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JP2019050085A - リチウムイオン伝導体、及び、リチウムイオン伝導体の製造方法、並びに、リチウム空気電池 - Google Patents

リチウムイオン伝導体、及び、リチウムイオン伝導体の製造方法、並びに、リチウム空気電池 Download PDF

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JP2019050085A
JP2019050085A JP2017172724A JP2017172724A JP2019050085A JP 2019050085 A JP2019050085 A JP 2019050085A JP 2017172724 A JP2017172724 A JP 2017172724A JP 2017172724 A JP2017172724 A JP 2017172724A JP 2019050085 A JP2019050085 A JP 2019050085A
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lithium ion
lithium
ion conductor
latp
crystal phase
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JP2017172724A
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真行 近藤
Masayuki Kondo
真行 近藤
岡本 光
Hikari Okamoto
光 岡本
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Aisin Seiki Co Ltd
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Abstract

【課題】アルカリ性水溶液に対する耐久性を向上することができるリチウムイオン伝導体、及び、リチウムイオン伝導体の製造方法、並びに、リチウム空気電池を提供する。【解決手段】リチウムイオン伝導体は、LATPからなるリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスを含み、リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスの表面に、LATPの結晶相、及び、Li3PO4の結晶相を含むアルカリ処理層を有する。【選択図】図1B

Description

本発明は、リチウムイオン伝導体、及び、リチウムイオン伝導体の製造方法、並びに、リチウム空気電池に関する。
二次電池の高エネルギー密度化を狙い、正極活物質として空気中の酸素を利用する金属空気二次電池が注目されている。リチウム空気二次電池は、金属空気二次電池の一種であり、負極活物質として金属リチウムを使用しており、高いエネルギー密度を有する。
リチウム空気二次電池として、非水電解液を用いるリチウム空気二次電池、及び、水系電解液を用いるリチウム空気二次電池(以下、「水系リチウム空気二次電池」と称呼される。)の2種類が、提案されている。下記特許文献1乃至特許文献3、及び、非特許文献1には、リチウム空気二次電池に関連する技術が開示されている。
水系リチウム空気二次電池では、負極活物質である金属リチウムが水系電解液に接触すると、金属リチウムと水とが反応して、金属リチウムが水系電解液に溶解すると共に水素ガスを発生する虞がある。これに対して、金属リチウムと水系電解液との接触を避けるため、金属リチウムと水系電解液との間に水不透過性のリチウムイオン伝導体からなる「負極保護層」を介在させることによって、金属リチウムを保護することが行われている。
特許文献1は、「負極保護層」として、LATPと称呼される水不透過性のNAICON型高リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスを備えるリチウム空気電池(以下、「従来電池」と称呼される。)を開示している。LATPは、リチウムイオン導電率が比較的高い(約10−4S/cm)リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスである。更に、LATPは、水に対して化学的に安定であり、熱処理条件を調整することにより、粒界にガラス相が形成され、粒界の隙間を封止することが可能で、外部からの水の浸入を防止できる、数少ないリチウムイオン伝導体である。
特表2007−513464号公報 特開2010−192313号公報 特開2012−033490号公報
従来電池では、(1)式で示される放電反応の進行に伴い生成する水酸化リチウムが水系電解液に溶解することよって、水系電解液の強アルカリ性化が進行する。
Li+1/4O+3/2HO→LiOH・HO・・・(1)
しかしながら、「負極保護層」として使用されるLATPは、強アルカリ性水溶液に対する耐久性が弱く、強アルカリ性水溶液に接すると腐食する性質を有する。従って、従来電池の水系電解液の強アルカリ化性が進行した場合、LTAPは、水系電解液に接する表面から腐食が進行することにより、経時的に劣化してしまう虞がある。
本発明は上述した課題に対処するためになされた。即ち、本発明の目的の一つは、アルカリ性水溶液に対する耐久性を向上することができるリチウムイオン伝導体(以下、「本発明リチウムイオン伝導体」と称呼される場合がある。)、及び、リチウムイオン伝導体の製造方法(以下、「本発明製造方法」と称呼される場合がある。)、並びに、リチウム空気電池(以下、「本発明リチウム空気電池」と称呼される場合がある。)を提供することにある。
上述の課題を解決するために、
本発明リチウムイオン伝導体は、Li1+x+yAl(TiGe1−z2−xSi3−y12(式中、0≦x≦0.8、0≦y≦0.6、0<z≦1である。)で表されるLATPからなるリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスを含み、
