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JP2018205069A - 光計測装置 - Google Patents

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JP2018205069A JP2017109465A JP2017109465A JP2018205069A JP 2018205069 A JP2018205069 A JP 2018205069A JP 2017109465 A JP2017109465 A JP 2017109465A JP 2017109465 A JP2017109465 A JP 2017109465A JP 2018205069 A JP2018205069 A JP 2018205069A
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Abstract

【課題】球面収差を補正することにともなう焦点ずれを補正して信号強度を確保することができる光計測装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る光計測装置は、試料における合波光の焦点位置を所定範囲内に抑えながら球面収差を補正することができる、収差補正レンズと対物レンズとの間の位置関係を記述したデータを、あらかじめ記憶しておき、前記データにしたがって前記球面収差を補正する。
【選択図】図6

Description

本発明は、試料に対して光を照射することにより計測する光計測装置に関する。
光学顕微鏡は、自然科学、工学、産業分野において必須の装置として発展してきた。特に近年は、再生医療や創薬の分野において細胞を観察する際に光学顕微鏡を用いる場合があり、光学顕微鏡の機能を高めることに対するニーズが高まっている。現在の細胞解析においては、試薬を用いて細胞を染色した上で、顕微鏡などを用いて観察するのが一般的である。しかしこの方法は、染色によって細胞に対する影響が生じるので、同一の細胞を継続的に解析することや、検査した細胞を直接医療用途で用いることが困難である。
CARS(Coherent Anti−Stokes Raman Scattering)顕微鏡は、非線形光学効果の応用により、ラマン顕微鏡と比較して高速に分子同定することができる。CARS顕微鏡は非侵襲で試料を観察できるので、細胞観察用途に好適である。
下記特許文献1は、CARS光のうち特定のスペクトル成分のみを検出する構成例を記載している。下記特許文献2は、広帯域光源を用いて発生するCARS光を分光検出する多色CARS顕微鏡について記載している。多色CARS顕微鏡は、CARS光の分光スペクトルからラマンスペクトルを推定できるので、取得できる情報量が多く、測定対象をより詳細に解析することができる。
下記特許文献3は、顕微鏡によって試料を撮像する際に、球面誤差を識別し補正する方法を開示している。同文献においては、制御ユニットが補正レンズ要素を電動調整することにより球面誤差を補正する。さらに、オートフォーカス統制装置を介して、顕微鏡検査中に生じるデフォーカス状況を解消することを図っている。
米国特許6108081号明細書 特開2009−222531号公報 特開2013−088809号公報
上記特許文献3は、反射光を用いて球面収差補正とオートフォーカスを実施する技術であり、反射面(例えば試料の表面)を観察する場合において有効であると考えられる。一方で細胞内部を観察する場合などのように、反射面が存在しない試料をCARSによって測定する際には、新たな課題が生じる。
CARSにおいて細胞を光軸方向に沿って移動させて撮像する場合、集光対物レンズと集光位置との間のサンプル厚みが移動によって変化し、これにより球面収差が発生する。信号強度を確保するためには、集光対物レンズの位置に対応する動的な球面収差補正が有効である。しかし他方で球面収差補正を実施すると、その球面収差補正によって集光位置が変化する。したがってCARS光生成点が検出対物レンズの焦点位置からずれ、信号強度が低下する。
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、球面収差を補正することにともなう焦点ずれを補正して信号強度を確保することができる光計測装置を提供することを目的とする。
本発明に係る光計測装置は、試料における合波光の焦点位置を所定範囲内に抑えながら球面収差を補正することができる、収差補正レンズと対物レンズとの間の位置関係を記述したデータを、あらかじめ記憶しておき、前記データにしたがって前記球面収差を補正する。
本発明に係る光計測装置によれば、試料の内部をCARSによって測定する場合であっても、球面収差を補正することにより信号強度が低下することを抑制し、測定可能な深さを向上させることができる。
CARSにおけるエネルギー準位図である。 非共鳴項χnr (3)に関係する1つのプロセスを示す。 広帯域光源を用いる場合のプロセス例である。 従来の多色CARS顕微鏡の構成図である。 実施形態1に係る光計測装置1000の構成例を示す模式図である。 収差補正機構750による収差補正の詳細を示す模式図である。 サンプル714内部の焦点位置を一定に保ちながら高い強度のCARS光を検出するための、収差補正レンズ752の移動量dz1と対物レンズ713の移動量dz2との間の関係を示す計算結果である。 サンプル714内部における計測深さとスポット光強度の3乗との間の関係を示す計算結果である。 図8に示す計算を実施する際に用いた収差補正レンズ752の移動量dz1の計算結果を示す。 図8に示す計算を実施する際に用いた対物レンズ713の移動量dz2の計算結果を示す。 図8に示す計算結果における焦点位置の変化を示す。 式3にしたがってdz1(z,n0)を算出した結果を示す。 式4にしたがってdz2(z,n0)を算出した結果を示す。 式1と式2にしたがって収差補正レンズ752と対物レンズ713を同時に移動して収差補正をした場合におけるスポット光強度の計算結果を示す。 