JP2018206868A - 固体電解コンデンサ、および、その製造方法 - Google Patents
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Description
該固体電解質層は、第一の導電性高分子、および、保湿物質を含む第一の固体電解質層、ならびに、第二の導電性高分子、および、少なくとも1種の水溶性多価アルコールと少なくとも1種の水溶性多価カルボン酸との縮重合物である樹脂を含む第二の固体電解質層、を有することを特徴とする固体電解コンデンサである。
弁金属の表面に酸化皮膜層を形成する工程と、
該酸化皮膜層の上に、第一の導電性高分子、および、保湿物質を含む第一の固体電解質層を形成する工程と、
該第一の固体電解質層上に、第二の導電性高分子、および、少なくとも1種の水溶性多価アルコールと少なくとも1種の水溶性多価カルボン酸との縮重合物である樹脂を含む第二の固体電解質層を形成する工程と、
を有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法である。
即ち、上記疎水性層に相当する第二の固体電解質層は、例えば、第二の導電性高分子と、少なくとも1種の水溶性多価アルコールと、少なくとも1種の水溶性多価カルボンとを含む混合液を、第一の固体電解質層上に塗布し、必要に応じて、乾燥(例えば、加熱)することにより作製することができる。このため、第二の固体電解質層中で徐々にポリエステル樹脂が形成されるため、第二の固体電解質層は徐々に疎水性になる。従って、第二の固体電解質層の疎水性が強くなる前に、乾燥操作などによって、第一の固体電解質層中に含有された保湿物質からも水分が適度になくなるため、層間剥離がほとんど起きず、ESRの上昇を抑制していると考えられる。また、保湿物質を、疎水性の高い第二の固体電解質層の内側に配される第一の固体電解質層中に含有させ、内包することで、保湿物質が含む水分の影響で、静電容量を大きく(大容量と)することができる。さらに、保湿物質を含む第一の固体電解質層を疎水性の高い第二の固体電解質層で被覆することにより、陰極側の固体電解質層に存在する保湿物質が固体電解質層から漏れ出して陽極側の端子まで流出し短絡経路ができることを防止することができる。その結果、高温高湿試験時のLC上昇を抑えることができる。
本発明の固体電解コンデンサは、図1および図2に示すように、弁金属(陽極導体)1と、弁金属1の表面に形成された誘電体酸化皮膜層(酸化皮膜層)2と、酸化皮膜層2の上に形成された固体電解質層3とを構成要素として少なくとも含む。また、この固体電解質層3は、図2に示すように、第一の固体電解質層3Aと第二の固体電解質層3Bとを有する。
これらの図に示す固体電解コンデンサは、弁金属1上に、酸化皮膜層2、第一の固体電解質層3Aと第二の固体電解質層3Bとから構成される固体電解質層3、並びに、グラファイト層5と銀層6とから構成される陰極導体4がこの順に形成された構造を有している。
また、弁金属1は弁金属リード9を有し、弁金属リード9は電極8に溶接により接続されている。また、銀層6は導電性接着剤層7を介してもう一方の電極8に接続されている。さらに、これらの図に示す固体電解コンデンサは、2つの電極8の一部を外部に露出した状態で外装樹脂10により覆われている。
なお、本発明の固体電解コンデンサは、電極8の代わりに配線を配した基板に、弁金属1から銀層6までの構造を形成したコンデンサ素子(図2の符号11)を、導電性接着剤や溶接などで接続した後、外装樹脂で覆う基板構造としても良い。
弁金属1は、例えば、弁金属の板、箔または線;弁金属の微粒子を含む焼結体;エッチングによって拡面処理された多孔質体金属などによって形成できる。
弁金属1を形成する弁金属としては、アルミニウム、タンタル、ニオブ、タングステン、チタンおよびジルコニウムから選択される少なくとも1種の弁金属、または、これらの弁金属の合金であることが好ましい。
酸化皮膜層2は、弁金属1の表面を電解酸化することで形成することができる層である。弁金属1が焼結体や多孔質体金属の場合には、この焼結体や多孔質体金属内部の空孔部にも酸化皮膜層2は形成できる。酸化皮膜層2の厚みは、電解酸化の電圧によって適宜調整できる。
