以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(第1実施形態)
図1および図2は、第1実施形態によるアンテナ装置1が設けられた車両2の構成を示す平面概略図および部分側面図である。図1では、信号の流れを破線の矢印で示している。図2は、車両2のルーフ3付近を示している。以下、車両2を基準として、進行方向を前方向とし、後進方向を後方向とし、進行方向に対して左の方向を左方向とし、進行方向に対して右の方向を右方向とする。
車両2のルーフ3には、2本のルーフレール10L、10Rが設けられている。ルーフレール10L、10Rは、車幅方向に離隔して車両2の前後方向に延在している。ルーフレール10Lは、ルーフ3上において、左側端付近に配置されており、ルーフレール10Rは、ルーフ3上において、右側端付近に配置されている。ルーフレール10L、10Rを区別しないときは、ルーフレール10と表記する。
ルーフレール10は、ルーフレール本体部11、クロスバー12、軸部13およびクロスバー状態スイッチ14を含んで構成される。ルーフレール本体部11は、車両の前後方向に延在する略棒状に形成されており、ルーフ3上に固定される。
クロスバー12は、ルーフレール本体部11よりも短く、ルーフレール10Lとルーフレール10Rとの間よりも長い略棒状に形成されている。クロスバー12は、ルーフレール本体部11上に設けられる。クロスバー12の一端は、軸部13によってルーフレール本体部11に支持されている。クロスバー12は、軸部13を支点として、ルーフ3と平行な面に沿って回転可能となっている。
クロスバー12の他端は、ルーフレール本体部11に対して、着脱可能となっている。クロスバー12の他端には、クロスバー状態スイッチ14が設けられている。クロスバー状態スイッチ14は、押し込み操作されると、ルーフレール本体部11に支持されているクロスバー12の他端をルーフレール本体部11から離脱させる。例えば、クロスバー12を挟持する爪部がルーフレール本体部11に設けられており、クロスバー状態スイッチ14は、押し込み操作されると爪部を開いてルーフレール本体部11からクロスバー12の他端を離脱させる。
左側のルーフレール10Lでは、軸部13が後方側の端部に設けられており、クロスバー状態スイッチ14が前方側の端部に設けられている。右側のルーフレール10Rでは、軸部13が前方側の端部に設けられており、クロスバー状態スイッチ14が後方側の端部に設けられている。
図1では、ルーフレール10Lのクロスバー12が、ルーフレール10Lのルーフレール本体部11に支持されている。また、ルーフレール10Rのクロスバー12がルーフレール10Rのルーフレール本体部11に支持されている。すなわち、図1では、クロスバー12とルーフレール本体部11とが平行となっており、クロスバー12がルーフレール本体部11に対して閉じた状態となっている。ルーフレール10が使用されない(すなわち、ルーフレール10に荷物を積載しない)場合には、図1のように、クロスバー12とルーフレール本体部11とが平行な状態となる。
図3は、ルーフレール10が使用される(すなわち、ルーフレール10に荷物が積載される)場合の車両2の構成を示す平面概略図である。図3では、クロスバー12とルーフレール本体部11とが垂直に交差しており、クロスバー12がルーフレール本体部11に対して開いた状態となっている。具体的には、左側のルーフレール10Lのクロスバー12のクロスバー状態スイッチ14側の端部(軸部13とは反対側の端部)が、右側のルーフレール10Rのルーフレール本体部11に支持されている。また、右側のルーフレール10Rのクロスバー12のクロスバー状態スイッチ14側の端部(軸部13とは反対側の端部)が、左側のルーフレール10Lのルーフレール本体部11に支持されている。
ルーフレール10の使用を開始する場合には、クロスバー12を図1に示す姿勢から図3に示す姿勢に変える。具体的には、一方のルーフレール10においてクロスバー状態スイッチ14が押し込み操作され、ルーフレール本体部11から離脱したクロスバー12が、他方のルーフレール10に向かう方向に回転操作される。回転操作されたクロスバー12のクロスバー状態スイッチ14側の端部が、当該他方のルーフレール10の爪部に挟持される。これにより、クロスバー12は、両方のルーフレール10によって保持される。ルーフレール10の使用を終了する場合には、使用を開始する場合の逆の操作を行えばよい。
アンテナ装置1は、ルーフ3上において、ルーフレール10Lとルーフレール10Rとの間であり、車両2の後方中央付近に配置されている。
図2に示すように、アンテナ装置1は、本体部20、本体部移動機構30および制御部40を含んで構成される。本体部20は、内部に空間が形成されたケースである。本体部20は、前後方向の長さに対して幅が短くなっており、上方の先端および前方の先端に行くほど幅が漸減している。本体部20は、高さ寸法がルーフレール10の高さ寸法よりも小さくなっており、前方の先端に行くほど高さ寸法が漸減している。すなわち、本体部20は、流線形のシャークフィンのような形状となっている。
本体部20内には、アンテナエレメント21が収容されている。アンテナエレメント21は、制御部40に電気的に接続されており、電波の送受信を行う。
本体部移動機構30は、本体部20を車両2の高さ方向に移動させる。本体部移動機構30の具体的な構成は後に詳述する。
制御部40は、車両2に搭載される車車間通信ユニットであり、CPU、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路で構成される。制御部40は、アンテナエレメント21が受信した電波による信号を受け取るとともに、信号をアンテナエレメント21に出力して電波を送信させる。このようにして、制御部40は、周囲の車両(例えば、先行車両など)と通信を行う。
制御部40は、ルーフレール10が使用されない場合には、アンテナエレメント21の少なくとも一部がルーフレール10の上端15よりも高くなる位置(以下、ハイポジションという)に本体部20を本体部移動機構30によって配置させる。また、制御部40は、ルーフレール10が使用される場合には、本体部20の上端22がルーフレール10の上端15よりも低くなる位置(以下、ローポジションという)に本体部20を本体部移動機構30によって配置させる。
