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JP2019062833A - ヒトegfrのc797s(t2389a)変異検出用プローブ、ヒトegfrのc797s(t2389a)変異検出用キット、及びヒトegfrのc797s(t2389a)変異の検出方法 - Google Patents

ヒトegfrのc797s(t2389a)変異検出用プローブ、ヒトegfrのc797s(t2389a)変異検出用キット、及びヒトegfrのc797s(t2389a)変異の検出方法 Download PDF

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JP2019062833A JP2017193289A JP2017193289A JP2019062833A JP 2019062833 A JP2019062833 A JP 2019062833A JP 2017193289 A JP2017193289 A JP 2017193289A JP 2017193289 A JP2017193289 A JP 2017193289A JP 2019062833 A JP2019062833 A JP 2019062833A
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一喜 木寺
Kazuyoshi Kidera
一喜 木寺
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Arkray Inc
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Abstract

【課題】操作が簡便で、高価な装置を必要とせず、かつ高感度でC797S変異の検出を可能にする、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブ、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用キット、及びヒトEGFRのC797S(T2389A)変異の検出方法の提供。【解決手段】下記からなる群から選択される少なくとも一種の蛍光標識オリゴヌクレオチドである、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブである。特定な配列からなる塩基配列を有し、5’末端又は3’末端のシトシンが蛍光色素で標識されている蛍光標識オリゴヌクレオチド、及び、特定な配列からなる塩基配列を有し、5’末端又は3’末端のシトシンが蛍光色素で標識されている蛍光標識オリゴヌクレオチド。【選択図】図5

Description

本開示は、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブ、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用キット、及びヒトEGFRのC797S(T2389A)変異の検出方法に関する。
EGFR(上皮成長因子受容体)は、肺癌等の癌において重要な役割を果たすことから、EGFRの機能を抑制して癌を治療することを目的とする薬剤が開発されている。そのような薬剤としては、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤が挙げられ、例えばエルロチニブ、ゲフィチニブ、及びAZD9291などが知られている。
しかし、近年、ヒトEGFRにおけるある種の変異が、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤に対する耐性を付与することが報告されており、例えば、ヒトEGFRにおけるC797S変異は、AZD9291に耐性を示すことが報告されている(例えば、非特許文献1及び非特許文献2参照)。
Biochem.J.(2008) 415,197−206 Nature Medicine 21, 560−562(2015)
癌の治療剤としてヒトEGFRチロシンキナーゼ阻害剤を投与する前に、対象の患者においてEGFRにC797S変異を有するか否かを調べることは、適切な治療を提供する観点から有効であると考えられる。
しかしながら、非特許文献1では、ヒトEGFRのC797S変異をダイレクトシークエンス法で検出しており、ダイレクトシークエンス法には、変異の検出感度が低いという問題がある。
また、非特許文献2では、ヒトEGFRのC797S変異の検出にddPCR(Droplet Digital PCR)及びNGS(次世代シーケンシング)の技術を用いているため、変異を高感度で検出できるものの、操作が煩雑で、高価な装置(すなわち、ddPCR装置及びNGS装置)を必要とする問題がある。
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、操作が簡便で、高価な装置を必要とせず、かつ高感度でC797S変異の検出を可能にする、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブ、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用キット、及びヒトEGFRのC797S(T2389A)変異の検出方法の提供を目的とし、該目的を達成することを課題とする。
上記課題を解決するための手段は以下のとおりである。
<1> 下記(I)〜(IV)からなる群から選択される少なくとも一種の蛍光標識オリゴヌクレオチドである、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブ。(I)配列番号2に示す塩基配列を有し、5’末端のシトシンが蛍光色素で標識されている蛍光標識オリゴヌクレオチド、(II)配列番号2に示す塩基配列を有し、3’末端のシトシンが蛍光色素で標識されている蛍光標識オリゴヌクレオチド、(III)配列番号3に示す塩基配列を有し、5’末端のシトシンが蛍光色素で標識されている蛍光標識オリゴヌクレオチド、及び、(IV)配列番号3に示す塩基配列を有し、3’末端のシトシンが蛍光色素で標識されている蛍光標識オリゴヌクレオチド。
<2> 前記蛍光色素が、フルオレセイン、リン光体、ローダミン、及びポリメチン色素誘導体からなる群から選択される、<1>に記載のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブ。
<3> <1>又は<2>に記載のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブ、及び、配列番号8に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号9に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとを含むヒトEGFRのC797S(T2389A)変異増幅用フォワードプライマーセットを含む、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用キット。
<4> 配列番号10に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであるヒトEGFRのC797S(T2389A)変異増幅用リバースプライマーを更に含む、<3>に記載のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用キット。
<5> <1>又は<2>に記載のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブを試料中の一本鎖核酸と接触させて、前記ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブと前記一本鎖核酸とのハイブリッドを形成させること、前記ハイブリッドを含む試料溶液の温度を変化させることにより、前記ハイブリッドを解離させ、前記ハイブリッドの解離に基づくシグナルの変動を測定すること、前記シグナルの変動に基づいて、前記ハイブリッドのTm値を決定すること、及び、前記Tm値に基づいて、前記試料中の一本鎖核酸における、ヒトEGFR遺伝子の変異の存在を検出すること、を含む、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異の検出方法。
<6> 前記一本鎖核酸が、配列番号8に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号9に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとを含むヒトEGFRのC797S(T2389A)変異増幅用フォワードプライマーセットを用いたPCRにより得られた二本鎖核酸を解離した産物である、<5>に記載のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異の検出方法。