固体電解質層3は、少なくとも、第一の導電性高分子および保湿物質を含む第一の固体電解質層3Aと、少なくとも1種の水溶性多価アルコールと少なくとも1種の水溶性多価カルボン酸との縮重合物であるポリエステル樹脂および第二の導電性高分子を含む第二の固体電解質層3Bとから構成される。なお、本発明の効果が得られる範囲で、固体電解質層3は、他の固体電解質層を有することもできる。即ち、固体電解質層3は、第一の固体電解質層3Aおよび第二の固体電解質層3Bを少なくとも含む2層以上の多層構造とすることができる。
第一の固体電解質層3Aは、第一の導電性高分子(第一の導電性高分子化合物)および、保湿物質を含む。
第一の導電性高分子は、固体電解コンデンサの分野で公知な導電性高分子を適宜用いることができる。第一の導電性高分子としては、例えば、ピロール、チオフェン、アニリンおよびそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(モノマー)を重合(例えば、化学酸化重合および電解重合)したもの(重合体)や、これらの重合体にポリ酸等のドーパントを複合化させたもの(複合体)を用いることができる。なお、第一の導電性高分子は、1種類を単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
また、上記分散性の第一の導電性高分子としては、例えば、ピロール、チオフェン、アニリンおよびそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の重合体に、ポリスチレンスルホン酸やポリエステルスルホン酸、ポリビニルスルホン酸などのポリ酸が複合した導電性高分子などが挙げられる。
本発明では、保湿物質を第一の固体電解質層中に含むことにより、コンデンサ素子内部に適度な水分を保持することができ、その結果、コンデンサ素子の乾燥時等に静電容量が低くなることを防ぐことができる。
即ち、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリビニルアルコール等のアルコール;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコール、ジグリセリン、ポリグリセリン等のエーテル;
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン等のアミド;
γ−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等のラクトン;
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート;
アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、アクリロニトリル等のニトリル;
N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等のウレア誘導体:
スルホラン、3−メチルスルホラン、ジメチルスルホン等のスルホン等が挙げられる。
保湿物質が、分子構造中に、ヒドロキシル基およびエーテル基のいずれか一方または両方を合計で2つ以上有することにより、コンデンサ素子内部に保湿物質を十分に保持することが容易となり、静電容量の低下を容易に防ぐことができる。
なお、固体電解質層は、図2に示すように、第一の固体電解質層と、第二の固体電解質層との間に空間を有することができ、この空間に、保湿物質が単独で存在することもできる。この空間にも保湿物質が単独で存在することで、第一の固体電解質層中の保湿物質の働きを補完することができる。
また、第一の固体電解質層において、第一の導電性高分子と保湿物質とが化学結合した状態で含まれていても良い。
有機高分子樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、以下のものを挙げることができる。なお、この有機高分子樹脂には、上記第一の導電性高分子及び上記保湿物質は含まれない。有機高分子樹脂は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
