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JP2018124460A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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JP2018124460A JP2017017189A JP2017017189A JP2018124460A JP 2018124460 A JP2018124460 A JP 2018124460A JP 2017017189 A JP2017017189 A JP 2017017189A JP 2017017189 A JP2017017189 A JP 2017017189A JP 2018124460 A JP2018124460 A JP 2018124460A
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Yusuke Takigaura
佑介 滝ヶ浦
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Takao Kawamura
貴生 川村
史朗 平野
Shiro Hirano
史朗 平野
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Abstract

【課題】本発明の課題は、低温定着性及び耐熱保管性に優れながらも、光沢メモリーの発生を抑制できる静電荷像現像用トナーを提供することである。【解決手段】本発明の静電荷像現像用トナーは、非晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂及びスチレン・アクリル系樹脂を含有するとともに、離型剤を含有し、非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂の合計量に占める結晶性ポリエステル樹脂の割合が40質量%超〜60質量%であり、温度X℃で放置する前の熱放置前貯蔵弾性率G’が1.0×108Paとなる温度が45℃超〜55℃であり、温度X℃における熱放置前貯蔵弾性率G’に対する温度X℃で2時間放置した後の温度X℃における熱放置後貯蔵弾性率G’の比の値が最大となるときの温度X’℃における熱放置後貯蔵弾性率G’が1.0×108〜5.0×108Paであることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、静電荷像現像用トナーに関する。より詳しくは、本発明は、低温定着性及び耐熱保管性に優れ、かつ光沢メモリーの発生を抑えることのできる静電荷像現像用トナーに関する。
近年、電子写真方式の画像形成装置において、印刷の高速化や省エネルギー化を図るために、低温定着性をより一層高めた静電荷像現像用トナー(以下、「トナー」と称する。)の開発が求められている。このようなトナーは、例えば、結着樹脂中にシャープメルト性を有する結晶性ポリエステル樹脂を添加し、結着樹脂の溶融温度や溶融粘度を下げることにより実現することができる。
ところが、結晶性材料を含有させたトナーは、低温定着性が向上するとともに可塑化が進行して耐熱保管性を低下させてしまう。このため、画像形成装置中で高温にさらされ続けると、トナーが凝集し、印刷画質を低下させてしまうことがある。
このような問題に対応するため、従来、例えば特許文献1に開示されているように、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂の割合や溶解パラメーター(SP)値を調節し、両者の相溶性を最適化する技術が提示されている。こうすることで、トナーの貯蔵弾性率G’が高まるので、高温の画像形成装置中においてもトナーが凝集しにくくなる。すなわち、トナーの耐熱保管性が向上する。
しかし、このような手段を用いて低温定着性と耐熱保管性との両立を図ろうとすると、トナー中に占める非晶性ポリエステルの割合を多くする必要が出てくる。すると、トナーを定着ローラーから剥離しやすくすることを目的としてトナーに含有させている離型剤が非晶性ポリエステルと相溶し、局在化しやすくなってしまう。その結果、トナーを記録媒体に定着させる際に、トナー粒子からの離型剤の吐出しが阻害されてしまい、定着ローラーが一回転して次の記録媒体に接する際に、前に印刷した画像のパターンに対応した光沢ムラが写る光沢メモリーと呼ばれる現象が生じてしまう。
特開2014−195850号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含有するトナーであって、低温定着性及び耐熱保管性に優れながらも、光沢メモリーの発生を抑制することのできる静電荷像現像用トナーを提供することである。
本発明者は上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、スチレン・アクリル系樹脂を含有させるとともに、結晶性ポリエステル樹脂の含有率を調節し、特定条件下における貯蔵弾性率G’を調節することにより、上記課題が解決できることを見いだし本発明に至った。
すなわち、上記課題は、以下の手段により解決される。
1.非晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂及びスチレン・アクリル系樹脂を結着樹脂として少なくとも含有するとともに、離型剤を含有し、
前記非晶性ポリエステル樹脂及び前記結晶性ポリエステル樹脂の合計量に占める前記結晶性ポリエステル樹脂の割合が40質量%超〜60質量%の範囲内であり、
温度X℃で放置する前の熱放置前貯蔵弾性率G’が1.0×10Paとなる温度が45℃超〜55℃の範囲内であり、
前記温度X℃における熱放置前貯蔵弾性率G’に対する当該温度X℃で2時間放置した後の当該温度X℃における熱放置後貯蔵弾性率G’の比の値が最大となるときの当該温度X’℃における熱放置後貯蔵弾性率G’が1.0×10〜5.0×10Paの範囲内であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
2.前記非晶性ポリエステル樹脂と前記結晶性ポリエステル樹脂との合計量に占める前記結晶性ポリエステル樹脂の割合が、42質量%以上であることを特徴とする第1項に記載の静電荷像現像用トナー。
3.前記結着樹脂全体量に占める前記スチレン・アクリル系樹脂の割合が、25質量%より大きいことを特徴とする第1項又は第2項に記載の静電荷像現像用トナー。
4.前記熱放置後貯蔵弾性率G’が、前記熱放置前貯蔵弾性率G’よりも大きいことを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
5.前記結晶性ポリエステル樹脂が、結晶性ポリエステル重合セグメントと他の樹脂の重合セグメントとが結合してなるハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂であることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
6.前記ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂全量に占める前記他の樹脂の重合セグメントの割合が、1〜10質量%の範囲内であることを特徴とする第5項に記載の静電荷像現像用トナー。
7.前記結晶性ポリエステル樹脂又は前記ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂と、前記離型剤と、を含む結晶性樹脂の融点Tmが、60〜75℃の範囲内であることを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
8.前記結晶性ポリエステル樹脂又は前記ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂の体積基準のメジアン径が、40〜150nmの範囲内であることを特徴とする第1項から第7項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
本発明の上記手段により、低温定着性及び耐熱保管性に優れながらも、光沢メモリーの発生を抑制することのできる静電荷像現像用トナーを提供することができる。
本発明の効果の発現機構については、現在のところ明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明により低温定着性と耐熱保管性が両立されるのは、非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂との合計量に占める結晶性ポリエステル樹脂の割合を40質量%超〜60質量%の範囲内としたことで、熱放置された後のトナー中に非相溶で存在する結晶性ポリエステルの量が適正な量になったからであると考えられる。
また、熱放置前貯蔵弾性率G’が1.0×10Paとなる温度を45℃超〜55℃の範囲内としたことや、温度X℃で放置する前の温度X℃における熱放置前貯蔵弾性率G’に対する温度X℃で2時間放置した後の温度X℃における熱放置後貯蔵弾性率G’の比の値が最大となるときの温度X’℃における熱放置後貯蔵弾性率G’を1.0×10〜5.0×10Paの範囲内としたこともその一因であると考えられる。
また、本発明では、トナーの軟化温度以下の温度条件下でトナーを熱放置した場合に、図1に示すように、特定範囲の温度におけるトナーの貯蔵弾性率G’を高くすることが可能であることが判明した。これは、結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂の極性や割合等を適度に調整したことにより、相溶状態にあった結晶性樹脂が結晶化して結着樹脂の可塑化効果が失われ、非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点温度Tgの上昇が起こったためであると考えられる。
また、本発明により光沢メモリーの発生が抑制されるのは、結着樹脂中に含有させたスチレン・アクリル系樹脂が、離型剤の非晶性ポリエステル樹脂との相溶を抑制することにより、離型剤をより均一に微分散させるようになったからであると考えられる。
なお、スチレン・アクリル系樹脂は、従来耐熱保管性の向上を目的として添加される融点の高い樹脂なので、結着樹脂全体量に占める割合が大きくなるとトナーの低温定着性を低下させてしまう可能性がある。それでも、本発明が、従来の低温定着性と耐熱保管性を保持できているのは、上述したように、結晶性ポリエステル樹脂の割合等がスチレン・アクリル樹脂の含有量に合わせて調節されているからであると考えられる。
本発明の実施形態に係る静電荷像現像用トナーの熱放置前と熱放置後における温度と貯蔵弾性率G’との関係を表すグラフ 光沢メモリーの発現性を調べるために印刷した画像 アンダーオフセットの解消温度を調べるために印刷した画像
本発明の静電荷像現像用トナーは、非晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂及びスチレン・アクリル系樹脂を結着樹脂として少なくとも含有するとともに、離型剤を含有し、
前記非晶性ポリエステル樹脂及び前記結晶性ポリエステル樹脂の合計量に占める前記結晶性ポリエステル樹脂の割合が40質量%超〜60質量%の範囲内であり、
温度X℃で放置する前の熱放置前貯蔵弾性率G’が1.0×10Paとなる温度が45℃超〜55℃の範囲内であり、
前記温度X℃における熱放置前貯蔵弾性率G’に対する当該温度X℃で2時間放置した後の当該温度X℃における熱放置後貯蔵弾性率G’の比の値が最大となるときの当該温度X’℃における熱放置後貯蔵弾性率G’が1.0×10〜5.0×10Paの範囲内であることを特徴とする
この特徴は、各請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。こうすることで、低温定着性及び耐熱保管性に優れながらも、光沢メモリーの発生を抑制することのできる静電荷像現像用トナーとすることができる。
