発明の詳細な説明
I.いくつかの実施形態の概要
葉緑体輸送ペプチド(CTP)(すなわち色素体輸送ペプチド)は、翻訳と同時に又は翻訳後に、CTPを含むポリペプチドを、例えば葉緑体である色素体に向かわせる働きをする。この発明の一部の実施形態では、内在性葉緑体タンパク質又は異種タンパク質のいずれかが、かかるタンパク質の発現によって、CTPを含むより大きい前駆体ポリペプチドとして、葉緑体に向かわせ得る。
例示的な実施形態では、CTPをコードする核酸配列は、セイヨウアブラナ(Brassica napus)から得たEPSPS遺伝子配列(NCBIデータベース目録No.P17688)、ダイズ(Glycine max)から得たEPSPS遺伝子配列(NCBIデータベース目録No.XP_003517039)、ヒルガオ(Calystegia)から得たEPSPS遺伝子配列(NCBIデータベース目録No.ACB37380)、コナミドリムシ(Chlamydamonas reinhardtii)から得たEPSPS遺伝子配列(NCBIデータベース目録No.XP_001702942)、イネ(Oryza sativa)から得たEPSPS遺伝子配列(NCBIデータベース目録No.AF413082_1)、アマランサス(Amaranthus)から得たEPSPS遺伝子配列(NCBIデータベース目録No.ACV53022)、及びドナリエラ(Dunaliella salina)から得たEPSPS遺伝子配列(NCBI目録No.:AMBM68632)から単離した。CTPは、ChloroP予測サーバにより、遺伝子配列を解析することによって、全長タンパク質から特定して単離した。Emanuelssonら(1999)、Protein Science 8:978-84(cbs.dtu.dk/services/ChloroPで利用可能)。単離したCTPコード配列のうち予測したタンパク質産物を用いて、主題の開示であるキメラCTPコード核酸配列、TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28を生成した。
さらなる例示的な実施形態では、TraP10ペプチドを単独で合成し、黄色蛍光タンパク質(YFP)と融合させて、キメラTraP10−YFPポリペプチドを生成した。キメラTraP10−YFPポリペプチドをコードする核酸分子をバイナリーベクターに導入して、TraP10−YFPコード核酸配列がAtUbi 10のプロモーターと作動可能に連結された。
またさらなる例示的な実施形態では、AtUbi 10のプロモーターと作動可能に連結したTraP10−YFPコード核酸配列を含むバイナリーベクターが、アグロバクテリウム(Agrobacterium)を介してタバコ(Nicotiana tabacum)を一過性に形質転換した。共焦点顕微鏡観察及びウエスタンブロット分析により、TraP10がタバコの葉緑体に対してYFPを標的化させることに成功したことを確認した。
さらなる例示的な実施形態では、TraP11ペプチドを単独で合成し、黄色蛍光タンパク質(YFP)と融合させてキメラTraP11−YFPポリペプチドを生成した。キメラTraP11−YFPポリペプチドをコードする核酸分子を、バイナリーベクターに導入して、TraP11−YFPコード核酸配列がAtUbi 10のプロモーターと作動可能に連結された。
またさらなる例示的な実施形態では、AtUbi 10のプロモーターと作動可能に連結されたTraP11−YFPコード核酸配列を含むバイナリーベクターが、アグロバクテリウム(Agrobacterium)を介してタバコ(Nicotiana tabacum)を一過性に形質転換した。共焦点顕微鏡観察及びウエスタンブロット分析により、TraP11がYFPをタバコの葉緑体に標的化することに成功したことを確認した。
さらなる例示的な実施形態では、TRAP17ペプチドを単独で合成し、緑色蛍光タンパク質(GFP)と融合させてキメラTRAP17−GFPポリペプチドを生成した。キメラTraP17−GFPポリペプチドをコードする核酸分子を、バイナリーベクターに導入して、TraP17−GFPコード核酸配列がAtUbi 10のプロモーターと作動可能に連結された。
またさらなる例示的な実施形態では、AtUbi 10のプロモーターと作動可能に連結されたTraP17−GFPコード核酸配列を含むバイナリーベクターが、アグロバクテリウム(Agrobacterium)を介してトウモロコシ(Zea mays)を一過性に形質転換した。共焦点顕微鏡観察及びウエスタンブロット分析により、TraP17がGFPをトウモロコシの葉緑体に標的化することに成功したことを確認した。
さらなる例示的な実施形態では、TraP18ペプチドを単独で合成し、緑色蛍光タンパク質(GFP)と融合させてキメラTraP18−GFPポリペプチドを生成した。キメラTraP18−GFPポリペプチドをコードする核酸分子をバイナリーベクターに導入して、TraP18−GFPコード核酸配列がAtUbi 10のプロモーターと作動可能に連結された。
またさらなる例示的な実施形態では、AtUbi 10のプロモーターと作動可能に連結しされたTraP18−GFPコード核酸配列を含むバイナリーベクターが、アグロバクテリウム(Agrobacterium)を介してトウモロコシ(Zea mays)及びタバコ(Nicotiana tabacum)を一過性に形質転換した。共焦点顕微鏡観察及びウエスタンブロット分析により、TraP18がGFPをトウモロコシ及びタバコの葉緑体に標的化することに成功したことを確認した。
さらなる例示的な実施形態では、TraP19ペプチドを単独で合成し、緑色蛍光タンパク質(GFP)と融合させてキメラTraP19−GFPポリペプチドを生成した。キメラTraP19−GFPポリペプチドをコードする核酸分子を、バイナリーベクターに導入し、TraP19−GFPコード核酸配列がAtUbi 10のプロモーターと作動可能に連結された。
またさらなる例示的な実施形態では、AtUbi 10のプロモーターと作動可能に連結されたTraP19−GFPコード核酸配列を含むバイナリーベクターが、アグロバクテリウム(Agrobacterium)を介して一時的にトウモロコシ(Zea mays)及びタバコ(Nicotiana tabacum)を形質転換した。共焦点顕微鏡観察及びウエスタンブロット分析により、TraP19がGFPをトウモロコシ及びタバコの葉緑体に標的化することに成功したことを確認した。
さらなる例示的な実施形態では、TraP26ペプチドを単独で合成し、緑色蛍光タンパク質(GFP)と融合させてキメラTraP26−GFPポリペプチドを生成した。キメラTraP26−GFPポリペプチドをコードする核酸分子をバイナリーベクターに導入し、TraP26−GFPコード核酸配列がAtUbi 10のプロモーターと作動可能に連結された。
またさらなる例示的な実施形態では、AtUbi 10のプロモーターと作動可能に連結したTraP26−GFPコード核酸配列を含むバイナリーベクターが、アグロバクテリウム(Agrobacterium)を介して一時的にタバコ(Nicotiana tabacum)に形質転換された。共焦点顕微鏡観察及びウエスタンブロット分析により、TraP26がタバコの葉緑体に対してGFPを標的化することに成功したことを確認した。
さらなる例示的な実施形態では、TraP27ペプチドを単独で合成し、黄色蛍光タンパク質(GFP)と融合させてキメラTraP27−GFPポリペプチドを生成した。キメラTraP27−GFPポリペプチドをコードする核酸分子をバイナリーベクターに導入し、TraP27−GFPコード核酸配列がAtUbi 10のプロモーターと作動可能に連結された。
またさらなる例示的な実施形態では、AtUbi 10のプロモーターと作動可能に連結したTraP27−GFPコード核酸配列を含むバイナリーベクターが、アグロバクテリウム(Agrobacterium)を介してタバコ(Nicotiana tabacum)を一過性に形質転換した。共焦点顕微鏡観察及びウエスタンブロット分析により、TraP27がGFPをタバコの葉緑体に標的化することに成功したことを確認した。
さらなる例示的な実施形態では、TraP28ペプチドを単独で合成し、黄色蛍光タンパク質(GFP)と融合させてキメラTraP28−GFPポリペプチドを生成した。キメラTraP28−GFPポリペプチドをコードする核酸分子を、バイナリーベクターに導入し、TraP28−GFPコード核酸配列がAtUbi 10のプロモーターと作動可能に連結された。
またさらなる例示的な実施形態では、AtUbi 10のプロモーターと作動可能に連結したTraP28−GFPコード核酸配列を含むバイナリーベクターが、アグロバクテリウム(Agrobacterium)を介してタバコ(Nicotiana tabacum)を一過性に形質転換した。共焦点顕微鏡観察及びウエスタンブロット分析により、TraP28がGFPをタバコの葉緑体に標的化することに成功したことを確認した。
さらなる例示的な実施形態では、この発明の合成TraPペプチドをそれぞれコードする核酸配列が、単独で合成されて、農学上重要な遺伝子配列をコードする核酸配列と作動可能に連結された。TraP配列は、耐除草剤の形質(例えばdgt−28、dgt−14、dgt−32及びdgt−33)と融合されて、キメラのTraP10:DGT−28、TraP11:DGT−28、TraP17:DGT−28、TraP18:DGT−28、TraP19:DGT−28、TraP26:DGT−28、TraP27:DGT−28又はTraP28:DGT−28の融合ポリペプチドをそれぞれコードする合成核酸分子を生成できる。キメラのTraP10:DGT−28、TraP11:DGT−28、TraP17:DGT−28、TraP18:DGT−28、TraP19:DGT−28、TraP26:DGT−28、TraP27:DGT−28又はTraP28:DGT−28のポリペプチドをそれぞれコードできる核酸配列がそれぞれバイナリーベクターに導入されて、TraP10:DGT−28、TraP11:DGT−28、TraP17:DGT−28、TraP18:DGT−28、TraP19:DGT−28、TraP26:DGT−28、TraP27:DGT−28又はTraP28:DGT−28をそれぞれコードする核酸配列が、プロモーター及び他の遺伝子制御エレメントと作動可能に連結された。TraP10:DGT−28、TraP11:DGT−28、TraP17:DGT−28、TraP18:DGT−28、TraP19:DGT−28、TraP26:DGT−28、TraP27:DGT−28又はTraP28:DGT−28をコードする核酸配列を含有するバイナリーベクターを用いて、様々な植物種を形質転換した。トランスジェニック植物について、葉緑体に対するDGT−28酵素の発現及び移動の結果としての、グリホサート耐性を測定することができる。
上記した詳細な実施例を鑑みて、本発明のTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の配列を用いて、広範囲にわたる植物種内の色素体に、任意のポリペプチドを向かわせるようにしてもよい。例えば、本開示により当業者に対して利用可能になされた方法によって、任意の第2のペプチド配列のN末端に融合された、TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28のペプチド配列を含むキメラポリペプチドを、第2のペプチド配列を標的化する色素体の宿主細胞に導入してもよい。それにより、特定の実施形態では、TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28のペプチドにより、色素体発現が望まれるペプチドの移送及びプロセッシングの効率の向上をもたらすことができる。
II.略語
CTP 葉緑体輸送ペプチド
EPSPS 3−エノールピルビルシキミ酸−5−リン酸シンターゼ
YFP 黄色蛍光タンパク質
Ti 腫瘍誘発(A.tumefaciens由来のプラスミド)
T−DNA トランスファーDNA
III.用語
本開示の様々な実施形態の検討を円滑にするため、以下に特定の用語の説明を提供する。
葉緑体輸送ペプチド:本明細書で用いる場合、「葉緑体輸送ペプチド(CTP)」(すなわち「色素体輸送ペプチド」)という用語は、ポリペプチドのN末端に存在する場合に、植物細胞の色素体、例えば葉緑体内へのポリペプチドの移送をさせるアミノ酸配列を指し得る。CTPは概して、宿主細胞の色素体(例えば、葉緑体などである、一次色素体、二次色素体又は三次色素体)へのタンパク質を移送させるのに必要十分である。推定葉緑体輸送ペプチドは、いくつかの利用可能なアルゴリズム(例えば、PSORT及びChloroP(www.cbs.dtu.dk/services/ChloroPで利用可能))のうちのひとつによって同定することができる。特にChloroPにより、葉緑体輸送ペプチドの良好な予測がなされ得る。Emanuelssonら(1999)、Protein Science 8:978-84。ただし、機能性な葉緑体輸送ペプチドの予測は、いずれの既存のアルゴリズムによっても100%の効率では達成されない。したがって、同定した推定葉緑体輸送ペプチドが、意図したとおりに、例えば、インビトロ又はインビボの方法論で本当に機能するかを検証することが重要である。
葉緑体輸送ペプチドは、色素体に移送されるポリペプチドのN末端に位置付けられてもよいし、いくつかの例では、ポリペプチドのC末端に位置付けられてもよい。輸送ペプチドにより、色素体への、CTPを含むポリペプチドの翻訳と同時又は翻訳後の輸送を容易にすることができる。葉緑体輸送ペプチドは典型的に、約40から約100のアミノ酸を含み、かかるCTPは、特定の共通した特徴、例えばCTPはたとえ存在していたとしても極めて少量の負電荷のアミノ酸(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸、アルパラギン又はグルタミン)を含有すること、CTPのN末端領域は荷電アミノ酸、グリシン及びプロリンが欠如していること、CTPの中央領域はまた塩基性アミノ酸又は水酸化アミノ酸(例えばセリン及びトレオニン)を非常に高い割合で含有する可能性があること、CTPのC末端領域はアルギニンが豊富であり、かつ、両親媒性のβシート構造を含む性能を有する可能性があることが観察された。色素体プロテアーゼは、CTPを含むポリペプチドの残りの部分から、色素体へのポリペプチド移送後にCTPを切断することができる。
接触:本明細書において使用される場合、細胞、組織又は生物体(例えば、植物細胞、植物組織及び植物)「との接触」又は「による取り込み」という用語は、核酸分子に関しては、当該生物体への核酸分子の内在化を含み、例えば限定されないが:当該生物体と、核酸分子を含む組成物との接触;及び核酸分子を含有する溶液に生物体が浸ることを含む。
内在性:本明細書において使用される場合、「内在性」という用語は、特定の生物体、組織又は細胞内から生じる物質(例えば、核酸分子及びポリペプチド)を指す。例えば植物細胞内で発現した「内在性」ポリペプチドは、同じ種の非遺伝子組み換え植物と同じ型の細胞内で通常発現されるポリペプチドを指し得る。
発現:本明細書において使用される場合、コード配列(例えば、遺伝子又は導入遺伝子)の「発現」とは、核酸転写ユニット(例えば、ゲノムDNA又はcDNAを含む)のコード化情報が、細胞の作動性部分、非作動性部分、又は構造的部分へと転換されるプロセスを指し、多くの場合、タンパク質の合成を含んでいる。遺伝子発現は、遺伝子発現を増加又は低下させる剤への、例えば細胞、組織、又は生物体の曝露などの外部シグナルにより影響され得る。遺伝子の発現はまた、DNAからRNA、蛋白質への経路のいずれかで制御され得る。遺伝子発現の制御は、例えば転写、翻訳、RNAの輸送及びプロセッシング、例えばmRNAなどの中間分子の分解に対する作用を制御することにより発生するか、又はそれらが生成された後の特定の蛋白質分子の活性化、不活化、区画化、又は分解を介して発生するか、又はそれらの組み合わせにより発生する。遺伝子発現は、これらに限定はされないが、ノーザンブロット、RT−PCR、ウエスタンブロット、又はインビトロ、インサイチューもしくはインビボでの蛋白質活性アッセイ(複数)が含まれる、当該技術分野で公知の任意の方法によってRNAレベル又は蛋白質レベルで測定することができる。
遺伝物質:本明細書において使用される場合、「遺伝物質」という用語は、全ての遺伝子、ならびに例えばDNA及びRNAなどの核酸分子を含む。
異種:本明細書において使用される場合、「異種」という用語は、特定の生物体、組織又は細胞内から生じるものではない物質(例えば、核酸分子及びポリペプチド)を指す。例えば、植物細胞内で発現した「異種」ポリペプチドは、同じ種の非遺伝子組み換え植物と同じ型の細胞においては通常では発現しないポリペプチド(例えば、同じ生物体の異なる細胞において、又は異なる生物体の細胞において発現するポリペプチド)を指し得る。
単離した:本明細書において使用される場合、「単離(した)」という用語は、分子(例えば、核酸分子及びポリペプチド)であって、該分子が天然に存在する生物体の細胞内において、該分子が通常伴っている同じ型の他の分子(例えば、核酸分子及び他のポリペプチド)から実質的に分離又は精製した分子を指す。例えば、単離核酸分子は、該核酸分子が天然に存在する生物体の細胞内の染色体DNA又は染色体外DNAから、実質的に分離又は精製されたものであり得る。そのため、該用語には、生化学的に精製されて他の核酸分子、ポリペプチド及び細胞成分が除去された、組み換え核酸分子及びポリペプチドが含まれる。該用語にはまた、組み換え核酸分子、化学的に合成した核酸分子及び組み換えにより生成したポリペプチドが含まれる。
本明細書において使用される場合、「実質的に精製(した)」という用語は、分子がその天然の状態において通常伴っていた他の分子から分離された分子を指す。実質的に精製した分子は、組成物中に存在する優勢種であり得る。実質的に精製した分子は例えば、天然の混合物中に存在する溶媒の他に、他の分子が少なくとも60%存在しない、少なくとも75%存在しない、又は少なくとも90%存在しないものであり得る。「実質的に精製(した)」という用語は、それらの天然の状態で存在している分子を指すものではない。
核酸分子:本明細書において使用される場合、「核酸分子」という用語は、重合形態のヌクレオチドを指し、RNA、cDNA、ゲノムDNAのセンス鎖とアンチセンス鎖の両方を含んでもよいし、それらの合成型及び混合型ポリマーを含んでもよい。ヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、又はいずれかのタイプのヌクレオチドの修飾型を指す場合がある。本明細書で使用されるとき、「核酸分子」は、「核酸」及び「ポリヌクレオチド」と同義である。別段の言及がない限り、核酸分子は通常、少なくとも10塩基の長さである。前記用語はDNAの一本鎖及び二本鎖の形態を含む。核酸分子は、二量体(いわゆる、タンデム)の形態及び核酸分子の転写産物を含む。核酸分子は、天然型、及び/又は非天然型のヌクレオチド結合によって、共に連結された天然型ヌクレオチド及び修飾ヌクレオチドのいずれか、又は両方を含んでもよい。
核酸分子は、当業者によって容易に理解される化学的又は生化学的に修飾されてもよく、あるいは非自然又は誘導体化ヌクレオチド塩基を含んでもよい。かかる修飾としては、例えば、標識、メチル化、1つ以上の天然型ヌクレオチドのアナログでの置換、ヌクレオチド間修飾(例えば、非荷電結合:例えばホスホン酸メチル、リン酸トリエステル、アミド亜リン酸エステル、カルバマートなど;荷電結合:例えばチオリン酸エステル、ジチオリン酸エステルなど;ペンダント(pendent)部分:例えば、ペプチド;挿入剤:例えば、アクリジン、ソラレンなど;キレーター;アルキレーター;及び改変された結合:例えば、αアノマー核酸など)が挙げられる。また、「核酸分子」という用語は、一本鎖、二本鎖、部分的に二重、三重、ヘアピン型、環状及び錠型の立体配座を含む位相幾何学立体配座も含む。
本明細書においてDNAに関して使用される場合、「コード配列」、「構造的ヌクレオチド配列」、又は「構造的核酸分子」という用語は、適切な調節配列の制御下に置かれたときに、転写及びmRNAを介してポリペプチドへと最終的に翻訳されるヌクレオチド配列を指す。RNAに関しては、「コード配列」という用語は、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質へと翻訳されるヌクレオチド配列を指す。コード配列の境界は、5’末端の翻訳開始コドンと、3’末端の翻訳停止コドンにより決定される。コード配列としては、限定されないが、ゲノムDNA、cDNA、EST、及び組み換えヌクレオチド配列が含まれる。
