図1〜図9は第1の減速装置を示す。この減速装置1は、入力側回転部材2、出力側回転部材3、ボール4および保持器5を主な構成とし、ケース6(入力側の第1部材6aと出力側の第2部材6bとが組合わされてなるケース)内に組込まれている。
図1に示すように、入力側回転部材2は、入力軸としての回転軸7、偏心カム8、転がり軸受9および入力板部10(10A)からなる。回転軸7の外径面に偏心カム8が嵌合されている。偏心カム8の円筒形外径面8aの中心線O1は、回転軸7の軸心X1(すなわち、装置回転中心X)に対して偏心量aだけ半径方向に偏心している。このため、この偏心カム8にて、入力軸である回転軸7に偏心部が構成される。偏心カム8の円筒形外径面8aと入力板部10Aの円筒形内径面10aとの間に転がり軸受9が装着され、入力板部10Aは偏心カム8に回転自在に支持されている。偏心カム8の円筒形外径面8aの中心線O1は入力板部10Aの中心線でもある。このため、回転軸7が回転すると入力板部10Aは、回転軸7の軸心X1を中心に振れ回り半径aで公転運動を行う。回転軸7は、ケース6の第1部材6aの内径面21に装着された転がり軸受11および保持器5の内径面5aに装着された転がり軸受12によって回転自在に支持されている。
図1、図4Aおよび図4Bに示すように、入力板部10Aの側面10bに第1のボール係合溝13が形成されている。図4Aは、図1のE−E線で矢視した入力板部10Aの側面図で、図4Bは、図4AのG−G線における入力板部10Aの断面図である。図4A、図4Bでは、入力板部10Aの外径面の面取りや転がり軸受9が装着される内径面10a(図1参照)の図示を省略している。
図4Aに示すように、第1のボール係合溝13の軌道中心線L1は半径rの円形に形成され、第1のボール係合溝13はトーラス面の一部からなる。軌道中心線L1の曲率中心は、偏心カム8の円筒形外径面8aおよび入力板部10Aの中心線O1に位置する。曲率中心O1は回転軸7の軸心X1に対して偏心量aだけ偏心している。第1のボール係合溝13の軌道中心線L1上にボール4の中心Obが位置する。本明細書および特許請求の範囲において、第1のボール係合溝の軌道中心線とは、第1のボール係合溝13に沿ってボール4を移動させたときのボール4の中心Obの軌跡を意味する。
図1に示すように、出力側回転部材3は出力板部30(30A)と軸部31とからなり、出力板部30Aと軸部31は一体に形成されている。軸部31は出力軸となる。出力側回転部材3は、ケース6の第2部材6bの内径面20に装着された転がり軸受14および保持器5の段部外径面5bに装着された転がり軸受15によって回転自在に支持されている。
図1、図5Aおよび図5Bに示すように、出力板部30Aの側面28に第2のボール係合溝16が形成されている。図5Aは、図1のF−F線で矢視した出力板部30Aの側面図で、図5Bは、図5AのH−H線における出力板部30Aの断面図である。図5A、図5Bでは、出力板部30Aの外径面の面取りや転がり軸受15が装着される内径面22(図1参照)の図示を省略している。
第2のボール係合溝16の軌道中心線L2は波状曲線で形成され、軸部31の軸心X2と軌道中心線L2と距離Rは、基準ピッチ円半径PCRに対して増減変動し、本実施形態では、軌道中心線L2の波状曲線には基準ピッチ円半径PCRより大きい距離Rを有する山部が10個、基準ピッチ円半径PCRより小さい距離Rを有する谷部が10個で形成されている。軸部31の軸心X2は回転軸7の軸心X1と同軸上に配置されている。第2のボール係合溝16の軌道中心線L2上にボール4の中心Obが位置する。
第1の実施形態において、第2のボール係合溝の軌道中心線の波状曲線とは、半径PCRの基準ピッチ円に一定のピッチで交互に交差する曲線を意味する。また、第2のボール係合溝の軌道中心線とは、第2のボール係合溝16に沿ってボール4を移動させたときのボール4の中心Obの軌跡を意味する。第2のボール係合溝16の軌道中心線L2の波状曲線の詳細は後述する。
図1に示すように、入力板部10Aと出力板部30Aの軸方向に対向する側面10b、28間に保持器5が配置されている。保持器5にはボール4を保持するポケット17が設けられている。保持器5の外周側に貫通孔18が設けられ、この貫通孔18にピン19が嵌挿され、保持器5はケース6に回転不能に取り付けられている。これにより、保持器5に対して、入力側回転部材2の回転軸7が回転自在となる。この状態で、第2部材6bの貫通孔25、保持器5の貫通孔23に固定用ボルト24を嵌挿し、第1部材6aのねじ孔26に螺合させて第1部材6a、第2部材6bおよび保持器5が締結される。
図1、図6Aおよび図6Bに示すように、保持器5のポケット17は回転軸7の軸心X1を中心に径方向に放射状に延びる長穴で形成されている。図6Aは、図1のI−I線で矢視した保持器の側面図で、図6Bは、図6AのJ部の拡大図である。図6A、図6Bでは、図1における保持器5の外周側の貫通孔18、23や転がり軸受12を装着する内径面5aの図示を省略している。
