本発明の積層体は、第一の基材と第二の基材との間に光学透明粘着シート及び支持部材を備える積層体であって、上記支持部材は、上記第一の基材の外縁上に配置された段差形成部を有し、上記光学透明粘着シートは、上記第一の基材と上記第二の基材とを接着する厚膜部と、上記段差形成部と上記第二の基材との間に挟み込まれた端部とを含み、上記光学透明粘着シートは、30℃での損失正接が0.5以上であり、上記厚膜部の厚みが上記段差形成部の厚みの1.5倍以上であることを特徴とする。
図1は、ベゼルオン貼合構造を有する本発明の積層体の構成を模式的に示した断面図である。図1に示す積層体は、第一の基材11及び第二の基材13との間に、光学透明粘着シート12及び支持部材(上ベゼル)21が設けられた構成を有し、例えば、表示装置等の電子機器の一部であってもよい。上ベゼル21は、下ベゼル22と一体化され、第一の基材11を収容する筐体(ベゼル)を構成する。
図1に示す積層体は、ベゼルオン貼合構造を有するものであるので、ベゼルの一部を構成する上ベゼル21を支持部材としている。本発明は、支持部材が上ベゼルである場合に限定されるものではなく、第一の基材と第二の基材との間に支持部材を介在させつつ、光学透明粘着シートによって第一の基材と第二の基材との貼り合わせを行う場合に広く適用できる。
第一の基材11と第二の基材13との組み合わせは特に限定されず、例えば、表示パネル、タッチパネル(ITO透明導電膜付きガラス基板)、カバーパネル(カバーガラス)等の表示装置を構成する各種部材が挙げられる。表示パネルの種類は特に限定されず、例えば、液晶パネル、有機エレクトロルミネッセンスパネル(有機ELパネル)等が挙げられる。また、表示パネルの光学透明粘着シート12が貼り付けられる面には、偏光板、位相差フィルム等が配置されていてもよい。光学透明粘着シート12を用いて表示装置内の各種部材を貼り合わせれば、表示装置内の空気層(エアギャップ)を無くすことができ、表示画面の視認性を向上することができる。また、偏光板が配置されている場合には、光学透明粘着シート12によって偏光板の吸湿を効果的に防止することができる。第一の基材11が液晶パネル等の表示パネルであり、第二の基材13がカバーパネル(カバーガラス)又はタッチセンサーガラスである組み合わせが好適である。
第一の基材11及び第二の基材13の材質は特に限定されず、例えば、ガラス、樹脂等が挙げられる。第一の基材11及び/又は第二の基材13を構成する樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、トリアセチルセルロース(TAC)等が挙げられる。例えば、第一の基材11の光学透明粘着シート12が貼り付けられる面に偏光板が配置される場合には、光学透明粘着シート12と接する表面はTACで構成されることがある。なお、偏光板は、TAC、ポリビニルアルコール(PVA)及びTACの積層構造を有するものであってもよいし、上記積層構造のTAC表面にAG(アンチグレア)処理を施したものであってもよいし、上記積層構造のTAC表面にHC(ハードコート)処理を施したものであってもよいし、上記積層構造のTAC表面にAG処理及びHC処理を施したものであってもよい。
上ベゼル21は、平面視したときに、光学透明粘着シート12の周囲に配置された枠状の部材であり、少なくとも一部が第一の基材11の外縁上に配置されている。第一の基材11の外縁上に配置された部分(段差形成部)の側面が段差を形成する。段差形成部の側面の形状は特に限定されず、第一の基材11の上面に対して段差形成部の側面が垂直であってもよい。第一の基材11が表示パネルである場合には、上ベゼル21が表示装置の額縁領域に配置されるが、表示装置の使用者から上ベゼル21が見えないように、第一の基材11の外縁に遮光部13Aが設けられてもよい。上ベゼル21の材質は特に限定されず、例えば、金属、樹脂等が挙げられる。
上ベゼル21の厚み(段差の大きさ)は特に限定されないが、例えば、200〜1000μmとされる。上ベゼル21の厚みが200μmを超えると、光学透明粘着シート12の厚みを300μm以上にすることが必要となるため、通常の光学透明粘着シートよりも厚い光学透明粘着シートが用いられる。
光学透明粘着シート12は、第一の基材11と第二の基材13とを貼り合わせるために用いられる透明かつ粘着性を有するシート状の部材である。なお、本明細書において、「光学透明粘着シート」とは、「光学透明粘着フィルム」と同義である。
光学透明粘着シート12は、例えば、1次貼合で第二の基材13に貼合され、2次貼合で第一の基材11に貼合される。第二の基材13がカバーパネルであり、第一の基材11が液晶パネルである場合、光学透明粘着シート12の端部は、カバーパネル側では遮光部13A(BM印刷、加飾印刷)によって隠され、液晶パネル側では上ベゼル21の側面との干渉を考慮する必要がなく、上ベゼル21の上に配置される。したがって、ベゼルオン貼合構造では、厳しい配置精度が求められず、光学透明粘着シートの配置精度を緩和することができる。
光学透明粘着シート12は、第一の基材11と第二の基材13とを接着する厚膜部と、上ベゼル21の段差形成部と第二の基材13との間に挟み込まれた端部とを含む。光学透明粘着シート12の端部は、第二の基材13と上ベゼル21の段差形成部との間に挟み込まれているため、従来よりも剥がれにくい。また、光学透明粘着シート12が上ベゼル21の段差形成部まで到達していることから、第一の基材11の上面は全て、上ベゼル21の段差形成部又は光学透明粘着シート12によって被覆されており、第一の基材11の吸湿を防止できる。第一の基材11の上面に偏光板が位置する場合には、偏光板の吸湿を防止できる。偏光板が吸湿すると、性能劣化が早まったり、高温環境下で吸湿された水分が蒸発することで遅れ泡(ディレイバブル)が発生したりすることがある。