一部の実施形態では、この発明には、例えばイオン交換クロマトグラフィー等の分離法、分子サイズもしくはアフィニティーに基づく除去、様々な溶媒への溶解度に基づく分取技術、又は増幅、クローニング及びサブクローニングなどの遺伝子工学による方法を用いて、単離、精製又は部分的に精製され得るヌクレオチド配列が含まれる。
配列の同一性:2つの核酸配列又はポリペプチド配列の文脈において本明細書で使用される場合、「配列同一性」又は「同一性」という用語は、特定した比較ウィンドウにわたって最大一致で並べられたとき、2つの配列中の同一である残基を指す場合がある。
本明細書において使用される場合、「配列同一性の割合」という用語は、最適に並べられた配列(例えば、核酸配列及びアミノ酸配列)を、比較ウィンドウにわたって比較することにより決定される値を指す場合があり、この場合において比較ウィンドウ中の配列部分は、2つの配列の最適なアライメントのために、基準配列(付加又は欠失を含んでいない)と比較し、付加又は欠失(すなわち、ギャップ)を含有する場合がある。割合は、同一のヌクレオチド又はアミノ酸残基が両配列に存在する位置の数を決定し、合致した位置の数を出し、合致した位置の数を比較ウィンドウ中の位置の総数で割り、100を掛けて配列同一性の割合を出すことにより算出される。
比較のための配列アライメントの方法は当分野において公知である。様々なプログラム及びアライメントアルゴリズムが記載されており、例えば以下がある:Smith及びWaterman (1981)、Adv. Appl. Math. 2:482; Needleman及びWunsch(1970)、J. Mol. Biol. 48:443; Pearson及びLipman (1988)、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:2444; Higgins及びSharp (1988)、}Gene 73:237-44; Higgins及びSharp (1989)、CABIOS 5:151-3; Corpetら(1988)、Nucleic Acids Res. 16:10881-90; Huangら(1992)、Comp. Appl. Biosci. 8:155-65; Pearsonら(1994)、Methods Mol. Biol. 24:307-31; Tatianaら(1999)、FEMS Microbiol. Lett. 174:247-50. 配列アライメント法及び相同性算出に関する詳細な検討については、例えば、下記に見出される:Altschulら(1990)、J. Mol. Biol. 215:403-10。
The National Center for Biotechnology Information (NCBI) Basic Local Alignment Search Tool(BLAST(商標);Altschulら(1990))は、いくつかの配列解析プログラムと関連した用途に対し、National Center for Biotechnology Information(Bethesda,MD)、及びインターネットをはじめとするいくつかの供給源から利用可能である。このプログラムを使用して配列同一性を決定する方法の記載は、BLAST(商標)の「ヘルプ」セクション下のインターネットで入手することができる。核酸配列の比較では、BLAST(商標)(Blastn)プログラムの機能「Blast 2 sequences」を利用して、デフォルトパラメータを設定してもよい。この方法で評価する場合、参照配列に対してより高い配列類似性を有する核酸配列は、より高い率の同一性を示す。
特異的ハイブリダイズ可能/特異的相補性:本明細書において使用される場合、「特異的にハイブリダイズ可能」及び「特異的相補性」という用語は、核酸分子と標的核酸分子との間で、充分な程度の相補性を示して安定かつ特異的な結合が発生する用語である。2つの核酸分子の間のハイブリダイゼーションは、当該2つの核酸分子の核酸配列の間の逆平行のアライメントの形成を含む。その後この2つの分子は対向鎖上の対応する塩基と水素結合を形成し、そしてもしこれが充分に安定であった場合には、当分野に公知の方法を使用して検出可能な二重鎖分子を形成することができる。核酸分子は、特異的にハイブリダイズ可能であるために、その標的配列に対して100%相補的であることは必ずしも必要ではない。しかしながら、ハイブリダイゼーションが特異的であるために存在しなければならない配列相補性の量は、使用されるハイブリダイゼーション条件の関数である。
特定の程度のストリンジェンシーを生じさせるハイブリダイゼーション条件は、選択したハイブリダイゼーション方法の性質、及びハイブリダイズする核酸配列の組成と長さに応じて変化する。概して、ハイブリダイゼーションの温度、及びハイブリダイゼーション緩衝液のイオン強度(特にNa+及び/又はMg++の濃度)が、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを決定するが、洗浄時間もストリンジェンシーに影響を与える。特定のストリンジェンシーの程度を得るために必要とされるハイブリダイゼーション条件に関する算定は当分野の当業者に公知であり、例えば、Sambrook ら編 Molecular Cloning: A Laboratory Manual、 2nd 編、 vol. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989, chapters 9及び11;ならびにHames 及びHiggins 編 Nucleic Acid Hybridization, IRL Press, Oxford, 1985.に検討されている。また、核酸のハイブリダイゼーションに関する詳細な説明及びガイダンスは、例えば、Tijssen、 "Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays" in Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology- Hybridization with Nucleic Acid Probes, Part I, Chapter 2, Elsevier, NY, 1993;及びAusubel ら編、 Current Protocols in Molecular Biology, Chapter 2, Greene Publishing and Wiley-Interscience, NY, 1995.に見出され得る。
本明細書において使用される場合、「ストリンジェントな条件」とは、ハイブリダイゼーション分子と、標的核酸分子内の相同配列の間のミスマッチが20%未満である場合にのみハイブリダイゼーションが発生する条件を包含する。「ストリンジェントな条件」は、特定のレベルのストリンジェンシーをさらに含む。したがって本明細書において使用される場合、「中程度のストリンジェンシー」条件とは、20%を超える配列ミスマッチを伴う分子がハイブリダイズしない条件であり、「高ストリンジェンシー」の条件は、10%を超えるミスマッチを伴う配列がハイブリダイズしない条件であり、及び「非常に高ストリンジェンシー」の条件は、5%を超えるミスマッチを伴う配列がハイブリダイズしない条件である。
以下は代表的な非限定的ハイブリダイゼーション条件である。
高いストリンジェンシー条件(少なくとも90%の配列同一性を共有する配列を検出する):5xSSC、0.1%SDSの緩衝液中で、65℃、16時間のハイブリダイゼーション;2xSSC、0.1%SDSの緩衝液中で、室温で各々15分間の洗浄を2回;及び0.5xSSC、0.1%SDSの緩衝液中で、65℃で各々20分の洗浄を2回。
中程度のストリンジェンシー条件(少なくとも80%の配列同一性を共有する配列を検出する):5x〜6xSSC、0.1%SDSの緩衝液中で、65℃〜70℃、16〜20時間のハイブリダイゼーション;2xSSC、0.1%SDSの緩衝液中で、室温で各々5〜20分間の洗浄を2回;及び1xSSC、0.1%SDSの緩衝液中で、55℃〜70℃で各々30分の洗浄を2回。
非ストリンジェントな対照条件(少なくとも50%の配列同一性を共有する配列がハイブリダイズする):6xSSC、0.1%SDSの緩衝液中で、室温〜55℃、16〜20時間のハイブリダイゼーション;2x〜3xSSC、0.1%SDSの緩衝液中で、室温〜55℃で各々20〜30分間の洗浄を少なくとも2回。
本明細書において使用される場合、「実質的に相同」又は「実質的な相同性」という用語は、連続した核酸配列に関する場合、ストリンジェントな条件下で、参照核酸配列にハイブリダイズする連続したヌクレオチド配列を指す。例えば、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15及び配列番号16の参照核酸配列と実質的に相同である核酸配列は、ストリンジェントな条件下(例えば、上記で述べた中程度のストリンジェンシー条件)で、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15及び配列番号16の参照核酸配列にハイブリダイズするそれら核酸配列である。実質的に相同な配列は、少なくとも80%の配列同一性を有していてもよい。例えば、実質的に相同な配列は、約80%〜100%の配列同一性を有していてもよく、例えば約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約98.5%、約99%、約99.5%、及び約100%の配列同一性を有していてもよい。実質的な相同性の特性は、特異的ハイブリダイゼーションに密接に関係している。例えば、特異的結合が望ましい条件下、例えばストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、核酸の非標的配列への非特異的結合を回避するのに充分な程度の相補性がある場合、核酸分子は特異的にはハイブリダイズ可能である。
本明細書において使用される場合、「オルソログ」という用語は、共通の先祖ヌクレオチド配列から進化した、2個以上の種の遺伝子を指し、当該2個以上の種において同じ機能を保持している場合がある。
本明細書において使用される場合、5’から3’の方向で読まれた配列の各ヌクレオチドが、3’から5’の方向で読まれたときに、他の配列の各ヌクレオチドに対し相補的である場合、2つの核酸配列分子は、「完全な相補性」を示すと言われる。参照ヌクレオチド配列に対し完全に相補的なヌクレオチド配列は、参照ヌクレオチド配列の逆相補配列に対し、配列同一性を示すこととなる。これらの用語及び記載は当分野においてよく定義されており、当分野の当業者には容易に理解される。
アミノ酸配列間の配列同一性の割合を決定する際、アラインメントにより与えられる所与の位置におけるアミノ酸の同一性は、並べられた配列を含むポリペプチドの所望の特性に影響することなく変化し得る、ということが、当業者には周知である。これらの例において、配列同一性の割合は、保存的置換アミノ酸の間での類似性を考慮して調節することができる。これら調節は、周知であり、当業者に通常用いられるものである。例えば、Myers及びMiller (1988)、Computer Applications in Biosciences 4:11-7を参照のこと。
このように、この発明の実施形態には、例示的な色素体輸送ペプチドのアミノ酸配列の機能性変異体及びそれをコードする核酸配列が含まれる。例示的な輸送ペプチド配列の機能性変異体は、例えば、例示的な輸送ペプチドのアミノ酸配列の断片(例えばN末端又はC末端の断片)又は例示的な輸送ペプチドのアミノ酸配列の全長の又は例示的な輸送ペプチドのアミノ酸配列の断片の改変配列であり得る。例示的な輸送ペプチドのアミノ酸配列は、一部の実施形態において、1つ又は複数の保存的アミノ酸置換を導入することによって改変することができる。「保存的」アミノ酸置換は、アミノ酸残基を、類似の機能性側鎖、類似の大きさ及び/又は類似の疎水性を有するあるアミノ酸残基と置換するというものである。保存的置換を導入するために、同一群の別のアミノ酸の置換に用いることができるアミノ酸の群が、当該分野において公知である。例えば、これらアミノ酸の群には、以下が含まれる:塩基性アミノ酸(例えば、リジン、アルギニン及びヒスチジン);酸性アミノ酸(例えば、アスパラギン酸及びグルタミン酸);無電荷(生理学的なpHで)の極性アミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、チロシン及びシトシン);非極性アミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン及びトリプトファン);β分岐アミノ酸(例えば、トレオニン、バリン及びイソロイシン);及び芳香族アミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン及びヒスチジン)。例えば、Sambrookら(編)、上記参照;及びInnisら、PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications, 1990, Academic Press, NY, USA.を参照のこと。
操作可能に連結された:第一のヌクレオチド配列が、第二のヌクレオチド配列と機能的関係性にあるとき、第一のヌクレオチド配列は第二のヌクレオチド配列と「操作可能に連結」されている。例えば、プロモーターが、コード配列の転写又は発現に影響を与える場合、プロモーターは、コード配列と作動可能に連結されている。遺伝子組換的に作製されるとき、操作可能であるように連結されたヌクレオチド配列は概して隣接し、同じ読み枠(オープンリーディングフレーム)の中で2つの蛋白質コード領域を結合する必要性がある。しかしながら、ヌクレオチド配列は、操作可能に連結されるために必ずしも連続ではない。
「操作可能に連結される」という用語は、調節配列及びコード配列に関し使用される場合、当該調節配列が、連結されたコード配列の発現に作用することを意味する。「調節配列」又は「制御性エレメント」とは、関連するコード配列の転写、RNAのプロセッシングもしくは安定性、又は翻訳のタイミング、及びレベル/量に影響を与えるヌクレオチド配列を指す。調節配列としては、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、エンハンサー、ステムループ構造、リプレッサー結合配列、終結配列、ポリアデニル化認識配列などが挙げられる。特定の調節性配列は、自身と作動可能に連結されたコード配列の上流及び/又は下流に位置している場合がある。また、コード配列と作動可能に連結された特定の調節性配列は、二本鎖核酸分子の関連する相補鎖上に位置する場合もある。
プロモーター:本明細書において使用される場合、「プロモーター」という用語は、転写の開始部分から上流にある場合があるDNAの領域、ならびにRNAポリメラーゼ及び転写を開始させる他のタンパク質の認識及び結合に関与する場合があるDNAの領域を指す。プロモーターは、細胞における発現のためにコード配列と作動可能に連結されてもよく、又はプロモーターは、細胞における発現のためにコード配列と作動可能に連結され得るシグナル配列をコードするヌクレオチド配列と作動可能に連結されてもよい。「植物プロモーター」は、植物細胞において転写を開始させることができるプロモーターであってもよい。発生制御下のプロモーターの例としては、例えば葉、根、種、繊維、導管、仮道管、又は厚膜組織などの特定の組織において転写を優先的に開始させるプロモーターが挙げられる。かかるプロモーターは、「組織優先的」と呼称される。特定の組織においてのみ転写を開始させるプロモーターは、「組織特異的」と呼称される。「細胞型特異的」プロモーターは主に、例えば根又は葉の管細胞などの1つ以上の器官の特定の細胞型における発現を誘導する。「誘導性」プロモーターは、環境制御下にあり得るプロモーターである場合がある。誘導性プロモーターによる転写を開始させることができる環境条件の例としては、嫌気的条件、及び光の存在が挙げられる。組織特異的、組織優先的、細胞型特異的、及び誘導性のプロモーターは、「非構造性」プロモーターに分類を構成する。「構造性」プロモーターは、ほとんどの環境条件下で活性であり得るプロモーターである。
任意の誘導性プロモーターを本発明の一部の実施形態に使用することができる。誘導性プロモーターに関しては、Wardら(1993)、Plant Mol. Biol. 22:361-366を参照のこと。誘導性プロモーターにより、転写率は、誘導剤に応じて増加する。例示的な誘導性プロモーターとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:銅に反応するACEI系由来のプロモーター;ベンゼンスルホンアミド除草剤緩和剤に反応する、トウモロコシ由来のIn2遺伝子;Tn10由来のTetリプレッサー;及びステロイドホルモン遺伝子由来の誘導性プロモーター。その転写活性は、グルココルチコステロイドホルモンにより誘導され得る(Schenaら(1991)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:0421)。
例示的な構造性プロモーターとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:例えば、CaMV由来の35Sプロモーターなどの植物ウイルス由来のプロモーター;イネのアクチン遺伝子由来のプロモーター;ユビキチンプロモーター;pEMU;MAS;トウモロコシH3ヒストンプロモーター;及びALSプロモーター、セイヨウアブラナ(Brassica napus)ALS3構造遺伝子に対して5’側のXba1/NcoI断片(又は前記Xba1/NcoI断片に類似のヌクレオチド配列)(PCT国際公開第WO96/30530号)。
さらに、任意の組織特異的プロモーター、又は組織優先的プロモーターを、本発明の一部の実施形態に使用することができる。組織特異的プロモーターと作動可能に連結されたコード配列を含有する核酸分子で形質転換された植物は、特定の組織において限局的に、又は優先的にコード配列の産物を生成することができる。例示的な組織特異的プロモーター又は組織優先的プロモーターとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:例えばファセオリン(phaseolin)遺伝子由来のプロモーターなどの根優先的プロモーター;例えばcab又はrubisco由来のプロモーターなどの、葉特異的かつ光誘導性プロモーター;例えばLAT52由来のプロモーターなどの葯特異的プロモーター;例えばZm13由来のプロモーターなどの花粉特異的プロモーター;及び例えばapg由来のプロモーターなどの小胞子優先的プロモーター。
形質転換:本明細書において使用される場合、「形質転換(transformation)」又は「形質導入(transduction)」という用語は、1つ以上の核酸分子を細胞内へと移送させることを指す。細胞ゲノムへの核酸分子の組み込み、又はエピソーム複製のいずれかによって、核酸分子が細胞により安定的に複製されるようになったとき、細胞内に導入された核酸分子により細胞は「形質転換」されている。本明細書において使用される場合、「形質転換」という用語は、かかる細胞内に核酸分子を導入することができる全ての技術を包含している。例としては限定されないが、以下が挙げられる:ウイルスベクターを用いたトランスフェクション法;プラスミドベクターを用いた形質転換;エレクトロポレーション法(Fromm ら (1986)、Nature 319:791-3);リポフェクション法(Felgner ら (1987)、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:7413-7);マイクロインジェクション法(Mueller ら (1978)、 Cell 15:579-85);アグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介移送(Fraley ら (1983)、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:4803-7);直接的なDNA取り込み;及び微粒子銃(Klein ら (1987)、 Nature 327:70)。
