用語「単離された抗体」および「単離されたペプチド」とは、cDNA、組換えRNAもしくは他の任意の合成起源またはそれらのいくつかの組み合わせから生成されたタンパク質またはペプチド;ならびにそれらの起源または誘導の起源を理由に、(1)天然に見られるタンパク質と関連しないか、(2)同じ起源由来の他のタンパク質を含まない、例えば、マウスタンパク質を含まないか、(3)異なる種由来の細胞によって発現されているか、または(4)天然には存在しない、タンパク質およびペプチドのことを指す。
本発明に係る抗体は、さらに、本発明に係る抗体の上述の特徴に影響しないかまたは上述の特徴を変更しないヌクレオチド配列改変およびアミノ酸配列改変である「保存的な配列改変」を有するような抗体を含む。改変は、当該分野で公知の標準的な手法(例えば、部位特異的突然変異誘発およびPCR媒介性突然変異誘発)によって導入され得る。保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられる置換を含む。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該分野において定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ分枝側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が含まれる。したがって、抗タウ抗体内の予測される可欠アミノ酸残基は、例えば、同じ側鎖ファミリーの別のアミノ酸残基で置き換えられ得る。
「抗体フラグメント」および「抗体部分」は、完全長抗体の一部、通常、少なくとも抗原結合部分/ドメインまたはその可変領域を含む。抗体フラグメントの例としては、抗体フラグメントから形成される、ダイアボディ、一本鎖抗体分子、免疫毒素および多重特異性抗体が挙げられる。さらに、抗体フラグメントは、病理学的タウに結合する(すなわち、VL鎖と集合することができる)VH鎖、または病理学的タウに結合する(すなわち、VH鎖と集合することができることにより、機能的な抗原結合ポケットを形成し、それにより、病理学的タウに結合する特性を提供する)VL鎖の特徴を有する一本鎖ポリペプチドを含む。これらの用語は、それ自体はエフェクター機能(例えば、ADCC/CDC)を提供することができないが、適切な抗体定常ドメインと組み合わされた後にこの機能を提供することができるフラグメントも包含する。
用語「キメラ抗体」とは、通常、組換えDNA手法によって調製される、1つの起源または種由来の可変領域、すなわち結合領域、および異なる起源または種に由来する定常領域の少なくとも一部を含むモノクローナル抗体のことを指す。マウス可変領域およびヒト定常領域を含むキメラ抗体が、特に好ましい。そのようなマウス/ヒトキメラ抗体は、マウス免疫グロブリン可変領域をコードするDNAセグメントおよびヒト免疫グロブリン定常領域をコードするDNAセグメントを含む発現された免疫グロブリン遺伝子の産物である。本発明によって包含される「キメラ抗体」の他の形態は、そのクラスまたはサブクラスが、改変されているか、または元の抗体のクラスもしくはサブクラスから変更されている形態である。そのような「キメラ」抗体は、「クラススイッチ抗体」とも称される。キメラ抗体を作製するための方法は、当該分野で現在公知である従来の組換えDNA法および遺伝子トランスフェクション法を含む。例えば、Morrison,S.L.ら、Proc.Natl.Acad Sci.USA 81(1984)6851−6855;米国特許第5,202,238号および同第5,204,244号を参照のこと。
用語「ヒト化抗体」とは、フレームワーク領域(FR)および/または相補性決定領域(CDR)が、親免疫グロブリンの特異性と比べて異なる特異性の免疫グロブリンのCDRを含むように改変された抗体のことを指す。1つの実施形態において、マウスCDRが、ヒト抗体のフレームワーク領域に移植されることにより「ヒト化抗体」が調製される。例えば、Riechmann,L.ら、Nature 332(1988)323−327;およびNeuberger,M.S.ら、Nature 314(1985)268−270を参照のこと。特に好ましいCDRは、タウ上の「治療用エピトープ」として本明細書中に記載される抗原およびエピトープを認識する配列に相当するCDRに対応する。
用語「ヒト抗体」は、本明細書中で使用されるとき、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する抗体を含むと意図されている。その抗体の定常領域は、例えば、ヒトIgG1型の定常領域であり得る。そのような領域は、アロタイプであり得、例えば、Johnson,G.,and Wu,T.T.,Nucleic Acids Res.28(2000)214−218およびその中で参照されているデータベースに記載されており、本発明に係るADCCおよび例えばCDCの誘導の特性が保持されている限り、それらはいくつかの実施形態にとって優先的に有用である。
用語「組換えヒト抗体」は、本明細書中で使用されるとき、組換え手段によって調製された、発現された、作製されたまたは単離されたすべてのヒト抗体(例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックである宿主細胞(例えば、NSOまたはCHO細胞)もしくは動物(例えば、マウス、例えば、ヒト抗体のアミノ酸配列、例えば、ヒトフレームワーク(FR)およびヒト定常領域アミノ酸配列を有する抗体を産生する遺伝的に改変されたマウスであるXENOMOUSE)から単離された抗体または宿主細胞にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現された抗体)を含むと意図されている。そのような組換えヒト抗体は、再配列された形態において、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する。本発明に係る組換えヒト抗体は、インビボ体細胞超変異を受けたことがある。したがって、その組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系列VHおよびVL配列に由来し、それらに関係するが、インビボにおいてヒト抗体生殖細胞系列レパートリー内に天然には存在し得ない、配列である。
用語「エフェクター機能」は、C1q結合;補体依存性細胞傷害(CDC);Fcレセプター結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC);ファゴサイトーシス;および細胞表面レセプター(例えば、B細胞レセプター;BCR)のダウンレギュレーションを含むが、これらに限定されない。
用語「エピトープ」は、結合タンパク質または抗体によって認識される結合部位のことを指すために本明細書中で使用される。エピトープは、任意の分子またはそのグループ(アミノ酸、アミノ酸側鎖、糖および脂質を含むがこれらに限定されない)であり得、特定の3次元構造またはコンフォーメーションを有し得る。したがって、エピトープは、それらの用語が当該分野で広く公知であるように、一次、二次、三次または四次構造を含むタウペプチド/タンパク質分子の任意の部分を含み得る。「線状エピトープ」は、アミノ酸残基の連続した配列で構成されている。線状エピトープは、生理学的タウ上に存在する(例えば、タウ2N/4Rに存在する)エピトープである。「コンフォーメーションエピトープ」は、抗体または結合タンパク質がコンフォーメーション特異的様式で結合するエピトープである。タンパク質ベースのエピトープの場合、その結合は、そのエピトープを有するタンパク質の二次、三次または四次構造に依存し得る。換言すれば、その抗体は、構造特異的様式、三次構造特異的様式または四次構造特異的様式で結合する。コンフォーメーションエピトープは、病理学的タウに存在する(例えば、タウΔ(1−150;392−441)/4R)に存在する)エピトープである。
用語「治療用エピトープ」とは、本明細書中で特定され、ある特定のコンフォーメーション(DC8E8抗体によって認識される)であるときタウ−タウ凝集を促進すると見出されたタウ内の領域のことを指す。これらの領域の1つもしくは複数に結合する抗体(および他の結合タンパク質)は、初期および後期のタウ凝集(タウ単量体から二量体への変換およびより高次の凝集体の形態への変換を含む)を阻害する;すなわち、それらの抗体は、生理学的タウから病理学的タウへの変換を阻害する。タウ内のこれらの領域は、タウの隣接領域内でベータシートの形成を促進することによって対らせん状細線維(PHF)へのタウの線維化の促進に関わり得る。治療用エピトープは、267−KHQPGGG−273(タウタンパク質の第1リピートドメイン内)、298−KHVPGGG−304(タウタンパク質の第2リピートドメイン内)、329−HHKPGGG−335(タウタンパク質の第3リピートドメイン内)および361−THVPGGG−367(タウタンパク質の第4リピートドメイン内)内に含まれる。いくつかの実施形態において、治療用エピトープは各々、それぞれ268−HQPGGG−273(タウタンパク質の第1リピートドメイン内)、299−HVPGGG−304(タウタンパク質の第2リピートドメイン内)、330−HKPGGG−335(タウタンパク質の第3リピートドメイン内)および362−HVPGGG−367内に含まれる。
用語「生理学的タウよりも病理学的タウに対してより高い親和性を示す」とは、抗体と生理学的タウの少なくとも1つの形態との相互作用よりも抗体と病理学的タウの少なくとも1つの形態との相互作用のより高い程度のことを指す。その相互作用は、下記の実施例に記載されるような、例えば、ELISAまたは表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定され得る。
用語「特異的に結合する(specifically binds)」、「特異的に結合する(binds specifically)」、および「〜に特異的な」は、相互交換可能であり、抗体またはその抗原結合フラグメント(または他の結合タンパク質)が、抗原またはエピトープと、生理学的条件下において比較的安定である複合体を形成することを意味する。特異的結合は、約1×10−6Mまたはそれ以下、例えば、約100nM未満、最たる例として、10nM未満の解離定数によって特徴付けられ得る。2つの分子が特異的に結合するかを判定するための方法は、当該分野で公知であり、その方法としては、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴などが挙げられ得る。代表的には、本発明によって提供される抗体またはその抗原結合フラグメントは、少なくとも約1×10−6Mまたはそれ以下のような解離定数で抗原またはエピトープに結合するがそのような解離定数で他の分子には結合しない分子である。
「優先的に結合する」とは、生理学的タウよりも病理学的タウに対するより高い親和性での結合、例えば、2N4RよりもタウΔ(1−150;392−441)/4Rに対するより高い親和性での結合のことを指す。
「ユニバーサルT細胞エピトープ」は、インフルエンザ赤血球凝集素(Hemagluttinin):HA307−319(PKYVKQNTLKLAT)(配列番号123);PADRE(AKXVAAWTLKAAA)(配列番号124);マラリアCS:T3エピトープ(EKKIAKMEKASSVFNV)(配列番号125);B型肝炎表面抗原:HBsA919_28(FFLLTRILTI)(配列番号126);熱ショックタンパク質65:hsp65153_171(DQSIGDLlAEAMDKVGNEG)(配列番号127);Calmette−Guerin桿菌(QVHFQPLPPAVVKL)(配列番号128);破傷風トキソイド:TI830−844(QYIKANSKFIGITEL)(配列番号129);破傷風トキソイド:TI947−967(FNNFTVSFWLRVPKVSASHLE)(配列番号130);およびHIV gp120 T1(KQIINMWQEVGKAMYA)(配列番号131)から選択される配列である。
用語「天然無秩序タウ」とは、任意の明確な3D構造を欠く正常な/生理学的な形態のタウタンパク質のことを指す。それは、健常な脳に存在する(Kovacechら、2010)。
「誤無秩序タウ」とは、正常な/生理学的な天然無秩序タウとコンフォーメーションで異なりかつ確固たる/明確な3D構造を有しない形態のタウのことを指す。誤無秩序切断型タウは、インビボにおいて神経原線維変性を誘導することができる。それは、健常な脳には存在しない(Kovacechら、2010)。「誤秩序タウ」とは、PHFのポリマーに組み立てられ、NFTを形成する、構築された病理学的形態のタウのことを指す。誤秩序タウは、健常な脳には存在しない(Kovacechら、2010)。
「SHR24」とは、タウタイプIIB(151−391/R3)を発現するトランスジェニックラットの系統のことを指す。そのトランスジェニックラットは、皮質脳領域において進行性の加齢依存的な神経原線維変性を発症した。SHR24ラットにおける神経原線維変化(NFT)は、ヒトアルツハイマー病における神経原線維変性を識別するために使用されるいくつかの重要な組織学的基準(銀親和性、コンゴーレッド複屈折およびチオフラビンS反応性を含む)を満たす。これらの基準は、本発明の任意の実施形態を受けている被験体における神経原線維変性の解析のために使用され得る。神経原線維変化は、異常なタウコンフォーメーションを認識してヒト脳における病理的タウを検出するために使用される抗体(DC11を含む)、および過剰リン酸化型のタウタンパク質に特異的な抗体を用いても識別された。さらに、神経原線維変性は、ラット内在性および切断型タウ種からなるサルコシル不溶性タウタンパク質複合体の広範な形成によって特徴付けられた(Filipcikら、2010)。
「SHR72」とは、いくつかの脳領域および脊髄において、国際特許出願PCT WO2004/007547)に係るヒト切断型タウΔ(1−150;392−441)/4Rを発現するトランスジェニックラットのことを指す。このラット系統の作出は、Zilkaら、2006によって記載され、タウの病理は、Kosonら、2008に記載された。
「タウタイプIA」とは、4リピート含有タウ43の少なくとも最初の236個のN末端アミノ酸および少なくとも最後の45個のC末端アミノ酸が切断された、NおよびC末端二重切断型タウタンパク質のことを指す。これらの分子は、アルツハイマー病の脳組織において検出可能であるのに対し、これらの分子は、正常な健常な脳組織では検出可能でない(WO2004/007547A2)。
「タウタイプIB」とは、3リピート含有タウ44の少なくとも最初の236個のN末端アミノ酸および少なくとも最後の45個のC末端アミノ酸が切断された、NおよびC末端二重切断型タウタンパク質のことを指す。これらの分子は、アルツハイマー病の脳組織において検出可能であるのに対し、これらの分子は、正常な健常な脳組織では検出可能でない(WO2004/007547A2)。
「タウタイプIIA」とは、4リピート含有タウ43の少なくとも最初の68個のN末端アミノ酸および少なくとも最後の40個のC末端アミノ酸が切断された、NおよびC末端二重切断型タウタンパク質のことを指す。これらの分子は、アルツハイマー病の脳組織において検出可能であるのに対し、これらの分子は、正常な健常な脳組織では検出可能でない(WO2004/007547A2)。
「タウタイプIIB」とは、3リピート含有タウ44の少なくとも最初の68個のN末端アミノ酸および少なくとも最後の20個のC末端アミノ酸が切断された、NおよびC末端二重切断型タウタンパク質のことを指す。これらの分子は、アルツハイマー病の脳組織において検出可能であるのに対し、これらの分子は、正常な健常な脳組織では検出可能でない(WO2004/007547A2)。
本明細書中で使用されるとき、用語「処置」、「処置する」などは、所望の薬理学的および/または生理学的な効果を得ることを指す。その効果は、疾患もしくはその症状を完全にもしくは部分的に予防することに関して予防的であり得、かつ/または疾患および/もしくはその疾患に起因する悪影響の部分的もしくは完全な治癒に関して治療的であり得る。「処置」は、本明細書中で使用されるとき、哺乳動物、特に、ヒトにおけるADまたは関連タウオパチーの任意の処置も網羅し、(a)疾患にかかりやすいまたは疾患にかかるリスクがある可能性があるがそれを有するとまだ診断されていない被験体にその疾患が生じるのを防ぐこと;(b)疾患を阻害すること、すなわち、その発症を停止すること;および(c)疾患を軽減すること、すなわち、その疾患の後退を引き起こすことを包含する。「処置」の好ましい実施形態は、下記でさらに論じられる。いくつかの実施形態において、「処置する」とは、ADまたは別のタウオパチーに罹患していると疑われるまたはすでに罹患している患者に治療薬を投与することを指す。それは、疾患の1つもしくは複数の症状ならびに/またはその疾患および/もしくはその合併症に関連する1つもしくは複数の症状を減少させること、排除すること、または少なくとも部分的に停止すること、ならびにそれらに対して任意の有益な効果を発揮することも指し得る。
「予防」とは、特定の疾患にかかりやすい患者または別途そのリスクのある患者への投与のことを指す。一般集団の誰もがADのリスクがある。一部の個体は、ADに対して高い遺伝的リスクを有する。予防は、疾患のリスクを排除し得るかもしくは低下させ得るか、またはその疾患の発生を遅延させ得る。発生または進行の遅延は、類似の集団または個体における疾患進行の標準的な時間に基づいて測定され得る。
「病理学的タウ」には、病理学的タウの配座異性体および構造が含まれ、以下のすべてが包含される:タウタイプIA、IB、IIAおよびIIB、誤秩序、誤無秩序タウ(単量体、二量体、三量体、オリゴマー)、誤無秩序可溶性タウ、サルコシル不溶性タウ、細胞外タウ沈着物、タウ凝集体、対らせん状細線維、神経原線維の病理(神経原線維の病変、濃縮体、糸状構造、原線維、軸索球状物(axonal spheriods)、切断型タウおよび完全長タウの高度にリン酸化された形態を含む)、またはADもしくは別のタウオパチーに関連する他の任意の形態のタウ。
「連結された」とは、ペプチド、抗体または化合物に対するある部分の結合のことを指す。その部分は、結合され得るか、または複合体化され得るか、または共有結合的にもしくは非共有結合的に結合され得る。その部分は、ペプチドまたは抗体との融合物として、化学的に架橋され得るか、または発現され得るか、または合成され得る。
「部分」とは、ペプチド、抗体または結合タンパク質に結合され得るが、主張されるペプチド、抗体または結合タンパク質自体ではない、任意の化合物、有機物、ペプチド、タンパク質、核酸、キャリア、アジュバントのことを指す。
「クリアランス」とは、病理学的タウおよび/または病理学的タウ構造のレベルまたは検出の減少のことを指す。クリアランスは、病理学的タウの完全な消失である必要はなく、すなわち、クリアランスは、部分的な消失であり得る。
用語「原核生物」は、本発明の抗体または対応する免疫グロブリン鎖の1つもしくは複数の発現のためにDNAまたはRNA分子で形質転換され得るかまたはトランスフェクトされ得るすべての細菌を含むように意味される。原核生物宿主は、グラム陰性菌ならびにグラム陽性菌、例えば、大腸菌、ネズミチフス菌、霊菌および枯草菌を含み得る。用語「真核生物」は、酵母、高等植物、昆虫、ならびに例えば哺乳動物細胞、最たる例として、HEK293、NSOおよびCHO細胞を含むように意味される。
用語「化学的誘導体」は、通常、基礎分子(base molecule)の一部ではないさらなる化学的部分を含む分子のことを記載する。そのような部分は、基礎分子の溶解性、半減期、吸収などを改善し得る。あるいは、それらの部分は、その基礎分子の望ましくない副作用を弱め得るか、またはその基礎分子の毒性を低減させ得る。
用語「核酸」、「核配列(nucleic sequence)」、「核酸配列」、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド配列」および「ヌクレオチド配列」は、本記載において交換可能に使用され、それらは、改変されているかまたはされておらず、核酸のフラグメントまたは領域を定義し、非天然ヌクレオチドを含むかまたは含まず、かつ二本鎖DNA、一本鎖DNAまたは前記DNAの転写産物である、ヌクレオチドの正確な配列のことを指す。
本明細書中で使用される用語「単離されたポリヌクレオチド」または「単離された核酸」は、その起源を理由に、(1)「単離されたポリヌクレオチド」が天然に見られるポリヌクレオチドの全部または一部に関連しない、(2)それが天然では連結されていないポリヌクレオチドに作動可能に連結されている、または(3)天然ではそれより大きい配列の一部として存在しない、ゲノム、cDNAもしくは合成起源のポリヌクレオチドまたはそれらのいくつかの組み合わせのことを意味するものとする。
診断、受動免疫、薬物送達およびAD治療のための抗体
病理学的形態のタウによって提示される1つもしくは複数のタウエピトープに特異的な新規の単離された抗体が本明細書中に記載される。これらのエピトープは、病理学的タウの凝集における役割を初めて割り当てられたタウの領域内、すなわち、267−KHQPGGG−273(配列番号98)(すなわち、エピトープ#1は、タウタンパク質の第1リピートドメインに含まれる267−KHQPGGG−273内に位置する)、298−KHVPGGG−304(配列番号99)(エピトープ#2,タウタンパク質の第2リピートドメイン内)、329−HHKPGGG−335(配列番号100)(エピトープ#3,タウタンパク質の第3リピートドメイン内)および361−THVPGGG−367(配列番号101)(エピトープ#4,タウタンパク質の第4リピートドメイン内)内に位置する。これらの抗体は、誤無秩序切断型ヒトタウΔ(1−150;392−441)/3RまたはタウΔ(1−150;392−441)/4Rを発現している、ヒトAD脳ならびにADおよび関連タウオパチーのトランスジェニックラットモデルにおいて、誤秩序および誤無秩序タウを認識することができる。その単離された抗体は、(i)誤秩序タウまたは生理学的タウから誤無秩序タウへの移行;(ii)「病理学的タウ」の単量体、二量体、三量体および他のタウ多量体の形成;(iii)不溶性タウ凝集体の形成;ならびに(iv)細胞外タウのクリアランスの促進を含むADの病理に寄与する複数のタウ媒介性活性の1つまたはいくつかを干渉することもできる。
