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JP2018125216A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】過充電時における過度な発熱を抑制し得るリチウムイオン二次電池を提案する。【解決手段】ここで提案されるリチウムイオン二次電池は、正極活物質として、ニッケル、コバルトおよびマンガンからなる群から選択された少なくとも1種の遷移金属元素を含むリチウム遷移金属複合酸化物を有する。正極は、リチウム遷移金属複合酸化物の遷移金属溶出が生じる正極電位よりも低い正極電位で溶出する含金属粒子を含む。【選択図】図4

Description

本発明は、リチウム遷移金属複合酸化物からなる正極活物質を備えたリチウムイオン二次電池に関する。
軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン二次電池は、車両搭載用高出力電源あるいはパソコンや携帯端末等の電源として好ましく用いられている。この種のリチウムイオン二次電池の一つの典型的な構成では、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出し得る材料(電極活物質)が導電性部材(電極集電体)に保持された構成の電極を備える。例えば、正極に用いられる電極活物質(正極活物質)の一つとして、リチウム(Li)とニッケル(Ni)、コバルト(Co)およびマンガン(Mn)のうちの少なくとも1種の遷移金属元素とを構成金属元素として含む酸化物(リチウム遷移金属複合酸化物)が広く用いられている。リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物からなる正極活物質に関する従来技術として、特許文献1が挙げられる。
特開2015―133217号公報
しかしながら、上記リチウム遷移金属複合酸化物を用いた正極では、過充電時に高電位に晒されると遷移金属が溶出するという問題がある。遷移金属が溶出すると、リチウム遷移金属複合酸化物の結晶構造が崩壊する際に酸素の放出が起こり、放出した酸素と非水電解液とが反応することによって大きな発熱反応を起こす可能性がある。本発明は上記課題を解決するものである。
ここで提案されるリチウムイオン二次電池は、正極活物質として、ニッケル、コバルトおよびマンガンからなる群から選択された少なくとも1種の遷移金属元素を含むリチウム遷移金属複合酸化物を有する正極と負極とセパレータと非水電解液とを備える。前記正極は、前記リチウム遷移金属複合酸化物の遷移金属溶出が生じる正極電位よりも低い正極電位で溶出する含金属粒子を含む。かかる構成によれば、過充電時にリチウム遷移金属複合酸化物の遷移金属の溶出が生じるより先に、含金属粒子が溶出することによって、電池の電位上昇を抑えて、リチウム遷移金属複合酸化物の構造崩壊(ひいては酸素の放出)を抑制することができる。
一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の断面図である。 一実施形態に係る捲回電極体を説明するための図である。 従来の正極構造を説明するための図である。 一実施形態に係る正極構造を説明するための図である。 含金属粒子の含有量と含金属粒子の溶出量および容量維持率との関係を示すグラフである。 過充電時における電圧の変化を示すグラフである。 過充電時における電池温度の変化を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池を説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
以下では捲回タイプの電極体(以下「捲回電極体」という。)と非水電解液とを角形(ここでは、直方体の箱形状)のケースに収容した形態のリチウムイオン二次電池を例に挙げる。なお、電池構造は、図示例に限定されず、特に、角形電池に限定されない。
図1は、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池100を示している。このリチウムイオン二次電池100は、図1に示すように、捲回電極体20と電池ケース30とを備えている。図2は、捲回電極体20を示す図である。本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池100は、図1および図2に示すように、扁平形状の捲回電極体20が、図示しない液状電解質(電解液)とともに、扁平な角形の電池ケース(即ち外装容器)30に収容されている。
電池ケース30は、一端(電池の通常の使用状態における上端部に相当する。)に開口部を有する箱形(すなわち有底直方体状)のケース本体32と、その開口部に取り付けられて該開口部を塞ぐ矩形状プレート部材からなる封口板(蓋体)34とから構成される。電池ケース30の材質は、例えばアルミニウムが例示される。図1に示すように、封口板34には外部接続用の正極端子42および負極端子44が形成されている。封口板34の両端子42、44の間には、電池ケース30の内圧が所定レベル以上に上昇した場合に該内圧を開放するように構成された薄肉の安全弁36が形成されている。ここに開示される技術では、後述するように、過充電時に正極50の構造が保たれて酸素の放出が抑えられるので、安全弁36を適切に作動させることができる。
