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JP2019042681A - 酸性ガス含有ガス処理用分離膜 - Google Patents

酸性ガス含有ガス処理用分離膜 Download PDF

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JP2019042681A JP2017169527A JP2017169527A JP2019042681A JP 2019042681 A JP2019042681 A JP 2019042681A JP 2017169527 A JP2017169527 A JP 2017169527A JP 2017169527 A JP2017169527 A JP 2017169527A JP 2019042681 A JP2019042681 A JP 2019042681A
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寛篤 長谷川
Hiroshige Hasegawa
寛篤 長谷川
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Toyo Tire and Rubber Co Ltd
Toyo Tire Corp
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Abstract

【課題】ガス分離性能及びガス処理量に優れた酸性ガス含有ガス処理用分離膜を提供する。【解決手段】酸性ガス含有ガスから酸性ガスを分離する酸性ガス含有ガス処理用分離膜100であって、細孔径が互いに異なる複数の無機多孔質層を有する支持体10と、酸性ガスと親和性を有する炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体20と、を備え、支持体10は、表面側に複数の無機多孔質層の中で細孔径が最小となる第一層11が配置されており、当該第一層11の細孔11aに炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体20が中間層21及び分離層22として導入されている。【選択図】図1

Description

本発明は、酸性ガス含有ガスから酸性ガスを分離する酸性ガス含有ガス処理用分離膜に関する。
工業分野、医療分野、食品分野等において、高濃度のガスを得るための技術開発が盛んに行われている。例えば、工場や発電所から排出される排ガスには窒素と二酸化炭素とが含まれているが、この排ガスから二酸化炭素を選択的に分離できれば、処理ガスの利用価値が高まり、地球温暖化対策にも寄与できる。また、空気中には酸素が約20%含有されているが、空気から酸素を選択的に分離できれば、多くのエネルギーを消費する水の電気分解等の方法に依らなくても大量の酸素を効率的に得ることが可能となる。そこで、従来から、混合ガスから特定のガスを選択的に分離するガス分離膜に関する研究開発が行われてきた。
ガス分離層の代表的な成膜法として、金属アルコキシドを原料としたゾル−ゲル法による膜形成法がある(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1の多孔質複合体は、シリコンアルコキシドを含む懸濁液(ゾル)を多孔質支持体に塗布し、これを乾燥及び焼成して多孔質支持体の表面にシリカ粒子(ゲル)を形成するものである。
また、ガス分離層を原料ガスの気相反応(CVD法)で成膜する方法も知られている(例えば、特許文献2を参照)。特許文献2のガス分離材は、α−アルミナ多孔質体の表面にガス分離層を形成するにあたり、シリカ前駆体ガスの存在下で酸素ガスをα−アルミナ多孔質体に通気し、当該α−アルミナ多孔質体を加熱してガス分離層としてのシリカ膜を形成するものである。
特開2002−293656号公報 国際公開第2014/007140号
ガス分離性能及びガス処理量に優れたガス分離膜を得るためには、適切な構造を備えた無機多孔質支持体を選択するとともに、当該無機多孔質支持体へのガス分離層の成膜法を工夫する必要がある。この点に関し、特許文献1のゾル−ゲル法を利用して得られるガス分離膜は、いわゆるディッピング法で製造されるため大掛かりな製造装置が不要であり、比較的簡単に実施できるものであるが、原料液を塗布する際に無機多孔質支持体に原料液が過剰に浸透し、その結果、無機多孔質支持体の細孔が閉塞してガス分離膜としての処理能力(ガス透過流量)が劣ることがあった。
特許文献2のガス分離材は、CVD法によりガス分離膜を形成しているため、原料ガスが無機多孔質支持体の細孔の奥まで浸透し、その結果、通気度が低下する虞があった。また、CVD法では、原料ガスの反応場となる無機多孔質支持体の長さが一定以上になると、原料ガスの流入部から離れた位置での気相反応(成膜)が困難となる。そのような場合、無機多孔質支持体全体に均一な膜を形成することができず、ガス分離膜としての処理性能(ガス分離能)が不十分となることがあった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ガス分離性能及びガス処理量に優れた酸性ガス含有ガス処理用分離膜を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係る酸性ガス含有ガス処理用分離膜の特徴構成は、
酸性ガス含有ガスから酸性ガスを分離する酸性ガス含有ガス処理用分離膜であって、
細孔径が互いに異なる複数の無機多孔質層を有する支持体と、
前記酸性ガスと親和性を有する炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体と、
を備え、
前記支持体は、表面側に前記複数の無機多孔質層の中で細孔径が最小となる第一層が配置されており、当該第一層の細孔に前記炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体が中間層及び分離層として導入されていることにある。
本構成の酸性ガス含有ガス処理用分離膜によれば、ベースとなる支持体として、細孔径が互いに異なる複数の無機多孔質層を有するものを使用し、表面側に複数の無機多孔質層の中で細孔径が最小となる第一層を配置することで、支持体に炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体を導入する際に、その原材料となるシランアルコキシド溶液が支持体に過剰に浸透することがない。その結果、生成した酸性ガス含有ガス処理用分離膜は、十分な通気性が確保され、処理能力(ガス透過流量)が高いものとなる。また、炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体は、支持体の表面側の第一層の細孔に中間層及び分離層として導入されるため、処理対象の酸性ガス含有ガスが炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体と効率よく接触する。その結果、酸性ガス含有ガス処理用分離膜は、優れた処理性能(ガス分離能)を発揮することができる。
本発明に係る酸性ガス含有ガス処理用分離膜において、
前記支持体において、前記炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体は、前記第一層以外の層の細孔には導入されていないことが好ましい。
本構成の酸性ガス含有ガス処理用分離膜によれば、炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体は、第一層以外の層の細孔には導入されていないことで、支持体の表面付近のみに留まっているため、処理対象の酸性ガス含有ガスが炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体と接触した後は、速やかに無機多孔質支持体を通って外部に排出される。その結果、酸性ガス含有ガス処理用分離膜は、優れたガス透過流量とガス分離能とを両立することができる。