<7> 前記一本鎖核酸が、配列番号8に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号9に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとを含むヒトEGFRのC797S(T2389A)変異増幅用フォワードプライマーセット、並びに、配列番号10に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであるヒトEGFRのC797S(T2389A)変異増幅用リバースプライマーを用いたPCRにより得られた二本鎖核酸を解離した産物である、<5>に記載のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異の検出方法。
<8> 前記試料が、全血、口腔粘膜等の口腔内細胞、爪、毛髪等の体細胞、生殖細胞、喀痰、羊水、パラフィン包埋組織、尿、胃液、胃洗浄液、又はこれらの懸濁液である、<5>〜<7>のいずれか1つに記載のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異の検出方法。
本開示によれば、操作が簡便で、高価な装置を必要とせず、かつ高感度でC797S変異の検出を可能にする、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブ、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用キット、及びヒトEGFRのC797S(T2389A)変異の検出方法が提供される。
(A)は核酸混合物の融解曲線の一例を示すグラフであり、(B)は核酸混合物の微分融解曲線の一例を示すグラフである。 一実施態様における、ヒトEGFRのDNA配列におけるプローブ及びプライマー(セット)の位置関係を模式的に示した図である。 ヒトEGFRの野生型のヌクレオチド配列を有するテンプレート(WT、配列番号5)、又はヒトEGFRのC797S(T2389A)変異を含むヌクレオチド配列を有するテンプレート(Mt、配列番号6)に対する、プローブ(P1〜P4)のTm値を示す図である。 配列番号12及び13のプライマーセット、配列番号6及び7のプライマーセット、又は配列番号8及び9のプライマーセットを使用した場合における検出感度及び検出特異性を解析した結果を示す図である。 ヒトゲノムDNA(Human Genomic DNA)と合成DNAを用いてヒトEGFRのC797S(T2389A)変異(Mt)の検出限界を解析した結果を示す図である。
以下、本開示を実施するための形態について説明する。ただし、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。
本開示において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
また、本明細書において組成物中のある成分の量について言及する場合、組成物中に当該成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に別途定義しない限り、当該量は、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
また、本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において、検出対象となる試料中の試料核酸、本開示のプローブ及びプライマーを含む本明細書に記載される全ての核酸配列又はヌクレオチド配列への言及は、特に断らない限り、それらの相補配列、及び当該核酸配列又はヌクレオチド配列とその相補配列とから形成される二本鎖についても言及できるものとする。
本開示において、「核酸」とは、全ての種類のDNA及びRNAを意味する。
本開示において、「核酸」と「ヌクレオチド」とは、互換的に使用する場合がある。
本開示において「Tm」又は「Tm値」とは、二本鎖DNAの50%が解離して一本鎖DNAになる温度をいい、一般に、260nmにおける吸光度が吸光度全上昇分の50%に達した時点の温度と定義される。二本鎖核酸、例えば二本鎖DNAを含む溶液を加熱していくと、260nmにおける吸光度が上昇する。これは、二本鎖DNAにおける両鎖間の水素結合が加熱によってほどけ、一本鎖DNAに解離(DNAの融解)することが原因である。そして、全ての二本鎖DNAが解離して一本鎖DNAになると、その吸光度が加熱開始時の吸光度(二本鎖DNAのみの吸光度)の約1.5倍程度を示し、これによって解離が完了したと判断できる。Tm値は、この現象に基づき設定される。
本開示において、Tm値は、以下に詳細を説明する蛍光標識オリゴヌクレオチドを用いて測定することができる。
本明細書においてTm値を算出する場合、得られたTm値は、特に断らない限り、ソフトウェア「Meltcalc 99 free」(http://www.meltcalc.com/)を用い、設定条件:Oligoconc[μM]0.2、Na eq.[mM]50の条件で算出した値とする。このソフトウェアは、当業界で公知のものであり、Clinical Chemistry Vol.54, No.6, pp.990-999 (2008)等でもプローブの設計に使用されている。
本開示において、ヌクレオチド配列に関して「3’末端から数えて1〜3番目」という場合、ヌクレオチド配列の3’末端にある塩基を1番目として数える。同様に「5’末端から数えて1〜3番目」という場合、ヌクレオチド配列の5’末端にある塩基を1番目として数える。
また、本開示において、例えば「ヒトEGFRのコード領域の2389番目の塩基」とは、ヒトEGFRのタンパク質をコードする1番目の塩基から数えて2389番目の塩基を意味する。これは、コード領域(すなわち、エキソン)がイントロンによって分断されていても同様に適用される。すなわち、イントロンが存在していたとしても、ヒトEGFRタンパク質をコードする塩基配列のみを数え上げて2389番目に位置すれば足りることを意味する。それゆえ、例えば「ヒトEGFRのコード領域の2389番目の塩基」は、cDNA配列又はmRNA配列のみならず、スプライシング前の塩基配列や、ゲノム配列おいても同様に適用され、ヒトEGFRタンパク質をコードする配列のみを数え上げて2389番目に位置することを意味する。
なお、本明細書において、塩基配列の文脈で使用される「コード領域」とは、タンパク質に翻訳される塩基配列の領域をいう。
本開示において、「オリゴヌクレオチド」の構成単位としては、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、人工核酸等が挙げられる。前記人工核酸としては、DNA、RNA、RNAアナログであるLNA(Locked Nucleic Acid);ペプチド核酸であるPNA(Peptide Nucleic Acid);架橋化核酸であるBNA(Bridged Nucleic Acid)等が挙げられる。
前記オリゴヌクレオチドは、前記構成単位のうち、一種類の構成単位から構成されてもよいし、複数種類の構成単位から構成されてもよい。
本開示においてハイブリダイゼーションは、公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、Molecular Cloning 3rd(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 2001)に記載の方法等に従って行うことができる。この文献は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
本明細書において、「変異」とは、野生型の塩基配列の一部の塩基が置換、欠失、重複又は挿入されることによって生じる新たな塩基配列を意味する。
本開示において、「ヒトEGFR」とは、ヒト由来のEGFRを意味し、ヒト由来のEGFRのゲノム配列、mRNA配列、cDNA配列、及びタンパク質の全てを包含する概念である。より具体的には、ヒトEGFRのゲノム配列は、アクセッションナンバー:
NG_007726(REGION: 5001..193307)で表され、ヒトEGFRのmRNA配列は、アクセッションナンバー:NM_005228で表され、ヒトEGFRのcDNA配列は、アクセッションナンバー:CCDS5514.1で表され、ヒトEGFRのタンパク質のアミノ酸配列は、アクセッションナンバー:NP_005219で表される。
本開示において、「ヒトEGFRのT2389A変異」とは、野生型のヒトEGFRのmRNA配列に対応するcDNAのコード領域の2389番目の塩基であるT(チミン)がA(アデニン)に置換された変異をいう。なお、ヒトEGFRの2389番目の塩基は、ヒトEGFRのアミノ酸配列の797番目のアミノ酸のコドンの第1番目の塩基である。従って、「ヒトEGFRのT2389A変異」は、「ヒトEGFRのC797S変異」に対応する。
