以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、ミラー保持機構300を備えた一眼レフカメラ10の要部断面図である。一眼レフカメラ10は、レンズユニット20とカメラボディ30が組み合わされて撮像装置として機能する。
レンズユニット20は、光軸11に沿って配列されたレンズ群21を備える。レンズ群21は、後述する撮像素子45の有効画素に入射すべく被写体光束をカメラボディ30へ導く。レンズ群21には、フォーカスレンズ、ズームレンズ等が含まれ、焦点調整、画角調整の指示に応じて光軸方向に移動できるように構成されている。レンズユニット20は、カメラボディ30との接続部にレンズマウント22を備え、カメラボディ30が備えるカメラマウント52と係合して、カメラボディ30と一体化する。
ミラー保持機構300は、メインミラー部310およびサブミラー部320を含む。メインミラー部310は、メインミラー311およびメインミラー保持枠312を含む。サブミラー部320は、サブミラー321およびサブミラー保持枠322を含む。カメラボディ30は、レンズユニット20から入射される被写体光束を反射するメインミラー311と、メインミラー311で反射された被写体光束が結像するピント板36を備える。メインミラー311は、メインミラー保持枠312に保持されてメインミラー回転軸313周りに回動して、光軸11を中心とする被写体光束中に斜設された第1状態としての斜設状態と、被写体光束から退避された第2状態としての退避状態を取り得る。具体的な構造は後述するが、メインミラー311を斜設状態に位置決めする位置決め部材としてダウン位置決めピン34と、退避状態に位置決めする端部としての突当部62が設けられている。突当部62は、ミラーボックス61と一体に形成される。突当部62は、ミラーボックス61の内側に向かって突出している。突当部62は、メインミラー保持枠312を跳ね返らせることができる程度に高い剛性を有する。本実施形態においては、メインミラー保持枠312を跳ね返らせるので、突当部62は、剛性の高い非弾性体の材料、たとえばポリカーボネートを使用するが、跳ね返り係数を調整すべく適度な剛性を有する弾性体を用いてもよい。
ピント板36側へ被写体像を導く場合は、メインミラー311を保持するメインミラー保持枠312がダウン位置決めピン34に当接して、メインミラー311が被写体光束中に斜設される。また、ピント板36は、撮像素子45の受光面と共役の位置に配置されている。ピント板36で結像した被写体像は、ペンタプリズム40で正立像に変換され、接眼光学系41を介してユーザに観察される。
斜設状態におけるメインミラー311の光軸11の近傍領域は、ハーフミラーとして形成されており、入射される被写体光束の一部が透過する。透過した被写体光束は、メインミラー311と連動して揺動するサブミラー保持枠322に保持されたサブミラー321で反射されて、AF光学系42へ導かれる。サブミラー保持枠322は、サブミラー回転軸315に軸支される。メインミラー311が斜設状態である場合は、サブミラー321も被写体光束中に斜設される斜設状態である。AF光学系42を通過した被写体光束は、AFセンサ43へ入射される。AFセンサ43は、受光した被写体光束から位相差信号を検出する。なお、サブミラー321は、メインミラー311が被写体光束から退避する場合は、メインミラー311に連動して被写体光束から退避する。
斜設されたメインミラー311の後方には、光軸11に沿って、フォーカルプレーンシャッタ44、撮像素子45が配列されている。撮像素子45側へ被写体像を導く場合は、メインミラー311が被写体光束から退避される。フォーカルプレーンシャッタ44は、メインミラー311およびサブミラー321が被写体光束を遮らないときに開放状態を取り、その他のときに遮蔽状態を取る。そして、撮像素子45は、例えばCMOSセンサなどの光電変換素子であり、受光面で結像した被写体像を電気信号に変換する。