即ち、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリフタル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレングリコールフタレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリウレタン、ポリアセタール、ジアリルフタレート、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリシロキサン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、フッ素樹脂、尿素樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、ポリ乳酸等が挙げられる。
第一の固体電解質層における有機高分子樹脂等の他の成分の含有割合は、適宜設定することができ、特に限定されない。
第二の固体電解質層3Bは、第二の導電性高分子(第二の導電性高分子化合物)、および、少なくとも1種の水溶性多価アルコールと少なくとも1種の水溶性多価カルボン酸との縮重合物である樹脂(以降、疎水性樹脂やポリエステル樹脂と称することがある)を含む。
第二の導電性高分子は、固体電解コンデンサの分野で公知な導電性高分子を適宜用いることができる。第二の導電性高分子としては、例えば、第一の導電性高分子において上述した導電性高分子を同様に用いることができる。なお、第二の導電性高分子としては、導電率や耐熱性の観点から、ポリチオフェン系導電性高分子(PEDOT−PSS)を用いることが好ましい。
第二の固体電解質層に含まれる疎水性樹脂は、上述したように、少なくとも1種の水溶性多価アルコールと、少なくとも1種の水溶性多価カルボン酸とが、縮重合することにより得られる樹脂である。この疎水性樹脂は、1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
上記水溶性多価アルコールとは、2つ以上のヒドロキシル基を持つアルコールである。
なお、ここで、「水溶性」とは、水を主溶媒とした溶液中に、完全に溶解することを意味する。ここで、「主溶媒」とは、上記溶液に用いる溶媒(溶剤)のうち、最も多く含まれている成分(溶媒)を意味する。水溶性多価アルコールは、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
上記水溶性多価カルボン酸とは、上述した水溶性多価アルコールと縮重合可能なカルボキシル基(−COOH基)を2つ以上有するカルボン酸である。水溶性多価カルボン酸は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
陰極導体4は、導体であれば特に限定されないが、グラファイト層5や銀層6などから構成され、固体電解質層3によって引き出される容量を集電するために形成される。なお、陰極導体は形成されなくても良く、固体電解質層3と陰極側の電極8を直接接合しても良い。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法は、以下の工程を有する。
弁金属の表面に酸化皮膜層を形成する工程(酸化皮膜層形成工程)。
上記酸化皮膜層の上に、第一の導電性高分子、および、保湿物質を含む第一の固体電解質層を形成する工程(第一の固体電解質層形成工程)。
上記第一の固体電解質層上に、第二の導電性高分子、および、上述した疎水性樹脂を含む第二の固体電解質層を形成する工程(第二の固体電解質層形成工程)。
弁金属1を形成する方法は、固体電解コンデンサの分野で従来行われてきた方法を適宜用いることができる。例えば、弁金属の箔のエッチング又は弁金属の粉末の焼結体の形成により、陽極導体を作製することができる。
弁金膜の表面に酸化皮膜層2を形成する方法は、固体電解コンデンサの分野で従来行われてきた方法を適宜用いることができる。例えば、得られた弁金属の表面を電解酸化することによって酸化皮膜層を形成することができる。
この工程では、酸化皮膜層上に、第一の導電性高分子および保湿物質を含む第一の固体電解質層3Aを形成できる方法であれば、特に限定されず用いることができるが、例えば、以下の2種類の方法により行うことができる。なお、これらの方法を組合せて第一の固体電解質層を形成しても良い。
上記酸化皮膜層の上に、第一の導電性高分子と、保湿物質とを含む混合液(第一の固体電解質層形成用材料)を塗布又は含浸させて、上記第一の固体電解質層を形成する方法(第IIの方法)。
