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JP2018204793A - 伝動ベルト用エレメント、伝動ベルト、伝動ベルト用エレメントの製造方法および無段変速機 - Google Patents

伝動ベルト用エレメント、伝動ベルト、伝動ベルト用エレメントの製造方法および無段変速機 Download PDF

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JP2018204793A
JP2018204793A JP2018106847A JP2018106847A JP2018204793A JP 2018204793 A JP2018204793 A JP 2018204793A JP 2018106847 A JP2018106847 A JP 2018106847A JP 2018106847 A JP2018106847 A JP 2018106847A JP 2018204793 A JP2018204793 A JP 2018204793A
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JP2018106847A
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孝幸 三宅
Takayuki Miyake
孝幸 三宅
亨 越智
Toru Ochi
亨 越智
亘 石原
Wataru Ishihara
亘 石原
淳一 徳永
Junichi Tokunaga
淳一 徳永
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Aisin AW Co Ltd
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Abstract

【課題】無段変速機の使用に伴う伝動ベルトの隣り合うエレメント同士の隙間の増加を抑制して当該無段変速機における動力の伝達効率を良好に確保する。【解決手段】無段変速機のプライマリプーリおよびセカンダリプーリに巻き掛けられる伝動ベルトのエレメントは、当該伝動ベルトのリングと接触するサドル面を有する胴部と、サドル面の幅方向における両側に位置するように胴部から延出された一対のピラー部と、正面および背面の一方に形成され、隣り合うエレメント同士を接触させて両者の回動の支点となる接触線を含むロッキングエッジ部とを有し、ロッキングエッジ部および当該ロッキングエッジ部との接触面の少なくとも何れか一方の表面粗さの初期値を“Ri”とし、当該表面粗さの収束値を“Rc”としたときに、Rc≦Ri≦1.15×Rcを満たす。【選択図】図2

Description

本開示は、サドル面を有する胴部および当該サドル面の幅方向における両側に位置するように胴部から延出された一対のピラー部を含む伝動ベルト用エレメント、伝動ベルト、伝動ベルト用エレメントの製造方法および無段変速機に関する。
従来、無段変速機の駆動プーリと被動プーリとの間に掛装される金属ベルト用の金属エレメントとして、無端帯状をなす金属バンドの延長方向に積層配置される複数の金属エレメントを含むものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この金属エレメントは、ボディ部における両側端傾斜部の延長上に形成された鈎状部と、両鈎状部間に設けられたバンド載置面とを含む。そして、バンド載置面は、少なくとも複数の異なった地点を中心にして描かれた複数の中高の弧状に形成されている。
特開2003−42235号公報
上述のような金属エレメントを含む金属ベルトでは、被動プーリの出口よりも駆動プーリ側で隣り合う金属エレメント間に僅かな隙間が形成される。このため、駆動プーリの周囲には、隙間の存在により金属エレメント間で押圧力が発生しなくなってトルクが伝達されなくなるアイドルアークと呼ばれる領域と、金属エレメント間の隙間が詰まることにより当該金属エレメント間で押圧力が発生してトルクが伝達されるアクティブアークと呼ばれる領域とが形成される。アイドルアークでは、金属エレメントおよび金属バンドが駆動プーリと一体になって回転し、金属エレメントの角速度と金属バンドの角速度とが一致する。これに対して、アクティブアークでは、1個の金属エレメントが駆動プーリから被動プーリ側に押し出された際に、金属エレメント1個分の押圧力が無くなることで金属エレメントと駆動プーリとの間に相対すべりを生じ、アクティブアークの金属エレメントが駆動プーリと共に移動し得なくなるマイクロスリップと呼ばれる現象が発生する。そして、アクティブアークにおける金属エレメントの角速度は、アイドルアークにおける金属エレメントおよび金属バンドの角速度に対してマイクロスリップによるスリップ量分だけ小さくなり、かかるマイクロスリップが増加すると、無段変速機におけるスリップ率が悪化して動力の伝達効率が低下してしまう。
また、上記マイクロスリップによるスリップ量は、隣り合う金属エレメント同士の隙間の合計値(エンドプレー)を被動プーリの出口からアイドルアークの終端までの間に位置する金属エレメントの数で除した値をベースに算出される。従って、金属エレメント同士の隙間を適正範囲内に維持することで、アクティブアークにおけるマイクロスリップの増加を抑えて動力の伝達効率の悪化を抑制することができる。しかしながら、本発明者らの研究・解析によれば、上述のような金属ベルトを含む無段変速機の使用が開始されると、隣り合うエレメント同士の隙間の合計値(エンドプレー)が初期状態に比べて増加してしまうことが判明した。このため、上記従来の金属エレメントを含む金属ベルトを用いた場合、マイクロスリップの増加により無段変速機における動力の伝達効率が設計値よりも悪化してしまうおそれがある。