保持器5のポケット17の個数は、軌道中心線L2の波状曲線の山部又は谷部の個数(10個)より1個多い11個であり、ポケット17は周方向に等間隔に形成されている。各ポケット17にボール4が1個ずつ配置されている。各ポケット17が径方向に放射状に延びる長穴で形成されているので、各ポケット17内のボール4は、基準ピッチ円半径PCRに対して径方向外側および径方向内側に所定量mの範囲で移動することができる。保持器5は回転不能に設けられており、ボール4は、保持器5のポケット17により半径方向に移動可能に保持されている。
この第1の減速装置1では、第2のボール係合溝16の軌道中心線L2の山部の個数が10個(谷部の個数も同様に10個)で、ボール4の個数が11個であるので、減速比iは次式により求められ、減速比iは−1/10となる。
減速比i=(山部の個数−ボール個数)/山部の個数
すなわち、出力板部はN極/周の波状溝(1周当たりの山部の数N)を有し、出力板部はボールがこの波状溝に沿って移動することによって回転駆動する。このため、減速比は、i=(N−n)/Nで表される。ここで、nはボールの数であり、Nは波状溝の極数である。ただし、ボール個数nは、N±1で構成されるため、減速比iは、i=−(±1)/Nとなり、プラスの場合、入力板部と出力板部が同方向に回転し、マイナスの場合、入力板部と出力板部が逆方向に回転する。
次に、図2および図3を参照して、入力板部10A、保持器5、ボール4および出力板部30Aの組合せ状態を説明する。図2は、図1の要部を示す斜視図で、図3は、図2のボールを保持器のポケットに配置させた状態の概要図である。図3では、図2における入力板部10Aの外径面取り、軸受装着用内径面10a、保持器5の外径側貫通孔18、23、軸受装着用内径面5a、出力板部30Aの軸受装着用内径面22、軸部31などの図示を省略している。
入力側回転部材2の回転軸7の軸心X1と出力側回転部材3の軸心X2は同軸上に配置され、保持器5の軸心も軸心X1、X2と同軸上に配置されている。入力板部10Aの第1のボール係合溝13の軌道中心線L1の曲率中心O1〔図4A参照〕は回転軸7の軸心X1に対して偏心量aだけ偏心している。換言すれば、入力板部10Aの第1のボール係合溝13の軌道中心線L1の径方向の中心は回転軸7の軸心X1に対して偏心量aだけ偏心している。
図2では、ボール4が出力板部30Aの第2のボール係合溝16に係合した状態で示しているが、このボール4が保持器5のポケット17内に配置され、ポケット17から図面手前側にボール4が突出した状態となり、ボール4が入力板部10Aの第1のボール係合溝13(図1参照)に係合する。すなわち、図3に示すように、保持器5のポケット17内のボール4の図面手前側が入力板部10Aの第1のボール係合溝13(図1参照)に係合し、ボール4の図面奥側が出力板部30Aの第2のボール係合溝16に係合する。
この第1の実施形態の減速装置1の全体構成は以上のとおりである。次に、入力側回転部材に対して出力側回転部材が減速されて同期回転するボール係合溝の詳細を図7〜図9に基づいて説明する。図7は出力板部の第2のボール係合溝とボールの配置状態を示す図で、図8は、図7のK部を拡大して第2のボール係合溝に対するボールの動きを示す図で、図9は出力板部の第2のボール係合溝の基準曲線を導出する模式図である。
前述したように、保持器5は回転不能に設けられており、ボール4は、保持器5のポケット17により半径方向に移動可能に保持されている。図7に示すように、ボール4は、出力板部30Aの第2のボール係合溝16に対して周方向に等角度の位置で係合する。本実施形態では、ボール4の個数を11個としたので、軸心X2と周方向に隣り合うボール4の中心Ob0、Ob'を結ぶ直線のなす角度をαとしたとき、α=360°/11となり、全ての隣り合うボール4の間の角度αは等角度となっている。
入力側回転部材2に対して出力側回転部材3が減速されて同期回転する状態を図8に基づいて説明する。前述したように、入力側回転部材2および出力側回転部材3の回転に対して、保持器5は回転不能に構成されている。したがって、図8に実線で示すポケット17は周方向に移動しない。図8の水平方向の中心線は入力側回転部材2の回転軸7の回転角θが0°の位置を示す。ボール4は、ポケット17の中で径方向の最も外側に位置している。これは、入力板部10Aの公転運動において、入力板部10Aの回転軸7の軸心X1に対する振れ回り半径aが図8の水平方向の中心線上にあるため、入力板部10Aの第1のボール係合溝13に係合するボール4がポケット17の中で径方向の最も外側に位置する。