なお、本発明の実施態様としては、前記非晶性ポリエステル樹脂と前記結晶性ポリエステル樹脂との合計量に占める前記結晶性ポリエステル樹脂の割合が、42質量%以上であることが好ましい。こうすることで、低温定着性と耐熱保管性とをより好適に両立することができる。
また、本発明の実施態様としては、前記結着樹脂全体量に占める前記スチレン・アクリル系樹脂の割合が、25質量%より大きいことが好ましい。こうすることで、離型剤の相溶をより一層抑制できるとともに、離型剤をより均一に分散させることができる。
また、本発明の実施態様としては、前記熱放置後貯蔵弾性率G’が、前記熱放置前貯蔵弾性率G’よりも大きいことが好ましい。こうすることで、耐熱保管性をより一層向上することができる。
また、本発明の実施態様としては、前記結晶性ポリエステル樹脂が、結晶性ポリエステル重合セグメントと他の樹脂の重合セグメントとが結合してなるハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。こうすることで、結着樹脂や離型剤の相溶及び非相溶並びに結晶化の調整を好適に行うことができる。
また、本発明の実施態様としては、前記ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂全量に占める前記他の樹脂の重合セグメントの割合が、1〜10質量%の範囲内であることが好ましい。こうすることで、低温定着性と耐熱保管性とをより好適に両立することができる。
また、本発明の実施態様としては、前記結晶性ポリエステル樹脂又は前記ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂と、前記離型剤と、を含む結晶性樹脂の融点Tmが、60〜75℃の範囲内であることが好ましい。こうすることで、トナーの低温定着性をより一層向上させることができる。
また、本発明の実施態様としては、前記結晶性ポリエステル樹脂又は前記ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂の体積基準のメジアン径が、40〜150nmの範囲内であることが好ましい。こうすることで、結晶性ポリエステル樹脂の結晶は微結晶となるため、熱放置した際に結晶化が進行しやすくなる。その結果、熱放置後貯蔵弾性率G’が図1に示したような形で増加するようになる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細に説明する。なお、本願においては、「〜」を、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含むという意味で使用する。
<静電荷像現像用トナーの概要>
本実施形態の静電荷像現像用トナー(以下、「トナー」と称する)は、非晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂及びスチレン・アクリル系樹脂を結着樹脂として少なくとも含有するとともに、離型剤を含有し、非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂の合計量に占める結晶性ポリエステル樹脂の割合が40質量%超〜60質量%の範囲内となっている。
さらに、本実施形態のトナーは、温度X℃で放置する前の熱放置前貯蔵弾性率G’が1.0×10Paとなる温度が45℃超〜55℃の範囲内であり、温度X℃における熱放置前貯蔵弾性率G’に対する温度X℃で2時間放置した後の温度X℃における熱放置後貯蔵弾性率G’の比の値が最大となるときの温度X’℃における熱放置後貯蔵弾性率G’が1.0×10〜5.0×10Paの範囲内となっている。
本発明において、「トナー」とは、「トナー粒子」の集合体のことをいう。
また、「トナー粒子」とは、結着樹脂を含有するトナー母体粒子に外添剤を添加したものをいう。なお、以下の説明において、トナー母体粒子とトナー粒子とを区別する必要がない場合には、単に「トナー粒子」と称することがある。
「トナー母体粒子」は、結着樹脂のほかに離型剤を内添剤として含有している。なお、必要に応じて、離型剤の他に着色剤、帯電制御剤、界面活性剤等の種々の内添剤を含有していてもよい。
また、本発明における「X」,「X’」は、結晶性ポリエステル樹脂の融点を上回らない範囲で任意の値とする。
なお、本発明においては、トナーの「熱放置前貯蔵弾性率G’」を、下記(1)〜(4)を行うことにより求めた。
(1)所定環境(温度、湿度)下でトナーを所定量計量してシリンダーに入れ、圧縮成形機で所定圧力を印加して加圧成型を行い、測定サンプルとなる円柱状のペレットを作製する。
(2)レオメーターの測定部の温度を所定温度(例えば100℃)に設定し、作製したペレットを、測定部の上下一対のパラレルプレートの間に挟み込む。
(3)パラレルプレートギャップを所定値に設定する。
(4)測定部の温度を所定の測定開始温度(例えば30℃)まで降温する。
(5)下側のパラレルプレートからペレットに所定周波数の正弦波振動を加えながら、測定部の温度を所定の測定開始温度から所定昇温速度で昇温させていき、熱放置前貯蔵弾性率G’の変化を測定し、得られた測定結果を図1に示したようなグラフにする。
また、本発明においては、トナーの「熱放置後貯蔵弾性率G’」を、下記(6)〜(11)を行うことにより求めた。
(6)所定環境(温度、湿度)下でトナーを所定量計量してシリンダーに入れ、圧縮成形機で所定圧力を印加して加圧成型を行い、測定サンプルとなる円柱状のペレットを作製する。
(7)測定部の温度を所定温度(例えば100℃)に設定し、作製したペレットを、レオメーターの上下一対のパラレルプレートの間に挟み込む。
(8)パラレルプレートギャップを所定値に設定する。
(9)パラレルプレートに挟み込んだペレットを、所定の軸力をかけながら所定の放置温度(例えば40℃)まで降温し、所定時間(例えば2時間)放置する。
(10)測定部の温度を所定の測定温度(例えば30℃)まで降温する。
(11)下側のパラレルプレートからペレットに所定周波数の正弦波振動を加えながら、測定部の温度を所定の測定開始温度から所定の昇温速度で昇温させていき、熱放置前貯蔵弾性率G’の変化を測定し、得られた測定結果を図1に示したようなグラフにする。
このように、本発明では、所定の放置温度で所定時間放置していないトナーから測定した貯蔵弾性率を熱放置前貯蔵弾性率G’、所定時間放置した後のトナーから測定した貯蔵弾性率を熱放置後貯蔵弾性率G’としている。すなわち、本発明における、「熱放置前」及び「放置する前」とは、製造後、乾燥させて得たトナーを、所定の放置温度を超える環境に所定時間(2時間)以上放置していない状態を指すことになる。
また、本発明において、「温度X℃で放置する前の温度X℃における熱放置前貯蔵弾性率G’に対する温度X℃で2時間放置した後の温度X℃における熱放置後貯蔵弾性率G’の比が最大となるときの温度X’℃における熱放置後貯蔵弾性率G’」は、以下のようにして求めた。
(1)放置温度を所定刻みで変えた以外は上記(6)〜(11)と同様にして、温度と熱放置後貯蔵弾性率G’との関係を順次グラフにする。
(2)得られた熱放置前貯蔵弾性率G’のグラフ及び複数の熱放置後貯蔵弾性率G’のグラフから、当該グラフを得たときの放置温度における熱放置前貯蔵弾性率G’及び熱放置後貯蔵弾性率G’をそれぞれ求め、それらの比の値〔熱放置後貯蔵弾性率G’/熱放置前貯蔵弾性率G’〕を算出する。
(3)得られた複数の算出結果を、放置温度をX軸とし、比の値をY軸とするグラフ上にプロットし、当該プロットから比の値〔熱放置後貯蔵弾性率G’/熱放置前貯蔵弾性率G’〕が最大となる放置温度X℃を求め、そのときの熱放置後貯蔵弾性率G’を特定する。
熱放置前貯蔵弾性率G’が1.0×10Paとなる温度が45℃以下であると耐熱保管性が悪化することがある。一方で55℃を超えると低温定着性を悪化することがある。 しかし、本発明のトナーは、熱放置前貯蔵弾性率G’が1.0×10Paとなる温度を45℃超〜55℃の範囲内としているので、低温定着性と耐熱保管性を両立することができる。
また、温度X℃で放置する前の温度X℃における熱放置前貯蔵弾性率G’と、温度X℃で2時間放置した後の温度X℃における熱放置後貯蔵弾性率G’との比の値(熱放置後貯蔵弾性率G’/熱放置前貯蔵弾性率G’)が最大となる温度X’℃における熱放置後貯蔵弾性率G’が5.0×10Paを超えると低温定着性を悪化することがある。しかし、本発明のトナーは、熱放置後貯蔵弾性率G’を1.0×10Pa以上としているので、充分な耐熱保管性を得ることができる。
以下、トナーを構成する各成分について詳細に説明する。
〔結着樹脂〕
本発明のトナーは、結着樹脂として、少なくとも結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂及びスチレン・アクリル系樹脂を含むことを特徴とする。
本発明における「結晶性ポリエステル樹脂」とは、示差走査熱量測定(DSC)を行った際に得られるDSC曲線に、吸熱変化(結晶化)が生じたことを示す明確な吸熱ピークが見られる樹脂のことを指す。なお、ここでの明確な吸熱ピークとは、昇温速度10℃/分で測定した際に得られたDSC曲線上の吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを指す。
一方、本発明における「非晶性ポリエステル樹脂」とは、上記と同様の示差走査熱量測定を行った際に得られるDSC曲線に、ガラス転移が生じたことを示すベースラインのカーブは見られるが、上述した明確な吸熱ピークが見られない樹脂のことを指す。
なお、本実施形態においては、本発明の効果発現を阻害しない限り、結晶性樹脂として、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリジエン系樹脂等の公知の樹脂を使用することができる。
〔結晶性ポリエステル樹脂〕
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの脱水縮合反応によって得られるポリエステル樹脂のうち、結晶性を示すものである。なお、含有させる結晶性ポリエステル樹脂は、1種でも複数種類であってもよい。
結晶性ポリエステル樹脂を構成する単量体は、直鎖脂肪族単量体を50質量%以上含有することが好ましく、80質量%以上含有することが好ましい。芳香族単量体を用いた場合には、結晶性ポリエステル樹脂の融点が高いものとなることが多く、分岐型の脂肪族単量体を用いた場合には融点が低くなることが多いことから直鎖脂肪族単量体を用いることが好ましい。また、直鎖脂肪族単量体が50質量%以上とすることで、トナー中において結晶性を維持することができる。80質量%以上にすることで十分な結晶性を維持することが可能になる。
多価カルボン酸としては、上述した非晶性ポリエステル樹脂と同様に、コハク酸、セバシン酸若しくはドデカン二酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸若しくはテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、トリメリット酸若しくはピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、それらの酸無水物又はそれらの炭素数1〜3のアルキルエステル等が挙げられるが、中でも脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。
上記多価アルコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール若しくは1,4−ブテンジオール等の脂肪族ジオール又はグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン若しくはソルビトール等の3価以上のアルコール等が挙げられるが、中でも脂肪族ジオールであることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の体積基準のメジアン径は、40〜150nmの範囲内となっているが、50〜120nmの範囲内であることがより好ましい。こうすることで、結晶性ポリエステル樹脂の結晶は微結晶となるため、熱放置した際に結晶化が進行しやすくなる。
