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JP2019059708A - ポリ−γ−グルタミン酸化合物、該ポリ−γ−グルタミン酸化合物の製造方法、電気化学素子用バインダー、及び電気化学素子 - Google Patents

ポリ−γ−グルタミン酸化合物、該ポリ−γ−グルタミン酸化合物の製造方法、電気化学素子用バインダー、及び電気化学素子 Download PDF

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悠 石原
Yu Ishihara
悠 石原
津野 利章
Toshiaki Tsuno
利章 津野
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

【課題】電気化学デバイスの性能を向上させることができるポリ−γ−グルタミン酸化合物の提供。
【解決手段】ハロゲン元素の含有量が4000質量ppm以下であり、F、Cl、Br、Iの夫々の含有量が2000質量ppm以下であるであるポリ−γ−グルタミン酸化合物。その重量平均分子量が、ポリエチレングリコール換算で50,000〜9,000,000であるポリ−γ−グルタミン酸化合物。カルポキシ基の対カチオンの70%以上が、アルカリ金属イオン及び水素イオンであり、50%以上が水素イオンであることが好ましい、ポリ−γ−グルタミン酸化合物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリ−γ−グルタミン酸化合物、ポリ−γ−グルタミン酸化合物の製造方法、電気化学素子用バインダー、及び電気化学素子に関する。
ポリ−γ−グルタミン酸は、微生物を利用した発酵により得られることが知られており、機能性高分子として食品、化粧品、医薬等に応用されている。
近年では、リチウムイオン電池の負極用のバインダーとして、水に溶解可能なポリ−γ−グルタミン酸ナトリウム等を用いることが開示されており、ポリ−γ−グルタミン酸ナトリウムに黒鉛とシリコンを混合して製造した負極によって、サイクル特性が向上することが開示されている(非特許文献1)。
ACS Sustainable Chem.Eng.,2017,5(7),pp6343−6355
本発明は、電気化学デバイスの性能を向上させることができるポリ−γ−グルタミン酸化合物を提供するものである。
本発明によれば、以下のポリ−γ−グルタミン酸化合物等が提供される。
1.ハロゲン元素の含有量が4000質量ppm以下である、ポリ−γ−グルタミン酸化合物。
2.塩素の含有量が2000質量ppm以下である1に記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物。
3.フッ素、塩素、臭素及びヨウ素の含有量がそれぞれ2000質量ppm以下である1又は2に記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物。
4.重量平均分子量が、ポリエチレングリコール換算で50,000〜9,000,000である1〜3のいずれかに記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物。
5.カルボキシル基の対カチオンの70%以上が、アルカリ金属イオン及び水素イオンから選択される1以上である1〜4のいずれかに記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物。
6.カルボキシル基の対カチオンの50%以上が、水素イオンである1〜5のいずれかに記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物。
7.ポリ−γ−グルタミン酸化合物水溶液を調製する工程と、前記ポリ−γ−グルタミン酸化合物水溶液に酸を加えて再析出させる工程とを含むポリ−γ−グルタミン酸化合物の製造方法。
8.前記酸が無機酸である7に記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物の製造方法。
9.前記無機酸が、リン酸、硫酸、又は硫酸水素塩である8に記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物の製造方法。
10.前記再析出させたポリ−γ−グルタミン酸化合物を水で洗浄する工程を含む7〜9のいずれかに記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物の製造方法。
11.前記水のハロゲン含有量が、100質量ppm以下である10に記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物の製造方法。
12.前記酸を加える前に、前記ポリ−γ−グルタミン酸化合物水溶液に無機塩基を加えて、前記ポリ−γ−グルタミン酸水溶液の水素イオン濃度指数を調整する工程を含む7〜11のいずれかに記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物の製造方法。
13.前記無機塩基が、カリウム、ナトリウム及びリチウムから選択されるアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩又は炭酸水素塩である12に記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物の製造方法。
14.前記無機塩基のハロゲン含有量が、100質量ppm以下である12又は13に記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物の製造方法。
15.前記水素イオン濃度指数をpH3〜10に調整する12〜14のいずれかに記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物の製造方法。
16.前記pHが3〜10であるポリ−γ−グルタミン酸化合物水溶液に前記酸を加えて、pHを1〜2.5として、前記ポリ−γ−グルタミン酸化合物を再析出させる工程を含む15に記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物の製造方法。
17.前記酸のハロゲン含有量が、100質量ppm以下である7〜16のいずれかに記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物の製造方法。
18.1〜6のいずれかに記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物を含む電気化学素子用バインダー。
19.18に記載のバインダーを用いた電気化学素子。
本発明によれば、電気化学デバイスの性能を向上させることができるポリ−γ−グルタミン酸化合物が提供できる。
本発明のポリ−γ−グルタミン酸化合物を正極及び/又は負極に用いたリチウムイオン二次電池の一実施形態を示す概略断面図である。
<ポリ−γ−グルタミン酸化合物>
本発明のポリ−γ−グルタミン酸化合物は、ハロゲン元素の含有量が4000質量ppm以下である。
ポリ−γ−グルタミン酸化合物を、リチウムイオン電池等の電気化学素子に用いる場合において、ポリ−γ−グルタミン酸化合物に含まれるハロゲン元素が微量であっても、電気化学素子部材の腐食を生じさせ、電気化学素子の大きな性能低下を引き起こすことになる。本発明のポリ−γ−グルタミン酸化合物は、ハロゲン元素の含有量が、電気化学素子の性能低下が起こらないほどに低減されたポリ−γ−グルタミン酸化合物である。
尚、本発明において「ポリ−γ−グルタミン酸化合物」とは、ポリ−γ−グルタミン酸単体とポリ−γ−グルタミン酸の塩を含む意味である。
ポリ−γ−グルタミン酸化合物のハロゲン元素の含有量は、4000質量ppm以下であり、好ましくは1000質量ppm以下であり、より好ましくは500質量ppm以下であり、さらに好ましくは100質量ppm以下である。ハロゲン元素の含有量の下限は、理想的には0質量ppmである。
ポリ−γ−グルタミン酸化合物が含むハロゲン元素のうち、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素の含有量は、それぞれ2000質量ppm以下であると好ましく、より好ましくは1000質量ppm以下であり、さらに好ましくは500質量ppm以下であり、特に好ましくは100質量ppm以下である。フッ素、塩素、臭素及びヨウ素の含有量の下限は、理想的にはそれぞれ0質量ppmである。