回転軸7が回転角θ1回転し、入力板部10Aの振れ回り半径aの位置が回転角θ1の位置に移動するので、入力板部10Aの第1のボール係合溝13に係合するボール4はポケット17内を径方向の内径側に移動し、ボール4の中心はOb1の位置になる。ボール4の中心がOb1の状態で、出力板部30Aの第2のボール係合溝16にボール4が係合するため、換言すれば、ボール4の中心Ob1が第2のボール係合溝16の軌道中心線L2上に位置するために、出力板部30Aが図8に示す回転角iθ1分回転することになる。続いて、回転軸7が回転角θ2、さらに回転角θ3、θ4と回転すると、上記と同様に、出力板部30Aは回転角iθ2、iθ3、iθ4と回転することになる。これにより、入力側回転部材2から出力側回転部材3に減速(減速比i=−1/10)された回転運動が伝達される。
この第1の実施形態の減速装置1では、入力側回転部材2から出力側回転部材3に減速された上記回転運動が同期回転で伝達されることを特徴とする。これにより、高い回転精度や振動抑制を図ることができる。入力側回転部材2から出力側回転部材3に減速された回転運動が同期回転で伝達されるために、出力板部30Aの第2のボール係合溝16の軌道中心線L2の波状曲線の形状が設定されている。
出力板部30Aの第2のボール係合溝16の軌道中心線L2の波状曲線の導出方法を図9に基づいて説明する。図9は第2のボール係合溝16の軌道中心線L2の波状曲線を導出する模式図である。図9の水平方向の中心線は、図8の水平方向の中心線に対応し、入力側回転部材2の回転軸7の回転角θが0°の位置を示す。回転軸7の回転角θが0°のとの入力板部10Aの第1のボール係合溝13の軌道中心線L10を破線で表記し、任意の回転角θのときの第1のボール係合溝13の軌道中心線L1θを実線で表記している。
入力側回転部材2の回転軸7の軸心X1に対して、入力板部10Aの第1のボール係合溝13の軌道中心線L1は半径rの円形で、その曲率中心O1は、偏心量aだけ偏心している。このため、回転角θが0°のときの軌道中心線L1の曲率中心はO10にあり、ボール4の中心はOb0で半径方向に最も外側に位置する。保持器5のポケット17により、ボール4は、線n1上に拘束され、半径方向に移動が可能である。そして、回転軸7が任意の回転角θになると、軌道中心線L1の曲率中心はO1θに移動し、ボール4の中心はObθに移動する。この位置にあるボール4が出力板部30Aの第2のボール係合溝16に係合する。すなわち、ボール4の中心Obθが第2のボール係合溝16の軌道中心線L2(図8参照)上に位置する関係になる。この位置関係が、回転軸7の任意の回転角θに対して、常に出力板部30Aの回転角がiθであることが回転軸7と出力板部30Aの同期回転を成立させる。これに基づいて、回転軸7の軸心X1と第2のボール係合溝の軌道中心線L2との距離Rを幾何学的に求める。
図9に示すように、回転軸7の軸心X1と第2のボール係合溝の軌道中心線L2との距離Rは次の数1のように表される。
すなわち、図9からわかるように、以下の数2、数3、数4、数5、及び数6の数式が成り立つ。
ここで、この減速装置が同期回転するため、減速比i=ψ/θが成り立つ必要がある。このため、この数6から前記数1の数式を求めることができる。
この第1の実施形態の減速装置1の作動を要約して説明する。入力側回転部材2の回転軸7を回転させると、入力板部10Aは、回転軸7の軸心X1の周りに公転運動する。その際、入力板部10Aは、回転軸7に設けられた偏心カム8に対して回転自在であるので、入力板部10Aは、自転運動はほとんど行わない。これにより、保持器のポケットやボール係合溝とボールとの間の相対的な摩擦量を低減し、入力側回転部材から出力側回転部材への伝達効率を向上させることができる。
入力板部10Aが公転運動を行うと、円形の軌道中心線L1からなる第1のボール係合溝13に係合する各ボール4が、回転不能に設けられた保持器5のポケット17に拘束され、それぞれ半径方向に移動する。
各ボール4は、出力側回転部材3の出力板部30Aの第2のボール係合溝16に係合しているので、各ボール4の半径方向の移動動作に対応して、図8に示すように、出力側回転部材3は、入力側回転部材2の回転軸7の回転が減速されて回転する。その際、出力板部30Aの第2のボール係合溝16の軌道中心線L2の基準曲線が、図9で説明したように設定されているので、出力側回転部材3は回転軸7に対して減速された回転数で同期回転する。
この第1の実施形態の減速装置1の作動は以上のとおりであり、小型で高い減速比が得られ、かつ、出力側の回転速度変動や振動の抑制を可能にする減速装置を実現することができる。また、円形の軌道中心線からなる第1のボール係合溝と波状曲線の軌道中心線からなる第2のボール係合溝は、全体としてボール係合溝の形状を簡素化でき、製造の容易化、低コスト化を図ることができる。