そこで、本開示の発明は、無段変速機の使用に伴う伝動ベルトの隣り合うエレメント同士の隙間の増加を抑制して当該無段変速機における動力の伝達効率を良好に確保することを主目的とする。
本開示の伝動ベルト用エレメントは、無段変速機のプライマリプーリおよびセカンダリプーリに巻き掛けられる伝動ベルトのリングと接触するサドル面を有する胴部と、前記サドル面の幅方向における両側に位置するように前記胴部から延出された一対のピラー部とを含む伝動ベルト用エレメントにおいて、正面および背面の一方に形成され、隣り合うエレメント同士を接触させて両者の回動の支点となる接触線を含む曲面であるロッキングエッジ部を備え、前記ロッキングエッジ部および該ロッキングエッジ部との接触面の少なくとも何れか一方の表面粗さの初期値を“Ri”とし、該表面粗さの収束値を“Rc”としたときに、Rc≦Ri≦1.15×Rcを満たすものである。
本発明者らは、隣り合うエレメント同士の隙間を適正範囲内に維持して無段変速機における動力の伝達効率を良好に確保すべく鋭意研究を行った。そして、本発明者らは、無段変速機の使用開始後、トルクの伝達に伴って隣り合うエレメント同士が擦れ合うことでロッキングエッジ部や当該ロッキングエッジ部との接触面が摩耗し、摩耗によりロッキングエッジ部や当該接触面の表面粗さが良化することに起因して隣り合うエレメント同士の隙間の合計値が増加することを見出した。これを踏まえて、この伝動ベルト用エレメントは、ロッキングエッジ部および当該ロッキングエッジ部との接触面の少なくとも何れか一方の表面粗さの初期値を“Ri”とし、当該表面粗さの収束値を“Rc”としたときに、Rc≦Ri≦1.15×Rcを満たすように形成される。これにより、無段変速機の使用に伴うロッキングエッジ部や上記接触面の摩耗すなわち表面粗さの変化を抑制し、無段変速機の使用に伴う隣り合うエレメント同士の隙間の合計値の増加を抑えることができる。この結果、アクティブアークにおけるマイクロスリップの増加を抑制して無段変速機における動力の伝達効率を良好に確保することが可能となる。
本開示の無段変速機の一例を示す概略構成図である。 本開示の伝動ベルトを示す概略構成図である。 本開示の伝動ベルトを示す模式図である。 伝動ベルトのエンドプレーの経時変化を例示する図表である。 伝動ベルトに含まれるエレメントの表面粗さの経時変化を例示する図表である。
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本開示の無段変速機(CVT)1を示す概略構成図である。同図に示す無段変速機1は、車両に搭載されるものであり、駆動側回転軸としてのプライマリシャフト(第1シャフト)2と、当該プライマリシャフト2に設けられたプライマリプーリ(第1プーリ)3と、プライマリシャフト2と平行に配置される従動側回転軸としてのセカンダリシャフト(第2シャフト)4と、当該セカンダリシャフト4に設けられたセカンダリプーリ(第2プーリ)5と、伝動ベルト10とを含む。図示するように、伝動ベルト10は、プライマリプーリ3のプーリ溝(V字状溝)とセカンダリプーリ5のプーリ溝(V字状溝)とに巻き掛けられる。
プライマリシャフト2は、車両のエンジン(内燃機関)といった動力発生源に連結されたインプットシャフト(図示省略)に図示しない前後進切換機構を介して連結される。プライマリプーリ3は、プライマリシャフト2と一体に形成された固定シーブ3aと、ボールスプライン等を介してプライマリシャフト2により軸方向に摺動自在に支持される可動シーブ3bとを含む。また、セカンダリプーリ5は、セカンダリシャフト4と一体に形成された固定シーブ5aと、ボールスプライン等を介してセカンダリシャフト4により軸方向に摺動自在に支持されると共にリターンスプリング8により軸方向に付勢される可動シーブ5bとを含む。
更に、無段変速機1は、プライマリプーリ3の溝幅を変更するための油圧式アクチュエータであるプライマリシリンダ6と、セカンダリプーリ5の溝幅を変更するための油圧式アクチュエータであるセカンダリシリンダ7とを含む。プライマリシリンダ6は、プライマリプーリ3の可動シーブ3bの背後に形成され、セカンダリシリンダ7は、セカンダリプーリ5の可動シーブ5bの背後に形成される。プライマリシリンダ6とセカンダリシリンダ7とには、プライマリプーリ3とセカンダリプーリ5との溝幅を変化させるべく図示しない油圧制御装置から作動油が供給される。また、セカンダリシャフト4は、ギヤ機構、デファレンシャルギヤおよびドライブシャフトを介して車両の駆動輪(何れも図示省略)に連結される。
本実施形態において、プライマリシャフト2のエンジン側とは反対側の端部(図1における左側の端部)には、段部が形成されている。そして、当該段部とプライマリシリンダ6のプライマリピストン60との間には、プライマリプーリ3の可動シーブ3bのエンジン側とは反対側の端部(図1における左側の端部)と当接可能となるように、環状のエンドプレート65が介設されている。更に、プライマリシャフト2には、可動シーブ3bの内周面に形成されたスプライン歯3sの固定シーブ3a側の端部と当接可能となるようにストッパ部2sが形成されている。
プライマリプーリ3の可動シーブ3bが固定シーブ3aから離間してエンドプレート65に当接すると、プライマリシャフト2に対する可動シーブ3bの固定シーブ3aから離間する方向への移動が規制される。これにより、プライマリプーリ3のプーリ溝の幅が最大になり、それに伴ってセカンダリプーリ5のプーリ溝の幅が最小に設定されることで、無段変速機1の変速比γが最大になる。また、可動シーブ3bの内周面に形成されたスプライン歯3sがプライマリシャフト2に形成されたストッパ部2sに当接すると、プライマリシャフト2に対する可動シーブ3bの固定シーブ3aに接近する方向への移動が規制される。これにより、プライマリプーリ3のプーリ溝の幅が最小になり、それに伴って伝動ベルト10によりセカンダリプーリ5のプーリ溝の幅が最大に設定されることで、無段変速機1の変速比γが最小になる。