上記ハロゲン元素のうち、塩素は、微生物を利用した発酵で通常得られるポリ−γ−グルタミン酸化合物中に含まれる可能性が最も高い。ポリ−γ−グルタミン酸化合物の塩素の含有量は2000質量ppm以下であると好ましく、より好ましくは1000質量ppm以下であり、さらに好ましくは500質量ppm以下であり、特に好ましくは100質量ppm以下である。塩素の含有量の下限は、理想的には0質量ppmである。
ポリ−γ−グルタミン酸化合物に含まれるハロゲン元素の含有量は、実施例に記載の燃焼イオンクロマトグラフィーによって定量可能である。
本発明のポリ−γ−グルタミン酸化合物の重量平均分子量(Mw、PEG換算)は、50,000以上9,000,000以下であると好ましく、80,000以上7,000,000以下であるとより好ましく、100,000以上6,000,000以下であるとさらに好ましい。
ポリ−γ−グルタミン酸化合物の重量平均分子量が50,000以上であれば、樹脂として使用する際に十分な強度を発揮することが期待され、分子鎖の絡み合いが得られるので、例えば電気化学素子のバインダーとして用いた際の結着性も良好になることが期待できる。また、ポリ−γ−グルタミン酸化合物の重量平均分子量が9,000,000以下であれば、ポリ−γ−グルタミン酸化合物の水への溶解性が得られ、バインダーとして用いた際に塗工可能な粘度の電極組成物を調製することが可能となる。
ポリ−γ−グルタミン酸化合物の重量平均分子量の測定は、ゲルパーミッションクロマトグラフィーで行うことができる。例えば、カラムに東ソー製TSKgel GMPWXL 2本、溶媒として0.2M NaNO aq.、示差屈折率(RI)検出器として日本分光製 RI−1530を用いて、標準サンプルとして東ソー製 TSKgel std PEO及びAgilent製 PEGを用いて3次の検量線を引いてポリエチレングリコール換算で測定できる。サンプル濃度は0.3質量%(以降wt%と記載する。)程度とするとよい。
ポリ−γ−グルタミン酸化合物は、例えば下記式(1)で表される構造を有し、カルボキシル基には対カチオンXが存在する。
Figure 2019059708
(式(1)中、Xは、水素イオン又は金属イオンであり、nは繰り返し数である。)
ポリ−γ−グルタミン酸化合物のカルボキシル基の対カチオンは、例えば水素イオン及び金属イオンから選択される1以上であり、好ましくは水素イオン、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンから選択される1以上であり、より好ましくは水素イオン及びアルカリ金属イオンから選択される1以上であり、さらに好ましくは水素イオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン及びカリウムイオンから選択される1以上である。
対カチオンが、水素イオン、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンから選択される1以上であれば、電気化学素子等の内部で金属の析出、触媒作用による不具合を起こしにくく、特にリチウムイオン、ナトリウムイオン及びカリウムイオンから選択される1以上であれば、これらイオンは良好な水溶性を持つため、ポリ−γ−グルタミン酸化合物を水溶性ポリマーとして使用し易い。
ポリ−γ−グルタミン酸化合物の中和度(=カルボキシレート基部位/(カルボキシル基部位+カルボキシレート基部位)×100)は特に制限されないが、対カチオンの70%以上が水素イオン及びアルカリ金属イオンから選択される1以上であると好ましい。
活物質として、活物質1gを10mLの水に分散させた際にpHが8以上となる塩基性の高い活物質を用いる場合、ポリ−γ−グルタミン酸化合物の中和度は低いほうが好ましく、電極組成物のアルカリ化による集電体の腐食を抑制することが可能である。この際、ポリグルタミン酸化合物のカルボキシル基の対カチオンのうち50%以上が水素イオンであることが好ましく、70%以上が水素イオンであることがさらに好ましく、90%以上が水素イオンであることが特に好ましい。但し、好ましい水素イオンの含有量は、活物質が含有するアルカリ物質の量により異なる。
一方、活物質として、活物質1gを10mLの水に分散させた際にpHが8未満となる塩基性の低い活物質を用いる場合、ポリ−γ−グルタミン酸化合物の中和度は高いほうが好ましい。この際、ポリグルタミン酸化合物のカルボキシル基の対カチオンのうち30%以上が金属イオンであることが好ましく、50%以上が金属イオンであることがより好ましく、80%以上が金属イオンであることがさらに好ましい。カルボキシル基の中和度が30%以上であれば良好な水溶性が期待できる。
ポリ−γ−グルタミン酸化合物中のカルボキシル基の対カチオンの種類及び量は、たとえば元素分析(CHNコーダー法及びICP分光分析法)により元素比を確認することで評価できる。
<ポリ−γ−グルタミン酸化合物の製造方法>
ポリ−γ−グルタミン酸化合物は、通常、微生物発酵によって調製される。微生物発酵では、微生物発酵後に塩酸等のハロゲンイオンを含む酸によって中和する工程を含むため、ポリ−γ−グルタミン酸化合物にはハロゲンイオンが混入しやすい。ポリ−γ−グルタミン酸化合物は、食品、化粧品、医療品等が主な用途のため、中和後に生じるNaCl等の塩が含まれていても特に問題は生じないが、電気化学素子用途では性能低下の原因となる。
上記のように、ポリ−γ−グルタミン酸化合物は、微生物発酵を経由して得られるという性質上、ハロゲンイオンを多く含み、水及び有機溶媒による洗浄のみでは、ハロゲンの含有量を4000質量ppm以下とすることは実質的にできない。
本発明のポリ−γ−グルタミン酸化合物の製造方法は、ポリ−γ−グルタミン酸化合物水溶液を調製する工程と、ポリ−γ−グルタミン酸化合物水溶液に酸を加えて再析出させる工程とを含む。
再析出させる前の未精製のポリ−γ−グルタミン酸化合物は、公知の方法により調製することができる。
具体的には、バチルス・ズブチルスに属する納豆菌を培養することで、ポリ−γ−グルタミン酸化合物を生成し、培養物から分離及び採取することにより、未精製のポリ−γ−グルタミン酸化合物を調製できる。
培養物からの未精製のポリ−γ−グルタミン酸化合物の分離及び採取は、公知の方法を採用でき、例えば下記(1)〜(6)のいずれかが採用できる:
(1)固体培養物から20%以下の食塩水により抽出分離法する方法(特開平3−30648号公報)
(2)硫酸銅による沈殿法(Throne.B.C.,C.C.Gomez,N.E.Noues and R.D.Housevright:J.Bacteriol.,68巻、307頁、1954年)
(3)アルコール沈殿法(R.M.Vard,R.F.Anderson and F.K.Dean:Biotechnologyand Bioengineering,5巻、41頁、1963年;又は、沢純彦、村川武雄、村尾沢夫、大亦正次郎:農化、47巻、159〜165頁、1973年;又は、藤井久雄:農化、37巻、407〜412頁、1963年等)
(4)架橋化キトサン成形物を吸着剤とするクロマトグラフィー法(特開平3−244392号公報等)
(5)分子限外濾過膜を使用する分子限外濾過法
(6)上記(1)〜(5)の1以上を適宜組合せた方法
上記(1)〜(6)の方法で分離した未精製のポリ−γ−グルタミン酸化合物は、必要に応じて公知の方法で濃縮、熱風乾燥、凍結乾燥等の操作を施し、ポリ−γ−グルタミン酸化合物の含有液、又はポリ−γ−グルタミン酸化合物の粉末としてよい。
得られた未精製のポリ−γ−グルタミン酸化合物を水に溶解して、ポリ−γ−グルタミン酸化合物水溶液とする。
ポリ−γ−グルタミン酸化合物水溶液が、水に溶解しない、酸の状態のポリ−γ−グルタミン酸化合物を含む場合、再析出する前に無機塩基を加えて、水に溶解しないポリ−γ−グルタミン酸化合物を水に溶解させると好ましい。
この際、無機塩基を加えることで、ポリ−γ−グルタミン酸化合物水溶液の水素イオン濃度指数を調整すると好ましく、pHを3〜10に調整するとより好ましい。水素イオン濃度指数は、さらに好ましくは3.5〜9であり、特に好ましくは3.5〜8である。