図2では、クロスバー12とルーフレール本体部11とが平行となっており、ルーフレール10が使用されない場合が示されている。図2に示すように、本体部20内のアンテナエレメント21は、ルーフレール10の上端15よりも高い位置に配置されている。ここで、アンテナエレメント21と、ルーフレール10における車両2の前方側の上端15とを結ぶ仮想線Lを想定する。本体部20は、アンテナエレメント21を通るルーフ3に平行な面(水平面)Sに対する仮想線Lの角度AEが6度以上となる位置に配置される。すなわち、アンテナエレメント21は、前方に仰角でマイナス6度の方向に電波を放射したときに、放射した電波がルーフレール10に当たらないような高さに配置される。この角度は、先行車両との車車間通信を行う際の路面の勾配等を考慮して決定されている。例えば、ルーフレール10の長さが約1600mmでルーフレール10の高さが約70mmの場合、ルーフ3からアンテナエレメント21までの高さHHは、約180mmとなる。
図4は、ルーフレール10が使用される場合の車両2の構成を示す部分側面図である。図4は、車両2のルーフ3付近を示している。図4では、クロスバー12とルーフレール本体部11とがルーフ3に平行な面において垂直となっており、ルーフレール10が使用される場合が示されている。図4に示すように、本体部20の上端22の位置は、ルーフレール10の上端15よりも低くなっている。
図5は、アンテナ装置1の構成を示す側面図である。本体部20は、平板状の台座23に戴置される。本体部移動機構30は、車両2のルーフ3に固定される平板状のベース24と台座23との間に設けられる。
本体部移動機構30は、第1アーム31、第2アーム32、摺動子33およびモータ34を含んで構成される。第1アーム31、第2アーム32は、棒状に形成されている。
台座23の下面の前方側には、ブロック状の突起部25が設けられており、台座23の下面の後方側には、ブロック状の突起部26が設けられている。突起部25の側面には、前後方向に延びるスリット27が設けられている。スリット27には、ブロック部材28が車両2の前後方向に摺動可能に連結されている。
ベース24の上面の前方側には、ブロック状の突起部35が設けられており、ベース24の上面の後方側には、ブロック状の突起部36が設けられている。ベース24上における突起部35と突起部36との間には、モータ34が戴置されている。モータ34の回転軸には、ベース24に沿って突起部35に向かう方向に延びる円柱状のガイド部37が連結されている。ガイド部37の側面にはネジ山が形成されている。ガイド部37は、ガイド部37の中心軸の周りに回転可能な状態で突起部35に支持されている。
ブロック状の摺動子33には、貫通するネジ溝が形成されている。ガイド部37は、摺動子33のネジ溝に螺合されて、摺動子33を貫通している。摺動子33は、モータ34によるガイド部37の回転に従って車両2の前後方向に摺動可能となっている。
第1アーム31の一端は、台座23の下面前方のブロック部材28に連結されている。
第1アーム31は、ブロック部材28との連結部の周りに回転可能となっている。第1アーム31の他端は、ベース24の上面後方の突起部36に連結されている。第1アーム31は、突起部36との連結部の周りに回転可能となっている。
第2アーム32の一端は、台座23の下面後方の突起部26に連結されている。第2アーム32は、突起部26との連結部の周りに回転可能となっている。第2アーム32の他端は、摺動子33に連結されている。第2アーム32は、摺動子33との連結部の周りに回転可能となっている。
第2アーム32には、長手方向に延びるスリット38が設けられている。第1アーム31には、長手の途中に連結ピン39が設けられている。連結ピン39は、スリット38に挿入されており、スリット38に沿って摺動可能となっている。第1アーム31および第2アーム32は、スリット38および連結ピン39によって連結されている。
クロスバー状態スイッチ14は、クロスバー12がルーフレール本体部11に平行に支持されると、ルーフレール10が使用されていない旨を示す信号(以下、ハイポジション信号という)を制御部40に送信する。制御部40は、そのハイポジション信号を受信すると、モータ34を所定の方向(例えば、正転方向)に回転させて、摺動子33をモータ34に近づく方向に移動させる。摺動子33がモータ34に近づく方向に移動すると、摺動子33に連結されている第2アーム32、第2アーム32に連結されている第1アーム31がそれぞれ起立していく。これにより、本体部20が上昇する。制御部40は、アンテナエレメント21がルーフレール10の上端15よりも高い所定位置(具体的には、角度AEが6度以上となる位置)となるまで、モータ34を駆動させる。このようにして、本体部20は、ハイポジションに保持される。
クロスバー状態スイッチ14は、ルーフレール10を使用するために押し込み操作されると、ルーフレール10を使用する旨を示す信号(以下、ローポジション信号という)を制御部40に送信する。制御部40は、そのローポジション信号を受信すると、モータ34を所定の方向とは反対の方向(例えば、逆転方向)に回転させて、摺動子33をモータ34から離れる方向に移動させる。摺動子33がモータ34から離れる方向に移動すると、摺動子33に連結されている第2アーム32、第2アームに連結されている第1アームがそれぞれ傾倒していく。これにより、本体部20が下降する。制御部40は、第1アーム31および第2アーム32がベース24に対して平行になるまで、モータ34を駆動させる。
図6は、第1アーム31および第2アーム32がベース24に対して平行となった状態のアンテナ装置1の構成を示す側面図である。第1アーム31および第2アーム32がベース24に対して平行になると、本体部20の上端22がルーフレール10の上端15よりも低い位置に配置されることとなる。このようにして、本体部20は、ローポジションに保持される。
以上のように、第1実施形態によるアンテナ装置1は、ルーフレール10が使用されない場合には、アンテナエレメント21の少なくとも一部がルーフレール10の上端15よりも高い位置となる。したがって、第1実施形態によるアンテナ装置1は、ルーフレール10による電波の干渉を抑制し、車両2の水平方向の全方位通信が可能となる。
