JP2018129967A - コイル温度推定システム - Google Patents
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Abstract
【課題】コイル温度推定システムにおいて、冷却油で冷却される回転電機の冷却構造を複雑化することなく、回転電機の回転時及びロック時の両方でステータコイルの最高温度を高精度に推定できる構成を提供することである。【解決手段】推定システムは、コイル関係部材の温度を検出するコイル関係温度センサと、回転電機の回転数を検出する回転数センサと、コイル関係温度センサの検出値及び所定相のコイル電流の実効値を用いて複数相のステータコイルの仮最高温度を推定する交流型推定器と、コイル関係温度センサの検出値及び複数相のコイル電流の瞬時値を用いて複数相のステータコイルの仮最高温度を推定する直流型推定器と、回転数センサの検出値に応じて交流型推定器及び直流型推定器の一方の推定器を選択し、選択された一方の推定器で推定された仮最高温度を最高温度の推定値として出力する出力選択器とを含む。【選択図】図2B
Description
本発明は、冷却油で冷却され、複数相のステータコイルを有する回転電機に対し、ステータコイルの最高温度を推定するコイル温度推定システムに関する。
モータまたは発電機である回転電機は、複数相のステータコイルを有する。このような回転電機では、ステータコイルのコイル温度が過度に上昇すると、回転電機の性能低下を招くおそれがある。これにより、ステータコイルの温度を低下させるために、ステータコイルを冷却油で冷却することが考えられる。また、温度センサを用いてコイル温度を計測することが行われる。例えば、走行用モータを有する電気自動車、またはハイブリッド車両において、モータのステータコイルの近傍にセンサを取り付けることにより、コイル温度を計測することが行われる。
特許文献1には、回転電機のステータに複数の流路から1つが選択されて冷却油を供給することにより、回転電機が搭載される車体の傾斜状態に関係なく、回転電機の重力方向の略真上から中心軸方向に冷却油を落下させる構成が記載されている。
ステータコイルに取り付けた温度センサによりコイル温度を計測する構成では、冷却油が温度センサにかかると、温度センサが油温に近い温度を計測する可能性がある。これにより、温度センサに冷却油がかかるか否かに応じて温度センサの出力が異なり、コイル温度を高精度に推定できない可能性がある。このことから、コイル電流を制御する場合に、大きな安全率を持ってコイルを保護する必要があり、ステータコイルの物理的な許容上限温度より大幅に低い温度に達した場合でも、安全率からコイル電流の低下によりモータ出力を低下させることが行われる。これにより回転電機の出力を効果的に発揮できないおそれがある。
一方、特許文献1に記載された構成において、回転電機のコイル温度を温度センサにより計測する構成が考えられる。この場合、モータが搭載される車体の傾斜にかかわらず温度センサへの冷却油のかかり方が一定になる可能性はある。しかしながら、この構成では回転電機の流路構造を含む冷却構造がかなり複雑になる。
また、回転電機を走行用モータとして搭載する車両において、登坂時等に車輪がロックする場合には、回転電機に電流が供給されるがその回転電機が回転しないロック状態が生じる場合がある。この場合には、一部の相のステータコイルのみに多く電流が通電され続ける。そして、一部の相のステータコイルのみ温度が急激に高くなる場合がある。一方、ステータコイルの一部の相の温度のみに影響されないように、ステータコイルの中性点付近に温度センサを取り付ける場合があるが、この場合には、上記のロック状態の発生時に高精度にステータコイルの温度を推定できない可能性がある。また、このような不都合は、ロック状態の発生時だけでなく回転電機の回転速度が低い場合に生じる可能性もある。
本発明の目的は、コイル温度推定システムにおいて、冷却油で冷却される回転電機の冷却構造を複雑化することなく、回転電機の回転時及びロック時の両方でステータコイルの最高温度を高精度に推定できる構成を提供することである。
本発明に係るコイル温度推定システムは、冷却油で冷却され、複数相のステータコイルを有する回転電機に対し、前記複数相のステータコイルの最高温度を推定するコイル温度推定システムであって、1つの所定相の前記ステータコイルを構成するコイル導線、または前記コイル導線に接続された部材であるコイル関係部材の温度を検出するコイル関係温度センサと、前記回転電機の回転数を検出する回転数センサと、前記コイル関係温度センサの検出値、及び前記所定相のステータコイルに流れるコイル電流の複数回の検出に基づく実効値を用いて前記複数相のステータコイルの仮最高温度を推定する交流型推定器と、前記コイル関係温度センサの検出値、及び前記複数相のステータコイルのそれぞれに流れるコイル電流の瞬時値を用いて前記複数相のステータコイルの仮最高温度を推定する直流型推定器と、前記回転数センサの検出値に応じて前記交流型推定器及び前記直流型推定器の一方の推定器を選択し、選択された前記一方の推定器で推定された前記仮最高温度を、前記複数相のステータコイルの最高温度の推定値として出力する出力選択器とを備える。
本発明に係るコイル温度推定システムによれば、冷却油が実質上かからない位置に配置されたコイル関係部材の温度を検出することにより、回転電機の回転時及びロック時の両方でステータコイルの最高温度を高精度に推定できる。これにより、ステータコイルを大きな安全率で保護する必要がなくなるので、例えば回転電機がモータである場合に、物理的にステータコイルが許容する温度上限近くまでモータの出力を発生させることができる。また、冷却油で冷却される回転電機の冷却構造を複雑化することがない。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。以下において複数の実施形態や、変形例などが含まれる場合、それらを適宜組み合わせて実施することができる。以下ではすべての図面において同等の要素には同一の符号を付して説明する。以下では、回転電機がモータである場合を説明するが、回転電機は発電機、またはモータと発電機との機能を有するモータジェネレータとしてもよい。