開示される本発明は、267−KHQPGGG−273(配列番号98)(タウタンパク質の第1リピートドメイン内)、298−KHVPGGG−304(配列番号99)(タウタンパク質の第2リピートドメイン内)、329−HHKPGGG−335(配列番号100)(タウタンパク質の第3リピートドメイン内)および361−THVPGGG−367(配列番号101)(タウタンパク質の第4リピートドメイン内)から選択されるタウのこれまで同定されていなかった4つの機能的領域のうちの1つに特異的に結合する抗体が、病理学的タウ凝集体の形成を阻害することおよび様々な病理学的形態のタウ(そのうちのいくつかは、その疾患において最も早期に形成される(例えば、病理学的単量体))を検出することができるという発見に部分的に基づく。本願においてタウΔ(1−150;392−441)/4Rとも称される、誤無秩序ヒトタウII(151−391/4R)に対して作製されるハイブリドーマを、免疫組織化学(IHC)と酵素結合イムノアッセイ(ELISA)の両方によって、ヒトPHFに特異的なモノクローナル抗体の産生についてスクリーニングした。得られたセットは、IgG1サブクラスであるマウスモノクローナル抗体(mAb)DC8E8を含んだ。DC8E8のエピトープマッピングから、それが、ヒトタウ上のこれまで同定されていなかった4つのエピトープに結合することが明らかになった。さらに、DC8E8のさらなる機能解析から、各エピトープがタウ内の異なる機能的領域に相当することが明らかになった。本明細書中でADの診断および治療に対する新規標的と記載され得、ゆえに「治療用エピトープ」と称されるこれらの領域は、267−KHQPGGG−273(配列番号98)(タウタンパク質の第1リピートドメイン内)、298−KHVPGGG−304(配列番号99)(タウタンパク質の第2リピートドメイン内)、329−HHKPGGG−335(配列番号100)(タウタンパク質の第3リピートドメイン内)および361−THVPGGG−367(配列番号101)(タウタンパク質の第4リピートドメイン内)内に含まれている。いくつかの実施形態において、それらの治療用エピトープのうちの1つもしくは複数は、268−HQPGGG−273(配列番号223)(タウタンパク質の第1リピートドメイン内)、299−HVPGGG−304(配列番号154)(タウタンパク質の第2リピートドメイン内)、330−HKPGGG−335(配列番号224)(タウタンパク質の第3リピートドメイン内)および362−HVPGGG−367(配列番号154)(タウタンパク質の第4リピートドメイン内)内に含まれている。いくつかの実施形態において、治療用エピトープのうちの少なくとも1つは、299−HVPGGG−304(配列番号154)(タウタンパク質の第2リピートドメイン内)内に含まれている。いくつかの実施形態において、それらの治療用エピトープのうちの1つもしくは複数は、299−HVPGGG−304(配列番号154)である。
実際に、DC8E8は、病理学的タウタンパク質と正常タウタンパク質とを区別することができることから、これらの4つのエピトープの少なくとも1つがコンフォーメーションによるものであることが示唆される。換言すれば、DC8E8は、その4つの治療用エピトープの各々によって包含される領域のうちの少なくとも1つが、天然無秩序タウ(正常タウ)において想定される形状と異なるコンフォーメーションを病理学的タウにおいて示すことが明らかになった。DC8E8は、それが生理学的タウに結合するよりも高い親和性でそれが病理学的タウに結合するという変化を検知することまたは検出することができる。さらに、タウへのDC8E8の結合は、インビトロにおいて不溶性タウ凝集体の形成を阻害するDC8E8の能力によって測定されるとき、病理学的タウ凝集体の形成に至るタウ−タウ相互作用を阻害することができる。例えば、正常タウへのDC8E8の結合は、治療用エピトープを包含する領域について上で論じたコンフォーメーション/形状の変化のうちの1つもしくは複数を妨げることができる。
さらに、これらの領域または治療用エピトープの1つもしくは複数における正常タウへのDC8E8の結合は、病理学的タウの生成に必要なその分子内のいずれか箇所におけるある特定の他のコンフォーメーション変化を妨害する。いかなる特定の機序にも拘束されるものではないが、DC8E8によって認識されるタウ内のこれらのエピトープ/領域の1つもしくは複数が、タウ−タウ凝集の促進物質としてタウ内で機能することが企図される。例えば、これらのエピトープのうちの1つもしくは複数の構造/形状/コンフォーメーションは、それへのDC8E8の結合によってタウ分子内のその形状が固定されることにより、ベータシートを形成するという隣接領域(例えば、274−281)の能力または傾向が干渉されるように、隣接領域の構造に影響する(ここで、ベータシートの形成は、タウ−タウ凝集に必要である)。したがって、正常タウ内のこれらの4つの領域のうちの1つへのDC8E8の結合が、これまでに同定されたタウにおける最も早い病理学的変化の1つ:タウ内でのベータシートの形成を促進するために必要な変化またはそれ自体がその形成を促進するもしくは可能にする変化を妨げることができると企図される。さらに、誤無秩序/病理学的タウ内の(すなわち、既にそれらの4つのうちの1つもしくは複数が病理学的なコンフォーメーションへと変化した後の)これらの4つの領域のうちの1つへのDC8E8の結合でさえも、病理学的タウ−タウ凝集を阻害することができることも企図される。その理由は、少なくとも、そのような結合がなおもベータシートの形成を阻害するから、タウ−タウ物理的相互作用を阻止するから、またはその両方であるからである。
したがって、タウ内の新規の標的または機能的領域を同定するツールとしてDC8E8を使用して、タウ上の4つの特異的なDC8E8結合部位にアルツハイマー病における役割が割り当てられた。これは、これらのタウ部位の1つもしくは複数が病理学的タウ単量体および多量体の形成に関わるという認識によって行われた。その理由は、少なくとも、それらのうちの1つもしくは複数へのDC8E8の結合がそれらのプロセスを阻害することができるからである。さらに、これらの治療用エピトープの1つもしくは複数に結合する抗体(例えば、DC8E8)は、細胞外の環境からの病理学的タウのクリアランスを促進することができる。その理由は、少なくとも、それらの抗体がインビトロではミクログリアによる病理学的タウの取り込みおよび分解;インビボでは脳における細胞外および細胞内のタウの減少;またはその両方を媒介することができるからである。換言すれば、これらの抗体は、そのような病理学的形態のタウが脳に対して引き起こす損傷を減少させることを助ける能力を有する。
したがって、タウ上の1つもしくは複数の治療用エピトープに特異的に結合する抗体が本明細書中に記載され、ここで、それらの治療用エピトープの各々は、アミノ酸残基267−KHQPGGG−273(配列番号98)(エピトープ#1,タウタンパク質の第1リピートドメイン内)、298−KHVPGGG−304(配列番号99)(エピトープ#2,タウタンパク質の第2リピートドメイン内)、329−HHKPGGG−335(配列番号100)(エピトープ#3,タウタンパク質の第3リピートドメイン内)および361−THVPGGG−367(配列番号101)(エピトープ#4,タウタンパク質の第4リピートドメイン内)内に別々に位置する。いくつかの実施形態において、治療用エピトープ#1〜4は、268−HQPGGG−273(配列番号223)(タウタンパク質の第1リピートドメイン内)、299−HVPGGG−304(配列番号154)(タウタンパク質の第2リピートドメイン内)、330−HKPGGG−335(配列番号224)(タウタンパク質の第3リピートドメイン内)および362−HVPGGG−367(配列番号154)(タウタンパク質の第4リピートドメイン内)内に含まれる。上記抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであり得る。抗原結合抗体部分、抗体フラグメント、抗体バリアント、操作されたタンパク質およびポリマー骨格も含まれる。これらは、免疫グロブリン分子の少なくとも一部(例えば、重鎖もしくは軽鎖の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)またはそれらのリガンド結合部分、重鎖もしくは軽鎖可変領域、重鎖もしくは軽鎖定常領域、フレームワーク領域、あるいはそれらの任意の部分であるがこれらに限定されない)を含む任意のタンパク質またはペプチド含有分子を含む。
非限定的な例として、本発明によって提供されるような好適な抗体、抗体部分、フラグメントまたはバリアントは、記載される治療用エピトープのうちの少なくとも1つに結合し得る。用語「抗体」は、抗体消化フラグメント、特定の抗体部分およびそれらのバリアント(抗体またはその特定のフラグメントもしくは一部(一本鎖抗体およびそのフラグメントを含む)の構造および/または機能を模倣する抗体模倣物または抗体の一部を含む)も含む。機能的フラグメントには、1つもしくは複数の治療用エピトープに結合する抗原結合フラグメントが含まれる。例えば、治療用エピトープに結合することができる抗体フラグメントとしては、Fab(例えば、パパイン消化によるもの)、Fab’(例えば、ペプシン消化および部分的還元によるもの)およびF(ab’)2(例えば、ペプシン消化によるもの)、facb(例えば、プラスミン消化によるもの)、pFc’(例えば、ペプシンまたはプラスミン消化によるもの)、Fd(例えば、ペプシン消化、部分的還元および再凝集によるもの)、FvまたはscFv(例えば、分子生物学的手法によるもの)フラグメントが挙げられるが、これらに限定されず、それらは本発明によって提供される。William E.Paul(ed.)Fundamental Immunology,6th Edition,Lippincott Williams & Wilkins,NY,N.Y.(2008)(その全体が本明細書に援用される)も参照のこと。ある特定のフラグメントは、当該分野で日常的に公知であるようなまたは本明細書中に提供されるような、酵素的切断、合成または組換えの手法によって生成され得る。抗体は、1つもしくは複数の終止コドンが天然の停止部位の上流に導入された抗体遺伝子を使用して、種々の切断型としても作製され得る。例えば、F(ab’)2重鎖部分をコードする組み合わせ遺伝子は、CH1ドメインおよび/または重鎖のヒンジ領域をコードするDNA配列を含むようにデザインされ得る。抗体の様々な部分は、従来の手法によって化学的に互いに結合され得るか、または日常的な遺伝子操作法を使用して連続したタンパク質として調製され得る。
基本的な抗体の構造単位は、四量体を構成すると知られている。各四量体は、ポリペプチド鎖の2つの同一の対から構成される(各対が、1本の「軽」鎖(約25kDa)および1本の「重」鎖(約50〜70kDa)を有する)。各鎖のアミノ末端部分は、主に抗原認識に関与する約100〜110またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシル末端部分は、主にエフェクター機能に関与する定常領域を定義する。ヒト軽鎖は、カッパーおよびラムダ軽鎖として分類される。重鎖は、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファまたはイプシロンとして分類され、抗体のアイソタイプをそれぞれIgM、IgD、IgAおよびIgEと定義する。軽鎖および重鎖の中で、可変領域および定常領域は、約12またはそれ以上のアミノ酸の「J」領域によって連結され、重鎖は、さらに約10アミノ酸の「D」領域も含む。Fundamental Immunology Ch.7(Paul,W.,ed.,2nd ed.Raven Press,N.Y.(1989))(その全体がすべての目的のために参照により援用される)を広く参照のこと。各軽鎖/重鎖対の可変領域は、抗体結合部位を形成する。したがって、インタクトな抗体は、2つの結合部位を有する。二機能性または二重特異性の抗体を除いては、その2つの結合部位は、同じである。それらの鎖はすべて、相補性決定領域またはCDRとも呼ばれる3つの超可変領域に連結された比較的保存されたフレームワーク領域(FR)という同じ一般構造を示す。各対の2本の鎖のCDRは、フレームワーク領域によって整列されることにより、特定のエピトープへの結合が可能になる。軽鎖と重鎖の両方が、N末端からC末端に向かって、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含む。各ドメインに対するアミノ酸の割当は、IMGTの定義に従う。代替の定義もまた当業者に公知である。例えば、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1987および1991))またはChothia & Lesk J.Mol.Biol.196:901−917(1987);Chothiaら、Nature 342:878−883(1989)を参照のこと。
いくつかの実施形態において、主題の抗体は、配列番号141、143、152および153のいずれか1つに対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態において、主題の抗体は、配列番号141、143、152および153のいずれか1つとわずか1、2、3、4、5、6、7、8、9または10アミノ酸だけ異なるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。当業者は、軽鎖可変領域内のどのアミノ酸が変更され得るかを決定できる。例えば、同じ特異性を有する抗体の軽鎖可変領域のアミノ酸配列を比較することによって、当業者は、どのアミノ酸がその特異性を変化させずに変更され得るかを決定できる。例示的なDC8E8抗体軽鎖のCDRアミノ酸配列の比較についての実施例を参照のこと。さらに、特異性が変更されているか否かは、抗原結合アッセイを使用して判定され得る。いくつかの実施形態において、主題の抗体は、配列番号141、143、152および153のいずれか1つに示されるようなアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
いくつかの実施形態において、主題の抗体は、配列番号138、140、147および148のいずれか1つに対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態において、主題の抗体は、配列番号138、140、147および148のいずれか1つとわずか1、2、3、4、5、6、7、8、9または10アミノ酸だけ異なるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。当業者は、重鎖可変領域内のどのアミノ酸が変更され得るかを決定できる。例えば、同じ特異性を有する抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列を比較することによって、当業者は、どのアミノ酸がその特異性を変化させずに変更され得るかを決定できる。例えば、例示的なDC8E8抗体重鎖のCDRアミノ酸配列の比較についての図3Eおよび25Bを参照のこと。さらに、特異性が変更されているか否かは、抗原結合アッセイを使用して判定され得る。いくつかの実施形態において、主題の抗体は、配列番号138、140、147および148のいずれか1つに示されるようなアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
いくつかの実施形態において、主題の抗体は、配列番号141に示されるようなアミノ酸配列を含む軽鎖および配列番号138に示されるようなアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態において、主題の抗体は、配列番号141に示されるようなアミノ酸配列を含む軽鎖および配列番号140に示されるようなアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態において、主題の抗体は、配列番号141に示されるようなアミノ酸配列を含む軽鎖および配列番号147に示されるようなアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態において、主題の抗体は、配列番号141に示されるようなアミノ酸配列を含む軽鎖および配列番号148に示されるようなアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態において、主題の抗体は、配列番号143に示されるようなアミノ酸配列を含む軽鎖および配列番号138に示されるようなアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態において、主題の抗体は、配列番号143に示されるようなアミノ酸配列を含む軽鎖および配列番号140に示されるようなアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態において、主題の抗体は、配列番号143に示されるようなアミノ酸配列を含む軽鎖および配列番号147に示されるようなアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態において、主題の抗体は、配列番号143に示されるようなアミノ酸配列を含む軽鎖および配列番号148に示されるようなアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態において、主題の抗体は、配列番号152に示されるようなアミノ酸配列を含む軽鎖および配列番号138に示されるようなアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態において、主題の抗体は、配列番号152に示されるようなアミノ酸配列を含む軽鎖および配列番号140に示されるようなアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態において、主題の抗体は、配列番号152に示されるようなアミノ酸配列を含む軽鎖および配列番号147に示されるようなアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態において、主題の抗体は、配列番号152に示されるようなアミノ酸配列を含む軽鎖および配列番号148に示されるようなアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態において、主題の抗体は、配列番号153に示されるようなアミノ酸配列を含む軽鎖および配列番号138に示されるようなアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態において、主題の抗体は、配列番号153に示されるようなアミノ酸配列を含む軽鎖および配列番号140に示されるようなアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態において、主題の抗体は、配列番号153に示されるようなアミノ酸配列を含む軽鎖および配列番号147に示されるようなアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態において、主題の抗体は、配列番号153に示されるようなアミノ酸配列を含む軽鎖および配列番号148に示されるようなアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
いくつかの実施形態において、主題の抗体は、配列番号117〜119から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つまたは3つのCDRを含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、主題の抗体は、配列番号120〜122から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つまたは3つのCDRを含む重鎖可変領域を含む。これらの6つのCDRのうちのいずれか1つが実施例14に記載されるように変更される実施形態も提供される。いくつかの実施形態において、軽鎖中の変更されるCDRのうちの少なくとも1つは、CDR1に対して配列番号247、CDR2に対して配列番号253、ならびにCDR3に対して配列番号255、257、258、259および260のうちのいずれか1つから選択される。いくつかの実施形態において、重鎖中の変更されるCDRのうちの少なくとも1つは、CDR1に対して配列番号261または配列番号262、CDR2に対して配列番号264または配列番号265、およびCDR3に対して配列番号266、配列番号267または配列番号269から選択される。
二重特異性または二機能性の抗体は、2つの異なる重鎖/軽鎖対および2つの異なる結合部位を有する人工的なハイブリッド抗体である。二重特異性抗体は、ハイブリドーマの融合またはFab’フラグメントの連結を含む種々の方法によって作製され得る。例えば、Songsivilai & Lachmann Clin.Exp.Immunol.79:315−321(1990)、Kostelnyら、J.Immunol.148:1547−1553(1992)を参照のこと。二重特異性抗体の作製は、従来の抗体の作製と比べて比較的大きな労働力を要するプロセスであり得、収率および純度は、通常、二重特異性抗体の場合、より低い。二重特異性抗体は、単一の結合部位を有するフラグメントの形態(例えば、Fab、Fab’およびFv)では存在しない。
本発明は、天然の形態の抗体に関するものではなく、すなわち、それらの抗体は、それらの天然の環境から得られず、天然の起源からの精製によって単離されて得られるか、または遺伝的組換えもしくは化学合成によって得られ、ゆえに、それらは、非天然のアミノ酸を保有し得る。したがって、本明細書中で使用されるとき、20種の従来のアミノ酸およびそれらの省略形は、従来の使用法に従う。Immunology−A Synthesis(2nd Edition,E.S.Golub and D.R.Gren,Eds.,Sinauer Associates,Sunderland,Mass.(1991))(参照により本明細書に援用される)を参照のこと。20種の従来のアミノ酸の立体異性体(例えば、D−アミノ酸、Nle、Nva、Cha、Orn、Hle、Chg、HchまたはHar)、非天然のアミノ酸(例えば、.アルファ.−,.アルファ.−二置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、乳酸および他の非従来のアミノ酸)もまた、本発明のポリペプチドに適した構成要素であり得る。非従来のアミノ酸の例としては(すなわち、以下に限定されない):4−ヒドロキシプロリン、ガンマ.−カルボキシグルタメート、イプシロン.−N,N,N−トリメチルリシン、.イプシロン.−N−アセチルリシン、O−ホスホセリン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリジン、.シグマ.−N−メチルアルギニンならびに他の同様のアミノ酸およびイミノ酸(例えば、4−ヒドロキシプロリン)が挙げられる。本明細書中で使用されるポリペプチドの表記では、標準的な使用法および慣習に従って、左側の方向は、アミノ末端の方向であり、右側の方向は、カルボキシ末端の方向である。