光学透明粘着シート12は、本発明に特有の粘弾性特性を有するものであり、具体的には、30℃での損失正接(tanδ)が0.5以上である。本発明者らの検討によれば、上ベゼル21の段差形成部を被覆するように光学透明粘着シート12を配置する構造(ベゼルオン貼合構造)を実現するためには、均一な厚みを有する光学透明粘着シート12を上ベゼル21の段差形成部により形成される段差に充分に追従させ、密着させた状態を維持することと、光学透明粘着シート12を上ベゼル21の段差形成部の上面と第二の基材13とで挟み込んで薄く引き伸ばせることが必要である。ここで、光学透明粘着シート12をゲルに非常に近い状態とすることができれば、優れた段差追従性が得られるだけでなく、変形後の復元力がほとんど働かないことから、ベゼルオン貼合構造に好適である。そこで、本発明者らは、損失正接を粘弾性の指標として検討し、30℃における値を上記した範囲内とすることによって、光学透明粘着シートをゲルに非常に近い状態とすることができ、ベゼルオン貼合構造を実現できることを見出した。30℃での損失正接の好ましい下限は0.6であり、好ましい上限は0.8である。また、85℃での損失正接の好ましい下限は0.5であり、好ましい上限は0.9である。損失正接が高すぎると、貼合はし易いものの、高温時のクリープ特性が悪化するため、光学透明粘着シート12の貼合面が鉛直方向(重力方向)と平行となるように本発明の積層体を配置した場合には、カバーパネル等の第二の基材13自身の重みによって、高温時にずれや剥離が発生する可能性がある。また、損失正接が低すぎると、貼合時の光学透明粘着シート12の追従性が悪く、貼合が適切に行えない可能性がある。
また、光学透明粘着シート12は、30℃での貯蔵せん断弾性率が3.0×105Pa以下であることが好ましい。30℃での貯蔵せん断弾性率の好ましい下限は9.0×104Paである。85℃での貯蔵せん断弾性率の好ましい下限は1.0×104Paであり、好ましい上限は3.0×104Paである。貯蔵せん断弾性率が高すぎると、損失正接が高すぎる場合と同様に、高温時のクリープ特性が悪化する。また、貯蔵せん断弾性率が低すぎると、損失正接が低すぎる場合と同様に、貼合時の光学透明粘着シート12の追従性が悪化する。
なお、損失正接及び貯蔵せん断弾性率は、光学透明粘着シート12に用いる樹脂の組成及び/又は熱硬化条件を調整することによって制御できるものであり、例えば、光学透明粘着シート12をポリウレタンにより作製する場合、α比(ポリオール成分由来のOH基のモル数/ポリイソシアネート成分由来のNCO基のモル数)、ポリイソシアネート成分中の親水性ユニットの量や種類(分子量)、親水性ユニットを有する親水性ポリイソシアネートと親水性ユニットを有さない疎水性ポリイソシアネートの比率(例えば、モル比)、可塑剤の添加の有無や配合量、架橋温度等により制御できる。
光学透明粘着シート12の厚膜部の厚みは、上ベゼル21の段差形成部の厚みの1.5倍以上であり、2倍以上であることがより好ましい。これにより、上ベゼル21の段差形成部と第二の基材13との間に挟み込まれた光学透明粘着シート12の端部において充分な厚みを確保することができ、端部の剥離を防止できる。なお、積層体における光学透明粘着シート12の厚膜部の厚みは、光学透明粘着シート12の貼り合わせ前の厚みと実質的に同じである。すなわち、光学透明粘着シート12の貼り合わせ前の厚みは、上ベゼル21の厚みの1.5倍以上であることが好ましく、2倍以上であることがより好ましい。具体的には、光学透明粘着シート12の貼り合わせ前の厚みは、300μm以上であることが好ましく、500μmを超えることがより好ましい。30℃での損失正接が0.5以上であり、30℃での貯蔵せん断弾性率が3.0×105Pa以下であり、厚みが500μmを超える光学透明粘着シートもまた、本発明の一態様である。また、光学透明粘着シート12の貼り合わせ前の厚みは、3000μm以下であることが好ましい。厚みが3000μmを超える場合には、ヘイズや全光線透過率等の光学特性が充分に得られないことがある。光学透明粘着シートの厚みのより好ましい上限は2000μmである。
光学透明粘着シート12は、180°剥離試験での粘着力が2N/25mm以上であることが好ましい。上記粘着力が2N/25mm未満である場合には、貯蔵せん断弾性率及び損失正接を本発明の範囲内にしてもディレイバブルの発生を抑制することができないおそれがある。上記粘着力の好ましい下限は3N/25mmであり、より好ましい下限は5N/25mmであり、更に好ましい下限は7N/25mmであり、好ましい上限は15N/25mmである。上記粘着力が15N/25mm以下であれば、光学透明粘着シート12をタッチパネル等の光学部材の貼り合わせに用いた場合に、糊残りなく剥がすことができるので、リワーク性に優れる。また、光学透明粘着シートの粘着力が大きくなり過ぎると、光学透明粘着シートと被着体との間に入った気泡を抜くのが困難になることがある。