前記リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスの表面に、LATPの結晶相、及び、LiPOの結晶相を含むアルカリ処理層を有する。
本発明リチウムイオン伝導体の一態様において、
前記LiPOの結晶相は、前記アルカリ処理層の内部の前記LATPの結晶相間、及び、表面に露出されたLATPの結晶相上の少なくとも一部に含まれる。
本発明リチウムイオン伝導体の一態様において、
前記アルカリ処理層の内部の前記LATPの結晶相間の少なくとも一部に形成された空隙を有する。
本発明製造方法は、Li1+x+yAl(TiGe1−z2−xSi3−y12(式中、0≦x≦0.8、0≦y≦0.6、0<z≦1である。)で表されるLATPからなるリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスを、水酸化リチウム水溶液に浸漬させることにより、前記リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスの表面に、LATPの結晶相、及び、LiPOの結晶相を含むアルカリ処理層を形成する工程を含み、
前記水酸化リチウム水溶液の前記水酸化リチウムの濃度は、0.021mol/Lより高い。
本発明製造方法の一態様において、
前記リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスを前記水溶液に浸漬させる時間は、2週間以上である。
本発明製造方法の一態様において、
前記水酸化リチウム水溶液は、リン酸塩を更に含む。
本発明製造方法の一態様において、
前記リン酸塩は、LiPOである。
本発明リチウム空気電池は、
金属リチウムを含む負極と、
空気が供給される空気極と、
水系電解液を含む電解質と、
前記負極と前記電解質との間に介在された負極保護層と
を含み、
前記負極保護層は、Li1+x+yAl(TiGe1−z2−xSi3−y12(式中、0≦x≦0.8、0≦y≦0.6、0<z≦1である。)で表されるLATPからなるリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスを含み、
前記電解質に対向する前記リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスの表面に、LATPの結晶相、及び、LiPOの結晶相を含むアルカリ処理層を有する、リチウムイオン伝導体で構成される。
本発明によれば、アルカリ性水溶液に対する耐久性を向上することができる。
図1Aは、リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスの構成例を示す概略断面図である。 図1Bは、本発明の第1実施形態に係るリチウムイオン伝導体の構成例を示す概略断面図である。 図2Aは、アルカリ処理層の形成メカニズムを説明するための概略図である。 図2Bは、アルカリ処理層の形成メカニズムを説明するための概略図である。 図2Cは、アルカリ処理層の形成メカニズムを説明するための概略図である。 図3Aは、本発明の第1実施形態に係るリチウムイオン伝導体の製造方法を説明するための概略図である。 図3Bは、本発明の第1実施形態に係るリチウムイオン伝導体の製造方法を説明するための概略図である。 図3Cは、本発明の第1実施形態に係るリチウムイオン伝導体の製造方法を説明するための概略図である。 図3Dは、本発明の第1実施形態に係るリチウムイオン伝導体の製造方法を説明するための概略図である。 図4は、本発明の第2実施形態に係るリチウム空気電池の構成例を示す概略断面図である。 図5は、実施例1−1〜実施例1−4及び比較例1−1のリチウムイオン伝導体のSEM写真である。 図6は、浸漬時間に対して腐食深さをプロットしたグラフである。 図7は、実施例1−1〜実施例1−4及び比較例1−1のリチウムイオン伝導体についてのX線回折プロファイルである。 図8は、インピーダンス測定を説明するための概略図である。 図9は、実施例1−1〜実施例1−4及び比較例1−1のリチウムイオン伝導体のインピーダンス測定で得たコール−コールプロットである。 図10は、実施例2−1〜実施例2−2及び比較例2−1のリチウムイオン伝導体のSEM写真である。 図11は、LiOH水溶液のLiOH濃度に対して腐食深さをプロットしたグラフである。 図12は、実施例3−1〜実施例3−2のリチウムイオン伝導体のSEM写真である。 図13は、実施例3−1〜実施例3−4及び比較例1−1のリチウムイオン伝導体のインピーダンス測定で得たコール−コールプロットである。 図14Aは実施例4−1のリチウムイオン伝導体の写真である。 図14Bは実施例4−2のリチウムイオン伝導体の写真である。 図14Cは比較例4−1のリチウムイオン伝導体の写真である。
<技術的背景及び本発明の概要>
まず、本発明の理解を容易にするため、本発明の技術的背景及び本発明の概要について説明する。上述した特許文献1(特表2007−513464号公報)に記載のLATPは、リチウムイオン導電率が比較的高く、水に対して化学的に安定であり、更に、熱処理条件を調整することによって、粒界にガラス相が形成され、粒界の隙間を封止することが可能である。従って、リチウム空気電池において、LATPは、金属リチウムと水系電解液との間に介在させる「負極保護層」として使用される。
しかしながら、LATPを「負極保護層」として使用したリチウム空気電池では、次のような問題が生じる虞がある。
LATPは、強酸性又は強アルカリ性の環境下で腐食してしまうことが明らかになっている。リチウム空気二次電池では、下記(2)式にて表されるリチウム空気電池の充放電反応の放電反応(右矢印方向の反応)に伴い生成する水酸化リチウムによって、水系電解液の強アルカリ性化が進行する。
Li+1/4O+3/2HO ⇔ LiOH・HO・・・(2)
(理論容量:1119Ah/kg)
一般的にLATPの安定領域はpH2〜pH10程度であるので、水系電解液の強アルカリ化が進行することに伴い、「負極保護層」として水系電解液に接するLATPが劣化する問題が生じる虞がある。