(a)第一の導電性高分子層形成工程
第Iの方法では、まず、酸化皮膜層上に第一の導電性高分子層(保湿物質を含有させる前の第一の固体電解質層)を形成する。
この第一の導電性高分子層は、例えば、以下の方法により形成することができる。即ち、酸化皮膜層上に、第一の導電性高分子層形成用材料(第一の導電性高分子溶液又は懸濁液)を塗布又は含浸し、必要に応じて乾燥操作を行うことにより、この材料から溶剤を除去することにより形成することができる。なお、この乾燥操作を行わずに、得られた第一の導電性高分子層に保湿物質を含有させた後に、乾燥操作を行うこともできる。
なお、第一の導電性高分子(重合体)は、例えば、以下の方法により調製することができる。具体的な調製方法としては、まず、ドーパントを含む溶剤中で、導電性高分子を与える化合物(モノマー)に対して化学酸化重合又は電解重合等を行うことにより、導電性高分子を作製する。そして、必要に応じて、ろ過、遠心分離および溶剤による洗浄等によって、不純物(ドーパント、未反応モノマーおよび酸化剤由来の不純物等)の除去を行うことにより、高純度の導電性高分子を得ることができる。
なお、第一の導電性高分子層を形成する際に、第一の導電性高分子層形成用材料の塗布と、含浸とを併用することも可能である。
第一の導電性高分子層中に保湿物質を含有させる方法は、特に限定されないが、例えば以下の2種類の方法により行うことができる。
即ち、液状の保湿物質を第一の導電性高分子層中に含浸させる方法、または、保湿物質と溶剤とを含む溶液(保湿溶液)を第一の導電性高分子層中に含浸させて、その後、この溶剤を除去する方法である。
上記液状の保湿物質としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ジグリセリン、ポリグリセリン及びγ−ブチロラクトンなどを挙げることができる。
また、保湿溶液に用いる溶剤としては、例えば、水や、水と水に可溶な有機溶媒とを含む混和溶媒や、水に可溶な有機溶媒などを用いることができる。保湿溶液中の保湿物質の含有割合(濃度)は、第一の導電性高分子層への浸透性の観点から60質量%以下が好ましい。
乾燥時間は、乾燥温度によって適宜選択できるが、第一の導電性高分子の導電性が損なわれない範囲、さらに、保湿物質が揮発しない範囲であれば特に制限されない。
第IIの方法では、第一の導電性高分子(重合体および必要に応じてポリ酸等と複合させたもの)と、保湿物質とを含む混合液(第一の固体電解質層形成用材料)を調製し、この混合液を酸化皮膜層上に塗布又は含浸させて、(必要に応じて乾燥操作を行い(用いた溶剤等を除去することにより))上記第一の固体電解質層を形成する。
第一の固体電解質層形成用材料に用いる、第一の導電性高分子(重合体および必要に応じてポリ酸等と複合させたもの)、保湿物質、他の成分および溶剤は、上述したものを同様に用いることができる。
第一の固体電解質層形成用材料を塗布又は含浸する方法は、特に制限されないが、空孔部内部の酸化皮膜層にも、十分にこの材料を充填させるために、この材料を塗布又は含浸した後に、数分〜数10分放置することが好ましい。また、第一の固体電解質層形成用材料の塗布操作(例えば、浸漬操作)を繰り返したり、減圧方式又は加圧方式を採用したりすることが好ましい。なお、第一の固体電解質層を形成する際に、第一の固体電解質層形成用材料の塗布と、含浸とを併用することも可能である。
この工程では、第一の固体電解質層3A上に、第二の導電性高分子と、上述した疎水性樹脂とを含む第二の固体電解質層3Bを形成できる方法であれば、特に限定されず用いることができるが、例えば、以下の方法により行うことができる。
即ち、上記第二の導電性高分子(重合体又は複合体)と、少なくとも1種の上記水溶性多価アルコールと、少なくとも1種の上記水溶性多価カルボン酸とを含む混合液(第二の固体電解質層形成用材料)を、第一の固体電解質層上に塗布し、必要に応じて加熱等することにより、少なくとも1種の該水溶性多価アルコールおよび少なくとも1種の該水溶性多価カルボン酸の縮合物を形成するとともに、第二の固体電解質層を形成する方法。
なお、この材料に用いる、第二の導電性高分子、水溶性多価アルコールおよび水溶性多価カルボン酸、並びに、これらの化合物の使用量等については、上述したものをそのまま適用できる。