図2は、伝動ベルト10を示す概略構成図である。同図に示すように、伝動ベルト10は、弾性変形可能な複数(本実施形態では、例えば9個)のリング材11を厚み方向(リング径方向)に積層することにより構成された1個の積層リング12と、1個のリテーナリング15と、積層リング12の内周面に沿って環状に配列(結束)される複数(例えば、数百個)のエレメント20とを含む。
本実施形態において、エレメント20は、第1のエレメントと、当該第1のエレメントよりも若干(例えば、0.1mm程度)大きい厚み(最大厚み)を有する第2のエレメントとを含み、当該第1および第2エレメントは、それぞれ複数個隣り合わせにして配列される。これにより、伝動ベルト10によってプライマリプーリ3およびセカンダリプーリ5との間でトルク伝達される際に、振動やノイズが発生するのを抑制することが可能となる。第1および第2エレメントの厚み以外の構造は共通であることから、以下、両者を「エレメント20」と総称して説明する。
積層リング12を構成する複数のリング材11は、それぞれ鋼板製のドラムから切り出された弾性変形可能なものであって、概ね同一の厚みおよびそれぞれについて予め定められた異なる周長を有するように加工されている。リテーナリング15は、例えば鋼板製のドラムから切り出された弾性変形可能なものであり、リング材11と概ね同一若しくはそれよりも薄い厚みを有する。また、リテーナリング15は、積層リング12の最外層リング材11oの外周長よりも長い内周長を有する。これにより、積層リング12とリテーナリング15とが同心円状に配置された状態(張力が作用しない無負荷状態)では、図2に示すように、最外層リング材11oの外周面とリテーナリング15の内周面との間に、環状のクリアランスが形成される。
各エレメント20は、例えばプレス加工により鋼板から打ち抜かれた左右対称の外形を有するものであり、図2に示すように、図中水平に延びる胴部21と、当該胴部21の両端部から同方向に延出された一対のピラー部22と、各ピラー部22の遊端側に開口するように一対のピラー部22の間に画成された単一のリング収容部(凹部)23と、伝動ベルト10(積層リング12)の内周側から外周側(積層リング12の径方向における外側)に向かうにつれて互いに離間するように形成された一対の側面20sとを有する。
一対のピラー部22は、リング収容部23の底面であるサドル面23sの幅方向における両側から積層リング12の径方向における外側(伝動ベルト10(積層リング12)の内周側から外周側に向かう方向、すなわち図中上方)に延出されており、各ピラー部22の遊端部には、サドル面23sの幅方向に突出するフック部22fが形成されている。一対のフック部22fは、積層リング12(リング材11)の幅よりも若干長く、かつリテーナリング15の幅よりも短い間隔をおいて互いに対向する。また、エレメント20の各ピラー部22は、積層リング12の径方向における外側に向かうにつれてサドル面23sから離間するように傾斜した平坦な内面22iを有し、サドル面23sと各ピラー部22の内面22iとの間には、両者に滑らかに連続する凹曲面(例えば、凹円柱面)が形成されている。
リング収容部23内には、図2に示すように、積層リング12が配置され、当該リング収容部23のサドル面23sは、積層リング12すなわち最内層リング材11iの内周面に接触する。サドル面23sは、幅方向における中央部を頂部Tとして幅方向外側に向かうにつれて図中下方に緩やかに傾斜した左右対称の凸曲面形状(クラウニング形状)を有する。これにより、サドル面23sとの摩擦により積層リング12に頂部Tに向かう求心力を付与して、当該積層リング12をセンタリングすることが可能となる。ただし、サドル面23sは、積層リング12の径方向における外側に湾曲する凸曲面を複数含むものであってもよい。
更に、リング収容部23内には、弾性変形させられたリテーナリング15が各エレメント20の一対のフック部22fの間から嵌め込まれる。リテーナリング15は、積層リング12の最外層リング材11oの外周面と各エレメント20のフック部22fとの間に配置されて当該積層リング12を包囲し、一対のピラー部22と共に、各エレメント20が積層リング12から脱落したり、エレメント20から積層リング12が脱落したりするのを規制する。これにより、複数のエレメント20は、積層リング12の内周面に沿って環状に結束(配列)される。本実施形態において、リテーナリング15には、図示しない単一または複数の開口(長穴)が形成されており、これにより、リテーナリング15を弾性変形し易くしてエレメント20に対する組付性を確保することができる。
また、エレメント20の各側面20sは、ピラー部22側すなわち当該ピラー部22の内面22iの反対側(外側)に位置する第1側面20saと、第1側面20saに連続するように形成されて当該第1側面20saよりも積層リング12の径方向における内側に位置する第2側面20sbとを含む。本実施形態において、一対の第1側面20saは、第2側面20sbと同様に、積層リング12の径方向における外側に向かうにつれて互いに離間するように形成される。これにより、各ピラー部22の強度を良好に確保することができる。
一対の第2側面20sbがなす角度は、プライマリプーリ3やセカンダリプーリ5のプーリ溝の開き角度と概ね等しく(本実施形態では、開き角度の設計値よりも僅かに大きく)なるように定められ、かつ一対の第1側面20saがなす角度は、一対の第2側面20sbがなす角度よりも小さく定められている。これにより、エレメント20の第2側面20sbは、プライマリプーリ3のプーリ溝やセカンダリプーリ5のプーリ溝の表面に摩擦接触してプーリ3,5からの挟圧力を受け、摩擦力によりプライマリプーリ3からセカンダリプーリ5へとトルクを伝達するトルク伝達面(フランク面)となる。これに対して、一対の第1側面20saは、伝動ベルト10によってプライマリプーリ3からセカンダリプーリ5へとトルクが伝達される際、基本的に、プーリ溝の表面に接触しないことになる。また、各第2側面20sbの表面には、エレメント20とプライマリプーリ3やセカンダリプーリ5との接触部を潤滑・冷却するための作動油を保持するための図示しない凹凸(複数の溝)が形成されている。