また、結晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量Mnは、低温定着性の観点から2000〜12500の範囲内であることが好ましく、5000〜11000の範囲内であることがより好ましい。
なお、本発明においては、数平均分子量Mnを、ゲルバーミエーションクロマトグラフィ(GPC)にて測定した分子量分布から求めた。
具体的には、40℃で安定化させたカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2mL/minで流し、濃度を1mg/mLに調整した樹脂のTHF試料溶液を約10μL注入して測定した。
試料の分子量測定にあたっては、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、試料の有する分子量分布を単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線を用いて算出した。検量線測定用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical社製の分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10のものを用い、10点の標準ポリスチレン試料を測定し、検量線を作成した。
また、結晶性ポリエステル樹脂の融点Tmは、60〜75℃の範囲内とするのが好ましい。融点Tmを75℃以下にすれば低温定着性が向上し、融点Tmを60℃以上にすれば耐熱保管性が向上する。
なお、本発明においては、融点Tmを、示差走査カロリメーター「DSC−7」(パーキンエルマー製)及び熱分析装置コントローラー「TAC7/DX」(パーキンエルマー製)を用いた示差走査熱量分析によってDSC測定した。
具体的には、測定試料0.5mgをアルミニウム製パン(KITNO.0219−0041)に封入し、これを「DSC−7」のサンプルホルダーにセットし、測定温度0〜200℃の範囲内で、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分の測定条件で、Heat−cool−Heatの温度制御を行い、その1st.Heatにおけるデータをもとに解析を行った。ただし、リファレンスの測定には空のアルミニウム製パンを使用した。1st.Heatにおける結晶性樹脂由来の吸熱ピークのピークトップ温度をTmした。結晶性樹脂由来の吸熱ピークが複数存在する場合、一番低温側のピークのピークトップ温度をTmとする。
なお、本発明においては、上記DSC測定の2nd.Heatにおけるデータを取得し、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1の吸熱ピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線との交点をガラス転移点Tgとした。
このような結晶性ポリエステル樹脂の、非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂の合計量に占める割合は、本発明においては、上述したように40質量%超〜60質量%の範囲内となっているが、42質量%〜55質量%の範囲内とすることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の割合が低すぎる(40質量%以下である)と、貯蔵弾性率G’が1.0×10Paとなる温度が高くなり、低温定着性を悪化することがある。一方、結晶ポリエステル樹脂の割合が高すぎる(60質量%超である)と、熱放置後も相溶状態で存在する結晶性ポリエステル樹脂が過度に多くなるため、耐熱保管性が悪化することがある。しかし、本実施形態のような割合とすることで、熱放置後のトナー中に非相溶状態で存在する結晶性ポリエステルの量が適正な量となり、トナーの低温定着性と耐熱保管性とを両立することができる。
〔ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂〕
なお、本発明においては、上記結晶性ポリエステル樹脂として、少なくとも結晶性ポリエステル重合セグメントと、結晶性ポリエステル重合セグメントとは異なる他種構造の重合セグメントとが化学結合してなるハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。すなわち、他種構造の樹脂によって変性されたハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。
ここで、「他種構造の樹脂」とは、樹脂種が異なる種類の樹脂からなり化学構造が異なる樹脂を指し、単量体組成比あるいは変性の有無のみが異なるものは含めない。
以下、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂において、結晶性ポエリステル樹脂由来の構造を有する樹脂部分を「結晶性ポリエステル重合セグメント」と称し、他種構造の樹脂由来の構造を有する樹脂部分を「他の樹脂の重合セグメント」と称する。
また、他種構造の樹脂としては、例えば、スチレン・アクリル系樹脂等のビニル樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂等が挙げられるが、中でもスチレン・アクリル系樹脂を用いるのが好ましい。ここで用いられるスチレン・アクリル系樹脂は、後述する結着樹脂に含有させるスチレン・アクリル系樹脂と同じでもよく、その詳細については後述する。なお、他の樹脂の重合セグメントとしては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂における他の樹脂の重合セグメントの割合は、1〜10質量%の範囲内であることが低温定着性の観点から好ましい。
なお、結晶性ポリエステル樹脂をハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂とした場合であっても、非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂の合計量に占める割合、数平均分子量Mn、融点Tm及び体積基準のメジアン径の好ましい範囲は、上述した結晶性ポリエステル樹脂と同様である。
他の樹脂の重合セグメントとして、スチレン・アクリル系樹脂の重合セグメントを有する(すなわち、スチレン・アクリル系樹脂により変性された)ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂は、次のようにして得ることができる。
まず、それぞれ個別に用意した結晶性ポリエステル樹脂とスチレン・アクリル系樹脂とを反応させて化学結合させることにより得る製造方法が挙げられる。結合を容易にする観点からは、結晶性ポリエステル樹脂かスチレン・アクリル系樹脂に、結晶性ポリエステル樹脂とスチレン・アクリル系樹脂の両方と反応可能な置換基を組み込むことが好ましい。例えば、スチレン・アクリル系樹脂の生成時、原料であるスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸系単量体とともに、結晶性ポリエステル樹脂が有するカルボキシ基[COOH]又はヒドロキシ基[OH]と反応可能な置換基と、スチレン・アクリル系樹脂と反応可能な置換基とを有する化合物を添加する。これにより、結晶性ポリエステル樹脂中のカルボキシ基又はヒドロキシ基と反応可能な置換基を有するスチレン・アクリル系樹脂を得ることができる。
また、上記ハイブリッド結晶性樹脂の製造方法の、その他の例としては、あらかじめ用意した結晶性ポリエステル樹脂の存在下でスチレン・アクリル系樹脂を生成する重合反応を行うか、あらかじめ用意したスチレン・アクリル系樹脂の存在下で結晶性ポリエステル樹脂を生成する重合反応を行うことによって得る方法が挙げられる。いずれの場合も重合反応時に、上述したような結晶性ポリエステル樹脂及びスチレン・アクリル系樹脂の両方と反応可能な置換基を有する化合物を添加すればよい。なお、このような化合物としては、具体的には、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸等が挙げられる。
このように、結晶性ポリエステル樹脂をハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂とすることで、トナー母体粒子に含有される結着樹脂や離型剤の相溶及び非相溶並びに結晶化の調整を好適に行うことができ、ひいては、本願発明の効果をより好適に発現することができる。
特に、他種構造の樹脂としてスチレン・アクリル系樹脂を用いれば、スチレン・アクリル系樹脂部分において非晶性樹脂との相溶性が高まるので、トナー母体粒子中に結晶性ポリエステル樹脂を均一に分散させることができる。
また、トナー母体粒子が後述のコア・シェル構造を有し、シェルがハイブリッド結晶性樹脂を含有する場合、スチレン・アクリル系樹脂部分が非晶性樹脂を含有するコア粒子の表面に凝集しやすく、コア粒子の表面全体を被覆しやすくなる。
〔非晶性ポリエステル樹脂〕
非晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との脱水縮合反応によって得られるポリエステル樹脂のうち、非晶性を示すものである。後述するコア・シェル構造のトナーを形成する場合、シェルの材料として非晶性ポリエステル樹脂を使用することもできる。なお、含有させる結晶性ポリエステル樹脂は、1種でも複数種類であってもよい。
多価カルボン酸としては、コハク酸、セバシン酸若しくはドデカン二酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸若しくはテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、トリメリット酸若しくはピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、それらの酸無水物又はそれらの炭素数1〜3のアルキルエステル等が挙げられるが、中でも脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。なお、これらの多価カルボン酸成分は、1種単独で用いても良いし2種以上併用しても良い。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール若しくは1,4−ブテンジオール等の脂肪族ジオール、又はグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン若しくはソルビトール等の3価以上のアルコール等の他、例えば、ビスフェノールA若しくはビスフェノールF等のビスフェノール類、又はこれらのエチレンオキサイド付加物若しくはプロピレンオキサイド付加物等のビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。これらの中でも、特にトナーの帯電均一性を向上させるという観点から、多価アルコール成分としてはビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物とプロピレンオキサイド付加物を用いることが好ましい。なお、これらの多価アルコール成分は、1種単独で用いても良いし2種以上併用しても良い。
非晶性ポリエステル樹脂の体積基準のメジアン径は、40〜150nmの範囲内となっているが、50〜120nmの範囲内であることがより好ましい。
また、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量Mwは、1500〜60000の範囲内にあることが好ましい。