同様に、本開示は、それらの天然の染色体の環境の、すなわち、天然の状態のヌクレオチド配列に関するものではない。本発明の配列は、単離および精製されており、すなわち、それらは、直接または間接的に、例えば、複製によってサンプリングされたものであり、それらの環境は、少なくとも部分的に改変されている。組換え遺伝学によって(例えば、宿主細胞を用いて)得られたまたは化学合成によって得られた、単離された核酸も提供される。
本開示に関して、核酸またはアミノ酸の2つの配列間の「パーセンテージ同一性」は、最適なアラインメントの後に得られる、比較される2つの配列の間で同一のヌクレオチドまたはアミノ酸残基のパーセンテージを意味し、このパーセンテージは、純粋に統計学的なものであり、その2つの配列間の差は、それらの長さにわたってランダムに分布されている。2つの核酸配列またはアミノ酸配列の比較は、従来より、それらを最適にアラインメントした後にそれらの配列を比較することによって行われており、前記比較は、セグメントによってまたは「アラインメント範囲」を使用することによって、行うことができる。比較のための配列の最適なアラインメントは、手作業による比較に加えて、Smith and Waterman(1981)[Ad.App.Math.2:482]のローカルホモロジーアルゴリズムを用いて、Neddleman and Wunsch(1970)[J.Mol.Biol.48:443]のローカルホモロジーアルゴリズムを用いて、Pearson and Lipman(1988)[Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444]の類似性検索法を用いて、またはこれらのアルゴリズムを使用するコンピュータソフトウェア(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA、または比較ソフトウェアBLAST NRもしくはBLAST Pによって)を用いて、行われ得る。
2つの核酸配列またはアミノ酸配列の間のパーセンテージ同一性は、2つの最適にアラインメントされた配列を比較することによって測定され、ここで、比較する核酸配列またはアミノ酸配列は、それらの2つの配列間の最適なアラインメントのために参照配列と比べて付加または欠失を有し得る。パーセンテージ同一性は、アミノ酸、ヌクレオチドまたは残基が2つの配列の間(例えば、2つの完全な配列の間)で同一である位置の数を測定し、その同一の位置の数をアラインメント範囲内の位置の総数で除算し、その結果に100を乗算することによって計算され、それにより、それらの2つの配列間のパーセンテージ同一性が得られる。
例えば、サイトhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/gorf/bl2.htmlにおいて利用可能なBLASTプログラムである「BLAST2配列」(Tatusovaら、“Blast 2 sequences−a new tool for comparing protein and nucleotide sequences”,FEMS Microbiol.,1999,Lett.174:247−250)が、デフォルトのパラメータ(とりわけ、パラメータ「オープンギャップペナルティ」:5および「伸長ギャップペナルティ」:2;選択される行列は、例えば、そのプログラムが提案する「BLOSUM62」行列である)を用いて使用され得る;比較する2つの配列間のパーセンテージ同一性は、そのプログラムによって直接計算される。
参照アミノ酸配列に対して少なくとも80%、例えば、85%、90%、95%および98%の同一性を示すアミノ酸配列の場合、好ましい例としては、その参照配列、ある特定の改変、とりわけ、少なくとも1つのアミノ酸の欠失、付加もしくは置換、切断または伸長を含むものが挙げられる。1つもしくは複数の連続したまたは連続していないアミノ酸の置換の場合、置換されるアミノ酸が「等価な」アミノ酸によって置き換えられる置換が好ましい。本明細書において、表現「等価なアミノ酸」は、構造的なアミノ酸のうちの1つの代わりに用いられる可能性があるがしかしながら対応する抗体および下記で定義される特定の例の生物学的活性を改変しない、任意のアミノ酸のことを示すと意味される。
本発明は、実施例1〜2に記載されるようにATCC Patent Deposit Designation PTA−11994(2011年7月29日発行)として2011年7月13日にAmerican Type Culture Collection(ATCC,10801 University Blvd,Manassas,VA,USA)に寄託されたマウスハイブリドーマ細胞系によって産生される抗体を提供する。他の好適な抗体は、当該分野で公知であるような細胞系、混合細胞系、不死化細胞または不死化細胞のクローン集団によって産生され得る。例えば、Ausubelら(Ed.),Current Protocols in Molecular Biology,(John Wiley & Sons,Inc.,New York,N.Y.(1987−2001));Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,(Cold Spring Harbor,N.Y.(1989))およびSambrookら、Molecular Cloning−−A Laboratory Manual(3rd Ed.),Vol.1−3,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.,2000(ひとまとめにして「Sambrook」);Harlow and Lane,Antibodies,A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor,N.Y.(1989));Colliganら(Eds.),Current Protocols in Immunology,(John Wiley & Sons,Inc.,N.Y.(1994−2001));Colliganら、Current Protocols in Protein Science,(John Wiley & Sons,NY,N.Y.,(1997−2001))(各々その全体が参照により本明細書に援用される)を参照のこと。
本発明によって提供される抗体を作製するための1つのアプローチにおいて、ハイブリドーマは、好適な不死細胞系(例えば、ミエローマ細胞系)を種々の抗体産生細胞のうちの1つと融合することによって作製される。好適な不死細胞系としては、Sp2/0、Sp2/0−AG14、P3/NS1/Ag4−1、NSO、P3X63Ag8.653、MCP−11、S−194、ヘテロミエローマ、その融合産物またはそれらから得られる任意の細胞もしくは融合細胞、あるいはこの目的のために当該分野で公知および/または商業的に入手可能(例えば、ATCC)であるような他の任意の好適な細胞系が挙げられるがこれらに限定されない。好適な抗体産生細胞としては、単離されたもしくはクローン化された脾臓、末梢血、リンパ、扁桃または他の免疫細胞もしくはB細胞を含む細胞、あるいは内在性核酸もしくは異種核酸として、組換えもしくは内在性、ウイルス、細菌、藻類、原核生物、両生類、昆虫、爬虫類、魚類、哺乳動物、げっ歯類、ウマ、ヒツジ(ovine)、ヤギ、ヒツジ(sheep)、霊長類、真核生物の、ゲノムDNA、cDNA、rDNA、ミトコンドリアDNAもしくはRNA、葉緑体DNAもしくはRNA、hnRNA、mRNA、tRNA、一本鎖、二本鎖もしくは三本鎖、ハイブリダイズしたものなどとして、またはそれらの任意の組み合わせとして、重鎖または軽鎖の定常または可変またはフレームワークまたはCDR配列を発現している他の任意の細胞が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Ausubel,前出およびColligan,Immunology,前出,Chapter 2(それらの全体が参照により本明細書に援用される)を参照のこと。
上に記載された様々な実施形態の抗体を作製するための他のアプローチとしては、ペプチドライブラリーまたはタンパク質ライブラリー(Cambridge antibody Technologies,Cambridgeshire,UK;MorphoSys,Martinsreid/Planegg,Del.;Biovation,Aberdeen,Scotland,UK;BioInvent,Lund,Sweden;Dyax Corp.,Enzon,Affymax/Biosite;Xoma,Berkeley,Calif.;Ixsys;Applied Molecular Evolution;などから商業的に入手可能なライブラリーを含む)から組換え抗体を選択する方法;選択可能なヒト抗体セットを産生することができるトランスジェニック動物の免疫に依存する方法(一般に、これらのマウスは、機能的に再配列されるかまたは機能的な再配列を起こし得る少なくとも1つのヒト免疫グロブリン遺伝子座由来のDNAを含む少なくとも1つの導入遺伝子を含み;そのようなマウスは、内在性遺伝子によってコードされる抗体を産生する能力を削除するためにその動物における内在性の免疫グロブリン遺伝子座が破壊され得るかまたは欠失され得る);リボソームディスプレイ、単一細胞抗体産生技術(例えば、選択リンパ球抗体法(selected lymphocyte antibody method)(「SLAM」))およびB細胞選択を含む選択方法;シクロホスファミド(cyclophosamide)処理を用いるサブトラクティブ免疫法;ならびに当該分野において日常的な他の任意の方法(米国出願公開番号2005/0142609に記載されている方法を含むがこれらに限定されない)(これらの方法は、その全体が参照により本明細書に援用される)が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、上記抗体は、最適化された、キメラまたはヒト化完全長抗体であり、それらは、例えば、“Business Insights,Preclinical Development of Monoclonal Antibodies and Related Biologicals−Emerging technologies and new therapeutic candidates,by James Shirvill,2010”のChapter 3、4および5(この全体の内容が参照により援用される)に列挙されているおよび例証されているような公知の手法(例えば:CDR移植、例えば、UBCのSLAM技術、PDLのSMART技術、Arana Therapeutics plcの超ヒト化(Superhumanization)、フレームワークパッチ、混成の(composit)ヒト抗体を作製するための手法、BioAtla LLCのATLAbプラットフォーム、ヒューマニアリング(humaneering)、Mutational Lineage Guided(MLG)ストラテジー、脱免疫(deimmunisation)ストラテジー、ヒューマネーション(humanation)ストラテジー、ヒト操作(human engineering)(例えば、XOMAのHE技術)、FcX、Biolex Therapeutics Inc(Pittsboro,NC,US)LEXシステム、Potelligentアプローチ(例えば、BioWa)、Complegent技術、BestMAb、ImmunoBody、EB66、Synageva Expression Platforms、Xencor Inc.XmAb、糖操作抗体(Sugar Engineered Antibodies)(例えば、Seattle Genetics Inc(Bothell,WA,US))、「Wox」(トリプトファンが酸化された)抗体(例えば、InNexus Biotechnology Inc(Vancouver,BC,Canada));などのいずれか1つまたは組み合わせによって作製され得る。いくつかの実施形態において、上記抗体は、完全ヒトモノクローナル抗体であり、例えば、“Business Insights,Preclinical Development of Monoclonal Antibodies and Related Biologicals−Emerging technologies and new therapeutic candidates,by James Shirvill,2010”のChapter 4に列挙されているおよび例証されているような、ならびに:ファージディスプレイ(例えば、PDL,Dyax Corp;Cambridge,MA,US);分子ベースの抗体スクリーニング(MBAS)(例えば、EP0547201およびUS6,730,483に記載されている、例えば、Affitech A/S);細胞ベースの抗体選択(CBAS)プラットフォーム;ヒトコンビナトリアル抗体ライブラリー(HuCAL;例えば、MorphoSys AG);MAbstractプラットフォーム(例えば、Crucell NV)(PER.C6細胞系を用いるものを含む);Adimabプラットフォーム;XenoMouse;UltiMAbプラットフォーム;SEBVIプラットフォーム;VelocImmuneプラットフォーム、Open Monoclonal Technologyプラットフォーム、Xenerexプラットフォーム;Cloning the Human Responseプラットフォーム(例えば、IQ Therapeutics)および「Instant Immunity抗体」;Viventiaプラットフォーム(例えば、Fusogenics,UnLock,ImmunoMine);「Natural Human Antibodies」プラットフォーム(例えば、OncoMab,Patrys,Acceptys);MabIgX(例えば、Kenta Biotech);Reverse Translational Medicineプラットフォーム(例えば、Neuimmune Therapeutics);I−STAR(例えば、Theraclone Sciences);CellSpot(例えば、Trellis Bioscience);iBioLaunch(例えば、iBio Inc.);などを含むがこれらに限定されない、プラットフォーム技術のうちの1つまたは組み合わせによって作製され得る。
いくつかの実施形態において、上記抗体は、“Business Insights,Preclinical Development of Monoclonal Antibodies and Related Biologicals−Emerging technologies and new therapeutic candidates,by James Shirvill,2010”のChapter 5に記載されているようなプラットフォーム技術および方法(抗体薬結合体(例えば、ADC,Seattle Genetics);標的化抗体ペイロード(targeted antibody payload)(TAP;Immunogen Inc);プロボディ(Probodies)(例えば、CytomX Therapeutics);抗体クローキング(antibody cloaking)(例えば、BioTransformations);標的化光線力学的療法(例えば、PhotoBiotics;AlbudAb(例えば、GSK);hyFc(例えば、Genexine);リガンド捕捉(例えば、BioLogix);CovX−Body(例えば、CovX);Dynamic Cross−Linking(例えば、InNexus Biotechnology);LEC Technology(例えば、Pivotal BioSciences,Morphotek);などを含む)のうちの1つもしくは複数を使用して、それらを非抗体物質に連結することによって改変される。
いくつかの実施形態において、上記抗体またはそのコードcDNAは、さらに改変され得る。したがって、さらなる実施形態において、本発明は、様々な実施形態の抗体を作製する方法を提供し、ここで、その方法は、キメラ抗体、ヒト化抗体またはそれらのいずれか1つのアナログを作製する工程のうちのいずれか1つを包含する。いくつかの実施形態において、キメラ抗体の作製は、国際出願WO89/09622に記載されているとおりである。ヒト化抗体を作製するための方法は、例えば、米国特許第6,548,640号またはカナダ特許第1340879号(CDR移植)に記載されている。
さらに、上記抗体またはそのコードcDNAは、さらに改変され得る。したがって、さらなる実施形態において、本発明は、一本鎖抗体、Fabフラグメント、二重特異的抗体、融合抗体、標識抗体またはそれらのいずれか1つのアナログを作製する工程のうちのいずれか1つを包含する方法を提供する。上で論じたように、本発明の抗体は、完全な抗体に加えて、例えば、Fv、FabおよびF(ab)2ならびに一本鎖を含む種々の形態で存在し得る。例えば、国際出願WO88/09344を参照のこと。さらに、ダイアボディおよびV様ドメイン結合分子も当業者に周知である;例えば、米国特許第7,166,697号を参照のこと。
いくつかの実施形態において、上記抗体(例えば、DC8E8)は、改変されるか、またはDC8E8抗体に対して記載された抗原結合特性の1つもしくは複数を有する結合分子を作製するための根拠となる。これらの結合タンパク質は、例えば、“Business Insights,Preclinical Development of Monoclonal Antibodies and Related Biologicals−Emerging technologies and new therapeutic candidates,by James Shirvill,2010”のChapter 6に列挙されているおよび例証されている手法の1つもしくは複数によって作製され得、その結合タンパク質には、Fab,TetraMAB(例えば、Galileo Oncologics);scFv;Immuna(例えば、ESBA Tech AG);[scFv]2(DC8E8の4つの治療用エピトープのうちの任意の2つに結合する結合分子を含む);BiTE(Affitech,Micromet AG);アビボディ(Avibodies)(例えば、Avipep Pty);TandAb(例えば、Affimed Therapeutics);フレキシボディ(Flexibody)(例えば、Affimed);V−NAR(例えば、AdAlta);ナノボディ(Nanobody)(Ablynx NV);ドメイン抗体(Domain Antibodies)(例えば、Diversys Ltd.GSK,米国特許第6,248,516号および欧州特許第0368684号);ヘテロポリマー(Heteropolymer)(例えば、Elusys Therapeutics Inc.);ユニボディ(Unibody)(例えば、GenMab A/S);ドメイン交換抗体(Domain Exchanged Antibodies)(例えば、Calmune Corporation,Science.2003 Jun 27;300(5628):2065−71);小モジュール免疫薬(Small Modular ImmunoPharmaceuticals)(SMIP)およびSCORPION分子(例えば、Trubion Pharmaceuticals);二重可変ドメイン免疫グロブリン(Dual Variable Domain Immunoglobulin,DVD−Ig)(Abbott Laboratories);などが含まれる。
本発明の抗体またはそれらの対応する免疫グロブリン鎖は、例えば、アミノ酸の欠失、挿入、置換、付加および/もしくは組換えならびに/または当該分野で公知の他の任意の改変を単独でまたは組み合わせて使用することによって、当該分野で公知の従来の手法を使用してさらに改変され得る。例えば、下記にさらに提供される実施例を参照のこと。そのような改変を、免疫グロブリン鎖のアミノ酸配列の基礎をなすDNA配列に導入するための方法は、当業者に公知である。例えば、Sambrook(前出)およびAusubel(前出)を参照のこと。本発明の抗体の改変は、1つもしくは複数の構成アミノ酸における化学的および/または酵素的な誘導体化(側鎖の改変、骨格の改変、ならびにNおよびC末端の改変(アセチル化、ヒドロキシル化、メチル化、アミド化および炭水化物または脂質部分、コファクターの結合または除去を含む)を含む)などを含む。同様に、本発明は、カルボキシル末端において異種分子(例えば、免疫賦活性リガンド)に融合された、記載される抗体またはいくつかのそのフラグメントをアミノ末端に含むキメラタンパク質の作製を包含する。対応する技術的詳細については、例えば、国際出願WO00/30680(その全体が参照により本明細書に援用される)を参照のこと。
形質転換された宿主は、当該分野で公知の手法に従って、発酵槽において生育され、培養されることにより、最適な細胞の成長を達成することができる。いったん発現されたら、本発明のホール抗体、その二量体、個別の軽鎖および重鎖または他の免疫グロブリン形態は、当該分野の標準的な手順(硫安塩析、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などを含む)に従って精製され得る;Scopes,“Protein Purification”,Springer Verlag,N.Y.(1982)を参照のこと。次いで、その抗体またはその対応する免疫グロブリン鎖は、成長培地、細胞溶解産物または細胞膜画分から単離され得る。例えば、本発明によって提供される組換え的に発現された抗体または免疫グロブリン鎖の単離および精製は、任意の従来の手段(例えば、本発明の抗体の定常領域に対するモノクローナルまたはポリクローナル抗体の使用を含むもののような、分取クロマトグラフィー分離および免疫学的分離)によって行われ得る。
少なくとも約90〜95%の均一性という実質的に純粋な免疫グロブリンが好ましく、98〜99%またはそれ以上の均一性が、薬学的用途にとって最も好ましい。部分的にまたは所望のとおりの均一性に精製されたら、次いで、その抗体は、治療的に(体外的(extracorporally)を含む)、またはアッセイ手順を開発するおよび実施する際に、使用され得る。
本発明は、薬物標的化およびイメージングの用途などの目的のために他の部分に結合された抗体も提供する。そのような結合は、その抗体を発現させた後に結合部位に対して化学的に行われ得るか、または本発明の抗体になるようにDNAレベルで結合産物が操作され得る。次いで、そのDNAが、好適な宿主系において発現され、発現されたタンパク質が、回収され、必要であれば再生される。
本発明は、本発明の抗体またはその対応する免疫グロブリン鎖を発現することができる細胞を作製するための方法も含み、その方法は、本発明のポリヌクレオチドまたはベクターで細胞を遺伝的に操作する工程を包含する。本発明の方法によって入手可能な細胞は、例えば、本発明の抗体とその抗原との相互作用を試験するために使用され得る。
本発明は、本発明によって提供される抗体の供給源として、抗体を産生する細胞系および組換え細胞も提供する。本発明はさらに、本発明によって提供される抗体または等価な結合分子を含む診断アッセイおよびキット、ならびにそれらに基づく治療方法に関する。