例えば、アンテナエレメント21全体がルーフレール10の上端15よりも低い位置にある場合、アンテナエレメント21から放射された電波がルーフレール10に当たり易くなる。ルーフレール10に当たった電波は、ルーフレール10によって屈折および反射される。屈折および反射された電波は、アンテナエレメント21から直進する電波と干渉する。屈折および反射された電波の位相が直進する電波の位相から約半波長ずれると、屈折および反射された電波と直進する電波とが互いに打ち消し合うように作用する。これにより、車両2の水平方向のうちの電波が打ち消し合うように作用した方向において、アンテナエレメント21から放射された電波の利得が低下する。その結果、電波の利得が低下する方向の車両に電波が届かないおそれがある。
これに対し、第1実施形態によるアンテナ装置1は、アンテナエレメント21の少なくとも一部がルーフレール10の上端15よりも高い位置に配置されるため、アンテナエレメント21から放射された電波はルーフレール10に当たり難くなる。ルーフレール10によって屈折および反射される電波が少なくなるため、アンテナ装置1は、アンテナエレメント21から放射された電波の利得の低下が抑制される。その結果、アンテナ装置1は、車両2の水平方向の全方位の車両に電波を届けることができる。なお、アンテナエレメント21の少なくとも一部がルーフレール10の上端15よりも高い位置に配置されればよいが、アンテナエレメント21全体がルーフレール10の上端15よりも高い位置に配置される場合には、全方位の車両に、より確実に電波を届けることができる。
また、アンテナ装置1の本体部20は、角度AEが、路面の勾配等を考慮して決定された6度以上となる位置に配置される。このため、アンテナ装置1を備える車両2は、先行車両などとの間で、車車間通信をより確実に行うことができる。
また、ルーフレール10が使用される場合には、本体部20の上端22がルーフレール10の上端15よりも低い位置となる。このため、ルーフレール10に荷物を積載する際に、荷物が本体部20に当たることがなく、アンテナ装置1は、ルーフレール10に荷物を積載することを阻害しない。
また、アンテナ装置1では、ルーフレール10を使用する際に必ず回転移動されるクロスバー12の着脱(具体的には、クロスバー状態スイッチ14の操作)に応じて、ハイポジションとローポジションとが切り替わる。このため、アンテナ装置1は、新たな操作を行うことなく、容易に本体部20の位置を切り替えることができる。
なお、本体部移動機構30の具体的な構成は、第1アーム31、第2アーム32、摺動子33およびモータ34を含む構成に限らない。
(第2実施形態)
第1実施形態のアンテナ装置1は、ルーフレール10が使用される場合には、アンテナエレメント21を介して送受信される電波がルーフレール10によって干渉して、十分な通信を行うことができないおそれがある。そこで、第2実施形態では、ルーフレール10が使用される場合において、十分な通信を可能にする構成を示す。
図7および図8は、第2実施形態によるアンテナ装置100が設けられた車両102の構成を示す平面概略図である。第2実施形態の車両102は、ルーフレール10L、10Rに代えてルーフレール50L、50Rを有する点において第1実施形態の車両2と異なる。また、第2実施形態のアンテナ装置100は、ルーフレール50L、50Rに設けられたルーフレールアンテナ60を有する点において第1実施形態のアンテナ装置1と異なる。なお、アンテナ装置100は、アンテナエレメント21を収容し、車両102の高さ方向に移動可能な本体部20を有する点においては、第1実施形態のアンテナ装置1と同様である。
ルーフレール50L、50Rは、車幅方向に離隔して車両102の前後方向に延在している。ルーフレール50Lは、ルーフ3上において、左側端付近に配置されており、ルーフレール50Rは、ルーフ3上において、右側端付近に配置されている。ルーフレール50L、50Rを区別しないときは、ルーフレール50と表記する。
ルーフレール50は、ルーフレール本体部11に代えてルーフレール本体部51を有する点において第1実施形態のルーフレール10と異なる。図7には、クロスバー12とルーフレール本体部51とが平行となっており、ルーフレール50が使用されない場合が示されている。図8には、クロスバー12がルーフレール本体部51に対して垂直に交差しており、ルーフレール50が使用される場合が示されている。
ルーフレール50には、ルーフレールアンテナ60が設けられている。ルーフレールアンテナ60は、左側のルーフレール50Lの前方端、左側のルーフレール50Lの後方端、右側のルーフレール50Rの前方端、右側のルーフレール50Rの後方端の各位置に設けられている。
図9は、ルーフレール50の構成を示す平面透視図である。図9は、具体的には、ルーフレール50Lを示す。図9は、ルーフレール50が使用されない場合が示されている。ルーフレール本体部51の長手方向の両端部には、ルーフレール本体部51における車両102の外側の側面に開口する空間56が形成されている。車両102の外側の側面は、車両102の中央から遠い方の側面のことである。空間56には、ルーフレールアンテナ60が収容される。
図10は、ルーフレールアンテナ60の構成を示す斜視図である。ルーフレールアンテナ60は、アンテナエレメント61、回転連結部62、アーム63および回転連結部64を含んで構成される。
アンテナエレメント61は、円柱状に形成されている。アンテナエレメント61は、制御部40に電気的に接続されており、電波の送受信を行う。アンテナエレメント61の一端は、略球状の回転連結部62に連結されている。回転連結部62は、略円筒状のアーム63の一端に連結されている。すなわち、アンテナエレメント61は、回転連結部62を介してアーム63に回転自在に連結されている。アーム63の他端は、略球状の回転連結部64に連結されている。回転連結部64は、ルーフレール本体部51の空間56における車両102の外側の開口面付近において、ルーフレール本体部51に連結されている。すなわち、アーム63は、回転連結部64を介してルーフレール本体部51に回転自在に連結されている。アーム63内には、回転連結部62を回転させるモータ65および回転連結部64を回転させるモータ66が内蔵されている。モータ65、66は、制御部40からの信号に応じて作動する。
制御部40は、本体部20のアンテナエレメント21およびルーフレールアンテナ60が受信した信号を受け取るとともに、信号を本体部20のアンテナエレメント21およびルーフレールアンテナ60に出力して電波を送信させる。