また、非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点Tgは、20〜70℃の範囲内にあることが好ましい。
また、非晶性ポリエステル樹脂の酸価は、15〜30mgKOH/gの範囲内にあることが好ましい。
なお、非晶性ポリエステル樹脂は、上記結晶性ポリエステル樹脂と同様、スチレン・アクリル系樹脂を他種構造の重合セグメントとするハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂とするのが、コア粒子とシェルを適度に馴染みやすくする観点から好ましい。
〔スチレン・アクリル系樹脂〕
本発明のトナーにおいて結着樹脂として含有させるスチレン・アクリル系樹脂は、上述したハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂やハイブリッド非晶性ポリエステル樹脂において他種構造の樹脂として用いることが好ましい。なお、「スチレン・アクリル系樹脂」とは、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体の重合体をいう。
上記スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン又はこれらの誘導体等が挙げられる。なお、これらのうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記(メタ)アクリル酸系単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、6−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート又はポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、これらのうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本実施形態においては、上記スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸系単量体に加えて、他の単量体を使用することもできる。使用できる他の単量体としては、例えばマレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等が挙げられる。
上記スチレン・アクリル系樹脂は、上述した単量体の重合に過酸化物、過硫化物、アゾ化合物等の通常用いられる任意の重合開始剤を添加し、塊状重合、溶液重合、乳化重合法、ミニエマルション法、懸濁重合法、分散重合法等の公知の重合手法により重合することにより得ることができる。重合時、分子量を調整することを目的として、アルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステル等の通常用いられる連鎖移動剤を用いることができる。
本実施形態においては、結着樹脂全体量に占めるスチレン・アクリル系樹脂の割合を、25質量%より大きくすることが好ましい。こうすることで、離型剤の相溶をより一層抑制できるとともに、離型剤をより均一に分散させることができる。
〔着色剤〕
本発明のトナーに用いることができる着色剤としては、カラートナーの着色剤に用いられる公知の無機又は有機着色剤が挙げられる。例えば、当該着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、顔料及び染料が挙げられる。上記着色剤は1種でもそれ以上でもよい。
上記カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック及びランプブラックが挙げられる。上記磁性体としては、鉄やニッケル、コバルト等の強磁性金属、これらの金属を含む合金及びフェライトやマグネタイト等の強磁性金属の化合物、が挙げられる。
上記顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、同3、同5、同7、同15、同16、同48:1、同48:3、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同123、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同208、同209、同222、同238、同269、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー3、同9、同14、同17、同35、同36、同65、同74、同83、同93、同94、同98、同110、同111、同138、同139、同153、同155、同180、同181、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同15:4、同60及び中心金属が亜鉛やチタン、マグネシウム等であるフタロシアニン顔料、が挙げられる。
上記染料としては、C.I.ソルベントレッド1、同3、同14、同17、同18、同22、同23、同49、同51、同52、同58、同63、同87、同111、同122、同127、同128、同131、同145、同146、同149、同150、同151、同152、同153、同154、同155、同156、同157、同158、同176、同179、ピラゾロトリアゾールアゾ染料、ピラゾロトリアゾールアゾメチン染料、ピラゾロンアゾ染料、ピラゾロンアゾメチン染料、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93及び同95が挙げられる。
〔離型剤〕
離型剤(ワックス)としては、炭化水素系ワックス及びエステルワックスが挙げられる。当該炭化水素系ワックスとしては、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス又はパラフィンワックスが挙げられる。また、上記エステルワックスとしては、カルナウバワックス、ペンタエリスリトールベヘン酸エステル、ベヘン酸ベヘニル又はクエン酸ベヘニルが挙げられる。なお、上記離型剤は1種でもそれ以上でもよい。
なお、離型剤の融点は、結晶性ポリエステル樹脂やハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂と同様、60〜75℃の範囲内とするのが好ましい。
〔帯電制御剤〕
帯電制御剤としては、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体又はサリチル酸金属塩又はその金属錯体が挙げられる。なお、上記帯電制御剤は1種でもそれ以上でもよい。
〔界面活性剤〕
界面活性剤としては、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系若しくはリン酸エステル系等のアニオン系界面活性剤、アミン塩型若しくは4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤又はポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系若しくは多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤が挙げられる。なお、上記界面活性剤は、1種でもそれ以上でもよい。
上記アニオン系界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム又はジアルキルスルホコハク酸ナトリウムが挙げられる。上記カチオン系界面活性剤としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド又はジステアリルアンモニウムクロライドが挙げられる。非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレン脂肪酸エステルが挙げられる。
〔外添剤〕
外添剤としては、特に限定されず公知のものを使用でき、例えば、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、酸化亜鉛粒子、酸化クロム粒子、酸化セリウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化タングステン粒子、酸化スズ粒子、酸化テルル粒子、酸化マンガン粒子又は酸化ホウ素粒子を使用できる。なお、上記外添剤は、1種でもそれ以上でもよい。
上記外添剤は、ゾル・ゲル法により得たシリカ粒子を含むことがより好ましい。ゾル・ゲル法により得たシリカ粒子は、粒径分布が狭いという特徴を有しているので、トナー母体粒子に対する外添剤の付着強度のバラツキを抑制する観点から好ましい。
また、上記シリカ粒子の一次粒子の個数平均径は、70〜200nmの範囲内であることが好ましい。一次粒子の個数平均径が上記範囲内にあるシリカ粒子は、他の外添剤に比べて大きい。したがって、二成分現像剤においてスペーサーとしての役割を有する。よって、二成分現像剤が現像装置中で撹拌されているときに、より小さな他の外添剤がトナー母体粒子に埋め込まれることを防止する観点から好ましい。また、トナー母体粒子同士の融着を防止する観点からも好ましい。
上記外添剤の一次粒子の個数平均径は、例えば、透過型電子顕微鏡で撮影した画像の画像処理によって求めることが可能であり、例えば、分級や分級品の混合等によって調整することが可能である。
上記外添剤は、その表面が疎水化処理されていることが好ましい。当該疎水化処理には、公知の表面処理剤が用いられる。当該表面処理剤は、1種でもそれ以上でもよく、例えば、シランカップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、脂肪酸、脂肪酸金属塩、そのエステル化物及びロジン酸が挙げられる。
上記シランカップリング剤としては、ジメチルジメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、メチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン又はデシルトリメトキシシランが挙げられる。
上記シリコーンオイルとしては、環状化合物又は直鎖状若しくは分岐状のオルガノシロキサン等が含まれ、より具体的には、オルガノシロキサンオリゴマー、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン又はテトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。
また、上記シリコーンオイルとしては、側鎖又は片末端や両末端、側鎖片末端、側鎖両末端等に変性基を導入した反応性の高い、少なくとも末端を変性したシリコーンオイルが挙げられる。上記変性基の種類は、1種でもそれ以上でもよく、例えば、アルコキシ、カルボキシル、カルビノール、高級脂肪酸変性、フェノール、エポキシ、メタクリル及びアミノが挙げられる。
上記外添剤の添加量は、トナー粒子全体に対して0.1〜10.0質量%の範囲内とするのが好ましく、1.0〜3.0質量%の範囲内とするのがより好ましい。
〔現像剤〕
現像剤は、一成分現像剤であれば上記トナー粒子そのものにより構成され、二成分現像剤であれば上記トナー粒子及びキャリア粒子により構成される。当該二成分現像剤におけるトナー粒子の含有量(トナー濃度)は、通常の二成分現像剤と同様でよく、例えば4.0〜8.0質量%の範囲内である。
上記キャリア粒子は、磁性体により構成される。当該キャリア粒子としては、当該磁性体からなる芯材粒子と、その表面を被覆する被覆材の層とを有する被覆型キャリア粒子及び樹脂中に磁性体の微粉末が分散されてなる樹脂分散型のキャリア粒子、が挙げられる。上記キャリア粒子は、感光体へのキャリア粒子の付着を抑制する観点から、上記被覆型キャリア粒子であることが好ましい。