光学透明粘着シート12のマイクロゴムA硬さは、0.1°以上、25°以下であることが好ましい。マイクロゴムA硬さが0.1°未満である場合には、使用時(光学部材への貼り付け時)の取り扱い性が悪く、光学透明粘着シートを変形させてしまうことがある。一方、マイクロゴムA硬さが25°を超える場合には、光学透明粘着シートの柔軟性が低く、光学部材に貼り付ける際に、光学部材の表面形状に追従することができず、空気を噛み込んでしまうことで、光学部材から剥がれる原因となることがある。また、光学透明粘着シートの柔軟性が低いと、特に、タッチパネル等の光学部材を貼り合わせる際に、ベゼルの段差を被覆することができないことがある。上記マイクロゴムA硬さのより好ましい下限は0.5°であり、より好ましい上限は15°であり、更に好ましい上限は2°である。マイクロゴムA硬さが2°以下の光学透明粘着シートは、ゲルに非常に近い状態であることから、光学部材の表面形状に応じて変形し、優れた段差追従性を示す。また、変形後の復元力がほとんど働かないことから、ディレイバブルの発生を抑制する効果も期待できる。なお、マイクロゴムA硬さは、例えば、高分子計器社製のマイクロゴム硬度計「MD−1タイプA」を用いて測定することができる。マイクロゴム硬度計「MD−1タイプA」は、スプリング式ゴム硬度計(デュロメータ)A型の約1/5の縮小モデルとして、設計・製作された硬度計であり、測定対象物のサイズが薄くてもスプリング式ゴム硬度計A型の硬度と一致した測定値を取得することができる。
光学透明粘着シート12は、ヘイズが0.5%以下であることが好ましく、また、全光線透過率が90%以上であることが好ましい。ヘイズ及び全光線透過率は、例えば、日本電色工業社製の濁度計「HazeMeter NDH2000」を用いて測定することができる。ヘイズは、JIS K 7136に準拠した方法で測定され、全光線透過率は、JIS K 7361−1に準拠した方法で測定される。
光学透明粘着シートの組成は、30℃での損失正接を0.5以上に調整できる材料であれば特に限定されないが、ポリウレタンで構成されたものであることが好ましい。上記ポリウレタンは、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を含有する熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物であることが好ましい。上記熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させることにより得られ、下記式(A)に示した構造を有する。
上記式(A)中、Rは、ポリイソシアネート成分のNCO基を除いた部位を表し、R’は、ポリオール成分のOH基を除いた部位を表し、nは、繰り返し単位数を表す。
上記ポリウレタンは、アクリル変性されていないことが好ましく、主鎖中にアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等に由来する部位が含まれないことが好ましい。熱硬化ポリウレタンがアクリル変性されると、疎水化されるため、高温・高湿下において水分の凝集が生じやすくなる。この水分の凝集は、白化、発泡等を引き起こし、光学特性を損なうことがある。したがって、上記ポリウレタンをアクリル変性されていないものとすることで、高温・高湿下において白化、発泡等による光学特性の低下を防止することができる。上記ポリウレタンは、ポリオール成分に由来する単量体単位と、ポリイソシアネート成分に由来する単量体単位との合計量が、ポリウレタン全体を構成する単量体単位の80モル%以上であることが好ましく、より好ましくは、ポリオール成分に由来する単量体単位及びポリイソシアネート成分に由来する単量体単位のみからなる。
ポリオール成分及びポリイソシアネート成分としては、いずれも常温(23℃)で液体のものを用いることができ、溶剤を用いずにポリウレタンを得ることができる。タッキファイヤー等の他の任意成分は、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分のいずれかに添加することができ、好ましくは、ポリオール成分に添加される。このように、熱硬化性ポリウレタン組成物を用いて光学透明粘着シート12を作製する場合、溶剤の除去が必要ないため、均一なシートを厚く形成することができる。また、熱硬化性ポリウレタン組成物を用いて得られた光学透明粘着シート12は、厚く形成しても光学特性を維持することができるものであり、透明性(ヘイズ)の低下、色付きを充分に抑制することができる。
また、ポリウレタンで構成された光学透明粘着シート12は、柔軟であり、引っ張り応力が加わったときに、良く伸び、非常に千切れにくい。このため、糊残りすることなく、引き剥がすことが可能である。また、光学透明粘着シート12は、柔軟であるとともに厚膜化できることから、耐衝撃性に優れたものとすることができる。更に、ポリウレタンで構成された光学透明粘着シート12は、誘電率が高く、アクリル系樹脂組成物からなる光学透明粘着シートよりも高い静電容量が得られる。このため、ポリウレタンで構成された光学透明粘着シート12は、静電容量方式のタッチパネルの貼り合わせに好適に用いられる。
[ポリオール成分]
上記ポリオール成分としては特に限定されず、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、ポリプロピレンテトラオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレントリオール、これらの共重合体等のポリアルキレングリコール、これらに側鎖を導入したり分岐構造を導入したりした誘導体、変成体、更にはこれらの混合物等が挙げられる。