制御部40は、ルーフレール50が使用されない場合には、ルーフレールアンテナ60をルーフレール50に設けられた空間56に収容する(図7参照)。また、制御部40は、ルーフレール50が使用される場合には、ルーフレールアンテナ60をルーフレール50における車両102の外側の側面から突出させる(図8参照)。ルーフレールアンテナ60を突出させた状態では、アーム63は、ルーフレール本体部51の車両2の外側の側面から、ルーフ3と略平行に(略水平に)に突出しており、アンテナエレメント61は、アーム63の回転連結部62側の端部から、ルーフ3に対して略垂直上方に(略鉛直上方に)起立する。
クロスバー12がルーフレール本体部51に平行に固定されると、クロスバー状態スイッチ14は、ハイポジション信号を制御部40に送信する。制御部40は、ハイポジション信号を受信すると、本体部20をハイポジションに移動させるとともに、ルーフレールアンテナ60を空間56内に収容させる。具体的には、制御部40は、モータ65を駆動させて、起立しているアンテナエレメント61を、回転連結部62を支点として鉛直面に沿って回転させて水平になるように傾倒させる。その後、制御部40は、モータ66を駆動させて、アーム63を、回転連結部64を支点として車両102の内側に向かって水平面に沿って回転させる。これにより、アーム63およびアンテナエレメント61がルーフレール本体部51内の空間56に収容される。
本体部20がハイポジションに配置され、ルーフレールアンテナ60が空間56に収容された場合、制御部40は、本体部20のアンテナエレメント21を介した通信を行い、ルーフレールアンテナ60を介した通信は行わない。
本体部20がハイポジションに配置された状態において、クロスバー状態スイッチ14の押し込み操作が行われると、クロスバー状態スイッチ14は、ローポジション信号を制御部40に送信する。制御部40は、ローポジション信号を受信すると、本体部20をローポジションに移動させるとともに、ルーフレールアンテナ60をルーフレール本体部51から突出させる。具体的には、制御部40は、モータ66を駆動させて、アーム63を、回転連結部64を支点として車両102の外側に向かって水平面に沿って回転させる。これにより、アーム63およびアンテナエレメント61は、ルーフレール本体部51における車両102の外側の開口面からルーフレール本体部51外に出る。その後、制御部40は、モータ65を駆動させて、アンテナエレメント61を、回転連結部62を支点として鉛直面に沿って回転させて、鉛直上方に起立させる。
本体部20がローポジションに配置され、ルーフレールアンテナ60がルーフレール50から突出した場合、制御部40は、ルーフレールアンテナ60を介した通信を行い、本体部20のアンテナエレメント21を介した通信は行わない。
制御部40は、ルーフレールアンテナ60が4箇所に設けられているため、これらルーフレールアンテナ60の中から通信するルーフレールアンテナ60を所定時間間隔で切り替える。例えば、制御部40は、ルーフレール50Lの前方端のルーフレールアンテナ60、ルーフレール50Rの前方端のルーフレールアンテナ60、ルーフレール50Rの後方端のルーフレールアンテナ60、ルーフレール50Lの後方端のルーフレールアンテナ60の順(すなわち、時計回り)に所定時間間隔で切り替える。所定時間は、例えば、1秒などである。また、制御部40は、通信を行うルーフレールアンテナ60を、時計回りのような決まった順に切り替える態様に限らず、ランダムに切り替えてもよい。
また、制御部40は、通信するルーフレールアンテナ60を所定時間間隔で切り替える態様に限らず、例えば、以下のような通信制御を行ってもよい。
図11は、制御部40が行う処理を示すフローチャートである。まず、制御部40は、自車両の周りの周辺車両との衝突軌跡を算出する(S100)。例えば、制御部40は、車車間通信によって周辺車両の走行状態を示す各情報(例えば、周辺車両の位置や速度など)を取得し、周辺車両の将来の移動軌跡を算出する。また、制御部40は、全地球測位システム(GNSS)、速度センサ、ハンドル角センサ等の各センサからの情報に基づいて、自車両の将来の移動軌跡を算出する。これらの移動軌跡は、衝突軌跡を示すものである。
次に、制御部40は、周辺車両の将来の移動軌跡と自車両の将来の移動軌跡とが交わる衝突ポイントが発生した車両について衝突予測時間(TTC)を算出する(S110)。衝突予測時間は、衝突ポイントに達するまでの時間のことである。次に、制御部40は、衝突予測時間が算出された車両のうち、最も衝突予測時間が小さい車両を最も危険な車両であるとして、ターゲット車両に決定する(S120)。
次に、制御部40は、決定したターゲット車両の移動をモニタする(S130)。例えば、制御部40は、車車間通信で得られるターゲット車両の位置情報や速度情報の推移からターゲット車両の移動をモニタする。また、制御部40は、ターゲット車両から送信される電波の電界強度の大きさや方向の推移からターゲット車両の移動をモニタしてもよい。
次に、制御部40は、ターゲット車両のモニタの結果(すなわち、ターゲット車両の移動推移)に基づいて、通信するルーフレールアンテナ60を切り替える(S140)。例えば、制御部40は、ターゲット車両との距離が最も近いルーフレールアンテナ60が、通信するルーフレールアンテナ60となるように切り替える。そして、制御部40は、ルーフレールアンテナ60を切り替えることでターゲット車両との通信を維持する。
以上のように、第2実施形態のアンテナ装置100は、本体部20がローポジションに位置する場合、ルーフレール50における車両102の外側の側面から突出するルーフレールアンテナ60を介して車車間通信を行う。アンテナエレメント61が2本のルーフレール50の外側に配置されると、アンテナエレメントが2本のルーフレール50の間に配置される場合に比べ、アンテナエレメント61から車両102の周囲に放射される電波がルーフレール50に当たり難くなる。したがって、アンテナ装置100は、ルーフレール50が使用される場合においても、ルーフレール50による電波の干渉を抑制し、車両102の水平方向の全方位通信が可能となる。