本開示において、「ヒトEGFRのC797S変異」とは、野生型のヒトEGFRのアミノ酸配列の797番目のアミノ酸であるC(システイン)がS(セリン)に置換された変異をいう。なお、ヒトEGFRのアミノ酸配列の797番目のアミノ酸は、ヒトEGFRの2389番目〜2391番目の塩基に対応するコドンによって指定される。従って、「ヒトEGFRのT2389A変異」は、「ヒトEGFRのC797S変異」の原因の1つとして挙げられる。
また、本開示において、「ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異」とは、野生型のヒトEGFRのアミノ酸配列の797番目のアミノ酸であるC(システイン)がS(セリン)に置換された変異の原因が、ヒトEGFRのT2389A変異であることを意味する。
本開示において、「cDNA」とは、mRNAの相補DNA鎖(一本鎖)、mRNAの相補DNA鎖の相補DNA鎖(一本鎖)、及びmRNAの相補DNA鎖とmRNAの相補DNA鎖の相補DNA鎖とにより形成される二本鎖、のいずれを指称することもできる。cDNAは、公知の方法で、mRNAから逆転写することにより得ることができる。
典型的には、「コード領域」を含む文脈において使用される「cDNA」は、mRNAの相補DNA鎖の相補DNA鎖(一本鎖)を意味する。
<ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブ>
本開示のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブは、下記(I)〜(IV)からなる群から選択される少なくとも一種の蛍光標識オリゴヌクレオチドである。(I)配列番号2に示す塩基配列を有し、5’末端のシトシンが蛍光色素で標識されている蛍光標識オリゴヌクレオチド、(II)配列番号2に示す塩基配列を有し、3’末端のシトシンが蛍光色素で標識されている蛍光標識オリゴヌクレオチド、(III)配列番号3に示す塩基配列を有し、5’末端のシトシンが蛍光色素で標識されている蛍光標識オリゴヌクレオチド、及び、(IV)配列番号3に示す塩基配列を有し、3’末端のシトシンが蛍光色素で標識されている蛍光標識オリゴヌクレオチド。
癌の治療剤としてヒトEGFRチロシンキナーゼ阻害剤を投与する前に、対象の患者においてEGFRにC797S変異を有するか否かを調べることは、適切な治療を提供する観点から有効であると考えられる。
しかしながら、従来の方法では、ヒトEGFRのC797S変異の検出感度が低いという問題、あるいは、変異を高感度で検出できるものの、操作が煩雑で、高価な装置(すなわち、ddPCR装置及びNGS装置)を必要とする問題があった。
これに対し、本開示は、上記ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブを用いることにより、操作が簡便で、高価な装置を必要とせず、かつ高感度でC797S変異の検出を可能にすることができる。
これは、T2389A変異を含むヒトEGFRのヌクレオチド配列を有するプローブの結合力が、野生型のヌクレオチド配列と、変異が導入されたヌクレオチド配列との間で、異なることに基づく。すなわち、T2389A変異を含むヒトEGFRのヌクレオチド配列を有するプローブは、変異が導入されたヌクレオチド配列との間では完全な相補性を有する(パーフェクトマッチ)のに対し、野生型のヌクレオチド配列との間では、コード領域の2389番目の塩基で相補性が完全には一致しない(ミスマッチ)。これにより、T2389A変異を含むヒトEGFRのヌクレオチド配列を有するプローブは、変異が導入されたヌクレオチド配列との間では結合力が強くTm値が高いのに対し、野生型のヌクレオチド配列との間では結合力が弱くTm値が低くなる。本開示は、このTm値の差異に基づき、操作が簡便で、高価な装置を必要とせず、かつ高感度でC797S変異の検出を可能にすることができる。
本開示において、配列番号2に示す塩基配列は、「cttcggcAgcctcc」である。
本開示において、配列番号3に示す塩基配列は、「cccttcggcAgcc」である。
上記配列番号2及び配列番号3において、大文字で表されるAは、ヒトEGFRのコード領域における2389番目の塩基(T2389A変異)に対応する。
プライマーの合成は、例えば、Applied Biosystems社製DNA合成機model 380Bを使用し、ホスホアミダイト法を用いて(Tetrahedron Letters(1981),22,1859参照)常法に従って合成できる。あるいは、プライマーは、プライマー合成を受託する企業(例えば、株式会社日本遺伝子研究所など)に依頼することもできる。
オリゴヌクレオチドの5’末端及び/又は3’末端を蛍光色素で標識する方法は、例えば、過剰量の蛍光標識したヌクレオチドを基質としてPCRのポリメラ−ゼ反応溶液に含有させる方法などが挙げられる。あるいは、蛍光標識オリゴヌクレオチドは、蛍光標識オリゴヌクレオチド合成を受託する企業(例えば、J−Bio21センター(日鉄住金環境株式会社)など)に依頼することもできる。
好ましくは、本開示のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブは、配列番号2に示す塩基配列を有し、5’末端のシトシンが蛍光色素で標識されている蛍光標識オリゴヌクレオチドである。
好ましくは、本開示のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブは、配列番号2に示す塩基配列を有し、3’末端のシトシンが蛍光色素で標識されている蛍光標識オリゴヌクレオチドである。
好ましくは、本開示のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブは、配列番号3に示す塩基配列を有し、5’末端のシトシンが蛍光色素で標識されている蛍光標識オリゴヌクレオチドである。
好ましくは、本開示のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブは、配列番号3に示す塩基配列を有し、3’末端のシトシンが蛍光色素で標識されている蛍光標識オリゴヌクレオチドである。
本開示の蛍光色素は、特に制限されないが、例えば、フルオレセイン、リン光体、ローダミン、及びポリメチン色素誘導体からなる群から選択される蛍光色素が挙げられる。市販の蛍光色素としては、例えば、Pacific Blue(登録商標、モレキュラープローブ社製)、TAMRA(登録商標、モレキュラープローブ社製)、BODIPY FL(登録商標、モレキュラープローブ社製)、FluorePrime(商品名、アマシャムファルマシア社製)、Cy3及びCy5(商品名、アマシャムファルマシア社製)、Fluoredite(商品名、ミリポア社製)、FAM(登録商標、ABI社製)等が挙げられる。
好ましくは、蛍光標識オリゴヌクレオチドは、相補配列にハイブリダイズしていない場合には蛍光を発し、相補配列にハイブリダイズしてハイブリッドを形成した場合には蛍光が減少(例えば、消光)する。
このような蛍光消光現象(Quenching phenomenon)を利用したプローブは、一般に蛍光消光プローブと称される。蛍光消光プローブは、オリゴヌクレオチドの3’末端又は5’末端の塩基が蛍光色素で標識化され、標識化される塩基は、シトシン(C)である。この場合、蛍光消光プローブがハイブリダイズする検出目的配列において、蛍光消光プローブの末端塩基Cと対をなす塩基又は当該対をなす塩基から1〜3塩基離れた塩基がグアニン(G)となるように、蛍光消光プローブの塩基配列を設計することが好ましい。このような蛍光消光プローブは、一般にグアニン消光プローブと称され、いわゆるQ Probe(登録商標)としても知られている。
このようなグアニン消光プローブが検出目的配列にハイブリダイズすると、蛍光色素で標識化された末端のシトシン(C)が検出目的配列におけるグアニン(G)に近づくことによって、蛍光色素の発光が弱くなる(蛍光強度が減少する)という現象を示す。このようなグアニン消光プローブを使用すれば、シグナルの変動に基づき、グアニン消光プローブが標的配列とハイブリダイズしているか解離しているかを容易に確認することができる。蛍光色素は、通常、ヌクレオチドのリン酸基に結合することができる。
従って、蛍光標識オリゴヌクレオチドを用いて形成されたハイブリッドの蛍光のシグナル(例えば、蛍光強度)を解析することにより、二本鎖であるハイブリッドが一本鎖へ解離した割合、及びTm値などを測定することができる。
蛍光色素は、特定の波長で発光するため、そのような波長を蛍光強度の検出に利用することができる。例えば、下記の蛍光色素において好ましい検出波長は、以下の通りである。Pacific Blue(検出波長:450nm〜480nm)、TAMRA(検出波長:585nm〜700nm)、及びBODIPY FL(検出波長:515nm〜555nm)。
なお、Q Probeを用いた検出方法以外にも、公知の検出様式を適用してもよい。このような検出様式としては、Taq−man Probe法、RFLP法、Hybridization Probe法、Molecular Beacon法、MGB probe法等が挙げられる。
<ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用キット>
本開示のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用キットは、本開示のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブ、及び、配列番号8に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号9に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとを含むヒトEGFRのC797S(T2389A)変異増幅用フォワードプライマーセットを含む。
好ましくは、本開示のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用キットは、配列番号10に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであるヒトEGFRのC797S(T2389A)変異増幅用リバースプライマーを更に含む。
「ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブ」は、前掲の通りである。
本開示において、配列番号8に示す塩基配列は、「AGTCTagctcatCcccttcggcT」である。
本開示において、配列番号9に示す塩基配列は、「GATCAgcagctcatCcccttcggcA」である。
本開示において、配列番号10に示す塩基配列は、「ccaatattgtctttgtgttcccggacatagtc」である。
配列番号8及び配列番号9において、3’末端に大文字で示されている塩基は、ヒトEGFRのコード領域の2389番目の塩基に対応する。それゆえ、配列番号8に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドは、PCRにより野生型のヒトEGFRの配列を増幅させ、配列番号9に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドは、PCRによりT2389A変異を有するヒトEGFRの配列を増幅させることができる。
配列番号8及び配列番号9のそれぞれ3’末端から11番目に大文字で示されている塩基であるCは、ヒトEGFRのDNA配列ではGであった塩基が人工的に置換されている。この置換により、PCR反応においてプライマーダイマーの形成が抑制され、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異の検出効率を向上させることができる。
また、配列番号8及び配列番号9において、5’末端に大文字で示されている5文字の塩基は、ヒトEGFRのDNA配列には存在しない人工的に付加した配列である。この人工的配列の付加により、PCRにより標的以外の配列が増幅することを抑制することができる。
ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異増幅用フォワードプライマーセット、及び任意にヒトEGFRのC797S(T2389A)変異増幅用リバースプライマーは、野生型のヒトEGFRの核酸配列、及び存在する場合にはT2389A変異を有するヒトEGFRの核酸配列を増幅させるために使用される。
ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用キットは、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異の検出に好ましく使用することができる。そのような検出方法の詳細は、以下の「ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異の検出方法」において説明する。
<ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異の検出方法>
本開示のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異の検出方法は、本開示のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブを試料中の一本鎖核酸と接触させて、前記ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブと前記一本鎖核酸とのハイブリッドを形成させること(工程A)、前記ハイブリッドを含む試料溶液の温度を変化させることにより、前記ハイブリッドを解離させ、前記ハイブリッドの解離に基づくシグナルの変動を測定すること(工程B)、前記シグナルの変動に基づいて、前記ハイブリッドのTm値を決定すること(工程C)、及び、前記Tm値に基づいて、前記試料中の一本鎖核酸における、ヒトEGFR遺伝子の変異の存在を検出すること(工程D)、を含む。
好ましくは、前記一本鎖核酸は、配列番号8に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号9に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとを含むヒトEGFRのC797S(T2389A)変異増幅用フォワードプライマーセットを用いたPCRにより得られた二本鎖核酸を解離した産物である。
より好ましくは、前記一本鎖核酸は、配列番号8に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号9に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとを含むヒトEGFRのC797S(T2389A)変異増幅用フォワードプライマーセット、並びに、配列番号10に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであるヒトEGFRのC797S(T2389A)変異増幅用リバースプライマーを用いたPCRにより得られた二本鎖核酸を解離した産物である。
(工程A)
工程Aは、本開示のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブを試料中の一本鎖核酸と接触させて、前記ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブと前記一本鎖核酸とのハイブリッドを形成させることを含む。
「ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブ」は、前掲の通りである。
試料は、例えば生体試料であってよい。生体試料としては、全血、口腔粘膜等の口腔内細胞、爪、毛髪等の体細胞、生殖細胞、喀痰、羊水、パラフィン包埋組織、尿、胃液、胃洗浄液、又はそれらの懸濁液等が挙げられる。
また、生体試料から単離した核酸を試料として用いてもよい。例えば、全血からのゲノムDNAの単離には、市販のゲノムDNA単離キットを使用することができる。
また、生体試料に含まれるDNAを遺伝子増幅法により増幅させた増幅産物を試料として用いてもよい。あるいは、生体試料に含まれるRNAから逆転写PCR反応によりcDNAを生成し、このcDNAを遺伝子増幅法により増幅させた増幅産物を試料として用いてもよい。
核酸増幅法は、特に制限されない。核酸増幅法としては、PCR法、NASBA(Nucleic Acid Sequence Based Amplification)法、TMA(Transcription-Mediated Amplification)法、SDA(Strand Displacement Amplification)法等が挙げられ、中でもPCR法が好ましい。
核酸の増幅において、増幅反応液における試料の添加割合は特に制限されない。具体例として、上記試料が生体試料(例えば、全血試料)の場合、添加割合の下限は、0.01体積%以上であることが好ましく、0.05体積%以上であることがより好ましく、0.1体積%以上であることがさらに好ましい。また、上記試料が生体試料(例えば、全血試料)の場合、添加割合の上限は、2体積%以下であることが好ましく、1体積%以下であることがより好ましく、0.5体積%以下であることがさらに好ましい。
また、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブを用いた光学的検出を行う場合、上記反応液における生体試料の添加割合は、例えば、0.1体積%〜0.5体積%に設定することが好ましい。この範囲であれば、例えば、変性による沈殿物等の発生による影響を十分に防止でき、光学的手法による測定精度を向上できる。また、生体試料中の夾雑物によるPCRの阻害も十分に抑制されるため、増幅効率をより一層向上できることも期待される。