本発明は、DC8E8と競合することができ、病理学的タウ−タウ相互作用を阻害することもできる抗体を作製するための方法も提供する。それらの抗体は、タウへの結合および本明細書中で同定される「治療用エピトープ」の1、2、3つまたは4つすべてへの結合についてDC8E8と十分に競合する能力によってスクリーニングされ得る。
本発明は、本発明によって提供される抗体ベースの物質の1つもしくは複数をコードするポリヌクレオチドにも関する。ある特定の場合において、そのヌクレオチドは、例えば、少なくとも、上に記載された抗体の免疫グロブリン鎖の結合ドメインまたは可変領域をコードする。代表的には、ポリヌクレオチドによってコードされる前記可変領域は、前記抗体の可変領域のVHおよび/またはVLの少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含む。当業者は、抗体の各可変ドメイン(重鎖VHおよび軽鎖VL)が、4つの比較的保存されたフレームワーク領域または「FR」に隣接される3つの超可変領域(時折、相補性決定領域または「CDR」と呼ばれる)を含み、それが抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基のことを指すことを承知している。Kabatのナンバリングシステムによると、ヒトIgGサブタイプの抗体の超可変領域またはCDRは、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)によって記載されているように、軽鎖可変ドメインに残基24〜34(L1)、50〜56(L2)および89〜97(L3)ならびに重鎖可変ドメインに31〜35(H1)、50〜65(H2)および95〜102(H3)のアミノ酸残基、ならびに/またはChothiaら、J.Mol.Biol.196(1987),901−917によって記載されているように、超可変ループの残基、すなわち、軽鎖可変ドメインに残基26〜32(L1)、50〜52(L2)および91〜96(L3)ならびに重鎖可変ドメインに26〜32(H1)、53〜55(H2)および96〜101(H3)を含む。IMGTユニークナンバリングシステムでは、保存されたアミノ酸は常に、同じ位置、例えば、システイン23(第1CYS)、トリプトファン41(保存TRP)、疎水性アミノ酸89、システイン(cystein)104(第2CYS)、フェニルアラニンまたはトリプトファン118(J−PHEまたはJ−TRP)を有する。例えば、Lefranc M.−P.,Immunology Today 18,509(1997);Lefranc M.−P.,The Immunologist,7,132−136(1999);Lefranc,M.−P.,Pommie,C.,Ruiz,M.,Giudicelli,V.,Foulquier,E.,Truong,L.,Thouvenin−Contet,V.and Lefranc,Dev.Comp.Immunol.,27,55−77(2003)を参照のこと。IMGTユニークナンバリングは、フレームワーク領域(FR1−IMGT:1〜26位、FR2−IMGT:39〜55位、FR3−IMGT:66〜104位およびFR4−IMGT:118〜128位)および相補性決定領域:CDR1−IMGT:27〜38位、CDR2−IMGT:56〜65位およびCDR3−IMGT:105〜117位の標準化された境界を提供する。IMGTユニークナンバリングは、IMGT Colliers de Perlesと命名された2Dグラフ表示において使用される。例えば、Ruiz,M.and Lefranc,M.−P.,Immunogenetics,53,857−883(2002);Kaas,Q.and Lefranc,M.−P.,Current Bioinformatics,2,21−30(2007)を参照のこと。それは、3D構造を表示するためにも使用される。例えば、IMGT/3Dstructure−DB Kaas,Q.,Ruiz,M.and Lefranc,M.−P.,T cell receptor and MHC structural data.Nucl.Acids.Res.,32,D208−D210(2004)を参照のこと。フレームワークまたはFR残基は、超可変領域以外の、および超可変領域を考慮の対象外に置いた、可変ドメイン残基である。
好ましい配列との最適なアラインメントの後に少なくとも80%、例えば、85%、90%、95%および98%のパーセンテージ同一性を示す核配列は、参照核配列に関して、とりわけ規則的な、ある特定の改変(例えば、特に、欠失、切断、伸長、キメラ融合および/または置換)を示す核配列のことを意味する。いくつかの実施形態において、これらは、参照配列と同じアミノ酸配列をコードする配列(これは、遺伝暗号の縮重に関する)、または例えば、高度にストリンジェントな条件(とりわけ下記で定義される条件)下において、参照配列と特異的にハイブリダイズする可能性がある相補性配列である。
高度にストリンジェントな条件下におけるハイブリダイゼーションは、温度およびイオン強度に関する条件が、2つの相補性DNAフラグメント間でのハイブリダイゼーションの維持を可能にするような方法で選択されることを意味する。純粋に例証的に、上に記載されたポリヌクレオチドフラグメントを定義する目的のハイブリダイゼーション工程の高度にストリンジェントな条件は、以下のとおりの条件であることが好都合である。
DNA−DNAまたはDNA−RNAハイブリダイゼーションは、2つの工程において行われる:(1)5×SSC(1×SSCは、0.15M NaCl+0.015Mクエン酸ナトリウムの溶液に対応する)、50%ホルムアミド、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、10×Denhardt’s、5%デキストラン硫酸および1%サケ精子DNAを含むリン酸緩衝液(20mM,pH7.5)中、42℃での3時間にわたるプレハイブリダイゼーション;(2)プローブの長さに応じた温度(すなわち:>100ヌクレオチド長のプローブの場合、42℃)における20時間にわたる第1のハイブリダイゼーションに続く、2×SSC+2%SDS中、20℃での2回の20分間の洗浄、0.1×SSC+0.1%SDS中、20℃での1回の20分間の洗浄。最後の洗浄は、>100ヌクレオチド長のプローブの場合、0.1×SSC+0.1%SDS中、60℃において30分間行われる。規定のサイズのポリヌクレオチドに対する上に記載された高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、それよりも長いまたは短いオリゴヌクレオチドに対して、Sambrookら(Molecular cloning:a laboratory manual,Cold Spring Harbor Laboratory;3rd edition,2001)に記載されている手順に従って、当業者によって適合され得る。
抗原に対する抗体の親和性またはアビディティーは、任意の好適な方法;例えば、Pope ME,Soste MV,Eyford BA,Anderson NL,Pearson TW.(2009)J Immunol Methods.341(1−2):86−96を参照のことおよび本明細書中に記載される方法を使用して実験的に測定され得る。特定の抗体抗原相互作用の測定された親和性は、異なる条件下、例えば、塩濃度、pHにおいて測定された場合、変動し得る。したがって、親和性および他の抗原結合パラメータ、例えば、K sub D、IC50の測定は、例えば、抗体および抗原の標準液ならびに標準化された緩衝液を用いて行われる。
本発明は、上に記載された可変ドメインを有する抗体の可変ドメインが、所望の特異性および生物学的機能の他のポリペプチドまたは抗体の構築のために使用され得ることも提供する。したがって、本発明は、上に記載された可変ドメインの少なくとも1つのCDRを含み、添付の実施例に記載される抗体と実質的に同じまたは類似の結合特性を有利に有する、ポリペプチドおよび抗体も包含する。当業者は、本明細書中に記載される可変ドメインまたはCDRを使用して、当該分野で公知の方法に従って、例えば、欧州特許出願EP0451216A1およびEP0549581A1に記載されているように抗体が構築され得ることを認識するだろう。さらに、当業者は、結合親和性が、Kabatによって定義されたようなCDRと部分的に一部重複する、CDR内または超可変ループ内(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196(1987),901−917)でアミノ酸置換を行うことによって高められ得ることを承知している。したがって、本発明は、言及されたCDRの1つもしくは複数が、1つもしくは複数の(例えば、多くとも2つの)アミノ酸置換を含む抗体にも関する。いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、図3Bおよび3Eに示されるような可変領域の2つまたは3つすべてのCDRをその免疫グロブリン鎖の一方または両方に含む。いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、図25Bに示されるような2つまたは3つすべてのCDRをその免疫グロブリン鎖の一方または両方に含む。
上に記載された抗体をコードするポリヌクレオチドまたは核酸は、例えば、DNA、cDNA、RNA、または合成的に生成されたDNAもしくはRNA、あるいは任意のそれらのポリヌクレオチドを単独でまたは組み合わせて含む組換え的に生成されたキメラ核酸分子であり得る。いくつかの実施形態において、そのポリヌクレオチドは、ベクターの一部である。そのようなベクターは、さらなる遺伝子(例えば、好適な宿主細胞においておよび好適な条件下において前記ベクターの選択を可能にするマーカー遺伝子)を含み得る。
いくつかの実施形態において、上記ポリヌクレオチドは、原核細胞または真核細胞内での発現を可能にする1つもしくは複数の発現調節配列に作動可能に連結される。前記ポリヌクレオチドの発現は、ポリヌクレオチドから翻訳可能なmRNAへの転写を含む。真核細胞、例えば、哺乳動物細胞内での発現を確実にする調節エレメントは、当業者に公知である。それらは通常、転写の開始を確実にする制御配列、ならびに必要に応じて、転写の終結および転写物の安定化を確実にするポリ−Aシグナルを含む。さらなる調節エレメントは、転写エンハンサーならびに翻訳エンハンサー、および/または天然に関連するもしくは異種のプロモーター領域を含み得る。
この点において、当業者は、少なくとも軽鎖および/または重鎖の可変ドメインをコードするポリヌクレオチドが、両方の免疫グロブリン鎖または一方だけの可変ドメインをコードし得ることを認識するだろう。同様に、前記ポリヌクレオチドは、同じプロモーターの支配下であり得るか、または発現について別々に制御され得る。原核生物宿主細胞内での発現を可能にする可能性のある調節エレメントは、例えば、大腸菌におけるPL、lac、trpまたはtacプロモーターを含み、真核生物宿主細胞内での発現を可能にする調節エレメントに対する例は、酵母におけるAOX1もしくはGAL1プロモーター、または哺乳動物細胞および他の動物細胞におけるCMV−、SV40−、RSV−プロモーター、CMV−エンハンサー、SV40−エンハンサーもしくはグロビンイントロンである。
転写の開始に関与するエレメントに加えて、そのような調節エレメントは、そのポリヌクレオチドの下流に転写終結シグナル(例えば、SV40−ポリ−A部位またはtk−ポリ−A部位)も含み得る。さらに、使用される発現系に応じて、ポリペプチドを細胞内コンパートメントに向かわせることができるかまたはそれを培地に分泌することができるリーダー配列が、そのポリヌクレオチドのコード配列に付加され得、そのリーダー配列は、当該分野で公知である。そのリーダー配列は、適切な段階において、翻訳開始配列および翻訳終結配列、ならびに必要に応じて、翻訳されたタンパク質またはその一部を細胞周辺腔または細胞外の培地に分泌することを指示することができるリーダー配列とともに、構築される。いくつかの実施形態において、異種配列が、所望の特徴、例えば、発現された組換え産物の安定化または簡易化された精製を付与する、CまたはN末端の識別ペプチドを含む融合タンパク質をコードし得る。この文脈において、好適な発現ベクターは、当該分野で公知であり、それらとしては、Okayama−Berg cDNA発現ベクターpcDV1(Pharmacia)、pCDM8、pRc/CMV、pcDNA1、pcDNA3(Invitrogen)およびpSPORT1(GIBCO BRL)が挙げられるがこれらに限定されない。
いくつかの実施形態において、発現調節配列は、真核生物宿主細胞を形質転換することまたはトランスフェクトすることができるベクター内の真核生物のプロモーター系であり得るが、原核生物宿主に対する調節配列も使用できる。いったん、ベクターが適切な宿主に組み込まれると、その宿主は、そのヌクレオチド配列の高レベルの発現に適した条件下で維持され、所望であれば、免疫グロブリン軽鎖、重鎖、軽鎖/重鎖二量体またはインタクトな抗体、結合フラグメントまたは他の免疫グロブリンの形態の回収および精製がその後に続き得る。例えば、Beychok,Cells of Immunoglobulin Synthesis,Academic Press,N.Y.,(1979)を参照のこと。
さらに、本発明は、本発明の抗体の免疫グロブリン鎖の可変ドメインをコードするポリヌクレオチドを;必要に応じて、本発明の抗体の他方の免疫グロブリン鎖の可変ドメインをコードする本発明のポリヌクレオチドと組み合わせて含む、遺伝子操作において従来使用されている、ベクター、特に、プラスミド、コスミド、ウイルスおよびバクテリオファージを提供する。いくつかの実施形態において、前記ベクターは、発現ベクターおよび/または遺伝子導入ベクターもしくはターゲティングベクターである。ウイルス(例えば、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルスまたはウシパピローマウイルス)に由来する発現ベクターは、標的化された細胞集団への本発明のポリヌクレオチドまたはベクターの送達のために使用され得る。当業者に公知の任意の方法が、組換えウイルスベクターを構築するために使用され得る。例えば、Sambrook(前出)およびAusubel(前出)に記載されている手法を参照のこと。あるいは、本発明によって提供されるポリヌクレオチドおよびベクターは、標的細胞への送達用のリポソームに再構成され得る。本発明によって提供されるポリヌクレオチド(例えば、配列および発現調節配列をコードする免疫グロブリン鎖の重鎖および/または軽鎖可変ドメイン)を含むベクターは、細胞宿主のタイプに応じて変化する公知の方法によって宿主細胞に移され得る。例えば、塩化カルシウムトランスフェクションが、原核細胞に対して通常利用されるのに対し、リン酸カルシウム処理またはエレクトロポレーションが、他の細胞宿主に対して使用され得る。
本発明はさらに、本発明によって提供されるポリヌクレオチドまたはベクターで形質転換された宿主細胞に関する。その宿主細胞は、原核細胞または真核細胞であり得る。その宿主細胞内に存在するポリヌクレオチドまたはベクターは、宿主細胞のゲノムにインテグレートされ得るか、または染色体外に維持され得る。宿主細胞は、任意の原核細胞または真核細胞(例えば、細菌、昆虫、真菌、植物、動物またはヒト細胞)であり得る。好ましい真菌細胞は、例えば、Saccharomyces属の細胞、特に、S.cerevisiae種の細胞である。組換え作製手順において使用される宿主に応じて、本発明のポリヌクレオチドによってコードされる抗体または免疫グロブリン鎖は、グリコシル化され得るか、またはグリコシル化され得ない。本発明によって提供されるある特定の抗体、または対応する免疫グロブリン鎖は、最初のメチオニンアミノ酸残基も含み得る。本発明のポリヌクレオチドは、当業者に一般に公知の任意の手法を使用して宿主を形質転換するためまたはトランスフェクトするために使用され得る。さらに、融合された作動可能に連結された遺伝子を調製するための方法、ならびにそれらを例えば哺乳動物細胞および細菌において発現させるための方法は、当該分野で周知である。例えば、Sambrookを参照のこと。それに記載されている遺伝的コンストラクトおよび方法は、本発明によって提供される抗体またはそれらの対応する免疫グロブリン鎖を真核生物または原核生物の宿主において発現させるために利用され得る。通常、挿入されたポリヌクレオチドの効率的な転写を促すプロモーター配列を含む発現ベクターが、宿主とともに使用される。その発現ベクターは、代表的には、複製起点、プロモーターおよびターミネーター、ならびに形質転換された細胞の表現型選択を提供することができる特定の遺伝子を含む。DNA配列に対する好適な起源細胞ならびに免疫グロブリンの発現および分泌のための宿主細胞は、いくつかの供給源(例えば、American Type Culture Collection(“Catalogue of Cell Lines and Hybridomas”,Fifth edition(1985)Manassas,VA,U.S.A.および参照により本明細書に援用される他の入手可能なバージョン)から得ることができる。さらに、本発明の細胞を含むトランスジェニック動物、例えば、哺乳動物が、本発明の抗体の大規模作製のために使用され得る。
さらに、ある特定の抗体について、重鎖CDR3(HCDR3)が、より高い程度の可変性を有する領域であり、抗原抗体相互作用において主に関与することが頻繁に観察されているので、本発明は、小ペプチド(上に記載されたような結合分子を含む小ペプチド、例えば、言及された抗体のいずれか1つの可変領域のCDR3領域、特に、重鎖のCDR3を含む小ペプチドを含む)を包含する。そのようなペプチドは、合成されるかまたは組換え手段によって生成されることにより、本発明に係る有用な結合物質を生成し得る。そのような方法は、当業者に公知である。ペプチドは、例えば、商業的に入手可能な自動ペプチド合成装置を使用して、合成され得る。それらのペプチドは、そのペプチドを発現するDNAを発現ベクターに組み込み、その発現ベクターで細胞を形質転換してそのペプチドを産生させることによる組換え手法によっても生成され得る。
上に記載された融合タンパク質はさらに、スペーサー部分と呼ばれ得る、切断可能なリンカーまたはプロテイナーゼに対する切断部位を含み得る。これらのスペーサー部分はさらに、不溶性または可溶性であり得(Dienerら、Science 231(1986),148)、標的部位においてその抗体からの薬物の放出を可能にするように選択され得る。免疫療法のために本発明の抗体に結合され得る治療薬の例は、薬物、放射性同位体、レクチンおよびトキシンである。本発明の抗体および抗原に結合体化され得る薬物には、古典的に薬物と称される化合物(例えば、マイトマイシンC、ダウノルビシンおよびビンブラスチン)が含まれる。例えば、免疫療法のための放射性同位体的に結合体化された本発明の抗体または抗原を使用する際、ある特定の同位体が、白血球分布ならびにアイソタイプの安定性および放射のような因子に応じて他のものよりも好ましい場合がある。自己免疫性応答に応じて、いくつかの放射体が他のものよりも好ましい場合がある。通常、アルファおよびベータ粒子を放射する放射性同位体が、免疫療法において好ましい。ある特定の好ましい場合において、放射性同位体は、212Biなどの短距離高エネルギーアルファ放射体である。治療目的のために本発明の抗体または抗原に結合され得る放射性同位体の例は、125I、131I、90Y、67Cu、212Bi、212At、211Pb、47Sc、109Pdおよび188Reである。ある特定の場合において、放射標識は、64Cuである。本発明の抗体または抗原に結合され得る他の治療薬、ならびにエキソビボおよびインビボにおける治療的プロトコルは、公知であるか、または当業者によって確かめられ得る。適切な場合には必ず、当業者は、タンパク質性材料自体の代わりに、上に記載された抗体、抗原のいずれか1つをコードする本発明のポリヌクレオチド(およびそれに対する供給源として)または対応するベクターを使用し得る。
本発明は、被験体内での誤無秩序タウおよび/もしくは誤秩序タウの形成を抑制するため、またはそれらのタウのレベルを別途低下させるためにインビボにおいて使用するための組成物の調製のため;あるいは体液からの病理学的タウ化合物またはそれらの前駆体を体外抽出するための、本明細書中に提供されるような結合分子または抗体の使用にも関する。これらの方法は、認知を改善するため、または疾患に関連する認知低下を遅らせるかもしくは逆転させるために使用され得る。本発明によって提供される抗体もしくは結合分子またはそれらの化学的誘導体は、血液またはCSFに直接投与され、その後の工程において、親和性捕捉によってその血液またはCSFから隔離され得る(それにより、誤秩序タウおよび誤無秩序タウは、上述の結合分子とともに隔離される)。それゆえ、本発明は、被験体におけるアルツハイマー病または関連タウオパチーの発生または進行を処置するまたは予防する方法にも関し、その方法は、血液またはCSFを被験体の身体から取り出す工程、その血液およびCSFを曝す工程、およびそのように得られた血液およびCSFをそれぞれその被験体に戻す工程を包含する。
本発明の抗体、ペプチドまたは結合分子/タンパク質を含む分子および粒子は、診断的有用性も有する。本発明は、異なる段階のアルツハイマー病に存在する異なる形態のタウタンパク質を認識するおよび区別する抗体を提供する。これらの抗体は、インビトロとインビボの両方において、タウ(およびその様々なコンフォーメーション変化)を検出することができる。それらの抗体は、生化学的、免疫沈降、ELISA、ウエスタンブロッティングおよび免疫組織化学アッセイ(例えば、新鮮、固定、凍結、パラフィン包埋)をはじめとした種々のアッセイ、ならびに例えば、生理学的タウを病理学的タウと区別する放射性標識されたDC8E8(一本鎖DC8E8などのDC8E8のフラグメントを含む)を使用するインビボイメージングにおいて生理学的タウと病理学的タウとを区別し得る(実施例を参照のこと)。それらは、固体と流体の両方(例えば、血液、血漿、CSF、ホモジネート)、動物(例えば、げっ歯類、ヒト)サンプルおよび生検材料において、そのように行うことができる。これらの検出アッセイのいくつかは、下記の実施例に記載される。タンパク質を検出するための他の日常的な方法は、当業者に公知であり、ゆえに、本発明によって提供される抗体、ペプチドおよびタウ結合分子に対して通例のとおり適合され得る。本発明の抗体は、標識され得(例えば、蛍光、放射性、酵素、核磁気、重金属)、インビトロにおける免疫化学様アッセイを含むインビボまたはインビトロにおいて、特定の標的を検出するために使用され得る(例えば、下に記載される実施例を参照のこと)。また、インビボにおいて、それらは、誤無秩序タウおよびその沈着物を有する組織、細胞または他の材料を検出する核医学イメージング法に類似の様式で使用され得る。MRIまたはPETによって検出可能な診断的イメージングプローブを用いた細胞内および細胞外の誤無秩序タウおよび神経原線維病変の標的化は、ADのより決定的な死前(premortem)診断のための生物学的マーカー、ならびにタウタンパク質を標的化する治療の有効性をモニターするための手段を提供し得る。したがって、本発明は、タウ検出のための組成物を調製するための、およびタウ検出の方法における、ならびに/またはAD診断のために脳の病理学的タウおよび神経原線維病変に診断用薬剤を標的化するための、本明細書中に記載される抗体の使用を提供する。これらの組成物および方法は、ADおよび関連タウオパチーに対する処置プロトコルの一部として使用され得る。