また、アンテナ装置100は、ルーフレール50が使用されない場合、ルーフレールアンテナ60がルーフレール50内に収容される。このため、アンテナ装置100は、ルーフレール50が使用されていない場合において、車両102の外観が損なわれることを防止することができる。
第2実施形態では、ルーフレールアンテナ60が、左側のルーフレール50Lの前方端、左側のルーフレール50Lの後方端、右側のルーフレール50Rの前方端、右側のルーフレール50Rの後方端の各位置(4箇所)に設けられていた。しかし、ルーフレールアンテナ60は、左側のルーフレール50Lの前方端、左側のルーフレール50Lの後方端、右側のルーフレール50Rの前方端、右側のルーフレール50Rの後方端の少なくとも1箇所において設けられていればよい。ルーフレールアンテナ60が少なくとも1箇所に設けられていれば、そのルーフレールアンテナ60を介した通信を行うことで、ローポジションに位置する本体部20のアンテナエレメント21を介して通信を行う態様に比べ、ルーフレール50による電波の干渉を抑制し、通信が確立され易くなるからである。
なお、ルーフレール50に対してルーフレールアンテナ60を突出および収容する具体的な構成は、アーム63および回転連結部62、64を含む構成に限らない。
(第3実施形態)
第3実施形態も、ルーフレール10が使用される場合において、十分な通信を可能にする構成を示す。
図12および図13は、第3実施形態によるアンテナ装置200が設けられた車両202の構成を示す平面概略図である。図12には、クロスバー12とルーフレール本体部11とが平行となっており、ルーフレール10が使用されない場合が示されている。図13には、クロスバー12がルーフレール本体部11に対して垂直に交差しており、ルーフレール10が使用される場合が示されている。第3実施形態のアンテナ装置200は、第2アンテナ70、第2アンテナ移動機構75、第3アンテナ80および第3アンテナ移動機構85を有する点において第1実施形態のアンテナ装置1と異なる。なお、アンテナ装置200は、アンテナエレメント21を収容し、車両202の高さ方向に移動可能な本体部20を有する点においては、第1実施形態のアンテナ装置1と同様である。
第2アンテナ70は、車両202のルーフ3における前方中央に設けられる。第2アンテナ70は、第2アンテナ移動機構75に連結されている。第2アンテナ移動機構75は、車両202のルーフ3における前方中央から前方右隅に亘って設けられており、第2アンテナ70を車幅方向に移動させる。図12には、第2アンテナ70が車両中央に配置されている状態が示されており、図13には、第2アンテナ70がルーフ3における前方右隅に配置されている状態が示されている。
第3アンテナ80は、車両202のルーフ3における前方左端に設けられる。第3アンテナ80は、第3アンテナ移動機構85に連結されている。第3アンテナ移動機構85は、ルーフ3の下に設けられており、第3アンテナ80を車両202の高さ方向に移動させる。図12には、第3アンテナ80がルーフ3下に収容されている状態が示されており、図13には、第3アンテナ80がルーフ3上に配置されている状態が示されている。
制御部40は、本体部20のアンテナエレメント21、第2アンテナ70および第3アンテナ80が受信した信号を受け取るとともに、信号を本体部20のアンテナエレメント21、第2アンテナ70および第3アンテナ80に出力して電波を送信させる。
図14は、第2アンテナ70の構成を示す側面図である。図15は、第2アンテナ70および第2アンテナ移動機構75の構成を示す斜視図である。第2アンテナ70は、本体部71およびアンテナエレメント72を含んで構成される。本体部71は、本体部20と概ね同様の流線形のシャークフィンのような形状となっている。アンテナエレメント72は、本体部71内に収容されている。アンテナエレメント72は、制御部40に電気的に接続されており、電波の送受信を行う。本体部71の下面には、ブロック状の突起部73が設けられている。
第2アンテナ移動機構75は、筐体76、ベルト77およびモータ78を含んで構成される。筐体76は、内部に空間が設けられた直方体状に形成されている。筐体76は、ルーフ3に固定される。筐体76の上面には、長手方向に延びるスリット79が設けられている。筐体76の内部には、ベルト77およびモータ78が収容されている。ベルト77は、帯状部材の両端が接合されたループ状に形成されており、スリット79に沿って配置される。モータ78は、制御部40からの信号に応じて作動し、ベルト77を回転させる。
本体部71の突起部73は、筐体76のスリット79に挿入され、ベルト77に固定される。このため、本体部71(すなわち、第2アンテナ70)は、ベルト77の回転に応じて、スリット79に沿って移動可能となっている。図15では、ルーフ3における前方中央に配置された状態の本体部71を実線で示し、ルーフ3における前方右隅に配置された状態の本体部71を破線で示している。なお、車体が筐体76を兼ねてもよい。
図16は、第3アンテナ80および第3アンテナ移動機構85の構成を示す断面図である。第3アンテナ80は、円柱状のアンテナエレメント81を含んで構成される。アンテナエレメント81は、制御部40に電気的に接続されており、電波の送受信を行う。
第3アンテナ移動機構85は、筐体86、ラック87、ピニオン88およびモータ89を含んで構成される。筐体86は、直方体状に形成されており、筐体86の内部には、筐体86の上面に開口する空洞が形成されている。筐体86は、筐体86の上面がルーフ3の上面に概ね一致するように配置される。筐体86内には、アンテナエレメント81、台座83、ラック87、ピニオン88およびモータ89が収容されている。アンテナエレメント81の先端82は、筐体86の開口面に配置されている。アンテナエレメント81における先端82とは反対側の端部には、円盤状の台座83が配置されている。アンテナエレメント81は、筐体86内において、台座83に起立して固定されている。なお、車体が筐体86を兼ねてもよい。
台座83におけるアンテナエレメント81とは反対側の面には、略棒状のラック87の一端が固定されている。ラック87の側面には、複数の歯が長手方向に形成されている。ラック87は、車両202の高さ方向に沿って配置されている。ラック87の台座83側端の近傍には、ピニオン88が配置されている。ピニオン88は、円盤状に形成されており、円周面に沿って複数の歯が形成されている。ピニオン88の歯は、ラック87の歯に噛み合わされている。ピニオン88は、モータ89の回転軸に連結されている。モータ89は、制御部40からの信号に応じて作動し、ピニオン88を回転させる。