撮像素子45で光電変換された電気信号は、メイン基板46に搭載されたDSPである画像処理部47で画像データに処理される。メイン基板46には、画像処理部47の他に、カメラボディ30のシステムを統合的に制御するMPUであるカメラシステム制御部48が搭載されている。カメラシステム制御部48は、メインミラー311およびサブミラー321周辺のミラー部の動作を伴うカメラシーケンスを管理すると共に、露光制御部としてフォーカルプレーンシャッタ44を制御する役割を担う。さらに、カメラシステム制御部48は、AFセンサ43から出力される位相差信号から合焦制御を行うなど、各構成要素の入出力処理等を行う。
カメラボディ30の背面には液晶モニタ等による表示部49が配設されており、画像処理部47で処理された被写体画像が表示される。表示部49は、撮影後の静止画像に限らず、ビューファインダとしてのEVF画像、各種メニュー情報、撮影情報等を表示する。また、カメラボディ30には、着脱可能な二次電池50が収容され、カメラボディ30に限らず、レンズユニット20にも電力を供給する。
図2は、メインミラー311が被写体光束中に斜設される斜設状態時の、ミラーボックス61近傍の斜視図である。ミラーボックス61は、図では便宜上2つの側面で示すが、実際には、メインミラー311を保持するメインミラー保持枠312とサブミラー321を保持するサブミラー保持枠322を、被写体光束周りで取り囲む側面により構成される。ミラーボックス61は、迷光を防止すべくその表面に遮光線が形成された、剛性の高いモールド部材またはマグネシウム合金等により形成される。メインミラー保持枠312と一体的に形成されたメインミラー回転軸313は、ミラーボックス61の外側から軸支され、メインミラー保持枠312は、このメインミラー回転軸313周りに回動する。サブミラー保持枠322は、サブミラー回転軸315によって軸支され、このサブミラー回転軸315周りに回動する。突当部62は、ミラーボックス61の側面からミラーボックス61の内側に向かって突出して形成される。なお、図2では紙面左側のミラーボックス61の側面を省略して示しているが、実際には、左側の突当部は、突当部62と対向した位置に、ミラーボックス61の左側の側面から内側に向かって突出するように形成される。
メインミラー保持枠312は、縁部314を有する。縁部314は、メインミラー311の外周の一部を取り囲むように形成される。縁部314は、メインミラー回転軸313よりも遠い側のメインミラー保持枠312の先端近傍で、メインミラーの左右方向に張り出して形成される。縁部314は、メインミラー311の板厚よりも厚く形成される。つまり、縁部314は、メインミラー311の反射面よりもピント板36側へ突出している。
図3は、メインミラー311が被写体光束から退避する退避状態時の、ミラーボックス61近傍の斜視図である。メインミラー保持枠312が、メインミラー回転軸313周りに斜設状態から退避状態へ回動すると、サブミラー保持枠322も連動して被写体光束から退避する。例えば、1回の撮影動作では、ユーザがピント板36に結像する被写体像を観察できる斜設状態から、撮像素子45の受光面に被写体像が露光される退避状態へ移行し、予め定められた露光時間が経過した後に再び斜設状態へ戻るようにメインミラー保持枠312およびサブミラー保持枠322が回動する。したがって、連写撮影時にはこの動作が繰り返して実行される。
なお、斜設状態と退避状態の間の回動動作は、例えば、斜設状態へ付勢する付勢バネに抗して退避状態へ持ち上げるアクチュエータと、アクチュエータの作動力を解除して付勢バネを解放する解放機構により実現される。二次電池50はアクチュエータに電力を供給し、カメラシステム制御部48はアクチュエータおよび解放機構を制御する。
ダウン位置決めピン34は、退避状態から斜設状態に移行するときに、メインミラー保持枠312の裏面と当接することで、回動を停止させる衝撃を受け止めると共に、被写体光束をピント板36へ導く精確な角度にメインミラー311を静定させる。
突当部62は、メインミラー保持枠312が斜設状態から退避状態に移行するときに、縁部314を突当部62に突き当てて跳ね返らせる。そして、突当部62は、メインミラー保持枠312を退避状態に位置決めする。