ポリ−γ−グルタミン酸化合物水溶液のpHが3以上であれば、ポリ−γ−グルタミン酸化合物が均一に水に溶解し、酸による再析出によって固体内に残存したハロゲンイオンも良好に取り除くことができる。また、ポリ−γ−グルタミン酸化合物水溶液のpHが10以下であれば、ポリ−γ−グルタミン酸化合物が分解し、低分子量化するおそれが少ない。
尚、ポリ−γ−グルタミン酸化合物水溶液の水素イオン濃度指数は、ガラス電極式水素イオン度計TES−1380(カスタム社製)等により確認できる。
ポリ−γ−グルタミン酸化合物水溶液に加える無機塩基としては、カリウム、ナトリウム及びリチウムから選択されるアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩又は炭酸水素塩が好ましく、入手性、発泡性の観点から、カリウム、ナトリウム及びリチウムから選択されるアルカリ金属の水酸化物がより好ましい。
無機塩基のハロゲン含有量は、100質量ppm以下であると好ましく、50質量ppm以下であるとより好ましく、10質量ppm以下であるとさらに好ましい。無機塩基のハロゲン含有量の下限は、理想的には0質量ppmである。
無機塩基のハロゲン含有量が100質量ppm以下であれば粗精製ポリ−γ−グルタミン酸化合物のハロゲン量を増加させるおそれがない。
無機塩基のハロゲン含有量は、水に溶解させてイオンクロマトグラフィーにより確認できる。
無機塩基の添加は、ポリ−γ−グルタミン酸化合物の加水分解によるアミド基の開裂を抑制するため、ポリ−γ−グルタミン酸化合物水溶液の温度を、例えば40℃以下、好ましくは30℃以下、さらに好ましくは10℃以下にして行うとよい。
尚、無機塩基ではなく有機塩基の場合、有機塩基は、求核性を持つアミン等であることが多く、ポリグルタミン酸を分解するおそれがある。また、求核性のない有機塩基は、通常、高価であるためにコスト面で不利である。
ポリ−γ−グルタミン酸化合物の再析出に用いる酸は、無機酸であると好ましく、リン酸、硫酸、又は硫酸水素塩であるとより好ましく、リン酸又は硫酸であるとさらに好ましい。
特にリン酸は、リン酸トリリチウム塩がリチウムイオン電池内で良好な働きをすることが開示されており(特開2016−197563号公報)、リン酸が微量に残存したとしても使用上の問題になりにくい。
尚、有機酸を用いた場合、ポリグルタミン酸との親和性が高いため、分離が困難になる可能性がある。
ポリ−γ−グルタミン酸化合物の再析出に用いる酸のハロゲン含有量は、100質量ppm以下であると好ましく、50質量ppm以下であるとより好ましく、10質量ppm以下であるとさらに好ましい。酸のハロゲン含有量の下限は、理想的には0質量ppmである。
酸のハロゲン含有量が100質量ppm以下であれば、再析出したポリ−γ−グルタミン酸化合物(精製ポリ−γ−グルタミン酸化合物)のハロゲン量を増加させるおそれがない。
酸のハロゲン含有量は、イオンクロマトグラフィーにより確認できる。
酸を加えてポリ−γ−グルタミン酸化合物を再析出する際、ポリ−γ−グルタミン酸化合物水溶液のpHを2.5以下にして再析出すると好ましい。さらに好ましくは2以下、特に好ましくは1.5以下である。pHが2.5以下であれば溶解していた酸を加えてポリ−γ−グルタミン酸化合物が十分に析出し、収率が低下するおそれがない。
尚、過度の酸を加えることでポリ−γ−グルタミン酸化合物が加水分解するおそれがあるためpHは1以上とするとよい。
再析出したポリ−γ−グルタミン酸化合物を水で洗浄すると好ましい。水で洗浄することで、再析出したポリ−γ−グルタミン酸化合物中に残存した酸を低減することができる。
洗浄に用いる水のハロゲン含有量は、100質量ppm以下であると好ましく、50質量ppm以下であるとより好ましく、10質量ppm以下であるとさらに好ましい。水のハロゲン含有量の下限は、理想的には0質量ppmである。
水のハロゲン含有量が100質量ppm以下であれば、再析出したポリ−γ−グルタミン酸化合物(精製ポリ−γ−グルタミン酸化合物)のハロゲン量を増加させるおそれがない。
水のハロゲン含有量は、イオンクロマトグラフィーにより確認できる。
本発明の製造方法により得られる精製ポリ−γ−グルタミン酸化合物は、系内に求核性のイオンが少ないため、酸の状態で長期間保管しても分子量低下が少なく、長期間の保管が可能である。
また、ハロゲン量が低減された精製ポリ−γ−グルタミン酸化合物は、電気化学素子、半導体等の電子部品に関連する分野においても金属の腐食等を問題を生じさせることがない。例えばリチウムイオン電池用のバインダーとして精製ポリ−γ−グルタミン酸化合物を用いた場合、電極製造時の金属箔の腐食、電池使用時の活物質の腐食やガス発生のおそれがなくなり、長期間安定して電池を使用できる。
<電気化学素子用バインダー>
本発明のポリ−γ−グルタミン酸化合物は、電気化学素子の材料として好ましく用いることができ、電気化学素子用のバインダーとしてより好ましく用いることができる。
電気化学素子用のバインダーとしては、有機溶媒であるN−メチルピロリドン(NMP)を溶媒とした、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むバインダーが従来知られている。本発明のポリ−γ−グルタミン酸化合物は、水系溶媒に可溶であるため、従来のバインダーに比べ、少ない環境負荷で電気化学素子の部材を製造可能である。また、本発明のポリ−γ−グルタミン酸化合物は、ハロゲン元素の含有量が4000質量ppm以下であるので、バインダー塗工時の集電体の腐食、当該腐食による特性劣化、酸化側での腐食性ガスの発生、並びに発生したガスによる電極活物質及び集電体の腐食を防ぐことができ、安定性に優れた電気化学素子を構築できる。
本発明の電気化学素子用バインダーは、本発明のポリ−γ−グルタミン酸化合物を含む。
本発明のポリ−γ−グルタミン酸化合物の含有量は、好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、特に好ましくは50質量%以上である。ポリ−γ−グルタミン酸化合物の含有量が10質量%以上であればバインダーの良好な結着性が期待できる。
本発明のバインダーは、本質的に、本発明のポリ−γ−グルタミン酸化合物、並びに任意に含まれる溶媒、及び任意に含まれるその他の成分からなってもよい。本発明のバインダーの、例えば70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上が、本発明のポリ−γ−グルタミン酸化合物、並びに任意に含まれる溶媒、及び任意に含まれるその他の成分であってもよい。また、本発明のバインダーは、本発明のポリ−γ−グルタミン酸化合物及び任意に含まれる溶媒及び任意に含まれるその他の成分のみからなってもよい。この場合、不可避不純物を含んでもよい。
ここで「その他の成分」とは、エマルション、分散剤、その他の水溶性高分子、pH調整剤等である。
バインダーは、通常、溶媒を含み、好ましくは当該溶媒として水を含むバインダーである。溶媒における水の含有量は多いほど好ましく、例えば10質量%、30質量%、50質量%、70質量%、80質量%、90質量%、100質量%の順に好ましい。即ち、バインダーの溶媒が水のみであるのが最も好ましい。
バインダーが水を多く含む水系バインダーであることで、環境負荷を小さくすることができ、且つ、溶媒回収コストも低減することができる。
バインダーが含みうる水以外の溶媒としては、例えば、エタノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒、アセトン、NMP、エチレングリコール等が挙げられる。但し、水以外の溶媒はこれらに限定されるものではない。
バインダーが含むエマルションは特に限定されないが、(メタ)アクリル系ポリマー、ニトリル系ポリマー、ジエン系ポリマー等の非フッ素系ポリマー;PVDFやPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系ポリマー(フッ素含有重合体)等が挙げられる。
エマルションは、粒子間の結着性と柔軟性(膜の可とう性)に優れるものが好ましい。この観点から、(メタ)アクリル系ポリマー、ニトリル系ポリマー、及び(メタ)アクリル変性フッ素系ポリマーが例示される。