捲回電極体20は、図2に示すように、長尺なシート状正極(正極シート50)と、該正極シート50と同様の長尺シート状負極(負極シート60)とを計二枚の長尺シート状セパレータ(セパレータ70,72)とを備えている。正極シート50と負極シート60とセパレータ70,72とは、捲回軸WLまわりに捲回されている。
正極シート50は、帯状の正極集電体52と正極活物質層54とを備えている。正極集電体52には、例えば、帯状のアルミニウム箔が用いられている。正極集電体52の幅方向片側の縁部に沿って未塗工部52aが設定されている。図示例では、正極活物質層54は、正極集電体52に設定された未塗工部52aを除いて、正極集電体52の両面に保持されている。正極活物質層54には、正極活物質、含金属粒子、導電材およびバインダが含まれている。
正極活物質(典型的には粒子状)には、ニッケル、コバルトおよびマンガンからなる群から選択された少なくとも1種の遷移金属元素を含むリチウム遷移金属複合酸化物が用いられている。例えば、リチウムと上記遷移金属元素とを構成金属元素として含む層状構造やスピネル構造等のリチウム遷移金属複合酸化物を用いることができる。好適例としては、LiNiO等の層状構造リチウムニッケル複合酸化物、LiCoO等の層状構造リチウムコバルト複合酸化物、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等の層状構造リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、LiMn等のスピネル構造リチウムマンガン複合酸化物、LiNi0.5Mn1.5等のスピネル構造リチウムニッケルマンガン複合酸化物が挙げられる。
ここで開示される正極活物質層54は、正極活物質の他に、含金属粒子を含有する。含金属粒子は、リチウム遷移金属複合酸化物において遷移金属(Ni,Co,Mn)の溶出が生じる正極電位よりも低い正極電位で溶出するものであり得る。例えば、含金属粒子は、金属リチウム基準で4.8V以下(典型的には4.2V〜4.8V)、好ましくは4.6V以下の電極電位を有する金属単体または金属化合物であることが好ましい。そのような含金属粒子としては、二クロム酸(HCr)粒子、金(Au)粒子、セリウム(Ce)粒子、二酸化鉛(PbO)粒子等が挙げられる。金属リチウム基準における各金属種の電極電位は、二クロム酸が約4.3V、金が約4.5V、セリウムが約4.6V、二酸化鉛が約4.6Vである。
上記含金属粒子は、過充電時にリチウム遷移金属複合酸化物よりも先に溶出することで、リチウム遷移金属複合酸化物からの酸素の放出を抑制し得る。すなわち、図3に示すように、前述したリチウム遷移金属複合酸化物を含む正極50が過充電時に高電位に晒されると、リチウム遷移金属複合酸化物から遷移金属(Ni,Co,Mn)が溶出することがあり得る。遷移金属が溶出すると、リチウム遷移金属複合酸化物の結晶構造が崩壊する際に酸素の放出が起こり、放出した酸素と非水電解液とが反応することによって大きな発熱反応を起こす可能性がある。しかしながら、ここに開示される技術によれば、図4に示すように、正極50に上記含金属粒子(図示した例ではAu粒子)を含有させることで、過充電時にリチウム遷移金属複合酸化物の遷移金属の溶出が生じるより先に、含金属粒子が溶出する。このことによって、電池の電位上昇が抑えられ、正極の構造崩壊ひいては酸素の放出が抑制される。その結果、放出された酸素と電解液との反応に起因する過度な発熱が抑制された信頼性の高いリチウムイオン二次電池が実現され得る。
正極活物質層54に含まれる含金属粒子の含有量は、過充電時の過度な発熱を抑制する等の観点から、該含金属粒子と正極活物質との合計を100質量%として、概ね0.1質量%以上とすることが適当であり、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%、さらに好ましくは1.5質量%以上、特に好ましくは2質量%以上である。含金属粒子の上限は特に限定されないが、概ね10質量%以下とすることが適当であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2.5質量%以下である。上記含金属粒子の含有量が多すぎる電池は、過充電時の電池発熱抑制効果が鈍化することに加えて、含金属粒子の含有量が増えた分、正極活物質の量が相対的に減るため好ましくない。ここに開示される技術は、例えば、含金属粒子と正極活物質との合計を100質量%として、含金属粒子の含有量が1.5質量%以上3質量%以下である態様で好ましく実施され得る。
正極活物質層54は、正極活物質、含金属粒子の他に、必要に応じて導電材、バインダ(結着材)などの添加材を含有し得る。導電材としては、カーボン粉末やカーボンファイバーなどの導電性粉末材料が好ましく用いられる。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック、例えばアセチレンブラックが好ましい。バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が好ましく用いられる。正極活物質、含金属粒子、導電材およびバインダを適当な分散媒体に分散させて混練することによって、正極活物質層用組成物(ペースト)を調製することができる。正極活物質層54は、この正極活物質層用組成物を正極集電体52に塗布し、乾燥させ、予め定められた厚さに圧延(プレス)することによって形成されている。