本発明に係る酸性ガス含有ガス処理用分離膜において、
前記支持体において、前記炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体は、前記第一層の細孔の開口位置より内側に導入されていることが好ましい。
本構成の酸性ガス含有ガス処理用分離膜によれば、炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体は、第一層の細孔の開口位置より内側に導入されていることで、中間層及び分離層は当該細孔の内部に完全に納まる。従って、支持体への炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体の導入量が最小限であっても、酸性ガス含有ガスは略全ての炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体と接触しながら細孔を通過し、最大限の処理効率を実現することが可能となる。
本発明に係る酸性ガス含有ガス処理用分離膜において、
前記支持体において、前記炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体は、炭化水素基含有トリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとの反応物として構成されていることが好ましい。
本構成の酸性ガス含有ガス処理用分離膜によれば、炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体の原材料として適切なアルコキシシランを使用しているため、酸性ガスの分離能に優れたガス分離膜となる。
本発明に係る酸性ガス含有ガス処理用分離膜において、
前記支持体において、前記炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体は、前記酸性ガスと親和性を有する金属塩を含むことが好ましい。
本構成の酸性ガス含有ガス処理用分離膜によれば、酸性ガス含有ガスに含まれる酸性ガスが金属塩に誘引されるため、ガス分離膜の分離能をさらに高めることができる。
本発明に係る酸性ガス含有ガス処理用分離膜において、
前記第一層の細孔径は、120〜200nmであることが好ましい。
本構成の酸性ガス含有ガス処理用分離膜によれば、第一層の細孔径が120〜200nmであることにより、炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体の原材料となるシランアルコキシド溶液は支持体の表面付近に留まり、その結果、薄くて均一な炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体からなる中間層及び分離層として支持体に形成される。このような酸性ガス含有ガス処理用分離膜は、ガス分離能がさらに高まったものとなる。
本発明に係る酸性ガス含有ガス処理用分離膜において、
前記第一層の下方に位置する層の細孔径は、1〜1.7μmであることが好ましい。
本構成の酸性ガス含有ガス処理用分離膜によれば、第一層の下方に位置する層の細孔径が1〜1.7μmであることにより、ガス分離膜のガス透過流量をより高く維持することができる。また、第一層の下方に位置する層の細孔径が第一層の細孔径より十分に大きいため、処理対象の酸性ガス含有ガスを通気させたときの圧損が小さく、酸性ガス含有ガス処理用分離膜の長寿命化につながる。
本発明に係る酸性ガス含有ガス処理用分離膜において、
前記支持体は、50mm以上の有効長を有することが好ましい。
本構成の酸性ガス含有ガス処理用分離膜によれば、支持体の有効長が50mm以上であっても、支持体全体の表面付近に炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体が均一に導入される。その結果、酸性ガス含有ガス処理用分離膜は、優れたガス透過流量とガス分離能とを両立することができる。
酸性ガス含有ガス処理用分離膜の模式図である。 分離性能確認試験に使用した気体透過速度測定装置の概略構成図である。 酸性ガス含有ガス処理用分離膜の作製途中段階における各特性の変化を示すグラフである。
本発明の酸性ガス含有ガス処理用分離膜は、酸性ガスとメタンガス及び/又は窒素ガスとを含有する混合ガス(以下、「酸性ガス含有ガス」と称する場合がある。)を処理対象とするものであるが、本明細書では、酸性ガスとメタンガスとの混合ガスを例に挙げて説明する。ここで、酸性ガスとは、水に溶解したときに酸性を示すガスであり、二酸化炭素や硫化水素等が例示される。本明細書では、特に、酸性ガスとして二酸化炭素を想定し、以降の説明を行う。従って、本発明の酸性ガス含有ガス処理用分離膜は、二酸化炭素を分離する二酸化炭素分離膜として説明する。ただし、メタンガスを分離するメタンガス分離膜、窒素ガスを分離する窒素ガス分離膜、あるいは二酸化炭素とメタンガス及び/又は窒素ガスとを同時に分離可能な二酸化炭素/(メタンガス及び/又は窒素ガス)分離膜として構成することも可能である。以後、酸性ガス含有ガス処理用分離膜を、単純に「分離膜」と称する場合がある。なお、本発明は、以下に説明する構成に限定されることを意図しない。
<酸性ガス含有ガス処理用分離膜>
図1は、本発明の酸性ガス含有ガス処理用分離膜100の模式図である。図1(a)は、酸性ガス含有ガス処理用分離膜100の全体を示し、図1(b)は、酸性ガス含有ガス処理用分離膜100の断面の一部を示している。酸性ガス含有ガス処理用分離膜100は、ベースとなる無機多孔質支持体10と、酸性ガスと親和性を有する炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体20とを備えている。
〔無機多孔質支持体〕
無機多孔質支持体10は、細孔径が互いに異なる複数の無機多孔質層から構成されている。図1には、表面側に位置する第一層11と、第一層11の下方に位置する第二層12とを含む無機多孔質支持体10が示されている。なお、図1(b)に示す第一層11及び第二層12のサイズは、説明の便宜のため誇張して示してあり、実際の構造物の縮尺をそのまま反映したものではない。本発明で使用する無機多孔質支持体10は、少なくとも二層構造を有するものであればよい。第一層11の細孔径(図中のD1)は、ナノオーダーに設定され、120〜200nmが好ましい。第一層11の厚み(図中のA1)は、10〜80μmが好ましい。第一層11の細孔径及び厚みが上記の範囲であれば、無機多孔質支持体10を作製する際に、後述する炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体20の原材料となるシランアルコキシド溶液が無機多孔質支持体10の表面付近に留まり、薄くて均一な中間層及び分離層を備えた酸性ガス含有ガス処理用分離膜100を得ることができる。第二層12の細孔径(図中のD2)は、ミクロンオーダーに設定され、1〜1.7μmが好ましい。第二層12の厚み(図中のA2)は、1〜2mmが好ましい。第二層12の細孔径及び厚みが上記の範囲であれば、酸性ガス含有ガス処理用分離膜100のガス透過流量を大きく維持することができる。また、第二層12の細孔径は、第一層11の細孔径より十分に大きいため、酸性ガス含有ガス処理用分離膜100に処理対象の酸性ガス含有ガスを通気させたときの圧損を小さくすることができ、酸性ガス含有ガス処理用分離膜100の長寿命化につながる。
