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JP2018135032A - 車両の制動装置 - Google Patents

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JP2018135032A JP2017031861A JP2017031861A JP2018135032A JP 2018135032 A JP2018135032 A JP 2018135032A JP 2017031861 A JP2017031861 A JP 2017031861A JP 2017031861 A JP2017031861 A JP 2017031861A JP 2018135032 A JP2018135032 A JP 2018135032A
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JP2017031861A
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平田 淳一
Junichi Hirata
淳一 平田
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NTN Corp
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NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

【課題】車両の制動時に、走行用駆動源の回転速度が上限回転速度を超えることを抑制し、走行用駆動源の異常等を防ぐことができる車両の制動装置を提供する。【解決手段】車両の制動装置68は、二つの電動モータと、二つの電動モータと左右の車輪との間に設けられ、二つの電動モータから与えられるトルクの差を増幅し左右の車輪にそれぞれ伝達する左右輪駆動装置とを備えた車両の各車輪をそれぞれ制動する。制動装置68は、与えられたブレーキ出力指令値に基づき制動力駆動源70aを制御するブレーキ制御装置69とを備える。ブレーキ制御装置69は、与えられたブレーキ出力指令値となるように制動力駆動源70aを制御する通常制御部73と、制動時に、いずれか一つの電動モータの回転速度が上昇し且つ閾値を超えるとき、左右の車輪に対応するブレーキ出力指令値を定められた条件に従って補正する指令値補正部74とを備える。【選択図】図7

Description

この発明は、独立した二つの走行用駆動源から発生した駆動トルクを増幅し左右の駆動輪に伝達する左右輪駆動装置を備えた車両の制動装置に関する。
車両のスムーズな旋回走行の実現するために、または極端なアンダーステア、極端なオーバーステア等の車両の挙動変化を抑制するために、左右の駆動輪の間に大きな駆動トルクの差を発生させることが有効な場合がある。そこで、二つの駆動源と左右の駆動輪との間に、遊星歯車機構を二つ組み合わせた歯車装置を備え、トルクの差を増幅した左右輪駆動装置が開示されている(特許文献1,2)。歯車装置の遊星歯車機構は、二つの駆動源のトルク差を増幅して左右の駆動輪に伝達する。また駆動源として電気モータの適用が示されている。
特開特開2015−21594号公報 特許第4907390号公報
前記の左右輪駆動装置では、二つの駆動源のトルクの差を増幅するが、一方で左右の駆動輪の回転速度の差は拡大され二つの駆動源の回転速度差となる。トルクの差の増幅率をα(α>1)、減速比をβ(β≧1)、二つの駆動源のトルクをそれぞれTM1,TM2、左右輪のトルクをTWL,TWRとすると、トルクの関係は以下の式で示すことができる。
TWL+TWR=β(TM1+TM2) …(1)
TWL−TWR=αβ(TM1−TM2) …(2)
同様に、二つの駆動源の回転速度をそれぞれωM1,ωM2、左右輪の回転速度をωWL,ωWRとすると、回転速度の関係は以下の式で示すことができる。
ωM1+ωM2=β(ωWL+ωWR) …(3)
ωM1−ωM2=αβ(ωWL−ωWR) …(4)
車両が走行中にブレーキをかけた場合、左右で摩擦係数が異なる路面上であれば路面からタイヤに働く制動力に差が生じる。このため、左右の駆動輪の回転速度にも差が生じる。前記の左右輪駆動装置では、左右輪の回転速度差が増幅率αと減速比βで増幅されるため、一方の駆動源の回転速度は大きく減少するが、他方の駆動源の回転速度は減少ではなく逆に増加する可能性がある。そのため、特に駆動源が上限回転速度に近いような高速走行状態では、左右で摩擦係数が異なる路面上でブレーキをかけることにより、左右の駆動輪の回転速度差が大きくなることで、車両の速度が低下しているにもかかわらず、駆動源の回転速度が回転可能な上限回転速度を超える可能性がある。
図11は、上記状況を示した図である。車両が高速で走行中にブレーキをかけたときの、左右の駆動輪の回転速度、二つの駆動源である左右のモータの回転速度、および左右の駆動輪のブレーキ出力指令値の時間変化を示している。この例の路面摩擦係数は、右駆動輪が低μ、左駆動輪が高μである。なお、説明を簡単にするため減速比βは「1」としている。
図11において、車両は、時刻t11までモータの回転速度がモータ上限回転速度に近い速度となるような速度で走行している。時刻t11で車両は制動を開始し、ブレーキ出力指令値が大きく増加する。このとき駆動輪の回転速度は減少するが、右駆動輪は低μ路であるためロック傾向となり、回転速度が大きく減少する。そして、左右の駆動輪で生じた回転速度差Δωは、増幅率αで増幅され二つのモータ回転速度差αΔωとなり、右モータの回転速度は大きく減少するが、左モータの回転速度は大きく増加し、時刻t12でモータ上限回転速度を超える(図11の一点鎖線参照)。
図11の例では、車両がアンチロックブレーキ制御機能を有しているため、時刻t13で右駆動輪が図11において二点鎖線で示されるABS目標回転速度を下回ることで、アンチロックブレーキ制御が機能し、右駆動輪の回転速度がABS目標回転速度となるように右駆動輪のブレーキ出力指令値を調整する。