ピニオン88が回転すると、ラック87が車両202の高さ方向に沿って摺動する。このため、ラック87に連結されているアンテナエレメント81(すなわち、第3アンテナ80)は、ピニオン88の回転に応じて、車両202の高さ方向に移動可能となっている。ラック87が鉛直下方に摺動すると、アンテナエレメント81全体が筐体86内に収容され、結果として、第3アンテナ80がルーフ3下に収容されることとなる。図16では、第3アンテナ80がルーフ3下に収容された状態が示されている。
図17は、第3アンテナ80がルーフ3上に突出した場合の第3アンテナ80および第3アンテナ移動機構85の構成を示す断面図である。図17に示すように、ラック87が鉛直上方に摺動すると、アンテナエレメント81が筐体86から突出し、結果として、第3アンテナ80がルーフ3上に突出することとなる。
第3実施形態において、図12に示すように、第2アンテナ70がルーフ3における前方中央に配置され、かつ、第3アンテナ80がルーフ3下に収容された状態を第1通信状態と呼ぶ。また、第3実施形態において、図13に示すように、第2アンテナ70がルーフ3における前方右隅に配置され、かつ、第3アンテナ80がルーフ3上に突出された状態を第2通信状態と呼ぶ。
クロスバー12がルーフレール本体部11に平行に固定されると、クロスバー状態スイッチ14は、ハイポジション信号を制御部40に送信する。制御部40は、ハイポジション信号を受信すると、本体部20をハイポジションに移動させるとともに、第2アンテナ70をルーフ3における前方中央に移動させ、かつ、第3アンテナ80をルーフ3下に収容させる(すなわち、第1通信状態にさせる)。具体的には、制御部40は、第2アンテナ移動機構75のモータ78を駆動させて、ベルト77を、例えば、反時計回りに回転させる。これにより、本体部71がルーフ3における前方右隅から前方中央へ移動する。また、制御部40は、第3アンテナ移動機構85のモータ89を駆動させて、ピニオン88を、例えば、反時計回りに回転させる。これにより、ラック87が鉛直下方に摺動し、アンテナエレメント81がルーフ3下に収容される。
第1通信状態では、制御部40は、本体部20内のアンテナエレメント21と第2アンテナ70のアンテナエレメント72とによってダイバーシティを実現する。例えば、制御部40は、アンテナエレメント21とアンテナエレメント72とで同一の信号を受信し、電波状況(例えば、電界強度)の優れたアンテナエレメントの信号を優先的に用いて通信を行う。また、例えば、制御部40は、アンテナエレメント21とアンテナエレメント72とで同一の信号を受信し、受信した信号を合成してノイズの除去を行う。このようなダイバーシティによって、車車間通信が行われる。この際、制御部40は、第3アンテナ80を介した通信は行わない。
第1通信状態において、クロスバー状態スイッチ14の押し込み操作が行われると、クロスバー状態スイッチ14は、ローポジション信号を制御部40に送信する。制御部40は、ローポジション信号を受信すると、本体部20をローポジションに移動させるとともに、第2アンテナ70をルーフ3における前方右隅に移動させ、かつ、第3アンテナ80をルーフ3上に突出させる(すなわち、第2通信状態にさせる)。具体的には、制御部40は、第2アンテナ移動機構75のモータ78を駆動させて、ベルト77を、例えば、時計回りに回転させる。これにより、本体部71がルーフ3における前方中央から前方右隅へ移動する。また、制御部40は、第3アンテナ移動機構85のモータ89を駆動させて、ピニオン88を、例えば、時計回りに回転させる。これにより、ラック87が鉛直上方に摺動し、アンテナエレメント81がルーフ3上に突出する。
第2通信状態では、制御部40は、第2アンテナ70のアンテナエレメント72と第3アンテナ80のアンテナエレメント81とによってダイバーシティを実現する。ダイバーシティについては、アンテナエレメント21とアンテナエレメント72とによって行うものと同様である。このようなダイバーシティによって、車車間通信が行われる。この際、制御部40は、本体部20のアンテナエレメント21を介した通信は行わない。
以上のように、第3実施形態のアンテナ装置200は、本体部20がローポジションに位置する場合、ルーフ3における前方右隅に配置された第2アンテナ70と、ルーフ3における前方左隅に配置された第3アンテナ80とを介して車車間通信を行う。したがって、アンテナ装置200は、ルーフレール10が使用される場合においても、ルーフレール10による電波の干渉を抑制し、車両202の水平方向の全方位通信が可能となる。
また、アンテナ装置200は、ルーフレール10が使用されない場合、第3アンテナ80がルーフ3下に収容される。このため、アンテナ装置200は、ルーフレール10が使用されない場合において、車両202の外観が損なわれることを防止することができる。
また、アンテナ装置200は、複数のアンテナエレメント21、72、81によってダイバーシティを行っている。このため、アンテナ装置200は、車車間通信の品質や信頼性を向上することが可能となる。
第3実施形態では、第2アンテナ70が前方中央から前方右隅に移動可能となっており、第3アンテナ80が前方左隅に設けられていた。しかし、第2アンテナ70は、前方中央から前方左隅に移動可能であり、第3アンテナ80は、前方右隅に設けられてもよい。すなわち、第3アンテナ80は、ルーフ3における前方の車幅方向の一隅または他隅に設けられ、第2アンテナ移動機構75は、第2アンテナ70を前方中央からみて第3アンテナ80とは反対側の隅に移動可能であってもよい。
なお、第2アンテナ移動機構75は、第2アンテナ70を車幅方向に移動可能であればよく、ベルト77を含む構成に限らない。また、第3アンテナ移動機構85は、第3アンテナ80を車両202の高さ方向に移動可能であればよく、ラック87およびピニオン88を含む構成に限らない。
(第4実施形態)
第4実施形態も、ルーフレール10が使用される場合において、十分な通信を可能にする構成を示す。