無機多孔質支持体10の第一層11及び第二層12は、例えば、シリカ系セラミックス、シリカ系ガラス、アルミナ系セラミックス、ステンレス、チタン、銀等の材料で構成される。これらのうち、アルミナ系セラミックスは、耐熱性に優れ、加工が容易であり、コスト的にも比較的安価であるため、無機多孔質支持体10の材料として適している。無機多孔質支持体10には、ガスが流入する流入部と、ガスが流出する流出部とが設けられる。例えば、ガス流入部は無機多孔質支持体の外表面10aであり、ガス流出部は無機多孔質支持体の一端側に設けられた開口部10bである。無機多孔質支持体10の一端側に設けられた開口部10bをガス流入部とし、無機多孔質支持体10の外表面10aをガス流出部とすることも可能である。無機多孔質支持体10の外表面10aには無数の細孔11aが形成されており、当該細孔11aを介して無機多孔質支持体10の外部と内部との間でガスが通流することができる。ここで、無機多孔質支持体10の外表面10aのうち、ガスが通流可能な部位の管軸方向の長さを有効長とすると、無機多孔質支持体10の有効長は、50mm以上に設定することが好ましい。
無機多孔質支持体10の構成例としては、内部にガス流路が設けられた円筒構造、円管構造、チューブラー構造、スパイラル構造、一本のエレメントにレンコンの穴のように多数の流路が設けられたモノリス構造、内部に複雑に入り組んだ連続孔が形成された連通構造、多孔質体を柱形に成形した中実多孔質構造、多孔質体を筒形に成形した中空多孔質構造、ハニカム構造体を管状に並べたハニカム構造などが挙げられる。また、無機多孔質材料で構成される中実の平板体やバルク体を用意し、その一部を刳り抜いてガス流路を形成することで、無機多孔質支持体10を構成することも可能である。
〔炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体〕
炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体20は、無機多孔質支持体10の第一層11の細孔11aの内部において、中間層21及び分離層22を形成している。ここで、中間層21及び分離層22は、夫々が必ずしも層状の形態で存在するものとは限らない。例えば、第一層11の細孔11aの内部において、中間層21及び分離層22が略均等に混ざり合っている状態や、中間層21又は分離層22の一方が他方よりも多く存在し、一方の層中に他方が点在しているような状態も、本明細書では中間層21及び分離層22として取り扱う。
炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体20は、図1(b)に示すように、無機多孔質支持体10の第一層11の細孔11aの開口位置より内側に導入されているが、第二層12の細孔12aには導入されていない。すなわち、炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体20は、無機多孔質支持体10のうち第一層11の内部のみで中間層21及び分離層22として形成されている。このような酸性ガス含有ガス処理用分離膜100は、無機多孔質支持体10への炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体20の導入量を最小限としながら、酸性ガス含有ガス処理用分離膜100に酸性ガス含有ガスを通過させると、酸性ガス含有ガスは第一層11において略全ての炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体20と接触しながら細孔11aを通過し、第一層11で酸性ガスが分離された後のガスがさらに第二層12の細孔12aを通過することで、最大限の処理効率を実現することができる。また、本発明の酸性ガス含有ガス処理用分離膜100では、炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体20が無機多孔質支持体10の表面付近のみに留まっているため、処理対象の酸性ガス含有ガスが炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体20と接触した後は、速やかに無機多孔質支持体10を通って外部に排出される。その結果、酸性ガス含有ガス処理用分離膜100は、優れたガス透過流量とガス分離能とを両立することができる。以下、炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体20を構成する中間層21及び分離層22について説明する。
中間層21は、主に、無機多孔質支持体10の第一層11の細孔11aの内表面を安定化させ、後述の分離層22を導入し易くするために設けられる。例えば、無機多孔質支持体10の第一層11の細孔11aのサイズが比較的大きい場合、当該無機多孔質支持体10の表面に分離層22の形成材料を含む混合液(ゾル)を直接塗布すると、混合液が細孔11aの内部に過剰に浸透して無機多孔質支持体10の表面近傍に留まらず、成膜が難しくなることがある。そこで、無機多孔質支持体10に中間層21を設けておくことで、細孔11aの入口が中間層21によって狭められ、混合液の塗布が容易になる。また、中間層21によって無機多孔質支持体10の細孔11aの内表面が均等化されるため、その後に導入する分離層22の剥離やひび割れを抑制することができる。
中間層21は、シラン化合物を含むように構成される。本実施形態の中間層21は、テトラアルコキシシラン及び炭化水素基含有トリアルコキシシランのゾル−ゲル反応によって得られる。
テトラアルコキシシランは、下記の式(1)で表される四官能性アルコキシシランである。
Figure 2019042681
好ましいテトラアルコキシシランは、式(1)において、R〜Rが同一のメチル基であるテトラメトキシシラン(TMOS)又は同一のエチル基であるテトラエトキシシラン(TEOS)である。
炭化水素基を含有する炭化水素基含有トリアルコキシシランは、下記の式(2)で表される三官能性アルコキシシランである。
Figure 2019042681
好ましい炭化水素基含有トリアルコキシシランは、式(2)において、R〜Rが同一のメチル基であるトリメトキシシラン又は同一のエチル基であるトリエトキシシランのSi原子に炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基が結合したものである。例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランが挙げられる。
式(1)のテトラアルコキシシランと、式(2)の炭化水素基含有トリアルコキシシランとをゾル−ゲル反応させると、例えば、下記の式(3)で表される分子構造を有する炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体が得られる。
Figure 2019042681
式(3)の炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体の原材料の一つである式(2)の炭化水素基含有トリアルコキシシランは、Rの違いにより特性が異なる。例えば、メチルトリメトキシシラン又はメチルトリエトキシシラン(炭化水素基の炭素数が1のもの)は主に二酸化炭素に対して親和性を有し、トリメトキシシラン又はトリエトキシシランのSi原子に炭素数2〜6のアルキル基又はフェニル基が結合したもの(炭化水素基の炭素数が2〜6のもの)は主にメタンガスに対して親和性を有する。そして、式(1)のテトラアルコキシシランと、式(2)の炭化水素基含有トリアルコキシシランとの反応から、式(3)の炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体を合成するにあたり、テトラアルコキシシラン(これをAとする)と、炭化水素基含有トリアルコキシシラン(これをBとする)とを最適な配合比率に設定すると、二酸化炭素又はメタンガスの分離性能に優れた分離膜を形成することが可能となる。