一般的な一眼レフカメラのミラー保持機構においては、メインミラー保持枠が斜設状態から退避状態に移行するときに、メインミラー保持枠は、ミラーボックスに形成した突当部に突き当てられる。メインミラー保持枠が突当部に突き当たったときに、メインミラー保持枠の跳ね返りを抑制すべく、モルトプレーン等の衝撃吸収部材が、突当部に貼り付けられている。上記のようなミラー保持機構においては、衝撃吸収部材は、メインミラー保持枠が突当部に突き当たるときの衝撃を吸収する。よって、メインミラー保持枠に支持されたメインミラーの反射面は、直接的に突当部に突き当てられても、メインミラーは破損しなかった。
しかしながら、本実施形態のミラー保持機構によれば、メインミラー保持枠312は、突当部62に突き当たって跳ね返る。ゆえに、本実施形態においては、衝撃を吸収すべくモルトプレーン等の衝撃吸収部材は、突当部62に設けられない。よって、メインミラー保持枠312が斜設状態から退避状態に移行するときに、最初にメインミラー保持枠312が突当部62に突き当たると、メインミラー保持枠312は、突当部62に突き当たって跳ね返る。したがって、上記の一般的なミラー保持機構のように、メインミラー311が突当部62に直接的に突き当たるときの衝撃により、メインミラー311は、破損する。
メインミラー311が突当部62に突き当たることによるメインミラー311の破損を防止すべく、縁部314が、突当部62に突き当たる。本実施形態においては、縁部314は、メインミラー保持枠312の先端の左右に設けられる。縁部314がメインミラー保持枠312の先端のさらに前側に設けられると、メインミラー保持枠312の光軸方向の寸法は、大きくなる。しかしながら、本実施形態によれば、縁部314をメインミラー311の先端の左右に設けるので、メインミラー保持枠312の光軸方向の寸法は、大きくならない。つまり、メインミラー保持枠312の光軸方向の寸法は、メインミラー311の光軸方向の寸法と略同じにできる。よって、カメラボディ30の光軸方向の寸法は、小さくなる。
図4から図9を用いて、メインミラー部310およびサブミラー部320が、斜設状態から退避状態に移行する動作の様子を示す。図面を簡略化する目的で、図4から図9においては、メインミラー保持枠312、サブミラー保持枠322、トグルバネ39および突当部62を抽出して、それぞれの位置関係を示す。なお、図4から図9においては、(a)は、図2において矢印Pで示す側から見た様子を示し、(b)は、図2において矢印Qで示す側から見た様子を示す。なお、メインミラー保持枠312およびサブミラー保持枠322が斜設状態から退避状態へ向かう方向、すなわち、図4から図9の(a)においては右回りの方向、(b)においては左回りの方向を退避方向と定める。同様に、メインミラー保持枠312およびサブミラー保持枠322が退避状態から斜設状態へ向かう方向、すなわち、図4から図9の(a)においては左回りの方向、(b)においては右回りの方向を斜設方向と定める。
図4は、斜設状態を示す図である。サブミラー回転軸315は、メインミラー保持枠312に形成される。詳しくは後述するが、サブミラー保持枠322は、メインミラー保持枠312に連動して揺動し、さらにサブミラー回転軸315を中心に回動する。トグルバネ39は、メインミラー保持枠312とサブミラー保持枠322の間に取り付けられる付勢バネである。トグルバネ39の一端は、メインミラー保持枠312に支持される。トグルバネ39の他端は、サブミラー保持枠322に設けられた付勢面323を付勢する。
図4(a)に示すように、斜設状態では、付勢面323は、サブミラー回転軸315より左側に位置する。トグルバネ39は、図4(a)における矢印A方向に付勢面323を付勢する。したがって、サブミラー保持枠322には、図4(a)において左回りの回転モーメントが発生する。
規制部316は、メインミラー保持枠312から紙面手前側に突出して設けられる。サブミラー保持枠322は、サブミラー回転軸315を挟んで付勢面323と反対の側に規制部324を有する。規制部324は、メインミラー保持枠312に設けられた規制部316に突き当たって、トグルバネ39による図4(a)における左回りの回転を規制する。