これに対して、特許文献2(特開2010−192313号公報)は、水系リチウム空気電池の水系電解液として、酢酸及び酢酸リチウムを溶解させたpH緩衝溶液を用いることを開示している(以下、便宜上、「第1の従来技術」と称呼される場合がある。)。
この水系リチウム空気電池は、下記(3)式の充放電反応で作動する。
Li+1/4O+CHCOOH⇔1/2HO+CHCOOLi・・・(3)
(理論容量:357Ah/kg)
この水系リチウム空気電池では、pH緩衝作用によって、水系電解液を、pH2〜pH7程度の弱酸性に保持できるので、水系電解液の強アルカリ性化を抑制することができる。
しかしながら、この水系リチウム空気電池では、水系電解液の液性(酸化性)による活性酸素の低下、及び、酢酸による重量増加によって理論容量の低下の問題が生じてしまう。
更に、非特許文献1(石原達己編,“金属・空気2次電池の開発と最新技術 第8章 リチウム空気水系二次電池の負極材料”,技術教育出版社(2011))は、水酸化リチウム水溶液に、水酸化リチウムに比べて電離及び溶解し易い塩化リチウムを共存させ、水酸化リチウムの電離を抑制すると共にLATPの腐食を防止する水系リチウム空気電池を開示している。更に、特許文献3(特開2012−033490号公報)は、水酸化リチウム及びリチウムハライド(ハロゲン化リチウム:フッ化リチウム(LiF)、塩化リチウム(LiCl)、臭化リチウム(LiBr)、ヨウ化リチウム(LiI))が溶解された水系電解液を用いることにより、LATPの腐食を防止する水系リチウム空気電池を開示している。尚、非特許文献1及び特許文献3が開示する技術は、便宜上、「第2の従来技術」と総称される場合がある。
例えば、特許文献3に記載の水系リチウム空気電池は、5mol/Lの水酸化リチウム水溶液に対して、8mol/L以上の高濃度の塩化リチウムを添加することによって、LATPの安定領域であるpH10以下の水系電解液にすることにより、LATPの腐食を抑制する。
しかしながら、LiOHの電離抑制による固体の水酸化リチウム生成によって起こる空気極閉塞及び当該空気極閉塞による酸素供給不良、高濃度の塩化リチウムによる酸素発生反応阻害(塩素発生反応(Cl→1/2Cl+e)の進行)、並びに、高濃度LiCl分、水系電解液の全体質量が増加することによる容量低下の問題が生じてしまう。
以上説明したように、LATPを「負極保護層」として使用したリチウム空気電池では、第1の従来技術を用いてLATPの腐食を抑制しようとした場合、酸素活性の低下、及び、大幅な理論容量の低下の問題が生じてしまう。第2の従来技術を用いてLATPの腐食を抑制しようとした場合、空気極閉塞及び酸素供給不良、酸素発生反応阻害、並びに、容量低下の問題が生じてしまう。
そこで、本発明者は、これらの問題を生じさせないでLATPの腐食を抑制する技術を検討したところ、LATPをLiOH水溶液に浸漬させるアルカリ処理を施すことによって、LATPのアルカリ水溶液に対する耐久性を向上できることを見出した。
以下、本発明の各実施形態について説明する。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係るリチウムイオン伝導体について図面を参照しながら説明する。
(リチウムイオン伝導体の構成)
本発明の第1実施形態に係るリチウムイオン伝導体は、図1Aに示された薄板形状のリチウムイオン伝導性ガラスセラミックス11を浸漬液(アルカリ処理水溶液)に浸漬させるアルカリ処理を施すことにより得ることができる。図1Bに示されたように、このリチウムイオン伝導体は、リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス11の表面の少なくとも一部に、アルカリ処理層12を有する。尚、本例においては、リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス11の表面全体にアルカリ処理層12を有する。
(リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス)
リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス11としては、例えば、水不透過性であり、且つ、リチウムイオン伝導性を有する材料を用いることができる。
リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス11としては、Li1+x+yAl(TiGe1−z2−xSi3−y12(式中、0≦x≦0.8、0≦y≦0.6、0<z≦1である。)で表されるリチウム置換型NASICON型のリチウムイオン伝導性ガラスセラミックス(「LATP」と称呼される。)を用いることができる。
(アルカリ処理層)
アルカリ処理層12は、アルカリ処理によって、アルカリ処理前のリチウムイオン伝導性ガラスセラミックス11の表面が変質されることにより形成された層である。アルカリ処理層12は、少なくともLATPの結晶相、及び、LiPOの結晶相を含む。尚、アルカリ処理層12は、LATPのガラス相、及び、アルカリ処理によって形成された他の化合物相を含んでいてもよい。
LiPOの水100g当たりの溶解度は0.027wt%であり、LiPOはアルカリ水溶液に対する溶解性が低い傾向にある。アルカリ処理層12は、LATPの結晶相に比べて、アルカリ水溶液に対する溶解性が低いLiPOの結晶相を含むので、LATPに比べて、アルカリ水溶液に対する耐久性が高くなる。
図2Aに示されたように、アルカリ処理前のリチウムイオン伝導性ガラスセラミックス11の表面は、LATPの結晶相11a及びLATPのガラス相11bを有する。LATPの結晶相11aより、LATPのガラス相11bの方がアルカリ処理によって腐食されやすい。従って、アルカリ処理前のリチウムイオン伝導性ガラスセラミックス11の表面において、LATPの結晶相の部分と、LATPのガラス相の部分とでは腐食される程度に違いが生じる。