上記芯材粒子は、磁性体、例えば、磁場によってその方向に強く磁化する物質、によって構成される。当該磁性体は、1種でもそれ以上でもよく、例えば、鉄、ニッケル及びコバルト等の強磁性を示す金属、これらの金属を含む合金又は化合物及び熱処理することにより強磁性を示す合金、が挙げられる。
上記強磁性を示す金属又はそれを含む化合物としては、鉄、下記式(a)で表されるフェライト及び下記式(b)で表されるマグネタイト、が挙げられる。式(a)、式(b)中のMは、Mn、Fe、Ni、Co、Cu、Mg、Zn、Cd及びLiの群から選ばれる一以上の1価又は2価の金属を表す。
式(a):MO・Fe
式(b):MFe
また、上記熱処理することにより強磁性を示す合金又は金属酸化物としては、マンガン−銅−アルミニウム及びマンガン−銅−スズ等のホイスラー合金及び二酸化クロム、が挙げられる。
上記芯材粒子は、上記フェライトであることが好ましい。これは、被覆型キャリア粒子の比重は、芯材粒子を構成する金属の比重よりも小さくなることから、現像装置内における撹拌の衝撃力をより小さくすることができるためである。
上記被覆材は、1種でもそれ以上でもよい。被覆材には、キャリア粒子の芯材粒子の被覆に利用される公知の樹脂を用いることができる。当該被覆材は、シクロアルキル基を有する樹脂であることが、キャリア粒子の水分吸着性を低減させる観点及び被覆層の芯材粒子との密着性を高める観点、から好ましい。当該シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基及びシクロデシル基が挙げられる。中でも、シクロヘキシル基又はシクロペンチル基が好ましく、被覆層とフェライト粒子との密着性の観点からシクロヘキシル基がより好ましい。
上記シクロアルキル基を有する樹脂の重量平均分子量は、例えば10000〜800000の範囲内であり、より好ましくは100000〜750000の範囲内である。当該樹脂における上記シクロアルキル基の含有量は、例えば10〜90質量%の範囲内である。上記樹脂中の当該シクロアルキル基の含有量は、例えば、P−GC/MSやH−NMR等の公知の機器分析法を利用して求めることが可能である。
上記二成分現像剤は、上記トナー粒子と上記キャリア粒子とを適量混合することによって製造することができる。当該混合に用いられる混合装置としては、ナウターミキサー、Wコーン及びV型混合機が挙げられる。
上記トナー粒子の大きさ及び形状は、本実施形態の効果が得られる範囲において適宜に決めることが可能である。例えば、上記トナー粒子の体積基準のメジアン径は、3.0〜8.0μmの範囲内であり、上記トナー粒子の平均円形度は、0.920〜1.000の範囲内である。
また、上記キャリア粒子の大きさ及び形状も、本実施形態の効果が得られる範囲において適宜に決めることが可能である。例えば、上記キャリア粒子の体積基準のメジアン径は、15〜100μmの範囲内である。当該キャリア粒子の体積基準のメジアン径は、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置「HELOS KA」(Sympatec社製)を用いて湿式にて測定することができる。また、上記キャリア粒子の体積基準のメジアン径は、例えば、芯材粒子の製造条件による芯材粒子の粒径を制御する方法や、キャリア粒子の分級、キャリア粒子の分級品の混合等によって調整することが可能である。
〔トナー粒子の構造〕
上述したような成分によって構成された本発明に係るトナー母体粒子は、トナー粒子のみの単層構造であってもよいが、コア・シェル構造を有することが好ましい。これにより、低温定着性及び耐熱保管性をより良好にできる。
コア・シェル構造を有するトナー母体粒子とは、コア粒子とその表面を被覆するシェルとを備える多層構造を有するトナー母体粒子をいう。シェルは、コア粒子の全表面を被覆していなくてもよく、部分的にコア粒子が露出していてもよい。コア・シェル構造の断面は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型プローブ顕微鏡(SPM)等の公知の観察手段によって、確認することができる。
コア・シェル構造の場合は、コア粒子及びシェルのガラス転移点Tg、融点Tm、硬度等の特性をそれぞれ異ならせることができ、目的に応じたトナー粒子の設計が可能となる。例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤等を含有し、ガラス転移点が比較的低いコア粒子の表面に、ガラス転移点が比較的高い樹脂を凝集、融着させて、シェルを形成することができる。シェルには、上述したように非晶性ポリエステル樹脂を使用することができる。
本発明に係るトナー粒子の体積基準のメジアン径は3〜8μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは5〜8μmの範囲内である。
体積基準のメジアン径は、マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフトSoftware V3.51を搭載したコンピューターシステムを接続した測定装置を用いて測定することができる。具体的には、試料(トナー)0.02gを、20mLの界面活性剤溶液(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加してなじませた後、1分間の超音波分散処理を行い、トナーの分散液を調製する。このトナーの分散液を、サンプルスタンド内のISOTON II(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。この濃度にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。
そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャー径を100μmにし、測定範囲である2〜60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒径を体積基準のメジアン径として求める。
また、本発明のトナーは、トナー粒子の平均円形度が、0.930〜1.000の範囲内であることが好ましく、0.950〜0.995の範囲内であることがより好ましい。平均円形度が上記範囲内にあれば、トナー粒子の破砕を抑えることができ、摩擦帯電付与部材の汚染を抑制してトナーの帯電性を安定させることができる。また、トナーにより形成される画像が高画質となる。
上記平均円形度は、次のようにして測定することができる。メジアン径を測定する場合と同様にして、トナーの分散液を調製する。FPIA−2100、FPIA−3000(いずれもシスメックス株式会社製)等によって、HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の適正濃度範囲でトナーの分散液の撮影を行い、個々のトナー粒子の円形度を下記式(y)によって算出する。各トナー粒子の円形度を加算し、円形度の和を各トナー粒子の数で除することにより、平均円形度を算出する。HPF検出数が上記適正濃度範囲であれば、十分な再現性が得られる。下記式(y)中、L1は、粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長(μm)を表し、L2は、粒子投影像の周囲長(μm)を表す。
式(y)円形度=L1/L2
〔トナーの製造方法〕
本発明に係るトナーの製造方法は、特に限定されず、公知の方法を採用できるが、特に、乳化重合凝集法や乳化凝集法を好適に採用できる。
本発明に係るトナーの製造方法として好ましく用いられる乳化凝集法は、溶媒に溶解した結着樹脂溶液に貧溶媒を滴下して転相乳化を行ったのちに脱溶媒することで、結着樹脂微粒子分散液とし、この樹脂微粒子分散液と着色剤微粒子分散液及びワックス等の離型剤微粒子分散液とを混合し、所望のトナー粒子の粒径となるまで凝集させ、さらに結着樹脂微粒子間の融着を行うことにより形状制御を行って、トナー粒子を製造する方法である。
本発明のトナーの製造方法として、乳化凝集法を用いる場合の一例を以下に示す。
(1)水系媒体中に、必要に応じて内添剤を含有した結着樹脂(非晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、スチレン・アクリル系樹脂)微粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(2)水系媒体中に着色剤の微粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(3)着色剤の微粒子の分散液と、結着樹脂微粒子の分散液とを混合して、着色剤の微粒子と結着樹脂微粒子とを凝集、会合、融着させてトナー母体粒子を形成する工程
(4)トナー母体粒子の分散系(水系媒体)からトナー母体粒子を濾別し、界面活性剤等を除去する工程
(5)トナー母体粒子を乾燥する工程
(6)トナー母体粒子に外添剤を添加する工程
以下に、上記(3)の工程の一例について、具体的に記載する。
撹拌装置、温度センサー及び冷却管を取り付けた反応容器に、結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂や非晶性ビニル樹脂等の結着樹脂微粒子分散液と、着色剤微粒子分散液を投入し、凝集剤(例えば、塩化マグネシウム。)の溶液を、撹拌下、添加し、上記結着樹脂微粒子や着色剤微粒子を凝集、会合、融着させ、粒子を成長させる。所望のタイミングで、塩化ナトリウムの水溶液を添加して、粒子の成長を停止させる。
次いで、昇温して撹拌し、トナー粒子の平均円形度が所望の値になるまで粒子の融着を進行させ、トナーが所定の粒径及び円形度に到達した後、所定の降温速度で冷却する。降温速度は0.5℃/分以上とし、1℃/分以上とするのがより好ましい。その後、熱処理工程(アニーリング)として、撹拌しつつ、例えば、30分ほどかけて50℃まで昇温し、3時間ほど前記温度を維持する。
その後、工程(4)〜(6)を経ることで本発明のトナーを製造することができる。
このように、本発明に係るトナーは、工程(3)において、上述したような降温速度でトナー粒子が比較的早く、結晶性ポリエステル樹脂の融点Tm付近を素早く通過するように冷却されるので、結晶性ポリエステル樹脂が体積基準のメジアン径で40〜150nmの微結晶となる。これにより、熱放置した際に結晶化が進行しやすくなる。
なお、上記の(3)の工程以外の工程、すなわち、上記の(1)、(2)及び(4)〜(6)の工程は、特に限定されず、公知の方法を好適に採用することができる。また、本願発明の効果発現を阻害しない範囲であれば、上記(1)〜(6)の工程以外の公知の工程を採用することができる。
以上、本発明を適用可能な実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(原料の合成及び調製)
トナーの製造に先立ち、これらの原料となる非晶性ポリエステル樹脂(a)、その微粒子分散液(A)、結晶性ポリエステル樹脂(c1)〜(c5)、その微粒子分散液(C1)〜(C5)、着色剤微粒子分散液、離型剤微粒子分散液(W)及びスチレン・アクリル系樹脂微粒子分散液(S1)を合成又は調製した。
〔非晶性ポリエステル樹脂(a)の合成例〕
下記ビニル樹脂の単量体、非晶性ポリエステル樹脂とビニル樹脂のいずれとも反応する置換基を有する両反応性の単量体及び重合開始剤を以下に示す割合で混合し、その混合液を滴下ロートに入れた。
・スチレン 80.0質量部
・n−ブチルアクリレート 20.0質量部
・アクリル酸 10.0質量部
・ジ−t−ブチルパーオキサイド(重合開始剤) 16.0質量部
また、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を備えた四つ口フラスコに、下記非晶性ポリエステル樹脂の単量体を以下に示す割合で入れ、170℃に加熱し溶解させた。
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 59.1質量部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 281.7質量部