図1は、実施形態のコイル温度推定システム10(図2A)を適用する回転電機としてのモータ50において、コイル関係温度センサである関係温度センサ12の取付位置を示す図である。以下、コイル温度推定システム10は、推定システム10と記載する場合がある。まず、モータ50を説明する。モータ50は、ステータ52と、ロータ(図示せず)とを備える。ステータ52は、環状のステータコア53に3相のステータコイル54u、54v、54wが取り付けられる。以下では、モータ50が3相のステータコイルを持つ場合を説明するが、モータは3相以外の複数相のステータコイルを持つ構成としてもよい。
3相のステータコイル54u、54v、54wの一部は、ステータコア53から外側に導出されて3本の動力線56u、56v、56wを形成する。以下、動力線56u、56v、56wは総称して、動力線56と記載する。また、ステータコイル54u、54v、54wは総称してコイル54と記載する。各動力線56の一端には端子58が、その端子58の一部をかしめることにより動力線56との接触部が密着状態となるように固定される。これにより動力線56と端子58との間の熱抵抗は十分に低くなる。なお、動力線と端子とは、溶接またははんだ付けにより、熱抵抗が十分に低い状態で密着させて固定してもよい。各端子58は端子台(図示せず)に固定され、端子台を介して、電源側のインバータに接続された3相の電線(図示せず)に接続される。
ロータは、ステータ52の半径方向内側に対向するように配置され、回転軸(図示せず)の外周面に固定される。ロータは、ロータコアの周方向複数位置に配置された磁石を含んで構成される。なお、モータを誘導電動機とする場合には、ロータコアにロータコイルが配置される。モータ50は、ステータコイルが通電されることによりステータに磁界を発生させ、ロータの磁石との間での磁気的相互作用によりロータを回転させる。
ステータ52の軸方向端部には、環状のコイルエンド59が形成される。モータ50では、図1に矢印αで示すように、モータ50の軸方向端部の上側に配置された滴下部60から冷却油を滴下することにより、コイルエンド59の表面に図1に矢印βで示すように冷却油を流す。これにより、モータ50が冷却される。コイルエンド59の表面を流れた冷却油は、下側のオイル溜まり(図示せず)から回収された後、オイル経路(図示せず)を流れて滴下部60に戻る。コイルエンド59は、コイル54のうち、ステータコア53の軸方向端面から軸方向に突出した突出部のみにより形成してもよいが、この突出部を樹脂で包むように樹脂モールドした樹脂モールドコイルエンドとしてもよい。
このようなモータ50は、電気自動車またはハイブリッド車等の車両に搭載されて使用される。ハイブリッド車は、車輪の駆動源としてエンジン及びモータを含む。例えば、モータ50は走行用モータであり、走行用モータから車輪に動力を伝達することにより、車輪を駆動させる。
このようなモータ50において、比較例として、図1の二点鎖線Gで示す温度センサを、動力線とは異なるコイルの近傍位置に取り付けることが考えられる。比較例では、この温度センサの検出信号が制御装置に送信されて、制御装置がコイルの最高温度を推定する。このような比較例では、冷却油が温度センサにかかり、かつ、車両の傾き、または車両の前後方向加速度等によって冷却油のかかり状態が変化する可能性がある。例えば、モータ50の駆動状態、または車両の運動状態に応じてコイルにおける最高温度を示す位置が変化する可能性がある。これにより、温度センサによるコイルの推定温度の推定精度が悪化する可能性がある。一方、冷却油のかかり状態がコイル温度の推定に影響を与えないように、冷却油がかからない位置、例えばステータコア53付近のコイルから大きく離れた位置に温度センサを取り付けることも考えられる。このとき、コイルから大きく離れた位置の温度を基準にコイル温度を推定することになり、コイル温度の推定精度が悪化する可能性がある。
実施形態の推定システム10は、このような不都合を解消することを目的の1つとして発明されたものである。図2Aは、推定システム10の構成図である。図2Bは、推定システム10を構成する制御装置20の構成を示すブロック図である。推定システム10は、冷却油で冷却され、3相のコイルを有するモータ50(図1)に対し、3相のコイルにおいて温度が最高となる位置での最高温度(コイル最高温度推定値Tm)を推定する。以下で説明するように、推定システム10は、それぞれオブザーバである交流型推定器22及び直流型推定器32と、モデル出力選択器42(図2B〜図4)とを含む。交流型推定器22及び直流型推定器32のそれぞれは、コイル54の熱抵抗モデルを表す関係式を内部に持ち、コイル54の仮の最高温度を計算によって推定する。
交流型推定器22は、関係温度センサ12(図2A)の検出値と、1つの所定相のコイル54に流れるコイル電流の複数回の検出に基づく実効値とを用いて3相のコイル54の仮最高温度(コイル仮最高温度推定値TmA)を推定する。直流型推定器32は、関係温度センサ12の検出値と、複数相のコイル54のそれぞれに流れるコイル電流の瞬時値とを用いて3相のコイル54の仮最高温度(コイル仮最高温度推定値TmB)を推定する。モデル出力選択器42は、後述の回転数センサ70(図2A)の検出値に応じて、交流型推定器22及び直流型推定器32の一方の推定器を選択し、選択された一方の推定器で推定された仮最高温度を、3相のコイルの最高温度の推定値として出力する。これにより、後述のように、モータ50の回転時及びロック時の両方でコイル54の最高温度を高精度に推定できる。