図11のようにモータ回転速度が上限回転速度を超える場合、モータロータに遠心力による変形または異常が生じる可能性があり、出力低下、回転不能または振動増加などが生じる可能性がある。
この発明の目的は、車両の制動時に、走行用駆動源の回転速度が上限回転速度を超えることを抑制し、走行用駆動源の異常等を防ぐことができる車両の制動装置を提供することである。
この発明の車両の制動装置は、独立して制御可能な二つの走行用駆動源2L,2Rと、これら二つの走行用駆動源2L,2Rと左右の車輪61L,61Rとの間に設けられ、前記二つの走行用駆動源2L,2Rから与えられるトルクの差を増幅し前記左右の車輪61L,61Rにそれぞれ伝達する左右輪駆動装置1とを備えた車両の各車輪をそれぞれ制動する制動装置68であって、
前記各車輪に制動力を発生させる制動力駆動源70aを含む制動力発生手段70と、
与えられたブレーキ出力指令値に基づき前記制動力駆動源70aを制御するブレーキ制御装置69,69Aと、を備え、
前記ブレーキ制御装置69,69Aは、
与えられたブレーキ出力指令値となるように前記制動力駆動源70aを制御する通常制御部73と、
制動時に、いずれか一つの走行用駆動源2L(2R)の回転速度が上昇し且つ閾値を超えるとき、前記左右の車輪61L,61Rに対応するブレーキ出力指令値を定められた条件に従って補正する指令値補正部74と、を備える。
前記定められた条件は、設計等によって任意に定める条件であって、例えば、試験およびシミュレーションのいずれか一方または両方等により適切な条件を求めて定められる。
この構成によると、ブレーキ制御装置69,69Aは、与えられたブレーキ出力指令値に基づいて制動力駆動源70aを制御する。これにより制動力駆動源70aは各車輪に制動力を発生させる。ブレーキ制御装置69,69Aのうち通常制御部73は、与えられたブレーキ出力指令値となるように制動力駆動源70aを制御する。ブレーキ制御装置69,69Aのうち指令値補正部74は、制動時に、いずれか一つの走行用駆動源2L(2R)の回転速度が上昇し且つ閾値を超えるか否かを判定する。指令値補正部74は、前記回転速度が上昇し且つ閾値を超えるとの判定で、左右の車輪に対応するブレーキ出力指令値を定められた条件に従って補正する。
走行用駆動源2L,2Rおよび左右の車輪61L,61Rのトルク関係式と、走行用駆動源2L,2Rおよび左右の車輪61L,61Rの回転速度の各関係式とが、共に前記増幅率α等の影響を受けることから、車速が低下している場合にいずれか一つの走行用駆動源2L(2R)の回転速度が上昇し且つ閾値を超えるとき、ブレーキ出力指令値を補正することで、左右の車輪61L,61Rの回転速度差を小さくすることが可能となり、走行用駆動源2L(2R)の回転速度を上限回転速度以下にすることができる。したがって、走行用駆動源2L(2R)の過回転を防止して走行用駆動源2L(2R)の異常等を防ぐことができる。
このように、走行用駆動源2L(2R)の回転速度を直接制限するような制御を行うのではなく、二つの走行用駆動源2L,2Rのトルクの差を増幅率αで増幅する左右輪駆動装置1の特徴に応じて、制動時に、走行用駆動源2L(2R)の回転速度が上昇し且つ閾値を超えるとき、ブレーキ出力指令値を補正する制御を行うため、走行用駆動源2L(2R)の回転速度を直接制限等するよりも簡単且つ確実に、左右の車輪61L,61Rの回転速度差を小さくすることが可能となり、走行用駆動源2L(2R)の回転速度を上限回転速度以下にすることができる。したがって、走行用駆動源2L(2R)の過回転を防止して走行用駆動源2L(2R)の異常等を防ぐことができる。
前記指令値補正部74は、前記定められた条件として、前記上昇した前記走行用駆動源2L(2R)の回転速度が前記閾値以下となるように、ブレーキ出力指令値を補正しても良い。この場合、回転速度が前記閾値以下となるように、ブレーキ出力指令値を補正するため、左右の車輪61L,61Rの回転速度差をより確実に小さくすることができる。
前記閾値は、設計等によって任意に定める閾値であって、例えば、試験およびシミュレーションのいずれか一方または両方等により適切な閾値を求めて定められる。
前記閾値が、前記走行用駆動源2L(2R)の上限回転速度に基づいて定めても良い。指令値補正部74が、モータ上限回転速度よりも低い値を閾値として設定し、この閾値を超える場合にブレーキ出力指令値の補正を行っても良い。このようにモータ上限回転速度よりも低い値を閾値として用いることで、制動時において摩擦ブレーキ70の応答遅れによるモータ回転速度の上昇を抑制することができる。
前記指令値補正部74は、前記定められた条件として、前記左右の車輪61L,61Rの回転速度差が小さくなるように、前記左右の車輪61L,61Rに対応するブレーキ出力指令値を補正しても良い。
従来例では、走行用駆動源が上限回転速度に近い高速走行状態において、左右で路面摩擦係数が異なる路面上でブレーキをかけることにより、左右の車輪の回転速度差が大きくなることで走行用駆動源の回転速度が上限回転速度を超える可能性がある。
この構成によると、左右の車輪61L,61Rの回転速度差が小さくなるように、左右の車輪61L,61Rに対応するブレーキ出力指令値を補正することで、車両走行状態にかかわらず、走行用駆動源2L,2Rの回転速度が上限回転速度を超えることを未然に防止できる。
前記指令値補正部74は、前記左右の車輪61L,61Rのうち回転速度の高い車輪に対応するブレーキ出力指令値を大きくする、または回転速度の低い車輪に対応するブレーキ出力指令値を小さくするように補正しても良い。
ブレーキ制御装置69は、与えられたブレーキ出力指令値および前記車輪の回転速度に基づいて、アンチロックブレーキ制御を行うABS制御部72を備え、前記指令値補正部74は、前記ABS制御部72から出力されたブレーキ出力指令値を定められた条件に従って補正しても良い。
前記定められた条件は、設計等によって任意に定める条件であって、例えば、試験およびシミュレーションのいずれか一方または両方等により適切な条件を求めて定められる。
前記左右輪駆動装置1が二つの遊星歯車機構30L,30Rを有するものであっても良い。
前記走行用駆動源が電動モータ2L,2Rであっても良い。