バインダーが含む分散剤としては、特に制限されず、アニオン性、ノニオン性もしくはカチオン性の界面活性剤、又は、スチレンとマレイン酸との共重合体(ハーフエステルコポリマー−アンモニウム塩を含む)等の高分子分散剤等の種々の分散剤を用いることができる。
バインダーが分散剤を含む場合には、後述する導電助剤100質量部に対して5〜20質量部含有することが好ましい。分散剤の含有量がこのような範囲であると、導電助剤を充分に微粒子化でき、且つ活物質を混合した場合の分散性を充分に確保することが可能となる。
バインダーが含むその他の水溶性高分子としては、ポリオキシアルキレン、水溶性セルロース、ポリアクリル酸及びその中和物等が挙げられる。
バインダーが含むpH調整剤は、特に限定されず、弱酸であると好ましい。当該弱酸としては、シュウ酸、酢酸等の有機酸;リン酸、炭酸、ホウ酸等のオキソ酸;これら有機酸又はオキソ酸のエステル;これら有機酸又はオキソ酸の部分中和物;ポリアクリル酸、ポリビニルリン酸等のポリマー酸が好ましく、リン酸、リン酸のエステル、又はリン酸の部分中和物がより好ましい。これらの弱酸であれば、pHを適切に調整しやすく、また、活物質を腐食するおそれも少ない。尚、ここで「部分中和物」とは、例えばリン酸の部分中和物であれば、リン酸二水素リチウム等のリン酸の電離可能なプロトンのうち1つ分のみをリチウムで中和した化合物が含まれる意味である。
pH調整剤が強酸である場合、活物質を腐食したり、pHが下がりすぎるおそれがある。
バインダーがpH調整剤を含むことで、当該バインダーを含む電極組成物のpHを、集電体が腐食しない範囲に調整することができる。
バインダーがpH調整剤を含む場合、pH調整剤の含有量は、目的とする電極組成物が含む活物質100wt%に対して10wt%以下となるようにすると好ましく、5wt%以下となるようにするとより好ましく、2wt%以下となるようにするとさらに好ましい。
pH調整剤は、バインダー及び電極組成物が含まないことが望ましく、少なければ少ないほど好ましい。
バインダーのpHは、通常、1.5以上であり、好ましくは3.0以上であり、より好ましくは4.0以上である。一方、バインダーのpHは、10.0を超えないことが好ましい。
バインダーのpHは、例えば、バインダーの1mass%水溶液をガラス電極式水素イオン度計TES−1380(製品名、カスタム社製)等のpHメーターを用いて25℃で測定することにより確認できる。
バインダーの製造方法は、ポリ−γ−グルタミン酸化合物、並びに任意に含まれる溶媒及びその他の成分(エマルション、分散剤、その他の水溶性高分子、pH調整剤等)を一括で添加及び混合することで調製できる。
また、後述する電極組成物の調製時に、順序に従って添加してもよい。例えば、活物質、導電助剤及び本発明のポリ−γ−グルタミン酸化合物を混合した後、得られた混合物に溶媒を添加して混合し、均一な分散液とし、得られた分散液に、その他の成分(エマルションやpH調整剤)を加えて混合することで、電極組成物を調製することができる。
<電極組成物>
本発明のバインダーは、電気化学素子の正極用バインダー、負極用バインダー、セパレーター用バインダー、電極保護層用バインダーのいずれにも使用できる。
正極用の集電体としては一般にアルミニウムが使用されるが、正極用バインダーに本発明のポリ−γ−グルタミン酸化合物を用いることで、アルミ集電体塗工時にアルミの不動態膜がハロゲンイオンによって腐食され、腐食した不動態膜が電極組成物中に溶出することを抑制できる。加えて、電気化学素子内でハロゲンイオンが酸化されることによって生じる、ガスの発生、並びに活物質及び集電体の劣化が起こる可能性を低減できる。
負極用の集電体としては一般に銅が使用されるが、負極用バインダーに本発明のポリ−γ−グルタミン酸化合物を用いることで、銅集電体塗工時に銅の溶出を抑制できる。加えて、溶出した銅や残存したハロゲンが電池内で反応し、過剰なSEI(Solid Electrolyte Interface)が生成することを防ぐことができる。また、利用可能なリチウム量の低減、及び抵抗増加の可能性を抑制できる。
本発明のバインダーは、正極活物質を含む正極組成物、及び負極活物質を含む負極組成物のいずれにも用いることができるが、高い酸化耐性を有するため、正極組成物に好適に用いることができる。
本発明のバインダーを含む電極組成物(以下、本発明の電極組成物という場合がある)は、バインダーの他に活物質及び導電助剤を含む。
導電助剤は二次電池を高出力化するために用いられ、導電性カーボンが挙げられる。
導電性カーボンとしては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;ファイバー状カーボン;黒鉛等がある。これらの中でもケッチェンブラック、アセチレンブラックが好ましい。ケッチェンブラックは中空シェル構造を持ち、導電性ネットワークを形成しやすい。そのため、従来のカーボンブラックに比べ、半分程度の添加量で同等性能を発現することができる。アセチレンブラックは高純度のアセチレンガスを用いることで副生される不純物が非常に少なく、表面の結晶子が発達しているため好ましい。
導電助剤であるカーボンブラックは、平均粒子径が1μm以下のものであることが好ましい。平均粒子径が1μm以下の導電助剤を用いることにより、本発明の電極組成物を用いて電極とした場合に、出力特性等の電気特性を優れた電極とすることが可能となる。
導電助剤の平均粒子径は、より好ましくは0.01〜0.8μmであり、さらに好ましくは0.03〜0.5μmである。導電助剤の平均粒子径は、動的光散乱の粒度分布計(例えば導電助剤屈折率を2.0とする)により測定することができる。
導電助剤であるファイバー状カーボンとして、カーボンナノファイバー又はカーボンナノチューブを用いると、導電パスが確保できるため、出力特性、サイクル特性が向上するので好ましい。
ファイバー状カーボンは、太さ0.8nm以上、500nm以下、長さ1μm以上100μm以下が好ましい。太さが当該範囲であれば、十分な強度と分散性が得られ、長さが当該範囲内であれば、ファイバー形状による導電パスの確保が可能となる。
正極活物質は、リチウムイオンを吸蔵及び放出できる活物質であると好ましい。このような正極活物質を用いることで、リチウムイオン電池の正極として好適に用いることができるものとなる。
正極活物質としては、種々の酸化物、硫化物が挙げられ、具体例としては、二酸化マンガン(MnO)、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLiMn又はLiMnO)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLiNi−xCoxO)、
リチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物(LiNi0.8Co0.15Al0.05)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLiMnCo−xO)、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例えばLiNiMnCo1−x−y)、ポリアニオン系リチウム化合物(例えば、LiFePO、LiCoPOF、LiMnSiO等)、バナジウム酸化物(例えばV)等が挙げられる。また、導電性ポリマー材料、ジスルフィド系ポリマー材料、等の有機材料も挙げられる。硫黄、硫化リチウム等のイオウ化合物材料も挙げられる。導電性の低い物質に関しては導電性炭素等の導電材料と複合化することも好ましい。
これらのうち、リチウムマンガン複合酸化物(LiMn)、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO)、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(LiNi0.8Co0.2)、リチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物(LiNi0.8Co0.15Al0.05)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(LiMnCo1−x)、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例えばLiNiMnCo1−x−y)、Li過剰系ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物(LiNiCoMn固溶体)、LiCoPO、LiNi0.5Mn1.5が好ましい。