導入遺伝子:外因性核酸配列。いくつかの実施例では、導入遺伝子は、少なくとも1つのTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドを含むポリペプチドをコードする配列であり得る。特定の実施例では、導入遺伝子は、少なくとも1つのTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドと、色素体発現のために望ましい少なくとも1つの追加のペプチド配列(例えば、除草剤抵抗性を与えるペプチド配列)とを含むポリペプチドをコードすることができる。これら、及び他の例において、導入遺伝子は、当該導入遺伝子のコード配列と作動可能に連結されている制御配列を含有してもよい(例えば、プロモーター)。本開示のため、「トランスジェニック(transgenic)」という用語を用いる。生物体(例えば、植物)に関して用いる場合、外因性核酸配列を含む生物体を指す。一部の実施例では、外因性核酸配列を含む生物体は、分子形質転換技術を介して核酸配列が導入される生物体であり得る。他の実施例では、外因性核酸配列を含む生物体は、例えば植物において遺伝子交雑(introgression)又は異花受粉(cross-pollination)を行うことによって核酸配列が導入された生物体であり得る。
輸送:本明細書で用いる場合、「輸送」、「標的化」及び「移送」という用語は、アミノ酸配列を含むポリペプチドが、宿主細胞の核から該宿主細胞の色素体中に移動することを容易にする、本発明の特定のアミノ酸配列の特性を指す。特定の実施形態では、かかるアミノ酸配列(すなわち、CTP)は、このアミノ酸配列を含むポリペプチドの約100%、少なくとも約95%、少なくとも約90%、少なくとも約85%、少なくとも約80%、少なくとも約70%、少なくとも約60%及び/又は少なくとも約50%を宿主細胞の色素体中へと輸送することができるものであり得る。
ベクター:核酸分子が細胞に導入されると、例えば形質転換細胞が生成される。ベクターは、例えば複製起源などの、宿主細胞で自身を複製することができるようになる核酸配列を含有してもよい。ベクターの例としては、細胞内に外因性DNAを運ぶプラスミド、コスミド、バクテリオファージ、又はウイルスが挙げられるがこれらに限定されない。ベクターは、1つ以上の遺伝子、アンチセンス分子、及び/又は選択マーカー遺伝子、ならびに当分野に公知の他の遺伝エレメントを含有してもよい。ベクターが、細胞に形質導入し、形質転換し、又は感染することにより、当該細胞が、ベクターにコードされた核酸分子及び/又は蛋白質を発現してもよい。ベクターは任意で、細胞内への核酸の侵入の実現を補助するための物質を含む(例えば、リポソーム、タンパク質コーティングなど)。
具体的に指示、又は暗示されたことを除き、「a」、「an」、及び「the」は、本明細書において使用される場合、「少なくとも1つ」を示す。
具体的に別段の説明がなされない限り、本明細書において使用されるすべての技術的用語及び科学的用語は、本開示が属する分野の当業者により通常理解される意味と同じ意味を有する。分子生物学における共通の用語の定義は、例えば、Lewin B.、Genes V、Oxford University Press、1994 (ISBN 0-19-854287-9);Kendrewら(編)The Encyclopedia of Molecular Biology、Blackwell Science Ltd.、1994 (ISBN 0-632-02182-9);及びMeyers R.A.(編)、Molecular Biology and Biotechnology:A Comprehensive Desk Reference、VCH Publishers, Inc.、1995(ISBN 1-56081-569-8)で見出すことができる。全ての割合は重量によるものであり、すべての溶媒混合物の比率は、別段の記載がない限り体積によるものである。全ての温度は摂氏である。
IV.TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28をコードする配列を含む核酸分子
一部の実施形態で、本開示は、対象とするヌクレオチド配列と作動可能に連結されたTraP10の葉緑体輸送ペプチドをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。他の実施形態で、本開示は、対象とするヌクレオチド配列と作動可能に連結されたTraP11の葉緑体輸送ペプチドをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。他の実施形態で、本開示は、対象とするヌクレオチド配列と作動可能に連結されたTraP17の葉緑体輸送ペプチドをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。他の実施形態で、本開示は、対象とするヌクレオチド配列と作動可能に連結されたTraP18の葉緑体輸送ペプチドをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。他の実施形態で、本開示は、対象とするヌクレオチド配列と作動可能に連結されたTraP19の葉緑体輸送ペプチドをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。他の実施形態で、本開示は、対象とするヌクレオチド配列と作動可能に連結されたTraP26の葉緑体輸送ペプチドをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。他の実施形態で、本開示は、対象とするヌクレオチド配列と作動可能に連結されたTraP27の葉緑体輸送ペプチドをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。他の実施形態で、本開示は、対象とするヌクレオチド配列と作動可能に連結されたTraP28の葉緑体輸送ペプチドをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。
特定の実施形態では、対象とするヌクレオチド配列は、対象とするポリペプチドをコードするヌクレオチド配列であり得る。特定の実施形態では、対象とするポリペプチドのN末端にTraP10ペプチド配列が融合しているポリペプチドをコードする、単一の核酸分子を提供する。特定の実施形態では、対象とするポリペプチドのN末端にTraP11ペプチド配列が融合しているポリペプチドをコードする、単一の核酸分子を提供する。特定の実施形態では、対象とするポリペプチドのN末端にTraP17ペプチド配列が融合しているポリペプチドをコードする、単一の核酸分子を提供する。特定の実施形態では、対象とするポリペプチドのN末端にTraP18ペプチド配列が融合しているポリペプチドをコードする、単一の核酸分子を提供する。特定の実施形態では、対象とするポリペプチドのN末端にTraP19ペプチド配列が融合しているポリペプチドをコードする、単一の核酸分子を提供する。特定の実施形態では、対象とするポリペプチドのN末端にTraP26ペプチド配列が融合しているポリペプチドをコードする、単一の核酸分子を提供する。特定の実施形態では、対象とするポリペプチドのN末端にTraP27ペプチド配列が融合しているポリペプチドをコードする、単一の核酸分子を提供する。特定の実施形態では、対象とするポリペプチドのN末端にTraP28ペプチド配列が融合しているポリペプチドをコードする、単一の核酸分子を提供する。
この発明の一部の実施形態で提供される核酸分子においては、TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドをコードするヌクレオチド配列の最後のコドンと、対象とするヌクレオチド配列の最初のコドンとを、例えば、「終止」コドンをコードすることなく、任意の数のヌクレオチドのトリプレットによって離間させることができる。いくつかの実施例では、天然の前駆体ポリペプチドにおいて、輸送ペプチドを通常伴う成熟タンパク質の第1のアミノ酸をコードする配列が、TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドをコードするヌクレオチド配列の最後のコドンと、対象とするヌクレオチド配列の最初のコドンとの間に存在し得る。TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドをコードするヌクレオチド配列と、対象とするヌクレオチド配列の第1のコドンとを離間させる配列は、例えば、コードされたアミノ酸配列がキメラポリペプチドの翻訳及びその色素体への移動を大幅に変化させる可能性が低くなるように、任意の配列で構成することができる。これら実施形態及びさらなる実施形態では、TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドをコードするヌクレオチド配列の最後のコドンを、直接隣接させるか、又は例えば合成ヌクレオチドリンカー(例えば、融合を達成するために用いられ得るヌクレオチドリンカー)によってコードされる短いペプチド配列で離間するようにして、対象とするヌクレオチド配列の最初のコドンと同位相の配列(in phase-register)で融合させ得る。
一部の実施形態では、例えば特定の宿主でのコード配列の発現を高めるために、単一のコード配列において、対象とするヌクレオチド配列のヌクレオチド及び/又はそれに融合されるTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28をコードする配列を修飾することが望ましい場合もある。遺伝暗号は、可能性のある64のコドンで重複するが、大半の生物体は、これらコドンのサブセットを優先的に用いる。ある種において最も多くの場合に用いられるコドンは、最適コドンと呼ばれ、それほど頻繁に使用されないコドンは、レアコドン又は低頻度コドンとして分類される。Zhangら(1991)、Gene 105:61-72。コドンは、「コドン最適化」と称されることもあるプロセスにおいて、特定の宿主の好ましいコドンの使用頻度を反映するために置換され得る。原核細胞又は真核細胞の特定の宿主に好ましいコドンを含有する、最適化されたコード配列は、例えば翻訳の速度を上げるか、又は所望の特性(例えば、非最適化配列から生じた転写と比べて半減期が長い)を有する組換えRNA転写を生じさせるように、調整することができる。
一部の実施形態には、TraP10の機能性変異体が含まれる。TraP10の機能性変異体には、例えば、限定するものではないが、配列番号1として表されるTraP10の相同体及びオルソログ;配列番号1内に隣接アミノ酸配列を含むものである葉緑体輸送ペプチド;切断TraP10ペプチド;配列番号1内に隣接アミノ酸配列を含むものであるより長い葉緑体輸送ペプチド;1つ又は複数の保存的アミノ酸置換を有するものである、配列番号1内に隣接アミノ酸配列を含む葉緑体輸送ペプチド;及び操作可能に連結したペプチドを色素体含有細胞における色素体に向かわせることが実証されている1つ又は複数の非保存的アミノ酸置換を有するものである、配列番号1内に隣接アミノ酸配列を含む葉緑体輸送ペプチドが挙げられる。
一部の実施形態には、TraP11の機能性変異体が含まれる。TraP11の機能性変異体には、例えば、限定するものではなく、配列番号2として表されるTraP11の相同体及びオルソログ;配列番号2内に隣接アミノ酸配列を含むものである葉緑体輸送ペプチド;切断TraP11ペプチド;配列番号2内に隣接アミノ酸配列を含むものであるより長い葉緑体輸送ペプチド;1つ又は複数の保存的アミノ酸置換を有するものである、配列番号2内に隣接アミノ酸配列を含む葉緑体輸送ペプチド;及び操作可能に連結したペプチドを色素体含有細胞における色素体に向かわせることが実証されている1つ又は複数の非保存的アミノ酸置換を有するものである、配列番号2内に隣接アミノ酸配列を含む葉緑体輸送ペプチドが含まれる。
一部の実施形態には、TraP17の機能性変異体が含まれる。TraP17の機能性変異体には、例えば、限定するものではなく、配列番号3として表されるTraP17の相同体及びオルソログ;配列番号3内に隣接アミノ酸配列を含むものである葉緑体輸送ペプチド;切断TraP17ペプチド;配列番号3内に隣接アミノ酸配列を含むものであるより長い葉緑体輸送ペプチド;1つ又は複数の保存的アミノ酸置換を有するものである、配列番号3内に隣接アミノ酸配列を含む葉緑体輸送ペプチド;及び操作可能に連結したペプチドを色素体含有細胞における色素体に向かわせることが実証されている1つ又は複数の非保存的アミノ酸置換を有するものである、配列番号3内に隣接アミノ酸配列を含む葉緑体輸送ペプチドが含まれる。
一部の実施形態には、TraP18の機能性変異体が含まれる。TraP18の機能性変異体には、例えば、限定するものではなく、配列番号4として表されるTraP18の相同体及びオルソログ;配列番号4内に隣接アミノ酸配列を含むものである葉緑体輸送ペプチド;切断TraP18ペプチド;配列番号4内に隣接アミノ酸配列を含むものであるより長い葉緑体輸送ペプチド;1つ又は複数の保存的アミノ酸置換を有するものである、配列番号4内に隣接アミノ酸配列を含む葉緑体輸送ペプチド;及び操作可能に連結したペプチドを色素体含有細胞における色素体に向かわせることが実証されている1つ又は複数の非保存的アミノ酸置換を有するものである、配列番号4内に隣接アミノ酸配列を含む葉緑体輸送ペプチドが含まれる。
一部の実施形態には、TraP19の機能性変異体が含まれる。TraP19の機能性変異体には、例えば、限定するものではなく、配列番号5として表されるTraP19の相同体及びオルソログ;配列番号5内に隣接アミノ酸配列を含むものである葉緑体輸送ペプチド;切断TraP19ペプチド;配列番号5内に隣接アミノ酸配列を含むものであるより長い葉緑体輸送ペプチド;1つ又は複数の保存的アミノ酸置換を有するものである、配列番号5内に隣接アミノ酸配列を含む葉緑体輸送ペプチド;及び操作可能に連結したペプチドを色素体含有細胞における色素体に向かわせることが実証されている1つ又は複数の非保存的アミノ酸置換を有するものである、配列番号5内に隣接アミノ酸配列を含む葉緑体輸送ペプチドが含まれる。
一部の実施形態には、TraP26の機能性変異体が含まれる。TraP26の機能性変異体には、例えば、限定するものではなく、配列番号6として表されるTraP26の相同体及びオルソログ;配列番号6内に隣接アミノ酸配列を含むものである葉緑体輸送ペプチド;切断TraP26ペプチド;配列番号6内に隣接アミノ酸配列を含むものであるより長い葉緑体輸送ペプチド;1つ又は複数の保存的アミノ酸置換を有するものである、配列番号6内に隣接アミノ酸配列を含む葉緑体輸送ペプチド;及び操作可能に連結したペプチドを色素体含有細胞における色素体に向かわせることが実証されている1つ又は複数の非保存的アミノ酸置換を有するものである、配列番号6内に隣接アミノ酸配列を含む葉緑体輸送ペプチドが含まれる。
一部の実施形態には、TraP27の機能性変異体が含まれる。TraP27の機能性変異体には、例えば、限定するものではなく、配列番号7として表されるTraP27の相同体及びオルソログ;配列番号7内に隣接アミノ酸配列を含むものである葉緑体輸送ペプチド;切断TraP27ペプチド;配列番号7内に隣接アミノ酸配列を含むものであるより長い葉緑体輸送ペプチド;1つ又は複数の保存的アミノ酸置換を有するものである、配列番号7内に隣接アミノ酸配列を含む葉緑体輸送ペプチド;及び操作可能に連結したペプチドを色素体含有細胞における色素体に向かわせることが実証されている1つ又は複数の非保存的アミノ酸置換を有するものである、配列番号7内に隣接アミノ酸配列を含む葉緑体輸送ペプチドが含まれる。
一部の実施形態には、TraP28の機能性変異体が含まれる。TraP28の機能性変異体には、例えば、限定するものではなく、配列番号8として表されるTraP28の相同体及びオルソログ;配列番号8内に隣接アミノ酸配列を含むものである葉緑体輸送ペプチド;切断TraP28ペプチド;配列番号8内に隣接アミノ酸配列を含むものであるより長い葉緑体輸送ペプチド;1つ又は複数の保存的アミノ酸置換を有するものである、配列番号8内に隣接アミノ酸配列を含む葉緑体輸送ペプチド;及び操作可能に連結したペプチドを色素体含有細胞における色素体に向かわせることが実証されている1つ又は複数の非保存的アミノ酸置換を有するものである、配列番号8内に隣接アミノ酸配列を含む葉緑体輸送ペプチドが含まれる。
この発明の一部の実施形態にはまた、TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28のペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子が含まれる。かかる核酸分子は、例えば、TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28をコードする配列の分子生物学技術上の操作を容易にするのに有用であり得る。例えば、一部の実施形態では、TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28をコードする配列は、発現ベクターへの該配列のサブクローニングに好適なベクターに導入され得るか、又はTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28をコードする配列は、対象とするヌクレオチド配列と作動可能に連結されたTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28をコードする配列を含むさらなる核酸分子の生成を容易にする核酸分子に導入され得る。
特定の実施例では、TraP10ペプチドは、72アミノ酸長以下である。例えば、TraP10ペプチドは、72、71、70、69、68、67、66、65、64、63、62以下のアミノ酸長であってよい。或る実施例では、TraP10ペプチドは、配列番号1で表されるアミノ酸配列又はその機能性変異体を含む。したがって、TraP10ペプチドは、配列番号1を含むアミノ酸配列又はその機能性変異体を含むものであり得、TraP10ペプチド又はその機能性変異体の長さは、72アミノ酸長以下である。或る実施例では、TraP10ペプチド又はその機能性変異体は、例えば、配列番号1に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。
当業者によれば、例えば、配列番号1のTraP10ペプチド又は配列番号1の配列全体未満であるその機能性変異体をコードするヌクレオチド配列の全てを、直ちに認識できるであろう。遺伝暗号の縮重により、特定のアミノ酸配列に有限数のコード配列がもたらされる。TraP10ペプチドをコードする特定の配列は、実行者の裁量の範囲で選択される。異なる用途には、異なるコード配列が望ましいものであり得る。例えば、特定の宿主においてTraP10ペプチドの発現を増加させるために、宿主のコドン使用頻度のバイアスを反映するコード配列を選択することができる。例として、TraP10ペプチドは、配列番号9で表されるヌクレオチド配列によってコードすることができる。
特定の実施例では、TraP11ペプチドは、68アミノ酸長以下である。例えば、TraP11ペプチドは、68、67、66、65、64、63、62、61、60、59以下のアミノ酸長であってよい。或る実施例では、TraP11ペプチドは、配列番号2で表されるアミノ酸配列又はその機能性変異体を含む。したがって、TraP11ペプチドは、配列番号2を含むアミノ酸配列又はその機能性変異体を含むものであり得、TraP11ペプチド又はその機能性変異体の長さは、68アミノ酸長以下である。或る実施例では、TraP11ペプチド又はその機能性変異体は、例えば、配列番号2に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。
当業者によれば、例えば、配列番号2のTraP11ペプチド又は配列番号2の配列全体未満であるその機能性変異体をコードするヌクレオチド配列の全てを、直ちに認識できるであろう。遺伝暗号の縮重により、特定のアミノ酸配列の有限数のコード配列がもたらされる。TraP11ペプチドをコードする特定の配列は、実行者の裁量の範囲で選択される。異なる用途には、異なるコード配列が望ましいものであり得る。例えば、特定の宿主においてTraP11ペプチドの発現を増加させるために、宿主のコドン使用頻度のバイアスを反映するコード配列を選択することができる。例として、TraP11ペプチドは、配列番号10で表されるヌクレオチド配列によってコードすることができる。