式1と式2にしたがって収差補正レンズ752と対物レンズ713を同時に移動して収差補正をした場合における光スポット位置の変化を示す。 実施形態3に係る収差補正機構750による収差補正の詳細を示す模式図である。 サンプル内計測深さを所望値となるようにする様子を示す。 dz1を制御する様子を示す。 波面収差とスポット光強度の3乗値の関係を示す。 実施形態1〜3におけるコントローラ700による制御手順を示すフローチャートである。 実施形態4に係る収差補正機構750の模式図である。 空間位相変調器753が付与する位相分布を示す計算結果を示す。 サンプル714内部の計測深さとスポット光強度の3乗の関係を示す計算結果である。 実施形態5に係る光計測装置1000の構成図である。 実施形態5に係る光計測装置1000の動作を説明するフローチャートである。 実施形態6に係る光計測装置1000の構成図である。 実施形態6の変形例である。 実施形態6に係る光計測装置1000の動作を説明するフローチャートである。 脂肪細胞のCARSスペクトルを本実施形態6で説明した色収差補正前後で比較した結果である。 実施形態7に係る収差補正機構750を示す模式図である。 実施形態7に係る収差補正機構750の別構成例を示す模式図である。 対物レンズ713の位置を再補正するための移動量を計算した結果を示す。
<CARS顕微鏡の基本原理について>
以下では本発明の理解を促進するため、まずCARS顕微鏡の基本原理および球面収差を補正することにともなう課題についてその概略を説明する。その後に本発明の実施形態について説明する。
CARSは、3次の分極による発光である。CARS光を発生させるためには、ポンプ光、ストークス光、プローブ光が必要である。一般的には、光源の数を少なくするため、プローブ光はポンプ光で代用される。この場合、誘起される3次の分極は下記式Aで表される。χ (3)AS)は3次の電気感受率の分子振動の共鳴項であり、周波数依存性のないχnr (3)は非共鳴項である。ポンプ光及びプローブ光の電場をEで表し、ストークス光の電場はEで表している。Eの肩についたアスタリスクは複素共役を示す。CARS光の強度は下記式Bで表される。
AS (3)AS)=|χr (3)AS)+χnr (3)|EP 2P)E* SS) (A)
CARSAS)∝|PAS (3)AS)|2 (B)
図1は、CARSにおけるエネルギー準位図である。CARS光が発生する機構を、図1に示した分子のエネルギー準位図を用いて説明する。図1は、式1の共鳴項のプロセスを示している。符号2001は分子の基底状態を表し、符号2002は振動励起状態を表す。周波数ωのポンプ光と周波数ωのストークス光を同時に照射する。このとき分子は中間状態2003を介して振動励起状態2002のいずれかに励起される。励起状態にある分子に周波数ωのプローブ光を照射すると、中間状態2004を介して周波数ωASのCARS光を発生しながら、分子は基底状態2001に戻る。このときのCARS光の周波数はωAS=2・ω−ωと表される。
図2は、上記3次の分極のうち非共鳴項χnr (3)に関係する1つのプロセスを示す。図2のプロセスにおいては、周波数ωのポンプ光と周波数ω’のストークス光を同時照射することによって、振動励起状態2002ではなく中間状態2005が励起されている。周波数ωのプローブ光を照射することにより、中間状態2004を介して周波数ωASの非共鳴のCARS光が発生する。
図3は、広帯域光源を用いる場合のプロセス例である。CARS顕微鏡のうち、ストークス光として広帯域な光源を用いることにより発生するCARS光を分光検出するものは多色CARS顕微鏡(もしくはマルチプレックスCARS顕微鏡)と呼ばれている。
図4は、従来の多色CARS顕微鏡の構成図である。短パルスレーザ光源2301からの出力は、ビームスプリッタ2302によって2分岐される。分岐光の一方はフォトニック結晶ファイバ2303などの光ファイバに導入され、その内部において広帯域な光(スーパーコンティニューム光と呼ばれる)が発生する。スーパーコンティニューム光が光ファイバから出射されると、ロングパスフィルタ2304は所望の波長成分(励起光よりも波長が長い成分)のみを抽出し、これがストークス光として用いられる。もう一方の励起光とストークス光は、ダイクロイックミラー2305によって合波される。合波光は、集光対物レンズ2309によってサンプル2306に集光・照射される。これによりサンプル2306からCARS光が発生し、検出対物レンズ2310はそのCARS光を収集して平行光に変換する。分光器2307は、そのCARS光を検出して波長スペクトルを取得する。
ステージ2308がサンプル2306の位置を移動させることにより、サンプル2306内の各空間点におけるCARSスペクトルを取得する。特定波長のスペクトル強度を位置に対してマッピングすることにより、CARSスペクトルイメージが得られる。
このように、CARSスペクトルイメージを得る際には入射光を走査するのではなく、サンプル2306の位置を移動させることが一般的である。この理由として、集光対物レンズ2309の焦点位置と検出対物レンズ2310の焦点位置を一致させることが容易であることが挙げられる。
CARS顕微鏡においては、パワー密度を確保するため、集光対物レンズ2309として高NA(開口数)(例えば0.9程度)のレンズが用いられる。この場合、レンズ中心近傍を通過する光の集光位置とレンズ周辺部を通過する光の集光位置がずれる球面収差が生じるので、収差補正レンズなどによって球面収差を補正する。しかし球面収差を補正することにより、集光対物レンズ2309の焦点位置が検出対物レンズ2310の焦点位置からずれてしまうので、検出時の光強度が低下するという課題がある。
<実施の形態1>
図5は、本発明の実施形態1に係る光計測装置1000の構成例を示す模式図である。光計測装置1000は、ビームエキスパンダ型の収差補正機構750を備えている。収差補正機構750は、コントローラ700からの指示にしたがって動作する。コントローラ700は、光計測装置1000の全体動作を制御するとともに、ユーザからの測定指示を受け付ける入力インターフェース(例えば後述するインターフェース1110)と測定結果を表示する出力インターフェースを備える。