この発明の車両の制動装置は、独立して制御可能な二つの走行用駆動源と、これら二つの走行用駆動源と左右の車輪との間に設けられ、前記二つの走行用駆動源から与えられるトルクの差を増幅し前記左右の車輪にそれぞれ伝達する左右輪駆動装置とを備えた車両の各車輪をそれぞれ制動する制動装置であって、前記各車輪に制動力を発生させる制動力駆動源を含む制動力発生手段と、与えられたブレーキ出力指令値に基づき前記制動力駆動源を制御するブレーキ制御装置と、を備え、前記ブレーキ制御装置は、与えられたブレーキ出力指令値となるように前記制動力駆動源を制御する通常制御部と、制動時に、いずれか一つの走行用駆動源の回転速度が上昇し且つ閾値を超えるとき、前記左右の車輪に対応するブレーキ出力指令値を定められた条件に従って補正する指令値補正部と、を備える。このため、車両の制動時に、走行用駆動源の回転速度が上限回転速度を超えることを抑制し、走行用駆動源の異常等を防ぐことができる。
この発明の実施形態に係る制動装置が搭載された車両の概念構成を示すブロック図である。 同車両の左右輪駆動装置の断面図である。 同左右輪駆動装置の歯車装置部分を拡大して示す断面図である。 同左右輪駆動装置を示すスケルトン図である。 同左右輪駆動装置を搭載した電気自動車の説明図である。 同左右輪駆動装置によるトルク差増幅率を説明するための速度線図である。 同制動装置のブレーキ制御装置等のブロック図である。 同ブレーキ制御装置のある車輪における制動動作を示したフローチャートである。 この発明の他の実施形態に係るブレーキ制御装置のブロック図である。 いずれかの実施形態に係る制動装置による制動時の左右の車輪の回転速度、左右の電動モータの回転速度、および左右の車輪のブレーキ出力指令値の時間変化を示す図である。 従来例による車両の制動時の左右の車輪の回転速度、左右の電動モータの回転速度、および左右の車輪のブレーキ出力指令値の時間変化を示す図である。
この発明の実施形態に係る車両の制動装置を図1ないし図8と共に説明する。
図1は、この制動装置が搭載された車両(電気自動車)の概念構成を示すブロック図である。この車両は、後輪駆動方式であり、シャーシ60、後側の車輪である駆動輪61L,61R、前側の車輪である従動輪62L,62R、左右輪駆動装置1、車両制御装置66、モータ制御装置67、バッテリ63、インバータ装置64および制動装置68等を備える。
左右輪駆動装置1は、第1,第2電動モータ2L,2Rと、歯車装置30を有する左右の減速装置3L,3Rとを備えている。第1,第2電動モータ2L,2Rは、車両に搭載され独立して制御可能な二つの走行用駆動源である。歯車装置30は、第1,第2電動モータ2L,2Rと駆動輪61L,61Rとの間に設けられる。
<制御系の基本構成について>
車両制御装置66は、モータ制御装置67およびブレーキ制御装置69の上位の制御手段であり、例えば、車両全般の統括制御および協調制御を行う機能を有する。また車両制御装置66は、運転者のアクセルペダル操作またはブレーキペダル操作等の情報を元に、車両に必要な制駆動力を決定し、左右輪駆動装置1のモータトルク指令値もしくは摩擦ブレーキ70のブレーキ出力指令値として、それぞれモータ制御装置67もしくはブレーキ制御装置69に出力する。
モータ制御装置67は、車両制御装置66から与えられたモータトルク指令値に基づき、第1,第2電動モータ2L,2Rが発生すべきモータトルク指令値をインバータ装置64に出力する。またモータ制御装置67では、モータ回転速度またはモータコイル温度等に応じてモータトルク指令値を補正するフェールセーフ機能を有する。
インバータ装置64は、バッテリ63の直流電力を第1,第2電動モータ2L,2Rの駆動のための交流電力に変換する。インバータ装置64は、第1,第2電動モータ2L,2Rが出力するトルクがモータトルク指令値と等しくなるように、バッテリ63から供給される電流を制御し第1,第2電動モータ2L,2Rを駆動する。左右輪駆動装置1からの出力は等速ジョイント65a,65a(図2)を介して左右の駆動輪61L,61Rに伝達される。第1,第2電動モータ2L,2Rが出力したトルクは、歯車装置30内でトルク差増幅率αと減速比βで増幅されて左右の駆動輪61L,61Rに出力される。
ブレーキ制御装置69では、受け取ったブレーキ出力指令値を実現するため、油圧または電動モータ等の駆動力を制御し、各車輪に備えた制動力発生手段である摩擦ブレーキ70を作動させる。ブレーキ制御装置69が、後述するアンチロックブレーキ制御機能を有している場合には、各車輪の回転速度センサ71(図7)の出力に基づいて、車輪毎のスリップ率を計算し、車輪の回転速度が目標回転速度よりも低下する場合には目標回転速度となるように摩擦ブレーキ70による制動力を調整する。
<左右輪駆動装置1>
<<第1,第2電動モータ2L,2Rについて>>
この実施形態では、左右輪駆動装置1における第1,第2電動モータ2L,2Rは、同一の最大出力を有する同一規格の電動モータを用いている。
図2に示すように、第1,第2電動モータ2L,2Rは、モータハウジング4L,4Rと、ステータ6,6と、ロータ5,5とを有する。第1,第2電動モータ2L,2Rは、モータハウジング4L,4Rの内周面にステータ6,6が設けられ、各ステータ6の内周に間隔を隔ててロータ5を設けたラジアルギャップタイプである。
モータハウジング4L,4Rは、円筒形のモータハウジング本体4aL,4aRと、外側壁4bL,4bRと、内側壁4cL,4cRとを有する。外側壁4bL,4bRは、モータハウジング本体4aL,4aRにおけるアウトボード側の外側面を閉塞する。内側壁4cL,4cRは、モータハウジング本体4aL,4aRにおけるインボード側の内側面に設けられ、減速装置3L,3Rと隔てる隔壁を成す。内側壁4cL,4cRには、各モータ軸5aをインボード側に引き出す開口部が設けられている。なおこの明細書において、左右輪駆動装置1が車両に搭載された状態で車両の車幅方向の外側寄りとなる側をアウトボード側と呼び、車両の車幅方向の中央寄りとなる側をインボード側と呼ぶ。