また、核酸増幅反応の開始前に、上記反応液にさらにアルブミンを添加することが好ましい。このようなアルブミンの添加によって、例えば、沈殿物又は濁りの発生による影響をより一層低減でき、かつ、増幅効率もさらに向上する。
上記反応液におけるアルブミンの添加割合は、例えば、0.01質量%〜2質量%であり、好ましくは0.1質量%〜1質量%であり、より好ましくは0.2質量%〜0.8質量%である。アルブミンとしては、ウシ血清アルブミン(BSA)、ヒト血清アルブミン、ラット血清アルブミン、ウマ血清アルブミン等が挙げられ、特に制限されない。これらのアルブミンはいずれか1種類を使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
以下、増幅についてPCR法を例に挙げて説明するが、本開示は、この例に制限されない。
まず、鋳型(テンプレート)核酸、本開示のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異増幅用フォワードプライマーセット、及びヒトEGFRのDNAのコード領域の2389番目より下流の領域にアニーリングし得るリバースプライマー(好ましくは、配列番号10に示す塩基配列を有するプライマー)を含むPCR反応液を調製する。
PCR反応液における各種プライマーの添加割合は、特に制限されない。例えば、上記プライマーセットを用いたときの2つのフォワードプライマー及びリバースプライマーの合計の添加割合は、0.01μmol/L〜50μmol/Lであることが好ましく、0.5μmol/L〜5μmol/Lであることがより好ましい。
また、2つのフォワードプライマーの合計の添加割合は、0.01μmol/L〜10μmol/Lであることが好ましく、0.1μmol/L〜1μmol/Lであることがより好ましい。リバースプライマーの添加割合は、0.05μmol/L〜50μmol/Lであることが好ましく、0.5μmol/L〜5μmol/Lであることがより好ましい。
PCR反応液におけるフォワードプライマーセット及びリバースプライマーの含有比率は特に限定されない。増幅効率及び野生型又は変異型への特異性を高くする観点から、前記フォワードプライマーセットの合計モル量と前記リバースプライマーの合計モル量との比は、1:1〜1:10であることが好ましく、1:2〜1:5であることがより好ましく、1:3〜1:4.5であることがさらに好ましい。
また、前記フォワードプライマーセットに含まれる、野生型のヒトEGFRのDNAのコード領域の2389番目の塩基を含む領域を特異的に増幅するためのフォワードプライマー(すなわち、配列番号8に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド)と、T2389A変異を有するヒトEGFRのDNAのコード領域の2389番目の塩基を含む領域を特異的に増幅するためのフォワードプライマー(すなわち、配列番号9に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチド)とのPCR反応液における含有比率は特に限定されない。増幅効率及び特異性を高くする観点から、0.5:2〜1:0.5であることが好ましく、0.8〜1.2:1.2〜0.8であることがさらに好ましい。特に好ましくは1:1である。
PCR反応液におけるその他の組成成分は、特に制限されず、従来公知の成分が挙げられ、その割合も特に制限されない。他の組成成分としては、DNAポリメラーゼ、ヌクレオシド三リン酸(dNTP)等のヌクレオチド、溶媒等が挙げられる。PCR反応液において、各組成成分の添加順序は何ら制限されない。
DNAポリメラーゼは特に制限されない。例えば、従来公知の耐熱性細菌由来のポリメラーゼが使用できる。具体例としては、テルムス・アクアティカス(Thermus aquaticus)由来DNAポリメラーゼ(米国特許第4889818号明細書及び米国特許第5079352号明細書を参照)(Taqポリメラーゼ(商品名))、テルムス・テルモフィラス(Thermus thermophilus)由来DNAポリメラーゼ(国際公開第91/09950号を参照)(rTth DNA polymerase)、ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)由来DNAポリメラーゼ(国際公開第92/9689号を参照)(Pfu DNA polymerase;Strategene社製)、テルモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)由来DNAポリメラーゼ(欧州特許第0455430号明細書を参照)(Vent(商標);New England Biolabs社製)等が商業的に入手可能である。中でも、テルムス・アクアティカス(Thermus aquaticus)由来の耐熱性DNAポリメラーゼが好ましい。
PCR反応液中のDNAポリメラーゼの添加割合は、目的核酸を増幅する目的で当業界において通常用いられる割合であればよい。
ヌクレオシド三リン酸としては、通常、dNTP(例えば、dATP、dGTP、dCTP、dTTP、dUTP等)が挙げられる。PCR反応液中のdNTPの添加割合は、目的核酸を増幅する目的で当業界において通常用いられる割合であればよい。
溶媒としては、Tris−HCl、Tricine、MES(2-morpholinoethanesulfonic acid)、MOPS(3-morpholinopropanesulfonic acid)、HEPES(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid)、CAPS(N-cyclohexyl-3-aminopropanesulfonic acid)等の緩衝液が挙げられ、典型的な実施態様においては、市販のPCR用緩衝液やPCRキットに付属の緩衝液等をそのまま使用すればよい。
また、PCR反応液には、グリセロール、ヘパリン、ベタイン、NaN、KCl、MgCl、MgSO等が含まれていてもよい。
PCRは、通常、二本鎖核酸の一本鎖核酸への解離(解離工程)、プライマーの鋳型核酸へのアニーリング(アニーリング工程)、DNAポリメラーゼによるプライマーからの核酸配列の伸長(伸長工程)の3工程を含む。各工程の条件は特に制限されない。解離工程の条件は、例えば、90℃〜99℃、1秒間〜120秒間が好ましく、92℃〜95℃、1秒間〜60秒間がより好ましい。アニーリング工程の条件は、例えば、40℃〜70℃、1秒間〜300秒間が好ましく、50℃〜70℃、5秒間〜60秒間がより好ましい。また、伸長工程の条件は、例えば、50℃〜80℃、1秒間〜300秒間が好ましく、50℃〜80℃、5秒間〜60秒間がより好ましい。サイクル数も特に制限されない。3工程を1サイクルとして、例えば、30サイクル以上が好ましい。上限は特に制限されない。
例えば、合計100サイクル以下、好ましくは70サイクル以下、より好ましくは50サイクル以下である。各工程の温度変化は、例えば、サーマルサイクラー等を用いて自動的に制御すればよい。なお、アニーリング工程と伸長工程とを同じ温度条件とし、2工程でPCRを行ってもよい。
以上のようにして、野生型のヒトEGFRのDNAのコード領域の2389番目の塩基を含む領域、及び存在する場合にはT2389A変異を有するヒトEGFRのDNAのコード領域の2389番目の塩基を含む領域についての増幅産物を得ることができる。
このようにして得られた増幅産物は、本開示のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブとハイブリダイズさせて、ハイブリッドを形成させることができる。
ハイブリッド形成工程では、上記増幅工程で得られた増幅産物の一本鎖増幅核酸と、ヒトEGFRのDNAのコード領域の2389番目の塩基を含む領域にハイブリダイズ可能な本開示のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブとのハイブリッドを形成させる。上記一本鎖増幅核酸は、例えば、反応液を加熱し、上記増幅工程で得られた増幅産物である二本鎖増幅核酸を解離することで調製することができる。
本開示のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブを反応液に添加するタイミングは特に制限されない。例えば、増幅工程前、増幅工程の開始時、増幅工程の途中、及び増幅工程後のいずれであってもよい。中でも、増幅工程前又は増幅工程の開始時に添加することが、増幅反応とハイブリダイゼーションとを連続的に行うことができるため好ましい。すなわち、上記増幅工程と上記ハイブリッド形成工程とが同時に進行することが、処理効率の観点から好ましい。
上記反応液におけるヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブの添加割合は特に制限されない。例えば、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブを10nmol/L〜400nmol/Lの範囲となるように添加することが好ましく、20nmol/L〜200nmol/Lの範囲となるように添加することがより好ましい。