短パルスレーザ光源701は、コントローラ700からの指示にしたがって短パルスレーザ光を出射する。短パルスレーザ光源701は、例えばチタンサファイアレーザやファイバレーザ、マイクロチップレーザなどの光源であり、パルス幅はナノ秒以下である。ピークパワーは、非線形光学効果を誘起するため、キロワットオーダ以上が望ましい。波長は測定対象の吸収帯域や用いる光学部品の波長仕様などに基づき適宜選定すればよい。例えば800nmや1064nmなどの波長を用いることができる。
レーザ光は、1/2波長板702と偏光ビームスプリッタ703に入射する。1/2波長板702は、コントローラ700からの指示にしたがってレーザ光の偏光方向を変化させる。偏光ビームスプリッタ703は、偏光方向に基づいたパワー分岐比でレーザ光を透過成分と反射成分とに分岐する。
偏光ビームスプリッタ703を透過したレーザ光は、集光レンズ704によってフォトニック結晶ファイバ705の端面に集光される。フォトニック結晶ファイバ705は、コアの周囲に蜂の巣状の中空のクラッドが形成された光ファイバであり、入射光をコアに強く閉じ込める。フォトニック結晶ファイバ705に対して短パルスレーザ光を入射することにより、自己位相変調や四光波混合などの非線形光学現象が誘起され、これにより幅広いスペクトルを有するスーパーコンティニューム光が生成される。
生成されたスーパーコンティニューム光は、コリメートレンズ706によって平行光となり、ロングパスフィルタ707によって短波長成分がカットされたのち、ダイクロイックミラー708に到達する。ダイクロイックミラー708は、ポンプ光波長を反射しそれ以外の波長の光を透過する。収差補正機構750は、透過光に対してサンプル714の種別と計測深さに応じた波面補正を実施する。補正後の光はストークス光として対物レンズ713に入射する。
偏光ビームスプリッタ703によって反射されたレーザ光は、ミラー709、ミラー712、およびダイクロイックミラー708によって反射され、同様に収差補正機構750にて波面補正を施された後、ポンプ光として対物レンズ713に入射する。
対物レンズ713は、ダイクロイックミラー708によって同軸上に合波された広帯域ストークス光とポンプ光とを、サンプル714に対して集光する。サンプル714内におけるストークス光とポンプ光のエネルギー密度を増加させ、CARS光を生成する効率を向上させるためには、対物レンズ713の開口数は例えば0.8以上など高いほうが望ましい。
サンプル714において前述のCARS過程が誘起され、サンプル714の分子種に対応する波長のCARS光が生成される。コリメートレンズ716は、CARS光を平行光に変換する。ノッチフィルタ717とショートパスフィルタ718は、ポンプ光とストークス光の透過成分をカットする。分光器719は、CARSスペクトルを検出し、その結果をコントローラ700に対して通知する。
収差補正機構750は、焦点を共有する1組の収差補正レンズを有する。収差補正機構750は、コントローラ700からの指示にしがって、サンプル714の種別(屈折率)と計測深さに応じて、図示しない駆動機構を用いて収差補正レンズのうち1つを光軸方向(z方向)に沿って移動させることにより、球面収差を補正する。このときコントローラ700は、サンプル714内部の焦点位置が変化しないように、あらかじめ定められた関係(詳細は後述)にしたがって、図示しない駆動機構を用いて対物レンズ713を光軸方向に沿って移動させる。以上により、サンプル714の種別と計測深さが変化しても、発生するCARS光の減衰を抑制するとともに、分光器719が受光するCARS光の減衰を抑制することを図る。
図6は、収差補正機構750による収差補正の詳細を示す模式図である。ここでは収差補正機構750として、収差補正レンズ751と752を用いた構成例を示した。これらレンズは、焦点を共有するビームエキスパンダ光学系を構成するものである。記憶部1100は、後述するデータテーブルを記憶する記憶装置である。
収差補正レンズ752と対物レンズ713は、それぞれアクチュエータ761と762に搭載されている。アクチュエータ761と762は、コントローラ700からの指示にしたがって、収差補正レンズ751と752それぞれの位置を光軸方向(z方向)に沿って独立に制御する。
サンプル714内部の例えば100μm以上の深さ位置を観測する場合、サンプル714の屈折率に応じて球面収差が発生する。これにより図6に示すように、対物レンズ713の開口半径位置に応じて焦点位置が変化する。CARS光はスポットの光強度の3乗に比例して発生するので、焦点位置がずれるとCARS光が大きく減衰してサンプル714の情報を正しく取得することが困難となる。収差補正レンズの移動量をdz1、対物レンズの移動量をdz2とし、コントローラ700がdz1とdz2を適切に定めることにより、サンプル714内部の焦点位置を一定に保ったまま、球面収差を補正することができる。
以下、光線追跡法を用いて波面収差とスポット光強度を計算することを通じて、本発明の効果を検証する。特に言及しない場合、光学条件を以下とする:ポンプ光の波長は1064nm、対物レンズ713は水浸タイプ開口数1.2、収差補正レンズ752の開口数は0.15である。
水の屈折率は1.333であり、一般のカバーガラスの屈折率は1.52である。公知文献(Biomedical Photonics Handbook 2nd Edition,volume1,CRC Press,Tuan Vo−Dinh.)によると、人体組織の屈折率は、目、角質、骨、歯などの特殊な組織を除くと、脳、心臓、腎臓、脾臓、胃、筋肉なとの主要組織において1.36から1.38であり、膀胱壁や動脈において1.39から1.40である。iPS細胞やES細胞などの細胞は、培養液中で培養されるので屈折率は水に近く、細胞の密度や培養液の状態に応じて1.333から1.35程度になるものと考えることができる。