メインミラー保持枠312の裏面、すなわち被写体光束が当たらない側の面には、例えばモルトプレーン等の衝撃吸収部材319が設けられる。衝撃吸収部材319は、退避状態において、メインミラー保持枠312とサブミラー保持枠322の接触箇所に設けられる。衝撃吸収部材319は、メインミラー保持枠312の裏面に例えば接着によって固定される。
なお、本実施形態においては、衝撃吸収部材319は、メインミラー保持枠312に設けられる例を示すが、サブミラー保持枠322に設けられてもよい。さらに、衝撃吸収部材319は、メインミラー保持枠312とサブミラー保持枠322の両方に設けられてもよい。
図4(b)に示すように、サブミラー保持枠322は、第1カム面325および第2カム面326を有する。転向ピン63は、ミラーボックス61の側面に設けられる。転向ピン63は、ミラーボックス61の側面から、図2における矢印Q方向に突出するように設けられる。つまり、図4(b)においては、転向ピン63は、紙面手前側から紙面奥側へ向かって突出して設けられる。
転向ピン63は、偏心ピンにより構成される。転向ピン63は、ミラーボックス61の側面に対して回転可能に支持されている。転向ピン63が回転されると、転向ピン63は、サブミラー回転軸315を挟んだ右側もしくは左側に付勢面323を切り替えるタイミングを調整することができる。転向ピン63の位置を調整することにより、メインミラー保持枠312とサブミラー保持枠322の最初の接触のタイミングを調整することができる。斜設状態においては、転向ピン63は第1カム面325および第2カム面326のいずれにも接触していない。詳しくは後述するが、第1カム面325は、メインミラー保持枠312が斜設状態から退避状態に移行するときに、転向ピン63と接触する。
なお、トグルバネ39の付勢方向を反転させる転向ピン63の調整機構は、偏心ピンに限らない。例えば、転向ピン63は、ミラーボックス61の側面に設けられた長穴に支持部材を介して支持されてもよい。転向ピン63は、当該長穴の中における配置位置を支持部材によって調整できるように支持される。したがってこのような構成によっても、トグルバネ39は、付勢面323を付勢する方向を反転させるタイミングを調整することができる。
図5は、メインミラー保持枠312が斜設状態から退避状態に移行している途中の状態を示す図である。なお、図5において、転向ピン63は、トグルバネ39の付勢方向を反転させる前の状態である。すなわち、トグルバネ39の付勢方向は、図4(a)に示した付勢方向と同じである。
図5(a)に示すように、付勢面323は、サブミラー回転軸315より左側に位置する。トグルバネ39は、矢印B方向に付勢面323を付勢する。したがって、サブミラー保持枠322には、図5(a)において左回りの回転モーメントが発生する。そして、メインミラー保持枠312は、アクチュエータにより、メインミラー回転軸313を中心に退避方向へ回転する。サブミラー保持枠322は、メインミラー保持枠312の退避方向への回転に連動して、退避方向に回転する。
図5(b)において、転向ピン63は、しばらくは第1カム面325と接触しないが、メインミラー保持枠312の退避方向への回転が進むに従って、第1カム面325と接触する。アクチュエータによるメインミラー保持枠312の退避方向への駆動力は、トグルバネ39の付勢力よりも大きい。よって、メインミラー保持枠312が退避方向へさらに回転すると、第1カム面325と転向ピン63が接触して、サブミラー保持枠322は、退避方向へ回転する。
第1カム面325と転向ピン63が接触するまでは、サブミラー保持枠322は、メインミラー保持枠312の回転に連動して公転する。第1カム面325と転向ピン63が接触した後は、第1カム面325が転向ピン63に押されることにより、トグルバネ39は、付勢方向を反転させる。よって、トグルバネ39の付勢方向が反転した後には、サブミラー保持枠322は、メインミラー保持枠312の回転に連動して公転しつつサブミラー回転軸315を中心に自転する。したがって、第1カム面325と転向ピン63が接触した後は、サブミラー保持枠322の回転量は、メインミラー保持枠312の回転量より大きい。