細孔11aに中間層21を導入するにあたっては、テトラアルコキシシラン(A1)と炭化水素基含有トリアルコキシシラン(B1)との配合比率(A1/B1)が重量比で30/70〜99.9/0.1、好ましくは60/40〜99.9/0.1となるように、式(1)のテトラアルコキシシランと、式(2)の炭化水素基含有トリアルコキシシランとを配合する。この場合、中間層21は、炭化水素基含有トリアルコキシシランに由来する炭化水素基を含有するため、一般的な網目構造体よりも柔軟性を有するものとなり、テトラアルコキシシランによってある程度の剛性を維持しながら、全体の柔軟性やフレキシブル性を向上させることができる。その結果、中間層21が安定化し、後述する分離層22の成膜性が良好なものとなる。式(3)の炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体は、ポリシロキサンネットワーク構造中に炭化水素基Rが存在しており、ある種の有機−無機複合体を形成している。なお、中間層21は、後述の分離層22と同様に炭化水素基を含むため、二酸化炭素を選択的に誘引する能力も有している。
分離層22は、主に、二酸化炭素とメタンガス及び/又は窒素ガスとを含む混合ガスから、二酸化炭素を選択的に誘引して分離する機能を有する。分離層22は、テトラアルコキシシラン及び炭化水素基含有トリアルコキシシランのゾル−ゲル反応によって得られる。
テトラアルコキシシラン及び炭化水素基含有トリアルコキシシランは、中間層21の導入に使用する上述の式(1)で表されるテトラアルコキシシラン、及び式(2)で表される炭化水素基含有トリアルコキシシランと同様のものを使用できる。好ましいテトラアルコキシシランは、中間層と同様であり、式(1)において、R〜Rが同一のメチル基であるテトラメトキシシラン(TMOS)又は同一のエチル基であるテトラエトキシシラン(TEOS)である。好ましい炭化水素基含有トリアルコキシシランについても、中間層21と同様であり、式(2)において、R〜Rが同一のメチル基であるトリメトキシシラン又は同一のエチル基であるトリエトキシシランのSi原子に炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基が結合したものである。
分離層22においても、式(1)のテトラアルコキシシランと、式(2)の炭化水素基含有トリアルコキシシランとをゾル−ゲル反応させることにより、前述した式(3)で表される分子構造を有する炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体が得られる。細孔11aに分離層22を導入するにあたっては、テトラアルコキシシラン(A2)と炭化水素基含有トリアルコキシシラン(B2)との配合比率(A2/B2)が重量比で0/100〜70/30、好ましくは40/60〜70/30となるように、式(1)のテトラアルコキシシランと、式(2)の炭化水素基含有トリアルコキシシランとを配合する。さらに、中間層21及び分離層22の導入に際しては、中間層導入時の上記配合比率(A1/B1)が分離層導入時の上記配合比率(A2/B2)より大きくなるように、テトラアルコキシシラン及び炭化水素基含有トリアルコキシシランを配合する。この場合、分離層22の方が中間層21よりも炭化水素基含有トリアルコキシシランに由来する炭化水素基を多く含有するため、混合ガス中の酸性ガスが選択的に分離層22に誘引され、混合ガスからの酸性ガスの分離を効率よく行うことができる。
上記式(3)の炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体には、二酸化炭素と親和性を有する金属塩を添加することが好ましい。これにより、分離層22に上記金属塩が含まれることとなり、分離膜22の分離性能をさらに高めることができる。なお、金属塩は、中間層21に添加することも勿論可能である。金属塩としては、Li、Na、K、Cs、Mg、Ca、Ni、Fe、及びAlからなる群から選択される少なくとも一種の金属の酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、又はリン酸塩が挙げられる。これらのうち、硝酸マグネシウム又は酢酸マグネシウムが好ましい。硝酸マグネシウム等を初めとする上記金属塩は、二酸化炭素との親和性が良好であるため、二酸化炭素の分離効率向上に有効となる。炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体20への金属塩の添加は、炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体の原材料に金属塩を予め混合しておくことが簡便であるが、炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体20を導入した無機多孔質支持体10を、金属塩を含む水溶液に浸漬し、炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体20の内部に金属塩を単独又は他の物質とともに含浸させる含浸法により行うことも可能である。
<酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法>
本発明の酸性ガス含有ガス処理用分離膜100は、以下の工程(a)〜(e)によって製造される。
(a)準備工程
準備工程として、テトラアルコキシシラン(A1)と炭化水素基含有トリアルコキシシラン(B1)との配合比率(A1/B1)が重量比で30/70〜99.9/0.1に調整されたアルコキシシラン、酸触媒、水、及び有機溶媒を混合した第一混合液を調製する。第一混合液は、次工程の「第一塗布工程」において使用されるものである。アルコキシシラン(テトラアルコキシシラン及び炭化水素基含有トリアルコキシシラン)、酸触媒、水、並びに有機溶媒の夫々の配合量は、テトラアルコキシシラン及び炭化水素基含有トリアルコキシシランの合計量1モルに対して、酸触媒0.001〜0.1モル、水0.5〜60モル、有機溶媒5〜60モルに調整することが好ましい。酸触媒の配合量が0.001モルより少ない場合、加水分解速度が小さくなり、分離膜の製造に要する時間が長くなる。酸触媒の配合量が0.1モルより多い場合、加水分解速度が過大となり、均一な分離膜が得られ難くなる。水の配合量が0.5モルより少ない場合、加水分解反応を伴うゾルーゲル反応生成物が十分に成長しない。水の配合量が60モルより多い場合、成膜性が悪化する。有機溶媒の配合量が5モルより少ない場合、第一混合液の濃度が高くなり、緻密で均一な分離膜が得られ難くなる。有機溶媒の配合量が60モルより多い場合、第一混合液の濃度が低くなり、混合液のコーティング回数(工程数)が増加して生産効率が低下する。酸触媒としては、例えば、硝酸、塩酸、硫酸等が使用される。これらのうち、硝酸又は塩酸が好ましい。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンゼン、トルエン等が使用される。これらのうち、メタノール又はエタノールが好ましい。
第一混合液を調製すると、先ず、テトラアルコキシシランが加水分解及び重縮合を繰り返すゾル−ゲル反応が開始する。テトラアルコキシシランは、上述の「酸性ガス含有ガス処理用分離膜」の項目で説明したものを使用することができる。例えば、テトラアルコキシシランの一例としてテトラエトキシシラン(TEOS)を使用した場合、ゾル−ゲル反応は下記のスキーム1のように進行すると考えられる。なお、このスキーム1は、ゾル−ゲル反応の進行を表す一つのモデルであり、実際の分子構造をそのまま反映しているとは限らない。
Figure 2019042681