図7は、サンプル714内部の焦点位置を一定に保ちながら高い強度のCARS光を検出するための、収差補正レンズ752の移動量dz1と対物レンズ713の移動量dz2との間の関係を示す計算結果である。サンプル714の屈折率は1.38とした。図7に示す関係にしたがって、収差補正レンズ752と対物レンズ713それぞれの光軸方向位置を制御することにより、焦点位置を変化させずに波面収差を最小化することができる。サンプル714の屈折率が変わると図7の関係も変わるが、後述するように、生体組織の屈折率範囲において、簡便な1次近似補正を適用することもできる。
図8は、サンプル714内部における計測深さとスポット光強度の3乗との間の関係を示す計算結果である。CARS光の強度はスポット光強度の3乗に比例するので、図8の縦軸はCARS光の強度に比例する。
図8(a)は収差補正をしない場合の結果を示す。サンプル714の屈折率が1.36から1.38(生体主要組織に相当)である場合、深さ50μm程度でCARS光の強度が1/2以下に減衰してしまうことがわかる。
図8(b)は、図7に示す関係にしたがって、収差補正レンズ752と対物レンズ713を同時に移動して収差補正をした場合の計算結果を示す。サンプル714の屈折率が1.34から1.39の範囲においては、深さ500μm以上にわたってCARS光の強度を1/2以上に維持できることがわかる。培養細胞のように細胞の濃度が薄い場合、屈折率は1.333〜1.34の範囲であるので、さらに計測深さを深くできることは言うまでもない。サンプル714の屈折率が1.40の場合、CARS光強度を1/2以上に維持できる範囲は深さ約400μmまでである。屈折率1.525は一般のカバーガラスの場合に相当し、深さ約100μmまでしか収差補正ができないことがわかる。
図9は、図8に示す計算を実施する際に用いた収差補正レンズ752の移動量dz1の計算結果を示す。図9に示すように、サンプル714の屈折率が大きくなるにしたがってdz1が大きくなることがわかる。
図10は、図8に示す計算を実施する際に用いた対物レンズ713の移動量dz2の計算結果を示す。図10に示すように、サンプル714の屈折率が大きくなるにしたがってdz2の絶対値が大きくなることがわかる。
図11は、図8に示す計算結果における焦点位置の変化を示す。図11に示すように、サンプル714内部の計測深さによらず、焦点位置は変化しないことがわかる。サンプル714の屈折率の範囲は1.333から1.40である。
<実施の形態1:まとめ>
本実施形態1に係る光計測装置1000は、図7に示す関係にしたがって、収差補正レンズ752の位置と対物レンズ713の位置を制御することにより、サンプル714の屈折率に応じて収差を補正することができる。これにより、100μm以上の計測深さにおいて高強度のCARS光を取得することができる。
従来の顕微鏡において用いられる対物レンズのなかには、カバーガラスの厚さの変化に対応する収差補正リングを備えるものがある。こうした対物レンズは、収差補正によって焦点位置が変化することが避けられない。また、規格化された無機物のカバーガラスの屈折率は一定であり、細胞や組織の種別・培養状態によって屈折率が変化する生体組織の内部において、CARS光強度を大きく保ちながら計測することは困難である。本実施形態1によれば、このような試料であってもCARS光強度を大きく維持することができる点において有利である。
<実施の形態2>
無機物であるカバーガラスの場合と異なり、生体サンプルにおいては、サンプル個体ごとにあるいは培養日数などの条件によって、屈折率が連続的な数値でバラツキをもつ。同じサンプルであっても屈折率が変化した場合は、異なるサンプルとみなすことができる。本発明の実施形態2では、そのような生体サンプルの屈折率変化に応じて収差を補正する方法について説明する。光計測装置100の構成は実施形態1と同様である。
収差補正レンズ752の位置制御量dz1、および対物レンズ713の位置制御量dz2は、サンプル714内部の計測深さzとサンプル714の屈折率nの関数dz1(z,n)、dz2(z,z)として表すことができる。代表屈折率n0(あるサンプルの屈折率)についてこれら2つの関数をあらかじめ求めておく。対物レンズ713の周辺媒質(ここでは水を想定する)の屈折率をnWATERとすると、屈折率nを有する新たなサンプルについてのこれら関数dz1(z,n)とdz2(z,n)は、下記式1と式2によって近似することができる。例えばn0=1.38のとき、dz1(z,n0)とdz2(z,n0)は図7に示した関係となる。
Figure 2018205069
Figure 2018205069
以下では式1と式2による近似が妥当であるか否かを検証するため、式1と式2を変形することにより得られる下記式3と式4を用いて、dz1(z,n0)とdz2(z,n0)を実際に算出する。
Figure 2018205069
Figure 2018205069
図12は、式3にしたがってdz1(z,n0)を算出した結果を示す。図12においては、n0=1.38とし、図9に示したdz1(z,n)の計算結果を用いた。図12に示すように、n=1.34から1.40の範囲(生体の屈折率に相当)において、特性がほぼ揃うことがわかる。すなわち式1の近似により、生体サンプルの任意の屈折率に応じて、収差補正が可能であることがわかる。屈折率n=1.525は一般のカバーガラスに相当し、特性のかい離が大きいので近似することができない。換言すると、従来のカバーガラス厚を補正する際に用いられている技術は、図12の屈折率n=1.525の曲線に相当するものであり、本発明における収差補正方法とは対象が異なるといえる。
図13は、式4にしたがってdz2(z,n0)を算出した結果を示す。図13においては、n0=1.38とし、図10に示したdz2(z,n)の計算結果を用いた。図13に示すように、n=1.34から1.40の範囲(生体の屈折率に相当)において、特性がほぼ揃うことがわかる。また屈折率n=1.525については図12と同様に特性のかい離が大きいので近似できないことがわかる。
以上、屈折率1.34〜1.40の範囲において、式1と式2の近似が有効であることを示した。培養液中の培養細胞のように細胞の密度が低い場合、屈折率は1.333〜1.34の範囲にあると考えられ、収差の補正量は微小となるが、その場合であっても式1と式2の近似が成立することは言うまでもない。