このとき、交流型推定器22及び直流型推定器32のそれぞれは、常にモデル化誤差、センサ誤差等の誤差を補正するための補正信号を必要とする。この補正信号は、コイル温度と相関がない信号であればコイル温度の推定に利用することができない。相関が高い信号を得るために、コイル近傍の温度を補正信号として用いることが考えられるが、その場合には冷却油がかかりやすくなる。そこで、本発明者は、熱の伝達経路が異なる部分も含めて実測によりコイル温度との相関がある位置を調査した。その結果、コイルから離れた端子及び動力線でも、コイルに対し温度の相関が高いことが分かった。以下では、コイル関係温度として、コイル関係部材である端子58を構成する金属部材上で検出された温度を表す補正信号を用いる場合を説明する。なお、動力線56において、冷却油がかからない位置の温度を表す補正信号を用いることもできる。
推定システム10をより具体的に説明する。推定システム10は、制御装置20と、補正信号計測用センサとしての関係温度センサ12(図1、図2A)とを備える。
関係温度センサ12は、補正信号が表わすコイル関係温度である端子温度Trを計測する温度センサである。関係温度センサ12は、コイル54を構成する所定相のコイル導線に接続された端子58(図1)を構成する金属部材上であって、冷却油がかからない位置に接触して配置され、端子58の温度を検出する。
制御装置20は、図3、図4に示すオブザーバとしての交流型推定器22及び直流型推定器32を含む。図3は、交流型推定器22の内部のオブザーバ構造を示す図である。図4は、直流型推定器32の内部のオブザーバ構造を示す図である。
各推定器22,32は、入力信号、及び対象モデルを表す関係式を用いて状態量としてのコイル54の最高温度の推定値であるコイル仮最高温度推定値TmA,TmBと、補正信号の推定値であり、コイル関係温度推定値である推定端子温度Traとを計算する。
図5を用いて対象モデルである熱抵抗モデルの具体例を説明する。図5は、推定システム10に用いたコイル54の熱抵抗モデルの1例を示す図である。熱抵抗モデルは、熱抵抗Rrで接続されたコイル54及び被検出部としての端子58とを含む。端子58は、1つの所定相、例えばU相のコイルに接続されたU相の端子である。コイル54は推定最高コイル温度Tmを有し、端子58は補正信号推定値としての推定端子温度Traを有する。コイル54及び端子58には冷却油以外の、空気などの周辺部が熱抵抗Ra、Rbでそれぞれ接続され、その周辺部の温度が雰囲気温度Taである。
冷却油の温度(油温)Toはコイル54に熱抵抗Roで接続される。推定最高コイル温度Tmを発生する部分への流入熱流量として、銅損RI2と鉄損keI2ω2とが入力される。また、端子58への流入熱流量として、銅損RcI2が入力される。コイル54には冷却油がかかるので油温Toを考慮してコイルに対する熱抵抗を算出する必要がある。一方、端子58には冷却油がかからないので、油温Toを考慮することなく端子58に対する熱抵抗モデルを考えればよい。
図4に示す対象モデルとしての熱抵抗モデルは、次の数式(1)で表される。
数式(1)において、Ctはコイル54の熱容量であり、Rはコイル54の電気抵抗、Iはコイルを流れるコイル電流、keは渦電流損係数である鉄損係数であり、ωはモータ回転数である。コイル電流による銅損はRI2であり、鉄損はkeI2ω2である。また、Crは関係温度センサ12の被検出部である端子58の熱容量であり、Rcはその端子58の電気抵抗である。なお、数式(1)において、ヒステリシス損が大きい材料では、材料によるヒステリシス損係数をKhとして、鉄損をKhI2ωで見積もる場合もある。
このような熱抵抗モデルでは、数式(1)の上側のコイル54についての式から理解されるように、コイル54を構成する導線は、コイル電流による銅損RI2、及び磁場変化によるステータコア53の鉄損keI2ω2で生じる熱によって温度上昇する。一方、数式(1)の端子58についての下側の式から理解されるように、端子58では、磁場変化がほとんど影響しないので、銅損RcI2が大きく影響して温度上昇する。
図5を参照して、導線などで生じた発熱により、導体としてのコイル54及び端子58の熱マスの温度が上昇する。一方、冷却油(オイル)によりコイル54が冷却されるのでコイル54は冷却油によって熱が奪われる。これとともに、ステータコア53と、ステータ52が固定されるモータケース(図示せず)等を通じて、車両のうち、モータが置かれた空間、例えばエンジンルーム内にも熱が逃げる。このため、雰囲気温度Taが上昇する。また、コイル54の熱マスと、端子58の熱マスの間でも、導体等を介して熱の授受がある。このときの発熱と熱の授受とによって、熱マスの温度が決定される。
図2Aに戻って、推定システム10は、さらに回転数センサ70、電流センサ71、冷却油温度センサ72、及び雰囲気温度センサ73を備える。回転数センサ70は、モータ50を構成するロータの単位時間である毎秒当たりの回転数ωを検出する。回転数センサ70は、ロータの回転角度を検出するレゾルバにより構成されてもよい。
電流センサ71は、例えばU相、V相、W相の動力線に流れる電流を検出することにより、U相、V相、W相のコイルに流れるコイル電流Iを検出する。冷却油温度センサ72は、冷却油の油温Toを検出する。雰囲気温度センサ73は、雰囲気温度Taを検出する。