アルカリ処理を行うと、図2Bに示されたように、表面のLATPの結晶相11a間のLATPのガラス相11bの部分から腐食(分解)が進行すると共に、LATPのガラス相11bが腐食された部分及び表面から露出するLATPの結晶相11a上にLiPOの結晶相が形成される。更に、時間が経過すると、図2Cに示されたように、LATPの結晶相11a間(粒界)のLATPのガラス相11bの腐食が更に進行すると共に、内部のLATPの結晶相間の少なくとも一部にLiPOの結晶相12aが形成される。尚、表面のLATPのガラス相11bの部分から選択的に腐食が進行することにより、アルカリ処理層12は、アルカリ処理による変質前のリチウムイオン伝導性ガラスセラミックス11の表面に比べて粗い形状を有する。更に、アルカリ処理層12は、内部のLATPの結晶相11a間の少なくとも一部に、LATPが腐食されることにより形成された空隙(図示省略)を有していてもよい。
アルカリ処理層12の表面の粗い形状、及び/又は、空隙によって、LATPの結晶相11aと電解液との接触面積を向上できるので、LiPOの結晶相12aが形成されることによるリチウムイオン伝導体の抵抗の大幅な上昇を抑制することができる。即ち、LiPOの結晶相12aは、LATPの結晶相11aより抵抗が高い特性(リチウムイオン導電率が低い特性)を有するのに対して、上記によって、LiPOの結晶相12aが形成されることによるリチウムイオン伝導体の抵抗の大幅な上昇を抑制することができる。
(リチウムイオン伝導体の製造方法)
本発明の第1実施形態に係るリチウムイオン伝導体の製造方法について説明する。このリチウムイオン伝導体は、薄板状のリチウムイオン伝導性ガラスセラミックス11をアルカリ処理水溶液に浸漬することにより作製することができる。
具体的に述べると、まず、図3Aに示されたように、薄板状のリチウムイオン伝導性ガラスセラミックス11を、容器15に入れたアルカリ処理水溶液16に浸漬させた後、図3Bに示されたように、容器15の開口に蓋17をかぶせて容器15を密閉する。次に、図3Cに示されたように密閉した容器15を恒温槽18内に所定時間配置する。これにより、図3Dに示されたように、リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス11の表面にアルカリ処理層12が形成される。以上により、本発明の第1実施形態に係るリチウムイオン伝導体を作製することができる。
アルカリ処理水溶液16としては、LiOH水溶液を用いることができる。LiOH水溶液のLiOH濃度は、0.021mol/Lより高いことが好ましい。水溶液中のリン酸の3段階目の酸乖離平衡反応は、(4)式で表され、この場合の酸乖離定数がpKa3=12.32である。これに基づけば、LiPOの形成に必要なPO 3−量を増加させるために必要な水溶液のLiOH濃度としては、pH12.32に相当する0.021mol/Lより高いことが必要となるからである。
HPO 2−⇔H+PO 3−・・・(4)
尚、LiOH水溶液の濃度の上限値としては、LiOH水溶液の飽和溶液に対応する濃度(例えば、25℃で5.23mol/L)であることが好ましい。
浸漬時間としては、LiPOがより多く生成されることにより、より優れたアルカリ耐性を有するアルカリ処理層12を形成できる観点から、1週間以上であることが好ましく、2週間以上であることがより好ましい。
LiOH水溶液は、LiOHに加えて、更に、リン酸塩を含むことが好ましい。これにより、LATPからLiOH水溶液へのPO 3−の溶出を抑制することができるので、LATPの表面にLiPOを効率良く形成することができる。リン酸塩としては、例えば、LiPO4、NaPO、及び、KPO等から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
(効果)
第1実施形態に係るリチウムイオン伝導体は、リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス11の表面に形成された、LATPの結晶相及びLiPOの結晶相を含むアルカリ耐性の高いアルカリ処理層12によって、アルカリ水溶液に接触した場合のアルカリ腐食の進行を抑制できる。その結果、アルカリ水溶液に対する耐久性を向上することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るリチウム空気電池について図面を参照しながら説明する。本例において、リチウム空気電池は、充電及び放電可能なリチウム空気二次電池である。尚、リチウム空気電池は、リチウム空気一次電池であってもよい。第2実施形態に係るリチウム空気電池は、上述の第1実施形態に係るリチウムイオン伝導体を負極保護層として含む。
(電池構成)
図4は、第2実施形態に係るリチウム空気電池の構成例を示す。図4に示されたように、リチウム空気電池は、負極21と、正極25(「空気極」とも称呼される。)との間に、反応防止層22と、負極保護層23と、水系電解質層24とが介在されている。反応防止層22、負極保護層23及び水系電解質層24は、負極21から正極25に向かって、反応防止層22、負極保護層23、水系電解質層24、及び、正極25の順に配設されている。
(負極)
負極21としては、箔状の金属リチウムを用いることができる。
(反応防止層)
反応防止層22は、負極保護層23と、負極21(金属リチウム)との反応を防止するために設けられている。反応防止層22を設けることにより、負極保護層23と、金属リチウムとが接触して、負極保護層23の構成成分のチタンが還元されることによって、負極保護層23が劣化することを防止することができる。
反応防止層22としては、リチウムイオン伝導性を有し、且つ、金属リチウムに対して安定な材料を用いることができる。反応防止層22としては、例えば、ポリマー電解質、有機電解液(非水電解液)、又は、リチウムリン酸窒化物(LiPON(Li3−xPO4−yy))を用いることができる。
ポリマー電解質としては、真性ポリマー電解質(電解液を含まないポリマー電解質)又はゲル電解質(電解液を含むゲル状のポリマー電解質)を用いることができる。