スキーム1によれば、初めに、テトラエトキシシランの一部のエトキシ基が加水分解され、脱アルコール化することによりシラノール基が生成する。ここで、第一混合液中で進行する加水分解反応を「第一加水分解反応」とする。テトラエトキシシランの一部のエトキシ基は加水分解されず、そのまま残存し得る。次いで、一部のシラノール基が近傍のシラノール基と会合し、脱水することにより重縮合する。その結果、シラノール基又はエトキシ基が残存したシロキサン骨格が形成される。上記の第一加水分解反応、及び脱水・重縮合反応は混合液系内で略均等に進行するため、シラノール基又はエトキシ基はシロキサン骨格中に略均等に分散した状態で存在する。この段階では、シロキサンの分子量はそれほど大きいものではなく、ポリマーよりもむしろオリゴマーの状態にある。従って、シラノール基又はエトキシ基含有シロキサンオリゴマーは、有機溶媒を含む第一混合液に溶解した状態にある。
次に、シロキサンオリゴマーと炭化水素基含有トリアルコキシシランとの反応が開始する。炭化水素基含有トリアルコキシシランは、上述の「酸性ガス含有ガス処理用分離膜」の項目で説明したものを使用することができる。例えば、炭化水素基含有トリアルコキシシランの一例としてメチルトリエトキシシランを使用した場合、反応は下記のスキーム2のように進行すると考えられる。なお、このスキーム2は、反応の進行を表す一つのモデルであり、実際の分子構造をそのまま反映しているとは限らない。
Figure 2019042681
スキーム2によれば、シロキサンオリゴマーのシラノール基又はエトキシ基と、メチルトリエトキシシランのエトキシ基とが反応し、脱アルコール化することによりポリシロキサン結合が生成する。ここで、シロキサンオリゴマーのシラノール基又はエトキシ基は、上述のようにシロキサン骨格中に略均等に分散しているため、シロキサンオリゴマーのシラノール基又はエトキシ基とメチルトリエトキシシランのエトキシ基との反応(脱アルコール化)も略均等に進行すると考えられる。その結果、生成したポリシロキサン結合中にはメチルトリエトキシシラン由来のシロキサン結合が略均等に生成し、従って、メチルトリエトキシシラン由来のメチル基もポリシロキサン結合中に略均等に存在する。そして、反応がさらに進行すると、微細化されたポリシロキサン網目構造体が液中に分散した懸濁液の状態となる。
準備工程では、上記の第一混合液とは別に、テトラアルコキシシラン(A2)と炭化水素基含有トリアルコキシシラン(B2)との配合比率(A2/B2)が重量比で0/100〜70/30に調整されたアルコキシシラン、酸触媒、水、及び有機溶媒を混合した第二混合液をさらに調製する。第二混合液は、後述の「第二塗布工程」において使用されるものである。アルコキシシラン(テトラアルコキシシラン及び炭化水素基含有トリアルコキシシラン)、酸触媒、水、並びに有機溶媒の夫々の配合量は、テトラアルコキシシラン及び炭化水素基含有トリアルコキシシランの合計量1モルに対して、酸触媒0.005〜0.1モル、水0.017〜3モル、有機溶媒5〜60モルに調整することが好ましい。酸触媒の配合量が0.005モルより少ない場合、加水分解速度が小さくなり、分離膜の製造に要する時間が長くなる。酸触媒の配合量が0.1モルより多い場合、加水分解速度が過大となり、均一な分離膜が得られ難くなる。水の配合量は、第一混合液よりも少なく設定されるが、水の配合量が0.017モルより少ない場合、加水分解速度が小さくなり、後述のゾル−ゲル反応が十分に進行しない。水の配合量が3モルより多い場合、緻密で均一な分離膜が得られ難くなる。有機溶媒の配合量が5モルより少ない場合、第二混合液の濃度が高くなり、緻密で均一な分離膜が得られ難くなる。有機溶媒の配合量が60モルより多い場合、第二混合液の濃度が低くなり、混合液のコーティング回数(工程数)が増加して生産効率が低下する。酸触媒及び有機溶媒は、第一混合液と同様のものを使用することができる。第二混合液を調製する際、二酸化炭素と親和性を有する金属塩を配合することも可能である。金属塩の配合量は、上記の配合条件の場合、0.01〜0.3モルに調整される。二酸化炭素と親和性を有する金属塩としては、上述の「酸性ガス含有ガス処理用分離膜」の項目で説明したものを使用することができる。金属塩を添加する場合は、ゾル−ゲル反応時にポリシロキサンに取り込まれた金属塩はポリシロキサン結合中に略均等に分散すると考えられる。
なお、第一混合液及び第二混合液を調製するにあたっては、第一混合液調製時の上記配合比率(A1/B1)が第二混合液調製時の上記配合比率(A2/B2)より大きくなるように、テトラアルコキシシラン及び炭化水素基含有トリアルコキシシランを配合する。このような配合とすれば、最終的に得られる分離膜は、分離層の方が中間層よりも炭化水素基含有トリアルコキシシランに由来する炭化水素基を多く含有することになるため、酸性ガスの分離性能と成膜性とのバランスが良好なものとなる。
第二混合液の反応は、上述のスキーム1及びスキーム2と同様である。第二混合液中で進行する加水分解反応を「第二加水分解反応」とする。ここで、第一加水分解反応と第二加水分解反応とを比較すると、第一混合液に含まれる水の量は第二混合液に含まれる水の量より多く設定されているため、第一加水分解反応は第二の加水分解反応より加水分解速度が大きいものとなる。加水分解速度が大きくなると、ゾル−ゲル反応によって得られる炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体の高分子化が進行し、無機多孔質支持体10の細孔11aの内表面を安定化させることができる。
以上のように準備工程が行われるが、第一混合液の調製においては、水を複数回に分けて混合することが好ましい。この場合、第一加水分解反応を確実に進行させることができるため、無機多孔質支持体10の細孔11aの内表面をより安定化させることができる。また、第一混合液及び第二混合液の調製においては、酸触媒を複数回に分けて混合したり、加水分解し易い炭化水素基含有トリアルコキシシランを最後に混合する等の工夫を行うことが好ましい。例えば、混合液のpHが常に0.8〜2.5の範囲に収まるように、組成を調製する。この場合、混合液のpHが大きく変動しないため、炭化水素基含有トリアルコキシシランの加水分解が急激に進行せず、安定した状態でゾル−ゲル反応を進行させることができる。さらに、第一混合液の調製に使用する水の量をW1とし、第二混合液の調製に使用する水の量をW2としたとき、両者の比率(W1/W2)は、モル換算で10〜20に設定されることが好ましい。この場合、中間21層がより安定化し、分離層22のガス選択性及びガス透過性を向上させることができる。
(b)第一塗布工程
第一塗布工程として、準備工程で得られた第一混合液(微細化されたポリシロキサン網目構造体の懸濁液)を無機多孔質支持体10に塗布する。無機多孔質支持体10に第一混合液を塗布する方法は、例えば、ディッピング法、スプレー法、スピン法等が挙げられる。これらのうち、ディッピング法は、無機多孔質支持体10の外表面10aに混合液を均等且つ容易に塗布できるため、好ましい塗布方法である。ディッピング法の具体的な手順について説明する。
先ず、無機多孔質支持体10を第一混合液に浸漬する。浸漬時間は、無機多孔質支持体10に第一混合液が十分に付着するように5秒〜10分とすることが好ましい。浸漬時間が5秒より短いと十分な膜厚にならず、10分を超えると膜厚が大きくなり過ぎてしまう。次いで、第一混合液から無機多孔質支持体10を引き上げる。引き上げ速度は、0.1〜7mm/秒とすることが好ましい。引き上げ速度が0.1mm/秒より遅くなると十分な膜厚にならず、7mm/秒より速いと膜厚が大きくなり過ぎてしまう。次いで、引き上げた無機多孔質支持体10を乾燥させる。乾燥条件は、15〜40℃で0.5〜3時間とすることが好ましい。乾燥時間が0.5時間未満では十分な乾燥ができず、3時間を超えても乾燥状態は殆ど変化しない。乾燥が終わると、無機多孔質支持体10の第一層11の細孔11aの内部に微細化されたポリシロキサン網目構造体が付着したものが得られる。なお、無機多孔質支持体10の浸漬、引き上げ、乾燥の一連の手順を複数回繰り返すことにより、無機多孔質支持体10への微細化されたポリシロキサン網目構造体の付着量を増加させることができる。また、一連の手順を繰り返すことで、無機多孔質支持体10に第一混合液を均一に塗布することができるため、最終的に得られる酸性ガス含有ガス処理用分離膜100をより安定させることができる。