図6は、メインミラー保持枠312が突当部62に突き当たった状態を示す図である。メインミラー保持枠312が突当部62に突き当たったときには、サブミラー保持枠322の先端部は、まだメインミラー保持枠312と接触していない。
図6(a)に示すように、付勢面323は、サブミラー回転軸315より右側に位置する。トグルバネ39は、矢印C方向に付勢面323を付勢する。したがって、サブミラー保持枠322には、図6(a)において右回りの回転モーメントが発生する。よって、サブミラー保持枠322は、トグルバネ39によりサブミラー回転軸315を中心に退避方向へ回転する。
図6(b)において、サブミラー保持枠322は、トグルバネ39の付勢力により退避方向へ回転する。よって、第1カム面325は、転向ピン63から離れる。メインミラー保持枠312が突当部62に突き当たった状態では、メインミラー保持枠312は回転しない。よって、サブミラー保持枠322は、メインミラー保持枠312に連動して動くことができない。つまり、第1カム面325は、転向ピン63によって押されない。したがって、メインミラー保持枠312が退避方向へ回転し、突当部62に突き当たるまでの間に、付勢面323の位置は、転向ピン63によってサブミラー回転軸315を挟んで左側から右側に切り替わる。
図7は、メインミラー保持枠312が突当部62に突き当たって跳ね返った状態を示す図である。突当部62は剛体なので、メインミラー保持枠312は、突当部62に突き当たって斜設方向へ跳ね返る。
図7(a)に示すように、付勢面323は、サブミラー回転軸315より右側に位置する。トグルバネ39は、矢印D方向に付勢面323を付勢する。したがって、サブミラー保持枠322には、図7(a)において右回りの回転モーメントが発生する。よって、サブミラー保持枠322は、トグルバネ39によりサブミラー回転軸315を中心に退避方向へ回転する。
図7(b)において、サブミラー保持枠322は、トグルバネ39の付勢力により退避方向へ回転する。よって、第1カム面325は、転向ピン63から離れている。
図8は、サブミラー保持枠322の先端部がメインミラー保持枠312に最初に接触する状態を示す図である。メインミラー保持枠312が突当部62に突き当たって跳ね返り、斜設方向へ移行しているタイミングで、サブミラー保持枠322の先端部は、メインミラー保持枠312と最初に接触する。サブミラー保持枠322の先端部は、被写体光束より外側でメインミラー保持枠312と最初に接触する。
図8(a)に示すように、付勢面323は、サブミラー回転軸315より右側に位置する。トグルバネ39は、矢印E方向に付勢面323を付勢する。したがって、サブミラー保持枠322には、図8(a)において右回りの回転モーメントが発生する。よって、サブミラー保持枠322は、トグルバネ39によりサブミラー回転軸315を中心に退避方向へ回転する。
サブミラー保持枠322の先端部がメインミラー保持枠312と接触する場合において、衝撃吸収部材319は、メインミラー保持枠312とサブミラー保持枠322の先端部との接触による接触音の発生を抑制する。また、衝撃吸収部材319は、メインミラー保持枠312とサブミラー保持枠322の先端部との接触によって、メインミラー保持枠312およびサブミラー保持枠322の先端部の破損を防止する。
図8(b)において、サブミラー保持枠322は、トグルバネ39の付勢力により退避方向へ回転する。したがって、第1カム面325は、転向ピン63から離れている。メインミラー部310は、斜設方向へ向かう角運動量を有し、サブミラー部320は、退避方向へ向かう角運動量を有する。したがって、メインミラー保持枠312とサブミラー保持枠322を接触させることにより、互いの角運動量は、相殺される。
サブミラー部320の退避方向への角運動量は、メインミラー部310の斜設方向への角運動量よりも若干大きくなるように調整されている。メインミラー部310の角運動量は、メインミラー保持枠312の質量、メインミラー保持枠312の重心位置、メインミラー保持枠312を退避方向へ駆動すべくアクチュエータの駆動速度、突当部62の反発係数、メインミラー311の質量などによって定められる。