特定の実施例では、TraP17ペプチドは、66アミノ酸長以下である。例えば、TraP17ペプチドは、66、65、64、63、62、61、60、59、58以下のアミノ酸長であってよい。或る実施例では、TraP17ペプチドは、配列番号3で表されるアミノ酸配列又はその機能性変異体を含む。したがって、TraP17ペプチドは、配列番号3を含むアミノ酸配列又はその機能性変異体を含むものであり得、TraP17ペプチド又はその機能性変異体の長さは、66アミノ酸長以下である。或る実施例では、TraP17ペプチド又はその機能性変異体は、例えば、配列番号3に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。
当業者によれば、例えば、配列番号3のTraP17ペプチド又は配列番号3の配列全体未満であるその機能性変異体をコードするヌクレオチド配列の全てを、直ちに認識できるであろう。遺伝暗号の縮重により、特定のアミノ酸配列の有限数のコード配列がもたらされる。TraP17ペプチドをコードする特定の配列は、実行者の裁量の範囲で選択される。異なる用途には、異なるコード配列が望ましいものであり得る。例えば、特定の宿主においてTraP17ペプチドの発現を増加させるために、宿主のコドン使用頻度のバイアスを反映するコード配列を選択することができる。例として、TraP17ペプチドは、配列番号11で表されるヌクレオチド配列によってコードすることができる。
特定の実施例では、TraP18ペプチドは、67アミノ酸長以下である。例えば、TraP18ペプチドは、67、66、65、64、63、62、61、60、59以下のアミノ酸長であってよい。或る実施例では、TraP18ペプチドは、配列番号4で表されるアミノ酸配列又はその機能性変異体を含む。したがって、TraP18ペプチドは、配列番号4を含むアミノ酸配列又はその機能性変異体を含むものであり得、TraP18ペプチド又はその機能性変異体の長さは、67アミノ酸長以下である。或る実施例では、TraP18ペプチド又はその機能性変異体は、例えば、配列番号4に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。
当業者によれば、例えば、配列番号4のTraP18ペプチド、又は配列番号4の配列全体未満であるその機能性変異体をコードするヌクレオチド配列の全てを、直ちに認識できるであろう。遺伝暗号の縮重により、特定のアミノ酸配列の有限数のコード配列がもたらされる。TraP18ペプチドをコードする特定の配列は、実行者の裁量の範囲で選択される。異なる用途には、異なるコード配列が望ましいものであり得る。例えば、特定の宿主においてTraP18ペプチドの発現を増加させるために、宿主のコドン使用頻度のバイアスを反映するコード配列を選択することができる。例として、TraP18ペプチドは、配列番号12で表されるヌクレオチド配列によってコードすることができる。
特定の実施例では、TraP19ペプチドは、67アミノ酸長以下である。例えば、TraP19ペプチドは、67、66、65、64、63、62、61、60、59以下のアミノ酸長であってよい。或る実施例では、TraP19ペプチドは、配列番号5で表されるアミノ酸配列又はその機能性変異体を含む。したがって、TraP19ペプチドは、配列番号5を含むアミノ酸配列又はその機能性変異体を含むものであり得、TraP19ペプチド又はその機能性変異体の長さは、67アミノ酸長以下である。或る実施例では、TraP19ペプチド又はその機能性変異体は、例えば、配列番号5に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。
当業者によれば、例えば、配列番号5のTraP19ペプチド又は配列番号5の配列全体未満であるその機能性変異体をコードするヌクレオチド配列の全てを、直ちに認識できるであろう。遺伝暗号の縮重により、特定のアミノ酸配列の有限数のコード配列がもたらされる。TraP19ペプチドをコードする特定の配列は、実行者の裁量の範囲で選択される。異なる用途には、異なるコード配列が望ましいものであり得る。例えば、特定の宿主においてTraP19ペプチドの発現を増加させるために、宿主のコドン使用頻度のバイアスを反映するコード配列を選択することができる。例として、TraP19ペプチドは、配列番号13で表されるヌクレオチド配列によってコードすることができる。
特定の実施例では、TraP26ペプチドは、60アミノ酸長以下である。例えば、TraP26ペプチドは、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51以下のアミノ酸長であってよい。或る実施例では、TraP26ペプチドは、配列番号6で表されるアミノ酸配列又はその機能性変異体を含む。したがって、TraP26ペプチドは、配列番号6を含むアミノ酸配列又はその機能性変異体を含むものであり得、TraP26ペプチド又はその機能性変異体の長さは、60アミノ酸長以下である。或る実施例では、TraP26ペプチド又はその機能性変異体は、例えば、配列番号6に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。
当業者によれば、例えば、配列番号6のTraP26ペプチド又は配列番号6の配列全体未満であるその機能性変異体をコードするヌクレオチド配列の全てを、直ちに認識できるであろう。遺伝暗号の縮重により、特定のアミノ酸配列の有限数のコード配列がもたらされる。TraP26ペプチドをコードする特定の配列は、実行者の裁量の範囲で選択される。異なる用途には、異なるコード配列が望ましいものであり得る。例えば、特定の宿主においてTraP26ペプチドの発現を増加させるために、宿主のコドン使用頻度のバイアスを反映するコード配列を選択することができる。例として、TraP26ペプチドは、配列番号14で表されるヌクレオチド配列によってコードすることができる。
特定の実施例では、TraP27ペプチドは、61アミノ酸長以下である。例えば、TraP27ペプチドは、61、60、59、58、57、56、55、54以下のアミノ酸長であってよい。或る実施例では、TraP27ペプチドは、配列番号7で表されるアミノ酸配列又はその機能性変異体を含む。したがって、TraP27ペプチドは、配列番号7を含むアミノ酸配列又はその機能性変異体を含むものであり得、TraP27ペプチド又はその機能性変異体の長さは、61アミノ酸長以下である。或る実施例では、TraP27ペプチド又はその機能性変異体は、例えば、配列番号7に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。
当業者によれば、例えば、配列番号7のTraP27ペプチド又は配列番号7の配列全体未満であるその機能性変異体をコードするヌクレオチド配列の全てを、直ちに認識できるであろう。遺伝暗号の縮重により、特定のアミノ酸配列の有限数のコード配列がもたらされる。TraP27ペプチドをコードする特定の配列は、実行者の裁量の範囲で選択される。異なる用途には、異なるコード配列が望ましいものであり得る。例えば、特定の宿主においてTraP27ペプチドの発現を増加させるために、宿主のコドン使用頻度のバイアスを反映するコード配列を選択することができる。例として、TraP27ペプチドは、配列番号15で表されるヌクレオチド配列によってコードすることができる。
特定の実施例では、TraP28ペプチドは、60アミノ酸長以下である。例えば、TraP28ペプチドは、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51以下のアミノ酸長であってよい。或る実施例では、TraP28ペプチドは、配列番号8で表されるアミノ酸配列又はその機能性変異体を含む。したがって、TraP28ペプチドは、配列番号8を含むアミノ酸配列又はその機能性変異体を含むものであり得、TraP28ペプチド又はその機能性変異体の長さは、60アミノ酸長以下である。或る実施例では、TraP28ペプチド又はその機能性変異体は、例えば、配列番号8に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。
当業者によれば、例えば、配列番号8のTraP28ペプチド又は配列番号8の配列全体未満であるその機能性変異体をコードするヌクレオチド配列の全てを、直ちに認識できるであろう。遺伝暗号の縮重により、特定のアミノ酸配列の有限数のコード配列がもたらされる。TraP28ペプチドをコードする特定の配列は、実行者の裁量の範囲で選択される。異なる用途には、異なるコード配列が望ましいものであり得る。例えば、特定の宿主においてTraP28ペプチドの発現を増加させるために、宿主のコドン使用頻度のバイアスを反映するコード配列を選択することができる。例として、TraP28ペプチドは、配列番号16で表されるヌクレオチド配列によってコードすることができる。
TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28のペプチド配列の組み込みによって、色素体含有細胞の色素体に対して任意のポリペプチドを標的化することができる。例えば、一部の実施形態では、ポリペプチドをTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28のペプチド配列に連結してよいものであるが、連結されるポリペプチドとTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28との分子が発現される細胞内の色素体に対して、該ポリペプチドを向かわせるようにする。特定の実施形態では、TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の配列の組み込みによって色素体に標的化されたポリペプチドは、例えば、該ポリペプチドが自然に発現される細胞の色素体内で通常発現するポリペプチドであり得る。例えば、限定するものではなく、TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の配列の組み込みによって色素体に標的化されたポリペプチドは、除草剤抵抗性、ウイルス抵抗性、病原性微生物抵抗性、昆虫抵抗性、線虫抵抗性又はカビ抵抗性に関与するポリペプチドとすることができる。例えば、米国特許第5,569,823号、第5,304,730号、第5,495,071号、第6,329,504号及び第6,337,431号を参照されたい。あるいは、TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の配列の組み込みによって色素体に標的化されたポリペプチドは、例えば、限定するものではなく、草勢又は収穫量に関与するポリペプチド(極端な温度、土壌状態、光量、水量、窒素量及び化学的環境に対する耐性に関与するポリペプチドを含む)であるか、又は対象とする形質を含む植物を特定するマーカーとして用いることができるポリペプチド(例えば、選択マーカー遺伝子産物、種子色に関与するポリペプチド等)であってよい。
この発明の一部の実施形態における、TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28のペプチド配列に連結できる除草剤抵抗性に関与するポリペプチドの非限定的な例としては、アセトラクターゼシンターゼ(ALS)、変異型ALS及びALS前駆体(例えば米国特許第5,013,659号参照);EPSPS(例えば米国特許第4,971,908号及び第6,225,114号参照)であって、例えば一部の実施形態においてはDGT−28又はクラスIVのEPSPS、又は他の実施形態においてはCP4 EPSPS又はクラスIIIのEPSPS;色素体において生じる、光合成及び脂肪酸、アミノ酸、油脂、アロテノイド(arotenoid)、テルペノイド、デンプン等の合成を含む生理学的なプロセスを改変する酵素が挙げられる。特定の実施形態における、TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28のペプチドに連結できるポリペプチドの他の非限定的な例としては、ゼアキサンチンエポキシダーゼ;コリンモノオキシゲナーゼ;フェロケラターゼ;オメガ3脂肪酸デサチュラーゼ;グルタミンシンセターゼ;デンプンを修飾する酵素;必須アミノ酸、プロビタミンA、ホルモン、Btトキシンタンパク質等の合成に関与するポリペプチドが挙げられる。先述したペプチドをコードするヌクレオチド配列は、この分野で利用可能であり、かかるヌクレオチド配列は、TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28のペプチドをコードするヌクレオチド配列と作動可能に連結され得、TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28のペプチドに連結された対象とするポリペプチドを含んだポリペプチドに対して発現される。また、当業者によれば、先述したポリペプチドのいずれかをコードする追加のヌクレオチド配列を、特定することができる(例えば、特定のポリペプチドをコードする他の遺伝子に対して高い相同性をもつ遺伝子のクローニングによって)。かかるヌクレオチド配列が特定されれば、特定したヌクレオチド配列と作動可能に連結されるTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27もしくはTraP28をコードする配列を含んだ第2のヌクレオチド配列又は同等のポリペプチドをコードする配列を設計することができる。
V. TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドを含むポリペプチドの発現
一部の実施形態では、少なくとも1つのTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの核酸分子が、細胞、組織又は生物体に対して、その内部でポリペプチドを発現させるために導入され得る。特定の実施形態では、核酸分子が、TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドをコードするヌクレオチド配列と作動可能に連結される、対象とするヌクレオチド配列を含み得る。例えば、核酸分子は、少なくとも1つのTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドと、対象とするヌクレオチド配列によってコードされる少なくとも1つの追加のペプチド配列とを含むポリペプチドをコードするコード配列を含み得る。一部の実施形態では、この発明の核酸分子を、色素体含有の宿主細胞、組織又は生物体(例えば、植物細胞、植物組織及び植物)に導入することができるため、ポリペプチドを、色素体含有の宿主細胞、組織又は生物体内で核酸分子から発現することができるものであって、該発現したポリペプチドは、TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドと、対象とするヌクレオチド配列によってコードされる少なくとも1つの追加のペプチド配列とを含む。或る実施例では、かかる発現ポリペプチドのTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドが、宿主細胞、組織又は生物体の色素体に対する少なくとも1つの追加のペプチド配列を含むポリペプチドの一部の標的化を容易にし得る。
一部の実施形態では、当業者に公知の方法論のいずれかひとつによって、この発明の核酸分子を色素体含有細胞に導入することができる。特定の実施形態では、核酸分子を細胞、組織又は生物体に導入するために、宿主細胞、組織又は生物体を、この発明の核酸分子と接触させることができる。特定の実施形態では、核酸分子を細胞に導入して、該核酸分子が該細胞のゲノムに安定的に組み込まれるように、細胞を、この発明の核酸分子により形質転換することができる。一部の実施形態では、対象とするヌクレオチド配列と作動可能に連結されたTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む核酸分子を、例えば色素体含有細胞(例えば、植物細胞)である細胞の形質転換に用いることができる。発現を開始させる又は高めるために、核酸分子は、1つ又は複数の調節配列を含むことができ、該調節配列は、少なくとも1つのTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列と作動可能に連結され得る。
例えば核酸分子は、例えば線形又は閉環状プラスミドを含むベクター系であり得る。特定の実施形態では、ベクターは、発現ベクターであり得る。この発明の核酸配列は、該核酸配列が1つ又は複数の調節配列と作動可能に連結されるように、例えばベクターに対して挿入され得る。この目的に対して多くのベクターが利用可能であり、特定のベクターの選択は、例えば、ベクターへと挿入される核酸のサイズ、及びベクターで形質転換される特定の宿主細胞に依存し得る。ベクターは典型的に様々な成分を含有しており、その同一性は、そのベクターの機能(例えば、DNA増幅又はDNA発現)、及び該ベクターと適合性のある特定の宿主細胞に依存する。
一部の実施形態には、少なくとも1つのTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドを含むポリペプチドをコードする1つ又は複数のヌクレオチド配列と作動可能に連結された、上記に記載した調節配列のうちの少なくとも1つを含むヌクレオチド配列を含むものである、植物形質転換ベクターが含まれ得る。該1つ又は複数のヌクレオチド配列は、調節配列の制御下で、植物細胞、組織又は生物体内で発現されて、植物細胞、組織又は生物体の色素体に対して、ポリペプチドの少なくとも一部を標的化するTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドを含むポリペプチドを生成し得る。
一部の実施形態では、少なくとも1つのTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列と作動可能に連結される調節配列は、例えば核酸分子が増幅されるものであるバクテリア細胞や核酸分子が発現されるものである植物細胞などである宿主細胞内で機能するプロモーター配列であり得る。本発明の核酸分子における使用に適したプロモーターとしては、誘導性、ウイルス性、合成、又は構造性のプロモーターが挙げられ、それらはすべて当分野に公知である。本発明の実施形態で有用であり得るプロモーターの非限定的な例を、以下で与える:米国特許第6,437,217号(トウモロコシRS81プロモーター);米国特許第5,641,876号(イネアクチンプロモーター);米国特許第6,426,446号(トウモロコシRS324プロモーター);米国特許第6,429,362号(トウモロコシPR−1プロモーター);米国特許第6,232,526号(トウモロコシA3プロモーター);米国特許第6,177,611号(構造性トウモロコシプロモーター);米国特許第5,322,938号、第5,352,605号、第5,359,142号、及び第5,530,196号(35Sプロモーター);米国特許第6,433,252号(トウモロコシL3オレオシンプロモーター);米国特許第6,429,357号(イネアクチン2プロモーター、及びイネアクチン2イントロン);米国特許第6,294,714号(光誘導性プロモーター);米国特許第6,140,078号(塩誘導性プロモーター);米国特許第6,252,138号(病原体誘導性プロモーター);米国特許第6,175,060号(リン欠乏誘導性プロモーター);米国特許第6,388,170号(二方向性プロモーター);米国特許第6,635,806号(ガンマ−コイキシン(coixin)プロモーター);及び米国特許出願第09/757,089号(トウモロコシ葉緑体アルドラーゼプロモーター)。