(c)中間層形成工程
中間層形成工程として、第一塗布工程が完了した無機多孔質支持体10を熱処理し、当該無機多孔質支持体10の第一層11の細孔11aの内部に微細化されたポリシロキサン網目構造体を固着又は融着させて炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体を主材とした中間層21を形成する。熱処理は、例えば、焼成器等の加熱手段が用いられる。熱処理の具体的な手順について説明する。
先ず、無機多孔質支持体10を後述の熱処理温度に達するまで昇温する。昇温時間は、1〜24時間が好ましい。昇温時間が1時間より短いと急激な温度変化により均一な膜が得られ難く、24時間より長いと長時間の加熱により膜が劣化する虞がある。昇温後、一定時間で熱処理(焼成)を行う。熱処理温度は、30〜300℃が好ましく、50〜200℃がより好ましい。熱処理温度が30℃より低いと十分な熱処理を行えないため緻密な膜が得られず、300℃より高いと高温の加熱により膜が劣化する虞がある。熱処理時間は、0.5〜6時間が好ましい。熱処理時間が0.5時間より短いと十分な熱処理を行えないため緻密な膜が得られず、6時間より長いと長時間の加熱により膜が劣化する虞がある。熱処理が終わったら、無機多孔質支持体10を室温まで冷却する。冷却時間は、5〜10時間が好ましい。冷却時間が5時間より短いと急激な温度変化により膜に亀裂や剥離が発生する虞があり、10時間より長いと膜が劣化する虞がある。冷却後の無機多孔質支持体の第一層11の細孔11aの内部には中間層21が形成される。ここで、中間層21の目付量は、1〜20g/mに調整されることが好ましい。目付量が1g/m未満の場合、中間層21が不足するため分離層22を安定化させることができない。目付量が20g/mを超える場合、中間層21が過剰となるため細孔11aが閉塞する虞がある。なお、「中間層形成工程」の後、上述した「第一塗布工程」に戻り、第一塗布工程と中間層形成工程とをセットとして、これを複数回繰り返すと、無機多孔質支持体10の第一層11の細孔11aの内部に、より緻密で且つ均一な膜質の中間層21を形成することができる。
中間層21に含まれる炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体は、炭化水素基含有トリアルコキシシランに由来する炭化水素基を含有するため、一般的な網目構造体よりも柔軟性を有するものとなる。このため、中間層21は、テトラアルコキシシランによってある程度の剛性を維持しながら、全体の柔軟性やフレキシブル性が向上したものとなる。中間層21の柔軟性が向上すると、中間層21の成膜性が向上する。これにより、中間層21のひび割れや剥がれが防止され、無機多孔質支持体10への分離層22の原材料液の浸み込み量が低減される。なお、中間層21は、炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体中に含まれる炭化水素基が酸性ガスを誘引するため、分離層22と同様に酸性ガスの分離性能もある程度有するものとなる。
(d)第二塗布工程
第二塗布工程として、中間層形成工程によって中間層21が形成された無機多孔質支持体10に第二混合液(微細化されたポリシロキサン網目構造体の懸濁液)を塗布する。第二塗布工程で塗布される第二混合液は、中間層21を介して無機多孔質支持体10に塗布されるため、無機多孔質支持体10への第二混合液の過剰な浸み込みを抑えることができる。従って、無機多孔質支持体10の第一層11の細孔11aが過度に塞がれることがなく、後述の分離層形成工程により完成した酸性ガス含有ガス処理用分離膜100に混合ガスを通過させた場合、ガス通過量(混合ガスの処理量)を維持することができる。また、無機多孔質支持体10に塗布する中間層21及び分離層22の形成材料(ゾル)の塗布量を低減することができるため、酸性ガス含有ガス処理用分離膜100の製造コストの削減にも寄与し得る。第二混合液を塗布する方法及び条件は、第一塗布工程と同様である。第二塗布工程においても、第二混合液への無機多孔質支持体10の浸漬、引き上げ、乾燥の一連の手順を複数回繰り返すことにより、無機多孔質支持体10への微細化されたポリシロキサン網目構造体の付着量を増加させることができる。また、一連の手順を繰り返すことで、無機多孔質支持体10に第二混合液を均一に塗布することができるため、最終的に得られる酸性ガス含有ガス処理用分離膜100の分離性能をより向上させることができる。
(e)分離層形成工程
分離層形成工程として、第二塗布工程が完了した無機多孔質支持体10を熱処理し、当該無機多孔質支持体10の第一層11の細孔11aの内部に微細化されたポリシロキサン網目構造体を固着又は融着させて炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体を主材とした分離層22を形成する。熱処理の方法及び条件は、中間層形成工程と同様である。分離層22の目付量は、0.2〜1.5g/mに調整されることが好ましい。目付量が0.2g/m未満の場合、分離層22が不足するため十分なガス分離性能が得られない。目付量が1.5g/mを超える場合、ガス透過率が低下する虞がある。なお、「分離層形成工程」の後、上述した「第二塗布工程」に戻り、第二塗布工程と分離層形成工程とをセットとして、これを複数回繰り返すと、無機多孔質支持体10の第一層11の細孔11aの内部に、より緻密で且つ均一な膜質の分離層22を形成することができる。
以上の工程(a)〜(e)を実施することにより、第一層11の細孔11aの内部に中間層21及び分離層22が導入された本発明の酸性ガス含有ガス処理用分離膜100が完成する。中間層21及び分離層22に夫々含まれる炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体は、テトラアルコキシシランと炭化水素基含有トリアルコキシシランとの配合比率が異なるのみで、同じ系統の材料で構成されたものであるから、互いに対して高い親和性を有している。従って、中間層21と分離層22との間で界面剥離やひび割れ等が発生せず、両者は強固に密着し、安定な酸性ガス含有ガス処理用分離膜100を構成することができる。
完成した酸性ガス含有ガス処理用分離膜100に、二酸化炭素等の酸性ガスとメタンガスとを含有する混合ガスを通過させると、分離層22の方が中間層21よりも炭化水素基含有トリアルコキシシランに由来する炭化水素基を多く含有しているため、混合ガス中の酸性ガスが選択的に分離層に誘引され、そのまま分離膜を透過する。その結果、混合ガス中のメタンガス成分が濃縮され、高濃度のメタンガスを効率的に得ることができる。濃縮されたメタンガスは、都市ガスの原料や、燃料電池に使用する水素の原料に利用することができる。なお、分離層がメタンガスを誘引するサイト(エチル基以上の炭素数を有する炭化水素基)を有する場合は、二酸化炭素とメタンガスとを含む混合ガスを通過させると、分離層にメタンガスが選択的に誘引され、メタンガスは細孔をそのまま透過する。従って、この場合は、分離膜を透過したメタンガスを回収し、これを都市ガスの原料や、燃料電池に使用する水素の原料に利用することができる。
無機多孔質支持体として、細孔径が互いに異なる複数の無機多孔質層を有するアルミナ系セラミックス管状体(チューブラー構造体)を使用した(後述の表2に示す試験例1〜6)。アルミナ系セラミックス管状体に中間層形成用アルコキシド溶液(第一混合液)及び分離層形成用アルコキシド溶液を塗布して最外層である第一層の細孔内に炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体を導入した。中間層及び分離層の原材料は、テトラアルコキシシランとしてテトラエトキシシラン(信越化学工業株式会社製 信越シリコーンLS−2430)、炭化水素基含有トリアルコキシシランとしてメチルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製 信越シリコーンLS−1890)、酸触媒として硝酸(和光純薬工業株式会社製 試薬特級 69.5%)、有機溶媒としてエタノール(和光純薬工業株式会社製 試薬特級 99.5%)を夫々使用した。