真性ポリマー電解質としては、例えば、リチウム塩をホストポリマーに分散させた電解質を用いることができる。ホストポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、及び、ポリプロピレンオキシド(PPO)等から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiTFSI(Li(CFSON)、及び、LiBOB(リチウムビスオキサレートボレート)等から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
非水電解液としては、非水溶媒にリチウム塩を溶解させた非水電解液を用いることができる。非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、ジエチルカーボネート、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、及び、ジメチルカーボネート等から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。リチウム塩としては、上述したリチウム塩を用いることができる。
ゲル電解質は、上述の非水電解液と、非水電解液により膨潤したホストポリマー(マトリックスポリマー(高分子化合物))とを有する。ホストポリマーとしては、非水電解液により膨潤可能な高分子化合物を用いることができる。このようなホストポリマーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、及び、ポリエチレンオキシド等から選ばれた1種又は2種以上を挙げることができる。
(負極保護層)
負極保護層23は、上述の第1実施形態に係るリチウムイオン伝導体で構成されている。負極保護層23(リチウムイオン伝導体)は、リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス11と、リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス11の表面に形成されたアルカリ処理層12とを有する。尚、アルカリ処理層12は、少なくとも水系電解質層24に対向するリチウムイオン伝導性ガラスセラミックス11の表面に形成される。アルカリ処理層12は、第1実施形態のように、リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス11の表面全体に形成されていてもよい。
(水系電解質層)
水系電解質層24は、セパレータ(図示省略)及びセパレータに含浸された水系電解液(水溶液電解液)で構成されている。セパレータとしては、親水性の多孔質膜を用いることができる。このような多孔質膜としては、親水性化処理が施されたポリオレフィンフィルム(例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンフィルム)、又は、不織布を用いることができる。水系電解液としては、アルカリ水溶液(例えば、水酸化リチウム(LiOH)水溶液)を用いることができる。
(正極)
正極25は、触媒層31及びガス拡散層32で構成されている。正極25には、活物質である酸素(空気)が供給される。
触媒層31は、放電用触媒として、触媒担持カーボン粒子(白金担持カーボン)と、充電用触媒として酸化イリジウム(IrO)粒子(粉末)と、バインダー(フッ素系樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))と、を含む。
ガス拡散層32は、触媒層31に反応ガス(空気(酸素))を供給すると共に触媒層31に発生する電荷を集電する導電性多孔質層(導電性材料を主成分とする多孔質層)である。ガス拡散層32の外側の一主面が空気と接し、ガス拡散層32の内側の他主面に、触媒層31が形成されている。ガス拡散層32としては、例えば、撥水処理を施したカーボンペーパーを用いることができる。
(電池の動作)
リチウム空気電池(二次電池)では、充電及び放電に伴い、負極21及び正極25にて、次の反応が生じる。
(放電時)
負極反応:Li→Li+e
正極反応:Li+1/4O+3/2HO→LiOH・H
(充電時)
負極反応:Li+e→Li
正極反応:LiOH・HO→Li+1/4O+3/2H
即ち、放電時、リチウム空気電池では、負極21にて、金属リチウムがリチウムイオンとして、反応防止層22及び負極保護層23を通り水系電解質層24(電解液)に移動する。このとき、電子は負極21に接続された外部回路(図示省略)に供給される。正極25にて、正極25に接続された外部回路から電子が供給されて触媒層31で空気中の酸素と水とが反応して水酸化物イオンが生じる。水系電解質層24(電解液)にて、リチウムイオンと水酸化物イオンとが反応して水溶性の水酸化リチウム(LiOH)が生じる。
一方、充電時、リチウム空気電池では、負極21に外部回路から電子が供給され、水系電解質層24(電解液)に存在するリチウムイオンが、負極保護層23及び反応防止層22を通って負極21表面に移動して、負極21表面にて、リチウムイオンが電子を受け取り、金属リチウムが生じる。正極25の触媒層31にて、水酸化物イオンが反応して酸素が生じると共に電子が発生し、発生した電子が外部回路に供給される。
(効果)
第2実施形態に係るリチウム空気電池では、負極保護層23が第1実施形態に係るリチウムイオン伝導体であり、リチウムイオン伝導体の表面のアルカリ処理層12が水系電解質層24に対向して接するように構成されている。これにより、負極保護層23のアルカリ水溶液に対する耐久性を向上することができ、リチウム空気電池の放電反応に伴い水系電解質層24に含まれる水系電解液が強アルカリ性化した場合でも、負極保護層23の腐食の進行を抑制できる。その結果、負極保護層23の腐食の進行によって、電池性能が劣化してしまうことを抑制できる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されない。
本発明の実施例について以下の順序で説明する。
(1)アルカリ処理時間の影響評価
(2)浸漬液であるLiOH水溶液のLiOH濃度の影響評価
(3)浸漬液であるLiOH水溶液に対するLiPO添加の影響評価
(4)アルカリ耐性評価
(1)アルカリ処理時間の影響評価
