一体形グレージングユニット(IGU)および貼り合わせ形ガラスユニット(LGU)を含み、エレクトロクロミック素子を備えたエレクトロクロミック素子組立体が、幾つかの実施形態においてエレクトロクロミック素子の端子への接続部の細部とともに説明される。エレクトロクロミック素子の2枚の基板は、互いに対して側方の方向にオフセットしているのがよく、それによりエレクトロクロミック素子の端子のうちの幾つかまたは全てを露出させる棚部または張り出し部を形成する。説明のため、側方の方向は、エレクトロクロミック素子組立体の本体の平面に平行またはこの本体と接する方向であると見なされ、垂直方向は、例えばエレクトロクロミック素子組立体の厚さを通ってエレクトロクロミック素子組立体の本体に垂直であると見なされるとともに/あるいはエレクトロクロミック素子組立体の主表面に垂直に延びると見なされる。
エレクトロクロミック素子一体形グレージングユニット(IGU)の構造
図1は、一体形グレージングユニット(IGU)100の分解斜視図であり、エレクトロクロミック素子の層106,108,110,114,118,120,122および他の観点、スペーサ124、シール126,128、およびドライバまたはコントローラ組立体148を示している。多くの通常の非エレクトロクロミック一体形グレージングユニットと同様、本発明の一体形グレージングユニット100は、断熱性であり、この一体形グレージングユニットは、外側ペイン102および内側ペイン130を有し、これらペインの各々は、ガラスもしくはプラスチックまたは他の透明もしくは半透明な材料であるのがよい。一体形グレージングユニットに関する当技術分野の他の用語としては、一体形ガラスユニットや絶縁ガラスユニットが挙げられ、これら当該技術分野における用語の各々は、言い換え可能である。外側ペイン102および内側ペイン130に加えて、一体形グレージングユニット100は、これらペイン102,130間に設けられたエレクトロクロミック素子を含む。エレクトロクロミック素子を内側ペイン130よりも外側ペイン102の方に近く配置することにより、エレクトロクロミック素子の調節可能な着色性は、内側ペイン130およびペイン102,130間の空間に陰影を付け、それにより、内側ペイン130の近くに設けられたエレクトロクロミック素子と比較して、アルゴン、窒素、空気またはペイン102,130間の他の気体の加熱度が減少する。しかしながら、これは、本発明を限定することを意図しておらず、というのは、一体形グレージングユニット100が設置される建物の内部空間に対して種々の実施形態は、外側ペインまたは内側ペインとして第1ペイン102を有することができ、第2ペイン130は、内側ペインまたは外側ペインであってもよいからである。これら実施形態は、平べったいものとして示されているが、一体形グレージングユニット100の別の実施形態は、湾曲した表面および材料、または傾斜した表面などを利用してもよくしかも以下に説明する機構および配置を利用することができる。
幾つかの実施形態では、エレクトロクロミック素子は、単一の基板上に被着されたエレクトロクロミック材料の種々の層で構成されており、次にこの基板を単一のペインに結合し、この単一のペインは、一体形グレージングユニットの外側ペイン102であってもよく内側ペイン130であってもよい。図1に示されている実施形態は、2つの基板106,122がエレクトロクロミック材料の多数の層をサンドイッチしたエレクトロクロミック素子を有する。これら基板106,122は、薄いガラスまたは可撓性基板であるのがよく、この基板は、厚さが1.0mm以下、特に0.5mm以下である。基板106,122は、ガラスであってもよくプラスチックであってもよく他の透明なまたは半透明な材料であってもよい。エレクトロクロミック材料の層は、第1基板106に被着されまたは違ったやり方で取り付けられた第1の透明な伝導性酸化物層108、カソード層110、イオン伝導体層114、アノード層118、および第2基板122に被着されまたは違ったやり方でこれに取り付けられた第2の透明な伝導性酸化物層120を含む。これら層は、種々の方法で製作また組み立て可能であり、または変形例を想到することができる。例えば、カソード層110は、第1の透明な伝導性酸化物層108に被着され、アノード層118は、第2の透明な伝導性層酸化物120に被着され、イオン伝導体層114または電解物がカソード層110かアノード層118かのいずれかに被着される。次に、2つの基板106,122をイオン伝導体層114が中間に位置した状態で結合してエレクトロクロミック素子を形成することができる。この実施例では、アノード層118とカソード層110を湿式プロセス、例えばゾル‐ゲルプロセスによりまたはイオン含有エレクトロクロミック粒子の堆積により被着することができ、そしてイオン伝導体層114は、粘稠性ポリマーであるのがよい。幾つかの実施形態では、シーラント112をエレクトロクロミック素子の縁周りにリングとして被着して第1基板106および第2基板122を互いに封止するとともにエレクトロクロミック材料が水分または大気圧への暴露に起因して劣化することがないよう保護する。幾つかの実施形態では、ポリイソブチレン(PIB)がシーラントとして利用される。PIBはシーラント材料の一例であるため、他の適当なシーラント材料を実施形態に混入してもよい。幾つかの実施形態では、スペーサ124およびシーラント112により作られるシールを一次シールと称してもよい。
幾つかの実施形態では、エレクトロクロミック素子は、キャリヤガラスに取り付けられている。図1に示されている実施形態では、エレクトロクロミック素子は、外側ペイン102に取り付けられ、外側ペイン102は、この実施形態では、フィルム層104を用いてキャリヤガラスとしての役目を果たし、フィルム層104は、エチレンビニルアセテート(EVA)層、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリウレタン(PU)、紫外線活性化接着剤、または他の透明なもしくは半透明な結合材料であるのがよい。理解されるべきこととして、エレクトロクロミック素子は、変形例として、内側ペイン130に貼り付けられてもよく、この場合、内側ペイン130は、キャリヤガラスとしての役目を果たす。スペーサ124は、例えばポリイソブチレン(PIB)層により第2基板122に取り付けられている。二次シール126がスペーサ124の側方を包囲している。一体形グレージングユニット貼り合わせを完了すると、内側ペイン130は、スペーサ124および二次シール126に取り付けられる。かくして、エレクトロクロミック素子は、貼り合わせ体であり、エレクトロクロミック素子および外側ペイン102は、貼り合わせ体であり、外側ペイン102、エレクトロクロミック素子および内側ペイン130は、貼り合わせ体でありまたは貼り合わせ構造体もしくは貼り合わせ素子である。第2基板122と内側ペイン130との間の隙間または内側空間は、一体形グレージングユニットの全体的な特性として断熱性を提供するためにアルゴン、窒素、乾燥空気または他の気体で満たされるのがよい。三次シール128が二次シール126を包囲しており、この三次シールは、一体形グレージングユニット100のための一層の封止を可能にする。幾つかの実施形態では、三次シール128は、液体、ゲルまたは半固体として、例えば注封材料として被着され、すると、これは、可撓性状態に硬化する。幾つかの実施形態は、厚い第1基板116および/または第2基板122を使用し、外側ペイン102および/または内側ペイン130を省いている。別の実施形態では、外側ペイン102は、第1エレクトロクロミック素子に貼り付けられるのがよく、内側ペイン130は、第2エレクトロクロミック素子に貼り付けられるのがよい。別の実施形態では、第1および第2エレクトロクロミック素子は、多ペインエレクトロクロミックスタックを形成するように互いに貼り付けられるのがよく、次に外側ペイン102か内側ペイン130かいずれかに貼り付けられるのがよい。この二重ペイン実施形態では、変形例として、2つのエレクトロクロミック素子は、2つのキャリヤガラス基板間に貼り合わせてもよく、この場合、2枚のキャリヤガラス基板のうちの一方は、外側ペイン102または内側ペイン130であるのがよい。この構成により、完全黒色化状態では、すなわち、両方のエレクトロクロミック素子を黒くした場合、光の透過を減少させることを可能にする。
バスバー116,146がエレクトロクロミック素子の透過率を制御するために基板106,122上に形成されている。例えば、アノードバスバー116は、第2の透明な伝導性酸化物層120を第2基板122に被着させる前にまたは被着させた後に第2基板122の一方の縁に沿ってまたはこの近くに形成されるのがよい。カソードバスバー146が第1の透明な伝導性酸化物層108を第1基板106に被着させる前にまたは後に第1基板106の反対側の縁に沿ってまたはこの近くに形成されるのがよい。バスバー116,146をガラスに被着させる一技術は、溶融はんだ(例えば、はんだ線)をガラス上に被着させることである。次に、透明な伝導性酸化物をはんだおよびガラス上に堆積させるのがよい。または、透明な伝導性酸化物をガラスに堆積させるのがよく、次にはんだを透明な伝導性酸化物の頂部上に堆積させる。図示の実施形態では、アノードバスバー116とカソードバスバー146は、エレクトロクロミック素子の互いに反対側の縁のところまたはその近くにかつエレクトロクロミック材料の互いに反対側のフェース上に位置する。すなわち、バスバー116,146は、カソード層110、イオン伝導性層114およびアノード層118の組み合わせの厚さの互いの反対側の側部でそれぞれの透明な伝導性酸化物層108,120に取り付けられる。バスバー116,146は、幾つかの実施形態では、カソード層110、イオン層114およびアノード層118の組み合わせの互いに反対側の縁のところまたはその近くに位置する。別の実施形態では、例えば、互いに異なる形をした基板に対応するため、または、多数の制御ゾーンおよびエレクトロクロミック素子の別個独立に着色制御される多数のゾーンを確立するために、多数のバスバーを種々の方法で配置できる。
幾つかの実施形態では、エレクトロクロミック素子は、電荷隔離パッドとして機能することができるパッド136を有する。図1に示されている実施形態の隔離パッド136は、エレクトロクロミック素子の電荷を隔離領域で隔離し、隔離領域のためのバスバーとして働く2つの隔離端子によりまたは1つの隔離端子および1つのバスバー116により、あるいは本明細書における教示と調和して容易に想到できる他の変形例により制御することができる。大抵の状況では、エレクトロクロミック素子は、電荷の中立性を維持し、電荷は、エレクトロクロミック素子が切り替わるにつれて一方の電極から他方の電極に単に移される。しかしながら、ある特定の変質メカニズムにより、エレクトロクロミック素子中の全輸送可能電荷を増大させまたは減少させることができる(例えば、スプリアス酸化)。この過剰電荷を隔離プロセスにより定期的になくすことができ、この場合、エレクトロクロミック素子のある特定の空間に配置された1つまたは2つ以上のレドックス要素により、過剰の電荷をエレクトロクロミック素子内からレドックス要素に移すことができる。隔離端子は、レドックス要素に印加された電圧および電流の別々の制御を可能にするようにレドックス要素に電気的に接続されている。本明細書全体を通じ「隔離端子」という用語は、隔離端子に接続された任意のレドックスを含む場合がある。隔離端子レドックス要素は、米国特許出願公開第2016/0202588号明細書に記載されており、この米国特許出願公開を参照により引用し、隔離端子およびレドックス要素についての記載を本明細書の一部とする。