<第一混合液の調製>
硝酸0.007g、エタノール36.31g、水35.47gの混合液を30分間攪拌し、次いでテトラエトキシシラン8.21gを添加して2時間攪拌することにより、中間層形成用アルコキシド溶液(第一混合液)のベース液を作製した。ベース液のpHは3.85であった。ベース液に含まれる各成分のモル濃度比率は、テトラエトキシシランを1とした場合、硝酸が0.003、エタノールが20、水が50である。このベース液40gにメチルトリエトキシシランを添加し、これを2.5時間攪拌して中間層形成用アルコキシド液(第一混合液)を調製した。メチルトリエトキシシランの添加量(含有量)は、第一混合液に含まれるすべてのアルコキシシラン中のメチルトリエトキシシランの割合が0.5〜60重量%となるように設定した。従って、テトラエトキシシラン(A1)とメチルトリエトキシシラン(B1)との配合比率(A1/B1)は、重量比で40/60〜99.5/0.5となる。
<第二混合液の調製>
硝酸0.04g、エタノール63.16g、水2.47gの混合液を30分間攪拌し、次いでテトラエトキシシラン8.57gを添加して1時間攪拌し、次いでメチルトリエトキシシラン4.89gを添加して2.5時間攪拌し、次いで硝酸マグネシウム六水和物0.88gを添加して2時間攪拌することにより、分離層形成用アルコキシド溶液(第二混合液)を調製した。第二混合液のpHは1.59であった。第二混合液に含まれる各成分のモル濃度比率は、テトラエトキシシラン及びメチルトリエトキシシランの合計配合量を1とした場合、硝酸が0.01、エタノールが20、水が2、硝酸マグネシウム六水和物が0.05である。第二混合液に含まれるすべてのアルコキシシラン中のメチルトリエトキシシランの割合は、すべて一定の36重量%に設定した。従って、テトラエトキシシラン(A2)とメチルトリエトキシシラン(B2)との配合比率(A2/B2)は、重量比で64/36となる。
<中間層及び分離層の形成>
アルミナ系セラミックス管状体(有効長:800mm又は150mm)の表面に第一混合液をディッピング法によって塗布した。ディッピング法の引き上げ速度は5mm/sとし、引き上げ後は室温で1時間乾燥させた。第一混合液の塗布及び乾燥を2回繰り返した後、焼成器で熱処理を行った。熱処理条件は、室温(25℃)から150℃まで5時間かけて加熱し、150℃で2時間保持し、25℃まで5時間かけて冷却した。上記の作業(コーティング)を3回繰り返し、管状体の第一層の細孔に中間層を導入した。次に、中間層を導入した管状体に第二混合液をディッピング法によって塗布した。ディッピング法の引き上げ速度は1mm/sとし、引き上げ後は室温で1時間乾燥させた。第二混合液の塗布及び乾燥を2回繰り返した後、焼成器で熱処理を行った。熱処理条件は、室温(25℃)から150℃まで5時間かけて加熱し、150℃で2時間保持し、25℃まで5時間かけて冷却した。上記の作業(コーティング)を2回繰り返し、管状体の第一層の細孔にさらに分離層を導入した。上記の層形成工程において、各試験例の分離膜における中間層及び分離層はいずれも成膜性に問題はなかった。
<分離膜の分析>
上記の工程により形成した分離膜について、核磁気共鳴吸収測定装置(NMR)により、中間層及び分離層の組成を求めた。本実施例では、管状体に形成された二層の中間層、及び一層の分離層の夫々について、29Si NMR法による構造解析を行った。そして、T単位(三官能性)及びQ単位(四官能性)のケミカルシフトをプロットしたチャートから、各層に含まれるメチルトリエトキシシラン(MTES)及びテトラエトキシシラン(TEOS)の比率(モル比)を算出した。分析結果を下記の表1に示す。
Figure 2019042681
表1では、Q単位のうちQ4(Siloxane)のピーク面積を1として規格化し、Q3(Free silanols)、Q2(Geminal silanols)、T3(Tridental structure)、及びT2(Bidental structure)のピーク面積を夫々算出している。そして、T単位の合計面積と全面積との比率〔(T2+T3)/(T2+T3+Q2+Q3+Q4)〕をメチルトリエトキシシランの比率(モル比)とし、Q単位の合計面積と全面積との比率〔(Q2+Q3+Q4)/(T2+T3+Q2+Q3+Q4)〕をテトラエトキシシランの比率(モル比)としている。表1によれば、NMRにより求められたテトラエトキシシラン及びメチルトリエトキシシランの比率(測定比)は仕込み比と略一致していた。すなわち、第一混合液及び第二混合液の組成が、そのまま中間層及び分離層の組成に反映されることが確認された。
<分離性能確認試験>
上記の手順により作製した各分離膜について、二酸化炭素の分離性能に関する確認試験を行った。この確認試験では、分離膜に窒素を透過させたときの気体透過速度〔P(N)〕、及び同じ分離膜に二酸化炭素を透過させたときの気体透過速度〔P(CO)〕を測定した。ここで、窒素の気体分子径は3.64Åであり、二酸化炭素の気体分子径は3.3Åである。このため、窒素よりも気体分子径が小さい二酸化炭素は分離膜を透過し易い。従って、このような気体によって異なる性質を利用し、さらに膜の構成を適切に設定すれば、二酸化炭素を含有する混合ガスから二酸化炭素を分離することが可能となる。なお、この確認試験では、分離膜にメタンガスを透過させたときの気体透過速度〔P(CH)〕の測定は行っていないが、メタンガスの気体分子径(3.8Å)は窒素の気体分子径(3.64Å)よりも若干大きいため、本発明の分離膜によって二酸化炭素と窒素との分離が可能であることが確認できれば、二酸化炭素とメタンガスとの分離も可能であると推定される。
図2は、分離性能確認試験に使用した気体透過速度測定装置200の概略構成図である。気体透過速度測定装置200は、ガスシリンダー1、圧力ゲージ2、チャンバー3、及び質量流量計4を備える。分離膜100は、チャンバー3の内部に設置される。
測定ガスである二酸化炭素又は窒素をガスシリンダー1に予め充填しておく。ここでは、二酸化炭素をガスシリンダー1に充填したものとして説明する。ガスシリンダー1から排出された二酸化炭素は、圧力ゲージ2によって圧力が調整され、下流側のチャンバー3に供給される。本確認試験では、二酸化炭素の供給圧を室温で0.1MPaに調整した。管状体である分離膜100は、一端(先端側)100aが封止され、他端(基端側)100bに耐熱ガラス管5が接続される。耐熱ガラス管5は、コーニング社製のパイレックス(登録商標)管(外径8mm、内径6mm、長さ10mm)を使用した。ただし、耐熱ガラス管5の一端側は、分離膜100(内径7mm)に内挿できるように、外径が7mm以下に縮径加工されている。分離膜100と耐熱ガラス管5との接続箇所は、接着剤(セメダイン株式会社製の接着剤「セメダイン(登録商標)C」)で接着し、さらにエポキシ樹脂(ナガセケムテックス株式会社製の二液性エポキシ系接着剤「AV138」及び「HV998」)によってシールした。チャンバー3が二酸化炭素で充満されると、二酸化炭素は管状体である分離膜100の表面から管内に透過し、耐熱ガラス管5を通過して質量流量計4に流入する。質量流量計4には、コフロック社製の熱式質量流量計(マスフローメーター「5410」)を使用した。測定条件は、流量レンジを10mL/分、フルスケール(FS)最大流量に対する精度は±1%(20℃)とした。質量流量計4で測定した二酸化炭素の流量〔mL/min〕から、二酸化炭素の気体透過速度P(CO)[m/m・s(秒)・Pa]を算出した。窒素についても上記と同様の手順により気体透過速度P(N)[m/m・s(秒)・Pa]を算出した。そして、二酸化炭素の気体透過速度P(CO)と窒素の気体透過速度P(N)との比率である透過速度比α(CO/N)から二酸化炭素の分離性能を評価した。試験例1〜6の分離膜に使用した支持体の構造(各層の細孔径及び厚み、有効長)、並びに、試験例1〜6の分離膜の透過速度及び透過速度比を下記の表2に示す。