上記一本鎖増幅核酸と本開示のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブとのハイブリダイゼーションの手法及び条件には、特に制限はない。二本鎖増幅核酸を解離して一本鎖増幅核酸にすること、一本鎖核酸同士をハイブリダイズすることを目的として当業界で既知の条件をそのまま適用すればよい。
例えば、解離における加熱温度は、上記増幅産物が解離できる温度であれば特に制限されないが、例えば、85℃〜95℃である。加熱時間も特に制限されないが、通常、1秒間〜10分間であり、好ましくは1秒間〜5分間である。また、解離した一本鎖増幅核酸と本開示のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブとのハイブリダイズは、例えば、解離後、解離における加熱温度を降下させることによって行うことができる。温度条件は、例えば40℃〜50℃である。
上記増幅工程において、本開示のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブと、本開示のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異増幅用フォワードプライマーセットと、任意にヒトEGFRのC797S(T2389A)変異増幅用リバースプライマーとを共存させる場合、本開示のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブがDNAポリメラーゼの反応対象となって本開示のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブ自体が伸長することを予防するために、本開示のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブの3’末端側に前掲の蛍光色素が付加されているか、リン酸基が付加されていることが好ましい。
また、本開示のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブと同じ配列を有するが蛍光標識されていないプローブを併用してもよい。これにより、例えば、検出する蛍光強度を調節することができる等の利点が得られる。このような未標識プローブは、その3’末端にリン酸基が付加されていてもよい。
(工程B)
工程Bは、前記ハイブリッドを含む試料溶液の温度を変化させることにより、前記ハイブリッドを解離させ、前記ハイブリッドの解離に基づくシグナルの変動を測定することを含む。
ハイブリッドの解離状態を示すシグナルの測定は、260nmの吸光度測定でもよいが、標識した蛍光色素の波長に応じて適宜設定することが好ましい。標識した蛍光色素に応じた波長とすることで、検出感度を高めることができる。例えば、蛍光色素として、Pacific Blueを用いる場合には、検出波長が450nm〜480nmであることが好ましく、TAMRAを用いる場合には、検出波長が585nm〜700nmであることが好ましく、BODIPY FL用いる場合には、検出波長が515nm〜555nmであることが好ましい。
上記ハイブリッドの解離状態に基づくシグナルの変動は、反応液の温度を変化させて行う。例えば、一本鎖増幅核酸と本開示のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブとのハイブリッドを含む上記反応液を加熱し、温度上昇に伴うシグナルの変動を測定する。前述のように、例えば、末端のC塩基が標識化された標識化プローブ(グアニン消光プローブ)を使用した場合、一本鎖増幅核酸とハイブリダイズした状態では蛍光が減少(又は消光)し、解離した状態では蛍光を発する。したがって、例えば、蛍光が減少(又は消光)しているハイブリッドを徐々に加熱し、温度上昇に伴う蛍光強度の増加を測定することにより、解離に基づくシグナルの変動を測定することができる。
シグナルの変動を測定する際の温度範囲は、特に制限されないが、例えば、開始温度が室温〜85℃、好ましくは25℃〜70℃であってよく、終了温度が40℃〜105℃であってよい。
また、温度の上昇速度は、特に制限されないが、例えば0.1℃/秒〜20℃/秒であってよく、好ましくは0.3℃/秒〜5℃/秒である。
なお、以上の説明では、上記蛍光強度測定工程においてハイブリッドを加熱し、温度上昇に伴う蛍光強度変動を測定するものとしたが、ハイブリッド形成時における蛍光強度の変動を測定するようにしてもよい。つまり、本開示のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブを含む反応液の温度を降下させてハイブリッドを形成する際に、温度降下に伴う蛍光強度の変動を測定してもよい。
具体例として、単独で蛍光強度を示し、かつハイブリッド形成により蛍光強度を示さない標識化プローブ(例えば、グアニン消光プローブ)を使用した場合、一本鎖増幅核酸と標識化プローブとが解離している状態では蛍光を発するが、温度の降下によりハイブリッドを形成すると、蛍光が減少(又は消光)する。したがって、例えば、反応液の温度を徐々に降下させて、温度降下に伴う蛍光強度の減少を測定することができる。
(工程C)
工程Cは、前記シグナルの変動に基づいて、前記ハイブリッドのTm値を決定することを含む。
Tm値の決定は、例えば、以下のようにして行うことができる。例えば、末端のC塩基が標識化された標識化プローブ(グアニン消光プローブ)を使用した場合、得られた蛍光強度の変動から、各温度における単位時間当たりの蛍光強度変化量を算出する。変化量を(−d(蛍光強度増加量)/dt)とする場合は、例えば、最も低い値を示す温度をTm値として決定することができる。また、変化量を(d(蛍光強度増加量)/dt)とする場合は、例えば、最も高い値を示す温度をTm値として決定することができる。
(工程D)
工程Dは、前記Tm値に基づいて、前記試料中の一本鎖核酸における、ヒトEGFR遺伝子の変異の存在を検出することを含む。
工程Dでは、工程Cにおいて決定されたTm値に基づいて、ヒトEGFR遺伝子におけるT2389A変異を検出することができる。
例えば、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブ及び検出目的配列により形成されたハイブリッドのTm値が、基準値として予め決定しておいたヒトEGFRのC797S(T2389A)変異を有する塩基配列と完全に相補的なハイブリッドのTm値と同じ又は同程度であれば、前記検出目的配列は、C797S(T2389A)変異型であると判断できる。
また、例えば、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブ及び検出目的配列により形成されたハイブリッドのTm値が、基準値として予め決定しておいた野生型の塩基配列とのハイブリッドのTm値と同じ又は同程度であれば、前記検出目的配列は、野生型であると判断できる。
ここで、Tm値が同程度とは、測定試料を用いて得られたTm値が、基準値のTm値の±10℃以内、好ましくは±5℃以内、より好ましくは±2℃以内、更に好ましくは±1℃以内であることを意味する。
典型的な実施態様において、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブと野生型由来の検出目的配列とは、ヒトEGFRのコード領域の2389番目の一塩基が異なるミスマッチを有する。それゆえ、前記ミスマッチに起因して、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブと野生型の塩基配列とのハイブリッドのTm値は、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブとヒトEGFRのC797S(T2389A)変異を有する塩基配列とのハイブリッドのTm値よりも、低くなる。
野生型のヒトEGFRの核酸配列と、及びT2389A変異型のヒトEGFRの核酸配列とが混在している場合に、T2389A変異の有無の判定を行うためには、温度と蛍光強度の微分値との関係で表される融解曲線(微分融解曲線ともいう)において、野生型ヒトEGFR及びT2389A変異型ヒトEGFRのそれぞれのTm値のピーク面積を算出して、それらを比較することによって行うこともできる。
まず、例えば、野生型の核酸(Wt)とT2389A変異型の核酸(Mt)との核酸混合物を含む試料について、融解曲線解析装置を用いて融解曲線を得る。
図1(A)に、ある1つの核酸混合物の温度と吸光度または蛍光強度等の検出信号(検出シグナル)との関係で表された融解曲線、及び同図(B)微分融解曲線を示す。この微分融解曲線からピークを検出することにより、核酸Wtの融解温度TmW及び核酸Mtの融解温度TmMを検出して、TmW及びTmMを含む温度範囲の各々を設定する。