変形実施形態では、パッド136は、電圧センスパッドである。電圧センスパッド136により、エレクトロクロミック素子の電圧を1つまたは2つ以上のセンス端子で測定することができる。高信頼度でかつ繰り返し、しかもエレクトロクロミック素子に関する安全動作領域を超えることなく、エレクトロクロミック素子に荷電したり放電したりするために、ドライバがエレクトロクロミック素子により用いられる。このようにするため、ドライバは、エレクトロクロミック素子に移される電荷のレベルをモニタすることができ、更に、エレクトロクロミック素子の電位が所定の安全動作限度を超えないようにすることができる。エレクトロクロミック素子のある特定空間に配置された1つまたは2つ以上のセンス電圧端子は、かかる特定空間でエレクトロクロミック素子のセル電位(すなわち、アノードとカソードとの間の電圧)の測定を行う。センス電圧限度に達した場合、ドライバは、エレクトロクロミック素子が損傷を受けるのを阻止するように応動することができる。センス電圧端子およびドライバの作用は、米国特許出願公開第2016/0202590号明細書に記載されており、この米国特許出願公開を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。2つのセンス端子は、幾つかの実施形態ではバスバー116,146と別個独立にセンス電圧を測定するように使用できる。一方のセンス端子は、バスバー116,146のうちの一方と比較して、センス電圧、例えば、センス端子およびバスバー116に加わる電圧またはセンス端子およびバスバー146に印加される電圧を測定するように使用できる。別のセンス電圧を測定するための3つもしくは4つ以上のセンス端子または他の変形例は、本明細書における教示と調和して容易に想到できる。種々の実施形態では、しかも種々の組み合わせ例では、バスバー116,146、1つまたは2つ以上の隔離端子および/または1つまたは2つ以上のセンス端子は、バスバー116,146について上述したようなはんだを含み、または、はんだで作られる。別の実施形態では、他の材料を使用することができる。
種々の実施形態では、ドライバまたはコントローラ組立体148は、一体形グレージングユニット100に取り付けられ、組み付けられ、あるいはこの一体形グレージングユニットと一体にされるのがよい。変形例として、ドライバまたはコントローラ組立体148は、キャビネット内で一体形グレージングユニット100に対して局所的に配置されてもよく、キャビネットは、多数のドライバまたはコントローラ組立体ユニット148を収容する。図1〜図3に示されているように、コントローラ組立体148は、エレクトロクロミック素子および一体形グレージングユニット100の縁に取り付けられるが、どこか他の場所に取り付けられてもよい。コントローラ組立体148を幾つかの実施形態ではドライバ組立体と称してもよい。エンクロージャ140とカバー144は、いずれもプラスチック、金属または他の耐久性のある材料で作製することができ、ハウジングを形成している。ハウジング内には、エレクトロクロミック素子を制御しまたは駆動する電子部品を備えたコントローラボード138が設けられている。幾つかの実施形態では、コントローラボード138をドライバボートと称してもよい。2つの回路ボードもしくはフレックス回路132,134または他の電線類が、コントローラボード138をバスバー116,146に結合し、幾つかの実施形態では、隔離および/またはセンスパッド136に結合する。電力・通信ケーブル142がハウジング(すなわち、エンクロージャ140およびカバー144、そしてこれらのうちの一方、他方または両方に設けられた開口を通って)から延びてコントローラボード138を外部電力・通信手段に結合する。例えば、コントローラボード138は、パワー・オーバー・イーサネット(power over Ethernet:POE)機能を備えたネットワークコネクタに結合してもよい。変形例では、コントローラ組立体148は、ワイヤレスモジュールを含み、このコントローラ組立体は、ケーブル142を介した通信を必要としない。幾つかの実施形態では、コントローラ組立体148は、太陽電池、1つもしくは2つ以上のバッテリ、または他の構内電源を用いてある程度の構内電力を提供してケーブル142に提供される電力を補充する。変形例として、太陽電池、1つもしくは2つ以上のバッテリ、または他の構内電源を設けることにより、ケーブル142により提供される外部電力の必要性を排除してもよい。コントローラ組立体148は、ワイヤレス電源機能と構内電源機能の両方を含むことができ、幾つかの実施形態ではケーブル142を全く使用しない。
図2は、図1の一体形グレージングユニット100のコントローラ組立体148の分解斜視図である。コントローラ組立体148を組み立てるため、種々のエレクトロニクスコンポーネント204,206,208,210がコントローラボード138に取り付けられた状態で、コントローラボード138をエンクロージャ140内に配置する。締結具202を用いてコントローラボード138をエンクロージャ140に固定してもよく、あるいは、タブ、スロットまたは他の機械的特徴部または器具を用いてもよい。可撓性基板上に柔軟性または可撓性電線を有するフレックス回路132,134を、例えばコントローラボード138に設けられたゼロ挿入力(ZIF)コネクタ(例えば、コンポーネント204,210のうちの2つ)の使用により、コントローラボード138に組み付ける。これは、コントローラボード138がエンクロージャ140内に配置される前または配置された後で、しかもフレックス回路132,134が1つまたは複数のエレクトロクロミック素子の端子に組み付けられる前または組み付けられた後に実施することができる。同様に、ケーブル142を組み立てプロセスにおける種々の時点または段階でコントローラボード138に組み付けることができる。カバー144を締結具202または他の特徴部または器具、例えばスナップ連結具、接着剤、滑り溝などによりエンクロージャ140に組み付ける。幾つかの実施形態では、注封材料または他の材料がカバー144に代えて用いられる。ドライバまたはコントローラ組立体148の変形例は、本明細書の教示と調和して容易に想到できる。例えば、剛性回路ボードおよび/または取り付け電線をフレックス回路に代えて用いてもよい。
図3は、組み立て状態の一体形グレージングユニット100の斜視図であり、コントローラ組立体148が一体形グレージングユニット100の縁と面一をなしまたはこれから引っ込んでいる状態を示す図である。幾つかの実施形態では、コントローラ組立体148は、エレクトロクロミック素子の縁と面一をなしまたはこれから引っ込められている。幾つかの実施形態では、コントローラ組立体148の面一をなしたまたは引っ込められた状態の取り付けを行うのに十分な空間を作製するために、二次シール126は、一体形グレージングユニット100の縁から引っ込められている。これにより、スペーサ124、第2ペイン130、エレクトロクロミック素子、および/または第1ペイン102(図1、図4A、図4Bおよび図5参照)により画定された凹部、例えば凹み領域または容積部が作られ、コントローラ組立体148は、この中に組み立てられまたは配置されてもよい。三次シール128(図1参照)は、フレックス回路132,134がエレクトロクロミック素子に結合された後(図4A、図4Bおよび図5参照)かつコントローラ組立体148が一体形グレージングユニット100の縁と面一をなして嵌め込まれまたはこれから引っ込められる前または引っ込められた後に取り付けることができる。ケーブル142は、一実施形態において存在する場合、コントローラ組立体148および三次シール128から延びる。他の実施形態では、コントローラ組立体は、IGU内の別の場所に、例えばIGUのコーナーの近くにまたは異なる縁に沿って配置される。他の実施形態では、コントローラ組立体は、IGUのフレーム内にかつ図1に示されている組立体の外部に配置される。幾つかの実施形態では、コントローラ組立体は、IGUの外側に配置され、この場合、コントローラ組立体は、IGUの近くに配置されてもよい(例えば、10フィート未満離れて)。コントローラ組立体は、IGUの外部に配置される場合、エレクトロクロミック素子またはスマート特徴部を備えた他のIGUのためのコントローラ組立体と一緒にキャビネット内に収容されてもよい。幾つかの実施形態では、コントローラ組立体は、構内電源、例えばバッテリを含む。
図4Aは、一体形グレージングユニット100の一コーナーの斜視図であり、エレクトロクロミック素子の1つの基板122が端子412,414を露出させるようエレクトロクロミック素子の別の基板106からオフセットした領域のエレクトロクロミック素子の端子412,414を示している。この図は、図1に示されている図と比較して、逆さまになっており、この図は、図1に示されている材料を取ってこれらを組み立て、次に結果として得られた組立体を図1の左上から右下に斜めに延びる水平軸線に沿って回転させたものとして可視化できる。かくして、図4の記載は、図1の頂部のところの極左コーナー、先の極右コーナーを示している。フレックス回路132のうちの1つが、4本の電線402,404,406,408の状態に分割された状態で示されており、これら電線は、それぞれ、エレクトロクロミック素子の端子416,414,412,410に結合しており、ただし、電線またはフレックス回路の他の構造を変形例において想到できる。
基板122を他の基板106からどのようにオフセットするか(均等例として、互いに逆の関係として)についての多数の実施形態が存在する。2つの基板122,106は、互いに対して側方の方向にずらされてもよく、次に貼り合わせ体として互いに組み立てられてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、第1基板106を図1において第2基板122に対して右方に動かしまたは図4において第2基板122に対して左方に動かしてもよい。幾つかの実施形態において、第2基板122を図1において第1基板106に対して左方に動かしてもよい、つまり、図4において第1基板106に対して右方に動かしてもよい。第2基板122を第1基板106への組み付け前または組み付け後においてレーザー切断してもよく、または、他の方法で切断してもよい。2つの基板106,122を互いに異なる寸法に切断してもよく、例えば、第2基板122が第1基板106よりも短いように切断してもよい。幾つかの実施形態では、第2基板122の縁は、一連の切欠きおよびタブの状態に形作られ、端子410,412,414,416(および更に図5に示されている端子502)は、図4Aの想像線415で示されているように、タブまたはこれらタブの幾つかの部分として第2基板122の本体から側方外方に延びている。変形例では、これは、第1基板106についてまたは基板106,122の双方について実施されるのがよい。オフセットにより、張り出し部または棚部が作られ、第2基板122の1つの縁は、第1基板106および露出させられ、すなわち第2基板122により覆われておらずまたは他の方法で隠されていない端子412,414の1つの縁から引っ込められている。張り出し部または棚部は、第1基板106の露出部分であり、例えば、第1の透明な伝導性酸化物層108(図1参照)が示されている。幾つかの実施形態では、カソード層110、イオン伝導体層114、およびアノード層118は、これら材料を切り落としまたは他の方法でこれらを除去するか、あるいは、これらを張り出し部または棚領域上の第1場所に被着させないようにするか、のいずれかにより、張り出し部または棚部上に存在せず、その結果、エレクトロクロミック素子の材料を覆い隠すことなく、端子410,412,414,416(および端子502)に容易にアクセスすることができる。張り出し部または棚部は、エレクトロクロミック素子の縁全体もしくこの縁の一部分、1つまたは2つ以上のコーナー(および縁の一部または全体)、または2つ以上の縁などを有していてもよい。さらに、張り出し部または棚部は、図3を参照して上述した凹部の画定に寄与し、第2基板122の縁の内方変位は、凹部の容積に貢献する。