Figure 2019042681
試験例1〜6の分離膜は、何れも二酸化炭素と窒素との混合ガスから二酸化炭素を選択的に分離する能力を有していた。特に、第一層の細孔径が120nmである試験例1及び4の分離膜は、二酸化炭素の気体透過速度P(CO)及び透過速度比α(CO/N)が非常に大きくなり、非常に優れたガス分離性能及びガス処理量を示すものであった。第一層の細孔径が150nmである試験例2及び5の分離膜についても、二酸化炭素の気体透過速度P(CO)及び透過速度比α(CO/N)は十分なものであり、優れたガス分離性能及びガス処理量を示すものであった。三層構造を有する試験例3及び6の分離膜は、第一層の細孔径が比較的小さく、第二層及び第三層の細孔径が比較的大きく設定されており、他の試験例の分離膜と比較すると二酸化炭素の気体透過速度P(CO)は若干劣るものであったが、それでも実用的なガス分離性能及びガス処理量を示すものであった。なお、本発明者らによる追加試験によれば、分離膜が有意なガス分離性能及びガス処理量を示す範囲として、無機多孔質支持体における第一層の細孔径を200nm迄拡大できることを確認している(データ省略)。また、分離膜の有効長について、同一の細孔径を有する支持体どうしの比較(試験例1と4、試験例2と5、試験例3と6)では明確な傾向は見られず、分離性能確認試験を行った有効長150〜800mmの範囲では、一定以上の二酸化炭素分離能を有することが確認された。なお、本発明者らによる追加試験によれば、一定以上の二酸化炭素分離能を有する分離膜の無機多孔質支持体の有効長の下限値は50mmであることを確認している(データ省略)。
<分離膜特性変化確認試験>
本発明の酸性ガス含有ガス処理用分離膜は、無機多孔質支持体に中間層及び分離層を順に形成することにより完成されるものであるが、各層の形成によって分離膜としての特性がどのように変化するかを把握しておくことは、多層構造を有する酸性ガス含有ガス処理用分離膜を設計する上で大変有用な情報となる。そこで、酸性ガス含有ガス処理用分離膜の作製途中段階において、分離膜の特性変化を確認するための試験を実施した。図3は、酸性ガス含有ガス処理用分離膜の作製途中段階における各特性の変化を示すグラフである。本試験では、無機多孔質支持体に、「酸性ガス含有ガス処理用分離膜の製造方法」の項目で説明した第一混合液を3回コーティングすることにより三層の中間層を形成し、次いで第二混合液を2回コーティングすることにより二層の分離層を形成した。このとき、各層形成直後の状態のものを供試体とし、各供試体の特性を段階的に計測した。計測項目は、(a)二酸化炭素及び窒素の透過速度、(b)二酸化炭素と窒素との透過速度比、(c)分離膜への各混合液の浸込量、及び(d)分離膜に対する各層の目付量とした。
(a)二酸化炭素及び窒素の透過速度は、図3(a)に示すように、層構造が増えるに連れて透過速度の低下が見られたが、二酸化炭素の透過速度の低下と比べて窒素の透過速度の低下の方が顕著となった。また、この傾向は、分離層の形成時だけでなく、中間層の形成時にも確認された。無機多孔質支持体に中間層及び分離層が形成された従来の多層構造を有する分離膜では、中間層の形成時における二酸化炭素の透過速度の低下と窒素の透過速度の低下とは略同程度となるが、本発明では意外なことに中間層の形成段階から明らかな差が認められた。すなわち、本発明の酸性ガス含有ガス処理用分離膜は、分離層だけでなく中間層にもガス分離能が備わっていることが確認された。(b)二酸化炭素と窒素との透過速度比は、図3(b)に示すように、層構造が増えるに連れて透過速度比の上昇が見られ、特に分離層の二層目を形成することで、透過速度比が大きく上昇することが確認された。(c)分離膜への各混合液の浸込量は、図3(c)に示すように、層構造が増えるに連れて浸込量の低下が見られ、特に中間層の一層目を形成した後は、その後の混合液の浸み込みが大きく抑えられることが確認された。(d)分離膜に対する各層の目付量、図3(d)に示すように、中間層の一層目を形成した後は、その後の各層の目付量を大きく低減できることが確認された。
本発明の酸性ガス含有ガス処理用分離膜は、都市ガスの製造設備、燃料電池への水素供給設備、工場排ガスの浄化設備、及び液化炭酸ガス製造設備等において利用可能である。また、地球温暖化対策として検討されているCCSにおいても利用可能である。
1 ガスシリンダー
2 圧力ゲージ
3 チャンバー
4 質量流量計
5 耐熱ガラス管
100 分離膜
200 気体透過速度測定装置

Claims (8)

  1. 酸性ガス含有ガスから酸性ガスを分離する酸性ガス含有ガス処理用分離膜であって、
    細孔径が互いに異なる複数の無機多孔質層を有する支持体と、
    前記酸性ガスと親和性を有する炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体と、
    を備え、
    前記支持体は、表面側に前記複数の無機多孔質層の中で細孔径が最小となる第一層が配置されており、当該第一層の細孔に前記炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体が中間層及び分離層として導入されている酸性ガス含有ガス処理用分離膜。
  2. 前記支持体において、前記炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体は、前記第一層以外の層の細孔には導入されていない請求項1に記載の酸性ガス含有ガス処理用分離膜。
  3. 前記支持体において、前記炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体は、前記第一層の細孔の開口位置より内側に導入されている請求項1又は2に記載の酸性ガス含有ガス処理用分離膜。
  4. 前記支持体において、前記炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体は、炭化水素基含有トリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとの反応物として構成されている請求項1〜3の何れか一項に記載の酸性ガス含有ガス処理用分離膜。
  5. 前記支持体において、前記炭化水素基含有ポリシロキサン網目構造体は、前記酸性ガスと親和性を有する金属塩を含む請求項1〜4の何れか一項に記載の酸性ガス含有ガス処理用分離膜。
  6. 前記第一層の細孔径は、120〜200nmである請求項1〜5の何れか一項に記載の酸性ガス含有ガス処理用分離膜。
  7. 前記第一層の下方に位置する層の細孔径は、1〜1.7μmである請求項1〜6の何れか一項に記載の酸性ガス含有ガス処理用分離膜。
  8. 前記支持体は、50mm以上の有効長を有する請求項1〜7の何れか一項に記載の酸性ガス含有ガス処理用分離膜。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021117361A1 (ja) * 2019-12-13 2021-06-17 住友化学株式会社 分離膜シート、分離膜エレメント、分離膜モジュール、及び分離装置
JP2023164125A (ja) * 2022-04-28 2023-11-10 国立大学法人広島大学 空気分離装置および空気分離方法
JP2023164124A (ja) * 2022-04-28 2023-11-10 国立大学法人広島大学 酸素分離膜、及び膜モジュール

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