正極活物質は、電池電圧の観点から、LiMO、LiM、LiMO又はLiMXO3or4で表されるLi複合酸化物が好ましい。ここで、Mは80%以上がNi、Co、Mn及びFeから選択される1以上の遷移金属元素からなるが、遷移金属以外にもAl、Ga、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、B等が添加されていてもよい。Xは80%以上がP、Si及びBから選択される1以上の元素からなる。
上記正極活物質のうち、MがNi、Co及びMnの1以上であるLiMO2、LiM又はLiMOの複合酸化物が好ましく、MがNi、Co及びMnの1以上であるLiMOの複合酸化物がより好ましい。Li複合酸化物は導電性ポリマー等の正極物質と比較して体積当たりの電気容量(Ah/L)が大きく、エネルギー密度の向上に有効である。
正極活物質は、電池容量の観点から、LiMOで表されるLi複合酸化物が好ましい。ここで、MはNiを含むと好ましく、Mのうち20%以上がNiであるとより好ましく、Mの45%以上がNiであるとさらに好ましい。MがNiを含むと、MがCo及びMnの場合に比べて、正極活物質の重量当たりの電気容量(Ah/kg)が大きくなり、エネルギー密度の向上に効果的である。
正極活物質が、Niを含有する層状リチウム複合酸化物である場合、当該正極活物質を含む電極組成物は、余剰のLi塩等によるpHの上昇が見られ、集電体(アルミ等)の腐食により、活物質本来の特性が得られないことがある。電極組成物に本発明のバインダーを用いることで、ポリ−γ−グルタミン酸化合物のカルボキシル基部位がpHの上昇を抑制し、Niを含有する層状リチウム複合酸化物の集電体の腐食を防ぐことができ、正極活物質本来の特性が得られる。
また、リチウム複合酸化物は、金属イオンの溶出、負極での析出による容量劣化のおそれがあるが、本発明のポリ−γ−グルタミン酸化合物のカルボキシル基部位が溶出した金属イオンを補足することで、溶出した金属イオンが負極に到達し、容量劣化が起こることを防止することが期待できる。
正極活物質を、金属酸化物、炭素等で被覆することもできる。正極活物質を金属酸化物又は炭素で被覆することで正極活物質が水に触れたときの劣化を抑制し、充電時のバインダーや電解液の酸化分解を抑制することができる。
被覆に用いる金属酸化物は特に限定されないが、Al、ZrO、TiO、SiO、AlPO等の金属酸化物や、Liを含有するLiαβγで表される化合物でもよい。尚、Liαβγにおいて、Mは、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Ag、Ta、W、Irからなる群から選択される1以上の金属元素であり、0≦α≦6、1≦β≦5、0<γ≦12である。
正極活物質、導電助剤及びポリ−γ−グルタミン酸化合物を含む正極組成物において、正極組成物の固形分におけるポリ−γ−グルタミン酸化合物、正極活物質、導電助剤、エマルション、及びこれらの成分以外のその他の成分の含有割合(重量比)は、ポリ−γ−グルタミン酸化合物/正極活物質/導電助剤/エマルション/その他の成分=0.2〜15/70〜98/2〜20/0〜10/0〜5であることが好ましい。
このような含有割合であると、正極組成物から形成される電極を電池の正極として用いた場合の出力特性や電気特性を優れたものとすることが可能となる。より好ましくは、0.5〜12/80〜97/1〜10/0〜6/0〜2である。さらに好ましくは、1.0〜8/85〜97/1.5〜8/0〜4/0〜1.5である。尚、ここでいうその他の成分は、ポリ−γ−グルタミン酸化合物、正極活物質、導電助剤、エマルション以外の成分を指し、分散剤、ポリ−γ−グルタミン酸化合物以外の水溶性高分子等が含まれる。
ポリ−γ−グルタミン酸化合物を含む正極組成物は、正極活物質や導電助剤等のフィラー成分の分散安定性を確保し、さらに、塗膜の形成能、基材との密着性に優れたものとすることができる。そしてこのような正極組成物から形成される正極は、二次電池用の正極として充分な性能を発揮することができるものである。
正極組成物が、ポリ−γ−グルタミン酸化合物、正極活物質、導電助剤、エマルションと水とを含むものである場合、当該正極水系組成物の製造方法としては、正極活物質と導電助剤とが均一に分散されることになる限り特に制限されず、ビーズ、ボールミル、攪拌型混合機等を用いることで製造できる。
負極活物質は、グラファイト、天然黒鉛、人造黒鉛等の炭素材料;ポリアセン系導電性高分子、チタン酸リチウム等の複合金属酸化物;シリコン、シリコン合金、シリコン複合酸化物、リチウム合金等リチウムイオン二次電池で通常用いられる材料を用いることができる。こらのうち、炭素材料、シリコン、シリコン合金、シリコン複合酸化物が好ましい。
上記負極活物質のうち、シリコン複合酸化物等の初期充放電効率が低い負極活物質については、リチウムを事前に含有させてもよい(プリドープ)。プリドープの方法は、公知の方法を用いることができ、溶液中でリチウム金属と反応させる方法等が採用できる。
上記負極活物質は、表面を炭素コート等の表面修飾をすることによって反応を抑制して、水に分散させることができる。しかしながら、炭素コート等が均一に行われなかった場合、活物質に含まれるリチウム等のアルカリ分が反応して、電極組成物が塩基性になり、集電体や活物質を腐食したり、ガス発生、組成物のゲル化が起こるおそれがある。プリドープ等によりリチウムを含有させた負極活物質においては、水に分散させた際のpHが8以上になるため、対カチオンに水素イオンを持つポリ−γ−グルタミン酸を用いると好ましい。
負極活物質、導電助剤及びポリ−γ−グルタミン酸化合物を含む負極組成物において、負極組成物の固形分におけるポリ−γ−グルタミン酸化合物、負極活物質、導電助剤、エマルション、及び、その他の成分の含有比率(重量比)は、0.3〜25/75〜99/0〜10/0〜9/0〜5であることが好ましい。このような含有割合であると、負極組成物から形成される電極を電池の負極として用いた場合の出力特性や電気特性を優れたものとすることが可能となる。より好ましくは、0.5〜20/80〜98.7/0〜5/0〜3/0〜3である。さらに好ましくは、1.0〜18/82〜98/0〜4/0〜2.5/0〜1.5である。尚、ここでいうその他の成分は、負極活物質、導電助剤、ポリ−γ−グルタミン酸化合物やエマルションのようなバインダー以外の成分を意味し、分散剤や増粘剤等が含まれる。
ポリ−γ−グルタミン酸化合物を含む負極組成物は、負極活物質の分散安定性を確保し、さらに、塗膜の形成能、基材との密着性に優れたものとすることができる。そしてこのような負極組成物から形成される負極は、二次電池用の負極として充分な性能を発揮することができるものである。
負極組成物が、ポリ−γ−グルタミン酸化合物、負極活物質、導電助剤、エマルションと水とを含むものである場合、当該負極水系組成物の製造方法としては、負極活物質と導電助剤とが均一に分散されることになる限り特に制限されず、ビーズ、ボールミル、攪拌型混合機等を用いることで製造できる。
本発明の電極組成物は、本質的に本発明のバインダー、活物質、導電助剤からなってもよく、さらに溶媒が含まれてよい。本発明の電極組成物の、例えば70重量%以上、80重量%以上、又は90重量%以上が、本発明のバインダー、活物質、導電助剤、溶媒であってもよい。また、本発明の電極組成物は、本発明のバインダー、活物質、導電助剤、溶媒のみからなってもよい。この場合、不可避不純物を含んでもよい。
尚、電極組成物に含まれる溶媒は、バインダーに用いることができる溶媒が使用でき、バインダーに含まれる溶媒と同一であっても異なってもよい。
電極組成物の製造方法は、本発明のバインダー、活物質、導電助剤及び任意のその他成分(エマルション、分散剤等)を一括に添加及び混合することで調製できる。
また、本発明のバインダー、活物質、導電助剤及び任意のその他成分(エマルション、分散剤等)を順序に従って添加及び混合して電極組成物を調製してもよい。例えば、活物質、導電助剤及び本発明のポリ−γ−グルタミン酸化合物を混合した後、得られた混合物に溶媒を添加し混合して均一な分散液とし、得られた分散液に、その他の成分(エマルションやpH調整剤)を加えて混合することで、電極組成物を調製することができる。