図2に示すように、エレメント20の正面(一方の表面)には、一対のロッキングエッジ部(接触領域)25、非接触部27、テーパ面(傾斜面)21s、および1個の突起(ディンプル)21pが形成されている。一対のロッキングエッジ部25は、それぞれ対応するピラー部22と胴部21とに跨がるようにサドル面23sの幅方向に間隔をおいてエレメント20の正面に形成されている。また、非接触部27は、一対のロッキングエッジ部25の上記幅方向における間に形成されている。本実施形態において、非接触部27のベルト内周側の縁部(図2における下縁部)は、ロッキングエッジ部25のベルト内周側の縁部(図2における下縁部)よりもベルト内周側(図中下側)に位置する。更に、テーパ面21sは、非接触部27および一対のロッキングエッジ部25から各ピラー部22の突出方向と反対側、すなわちベルト内周側(図2における下側)に延在するように胴部21の正面(一方の表面)に形成されている。突起21pは、胴部21の正面の幅方向における中央部でテーパ面21sから突出する。
本実施形態において、各ロッキングエッジ部25および非接触部27よりもベルト外周側に位置するエレメント20の正面(主にピラー部22の正面)と、エレメント20の背面(他方の表面)とは、図3に示すように、それぞれ平坦に形成されており、エレメント20のピラー部22は、略一定の厚みteを有する。また、各ロッキングエッジ部25および非接触部27よりもベルト内周側(図2および図3における下側)に位置するテーパ面21sは、図3に示すように、ピラー部22から離間するにつれて(ベルト内周側に向かうにつれて)背面(裏面)に近接する。更に、エレメント20(胴部21)の背面には、突起21pの裏側に位置するように窪み部21rが形成されている。伝動ベルト10が組み立てられた際、当該窪み部21rには、隣り合うエレメント20の突起21pが遊嵌される。
各ロッキングエッジ部25は、短尺帯状の凸曲面であり、本実施形態では、予め定められた曲率半径を有すると共に径方向に幅をもった円柱面(曲面)とされている。各ロッキングエッジ部25は、隣り合うエレメント20同士を接触させて両者の回動の支点となる接触線を含むものであり、当該接触線の位置は、無段変速機1の変速比γに応じてロッキングエッジ部25の範囲内で変動する。本実施形態において、ロッキングエッジ部25の伝動ベルト10の外周側(図中上側すなわちピラー部22側)の端部は、サドル面23s(頂部T)よりも伝動ベルト10の径方向における外側に位置し、ロッキングエッジ部25の伝動ベルト10の内周側(図中下側すなわちテーパ面21s側)の端部は、サドル面23s(底部)よりも伝動ベルト10の径方向における内側に位置する。ただし、ロッキングエッジ部25は、ピラー部22および胴部21の何れか一方のみに含まれるように形成されてもよい。また、ロッキングエッジ部25は、エレメント20の背面に形成されてもよい。
また、非接触部27は、サドル面23sで開口すると共に当該サドル面23sに沿って幅方向に延在して一対のロッキングエッジ部25を分断するように胴部21の正面(一方の表面)に形成された帯状の凹部である。非接触部27の表面(底面)は、各ロッキングエッジ部25の表面よりも背面側に窪んでおり、これにより、サドル面23sの厚みは、ピラー部22の厚みteよりも小さくなる。更に、非接触部27の隅部や、非接触部27を画成する胴部21のエッジ部には、面取り加工等によりR形状が付与されている。
このような非接触部27を各エレメント20に形成することで、伝動ベルト10では、隣り合うエレメント20とのロッキングエッジ部25以外での接触、すなわち隣り合うエレメント20と非接触部27との接触を良好に抑制することが可能となる。この結果、大きなモーメントが作用するエレメント20の幅方向における中央部からの荷重が隣り合うエレメント20に加えられて当該エレメント20が変形するのを抑制し、各エレメント20の耐久性をより向上させることが可能となる。
上述のエレメント20の製造に際しては、プレス加工により鋼板から打ち抜かれたワークに対して、当該プレス加工に伴ってワークに形成されるバリ等を除去するためのバレル研磨といった表面処理が施される。一般的に、バレル研磨等の表面処理によりバリ等が除去されたエレメント20の表面粗さ(Ra算術平均粗さ)は0.14μm程度となるが、本実施形態では、プレス加工により得られたワークに対して、バリ等を除去するための表面処理(研磨加工)よりもエレメント20の表面粗さをより小さくする表面処理が施される。具体的には、エレメント20に対する表面処理の仕様は、当該表面処理が完了した際にロッキングエッジ部25やサドル面23s、テーパ面21s、ピラー部22の表面、背面を含むエレメント20の表面全体(窪み部21rの底面やフック部22fの裏面等を除いてもよい)で表面粗さ(Ra算術平均粗さ)が例えば0.11μm程度になるように定められる。なお、エレンメント20の表面粗さ(Ra算術平均粗さ)を0.11μm程度にするためには、従来のエレメントに対して施されていた表面処理に比べてバレル研磨時間を長くしたり、より研磨能力の高い砥石を用いればよい。
続いて、伝動ベルト10に含まれるエレメント20の表面粗さについて説明する。