制御装置20には入力信号として、モータ回転数ω、コイル関係温度としての端子温度Tr、コイル電流I、冷却油の油温To、及び雰囲気温度Taの検出値を表す信号が入力される。
図3に示すように、コイル電流I、モータ回転数ω、冷却油の油温To、雰囲気温度Taは、制御装置20の交流型推定器22に入力される。交流型推定器22は、数式(1)に基づく状態方程式を用いて、コイル仮最高温度推定値TmA及び推定端子温度Traを計算する。このとき、制御装置20は、電流センサ71(図2A)から入力された1つの所定相のコイル電流Iの複数回の検出に基づく所定相のコイル電流の実効値を算出する。この実効値の算出には、所定相のコイル電流において所定時間間隔で検出された複数の電流検出値が用いられる。例えば、U相のコイル電流Iuの所定時間間隔で検出された複数の電流検出値の二乗平均平方根から、U相のコイル電流の実効値が算出される。所定相のコイル電流の実効値の算出値は、実質上、3相のコイル電流の実効値である。そして、コイル電流Iとして、所定相のコイル電流の実効値が用いられ、コイル仮最高温度推定値TmA及び推定端子温度Traが計算される。なお、制御装置20は、所定相のコイル電流の所定時間間隔で検出された複数の検出値からサインカーブの電流曲線を形成し、その電流曲線から振幅を取得し、その振幅からコイル電流の実効値を算出してもよい。
交流型推定器22は、差分増幅器23と、状態量加算器26と、コイル温度計算器27とを含む。差分増幅器23は、減算部24と、増幅部25とを有する。減算部24は、後述のコイル温度計算器27から補正信号の推定値である推定端子温度Traが入力され、関係温度センサ12(図2A)からコイル関係温度として、端子温度の検出値Trが入力される。減算部24は、端子温度の検出値Trから推定端子温度Traを減算した値、すなわち検出値Trと推定端子温度Traとの差分を算出する。算出された差分は、増幅部25に入力され、増幅部25はその差分に係数としてのゲインKを乗じて、すなわち増幅して出力する。増幅部25の出力は、状態量加算器26に入力される。状態量加算器26は、コイル温度計算器27における状態量に増幅部25の出力を加算する。コイル温度計算器27は、入力された電流実効値I,モータ回転数ω、油温To、雰囲気温度Taとを用いて、コイル仮最高温度推定値TmAと、推定端子温度Traとを算出し出力する。このときの算出では、数式(1)に基づく関係式としての状態方程式が用いられる。
具体的には、交流型推定器22に用いる状態方程式は、数式(1)を用いて次の数式(2)で表される。以下では、状態量を示すベクトルxには上付の波線(チルダ)を付して推定値であることを示している。
数式(2)において、ベクトルx、係数行列A,B、及びベクトルw、Cは数式(3)のように定義される。
コイル温度計算器27は、数式(2)(3)に示す状態方程式からコイル仮最高温度推定値TmAと、推定端子温度Traとを算出する。
関係温度センサ12は、端子58に配置する場合に限定せず、例えば、コイル関係部材としてコイル導線を構成する金属部材上であって、冷却油がかからない位置に接触して配置されその温度を検出してもよい。このとき、コイル導線の一部が動力線を形成してもよい。
関係温度センサ12は、コイル導線及び端子58の間に動力線が別部材として接続される場合に、動力線を構成する金属部材上であって、冷却油がかからない位置に関係温度センサ12が接触して配置されてもよい。このとき、動力線がコイル関係部材に相当する。また、コイル関係部材は、冷却油が実質上かからない位置に配置され、その温度が関係温度センサ12により検出されるものであればよい。
図4に示す直流型推定器32は、差分増幅器33と、状態量加算器36と、コイル温度計算器37とを含む。差分増幅器33は、減算部34と、増幅部35とを有する。差分増幅器33、状態量加算器36の機能は、それぞれ図3の交流型推定器22の差分増幅器23、状態量加算器26と同様である。一方、直流型推定器32は、交流型推定器22と異なり、コイル温度計算器37にはコイル電流として、電流実効値Iが入力されず、その代わりに3相のそれぞれの相電流として、各相のコイル電流の瞬時値Iu,Iv,Iwの検出値が入力される。
具体的には、モータ50の中速度以上の通常の回転状態では、コイル54の温度上昇に対して相電流が頻繁に切り替わるので、電流実効値Iを考慮して熱伝達モデルを考えればよい。一方、モータ50の低速以下、またはロック状態では、コイル54の温度上昇に対して相電流に偏りが生じた状態でコイル54が温度上昇する。これにより、モータ50の低速以下、またはロック状態では、直流型推定として、3相それぞれの相電流の瞬時値Iu,Iv,Iwの検出値を用いて、異なる相のコイル54間での熱伝達も考慮して、推定最高コイル温度Tmを発生する部分の温度を推定する。数式(4)は、直流型推定における対象モデルとしての熱抵抗モデルを表す。以下では、関係温度センサ12が、U相の端子58に貼り付けられてこの端子58の温度を検出する場合を説明する。
数式(4)において、Ctu、Ctv,CtwはそれぞれU相、V相、W相のコイル54の熱容量である。Tu、Tv、Twは、それぞれU相、V相、W相のコイル54の最高温度となる部分の温度である。ru、rv、rwはそれぞれU相、V相、W相のコイル54の電気抵抗、keu、kev、kewはそれぞれU相、V相、W相のコイルの渦電流損係数である鉄損係数である。また、Rau、Rav、RawはそれぞれU相、V相、W相のコイルと冷却油以外の空気などの周辺部であって、温度が雰囲気温度Taである部分との間の熱抵抗である。Rrは、U相のコイルと関係温度センサ12が貼られた端子58との間の熱抵抗である。Rou、Rov、RowはそれぞれU相、V相、W相のコイルと冷却油との間の熱抵抗である。Ruv、Rwu、RvwはそれぞれU相及びV相、W相及びU相、V相及びW相のコイルの間の熱抵抗である。Rbは、雰囲気温度Taの周辺部と関係温度センサ12が貼られた端子58との間の熱抵抗である。数式(4)において、その他の符号の意味は数式(1)と同様である。