<実施例1−1〜実施例1−4>
次のようにアルカリ処理時間が異なる実施例1−1から実施例1−4のリチウムイオン伝導体を作製した。
<実施例1−1>
まず厚さ150μm、1インチ×1インチの大きさのLATP薄板(株式会社オハラ製、製品名:LICGCTM AG-01)を用意した。次に、このLATP薄板を、温度60℃の恒温槽中にて、飽和LiOH水溶液に1週間浸漬させた。これにより、実施例1−1のアルカリ処理LATP薄板(リチウムイオン伝導体)を作製した。
<実施例1−2>
LATP薄板の飽和LiOH水溶液への浸漬時間を2週間に変えたこと以外は、実施例1−1と同様にしてリチウムイオン伝導体を作製した。
<実施例1−3>
LATP薄板の飽和LiOH水溶液への浸漬時間を4週間に変えたこと以外は、実施例1−1と同様にしてリチウムイオン伝導体を作製した。
<実施例1−4>
LATP薄板の飽和LiOH水溶液への浸漬時間を10週間に変えたこと以外は、実施例1−1と同様にしてリチウムイオン伝導体を作製した。
<比較例1−1>
LiOH水溶液に浸漬させていないLATP薄板を、比較例1−1のリチウムイオン伝導体とした。
作製した実施例1−1〜実施例1−4、及び、比較例1−1のリチウムイオン伝導体について、次のように「SEM観察による表面及び断面の腐食状態の確認」を行った。
(表面及び断面のSEM観察による腐食状態の確認)
フィールドエミッション電子プローブマイクロアナライザ(FE−EPMA、日本電子株式会社製、製品名:JXA−8530F)を用いて、加速電圧7kVで表面及び断面の形態観察(SEM観察)を行った。尚、断面観察は、平面イオンミリング後の断面を観察した。
図5に、実施例1−1〜実施例1−4、及び、比較例1−1のリチウムイオン伝導体の表面及び断面の写真(二次電子像)を示す。図6に、浸漬時間に対して腐食深さ(アルカリ処理層の厚さ)をプロットしたグラフを示す。尚、図6において、縦座標軸に沿った太線は、観察領域の腐食深さの測定値の分布を示し、太線上の点は頻度の一番大きい腐食深さ(最頻値)を示している。
表1に腐食状態の評価結果を示す。尚、表1中の腐食状態評価は、下記の判断基準に基づき行っている。
(表面腐食状態評価)
「あり」:SEM観察において表面に腐食(変質)が観察された。
「なし」:SEM観察において表面に腐食(変質)が観察されなかった。
(腐食深さ評価)
「浅い」:腐食深さの最頻値が600nm未満であった。
「深い」:腐食深さの最頻値が600nm以上1200nm未満であった。
「非常に深い」:腐食深さの最頻値が1200nm以上であった。
尚、表1において、実施例1−1〜実施例1−4、及び比較例1−1の中で、「非常に深い」に該当する実施例又は比較例はなかった。
図5に示されたように、実施例1−1〜実施例1−4のリチウムイオン伝導体(アルカリ処理LATP)の表面には、結晶質のLATP(LATPの結晶相)と思われる数百nm程度の角形状の塊状物を多数確認できた。即ち、実施例1−1〜実施例1−4のリチウムイオン伝導体の表面がアルカリ処理によって腐食していることを確認できた。
更に、図6に示されたように、浸漬時間が2週間以上の実施例1―2〜実施例1−4のリチウムイオン伝導体の腐食深さは、900nmから1200nm程度に留まっており、時間経過に対する腐食深さの増加率はほぼ一定であった。即ち、浸漬時間が2週間以上で、LATPの腐食の進行がほぼ停止することがわかった。
(薄膜X線回折分析)
更に、作製した実施例1−1〜実施例1−4、及び、比較例1−1のリチウムイオン伝導体について、LATPの腐食によって生成した成分を確認するために、薄膜X線回折分析を行った。
薄膜X線回折分析は、次のように行った。薄膜XRD装置(株式会社リガク製、製品名:RINT2500HLB)を用いて、管電圧50kV、管電流250mAで、薄膜X線回折分析を行うことにより、作製したリチウムイオン伝導体の表層部(アルカリ処理層)の組成分析を行った。図7にX線回折プロファイルを示す。
図7に示されたように、実施例1−1〜実施例1−4についてのX線回折プロファイルにLiPO由来の結晶性ピークを確認できた。即ち、飽和LiOH水溶液に浸漬させることによりLATPが腐食することによって生成した成分は、LiPOの結晶相を含むことがわかった。更に、図7中の表B1の積分強度比に示されたように、LATPを飽和LiOH水溶液に浸漬させる浸漬時間が長くなるに従い、生成したLiPO比率(即ち、LiPOの量)が増加していくことがわかった。
(抵抗評価)
アルカリ処理により生成したLiPO自体のリチウムイオン導電性は、LATPに比べて非常に低いので、リチウムイオン伝導体の抵抗が増加してしまうことが懸念される。従って、実施例1−1〜実施例1−4、及び、比較例1−1のインピーダンスを測定した。これにより、実施例1−1〜実施例1−4のリチウムイオン伝導体のインピーダンス変化(アルカリ処理前の比較例1−1のインピーダンスからのインピーダンス変化)を評価した。
(インピーダンス測定)
インピーダンス測定は、次のように行った。図8に示されるように、ガラスU字管100の中央部に、作製したサンプル101(リチウムイオン伝導体)を取りつけた。サンプル101によって2つに仕切られたガラスU字管100の一方(A槽)及び他方(B槽)のそれぞれに、1mol/LのLiOH水溶液を入れた。
A層に入れたLiOH水溶液中に電極102Aとして白金黒電極を設置し、B槽に入れたLiOH水溶液中に電極102Bとして白金黒電極を設定した。電極102A及び電極102Bにポテンショ/ガルバノスタット(BioLogic社製、製品名:VMP3)に接続し、2極間の交流インピーダンス測定を行った。
図9にインピーダンス測定で得た実施例1−1〜実施例1−4、及び、比較例1−1についてのコール−コールプロットを示す。表1に、コール−コールプロットに基づいて求められた総抵抗値(リチウムイオン伝導体、及び、LiOH水溶液の総抵抗値)、及び、総抵抗値に基づく評価を示す。
尚、表1中の抵抗の評価は、比較例1−1の総抵抗値を基準値として、下記の判断基準に基づいて行った。
「低下(◎)」:基準値に比べて、総抵抗値が小さい。