図3に示すように、複数のエレメント20を含む伝動ベルト10(図3では、エレメント20および最内層リング材11iのみを示す)では、セカンダリプーリ5の出口(セカンダリプーリ5との巻き掛かりが解除される位置、図中、白抜矢印参照)よりもプライマリプーリ3側で、隣り合うエレメント20間で僅かな隙間が形成される。このため、プライマリプーリ3の周囲には、隙間の存在によりエレメント20間で押圧力が発生しなくなってトルクが伝達されなくなるアイドルアークAiと呼ばれる領域と、エレメント20間の隙間が詰まることにより当該エレメント20間で押圧力が発生してトルクが伝達されるアクティブアークAaと呼ばれる領域とが形成される。
アイドルアークAiでは、エレメント20および積層リング12がプライマリプーリ3と一体になって回転し、エレメント20の角速度と積層リング12の角速度とが一致する。これに対して、アクティブアークAaでは、1個のエレメント20がプライマリプーリ3からセカンダリプーリ5側に押し出された際に(プライマリプーリとの巻き掛かりが解除された際)に、エレメント1個分の押圧力が無くなることでエレメント20とプライマリプーリ3との間に相対すべりを生じ、アクティブアークAaのエレメント20がプライマリプーリ3と共に移動し得なくなる(プライマリプーリ3に対して遅れる)マイクロスリップと呼ばれる現象が発生する。そして、アクティブアークAaにおけるエレメント20の角速度は、アイドルアークAiにおけるエレメント20および積層リング12の角速度に対してマイクロスリップによるスリップ量分だけ小さくなり、かかるマイクロスリップが増加すると、無段変速機1におけるスリップ率が悪化して動力の伝達効率が低下してしまう。
また、マイクロスリップによるスリップ量Δxとしては、隣り合うエレメント20同士の隙間の合計値(以下、「エンドプレー」という)を上述のセカンダリプーリ5の出口からアイドルアークAiの終端までの間(図3において一点鎖線で示す範囲)に位置するエレメント20の数で除した値(Δx>0)、あるいは上記エンドプレーを該当するエレメント20の数で除した値に回転数や変速比γに応じた係数を乗じた値を用いることができる。従って、エレメント20同士の隙間、すなわちエンドプレーを適正範囲内に維持することで、アクティブアークにおけるマイクロスリップの増加を抑えて無段変速機1における動力の伝達効率の悪化を抑制することができる。
このような伝動ベルト10の特性を踏まえて、本発明者らは、隣り合うエレメント20同士の隙間を適正範囲内に維持して無段変速機1における動力の伝達効率を良好に確保すべく、鋭意研究を行った。そして、本発明者らは、無段変速機1の使用開始後、トルクの伝達に伴って隣り合うエレメント20同士が擦れ合うことでロッキングエッジ部25や当該ロッキングエッジ部25との接触面が摩耗し、摩耗によりロッキングエッジ部25や当該接触面の表面粗さが良化することに起因してエンドプレーが増加することを見出した。
すなわち、プレス加工により得られたワークにバリ等を除去するための表面処理が施されてロッキングエッジ部25を含むエレメント20の表面全体の表面粗さ(Ra算術平均粗さ)が平均値で0.14μm程度になっており、かつ伝動ベルト10の組み立て完了後におけるエンドプレーが0.25mm程度である場合、図4において破線で示すように、無段変速機1の使用開始(当該無段変速機1を搭載した車両の納車時に相当)から比較的短時間のうちに、エンドプレーが1.0mm程度まで増加することが判明した。また、表面処理後のロッキングエッジ部25を含むエレメント20の表面全体の表面粗さ(Ra算術平均粗さ)が平均値で0.14μm程度である場合、図5において破線で示すように、無段変速機1の使用開始から比較的短時間のうちに、ロッキングエッジ部25や当該ロッキングエッジ部25との接触面の表面粗さ(Ra算術平均粗さ)が平均値で0.10μm程度まで良化することも判明した。更に、組み立てが完了して使用可能となった無段変速機1を変速比γが最大(最大減速比)となる状態にし、エンジンからプライマリプーリ3に当該エンジンの最大トルクを連続して伝達した場合(スロットル開度100%かつ最大トルクを発生させる回転数でエンジンを連続して作動させた場合)、プライマリプーリ3へのトルクの伝達開始からの時間(積算時間)が20時間程度に達した段階で、ロッキングエッジ部25や当該ロッキングエッジ部25との接触面の表面粗さが概ね一定の値に収束し(表面粗さが変化しなくなり)、それに伴ってエンドプレーも一定の値に収束することも判明した(図4および図5における破線参照)。
かかる研究結果と、無段変速機1の使用に伴うエンドプレーの許容増加量(例えば、0.2mm〜0.3mm程度)とを考慮して、ロッキングエッジ部25および当該ロッキングエッジ部25との接触面の表面粗さの初期値を“Ri”とし、当該表面粗さの収束値を“Rc”としたときに、Rc≦Ri≦1.15×Rc、より好ましくは、Rc≦Ri≦1.05×Rcを満たすように形成される。ここで、ロッキングエッジ部25等の表面粗さの初期値Riは、エレメント20(ワーク)に対する表面処理が完了した際のロッキングエッジ部25や上記接触面の表面粗さ(Ra算術平均粗さ)である。また、本実施形態において、ロッキングエッジ部25等の表面粗さの収束値Rcは、プライマリプーリ3にエンジンから上記最大トルクが伝達される時間の初期状態(無段変速機1が使用可能となった状態)からの積算値が所定時間(本実施形態では、例えば20時間)に達した際のロッキングエッジ部25や当該接触面の表面粗さ(Ra算術平均粗さ)であり、上述のように例えば0.10μm程度の値である。