本発明は、抗体が液相において利用可能であり得るかまたは固相キャリアに結合され得るイムノアッセイにおける使用に適した抗体を提供する。本発明の抗体を利用し得るイムノアッセイの例は、直接的または間接的な形式での競合および非競合イムノアッセイである。そのようなイムノアッセイの例は、ラジオイムノアッセイ(RIA)、サンドイッチ(イムノメトリックアッセイ)、フローサイトメトリーおよびウエスタンブロットアッセイである。本発明の抗体は、多くの種々のキャリアのうちの1つに結合され得、それに特異的に結合する細胞を単離するために使用され得る。公知のキャリアの例としては、ガラス、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、デキストラン、ナイロン、アミロース、天然および変性セルロース、ポリアクリルアミド、アガロースならびに磁鉄鉱が挙げられる。そのキャリアは、本発明の目的のために可溶性または不溶性であり得る。当業者に公知の多くの種々の標識および標識方法が存在する。
本発明において使用され得る標識のタイプの例としては、酵素、放射性同位体および放射性核種、コロイド金属、蛍光化合物、化学発光化合物、ビオチニル基、二次レポーターによって認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体に対する結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)、ならびに化学発光/電気化学発光/生物発光化合物が挙げられる。それらの酵素には、ペルオキシダーゼ(例えば、HRP)、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、α−D−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコースアミラーゼ、炭酸脱水酵素、アセチル−コリンエステラーゼ、リゾチーム、リンゴ酸デヒドロゲナーゼまたはグルコース−6リン酸デヒドロゲナーゼが含まれる。あるいは、その標識は、ビオチン、ジゴキシゲニンまたは5−ブロモ−デスオキシウリジンである。蛍光標識(ローダミン、ランタニド発光体、フルオレセインおよびその誘導体、蛍光色素、ローダミンおよびその誘導体、緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)ならびにその他、ダンシル、ウンベリフェロンを含む)は、本発明によって提供される抗体およびタウ結合タンパク質とも組み合わされ得る。そのような結合体において、本発明の抗体/結合タンパク質は、当業者に公知の方法によって調製され得る。次いで、それらは、直接;スペーサー基もしくは連結基(例えば、ポリアルデヒド、グルタルアルデヒド、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはジエチレントリアミン五酢酸(DPTA))を介して;または他の結合物質(例えば、当該分野で日常的に公知のもの)の存在下において、酵素または蛍光標識と結合され得る。フルオレセイン標識を有する結合体は、例えば、イソチオシアネートとの反応によって調製され得る。ある特定の状況において、その標識またはマーカーも、治療的であり得る。
他の結合体としては、化学発光標識(例えば、ルミノールおよびジオキセタン)、生物発光標識(例えば、ルシフェラーゼおよびルシフェリン)または放射性標識(例えば、ヨウ素123、ヨウ素125、ヨウ素126、ヨウ素133、131、臭素77、テクネチウム99m、インジウム111、インジウム113m、ガリウム67、ガリウム68、ルテニウム95、ルテニウム97、ルテニウム103、ルテニウム105、水銀107、水銀203、レニウム99m、レニウム101、レニウム105、スカンジウム47、テルル121m、テルル122m、テルル125m、ツリウム165、ツリウム167、ツリウム168、フッ素18、イットリウム199およびヨウ素131)が挙げられ得る。直接、または上で言及されたキレート剤(例えば、EDTAまたはDTPA)を介して、放射性同位体(radioisotypes)で抗体を標識するための当業者に公知の既存の方法は、診断用の放射性同位体に対して使用され得る。例えば、クロラミン−T法による[I125]Naでの標識[Hunter W.M.and Greenwood F.C.(1962)Nature 194:495];Crockfordらによって記載されているようなテクネチウム99mでの標識(米国特許第4,424,200号);およびHnatowichによって記載されているようなDTPAを介した結合(米国特許第4,479,930号)を参照のこと。
本発明は、ある個体から血液サンプル、リンパサンプルまたは他の任意の体液サンプルであり得る体液サンプルを得て、抗体抗原複合体の形成を可能にする条件下においてその体液サンプルを本発明の抗体と接触させることによって、その個体における障害を診断するための方法においても使用され得る抗体および他のタウ結合分子も提供する。次いで、そのような複合体の存在および/または量が、当該分野で公知の方法によって測定され、コントロールサンプルにおいて形成されたレベルよりも有意に高いレベルは、試験された個体における疾患の存在を示唆する。したがって、本発明は、本発明の抗体を含むインビトロイムノアッセイに関する。
さらに、本発明は、本発明のタウ結合分子のいずれか1つを使用するインビボイメージング法に関する。例えば、身体の一部の3次元像を生成する医用画像法ポジトロン放出断層撮影法(PET)は、陽電子放射による放射線の検出に基づく。代表的には、生体分子を放射性標識し、例えば、生体分子に、放射性トレーサー同位体を組み込ませる。代表的には血液循環に注入することによって被験体に標識された生体分子を投与すると、放射性標識された生体分子は、目的の組織に集中する。次いで、陽電子放出を検出するイメージングスキャナーに被験体を入れる。1つの実施形態において、標識された(例えば、64Cu標識された)結合分子(例えば、抗体)が被験体に投与され、その被験体をイメージングスキャナーに入れて、陽電子放射を検出することによって、その結合分子およびひいては誤無秩序タウまたは誤秩序タウの検出が行われる(それにより、放出が検出された場合、神経障害が示唆される)。したがって、本発明は、PETイメージングのための方法を包含し、その方法は、64Cuで標識されたまたは等価物で標識された本発明の結合分子を被験体に投与する工程を包含する。
本発明は、上に記載された成分、すなわち、本発明によって提供されるような、結合分子、抗体もしくはその結合フラグメント、ポリヌクレオチド、ベクターまたは細胞のうちの1つもしくは複数で満たされた1つもしくは複数の容器を備える製造品(例えば、薬学的および診断的パックまたはキット)も提供する。医薬品または生物製品の製造、使用または販売を規制する行政機関が指示する形態での警告が、そのような容器に付随され得、その警告は、その機関による、ヒトへの投与に対する製造、使用または販売の承認を反映するものである。さらにまたはあるいは、そのキットは、適切な診断アッセイにおける使用のための試薬および/または指示書を備える。本発明の組成物またはキットは、アルツハイマー病および関連タウオパチーの診断、予防および処置に適している。
本発明によって提供される結合分子、例えば、抗体の生物学的活性は、それらが、それらを細胞または組織への薬物の局在化/薬物の送達のための候補にするのに十分な親和性を有することを示唆する。誤無秩序タウ沈着物への標的化および結合は、治療的または診断的に活性な物質の送達および遺伝子治療/遺伝子送達に有用であり得る。したがって、本発明は、脳の病理学的タウおよび神経原線維病変の検出ならびに/またはそれらへの治療用物質もしくは診断用物質の標的化のための組成物を調製するための、ならびにその検出および/または標的化の方法における、本明細書中に記載される抗体の使用を提供する。これらの組成物および方法は、ADおよび関連タウオパチーに対する処置プロトコルの一部として使用され得る。
したがって、本発明は、結合分子、抗体、結合フラグメント;それらの化学的誘導体;ポリヌクレオチド、ベクターおよび細胞を含む上述の化合物の1つもしくは複数を含む組成物に関する。ある特定の組成物はさらに、1つもしくは複数の薬学的に許容され得るキャリアおよび1つもしくは複数の薬学的に許容され得る希釈剤を含み得る。ある特定の化学的誘導体は、通常、基礎分子または細胞(例えば、抗体、結合分子、ポリヌクレオチド、ベクターおよび細胞)の一部ではないが、日常的な方法によってそれらに連結された、化学部分を含む。そのような部分は、例えば、基礎分子または細胞の溶解性、半減期、可視化、検出性および/または吸収を改善するように機能し得る。あるいは、それらの部分は、基礎分子の望ましくない副作用を減弱し得るか、または基礎分子の毒性を減少させ得る。
本発明は、薬学的組成物の意図される使用に応じて、本明細書中に提供される抗体とさらなる物質(例えば、インターロイキンまたはインターフェロン)との組み合わせを含む薬学的組成物も提供する。例えば、アルツハイマー病の処置において使用する場合、そのさらなる物質は、有機小分子、抗タウ抗体、抗ベータ−アミロイド(amlyoid)抗体およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。他の物質としては、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、NMDAレセプターアンタゴニスト、遷移金属キレート剤、成長因子、ホルモン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、酸化防止剤、脂質低下剤、選択的ホスホジエステラーゼ阻害剤、タウ凝集の阻害剤、タンパク質キナーゼの阻害剤、熱ショックタンパク質の阻害剤、抗アミロイド受動および能動免疫試薬、抗アミロイド凝集阻害剤、ならびにセクレターゼ阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。それゆえ、ある実施形態において、本発明は、アルツハイマー病または関連タウオパチーの進行を処置するためまたは予防するための薬学的組成物または診断用組成物を調製するため;アルツハイマー病または関連タウオパチーに関連する症状を回復させるため;アルツハイマー病または関連タウオパチーの発症についての被験体のリスクを測定するためにアルツハイマー病または関連タウオパチーの存在について被験体を診断するためまたはスクリーニングするための、本発明の結合分子、抗体もしくは結合フラグメント、またはそれらのいずれか1つの実質的に同じ結合特異性を有する結合分子、本発明のポリヌクレオチド、ベクターあるいは細胞の使用に関する。
診断、能動免疫およびAD治療のためのペプチド
本発明は、タウのある特定のフラグメントが、ADのラットモデルに注射されたときの病理学的タウに対する免疫応答の誘導において活性であるという発見に部分的に基づき、ヒトにおいてもそうであると予想され得る。これらの免疫原性タウフラグメント(DC8E8を通じて、ADの発症および進行における促進物質または少なくとも関与物質と上で同定されたタウの領域の1つもしくは複数を含む)は、(i)AD脳内の細胞外タウ沈着物のクリアランスを促進することができる(ラットモデル);(ii)動物モデルにおいてADに対する防御抗体の産生を誘導することができる;ならびに/または(iii)動物モデルにおいて1つもしくは複数の生化学的アッセイおよび神経学的アッセイによって測定されたとき、レシピエント被験体においてADの進行を遅らせることができると見出された。それらはまた、タウがこれらの領域に沿って病理学的タウ−タウ相互作用を形成する能力を物理的に直接干渉し得る。
本発明は、PHFのコアの形成にとって重要でありかつインビトロにおけるPHFの構築を促進する、タウタンパク質の新規に同定された領域に由来する免疫原または免疫原性ペプチドを提供する。これらの領域(「治療用エピトープ」)を戦略的に標的化することによって、ADおよび関連タウオパチーの処置が成功し得る。免疫原は、動物モデル(例えば、下に記載されるトランスジェニックラットモデル)において治療効果についてスクリーニングされ得る。
本発明のある実施形態において、タウペプチドは、例えば、以下のアミノ酸配列(その中に4つの治療用エピトープの各々を別々に含む)のうちの1つを含む:a)配列番号98タウ267−KHQPGGG−273、b)配列番号99タウ298−KHVPGGG−304、c)配列番号100タウ329−HHKPGGG−335およびd)配列番号101タウ361−THVPGGG−367(441残基長である最も長いヒトタウアイソフォームタウ2N4Rに従ってナンバリングされた。配列番号102を参照のこと)。別の実施形態において、タウペプチドは、少なくとも1つの治療用エピトープを含み、ここで、その治療用エピトープは、配列番号223タウ268−HQPGGG−273、配列番号154タウ299−HVPGGG−304、配列番号224タウ330−HKPGGG−335および配列番号154タウ362−HVPGGG−367から選択される。
本発明は、表1に示される配列番号のいずれか1つなどの30アミノ酸長の免疫原を提供する。表1に含まれる免疫原の各1つは、配列番号98、配列番号99、配列番号100および配列番号101の中に位置する治療用エピトープのうちの1つを含むタウの単離されたフラグメントである。
いくつかの実施形態において、免疫原性ペプチドは、配列番号1タウ251−PDLKNVKSKIGSTENLKHQPGGGKVQIINK−280;配列番号2タウ256−VKSKIGSTENLKHQPGGGKVQIINKKLDLS−285;配列番号3タウ259−KIGSTENLKHQPGGGKVQIINKKLDLSNVQ−288;および配列番号4タウ275−VQIINKKLDLSNVQSKCGSKDNIKHVPGGG−304から選択される。
本発明は、ヒトタウタンパク質の6つのアイソフォームのうちのいずれか1つに由来し得る、アミノ酸配列配列番号98 267−KHQPGGG−273またはアミノ酸配列番号99 298−KHVPGGG−304またはアミノ酸配列番号100 329−HHKPGGG−335またはアミノ酸配列番号101 361−THVPGGG−367の1つもしくは複数を含む、本発明において使用するための、それより短いおよび長い免疫原性ペプチドも提供する。1つの実施形態において、免疫原性ペプチドは、少なくとも1つの治療用エピトープを含み、ここで、その治療用エピトープは、配列番号223タウ268−HQPGGG−273、配列番号154タウ299−HVPGGG−304、配列番号224タウ330−HKPGGG−335および配列番号154タウ362−HVPGGG−367から選択される。1つの実施形態において、免疫原性ペプチドは、配列番号109タウ314−DLSKVTSKCGSLGNIHHKPGGGQVEVKSE−342;配列番号110タウ352−SKIGSLDNITHVPGGGNKKIETHKLTFREN−380;配列番号111タウ325−LGNIHHKPGGGQ−336;配列番号112タウ357−LDNITHVPGGGN−368;配列番号108タウ294−305KDNIKHVPGGGSから選択される配列を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの免疫原性ペプチドは、配列番号1〜4、配列番号9〜101および配列番号108〜112、NIKAVPGGGS(配列番号200)、NIKHVPGGGS(配列番号201)、IKHVPGGGS(配列番号202)、KHVPGGGSV(配列番号203)、HVPGGGSVQ(配列番号204)、VPGGGSVQ(配列番号205)、GWSIHSPGGGSC(配列番号250)およびSVFQHLPGGGSC(配列番号251)、ANIKHVPGGGS(配列番号144)、DAIKHVPGGGS(配列番号146)、DNAKHVPGGGS(配列番号149)、DNIAHVPGGGS(配列番号151)、DNIKAVPGGGS(配列番号159)、DNIKHAPGGGS(配列番号161)およびDNIKHVPGGGS(配列番号171)のうちのいずれか1つから選択される。
従来のワクチンがまだ利用可能でない疾患において免疫応答を誘発するためにペプチドベースのワクチンを使用することは、魅力的である(Brown,1994;BenYedidiaら、1997)。しかしながら、多くの場合、小ペプチドは、必要なTh細胞エピトープを欠くかつ/または抗原提示細胞(APC)によって低効率で捕捉されるハプテンとして作用するので、それらは、不十分な免疫原である。本発明の1つの実施形態において、免疫原性エピトープは、他のアミノ酸とともにタウペプチドの防御的エピトープを含むより長いポリペプチドまたはアナログであり得る。
免疫応答を誘導するための本明細書中に記載される物質のいくつかは、病理学的タウおよびタウ沈着物に対する免疫応答を誘導するために適切なエピトープを含むが、免疫原性であるには小さすぎる。この場合、ペプチド免疫原は、免疫応答の誘発を助ける好適なキャリアに連結され得る。ある特定の実施形態において、好適なキャリアとしては、血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン、免疫グロブリン分子、チログロブリン、オバルブミン、破傷風トキソイドもしくは他の病原菌(例えば、ジフテリア、大腸菌、コレラまたはピロリ菌)由来のトキソイド、または弱毒化トキシン誘導体が挙げられる。免疫応答を刺激するためまたは増強するための他のキャリアとしては、サイトカイン(例えば、IL−1、IL−1αおよびβペプチド、IL−2、γINF、IL−10、GM−CSF)およびケモカイン(例えば、M1P1αおよびβならびにRANTES)が挙げられる。免疫原性物質は、O’Mahony,WO97/17613およびWO97/17614に記載されているように、組織を横断した輸送を増強するペプチドにも連結され得る。
免疫原性物質は、化学的架橋によってキャリアに連結され得る。キャリアに免疫原を連結するための手法としては、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジル−チオ)プロピオネート(SPDP)およびスクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)を使用したジスルフィド結合の形成が挙げられる(そのペプチドが、スルフヒドリル基を欠く場合、これは、システイン残基の付加によって提供され得る)。これらの試薬は、それ自体と一方のタンパク質上のペプチドシステイン残基(resides)との間のジスルフィド結合、およびリジン上の.イプシロン.−アミノまたは他のアミノ酸における他の遊離アミノ基を介したアミド結合を作る。種々のそのようなジスルフィド/アミド形成物質は、Immun.Rev.62,185(1982)によって記載されている。他の二機能性カップリング剤は、ジスルフィド結合ではなくチオエーテルを形成する。これらのチオエーテル形成物質の多くは、商業的に入手可能であり、それらとしては、6−マレイミドカプロン酸、2−ブロモ酢酸および2−ヨード酢酸、4−(N−マレイミド−メチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸の反応性エステルが挙げられる。カルボキシル基をスクシンイミドまたは1−ヒドロキシル−2−ニトロ−4−スルホン酸,ナトリウム塩と結合することによって、それらのカルボキシル基は、活性化され得る。
免疫原性ペプチドは、キャリアとの融合タンパク質としても発現され得る。免疫原性ペプチドは、アミノ末端、カルボキシル末端またはペプチド内のどこかの部位において(内部的に)キャリアに連結され得る。いくつかの実施形態において、免疫原性ペプチドの複数のリピートが、融合タンパク質に存在し得る。
例えば、防御的エピトープに対するB細胞応答を誘導するプロミスカスな(promiscuous)非天然Pan DR Th細胞エピトープに連結された防御的B細胞エピトープを有するタウペプチドを含む融合タンパク質を含む免疫原も提供される。さらなる代替物において、本発明は、ポリマー(Jacksonら、1997)、多重抗原ペプチドシステム(MAP)(Tam and Recent,1996)、免疫賦活複合体(ISCOM)(Barr,I.G.and Mitchell,1996)および他の可能性のある分枝状の両性ポリペプチド(Wilkinsonら、1998)またはエピトープの共局在化によって生成されるキメラペプチド(Marussigら、1997)としてデザインされ得る免疫原を提供する。
ある特定の実施形態において、治療用ペプチドは、薬学的に許容され得るキャリア(KLH、破傷風トキソイド、アルブミン結合タンパク質、ウシ血清アルブミン、デンドリマー(MAP;Biol.Chem.358:581)、ならびに例えば、O’Haganら(2003)に記載されているアジュバント物質(特に、それに記載されている内在性免疫増強化合物および分配システム)およびWilson−Weldererら(2009)に記載されているアジュバント物質(特に、前記文書の表2および3に示されているもの)もしくはそれらの組み合わせ、またはそれらの混合物を含む)に結合されているかまたは結合されていない状態で、単独でまたは組み合わせて、適用され得る。
ある特定の実施形態において、本発明の免疫原性物質は、化学的架橋によって好適なキャリアに結合されるかまたは連結されることにより、タウ沈着物を含む病理学的タウに対する免疫応答が増加し得る。ある特定の実施形態において、結合されるまたは連結される薬学的に許容され得るキャリアは、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、破傷風トキソイド、ウシ血清アルブミン(BSA)、免疫グロブリン(Ig)分子、チログロブリンまたはオボグロブリンである。免疫応答を刺激するための他のキャリアとしては、サイトカイン(例えば、IL−1、IL−2、IL−10、IFNγ、GM−CSF)およびケモカイン(例えば、M1P1αおよびβ)が挙げられる。