尚、pH調整剤は、バインダーに予め含まれていてもよく、電極組成物調製時に添加してもよい。
Ni含有量の多い層状活物質では、バインダーのみで十分に中和できない場合もあるため、pH調整剤として酸を添加してもよい。電極組成物が含むpH調整剤は、バインダーが含むpH調整剤と同じものを用いることができ、好ましくはリン酸等の弱酸である。リン酸等の弱酸の塩が活物質表面に存在することで、フッ酸が発生した際に酸塩基交換反応によって酸を中和し、活物質の腐食を抑制することが期待できる。
本発明の電極組成物を集電体上に塗布し、乾燥することで電極を製造することができる。
より具体的には、電極組成物が正極活物質を含む正極組成物である場合、正極組成物を正極集電体上に塗布及び乾燥することで正極とすることができ、電極組成物が負極活物質を含む負極組成物である場合、負極組成物を負極集電体上に塗布及び乾燥することにより負極とすることができる。
正極集電体は、電子伝導性を有し、保持した正極材料に通電し得る材料であれば特に限定されない。正極集電体としては、例えば、C、Ti、Cr、Mo、Ru、Rh、Ta、W、Os、Ir、Pt、Au、Al等の導電性物質;これら導電性物質の二種類以上を含有する合金(例えば、ステンレス鋼)を使用し得る。
電気伝導性が高く、電解液中の安定性と耐酸化性がよい観点から、正極集電体としてはC、Al、ステンレス鋼等が好ましく、さらに材料コストの観点からAlが好ましい。
負極集電体は、導電性材料であれば特に制限されること無く使用できるが、電池反応時に電気化学的に安定な材料を使用することが好ましく、例えば銅、ステンレス、ニッケル等を使用することができる。
集電体の形状には、特に制約はないが、箔状基材、三次元基材等を用いることができる。これらのうち、三次元基材(発泡メタル、メッシュ、織布、不織布、エキスパンド等)を用いると、集電体との密着性に欠けるようなバインダーを含む電極組成物であっても高い容量密度の電極が得られ、高率充放電特性も良好になる。
集電体が箔状である場合、あらかじめ、集電体表面上にプライマー層を形成することで高容量化を図ることができる。プライマー層は、活物質層と集電体との密着性が良好で、且つ導電性を有しているものであればよい。例えば、炭素系導電助剤を混ぜ合わせたバインダーを集電体上に0.1μm〜50μmの厚みで塗布することでプライマー層を形成できる。
プライマー層用の導電助剤は、炭素粉末が好ましい。金属系の導電助剤であると、容量密度を上げることは可能だが、入出力特性が悪くなるおそれがある一方、炭素系の導電助剤であれば、入出力特性を向上させることができる。
炭素系導電助剤としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、気相法炭素繊維、グラファイト、グラフェン、カーボンチューブ等が挙げられ、これら一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。これらのうち、導電性とコストの観点から、ケッチェンブラック又はアセチレンブラックが好ましい。
プライマー層用のバインダーは、炭素系導電助剤を結着できるものであれば、特に限定されない。但し、ポリ−γ−グルタミン酸化合物の他、PVA、CMC、アルギン酸ナトリウム等の水系バインダーを用いてプライマー層を形成すると、活物質層を形成する際に、プライマー層が溶け、効果が顕著に発揮されないおそれがある。そのため、このような水系バインダーを用いる際は、あらかじめプライマー層を架橋するとよい。架橋材としては、ジルコニア化合物、ホウ素化合物、チタン化合物等が挙げられ、プライマー層用スラリー形成時にバインダー量に対して0.1〜20mass%添加するとよい。
プライマー層は、箔状の集電体で、水系バインダーを用いて容量密度を上げることが可能なだけでなく、高い電流で充放電を行っても、分極が小さくなり高率充放電特性を良好にすることができる。
尚、プライマー層は箔状の集電体だけに効果があるのではなく、三次元基材でも同様の効果が得られる。
<二次電池>
図1は、本発明のポリ−γ−グルタミン酸化合物を正極及び/又は負極に用いたリチウムイオン二次電池の一実施形態を示す概略断面図である。
図1において、リチウムイオン二次電池10は、正極缶9上に正極集電体7、正極6、セパレータ及び電解液5、リチウム金属4(負極)及びSUSスペーサ3がこの順に積層しており、当該積層体は、積層方向両側面をガスケット8によって、及び積層方向をウェーブワッシャー2を介した負極缶1によって固定されている。
二次電池における電解液としては、有機溶媒に電解質を溶解した溶液である非水系電解液を用いることができる。
有機溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;トリメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン等のオキソラン類;アセトニトリル、ニトロメタン、NMP等の含窒素類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル等のエステル類;ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム類;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;スルホラン等のスルホン類;3−メチル−2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン類;1,3−プロパンスルトン、4−ブタンスルトン、ナフタスルトン等のスルトン類等が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
電解質としては、例えばLiClO、LiBF、LiI、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、LiCl、LiBr、LiB(C、LiCHSO、LiCSO、Li(CFSO)2N、Li[(CO]2B等が挙げられる。
非水系電解液としては、カーボネート類にLiPFを溶解した溶液が好ましく、該溶液はリチウムイオン二次電池の電解液として特に好適である。
正極及び負極の両極の接触による電流の短絡等を防ぐためのセパレータとしては、両極の接触を確実に防止することができ、かつ電解液を通したり含んだりすることができる材料を用いるとよく、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂製の不織布、ガラスフィルター、多孔質セラミックフィルム、多孔質薄膜フィルム等を用いることができる。
セパレータに耐熱性等の機能を付与するため、本発明のポリ−γ−グルタミン酸化合物を含む組成物(塗工液)によってコートしてもよい。
ポリ−γ−グルタミン酸化合物に加えて、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化ニオブ、酸化バリウム等のセラミック粒子を混合しセパレータ上にコートすることで、セパレータの耐熱性を向上できる。
上記コートにおけるセパレータ基材としては、前述したものを制限なく用いることができるが、多孔質薄膜フィルムが好ましく、湿式法、乾式法を用いて作成したポリオレフィン多孔膜を好適に用いることができる。
上記組成物は、正極上もしくは負極上にコートし保護膜として用いることも可能である。このような保護膜を正極もしくは負極上に形成することで電池のサイクル特性の向上が期待できる。
二次電池は、例えば、負極、電解質を含浸したセパレータ、正極を外装体の中に入れて密封することで製造することができる。密封の方法には加締め、ラミネートシール等公知の方法を用いてよい。
実施例1
市販の納豆より分離した納豆菌を、3Lのミニジャーを用いて、麦芽エキス0.3質量%、酵母エキス0.3質量%、ポリペプトン0.5質量%、グルコース1.0質量%からなる培養液(pH6.0)で、32℃、24時間でシード培養した。