第1のボール係合溝13として、図10Aおよび図10Bに示すように、その断面形状がいわゆるゴシックアーチ形状のボール係合溝13Aであってもよい。この場合、図10Bに示すように、ボール4は、入力板部10Aのボール係合溝13Aと2点C12,C13でアンギュラコンタクトする。この場合、接触点C12,C13が成す角度である接触角としては、例えば、30°〜40°程度に設定できる。なお、図10Bのハッチングは接触部を示している。
また、第2のボール係合溝16も、図11A及び図11Bに示すように、その断面形状がいわゆるゴシックアーチ形状のとされるボール係合溝16Aであってもよい。この場合図11Bに示すように、ボール4は、出力板部30Aのボール係合溝16Aと2点C15,C16でアンギュラコンタクトする。この場合、接触点C15,C16が成す角度である接触角としては、例えば、30°〜40°程度に設定できる。なお、図11Bのハッチングは接触部を示している。
ボール係合溝13が図10Aおよび図10Bに示すようなゴシックアーチ形状のボール係合溝13Aであったり、ボール係合溝16が、図11Aおよび図11Bに示すようなゴシックアーチ形状のボール係合溝16Aであったりすれば、ボールを安定した位置配置でき、同期回転特性(等速性)を高めることができる。このため、耐久性に優れてより高品質の変速装置を提供できる。
次に図12〜図16は第2の減速装置を示す、この減速装置の入力板部10(10B)は、前記第1の実施形態の減速装置の入力板部10Aと相違して,図15Aに示すように、多角円筒形状の第1ボール係合溝13Bを有するものである。また、この場合の出力板部30(30B)は前記第1の実施形態の減速装置の出力板部30Bと同様、波形溝からなる第2ボール係合溝16Bを有するものである。
この場合も、入力板部10Bが偏心カム8に外嵌されるので、ボール係合溝13Bの中心は、回転軸の軸心に対して所定量aだけ偏心している。なお、図12〜図16は本発明に係る減速装置の他の構成は、前記第1の実施形態と同様である。このため、この他の構成については、図1等で示す第1の実施形態の減速装置と同一符号を付してそれらの説明を省略する。
図17は第2のボール係合溝16Bの軌道中心線(基準曲線)の波状曲線を導出する模式図である。図17の水平方向の中心線は、図8の水平方向の中心線に対応し、入力側回転部材2の回転軸7の回転角θが0°の位置を示す。回転軸7の回転角θが0°のときの入力板部10Bの第1のボール係合溝13Bの軌道中心線L30を破線で表記し、任意の回転角θのときの第1のボール係合溝13Bの軌道中心線L3θを実線で表記している。
入力側回転部材2の回転軸7の軸心X1に対して、入力板部10Bの第1のボール係合溝13Bの軌道中心線L3は多角形で、その中心O3は、偏心量aだけ偏心している。このため、回転角θが0°のときの軌道中心線L3の曲率中心はO30にあり、ボール4の中心はOb0で半径方向に最も外側に位置する。保持器5のポケット17により、ボール4は、半径方向に移動が可能である。そして、回転軸7が任意の回転角θになると、軌道中心線L3の曲率中心はO3θに移動し、ボール4の中心は実線で示すL3上に移動する。この位置にあるボール4が出力板部30の第2のボール係合溝16に係合する。すなわち、ボール4の中心Obθが第2のボール係合溝16の軌道中心線L2(図8参照)上に位置する関係になる。この位置関係が、回転軸7の任意の回転角θに対して、常に出力板部30の回転角がiθであることが回転軸7と出力板部30の同期回転を成立させる。これに基づいて、回転軸7の軸心X1と第2のボール係合溝16Bの軌道中心線L2との距離Rを幾何学的に求めることができる。
この図12等に示す本発明に係る減速装置では、図17に示すように、回転中心軸の軸心X1とボール4の中心との距離Rは次の数7のように表される。
すなわち、図17からわかるように、以下の数8、数9、及び数10の数式が成り立つ。
ここで、この減速装置が同期回転するため、減速比i=ψ/θが成り立つ必要がある。このため、この数10から前記数7の数式を求めることができる。
ところで、第1の実施形態のように、入力板部10の溝13を円形溝とした場合、入力板部10が1回転すると、ボール4は保持器5内の長穴17(ポケット)を1往復し、出力板部30はi回転する。入力板部10の回転角dθ(0°≦θ≦360°)を4象限(0°〜90°、90°〜180°、180°〜270°、270°〜360°)に分け、各象限でのボールの動きに着目することでこの第1の減速装置と第2の減速装置との特性を確認することができる。