タウペプチドまたはアナログは、固相ペプチド合成もしくは組換え発現によって合成され得るか、または天然の起源から得ることができる。自動ペプチド合成装置が、数多くの供給業者(例えば、Applied Biosystems、EZBiolabまたはAntagene)から商業的に入手可能である。組換え発現系としては、大腸菌などの細菌、酵母、昆虫細胞または哺乳動物細胞が挙げられ得る。組換え発現のためのDNAの操作および調製DNAコンストラクトのための手順は、Sambrookら(1989)によって記載されており、組換えタンパク質を作製するための方法は、Current Protocols in Protein Science(Chapter 5“Production of Recombinant Proteins”,UNIT5.1−5.24,DOI:10.1002/0471140864(onlinelibrary.wiley.com/book/10.1002/0471140864/tocにおいてオンラインで入手可能でもある))に詳細に記載されている。
本発明の免疫原性物質は、ベクターまたは運搬体としてのウイルスまたは細菌によって発現され得る。免疫原性ペプチドをコードする核酸は、そのウイルスまたは細菌のゲノムまたはエピソームに組み込まれる。最終的には、その免疫原性ペプチドは、分泌タンパク質としてもしくはウイルスの外表面タンパク質との融合タンパク質として発現され得るか、または細菌の膜貫通タンパク質として提示され得る。そのような方法において使用されるウイルスまたは細菌は、通常、非病原性であるか、または減弱されている。好適なウイルスとしては、アデノウイルス、HSV、ベネズエラウマ脳炎ウイルスおよび他のアルファウイルス、水疱性口内炎ウイルスおよび他のラブドウイルス、ワクシニアならびに鶏痘ウイルスが挙げられる。好適な細菌としては、SalmonellaおよびShigellaが挙げられる。あるいは、HBVのHBsAgへの免疫原性ペプチドの融合が好適である。
本発明のさらなる態様は、様々な実施形態に記載される様々なペプチド(例えば、配列番号1〜4;9〜97)またはそれらのフラグメントのアナログでもあり得る治療薬または免疫原に関する。
本発明は、本願においてデザイナー治療用エピトープと命名される新規ペプチドの発見にも基づく。本発明は、タウおよびタウフラグメントの一次配列と異なる一次配列を有するにもかかわらず、上に記載されたタウ「治療用エピトープ」の1つもしくは複数の形状を模倣する形状(例えば、天然無秩序構造、三次構造、コンフォーメーション)を有することができるデザイナー治療用エピトープを特徴とする。これらの領域の1つもしくは複数を模倣することによって、これらのデザイナー治療用エピトープは、それらに対する抗体(例えば、DC8E8と競合する抗体)を作製するために有用であり得る。これらのペプチドは、上で開示されたDC8E8抗体への結合についてタウまたはタウフラグメントと競合することができる。
ADのラットモデルに注射されたとき病理学的タウに対する免疫応答を誘導することができ、かつヒトにおいてもそうであると予想され得る、免疫原性のデザイナー治療用エピトープも含まれる。さらに、1つもしくは複数のデザイナー治療用エピトープによる免疫に応答して産生され、(i)DC8E8のエピトープであるかもしくはDC8E8のエピトープを模倣している1つもしくは複数のエピトープを認識することができる;(ii)病理学的タウと正常タウとを区別することができる;ならびに/または(iii)ヒトAD脳および/もしくはADのトランスジェニックラットモデルにおいて神経原線維病変を認識することができる、マウス抗体/抗血清も開示される。
本発明は、アルツハイマー病の予防、処置および/または診断のための組成物も提供し、ここで、その組成物は、(i)タウ−タウ凝集を阻害することによって被験体におけるアルツハイマー病を処置するための手段;ならびに(2)薬学的に許容され得るキャリアおよび/または希釈剤を含む。本発明は、アルツハイマー病の予防、処置および/または診断のための組成物も提供し、ここで、その組成物は、(i)病理学的タウにおける1つもしくは複数の「治療用エピトープ」に結合することによって被験体におけるアルツハイマー病を処置するための手段;ならびに(2)薬学的に許容され得るキャリアおよび/または希釈剤を含む。本発明は、アルツハイマー病の予防、処置および/または診断のための組成物も提供し、ここで、その組成物は、(i)病理学的タウにおける1つもしくは複数の「治療用エピトープ」に結合することによってタウ−タウ凝集を減少させるための手段;ならびに(2)薬学的に許容され得るキャリアおよび/または希釈剤を含む。
製剤
本発明の物質は、治療薬(例えば、上に記載されたような抗体またはペプチド)および他の薬学的に許容され得る構成要素の1つもしくは複数を含む薬学的製剤として投与され得る。Remington’s Pharmaceutical Science(15th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1980)を参照のこと。これらの製剤には、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、ろう、油、脂質、脂質(陽イオン性または陰イオン性)含有ベシクル(例えば、LIPOFECTIN)、DNA結合体、無水吸収ペースト、水中油型および油中水型エマルション、エマルションカーボワックス(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、およびカーボワックスを含む半固体混合物が含まれる。その製剤中の活性成分が、その製剤によって不活性化されず、その製剤が、投与経路と生理的に適合性でありかつ許容できるならば、前述の混合物のいずれもが、本発明に係る処置および治療において適切であり得る。製薬化学者に公知の製剤、賦形剤およびキャリアに関連するさらなる情報について、Baldrick P.“Pharmaceutical excipient development:the need for preclinical guidance.”Regul.Toxicol.Pharmacol.32(2):210−8(2000)、Wang W.“Lyophilization and development of solid protein pharmaceuticals.”Int.J.Pharm.203(1−2):1−60(2000)、Charman W N“Lipids,lipophilic drugs,and oral drug delivery−some emerging concepts.”J.Pharm Sci.89(8):967−78(2000)、Powellら、“Compendium of excipients for parenteral formulations”PDA J Pharm Sci Technol.52:238−311(1998)およびそれらの引用もまた参照のこと。
多種多様の薬学的に許容され得る賦形剤が、当該分野で公知であり、本明細書中で詳細に論じられる必要がない。薬学的に許容され得る賦形剤は、種々の刊行物(例えば、A.Gennaro(2000)“Remington:The Science and Practice of Pharmacy,”20th edition,Lippincott,Williams,& Wilkins;Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(1999)H.C.Anselら、eds.,7.sup.th ed.,Lippincott,Williams,& Wilkins;およびHandbook of Pharmaceutical Excipients(2000)A.H.Kibbeら、eds.,3ed.Amer.Pharmaceutical Assoc.が挙げられる)に詳しく記載されている。
選択される製剤は、意図される投与様式および治療の用途に依存する。それらの製剤は、動物またはヒトへの投与用の薬学的組成物を製剤化するために通常使用されるビヒクルとして定義される、薬学的に許容可能な無毒性のキャリアまたは希釈剤も含み得る。希釈剤は、その組み合わせの生物学的活性に影響しないように選択される。そのような希釈剤の例は、蒸留水、生理学的リン酸緩衝食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液およびハンクス液である。その薬学的組成物または製剤は、他のキャリア、アジュバントまたは無毒性の非治療的な非免疫原性の安定剤なども含み得る。しかしながら、動物への投与に適したいくつかの試薬(例えば、フロイント完全アジュバント)は、代表的には、ヒトにおいて使用するための組成物に含められない。
好適な薬学的キャリアの例は、当該分野で公知であり、その例としては、リン酸緩衝食塩水溶液、水、エマルション(例えば、油/水エマルション)、様々なタイプの湿潤剤、滅菌された溶液などが挙げられる。そのようなキャリアを含む組成物は、公知の従来の方法によって製剤化され得る。より多くのキャリアが、下記でさらに記載される。
アジュバント
本発明の治療薬である免疫原は、アジュバント、すなわち、それ自体は獲得免疫応答を引き起こさないが付随の抗原に対する応答を増幅するかまたは調節する物質と組み合わせて投与され得る。種々のアジュバントが、免疫応答を誘発するために、本発明において治療用のペプチドおよび抗体と組み合わせて使用され得る。好ましいアジュバントは、応答の質的な形態に影響し得る免疫原のコンフォーメーション変化を引き起こさずに、その免疫原に対する固有の応答を増強する。
ある特定の実施形態において、アジュバントは、アルミニウム塩(ミョウバン)、例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウムおよび硫酸アルミニウムである(Hunter,2002)。そのようなアジュバントは、他の特定の免疫賦活剤(例えば、3−O−脱アシル化モノホスホリルリピドA(MPL)または3−DMP)、重合体または単量体のアミノ酸(例えば、ポリグルタミン酸またはポリリジン)とともに、またはそれら無しで、使用され得る。そのようなアジュバントは、他の特定の免疫賦活剤(例えば、ムラミルペプチド(例えば、N−アセチルムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(nor−MDP)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’ジパルミトイル−sn−−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)、N−アセチルグルコサミニル(acetylglucsaminyl)−N−アセチルムラミル−L−Al−D−イソglu−L−Ala−ジパルミトオキシプロピルアミド(DTP−DPP)theramide(商標))または他の細菌の細胞壁の構成要素とともに、またはそれら無しで、使用され得る。他のアジュバントは、水中油型エマルションであり、それには、(a)Model 110Yマイクロフルダイザー(microfuidizer)(Microfluidics,Newton Mass.)などのマイクロフルダイザーを使用してサブミクロン粒子に製剤化された、5%スクアレン、0.5%Tween80および0.5%Span85を含むMF59(Van Nestらに対するWO90/14837(その全体が参照により援用される))(必要に応じて様々な量のMTP−PEを含む)、(b)サブミクロンエマルションに顕微溶液化されたかまたはより大きな粒径のエマルションを生成するためにボルテックスされた、10%スクアレン、0.4%Tween80、5%プルロニックブロック(bloeked)ポリマーL121およびthr−MDPを含むSAF、ならびに(c)2%スクアレン、0.2%Tween80、ならびにモノホスホリルリピドA(MPL)、トレハロースジミコール酸(TDM)および細胞壁骨格(CWS)からなる群からの1つもしくは複数の細菌の細胞壁の構成要素、例えば、MPL+CWS(Detox.TM.)を含む、Ribi.TM.アジュバントシステム(RAS)(Ribi InunoChem,Hamilton,Mont.)が含まれる。いくつかの実施形態において、アジュバントは、サポニン(例えば、Stimulon(商標)(QS21,Aquila,Worcester,Mass.)またはそれから生成された粒子、例えば、ISCOM(免疫賦活性複合体)およびISCOMATRIXである。他のアジュバントとしては、フロイント完全アジュバント(CFA)およびフロイント不完全アジュバント(IFA)、サイトカイン、例えば、インターロイキン(IL−1、IL−2およびIL−12)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)および腫瘍壊死因子(TNF)が挙げられる。
あるいは、タウペプチドおよびそれらの免疫原性アナログは、アジュバントに結合され得る。例えば、リポペプチドバージョンのタウペプチド「A」は、B型肝炎抗原のワクチン接種について記載されているように(Livingston,J.Immunol.159,1383−1392(1997))、パルミチン酸または他の脂質を、「A」のN末端に直接結合することによって調製され得る。しかしながら、そのような結合は、それに対する免疫応答の性質に影響するようなタウペプチド「A」のコンフォーメーションを実質的に変化させるべきでない。
アジュバントは、単一組成物として免疫原とともに投与され得るか、または免疫原の投与の前、その投与と同時、もしくはその投与の後に投与され得る。免疫原およびアジュバントは、同じバイアルに包装されて供給され得るか、または別個のバイアルに包装されて使用前に混合され得る。免疫原およびアジュバントは、代表的には、意図される治療用途を示す表示とともに包装される。免疫原およびアジュバントが、別個に包装される場合、その包装は、代表的には、使用前に混合するための指示書を含む。アジュバントおよび/またはキャリアの選択は、アジュバントを含む免疫原性製剤の安定性、投与経路、投薬スケジュール、ワクチン接種される種に対するそのアジュバントの有効性に依存し、ヒトにおいては、薬学的に許容され得るアジュバントは、承認されているか、または妥当な規制機関によってヒトへの投与について承認可能であるアジュバントである。例えば、フロイント完全アジュバントは、ヒトへの投与に適していない。しかしながら、ミョウバン、MPLまたはフロイント不完全アジュバント(Changら、Advanced Drug Delivery Reviews 32:173−186(1998)(その全体が参照により本明細書に援用される)は、単独でまたは必要に応じてミョウバン、QS21およびMPLのいずれかならびにそれらのすべての組み合わせと組み合わせて、ヒトへの投与に適している。
薬学的組成物は、ゆっくり代謝される大きな高分子(例えば、タンパク質、キトサンのような多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸および共重合体(例えば、ラテックス官能化セファロース、アガロース、セルロースなど))、アミノ酸の重合体、アミノ酸の共重合体および脂質凝集体(例えば、油滴またはリポソーム)も含み得る。さらに、これらのキャリアは、免疫賦活剤(すなわち、アジュバント)としても機能し得る。
併用
本発明は、本明細書中に記載される抗体およびペプチドを、ADおよび関連タウオパチーのための他の処置と組み合わせる組成物および処置方法を提供する。例えば、現在、タウに関連する治療ストラテジーは、主に、タウキナーゼを阻害するかもしくはホスファターゼを活性化する薬物(Iqbal and Grundke−Iqbal,2004,2005,2007;Nobleら、2005)、微小管を安定化する薬物(Zhangら、2005)、ミスフォールドされたタウタンパク質のタンパク分解性の分解を促す薬物(Dickeyら、2005;Dickey and Petrucelli,2006;Dickeyら、2006)、タウ凝集を妨げるかもしくは逆転させる化合物(Wischikら、1996;Pickhardtら、2005;Taniguchiら、2005;Neculaら、2005;Larbigら、2007)または凝集したタウのワクチン媒介性のクリアランス(Asuniら、2007)に焦点が当てられている。ゆえに、本発明は、多重標的化(例えば、タウとベータ−アミロイドの両方の標的化)が、処置の効率を実質的に高め得ることを提供する。
病理学的な可溶性タウおよび不溶性タウ(タウ沈着物)が脳に存在するアルツハイマー病および関連タウオパチーの場合、本発明の物質は、本発明の物質の血液脳関門を越えた通過を増加させる他の物質とともに投与され得る。
投与方法
タウのレベルを低下させるためまたは本明細書中に記載される予防、処置もしくは診断の任意の方法(インビボ)のための、免疫応答(受動または能動)を誘導するための物質は、予防的および/または治療的な処置のために、非経口、局所的、皮内、静脈内、経口、皮下、腹腔内、鼻腔内または筋肉内の手段によって投与され得る。代表的な投与経路は、皮下であるが、その他のものも等しく有効であり得る。別の代表的な経路は、筋肉内注射である。このタイプの注射は、最も代表的には、腕または脚の筋肉において行われる。静脈内注射、ならびに腹腔内注射、動脈内、頭蓋内または皮内注射もまた、免疫応答を生じさせる際に有効である。いくつかの方法では、沈着物が蓄積している特定の組織に物質が直接注射される。
点鼻製剤などのエアロゾル製剤は、保存剤および等張剤とともに活性な物質の精製された水溶液または他の溶液を含む。そのような製剤は、例えば、鼻の粘膜と適合性のpHおよび等張状態に調整される。直腸または膣への投与用の製剤は、好適なキャリアを用いて坐剤としてもたらされ得る。
非経口投与の場合、本発明の治療用ペプチドは、滅菌された液体(例えば、水、油、食塩水、グリセロールまたはエタノール)であり得る薬学的キャリアとともに、生理的に許容され得る希釈剤中の注射可能な投与量の上記物質の溶液または懸濁液として、投与され得る。さらに、補助物質(例えば、湿潤剤または乳化剤、界面活性物質、pH緩衝物質など)が組成物中に存在し得る。薬学的組成物の他の構成要素は、石油、動物、植物または合成起源の構成要素である。落花生油、ダイズ油および鉱油はすべて、有用な材料の例である。一般に、グリコール(例えば、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール)は、特に、注射可能な溶液にとって好ましい液体キャリアである。本発明の物質は、活性成分の徐放を可能にするような様式で製剤化され得る蓄積注射または埋没調製物の形態でも投与され得る。例示的な組成物は、HClでpH6.0に調整された、50mM L−ヒスチジン、150mM NaClからなる水性緩衝液中に製剤化されたモノクローナル抗体を5mg/mLで含む。
非経口投与用の調製物には、滅菌された水性または非水性の溶液、懸濁液およびエマルションが含まれる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルである。水性キャリアには、食塩水および緩衝媒質を含む、水、アルコール溶液/水溶液、エマルションまたは懸濁液が含まれる。非経口ビヒクルには、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸加リンゲル、または固定油が含まれる。静脈内ビヒクルには、流体および栄養補給剤、電解質補給剤(例えば、リンゲルデキストロースに基づく補給剤)などが含まれる。保存剤および他の添加物、例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤および不活性ガスなどもまた、存在し得る。
代表的には、組成物は、液体の溶液または懸濁液のいずれかとしての注射可能物として調製され;注射前の液体ビヒクルにおける溶解または懸濁に適した固体の形態もまた調製され得る。その調製物は、乳化され得るか、またはリポソームもしくはマイクロ粒子(例えば、上で論じたような、アジュバント効果の増強のためのポリラクチド、ポリグリコリドまたは共重合体)に被包され得る(Langer,Science 249,1527(1990)およびHanes,Advanced Drug Delivery Reviews 28,97−119(1997)を参照のこと)。本発明の物質は、活性成分の徐放もしくはパルス放出を可能にするような様式で製剤化され得る蓄積注射または埋没調製物の形態で投与され得る。
坐剤の場合、結合剤およびキャリアとしては、例えば、ポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドが挙げられ;そのような坐剤は、0.5%〜10%、例えば、1%〜2%の範囲で活性成分を含む混合物から形成され得る。経口製剤は、賦形剤(例えば、薬学的グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロースおよび炭酸マグネシウム)を含む。これらの組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル、徐放製剤または散剤の形態をとり、10%〜95%、例えば、25%〜70%の活性成分を含む。
局所的適用は、経皮または皮内送達をもたらし得る。局所的投与は、上記物質と、コレラ毒素またはそれらの解毒された誘導体もしくはサブユニットあるいは他の類似の細菌毒素との同時投与によって促進され得る(Glennら、Nature 391,851(1998)を参照のこと)。同時投与は、その構成要素を、混合物として、または化学的架橋もしくは融合タンパク質としての発現によって得られる連結された分子として使用することによって達成され得る。
あるいは、経皮送達は、皮膚パッチを使用してまたはトランスファーソーム(transferosomes)を使用して達成され得る(Paulら、Eur.J.Immunol.25,3521−24(1995);Cevcら、Biochem.Biophys.Acta 1368,201−15(1998))。主題の抗体、ペプチドまたは化合物の皮下投与は、標準的な方法およびデバイス、例えば、針および注射器、皮下注射口送達系などを使用して達成される。筋肉内投与は、標準的な手段、例えば、針および注射器、持続的送達系などによって達成される。いくつかの実施形態において、主題の抗体、ペプチドおよび/または化合物は、持続的送達系によって送達される。用語「持続的送達系」は、本明細書中において、「制御送達系」と交換可能に使用され、カテーテル、注射デバイスなどと組み合わせた持続的(例えば、制御)送達医療用デバイス(例えば、ポンプ)を包含する(多種多様のそれらが当該分野で公知である)。機械的または電気機械的な注入ポンプもまた、本発明とともに使用するのに適し得る。そのようなデバイスの例としては、例えば、米国特許第4,692,147号;同第4,360,019号;同第4,487,603号;同第4,360,019号;同第4,725,852号;同第5,820,589号;同第5,643,207号;同第6,198,966号;などに記載されているものが挙げられる。通常、薬物送達の現在の方法は、種々の詰め替え可能なポンプシステムのいずれかを使用して達成され得る。ポンプは、一貫した放出制御を長い時間をかけて提供する。