上記ポリカプロラクトンポリオールとしては、例えば、ポリカプロテクトングリコール、ポリカプロラクトントリオール、ポリカプロラクトンテトラオール、これらに側鎖を導入したり分岐構造を導入したりした誘導体、変成体、更にはこれらの混合物等が挙げられる。
上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ジアルキルカーボネートとジオールとの反応物が挙げられる。
上記ジアルキルカーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート;ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート;エチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記ジオールとしては、例えば、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−ドデカンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。ジオールとしては、炭素数が4〜9の脂肪族又は脂環族ジオールが好ましく、例えば、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,7−ヘプタンジオ−ル、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、及び、1,9−ノナンジオールを、単独で用いる又は2種類以上を併用することが好ましい。ジオールとしては、また、1,6−ヘキサンジオールと3−メチル−1,5−ペンタンジオールとからなるコポリカーボネートジオール、1,6−ヘキサンジオールと1,5−ペンタンジオールとからなるコポリカーボネートジオールも好ましい。
また、上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリカーボネートグリコール、ポリカーボネートトリオール、ポリカーボネートテトラオール、これらに側鎖を導入したり分岐構造を導入したりした誘導体、変成体、更にはこれらの混合物等を用いることもできる。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、ジカルボン酸とグリコール成分とを脱水縮合させたものが挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、等が挙げられる。
グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリエチレングリコール等の脂肪族グリコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール;p−キシレンジオール等の芳香族ジオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールは、以上で例示したジカルボン酸及びグリコール成分によって形成される場合には、線状の分子構造を有するが、3価以上のエステル形成成分を用いた分枝状の分子構造を有するポリエステルであってもよい。ジカルボン酸とグリコール成分とは、モル比1.1〜1.3にて150〜300℃で反応させればよい。
上記ポリオール成分の数平均分子量は、300以上、5000以下であることが好ましい。ポリオール成分の数平均分子量が300未満である場合には、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応が速過ぎてポリウレタンを均一なシートに成形することが困難になったり、ポリウレタンの柔軟性が低下して脆くなったりすることがある。ポリオール成分の数平均分子量が5000を超える場合には、ポリオール成分の粘度が高くなり過ぎてポリウレタンを均一なシートに成形することが困難になったり、ポリウレタンが結晶化して白濁したりする等の不具合が生じることがある。ポリオール成分の数平均分子量は、500以上、2000以下であることがより好ましい。
上記ポリオール成分は、好ましくは、オレフィン骨格を有するものであり、すなわち主鎖がポリオレフィン又はその誘導体によって構成されたものである。オレフィン骨格を有するポリオール成分としては、例えば、1,2−ポリブタジエンポリオール、1,4−ポリブタジエンポリオール、1,2−ポリクロロプレンポリオール、1,4−ポリクロロプレンポリオール等のポリブタジエン系ポリオールや、ポリイソプレン系ポリオール、それらの二重結合を水素又はハロゲン等で飽和化したものが挙げられる。また、上記ポリオール成分は、ポリブタジエン系ポリオール等に、スチレン、エチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル等のオレフィン化合物を共重合させたポリオールやその水添物であってもよい。上記ポリオール成分は、直鎖構造を有するものであってもよく、分岐構造を有するものであってもよい。オレフィン骨格を有するポリオール成分は、1種類のみ用いられてもよいし、2種類以上用いられてもよい。上記ポリウレタンに用いられるポリオール成分は、オレフィン骨格を有するポリオール成分を80モル%以上含むことが好ましく、より好ましくは、オレフィン骨格を有するポリオール成分のみからなる。