「大幅な上昇なし(〇)」:基準値に比べて、総抵抗値が大きく上昇していない(具体的に述べると、総抵抗値と基準値との差が20Ωcm未満である。)。
図9及び表1に示されたように、アルカリ処理時間(浸漬時間の長さ)に関係なく大幅な抵抗上昇は確認されなかった。LATPの腐食後もリチウムイオン導電性に寄与する結晶質のLATPが残存していることにより、抵抗上昇を抑制できたと考えられる。LATPの腐食後に表面が荒くなることや腐食部分に空隙が形成されることによって、電解液と結晶質のLATPとの接触面積が増大することにより、抵抗上昇を抑制できたと考えられる。
(2)浸漬液であるLiOH水溶液のLiOH濃度の影響評価
<実施例2−1〜実施例2−2、及び、比較例2−1>
次に、浸漬液であるLiOH水溶液のLiOH濃度のみ異なる実施例2−1〜実施例2−2、及び、比較例2−1のリチウムイオン伝導体を次のように作製した。
<実施例2−1>
実施例1−3と同様にして、実施例2−1のリチウムイオン伝導体を作製した。
<実施例2−2>
飽和LiOH水溶液に代えて、1mol/LのLiOH水溶液を用いたこと以外は、実施例2−1と同様にしてリチウムイオン伝導体を得た。
<比較例2−1>
飽和LiOH水溶液に代えて、0.01mol/LのLiOH水溶液を用いたこと以外は、実施例2−1と同様にしてリチウムイオン伝導体を得た。
(表面及び断面のSEM観察による腐食状態の確認)
作製した実施例2−1〜実施例2−2及び比較例2−1のリチウムイオン伝導体について、実施例1−1と同様にして、「SEM観察による表面及び断面の腐食状態の確認」を行った。
図10に、実施例2−1〜実施例2−2及び比較例2−1のリチウムイオン伝導体の表面及び断面の写真(二次電子像)を示す。図11に、LiOHの濃度に対して腐食深さ(アルカリ処理層の厚さ)の最頻値をプロットしたグラフを示す。表2に、腐食状態の評価結果を示す。
図10に示されたように、1mol/L以上のLiOH水溶液に浸漬させることにより得た実施例2−1及び実施例2−2のリチウムイオン伝導体の表面には、結晶質のLATPと思われる数百nm程度の角形状の塊状物が多数確認された。一方、希薄の0.01mol/LのLiOH水溶液に浸漬させることにより得た比較例2−1のリチウムイオン伝導体の表面には、結晶質のLATPと思われる角形状の塊状物を確認することができなかった。更に、当該比較例2−1のリチウムイオン伝導体の表面には、数nm程度の多数の空孔(空隙)が確認された。
図11に示されたように、LiOH水溶液のLiOH濃度が0.01mol/Lである比較例2−1のリチウムイオン伝導体は、水溶液の濃度が低すぎるのでLATPが水溶液へ溶解する反応が進行しやすくなってしまうことにより、腐食深さが非常に深くなってしまうと共に、空孔量(空隙量)のさらなる増加が確認された。既述したように、低溶解性のLiPOを生成するためのLiOH水溶液のLiOH濃度としてはpH12.32に相当する0.021mol/Lより高いことが必要であると考えられる。従って、この結果は、当該考察と整合性がある。
以上の評価結果、及び、考察から、LiPOを含むアルカリ処理層を形成するためには、0.021mol/Lより高い濃度のLiOH水溶液で処理することが必要であることがわかった。
(3)浸漬液であるLiOH水溶液に対するLiPO添加の影響評価
<実施例3−1〜実施例3−2>
次に、浸漬液であるLiOH水溶液に対するLiPO添加の有無のみ異なる実施例3−1及び実施例3−2のリチウムイオン伝導体を次のように作製した。
<実施例3−1>
実施例1−3と同様にして、実施例3−1のリチウムイオン伝導体を作製した。
<実施例3−2>
飽和LiOH水溶液に代えて、LiPOが5質量%となるようにLiPOを添加した飽和LiOH水溶液を用いたこと以外は、実施例3−1と同様にしてリチウムイオン伝導体を作製した。
(表面及び断面のSEM観察による腐食状態の確認)
作製した実施例3−1及び実施例3−2のリチウムイオン伝導体について、実施例1−1と同様にして、「SEM観察による表面及び断面の腐食状態の確認」を行った。図12に、実施例3−1及び実施例3−2のリチウムイオン伝導体の表面及び断面の写真(二次電子像)を示す。腐食状態の評価結果を表3に示す。
(インピーダンス測定)
更に、作製した実施例3−1及び実施例3−2のリチウムイオン伝導体について、実施例1−1と同様にして、「インピーダンス測定」を行った。図13にインピーダンス測定で得た実施例3−1〜実施例3−2のコール−コールプロットを示す。尚、比較のため、比較例1−1についてのコール−コールプロットも、図13に示す。表3に、コール−コールプロットに基づいて求められた総抵抗値(リチウムイオン伝導体、及び、LiOH水溶液の総抵抗値)、及び、総抵抗値に基づく評価を示す。
図12に示されたように、実施例3−2のアルカリ処理LATPの表面状態は、100nm以下の細かい粒状の生成物と、その生成物が凝集したと考えられる数百nmの粒状の生成物とが確認された。この生成物はLiPOと考えられ、LiPOを浸漬液であるLiOH水溶液に予め添加することによって、LiOH水溶液中にLATPからのPO 3−の溶出を防止できるので、LATP表面に効率良くLiPOを形成できたと考えられる。
更に、実施例3−2のリチウムイオン伝導体の腐食深さは、300nm程度と浅くなっており、LiPOを添加しない浸漬液を用いた実施例3−1のリチウムイオン伝導体に比べて、1/3程度の薄さでアルカリ処理層を形成できた。
更に、表3に示されたように、実施例3−2のリチウムイオン伝導体についてのインピーダンスの総抵抗値は、実施例3−1のリチウムイオン伝導体についてのインピーダンスの総抵抗値より低くなっており、浸漬液であるLiOH水溶液へのLiPO添加は、LATP表面に薄いアルカリ耐性被膜(アルカリ処理層)の形成により好ましい手法であることがわかった。
(4)アルカリ耐性評価
次に、実施例4−1〜実施例4−3、及び、比較例4−1のリチウムイオン伝導体を次のように作製した。
<実施例4−1>
実施例1−3と同様にして、実施例4−1のリチウムイオン伝導体を作製した。
<実施例4−2>
実施例3−2と同様にして、実施例4−2のリチウムイオン伝導体を作製した。