TmWを含む温度範囲ΔTWとしては、例えば、TmWとTmMとの間で検出信号の微分値が最小となる温度を下限、検出信号のピークの裾野に対応する温度を上限とする温度範囲を設定することができる。また、TmMを含む温度範囲ΔTMとしては、例えば、TmWとTmMとの間で検出信号の微分値が最小となる温度を上限、検出信号のピークの裾野に対応する温度を下限とする温度範囲を設定することができる。
なお、温度範囲ΔTW及び温度範囲ΔTMは、同一の幅(例えば、10℃)または異なる幅(例えば、温度範囲ΔTWが10℃、温度範囲ΔTMが7℃)となるように設定してもよい。また、温度範囲ΔTW及び温度範囲ΔTMは、それぞれの融解温度TmからプラスX℃、マイナスX℃の幅(X℃は例えば15℃以内、望ましくは10℃以内)というように設定してもよい。
次に、温度範囲ΔTW及び温度範囲ΔTMの各々について、微分融解曲線の温度範囲の下限に対応する点と上限に対応する点とを通る直線と微分融解曲線とで囲まれた面積(図1(B)の斜線部分)を求める。面積の求め方の一例として、具体的に以下のように求めることができる。温度Tにおける検出信号の微分値をf(T)とし、温度Tにおけるベース値をB(T)として、下記(1)式により求める。
面積S={f(Ts+1)−B(Ts+1)}+{f(Ts+2)−B(Ts+2)}+{f(Te−1)−B(Te−1)} ・・・(1)
ただし、Tsは各温度範囲における下限値、Teは上限値である。また、各温度Tにおけるベース値B(T)は、下記(2)式により求まる値であり、検出信号に含まれるバックグラウンドレベルを表すものである。このベース値を検出信号の微分値から減算することにより、検出信号に含まれるバックグラウンドの影響を除去する。
B(T)=a×(T−Ts)+f(Ts) ・・・(2)
ただし、a={f(Te)−f(Ts)}/(Te−Ts)である。
上記(1)式及び(2)式に従って、前記核酸混合物について、温度範囲ΔTWにおける面積SW及び温度範囲ΔTMにおける面積SMを求め、面積比によって野生型のヒトEGFRと、T2389A変異型のヒトEGFRの存在の有無を判定することができる。
面積比は、下記(3)式により求めることができる。
面積比(%)=(SM/SW)×100 ・・・(3)
例えば、ヒトEGFR遺伝子のT2389A変異型の存在の有無の判定は、上記(3)式の面積比のカットオフ値を10%と設定し、10%以上であればT2389A変異型のヒトEGFRが存在する(陽性)であると判定してもよい。カットオフ値は、希望する検出感度及び特性に応じて適宜設定すればよい。
以下、本開示を実施例により更に具体的に説明するが、本開示はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
図2には、一実施態様における、ヒトEGFRのDNA配列におけるプローブ及びプライマー(セット)の位置関係を模式的に示した。図2において、配列番号1は、ヒトEGFRのゲノムDNA由来の配列を示し、配列番号2はプローブを示し、配列番号8及び9はフォワードプライマーセットを示し、配列番号10はリバースプライマーを示す。
配列番号2における丸部分は、一実施態様における蛍光色素の標識部位を示す。
配列番号8及び9に記載されている「×」部分は、プライマーダイマーの形成を抑制するために人工的に変異を導入した塩基部分に対応する。また、配列番号8及び9の3’末端部分に対応する塩基Tは、ヒトEGFRのT2389A変異に対応する塩基部分である。
<プローブのスクリーニング>
ヒトEGFRのT2389A変異の有無によってTm値に差があり、かつ、野生型(WT)のEGFR及びT2389A変異型(Mt)のEGFRの両方にそれぞれ単一のTm値のピークを示すプローブのスクリーニングを行った。
プローブの相補鎖として、野生型ヒトEGFRのコード領域の2389番目の塩基を含むヌクレオチド配列(配列番号14)、及びT2389A変異型ヒトEGFRのコード領域の2389番目の塩基を含むヌクレオチド配列(配列番号15)をIntegrated DNA Technologies社に製造委託して人工的に合成したものを得た。配列番号14及び配列番号15の塩基配列を下記表1に示す。
また、配列番号2に示す塩基配列を有し、3’末端のシトシンが蛍光色素TAMRAで標識されている蛍光標識オリゴヌクレオチド(P1)、配列番号2に示す塩基配列を有し、5’末端のシトシンが蛍光色素TAMRAで標識されている蛍光標識オリゴヌクレオチド(P2)、配列番号3に示す塩基配列を有し、5’末端のシトシンが蛍光色素TAMRAで標識されている蛍光標識オリゴヌクレオチド(P3)、配列番号4に示す塩基配列を有し、3’末端のシトシンが蛍光色素TAMRAで標識されている蛍光標識オリゴヌクレオチド(P4)を日鉄住金環境株式会社に製造委託して人工的に合成したものを得た。なお、P1とP2とは、塩基配列が同じ(配列番号2)であり、蛍光色素TAMRAが標識される末端のみが異なる。P1〜P4の塩基配列及び蛍光色素TAMRAの位置を下記表2に示す。
下記表3に示す組成で反応液を調製し、下記表4に示す温度条件でTm値の測定を行った。なお、Tm値の測定は、自動遺伝子解析装置(商品名i−densy、アークレイ社製)を用いて行った。

Tm値の測定結果を図3に示す。図3のグラフは、面積解析ソフトidensy AreaAna(アークレイ社)で作製した。図3に示されているように、プローブ(Probe)としてP1又はP2を用いた場合には、ヒトEGFRにT2389A変異の有無でTm値に差があり、かつ、野生型(WT)のEGFR及びT2389A変異型(Mt)EGFRの両方でそれぞれ単一のTm値のピークを有することが示された(判定:○)。従って、P1及びP2は、本開示のプローブとして特に有用であることが示された。
また、プローブとしてP3を用いた場合には、Tm値のピークの単一性がWTで若干弱かったものの、実用的に使用できるレベルであり、有用であることが示された(判定:△)。
他方、プローブとしてP4を用いた場合には、WTにおいて複数のTm値のピークが示され、Mtのピークに膨らみがあることから、プローブとしての実用性は不十分であると判断された(判定:×)。
<プライマーのスクリーニング>
ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異を特異的かつ高感度に検出し得るプライマーセットについて検討した。この検討に用いたプローブ及びプライマーの塩基配列、及びプローブ蛍光色素に関する情報は、下記表5に記載した通りである。
また、以下の表6〜表12に示す組成で反応液を調製した。なお、P−mixには、P−mixA、P−mixB、又はP−mixCのいずれかを使用した。
表11において、「Human Genomic DNA」は、Roche diagnostics社から入手した。「Human Genomic DNA(10000cp/μl)」は、Human Genomic DNAが10000cp(コピー)/μlであることを示す。
また、「EGFR−T2389A−Mt 3%(10000cp/μl)」は、テンプレート(template)DNAのうち、3%がヒトEGFRのC797S(T2389A)変異型合成DNA(EGFR−T2389A−Mt)であり、残りが野生型合成DNAであることを示す。
また、「EGFR−T2389A−Mt 0.3%(10000cp/μl)」は、テンプレート(template)DNAのうち、0.3%がヒトEGFRのC797S(T2389A)変異型合成DNA(EGFR−T2389A−Mt)であり、残りが野生型合成DNAであることを示す。
野生型合成DNAの塩基配列は配列番号1であり、変異型合成DNAの塩基配列は配列番号16の通りである。野生型および変異型の合成DNAはGenScript社に製造委託して人工的に合成したものを得た。
上記反応液を用いて、下記表13に示す条件でPCR反応を行った後、Tm値の解析を行った。
PCR反応およびTm値の測定には、自動遺伝子解析装置(商品名i−densy、アークレイ社製)を用いた。
上記Tm値の解析結果を図4に示す。
リバースプライマーのセットとして配列番号12及び13のヌクレオチド配列を用いた場合、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異型(Mt)がテンプレートに0.3%含まれる試料で、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異型を示すピークが認められたが、テンプレートが野生型(WT)のみの試料では、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異型を示すピークが偽陽性として認められた。
従って、リバースプライマーのセットとして配列番号12及び13のヌクレオチド配列を用いる場合は、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異型の検出に不適切であると判断した。