電線402,404,406,408を端子416,414,412,410にどのように結合するかについて多数の実施形態が存在する。第1基板106に対する第2基板122のオフセットにより露出させられている2つの端子412,414には、それぞれ電線406,404が手作業でまたは自動はんだ付け装置を用いてもしくははんだ付けリフローによりはんだ付けすることができる。幾つかの実施形態では、これら端子412,414は、隔離端子且つセンス端子である。端子116,416は、第2基板122上に被着されている。一実施形態において、フレックス回路132は、第2基板122と第1基板106を互いに組み立てる前にこれら端子にリフローはんだ付けされる。端子412,414は、これら端子が第1基板106の段部(棚部または張り出し部とも称している)上に露出させられて第2基板122の下である程度の距離にわたって延びるように第1基板106に被着されている。そして、端子412,414とオーバーラップしているフレックス回路132のトレースを、端子とオーバーラップし棚部または張り出し部上に露出させられているトレースとして、互いにリフローはんだ付けする。図4Aでは、アノードバスバー116(または、別の実施形態では、これは、カソードバスバーであってもよい)は、第2基板122の後側または下向きフェース(または図1の第2基板122の前側、上向きフェース)の縁に沿うまたはこの近くのはんだ線として示されており、バスバー116および第2基板122は、第2の透明な伝導性酸化物層120により覆われている。すなわち、図4で見て上から下へ、第2基板122の次にバスバー116(第2基板122を通して見える)、そして次に透明な伝導性酸化物層120(図1参照)が続いている。端子410または透明な伝導性酸化物層120が端子410として露出させられたバスバー116の一部分を残すよう被着することができるので、透明な伝導性酸化物層120の一部分を除去してバスバー116の一部分を露出させることにより、電線408をバスバー116に取り付けることができる。次に、電線408を手作業によるはんだ付け、自動はんだ付けまたははんだリフローによりバスバー116に取り付けることができる。同様に、電線402は、端子416の一部を露出させることにより、端子416、この実施形態では、別のセンス端子に取り付けられるのがよい。絶縁材料を被着してもよく、または、エレクトロクロミック素子の種々の層が適切に寸法決めされまたは配置されるのがよく、その結果、第1の透明な伝導性層108は、はんだ付け作業中、第2の透明な伝導性層120に対して電気的に短絡することがない。変形例では、他の電気的接続材料または機構が電線を端子に接続するために利用できる。透明な伝導性酸化物層108をバスバー116の布設に先立って最初に第2基板122に被着させる実施形態では、対応の電線408は、透明な伝導性酸化物層108を除去したり、更に寸法決めしたりする必要なく、バスバー116に容易に取り付けられる。
図4Bは、図4Aに示されている一体形グレージングユニット100のコーナーの分解斜視図である。フレックス回路132に設けられた切欠きが電線402,404,406,408を部分的に露出させている。電線402,404,406,408の露出部分は、エレクトロクロミック素子のそれぞれの端子416,414,412,410への接続のために利用できる。図示の実施形態では、これら端子410,412,414,416は、はんだを含みまたははんだで作られている。リフロープロセス(加えられる熱を用いる)がはんだを溶融させ、かかるはんだは、次に、幾つかの実施形態において各電線・端子対に関し電線を端子に電気的かつ物理的に結合する。このプロセスは、第1基板106に対する第2基板122のオフセットにより作られた棚部または張り出し領域で行われる。幾つかの実施形態では、第1基板106と第2基板122を対にする前に端子410,416への接続部が作られ、これら接続部は、このエレクトロクロミック素子内に埋め込まれる。かかる実施形態では、このプロセスは、棚部または張り出し領域において端子412,414に適用される。理解されるべきこととして、図4Bは、例示および説明のための分解図であり、大抵の実施形態では、図4Aに示されているように、端子410,416は、基板122の近くに位置し、端子412,414は、基板106の近くに位置する。
図5は、一体形グレージングユニット100の別のコーナーの斜視図であり、エレクトロクロミック素子の露出端子502を示している。このコーナーは、図4Aに示されているコーナーに対して近くの左側の片方として可視化でき、そして図1の右側に示されている一体形グレージングユニット100の近くの右側のコーナーから見て逆さまに見える。この実施形態では、端子502は、カソードバスバー146のバスバー端子であるが、別の実施形態ではアノードバスバーの端子であってもよく、または、他の何らかの端子であってよい。端子412,414と同様、端子502は、第1基板106に対する第2基板122のオフセットにより露出されている。理解されるべきこととして、カソード層110、イオン伝導体層114およびアノード層118は、張り出し部または棚部のこの部分上には存在せず、第1の透明な伝導性酸化物層108は、端子502を形成するはんだ線の部分のところではんだ線から除去されまたはこの下に(図面の向きに対して)位置する。これらの種々の組み合わせは、種々の実施形態では、接続のために端子502を露出させる。フレックス回路132の電線が上述したようなはんだ付けにより端子502に接続されている。上述の棚または張り出し領域は、エレクトロクロミック素子の種々の端子へのフレックス回路132,134の接続のために広い空間を提供する。これと比較して、棚または張り出し領域が設けられておらず、しかもオフセットのない2枚の基板を備えたエレクトロクロミック素子は、エレクトロクロミック素子の端子への接続のためのかかる領域をもたらすことがない。例えば2枚の基板をこじ開けることにより電線またはフレックス回路を2枚の基板間に挿入しようとすると、これによりエレクトロクロミック素子および/または基板を損傷させる場合がある。電線またはフレックス回路をエレクトロクロミック素子の端子に接続し、次に2枚の基板を互いにサンドイッチしようとすると、その結果として、電線またはフレックス回路の厚みの結果として2枚の基板間に隙間が生じることがある。はんだリフロープロセスは、はんだ線が2枚の基板間に捕捉されて棚または張り出し領域が可能にするような露出が行われない場合、困難でありまた不可能である。
エレクトロクロミック素子回路
エレクトロクロミック素子について、種々の実施形態においてエレクトロクロミック素子の端子への接続部の細部とともに本明細書において説明する。本明細書において説明する実施形態の多くで、エレクトロクロミック素子の2枚の基板を互いに対して側方にオフセットさせ、それによりエレクトロクロミック素子の端子のうちの幾つかまたは全てを露出させる棚部または張り出し部を形成する。図6A〜図8は、かかるエレクトロクロミック素子を記載しており、これらの図は、エレクトロクロミック素子のエレクトロニクスおよび電線類周りの一層の詳細を提供している。本明細書において、このエレクトロクロミック素子の実施形態を、一体形グレージングユニット(IGU)(図1〜図5、および図9〜図12B)の一部として、および、貼り合わせ形グレージングユニット(LGU)(図13Aおよび図13B)の一部として説明する。これらの実施形態は、キャリヤガラスの1つまたは2つ以上の片に貼り付けられたエレクトロクロミック素子の互いに異なる形態ならびに多数のエレクトロクロミック素子が互いに貼り合わされた実施形態を提供している。
図6Aは、本発明の実施形態としてのエレクトロクロミック素子1の断面構造図である。エレクトロクロミック素子1は、中心から外方に進んで、イオン伝導体層10を有する。第1電極層20がイオン伝導体層10の片面上に位置しかつこのイオン伝導体層10の第1表面と接触状態にあり、第2電極層21がイオン伝導体層10の他方の面上に位置しかつこのイオン伝導体層の第2表面と接触状態にある。加えて、第1および第2電極層20,21のうちの少なくとも一方は、エレクトロクロミック材料から成り、一実施形態では、第1および第2電極層20,21は各々、エレクトロクロミック材料から成る。中央構造体、すなわち、層20,10,21は、第1導電性層22、第2導電性層23との間に位置決めされ、これら導電性層は、「外側基板」24,25に衝合して配置されている。要素22,20,10,21,23をひとまとめに、エレクトロクロミックスタック28と称する。幾つかの実施形態では、本発明のそれ以上の説明を助けるために、基板24を下側基板と称する場合もあり、基板25を上側基板と称する場合がある。上側および下側という用語は、本発明を限定することを意図しておらず、理解されるべきこととして、「外側基板」24,25は、任意の向きを有することができる。
導電性層22は、バスバー26を経て電源(図示せず)の一方の端子と電気的接触状態にあり、導電性層23は、バスバー27を経て電源(図示せず)の他方の端子と電気的接触状態にあり、電圧パルスを導電性層22,23に加えることによりエレクトロクロミックスタック28の透過率を変更することができる。このパルスにより、電子およびイオンは、第1電極層20と第2電極層21との間を動き、その結果、第1および/または第2電極層のエレクトロクロミック材料は、光学的状態を変化させ、それによりエレクトロクロミックスタック28を透過性の高い状態から透過性の低い状態に切り換えまたは透過性の低い状態から透過性の高い状態に切り換える。一実施形態では、エレクトロクロミックスタック28は、電圧パルスの印加前においては透明であり、電圧パルスの印加後では透過性が低い(例えば、反射性が高くまたは着色される)、あるいはこの逆の関係が成り立つ。
理解されるべきこととして、透過性が低い状態と透過性が高い状態との間の遷移についての参照は、本発明を限定するものではなく、電磁線の透過率へのエレクトロクロミック材料により達成可能な遷移範囲全体を説明することを意図されている。例えば、透過率の変化は、第1光学的状態から第2光学的状態への変化であって、かかる第2光学的状態は、(i)第1状態よりも相対的に吸収率が高い(すなわち、透過率が低い)状態、(ii)第1状態よりも相対的に吸収率が低い(すなわち、透過率が高い)状態、(iii)第1状態よりも相対的に反射率が高い(すなわち、透過率が低い)状態、(iv)第1状態よりも相対的に反射率が低い(すなわち、透過率が高い)状態、(v)第1状態よりも相対的に反射率が高くかつ吸収率が高い(すなわち、透過率が低い)状態または(vi)第1状態よりも相対的に反射率が低くかつ吸収率が低い(すなわち、透過率が高い)状態であってもよい。加えて、かかる変化は、エレクトロクロミック素子により達成可能な2つの極端な光学的状態間、例えば第1の透明な状態と第2状態との間であってもよく、第2状態は、不透明または反射性(鏡)である。変形例として、かかる変化は、少なくとも一方が特定のエレクトロクロミック素子について達成可能な2つの極端な状態(例えば、透明と不透明または透明と鏡)間のスペクトルに沿って中間である2つの光学的状態間であってもよい。特段の指定がなければ、かかる参照は透過率が低い状態および透過率が高い状態についてなされている場合にはいつでも、あるいは、または脱色遷移状態について参照している場合でも、対応の素子またはプロセスは、他の光学的状態の遷移、例えば非反射性‐反射性、透明‐不透明などを含む。さらに、「脱色」という用語は、光学的に中立的な状態、例えば無色、透明または半透明を意味する場合がある。さらにまた、別段の指定がなければ、エレクトロクロミック遷移の「色」は、任意特定の波長または波長範囲には限定されない。当業者であれば理解されるように、適切なエレクトロクロミック材料および対抗電極材料の選択により、光学的遷移が左右される。
幾つかの実施形態では、上側基板を導電性層および電極で被覆し、下側基板を導電性層および電極で被覆し、次に、基板間のポリマーイオン伝導体層を用いて上側基板と下側基板を互いに貼り合わせ、それにより、構造、例えば図6Aに例示されている構造を形成することによりエレクトロクロミックスタックを形成する。導電性層をスクライビングしてエレクトロクロミック素子の互いに異なる領域、例えばセンス電圧端子領域、隔離領域、および一次素子領域を電気的に隔離してもよい。幾つかの実施形態では、機械的スクライビング、レーザースクライビングまたはマスキング(例えば、リソグラフィを介して)を用いて、次に化学エッチングを用いて導電性層をスクラビングする。また、導電性層を被着させてエレクトロクロミック素子の互いに異なる領域、例えばセンス電圧端子領域、隔離領域、および一次素子領域を電気的に隔離してもよい。