次に50Lのジャーを用いて、グルコース7.5質量%、硫安1.5質量%、硫酸マグネシウム7水和物0.035質量%、硫酸マンガン0.005質量%、リン酸水素カリウム0.15質量%、グルタミン酸モノナトリウム塩5.0質量%、及び塩化ナトリウム1.0質量%からなる培養液(pH6.4)に、シード培養後の培養液を0.5質量%接種し、37℃、48時間でメイン培養した。
メイン培養後の培養液について、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により、ポリ−γ−グルタミン酸(γ−PGA)の含量を測定したところ、0.78g/dlであった。
得られた培養液2000mlに濃塩酸を加えてpH2.0に調整し、遠心分離機により菌体を分離した。得られた菌体分離液を3倍量のエタノール中に滴下した。生成した沈殿をろ過し粗γ−PGAを得た。
粗γ−PGAを2000mlの水に溶解させ、粗γ−PGA水溶液について、精密濾過膜(旭化成工業株式会社製 UF moduleSIP−0013、分子量分画6000、膜面積0.017m)を用い、透過液量と同量の水を循環液側に加えつつ、温度30℃、圧力1.0Kgf/cm、循環線速0.11m/secの条件で膜処理を行なった。差し水量が6000mlになったところで差し水を終了し、循環液を濃縮した。循環液量が650mlになったところで膜処理を終了した。次に、循環液を3倍量のエタノール中に滴下し、沈殿物をろ過し、棚段乾燥機で減圧乾燥することにより、総収率58%で未精製ポリ−γ−グルタミン酸を9.1g得た。
得られた未精製ポリ−γ−グルタミン酸のハロゲン量を燃焼イオンクロマトグラフィーで測定したところ、塩素量が13000質量ppmであった。また、未精製ポリ−γ−グルタミン酸の臭素量、フッ素量及びヨウ素量は、いずれも10質量ppm以下であった。
上記燃焼イオンクロマトグラフィーは、下記の条件のもと実施した。
<燃焼イオンクロマトグラフィーの測定条件>
検量線試料及び試料を800〜1000℃で燃焼させ、燃焼ガスをアルカリ吸収液に捕集して、イオンクロマトグラフィーによりハロゲン元素量を定量した。
検量線試料は、有機標準試料である(4−クロロ−3−トリフルオロメチル)フェニルチオ尿素をトルエンに溶解したものである。調製したトルエン溶液を検量線試料としてハロゲン元素の検量線を作成した。試料の定量には、測定当日に作成した検量線を使用した。
得られたポリ−γ−グルタミン酸に、ハロゲン含有量が10質量ppm以下の水酸化ナトリウムとハロゲン含有量が10質量ppm以下の超純水を添加し、25度においてpH5〜6になるよう中和して溶解し、ポリ−γ−グルタミン酸水溶液を調製した。このポリ−γ−グルタミン酸水溶液を撹拌しながらpH2以下になるまでリン酸を加え、一晩放置することでポリ−γ−グルタミン酸を再析出させた。尚、pHは、ガラス電極式水素イオン度計TES−1380(カスタム社製)により確認した。
再析出したポリ−γ−グルタミン酸を、20倍量のハロゲン含有量が10質量ppm以下の超純水で3回洗浄したのち真空乾燥して、精製ポリ−γ−グルタミン酸を得た。
得られた精製ポリ−γ−グルタミン酸のハロゲン量を、未精製ポリ−γ−グルタミン酸の場合と同様にして燃焼イオンクロマトグラフィーで測定したところ、塩素量は50質量ppmにまで低減していた。また、精製ポリ−γ−グルタミン酸の臭素量、フッ素量及びヨウ素量は、いずれも10質量ppm以下であった。
実施例2
正極活物質としてLiNi0.5Co0.2Mn0.3(以降NCM523と記載する)、導電助剤としてデンカブラック、バインダーとして実施例1の精製ポリ−γ−グルタミン酸を用い、これらに水を徐々に添加して、正極活物質:導電助剤:バインダー=93:5:2(重量比)となるように均一混合し、固形分50%の正極組成物(1)を得た。
マイクロメーター付フィルムアプリケーター(テスター産業製、SA−204)と自動塗工装置(テスター産業製、PI−1210)を用いて、得られた正極組成物(1)を厚み20μmのAl箔に塗工し、60℃×10分乾燥し、120℃度で5時間真空乾燥後、室温でプレスし、1.5mAh/cm、空隙率25〜35%の電極を作製した。
得られた電極を14mmφに打ち抜いて、120℃5時間真空乾燥を行い、正極とした。
酸素濃度10ppm以下、水分濃度5ppm以下に管理された、Ar置換のグローブボックス中にて、コインセル(宝泉株式会社製、コインセル2032)の正極缶にガスケットをはめ、製造した電極である正極、セパレータを順に積層し、電解液を加えた。さらに負極、SUSスペーサー、ウェーブワッシャー、負極缶を重ね、コインセルかしめ機(宝泉株式会社製)を用いて、密閉することでコインセルを作製した。得られたコインセルの概略断面図を図1に示す。
尚、コインセルの各構成部材は以下の通りである。
<コインセルの各構成部材>
正極:上記で用意した14mmφのシート
セパレータ:PP/PE/PP三層セパレーター
負極(対極兼、参照極):1.5mAh/cmの黒鉛負極(宝泉株式会社製)
電解液:1mol/L LiPFEC/DEC=3/7(キシダ化学株式会社製)
得られたコインセルの充放電特性である放電容量を下記測定条件で評価した。その結果、容量維持率は87%であった。
尚、評価した放電容量は、下記条件では初回の充放電の不可逆容量が大きいため、2サイクル目の放電容量を採用した。また、容量維持率は下記サイクル充放電において(100回目の放電容量)/(10回目の放電容量)を容量維持率として算出した。また、NCM523の電池容量を1gあたり160mAhとして算出し、その容量をもとに1C(1時間で完全に放電する電流値)を算出した。
<測定条件>
初期充放電
充電条件:0.1C−CC・CV Cut−off 4.2V
充電終了条件:電流値0.01C以下
放電条件:0.1C−CC Cut−off 2.5V
サイクル充放電
充電条件:1C−CC・CV Cut−off 4.2V
充電終了条件:電流値0.01C以下
放電条件:1C−CC Cut−off 2.5V
実施例3
負極活物質として黒鉛、バインダーとして実施例1の精製ポリ−γ−グルタミン酸に2Mの水酸化ナトリウム水溶液(ハロゲン含有量10ppm以下)を添加し、ポリ−γ−グルタミン酸が100%中和し溶解した水溶液を用いた。これらに水を徐々に添加して、負極活物質:バインダー=96:4(固形分の重量比)となるように均一混合し、固形分50%の負極組成物(1)を得た。
マイクロメーター付フィルムアプリケーター(テスター産業製、SA−204)と自動塗工装置(テスター産業製、PI−1210)を用いて、得られた負極組成物(1)を厚み10μmのCu箔に塗工し、60℃×10分乾燥し、120℃度で5時間真空乾燥後、室温でプレスし、1.5mAh/cm、空隙率25〜35%の電極を作製した。
得られた電極を14mmφに打ち抜いて、120℃5時間真空乾燥を行い、負極とした。
酸素濃度10ppm以下、水分濃度5ppm以下に管理された、Ar置換のグローブボックス中にて、コインセル(宝泉株式会社製、コインセル2032)の正極缶にガスケットをはめ、製造した電極である正極、セパレータを順に積層し、電解液を加えた。さらに負極、SUSスペーサー、ウェーブワッシャー、負極缶を重ね、コインセルかしめ機(宝泉株式会社製)を用いて、密閉することでコインセルを作製した。得られたコインセルの概略断面図を図1に示す。
ここでは負極ハーフセルでの評価のため、正極部分に前記負極を用いた。
尚、コインセルの各構成部材は以下の通りである。
<コインセルの各構成部材>
正極:上記で用意した14mmφのシート
セパレータ:PP/PE/PP三層セパレーター
負極(対極兼、参照極):15mmφに打ち抜いたLi金属
電解液:1mol/L LiPFEC/DEC=3/7(キシダ化学株式会社製)
得られたコインセルの充放電特性である放電容量を下記測定条件で評価した。その結果、容量維持率は90%であった。
尚、評価した放電容量は、下記条件では初回の充放電の不可逆容量が大きいため、2サイクル目の放電容量を採用した。また、容量維持率は下記サイクル充放電において(100回目の放電容量)/(10回目の放電容量)を容量維持率として算出した。また、黒鉛の電池容量を1gあたり360mAhとして算出し、その容量をもとに1C(1時間で完全に放電する電流値)を算出した。
<測定条件>
初期充放電
充電条件:0.1C−CC・CV Cut−off 0.01V
充電終了条件:電流値0.01C以下
放電条件:0.1C−CC Cut−off 1.0V
サイクル充放電