追加の例示的なプロモーターとしては、ノパリンシンターゼ(NOS)プロモーター(Ebertら(1987), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84(16):5745-9);オクトピンシンターゼ(OCS)プロモーター(アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)の腫瘍誘導性プラスミド上に担持されている);カリモウイルスのプロモーター、例えばカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)19Sプロモーター(Lawtonら(1987), Plant Mol. Biol. 9:315-24);CaMV 35Sプロモーター(Odellら (1985), Nature 313:810-2;ゴマノハモザイクウイルス35Sプロモーター(Walkerら(1987), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84(19):6624-8);スクロースシンターゼプロモーター(Yang 及び Russell (1990), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:4144-8);R遺伝子複合体プロモーター(Chandlerら(1989) Plant Cell 1:1175-83);クロロフィルa/b結合タンパク質遺伝子プロモーター;CaMV 35S(米国特許第5,322,938号、第5,352,605号、第5,359,142号、及び第5,530,196号);FMV 35S(米国特許第6,051,753号及び第5,378,619号);PC1SVプロモーター(米国特許第5,850,019号);SCP1プロモーター(米国特許第6,677,503号);及びAGRtu.nosプロモーター(GenBankアクセッション番号V00087;Depickerら(1982), J. Mol. Appl. Genet. 1:561-73;Bevanら(1983), Nature 304:184-7)が挙げられる。
特定の実施形態において、本発明の核酸分子は、組織特異的プロモーターを含有し得る。組織特異的プロモーターは、生物体の他の組織と比較して、プロモーターが特異的となるような組織において、操作可能に連結したヌクレオチド配列の高度な転写を行わせるヌクレオチド配列である。組織特異的プロモーターの例としては、限定するものではなく、タペータム特異的プロモーター;葯特異的プロモーター;花粉特異的プロモーター(例えば、米国特許第7,141,424号及びPCT国際公開公報第WO99/042587号を参照);胚珠特異的プロモーター;(例えば、米国特許出願公開第2001/047525A1号を参照);果実特異的プロモーター(例えば、米国特許第4,943,674号及び第5,753,475号を参照);及び種子特異的プロモーター(例えば、米国特許第5,420,034号及び第5,608,152号を参照)が挙げられる。一部の実施形態では、この発明の組成物又は方法において、発達段階特異的プロモーター(例えば、後期発育段階で活性なプロモーター)を用いることができる。
一部の実施形態において、核酸分子と作動可能に連結され得る追加の調節配列としては、プロモーター配列とコード配列の間に位置づけられ、翻訳リーダー配列として機能する5’UTRが挙げられる。翻訳リーダー配列は、完全にプロセッシングされたmRNA中に存在し、一次転写物のプロセッシング、及び/又はRNAの安定性に影響を与えうる。翻訳リーダー配列の例としては、トウモロコシ及びペチュニアのヒートショックプロテインリーダー(米国特許第5,362,865号)、植物ウイルスコートタンパク質リーダー、植物ルビスコリーダー、及びその他が挙げられる。例えば、Turner及びFoster (1995)、Molecular Biotech. 3(3):225-36を参照のこと。5'UTRの非限定的な例としては、GmHsp(米国特許第5,659,122号)、PhDnaK(米国特許第5,362,865号)、AtAnt1、TEV(Carrington及びFreed (1990), J. Virol. 64:1590-7)、及びAGRtunos(GenBankアクセッション番号V00087、及びBevanら(1983)、Nature 304:184-7)が挙げられる。
一部の実施形態において、核酸分子と作動可能に連結され得る追加の調節配列としては、3’非翻訳配列、3’転写終結領域、又はポリアデニル化領域も挙げられる。これらはヌクレオチド配列の下流に位置する遺伝的エレメントであり、ポリアデニル化シグナル、及び/又は転写もしくはmRNAのプロセッシングに影響を与え得る他の制御シグナルをもたらすポリヌクレオチドを含む。ポリアデニル化シグナルは植物において機能し、mRNA前駆体の3’末端にポリアデニル酸ヌクレオチドの付加をもたらす。ポリアデニル化配列は、様々な植物遺伝子から誘導することができ、又はT−DNA遺伝子から誘導することができる。3’転写終結領域の非限定的な例は、ノパリンシンターゼ3’領域(nos 3';Fraley ら(1983), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:4803-7)である。異なる3’非翻訳領域の使用の例は、Ingelbrechtら(1989)、Plant Cell 1:671-80に提示されている。ポリアデニル化シグナルの非限定的な例としては、エンドウマメ(Pisum sativum)RbcS2遺伝子(Ps.RbcS2-E9;Coruzzi ら (1984), EMBO J. 3:1671-9)及びAGRtu.nos(GenBankアクセッション番号E01312)からのものが挙げられる。
本発明の組み換え核酸又はベクターは、例えば植物細胞などの形質転換細胞に選択可能な表現型を寄与する選択マーカーを含んでもよい。選択マーカーを使用し、本発明の組み換え核酸分子を含有する植物又は植物細胞を選択してもよい。マーカーは、殺生物剤抵抗性、抗生物質抵抗性(例えば、カナマイシン、ジェネティシン(G418)、ブレオマイシン、ハイグロマイシン、など)又は除草剤抵抗性(例えばグリホサートなど)をコードしてもよい。選択マーカーの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:カナマイシン抵抗性をコードし、カナマイシン、G418などを使用し選択されることができるneo遺伝子;ビアラホス抵抗性をコードするbar遺伝子;グリホサート耐性をコードする変異EPSPシンターゼ遺伝子;ブロモキシニルに対する抵抗性を付与するニトリラーゼ遺伝子;イミダゾリノン又はスルホニルウレア抵抗性を付与する変異アセト乳酸シンターゼ(ALS)遺伝子;及びメトトレキサート抵抗性DHFR遺伝子。アンピシリン、ブレオマイシン、クロラムフェニコール、ゲンタマイシン、ハイグロマイシン、カナマイシン、リンコマイシン、メトトレキサート、ホスフィノトリシン、ピューロマイシン、スペクチノマイシン、リファンピシン、ストレプトマイシン、及びテトラサイクリンなどに対する抵抗性を寄与する選択マーカーが複数、利用可能である。かかる選択マーカーの例は、例えば、米国特許第5,550,318号、第5,633,435号、第5,780,708号、及び第6,118,047号に解説されている。
本発明の組み換え核酸分子又はベクターは、スクリーンマーカーも含有するか、又は代わりに含有してもよい。スクリーンマーカーを使用し、発現を監視してもよい。例示的なスクリーンマーカーとしては、様々な発色性基質が公知である酵素をコードするβ−グルクロニダーゼ又はuidA遺伝子(GUS)(Jefferson ら (1987), Plant Mol. Biol. Rep. 5:387-405);植物組織においてアントシアニン色素(赤色)の生成を制御する産物をコードするR−locus遺伝子(Dellaporta ら (1988) "Molecular cloning of the maize R-nj allele by transposon tagging with Ac."In 18th Stadler Genetics Symposium, P. Gustafson 及び R. Appels, eds. (New York: Plenum), pp. 263-82);β−ラクタマーゼ遺伝子(Sutcliffe ら (1978), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75:3737-41);様々な発色性基質が公知である酵素をコードする遺伝子(例えば、PADAC、発色性セファロスポリン);ルシフェラーゼ遺伝子(Owら (1986), Science 234:856-9);発色性カテコール類を転換することができるカテコールジオキシゲナーゼをコードするxylE遺伝子(Zukowski ら (1983), Gene 46(2-3):247-55);アミラーゼ遺伝子(Ikatu ら (1990), Bio/Technol.8:241-2);チロシンをDOPA及びドーパキノン(次にメラニンへと濃縮される)へと酸化することができる酵素をコードするチロシナーゼ遺伝子(Katz ら (1983), J. Gen. Microbiol. 129:2703-14);及びα-ガラクトシダーゼ、が挙げられる。
宿主細胞の適切な形質転換方法としては、細胞へDNAを導入することができる任意の方法が挙げられるが、例えば、限定するものではなく、プロトプラストの形質転換による方法(例えば米国特許第5,508,184号を参照のこと)、乾燥/阻害介在性DNA取り込みによる方法(例えば、Potrykus ら (1985), Mol. Gen. Genet. 199:183-8を参照のこと)、エレクトロポレーションによる方法(例えば、米国特許第5,384,253号を参照のこと)、炭化ケイ素繊維を用いた攪拌による方法(例えば、米国特許第5,302,523号及び第5,464,765号を参照のこと)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介性形質転換による方法(例えば、米国特許第5,563,055号、第5,591,616号、第5,693,512号、第5,824,877号、第5,981,840号、及び第6,384,301号を参照のこと)、及びDNAコート化粒子の加速による方法(例えば、米国特許第5,015,580号、第5,550,318号、第5,538,880号、第6,160,208号、第6,399,861号、及び第6,403,865号を参照のこと)などが挙げられる。例えばこれらの技術を適用することにより、事実上すべての種の細胞を安定的に形質転換することができる。一部の実施形態において、形質転換DNAは、宿主細胞のゲノムに組み込まれる。多細胞の種の場合には、トランスジェニック細胞を、トランスジェニック生物体へと再生することができる。これらの技術のいずれかを使用して、例えばトランスジェニック植物のゲノム中に、この発明の核酸配列を1つ以上含有するトランスジェニック植物を作製してもよい。
植物への発現ベクターの導入に最も広く利用されている方法は、アグロバクテリウム(Agrobacterium)の天然形質転換系に基づく方法である。A.ツメファシエンス(A.tumefaciens)及びA.リゾゲネス(A.rhizogenes)は、植物細胞を遺伝的に形質転換する植物病原性土壌細菌である。A.ツメファシエンス(A.tumefaciens)及びA.リゾゲネス(A.rhizogenes)のそれぞれTiプラスミドとRiプラスミドは、植物の遺伝的形質転換の原因となる遺伝子を担持している。Ti(腫瘍誘導性)プラスミドは、T−DNAとして知られる大きなセグメントを含有しており、形質転換植物へと移送される。Tiプラスミドの他のセグメントであるVir領域は、T−DNAの移送に寄与している。T−DNA領域は、末端リピートに隣接している。一部の改変バイナリーベクターにおいて、腫瘍誘導性遺伝子は削除され、Vir領域の機能が利用され、T−DNA境界配列に隣接する外来性DNAが移送される。T−領域はまた、例えばトランスジェニック細胞及び植物の効率的な回収のための選択マーカーを含有してもよく、及び例えばTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28コード核酸などの移送のための配列挿入用マルチプルクローニングサイトを含有してもよい。
従って一部の実施形態において、植物形質転換ベクターは、A.ツメファシエンス(A.tumefaciens)のTiプラスミドから誘導され(例えば、米国特許第4,536,475号、第4,693,977号、第4,886,937号、及び第5,501,967号、ならびに欧州特許第EP0122791号を参照のこと)、又はA.リゾゲネス(A.rhizogenes)のRiプラスミドから誘導される。追加の植物形質転換ベクターとしては、例えば限定されないが、Herrera-Estrellaら(1983)、Nature 303:209-13;Bevanら(1983)、Nature 304:184-7;Kleeら(1985)、Bio/Technol. 3:637-42、及び欧州特許第EP0120516号に記載されるもの、ならびに前述のいずれかから誘導されるものが挙げられる。例えばシノリゾビウム(Sinorhizobium)、リゾビウム(Rhizobium)、及びメソリゾビウム(Mesorhizobium)などの植物と自然に相互作用する他の細菌を改変し、多くの多様な植物への遺伝子移送を介在してもよい。これらの植物関連共生細菌は、不活性化Tiプラスミド及び適切なバイナリーベクターの両方を獲得することにより、遺伝子移送の能力を有することができる。
レシピエント細胞に外因性DNAをもたらした後、形質転換細胞は多くの場合、さらなる培養及び植物再生に関して特定される。形質転換細胞を特定する能力を改善するために、形質転換体を作製するために使用されたベクターと共に、前述の選択マーカー又はスクリーンマーカーの遺伝子を利用することを所望してもよい。選択マーカーが使用された場合、形質転換細胞は、当該細胞を選択剤へと曝露させることにより、形質転換された可能性のある細胞群内で特定される。スクリーンマーカーが使用された場合、細胞は、所望のマーカー遺伝子の形質に対しスクリーニングされてもよい。
選択剤への曝露を生き残った細胞、又はスクリーニングアッセイにおいて陽性を記録した細胞を、植物再生を支持する培地中で培養してもよい。一部の実施形態において、任意の適切な植物組織培養培地(例えば、MS及びN6培地)を、例えば成長調節因子などのさらなる物質を含ませることにより改変してもよい。組織は、植物再生の試みを開始するのに充分な組織が利用可能となるまで、成長調節因子を有する基礎培地上で維持されてもよく、又は組織の形態が再生に適するまで(例えば、少なくとも2週間)、手動選択ラウンドを反復した後、発芽形成に寄与する培地へ組織を移送してもよい。培養物は、充分な発芽形成が発生するまで、定期的に移送される。発芽が形成されたら、それらを、根形成に寄与する培地へと移送する。充分な根が形成されたら、さらなる成長と成熟のために植物を土壌へと移してもよい。
再生植物において、対象とする核酸分子(例えば、少なくとも1つのTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列)の存在を確認するために、種々のアッセイを実行してもよい。かかるアッセイとしては、例えば、サザンブロッティング及びノーザンブロッティング、PCRならびに核酸配列解析などの分子生物学的アッセイ;例えばタンパク質産物の存在を検出するための、例えば免疫学的手法(ELISA及び/又はウェスタンブロット)による、又は酵素機能による生化学的アッセイ;例えば葉又は根のアッセイなどの植物部分のアッセイ;及び再生植物全体の表現型の解析などが挙げられる。
例えば、対象のヌクレオチド配列に特異的なオリゴヌクレオチドプライマーを使用したPCR増幅により、組み込みイベントを解析してもよい。PCR遺伝子型決定は、限定されないが、ゲノム内に組み込まれた対象核酸分子を含有することが予測されている単離宿主植物組織由来のゲノムDNAのポリメラーゼ鎖反応(PCR)増幅を行った後、PCR増幅産物の標準的なクローニングと配列解析を含むものと理解されている。PCR遺伝子型決定法は詳細に記載されており(例えば、Rios, G.ら(2002)、Plant J. 32:243-53参照)、任意の植物種(例えば、トウモロコシ(Z.mays)、又はダイズ(G.max))由来のゲノムDNA、又は細胞培養物を含む組織型由来のゲノムDNAへと適用することができる。
アグロバクテリウム(Agrobacterium)依存性形質転換法を使用して形成されたトランスジェニック植物は通常、1つの染色体に挿入された単一組み換えDNA配列を含有する。単一組み換えDNA配列は、「トランスジェニックイベント」又は「組み込みイベント」と呼称される。かかるトランスジェニック植物は、挿入DNA配列に対してヘテロ接合である可能性が高い。一部の実施形態において、導入遺伝子に関してホモ接合体のトランスジェニック植物は、単一外因性遺伝子配列を含有する、独立分離トランスジェニック植物、例えばT0植物を、自身と性的交配(自殖)させ、T1種子を生成させることにより取得することができる。生成されたT1種子のうちの4分の1が、導入遺伝子に関しホモ接合体である。T1種子を発芽させることにより、ヘテロ接合体とホモ接合体の区別を可能とするSNPアッセイ又はPCRベースの増幅アッセイを通常は使用して、ヘテロ接合性に関し検証することができる植物が生じる(すなわち、接合性アッセイ)。
特定の実施形態では、少なくとも1つのTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドを含む少なくとも1つのポリペプチドの複製が、少なくとも1つのTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドを含む少なくとも1つのポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの核酸分子が導入されるものである色素体含有細胞中で生成される。少なくとも1つのTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドを含む各ポリペプチドは、異なる形質転換イベントに導入される複数の核酸配列から、又は単一の形質転換イベントに導入される単一の核酸配列から発現され得る。一部の実施形態において、かかる複数のポリペプチドは、単一のプロモーターの制御下で発現される。他の実施形態において、かかる複数のポリペプチドは、複数のプロモーターの制御下で発現される。そのそれぞれのペプチド配列が色素体に標的化されるものである、複数のペプチド配列を含む単一のポリペプチドを、発現させることができる。
組み換え核酸分子を用いた植物の直接的な形質転換に加え、トランスジェニック植物は、少なくとも1つのトランスジェニックイベントを有する第一の植物と、かかるイベントを欠く第二の植物を交配させることにより作製することもできる。例えば、少なくとも1つのTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む組み換え核酸分子を、形質転換を受け入れ可能である第1の植物系統に導入し、トランスジェニック植物を生成することができるものであり、該トランスジェニック植物を、第2の植物系統と交配させて、第2の植物系統に、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を移入させることができる。
VI.TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドが誘導するポリペプチドを含む植物材料
一部の実施形態では、植物を提供するものであって、該植物は、少なくとも1つのTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む植物細胞を含む。特定の実施形態では、かかる植物は、植物組織又は植物細胞の形質転換と植物全体の再生とによって生成することができる。さらなる実施形態では、かかる植物は、市販原料から得られるか、又は少なくとも1つのTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を生殖質へ遺伝子交雑することで得ることができる。少なくとも1つのTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む植物細胞を含む植物材料もまた、提供する。かかる植物材料は、植物細胞を含む植物から得ることができる。さらなる実施形態では、該植物材料は、植物を生成するように再生することができない植物細胞である。