モータハウジング本体4aL,4aRに内周面に、ステータ6,6が嵌合固定されている。ロータ5は、モータ軸5aを中心部に有する。内側壁4cL,4cRと外側壁4bL,4bRには、転がり軸受8a,8bが設けられている。各モータ軸5aは、モータハウジング4L,4Rに転がり軸受8a,8bを介して回転自在に支持されている。左右のモータ軸5a,5aは同一軸心上(同軸)に設けられている。
<<減速装置3について>>
減速装置3は左右の減速装置3L,3Rを備え、減速装置3L,3Rは、ハウジング9と、入力歯車軸12L,12Rと、中間歯車軸13L,13Rと、出力歯車軸14L,14Rと、歯車装置30(図3)とを有する。減速装置3L,3Rは、第1,第2電動モータ2L,2Rのモータ軸5aから入力されたトルク(駆動トルク)の差を歯車装置30(図3)で増幅し、駆動輪61L,61Rへと伝達する装置である。
ハウジング9は、これらの歯車軸および歯車装置30(図3)を収容する。ハウジング9は、三ピースに分割された構造である。具体的に、ハウジング9は、中央ハウジング9aと、この中央ハウジング9aの両側面に固定される左右の側面ハウジング9bL,9bRとを有する。側面ハウジング9bL,9bRのアウトボード側の側面と、内側壁4cL,4cRとが、複数のボルトで固定される。これにより、ハウジング9の左右両端に二台の電動モータ2L,2Rが固定される。
中央ハウジング9aには、中央に仕切り壁11が設けられている。ハウジング9は、仕切り壁11によって左右に二分割され、左右の減速装置3L,3Rの本体部を収容する。この本体部は、左右対称形であり、入力歯車軸12L,12Rと、中間歯車軸13L,13Rと、出力歯車軸14L,14Rと、歯車装置30(図3)とを備えている。
入力歯車軸12L,12Rは、モータ軸5aから動力が伝達される入力歯車12aを有する。仕切り壁11に形成された軸受嵌合穴と、左右の側面ハウジング9bL,9bRに形成された軸受嵌合穴に、転がり軸受17a,17bが設けられている。入力歯車軸12L,12Rの両端は、ハウジング9に転がり軸受17a,17bを介して回転自在に支持されている。入力歯車軸12L,12Rは中空構造である。この入力歯車軸12L,12Rの中空内部に、各モータ軸5aのインボード側の端部が挿入されている。入力歯車軸12L,12Rと各モータ軸5aとは、スプライン(「セレーション」も含む。以下のスプラインについても同様に「セレーション」を含む。)結合されている。
図3に示すように、左右の中間歯車軸13L,13Rは、同軸に配置されている。中間歯車軸13L,13Rは、入力歯車12a,12aに噛み合う大径の入力側外歯車13a,13aと、後述する出力歯車14a,14aに噛み合う出力側小径歯車13b,13bとを有する。仕切り壁11に形成された軸受嵌合穴19aと、左右の側面ハウジング9bL,9bRに形成された軸受嵌合穴19bに、転がり軸受20a,20bが設けられている。中間歯車軸13L,13Rの両端は、ハウジング9に転がり軸受20a,20bを介して回転自在に支持されている。軸受嵌合穴19a,19bは、転がり軸受20a,20bの外輪端面が当接する段付き形状であり、後述する第1,第2の結合部材31,32が通るように貫通している。
中間歯車軸13L,13Rには、この中間歯車軸13L,13Rと同軸に歯車装置30が組み込まれている。歯車装置30は、二つの電動モータ2L,2R(図2)から与えられるトルク(駆動トルク)の差を増幅する。この歯車装置30は、3要素2自由度の二つの遊星歯車機構30L,30Rを備える。遊星歯車機構30L,30Rには、この例では、シングルピニオン遊星歯車機構が採用されている。二つの遊星歯車機構30L,30Rは同軸に設けられている。
遊星歯車機構30L,30Rは、リングギヤR,Rと、サンギヤS,Sと、プラネタリギヤP,Pと、遊星キャリアC,Cと、第1,第2の結合部材31,32とを有する。リングギヤR,Rは、中間歯車軸13L,13Rの入力側外歯車13a,13aにそれぞれ組み込まれた内歯車である。サンギヤS,Sは、リングギヤR,Rと同軸に設けられた太陽歯車である。プラネタリギヤP,Pは、リングギヤR,RとサンギヤS,Sに噛み合う公転歯車である。遊星キャリアC,Cは、プラネタリギヤP,Pに連結され、リングギヤR,Rと同軸に設けられている。遊星キャリアC,Cには、中間歯車軸13L,13Rの出力側小径歯車13b,13bが連結されている。
第1の結合部材31は、図3左側の遊星歯車機構30Lの構成部材である一方の遊星キャリアCと、図3右側の遊星歯車機構30Rの構成部材である他方のサンギヤSとを結合する。第2の結合部材32は、図3左側の遊星歯車機構30Lの構成部材である一方のサンギヤSと、図3右側の遊星歯車機構30Rの構成部材である他方の遊星キャリアCとを結合する。
遊星キャリアC,Cは、プラネタリギヤP,Pを支持するキャリアピン33と、アウトボード側のキャリアフランジ34aと、インボード側のキャリアフランジ34bとを有する。プラネタリギヤP,Pは、針状ころ軸受37を介してキャリアピン33に支持されている。アウトボード側のキャリアフランジ34aは、キャリアピン33のアウトボード側端部に連結されている。インボード側のキャリアフランジ34bは、キャリアピン33のインボード側端部に連結されている。
アウトボード側のキャリアフランジ34aは、アウトボード側に延びる中空軸部35を備える。この中空軸部35のアウトボード側の端部が、側面ハウジング9bL,9bRに形成された軸受嵌合穴に転がり軸受20bを介して支持されている。インボード側のキャリアフランジ34bは、インボード側に延びる中空軸部36を備える。この中空軸部36のインボード側の端部が、仕切り壁11に形成された軸受嵌合穴に転がり軸受20aを介して支持されている。各キャリアフランジ34a,34bの外周面とリングギヤR,Rとの間には、転がり軸受39a,39bが設けられている。