陰極導体を形成する工程は、例えば、以下のグラファイト層形成工程と、銀層形成工程とを含むことができる。
グラファイト層5の形成には、固体電解コンデンサの分野で従来行われてきた方法を適宜用いることができる。例えば、固体電解質層3(詳しくは、第二の固体電解質層3B)上にグラファイトペーストを塗布又は含浸し、必要に応じて、乾燥を行い、グラファイトペーストに用いられる溶剤を除去する方法を用いることができる。その際、乾燥温度は、溶剤除去が可能な温度範囲であれば特に限定されないが、固体電解質層に含まれる導電性高分子の導電性を損なわないようにするため260℃未満であることが好ましい。乾燥時間は、乾燥温度によって適宜選択されるが、これも上記導電性高分子の導電性を損なわない範囲であれば特に制限されない。
銀層6の形成には、固体電解コンデンサの分野で従来行われてきた方法を適宜用いることができる。例えば、グラファイト層5上に、銀ペーストを塗布または含浸し、必要に応じて、乾燥を行い、銀ペーストに用いられる溶剤を除去する方法を用いることができる。その際、乾燥温度は、溶剤除去が可能な温度範囲であれば特に限定されないが、固体電解質層に含まれる導電性高分子の導電性を損なわないようにするため260℃未満であることが好ましい。乾燥時間は、乾燥温度によって適宜選択されるが、これも上記導電性高分子の導電性を損なわない範囲であれば特に制限されない。
導電性接着剤層7の形成には、固体電解コンデンサの分野で従来行われてきた方法を適宜用いることができるが、例えば、銀層6上に、導電性接着剤ペーストを塗布し、その上から電極8を重ねた状態で、必要に応じて、乾燥を行い、導電性接着剤ペーストに用いられる溶剤を除去する方法を用いることができる。乾燥温度は、溶剤除去が可能な温度範囲であれば特に限定されないが、固体電解質層に含まれる導電性高分子の導電性を損なわないようにするため260℃未満であることが好ましい。乾燥時間は、乾燥温度によって適宜選択されるが、これも上記導電性高分子の導電性を損なわない範囲であれば特に制限されない。
外装樹脂10の形成方法も特に限定されず、固体電解コンデンサの分野で従来行われてきた方法を適宜用いることができる。外装樹脂に使用する樹脂は、特に限定されないが、通常、熱硬化性エポキシ樹脂が用いられる。なお、外装樹脂をトランスファーモールド成型する際に、コンデンサ素子は一時的に180℃程度の熱に曝されることになる。
実施例1では、図1および図2に示す固体電解コンデンサを下記の方法で製造した。
具体的には、弁金属としてのタンタル微粉末の焼結体(ペレット)を、リン酸水溶液中、40Vで電解酸化し、タンタル微粉末の焼結体の表面全体を酸化皮膜層で被覆した(酸化皮膜層形成工程)。
なお、上記静電容量、ESR、および、LCの評価は、いずれも上記製造方法で得られた1000個の固体電解コンデンサに対して行われ、各評価結果は、これら1000個の平均値として表した。また、LCの評価結果については、全個数(1000個)中、LC不良が起こった個数を発生率(%)として記載した。なお、LC不良は、25℃で定格電圧印加5分後の値が132μA以上と定義した((コンデンサの定格電圧20V)×(静電容量33μF)×0.2=132μA)。
保湿物質として、プロピレングリコールの代わりに、γ−ブチロラクトン(沸点:204℃)を使用した以外は、実施例1と同様にして、固体電解コンデンサを製造し、各評価を行った。結果を表1に示す。
保湿物質として、プロピレングリコールの代わりに、グリセリン(沸点:290℃)を使用した以外は、実施例1と同様にして、固体電解コンデンサを製造し、各評価を行った。結果を表1に示す。
第一の固体電解質層を、以下の方法により形成した以外は、実施例1と同様にして、固体電解コンデンサを製造し、各評価を行った。結果を表1に示す。
続いて、上述した酸化皮膜層で被覆されたペレットを、この第一の固体電解質層形成用材料中に、10分間浸漬させ、温度:25℃、相対湿度:50%RHの環境下に60分間保持後、150℃の恒温槽中にて30分間乾燥を行い、溶剤の除去を行った。これにより、酸化皮膜層上に、保湿物質であるグリセリンと、第一の導電性高分子であるPEDOT−PSSとを含む第一の固体電解質層を形成した(第一の固体電解質層形成工程)。