フォワードプライマーのセットとして配列番号6及び7のヌクレオチド配列を用いた場合、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異型(Mt)がテンプレートに3%含まれる試料であっても、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異型を示すピークがほとんど検出されなかった。
従って、フォワードプライマーのセットとして配列番号6及び7のヌクレオチド配列を用いる場合は、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異型の検出に不適切であると判断した。
フォワードプライマーのセットとして配列番号8及び9のヌクレオチド配列を用いた場合、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異型(Mt)がテンプレートに3%含まれる試料において、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異型を示すピークがはっきりと検出された。これに対し、テンプレートが野生型(WT)のみの試料では、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異型を示すピークが認められなかった。
従って、フォワードプライマーのセットとして配列番号8及び9のヌクレオチド配列を用いる場合は、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異型の検出に適切であると判断した。
<最小検出感度に基づく性能評価>
上記実施例において優れた効果を示したプローブ、及びプライマーセットを用いて、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異の最小検出感度を検討した。上記検討に用いたプローブ及びプライマーの塩基配列、及びプローブ蛍光色素に関する情報は、下記表20に記載した通りである。

以下の表15〜表19に示す組成で反応液を調製した。
「Human Genomic DNA(10000cp/μl)」は、Human Genomic DNAが10000cp(コピー)/μlであることを示す。
また、「EGFR−T2389A−Mt 0.3%(10000cp/μl)」は、テンプレート(template)DNAのうち、0.3%がヒトEGFRのC797S(T2389A)変異型合成DNA(EGFR−T2389A−Mt)であり、残りが野生型合成DNAであることを示す。同様に、Mtについての「%」部分は、野生型合成DNAに含まれるヒトEGFRのC797S(T2389A)変異型(EGFR−T2389A−Mt)の割合を示す。
野生型合成DNAの塩基配列は配列番号1であり、変異型合成DNAの塩基配列は配列番号16である。野生型および変異型の合成DNAはGenScript社に製造委託して人工的に合成したものを得た。
上記反応液を用いて、下記表20に示す条件でPCR反応を行ない、Tm値の解析を行った。PCR反応およびTm値の測定には、自動遺伝子解析装置(商品名i−densy、アークレイ社製)を用いた。
上記Tm値の解析結果を図5に示す。この結果、ヒトEGFRの野生型の塩基配列を有するテンプレートに、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異型の塩基配列を有するテンプレートが0.0125%(Mt 0.0125%)以上含まれている場合に、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異が良好に検出されることが示された。
本開示によれば、操作が簡便で、高価な装置を必要とせず、かつ高感度なC797S変異の検出を可能にする、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブ及びヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用キットを提供することができる。

Claims (8)

  1. 下記(I)〜(IV)からなる群から選択される少なくとも一種の蛍光標識オリゴヌクレオチドである、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブ。
    (I)配列番号2に示す塩基配列を有し、5’末端のシトシンが蛍光色素で標識されている蛍光標識オリゴヌクレオチド、
    (II)配列番号2に示す塩基配列を有し、3’末端のシトシンが蛍光色素で標識されている蛍光標識オリゴヌクレオチド、
    (III)配列番号3に示す塩基配列を有し、5’末端のシトシンが蛍光色素で標識されている蛍光標識オリゴヌクレオチド、及び、
    (IV)配列番号3に示す塩基配列を有し、3’末端のシトシンが蛍光色素で標識されている蛍光標識オリゴヌクレオチド。
  2. 前記蛍光色素が、フルオレセイン、リン光体、ローダミン、及びポリメチン色素誘導体からなる群から選択される、請求項1に記載のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブ。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブ、及び、配列番号8に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号9に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとを含むヒトEGFRのC797S(T2389A)変異増幅用フォワードプライマーセットを含む、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用キット。
  4. 配列番号10に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであるヒトEGFRのC797S(T2389A)変異増幅用リバースプライマーを更に含む、請求項3に記載のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用キット。
  5. 請求項1又は請求項2に記載のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブを試料中の一本鎖核酸と接触させて、前記ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異検出用プローブと前記一本鎖核酸とのハイブリッドを形成させること、
    前記ハイブリッドを含む試料溶液の温度を変化させることにより、前記ハイブリッドを解離させ、前記ハイブリッドの解離に基づくシグナルの変動を測定すること、
    前記シグナルの変動に基づいて、前記ハイブリッドのTm値を決定すること、及び、
    前記Tm値に基づいて、前記試料中の一本鎖核酸における、ヒトEGFR遺伝子の変異の存在を検出すること、
    を含む、ヒトEGFRのC797S(T2389A)変異の検出方法。
  6. 前記一本鎖核酸が、配列番号8に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号9に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとを含むヒトEGFRのC797S(T2389A)変異増幅用フォワードプライマーセットを用いたPCRにより得られた二本鎖核酸を解離した産物である、請求項5に記載のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異の検出方法。
  7. 前記一本鎖核酸が、配列番号8に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと配列番号9に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドとを含むヒトEGFRのC797S(T2389A)変異増幅用フォワードプライマーセット、並びに、配列番号10に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであるヒトEGFRのC797S(T2389A)変異増幅用リバースプライマーを用いたPCRにより得られた二本鎖核酸を解離した産物である、請求項5に記載のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異の検出方法。
  8. 前記試料が、全血、口腔粘膜等の口腔内細胞、爪、毛髪等の体細胞、生殖細胞、喀痰、羊水、パラフィン包埋組織、尿、胃液、胃洗浄液、又はこれらの懸濁液である、請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載のヒトEGFRのC797S(T2389A)変異の検出方法。
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