二つの遊星歯車機構30L,30Rを互いに連結している第1,第2の結合部材31,32は、中央ハウジング9aを左右に仕切る仕切り壁11を貫通して組み込まれている。第1,第2の結合部材31,32は、互いに同軸に位置して、それぞれスラスト軸受47によりアキシアル方向に回転自在に支持され、かつ深溝玉軸受49によりラジアル方向に回転自在に支持される。さらに第1,第2の結合部材31,32間には、軸受47,49とは別の軸受45,46,スラスト軸受48が設けられている。別の軸受45,46として、それぞれ針状ころ軸受が適用されている。第2の結合部材32が中空軸を有し、第1の結合部材31が前記中空軸に挿通される軸を有する。
第2の結合部材32における図3右側のアウトボード側の外周面と、遊星キャリアCにおけるインボード側のキャリアフランジ34bの中空軸部36とに互いに噛み合うスプラインが設けられている。よって、第2の結合部材32は、遊星キャリアCに対しスプライン嵌合により連結されている。したがって、第2の回転部材である遊星キャリアCは、第2の結合部材32と一体となって回転する。
第1の結合部材31における図3左側のアウトボード側の外周面と、遊星キャリアCにおけるアウトボード側のキャリアフランジ34aの中空軸部35とに互いに噛み合うスプラインが設けられている。よって、第1の結合部材31は、遊星キャリアCに対しスプライン嵌合により連結されている。したがって、第1の回転部材である遊星キャリアCは、第1の結合部材31と一体となって回転する。
前述のように、第1,第2の結合部材31,32が、遊星キャリアC,Cに対しスプライン嵌合により連結されているため、二つの遊星歯車機構30L,30Rは左右に分割可能となり、三ピース構造のハウジング9に他の減速歯車軸と共に左右から組み込み可能である。第2の結合部材32における遊星キャリアC側の端部は、その外周面に、図3左側の遊星歯車機構30LのサンギヤSを構成する外歯車が形成されている。このサンギヤSを構成する外歯車がプラネタリギヤPと噛み合う。
第1の結合部材31は、図3右側の遊星歯車機構30R側の端部に大径部43を有する。この大径部43の外周面に、図3右側の遊星歯車機構30RのサンギヤSを構成する外歯車が形成されている。このサンギヤSを構成する外歯車がプラネタリギヤPと噛み合う。第2の結合部材32の軸方向両端には、スラスト軸受47,48が設けられている。これらスラスト軸受47,48により、第1,第2の結合部材31,32と遊星キャリアC,Cとのスプライン嵌合部の摺動による軸方向移動が規制される。
第1の結合部材31は、図3右側の端部が、遊星キャリアCに対して深溝玉軸受49によって支持されている。第1の結合部材31の軸心には、給油穴が設けられている。
図2に示すように、出力歯車軸14L,14Rは、大径の出力歯車14aを有する。仕切り壁11に形成された軸受嵌合穴と、左右の側面ハウジング9bL,9bRに形成された軸受嵌合穴に、転がり軸受54a,54bが設けられている。出力歯車軸14L,14Rは、ハウジング9に転がり軸受54a,54bを介して回転自在に支持されている。
出力歯車軸14L,14Rのアウトボード側の端部は、側面ハウジング9bL,9bRに形成された開口部からハウジング9の外側に引き出されている。引き出された出力歯車軸14L,14Rのアウトボード側の端部の外周面に、等速ジョイント65aの外側継手部がスプライン結合されている。各等速ジョイント65aは、図示外の中間シャフト等を介して駆動輪61L,61R(図1)に接続されている。
図4は、この左右輪駆動装置を示すスケルトン図である。図5は、この左右輪駆動装置を搭載した電気自動車の説明図である。図4および図5に示すように、左右の電動モータ2L,2Rは、モータ制御装置67(図1)により個別に制御され、異なるトルクを発生させて出力し得る。
電動モータ2L,2Rのトルクは、減速装置3L,3Rの入力歯車軸12L,12Rの入力歯車12aと、中間歯車軸13L,13Rの大径の入力側外歯車13aとの歯数比で増大されて、歯車装置30のリングギヤR,Rに伝達される。そして、歯車装置30により左右のトルク差が増幅され、出力側小径歯車13bへとトルクが伝達される。さらに出力側小径歯車13bと出力歯車14aとの歯数比でトルクがさらに増幅されて、駆動輪61L,61Rに出力される。
歯車装置30における遊星歯車機構30L,30Rは、同軸に設けられたサンギヤS,SおよびリングギヤR,Rと、これらサンギヤS,SとリングギヤR,Rとの間に位置するプラネタリギヤP,Pと、プラネタリギヤP,Pを回動可能に支持しサンギヤS,SおよびリングギヤR,Rと同軸に設けられた遊星キャリアC,Cとを有する。ここで、サンギヤS,SとプラネタリギヤP,Pは外周にギヤ歯を有する外歯歯車であり、リングギヤR,Rは内周にギヤ歯を有する内歯歯車である。プラネタリギヤP,PはサンギヤS,SとリングギヤR,Rとに噛み合っている。
遊星歯車機構30L,30Rでは、遊星キャリアC,Cを固定した場合にサンギヤS,SとリングギヤR,Rとが逆方向に回転する。このため、図6に示す速度線図に表すと、リングギヤR,RおよびサンギヤS,Sが遊星キャリアC,Cに対して反対側に配置される。
図4および図5に示すように、電動モータ2Lで発生したトルクTM1は、入力歯車軸12Lから中間歯車軸13Lに伝達される。この中間歯車軸13Lに伝達されたトルクは、歯車装置30により左右のトルク差が増幅され、遊星歯車機構30Lを介して順次、中間歯車軸13Lの出力側小径歯車13b、出力歯車14a、出力歯車軸14Lに伝達される。出力歯車軸14Lから駆動輪61Lに駆動トルクTL(図6)が出力される。
電動モータ2Rで発生したトルクTM2は、入力歯車軸12Rから中間歯車軸13Rに伝達される。この中間歯車軸13Rに伝達されたトルクは、歯車装置30により左右のトルク差が増幅され、遊星歯車機構30Rを介して順次、中間歯車軸13Rの出力側小径歯車13b、出力歯車14a、出力歯車軸14Rに伝達される。出力歯車軸14Rから駆動輪61Rに駆動トルクTR(図6)が出力される。
<駆動トルク等について>
ここで、歯車装置30によって伝達される駆動トルクについて、図6に示す速度線図を用いて説明する。歯車装置30は、二つの同一のシングルピニオン遊星歯車機構30L,30Rを組み合わせて構成されるため、同図6に示すように二本の速度線図によって表すことができる。ここでは、分かりやすいように、二本の速度線図を上下にずらし、図6上側に一方の遊星歯車機構30Lの速度線図を示し、図6下側に他方の遊星歯車機構30Rの速度線図を示す。