幾つかの場合、本発明のエレクトロクロミック素子は、空間的に様々な特性を有する1つまたは2つ以上の導電性層を更に有する。幾つかの場合、本発明のエレクトロクロミック素子は、1つまたは2つ以上の導電性層を有し、この場合、1つまたは2つ以上の導電性層の特性(例えば、抵抗率および/またはドーピング密度)または構造(例えば厚さおよび/または剥離パターン)は、シートに沿う距離の関数として空間的に漸変するシート抵抗、または非線形抵抗を生じさせるよう変化する。導電性層は、1つまたは2つ以上の透明な伝導性層材料であるのがよく、この場合、透明な伝導性層の空間的に漸変する特性は、透明な伝導性層材料の1つまたは2つ以上中のグラジエントの使用により達成される。透明な伝導性層材料の例としては、透明な伝導性酸化物、透明な伝導性ポリマー、金属グリッド、炭素ナノチューブ、グラヘン、ナノワイヤメッシュ、および金属超薄膜が挙げられる。透明な導電性酸化物の例としては、酸化錫(ITO)、弗素ドープ酸化錫(FTO)、またはドープ酸化亜鉛が挙げられる。特定の一実施形態では、エレクトロクロミック素子基板は、このエレクトロクロミック素子基板上に形成されたグラジエントパターンを有する第1の透明な伝導性層およびグラジエントパターンを有する第1の透明な伝導性層上に形成された連続した(グラジエントパターンを備えていない)第2の透明な伝導性層を有するのがよい。一実施形態では、第1の透明な伝導性層は、インジウム錫酸化物(ITO)であってもよく、第2の透明な伝導性層は、五酸化タンタルドープ酸化錫(TTO)であってもよい。エレクトロクロミック素子の透明な伝導性層中のグラジエントは、種々の技術により、例えば、透明な伝導性層の組成中にグラジエントを作製することによりまたは材料スクライブまたはエッチング剤でパターン付けして「電子迷路」を効果的に生じさせることにより形成できる。用いる技術とは無関係に、互いに反対側に位置する透明な伝導性層に施されたグラジエントは、互いに逆対称性を有していてもよい。グラジエント透明伝導性層は、大規模用途、例えば建築用窓のために用いられるパネルへのまたは輸送用途、例えばバスおよび汽車または自動車に用いられるパネルへのエレクトロクロミック素子の使用を可能にする。これは、グラジエント透明伝導性酸化物を用いると、電圧がバスバーのところでいったんエレクトロクロミック素子に加えられると、エレクトロクロミック素子に加わる有効電圧が低下しないからであり、バスバーは、エレクトロクロミックパネルの全ての寸法を横切る色相状態間の一様な遷移を可能にする。本明細書において説明しているエレクトロクロミック素子に利用可能なグラジエント透明伝導性層および種々の実施形態に関する詳細は、米国特許第8,717,658号(発明の名称:Electrochromic Multi-Layer Devices With Spatially Coordinated Switching)(この米国特許を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする)、米国特許第9,091,895号明細書(発明の名称:Electrochromic Multi-Layer Devices With Composite Electrically Conductive Layers)(この米国特許を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする)、米国特許第9,091,868号明細書(発明の名称:Electrochromic Multi-Layer Devices With Composited Current Modulating Structure)(この米国特許を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする)、および米国特許出願公開第2014/0043668号明細書(発明の名称:Electrochromic Multi-Layer Devices With Current Modulating Structure)(この米国特許出願公開を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする)に見出せる。グラジエント透明伝導性層520,522は、大型エレクトロクロミック素子がエレクトロクロミックパネルの表面全体にわたる状態間の一様な遷移を実行可能にすることにより有する「虹彩効果」問題を除くだけでなく、色素状態間の迅速な遷移、特に透明な状態から暗い状態への迅速な遷移あるいは暗い状態から透明な状態への迅速な遷移を可能にする。
高信頼度でかつ繰り返し、しかもエレクトロクロミック素子に関する安全動作領域を超えることなくエレクトロクロミック素子に荷電したり放電したりするために、ドライバがエレクトロクロミック素子により用いられる。このようにするため、ドライバは、エレクトロクロミック素子に移される電荷のレベルをモニタすることができ、更に、エレクトロクロミック素子の電位が所定の安全動作限度を超えないようにすることができる。エレクトロクロミック素子のある特定の空間に配置された1つまたは2つ以上のセンス電圧端子は、かかる空間でのエレクトロクロミック素子の電池電位(すなわち、アノードとカソードとの間の電圧)の測定値をもたらす。センス電圧限度に達した場合、ドライバは、エレクトロクロミック素子が損傷を受けるのを阻止するように応動することができる。センス電圧端子およびドライバの動作は、米国特許出願公開第2016/0202590号明細書に記載されており、この米国特許出願公開を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。
大抵の状況では、エレクトロクロミック素子は、電荷の中立性を維持し、電荷は、エレクトロクロミック素子が切り替わるにつれて一方の電極から他方の電極に単に移される。しかしながら、ある特定の変質メカニズムにより、エレクトロクロミック素子中の全輸送可能電荷を増大させまたは減少させることができる(例えば、スプリアス酸化)。この過剰電荷を隔離プロセスにより定期的になくすことができ、この場合、エレクトロクロミック素子のある特定の空間に配置された1つまたは2つ以上のレドックス要素により、過剰の電荷をエレクトロクロミック素子内からレドックス要素に移すことができる。隔離端子は、レドックス要素に印加された電圧および電流の別々の制御を可能にするようにレドックス要素に電気的に接続されている。本明細書全体を通じ「隔離端子」という用語は、隔離端子に接続された任意のレドックスを含む場合がある。隔離端子レドックス要素は、米国特許出願公開第2016/0202588号明細書に記載されており、この米国特許出願公開を参照により引用し、隔離端子およびレドックス要素についての記載を本明細書の一部とする。
バスバー(例えば、図6Aの要素26,27)、センス電圧端子、および隔離端子は、回路板に接続することができる。回路板は、コネクタとインターフェースするコネクタリード線を有していてもよい。すると、コネクタは、コントローラ組立体、ドライバおよび/または電源への電気的接続を、ケーブルハーネスを介してもたらす。
幾つかの実施形態では、バスバー、センス電圧端子、および隔離端子は、回路板に直接接続されている。バスバー、センス電圧端子および隔離端子と回路板との間の直接的な接続の幾つかの例は、はんだ付け接続部、超音波溶接部、または導電性接着剤である。幾つかの実施形態では、バスバー、センス電圧端子、および隔離端子は、回路板に接続された導電性部材に接続してもよい。バスバー、センス電圧端子および隔離端子を回路板に接続する導電性部材の幾つかの例は、金属製リボン、銅製リボン、可撓性リボンケーブル、および導電性電線である。バスバー、センス電圧端子、隔離端子、および回路板への導電性部材の接続に関する幾つかの例は、はんだ接続部、超音波溶接部、または導電性接着剤である。
本明細書において説明する回路板は、剛性を有していてもよく、可撓性を有していてもよい。回路板基板は、剛性材料、例えばエポキシ樹脂を含浸させたガラス繊維織布、樹脂を含浸させたコットン紙、アルミニウム、アルミナ、艶消しガラスおよびポリエステルまたは他の硬質ポリマー材料により作製することができる。剛性回路板で用いられる材料の幾つかの例は、FR‐2、FR‐4、G‐10、CEM‐1、CEM‐2、PTFE、アルミニウム、およびアルミナである。回路板基板は、軟質材料、例えばポリイミド箔、ポリイミド‐フルオロポリマー複合箔、または他の軟質ポリマー材料で作成することができる。可撓性回路板で用いられる材料の幾つかの例は、カプトンおよびパイラックスである。
幾つかの実施形態では、回路板とケーブルハーネスとのコネクタが存在する。回路板とケーブルハーネスとのコネクタは、標準コネクタであってもよく、特注コネクタであってもよい。標準コネクタの幾つかの例は、ZIFコネクタ(ゼロ挿入力コネクタ)ホットバーはんだコネクタ、および他形式の扁平な可撓性ケーブルコネクタである。幾つかの実施形態では、回路板とケーブルハーネスのコネクタは、組み立て後、エレクトロクロミック素子の上側基板と下側基板との間に嵌まり込むよう設計されてもよい。回路板とケーブルハーネスとのコネクタは、厚さが5mm未満、3mm未満、1mm未満であってもよい。
図6Bは、実施形態において上から下へ見たエレクトロクロミック素子を示している。この図は、上側基板上の電極に接続されたバスバー(すなわち、上側バスバー)603、下側基板上の電極極に接続されたバスバー(すなわち、下側バスバー)604、上側基板上のセンス電圧端子(すなわち、上側センス電圧端子)605、下側基板上のセンス端子(すなわち、下側電圧端子)606、上側基板上の隔離端子(すなわち、上側隔離端子)607、および下側基板上の隔離端子(すなわち、下側隔離端子)608を示している。「上側」および「下側」という用語の使用は、本発明の説明を助けるためであって、本発明を限定するものではない。図に記載されたコンポーネントを上側および下側と称する場合があるが、理解されるべきこととして、互いに対するコンポーネントの任意の向きの採用が可能である。この特定の実施形態では、上側基板601は、一寸法方向に関し下側基板602よりも小さく、上側基板601は、エレクトロクロミック素子の一方の縁に沿って下側基板602から側方距離を置いてオフセットしている。この実施形態では、下側バスバー604、下側センス電圧端子606および下側隔離端子608は、上側基板601が下側基板602から側方の方向にオフセットしていることにより露出している。
他の実施形態では、上側基板は、一寸法方向に関し下側基板よりも大きくてもよく、上側基板上のバスバー、センス電圧端子、および隔離端子は、上側基板が下側基板から側方の方向にオフセットすることにより露出していてもよい。
他の実施形態では、上側基板および下側基板は、2つ以上の寸法方向に関して互いに異なるサイズのものであってもよく、2つ以上の側方の方向にオフセットしていてもよい。他の実施形態では、上側基板および下側基板は、同一の寸法であるのがよくかつ1つまたは2つ以上の側方寸法方向に関してオフセットしているのがよく、それにより上側基板と下側基板の両方上に1つまたは2つ以上の張り出し部が作られる。
上側基板と下側基板との間のオフセットにより基板のうちの一方上のバスバー、センス電圧端子、および隔離端子が露出する実施形態では、回路板は、これら露出要素と接触することができる。回路板は、非露出状態の要素(すなわち、露出させない基板上のバスバー、センス電圧端子、および隔離端子)に接触するように2つの基板間に延びるのがよい。幾つかの場合、導電性部材もまた、非露出要素(すなわち、露出させない基板上のバスバー、センス電圧端子、および隔離端子)に接触するように使用されてもよく、導電性部材は、回路板に電気的に接続されてもよい。