一部の実施形態では、少なくとも1つのTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むトランスジェニック植物又はトランスジェニック植物材料が、以下の特徴:植物細胞内でのポリペプチドの発現;植物細胞の色素体内でのポリペプチドの一部の発現;植物細胞のサイトゾルよりのポリペプチドを細胞の色素体へ移送すること;植物細胞内でのポリペプチドの色素体特異的発現;及び/又は植物細胞内でのポリペプチドの局在性、のうちの1つ又は複数を示すことができる。かかる植物は、コードされたポリペプチドの発現以外の所望の1つ又は複数の形質を、追加的に有してもよい。かかる形質としては、例えば、以下が挙げられる:昆虫、他の害虫、及び病原体に対する抵抗性;除草剤耐性;安定性、収穫量又は保存可能期間の増強;環境耐性;医薬生産;工業製品生産;及び栄養学的増強。
この発明によるトランスジェニック植物は、本発明の核酸分子で形質転換されることができる任意の植物であってもよい。したがって、植物は、双子葉植物であっても、単子葉植物であってもよい。本方法で使用可能な双子葉植物の非限定的な例としては、アラビドプシス(Arabidopsis)、アルファルファ、豆類、ブロッコリー、キャベツ、ニンジン、カリフラワー、セロリ、ハクサイ、綿花、キュウリ、ナス、レタス、メロン、エンドウ、コショウ、ピーナッツ、ジャガイモ、カボチャ(pumpkin)、ダイコン、ナタネ、ホウレンソウ、ダイズ、カボチャ(squash)、テンサイ、ヒマワリ、タバコ、トマト、及びスイカが挙げられる。本方法で使用可能な単子葉植物の非限定的な例としては、コーン、アブラナ属(Brassica)、タマネギ、イネ、ソルガム、小麦、ライ麦、キビ、サトウキビ、燕麦、ライ小麦及び芝草が挙げられる。この発明によるトランスジェニック植物は、任意の方法で使用又は栽培することができる。
一部の実施形態により、少なくとも1つのTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドを含むポリペプチドをコードする1つ又は複数のヌクレオチド配列を含有する商品生産物、例えばかかるヌクレオチド配列を1つ又は複数含有する組み換え植物又は種子から生成される商品生産物もまた提供される。少なくとも1つのTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドを含むポリペプチドをコードする1つ又は複数のヌクレオチド配列を含有する商品生産物としては、例えば、限定するものではなく、以下が含まれる:少なくとも1つのTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドを含むポリペプチドをコードする1つ又は複数のヌクレオチド配列を含む植物による、食品、食事、油脂、又は粉砕したもしくは全体の穀粒や種子。1つ又は複数の商品又は商品生産物中で、少なくとも1つのTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドを含むポリペプチドをコードする1つ又は複数のヌクレオチド配列が検出されるということが、少なくとも1つのTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドを含むポリペプチドをコードする1つ又は複数のヌクレオチド配列を含む植物から、該商品又は商品生産物の少なくとも一部が生成されたという事実上の証拠となる。特定の実施形態では、この発明の商品生産物には、少なくとも1つのTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドを含むポリペプチドをコードする核酸配列が検出可能な量で含まれている。一部の実施形態において、かかる商品生産物は、トランスジェニック植物を取得し、それらから食物又は餌を作製することにより製造されてもよい。
一部の実施形態では、少なくとも1つのTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の葉緑体輸送ペプチドを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む導入遺伝子を含むトランスジェニック植物又は種子もまた、そのゲノムにおける少なくとも1つの他のトランスジェニックイベントを含むことができ、限定するものではなく、以下が含まれる:それよりRNAi分子が転写されるトランスジェニックイベント;殺虫タンパク質をコードする遺伝子(例えば、バチルスチューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)殺虫タンパク質);除草剤耐性遺伝子(例えば、グリホサートに対する耐性をもたらす遺伝子);及びトランスジェニック植物において所望の表現型に寄与する遺伝子(例えば、収穫量増加、脂肪酸代謝変化又は細胞質雄性不稔の回復)。
VII.色素体に対する、遺伝子産物のTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28媒介性局在
本発明の一部の実施形態により、色素体(例えば、葉緑体)に対する、遺伝子産物の発現及び/又は局在に関する方法が提供される。特定の実施形態では、遺伝子産物は、例えば蛍光分子である、マーカー遺伝子産物であり得る。TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28のペプチドもまた含むポリペプチドの一部としての遺伝子産物の発現により、特定のTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28のペプチド配列の色素体局在能を評価する系が提供される。一部の実施形態では、TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28含有ポリペプチドの一部としてのマーカー遺伝子産物の発現を、ポリペプチドが発現するものである細胞の色素体に対してマーカー遺伝子産物の発現を標的化するために利用する。或る実施形態では、かかるマーカー遺伝子産物が、宿主細胞の色素体内に局在する。例えば、マーカー遺伝子産物は、宿主細胞のサイトゾル又は他の細胞小器官においてよりも、色素体においてより高度に発現され得るか;マーカー遺伝子産物は、色素体において最も高度に発現され得うるか;マーカー遺伝子産物は、本質的に色素体においてのみ発現され得うるか、又はマーカー遺伝子産物は、色素体において完全に発現し得るため、サイトゾル又は非色素体の細胞小器官における発現は検出できない。
一部の実施形態では、マーカー遺伝子産物に連結した機能性TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の変異体ペプチドを含むポリペプチドを用いて、該機能性TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の変異体ペプチドの特徴を評価する。例えば、TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28のペプチドの配列は、例えば、少なくとも1つの保存的変異をTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28のペプチドに導入することによって変更することができ、得られたTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の変異体ペプチドを、マーカー遺伝子産物に連結することができる。好適な宿主細胞(例えば、発現コンストラクト中の1つ又は複数の制御エレメントが操作可能である細胞)における発現の後で、マーカー遺伝子産物の発現を判断することができる。参照TraPペプチド−マーカーのコンストラクトと変異体TraPペプチド−マーカーのコンストラクトとでマーカー遺伝子産物の細胞内局在性を比較することで、変異体TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28のペプチドがもたらす色素体局在性が、例えば、より優れた色素体局在性か、実質的に同一な色素体局在性か、又はより劣った色素体局在性かを判断することができる。より優れた色素体局在性をもたらすTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の変異体を特定することによって、かかるTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の変異体における変異を、さらなるTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の変異体に組み込むことができる。この評価プロセスの全てを実行して、特定された好ましい変異を、次いでTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の配列に組み込むことが、TraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28の配列の最適化のための反復プロセスとなり得る。こうして最適化したTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28のペプチド配列及びそれをコードしたヌクレオチド配列は、本発明の一部として、こうして最適化したTraP10、TraP11、TraP17、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27又はTraP28のペプチド配列が、追加の変異によりさらに最適化することができるか否かが検討される。
本明細に引用される、公表文献、特許、及び特許出願を含むすべての参照文献は、本開示の明白な詳細と一致する範囲で参照により本明細書に援用され、各参照文献が個々に、及び具体的に、参照により援用されると示され、本明細書にその全体が明記された場合と同程度に援用される。本明細書において検討された参照文献は、本出願の出願日の前のその開示内容に対してのみ提供される。本明細書はいずれも、先行発明を理由としたかかる開示の先行のために本発明者らが権利付与されないことの同意とはみなされない。
以下の実施例は、ある特定の特性及び/又は態様の解説のために提供される。これらの実施例によって、記載される特定の特性又は態様に本開示が限定されるとみなされるべきではない。
実施例1:キメラ葉緑体輸送ペプチド(TraP)配列の設計及び生成
色素体は、高等植物種において見られ、かつ、全ての植物組織に存在する細胞小器官である。葉緑体は、不可欠な生理的機能を担う、緑色光合成組織中で見られる特殊な型の色素体である。例えば、こうした最も重要な生理的機能のひとつに、植物が必要とする芳香族アミノ酸の合成がある。この生合成経路には、核にコードされた酵素を必要とし、該核コードの酵素は、細胞質から葉緑体内部に輸送される。これら核コードの酵素は通常、葉緑体膜と相互作用して葉緑体のストロマへのペプチドの輸送を容易にするN末端輸送ペプチドを保有する。Bruce B, (2000)Chloroplast transit peptides: structure, function, and evolution.Trends Cell Bio., 10:440-447。移送されると、ストロマのペプチダーゼが輸送ペプチドを切断し、葉緑体内に移送された成熟機能性タンパク質が残る。Richter S, Lamppa GK, (1999) Stromal processing peptidase binds transit peptides and initiates their ATP-dependent turnover in chloroplasts. Journ.Cell Bio., 147:33-43。葉緑体輸送ペプチドは、可変の配列であり、長さ、組成及び構成が非常に多岐にわたる(Bruce, 2000)。葉緑体輸送ペプチドの配列類似性は、異なる植物種の相同タンパク質の間で有意に異なる。異なる植物種より得られた相同タンパク質は通常、プロセッシングされた成熟機能性タンパク質と比較した場合に、相対的に高い配列類似性を共有するということを考慮すれば、葉緑体輸送ペプチド間の相違量は、予測しがたいものである。
新規のキメラ葉緑体輸送ペプチド配列を設計し、生成し、植物内で試験した。新規のキメラ葉緑体輸送ペプチドは、葉緑体内で農学上重要なタンパク質の移送に関して、有効な移動特性及びプロセッシング特性をもつことを示した。はじめに、異なる植物種及び細菌種よりのタンパク質配列をChloroP(商標)コンピュータプログラムにより分析し、推定葉緑体輸送ペプチド配列を同定した(Emanuelsson O, Nielsen H, von Heijne G, (1999) ChloroP, a neural network-based method for predicting chloroplast transit peptides and their cleavage sites. Protein Science, 8: 978-984、http://www.cbs.dtu.dk/services/ChloroP/で利用可能である)。天然の葉緑体輸送ペプチドを同定した後、葉緑体輸送ペプチド配列を互いに整列させた(図2)。
葉緑体輸送ペプチド配列のアラインメントを利用して、第1の生物体よりの葉緑体輸送ペプチド配列の第1の半分を第2の生物体よりの葉緑体輸送ペプチド配列の第2の半分と、約1:1の割合で結合させて、新規キメラ葉緑体輸送ペプチドを設計した。新規に設計したキメラ葉緑体輸送ペプチドの例示的なタンパク質配列は、TraP10(配列番号1)、TraP11(配列番号2)、TraP17(配列番号3)、TraP18(配列番号4)及びTraP19(配列番号5)である。これら新規のキメラ葉緑体輸送ペプチド配列は、セイヨウアブラナ(Brassica napus)、ダイズ(Glycine max)、イネ、アマランサス、ヒルガオ(Calystegia)ならびにドナリエラ(Dunaliella salina)及びコナミドリムシ(Chlamydamonas reinhardtii)のEPSPSタンパク質に由来する。TraP10(配列番号1)のキメラ葉緑体輸送ペプチド配列は、セイヨウアブラナ(Brassica napus)由来のN末端を含み、この葉緑体輸送ペプチドのC末端は、ダイズ(Glycine max)由来である。TraP11(配列番号2)の葉緑体輸送ペプチド配列は、ダイズ(Glycine max)由来のN末端を含み、この葉緑体輸送ペプチドのC末端は、セイヨウアブラナ(Brassica napus)に由来する。TraP17(配列番号3)の葉緑体輸送ペプチド配列は、ヒルガオ(Calystegia)由来のN末端を含み、この葉緑体輸送ペプチドのC末端は、コナミドリムシ(Chlamydamonas reinhardtii)に由来する。TraP18(配列番号4)の葉緑体輸送ペプチド配列は、イネ(Oryza sativa)由来のN末端を含み、この葉緑体輸送ペプチドのC末端は、アマランサス(Amaranthus)に由来する。TraP19(配列番号5)の葉緑体輸送ペプチド配列は、アマランサス(Amaranthus)由来のN末端を含み、この葉緑体輸送ペプチドのC末端は、ドナリエラ(Dunaliella salina)に由来する。
同様に、異なる植物種よりの複数のタンパク質配列を、ChloroP(商標)(Emanuelsson, 1999)コンピュータプログラムにより分析し、推定葉緑体輸送ペプチド配列で同定したが、該プログラムはhttp://www.cbs.dtu.dk/services/ChloroP/で利用可能である。葉緑体輸送ペプチド配列アラインメントを利用して、ランダムに選択したアミノ酸で、新規の合成葉緑体輸送ペプチドを設計して、新規の合成推定葉緑体輸送ペプチド配列を生成した。新規に設計した合成葉緑体輸送ペプチドの例示的な配列は、TraP26(配列番号6)、TraP27(配列番号7)及びTraP28(配列番号8)である。
キメラ葉緑体輸送ペプチドについて、植物内での一時的発現系を含む複数のアッセイにより、農学上重要な導入遺伝子配列と融合した遺伝子制御発現エレメントを含有する安定な形質転換イベントとして遺伝子導入的に試験された。
実施例2: キメラ葉緑体輸送ペプチド(TraP)配列の植物内一過性試験
タバコのトランジェントアッセイ
上記に記載したキメラ葉緑体輸送ペプチド配列を、まず植物内トランジェントアッセイにより試験した。TraP10(配列番号9)、TraP11(配列番号10)、TraP17(配列番号11)、TraP18(配列番号12)、TraP19(配列番号13)、TraP26(配列番号14)、TraP27(配列番号15)及びTraP28(配列番号16)のキメラ葉緑体輸送ペプチド配列をコードするポリヌクレオチド配列を合成した。リンカー配列(配列番号17)を、TraP配列と、TraP10及びTraP11のyfpコード配列との間に組み込んだ。得られたコンストラクトは、2つの植物転写単位(PTU(plant transcription unit))を含んだ。第1のPTUは、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana )のUbiquitin 10プロモーター(AtUbi10プロモーター;Callisら(1990) J. Biol. Chem.、265: 12486-12493)、TraP−黄色蛍光タンパク質融合遺伝子(TraP−YFP;米国特許出願第2007/0298412号)又はTraP−緑色蛍光タンパク質融合遺伝子(TraP−GFP;Sheenら(1995)Plant J., 8 (5): 777-84)及びアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のORF 23 3’非翻訳領域(AtuORF23 3’UTR;米国特許第5,428,147号)により構成された。第2のPTUは、キャッサバ葉脈モザイクウィルスプロモーター(CsVMVプロモーター;Verdaguer ら(1996)Plant Molecular Biology、31: 1129-1139)、ホスフィノトリシンアセチル基転移酵素(phosphinothricin acetyl transferase)(PAT; Wohllebenら(1988) Gene、 70: 25-37)又はDSM−II(国際特許出願第2008070845号)及び、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のORF 1 3’非翻訳領域(AtuORF1 3’UTR;Huangら (1990)J. Bacteriol.、172: 1814-1822)により構成された。コンストラクトpDAB101979は、TraP10キメラ葉緑体輸送ペプチドを含有する(図3)。コンストラクトpDAB101980は、TraP11キメラ葉緑体輸送ペプチドを含有する(図4)。コンストラクトpDAB107634は、TraP17キメラ葉緑体輸送ペプチドを含有する(図5)。コンストラクトpDAB107635は、TraP18キメラ葉緑体輸送ペプチドを含有する(図6)。コンストラクトpDAB107636は、TraP19キメラ葉緑体輸送ペプチドを含有する(図7)。コンストラクトpDAB109847は、TraP26キメラ葉緑体輸送ペプチドを含有する(図8)。コンストラクトpDAB109848は、TraP27キメラ葉緑体輸送ペプチドを含有する(図9)。コンストラクトpDAB109849は、TraP28キメラ葉緑体輸送ペプチドを含有する(図10)。yfp遺伝子の上流に葉緑体輸送ペプチド配列を含まない対照プラスミドpDAB101908を、構築し、この実施例に含んだ(図11)。上記コンストラクトは、制限酵素消化及び配列解析により確認した。最後に、コンストラクトを、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)に形質転換して、グリセロールストックとして保存した。