これにより、図5において実線で示すように、無段変速機1の使用に伴うロッキングエッジ部25や上記接触面の摩耗すなわち表面粗さの変化を抑制し、図4において実線で示すように、無段変速機1の使用に伴うエンドプレーの増加を抑えることができる。すなわち、伝動ベルト10のエレメント20では、一対のロッキングエッジ部25の間に隣り合うエレメント20と接触しないようにサドル面23sに沿って幅方向に延在する非接触部27が形成されており、各ロッキングエッジ部25の表面積が比較的小さくなる。このため、ロッキングエッジ部25等の表面粗さの初期値Riが大きいと、無段変速機1の使用に伴うロッキングエッジ部25等の摩耗による表面粗さの変化量(良化の度合い)が大きくなり、それによりエンドプレーが初期値よりも増加してしまう。これに対して、少なくともロッキングエッジ部25や上記接触面の表面粗さの初期値Riを上記収束値Rcに近づけておくことで、無段変速機1の使用に伴うエンドプレーの増加を極めて良好に抑制することができる。特に、一対のピラー部22を有するエレメント20では、胴部の幅方向における中央部からベルト外周側に延出された頭部の両側に積層リングが配置される一般的なエレメントに比べて、ロッキングエッジ部25の面積(幅)が小さくなることから、このようにロッキングエッジ部25や上記接触面の表面粗さの初期値Riを収束値Rcに近づけておくことは極めて有効である。この結果、伝動ベルト10を含む無段変速機1では、アクティブアークAaにおけるマイクロスリップの増加を抑制して動力の伝達効率を良好に確保することが可能となる。
また、本実施形態では、エレメント20の製造に際し、プレス加工により得られたワークに対して、バリ等を除去すると共に当該ワークの表面全体の表面粗さの初期値を上記収束値Rcに近い初期値Riにするための表面処理が施され、エレメント20の表面全体の表面粗さの初期値は、上記初期値Riと概ね同一となる。これにより、バレル研磨等の表面処理によって多数のエレメント20のロッキングエッジ部25や当該ロッキングエッジ部25との接触面の表面粗さを一括して容易に良化することが可能となる。
ただし、ロッキングエッジ部25および当該ロッキングエッジ部25との接触面の少なくとも何れか一方の表面粗さの初期値Riは、テーパ面21sやピラー部22の表面(正面のロッキングエッジ部25以外の部分)、背面の当該接触面以外の部分における表面粗さの初期値よりも小さくてもよい。すなわち、エレメント20は、ロッキングエッジ部25および当該ロッキングエッジ部25との接触面の少なくとも何れか一方のみ、あるいはエレメント20の正面および背面の少なくとも何れか一方のみに、表面粗さの初期値Riを上記収束値Rcに近い値にする表面処理が施されたものであってもよい。更に、上記エレメント20は、左右対称の外形を有するものであるが、これに限られるものではない。すなわち、エレメント20は、左右非対称の外形を有するように形成されてもよい。
また、上記伝動ベルト10では、各エレメント20に一対のフック部22fが設けられると共に、積層リング12と複数のエレメント20のフック部22fとの間にリテーナリング15が配置されるが、伝動ベルト10からリテーナリング15が省略されてもよい。更に、フック部22fの構成は、上述のものには限られず、フック部22fが省略されてもよい。また、無段変速機1は、プライマリシャフト2およびセカンダリシャフト4が選択的にインプットシャフトに連結されると共に、プライマリシャフト2およびセカンダリシャフト4が選択的に車両のドライブシャフトに連結されるように構成されてもよい。
以上説明したように、本開示の伝動ベルト用エレメントは、無段変速機(1)のプライマリプーリ(3)およびセカンダリプーリ(5)に巻き掛けられる伝動ベルト(10)のリング(12)と接触するサドル面(23s)を有する胴部(21)と、前記サドル面(23s)の幅方向における両側に位置するように前記胴部(21)から延出された一対のピラー部(22)とを含む伝動ベルト用エレメント(20)において、正面および背面の一方に形成され、隣り合うエレメント(20)同士を接触させて両者の回動の支点となる接触線を含む曲面であるロッキングエッジ部(25)を備え、前記ロッキングエッジ部(25)および該ロッキングエッジ部(25)との接触面の少なくとも何れか一方の表面粗さの初期値を“Ri”とし、該表面粗さの収束値を“Rc”としたときに、Rc≦Ri≦1.15×Rcを満たすものである。
本発明者らは、隣り合うエレメント同士の隙間を適正範囲内に維持して無段変速機における動力の伝達効率を良好に確保すべく鋭意研究を行った。そして、本発明者らは、無段変速機の使用開始後、トルクの伝達に伴って隣り合うエレメント同士が擦れ合うことでロッキングエッジ部や当該ロッキングエッジ部との接触面が摩耗し、摩耗によりロッキングエッジ部や当該接触面の表面粗さが良化することに起因して隣り合うエレメント同士の隙間の合計値が増加することを見出した。これを踏まえて、本開示の伝動ベルト用エレメントは、ロッキングエッジ部および当該ロッキングエッジ部との接触面の少なくとも何れか一方の表面粗さの初期値を“Ri”とし、当該表面粗さの収束値を“Rc”としたときに、Rc≦Ri≦1.15×Rcを満たすように形成される。これにより、無段変速機の使用に伴うロッキングエッジ部や上記接触面の摩耗すなわち表面粗さの変化を抑制し、無段変速機の使用に伴う隣り合うエレメント同士の隙間の合計値の増加を抑えることができる。この結果、アクティブアークにおけるマイクロスリップの増加を抑制して無段変速機における動力の伝達効率を良好に確保することが可能となる。
また、前記伝動ベルト用エレメント(20)は、Rc≦Ri≦1.05×Rcを満たすものであってもよい。これにより、無段変速機の使用に伴う隣り合うエレメント同士の隙間(合計値)の増加をより良好に抑制することが可能となる。
更に、前記サドル面、前記正面および前記背面を含む表面全体の表面粗さの初期値は、前記初期値Riと概ね同一であってもよい。すなわち、伝動ベルト用エレメントは、その表面全体の表面粗さの初期値を上記収束値Rcに近い初期値Riにする表面処理が施されたものであってもよい。これにより、バレル研磨等の表面処理によって多数のエレメントのロッキングエッジ部や当該ロッキングエッジ部との接触面の表面粗さを一括して容易に良化することが可能となる。