・テレフタル酸 63.9質量部
・コハク酸 48.4質量部
滴下ロートに入れた上記混合液を、撹拌しながら四つ口フラスコの中へ90分かけて滴下し、60分間熟成を行った。その後、減圧下(8kPa)にて未反応の単量体を除去した。その後、エステル化触媒であるオルトチタン酸テトラブチル(Ti(OBu))を0.4質量部投入し、235℃まで昇温して、常圧下(101.3kPa)にて5時間、さらに減圧下(8kPa)にて1時間、反応を行った。次いで、200℃まで冷却し、減圧下(20kPa)にて反応を行った後、脱溶剤を行い、非晶性ポリエステル樹脂(a)を合成した。
得られた非晶性ポリエステル樹脂(a)の重量平均分子量Mw及びガラス転移点Tgを上記実施形態において説明した測定方法を用いて測定するとともに、酸価を測定したところ、重量平均分子量Mwが24000、ガラス転移点Tgが60℃、酸価が16.2mgKOH/gであった。
〔非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液(A)の調製例〕
得られた非晶性ポリエステル樹脂(a)108質量部を、メチルエチルケトン64質量部に入れ、70℃で30分撹拌し、溶解させた。次に、この溶解液に、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液3.4質量部(中和度63%相当)を添加した。そして、この溶解液を、撹拌機を有する反応容器に入れ、撹拌しながら、70℃に温めた水210質量部を70分間にわたって滴下混合した。滴下の途中で容器内の液は白濁化し、全量滴下後に均一に乳化した乳化液を調製した。この乳化液の油滴の体積基準のメジアン径をレーザー回折式粒度分布測定器「LA−750(HORIBA製)」にて測定したところ60nmであった。
次いで、この乳化液を70℃で保温したまま、ダイヤフラム式真空ポンプ「V−700」(BUCHI社製)を使用し、15kPa(150mbar)に減圧下で3時間撹拌することで、メチルエチルケトンを蒸留除去し、非晶性ポリエステル樹脂(a)の微粒子が分散された非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液(A)(固形分27質量%)を調製した。
この非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液(A)中の非晶性ポリエステル樹脂微粒子の体積基準のメジアン径を上記レーザー回折式粒度分布測定器にて測定したところ、64nmであった。
〔ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂(c1)の合成例〕
両反応性の単量体を含む、下記の付加重合系樹脂(スチレン・アクリル系樹脂)セグメントの原料単量体及びラジカル重合開始剤を以下に示す割合で混合し、その混合液を滴下ロートに入れた。
・スチレン 40.0質量部
・n−ブチルアクリレート 16質量部
・アクリル酸 3.5質量部
・ジ−t−ブチルパーオキサイド(ラジカル重合開始剤) 8質量部
また、窒素導入管、脱水管、撹拌機及び熱電対を装備した四つ口フラスコに、結晶性ポリエステル重合セグメントの原料、すなわち、下記多価カルボン酸及び多価アルコールの単量体を以下の割合で入れ、170℃に加熱し溶解させた。
・テトラデカン二酸 440質量部
・ブタンジオール 135質量部
次いで、付加重合系樹脂(スチレン・アクリル系樹脂)の原料単量体を、撹拌しながら90分かけて滴下し、60分間熟成を行ったのち、減圧下(8kPa)にて未反応の付加重合単量体を除去した。なお、このとき除去された単量体量は、上記の樹脂の原料単量体比に対してごく微量であった。
その後、エステル化触媒としてTi(OBu)を0.8質量部投入し、235℃まで昇温、常圧下(101.3kPa)にて5時間、さらに減圧下(8kPa)にて1時間反応を行った。
そして、それを200℃まで冷却したのち、減圧下(20kPa)にてさらに1時間反応させることによりハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂(c1)を合成した。
得られたハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂(c1)の状態を観察したところ、結晶性ポリエステル樹脂がスチレン・アクリル系樹脂によってグラフト変性していた。また、得られたハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂(c1)全量に対する結晶性ポリエステル樹脂以外の他の樹脂(スチレン・アクリル系樹脂)の重合セグメントの割合(以下、「ハイブリッド率」と称する)、数平均分子量Mn及び融点Tmを測定したところ、ハイブリッド率が8質量%、数平均分子量Mnが9500、融点Tmが72℃であった。
〔ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂(c2)〜(c4)の合成例〕
上述した結晶性ポリエステル樹脂(c1)の合成例において、付加重合系樹脂(スチレン・アクリル系樹脂)セグメントの原料単量体の量を変更(下記表I参照)した以外は同様にして、3種類の結晶性ポリエステル樹脂(c2)〜(c4)を合成した。
下記表Iは、上述した各結晶性ポリエステル樹脂(c1)〜(c4)の合成条件をまとめたものである。
〔結晶性ポリエステル樹脂(c5)の合成例〕
・テトラデカン二酸 440質量部
・ブタンジオール 135質量部
上記の重縮合系樹脂(結晶性ポリエステル樹脂)セグメントの原料単量体を、窒素導入管、脱水管、撹拌機及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、重合開始剤(ジ−t−ブチルパーオキサイド)0.1質量部を添加し、窒素ガス気流下において180℃で撹拌しながら8時間重合反応を行った。さらに重合開始剤(ジ−t−ブチルパーオキサイド)0.2質量部を添加し、温度を220℃に上げて撹拌しながら6時間重合反応を行った後、反応容器内を20kPaで減圧し、減圧下で反応を行うことにより、他の樹脂の重合セグメントを有しない(non−ハイブリッドの)結晶性ポリエステル樹脂(c5)を合成した。
(結晶性ポリエステル樹脂(c1)〜(c5)の物性)
得られた5種類の結晶性ポリエステル樹脂(c1)〜(c5)の数平均分子量Mn及び融点Tmを、上記実施形態において説明した測定方法を用いて測定した。
下記表IIは、その測定結果をまとめたものである。
〔結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液(C1)の調製例〕
得られた結晶性ポリエステル樹脂(c1)108質量部をメチルエチルケトン64質量部に、70℃で30分撹拌し、溶解させた。次に、この溶解液に、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液3.3質量部(中和度45%相当)を添加した。この溶解液を、撹拌機を有する反応容器に入れ、撹拌しながら、70℃に温めた水210質量部を70分間にわたって滴下混合した。滴下の途中で容器内の液は白濁化し、全量滴下後に均一に乳化した乳化液を調製した。この乳化液の油滴の体積基準のメジアン径をレーザー回折式粒度分布測定器「LA−750(HORIBA製)」にて測定したところ、58nmであった。
次いで、この乳化液を70℃で保温したまま、ダイヤフラム式真空ポンプ「V−700」(BUCHI社製)を使用し、15kPa(150mbar)に減圧下で3時間撹拌することで、メチルエチルケトンを蒸留除去し、結晶性ポリエステル樹脂(c1)の微粒子が分散された結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液(C1)(固形分24質量%)を調製した。
〔結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液(C2)〜(C6)の調整例〕
結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液(C1)の調整例において、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液の量を変更(下記表III参照)した以外は同様にして、5種類の結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液(C2)〜(C6)を調製した。
下記表IIIは、上述した各結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液(C1)〜(C6)の調整条件をまとめたものである。
〔結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液(C1)〜(C6)の物性〕
得られた各結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液(C1)〜(C6)における体積基準のメジアン径を上記実施形態において説明した測定方法を用いて測定した。
下記表IVは、その測定結果をまとめたものである。
〔着色剤微粒子分散液の調製例〕
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に添加した溶液を撹拌しながら、銅フタロシアニン(C.I.ピグメントブルー15:3)420質量部を徐々に添加した。撹拌装置クレアミックス(エム・テクニック株式会社製、「クレアミックス」は同社の登録商標)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子分散液を調製した。
分散液中の着色剤粒子の体積基準のメジアン径を測定したところ、110nmであった。
〔離型剤微粒子分散液(W)の調製例〕
・ベヘン酸ベヘネート(離型剤、融点73℃) 100質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製ネオゲンRK) 10質量部
・イオン交換水 400質量部
上記の材料を混合し80℃に加熱して、IKA社製のウルトラタラックスT50にて十分に分散した。その後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理した後、分散液にイオン交換水を固形分量が15%となるように加えて離型剤微粒子分散液(W)を調製した。この分散液中の離型剤粒子の体積基準のメジアン径をレーザー回折式粒度分布測定器LA−750(HORIBA製)にて測定したところ、220nmであった。
(スチレン・アクリル系樹脂微粒子分散液(S1)の調製例)
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部及びイオン交換水3000質量部を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加し、再度液温を80℃として、下記単量体の混合液を1時間かけて滴下した。
・スチレン 480.0質量部
・n−ブチルアクリレート 250.0質量部
・メタクリル酸 68.0質量部
上記混合液の滴下後、80℃にて2時間加熱、撹拌することにより単量体の重合を行い、スチレン・アクリル系樹脂粒子分散液(s1)を調製した。
(第2段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、イオン交換水1100質量部と上記第1段重合により調製しスチレン・アクリル系樹脂粒子分散液(s1)を固形分換算で55質量部を仕込み、87℃に加熱した。その後、下記単量体、連鎖移動剤及び離型剤を80℃にて溶解させた混合液を循環経路を有する機械式分散機CLEARMIX(エム・テクニック株式会社製)により、10分間の混合分散処理を行い、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
・スチレン(St) 256.0質量部