アグロバクテリウム(Agrobacterium)のグリセロールストックから、1ループ量(loop full)の凍結培養物を、14mlの滅菌管中で、2mlのYPD(Yeast-extract Peptone Dextrose)(100μg/mlスペクチノマイシン)に播種した。播種した培地を、200rpmで振とうしながら28℃で一晩インキュベートした。翌日、約100μlの培養物を用いて、滅菌の125mlフラスコ(3箇所のバッフル付)中で、25mlのYPD(100μg/mlスペクチノマイシン)を播種し、200rpmで振とうしながら28℃で一晩インキュベートした。翌日、この培養物を、滅菌のddH20(pH8.0)中でOD600が0.5となるように希釈した。希釈したアグロバクテリウム(Agrobacterium)株を、P19補助タンパク質を含有する第2のアグロバクテリウム(Agrobacterium)株と、1:1の割合で混合した。この培養物を、Voinnet法によるタバコ葉の浸潤に用いた。Voinnet O、Rivas S、Mestre P及び、Baulcombe D, (2003) An enhanced transient expression system in plants based on suppression of gene silencing by the p19 protein of tomato bushy stunt virus.The Plant Journal, 33:949-956。浸潤したタバコ植物を、アッセイがなされるまで少なくとも3日間、24℃で、明条件で16時間、Conviron(商標)セット内に配置した。
顕微鏡観察結果:
アグロバクテリウム浸潤タバコ葉を植物から切り離し、乾燥防止のために水を入れたペトリ皿に移した。該浸潤タバコ葉を、ダークリーダーハンドランプ(Dark Reader Hand Lamp(商標))(Clare Chemical Research社;コロラド州ドロレス)を用いて、適当である位置に保持したロングパスフィルターガラスによる青色光励起の下で観察し、YFP又はGFPのレポータータンパク質を良好に発現している葉の無傷な領域を特定した。具体的には、共焦点顕微鏡(ライカTCS-SP5 AOBS(商標);イリノイ州バッファローグローブ)によるイメージングのために、特定した葉の領域を葉から切り離し、水中に載置した。YFPは、マルチラインのアルゴンイオンレーザにより、514nmのレーザ光で励起させた。GFPは、マルチラインのアルゴンイオンレーザにより、488nmのレーザ光で励起させた。検出スリットの幅を、非発現(暗条件)対照葉のサンプルを用いて調節し、バックグラウンドの葉の自家蛍光を除外した。葉緑体の局在性を判断するために、蛍光のレポータータンパク質シグナルとの直接比較用に、クロロフィルの自家蛍光を第2チャネルに同時に収集した。
顕微鏡イメージングにより、TraP葉緑体輸送ペプチド(TraP10、TraP11、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27及びTraP28)を含むYFP又はGFPの蛍光タンパク質は、タバコ細胞の細胞質の葉緑体中に移動しなかった対照のYFP蛍光タンパク質と比べて、タバコ細胞の細胞質中に位置する葉緑体内に蓄積したという結果が示された(図12から図19)。TraP17輸送ペプチドは、YFP蛍光タンパク質をタバコの葉緑体に移動させなかったが、TraP17輸送ペプチドは、YFP蛍光タンパク質をトウモロコシの葉緑体に移動させたということに留意されたい。これら顕微鏡イメージングの結果は、YFPタンパク質の葉緑体への移動が、TraP葉緑体輸送ペプチドの結果であったことを示唆する。顕微鏡画像の図に示すように、YFP蛍光シグナルは、顕微鏡イメージング条件下で自家蛍光により赤色光も発光するものである葉緑体中に局在化している。比較として、図20に、葉緑体輸送ペプチドを含有しない、対照であるコンストラクトpDAB101908で浸潤したタバコ葉組織の顕微鏡画像を示している。この画像中の葉緑体は、顕微鏡イメージング条件下で自家蛍光により赤色光のみを発光し、タバコ細胞に浸潤したTraP中で現れるYFP蛍光シグナルを何も示さない。むしろ、対照であるタバコ植物細胞中のYFP蛍光シグナルが、該タバコ植物細胞の細胞質の全体にわたって広く現われている。
トウモロコシプロトプラストトランジェントアッセイ
トウモロコシ(Zea mays)c.v.B104の種子を、Tween(登録商標)20を2〜3滴加えた50%Clorox(商標)(3%次亜塩素酸ナトリウム)中で、約20分間激しく振とうすることによって、表面滅菌した。種子を、滅菌蒸留水で完全にすすいだ。滅菌種子を、Phytatray又は同様の型の箱内の1/2MS培地上に移し、12日から20日間、暗条件(28℃)で成長させた。トウモロコシプロトプラストトランジェントアッセイにより、トウモロコシ(Zea mays)c.v.B104の葉からトウモロコシプロトプラストを得て形質移入した。このトウモロコシプロトプラストアッセイは、Yoo、S.-D.、Cho、Y.-H.、 及び Sheen, J. (2007)、Arabidopsis Mesophyll Protoplasts:A Versitile Cell System for Transient Gene Expression Analysis, Nature Protocols, 2:1565-1572に記載の系を変形したものである。以下の実験で用いるマンニトールの濃度を0.6Mに変更したことを除いて、Yooら(2007)に記載の通りに溶液を調整した。
100から500lのプロトプラスト(1〜5×105細胞)のトランスフェクションは、室温で、約40mgのプラスミドDNAを含んだ2mlマイクロチューブに、プロトプラストを添加することによって完了した。好ましくは、DNAの量を、プロトプラストの量の約10%に保った。プロトプラスト及びDNAを、時々攪拌しながら5分間インキュベートした。プロトプラスト及びDNAに、同量のPEG溶液を、PEG溶液の液滴を添加している間攪拌しながら、1回に2滴でゆっくりと加えた。該チューブを、時々穏やかに攪拌しながら、約10分間インキュベートさせた。次に、1mlのW5+溶液を添加し、チューブを数回反転させることにより攪拌した。チューブを、4℃の温度で、75×gで5分間遠心分離した。最後に、上澄みを除き、ペレットを1mlのWI溶液中に再懸濁し、プロトプラストを小さいペトリ皿(35×10mm)又は6ウェルのマルチウェルプレートに移し、室温で、暗条件で一晩インキュベートした。12時間のインキュベート後、顕微鏡でGFPの蛍光が見られた。イメージングには、先に記載した顕微鏡条件と類似の顕微鏡条件を用いた。
顕微鏡イメージングにより、TraP17、TraP18又はTrap19のキメラ葉緑体輸送ペプチドを含むGFP蛍光タンパク質は、トウモロコシ細胞の細胞質の葉緑体に移動しなかった対照GFP蛍光タンパク質と比べて、トウモロコシ細胞の細胞質に位置する葉緑体内に蓄積していたという結果が示された(図21から図23)。これら顕微鏡イメージングの結果は、GFPタンパク質の葉緑体への移動が、TraPキメラ葉緑体輸送ペプチドの結果であったことを示唆する。
ウエスタンブロットの結果
浸潤させたタバコ植物のサンプルに対して、ウエスタンブロットによりアッセイを行った。葉の打抜きを収集して、ビーズミルにかけた。約100から200mgの葉材料を、2BB(Daisy社;アーカンソー州ロジャース)及び500mlのPBSTと、Kleco(商標)ビーズミル中で3分間混合した。その後サンプルを、4℃で、14,000×gの遠心分離で遠心沈殿させた。上澄みを除去し、直接ウエスタンブロットで分析するか、又は免疫沈降するかのいずれかを行った。免疫沈降は、Pierce Direct IP kit(商標)(サーモサイエンティフィック社;イリノイ州ロックフォード)を用いて、製造元のマニュアルに沿って行った。約50μgの抗YFP抗体又は抗GFP抗体を樹脂に結合させた。サンプルは、樹脂と共に4℃で一晩インキュベートした。次に、翌朝、サンプルを洗浄及び溶出させ、同量の2×8M尿素サンプルバッファーと合わせた後、サンプルを5分間煮沸して、分析の準備をした。煮沸したサンプルは、MOPSバッファー中の4〜12%のSDS−Bis Trisゲル上で40分間電気泳動を行った。その後該ゲルは、Invitrogen iBlot(商標)(ライフテクノロジーズ社;カリフォルニア州カールスバッド)を用いて、製造元のマニュアルに沿って転写した。転写したメンブレンを、5%脱脂粉乳を含むPBS−Tween(登録商標)溶液を用いて、10分間ブロックさせた。メンブレンは、5%脱脂粉乳を含むPBS−Tween(登録商標)溶液中に1:1000希釈で用いた一次抗体(ウサギにおける抗GFP又は抗YFPモノクローナル抗体)により、1時間プローブした。次に、メンブレンをPBS−Tween(登録商標)で5分間に3回すすぎ、結合しなかった一次抗体を除去した。メンブレンは、1:1000希釈で用いたヤギ抗ウサギ抗体のモノクローナル二次抗体(ライフテクノロジー社)で、60分間プローブした。メンブレンを、先に記載したように洗浄し、Themo BCIP/NBT(商標)基質を加えることによって成長させた。発色気質を、5分から10分間成長させて、その後転写物は乾燥する前に水ですすいだ。
ウエスタンブロットにより、試験した全てのコンストラクトに関して、浸潤タバコ細胞中でYFP又はGFPタンパク質が発現したという結果を示した。YFP又はGFP抗体に反応したタンパク質バンドの存在が示唆しているように、浸潤タバコ植物の葉の組織の全てが、YFP又はGFPタンパク質を発現させ、かつ、YFP又はGFP対照コンストラクトで浸潤させたタバコ植物の葉の組織から得られたYFP又はGFPタンパク質バンドと同等の大きさであった。さらに、これら結果は、TraPキメラ葉緑体輸送ペプチド(TraP10、TraP11、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27及びTraP28)がプロセッシングされ、かつ、YFP又はGFPタンパク質から切断されたことを示唆した。TraP−YFP又はGFPのコンストラクトは、対照であるYFP又はGFPタンパク質よりも分子量が大きいものである予めプロセッシングされたタンパク質のバンドを表す。ウエスタンブロットにおいて対照であるYFP又はGFPと同等の大きさであるバンドが存在するということは、TraP葉緑体輸送ペプチド配列(TraP10、TraP11、TraP18、TraP19、TraP26、TraP27及びTraP28)がプロセッシングされて、それによりYFP又はGFPの対照と同等である分子量サイズまでYFP又はGFPの大きさが低下したことを示唆する。
実施例3:アラビドプシスにおける、昆虫耐性導入遺伝子発現のためのキメラ葉緑体輸送ペプチド(TraP)配列
Cry2Aa:
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)のCry2Aaタンパク質発現におけるTraP11キメラ葉緑体輸送ペプチドの効果を評価した。Cry2Aaタンパク質と融合したTraP11キメラ葉緑体輸送ペプチドを含むトランスジェニックアラビドプシス(Arabidopsis)植物に、ソイビーンルーパー(soybean looper(SBL))及びオオタバコガ(TBW)に対する昆虫耐性のアッセイを行った。
TraP11キメラ葉緑体輸送ペプチド配列を、植物発現コンストラクトpDAB107538(図24)にクローニングし、アラビドプシス(Arabidopsis)において試験した。Trap11(配列番号18)キメラ葉緑体輸送ペプチド配列をコードする新しいポリヌクレオチド配列を合成して、プラスミドコンストラクトに組み込んだ。得られたコンストラクトは、2つの植物転写単位(PTU)を含んだ。第1のPTUは、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)のUbiquitin 10プロモーター(AtUbi10プロモーター;Callisら(1990)J. Biol. Chem.、 265: 12486-12493)、TraP11−cry2Aa融合遺伝子(Cry2Aa;配列番号19)及びアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のORF 23 3'非翻訳領域(AtuORF23 3’UTR;米国特許第5,428,147号)により構成された。第2のPTUは、キャッサバ葉脈モザイクウィルスプロモーター(CsVMVプロモーター;Verdaguerら(1996)Plant Molecular Biology、31: 1129-1139)、dsm−2遺伝子(DSM2;米国特許出願公開第2011/0107455号明細書)及びアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のORF 1 3'非翻訳領域(AtuORF1 3’UTR;Huangら(1990)J. Bacteriol.、172: 1814-1822)により構成された。コンストラクトpDAB107538は、TraP11キメラ葉緑体輸送ペプチドを含有する。cry2Aa遺伝子の上流に葉緑体輸送ペプチド配列を含まない対照プラスミド107617を構築し、この実施例に含めた(図25)。上記コンストラクトは、制限酵素消化及び配列解析により確認した。最後に、コンストラクトを、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)に形質転換して、グリセロールストックとして保存した。
pDAB107538コンストラクトは、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)媒介での植物形質転換を介して、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)に形質転換された。簡潔に、12〜15のシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)植物(コロンビア生態型、Col−0)を、250μmol/m2の光強度、25℃で、明条件/暗条件を18時間/6時間として、温室内の4インチ植木鉢中で成長させた。最初の花の茎を、形質転換の1週間前に切り取った。アグロバクテリウム接種物は、100mlのLBブロス(100mg/Lスペクチノマイシン、50mg/Lカナマイシン)中で、組み換えアグロバクテリウム(Agrobacterium)グリセロールストック10μlを28℃でインキュベートし、72時間、225rpmで振とうすることにより調製された。アグロバクテリウム(Agrobacterium)の培養物の量は分光計で測定し、細胞が、OD 600が0.8に達したときに、遠心分離により細胞を収穫した。次に、該細胞は、5%のショ糖及び0.04%のSilwet−L77(商標)及び10μg/Lのベンズアミノプリン(BA(benzamino purine))よりなる浸潤培地(infiltration medium)3〜4の量中に再懸濁した。植物の地上部分を、アグロバクテリウム(Agrobacterium)溶液に穏やかに攪拌しながら5〜10分間浸漬した。次いで、正常に成長させるために植物を温室に移し、定期的な水やりと施肥を行いながら、結実させた。
約200mgのまとめたT1種子を、セレクショントレイ(10.5インチ×21インチ×1インチの発芽トレイ(T.O. Plastics Inc社、ミネソタ州クリアウォーター))に均等に播種した。苗には、播種後5日、播種後10日に再度、DeVilbiss圧送式スプレーノズルを用いてグルホシネート除草剤(Liberty(商標))の0.20%溶液(20μl/10mLのdH2O)を散布量10ml/トレイ(703L/ha)で散布した。グルホシネートの二度目の散布後の4〜7日の間に、耐除草剤植物を特定し、T2種子生成のために移植した。得られたT2種子を、以下に記載する実験に用いた。
イベント毎にT2種子の小分注(およそ100〜200種子)を、40mlの0.1%アガロース溶液中に懸濁し、4℃で24時間、低温湿層処理を行った。湿層処理した種子はその後、繁殖床中の4床の表面上に、10mlの種子をピペットで滴下することによって播種した。該床は、Sunshine #5土壌培地(Sunshine #5 soil media(商標))(Sun Gro社;ワシントン州ベルビュー)を敷きつめ、バーミキュライトの細粒で軽く覆った。播種前に、また必要であればその後に、ホーグランド肥料で飽和させた。播種後、湿度ドーム(humidity dome)を用いてトレイを覆い、その後24℃、光照射期間16時間に設定したConviron(商標)育成チャンバー内にそれらを移した。電球及び蛍光灯により、光量200PARで光照射した。5日後、種子が発芽したため、ドームを除去した。形質転換体の第1の除草剤による淘汰(selection)は6日目であり、第2の除草剤に対しては、10日目であった。DeVilbiss噴霧器ハンドスプレーを用いて、200g ai/haで除草剤Liberty(商標)(すなわち、グルホシネートアンモニウム)を噴霧し、ヌル植物を除去した。予測のとおり、概ね25%の植物がヌル植物であった。淘汰には野生型確認用の列も含まれており、それらは2回の除草剤散布後には死滅率が100%であった。植物は、14日で移植可能となった。バイオアッセイのため、イベント毎に12の植物を採取し、Sunshine #5土壌を敷き詰めてバーミキュライトで軽く覆った3インチの植木鉢に移植した。そうした床には、移植前に、また必要であればその後に、ホーグランド肥料を予浸させた。移植した植物は、14時間の補光で、25℃に設定した空調を効かせていない温室中で成長させた。長角果の成長を、ハサミでの刈り取りで阻害したことにより、試験用の植物組織がより多く生成された。植物は16〜18日でDNAサンプリング可能となり、約23日でバイオアッセイ可能となった。分子確認アッセイにより、推定トランスジェニック植物を選別し、特定されたイベントに対しては、タンパク質分析及びバイオアッセイ結果まで進めた。
移植した植物は、視覚的に比較したところその一部の植物は野生型植物より小さかったが、概して健全な表現型を示した。アラビドプシス(Arabidopsis)コンストラクト毎の遺伝子複製数分析では、全てのコンストラクトに関して、対象とするcry2Aa遺伝子の≧3コピーを有する植物が約50%であり、該遺伝子の1〜2コピーを有する植物が約50%であるという類似した挿入結果を示した。
T1アラビドプシス(Arabidopsis)イベントのCry2Aa発現レベルは、広範囲にわたった。タンパク質の検出は、Cry2Aaタンパク質の発現を定量化するELISAアッセイを用いて完了した。概して、タンパク質発現レベルは、イベント毎のT鎖挿入の複製数に相当する。T鎖複製数が多いイベント(例えば、>3である挿入イベント)では、概してアラビドプシス(Arabidopsis)の形質転換イベントの両セット(例えば、TraPを伴わないCry2Aaを発現するpDAB107617イベントと、TraP11キメラ葉緑体輸送ペプチドを伴うCry2Aaを発現するpDAB107538イベント)に関して、T鎖複製数が少ないイベントよりも、タンパク質の平均発現レベルが高かった。
T2世代のアラビドプシス(Arabidopsis)植物では、T1のアラビドプシス(Arabidopsis)植物の発現量の値と比べて減少した値でCry2Aaタンパク質を発現した。これら結果は、タンパク質発現量がイベントセットごとに可変であることを示唆した。試験した全ての植物イベントに関して、ホモ接合イベントより得たタンパク質の平均発現量レベルは、ヘミ接合イベントより得たタンパク質の平均発現量レベルよりも上回った(例えば、TraP[pDAB107617]を伴わないイベントとTraP11[pDAB107538]を伴うイベント)。T鎖挿入のコピーを2コピーよりも多く含むアラビドプシス(Arabidopsis)イベントは、1コピーのみを含むアラビドプシス(Arabidopsis)イベントよりも発現レベルが高かった。T1からT2世代でタンパク質発現レベルが低下するにもかかわらず、コンストラクト内のTraP11キメラ葉緑体輸送ペプチドの挿入は、結果としてCry2Aaタンパク質を発現するトランスジェニックアラビドプシスイベントとなった。
T1のアラビドプシス(Arabidopsis)イベントの両セットに、昆虫バイオアッセイ実験を行った。概して、より多量のCry2Aaタンパク質を発現する複製数の多いイベントは、複製数の少ないイベントと比べて、葉の損傷数が少ない結果となった。TraPを伴わないCry2Aaを発現するアラビドプシス(Arabidopsis)イベントのSBL及びTBW(r2=0.49[SBL]、0.23[TBW])と、TraP11を伴うCry2Aaを発現するアラビドプシス(Arabidopsis)イベントのSBL及びTBW(r2=0.75[SBL]、0.17[TBW])との両方に対する葉の保護と、タンパク質の発現との間に相関があった。結果としてのタンパク質発現量の増加が、葉の損傷に対する有意な保護を引き起こした(Pr<0.05)。