再び図6Bの実施形態を参照すると、下側基板上のバスバー、センス電圧端子、および隔離端子は、露出させられ、そして上側基板と下側基板が互いに貼り合わせられた後、これらに接触することができる。回路板609は、上側基板と下側基板との間で延び、それにより回路板609は、非露出状態の上側センス電圧端子605および上側隔離端子607に接触することができる。また、回路板609は、上側基板の縁を越えて延び、それによりコネクタが上側基板と下側基板を互いに組み立てた後、回路板609に電気的に接触することができる。
図6Bに示されている実施形態では、回路板609とバスバー603,604、センス電圧端子605,606、および隔離端子607,608との接続部の全ては、直接電気的接続であるのがよい(すなわち、回路板とバスバー、センス電圧端子、および隔離端子との間に導電性部材を必要としない)。他の実施形態では、これら接続部のうちの幾つかはまた、回路板とバスバー、センス電圧端子、および隔離端子のうちの1つまたは2つ以上との間に導電性部材を必要とする。
図6Cは、図6Bに示された実施形態の構造の断面を示しており、上側基板601は、下側基板602から側方の方向にオフセットしている。図6Cの実施形態の断面は、上側基板と下側基板をエレクトロクロミックスタック(例えば、図6Aの要素28)がこれらの間に位置した状態で互いに組み立てた後では上側バスバー603は露出せず、上側基板と下側基板を互いに組み立てた後では下側バスバー604が露出していることを示している。回路板609は、非露出状態の上側バスバー603に電気的に接触するために上側基板と下側基板との間に延びる状態で示されている。
図6Cはまた、回路板が2つの表面、すなわち、上面610および下面611を有することができることを示している。回路板の上面610は、上側バスバー603に接触することができ、回路板の下面611は、下側バスバー604に電気的に接触することができる。
図6Cにおいて明確にするために、上側および下側センス電圧端子および上側および下側隔離端子は、示されておらず、理解されるべきこととして、これらは、上側および下側バスバーと同様な形態で回路板609の上面および下面に接続することができる。図6Bに戻ってこれを参照すると、上側および下側センス電圧端子ならびに上側および下側隔離端子は、上側および下側バスバーと同様な形態で回路板609に接続可能であることは明らかである。
幾つかの実施形態では、基板を互いに貼り合わせる前に、回路板609を基板が互いに貼り合わされた後では露出させることがない要素に電気的に接続する。図6Cの実施形態では、回路板609を上側基板601と下側基板602が互いに組み立てられる前に上側基板601上の上側バスバー603に電気的に接続することができる。次に、上側基板601と下側基板602が互いに組み立てられた後、回路板609を下側バスバー604に接続することができる。
図7Aは、実施形態においてエレクトロクロミック素子(例えば、図6Aの要素1)の上から下へ見た図を示している。この実施形態では、エレクトロクロミック素子は、寸法833cm×1343cmのほぼ長方形であるが、これは、本発明を特定するものではない。エレクトロクロミック素子は、長方形以外の形状を有することができまたは他の多くの寸法の長方形であってもよい。図7Aはまた、回路板に電気的に接続されたケーブルであるケーブルハーネス701を示している。幾つかの場合、ケーブルハーネスの一端をコネクタで終端するのがよく、このコネクタは、回路板に電気的に接続される。ケーブルハーネスネス701は、この回路板をコントローラ組立体、ドライバおよび/または電源に接続することができ、それにより電力を制御するとともに電力をエレクトロクロミック素子に提供することができる。図7Bは、実施形態におけるエレクトロクロミック素子の側面図である。図7Aおよび図7Bには、切断線A‐A、B‐BおよびC‐Cが示されており、C‐Cについては次の図において言及されている。
図8は、図7Bに示された向きから反時計回りに90°回転させた図7Bの切断線C‐Cに沿って上から下へ見た図である。図8の回路板および接続部は、図4Aおよび図4Bに示された回路板および接続部とほぼ同じであるが、回路板、端子および電気的接続部の別の実施形態を示している。図8の実施形態は、上側基板がエレクトロクロミック素子の1つの縁に沿って下側基板から側方の方向にオフセットしていることを示している。この実施形態では、下側バスバー端子802、下側センス電圧端子804および下側隔離端子806は、上側基板が下側基板から側方の方向にオフセットすることにより露出している。
図8の実施形態では、回路板800は、上側基板と下側基板との間で延びるとともに上側基板の1つの縁を越えて延びている。回路板は、上側基板と下側基板との間で延びているので、回路板800は、上側基板と下側基板を互いに組み立てた後に上側センス電圧端子803および上側隔離端子805が露出しなくても、上側センス電圧端子803および上側隔離端子805に電気的に直接接触することができる。幾つかの実施形態では、回路板は、端子の全てに直接的に接触するのに足るほど長い。しかしながら、図8に示されている実施形態では、回路板800は、上側バスバー端子801または下側隔離端子806への直接的な接触を行うのに足るほど長くはない。さらに、上側基板と下側基板を互いに組み立てた後に上側バスバー端子が露出しないので、この実施形態では、追加の導電性部材808(銅製リボン)を用いて上側バスバー801を上側基板の縁を越えて延長させる。したがって、この実施形態では、上側バスバー銅製リボン808および下側隔離端子806を回路板800に接続するのに導電性部材807が必要である。この実施形態では、導電性部材807は、上側バスバー銅製リボン808と回路板800との間および下側隔離端子806と回路板800との間の独立した接続を行う一対の可撓性リボンケーブルである。導電性部材807を構成するリボンケーブルは、互いに上に積み重ねられ、したがって、図8では、上側バスバー銅製リボン808と回路板800を接続する可撓性リボンケーブルが見え、下側隔離端子806と回路板800を接続する可撓性リボンケーブルが隠されている。導電性部材807を構成する2本の可撓性リボンケーブルは、互いに電気的に隔離され、その結果、上側バスバーと下側隔離端子を別個独立に扱うことができる。
図8は、回路板800が上面および下面を備えた実施形態を示しており、上面および下面には電気的接続部が作られている。この実施形態では、回路板の一部と見なされる導電線が設けられ、回路板の絶縁性材料には切欠きが設けられ、これら切欠きは、電線のうちの何本かを部分的に露出させて、その結果、回路板の上面および下面上に電気的接続部を作製することができる。この実施形態では、下側バスバー802および下側センス電圧端子804は、回路板800の下面に電気的に接続され、上側センス電圧端子803、上側隔離端子805、および導電性部材807を構成する可撓性リボンケーブルは、回路板の上面に電気的に接続されている。
図8は、回路板800の一実施形態を示す図であり、コネクタリード線809を示している。コネクタリード線は、ケーブルハーネス(図7Aの要素701に示されているように)のコネクタに接続されるように構成されている。回路板800は、バスバー端子、センス電圧端子、および隔離端子をコネクタリード線809に接続する多数の導電性トレース810を有し、その結果バスバー端子、センス電圧端子、および隔離端子の各々をドライバにより別個独立に扱うことができる。回路板800に設けられバスバー端子802,801をコネクタリード線に接続する導電性トレース810は、センス電圧端子803,804と隔離端子805,806とコネクタリード線809との間の導電性トレース810よりも幅が広い。これは、バスバーがエレクトロクロミック素子を切り換えるのに必要な大電流を供給し、他方、センス電圧端子および隔離端子が小電流を流すからである。幾つかの実施形態では、コネクタリード線809は、標準コネクタ(例えば、ZIFコネクタ)と接続するように構成され、多数本のリード線がエレクトロクロミック素子バスバーにより必要とされる電流を流すために互いに束ねられている。回路板は、200mAを超え、500mAを超え、1000mAを超え、1500mAを超え、2000mAを超え、2500mAを超え、3000mAを超え、200mAから5000mAであり、200mAから3000mAであり、500mAから3000mAであり、または、500mAから2000mAである電流を、エレクトロクロミック素子のバスバーに供給するように設計してもよい。
図8は、回路板の一実施形態を示し、この場合、上側基板と下側基板を互いに組み立てた後に露出状態のままの多数の試験パッド811が設けられている。これら試験パッドは、上側基板と下側基板を組み立てた後かつ回路板と他の導電性部材を組み立てて接続した後、試験目的で非露出状態の接続部の電気的プロービングを可能にする。
キャリヤガラスを含むエレクトロクロミック素子組立体
図9は、一体形グレージングユニット(IGU)900の一実施形態を示している。IGUの要素のうちの幾つかが図示されており、かかる要素としては、エレクトロクロミック素子およびキャリヤガラス901、回路板またはフレックス回路902、スペーサ903、シーラント904およびガラスライト905が挙げられる。図示の実施形態では、エレクトロクロミック素子は、キャリヤガラスに取り付けられている。
キャリヤガラスはエレクトロクロミック素子に貼り付けることができ、このキャリヤガラスは、強度を高めることができる。幾つかの実施形態では、エレクトロクロミック素子のための基板として用いられる基板は、ある特定の用途に必要な強度を欠く一形式のガラスであってもよく、エレクトロクロミック素子を強固なキャリヤガラスの1つまたは2つ以上の片に貼り付けまたは他の方法で取り付けることにより、組立体の強度を高めることができ、しかもエレクトロクロミック素子を種々の用途(例えば、建物の窓または内部間仕切り)に用いることができる。かかる場合、エレクトロクロミック素子の一方または両方の基板は、エレクトロクロミック素子・キャリヤガラスラミネートの強度を高めるためにアニーリングされ、強化され、または焼き戻しされたキャリヤガラスに貼り付けられてもよい。幾つかの実施形態では、一方または両方のエレクトロクロミック素子基板は、キャリヤガラスに貼り付けられ、一方または両方のエレクトロクロミック素子基板は、100MPa未満、80MPa未満、60MPa未満、50MPa未満、40MPa未満、35MPa未満、30MPa未満、25MPa未満、20MPa未満、15MPa未満、10MPa未満、5MPaから100MPaまで、5MPaから80MPaまで、5MPaから60MPaまで、5MPaから50MPaまで、5MPaから40MPaまで、5MPaから30MPaまで、5MPaから25MPaまで、5MPaから20MPaまで、または、5MPaから15MPaまでの熱応力または熱エッジ応力に耐える90%を超える蓋然性を有する。