・2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA) 95.0質量部
・メタクリル酸(MAA) 30.0質量部
・n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート(連鎖移動剤)3.9質量部
・ベヘン酸ベヘネート(離型剤、融点73℃) 36.8質量部
・マイクロクリスタリン(離型剤、融点80℃) 7.2質量部
この分散液を上記5Lの反応容器に追加し、過硫酸カリウム5.5質量部をイオン交換水100質量部に溶解させた重合開始剤の溶液を添加し、この系を87℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行って、スチレン・アクリル系樹脂粒子分散液(s2)を調製した。
(第3段重合)
上記第2段重合により得られたスチレン・アクリル系樹脂粒子分散液(s2)にさらに過硫酸カリウム8質量部をイオン交換水140質量部に溶解させた溶液を添加した。さらに、84℃の温度条件下で、下記単量体及び連鎖移動剤の混合液を90分かけて滴下した。
・スチレン(St) 367.2質量部
・nーブチルアクリレート(BA) 165.0質量部
・メタクリル酸(MAA) 34.3質量部
・メタクリル酸メチル(MMA) 52.5質量部
・n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8.0質量部
滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し、スチレン・アクリル系樹脂微粒子分散液(S1)を調製した。
(トナーの製造)
上述したようにして得られた各原料を用いて実施例1〜7及び比較例1〜9に係るトナーを製造した。
なお、実施例1,3,5,7及び比較例2,5,7,8に係るトナーと、実施例2,4,6及び比較例1,3,4,6,9に係るトナーとでは、主成分とする樹脂及び製造方法が異なるため、初めにスチレン・アクリル系樹脂を主成分とする実施例1,3,5,7及び比較例2,5,7,8に係るトナーの製造例について説明し、その後に非晶性ポリエステル樹脂を主成分とする実施例2,4,6及び比較例1,3,4,6,9に係るトナーの製造例について説明する。
〔実施例1に係るトナーの製造例〕
撹拌装置、温度センサー及び冷却管を取り付けた反応容器に、スチレン・アクリル系樹脂微粒子分散液(S1)464.4質量部(固形分換算)、及びイオン交換水284質量部を投入した。室温下(25℃)下で、5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。さらに、着色剤微粒子分散液30質量部(固形分換算)を投入し、50質量%の塩化マグネシウム水溶液80質量部を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。3分間放置した後、60分間かけて80℃まで昇温し、80℃に到達後、結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液(C1)64.5質量部(固形分換算)を20分かけて投入し、粒子の成長速度が0.01μm/分となるように撹拌速度を調整して、コールターマルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)にて測定した体積基準のメジアン径が6.0μmになるまで成長させた。
次いで、非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液(A)58.05質量部(固形分換算)を30分間かけて投入し、反応液の上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム80質量部をイオン交換水300質量部に溶解させた水溶液を添加して、粒子の成長を停止させた。次いで、80℃の状態で撹拌し、トナー粒子の平均円形度が0.970になるまで粒子の融着を進行させ、その後0.5℃/分以上の降温速度で冷却し30℃以下まで液温を下げた。
その後、撹拌しつ、30分かけて50℃まで昇温し、3時間熱処理工程を行った。その後冷却し30℃以下まで液温を下げた。次いで、固液分離を行い、脱水したトナーケーキをイオン交換水に再分散し、固液分離する操作を3回繰り返して洗浄した。洗浄後、35℃で24時間乾燥させることにより、トナー粒子を製造した。得られたトナー粒子100質量部に、疎水性シリカ粒子(一次粒子の個数平均径:12nm、疎水化度:68)0.6質量部、疎水性酸化チタン粒子(一次粒子の個数平均径:20nm、疎水化度:63)1.0質量部及びゾル・ゲルシリカ(一次粒子の個数平均径:110nm)1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)により回転翼周速35mm/秒、32℃で20分間混合した。混合後、45μmの目開きのふるいを用いて粗大粒子を除去し、実施例1に係るトナーを製造した。
〔実施例3,5,7及び比較例2,5,7,8に係るトナーの製造例〕
上記実施例1に係るトナーの製造例においてスチレン・アクリル系樹脂微粒子分散液(S1)及び非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液(A)の量並びに結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液の種類及び量を変更(表V参照)したことの他は同様にして、実施例3,5,7及び比較例2,5,7,8に係るトナーをそれぞれ製造した。
下記表Vは、上述した実施例1,3,5,7及び比較例2,5,7,8に係るトナーの製造条件をまとめたものである。
〔実施例2に係るトナーの製造例〕
撹拌装置、温度センサー及び冷却管を取り付けた反応容器に、非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液(A)238.65質量部(固形分換算)、離型剤微粒子分散液(W)63.8質量部(固形分換算)、及びイオン交換水96.1質量部を投入した。室温下(25℃)下で、5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。さらに、着色剤微粒子分散液30質量部(固形分換算)を投入し、50質量%の塩化マグネシウム水溶液42.7質量部を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。3分間放置した後、60分間かけて80℃まで昇温し、80℃に到達後、結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液(C1)180.6質量部(固形分換算)を20分かけて投入し、粒子の成長速度が0.01μm/分となるように撹拌速度を調整して、コールターマルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)にて測定した体積基準のメジアン径が6.0μmになるまで成長させた。
次いで、上記第1段重合のみを行うことによって得られたスチレン・アクリル系樹脂粒子分散液(s1)167.7質量部(固形分換算)を30分間かけて投入し、反応液の上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム80質量部をイオン交換水300質量部に溶解させた水溶液を添加して、粒子の成長を停止させた。次いで、80℃の状態で撹拌し、トナー粒子の平均円形度が0.970になるまで粒子の融着を進行させ、その後0.5℃/分以上の降温速度で冷却し30℃以下まで液温を下げた。
その後、撹拌しつ、30分かけて50℃まで昇温し、3時間熱処理工程を行った。その後冷却し30℃以下まで液温を下げた。次いで、固液分離を行い、脱水したトナーケーキをイオン交換水に再分散し、固液分離する操作を3回繰り返して洗浄した。洗浄後、40℃で24時間乾燥させることにより、トナー粒子を製造した。得られたトナー粒子100質量部に、疎水性シリカ粒子(一次粒子の個数平均径:12nm、疎水化度:68)0.6質量部、疎水性酸化チタン粒子(一次粒子の個数平均径:20nm、疎水化度:63)1.0質量部及びゾル・ゲルシリカ(一次粒子の個数平均径:110nm)1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)により回転翼周速35mm/秒、32℃で20分間混合した。混合後、45μmの目開きのふるいを用いて粗大粒子を除去し、実施例2に係るトナーを製造した。
〔実施例4,6及び比較例1,3,4,6,9に係るトナーの製造例〕
実施例2に係るトナーの製造例においてスチレン・アクリル系樹脂微粒子分散液(S1)及び非晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液(A)の量並びに結晶性ポリエステル樹脂微粒子分散液の種類及び量を変更(下記表VI参照)したことの他は同様にして、実施例トナー4,6及び比較例1,3,4,6,9に係るトナーをそれぞれ製造した。
下記表VIは、上述した実施例2,4,6及び比較例1,3,4,6,9に係るトナーの製造条件をまとめたものである。
また、得られた全トナーについて、結晶性ポリエステル樹脂の体積基準のメジアン径、前記非晶性ポリエステル樹脂と前記結晶性ポリエステル樹脂との合計量に占める前記結晶性ポリエステル樹脂の割合、融点Tm、放置する前の熱放置前貯蔵弾性率G’が1.0×10Paとなる温度、熱放置後貯蔵弾性率G’ハイブリッド率等を測定した。下記表VIIは、得られた全トナーの特性等をまとめたものである。なお、表中の熱放置後貯蔵弾性率の値は、温度X℃における熱放置前貯蔵弾性率G’に対する当該温度X℃で2時間放置した後の当該温度X℃における熱放置後貯蔵弾性率G’の比の値が最大となるときの当該温度X’℃におけるものであり、下記(1)〜(9)を行うことにより求めた。
(1)温度20℃、湿度50%の環境下で、上記の各種トナーを0.2gずつ計量してシリンダーに入れ、圧縮成形機で25MPaの圧力を印加して加圧成型を行い、測定サンプルとなる直径10mmの円柱状のペレットを作製する。
(2)レオメーター(TA instrument製:ARES G2)の測定部の温度を100℃に設定し、作製したペレットを測定部の上下一対のパラレルプレートの間に挟み込む。このとき、上側のパラレルプレートを直径8mm、下側のパラレルプレートを直径20mmとする。
(3)パラレルプレートギャップを一度1.4mmにセットした後、プレート間からはみ出した測定サンプルの一部をかき取ってパラレルプレートギャップを1.2mmにセットする。
(4)測定部の温度を測定開始温度である30℃まで降温する。
(5)下側のパラレルプレートからペレットに1Hzの正弦波振動を加えながら、測定部の温度を30℃から150℃まで昇温速度3℃/minで昇温させていき、熱放置前貯蔵弾性率G’の変化を測定し、得られた測定結果をグラフにする。
(6)上記(1)〜(3)を再度行う。
(7)パラレルプレートに挟み込んだペレットを、所定の軸力をかけながら40℃まで降温し、2時間放置する。
(8)測定部の温度を測定開始温度である30℃まで降温する。
(9)下側のパラレルプレートからペレットに1Hzの正弦波振動を加えながら、測定部の温度を30℃から150℃まで昇温速度3℃/minで昇温させていき、熱放置後貯蔵弾性率G’の変化を測定し、グラフにする。
(10)放置温度を40℃から60℃まで2.5℃刻みで変えた以外は上記(5)〜(7)と同様にして、温度と熱放置後貯蔵弾性率G’との関係を順次グラフにする。
(11)得られた熱放置前貯蔵弾性率G’のグラフ及び複数の熱放置後貯蔵弾性率G’のグラフから、当該グラフを得たときの放置温度における熱放置前貯蔵弾性率G’及び熱放置後貯蔵弾性率G’をそれぞれ求め、それらの比の値〔熱放置後貯蔵弾性率G’/熱放置前貯蔵弾性率G’〕を算出する。