アラビドプシス(Arabidopsis)植物は、TraP11の及びTraPなしの両アラビドプシス(Arabidopsis)イベントにおいてSBLによる損傷から保護された。TraP11を伴うCry2Aaの発現及びTraP11を伴わないCry2Aaの発現では、最小のタンパク質発現量が、TraP11:Cry2Aaイベントに関しては約1.0ng/cm2、TraPなしのCry2Aaイベントに関しては約1.5ng/cm2で、葉の損傷が30%を下回る結果となった。アラビドプシス(Arabidopsis)イベントのTraP11を伴うCry2Aaの発現量及びTraP11を伴わないCry2Aaの発現量の評価では、最小のタンパク質発現量が、TraP11アラビドプシス(Arabidopsis)イベントでは約1.1ng/cm2、TraPなしのアラビドプシス(Arabidopsis)イベントでは約2.0〜2.5ng/cm2で、葉の損傷が20%を下回る結果となった。
アラビドプシス(Arabidopsis)植物は、TraP11の及びTraPなしの両アラビドプシス(Arabidopsis)イベントによって、TBWによる損傷から保護されていた。アラビドプシス(Arabidopsis)イベントより得られた植物材料を与えるとき、TBW昆虫が、SBL昆虫よりも、Cry2Aaタンパク質に敏感に反応した。Cry2Aaを約1.0及び1.5ng/cm2とした低濃度のタンパク質濃度では、Cry2Aaタンパク質が、TraP11と組み合わせた場合と、TraPなしの場合とでそれぞれ発現されたときに、葉の損傷が30%未満であるという結果となった。20%の葉の損傷であるカットオフポイントでは、TraP11アラビドプシス(Arabidopsis)イベントによる葉の保護は、Cry2Aaタンパク質約1.1ng/cm2のレベルで得られ、一方で、TraPを保有しなかったアラビドプシス(Arabidopsis)イベントでは、発現したCry2Aaタンパク質2.0〜2.5ng/cm2のレベルで得られた。
TraP11キメラ葉緑体輸送ペプチドは、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)におけるCry2Aaタンパク質の発現の効果を低下させなかった。Cry2Aaタンパク質に融合したTraP11キメラ葉緑体輸送ペプチドを含有するトランスジェニックアラビドプシス(Arabidopsis)植物は、ソイビーンルーパー(SBL)及びオオタバコガ(TBW)に対する昆虫耐性をもたらすCry2Aaタンパク質を高いレベルで発現した。
実施例4:アラビドプシスにおける除草剤耐性導入遺伝子の発現のためのキメラ葉緑体輸送ペプチド(TraP)配列
DGT28:
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)での、DGT28(国際特許出願第PCT/US2013/024488号明細書)タンパク質発現におけるTraP26及びTraP27のキメラ葉緑体輸送ペプチドの効果を評価した。DGT28タンパク質に融合したTraP26キメラ葉緑体輸送ペプチド又はTraP27キメラ葉緑体輸送ペプチドのいずれかを含有するトランスジェニックアラビドプシス(Arabidopsis)植物について、グリホサートの噴霧に対する除草剤耐性に関するアッセイを行った。
TraP26キメラ葉緑体輸送ペプチド配列を、植物発現コンストラクトpDAB114286(図26)に対してクローニングし、アラビドプシス(Arabidopsis)において試験した。得られたコンストラクトは、2つの植物転写単位(PTU)を含んだ。第1のPTUは、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)のUbiquitin 10プロモーター(AtUbi10プロモーター;Callisら(1990)J. Biol. Chem.、265: 12486-12493)、TraP26−dgt28融合遺伝子(TraP26−DGT28;配列番号27)及びアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のORF 23 3’非翻訳領域(AtuORF23 3’UTR;米国特許第5,428,147号)により構成された。第2のPTUは、キャッサバ葉脈モザイクウィルスプロモーター(CsVMVプロモーター;Verdaguerら(1996)Plant Molecular Biology、31: 1129-1139)、dsm−2 遺伝子(DSM2;米国特許出願公開第2011/0107455号明細書)及びアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のORF 1 3’非翻訳領域(AtuORF1 3’UTR;Huangら(1990)J. Bacteriol.、 172: 1814-1822)により構成された。コンストラクトpDAB114286は、TraP26キメラ葉緑体輸送ペプチドを含有する。
TraP27キメラ葉緑体輸送ペプチド配列を植物発現コンストラクトpDAB114287(図27)にクローニングし、アラビドプシス(Arabidopsis)において試験した。得られたコンストラクトは、2つの植物転写単位(PTU)を含んだ。第1のPTUは、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)のUbiquitin 10プロモーター(AtUbi10プロモーター;Callisら(1990)J. Biol. Chem.、 265: 12486-12493)、TraP27−dgt28融合遺伝子(TraP27−DGT28;配列番号28)及びアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のORF 23 3’非翻訳領域(AtuORF23 3’UTR;米国特許第5,428,147号)により構成された。第2のPTUは、キャッサバ葉脈モザイクウィルスプロモーター(CsVMVプロモーター;Verdaguerら(1996)Plant Molecular Biology、31: 1129-1139)、dsm−2遺伝子(DSM2;米国特許出願公開第2011/0107455号明細書)及びアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のORF 1 3’非翻訳領域(AtuORF1 3’UTR;Huangら(1990)J. Bacteriol.、172: 1814-1822)により構成された。コンストラクトpDAB114287は、TraP27キメラ葉緑体輸送ペプチドを含有する。
両コンストラクトは、制限酵素消化及び配列解析により確認した。コンストラクトを、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)に形質転換して、グリセロールストックとして保存した。最後に、コンストラクトを、上記に記載したアグロバクテリウム(Agrobacterium)の形質転換法により、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)に形質転換した。
植物形質転換:
新たに収穫したdgt−28及びDSM−2の発現カセットを含有するトランスジェニックT1種子を、室温で7日間乾燥させた。T1種子を、26.5×51cmの発芽トレイのそれぞれに、予め40mlの0.1%アガロース溶液中に懸濁した、湿層処理済みのT1種子(〜10,000種子)を200mgで分注して播種し、4℃で2日間保存し、休眠のための要件を完全にして種子の同時発芽を確実にした。
Sunshine Mix LP5土壌(Sunshine Mix LP5 soil(商標))をバーミキュライトの細粒で覆い、湿るまでホーグランド溶液で地下灌漑し、その後重力排水した。バーミキュライト上に、湿層処理済みの種子を各40mlの分注で、ピペットを用いて均等に播種し、4日から5日間湿度ドームで覆った。グルホシネート出芽後散布スプレーを用いての最初の形質転換体の淘汰(同時形質転換したdsm−2遺伝子に関する選択)の1日前に、ドームを除去した
播種7日後(7DAP(days after planting))と、播種11日後(11DAP)に再度、T1植物(それぞれ子葉期、2〜4葉期)に、Liberty(商標)除草剤(200g ai/Lのグルホシネート(Bayer Crop Sciences社、ミズーリ州カンザスシティ)の0.2%溶液を10ml/トレイ(703L/ha)の散布量で、DeVilbiss圧送式スプレーノズルを用いて散布し、1散布につき280g ai/haのグルホシネートの有効量を行き渡らせた。最終散布の4〜7日後に、生存植物(活発に成長中の植物)を特定し、培養土(Metro Mix 360(商標))で準備した3インチ植木鉢に独立に移植した。移植した植物は、3日から4日間湿度ドームで覆い、温室に移す前に22℃の成長チャンバー内に配置させるか、又は直接温室に移動させた。その後ドームを除去し、温室内で植物を栽培した(22±5℃、50±30%RH、明条件14時間:暗条件10時間、最小値500μE/m2s1の自然光+補光)。生存しているT1植物に対して分子確認分析を完了させ、グリホサート耐性遺伝子が、植物のゲノムに安定的に組み込まれていることを確認した。
分子確認
pDAB114286及びpDAB114287で形質転換されたアラビドプシス(Arabidopsis)植物のゲノム内に、dgt−28及びdsm−2導入遺伝子が存在していることを確認した。これらポリヌクレオチド配列の存在は、加水分解プローブ、遺伝子発現カセットPCR(植物転写単位PCR、PTU PCRとも説明される)、ウエスタンブロット及びELISA分析を介して確認した。
はじめに、T1のアラビドプシス(Arabidopsis)植物を選別し、dgt−28及びdsm−2導入遺伝子ならびに及びAtUbi10プロモーターの存在を確認した。遺伝子発現カセットPCRを介してイベントを選別して、dgt発現カセットが、再配列することなく、完全に植物ゲノムに組み込まれているかどうかを判断する。次に、TAQMAN(商標)に類似の加水分解プローブアッセイを介して、T1のアラビドプシス(Arabidopsis)植物を選別した。これら実験より生じたデータを用いて、導入遺伝子の複製数を判定し、自己施肥及びT2世代への成長の点で、選択されるアラビドプシス(Arabidopsis)イベントを特定する。以下に記載する加水分解プローブアッセイを用いて、T1のアラビドプシス(Arabidopsis)植物において、複製数を判定した。導入遺伝子数が変化する植物を特定し、その後のグリホサート耐性実験に進めた。
組織サンプルを、96ウェルプレートに収集し、2日間凍結乾燥させた。KLECO(商標)組織破砕機及びタングステンビーズ(Environ Metal INC社、オレゴン州スウィートホーム)を用いて、新しい組織を軟化(maceration)させた。組織を軟化後、Biosprint 96 Plant kit(商標)(Qiagen社、メリーランド州ジャーマンタウン)を用いて、製造元が推奨するプロトコルに従って、ゲノムDNAをハイスループット形式で単離した。単離後、gDNAはスタンダード希釈1:3で希釈した。加水分解プローブアッセイによる導入遺伝子複製数の判定は、LIGHTCYCLER(登録商標)480システム(Roche Applied Science社、インディアナ州インディアナポリス)を用いてリアルタイムPCRで行った。アッセイは、dsm−2、AtUbi10及び内部標準遺伝子TAFII15 (Genbank ID: NC 003075;Duarteら、BMC Evol. Biol.、10:61)に関して設計した。
増幅のために、LightCycler(登録商標)480 Probes Masterミックス(Roche Applied Science社、インディアナ州インディアナポリス)を、dsm−2及びAtUbi10の各プライマーを0.1μM、TAFII15の各プライマーを0.4μMならびに各プローブを0.2μM含有する、10μL量のマルチプレックス反応液中、1xの最終濃度で調製した(表1)。60℃で40秒間伸長して、蛍光取得しながら、二段階増幅反応を行った。全てのサンプルに対して行い、各サンプルを分析するために、平均サイクル数(cycle threshold)(Ct)の値を用いた。リアルタイムPCRデータの分析は、相対定量モジュール(relative quant module)を用いる、ΔΔCt法に基づくLightCycler software release 1.5(商標)を用いて行った。このため、1コピーの標準物質及び既知の2コピーの確認用物質よりのゲノムDNAのサンプルを、各走査に含ませた。T1トランスジェニックアラビドプシス(Arabidopsis)植物に関して、加水分解プローブスクリーニングの複製数結果が決定された。
表1.dsm−2、AtUbi10及び内部標準遺伝子(TAFII15)の加水分解プローブアッセイに関するプライマー及びプローブ情報
ウエスタンブロットを完了して、トランスジェニックシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)植物から得た葉サンプル中の発現したDGT−28タンパク質を検出した。Invitrogen(商標)装置及び基本試薬と共に、従来の電気泳動法及びブロッティング法を用いた。Gallagher S、Winston S、Fuller S、Hurrell J、“Immunoblotting and Immunodetection” Current Protocols in Immunology 8.10.1 - 8.10.28, November 2008。抗ウサギ抗体蛍光(Cy3)検出システムにより、一次抗体としてウサギの抗DGT−28抗体を用いて、DGT−28タンパク質を発現したトランスジェニック陽性イベントを検出した。インタクトなDGT−28タンパク質の生成により、ウエスタンブロットを介して、アッセイを行ったトランスジェニック植物が、適切な分子量でDGT−28タンパク質を発現したということが示唆された。ウエスタンブロットにより、異なる分子量である2つのタンパク質バンドを含むことが観察された。この2つのバンドは、葉緑体輸送ペプチドのdgt−28導入遺伝子からの切断で得られた、低分子量のプロセッシングされた第1のDGT−28タンパク質と、プロセッシングされておらず、かつ、葉緑体輸送ペプチド配列の切断で得られたのではない、大きい完全長の第2のTraP::DGT−28タンパク質とにより構成されているという仮説を立てた。
ELISAアッセイを用いて、ウエスタンブロットによりトランスジェニックイベントを特定し、かつ、qPCRアッセイが導入遺伝子を表したということを確認した。直径6mmの2つの葉サンプルを収集し、96ウェルクラスターチューブラックに移した。次に2つのDaisy(商標)スチールBB及び200μlの抽出バッファー(1%Brij(商標)0.5g/500ml、プロテアーゼ阻害剤5μl/mlを含んだ、50mM HEPES5.97g/500mlのバッファー(pH7.5))を各チューブに加えた。サンプルは、最大設定値で、KLECO(商標)組織破砕機で3分間粉砕した。サンプルを3,000×gで5分間遠心分離し、100μlの上澄みを空の試験管に移した。100μlの別の抽出バッファーを植物サンプルに加えて、さらに3分間ビーズミルにかけて、遠心分離し、この抽出物100μlを、第1の溶液100μlと合わせた。合わせた上澄みを攪拌し、集めて同日に分析した。
ELISAアッセイのために、モノクローナル抗体を成長させた。キャプチャー抗体クローンSW4−8F11を、マキシソーププレート上に、PBS中2μg/mlで被覆し、4℃で一晩インキュベートした。その後、プレートをPBS(10Xストック)、Tween(登録商標)−20を用いて、4ウェル量の該バッファーで洗浄した。ELISAプレートは、PBS(10Xストック)、Tween(登録商標)−20及び2%魚肉ゼラチンを、ウェル毎に200μl用いて、室温で2時間ブロッキングした。プレートをPBS(10Xストック)及びTween(登録商標)−20を用いて、4ウェル量の該バッファーで洗浄した。サンプルは、上記に記載したように、かつ、以下のバッファー中で、2倍希釈で60ng/mlから0.94ng/mlで標準曲線を与えるように調整した。1%Brij(商標)0.5g/500ml、プロテアーゼ阻害剤5μl/mlを含んだ、50mM HEPES5.97g/500mlのバッファー(pH7.5)。サンプル及び標準物質を、ウェル毎に100μl加え、室温で2時間振とうした。その後プレートをPBS(10Xストック)及びTween(登録商標)−20を用いて、4ウェル量の該バッファーで洗浄した。ペルオキシダーゼと結合した検出抗体クローンSW4−18F5を、濃度1μg/mlでウェル毎に100μlそれぞれ加え、室温で1時間インキュベートした。プレートをPBS(10Xストック)及びTween(登録商標)−20を用いて、4ウェル量の該バッファーで洗浄した。TMB(商標)(Pierce社)基質をウェル毎に100μl加え、およそ10分間インキュベートするか、又は適切な呈色になるまでインキュベートした。呈色は、ウェル毎に100μlの0.4MのH2SO4を加えて停止させた。Softmax(商標)ソフトウェアを用いて、プレートを450nmで読み込んだ。1コピーのT1イベントより得られたELISAデータは、標準偏差+/−33ng/cm2で、DGT−28タンパク質の発現が平均77ng/cm2を示した。
グリホサート耐性
はじめに、グルホシネートの選択スキームを用いて、非形質転換種子のバックグラウンドから、アラビドプシス(Arabidopsis)のT1形質転換体(pDAB114286又はpDAB114287による形質転換より)を選択した。各T1コンストラクトに関して、3床又は50,000種子を分析した。選択されたT1植物の分子を同定(上記に記載したように)し、ある範囲の複製数をもつイベントに対して、様々な量の市販のグリホサートを散布した。
dgt−28の導入遺伝子を含有するトランスジェニックT1アラビドプシス(Arabidopsis)植物に、異なる量のグリホサートを散布した。この実験において、散布量を増加させて、抵抗性の相対レベルを決定した(420、840、1,680又は3,360 g ae/ha)。通常の1Xフィールドのグリホサート使用量は、1120g ae/haである。これらの植物の反応を、散布後2週間(2WAT(2 weeks after treatment))の、視認される損傷のパーセンテージ(%)で提示している。この実験に用いたT1アラビドプシス(Arabidopsis)植物は、dgt−28導入遺伝子に関して可変の複製数をもつものである。低複製数のdgt−28のT1アラビドプシス(Arabidopsis)植物は、自己受粉して、T2植物の生成に用いた。表2は、dgt−28導入遺伝子植物間と、それに次ぐ野生型(非トランスジェニック)対照との比較を示す。
提示したデータは、個々の損傷がない又は損傷がほぼない植物(<20%)、中程度の損傷の植物(20〜40%)又は過度の損傷の植物(>40%)をそれぞれ示している。アラビドプシス(Arabidopsis)の形質転換に用いたコンストラクト毎に、単純平均及び標準偏差を提示している。量及び形質転換毎に、最後の列に個々の応答の範囲もまた提示している。野生型、非形質転換シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)c.v.Columbiaは、グリホサートに対して敏感に反応する対照としての機能を果たした。
グリホサート散布に対する植物応答レベルは、様々であった。この差異は、各植物が、独立の形質転換イベントを表しており、それにより対象とする遺伝子の複製数が植物間で様々であるという事実に起因するものであり得る。しかしながら、データは、TraP26及びTraP27の葉緑体輸送ペプチド配列と連結したdgt−28がグリホサートに対する保護をもたらすということを示している。
表2 ある範囲の出芽後散布グリホサート量に応答する、dgt−28で形質転換したT
1アラビドプシス(Arabidopsis)の非形質転換対照との比較。視認できる損傷のパーセンテージ(%)を、グリホサート散布後14日間記録した。