直流型推定器32のコイル温度計算器37は、入力された相電流の瞬時値Iu,Iv,Iwの検出値,モータ回転数ω、油温To、及び雰囲気温度Taを用いて、コイル仮最高温度推定値TmBと、推定端子温度Traとを算出し出力する。コイル仮最高温度推定値TmBは、推定最高コイル温度Tmを発生する部分の温度である。このときの算出では、数式(4)に基づく状態方程式が用いられる。
直流型推定器32に用いる関係式としての状態方程式は、数式(4)を用いて次の数式(5)で表される。
数式(5)において、ベクトルx、係数行列Adc,Bdc、ベクトルw,Cdcは数式(6)のように定義される。Kdcはオブザーバのゲインである。
コイル温度計算器37は、数式(5)(6)に示す状態方程式からU相、V相、W相のコイル最高温度の推定値Tu、Tv、Twと、推定端子温度Traとを算出する。そして、コイル温度計算器37は、U相、V相、W相のコイル最高温度の推定値Tu、Tv、Twの中から最も高い温度として、コイル仮最高温度推定値TmBを算出する。
また、図2Bに戻って、モデル出力選択器42は、回転数センサ70(図2A)のモータ回転数ωの検出値に応じて、交流型推定器22及び直流型推定器32の一方の推定器を選択する。このとき、モータ回転数ωが予め設定された所定値ωcより大きい場合には、交流型推定器22が選択され、モータ回転数ωが所定値ωc以下の場合には直流型推定器32が選択される。例えば所定値ωcは10Hz〜100Hzの間の任意の値、例えば10Hz、または100Hz等である。モデル出力選択器42は、選択された一方の推定器で推定されたコイル仮最高温度推定値TmA(またはTmB)を、3相のコイルの最高温度の推定値Tmとして出力する。
なお、相電流の瞬時値としては、制御装置20で生成される指令電流から、3相の相電流換算値を作成し、それを用いてもよい。また、3相のコイル電流の総和は0であるので、2相の相電流を電流センサ71で検出し、2相の電流検出値から残りの1相の電流値を計算で求めてもよい。このとき、相電流の瞬時値には、2相の電流検出値と1相の電流計算値が用いられる。
上記の推定システム10によれば、冷却油がかからない位置に配置された端子58の温度を検出することにより、モータの回転時及びロック時の両方でコイルの最高温度を高精度に推定できる。これにより、コイル54を大きな安全率で保護する必要がなくなるので、例えばモータ50では、物理的にコイル54が許容する温度上限近くまでモータ50の出力を発生させることができる。また、推定システム10によれば、特許文献1に記載された構成と異なり、冷却油で冷却されるモータ50の流路構造を複雑化することがない。
推定システム10によりコイル温度を高精度に推定できる理由の1つは、関係温度センサ12の位置にある。まず、関係温度センサ12の位置について、実施形態と異なり、コイル近傍に温度センサが配置される場合には、温度センサに冷却油がかかる可能性が高い。そして、温度センサに冷却油がかかると、温度センサの検出温度がコイル温度より冷却油の温度に近い値となるので、コイル温度を精度よく推定することが困難である。
一方、上記のように関係温度センサ12を、コイル54から離れて、かつ冷却油がかからない位置に配置された端子58を構成する金属上に接触して配置し、その温度を検出する場合には、コイル54の温度と端子温度との相関が高いことが分かった。これにより、推定システム10では、冷却油がかからない端子58の温度を用いることによりコイル温度を高精度に推定できる。なお、端子58以外で、冷却油が実質上かからない位置に配置されたコイル関係部材の温度を検出することにより、コイルの最高温度を高精度に推定することもできる。
また、推定システム10によりコイル温度を高精度に推定できる別の理由は、モータ回転数ωに応じて温度推定方法を、交流推定型と直流推定型との間で変更することにある。
図6は、モータ50の発生トルクが異なる場合における時間とコイル温度の上昇幅との関係を示す図である。図6に示すように、モータ50に大トルクを発生させる場合には、瞬時にコイル54の温度が急上昇する。一方、モータ50に中トルク、小トルクをそれぞれ発生させる場合には、コイル54の温度上昇の程度が順に小さくなる。
図7は、モータ50のコイル54に1Hzと10Hzとの周波数の交流電流が供給される場合における、時間と、1相電流の電流値及びコイル54の温度上昇幅との関係を示す図である。コイル54の交流電流の周波数は、モータ回転数ωの増大にしたがって高くなる。1Hzと10Hzとの交流電流がコイル54に供給される場合を比較すると、交流電流が10Hzの場合は、コイル54の温度が数度、例えば2℃上昇するまでに10回程度電流が周期的に変動する。また、残りの2相の電流も同様に変動している。これにより、3相コイル54の電流実効値に基づいてコイル発熱の大きさからコイル54の最高温度を推定できる。この場合には、図3に示した交流型推定器22を用いてコイル最高温度Tmを高精度に推定できる。