(12)得られた複数の算出結果を、放置温度をX軸とし、比の値をY軸とするグラフ上にプロットし、当該プロットから比の値〔熱放置後貯蔵弾性率G’/熱放置前貯蔵弾性率G’〕が最大となる放置温度X’℃を求め、そのときの熱放置後貯蔵弾性率G’を特定する。
なお、上記貯蔵弾性率G’の詳細な測定条件は以下のとおりである。
・周波数:1Hz
・昇温温度:3℃/min
・軸力:0g,感度:10g
・初期ひずみ:3.0%,ひずみ調整:30.0%,最小ひずみ:0.01%,最大ひずみ:10.0%
・最小トルク:1g・cm,最大トルク:80g・cm
・サンプリング間隔:1.0℃/pt
<トナーの評価>
上述したようにして得られた各トナーについて、低温定着性、耐熱保管性、光沢メモリー発現性の3種類の特性についてそれぞれ試験を行った。
〔低温定着性評価〕
画像形成装置として、市販のフルカラー複合機「bizhub PRESS C1070」(コニカミノルタ株式会社製)を用い、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下でmondi社製のA4サイズのmondi Color Copy(坪量90g/m)の上に、未定着ベタ画像(トナー付着量11.3g/m)を形成した。次に、定着装置の加圧ローラーの表面温度を100℃に設定し、定着ローラーの表面温度を2℃刻みで130〜170℃の範囲で変更して、定着を行った。定着オフセットによる画像汚れが目視で確認されなくなったときの定着温度を最低定着温度とし、以下の評価基準に基づいて評価を行った。
−評価基準−
◎:135℃未満:低温定着性に優れる
○:135℃以上150℃未満:実用上問題無い
△:150℃以上155℃未満:定着プロセスを制御すれば使用可能
×:155℃以上:目標とする通紙速度では十分定着せず、実用上問題があり
◎、○、△を合格レベルとする。
〔耐熱保管性評価〕
得られたトナーについて、それぞれ、トナー0.5gを内径21mmの10mLガラス瓶に取り、蓋を閉めて、振とう機「タップデンサーKYT−2000」(セイシン企業社製)を用い、室温で600回振とうした。その後、蓋を開けた状態で温度55℃、湿度35%RHの環境下において2時間放置した。次いで、トナーを48メッシュ(目開き350μm)の篩上に、トナーの凝集物を解砕しないように注意しながら載せて、「パウダーテスター」(ホソカワミクロン社製)にセットし、押さえバー、ノブナットで固定した。送り幅1mmとなる振動強度に調整し、10秒間振動を加えた後、篩上の残存したトナー量の比率(質量%)を測定し、下記式(A)によりトナー凝集率を算出した。
式(A):トナー凝集率%=(篩上の残存トナー質量g)/0.5g×100)
同様の測定を温度57.5℃、60℃でそれぞれ行い、X軸を温度、Y軸をトナー凝集率、としてプロットした。温度55℃、57.5℃。60℃の内、トナー凝集率が50%となる領域を挟む二つの温度間で近似直線を引き、内挿からトナー凝集率が50%となる温度を算出し、以下の評価基準に基づいて評価を行った。
−評価基準−
◎:59℃以上
○:58℃以上59未満
△:57℃以上58℃未満
×:57℃未満
◎、○、△を合格レベルとする。
〔光沢メモリー発現性評価〕
画像形成装置として、市販のフルカラー複合機「bizhub PRESS C1070」(コニカミノルタ株式会社製)を用い、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下で日本製紙社製のA3のエスプリ1(坪量209g/m)の上に、図2(a)に示すような画像(トナー付着量8.0g/m)を印刷した。次に、定着装置の加圧ローラーの表面温度を100℃に設定し、定着ローラーの表面温度をアンダーオフセット(トナーの溶融が不十分であるためにトナーが転写媒体から剥離してしまう画像欠陥、以下、「UO」と称する。)が解消されるUO解消温度+25℃に設定して定着を行った。
UO解消温度は以下のようにして算出した。具体的には、画像形成装置として、市販のフルカラー複合機「bizhub PRESS C1070」(コニカミノルタ社製)を用い、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下で日本製紙社製のA3サイズのエスプリ1A(坪量209g/m)に、図3に示すような、エスプリ1Aの中央部と画像形成装置内における移動方向(以下、「通紙方向」)と反対側の端部とにそれぞれ塗りつぶされた複数の矩形が並ぶ画像(トナー付着量11.3g/m)を印刷した。次に、定着装置の加圧ローラーの表面温度を100℃に設定し、定着ローラーの表面温度を2℃刻みで130〜170℃の範囲で変更してトナーの定着を行った。エスプリ1Aの通紙方向と反対側端部においてUOによる画像汚れが目視で確認されなくなったときの定着ローラーの表面温度をUO解消温度とした。
印刷する画像は、図2(a)に示したように、エスプリ1の通紙方向の両端部を矩形状に塗りつぶしたものとし、エスプリ1の進行方向側端部の画像は、文字が白抜きされたものとした。以下、通紙方向側の端部の画像を前ベタ部11、その中の白抜きの文字を白抜き部11a、通紙方向と反対側の端部の画像を後ベタ部12と称する。
前ベタ部11の通紙方向の端と、後ベタ部12の通紙方向の端との距離は、定着ローラーの周面1周の長さと同程度となるようにした。すなわち、定着ローラー表面における前ベタ部11と接した部分が、一周した後に後ベタ部12部に接するような距離とした。
ここで、光沢メモリーの発生原理について説明する。
前ベタ部11が定着される際、白抜き部11aの周囲には前ベタ部11のトナーが存在するため、離型剤が当該トナー中から吐き出され、その一部が定着ローラー表面のトナーと接した部分に付着する。一方、白抜き部11aにはトナーが存在しないため、定着ローラーの白抜き部11aと接した部分への離型剤の付着は生じない。
この定着ローラー表面における前ベタ部11と接した部分は、一周した後に後ベタ部12とも接することとなる。
ここで、印刷に用いたトナーが、離型剤の吐出しが不十分なものであると、定着ローラーと後ベタ部12との分離性が劣るため、後ベタ部12を形成していたトナーの一部が定着ローラー側に付着する。これにより、画像の表面が荒れ、光沢が低下してしまう。後ベタ部12は、定着ローラーの表面における離型剤が僅かに付着している部分と、全く付着していない部分の両方に接するので、図2(b)に示したような、文字の形をした荒れ方の大きい(光沢の少ない)部分と、その周囲の荒れ方が小さい(光沢が比較的多い)部分とが生じる。以下、図2(b)の後ベタ部にける、荒れ方が大きく光沢の少ない箇所をメモリー部12aと称し、荒れ方が小さく光沢の多い箇所を非メモリー部12bと称する。
一方、印刷に用いたトナーが、離型剤を十分に吐き出すことのできるものであれば、後ベタ部12が定着ローラーの表面のどの部分と接したかに関係なく、後ベタ部12のトナーが吐き出す離型剤だけで後ベタ部12が定着ローラーから容易に分離される。このため、後ベタ部12は、荒れの無い均一な光沢を有したものとなる。
このような原理で生じうるメモリー部12aの視認の程度を目視で確認し、以下の評価基準に基づいて評価を行った。
−評価基準−
◎:全く見えない
○:輪郭がぼやけて見える
△:全体的にうっすらと見える
×:はっきりと見える
◎、○、△を合格レベルとする。
低温定着性の試験では、実施例1,2,4,6、比較例1,3,4,6及び9に係るトナーが優良◎(最低定着温度135℃未満)、実施例3,5及び比較例8に係るトナーが実用上問題無し○(135℃以上150℃未満)、実施例7に係るトナーが許容可能△(150℃以上155℃未満)の合格の評価となった。
一方、比較例2,5及び7に係るトナーは、実用上問題あり×(最低定着温度155℃以上)の不合格の評価となった。
また、耐熱保管性の試験(トナー凝集率50%となる温度)では、実施例1〜3,5,7、比較例2,5及び7に係るトナーが◎(59℃以上)、実施例4に係るトナーが○(58℃以上59未満)、実施例6、比較例1及び9に係るトナーが△(57℃以上58℃未満)の合格の評価となった。
一方、比較例3,4,6及び8に係るトナーは、トナー凝集率が50%となる温度が57℃未満(×)不合格の評価となった。
また、光沢メモリー発現性の試験では、実施例1〜3,5,6、比較例2及び8に係るトナーが◎(全く見えない)、実施例7、比較例3,5及び7に係るトナーが○(輪郭がぼやけて見える)、実施例4及び比較例6に係るトナーは△(全体的にうっすらと見える)という合格の評価となった。
一方、比較例1,4及び9に係るトナーは、×(はっきりと見える)という不合格の評価となった。
下記表VIIIは、上記各種試験結果をまとめたものである。
実施例1〜7に係るトナーは、いずれも、三つ全ての試験において合格(△以上)の評価が得られたのに対し、比較例1〜8に係るトナーは、三つの試験中二つまでは合格の評価となっても、三つ全ての試験において合格の評価を得られたものは無かった。
また、実施例3〜7に係るトナーは、一つ又は二つの試験において○又は△の評価となったが、全ての好ましい条件を満たす実施例1,2に係るトナーは、全ての試験においても最高(◎)の評価となった。
1,1A エスプリ
11 前ベタ部
11a 白抜き部
12 後ベタ部
12a メモリー部
12b 非メモリー部

Claims (8)

  1. 非晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂及びスチレン・アクリル系樹脂を結着樹脂として少なくとも含有するとともに、離型剤を含有し、
    前記非晶性ポリエステル樹脂及び前記結晶性ポリエステル樹脂の合計量に占める前記結晶性ポリエステル樹脂の割合が40質量%超〜60質量%の範囲内であり、
    温度X℃で放置する前の熱放置前貯蔵弾性率G’が1.0×10Paとなる温度が45℃超〜55℃の範囲内であり、
    前記温度X℃における熱放置前貯蔵弾性率G’に対する当該温度X℃で2時間放置した後の当該温度X℃における熱放置後貯蔵弾性率G’の比の値が最大となるときの当該温度X’℃における熱放置後貯蔵弾性率G’が1.0×10〜5.0×10Paの範囲内であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 前記非晶性ポリエステル樹脂と前記結晶性ポリエステル樹脂との合計量に占める前記結晶性ポリエステル樹脂の割合が、42質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記結着樹脂全体量に占める前記スチレン・アクリル系樹脂の割合が、25質量%より大きいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記熱放置後貯蔵弾性率G’が、前記熱放置前貯蔵弾性率G’よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 前記結晶性ポリエステル樹脂が、結晶性ポリエステル重合セグメントと他の樹脂の重合セグメントとが結合してなるハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 前記ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂全量に占める前記他の樹脂の重合セグメントの割合が、1〜10質量%の範囲内であることを特徴とする請求項5に記載の静電荷像現像用トナー。
  7. 前記結晶性ポリエステル樹脂又は前記ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂と、前記離型剤と、を含む結晶性樹脂の融点Tmが、60〜75℃の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
  8. 前記結晶性ポリエステル樹脂又は前記ハイブリッド結晶性ポリエステル樹脂の体積基準のメジアン径が、40〜150nmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
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