上記物質は、薬物を投与するために頭蓋に小さな穴を開けるという現在の標準的な手順によっても投与され得る。好ましい態様において、本発明の結合分子、特に抗体または抗体ベースの薬物は、血液脳関門を通過することができ、それにより、静脈内または経口投与が可能である。
薬学的剤形において、上記物質(本発明によって提供される抗体、ペプチド、化合物)はまた、それらの薬学的に許容され得る塩の形態で投与され得るか、または単独で、もしくは他の薬学的に活性な化合物との適切な会合において、ならびに他の薬学的に活性な化合物と組み合わせて、使用され得る。本明細書中に記載される方法および賦形剤は、単に例示的であって、決して限定でない。主題の抗体、ペプチドまたは化合物は、それらを水性溶媒または非水性溶媒(例えば、植物油または他の類似の油、合成脂肪族系酸グリセリド、高次脂肪族系酸のエステルまたはプロピレングリコール)に;および所望であれば、従来の添加物(例えば、可溶化剤、等張剤、懸濁剤、乳化剤、安定剤および保存剤)とともに、溶解するか、懸濁するか、または乳化することによって、注射用の調製物に製剤化され得る。注射用または静脈内投与用の単位剤形は、滅菌水、通常の食塩水または別の薬学的に許容され得るキャリアにおける溶液としての組成物中に活性な物質を含み得る。用語「単位剤形」または「用量」は、本明細書中で使用されるとき、ヒトおよび動物被験体に対する単位投与量として適した物理的に別々の単位のことを指し、各単位は、薬学的に許容され得る希釈剤、キャリアまたはビヒクルとともに所望の効果をもたらすのに十分な量と計算された所定の量の主題の抗体を含む。本発明の単位剤形に対する詳述は、使用される特定の化合物および達成される効果ならびに宿主における各化合物に関連する薬力学に依存する。
病理学的タウタンパク質およびタウ沈着物に対する免疫応答は、治療用タウペプチドをコードする核酸の投与によっても誘導され得る。そのような核酸は、DNAまたはRNAであり得る。免疫原をコードする核酸セグメントは、患者の意図される標的細胞内でのそのようなDNAセグメントの発現を可能にする調節エレメント(例えば、プロモーターおよびエンハンサー)に連結される。通常、免疫グロブリン遺伝子(軽鎖または重鎖)由来のプロモーターおよびエンハンサーエレメントまたはCMV主要中間初期(major intermediate early)プロモーターおよびエンハンサーが、免疫応答の誘導にとって望ましい標的である血液細胞内での発現を指示するのに適している。連結された調節エレメントおよびコード配列は、ベクターにクローニングされることが多い。
レトロウイルス系(例えば、Lawrieら、Cur.Opin.Genet.Develop.3:102−109(1993)(その全体が参照により本明細書に援用される)を参照のこと);アデノウイルスベクター(Bettら、J.Virol.67:5911(1993)(その全体が参照により本明細書に援用される));アデノ随伴ウイルスベクター(Zhouら、J.Exp.Med.179:1867(1994)(その全体が参照により本明細書に援用される))、ワクシニアウイルスおよびトリポックスウイルスを含むポックスファミリー由来のウイルスベクター、アルファウイルス属由来のウイルスベクター(例えば、シンドビスおよびセムリキ森林ウイルス由来のベクター)(Dubenskyら、J.Virol 70:508−519(1996)(その全体が参照により本明細書に援用される))、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(Johnstonらに対する米国特許第5,643,576号(その全体が参照により本明細書に援用される)を参照のこと)およびラブドウイルス(例えば、水疱性口内炎ウイルス(Roseに対するWO96/34625(その全体が参照により本明細書に援用される)を参照のこと)およびパピローマウイルス(Oheら、Human Gene Therapy 6:325−333(1995);Wooらに対するWO94/12629;およびXiao & Brandsma,Nucleic Acids.Res.24:2630−2622(1996)(それらの全体が参照により本明細書に援用される)を含むいくつかのウイルスベクター系が、利用可能である。
免疫原をコードするDNAまたはそれを含むベクターは、リポソームに詰め込まれ得る。好適な脂質および関連アナログは、米国特許第5,208,036号、同第5,264,618号、同第5,279,833号および同第5,283,185号によって記載されている。免疫原をコードするベクターおよびDNAはまた、粒状キャリアに吸着され得るか、またはそれに会合され得る(それらの例としては、ポリメタクリル酸メチルポリマーおよびポリラクチドおよびポリ(ラクチド−co−グリコリド)が挙げられ、例えば、McGeeら、J.Micro Encap.(1996)を参照のこと)。
遺伝子治療ベクターまたは裸のDNAが、個々の患者への投与によって、代表的には、全身投与(例えば、静脈内、腹腔内、経鼻、胃、皮内、筋肉内、皮下または頭蓋内注入)または局所的適用(例えば、米国特許第5,399,346号を参照のこと)によって、インビボにおいて送達され得る。DNAは、遺伝子銃を使用しても投与され得る(米国特許第6,436,709号を参照のこと)。本願において、免疫原をコードするDNAは、微視的金属ビーズの表面上に沈殿される。衝撃波または膨張ヘリウムガスを用いて微小発射体(microprojectile)を加速させ、数細胞層の深さまで組織に透通させる(Haynesら、1996に概説されている)。例えば、Agacetus,Inc.(Middleton,WI)によって製造されたAccel(商標)Gene Delivery DeviceまたはBio−Rad Laboratories,Inc.(Hercules,CA)によって製造されたHelios Gene Gunが好適である。治療目的の場合、DNAは、エレクトロポレーション(例えば、Trolletら、2008およびその中の参考文献に記載されているような)によっても送達され得る。あるいは、裸のDNAは、単純に、化学的もしくは機械的刺激とともにそのDNAを皮膚上に配置することによって(WO95/05853を参照のこと)または入れ墨をすることによって(例えば、van den Bergら、2009によって記載されているように)、皮膚を通過して血流に達し得る。
異なるバリエーションでは、免疫原をコードするDNAまたはベクターを細胞(例えば、個々の患者から外植された細胞(例えば、リンパ球、骨髄穿刺液、組織生検材料)または万能なドナー造血幹細胞)にエキソビボで送達し、それに続いて、例えば、免疫原の発現を確認した後および通常、ベクターを組み込んだ細胞について選択した後に、その細胞を患者に再移植し得る。
ヒトを処置するための別の有望であるが潜在的により危険なアプローチは、抗原自体を産生するように樹状(dentritic)細胞(DC,直接のDNA送達を介して、またはウイルスストラテジーを使用して)をトランスフェクトすることであり(Xingら、2005)、それにより、MHC Iを通じて提示されるインタクトな抗原の連続した供給が提供される。
無症候の患者では、任意の年齢において処置を開始することができる(例えば、10、20、30歳)。しかしながら、患者が40、50、60または70歳に達するまで処置を開始する必要がないかもしれない。処置は、ある期間にわたって複数の投薬量の投薬を必要とし得る。処置は、治療薬(例えば、タウペプチド)に対する抗体または活性化T細胞もしくはB細胞の応答を経時的にアッセイすることによって、モニターされ得る。その応答が低下したら、追加免疫の投与の必要が示される。ADまたは関連タウオパチーのリスクがより高い潜在的なダウン症候群患者の場合、母体に治療薬を投与することによって出生前にまたは生後まもなく処置を開始することができる。
いくつかの実施形態において、DC8E8(またはキメラ、ヒト化、ヒトまたはその他の誘導体/一部/フラグメント)は、T細胞上の共刺激分子CD28のレベルの有意な低下を示す高齢の免疫老化アルツハイマー病(AD)患者における使用が意図された抗体または受動ワクチンである。共刺激分子CD28の減少は、損なわれた免疫応答を示唆する(Saurwein−Teisslら、2002)。CD45RA+であることが多いCD8+CD28−T細胞クローン(免疫表現型:CD8+CD28−CD45RA+)は、大量の炎症性サイトカインIFN−γおよびわずかな量のIL−5を産生する。これらのクローンは、正常な加齢の間は蓄積し、Th1およびTh2サイトカインの産生の不均衡を誘導する。したがって、ナイーブB細胞の減少する集団とともに蓄積するCD8+CD28−CD45RA+T細胞クローン(Siegrist and Aspinall,2009)は、高齢者人口の約3分の1に影響する免疫機能の低下に対する主要な寄与物質である(Wengら、2009,Saurwein−Teisslら、2002)。
したがって、受動免疫療法(例えば、DC8E8(またはキメラ、ヒト化、ヒトもしくはその他の誘導体/一部/フラグメントを用いたもの)は、大集団のAD患者の免疫系の不全を回避する手段および神経原線維変性を引き起こす病理学的タウタンパク質を標的化する手段を提供する。
いくつかの実施形態において、タウ治療用エピトープの1つ(または本明細書中に記載されるタウ治療用エピトープの1つを含むペプチド)が、高齢の免疫適格性のアルツハイマー病患者における使用が意図された能動ワクチンとして使用される。免疫適格性患者の免疫表現型は、CD8+CD28+CD45RA+である。ゆえに、CD8+T細胞上の共刺激分子CD28のレベルが測定され、能動ワクチン接種のための患者の選択マーカーとして使用される。
さらに、処置の前に、患者から採取されたCSFおよび血液を、ボレリア属、トレポネーマ属、クラミジア属、ヘルペスウイルスおよび他の脳病原体に対する抗体について試験することにより、ADの症状を模倣し得るかまたは悪化させ得る慢性の感染性および炎症性のCNS障害を有する個体が除外されるだろう(Balinら、2008;Itzhaki and Wozniak,2008;Miklossy,2008;Andreasen,2010)。CNS感染症、特に、脳内皮細胞のクラミジア属感染は、血液脳関門(BBB)の機能を損なうことが多く、それにより、脳実質への単球の流入が増加し得、ゆえに、局所的な免疫応答に影響し得る(Balinら、2008)。サイトメガロウイルス(CMV)に対するより高いレベルのIgGを有する高齢の被験体が、より速い速度の認知低下に苦しむことも示されている(Itzhaki and Wozniak,2008)。ゆえに、本発明によって提供される物質の1つによる免疫の後の有害作用(例えば、正常タウに対する制御されない免疫反応)を防ぐために、CNS感染症を有するアルツハイマー病患者または上述の病原体に対する抗体について陽性と試験された患者は、高度に選択的なワクチンで処置されることになる。
処置の前に、患者から採取されたCSFおよび血液を、ボレリア属、トレポネーマ属、クラミジア属、ヘルペスウイルスおよび他の脳病原体に対する抗体について試験することにより、ADの症状を模倣し得るかまたは悪化させ得る慢性の感染性および炎症性のCNS障害を有する個体が除外され得る(Balinら、2008;Itzhaki and Wozniak,2008;Miklossy,2008;Andreasen,2010)。様々な慢性感染症によって促進される可能性のある有害作用を防ぐために、この群の患者は、より選択的な、抗体または治療用エピトープを含むワクチンで処置されることになる。場合によっては、能動ワクチンは、病理学的タウタンパク質上の治療用エピトープを標的化する厳密に選択的な抗体の産生を誘導するデザイナーエピトープである(例えば、実施例を参照のこと)。いくつかの実施形態において、そのワクチンは、正常/生理学的タウタンパク質と共有されるいかなるアミノ酸配列も含まない。
処置レジメン
予防的な適用において、薬学的組成物または医薬は、特定の疾患に感受性であるかまたは別途そのリスクがある患者に、その疾患を排除するまたはその疾患のリスクを低下させるまたはその疾患の発生を遅延させるのに十分な量で投与される。治療的な適用において、組成物または医薬は、そのような疾患に罹患していると疑われる患者またはすでに罹患している患者に、その疾患およびその合併症を治癒するまたはそれらの症状を少なくとも部分的に停止するのに十分な量で投与される。これを達成するのに適した量は、治療有効量または薬剤的有効量と定義される。予防的レジメンと治療的レジメンの両方において、物質は通常、十分な免疫応答が達成されるまで、数回において投与される。代表的には、免疫応答をモニターし、その免疫応答が衰弱し始めたら、反復投与を行う。
上に記載された状態の処置のための本発明の組成物の有効量は、投与手段、標的部位、患者の生理学的状態、患者がヒトであるかまたは動物であるか、投与される他の薬剤、および処置が予防的であるかまたは治療的であるかをはじめとした多くの因子に応じて変動する。通常、患者は、ヒトである。安全性および有効性を最適化するために、処置投与量は滴定される必要がある。したがって、抗体またはタウ結合タンパク質による処置は、代表的には、ある期間にわたる複数の投薬量の投与を必要とし得る。抗体による受動免疫の場合、投与量は、約0.0001〜100mg/kg、より一般的には、0.01〜5mg/kg宿主体重の範囲である。いくつかの適用において、抗体またはタウ結合タンパク質の量は、少なくとも0.1mg/kg体重の投与量、少なくとも0.5mg/kg体重、1mg/kg体重の投与量、または0.1〜10mg/kg体重の投与量の任意の組み合わせで投与され得る。いくつかの方法において、抗体またはタウ結合タンパク質は、少なくとも1ヶ月間、少なくとも3ヶ月間または少なくとも6ヶ月間の期間にわたる複数の投薬量の投与(同じものまたは異なるもの)において投与され得る。任意の1つの処置期間にわたる投与の総数は、例えば、4〜6回であり得るが、上で論じられた因子に応じて他の回数も使用できる。処置は、下でさらに記載される任意の方法によってモニターされ得る。
免疫原の量は、アジュバントも投与されるか否かに依存し、アジュバントの非存在下では、より多い投与量が必要とされる。投与するための免疫原の量は、時折、ヒトへの投与の場合、患者1人あたり1μg〜500μg、より一般的には、注射1回あたり5〜500μgで変動する。ときとして、注射1回あたり1〜2mgというより多い用量が使用される。代表的には、約10、20、50または100μgが、各ヒト注射のために使用される。注射のタイミングは、1日に1回から1年に1回まで、10年に1回まで、著しく変動し得る。ある投与量の免疫原が与えられる任意の所与の日において、その投与量は、アジュバントも投与される場合、1μg/患者より多く、通常、10μg/患者より多く、アジュバントの非存在下では、10μg/患者より多く、通常、100μg/患者より多い。代表的なレジメンは、免疫の後の、6回の毎週の間隔での追加免疫注射からなる。別のレジメンは、免疫の後の、1、2および12ヶ月間後の追加免疫注射からなる。別のレジメンは、死ぬまで2ヶ月ごとの注射を必要とする。あるいは、追加免疫注射は、免疫応答をモニターすることによって示されるとき、不規則に行われ得る。いくつかの実施形態において、能動ワクチンは、アジュバントとして、好適なキャリア、優先的にはKLHおよび水酸化アルミニウムとともに製剤化され得る。優先的には、100μgのペプチド/回/患者(しかし、1μg、10μg 100μgおよび1mgも前臨床段階では適用され得、第I相毒性研究では10μg 100μg 200μgも適用され得る)が、4週間に1回、合計で5回適用され得る。
免疫原をコードする核酸に対する用量は、患者1人あたり約10ng〜1g、100ng〜100mg、1μg〜10mgまたは30〜300μgのDNAの範囲である。感染性ウイルスベクターに対する用量は、1投薬あたり10〜109またはそれ以上のビリオンで変動する。処置は、治療薬に対する抗体または活性化T細胞もしくはB細胞応答を経時的にアッセイすることによってモニターされ得る。その応答が低下する場合、追加免疫の投与の必要が示され得る。
最終的には、投与レジメンは、主治医および臨床上の因子によって決定されることになる。医学分野において公知であるように、任意の1人の患者に対する投与量は、患者のサイズ、体表面積、年齢、投与される特定の化合物、性別、投与の時間および経路、全般的な健康状態、ならびに同時に投与される他の薬物をはじめとした多くの因子に依存する。代表的な用量は、例えば、0.001〜1000mgの範囲内であり得るが;しかしながら、特に、上述の因子を考慮して、この例示的な範囲よりも低いまたは高い用量も考えられる。一般に、薬学的組成物の規則的な投与としてのレジメンは、1mg〜10mgの単位/日の範囲内であるべきである。レジメンが持続注入である場合、それは、それぞれ1mg〜10mg/1キログラム体重/分の範囲内でもあるべきである。定期的な評価によって進捗がモニターされ得る。
さらに、他の物質の同時投与または連続投与が望ましい場合がある。いくつかの実施形態において、治療的に有効な用量または量とは、症状または状態を回復させるのに十分な活性成分の量のことを指す。そのような化合物の治療効果および毒性は、細胞培養物または実験動物において標準的な薬学的手順によって測定され得る(例えば、ED50(集団の50%において治療的に有効な用量)およびLD50(集団の50%に対して致死性の用量))。治療効果と毒性効果との用量比は、治療指数であり、それは、LD50/ED50比として表現され得る。いくつかの実施形態において、組成物中の治療薬は、アルツハイマー病および関連タウオパチーの場合、正常な行動特性および/または認知特性を回復させるのに十分な量で存在する。
本発明は、本発明によって提供される任意の物質による処置の有効性の評価のために信頼され得る種々の基準を提供する。例としては、1つもしくは複数の病理学的タウ形態のレベルの低下(例えば、脳内)、脳および/またはCSFからの病理学的タウのクリアランスの増加;認知能力の尺度の改善(例えば、認知機能(例えば、臨床認知症評価法(Clinical Dementia Rating)−CDR、アルツハイマー病評価スケール−認知サブスケール−ADAS−Cogミニメンタルステート検査−MMSEによって検査される);運動機能検査(例えば、握力検査、タイムアップアンドゴー(Timed Up & Go)(TUG)検査、TUGマニュアル、歩きながらの会話の検査(Talking while Walking test)、パーキンソン病統一スケール−UPDRS)の改善;基本的な日常生活動作(ADL)検査の成績の改善(例えば、衛生、更衣動作、節制、摂食、食事の支度、電話、遠出、会計および対応);痴呆における障害評価試験(Disability Assessment in Dementia tests);ならびにADによって損なわれた握力、歩行運動および失行(下記の実施例において記載される動物モデルおよびアッセイとの直接的な相関関係を有する)、記憶力低下、失語、失認、時間および空間の失見当識、ならびに抑うつの重症度/格付けの降格が挙げられるが、これらに限定されない。
処置の有効性を評価する目的で、タウのレベルおよび分布(脳内および体液中)が、本明細書中に記載される任意の方法および/またはタウを検出するために利用可能な他の任意の方法によってアッセイされ得る。例えば、タウのレベルは、インビトロ、エキソビボ(組織切片)およびインビボ(トランスジェニックマウス)において選択的にタウおよびタウ病理に結合する新規イメージング放射性トレーサー18F−THK523を使用してインビボで測定され得る(ポジトロン放出断層撮影法)(Fodero−Tavolettiら、2011,Brain)。タウは、総タウまたはホスホ−タウのいずれかを認識するELISAキットを使用して、脳脊髄液および血液においても同様に同定され得る。
実際に、トランスジェニックラットにおける神経行動障害は、アルツハイマー病患者における運動障害と似ており、それは、本明細書中に提供される任意の治療薬(能動ワクチン接種のための物質を含むがこれに限定されない)を用いた臨床試験および処置プロトコルに対して意義がある。ヒトにおいて、アルツハイマー病は、臨床的には、進行性の記憶障害および認知低下、行動変化および心理学的症状(気分の撹乱、情動、食欲、覚醒睡眠サイクル、錯乱、激越および抑うつ)ならびに損なわれた運動機能(失行、ミオクローヌス、歩行障害、筋力低下、錐体外路の特徴、例えば、運動緩徐、硬直および静止時振戦)を特徴とする(Goldmanら、1999;Boyleら、2009)。多くの研究が、アルツハイマー病(AD)では運動徴候がよく観察され、疾患が進行するにつれてその徴候が顕著になることを報告している(Goldmanら、1999;Wilsonら、2003;Louisら、2004;Petterssonら、2005;Scarmeasら、2004;Scarmeasら、2005;Waiteら、2005;Alfaro−Achaら、2006;Wangら、2006;Buchmanら、2007a;Boyleら、2009)。とりわけ、運動徴候は、認知障害より先に起き得、アルツハイマー病における認知および機能の低下、施設への収容(institutionalization)および死亡率を予測し得る(Morrisら、1989;Soininenら、1992;Kraemerら、1994;Chuiら、1994;Scarmeasら、2004;Scarmeasら、2005)。筋力の低下は、認知障害の発症より先に起きることが示されている(Buchmanら、2007b;Boyleら、2009)。
ADにおける運動徴候の発症は、脳幹における神経変性および神経細胞脱落に関連している(Zarowら、2003;Burnsら、2005;Grudzienら、2007;Simicら、2009;Waiら、2009;Braak and DelTredici,2011)。さらに、いくつかの研究は、神経原線維変性が、脳幹に由来し、皮質の神経変性より先に起きることを示唆した(Hertz,1989;Simicら、2009;Braak and DelTredici,2011)。
これらの知見は、運動障害が、ADの病原論において重要な特徴であることを示している。さらに、いくつかの運動領域の機能障害は、痴呆より先に起き得、認知低下を予測し得る。本明細書中に記載されるペプチド(治療用エピトープを含む)による能動免疫療法は、ヒト病理学的タウを発現するトランスジェニックラットの運動障害を改善し得る。したがって、能動免疫療法による脳幹の病理の直接的な標的化は、ヒトAD患者における運動障害ならびに認知障害を予防し得るか、遅らせ得るか、または遅延させ得る。したがって、運動機能の試験は、本明細書中に記載される物質(例えば、タウクリアランス剤、能動および受動ワクチン)の臨床的有効性の評価のために使用され得る一連の試験に含まれ得る。