<比較例4−1>
飽和LiOH水溶液に代えて、LiClが10mol/Lになるように添加した飽和LiOH水溶液を用いたこと以外は、実施例4−1と同様にしてリチウムイオン伝導体を作製した。
<比較例4−2>
LiOH水溶液に浸漬させていないLATP薄板を、比較例4−2のリチウムイオン伝導体とした。
(アルカリ耐性評価)
アルカリ処理層のアルカリ耐性を確認するため、1mol/LのNaOH水溶液に室温×24時間浸漬を行った後、リチウムイオン伝導体(LATP)の表面形状変化を、光学顕微鏡を用いて観察した。
実施例4−1、実施例4−2、及び、比較例4−1のリチウムイオン伝導体の観察結果を図14A乃至図14Cに示し、評価結果を表4に示す。
図14Cに示されたように、アルカリ処理を行っていない未処理のLATP(比較例4−2)は、板形状を保持できないほど腐食してしまい粉体となってしまった。尚、写真では示してないが、比較例4−1も同様に、LATPが粉体化してしまった。これに対して、浸漬液に飽和LiOH水溶液を用いた実施例4−1リチウムイオン伝導体、及び、5質量%LiPO添加LiOH水溶液を用いた実施例4−2のリチウムイオン伝導体は、板形状を保持することができた。尚、図14Aに示されたように、実施例4−1のリチウムイオン伝導体は、表面の矢印a1〜a3に示された場所等に亀裂が確認できるのに対して、図14Bに示されたように、実施例4−2のリチウムイオン伝導体は、その表面に亀裂が確認できず、緻密なアルカリ耐性被膜(アルカリ処理層)を形成できていることが確認できた。
<変形例>
以上、本発明の各実施形態及び各実施例について具体的に説明したが、本発明は、上述の各実施形態及び各実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の各実施形態及び各実施例において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値等を用いてもよい。
また、上述の各実施形態及び各実施例の構成、方法、工程、形状、材料および数値等は、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
11…リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス、12…アルカリ処理層、21…負極
22…反応防止層、23…負極保護層、24…水系電解質層、25…正極、31…触媒層、32…ガス拡散層

Claims (8)

  1. Li1+x+yAl(TiGe1−z2−xSi3−y12(式中、0≦x≦0.8、0≦y≦0.6、0<z≦1である。)で表されるLATPからなるリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスを含み、
    前記リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスの表面に、LATPの結晶相、及び、LiPOの結晶相を含むアルカリ処理層を有する、
    リチウムイオン伝導体。
  2. 請求項1に記載のリチウムイオン伝導体において、
    前記LiPOの結晶相は、前記アルカリ処理層の内部の前記LATPの結晶相間、及び、表面に露出されたLATPの結晶相上の少なくとも一部に含まれる、
    リチウムイオン伝導体。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のリチウムイオン伝導体において、
    前記アルカリ処理層の内部の前記LATPの結晶相間の少なくとも一部に形成された空隙を有する、
    リチウムイオン伝導体。
  4. Li1+x+yAl(TiGe1−z2−xSi3−y12(式中、0≦x≦0.8、0≦y≦0.6、0<z≦1である。)で表されるLATPからなるリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスを、水酸化リチウム水溶液に浸漬させることにより、前記リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスの表面に、LATPの結晶相、及び、LiPOの結晶相を含むアルカリ処理層を形成する工程を含み、
    前記水酸化リチウム水溶液の前記水酸化リチウムの濃度は、0.021mol/Lより高い、リチウムイオン伝導体の製造方法。
  5. 請求項4に記載のリチウムイオン伝導体の製造方法において、
    前記リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスを前記水溶液に浸漬させる時間は、2週間以上である、リチウムイオン伝導体の製造方法。
  6. 請求項4又は請求項5に記載のリチウムイオン伝導体の製造方法において、
    前記水酸化リチウム水溶液は、リン酸塩を更に含む、リチウムイオン伝導体の製造方法。
  7. 請求項6に記載のリチウムイオン伝導体の製造方法において、
    前記リン酸塩は、LiPOである、リチウムイオン伝導体の製造方法。
  8. 金属リチウムを含む負極と、
    空気が供給される空気極と、
    水系電解液を含む電解質と、
    前記負極と前記電解質との間に介在された負極保護層と
    を含み、
    前記負極保護層は、
    Li1+x+yAl(TiGe1−z2−xSi3−y12(式中、0≦x≦0.8、0≦y≦0.6、0<z≦1である。)で表されるLATPからなるリチウムイオン伝導性ガラスセラミックスを含み、
    前記電解質に対向する前記リチウムイオン伝導性ガラスセラミックスの表面に、LATPの結晶相、及び、LiPOの結晶相を含むアルカリ処理層を有する、リチウムイオン伝導体で構成された、
    リチウム空気電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113403648A (zh) * 2020-03-17 2021-09-17 本田技研工业株式会社 电解装置

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