幾つかの実施形態では、キャリヤガラスは、エレクトロクロミック素子を製造する種々の材料および製造方法の使用を可能にする。例えば、エレクトロクロミック素子の基板用のガラスは、熱強化できずまたは焼き戻しできず、したがって、幾つかの用途における使用に必要な強度(またはエッジ強度)を欠く場合がある。変形例として、エレクトロクロミック素子は、非ガラス可撓性基板、例えばポリマーまたはプラスチック上に実装されてもよい。幾つかの実施形態では、一方または両方のエレクトロクロミック素子基板は、0.1%未満、1%未満、5%未満、10%未満、0.0001%から1%まで、0.0001%から5%まで、または、0.0001%から10%までの酸化ナトリウム(例えば、Na2O)モル分率を有するガラスである。幾つかの実施形態では、エレクトロクロミック素子基板の一方または両方は、0.1%未満、1%未満、5%未満、10%未満、0.0001%から1%まで、0.0001%から5%まで、または、0.0001%から10%までの酸化ナトリウム(例えば、Na2O)モル分率を有するアニーリングされたガラスである。幾つかの実施形態では、エレクトロクロミック素子基板の一方または両方は、0.1%を超え、1%を超え、5%を超え、0.1%から20%まで、0.1%から15%まで、または、0.1%から10%までの酸化硼素(例えば、B2O3)モル分率を有するガラスである。幾つかの実施形態では、一方または両方のエレクトロクロミック素子基板は0.1%を超え、1%を超え、5%を超え、0.1%から20%まで、0.1%から15%まで、0.1%から10%までの酸化硼素(例えば、B2O3)モル分率を有するアニーリングされたガラスである。幾つかの実施形態では、一方または両方のエレクトロクロミック素子基板は、8ppm/K未満、7ppm/K未満、6ppm/K未満、5ppm/K未満、4ppm/K未満、2ppm/Kから8ppm/Kまで、2ppm/Kから7ppm/Kまで、2ppm/Kから6ppm/Kまで、または、3ppm/Kから6ppm/Kまでの熱膨張率(約20℃〜300℃)を有するガラスまたは強化ガラス(例えば、アニーリングされまたは焼き戻しされている)である。幾つかの実施形態では、一方または両方のエレクトロクロミック素子基板は、厚さが4mm未満、3mm未満、2mm未満、1.5mm未満、1.25mm未満、1mm未満、0.8mm未満、0.6mm未満、0.3mmから4mmまで、0.3mmから3mmまで、0.3mmから2mmまで、0.3mmから1.5mmまで、0.3mmから1mmまで、0.5mmから4mmまで、0.5mmから3mmまで、0.5mmから2mmまで、0.5mmから1.5mmまで、または、0.5mmから1mmまでである。特定の一実施形態では、エレクトロクロミック素子に用いられる基板は、約2.2g/cu‐cmの密度を有する低CTE(熱膨張率)ホウケイ酸ガラスであってもよく、この基板の厚さは、約1.0mm未満であり、約0.5mm未満であってもよい。
エレクトロクロミック素子の一方または両方の基板は、エレクトロクロミック素子およびキャリヤガラスラミネートの強度を高めるために、アニーリングされ、強化され、または焼き戻しされた厚いキャリヤガラスに貼り付けられてもよい。キャリヤガラスの厚さは、1.0mmを超え、または約0.5mmから10mmまでの範囲にあってもよい。大抵の住居用途に関し、キャリヤガラスの厚さは、約3.0mmであってもよく、大抵の商業用途に関し、キャリヤガラスの厚さは、約6.0mmであってもよい。幾つかの実施形態では、ガラスの第1ペインは、大まかに約3.0mmから約6.0mmmまでの範囲にある厚さを有する強化ソーダ石灰ガラスから成る。
図10Aおよび図10Bは、キャリヤガラスを含むエレクトロクロミック素子一体形グレージングユニット(IGU)の一実施形態の、互いに異なる切断線に沿って見た断面を示している。図10Aの寸法の単位は、ミリメートルであり、かかる寸法は、特定の一実施例の例示であり、したがって本発明を限定するものではない。他の実施形態では、寸法は、本開示内容における技術的思想に悪影響を及ぼさない限り変更可能である。この実施形態は、IGUにおいてキャリヤガラスの2つの片1002,1006に貼り付けられた1つのエレクトロクロミック素子1004を示している。別の実施形態では、エレクトロクロミック素子1004は、IGU内においてキャリヤガラスの一方の片1002に貼り付けられてもよく、キャリヤガラスの他方の片1006を省いてもよい。別の実施形態では、エレクトロクロミック素子1004は、IGUにおいてキャリヤガラスの一方の片1006に貼り付けられてもよく、キャリヤガラスの他方の片1002は、省かれてもよい。
図10Aは、一体形グレージングユニットに組み込まれた1つのエレクトロクロミック素子1004の実施形態の図7における切断線A‐Aに沿って見た断面を示している。この実施形態では、エレクトロクロミック素子は、キャリヤガラスの2つの片1002,1006に貼り付けられる。この実施形態では、エレクトロクロミック素子は、ポリビニルブチラール(PVB)層1003,1005を備えたキャリヤガラスに貼り付けられる。他の実施形態では、互いに異なる材料を用いてエレクトロクロミック素子をキャリヤガラス、例えばエチレンビニルアセテート(EVA)、ポリウレタン(PU)、紫外線活性化接着剤、または他の透明もしくは半透明な結合材料に貼り付けることができる。
図10Aに示されている実施形態では、素子およびキャリヤガラス(例えば、図9の901)は、スペーサ1009および二次シーラント1010とともにIGUに組み込まれる。スペーサ1009および二次シーラント1010は、エレクトロクロミック素子およびキャリヤガラスとガラスライトとの間に断熱空間を維持しながらエレクトロクロミック素子およびキャリヤガラスをガラスライト1007に連結するのに役立つ。この実施例では二次シーラントはシリコーンであるが、二次シーラントは、透水性の低いシーラント材料であればどのようなものでもよい。
図10Bは、図10Aに示されている一体形グレージングユニットに組み込まれたエレクトロクロミック素子1004の同一実施形態の断面を示しているが、図7Aの切断線B‐Bに沿って見た断面を示している。
図10Aおよび図10Bに示されている実施形態は、以下に概要を説明する多数の層を有する。第1キャリヤガラス1002は、PVBの層1003によりエレクトロクロミック素子貼り合わせ組立体1004に取り付けられている。エレクトロクロミック素子1004は、PVB層1005により第2キャリヤガラス1006に取り付けられている。第1キャリヤガラス1002、エレクトロクロミック素子貼り合わせ組立体1004、第2キャリヤガラス1006組立体は、スペーサ1009およびシリコーン二次シーラント1010によりIGUのガラスライト1007に取り付けられている。他の実施形態では、シリコーンおよび/またはPVBの層は、層を互いに貼り合わせまたは取り付けるために用いられる他の材料であってもよい。エレクトロクロミック素子貼り合わせ組立体1004は、第1基板、第1基板上の第1の透明な伝導性層、第1の透明な伝導性層に電気的に接触する第1バスバー、第2基板、第2基板上の第2の透明な伝導性層、第2の透明な伝導性層に電気的に接触する第2バスバー、およびエレクトロクロミック材料の少なくとも1つの層を含む多数の層を更に有する。幾つかの実施形態では、第1基板上の第1の透明な伝導性層に被着された第1エレクトロクロミック材料、第2基板上の第2の透明な伝導性層に被着された第2エレクトロクロミック材料、およびエレクトロクロミック材料間のイオン伝導性層が設けられている。幾つかの実施形態では、エレクトロクロミック素子貼り合わせ組立体を形成するために、イオン伝導性層は、第1基板、透明な伝導性層およびエレクトロクロミック材料を第2基板、透明な伝導性層およびエレクトロクロミック材料に貼り付けるために用いられる。エレクトロクロミック素子貼り合わせ組立体の幾つかの実施形態では、第2基板の第1縁の一部分が第1基板の第1縁の少なくとも一部分に対して引っ込められ、それにより電気的接続のために第1バスバーの少なくとも一部分が露出している。回路板またはフレックス回路800は、エレクトロクロミック素子の第1および第2バスバーへの接続に用いられる。幾つかの実施形態では、回路板またはフレックス回路800はまた、エレクトロクロミック素子の他の端子(例えば、センス電圧端子および隔離端子)への電気的接続に用いられる。
図10Aおよび図10Bに示されている実施形態では、エレクトロクロミック素子1004の2枚の基板は、一方の側方の方向に互いにオフセットしている。このオフセットにより、エレクトロクロミック素子の基板のうちの一方に設けられている接点が露出し、回路板(またはフレックス回路800)を露出状態の接点に接続することができる。
図10Aおよび図10Bに示されている実施形態では、スペーサ1009および第2シーラント1010によりガラスライト1007に取り付けられているキャリヤガラス1006とガラスライトは、一方の側方の方向に互いにオフセットしている。これにより、スペーサおよび/または二次シーラントがキャリヤガラス1006の表面よりも多くの表面に接触する必要がある。図10Aに示されている実施形態では、二次シーラントは、キャリヤガラス1006の少なくとも1つの表面およびキャリヤガラス1002の表面に接触する。図10Aに示されている実施形態では、二次シーラントは、フレックス回路800にも接触する。したがって、この実施形態では、二次シーラントはまた、回路板またはフレックス回路を環境から保護する目的の達成に役立つ。この場合、一体形グレージングユニットは、エレクトロクロミック素子貼り合わせ組立体の基板のうちの一方に取り付けられたガラスまたはプラスチックの第1ペイン(例えば、図10Aのキャリヤガラス1006)、および、スペーサによりガラスまたはプラスチックの第1ペインに取り付けられたガラスまたはプラスチックの第2ペイン(例えば、図10Aのガラスライト1007)を含み、ガラスまたはプラスチックの第1ペインは、エレクトロクロミック素子の一方または両方の基板の第1縁から側方の方向にオフセットしておらず、その結果、ガラスまたはプラスチックの第1ペインとガラスまたはプラスチックの第2ペインは、少なくとも1つの縁が側方の方向にオフセットしている。
幾つかの実施形態では、スペーサおよび二次シーラントによりガラスライトに取り付けられたキャリヤガラスとガラスライト(例えば、図10Aの1006および1007)は、互いに側方に位置合わせされており、その結果、スペーサおよび二次シーラントは、キャリヤガラス片のうちの一方およびガラスライトにのみ接触している(キャリヤガラス片および/またはエレクトロクロミック素子の両方には接触していない)。この場合、一体形グレージングユニットは、貼り合わせ組立体の基板のうちの一方に取り付けられたガラスまたはプラスチックの第1ペイン(例えば、図10Aのキャリヤガラス1006)およびスペーサによりガラスまたはプラスチックの第1ペインに取り付けられたガラスまたはプラスチックの第2ペイン(例えば、図10Aのガラスライト1007)を含み、ガラスまたはプラスチックの第1ペインは、エレクトロクロミック素子の一方または両方の基板の第1縁から側方の方向にオフセットしており、その結果、ガラスまたはプラスチックの第1ペインとガラスまたはプラスチックの第2ペインは、どの縁も任意の側方の方向にはオフセットしていない。幾つかの場合、スペーサおよび二次シーラントは、キャリヤガラスとガラスライトの両方上の平坦な表面上に位置する。幾つかの場合、スペーサおよび二次シーラントは、キャリヤガラスの一方の表面およびガラスライトの一方の表面にのみ接触する。
本開示内容におけるエレクトロクロミック素子組立体のいずれか(すなわち、IGUまたはLGU)は、エレクトロクロミック素子はキャリヤガラスの1つまたは2つ以上の片に貼り付けることができ、キャリヤガラスの1つまたは2つ以上の片をセラミックフリットでパターン付けすることができる。スクリーン印刷プロセスを用いてセラミックフリットを被着させ、次に炉内で焼いてセラミックフリット被膜をガラスに融着させることができる。セラミックフリットを着色してもよい。セラミックフリットを規則的または不規則なパターンで被着させまたはエレクトロクロミック素子組立体の境界部周りに被着させてもよい。幾つかの実施形態では、セラミックフリットは、組立体の縁のところの電気接続部、回路板および/またはコントローラ組立体を視覚的に隠すために用いられる。セラミックフリットを焼くために用いられる炉は、焼き戻し炉であってもよい。焼成プロセスの温度は、400℃を超え、450℃を超え、500℃を超え、550℃を超え、600℃を超え、650℃を超え、700℃を超え、600℃から800℃まで、500℃から800℃まで、600℃から800℃まで、400℃から900℃まで、500℃から900℃まで、または、600℃から900℃までであってもよい。幾つかの場合、セラミックフリット焼成プロセスは、十分な温度(例えば、600℃超)に達し、迅速な冷却速度を用い、そしてこのプロセスにおいてキャリヤガラスをアニーリングし、熱強化しまたは焼き戻す。