正極活物質層全体に占める正極活物質の割合は凡そ50質量%を超え、凡そ70〜97質量%(例えば75〜95質量%)であることが好ましい。また、正極活物質層全体に占める導電材の割合は、凡そ2〜20質量%(例えば3〜10質量%)であることが好ましい。また、正極活物質層全体に占めるバインダの割合は、凡そ0.5〜10質量%(例えば1〜5質量%)であることが好ましい。
負極シート60は、図2に示すように、帯状の負極集電体62と負極活物質層64とを備えている。負極集電体62には、例えば、帯状の銅箔が用いられている。負極集電体62の幅方向片側には、縁部に沿って未塗工部62aが設定されている。負極活物質層64は、負極集電体62に設定された未塗工部62aを除いて、負極集電体62の両面に保持されている。負極活物質層64には、負極活物質や増粘剤やバインダなどが含まれている。バインダとしては、スチレンブタジエンラバー(SBR)が用いられている。また、増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)が例示される。
上記負極活物質層64に含まれる負極活物質としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。負極活物質の一例として、グラファイト(黒鉛)、ハードカーボン(難黒鉛化炭素)、ソフトカーボン(易黒鉛化炭素)などの炭素材料;酸化ケイ素、酸化チタン、酸化バナジウム、リチウムチタン複合酸化物(Lithium Titanium Composite Oxide:LTO)、などの金属酸化物材料;窒化リチウム、リチウムコバルト複合窒化物、リチウムニッケル複合窒化物などの金属窒化物材料;等が挙げられる。なかでも黒鉛系の炭素材料を好適に採用し得る。
負極活物質層64は、負極活物質の他に、必要に応じてバインダ(結着材)、増粘剤などの添加材を含有し得る。負極活物質層64に用いられるバインダおよび増粘剤としては、正極活物質層54について説明したバインダと同様のものを用いることができる。
負極活物質層全体に占める負極活物質の割合は凡そ50質量%を超え、凡そ80〜99.5質量%(例えば90〜99質量%)であることが好ましい。また、負極活物質層全体に占めるバインダの割合は、凡そ0.5〜5質量%(例えば1〜2質量%)であることが好ましい。また、負極活物質層全体に占める増粘剤の割合は、凡そ0.5〜5質量%(例えば1〜2質量%)であることが好ましい。
セパレータ70、72は、図2に示すように、正極シート50と負極シート60とを隔てる部材である。この例では、セパレータ70、72は、微小な孔を複数有する所定幅の帯状のシート材で構成されている。セパレータ70、72には、例えば、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成された単層構造のセパレータ或いは積層構造のセパレータを用いることができる。この例では、図2に示すように、負極活物質層64の幅b1は、正極活物質層54の幅a1よりも広い(b1>a1)。また、セパレータ70、72の幅c1、c2は、負極活物質層64の幅b1よりも広い(c1、c2>b1>a1)。ここに開示される技術では、過充電時に正極50の構造が保たれたまま電池の温度が上がるので、適切な温度(例えば130℃前後)に達すると、セパレータ70、72の細孔が融解して閉じるシャットダウン機能が適切に発揮され得る。
電解液(非水電解液)としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる非水電解液と同様のものを特に限定なく使用することができる。かかる非水電解液は、典型的には、適当な非水溶媒に支持塩を含有させた組成を有する。上記非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、等を用いることができる。また、上記支持塩としては、例えば、LiPF等のリチウム塩を用いることができる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<試験例1>
本例では、含金属粒子として金粒子を用いてリチウムイオン二次電池を構築し、過充電試験を実施した。以下、具体的な方法を示す。
<評価用セルの構築>
評価用セルの正極は、次のようにして作製した。まず、正極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)粉末と、含金属粒子として金粉末と、導電材としてのABと、バインダとしてのPVdFとをNMP中で混合して、正極活物質層用組成物を調製した。この正極活物質層用組成物を長尺シート状のアルミニウム箔(正極集電体)に塗布して乾燥することにより、正極集電体上に正極活物質層が設けられた正極を作製した。
評価用セルの負極は、次のようにして作製した。まず、負極活物質としてのグラファイトと、バインダとしてのSBRと、増粘剤としてのCMCとを、水に分散させて負極活物質層用組成物を調製した。この負極活物質層用組成物を長尺シート状の銅箔(負極集電体)に塗布し、負極集電体上に負極活物質層が設けられた負極を作製した。
評価用セルのセパレータとしては、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの三層構造の微多孔質フィルム(PP/PE/PPフィルム)の基材からなるセパレータを用意した。