上記オレフィン骨格を有するポリオール成分のうち公知のものとしては、例えば、出光興産社製の水酸基末端ポリイソプレンを水添して得られるポリオレフィンポリオール(「EPOL(エポール、登録商標)」、数平均分子量:2500)、日本曹達社製の両末端水酸基水素化ポリブタジエン(「GI−1000」、数平均分子量:1500)、三菱化学社製のポリヒドロキシポリオレフィンオリゴマー(「ポリテール(登録商標)」)等が挙げられる。
[ポリイソシアネート成分]
上記ポリイソシアネート成分としては特に限定されず、従来公知のポリイソシアネートを用いることができ、親水性ユニット(親水基)を有する親水性ポリイソシアネート、及び、親水性ユニットを有さない疎水性ポリイソシアネートのいずれか一方、又は、両方を用いてもよい。
上記親水性ユニットとしては、エチレンオキシドユニットが好適である。上記親水性ユニットが含まれることで、吸湿による白化を抑制する作用が得られる。上記エチレンオキシドユニットの含有量は、熱硬化性ポリウレタン組成物の全体に対して、0.1重量%以上、20重量%以下であることが好ましい。上記含有量が0.1重量%未満であると、充分に白化を抑制できないおそれがある。上記含有量が20重量%を超えると、低極性のオレフィン系ポリオール成分、タッキファイヤー、可塑剤等との相溶性が低下することによって、ヘイズ等の光学特性が低下するおそれがある。上記エチレンオキシドユニットの含有量は、0.1〜5重量%であることがより好ましい。上記含有量が5重量%を超えると、高温高湿環境での吸湿量が多くなりすぎるおそれがある。
エチレンオキシドユニット以外の親水性ユニットとしては、例えば、カルボン酸基、カルボン酸のアルカリ金属塩基、スルホン酸基、スルホン酸のアルカリ金属塩基、ヒドロキシル基、アミド基、アミノ基等を含むユニットが挙げられる。さらに詳しくは、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩、スルホン酸基含有共重合体、スルホン酸基含有共重合体のアルカリ金属塩、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
上記親水性ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族系ポリイソシアネートと、エチレンオキシドユニットを有するエーテル化合物とを反応させて得られる変性ポリイソシアネートが好適に用いられる。脂肪族系ポリイソアシネートを用いることにより、光学透明粘着シート12の着色や変色がより発生しにくく、長期に渡って光学透明粘着シート12の透明性をより確実に確保することができる。また、エチレンオキシドユニットを有するエーテル化合物を反応させた変性体とすることによって、ポリイソシアネート成分は、親水性部分(エチレンオキシドユニット)の作用によって白化を抑制することができ、疎水性部分(その他のユニット)の作用によって低極性のタッキファイヤー、可塑剤等との相溶性を発揮することができる。
上記脂肪族系ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート、それらの変性体が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。なお、ヘキサメチレンジイソシアネートの変性体としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートをイソシアヌレート変性、アロファネート変性、及び/又は、ウレタン変性したもの等が挙げられる。
上記エチレンオキシドユニットを有するエーテル化合物としては、例えば、アルコール類、フェノール類及び/又はアミン類のエチレンオキシド付加物が挙げられ、親水性を高める観点から、1分子当たり3個以上のエチレンオキシドユニットを有するものが好適に用いられる。
上記アルコール類としては、例えば、1価アルコール類、2価アルコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ブチレンジオール、ペオペンチルグリコール等)、3価アルコール類(グリセリン、トリメチロールプロパン等)が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記フェノール類としては、例えば、ハイドロキノン、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF等)、フェノール化合物のホルマリン低縮合物(ノボラック樹脂、レゾールの中間体)が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記変性ポリイソシアネートの1分子当たりのイソシアネート基の数は、平均で2.0以上であることが好ましい。上記イソシアネート基の数が平均で2.0未満であると、架橋密度の低下により、熱硬化性ポリウレタン組成物が充分に硬化しないおそれがある。
上記疎水性ポリイソシアネートとしては特に限定されないが、脂肪族系イソシアネートが好適に用いられ、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレンジイソシアネート、2−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキシルジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート、それらの変性体が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記親水性ポリイソシアネートと、上記疎水性ポリイソシアネートの配合比率は、白化防止と吸湿率低減の両立を図る観点から、好ましくは9:1〜1:9であり、より好ましくは7:3〜3:7である。