本来は、図5に示すように、各電動モータ2L,2Rから出力されたトルクTM1およびTM2は、各入力歯車軸12L,12Rの入力歯車12aと噛み合う入力側外歯車13aを介して、各リングギヤR,Rに入力されるため、減速比が掛かる。また、歯車装置30が出力された駆動トルクTL,TRは、出力歯車14aと噛み合う出力側小径歯車13bを介して、左右の駆動輪61L,61Rへ伝達されるため、減速比が掛かる。
この左右輪駆動装置にはこれらの減速比が掛かるが、以降、理解を容易にするため、図6に示すように、速度線図および各計算式の説明においては減速比を省略し、各リングギヤR,Rに入力されるトルクをTM1,TM2のままとし、駆動トルクはTL,TRのままとする。
二つのシングルピニオン遊星歯車機構30L,30Rは、同一の歯数の歯車要素を使用しているため、速度線図においては、リングギヤRと遊星キャリアCとの距離およびリングギヤRと遊星キャリアCとの距離は等しく、この距離を「a」とする。また、サンギヤSと遊星キャリアCとの距離およびサンギヤSと遊星キャリアCとの距離も等しく、この距離を「b」とする。
遊星キャリアC,CからリングギヤR,Rまでの長さと遊星キャリアC,CからサンギヤS,Sまでの長さの比は、リングギヤR,Rの歯数Zrの逆数(1/Zr)とサンギヤS,Sの歯数Zsの逆数(1/Zs)との比と等しい。よって、a=(1/Zr)、b=(1/Zs)である。
の点を基準にしたモーメントMの釣り合いから下記式(5)が算出される。なお図6において、図中矢印方向Mがモーメントの正方向である。
a・TR+(a+b)・TL−(b+2a)・TM1=0 …(5)
の点を基準にしたモーメントMの釣り合いから下記式(6)が算出される。
−a・TL−(a+b)・TR+(b+2a)・TM2=0 …(6)
(5)式+(6)式より、下記式(7)が得られる。
−b・(TR−TL)+(2a+b)・(TM2−TM1)=0
(TR−TL)=((2a+b)/b)・(TM2−TM1) …(7)
式(7)の(2a+b)/bがトルク差増幅率αとなる。a=1/Zr、b=1/Zsを代入すると、α=(Zr+2Zs)/Zrとなり、下記のトルク差増幅率αが得られる。
α=(Zr+2Zs)/Zr
この例では、電動モータ2L,2R(図5)からの入力は、R,Rとなり、駆動輪61L,61R(図5)への出力はS+C,S+Cとなる。
図5および図6に示すように、第1の結合部材31と第2の結合部材32の回転速度の差が小さい場合、二つの電動モータ2L,2Rで異なるトルクTM1,TM2を発生させて入力トルク差ΔTIN(=(TM1−TM2))を与えると、歯車装置30において入力トルク差ΔTINが増幅され、入力トルク差ΔTINよりも大きな駆動トルク差α・ΔTINを得ることができる。
すなわち、入力トルク差ΔTINが小さくても、歯車装置30において前記トルク差増幅率α(=(Zr+2Zs)/Zr)で入力トルク差ΔTINを増幅することができる。よって、左駆動輪61Lと右駆動輪61Rとに伝達される駆動トルクTL,TRに、入力トルク差ΔTINよりも大きな駆動トルク差ΔTOUT(=α・(TM2−TM1))を与えることができる。
また、左右の駆動輪61L,61Rの回転速度が等しい場合、歯車装置30内の二つの結合要素には相対回転が生じないが、左右の駆動輪61L,61Rの回転速度が異なる場合、歯車装置30内の二つの結合要素には、左右の駆動輪61L,61Rの回転速度差に応じた相対回転が生じることで、左右の駆動輪61L,61Rの回転速度差を吸収する。
<制動装置について>
図7は、この制動装置68のブレーキ制御装置等のブロック図である。
この制動装置68は、摩擦ブレーキ70と、ブレーキ制御装置69とを備える。摩擦ブレーキ70は、各車輪に制動力を発生させる制動力駆動源70aと、車輪と一体に回転する図示外のブレーキロータと、および摩擦パッド等とを備えている。制動力駆動源70aは、例えば、図示外のキャリパに設けられた油圧駆動源等から成る。
ブレーキ制御装置69は、車両制御装置66から与えられたブレーキ出力指令値に基づき制動力駆動源70aを制御することで、前記摩擦パッドが前記ブレーキロータに当接離隔する。前記ブレーキロータに前記摩擦パッドが当接した状態で車輪に制動力が発生する。
ブレーキ制御装置69は、ABS制御部72、通常制御部73、指令値補正部74およびブレーキ油圧制御部75を有する。
各車輪には、各車輪の回転速度をそれぞれ検出する回転速度センサ71が設けられている。ABS制御部72は、ブレーキ出力指令値および回転速度センサ71から受け取った車輪の回転速度に基づいて、アンチロックブレーキ制御を行う。具体的には、ABS制御部72は、各車輪につき予め定めたスリップ率以下になる車輪回転速度であり、この車輪回転速度がABS目標回転速度となるブレーキ出力指令値に補正し出力する。前記ABS目標回転速度は、車輪回転速度および予め定めたスリップ率から計算される。前記ブレーキ出力指令値は、例えば、車輪回転速度がABS目標回転速度を超えた分の回転速度に基づいてPID制御により補正しても良い。またABS制御部72は、回転速度センサ71から受け取った車輪の回転速度がABS目標回転速度以上の場合はブレーキ出力指令値を補正しない。換言すれば、ABS制御部72は、車両制御装置66から与えられたブレーキ出力指令値をそのまま出力する。
指令値補正部74は、車両制御装置66から受け取ったモータ回転速度が上昇し且つ閾値を超えるとき、ABS制御部72から与えられたブレーキ出力指令値を補正し出力する。具体的には、指令値補正部74は、車両制御装置66から受け取ったモータ回転速度がモータ上限回転速度を超えないように、与えられたブレーキ出力指令値を補正し出力する。ブレーキ出力指令値は、例えば、モータ回転速度がモータ上限回転速度を超えた分の回転速度からPID制御により補正しても良い。
通常制御部73は、受け取ったモータ回転速度が閾値以下のとき、ABS制御部72から与えられたブレーキ出力指令値を補正することなくそのまま出力する。