一方、交流電流が1Hzのようにコイル54の温度上昇に対してモータ回転数ωが小さく、それによりコイル54に供給される交流電流の周波数が低い場合には、コイル54の温度が数度、例えば2℃上昇するまでに1回程度しか電流が周期的に変動しない。このように、モータ50の回転により生じる相電流の変化がコイル温度の変化の速度よりも十分に早くならない場合には、異なる相のコイル54の間での発熱の違いを無視してコイル温度を高精度に推定することが困難である。例えば、この場合には、コイル54が数度温度上昇するまでに、一部の相のコイル54に電流が偏って多く流れる場合がある。この場合を含めて、実施形態では、3相の相電流の瞬時値を用いて相毎に銅損等を考慮して発熱に基づくコイル温度が推定される。これにより、より精度よくコイル最高温度Tmを推定できる。一方、交流電流がコイル54に供給される場合において、データの取り込みに必要な時間や、計算に必要な時間の制約から、所定時間におけるコイル温度の推定回数を多くすることには制限がある。これにより、相電流の周波数が高くなると、所定時間における推定の回数と相電流の変動する回数とは近くなる。このため、取り込んだデータでは正しく相電流を再現できない。瞬時値を利用する方法では、この再現できない影響で誤差が増大する。一方、実効値を用いる方法ではアベレージなど前処理で前記の再現できないことによる影響を軽減できる。この場合には、交流電流の周波数が高くなると、相電流の瞬時値に基づく推定の場合には、電流実効値に基づく推定の場合よりも推定誤差が高くなる。
図8は、実施形態の推定システム10において、交流型推定器22及び直流型推定器32を用いた場合におけるコイル電流の基本波周波数とコイル最高温度の推定誤差との関係を示す図である。図8では、交流型推定器22を交流モデルと示し、直流型推定器32を直流モデルと示している。図8に示すように、交流モデルを用いてコイル最高温度を推定した場合には、電流実効値で発熱を計算するので、コイル電流の基本波周波数が高い場合に実際値に対する推定誤差が小さくなった。また、交流モデルを用いてコイル最高温度を推定した場合において、コイル電流の基本波周波数が低い場合には推定誤差が大きくなった。一方、直流モデルを用いてコイル最高温度を推定した場合には、3相の電流瞬時値で発熱を計算するので、コイル電流の基本波周波数が低い場合に推定誤差が小さくなった。また、交流モデル及び直流モデルのいずれでもデータの取り込みに必要な時間や、計算に必要な時間の制約からコイル最高温度の推定回数を多くすることに対し制限があり、例えば1秒に1回程度しか推定を行わない。また、直流モデルの場合は、交流モデルに対して電流検出の回数が少ない。これにより、直流モデルを用いる場合において、コイル電流の基本波周波数が高い場合には、電流の検出信号の瞬時値によって電流の振幅に対応した値を正確に表すことが難しくなる。このため、図8に示すように、直流モデルで基本波周波数が高い場合に、コイル最高温度の推定誤差が大きくなった。
実施形態では、このような事情を考慮して、コイル電流の基本波周波数に関係するモータ回転数ωが低い場合には直流型推定を用いるとともに、モータ回転数ωが高い場合には交流型推定を用いる。これにより、モータのロック状態を含めて、コイル最高温度の推定精度を高くできる。
図9Aは、実施形態の別例の推定システム10aを構成する構成図である。図9Bは、別例の推定システム10aを構成する制御装置20aの構成を示すブロック図である。推定システム10aは、図2Aに示した推定システム10に対し、さらに傾斜角センサ74、前後加速度センサ75及び冷却油流量センサ76を備える。傾斜角センサ74は、車両の前後方向に対する傾斜角度を検出する。前後加速度センサ75は、車両の前後方向における加速度を検出する。冷却油流量センサ76は、冷却油の流量を検出する。傾斜角センサ74、前後加速度センサ75及び冷却油流量センサ76の検出値を表す信号は、制御装置20aに入力される。
図9Bにおいて、車両の前後方向に対する傾斜角度である傾き、車両の前後方向の加速度、冷却油流量は、冷却油の流れの変化に関係する「油流れ関係値」として、制御装置20aにおける交流型推定器22a及び直流型推定器32aに入力される。各推定器22a,32aは、予め定めた関係式またはマップを用いて、コイル温度計算器27,37(図13、図14)で用いる熱抵抗モデルとして対象モデルを表す関係式を、油流れ関係値に応じて変更する。また、各推定器22a、32aは、予め定めた関係式またはマップを用いて、差分増幅器23,33(図13、図14)の増幅量を、油流れ関係値に応じて変更する。これにより、コイル温度計算器27,37で用いられる状態方程式の係数行列A,B、及びゲインKが変更されることにより、状態方程式が変更される。
図10は、車両80の前後方向の加速度がモータを冷却する冷却油の流れに与える影響を示す模式図である。図11は、車両の前後方向に対する傾斜角度が冷却油の流れに与える影響を示す模式図である。図10では、車両が前進方向(図10の矢印γ方向)に加速する際に、滴下部60(図1)から滴下された冷却油が流れる方向を模式的に矢印P1で示している。図10から明らかなように、冷却油は前進加速時に後側に傾斜する方向に流れる。これにより、冷却油の滴下位置が変化する。また、図11に示すように、車両80が坂道に位置する場合のように車両80が前後方向に対し傾斜した場合には、冷却油は、車両80の後側に傾斜する方向(矢印P2方向)に流れる。これによっても、冷却油の滴下位置が変化する。交流型推定器22a及び直流型推定器32aは、推定された冷却油の滴下推定位置から予め定めた関係式またはマップを用いて、対象モデルの関係式及び差分増幅器23,33の増幅量を変更する。
図12は、車両の傾きと、コイルの最高温度との関係を求めた実験結果を示す図である。図12では、コイル電流、モータ回転数、冷却油流量、及び冷却油の温度(油温)は一定としている。図12に示すように、冷却油がモータの上方からかかる状態で、車両が傾斜する場合に、その傾斜角度の変化に応じてコイルの最高温度が変化し、傾斜角度と最高温度との間に高い相関があることが分かる。
また、冷却油の流量に応じてもコイルの最高温度が変化する。例えば冷却油の流量が多くなるほど、コイル最高温度は低くなる。