サブミラー部320の角運動量は、サブミラー保持枠322の質量、サブミラー保持枠322の重心位置、トグルバネ39の付勢力、転向ピン63がトグルバネ39の付勢方向を反転させるタイミング、サブミラー321の質量などによって定められる。以上の各種パラメータは、予め実験的にサブミラー部320の角運動量がメインミラー部310の角運動量よりも若干大きくなるように定めておくことができる。しかしながら、部品ばらつきおよび組立ばらつきにより、ミラー保持機構300を組み立てた後に、メインミラー部310とサブミラー部320の互いの角運動量が、予め定められた互いの角運動量の関係を満たしていない場合がある。具体的には、ミラー保持機構300を組み立てた後の状態において、例えば、メインミラー部310の斜設方向への角運動量が、サブミラー部320の退避方向への角運動量よりも大きくなっていることがある。したがって、メインミラー部310およびサブミラー部320の角運動量を調整できることが好ましい。
メインミラー保持枠312は、射出成形の型を調整することにより質量が調整される。たとえば、突当部62での跳ね返り量が少ないことが予め実験的に分かっている場合には、メインミラー保持枠312は、メインミラー保持枠312の先端側を厚くして成型されてもよい。さらに、射出成型の型による調整のみでは、複数個のミラー保持機構300を組み立てたときに、個々の部品ばらつきにより予め定められた角運動量を満たさない場合がある。このような場合には、たとえば、予め複数の重さの錘を用意しておき、組み立て時において、実験的に適当な錘を付着してもよい。
サブミラー保持枠322の角運動量は、トグルバネ39のバネ力およびサブミラー保持枠322の質量等により調整することができる。トグルバネ39のバネ力は、例えば線径、巻き数を変更することにより調整されることができる。サブミラー部320の退避方向への角運動量をメインミラー部310の斜設方向への角運動量よりも若干大きくすべく、サブミラー保持枠322は、射出成形の型を調整することにより質量が調整される。たとえば、サブミラー保持枠322は、サブミラー保持枠322の先端側を厚くして成型されてもよい。さらに、射出成型の型による調整のみでは、複数個のミラー保持機構300を組み立てたときに、個々の部品ばらつきにより予め定められた角運動量を満たさない場合がある。このような場合には、たとえば、予め複数の重さの錘を用意しておき、組み立て時において、実験的に適当な錘を付着してもよい。
以上に説明したように、本実施形態によれば、突当部62に突き当たって斜設方向へ跳ね返るメインミラー部310の角運動量は、退避方向へ向かうサブミラー部320の角運動量により打ち消される。これにより、突当部62で跳ね返ったメインミラー部310の角運動量は、減少する。よって、突当部62で跳ね返ったメインミラー部310をより早期に集束させることができる。より好ましくは、サブミラー保持枠322の先端部がメインミラー保持枠312と最初に接触するときに、メインミラー部310とサブミラー部320の互いの角運動量が略相殺されるように、メインミラー部310およびサブミラー部の角運動量を調整する。さらに、サブミラー部320の退避方向への角運動量は、メインミラー部310の斜設方向への角運動量よりも若干大きく設定する。よって、サブミラー保持枠322の先端部がメインミラー保持枠312に最初に接触したときに、メインミラー保持枠312は、サブミラー保持枠322の先端部と最初に接触する位置よりも斜設方向側へ回転しない。すなわち、サブミラー保持枠322の先端部がメインミラー保持枠312に最初に接触するときに、サブミラー保持枠322は、メインミラー保持枠312と一体となって退避方向へ回転することができる。したがって、サブミラー保持枠322の先端部がメインミラー保持枠312に最初に接触した後に、メインミラー保持枠312およびサブミラー保持枠322は、被写体光束を遮らない。なお、メインミラー部310とサブミラー部320の互いの角運動量は最初の接触により略相殺されているので、メインミラー保持枠312とサブミラー保持枠322は、二度目以降の接触をしない。