図14は、式1と式2にしたがって収差補正レンズ752と対物レンズ713を同時に移動して収差補正をした場合におけるスポット光強度の計算結果を示す。横軸はサンプル内計測深さを表し、縦軸はスポット光強度の3乗を表す。図14に示すように、本近似法を用いた場合におけるスポット光強度の3乗値の減衰は、屈折率1.34〜1.40の範囲において10%未満であることがわかる。これに対して、一般のカバーガラスに相当する屈折率1.525の場合には、CARS光強度の減衰が大きい。
図15は、式1と式2にしたがって収差補正レンズ752と対物レンズ713を同時に移動して収差補正をした場合における光スポット位置の変化を示す。屈折率1.34〜1.40の範囲において、焦点位置の変化は±1μm以内である。細胞の代表的なサイズは10μmであるから、充分な精度で焦点位置を制御できることがわかる。これに対して、一般のカバーガラスに相当する屈折率1.525の場合には、焦点位置のずれが大きい。
<実施の形態3>
図16は、本発明の実施形態3に係る収差補正機構750による収差補正の詳細を示す模式図である。コントローラ700は、アクチュエータ763によって、対物レンズ713の焦点位置がサンプル714の境界面になるようにサンプル714の位置を制御する。コントローラ700は、アクチュエータ761と762によって、収差補正レンズ752と対物レンズ713を、収差補正量がゼロとなる原点位置に制御する。その他構成は実施形態1と同様であるので、以下では主に差異点について説明する。
ポンプ光をサンプル714に対して照射すると、サンプル714境界からの反射光は、対物レンズ713と収差補正機構750を透過してダイクロイックミラー708で反射される。その反射光はダイクロイックミラー770を透過し、レンズ773によって集光され、光検出器774が受光する。光検出器774の検出光量が最大となるようにサンプル714の位置を調整することにより、サンプル714の境界面の位置を定めることができる。このときのアクチュエータ763の光軸方向位置をdz3=0とする。
図17は、サンプル内計測深さを所望値となるようにする様子を示す。このときのアクチュエータ763の位置をdz3=zとする。先に説明したように、このときサンプル714の屈折率に応じた収差により、対物レンズ713の開口位置に応じて焦点位置がずれる。
図18は、dz1を制御する様子を示す。図7に示す関係にしたがって、収差補正レンズ752の位置dz1をアクチュエータ761により制御し、同時に対物レンズ713の位置dz2をアクチュエータ762により制御する。これにより、対物レンズ713の焦点位置を所望位置に合わせつつ球面収差を補正することができる。
図19は、波面収差とスポット光強度の3乗値の関係を示す。焦点で発生したCARS光は、対物レンズ713と、収差補正機構750を透過し、ダイクロイックミラー708によって反射され、ダイクロイックミラー770によって反射され、レンズ771により集光され、光検出器772が受光する。図19(a)はこのときの収差補正レンズ752の位置dz1と波面収差の関係を示し、図19(b)はdz1とスポット光強度の3乗の関係を示す。
図19は、z=100、200、300、400、500μmの各条件における波面収差とスポット光強度の3乗値の計算結果を示す。サンプル714の屈折率n0=1.38である。例えばz=200μmの場合、のとき、dz1=665μmにおいて波面収差が最小、スポット光強度の3乗値が最大となり、発生するCARS光量が最大となる。dz1(z,n0)は、収差を補正しつつ対物レンズ713の焦点を計測深さに合致させるものであるから、このときの収差補正レンズ752の移動量がdz1(z,n0)であることになる。
屈折率がnである別のサンプルについても同様に、光検出器772が検出するCARS光強度が最大となったとき、収差補正レンズ751の移動量はdz1(z,n)である。式1を変形した下記式5により、屈折率nを求めることができる。式5において、右辺は既知の値dz1(z,n0)と、光強度が最大のときのdz1(z,n)であり、左辺において屈折率n以外は既知の値である。したがって、式5を用いて屈折率nを計算により得られることは明らかである。
Figure 2018205069
式5の左辺をαと置き換える。式1の右辺と式2の右辺にもαが含まれているので、本実施形態3にしたがって実測結果として得られたαを用いることにより、サンプル714内部の計測深さを変えるごとにdz1とdz2を調整する必要がなくなる。すなわち、任意のサンプル714内部の計測深さにおいて、式1、式2、およびαにしたがってdz1とdz2を計算により求めることができる。
図20は、実施形態1〜3におけるコントローラ700による制御手順を示すフローチャートである。ステップS011において、コントローラ700はサンプル714の境界位置を検出する。ステップS012において、コントローラ700は計測深さまでサンプル714を移動する。ステップS013において、コントローラ700は収差補正機構750の位置と対物レンズ713の位置を図7にしたがって移動させながら、CARS光量が最大となる位置関係を求める。ステップS014において、コントローラ700は得られた位置関係に基づいて、サンプル714内部の任意の計測深さにおける収差補正機構750の移動量dz1と対物レンズ713の移動量dz2を記述したテーブルを生成する。ステップS015において、コントローラ700は生成したテーブルに応じて収差補正機構750の位置と対物レンズ713の位置を制御しながら、指定されたサンプル714内部の計測深さにおける計測を実施する。
本実施形態において、説明の簡略化のため、サンプル714は深さ方向に一様な屈折率を有するものとした。一方で、実際の生体組織や細胞シートなどのサンプルは、計測深さ範囲で層状の構造を有するものが少なくない。この場合は、図16〜図18で説明したCARS光量が最大となる条件を、各計測深さにおいてそれぞれ実施して、ポンプ光とストークス光が焦点に至るまでの媒質の平均屈折率に対応した制御量を求める。サンプル714内部の任意の計測深さについては、それらを内挿することにより制御量を定めることができる。