また、前記初期値Riは、前記正面または前記背面の前記ロッキングエッジ部(20)または前記接触面以外の部分の表面粗さの初期値よりも小さくてもよい。すなわち、伝動ベルト用エレメントは、ロッキングエッジ部や当該ロッキングエッジ部との接触面のみに表面粗さの初期値Riを上記収束値Rcに近い値にする表面処理が施されたものであってもよい。
更に、前記初期値Riは、前記伝動ベルト用エレメント(20)に対する表面処理が完了した際の前記ロッキングエッジ部(25)および前記接触面の少なくとも何れか一方の表面粗さであってもよく、前記収束値Rcは、前記無段変速機(1)の変速比(γ)が最大であり、かつ該無段変速機(1)にエンジンの最大トルクが伝達される状態で表面粗さが変化しなくなったときの前記ロッキングエッジ部(25)および前記接触面の少なくとも何れか一方の表面粗さであってもよい。
また、前記ロッキングエッジ部(25)は、前記幅方向に間隔をおいて形成され、一対の前記ロッキングエッジ部(25)の間には、隣り合うエレメント(20)と接触しないように前記サドル面(23s)に沿って前記幅方向に延在する非接触部(27)が形成されてもよい。すなわち、このような構成を有する伝動ベルト用エレメントでは、各ロッキングエッジ部の表面積が比較的小さくなることから、ロッキングエッジ部等の表面粗さの初期値が大きいと、無段変速機の使用に伴うロッキングエッジ部等の摩耗による表面粗さの変化量(良化の度合い)が大きくなり、それにより隣り合うエレメント同士の隙間の合計値が増加してしまう。従って、かかる伝動ベルト用エレメントにおいて、少なくともロッキングエッジ部や上記接触面の表面粗さの初期値Riを上記収束値Rcに近づけておくことで、無段変速機の使用に伴う隣り合うエレメント同士の隙間の合計値の増加を極めて良好に抑制することが可能となる。
本開示の伝動ベルトは、サドル面(23s)を有する胴部(21)および前記サドル面(23s)の幅方向における両側に位置するように前記胴部(21)から延出された一対のピラー部(22)を含む複数のエレメント(20)と、前記複数のエレメント(20)の前記一対のピラー部(22)間に配置されるリング(12)とを有すると共に無段変速機(1)のプライマリプーリ(3)およびセカンダリプーリ(5)に巻き掛けられる伝動ベルト(10)において、前記エレメント(20)の各々が、該エレメント(20)の正面および背面の一方に形成され、隣り合うエレメント(20)同士を接触させて両者の回動の支点となる接触線を含む曲面であるロッキングエッジ部(25)を含み、前記ロッキングエッジ部(25)および該ロッキングエッジ部(25)との接触面の少なくとも何れか一方の表面粗さの初期値を“Riとして、該表面粗さの収束値を“Rc”としたときに、Rc≦Ri≦1.15×Rcを満たすものである。
本開示の伝動ベルトでは、無段変速機の使用に伴うエレメントのロッキングエッジ部や上記接触面の摩耗すなわち表面粗さの変化を抑制し、無段変速機の使用に伴う隣り合うエレメント同士の隙間の合計値の増加を抑えることができる。この結果、アクティブアークにおけるマイクロスリップの増加を抑制して無段変速機における動力の伝達効率を良好に確保することが可能となる。
本開示の伝動ベルト用エレメントの製造方法は、無段変速機(1)のプライマリプーリ(3)およびセカンダリプーリ(5)に巻き掛けられる伝動ベルト(10)のリング(12)と接触するサドル面(23s)を有する胴部(21)と、前記サドル面(23s)の幅方向における両側に位置するように前記胴部(21)から延出された一対のピラー部(22)とを含む伝動ベルト用エレメント(20)の製造方法において、隣り合うエレメント(20)同士を接触させて両者の回動の支点となる接触線を含む曲面であるロッキングエッジ部(25)および該ロッキングエッジ部(25)との接触面の少なくとも何れか一方の表面粗さの初期値を“Ri”とし、該表面粗さの収束値を“Rc”としたときに、Rc≦Ri≦1.15×Rcを満たすように少なくとも前記ロッキングエッジ部(25)または前記接触面に表面処理を施すものである。
かかる方法により製造された伝動ベルト用エレメントによれば、無段変速機の使用に伴うロッキングエッジ部や上記接触面の摩耗すなわち表面粗さの変化を抑制し、無段変速機の使用に伴う隣り合うエレメント同士の隙間の合計値の増加を抑えることができる。この結果、アクティブアークにおけるマイクロスリップの増加を抑制して無段変速機における動力の伝達効率を良好に確保することが可能となる。
本開示の無段変速機は、エンジンからのトルクが伝達されるプライマリプーリと、セカンダリプーリと、前記プライマリプーリおよび前記セカンダリプーリに巻き掛けられる伝動ベルトとを含む無段変速機において、前記伝動ベルトは、サドル面を有する胴部および前記サドル面の幅方向における両側に位置するように前記胴部から延出された一対のピラー部を含む複数のエレメントと、前記複数のエレメントの前記一対のピラー部間に配置されるリングとを含み、前記エレメントの各々は、該エレメントの正面および背面の一方に形成され、隣り合うエレメント同士を接触させて両者の回動の支点となる接触線を含む曲面であるロッキングエッジ部を含み、前記ロッキングエッジ部および該ロッキングエッジ部との接触面の少なくとも何れか一方の表面粗さの初期値を“Ri”とし、該表面粗さの収束値を“Rc”としたときに、
Rc≦Ri≦1.15×Rc
を満たすものである。
かかる無段変速機では、当該無段変速機の使用に伴うロッキングエッジ部や上記接触面の摩耗すなわち表面粗さの変化を抑制し、無段変速機の使用に伴う隣り合うエレメント同士の隙間の合計値の増加を抑えることができる。この結果、アクティブアークにおけるマイクロスリップの増加を抑制して動力の伝達効率を良好に確保することが可能となる。
そして、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記実施形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。