交流型推定器22a及び直流型推定器32aは、このような関係を利用し、冷却油流量センサ76により検出された冷却油の流量から、予め定めた関係式またはマップを用いて、対象モデルの関係式及び差分増幅器23,33の増幅量を変更する。
図13は、図9Bに示す制御装置20aにおける交流型推定器22aの内部のオブザーバ構造を示す図である。図13の交流型推定器22aは、第1モデル増幅変更部28を含む。交流型推定器22aにおいて、検出された車両の前後方向に対する傾きg、車両の前後方向加速度a、冷却油流量qが、第1モデル増幅変更部28に入力される。第1モデル増幅変更部28は、差分増幅器23の増幅部25において、車両の傾きg、前後方向加速度a、冷却油流量qに基づいて、ゲインKを変更する。また、第1モデル増幅変更部28は、コイル温度計算器27において、車両の傾きg、前後方向加速度a、冷却油流量qに基づいて、対象モデルを表す関係式を変更する。コイル温度計算器27で用いられる状態方程式は、次の数式(7)で表される。
数式(7)では、冷却油の熱抵抗R0を含む係数行列A,Bと、対象モデルの特性により変化するゲインKとが、車両の傾きg、前後方向加速度a、及び冷却油流量qにより変化する。
図14は、図9Bに示す制御装置20aにおける直流型推定器32aの内部のオブザーバ構造を示す図である。図14の直流型推定器32aは、第2モデル増幅変更部38を含む。直流型推定器32aにおいて、検出された車両の前後方向に対する傾きg、車両の前後方向加速度a、冷却油流量qが、第2モデル増幅変更部38に入力される。第2モデル増幅変更部38は、差分増幅器33の増幅部35において、車両の傾きg、前後方向加速度a、冷却油流量qに基づいて、ゲインKを変更する。また、第2モデル増幅変更部38は、コイル温度計算器37において、車両の傾きg、前後方向加速度a、冷却油流量qに基づいて、対象モデルを表す関係式を変更する。コイル温度計算器37で用いられる状態方程式は、次の数式(8)で表される。
数式(8)では、冷却油の熱抵抗Rou、Rov、Rowを含む係数行列Adc,Bdcと、対象モデルの特性により変化するゲインKdcとが、車両の傾きg、前後方向加速度a、及び冷却油流量qにより変化する。
上記の構成によれば、冷却油の流れ状態の変化に応じて対象モデルの関係式及び増幅量が変更され、コイル最高温度が推定されるので、コイル温度の推定精度を向上できる。その他の構成及び作用は、図1〜図8の構成と同様である。
なお、上記では、対象モデルの関係式及び増幅量を、車両の傾きg、前後方向加速度a、及び冷却油流量qにより変化させる場合を説明した。一方、車両の傾きg、前後方向加速度a、及び冷却油流量qのいずれか1つ、またはいずれか2つの組み合わせにより、対象モデルの関係式及び増幅量を変化させる構成としてもよい。
図15は、実施形態の別例の推定システムにおいて、制御装置における直流型推定器32bの内部のオブザーバ構造を示す図である。本例の構成では、図14の別例の構成に対して、直流型推定器32bは、電流状態計算器39と、ゲイン変更部40とを含む。電流状態計算器39は、所定相のコイル電流についての指令電流の相電流換算値の通電状態を表す係数として電気角θを算出する。また、ゲイン変更部40は、計算された電気角θに基づいて、直流型推定器32bでの差分増幅器33の増幅部35で設定されるゲインKを変更する。
図16は、実施形態の別例の推定システムにおいて、U相端子に関係温度センサ12が取り付けられる場合における、U相のコイルに流れるコイル電流の電気角θと、差分増幅器33(図15)で設定されるゲインとの関係を示す図である。本例の構成では、U相のコイル電流を、電流値の絶対値が大きい大電流領域と、電流値の絶対値が小さい小電流領域とに分けて、異なる領域で直流型推定器32bに用いるゲインを異ならせる。
具体的には、U相電流の通電状態を表す係数としての電気角θは、U相電流指令値をIruとして、数式(9)で表される。
[数9]
θ=arccosIru
θ=arccosIru
そして、U相電流指令値Iruの絶対値が大きい大領域として、電気角θ(度)が、0<θ<60、または120<θ<240または300<θ<360を満たす場合を考える。この場合には、ゲインKdc(g、a、q、θ)として、増幅部35(図15)に第1ゲインKdc1(g、a、q)が設定される。
一方、U相電流指令値Iruの絶対値が小さい小領域として、電気角θ(度)が、60≦θ≦120、または240≦θ≦300を満たす場合を考える。この場合には、ゲインKdc(g、a、q、θ)として、増幅部35に第2ゲインKdc2(g、a、q)が設定される。このとき、第2ゲインKdc2は、第1ゲインKdc1より小さい。このように、図15に示すゲイン変更部40は、電気角θに応じて増幅部35に設定されるゲインを変更する。
上記の構成によれば、直流型推定におけるコイル仮最高温度の推定値の推定速度を高くできる。具体的には、モータがロック状態、またはロック状態に近い状態で、関係温度センサ12が取り付けられた所定相のコイルに多くの電流が流れる場合には、所定相のコイルで最高温度となる。そして、本例の構成では、この場合に、検出温度と推定温度との誤差で状態量を補正する場合におけるゲインが高くなる。これにより、コイル温度の推定精度及び推定速度を高くできる。一方、モータがロック状態、またはロック状態に近い状態で、関係温度センサ12が取り付けられた所定相のコイルに少ない電流が流れる、または電流が全く流れない場合には、検出温度と推定温度との誤差で状態量を補正する場合におけるゲインが低くなる。この場合には、温度検出部とは別の相のコイルで最高温度となる。これによっても、コイル温度の推定精度及び推定速度を高くできる。その他の構成及び作用は、図9A〜図14の別例の構成と同様である。上記ではU相の場合を説明したが、U相の代わりにV相またはW相の電気角からゲインが変更されてもよい。また、電流状態計算器39は、電流センサで検出された検出電流から、コイル電流の通電状態を表す係数として、電気角θが計算され、ゲイン変更部40に出力されてもよい。