入力板部10のオフセット量が最大のときの回転角をdθ=0°とし、観察するボール4はdθ=0のとき最も回転軸から遠くにあるボールとする。保持器5に設けられた長穴17内をボール4が1往復するときの距離のうち、入力板部10の回転角dθが第1象限のときのボール4の移動距離をLa1(図6B参照)、第2象限のときをLa2(図6B参照)、第3象限のときをLa3(図6B参照)、第4象限のときをLa4(図6B参照)とし、ボール4の移動距離La1とLa2(またはLa3とLa4)を比較すると、図18Aから明らかに第1の実施形態では相違する。
すなわち、入力板部10の溝13が円形の場合、図18Aに示すように、La1とLa2(またはLa3とLa4)の長さが異なる。これはボール4が保持器5内の長穴17を転がる1往復の中で、ピッチ円を中心とした径方向外側の移動距離と径方向内側の移動距離が異なることを示し、入力板部10の回転角θと出力板部30の回転角ψの同期回転特性(ψ=iθ)を満足させるために、保持器5の長穴17内のボール4の速度変動がピッチ円を中心とした径方向外側と内側で異なることを示す。これは出力板部30の波状溝16を転がるボールの速度変動がピッチ円を中心とした径方向外側と内側で異なることを示し、振動や異音の発生につながる可能性がある。
これに対して、入力板部10の溝13が多角形状の場合、図18Bに示すように、La1とLa2(またはLa3とLa4)の長さが等しくなる。これはボール4が保持器5の長穴17内および出力板部30の波状溝16を転がる1周期の中で、ピッチ円を中心とした径方向外側の移動距離と径方向内側の移動距離が等しいこと(=単振動)を示し、入力板部10の回転角θと出力板部30の回転角ψの同期回転特性(ψ=iθ)を保ちつつ、ボールの速度変動がピッチ円を中心とした径方向外側と内側で等しいことを示す。
このため、入力板部10の溝13を多角形状(多角円筒形状)とすることによって、入力板部10と出力板部30の同期回転特性(等速性)を高めることができる。これによって、出力側の回転速度変動や振動を極力抑えることができる。
第2の減速装置によれば、前記第1の減速装置と同様、常時、入力側と出力側とが常時同期回転するので、出力側の回転速度変動や振動の少ない高品質の減速装置を提供できる。しかも小型化が可能で高い減速比を得ることも可能である。また、入力側と出力側と常時同期回転するように構成するに、溝形状を決定すればよく、構成上複雑化を招くことはない。特に、入力板部10の溝形状をボール4の数と同じ数の多角円筒形状としたことによって、入力側と出力側の同期回転特性(等速性)の向上を図ることが可能となる。
また、ボール4の数をnとし、出力板部30の波状溝16の極数をNとしたときに、減速比をiとしたときに、i=(N−n)/Nとなるように設定でき、小型で高い減速比を得ることができる減速装置を安定して提供できる。
入力板部10B及び出力板部30Bを回転可能に収納するとともに保持器を固定するケース6を備え、入力板部10Bが、入力軸7の偏心部に軸受を介して外嵌され、出力板部30Bがケース6に軸受を介して回転自在に枢支された出力軸31と一体化されているので、コンパクトな減速装置を形成できる。
また、図14〜図18Bに示す減速装置においても、第1のボール係合溝13として、図19Aおよび図19Bに示すように、その断面形状がいわゆるゴシックアーチ形状のボール係合溝13Bであってもよい。この場合、図19Bに示すように、ボール4は、入力板部10Aのボール係合溝13Bと2点C22,C23でアンギュラコンタクトする。この場合、接触点C22,C23が成す角度である接触角としては、例えば、30°〜40°程度に設定できる。なお、図19Bのハッチングは接触部を示している。
また、第2のボール係合溝16も、図20A及び図20Bに示すように、その断面形状がいわゆるゴシックアーチ形状のとされるボール係合溝16Bであってもよい。この場合図20Bに示すように、ボール4は、出力板部30Aのボール係合溝16Bと2点C25,C26でアンギュラコンタクトする。この場合、接触点C25,C26が成す角度である接触角としては、例えば、30°〜40°程度に設定できる。なお、図20Bのハッチングは接触部を示している。
ボール係合溝13が図19Aおよび図19Bに示すようなゴシックアーチ形状のボール係合溝13Bであったり、ボール係合溝16が、図20Aおよび図20Bに示すようなゴシックアーチ形状のボール係合溝16Bであったりすれば、ボールを安定した位置配置でき、同期回転特性(等速性)を高めることができる。このため、耐久性に優れてより高品質の変速装置を提供できる。
ところで、入力板部10の溝13を多角形状とした場合、入力板部10の溝13と保持器が有する長穴(ポケット)17の相互位置関係特性を保つために、入力板部10の自転を規制し公転のみ許容させるのが好ましい。このため、図21と図22に示すように、入力板部10と、これに対向する固定側の壁面(この場合、ケース6の入力側の側壁の内側面6a1)との間に、この入力板部10の自転を規制するとともに公転を許容する自転規制機構Mを設けるのが好ましい。