第二の固体電解質層を、以下の方法により形成した以外は、実施例3と同様にして、固体電解コンデンサを製造し、各評価を行った。結果を表1に示す。
第二の固体電解質層を、以下の方法により形成した以外は、実施例3と同様にして、固体電解コンデンサを製造し、各評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、第一の固体電解質層中に保湿物質を含有させなかった以外は、実施例1と同様にして、固体電解コンデンサを製造し、各評価を行った。結果を表1に示す。
2:誘電体酸化皮膜層(酸化皮膜層)
3:固体電解質層
3A:第一の固体電解質層
3B:第二の固体電解質層
4:陰極導体
5:グラファイト層
6:銀層
7:導電性接着剤層
8:電極
9:弁金属リード
10:外装樹脂
11:コンデンサ素子
Claims (8)
- 弁金属、該弁金属の表面に形成された酸化皮膜層、および、該酸化皮膜層の上に形成された固体電解質層を含む固体電解コンデンサであって、
該固体電解質層は、
第一の導電性高分子、および、保湿物質を含む第一の固体電解質層、
ならびに、
第二の導電性高分子、および、少なくとも1種の水溶性多価アルコールと少なくとも1種の水溶性多価カルボン酸との縮重合物である樹脂を含む第二の固体電解質層、
を有することを特徴とする固体電解コンデンサ。 - 前記保湿物質が、分子構造中に、ヒドロキシル基およびエーテル基のいずれか一方または両方を合計で2つ以上有し、かつ、200℃以上の沸点を有する有機化合物である、請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- 弁金属と、該弁金属の表面に形成された酸化皮膜層と、該酸化皮膜層の上に形成された、第一の固体電解質層および第二の固体電解質層を有する固体電解質層とを含む固体電解コンデンサの製造方法であって、
弁金属の表面に酸化皮膜層を形成する工程と、
該酸化皮膜層の上に、第一の導電性高分子、および、保湿物質を含む第一の固体電解質層を形成する工程と、
該第一の固体電解質層上に、第二の導電性高分子、および、少なくとも1種の水溶性多価アルコールと少なくとも1種の水溶性多価カルボン酸との縮重合物である樹脂を含む第二の固体電解質層を形成する工程と、
を有することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。 - 前記第一の固体電解質層を形成する工程が、
前記酸化皮膜層の上に、前記第一の導電性高分子を含む第一の導電性高分子層を形成し、得られた第一の導電性高分子層中に、保湿物質を含有させることにより、該第一の固体電解質層を形成する工程である、請求項3に記載の固体電解コンデンサの製造方法。 - 前記第一の固体電解質層を形成する工程において、前記第一の導電性高分子層中に前記保湿物質を含有させる方法が、液状の該保湿物質を該第一の導電性高分子層中に含浸させる方法、または、該保湿物質と溶剤と含む溶液を該第一の導電性高分子層中に含浸させて、その後、該溶剤を除去する方法である、請求項4に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
- 前記第一の固体電解質層を形成する工程が、
前記酸化皮膜層の上に、前記第一の導電性高分子と、前記保湿物質とを含む混合液を塗布または含浸させて、該第一の固体電解質層を形成する工程である、請求項3に記載の固体電解コンデンサの製造方法。 - 前記第二の固体電解質層を形成する工程が、
前記第二の導電性高分子と、前記少なくとも1種の水溶性多価アルコールと、前記少なくとも1種の水溶性多価カルボン酸とを含む混合液を、前記第一の固体電解質層上に塗布することにより、前記縮合物を形成するとともに、該第二の固体電解質層を形成する工程である、請求項3〜6のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。 - 前記保湿物質が、分子構造中に、ヒドロキシル基およびエーテル基のいずれか一方または両方を合計で2つ以上有し、かつ、200℃以上の沸点を有する有機化合物である、請求項3〜7のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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