幾つかの実施形態では、1つまたは2つ以上のエレクトロクロミック素子を互いに貼り合わせ、そしてキャリヤガラスの1つまたは2つ以上の片に貼り付け、この貼り合わせ組立体全体は、貼り合わせ組立体の本体に垂直な方向に沿って対称である。幾つかの実施形態では、対称的な貼り合わせ組立体は、これが貼り合わせ中、弓反りを減少させ、または、なくすことができるので有利である。理論により束縛されるものではないが、弓反りは、非対称組立体において互いに異なる熱膨張率を有する材料が存在する場合に生じることがあり、その結果、組立体の一方の側の膨張・収縮は、組立体の反対側とは異なっており、それにより残留応力および弓反りが生じる。
多数のエレクトロクロミック素子一体形グレージングユニット(IGU)の構造
図11Aは、一実施形態におけるエレクトロクロミック素子1の上から下へ見た図である。この実施形態では、エレクトロクロミック素子は、寸法833cm×1343cmのほぼ長方形であるが、これは、本発明を限定するものではない。エレクトロクロミック素子は、長方形以外の形状を有することができ、または、多くの他の寸法の長方形であってもよい。図11Aおよび図11Bに示されている実施形態は、1つの組立体(例えば、IGU)中に組み込まれた2つのエレクトロクロミック素子を有している。したがって、図11Aは、2つのケーブルハーネス1101を示しており、これらケーブルハーネスのうちの一方は、第1エレクトロクロミック素子上の回路板に電気的に接続され、他方のケーブルハーネスは、第2エレクトロクロミック素子上の回路板に電気的に接続されている。幾つかの場合、ケーブルハーネスは、各回路板に電気的に接続されているコネクタで終端処理することができる。ケーブルハーネス1101は、回路板を、1つまたは2つ以上のコントローラ組立体、ドライバおよび/または電源に接続し、電力を制御してかかる電力をエレクトロクロミック素子に提供する。図11Bは、一実施形態におけるエレクトロクロミック素子の側面図である。図11Aおよび図11Bには、切断線A‐A、B‐BおよびC‐Cが示されており、これらについては次の図において言及されている。
図12Aおよび図12Bは、キャリヤガラスを含むエレクトロクロミック素子一体形グレージングユニットの一実施形態の互いに異なる切断線に沿って見た断面を示している。図12Aの寸法の単位は、ミリメートルであり、かかる寸法は、特定の一実施例の例示である。他の実施形態では、寸法は、本開示内容における技術的思想に悪影響を及ぼさない限り変更可能である。この実施形態は、IGUにおいて互いにかつキャリヤガラスの2つの片1202,1208に貼り付けられた2つのエレクトロクロミック素子1204,1206を示している。別の実施形態では、エレクトロクロミック素子1204,1206は、互いにかつIGU内においてキャリヤガラスの一方の片1202に貼り付けられるのがよく、キャリヤガラスの他方の片1208を省いてもよい。別の実施形態では、エレクトロクロミック素子1204,1206は、IGUにおいてキャリヤガラスの一方の片1208に貼り付けられるのがよく、キャリヤガラスの他方の片1202は、省かれてもよい。
図12Aは、一体形グレージングユニットに組み込まれた2つのエレクトロクロミック素子1204,1206の実施形態の図11Aにおける切断線A‐Aに沿って見た断面を示している。この実施形態では、エレクトロクロミック素子は、互いにかつキャリヤガラスの2つの片1202,1208に貼り付けられる。この実施形態では、エレクトロクロミック素子は、互いに貼り付けられ、ポリビニルブチラール(PVB)層1203,1205,1207を備えたキャリヤガラスに貼り付けられる。他の実施形態では、互いに異なる材料を用いて、エレクトロクロミック素子を、キャリヤガラス、例えばエチレンビニルアセテート(EVA)、ポリウレタン(PU)、紫外線活性化接着剤、または他の透明もしくは半透明な結合材料に貼り付けることができる。
図12Aに示されている実施形態では、素子およびキャリヤガラス(例えば、図9の1001)は、スペーサ1211および二次シーラント1212とともにIGUに組み込まれる。スペーサ1211および二次シーラント1212は、エレクトロクロミック素子およびキャリヤガラスとガラスライトとの間に断熱空間を維持しながら、エレクトロクロミック素子およびキャリヤガラスをガラスライト1209に連結させる。この実施形態では、二次シーラントはシリコーンである。また、環境保護要素1213が設けられており、環境保護要素1213は、エレクトロクロミック素子および回路板、または、エレクトロクロミック素子およびフレックス回路を環境から保護している。この実施例では、環境保護要素もまたシリコーンで作られている。他の実施形態では、二次シーラントおよび/または環境保護要素は、透水性の低い材料であればどのようなものでもよい。
図12Bは、図12Aに示されている一体形グレージングユニットに組み込まれたエレクトロクロミック素子1204,1206の同一実施形態の断面を示しているが、図11Aの切断線B‐Bに沿って見た断面を示している。
図12Aおよび図12Bに示されている実施形態は、以下に概要を説明する多数の層を有する。第1キャリヤガラス1202は、PVBの層1203によりエレクトロクロミック素子貼り合わせ組立体1204に取り付けられている。第1エレクトロクロミック素子1204は、PVBの層1205により第2キャリヤガラス1206に取り付けられている。第2エレクトロクロミック素子1206は、PVB層1207により第2キャリヤガラス1208に取り付けられている。キャリヤガラス1202、第1エレクトロクロミック素子貼り合わせ組立体1204、第2エレクトロクロミック素子貼り合わせ組立体1206、第2キャリヤガラス1208組立体は、スペーサ1211およびシリコーン二次シーラント1212によりIGUのガラスライト1209に取り付けられている。また、エレクトロクロミック素子を環境から保護するシリコーン環境保護要素1213が設けられている。他の実施形態では、シリコーンおよび/またはPVBの層は、層を互いに貼り合わせまたは取り付けるために用いられる他の材料であってもよい。エレクトロクロミック素子貼り合わせ組立体1204,1206は各々、第1基板、第1基板上の第1の透明な伝導性層、第1の透明な伝導性層に電気的に接触する第1バスバー、第2基板、第2基板上の第2の透明な伝導性層、第2の透明な伝導性層に電気的に接触する第2バスバー、およびエレクトロクロミック材料の少なくとも1つの層を含む多数の層を更に有している。幾つかの実施形態では、第1基板上の第1の透明な伝導性層に被着された第1エレクトロクロミック材料、第2基板上の第2の透明な伝導性層に被着された第2エレクトロクロミック材料、およびエレクトロクロミック材料間のイオン伝導性層が設けられている。幾つかの実施形態では、エレクトロクロミック素子貼り合わせ組立体の各々を形成するために、イオン伝導性層を用いて、第1基板、透明な伝導性層およびエレクトロクロミック材料が、第2基板、透明な伝導性層およびエレクトロクロミック材料に貼り付けられる。エレクトロクロミック素子貼り合わせ組立体の各々の幾つかの実施形態では、第2基板の第1縁の一部分が、第1基板の第1縁の少なくとも一部分に対して引っ込められ、それにより電気的接続のために第1バスバーの少なくとも一部分が露出している。回路板またはフレックス回路800は、エレクトロクロミック素子の第1および第2バスバーへの接続に用いられる。各エレクトロクロミック素子は、別個の回路板および別個のフレックス回路800を含む。一実施形態では、各回路板は、図8に示されている接続部と同様な接続部を有するのがよく、図8は、この場合、図11Bの切断線C‐Cに沿って見た組立体中のエレクトロクロミック素子の一方の回路板のうちの一方を示すことができる。図12Aは、フレックス回路800のうちの一方だけが見える特定の切断線のところでの特定の実施形態の断面を示している。幾つかの実施形態では、回路板またはフレックス回路800も、エレクトロクロミック素子の他の端子(例えば、センス電圧端子および隔離端子)への電気的接続に用いられる。
図12Aおよび図12Bに示されている実施形態では、エレクトロクロミック素子1204,1206の各々の2枚の基板は、一方の側方の方向に互いにオフセットしており、それにより、エレクトロクロミック素子の各々の基板のうちの一方に設けられている接点が露出し、回路板(またはフレックス回路800)を各素子上の露出状態の接点に接続することができる。次に、2つの素子が、露出状態の接点が互いに向くように、IGU内で配向される。この場合、各エレクトロクロミック素子の露出状態の接点は、図12Aに示されているように、エレクトロクロミック素子(1202か1208かのいずれか)に取り付けられたキャリヤガラスから遠ざかる方向を向く。幾つかの実施形態では、最も遠くに離れて位置するエレクトロクロミック素子貼り合わせ組立体の基板(すなわち、互いに取り付けられておらずまたは貼り合わされていない基板)は、互いに側方に位置合わせされる。幾つかの実施形態では、互いに最も近くに位置するエレクトロクロミック素子貼り合わせ組立体の基板(すなわち、互いに取り付けられまたは互いに貼り合わされた基板)は、互いに側方に位置合わせされる。
図12Aおよび図12Bに示されている実施形態では、スペーサ1211および第2シーラント1212によりガラスライト1209に取り付けられているキャリヤガラス1208と、ガラスライトとは、スペーサ1211および二次シーラント1212がキャリヤガラス1208およびガラスライト1209のみに接触するように側方の方向に互いに位置合わせされている。この場合、一体形グレージングユニットは、貼り合わせ組立体の基板のうちの一方に取り付けられたガラスまたはプラスチックの第1ペイン(例えば、図12Aのキャリヤガラス1208)と、スペーサによりガラスまたはプラスチックの第1ペインに取り付けられたガラスまたはプラスチックの第2ペイン(例えば、図12Aのガラスライト1209)とを有し、ガラスまたはプラスチックの第1ペインは、エレクトロクロミック素子の一方または両方の基板の第1縁から側方の方向にオフセットしており、その結果、ガラスまたはプラスチックの第1ペインとガラスまたはプラスチックの第2ペインは、少なくとも1つの縁が側方の方向にオフセットしていない。幾つかの場合、スペーサ1211および二次シーラント1212は、キャリヤガラス1208とガラスライト1209の両方上の平坦な表面上に位置する。幾つかの場合、スペーサ1211および二次シーラント1212は、キャリヤガラス1208の一方の表面およびガラスライト1209の一方の表面のみに接触する。
幾つかの実施形態では、スペーサおよび第2シーラントによりガラスライトに取り付けられているキャリヤガラス(例えば、図12Aの1208および1209)と、ガラスライトとは、一方の側方の方向に互いにオフセットしている。これにより、スペーサおよび/または二次シーラントは、キャリヤガラス1208の表面よりも多くの表面に接触する必要がある。かかる場合、二次シーラントは、キャリヤガラス1208の少なくとも1つの表面およびキャリヤガラス1202の表面に接触してもよい。幾つかの場合、二次シーラントは、フレックス回路800にも接触する。これらの場合、二次シーラントも、回路板またはフレックス回路を環境から保護する目的の達成に役立つ。幾つかの場合、一体形グレージングユニットは、エレクトロクロミック素子貼り合わせ組立体の基板のうちの一方に取り付けられたガラスまたはプラスチックの第1ペイン(例えば、図12Aのキャリヤガラス1208)と、スペーサによりガラスまたはプラスチックの第1ペインに取り付けられたガラスまたはプラスチックの第2ペイン(例えば、図12Aのガラスライト1209)と、を有していてもよく、ガラスまたはプラスチックの第1ペインは、エレクトロクロミック素子の一方または両方の基板の第1縁から側方の方向にオフセットしておらず、その結果、ガラスまたはプラスチックの第1ペインとガラスまたはプラスチックの第2ペインは、少なくとも1つの縁が側方の方向にオフセットしている。
キャリヤガラスを含むエレクトロクロミック素子貼り合わせ形グレージングユニット(LGU)の構造