ポリウレタン組成物は、α比(ポリオール成分由来のOH基のモル数/ポリイソシアネート成分由来のNCO基のモル数)が1以上であることが好ましい。α比が1未満である場合には、ポリイソシアネート成分の配合量が、ポリオール成分の配合量に対して過剰であるため、ポリウレタンが硬くなり、光学透明粘着シート12に要求される柔軟性を確保することが困難となる。α比は、1.3<α<2.0を満たすことがより好ましい。α比が2.0以上である場合には、熱硬化性ポリウレタン組成物が充分に硬化しないことがある。
[タッキファイヤー]
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、タッキファイヤー(粘着付与剤)を含有してもよい。タッキファイヤーは、粘着力を向上するために添加される添加剤であり、通常、分子量が数百〜数千の無定型オリゴマーで、常温で液状又は固形の熱可塑性樹脂である。熱硬化性ポリウレタン組成物がタッキファイヤーを含有することで、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学透明粘着シート12の粘着力を向上させることができる。
上記タッキファイヤーとしては特に限定されず、例えば、石油樹脂系タッキファイヤー、炭化水素樹脂系タッキファイヤー、ロジン系タッキファイヤー、テルペン系タッキファイヤー等を含むものが挙げられる。これらは1種類のみ含まれていてもよいし、2種類以上含まれていてもよい。
上記タッキファイヤーとしては、上記オレフィン骨格を有するポリオール成分等との相溶性に優れることから、石油樹脂系タッキファイヤーが好適に用いられる。上記石油樹脂系タッキファイヤーの中でも、ジシクロペンタジエンと芳香族化合物の共重合体を水素添加して得られる水添石油樹脂が好適に用いられる。ジシクロペンタジエンは、C5留分から得られる。上記芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族化合物が挙げられる。ジシクロペンタジエンとビニル芳香族化合物との割合は特に限定されないが、重量基準で、ジシクロペンタジエン:ビニル芳香族化合物=70:30〜20:80であることが好ましく、60:40〜40:60であることがより好ましい。上記水添石油樹脂の好ましい軟化点は90〜160℃、好ましいビニル芳香族化合物単位含有量は35質量%以下、好ましい臭素価は0〜30g/100g、好ましい数平均分子量は500〜1100である。上記水添石油樹脂のうち公知のものとしては、例えば、出光興産社製の「アイマーブP−100」が挙げられる。
上記タッキファイヤーとしては、上記オレフィン骨格を有するポリオール成分等との相溶性に優れることから、炭化水素樹脂系タッキファイヤーが好適に用いられる。上記炭化水素樹脂系タッキファイヤーの中でも、脂環族飽和炭化水素樹脂が好適に用いられる。上記脂環族飽和炭化水素樹脂のうち公知のものとしては、例えば、荒川化学工業社製の「アルコンP−100」が挙げられる。
上記タッキファイヤーは、酸価が1mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が1mgKOH/g以下であれば、タッキファイヤーがポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応を阻害するのを充分に防止することができる。また、タッキファイヤーの軟化点は、80℃以上、120℃以下であることが好ましく、80℃以上、100℃以下であることがより好ましい。軟化点が80℃以上、120℃以下である場合には、タッキファイヤーをポリオール成分中に溶解させる際に、ポリオール成分が熱によって劣化してしまうのを充分に防止することができる。
上記タッキファイヤーの含有量は、熱硬化性ポリウレタン組成物に対して、1重量%以上、20重量%以下であることが好ましい。タッキファイヤーの含有量が1重量%未満である場合には、光学透明粘着シート12の粘着力を充分に向上できないことがあり、特に、高温・高湿下における粘着力が不充分になることがある。タッキファイヤーの含有量が20重量%を超える場合には、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応を阻害し、ポリウレタン中にウレタン架橋が充分に形成されなくなることがある。その結果、高温・高湿下において光学透明粘着シート12が溶解して形状が変化したり、タッキファイヤーが析出(ブリード)したりすることがある。また、ウレタン架橋を充分に形成するためにポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応時間を長くすると、生産性が低下する。
[可塑剤]
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、可塑剤を含有してもよい。可塑剤の添加により、低硬度化されることで、光学透明粘着シート12の取り扱い性や段差追従性を向上することができる。