自転規制機構Mは、入力板部10Bの入力側の側面10cに周方向に沿って所定ピッチで複数個(この実施形態では、図23に示すように、45°ピッチで8個)設けられる円環状の軌道溝55と、入力板部10Bの入力側の側面10cに対向するケース6の第1部材6aの内側面6a1に周方向に沿って所定ピッチで複数個(図24に示すように、45°ピッチで8個)設けられる円環状の軌道溝56と、軌道溝55とこれに対向する軌道溝56の間に介在される転動体57とを備える。この場合、軌道溝55の円環中心O5と軌道溝56の円環中心O6を偏心させている。この際、軌道溝55の円環中心O5と軌道溝56の円環中心O6は180°反対方向に偏心させるのが好ましい。軌道溝55及び軌道溝56の中央には、山部55a、56aが形成され、この山部55a、56aの軸心は円環中心O5、O6となる。
このような自転規制機構Mを設ければ、入力板部10の自転を規制するとともに公転を許容することになって、入力板部10の溝13と保持器5の長穴(ポケット)17の相互位置関係性を保つことができ、安定して、振動発生を防止できる。なお、自転規制機構Mの軌道溝55(56)の数の増減も任意である。
ところで、前記減速装置では、減速比は第2のボール係合溝16の波数等によって決まり、ボール4が存在できる位置もこれらによって決まる。また、減速比が小さい(第2のボール係合溝16の波数等が多い)方がボール4を多く配置できるが、ボール4が多くなるほどボール4をポケット17に挿入する作業が増え、組み立て時に組忘れる場合が生じやすくなる。また、前記減速装置では、ボール4と保持器5のポケット17の接触は「球」と「平面」であり、その隙間はいわゆる「すきまばめ」で管理することになる。このため、組み立てる前に、保持器5のポケット17にボール4を挿入したとしても、ボール4がポケット17から抜け落ちるおそれがある。
そこで、図25〜図27に示すようなポケット17を有する保持器5を提案した。この保持器では、一旦、ポケット17にボール4を組み込めば、ボール4がポケット17から抜け落ちるのを有効に防止でき、しかも、減速装置を組み立てる前に、ボール4を保持器に組み込んだもの(保持器アセンブリ)を構成でき、組み立て時にボール4を組忘れることを回避することができる。
保持器5は、第1部材60Aと第2部材60Bとが重ね合わされてなる重ね合わせ体61を備えたものである。この場合のポケット17には、軸方向両端部側にボール抜けを規制する幅狭部62A,62Bを設けている。図27に示すように、この幅狭部62A,62Bの幅寸法Wは、ボール4の直径Dbよりも小さく設定される。
すなわち、第1・第2部材60A、60Bには、それぞれ、ポケット17を構成するための孔部63A,63Bが形成される。この場合、孔部63A,63Bの内周面断面形状は、図26と図27に示すように、凹曲面63Aa、63Baとされる。第1部材60Aと第2部材60Bとが重ね合わされてなる重ね合わせ体61を構成した際に、この凹曲面63Aa、63Baは、ボール4との接触形状とされる。この場合、凹曲面63Aa、63Baにて構成された凹円弧面65の曲率半径をcrとしたときに、ボール半径≦cr≦ボール半径×2.0とするのが好ましい。このように設定することによって、ボール4とポケット17との接触応力が低減される。
孔部63A,63Bにて構成されるポケット17は、図6Aと図6B等に示すもの同様、回転軸7の軸心X1を中心に径方向に放射状に延びる長穴で形成されている。このため、2のボール係合溝16に係合することによるボール4の径方向移動を許容する。
従って、この図25〜図27に示すようなポケット17を有する保持器5を用いても、前記減速装置1が発揮する作用効果を奏する。しかも、保持器5のポケット17にボール4を組み込まれれば、ボール4のポケット17からの抜けを有効に防止することができるので、組立性の向上を図ることができるとともに、搬送中(運搬中)等にボールの抜け落ちを防止し、ポケット4が組み込まれないポケット17が生じるのを防止でき、歩留まりが高くなる。
ところで、図25〜図27に示すようなポケット17を有する保持器5では、ポケット17に挿入されるボール4を第1・第2部材60A,60B間に介在させた状態で、第1・第2部材60A,60Bを重ね合わせて重ね合わせ体を形成する。これによって、各ポケット17にボール4が隙間を有した状態で嵌入されることになる。
次に、図28〜図31に示す保持器5は、第1部材60Aと第2部材60Bを用いないが、ポケット17として、ボール4との接触形状の凹円弧面65にて構成される幅狭部62、62を有する本体部67と、第2のボール係合溝16に係合することによるボール4の径方向移動範囲(図6Bのmで示す範囲)よりも径方向外方に設けられるボール挿入部68とからなる。