上記で用意した正極、負極およびセパレータを用いて、評価用セルを構築した。すなわち、セパレータを間に介して、上記で作製した正極と負極とを、両電極の互いの活物質層が対向するように積層して電極体を作製した。次いで、この電極体を非水電解液とともに電池容器に収容し、封口した。その後、所定のコンディショニング工程を行うことにより評価用セルを構築した。評価用セルの非水電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを約1mol/リットルの濃度で含有させたものを用いた。
例1〜例8では、含金属粒子の含有量が異なる。具体的には、含金属粒子と正極活物質との合計質量(100質量%)に対して、含金属粒子の含有量が、例1では0質量%、例2では0.5質量%、例3では1質量%、例4では1.5質量%、例5では2質量%、例6では2.5質量%、例7では3質量%、例8では3.5質量%とそれぞれ異なる計8つの評価用セルを作製した。
<初期容量の測定>
初期容量は、コンディショニング工程の後、評価用セルについて、温度25℃、3Vから4.1Vの電圧範囲で、次の手順1〜3によって測定した。
手順1:1Cの定電流によって充電し、4.1Vに到達後、4.1Vで定電圧となるように電流を暫時下げながら充電を継続し、電流が0.02Cとなったときに充電を終了する。この充電後、20分間休止する。
手順2:手順1の後、1Cの定電流放電によって3Vに到達するまで放電する。
ここでは、手順2における定電流放電における放電容量を初期容量(電池定格容量)とした。結果を図5に示す。ここでは例1(含金属粒子の含有量が0質量%)の評価用セルの初期容量を100%としたときの相対値(容量維持率)に換算して示してある。
<過充電試験>
各例の評価用セルについて、25℃の試験槽中で、定電流定電圧方式にて1Cで4.1V(SOC100%)まで充電し、さらに1Cの定電流で5Vまで充電して過充電状態とした。その後、1Cの定電流で3Vまで放電処理を行った。そして、負極への含金属粒子の溶出量を測定した。負極への含金属粒子の溶出量は、上記過充電試験前後における正極活物質層中の含金属粒子の減少量より把握した。なお、電解液中に溶出した含金属粒子は、プラス電荷をもつため負極に移動する。結果を図5に示す。
図5に示すように、含金属粒子の溶出量は、含金属粒子の含有量が増えるにつれて増大傾向を示した。ただし、含金属粒子の含有量が2質量%を超えると、溶出量は殆ど変化を示さなかった。過充電時に含金属粒子を適切に溶出する観点からは、含金属粒子の含有量は1.5質量%以上にすることが好ましい。また、含金属粒子の含有量が増えるほど、初期容量は低下傾向を示した。初期容量の観点からは、含金属粒子の含有量は3質量%以下にすることが好ましい。
<試験例2>
本例では、例1および例5の評価用セルを用いて過充電時における電圧の推移を調べた。具体的には、各評価用セルを5.2Vを超えるまで充電したときの電圧の変化を横軸の時間に対してプロットした。結果を図6に示す。
図6に示すように、含金属粒子を含有していない正極を用いた例1の評価用セルは、4.8V付近で急激な電圧の上昇があり、これ以降、遷移金属の溶出が活発になっていることが判る。これに対し、含金属粒子を含有する正極を用いた例5の評価用セルは、例1に比べて4.5V〜4.8Vの領域での電圧の上昇が緩やかである。この4.5V〜4.8Vの領域で含金属粒子が溶出し、電圧の上昇を抑制していると推測される。
<試験例3>
本例では、例1および例5の評価用セルを用いて過充電時における電池温度の推移を調べた。具体的には、各評価用セルを5.2Vを超えるまで充電したときの電池温度の変化を横軸の時間に対してプロットした。結果を図7に示す。
図7に示すように、含金属粒子を含有していない正極を用いた例1の評価用セルは、130℃を超えた後も電池温度は上昇した。これに対し、含金属粒子を含有する正極を用いた例5の評価用セルは、130℃に到達した後、電池温度は減衰傾向を示した。含金属粒子を含有する正極を用いた例5の評価用セルでは、含金属粒子が正極活物質の遷移金属よりも先に溶出してセパレータの融解によるシャットダウン機能が働くまで正極の構造が維持されていた(ひいては酸素の放出が抑えられていた)ため、電池の過度な発熱が抑制されたものと推測される。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。ここに開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれ得る。
20 捲回電極体
30 電池ケース
50 正極
60 負極
70,72 セパレータ
100 リチウムイオン二次電池

Claims (1)

  1. 正極活物質として、ニッケル、コバルトおよびマンガンからなる群から選択された少なくとも1種の遷移金属元素を含むリチウム遷移金属複合酸化物を有する正極と、負極と、セパレータと、非水電解液と、を備えたリチウムイオン二次電池であって、
    前記正極は、前記リチウム遷移金属複合酸化物の遷移金属溶出が生じる正極電位よりも低い正極電位で溶出する含金属粒子を含む、リチウムイオン二次電池。
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