なお、図15、図16の別例の構成を、図1〜図8の構成と組み合わせることもできる。また、コイル電流の領域を上記のように小領域と大領域との2つに分けるのではなく、コイル電流の絶対値で3つ以上の領域に分けてそれぞれの領域に応じた異なるゲインを設定してもよい。また、cosθの絶対値の大きさに応じてコイル電流を2つ、または3つ以上の複数の領域に分けて、それぞれの領域に応じた異なるゲインを設定してもよい。
また、上記の各例では、交流型推定器及び直流型推定器のそれぞれで、状態方程式を用いた計算によりコイル仮最高温度推定値TmA,TmBと、コイル関係温度推定値とを求める場合を説明した。一方、制御装置において、入力された状態量と、コイル仮最高温度推定値TmA,TmBと、コイル関係温度推定値との関係を予めマップとして記憶させておいてもよい。この場合には、各推定器は、入力された状態量からマップを用いて、コイル仮最高温度推定値TmA,TmBとコイル関係温度推定値とを出力することができる。
10 コイル温度推定システム(推定システム)、12 関係温度センサ、20,20a 制御装置、22,22a 交流型推定器、23 差分増幅器、24 減算部、25 増幅部、26 状態量加算器、27 コイル温度計算器、28 第1モデル増幅変更部、32,32a,32b 直流型推定器、33 差分増幅器、34 減算部、35 増幅部、36 状態量加算器、37 コイル温度計算器、38 第2モデル増幅変更部、39 電流状態計算器、40 ゲイン変更部、42 モデル出力選択器、50 モータ、52 ステータ、53 ステータコア、54u、54v、54w ステータコイル、56u、56v、56w 動力線、58 端子、59 コイルエンド、60 滴下部、70 回転数センサ、71 電流センサ、72 冷却油温度センサ、73 雰囲気温度センサ、74 傾斜角センサ、75 前後加速度センサ、76 冷却油温度センサ、80 車両。
Claims (6)
- 冷却油で冷却され、複数相のステータコイルを有する回転電機に対し、前記複数相のステータコイルの最高温度を推定するコイル温度推定システムであって、
1つの所定相の前記ステータコイルを構成するコイル導線、または前記コイル導線に接続された部材であるコイル関係部材の温度を検出するコイル関係温度センサと、
前記回転電機の回転数を検出する回転数センサと、
前記コイル関係温度センサの検出値、及び前記所定相のステータコイルに流れるコイル電流の複数回の検出に基づく実効値を用いて前記複数相のステータコイルの仮最高温度を推定する交流型推定器と、
前記コイル関係温度センサの検出値、及び前記複数相のステータコイルのそれぞれに流れるコイル電流の瞬時値を用いて前記複数相のステータコイルの仮最高温度を推定する直流型推定器と、
前記回転数センサの検出値に応じて前記交流型推定器及び前記直流型推定器の一方の推定器を選択し、選択された前記一方の推定器で推定された前記仮最高温度を、前記複数相のステータコイルの最高温度の推定値として出力する出力選択器とを備える、コイル温度推定システム。 - 請求項1に記載のコイル温度推定システムにおいて、
前記交流型推定器及び前記直流型推定器のそれぞれは、
前記コイル関係温度センサの検出値と、対応する前記推定器で推定された前記仮最高温度との差分を増幅して出力する差分増幅器と、
前記差分増幅器の出力を、対応する前記推定器における状態量に加算する状態量加算器とを含む、コイル温度推定システム。 - 請求項2に記載のコイル温度推定システムにおいて、
前記交流型推定器及び前記直流型推定器のそれぞれは、
前記交流型推定器及び前記直流型推定器における対象モデルを表す関係式を、前記冷却油の流れの変化に関係する油流れ関係値に応じて変更するとともに、前記差分増幅器の増幅量を、前記油流れ関係値に応じて変更するモデル増幅変更部を含む、コイル温度推定システム。 - 請求項3に記載のコイル温度推定システムにおいて、
前記モデル増幅変更部は、
前記油流れ関係値として、前記回転電機が搭載された車両の傾き、前記車両の加速度及び前記冷却油の流量の1つまたは2つ以上の組み合わせにより、前記交流型推定器及び前記直流型推定器における前記対象モデルを表す前記関係式を変更するとともに、前記差分増幅器の増幅量を変更する、コイル温度推定システム。 - 請求項2から請求項4のいずれか1に記載のコイル温度推定システムにおいて、
前記所定相の前記ステータコイルを流れる電流についての指令電流の相電流換算値、または電流センサで検出された検出電流の通電状態を表す係数を計算する電流状態計算器と、
計算された前記係数に基づいて、前記直流型推定器での仮最高温度推定値の推定に用いられる前記差分増幅器で設定されるゲインを変更するゲイン変更部とを含む、コイル温度推定システム。 - 請求項1から請求項5のいずれか1に記載のコイル温度推定システムにおいて、
前記コイル関係部材は、前記コイル導線、または、前記コイル導線に接続された端子、または前記コイル導線及び前記端子の間に接続された動力線を構成する金属部材であり、
前記コイル関係温度センサは、前記コイル関係部材上であって、前記冷却油がかからない位置に接触して当該接触部の温度を検出する、コイル温度推定システム。
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-
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