本実施形態3は、光検出器772と774を用いて収差補正する方法を示した。本実施形態3において、焦点位置に対する検出精度を向上するため、光検出器772と774の前に適切なサイズのピンホールを配置することも有効である。
実施形態1〜3は、代表屈折率としてn0=1.38としたが、図12と図13に示すように、式1と式2の近似が成立する範囲で、評価頻度の高いサンプルの屈折率を代表屈折率として選択することにより、制御精度が向上することは言うまでもない。
本実施形態3において、光検出器772と774を用いずに、サンプル714境界を検出するとともにCARS光量が最大となる条件を求めることもできる。図1に示す光計測装置1000において、検出対物レンズ715の光学系に顕微鏡光学系を追加し、サンプル714境界の顕微鏡像のコントラストが最大となるように、位相差法などの一般的な方法によりアクチュエータ763の位置を調整してサンプル714の境界位置を定めることができる。これにより、光検出器774の機能を代用することができる。サンプル714を所定の計測深さに移動した後は、分光器719の受光量が最大となるように、収差補正レンズ752の位置と対物レンズ713の位置を制御することにより、光検出器772の機能を代用することができる。
以上の実施形態において、図9と図10で説明したように、計測深さと屈折率の組み合わせごとにdz1とdz2をあらかじめ求めてデータテーブルとして記憶部1100上に記憶しておき、本実施形態3にしたがって求めた屈折率nに対応するデータテーブルを用いてdz1とdz2を自動制御することもできる。
<実施の形態4>
図21は、本発明の実施形態4に係る収差補正機構750の模式図である。本実施形態4において、収差補正機構750は収差補正レンズ751と752に加えて空間位相変調器(SLM)753を備える。空間位相変調器753は、例えば液晶マトリックスにより任意の波面制御ができる光学素子である。ここでは透過型の空間位相変調器753がコントローラ700からの指示にしたがって256x256ピクセルの位相制御ができるようになっている。その他構成は実施形態1と同様であるので、以下では主に差異点について説明する。
サンプル714内の例えば100μm以上の深さ位置を観測する場合、サンプル714の屈折率に応じて球面収差が発生し、図21に示すように対物レンズ713の開口半径位置に応じて焦点位置が分離する。実施形態1〜3によって補正される収差は一般的に4次までの球面収差に限られる。したがって、光スポットの収差が最小となるように収差補正レンズ752の移動量dz1と対物レンズの移動量dz2を制御したとしても、4次を超える高次の収差は残留する。
この残留した高次の収差は、あらかじめ計算で求めることができる。そこで、空間位相変調器753が残留収差を打ち消す位相分布を与えることにより、収差量をさらに削減することができる。ここでは説明の簡略化のため、透過型の空間位相変調器753を用いる例を示したが、反射型の空間位相変調器753を用いることも容易である。
図22は、空間位相変調器753が付与する位相分布を示す計算結果を示す。サンプル714の屈折率は1.38、計測深さは100μmである。横軸は対物レンズ713の有効半径を1とする規格化半径であり、縦軸は波面の位相を示す。比較のため、実施形態1における残留収差を併記した。図22に示すように、実施形態1における残留した波面収差は半径の5次以上の高次収差となっている。空間位相変調器753が残留収差の逆補正を施すことにより合成された波面は、ほぼ無収差となることがわかる。残留収差は、空間位相変調器753の位相制御分解能(ここでは、8bit/1λとした)とピクセルサイズ(ここでは256x256)の制限によるものである。
図23は、サンプル714内部の計測深さとスポット光強度の3乗の関係を示す計算結果である。CARS光の強度はスポット光強度の3乗に比例するので、図23の縦軸はCARS光強度に比例する。ここでは、サンプル714の屈折率n=1.40の場合の計算結果を示した。図23に示すように、空間位相変調器753を加えた収差補正により、1mm以上の深さであっても高強度のCARS光を得ることができる。
空間位相変調器753により付与する波面は、サンプル714の屈折率、収差補正レンズ752と対物レンズ713それぞれの位置制御量が定まれば、一意に求めることができる。したがって、空間位相変調器753を搭載した収差補正光学系においても、付与する波面をゼロ位相にすれば、実施形態3で説明した屈折率nの新たなサンプルに対する処理をそのまま実施することができる。すなわち、dz1およびdz2とともに、空間位相変調器753が付与する波面を一意に決めることができる。収差補正は図20のフローチャートにより実施することができる。
<実施の形態5>
本発明の実施形態5では、反射CARS光を用いた球面収差補正について述べる。反射CARSは、サンプルを基準として入射光側に検出器を設置する方式である。本実施形態5においては、反射CARS光の強度を検出器で検出し、CARSスペクトルは透過型の分光器で検出するものとする。
図24は、本実施形態5に係る光計測装置1000の構成図である。ダイクロイックミラー2401は、入射光(ポンプ光とストークス光)を透過し、CARS光を検出する。例えばポンプ光の波長が1064nmの場合は、1000nm以上を反射し、それ以上の波長を透過するものを、ダイクロイックミラー2401として選択すればよい。サンプル714から生成されたCARS光のうち、反射成分をダイクロイックミラー2401によって反射し、ノッチフィルタ2402によって入射光の残留成分を除去した後、検出器2403により反射CARS光を検出する。検出器2403としては、PD(フォトダイオード)やAPD(アバランシェ・フォトダイオード)を用いるのが簡便であるが、感度が不足する場合には光電子増倍管を用いてもよい。ダイクロイックミラー2401の波長選択性が充分良い場合は、ノッチフィルタ2402は無くてもよい。その他の構成は実施形態1と同様であるため説明を省略する。
