多能性幹細胞が、NY−ESO1抗原特異的ヒトT細胞から多能性幹細胞を誘導することによって得られる、請求項1記載の方法。
- NY−ESO1抗原特異的ヒトT細胞が、免疫細胞療法対象者ではなく、NY−ESO1抗原を発現するがんに罹患しているあるいは同疾患の既往のあるヒトから得られたT細胞である、請求項2記載の方法。
- NY−ESO1抗原特異的ヒトT細胞が、免疫細胞療法対象者ではなく、NY−ESO1抗原を発現するがんに罹患したことのないヒトから得られたT細胞である、請求項2に記載の方法。
- NY−ESO1抗原特異的T細胞受容体を有するヒト多能性幹細胞が、ヒト多能性幹細胞へNY−ESO1抗原特異的T細胞受容体遺伝子を導入することによって得られた多能性幹細胞である、請求項1に記載の方法。
- NY−ESO1抗原特異的T細胞受容体を有するヒト多能性幹細胞が、Rag2あるいはRag2遺伝子を欠失したものである、請求項1〜5いずれかに記載の方法。
- 抗原特異的T細胞受容体を有するヒト多能性幹細胞が、免疫細胞療法対象者のHLA型に完全に一致あるいは一部が一致するHLA型を有するヒト由来の多能性幹細胞である、請求項1〜6いずれかに記載の方法。
- 抗原特異的T細胞受容体を有するヒト多能性幹細胞が、免疫細胞療法対象者のHLAの何れか一方のハプロタイプをホモで有しているハプロタイプホモ接合型のHLAを有しているヒトから得られたT細胞である、請求項7記載の方法。
- ヒト多能性幹細胞がヒトiPS細胞である請求項1〜8何れかに記載の方法。
- 免疫細胞療法が、がんを治療するためのものである、請求項1〜9いずれかに記載の方法。
- がんがNY−ESO1遺伝子を発現するがんである、請求項10記載の方法。
- がんが、メラノーマ、食道癌、多発性骨髄腫、成人T細胞性白血病(ATL)からなる群から選択される、請求項11記載の方法。
- NY−ESO1抗原特異的T細胞受容体が、HLA−A0201拘束性にペプチドSLLMWITQCを認識するものである、請求項1〜12いずれかに記載の方法。
- NY−ESO1抗原特異的T細胞受容体が、抗原認識部位のアミノ酸配列として、TCRα鎖においてCAVNTDSNYQLIW、TCRβ鎖においてCASSVAAGEQFFを有するものである、請求項1〜13いずれかに記載の方法。
- NY−ESO1抗原特異的T細胞受容体を有する免疫細胞療法用iPS細胞。
- NY−ESO1抗原特異的T細胞受容体が、HLA−A0201拘束性にペプチドSLLMWITQCを認識するものである、請求項15記載の免疫細胞療法用iPS細胞。
- NY−ESO1抗原特異的T細胞受容体が、抗原認識部位のアミノ酸配列として、TCRα鎖においてCAVNTDSNYQLIW、TCRβ鎖においてCASSVAAGEQFFを有するものである請求項15記載の免疫細胞療法用iPS細胞。
- 同一のNY−ESO1抗原特異的T細胞受容体を有するT細胞を90%以上含む、免疫細胞療法用T細胞培養物。
- NY−ESO1抗原特異的T細胞受容体が、HLA−A0201拘束性にペプチドSLLMWITQCを認識するものである、請求項18記載の免疫細胞療法用T細胞培養物。
- NY−ESO1抗原特異的T細胞受容体が、抗原認識部位のアミノ酸配列として、TCRα鎖においてCAVNTDSNYQLIW、TCRβ鎖においてCASSVAAGEQFFを有するものである請求項18記載の免疫細胞療法用T細胞培養物。
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