充電条件:1C−CC・CV Cut−off 0.01V
充電終了条件:電流値0.01C以下
放電条件:1C−CC Cut−off 1.0V
比較例1
非特許文献1で用いている市販品のポリグルタミン酸(Mw=1,500,000−2,500,000、和光純薬工業株式会社製)のハロゲン量を、実施例1と同様にして燃焼イオンクロマトグラフィーで測定したところ、5400質量ppmであった。
また、市販品のポリグルタミン酸の臭素量、フッ素量及びヨウ素量は、いずれも10質量ppm以下であった。
精製ポリ−γ−グルタミン酸の代わりに、上記非特許文献1のポリグルタミン酸(塩素含有量5400質量ppm)をバインダーに用いた他は、実施例2と同様にして電池を製造し、評価した。その結果、容量維持率は79%であった。
比較例2
精製ポリ−γ−グルタミン酸の代わりに、上記非特許文献1のポリグルタミン酸(塩素含有量5400質量ppm)をバインダーに用いた他は、実施例3と同様にして電池を製造し、評価した。その結果、容量維持率は83%であった。
比較例3
精製ポリ−γ−グルタミン酸の代わりに、実施例1の再析出処理前の未精製ポリ−γ−グルタミン酸(塩素含有量13000質量ppm)をバインダーに用いた他は、実施例2と同様にして電池を製造し、評価した。その結果、容量維持率は63%であった。
比較例4
精製ポリ−γ−グルタミン酸の代わりに、実施例1の再析出処理前の未精製ポリ−γ−グルタミン酸(塩素含有量13000質量ppm)をバインダーに用いた他は、実施例3と同様にして電池を製造し、評価した。その結果、容量維持率は77%であった。
実施例及び比較例の結果から、比較例1〜4では、塩素含有量が5400質量ppm、13000質量ppmと塩素量が多いとは言えないレベルのポリ−γ−グルタミン酸であっても、正極ではハロゲンイオン特に塩素イオンが活物質及び集電体を腐食し、負極では電極塗工時等に銅の溶出が起こり、SEI(固体電解質界面)の過剰生成等がサイクル特性への悪影響が生じていると推測される。
以上、本発明を若干の実施形態及び実施例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を包含する。また本発明は、上記の実施形態で説明した構成の本質的でない部分を他の構成に置き換えた構成を包含する。さらに本発明は、上記の実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成をも包含する。さらに本発明は、上記の実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成をも包含する。
例えば、実施例はリチウムイオン二次電池の正極用バインダー及び負極用バインダーを例にとって説明したが、これに限定されるものではなく、その他の電気化学素子、例えばリチウムイオン電池の負極用バインダー、リチウムイオン電池のセパレータコート用バインダー、電気二重層キャパシタのバインダー等としても好適に用いることができる。特に、リチウムイオン電池のセパレータコート用バインダーやキャパシタ用バインダー等の他の電気デバイスにも好適に用いることができる。
本発明のポリ−γ−グルタミン酸化合物を用いて製造した、リチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学素子は、様々な電気機器や車両に用いることができる。電気機器としては携帯電話やノートパソコン等、車両としては自動車、鉄道、飛行機等が挙げられるが、上記に限定されるものではない。
1 負極缶
2 ウェーブワッシャー
3 SUSスペーサー
4 リチウム金属
5 セパレータ及び電解液
6 正極
7 正極集電体
8 ガスケット
9 正極缶
10 リチウムイオン二次電池

Claims (19)

  1. ハロゲン元素の含有量が4000質量ppm以下である、ポリ−γ−グルタミン酸化合物。
  2. 塩素の含有量が2000質量ppm以下である請求項1に記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物。
  3. フッ素、塩素、臭素及びヨウ素の含有量がそれぞれ2000質量ppm以下である請求項1又は2に記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物。
  4. 重量平均分子量が、ポリエチレングリコール換算で50,000〜9,000,000である請求項1〜3のいずれかに記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物。
  5. カルボキシル基の対カチオンの70%以上が、アルカリ金属イオン及び水素イオンから選択される1以上である請求項1〜4のいずれかに記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物。
  6. カルボキシル基の対カチオンの50%以上が、水素イオンである請求項1〜5のいずれかに記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物。
  7. ポリ−γ−グルタミン酸化合物水溶液を調製する工程と、前記ポリ−γ−グルタミン酸化合物水溶液に酸を加えて再析出させる工程とを含むポリ−γ−グルタミン酸化合物の製造方法。
  8. 前記酸が無機酸である請求項7に記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物の製造方法。
  9. 前記無機酸が、リン酸、硫酸、又は硫酸水素塩である請求項8に記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物の製造方法。
  10. 前記再析出させたポリ−γ−グルタミン酸化合物を水で洗浄する工程を含む請求項7〜9のいずれかに記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物の製造方法。
  11. 前記水のハロゲン含有量が、100質量ppm以下である請求項10に記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物の製造方法。
  12. 前記酸を加える前に、前記ポリ−γ−グルタミン酸化合物水溶液に無機塩基を加えて、前記ポリ−γ−グルタミン酸水溶液の水素イオン濃度指数を調整する工程を含む請求項7〜11のいずれかに記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物の製造方法。
  13. 前記無機塩基が、カリウム、ナトリウム及びリチウムから選択されるアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩又は炭酸水素塩である請求項12に記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物の製造方法。
  14. 前記無機塩基のハロゲン含有量が、100質量ppm以下である請求項12又は13に記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物の製造方法。
  15. 前記水素イオン濃度指数をpH3〜10に調整する請求項12〜14のいずれかに記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物の製造方法。
  16. 前記pHが3〜10であるポリ−γ−グルタミン酸化合物水溶液に前記酸を加えて、pHを1〜2.5として、前記ポリ−γ−グルタミン酸化合物を再析出させる工程を含む請求項15に記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物の製造方法。
  17. 前記酸のハロゲン含有量が、100質量ppm以下である請求項7〜16のいずれかに記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物の製造方法。
  18. 請求項1〜6のいずれかに記載のポリ−γ−グルタミン酸化合物を含む電気化学素子用バインダー。
  19. 請求項18に記載のバインダーを用いた電気化学素子。
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