図25は、本実施形態5に係る光計測装置1000の動作を説明するフローチャートである。ステップS011、S012、S015は図20と同様である。ステップS2501において、コントローラ700は検出器2403が検出する反射CARS光量が最大となるように収差補正機構750を制御する。ステップS2502においてコントローラ700は、分光器719が検出する透過CARS光量が最大となるように対物レンズ713の位置を補正する。これにより検出対物レンズ715の焦点位置に対物レンズ713の焦点位置が調整される。すなわち、球面収差補正によって移動した焦点位置が元の位置に補正される。
反射CARSにおいては集光対物レンズが検出対物レンズとしても動作するので、反射検出されるCARS光量は球面収差量などの集光状態のみに依存し、サンプル714内部の集光位置には直接依存しない。したがって、図9で説明した計測深さに対応する収差補正レンズ752の移動量を保持していなくても収差補正することができる。また、前述のように集光対物レンズ位置は透過CARSの信号量が最大となるように調整すればよいので、図10で説明した計測深さに対する対物レンズ713の位置を保持する必要もない。したがって装置構成が簡便となる。なお、単に入射光の反射光量を検出する場合には球面収差量に関わらず一定の検出量となるが、本発明では入射光強度の3乗に比例するCARS光を検出するので、球面収差を感度良く補正することができる。
<実施の形態6>
本発明の実施形態6では、サンプル714内で発生する色収差の補償について述べる。CARS過程は非線形光学効果の1つであるので、サンプル714内でポンプ光とストークス光が同じ位置に集光することが重要である。多色CARSの場合、ストークス光は広帯域であるので対物レンズによる色収差が発生し、サンプル714内におけるポンプ光とストークス光の空間的な合波状態により、CARS光スペクトルが変化する。
図26は、本実施形態6に係る光計測装置1000の構成図である。本実施形態6においては、ストークス光の発散収束状態を調整することにより、サンプル714内部におけるポンプ光とストークス光の合波状態を調整する。ステージ2601は、コントローラ700からの指示にしたがって、コリメートレンズ706の位置を光軸方向(z方向)に調整することにより、ストークス光の発散収束状態を制御する。サンプル714内部においては、この発散収束状態によって集光位置が変化することにより合波状態が変化し、CARS光スペクトルの形状が変化する。その他の装置構成は実施形態1と同様であるため説明を省略する。
図27は、本実施形態6の変形例である。図26ではストークス光の発散収束状態を調整する例を示したが、図27に示すようにポンプ光光路にもファイバ光学系を採用し、コリメートレンズ2603とステージ2604によって光ファイバ2602の出射端における発散収束状態を制御してもよい。さらには、図26と図27を組み合わせて、ポンプ光・ストークス光ともに発散収束状態を制御してもよい。
図28は、本実施形態6に係る光計測装置1000の動作を説明するフローチャートである。ステップS014とS015の間にステップS2701が追加されている以外は図20と同様である。ステップS2701においてコントローラ700は、分光器719によってCARSスペクトルを検出し、所望の波長帯域が強調されるようコリメートレンズ706(またはこれに加えてコリメートレンズ2603)の位置を調整する。調整完了の閾値はスペクトルのピーク強度の絶対値で決めてもよいし、他のスペクトルピークとの比から決めてもよい。
図29は、脂肪細胞のCARSスペクトルを本実施形態6で説明した色収差補正前後で比較した結果である。CARSスペクトルには、2900cm−1近傍のCH伸縮に対応する強いスペクトルピークの他に、約800〜1800cm−1の領域にアミドIII、CH変角、アミドIなどの複数のピークが存在している。後者の領域は指紋領域と呼ばれ、生体の複数の組成に対応するため細胞状態の解析において有益であるが、信号強度が低いことが課題である。
補正前のスペクトル2801においては、CH伸縮に対応する信号が高強度で得られているが、指紋領域内の信号が殆ど得られていない。一方、補正後のスペクトル2802においては指紋領域内のスペクトルピークが強調されている。以上のように、本実施形態6に係る光計測装置1000によって、所望周波数帯域のCARS信号強度を強調することができる。
本実施形態6によれば、適当なインターフェース1110(例えば操作装置、データ入力インターフェースなど)を介して、観察する周波数帯域をコントローラ700に対して通知し、コントローラ700はその周波数帯域のCARS信号強度を強調するように各光学素子(コリメートレンズ706や2603の位置)を制御することができる。
<実施の形態7>
図30は、本発明の実施形態7に係る収差補正機構750を示す模式図である。サンプル714の厚さは100μm程度以下と比較的薄いものとする。本実施形態7においては、サンプル714を挟むように対物レンズ713と検出レンズ781が配置されている。対物レンズ713の焦点近傍で発生したCARS光(信号光)は検出レンズ781により平行光束に変換され、図示しない分光器によりスペクトルが計測される。その他構成は実施形態1と同様である。
図31は、本実施形態7に係る収差補正機構750の別構成例を示す模式図である。サンプル714の厚さは約100μm以上と比較的厚いものとする。サンプル714の厚さをt、計測深さをzとすると、対物レンズ713から出射した光束はサンプル714の厚さzによる球面収差の影響を受ける。また検出レンズ781が取得するCARS光(信号光)はサンプル714の厚さ(t−z)による球面収差の影響を受ける。したがって、対物レンズ713の焦点位置と検出レンズ781の焦点位置との間には、δzのずれが生じる。
コントローラ700は、改めて計測深さzを検出レンズ781の焦点位置として定め、検出レンズ781の焦点位置と対物レンズ713の焦点位置が一致するように、アクチュエータ762によって対物レンズ713の位置を制御する。これにより、計測深さzに依存せずに大きなCARS信号を高いスペクトル分解能で取得することができる。