ボール4との接触形状の凹円弧面65にて構成される幅狭部62を有する本体部67は、図25〜図27に示す保持器5のポケットと同様の寸法形状とされる。また、ボール挿入部68は、その内径寸法D2(図29参照)がボール4の外径寸法Db(図31参照)よりも大きく設定され、このボール挿入部68へのボール4の挿入が許容される。
このため、この図28〜図31に示す保持器5では、ポケット17に組み込む際には、ボール挿入部68へボール4を挿入した後、ボール4を幅狭部62を有する本体部67へ移動させる。これによって、ボール4のポケット17からの抜けを有効に防止することができる。しかも、本体部67は、図25〜図27に示す保持器5のポケットと同様の寸法形状とされるので、本体部67内のボール4は、第2のボール係合溝16に係合することによるボール4の径方向移動を許容する。
なお、図28〜図31に示す保持器5では、ボール挿入部68を、ボール4の径方向移動範囲よりも径方向外方に設けていたが、ボール挿入部68を、逆に、ボール4の径方向移動範囲よりも径方向内方に設けてもよい。このように設けても、ボール挿入部68を、ボール4の径方向移動範囲よりも径方向外方に設けた場合と同様の作用効果を奏する。
次に、図32と図33に示す保持器5では、ポケット17の幅狭部62A,62Bが、塑性加工によるポケット17の径方向内方への隆起部71,72にて構成することができる。一方の隆起部71は、ポケット17の入力軸側の軸方向端部に設けられる周方向内鍔部からなり、他方の隆起部72は、ポケット17の出力軸側の軸方向端部に設けられる周方向内鍔部からなる。
この場合の塑性加工とは、図33に示すように、ポケット17の入力軸側のポケット周縁部およびポケット17の出力軸側のポケット周縁部に対して矢印方向の加圧力を付与するいわゆる加締め加工である。
また、このポケット17は、図6Aと図6B等に示すもの同様、回転軸7の軸心X1を中心に径方向に放射状に延びる長穴で形成されている。このため、2のボール係合溝に係合することによるボールの径方向移動を許容する。しかも、隆起部71,72にて構成される幅狭部62A,62Bによって、ボール4のポケット17からの抜けを有効に防止することができる。
しかも、ポケット17にボールを挿入した後、加締め加工を行うことができるので、図25から図27に示す保持器5のように、重ね合わせ体61を構成する必要がない。
次に、図34と図35に示す保持器5は、ポケット17の一方の軸方向端部に形成される幅狭部62A及び他方の軸方向端部に形成される幅狭部62Bのいずれか一方が凹曲面63Aaにて構成され、他方が塑性加工によるポケット17の径方向内方への隆起部72にて構成されている。すなわち、図27等に示すポケット17と図32等に示すポケット17とを組み合わせた形状のポケット17を有することになる。
このため、この保持器5のポケット17へのボール4の組み込みは、この場合、隆起部72が形成されていない状態で、この隆起部72が形成される側(この場合の開口部が、ボール4の外径寸法Dbよりも大径となっている)からボール4を挿入する。その後、隆起部72を加締加工にて形成する。
また、このポケット17は、図6Aと図6B等に示すもの同様、回転軸7の軸心X1を中心に径方向に放射状に延びる長穴で形成されている。このため、第2のボール係合溝16に係合することによるボール4の径方向移動を許容する。しかも、凹曲面63Aaおよび隆起部72にて構成される幅狭部62A,62Bによって、ボール4のポケット17からの抜けを有効に防止することができる。
なお、図34と図35では、ポケット17の入力軸側の軸方向端部の幅狭部62Aを凹曲面63Aaにて構成し、ポケット17の出力軸側の軸方向端部の幅狭部62Bを隆起部72にて構成していたが、ポケット17の入力軸側の軸方向端部の幅狭部62Aを隆起部71にて構成し、ポケット17の出力軸側の軸方向端部の幅狭部62Bを凹曲面63Baにて構成してもよい。
図36は、図25〜図27に示すようなポケット17を有する保持器5を用いた減速装置の分解状態(組み立て前)の斜視図である。この場合の組み立て方法を説明する。図37の工程を行うことになる。まず、「部品のサブアセンブリ化」(ステップS1)→「入力側の組立」(ステップS2)→「保持器アセンブリの組み付け」(ステップS3)→「潤滑剤の注入」(ステップS4)→「出力側の組み付け」(ステップS5)→「ボルトによる連結」(ステップS6)を行う。
「部品のサブアセンブリ化」とは、入力軸7と偏心カム8と軸受9とを組み付けて、入力軸アセンブリを形成する工程と、ボール4を保持器5のポケット17に保持させる工程であり、図25〜図27に示すような保持器5では、ボール4を第1部材60Aと第2部材60Bとの間に介在させた後、リペットや溶接、接着剤等で第1部材60Aと第2部材60Bとを連結する工程である。