上記可塑剤としては、熱可塑性樹脂に柔軟性を付与するために用いられる化合物であれば特に限定されないが、相溶性及び耐候性の観点から、カルボン酸系可塑剤を含むことが好ましい。上記カルボン酸系可塑剤としては、例えば、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジブチル等のフタル酸エステル(フタル酸系可塑剤)や、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、マレイン酸エステル、安息香酸エステル、ポリ−α−オレフィン等が挙げられる。これらは1種類のみ含まれていてもよいし、2種類以上含まれていてもよい。上記カルボン酸系可塑剤のうち公知のものとしては、例えば、BASF社製の「DINCH」、新日本理化社製の「サンソサイザーDUP」、イオネスオリゴマーズ社製の「Durasyn(登録商標)148」が挙げられる。
[触媒]
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、触媒を含有してもよい。触媒としては、ウレタン化反応に用いられる触媒であれば特に限定されず、例えば、ジラウリル酸ジ−n−ブチル錫、ジラウリル酸ジメチル錫、ジブチル錫オキシド、オクタン錫等の有機錫化合物;有機チタン化合物;有機ジルコニウム化合物;カルボン酸錫塩;カルボン酸ビスマス塩;トリエチレンジアミン等のアミン系触媒が挙げられる。
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、モノイソシアネート成分を含有してもよい。モノイソシアネート成分は、分子内に1個のイソシアネート基を有する化合物であり、その具体例としては、例えば、オクタデシルジイソシアネート(ODI)、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート(AOI)、イソシアン酸オクチル、イソシアン酸ヘプチル、3−イソシアナートプロピオン酸エチル、イソシアン酸シクロペンチル、イソシアン酸シクロヘキシル、2−メトキシエタンイソシアネート、イソシアナート酢酸エチル、イソシアナート酢酸ブチル、p−トルエンスルフォニルイソシアネート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記熱硬化性ポリウレタン組成物には、光学透明粘着シート12の要求特性を阻害しない範囲で、必要に応じて、着色剤、安定剤、酸化防止剤、防徽剤、難燃剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。
光学透明粘着シート12の製法は特に限定されず、例えば、熱硬化性ポリウレタン組成物を調製した後、この組成物を従来公知の方法で熱硬化させつつ成形する方法が挙げられ、好ましくは、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を攪拌混合して熱硬化性ポリウレタン組成物を調製する工程と、熱硬化性ポリウレタン組成物を硬化する工程とを含む。
製法の一例としては、まず、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び、必要に応じて触媒等の他の成分を混合し、ミキサー等で攪拌することによって、液状又はゲル状の熱硬化性ポリウレタン組成物を得る。その後、熱硬化性ポリウレタン組成物を成形装置に投入し、2枚の離型フィルムによって挟んだ状態で熱硬化性ポリウレタン組成物を移動させながら架橋硬化させることで、熱硬化性ポリウレタン組成物が半硬化され、離型フィルムと一体化されたシートを得る。その後、炉で一定時間架橋反応させることで、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学透明粘着シート12が得られる。
図2は、光学透明粘着シートの作製に用いる成形装置の一例を説明するための模式図である。図2に示す成形装置50では、まず、硬化前の液状又はゲル状の熱硬化性ポリウレタン組成物53を、離間して配置された一対の成型ロール52から連続的に送り出される一対の離型フィルム(PETフィルム)51の間隙に流し込む。そして、一対の離型フィルム51の間隙に熱硬化性ポリウレタン組成物53を保持した状態で硬化反応(架橋反応)を進行させつつ、加熱装置54内に搬入する。加熱装置54内において、熱硬化性ポリウレタン組成物53は、一対の離型フィルム(PETフィルム)51間に保持された状態で熱硬化し、熱可塑性ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学透明粘着シート12の成形が完了する。
光学透明粘着シート12の製法としては、硬化前の熱硬化性ポリウレタン組成物を調製した後、各種コーティング装置、バーコート、ドクターブレード等の汎用の成膜装置や成膜方法を用いるものであってもよい。また、遠心成形法を用いて光学透明粘着シート12を作製してもよい。
第一の基材と第二の基材との間に光学透明粘着シート及び支持部材を備えた積層体の製造方法であって、上記光学透明粘着シートは、30℃での損失正接が0.5以上であり、上記光学透明粘着シートの貼り合わせ前の厚みは、上記支持部材の厚みの1.5倍以上であり、上記支持部材が外縁上に配置された上記第一の基材と上記第二の基材との間に、上記第一の基材と上記支持部材とで形成された段差を覆うように配置された上記光学透明粘着シートを介在させ、上記第二の基材と上記支持部材とで上記光学透明粘着シートの端部を挟み込みつつ、上記光学透明粘着シートの端部以外の部分により第一の基材と第二の基材とを接着する工程とを含む本発明の積層体の製造方法もまた、本発明の一態様である。