図18および図19は、第4実施形態によるアンテナ装置300が設けられた車両302の構成を示す平面概略図である。図18には、クロスバー12とルーフレール本体部11とが平行となっており、ルーフレール10が使用されない場合が示されている。図19には、クロスバー12がルーフレール本体部11に対して垂直に交差しており、ルーフレール10が使用される場合が示されている。第4実施形態のアンテナ装置300は、第2アンテナ70に代えて第2アンテナ370を、第2アンテナ移動機構75に代えて第2アンテナ移動機構375を有し、さらに、第4アンテナ90および第4アンテナ移動機構95を有する点において、第3実施形態のアンテナ装置200と異なる。
第2アンテナ370は、車両302のルーフ3における前方中央に設けられる。第2アンテナ370は、第3アンテナ80と同様な構成となっている。すなわち、第2アンテナ370は、円柱状のアンテナエレメント372を含んで構成される。アンテナエレメント372は、制御部40に電気的に接続されており、電波の送受信を行う。第2アンテナ370は、第2アンテナ移動機構375に連結されている。
第2アンテナ移動機構375は、制御部40からの信号に応じて、第2アンテナ370を車両302の高さ方向に移動させる。第2アンテナ移動機構375は、第3アンテナ移動機構85と同様な構成となっている。第2アンテナ移動機構375は、例えば、ラックおよびピニオンを含んで構成され、第2アンテナ370をルーフ3下に収容可能であるとともに、第2アンテナ370をルーフ3上に突出可能となっている。図18には、第2アンテナ370がルーフ3上に配置されている状態が示されており、図19には、第2アンテナ370がルーフ3下に収容されている状態が示されている。
第4アンテナ90は、車両302のルーフ3における前方右隅に設けられる。第4アンテナ90は、第3アンテナ80と同様な構成となっている。すなわち、第4アンテナ90は、円柱状のアンテナエレメント91を含んで構成される。アンテナエレメント91は、制御部40に電気的に接続されており、電波の送受信を行う。第4アンテナ90は、第4アンテナ移動機構95に連結されている。
第4アンテナ移動機構95は、制御部40からの信号に応じて、第4アンテナ90を車両302の高さ方向に移動させる。第4アンテナ移動機構95は、第3アンテナ移動機構85と同様な構成となっている。第4アンテナ移動機構95は、例えば、ラックおよびピニオンを含んで構成され、第4アンテナ90をルーフ3下に収容可能であるとともに、第4アンテナ90をルーフ3上に突出可能となっている。図18には、第4アンテナ90がルーフ3下に収容されている状態が示されており、図19には、第4アンテナ90がルーフ3上に配置されている状態が示されている。
第4実施形態において、図18に示すように、第2アンテナ370がルーフ3上に突出され、第3アンテナ80がルーフ3下に収容され、第4アンテナ90がルーフ3下に収容された状態を第1通信状態と呼ぶ。また、第4実施形態において、図19に示すように、第2アンテナ370がルーフ3下に収容され、第3アンテナ80がルーフ3上に突出され、第4アンテナ90がルーフ3上に突出された状態を第2通信状態と呼ぶ。
クロスバー12がルーフレール本体部11に平行に固定されると、クロスバー状態スイッチ14は、ハイポジション信号を制御部40に送信する。制御部40は、ハイポジション信号を受信すると、本体部20をハイポジションに移動させるとともに、第2アンテナ370を第2アンテナ移動機構375によってルーフ3上に突出させ、第3アンテナ80を第3アンテナ移動機構85によってルーフ3下に収容させ、第4アンテナ90を第4アンテナ移動機構95によってルーフ3下に収容させる(すなわち、第1通信状態にさせる)。
第1通信状態では、制御部40は、本体部20のアンテナエレメント21と第2アンテナ370のアンテナエレメント372とによってダイバーシティを実現する。ダイバーシティについては、第3実施形態のそれと同様である。このようなダイバーシティによって、車車間通信が行われる。この際、制御部40は、第3アンテナ80および第4アンテナ90を介した通信は行わない。
第1通信状態において、クロスバー状態スイッチ14の押し込み操作が行われると、クロスバー状態スイッチ14は、ローポジション信号を制御部40に送信する。制御部40は、ローポジション信号を受信すると、本体部20をローポジションに移動させるとともに、第2アンテナ370を第2アンテナ移動機構375によってルーフ3下に収容させ、第3アンテナ80を第3アンテナ移動機構85によってルーフ3上に突出させ、第4アンテナ90を第4アンテナ移動機構95によってルーフ3上に突出させる(すなわち、第2通信状態にさせる)。
第2通信状態では、制御部40は、第3アンテナ80のアンテナエレメント81と第4アンテナ90のアンテナエレメント91とによってダイバーシティを実現する。ダイバーシティについては、アンテナエレメント21とアンテナエレメント372とによって行うものと同様である。このようなダイバーシティによって、車車間通信が行われる。この際、制御部40は、本体部20のアンテナエレメント21および第2アンテナ370のアンテナエレメント372を介した通信は行わない。
以上のように、第4実施形態のアンテナ装置300は、本体部20がローポジションに位置する場合、ルーフ3における前方左隅に配置された第3アンテナ80と、ルーフ3における前方右隅に配置された第4アンテナ90とを介して車車間通信を行う。したがって、アンテナ装置300は、ルーフレール10が使用されている場合においても、ルーフレール10による電波の干渉を抑制し、車両302の水平方向の全方位通信が可能となる。
また、アンテナ装置300は、ルーフレール10が使用されない場合、第3アンテナ80および第4アンテナ90がルーフ3下に収容される。このため、アンテナ装置300は、ルーフレール10が使用されない場合において、車両302の外観が損なわれることを防止することができる。
また、アンテナ装置300は、複数のアンテナエレメント21、372、81、91によってダイバーシティを行っている。このため、アンテナ装置300は、車車間通信の品質や信頼性を向上することが可能となる。
なお、第2アンテナ移動機構375、第3アンテナ移動機構85および第4アンテナ移動機構95は、第2アンテナ370、第3アンテナ80および第4アンテナ90を車両302の高さ方向に移動可能であればよく、例示したラックおよびピニオンを含む構成に限らない。
(第5実施形態)