また、入力側の組立とは、ケース6の第1部材6aに入力軸アセンブリを組み付けた後、入力側回転部材(入力板部)2を組み付ける工程である。保持器アセンブリの組み付けとは、入力板部2に、その第1の係合溝13に合わせて保持器アセンブリを組み付ける工程と、保持器アセンブリを回転固定するために、固定用のピン19を挿入する工程である。潤滑剤の注入工程とは、ボール4、保持器5のポケット17、入力側回転部材(入力板部)2が有する溝(第1の係合溝13)に潤滑剤を塗布する工程である。出力側の組み付けとは、出力側回転部材(出力板部)3をケース6の第2部材6bに組み込む工程である。ボルトの締結とは、保持器5や第2部材6bが有する貫通孔(連通孔)25に固定用ボルト24を装入する工程と、第1部材6aが有するタップ穴26に固定用ボルト24を締め付ける工程である。
このように、ポケット17に幅狭部62A,62Bを有する場合、第2のボール係合溝16に係合することによるボール4の径方向移動を許容するので、効率の悪化を招かず、ボール4がこの幅狭部にてポケット17から抜け落ちることを有効に防止できる。従って、運搬時に、ボール4の落下を防止するために保持器5の姿勢を気にすることがなくなり、作業効率の向上を図ることができる。
また、ボール4と保持器5とのサブアセンブリ化(ステップS1)は、この工程以降の組立工程(オンライン)前のいわゆるオフラインとなる。このため、オンラインの作業者は、ボール4を複数個のポケット17に挿入するという緻密な作業を省略でき、ボールの入れ忘れのミスの心配が無くなる。ポケットの幅狭部を、ボール4と保持器5の接触面を円弧化したものでは、接触面積を大きくすることで接触面圧を低下させ、耐久性の向上を図ることができる。
これに対して、ポケット17に幅狭部62A,62Bを有しない場合、ポケット17を構成する長穴の内周面(壁面)はフラット面で、かつ嵌め合いは「すきまばめ」のため、組み立て工程で、振動等によって、ボール4がポケット17から抜け落ちるおそれがあった。このため、運搬中等においては、ボール4が落ちない姿勢をとる必要があり、運搬方法に制約が生じていた。運搬中等においては、ボール4が落ちた場合、オンラインで、再度ボール4の組み込み作業を行う必要があり、作業工程の増加を招くとともに、組み込み作業中のボール4を落下させてしまうおそれがあり、作業性に劣ることになる。なお、嵌め合いを「すきまばめ」から「しまりばめ」に変更することも可能である。このように、「しまりばめ」とすれば、ボール4の落下を防止できる。しかしながら、「しまりばめ」とすれば、保持器5の長孔(ポケット17)の内周面(壁面)とボール4が当接し、ボール4の径方向移動を摩擦の発生により阻害することになり、減速装置の伝達効率が悪化するおそれがある。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、第1の実施形態の減速装置では、入力板部10(10A,10B)は、回転軸7に設けられた偏心カム8に対して回転自在にした構成のものとしたが、入力板部10と回転軸7とが一体の構成にしてもよい。また、第2の減速装置1では、回転軸7に別体の偏心カム8を嵌合させた構成を例示したが、これに限られず、回転軸と偏心カムとを一体の構成にしてもよい。さらには、入力板部10の軸心が入力軸である回転軸7の同心軸であって、第1のボール係合溝13の曲率中心が入力板部10の軸心に対して所定量だけ偏心させたものであってもよい。すなわち、回転軸7に偏心部を設けることなく、形成する曲率中心が、回転軸7の軸心に対して偏心したボール係合溝13を形成したものであってもよい。このため、第1のボール係合溝13の曲率中心が装置回転中心Xに対して所定量だけ偏心させる構成に設計の自由度が大となって、装置の設計性の向上を係ることができる。
本実施形態の減速装置1では、減速比iが−1/10のものを例示したが、例えば、減速比iは1/5〜1/20程度で必要に応じて適宜設定することができる。この場合は、減速比iに応じて、ボール係合溝の軌道中心線の波状曲線の山部/谷部の個数、保持器のポケット個数およびボール個数を適宜設定すればよい。
ボール係合溝をゴシックアーチ形状とする場合、第1のボール係合溝13Aと第2のボール係合溝16Aとのいずれかであったり、第1のボール係合溝13Bと第2のボール係合溝16Bとのいずれかであったりしてもよい。
なお、図32と図33や図34と図35等に示すように、塑性加工にて形成される隆起部で幅狭部とする場合、前記実施形態では、幅狭部全部が塑性加工にて形成される隆起部にて構成していた。しかしながら、塑性加工では、一部に幅狭いでない区間(任意の部位)を形成し、この区間を介してボール4を挿入し、その後、加締加工等にてこの区間も幅狭となるように形成してもよい。