ブレーキ油圧制御部75は、指令値補正部74または通常制御部73から与えられたブレーキ出力指令値となるように、摩擦ブレーキ70を駆動する制動力駆動源70aに発生させるブレーキ油圧を制御し出力する。
図8は、図7のブレーキ制御装置69のある車輪における制動動作を示したフローチャートである。図7および図8に示すように、本処理開始後、先ず、ABS制御部72で車輪回転速度がABS目標回転速度より小さいかどうか比較する(ステップS1)。車輪回転速度がABS目標回転速度より小さい場合(ステップS1:YES)、ABS制御部72は、車輪回転速度がABS目標回転速度となるブレーキ出力指令値Aを算出し(ステップS2)、与えられたブレーキ出力指令値をブレーキ出力指令値Aに補正する(ステップS3)。車輪回転速度がABS目標回転速度以上の場合(ステップS1:NO)、ブレーキ出力指令値は補正せずステップS4に移行する。
次に、指令値補正部74で、車輪に対応するモータのモータ回転速度が上昇し且つ閾値を超えるか否かを比較する(ステップS4)。前記モータ回転速度が上昇し且つ閾値を超える場合(ステップS4:YES)、指令値補正部74は、モータ回転速度が閾値以下となるブレーキ出力指令値Bを算出する(ステップS5)。指令値補正部74は、算出したブレーキ出力指令値Bが、ABS制御部72から与えられたブレーキ出力指令値よりも小さい場合(ステップS6:YES)、前記与えられたブレーキ出力指令値をブレーキ出力指令値Bに補正する(ステップS7)。その後本処理を終了する。
モータ回転速度が閾値以下の場合(ステップS4:NO)、ブレーキ出力指令値を補正せず本処理を終了する。ブレーキ出力指令値Bが、与えられたブレーキ出力指令値以上の場合(ステップS6:NO)もブレーキ出力指令値を補正せず本処理を終了する。
<作用効果>
ブレーキ制御装置69のうち指令値補正部74は、制動時に、いずれか一つのモータ回転速度が上昇し且つ閾値を超えるか否かを判定する。指令値補正部74は、モータ回転速度が上昇し且つ閾値を超えるとの判定で、ブレーキ出力指令値を前述のように補正する。
電動モータ2L,2Rおよび左右の車輪61L,61Rのトルク関係式と、電動モータ2L,2Rおよび左右の車輪61L,61Rの回転速度の各関係式とが、共に増幅率α、減速比βの影響を受けることから、車速が低下している場合にいずれか一つの電動モータ2L(2R)の回転速度が上昇し且つ閾値を超えるとき、ブレーキ出力指令値を補正することで、左右の車輪61L,61Rの回転速度差を小さくすることが可能となり、電動モータ2L(2R)の回転速度を上限回転速度以下にすることができる。したがって、電動モータ2L(2R)の過回転を防止して電動モータ2L(2R)の異常等を防ぐことができる。
このように、電動モータ2L(2R)の回転速度を直接制限するような制御を行うのではなく、二つの電動モータ2L,2Rのトルクの差を増幅率αで増幅する左右輪駆動装置1の特徴に応じて、制動時に、電動モータ2L(2R)の回転速度が上昇し且つ閾値を超えるとき、ブレーキ出力指令値を補正する制御を行うため、電動モータ2L(2R)の回転速度を直接制限等するよりも簡単且つ確実に、左右の車輪61L,61Rの回転速度差を小さくすることが可能となり、電動モータ2L(2R)の回転速度を上限回転速度以下にすることができる。したがって、電動モータ2L(2R)の過回転を防止して電動モータ2L(2R)の異常等を防ぐことができる。
<他の実施形態について>
以下の説明においては、各実施の形態で先行して説明している事項に対応している部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
図9は、他の実施形態に係るブレーキ制御装置69Aのブロック図である。
このブレーキ制御装置69Aは、指令値補正部74、通常制御部73、ABS制御部72、指令値選択部76およびブレーキ油圧制御部75を有する。指令値補正部74は、車両制御装置66から受け取ったモータ回転速度が上昇し且つ閾値を超えるとき、前記モータ回転速度がモータ上限回転速度を超えないように、ブレーキ出力指令値をブレーキ出力指令値Bに補正し出力する。通常制御部73は、受け取ったモータ回転速度が閾値以下のとき、与えられたブレーキ出力指令値を補正することなく出力する。
ABS制御部72は、回転速度センサ71から受け取った車輪の回転速度に基づいて、アンチロックブレーキ制御を行う。具体的には、ABS制御部72は、各車輪のスリップ率をある一定値以下となるよう、車輪回転速度がABS目標回転速度となるブレーキ出力指令値Aに補正し出力する。
指令値選択部76では、指令値補正部74の出力したブレーキ出力指令値B、通常制御部73の出力したブレーキ出力指令値、およびABS制御部72の出力したブレーキ出力指令値Aのうち最小の指令値を選択し出力する。例えば、ABS制御部72のブレーキ出力指令値Aまたは通常制御部73のブレーキ出力指令値よりも、指令値補正部74のブレーキ出力指令値Bが小さい場合、指令値選択部76にて指令値補正部74のブレーキ出力指令値Bを選択することで、モータ回転速度がモータ上限回転速度を超えないことを優先でき、結果的にABS制御部72の出力を補正することと同意になる。ブレーキ油圧制御部75では、受け取ったブレーキ出力指令値となるように各輪に備えた摩擦ブレーキ70を駆動するブレーキ油圧を制御し出力する。
図10は、この車両が高速で走行中にブレーキをかけたときの、左右の車輪の回転速度、左右の電動モータの回転速度、および左右の車輪のブレーキ出力指令値の時間変化を示す図である。この例の路面摩擦係数は、右駆動輪が低μ、左駆動輪が高μである。なお、説明を簡単にするため減速比βは「1」としている。同図10において、時刻t21までモータ上限回転速度に近い速度で車両が走行している。
時刻t21で制動を開始し、ブレーキ出力指令値が大きく増加する。駆動輪の回転速度は減少するが、右駆動輪は低μ路面であるためロック傾向となることから、回転速度が大きく減少する。このとき、左右の駆動輪で生じた回転速度差は、増幅率αで増幅され二つのモータ回転速度差となり、右モータの回転速度は大きく減少するが、左モータの回転速度は増加し時刻t22でモータ上限回転速度に達する。