第5実施形態は、第1実施形態の変形例である。図20および図21は、第5実施形態によるアンテナ装置400の構成を示す図である。第5実施形態のアンテナ装置400は、本体部移動機構30に代えて本体部移動機構430を有し、さらに、カバー部440を有する点において第1実施形態のアンテナ装置1と異なる。図20および図21では、本体部20を側面図で示し、本体部移動機構430およびカバー部440を断面図で示している。図20には、本体部20がハイポジションに配置された状態のアンテナ装置400が示されている。図21には、本体部20がローポジションに配置された状態のアンテナ装置400が示されている。
本体部移動機構430は、筐体431、ベース432、支持部433、台座434、ラック435、ピニオン436、モータ437を含んで構成される。筐体431は、直方体状に形成されている。筐体431の上面付近の側面には、筐体431から外側に張り出すベース432が設けられている。ベース432は、板状に形成されている。ベース432は、ルーフ3に平行な姿勢でルーフ3上に設置される。ベース432がルーフ3上に設置されると、筐体431におけるベース432よりも下方の部分は、ルーフ3下に配置されることとなる。なお、車体が筐体431およびベース432を兼ねてもよい。
筐体431の内部には、筐体431の上面に開口する空洞が形成されている。筐体431内には、支持部433、台座434、ラック435、ピニオン436およびモータ437が収容される。支持部433は、棒状に形成されている。支持部433は、長手方向が車両402の高さ方向に沿うように配置されている。支持部433の上方端は、本体部20の台座23の底面に固定されている。
支持部433の下方端は、円盤状の台座434を介して、略棒状のラック435の一端に固定されている。ラック435の側面には、複数の歯が長手方向に形成されている。ラック435は、車両402の高さ方向に沿って配置されている。ラック435の台座434側端の近傍には、ピニオン436が配置されている。ピニオン436は、円盤状に形成されており、円周面に沿って複数の歯が形成されている。ピニオン436の歯は、ラック435の歯に噛み合わされている。ピニオン436は、モータ437の回転軸に連結されている。モータ437は、制御部40からの信号に応じて作動し、ピニオン436を回転させる。
ピニオン436が回転すると、ラック435が車両2の高さ方向に沿って摺動する。このため、ラック435に連結されている支持部433は、ピニオン436の回転に応じて、車両402の高さ方向に移動可能となっている。
制御部40は、クロスバー状態スイッチ14からハイポジション信号を受信すると、モータ437を駆動させて、ピニオン436を、例えば、時計回りに回転させる。これにより、ラック435が鉛直上方に摺動し、図20に示すように、支持部433が筐体431から突出する。支持部433が突出すると、支持部433に固定された本体部20が上昇することとなる。上昇した本体部20は、支持部433によってハイポジションに維持される。
一方、制御部40は、クロスバー状態スイッチ14からローポジション信号を受信すると、モータ437を駆動させて、ピニオン436を、例えば、反時計回りに回転させる。これにより、ラック435が鉛直下方に摺動し、図21に示すように、支持部433が筐体431に収容される。支持部433が筐体431に収容されると、支持部433に固定された本体部20が下降することとなる。本体部20の台座23の底面が筐体431の上面に接触すると、本体部20は、ローポジションに配置されることとなる。
また、台座23の底面における周縁付近の位置には、カバー部440が設けられている。カバー部440は、台座23の周縁の全周に亘って設けられている。カバー部440は、例えば、車両402の高さ方向に沿って折りたたむことが可能な蛇腹状に形成されている。カバー部440の上方端は、台座23に連結されており、カバー部440の下方端は、ベース432に連結されている。カバー部440は、本体部移動機構430、特に、本体部移動機構430におけるルーフ3上に位置する部分(具体的には、支持部433)を被覆する。
図21に示すように、本体部20がローポジションに配置されると、カバー部440は、折りたたまれる。一方、図20に示すように、本体部20がハイポジションに配置されると、折りたたまれていたカバー部440は、開かれて車両402の高さ方向に延びる。
第5実施形態によるアンテナ装置400によれば、ルーフレール10による電波の干渉を抑制し、車両402の水平方向の全方位通信が可能となる。また、アンテナ装置400は、ルーフレール10に荷物を積載することを阻害しない。
また、アンテナ装置400は、本体部移動機構430、特に、支持部433がカバー部440によって覆われている。このため、走行中に飛来物があったとしても、その飛来物は、支持部433に当たる前にカバー部440に当たることとなる。このように、支持部433は、カバー部440によって保護される。したがって、アンテナ装置400によれば、本体部移動機構430、特に、支持部433の損傷を低減することができる。また、アンテナ装置400によれば、本体部移動機構430が露出することによって外観が損なわれることを、カバー部440によって防止することができる。
第5実施形態では、カバー部440が台座23の周縁の全周に亘って設けられていた。しかし、カバー部440は、台座23の周縁の全周に亘って設けられる態様に限らない。例えば、カバー部440は、台座23の周縁の前方半分に設けられてもよい。この場合、前方からの飛来物から支持部433を保護することができる。すなわち、カバー部440は、本体部移動機構430の少なくとも一部を被覆していればよい。
また、カバー部440は、蛇腹状に形成される態様に限らない。例えば、カバー部440は、ゴムシートなどのように、伸縮自在な部材によって構成されてもよい。また、カバー部440は、筒状の部材を、車両402の高さ方向に入れ子状に連結したものであってもよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
各実施形態において、制御部40は、車車間通信ユニットであった。しかし、制御部40は、車車間通信ユニットとは別体として設けられてもよい。
また、第1実施形態と第5実施形態とを組み合わせて、第1実施形態のアンテナ装置1に第5実施形態のカバー部440を設けてもよい。