上記接着工程における貼合順は特に限定されず、光学透明粘着シートと第一の基材とを貼合した後、光学透明粘着シートと第二の基材とを貼合する方法、光学透明粘着シートと第二の基材とを貼合した後、光学透明粘着シートと第一の基材とを貼合する方法、光学透明粘着シートと第一の基材と第二の基材とを一括して貼合する方法のいずれを用いてもよいが、光学透明粘着シートと第二の基材とを貼合した後、光学透明粘着シートと第一の基材とを貼合する方法が好適に用いられる。
光学透明粘着シートと第一の基材との貼合方法は特に限定されないが、真空貼合が好適に用いられ、例えば、5〜200Paまで減圧し、50〜500g/cm2程度の圧力で光学透明粘着シートと第一の基材を押し当てて貼合してもよい。液晶パネル等の第一の基材は、その内部に基板や空洞等を有するため、大気圧下でロール貼合する方法では線圧が均一に加わらず、貼合界面に気泡が入ってしまうおそれがある。一方、光学透明粘着シートと第二の基材との貼合方法は特に限定されず、例えば、大気圧下でロール貼合する方法や、真空貼合等が用いられる。
以下、本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
まず、ポリオレフィンポリオール(出光興産社製の「EPOL(エポール、登録商標)」)75重量部、IPDI(イソホロンジイソシアネート)系ポリイソシアネート(住化バイエルウレタン社製の「デスモジュールI」)2.4重量部、エチレンオキシドユニットを含む変性ポリイソシアネート(東ソー社製の「コロネート4022」)4.6重量部、タッキファイヤー(出光興産社製の「アイマーブP−100」)17重量部、及び、触媒(ジラウリル酸ジメチル錫)1重量部を、往復回転式撹拌機アジターを用いて攪拌混合し、α比が1.60である熱硬化性ポリウレタン組成物を調製した。なお、熱硬化性ポリウレタン組成物において、IPDI系ポリイソシアネート(A)と変性ポリイソシアネート(B)との混合比(モル比)は、A:B=2:1であった。
その後、得られた熱硬化性ポリウレタン組成物を図2に示した成形装置50に注入した。そして、熱硬化性ポリウレタン組成物を一対の離型フィルム(表面に離型処理が施されたPETフィルム)51によって挟んだ状態で搬送しつつ、炉内温度70℃、炉内時間10分間の条件で架橋硬化させた。その後、70℃に調節した加熱装置54で12時間架橋反応させ、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学透明粘着シート12を作製した。光学透明粘着シート12の厚みは1500μmであった。
アントンパール社(Anton Paar Germany GmbH)製の粘弾性測定装置「Physica MCR301」を用いて、光学透明粘着シートの粘弾性特性を測定した。測定プレートは、PP12を用い、測定条件は、ひずみ0.1%、周波数1Hz、セル温度25℃〜100℃(昇温速度3℃/分)とした。その結果、30℃での貯蔵せん断弾性率(G’)は9.4×104Paであり、85℃での貯蔵せん断弾性率は1.1×104Paであった。また、30℃での損失正接(tanδ)は0.77であり、85℃での損失正接は0.87であった。
液晶パネルの外縁上に枠状のベゼルを重ねて高さ800μmの段差を形成した後、液晶パネル及びベゼルで形成された段差を覆うように、均一な厚み(1500μm)を有する光学透明粘着シートを液晶パネル上に100Paの減圧雰囲気下で貼合した。続いて、液晶パネル上に貼り付けた光学透明粘着シートの上に、厚み3mmのカバーガラスを100Paの減圧雰囲気下、200g/cm2の圧力で圧着した。圧着後の液晶パネルとカバーガラスの間隔は、光学透明粘着シートの厚みと同じ1500μmとされた。ベゼル上に位置していた光学透明粘着シートの端部は、カバーガラスを圧着した際にベゼルとカバーガラスとに挟み込まれて薄く伸び広がったため、液晶パネルとカバーガラスの間隔は、ベゼルが介在する外縁とベゼルが介在しない中央で同じであった。以上のようにして、外縁上に枠状のベゼルを配置した液晶パネルとカバーガラスとを光学透明粘着シートによって貼り合わせてなる積層体を得た。
(実施例2〜9及び比較例1〜3)
下記表1に示したように、光学透明粘着シート(OCA)を作製するために用いた熱硬化性ポリウレタン組成物の配合又は光学透明粘着シートの材料や、ベゼルの厚み(段差高さ)、光学透明粘着シートの厚み(OCA厚み)を変更したことを除いて、実施例1と同様にして、実施例2〜9及び比較例1〜3に係る積層体をそれぞれ作製した。なお、比較例3では、シリコーン樹脂組成物としてタイカ社製の「K95E(t1.5)」を使用した。
(ベゼルオン貼り合わせの評価)
実施例1〜9及び比較例1〜3に係る積層体はいずれも、光学透明粘着シートの端部がベゼルの上面を被覆するベゼルオン貼り合わせが行われたものであった。各積層体を30℃及び85℃に加熱してカバーガラス側から積層体を目視で観察し、30℃及び85℃の両方で、剥がれ及び浮き(気泡)が発生しなかった場合を「○」、30℃及び85℃の少なくとも一方で、剥がれ及び浮きのいずれかが発生した場合を「×」と評価した。評価結果を下記表1に示した。
実施例1〜9及び比較例1〜3の対比から分かるように、貯蔵せん断弾性率が低い光学透明粘着シートは、柔らかく段差追従性に優れたものであったが、損失正接が低い場合には、反発力(形状復元力)が強く、ベゼルオン貼り合わせには適さなかった。一方、貯蔵せん断弾性率がある程度高い光学透明粘着シートであっても、損失正接が高い場合には、反発力(形状復元力)が弱いので、ベゼルオン貼り合わせに適していた。また、光学透明粘着シートの厚みがベゼルの厚みの1.25倍であった比較例2は、損失正接が0.5以上であったが、ベゼルオン貼り合わせには適さなかった。