ここでブレーキ制御装置69,69A(図1,図9)は、左モータの回転速度がモータ上限回転速度以下となるように、右駆動輪のブレーキ出力指令値を低下させる。右駆動輪のブレーキ出力指令値を低下させることで、左右の駆動輪の回転速度差が小さくなり、左モータの回転速度がモータ上限回転速度以下となる。時刻t23以降は、右駆動輪がABS目標回転速度となるようにアンチロックブレーキ制御が機能する。
図10の例では、左駆動輪より回転速度の低い右駆動輪のブレーキ出力指令値を補正したが、この例に限定されるものではない。例えば、ブレーキ制御装置の指令値補正部は、右駆動輪より回転速度の高い左駆動輪のブレーキ出力指令値を大きく補正することで、左右の駆動輪の回転速度差を小さくして左モータの回転速度の増加を抑制しても良いし、左右の駆動輪のブレーキ出力指令値の両方を補正しても良い。
また、指令値補正部は、モータ上限回転速度よりも低い値を閾値として設定し、この閾値を超える場合にブレーキ出力指令値の補正を行っても良い。このようにモータ上限回転速度よりも低い値を閾値として用いることで、摩擦ブレーキの応答遅れによるモータ回転速度の上昇を抑制することができる。
ブレーキ制御装置で上記制御に用いる二つのモータ回転速度は、モータ制御装置または車両制御装置から受け取っても良いし、左右の駆動輪の回転速度から計算しても良い。
各実施形態では、ブレーキ制御装置で各車輪に備えた摩擦ブレーキの出力を調整したが、左右輪駆動装置のモータによる回生制動力を用いても良いし、摩擦ブレーキと併用し調整しても良い。
図2および図3に示す実施形態では、左側の遊星歯車機構30Lの遊星キャリアCと、右側の遊星歯車機構30RのサンギヤSとが結合されて第1の結合部材31を形成し、左側の遊星歯車機構30LのサンギヤSと、右側の遊星歯車機構30Rの遊星キャリアCとが結合されて第2の結合部材32を形成しているが、この例に限定されるものではない。
例えば、左側の遊星歯車機構30LのサンギヤSと、右側の遊星歯車機構30RのリングギヤRとが結合されて第1の結合部材31を形成し、左側の遊星歯車機構30LのリングギヤRと、右側の遊星歯車機構30RのサンギヤSとが結合されて第2の結合部材32を形成している構成としても良い。
その他、左側の遊星歯車機構30Lの遊星キャリアCと、右側の遊星歯車機構30RのリングギヤRとが結合されて第2の結合部材32を形成している構成としても良い。
第1,第2の結合部材31,32の間の軸受45,46として、針状ころ軸受が適用されているが、例えば、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受等の転がり軸受を適用することも可能である。
以上、実施形態に基づいてこの発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1…左右輪駆動装置
2L,2R…第1,第2電動モータ(走行用駆動源)
30L,30R…遊星歯車機構
61L,61R…駆動輪(車輪)
69,69A…ブレーキ制御装置
70…摩擦ブレーキ(制動力発生手段)
70a…制動力駆動源
72…ABS制御部
73…通常制御部
74…指令値補正部

Claims (8)

  1. 独立して制御可能な二つの走行用駆動源と、これら二つの走行用駆動源と左右の車輪との間に設けられ、前記二つの走行用駆動源から与えられるトルクの差を増幅し前記左右の車輪にそれぞれ伝達する左右輪駆動装置とを備えた車両の各車輪をそれぞれ制動する制動装置であって、
    前記各車輪に制動力を発生させる制動力駆動源を含む制動力発生手段と、
    与えられたブレーキ出力指令値に基づき前記制動力駆動源を制御するブレーキ制御装置と、を備え、
    前記ブレーキ制御装置は、
    与えられたブレーキ出力指令値となるように前記制動力駆動源を制御する通常制御部と、
    制動時に、いずれか一つの走行用駆動源の回転速度が上昇し且つ閾値を超えるとき、前記左右の車輪に対応するブレーキ出力指令値を定められた条件に従って補正する指令値補正部と、を備える車両の制動装置。
  2. 請求項1に記載の車両の制動装置において、前記指令値補正部は、前記定められた条件として、前記上昇した前記走行用駆動源の回転速度が前記閾値以下となるように、ブレーキ出力指令値を補正する車両の制動装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の車両の制動装置において、前記閾値が、前記走行用駆動源の上限回転速度に基づいて定められる車両の制動装置。
  4. 請求項1に記載の車両の制動装置において、前記指令値補正部は、前記定められた条件として、前記左右の車輪の回転速度差が小さくなるように、前記左右の車輪に対応するブレーキ出力指令値を補正する車両の制動装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両の制動装置において、前記指令値補正部は、前記左右の車輪のうち回転速度の高い車輪に対応するブレーキ出力指令値を大きくする、または回転速度の低い車輪に対応するブレーキ出力指令値を小さくするように補正する車両の制動装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の車両の制動装置において、ブレーキ制御装置は、与えられたブレーキ出力指令値および前記車輪の回転速度に基づいて、アンチロックブレーキ制御を行うABS制御部を備え、前記指令値補正部は、前記ABS制御部から出力されたブレーキ出力指令値を定められた条件に従って補正する車両の制動装置。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の車両の制動装置において、前記左右輪駆動装置が二つの遊星歯車機構を有する車両の制動装置。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の車両の制動装置において、前記走行用駆動源が電動モータである車両の制動装置。
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