図32は、対物レンズ713の位置を再補正するための移動量を計算した結果を示す。サンプル714の屈折率をn、対物レンズ713の焦点位置と検出レンズ781の焦点位置を一致させるため対物レンズ713の位置を再補正するときの対物レンズ713の再移動量をdz2’とする。説明の簡略化のため、検出レンズ781として対物レンズ713と同じ水浸レンズ(開口数1.2)を用いるものとした。サンプル714の厚さtは500μmである。
図32に示すように,対物レンズ713の再移動量dz2’はサンプル714の屈折率により定まり、計測深さzに対する依存性は比較的小さいことがわかる。収差補正レンズ752の位置はdz1により制御し、対物レンズ713の位置はdz2+dz2’により制御することにより、サンプル714の厚さに応じて生じる収差の影響を補正することができる。
dz2’はサンプル714の屈折率と厚さに応じて定まるので、記憶部1100が格納するデータテーブルに、サンプル714の屈折率と厚さの組み合わせごとにdz2’を記述しておき、コントローラ700はその記述にしたがってdz2’を取得することができる。
700 コントローラ
701 短パルスレーザ光源
702 1/2波長板
703 偏光ビームスプリッタ
704 集光レンズ
705 フォトニック結晶ファイバ
706 コリメートレンズ
707 ロングパスフィルタ
708 ダイクロイックミラー
709 ミラー
710 レンズ
711 レンズ
712 ミラー
713 対物レンズ
714 サンプル
715 対物レンズ
716 コリメートレンズ
717 ノッチフィルタ
718 ショートパスフィルタ
719 分光器
720 集光レンズ
721 光ファイバ
722 コリメートレンズ
723 空間位相変調器
724 ロングパスフィルタ
750 収差補正機構
751 収差補正レンズ
752 収差補正レンズ
753 空間位相変調器
761 アクチュエータ
762 アクチュエータ
763 アクチュエータ
781 検出レンズ
2401 ダイクロイックミラー
2402 ノッチフィルタ
2403 検出器
2602 光ファイバ
2603 コリメートレンズ
2604 ステージ

Claims (7)

  1. レーザ光を出射する光源、
    前記光源が出射するレーザ光を第1光と第2光に分岐する分岐部、
    前記第1光を伝搬する光ファイバ、
    前記第2光と前記光ファイバが伝搬した前記第1光を合波することにより合波光を生成する合波部、
    前記合波光を試料に対して照射する対物レンズ、
    前記試料に対して前記合波光を照射することにより生じる信号光を検出する検出器、
    前記光源と前記対物レンズとの間の光路上に配置された収差補正レンズを用いて、前記試料の厚さに応じて発生する球面収差を補正する、球面収差補正部、
    前記試料における前記合波光の焦点位置を所定範囲内に抑えながら前記収差補正レンズが前記球面収差を補正することができる、前記光路上における前記収差補正レンズと前記対物レンズとの間の位置関係を記述したデータを記憶する、記憶部、
    を備え、
    前記球面収差補正部は、前記データが記述している前記位置関係にしたがって前記収差補正レンズの位置を制御することにより、前記焦点位置を前記所定範囲内に抑えながら前記球面収差を補正する
    ことを特徴とする光計測装置。
  2. 前記データは、第1試料の第1屈折率について前記位置関係を記述しており、
    前記球面収差補正部は、第2試料の第2屈折率と前記対物レンズの周辺媒質の屈折率との間の第1差分を求め、
    前記球面収差補正部は、前記第1屈折率と前記周辺媒質の屈折率との間の第2差分を求め、
    前記球面収差補正部は、前記第2差分に対する前記第1差分の比を前記第1試料の前記第1屈折率についての前記位置関係に対して乗じることにより得られる第2位置関係にしたがって前記収差補正レンズの位置を制御することにより、前記第2試料についての前記球面収差を補正する
    ことを特徴とする請求項1記載の光計測装置。
  3. 前記光計測装置はさらに、前記試料から反射した光を計測する第2検出器を備え、
    前記データは、第1試料の第1屈折率について前記位置関係を記述するとともに、前記試料の検出深さごとに前記位置関係を記述しており、
    前記球面収差補正部は、前記第2検出器が最大光強度を検出するときの前記対物レンズと前記収差補正レンズとの間の位置関係を特定し、
    前記球面収差補正部は、前記第2検出器が最大光強度を検出するときの前記試料の検出深さに対応する前記位置関係を前記データから取得し、
    前記球面収差補正部は、前記データから取得した前記位置関係、前記第1屈折率、および前記対物レンズの周辺媒質の屈折率を用いて、第2試料の第2屈折率を求める
    ことを特徴とする請求項1記載の光計測装置。
  4. 前記光計測装置はさらに、前記信号光を受光する検出レンズを備え、
    前記試料は、前記光源と前記検出レンズによって挟まれる位置に配置されており、
    前記検出器は、前記検出レンズが受光した前記信号光を検出し、
    前記データはさらに、前記試料の厚さと前記試料の屈折率の組み合わせごとに、前記対物レンズの位置を再補正するための再補正量を記述しており、
    前記球面収差補正部は、前記位置関係に対して前記再補正量を加味した上で、前記対物レンズの位置を制御する
    ことを特徴とする請求項1記載の光計測装置。
  5. 前記光計測装置はさらに、前記球面収差補正部が前記球面収差を補正した上で残留している収差を補正する空間位相変調器を備える
    ことを特徴とする請求項1記載の光計測装置。
  6. 前記光計測装置はさらに、
    観察する対象とする光波長を指定するインターフェース、
    前記指定された光波長における前記信号光の強度が最大になるように前記合波光の合波状態を調整する光学素子、
    を備えることを特徴とする請求項1記載の光計測装置。
  7. 前記検出器は、前記試料から生じた光の波長スペクトルを検出する分光器として構成されている
    ことを特徴とする請求項1記載の光計測装置。
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