本開示の発明は、無段変速機や伝動ベルトの製造産業等において利用可能である。
1 無段変速機、2 プライマリシャフト、2s ストッパ部、3 プライマリプーリ、3a,5a 固定シーブ、3b,5b 可動シーブ、3s スプライン歯、4 セカンダリシャフト、5 セカンダリプーリ、6 プライマリシリンダ、60 プライマリピストン、65 エンドプレート、7 セカンダリシリンダ、8 リターンスプリング、10 伝動ベルト、11 リング材、11i 最内層リング材、11o 最外層リング材、12 積層リング、15 リテーナリング、20 エレメント、20s 側面、20sa 第1側面、20sb 第2側面、21 胴部、21p 突起、21r 窪み部、21s テーパ面、22 ピラー部、22f フック部、22i 内面、23 リング収容部、23s サドル面、25 ロッキングエッジ部、27 非接触部、T 頂部。

Claims (9)

  1. 無段変速機のプライマリプーリおよびセカンダリプーリに巻き掛けられる伝動ベルトのリングと接触するサドル面を有する胴部と、前記サドル面の幅方向における両側に位置するように前記胴部から延出された一対のピラー部とを含む伝動ベルト用エレメントにおいて、
    正面および背面の一方に形成され、隣り合うエレメント同士を接触させて両者の回動の支点となる接触線を含む曲面であるロッキングエッジ部を備え、
    前記ロッキングエッジ部および該ロッキングエッジ部との接触面の少なくとも何れか一方の表面粗さの初期値を“Ri”とし、該表面粗さの収束値を“Rc”としたときに、
    Rc≦Ri≦1.15×Rc
    を満たす伝動ベルト用エレメント。
  2. 請求項1に記載の伝動ベルト用エレメントにおいて、Rc≦Ri≦1.05×Rcを満たす伝動ベルト用エレメント。
  3. 請求項1または2に記載の伝動ベルト用エレメントにおいて、
    前記サドル面、前記正面および前記背面を含む表面全体の表面粗さの初期値は、前記初期値Riと概ね同一である伝動ベルト用エレメント。
  4. 請求項1または2に記載の伝動ベルト用エレメントにおいて、
    前記初期値Riは、前記正面または前記背面の前記ロッキングエッジ部または前記接触面以外の部分の表面粗さの初期値よりも小さい伝動ベルト用エレメント。
  5. 請求項1から3の何れか一項に記載の伝動ベルト用エレメントにおいて、
    前記初期値Riは、前記伝動ベルト用エレメントに対する表面処理が完了した際の前記ロッキングエッジ部および前記接触面の少なくとも何れか一方の表面粗さであり、
    前記収束値Rcは、前記無段変速機の変速比が最大であり、かつ該無段変速機にエンジンの最大トルクが伝達される状態で表面粗さが変化しなくなったときの前記ロッキングエッジ部および前記接触面の少なくとも何れか一方の表面粗さである伝動ベルト用エレメント。
  6. 請求項1から5の何れか一項に記載の伝動ベルト用エレメントにおいて、
    前記ロッキングエッジ部は、前記幅方向に間隔をおいて形成され、一対の前記ロッキングエッジ部の間には、隣り合うエレメントと接触しないように前記サドル面に沿って前記幅方向に延在する非接触部が形成されている伝動ベルト用エレメント。
  7. サドル面を有する胴部および前記サドル面の幅方向における両側に位置するように前記胴部から延出された一対のピラー部を含む複数のエレメントと、前記複数のエレメントの前記一対のピラー部間に配置されるリングとを有すると共に無段変速機のプライマリプーリおよびセカンダリプーリに巻き掛けられる伝動ベルトにおいて、
    前記エレメントの各々は、該エレメントの正面および背面の一方に形成され、隣り合うエレメント同士を接触させて両者の回動の支点となる接触線を含む曲面であるロッキングエッジ部を含み、
    前記ロッキングエッジ部および該ロッキングエッジ部との接触面の少なくとも何れか一方の表面粗さの初期値を“Ri”とし、該表面粗さの収束値を“Rc”としたときに、
    Rc≦Ri≦1.15×Rc
    を満たす伝動ベルト。
  8. 無段変速機のプライマリプーリおよびセカンダリプーリに巻き掛けられる伝動ベルトのリングと接触するサドル面を有する胴部と、前記サドル面の幅方向における両側に位置するように前記胴部から延出された一対のピラー部とを含む伝動ベルト用エレメントの製造方法において、
    隣り合うエレメント同士を接触させて両者の回動の支点となる接触線を含む曲面であるロッキングエッジ部および該ロッキングエッジ部との接触面の少なくとも何れか一方の表面粗さの初期値を“Ri”とし、該表面粗さの収束値を“Rc”としたときに、
    Rc≦Ri≦1.15×Rc
    を満たすように少なくとも前記ロッキングエッジ部または前記接触面に表面処理を施す伝動ベルト用エレメントの製造方法。
  9. エンジンからのトルクが伝達されるプライマリプーリと、セカンダリプーリと、前記プライマリプーリおよび前記セカンダリプーリに巻き掛けられる伝動ベルトとを含む無段変速機において、
    前記伝動ベルトは、サドル面を有する胴部および前記サドル面の幅方向における両側に位置するように前記胴部から延出された一対のピラー部を含む複数のエレメントと、前記複数のエレメントの前記一対のピラー部間に配置されるリングとを含み、
    前記エレメントの各々は、該エレメントの正面および背面の一方に形成され、隣り合うエレメント同士を接触させて両者の回動の支点となる接触線を含む曲面であるロッキングエッジ部を含み、
    前記ロッキングエッジ部および該ロッキングエッジ部との接触面の少なくとも何れか一方の表面粗さの初期値を“Ri”とし、該表面粗さの収束値を“Rc”としたときに、
    Rc≦Ri≦1.15×Rc
    を満たす無段変速機。
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