図13Aおよび図13Bは、キャリヤガラスを含むエレクトロクロミック素子貼り合わせ形ガラスユニット(LGU)の一実施形態の互いに異なる切断線に沿って見た断面を示している。この実施形態では、2つのエレクトロクロミック素子1303,1306が互いに貼り合わされるとともにキャリヤガラスの2つの片1302,1308に貼り付けられている。別の実施形態では、一方のエレクトロクロミック素子1304は、LGUのキャリヤガラスの2つの片1302,1308に貼り付けられてもよく、他方のエレクトロクロミック素子1306は、省かれてもよい。
図13Aは、貼り合わせ形グリージングユニット(LGU)中に組み込まれた2つのエレクトロクロミック素子1304,1306の一実施形態の断面(図11Aの切断線A‐Aに沿って見た断面と類似している)を示している。この実施形態では、エレクトロクロミック素子は、互いに貼り合わされかつキャリヤガラスの2つの追加の片1302,1308に貼り付けられている。この実施形態では、エレクトロクロミック素子は、互いに貼り合わされるとともにポリビニルブチラール(PVB)1303,1305,1307によりキャリヤガラスに貼り付けられている。他の実施形態では、互いに異なる材料を用いて、エレクトロクロミック素子を互いにかつキャリヤガラス、例えばエチレンビニルアセテート(EVA)、ポリウレタン(PU)、紫外線活性化接着剤、または他の透明もしくは半透明な結合材料に貼り付けることができる。
図13Aに示されている実施形態では、エレクトロクロミック素子およびキャリヤガラスは、キャリヤガラス1302,1308を含むLGU中に組み込まれ、それによりLGUの外側の主要な表面が形成されている。エレクトロクロミック素子および回路板、または、エレクトロクロミック素子およびフレックス回路を、環境から保護する追加の環境保護要素1309も設けられている。この実施例では、環境保護要素は、シリコーンで作られている。他の実施形態では、二次シーラントおよび/または環境保護要素は、透水性の低い異なる材料であってもよい。
図13Bは、図13Aに示されている一体形グレージングユニットに組み込まれたエレクトロクロミック素子1304,1306の同一実施形態の断面を示しているが、図11Aの切断線B‐Bに沿って見た断面を示している。
図13Aおよび図13Bに示されている実施形態は、以下に概要を説明する多数の層を有している。第1キャリヤガラス1302は、PVBの層1303によりエレクトロクロミック素子貼り合わせ組立体1304に取り付けられている。第1エレクトロクロミック素子1304は、PVBの層1305により第2キャリヤガラス1306に取り付けられている。第2エレクトロクロミック素子1306は、PVB層1307により第2キャリヤガラス1308に取り付けられている。また、エレクトロクロミック素子を環境から保護するシリコーン環境保護要素1309が設けられている。他の実施形態では、シリコーンおよび/またはPVBの層は、層を互いに貼り合わせまたは取り付けるために用いられる他の材料であってもよい。エレクトロクロミック素子貼り合わせ組立体1304,1306は各々、第1基板、第1基板上の第1の透明な伝導性層、第1の透明な伝導性層に電気的に接触する第1バスバー、第2基板、第2基板上の第2の透明な伝導性層、第2の透明な伝導性層に電気的に接触する第2バスバー、およびエレクトロクロミック材料の少なくとも1つの層を含む多数の層を更に有する。幾つかの実施形態では、第1基板上の第1の透明な伝導性層に被着された第1エレクトロクロミック材料、第2基板上の第2の透明な伝導性層に被着された第2エレクトロクロミック材料、およびエレクトロクロミック材料間のイオン伝導性層が設けられている。幾つかの実施形態では、エレクトロクロミック素子貼り合わせ組立体の各々を形成するために、イオン伝導性層を用いて、第1基板、透明な伝導性層およびエレクトロクロミック材料が、第2基板、透明な伝導性層およびエレクトロクロミック材料に貼り付けられる。エレクトロクロミック素子貼り合わせ組立体の各々の幾つかの実施形態では、第2基板の第1縁の一部分が第1基板の第1縁の少なくとも一部分に対して引っ込められ、それにより電気的接続のために第1バスバーの少なくとも一部分が露出している。回路板またはフレックス回路800は、エレクトロクロミック素子の第1および第2バスバーへの接続に用いられる。各エレクトロクロミック素子は、別個の回路板および別個のフレックス回路800を含む。一実施形態では、各回路板は、図8に示されている接続部と同様な接続部を有するのがよく、図8は、この場合、図11Bの切断線C‐Cに沿って見た組立体中のエレクトロクロミック素子の一方の回路板のうちの一方を示すことができる。図13Aは、フレックス回路800のうちの一方だけが見える特定の切断線のところでの特定の実施形態の断面を示している。幾つかの実施形態では、回路板またはフレックス回路800はまた、エレクトロクロミック素子の他の端子(例えば、センス電圧端子および隔離端子)への電気的接続に用いられる。
図13Aおよび図13Bに示されている実施形態では、エレクトロクロミック素子1304,1306の各々の2枚の基板は、一方の側方の方向に互いにオフセットしており、それにより、エレクトロクロミック素子の各々の基板のうちの一方に設けられている接点が露出し、回路板(またはフレックス回路800)を各素子上の露出状態の接点に接続することができる。次に、2つの素子が、露出状態の接点が互いに向くように、IGU内で配向される。この場合、各エレクトロクロミック素子の露出状態の接点は、図13Aに示されているようにエレクトロクロミック素子(両方のキャリヤガラス1302,1308用)に取り付けられたキャリヤガラスから遠ざかる方向を向く。幾つかの実施形態では、最も遠くに離れて位置するエレクトロクロミック素子貼り合わせ組立体の基板(すなわち、互いに取り付けられておらずまたは貼り合わされていない基板)は、互いに側方に位置合わせされる。幾つかの実施形態では、互いに最も近くに位置するエレクトロクロミック素子貼り合わせ組立体の基板(すなわち、互いに取り付けられまたは互いに貼り合わされた基板)は、互いに側方に位置合わせされる。
図13Aおよび図13Bに示されている実施形態では、第1エレクトロクロミック素子1304に取り付けられているキャリヤガラス1302と、第2エレクトロクロミック素子1306に取り付けられているキャリヤガラス1308とは、互いに側方に位置合わせされている。幾つかの実施形態では、第1エレクトロクロミック素子1304に取り付けられているキャリヤガラス1302と、第2エレクトロクロミック素子1306に取り付けられているキャリヤガラス1308とは、少なくとも一方の側方の方向に互いにオフセットしている。
追加の検討事項
詳細な例示の実施形態を本明細書において開示した。しかしながら、本明細書において開示した特定の機能的詳細は、実施形態の説明のため、例示であるに過ぎない。しかしながら、実施形態は、多くの変形形態で具体化できるので、本明細書に記載した実施形態にのみ限定されるものと解されてはならない。
理解されるべきこととして、第1、第2などの用語が種々のステップまたは計算を説明するために本明細書において用いられる場合があるが、これらステップまたは計算は、これらの用語により限定されるべきではない。これらの用語は、1つのステップまたは計算を別のステップまたは計算から区別するために用いられているに過ぎない。例えば、本発明の範囲から逸脱することなく、第1計算を第2計算と称してもよく、同様に、第2ステップを第1ステップと称してもよい。本明細書で用いられる「および/または」および「/」記号は、関連の列記されたアイテムのうちの1つまたは2つ以上の任意の組み合わせおよび全ての組み合わせを含む。
原文明細書で用いられる単数形“a”、“an”、および“the”は、文脈上、別段の明示の指定がなければ、複数形をも含むものである。さらに、原文明細書における用語“comprises”、“comprising”、“includes”、および/または“including”は、本明細書において用いられる場合、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、および/またはコンポーネントの存在を示すが、1つまたは2つ以上の別の特徴、整数、ステップ、操作、要素、コンポーネント、および/またはこれらの群の存在または追加を排除するものではない。したがって、本明細書で用いられている用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではない。
また、注目されるべきこととして、幾つかの変形具体化例では、記載した機能/行為は、図に記載されている順序とは異なる順序で生じてもよい。例えば、連続して示されている2つの図は、関与する機能/行為に応じて、実際に実質的に同時に実行されてもよいし、逆の順序で実行されてもよい。
モジュール、用途、層、作用剤または他の方法により実施可能な要素を、ハードウェア、ファームウェア、またはソフトウェアを実行するプロセッサ、もしくはこれらの組み合わせとして具体化できる。理解されるべきこととして、ソフトウェアを利用した実施形態が本明細書において開示される場合、ソフトウェアは、制御装置のような物理的機械として具体化できる。例えば、コントローラは、第1モジュールおよび第2モジュールを含むことができる。コントローラは、例えば方法、用途、層または作用剤の種々の行為を実行するように構成可能である。
方法の操作を特定の順序で説明したが、理解されるべきこととして、他の操作を説明した操作間で実施することができ、説明した操作をこれらが僅かに互いに異なる時点で起こるよう調節してもよく、あるいは、説明した操作は、処理操作の発生を処理と関連した種々の間隔で可能にするシステム内で分散して実行してもよい。
種々のユニット、回路、または他のコンポーネントを1つまたは複数のタスクを実行するように「〜するように構成されている」ものとして記載しまたはクレーム請求することができる。かかる文脈に関し、「〜するように構成されている」という語句は、ユニット/回路/コンポーネントが作動中に1つまたは複数のタスクを実行する構造(例えば、回路)を含むことを指示することにより意味するために用いられている。したがって、ユニット/回路/コンポーネントは、示されたユニット/回路/コンポーネントが現在実行中ではない場合であっても(例えば、オンではない場合であっても)タスクを実行するように構成されていると言える。「〜するように構成されている」という用語とともに用いられるユニット/回路/コンポーネントは、ハードウェア、例えば回路、操作を具体化するように実行可能なプログラム命令を記憶したメモリなどを含む。ユニット/回路/コンポーネントが1つまたは2つ以上のタスクを実行するように「〜するように構成されている」と表現していることは、そのユニット/回路/コンポーネントについて35U.S.C.112の第6段落を援用しないものと明示的に示されている。加えて、「〜するように構成されている」という語句は、タスクを実行できるように動作するために、ソフトウェアおよび/またはファームウェア(例えば、ソフトウェアを実行するFPGAまたは汎用プロセッサ)により操作される総称的な構造(例えば、総称的な回路構成)を含み得る。「〜するように構成されている」という語句はまた、1つまたは2つ以上のタスクを具体化しまたは実行するようになったデバイス(例えば、集積回路)を作製するように製造プロセス(例えば、半導体製造施設)を適合させることを含む場合がある。
上述の説明は、説明のため、特定の実施形態を参照して行われている。しかしながら、上述の説明は、排他的であることを意図しておらず、または、開示した形態そのものに本発明を限定することを意図していない。上述の教示に照らして多くの改造および変形が可能である。実施形態の原理およびその実用的な用途を最もよく説明し、それにより当業者が想定される特定の用途に合うように実施形態および種々の改造例を最もよく利用することができるように、実施形態が選択されて説明されている。したがって、本明細書において開示した実施形態は、例示として解されるべきであり、本発明を限定するものと解されてはならず、本発明は、本明細書に与えられた細部には限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲およびその均等範囲内で改造できる。