カメラシステム制御部48は、メインミラー保持枠312とサブミラー保持枠322の最初の接触に同期して、撮像素子の露光を開始することができる。具体的には、カメラシステム制御部48は、サブミラー保持枠322がメインミラー保持枠312に最初に接触したときに、フォーカルプレーンシャッタ44の先幕の走行を開始させる。メインミラー保持枠312とサブミラー保持枠322の最初の接触までの時間は、予め実験的に定めておけばよい。
図9は、退避状態を示す図である。サブミラー保持枠322は、メインミラー保持枠312と最初に接触した後、メインミラー保持枠312を退避方向へ駆動すべくアクチュエータの駆動力によって、メインミラー保持枠312と一体的に退避状態まで変位する。
図9(a)に示すように、付勢面323は、サブミラー回転軸315より右側に位置する。トグルバネ39は、矢印F方向に付勢面323を付勢する。したがって、サブミラー保持枠322には、図9(a)において右回りの回転モーメントが発生する。よって、サブミラー保持枠322は、サブミラー回転軸315を中心に退避方向へ回転する。そして、サブミラー保持枠322は、メインミラー保持枠312と一体的に退避状態に配置される。メインミラー保持枠312とサブミラー保持枠322の最初の接触により、メインミラー保持枠312とサブミラー保持枠322の互いの角運動量は略相殺されているので、メインミラー保持枠312は、静かに突当部62と接触する。つまり、メインミラー保持枠312は、退避方向への角運動量をほとんど持っていない。よって、メインミラー保持枠312は、突当部62に突き当たっても再び跳ね返えらない。
図9(b)は、上述したように図9(a)に示される側面とは反対の側面から見た図なので、サブミラー保持枠322の回転方向を示す矢印の向きは反対になっている。サブミラー保持枠322はトグルバネ39の付勢力により退避方向へ回転する。転向ピン63は、第1カム面325から離れている。
なお、メインミラー保持枠312とサブミラー保持枠322の最初の接触により互いの角運動量が相殺されると、メインミラー保持枠312とサブミラー保持枠322は、最初の接触後に突当部62まで変位しなくても最初に接触した位置で停止するように調整されてもよい。この場合は、突当部62を設けなくてもよい。この場合においても、メインミラー保持枠312およびサブミラー保持枠322は、被写体光束の外側で接触している。したがって、カメラシステム制御部48は、露光を開始することができる。
本実施形態によれば、突当部62に突き当たって跳ね返って斜設方向へ向かうメインミラー保持枠312と、退避方向へ向かうサブミラー保持枠322は、被写体光束の外で最初に接触する。さらに、メインミラー保持枠312の斜設方向へ向かう角運動量と、サブミラー保持枠322の退避方向へ向かう角運動量を予め調整しておくことにより、最初の接触において互いの角運動量は相殺される。よって、メインミラー保持枠312およびサブミラー保持枠322は、最初に接触した後には被写体光束を遮らない。そして、メインミラー保持枠312とサブミラー保持枠322の最初の接触に同期して、露光を開始することができる。したがって、本実施形態のミラー保持機構300によれば、部品点数を増加させることなく、さらに機構を複雑にさせることなく、露光開始を早めることができる。特に、連写撮影時においては、駒速を上げることができる。
なお、本実施形態におけるミラー保持機構300は、先幕を有さないシャッタを備えるカメラにも適用することができる。この場合には、サブミラー保持枠322がメインミラー保持枠312に最初に接触したときに、撮像素子45は、電荷の蓄積を開始して露光を開始する。これにより、フォーカルプレーンシャッタ44を備えるカメラの場合と同様に、露光開始を早めることができるという効果が得られる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。