また、当業者は、病理学的タウ(例えば、皮質/海馬におけるNFT)のレベルおよび分布と疾患進行との間の十分に確立した相関関係を承知している。病理学的タウ(NFT病理)の密度は、認知の障害およびアルツハイマー病の重症度と相関している(Braak and Braak,1991;Biererら、1995;Bergら、1998;Duyckaertsら、1998;Giannakopoulosら、1998,2003)。嗅内皮質および海馬における病理学的タウ(例えば、NFT、糸屑状構造物)は、反対に、記憶の長期的変化に関連する(Reitzら、2009)。同様に、脳幹では、病理学的タウ(NFT)は、非常に早い段階において背側縫線核に生じ;他方の縫線核は、その後、影響される。これらの病変は、ADに見られるセロトニン作動性の障害を説明する(Duykaertsら、2009)。錐体外路の症状は、黒質タウ病理と相関している(Liuら、1997)。したがって、これらのAD分布パターンの1つもしくは複数に影響し得る処置剤は、おそらく、ADにおいて有益な効果を有するだろう。
実施例1:組換えヒトタウタンパク質の調製
ヒト完全長タウ(2N4R、2N3R)およびタウ欠失変異体:タウ組換えタンパク質(図1および6)をクローンτ40(Goedert,1989)から生成した(そのクローンを発現プラスミドpET−17b(Novagen)にサブクローニングし、細菌において発現させた)。各タウ欠失変異体を、DNA配列決定によって確かめた。すべてのタウ欠失変異体およびタウペプチドは、441アミノ酸長であるがゆえにタウ441とも呼ばれる(D’Souza,2005)最も長いヒトタウアイソフォーム2N4Rに従ってナンバリングされる。アイソフォーム2N3Rに由来するタウ欠失変異体およびペプチドは、第2の微小管結合リピート(2N4Rのアミノ酸275〜305)が欠失していることを示唆する「3R」によって記される。タウタンパク質の生成は、以下の工程を含んだ:a)細菌におけるタウの発現;b)イオン交換クロマトグラフィーによるタウの精製;c)ゲル濾過によるタウの精製;d)単離されたタウの濃縮および保管;ならびにe)免疫親和性精製(これは、ミクログリア取り込み実験において使用されたタウΔ(1−150;392−441)/4Rに対してのみ採用される例外であり、実施例10、図17を参照のこと)。
a)ヒト完全長タウ(2N4Rまたは2N3R)および組換えタウ欠失変異体の細菌発現:ヒトタウ(上記)発現プラスミドを、Escherichia coli(大腸菌)の産生株BL21(DE3)に形質転換した。適切な発現プラスミドを含む細菌細胞を、SambrookおよびRussellによる“Molecular Cloning:A Laboratory Manual”(2001)に記載されているように培養し、誘導した。タウタンパク質またはそのフラグメントの発現を駆動するpET−17bプラスミドで形質転換されたBL21(DE3)細菌のシングルコロニーを、100μg/mlのアンピシリンを含む500mlのLuria broth培地中、300rpm、37℃において生育し、イソプロピル−β−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)を0.4mMの最終濃度まで加えることによって誘導した。37℃での3時間のさらなるインキュベーションの後、3,000×g、4℃における15分間の遠心分離によって細菌を回収した。
b)塩基性および中性タウタンパク質(完全長タウアイソフォーム、タウΔ358−441、タウΔ306−400、タウΔ421−441、タウΔ300−312、タウΔ134−168、タウΔ1−220、タウΔ1−126、タウΔ(1−150;392−441)/4R、タウΔ(1−150;392−441)/3RおよびタウΔ(1−296;392−441)/4R)の陽イオン交換クロマトグラフィー精製を、本質的に先に記載されたように(Krajciovaら、2008)行った。発現後、細菌のペレットを、10mlの溶解緩衝液(50mM 1,4−ピペラジンジエタンスルホン酸(PIPES)pH6.9、50mM塩化ナトリウム(NaCl)、1mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、5mMジチオトレイトール(DTT)、0.1mMフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)、5%(v/v)グリセロール)に再懸濁し、液体窒素中で急速凍結し、タウタンパク質の精製のために使用するまで−80℃において保管した。タウタンパク質の精製のために、凍結された細菌懸濁液を急速解凍し、氷上に置いた。細菌細胞壁を、50%デューティサイクル、50W電力出力に設定されたSonopuls HD 2200,tip TT−13(Bandelin,Germany)を使用することによって、30秒間作動30秒間休止を6回行う氷上での超音波処理によって破壊した。その溶解産物を遠心分離(21,000×g、15分間、4℃)によって浄化し、上清を0.45μmメンブランフィルターで濾過した。組換えタウタンパク質の大規模精製を、AKTA−FPLCワークステーション(Amersham Biosciences,Sweden)を使用して、6℃において行った。濾過された溶解産物を、溶解緩衝液で平衡化された5ml HiTr ap SP HPカラム(GE Healthcare,Uppsala,Sweden)に3ml/分の流速で充填し、280nmにおけるベースラインが安定するまで、60mlの溶解緩衝液で徹底的に洗浄した。結合したタウタンパク質を、緩衝液B(1M NaClが補充された溶解緩衝液)のグラジエント(15ml以内で0〜30%)によって溶出した。個々の1ml画分を回収し、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によって解析した。正に帯電したタウタンパク質と同時精製する核酸を除去するために、タウタンパク質を含む画分をプールし、緩衝液Bのそれほど急勾配でないグラジエント(45mlにおける0〜30%)とともに5ml HiTrap SP HPカラム(GE Healthcare,Uppsala,Sweden)を使用する第2の陽イオン交換クロマトグラフィー工程によって精製した。
c)酸性タウタンパク質(タウΔ222−427、タウΔ228−441、タウΔ257−400、タウΔ137−441、タウΔ283−441)の陰イオン交換クロマトグラフィー精製を、先に記載されたように(Csokovaら、2004)行った。発現後、細菌のペレットを、10mlのヒスチジン溶解緩衝液(20mMヒスチジン,pH6.0、50mM NaCl、1mM EDTA、5mM DTT、0.1mM PMSFおよび5%(v/v)グリセロール)に再懸濁した。細菌細胞壁を、50%デューティサイクル、50W電力出力に設定されたSonopuls HD 2200,tip TT−13(Bandelin,Germany)を使用することによって、30秒間作動30秒間休止を6回行う氷上での超音波処理によって破壊した。その溶解産物を遠心分離(21,000×g、15分間、4℃)によって浄化した。細菌溶解産物を、1%硫酸ストレプトマイシン(Medexport,Russia)によって沈殿させ、氷上で5分間インキュベートし、遠心分離(21,000×g、15分間、4℃)によって浄化し、0.45μmメンブランフィルターで濾過した。濾過されたストレプトマイシン沈殿溶解産物を、5ml HiTrap QSepharose HPカラム(Amersham Biosciences,Sweden)に3ml/分の流速で充填し、A280ベースラインが安定するまで、30〜50mlのヒスチジン溶解緩衝液で徹底的に洗浄した。タウタンパク質を、ヒスチジン溶解緩衝液における2工程の塩グラジエント(40mlにおける0.05〜0.5M NaClの後の、20mlにおける0.5〜1M NaCl)で溶出した。
d)精製の最後のゲル濾過工程(すべてのタウタンパク質について同じ)では、イオン交換クロマトグラフィーによって得られたプールされたタウタンパク質画分を、塩基性/中性または酸性タウタンパク質に対してそれぞれPIPESまたはヒスチジン溶解緩衝液(100mM NaClが補充されたもの)において、3ml/分でゲル濾過カラム(HiLoad 26/60 Superdex 200prepグレードカラム,GE Healthcare)に注入した。溶出したタウタンパク質をプールした。
e)ゲル濾過精製後のタウタンパク質の濃縮のために、プールされた画分を、1.5体積の2.5%グリセロールで希釈し、HiTrap SP HPカラム(塩基性および中性タウタンパク質)またはHiTrap Q HPカラム(酸性タウタンパク質)に再度充填した。次いで、濃縮された組換えタウタンパク質を、1M NaClのステップグラジエントを用いてカラムから溶出した。最後に、緩衝液を、5ml HiTrap Desaltingカラム(GE Healthcare)を使用して、アルゴンで飽和されたリン酸緩衝食塩水(PBS,8.09mMリン酸二ナトリウム(Na2HPO4)、1.47mMリン酸二水素カリウム(KH2PO4)、136.89mM NaCl、2.7mM塩化カリウム(KCl))に交換した。精製されたサンプルのタンパク質定量を、標準物質としてのウシ血清アルブミン(BSA)とともに、ビシンコニン酸(BCA)定量キット(Pierce,USA)を使用して行った。タウタンパク質を使用アリコートに等分し、液体窒素中で急凍し、−70℃において保管した。
f)ミクログリアによるタウ取り込みを測定するために使用される組換えタウΔ(1−150;392−441)/4Rから、存在し得る細菌夾雑物を除去するために(実施例10,図17)、組換えタウタンパク質を以下のとおり、改変された方法によって精製した。第1の陽イオン交換クロマトグラフィー工程の後、タウを含む画分をプールし、撹拌しながら、1/20体積の氷冷5%ポリエチレンイミンを加えた。撹拌をさらに30分間、氷上で続けた。そのサンプルを20,000×g、4℃で15分間遠心した。上清を回収し、100mM NaClが補充されているがDTTまたは他の任意の還元剤を欠くPIPES溶解緩衝液において、3ml/分でHiLoad 26/60 Superdex 200prepグレードカラム(GE Healthcare)に充填した。ゲル濾過の後、タウタンパク質を含む画分をプールし、CNBr活性化Sepharose上に固定化されたDC25抗体(2N4Rタウのエピトープ347−353,Axon Neuroscience,Vienna,Austria)を含むイムノアフィニティーカラムに充填した(0.5ml/分の流速で)。そのカラムは、20mM Tris−HCl,pH7.4、150mM NaCl、0.1%Tween 20(TBS−Tween)で予め平衡化しておいた。結合の後、そのカラムを5カラム体積のTBS−Tweenで洗浄し、結合したタウタンパク質を0.1Mグリシン,pH2.7で溶出した。回収された画分を、1/30体積の1M Tris−HCl pH8.8を加えることによって中和し、プールした。最後に、HiTrap Desaltingカラム,5ml(GE Healthcare)を使用して緩衝液をPBS(アルゴンで飽和されたもの)に交換した。精製されたサンプルのタンパク質定量を、標準物質としてのBSAとともにビシンコニン酸(BCA)定量キット(Pierce,USA)を使用して行った。そのタンパク質を使用アリコートに等分し、液体窒素中で急凍し、−70℃において保管した。
DC25アフィニティーカラム(前出)のために使用された、精製されたDC25抗体(Axon Neuroscience,Vienna,Austria)を、以下のとおり調製した。無血清DC25ハイブリドーマ培養上清を、0.2体積のPBSを加えることによってpH7.5に調整し、20,000×g、4℃での10分間の遠心分離によって予め浄化し、上清を0.2μmフィルターで濾過した。予め浄化されたDC25ハイブリドーマ培養上清を、PBSで平衡化されたHiTrap Protein G HPカラム(5ml,GE Healthcare)に1ml/分で充填した。充填が完了した後、そのカラムを4カラム体積のPBSで洗浄し、結合した抗体を、100mMグリシンpH2.7を用いて溶出した。溶出した画分を、1M Tris−HCl pH9で中和し、プールし、HiTrap Desaltingカラム(5ml,GE Healthcare)を使用して緩衝液をPBSに交換した。精製されたDC25抗体を、小アリコートとして−70℃において保管した。
実施例2:ヒトタウΔ(1−150;392−441)/4Rに対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞系の調製、ELISAによるモノクローナル抗体のスクリーニング、およびモノクローナル抗体DC8E8の最初の特徴付け
6週齢Balb/cマウスの皮下に、フロイント完全アジュバント(SIGMA)中の50μgの組換えタウΔ(1−150;392−441)/4R(実施例1に記載されたように調製されたもの)で初回刺激し、フロイント不完全アジュバント中の50μgの同じ抗原を用いて5週間間隔で5回追加免疫した。融合の3日前に、PBS中の50μgの同じ抗原をマウスの静脈内に注射した。免疫されたマウスの脾臓細胞を、Kontsekovaら(1988)の方法に従ってNS/0ミエローマ細胞と融合した。脾細胞(108個)を、10%ジメチルスルホキシドが補充された無血清ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中の1mlの50%ポリエチレングリコール(PEG)1550(Serva)において、2×107個のNS/0ミエローマ細胞と混合し(5:1比)、1分間融合させた。融合された細胞を、20%ウマ血清、L−グルタミン(2mM)、ヒポキサンチン(0.1mM)、アミノプテリン(0.04mM)、チミジン(0.016mM)およびゲンタマイシン(40U/ml)を含むDMEMに、96ウェルプレートにおいて2.5×105脾臓細胞/ウェルの密度で再懸濁した。それらの細胞を、37℃で10日間インキュベートし、成長中のハイブリドーマを、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって抗タウΔ(1−150;392−441)/4R特異的モノクローナル抗体の産生についてスクリーニングした。
ELISAを使用することにより、ハイブリドーマ培養上清中の、タウΔ(1−150;392−441)/4R(誤無秩序型のタウ)に対するモノクローナル抗体を検出した。マイクロタイタープレートを、PBS中、37℃においてタウΔ(1−150;392−441)/4R(5μg/ml,50μl/ウェル)で一晩コーティングした。非特異的結合を減少させるために1%脱脂粉乳でブロッキングした後、プレートをPBS−0.05%Tween20で洗浄し、50μl/ウェルのハイブリドーマ培養上清とともに37℃で1時間インキュベートした。結合したモノクローナル抗体を、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP,DAKO)と結合体化されたヒツジ抗マウス免疫グロブリン(Ig)を用いて検出した。その反応物を、ペルオキシダーゼ基質としてオルトフェニレンジアミン溶液を用いて発色させ、50μlの2M H2SO4で停止させた。492nmにおける吸光度を、Multiscan MCC/340 ELISAリーダー(Labsystems)を使用して測定した。ネガティブコントロール(PBS)の吸光度の値の少なくとも2倍の値を有する読取値を、ポジティブと考えた。ポジティブハイブリドーマ培養物をさらに、免疫組織化学によって(Zilkaら、2003の方法に従って)試験し、Kontsekovaら(1991)に記載されている手順に従って軟寒天においてサブクローン化した。
そのように作製され、選択されたポジティブハイブリドーマ培養物から、モノクローナル抗体DC8E8(ATCC Patent Deposit Designation PTA−11994として2011年7月13日にAmerican Type Culture Collectionに寄託されたマウスハイブリドーマ細胞系によって産生されるもの)を同定した。DC8E8を、下に記載されるようにさらに特徴付けた。マウスIgアイソタイピングキット(ISO−2,SIGMA)を使用するELISAによって、抗体アイソタイプはマウスIgG1であると判定された。
実施例3:DC8E8の可変領域の配列決定およびCDR移植によるそのヒト化
a)DC8E8の軽鎖可変領域および重鎖可変領域のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列の決定(図3)。DC8E8の可変領域のヌクレオチド配列(図3Aおよび3D)を、DC8E8モノクローナル抗体を発現するマウスハイブリドーマ細胞系PTA−11994(ATCC)から抽出された全RNAを使用して合成されたcDNAのDNA配列決定によって決定した。全RNAを、TRIZOL(登録商標)Reagent(Invitrogen,USA)を使用して抽出した。第1鎖(first strand)cDNAの合成を、「大容量cDNA逆転写」キットを製造者のプロトコル(Applied Biosystems,USA)に従って使用して行った。2×逆転写マスターミックス用の試薬の組成は、以下のとおりだった(20μL反応物あたりの量):2μLの10×RT緩衝液;0.8μLの25×dNTPミックス(100mM);2μlの10×RTランダムプライマー(50μM);1μLのMultiScribe(商標)逆転写酵素(50U/μL);4.2μLのヌクレアーゼ非含有H2O。逆転写のために、10μLの2×逆転写マスターミックスをRNAサンプルと混合し(2μg/10μl)、以下の条件下においてcDNAを合成した:25℃で10分、37℃で120分、85℃で5分および最後に4℃に冷却。軽鎖および重鎖の可変領域をコードする遺伝子の増幅を、Phusion(登録商標)High−Fidelity DNA Polymerase(Finnzymes,Finland)を使用するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって行った。順方向プライマー(8E8L−センス5’−ACATTGTGATGTCACAGTCTCCATCCTCC−3’(配列番号132)および8E8H−センス5‘−CTCCTCCAATTGCAGCAGTCTGG−3‘(配列番号133))を、DC8E8軽鎖(DIVMSQSPSS)(配列番号134)および重鎖(QVQLQQSGPE)(配列番号135)のN末端のタンパク質配列に従ってデザインした。そのN末端のタンパク質配列は、エドマン分解(軽鎖)およびMALDIインソース崩壊(重鎖)を使用して決定された。この情報を使用して、軽鎖および重鎖と最も似ているタンパク質を、それらの対応するヌクレオチド配列とともに、Genebankにおいて同定した。次いで、マウスV遺伝子(軽鎖および重鎖)の最も有望なヌクレオチド配列を、IMGT/LIGM−DBデータベース(www.imgt.org)において同定した。これらの遺伝子を、順方向プライマーのデザインのために使用した(DC8E8のN末端のタンパク質配列を使用して修正を行った)。軽鎖および重鎖に対する逆方向プライマー(カッパー−アンチセンス5’−GGAATTCGTTGAAGCTCTTGACAATGGGTG−3’(配列番号136)およびG1−アンチセンス5’−GGAATTCACATATGCAAGGCTTACAACCAC−3(配列番号137))を、それぞれカッパーおよびIgG1鎖の定常領域から得た。
PCR産物を配列決定し、DC8E8の軽鎖および重鎖の可変領域の得られたDNA配列を、それぞれ図3Aおよび3Dに示す。最も近いマウス生殖細胞系列軽鎖IGKV8−21*01および重鎖IGHV1−81*01に対するDC8E8のアラインメントを、それぞれ図3Cおよび3Fに示す。DC8E8軽鎖および重鎖タンパク質配列における相補性決定領域(CDR)に下線を引いている(それぞれ図3Bおよび3E)。CDRおよびフレームワーク領域(FR)を、ImMunoGeneTics(IMGT)ナンバリングシステムに従って特定した(例えば、Lefranc M.P.The IMGT unique numbering for immunoglobulins,T−cell receptors,and Ig−like domains.The Immunologist 7,132−136,1999(1999)を参照のこと)。
b)DC8E8のヒト化。マウスDC8E8相補性決定領域(CDR)の移植によってヒト化DC8E8を作製するための好適な候補ヒト免疫グロブリンを特定するために、DC8E8に対して最も高い配列同一性を有するヒト生殖細胞系列遺伝子を、IMGT/LIGM−DBフラットファイルリリース(flat file release)201112−6(www.imgt.org)から抽出されたヒト免疫グロブリン遺伝子の選択されたセットに対するDC8E8ヌクレオチド配列のClustalX2ペアワイズアラインメントを使用して決定した。IgKv4−1*01を、DC8E8軽鎖に対して最も近いヒト生殖細胞系列遺伝子として特定し(図4)、IgHV1−69*10を、DC8E8重鎖に対して最も近い生殖細胞系列遺伝子として特定した(図5)。以下のアプローチ(方法1および方法2)をデザインし、それを使用することにより、DC8E8抗体の1つもしくは複数のヒト化バージョンを調製することができる。適切な抗体発現系(例えば、インビトロ(例えば、HEK293細胞)またはインビボ(トランスジェニック動物)での抗体発現のために使用される哺乳動物発現ベクター)における発現の後、得られたヒト化組換え抗体は、DC8E8の活性の特徴付けのために使用された任意の方法に従
って、活性(例えば、生化学的活性および治療活性)について試験され得る。
方法1:CDR移植、および必要であればフレームワーク領域(FR)における変異(CDRは、下線が引かれた太字であり、FRの変異は、太字である):
重鎖可変領域(掲載順にそれぞれ配列番号138〜140):
軽鎖可変領域(掲載順にそれぞれ配列番号141〜143):
方法2:DC8E8に対して最も高い配列同一性を有するマウス生殖細胞系列免疫グロブリン(図3)およびヒト生殖細胞系列免疫グロブリン(図4および5)を見つけ出し、DC8E8タンパク質配列とアラインメントした。CDR領域を、IMGTナンバリングシステムに従って特定した。DC8E8結合部位内の最も有望な抗原接触残基を、MacCallumら、J.Mol.Biol.1996の成果に基づいて特定した。
DC8E8のヒト化バージョンにおける変異に対する様々なアミノ酸候補を、以下の複合基準に基づいて特定した:
i.CDRにおける存在および抗原との接触の確率
ii.バーニヤゾーン(Vernier zone)における存在
iii.それらがマウス生殖細胞系列において変異しているか否か
2つのレベルの変異候補が、上記基準に従って特定された:
Xタイプ残基(太字):
−DC8E8と最も近いマウス生殖細胞系列との間で異なる残基、非類似アミノ酸
−CDRおよび接触抗原における残基。CDRは、下記のDC8E8配列において太字の小文字の斜体である。
Yタイプ残基(下線が引かれた太字):
−DC8E8と最も近いマウス生殖細胞系列との間で同一であるが最も近いヒト生殖細胞系列において異なり、バーニヤゾーンに位置する残基(非類似アミノ酸)
−DC8E8と最も近いマウス生殖細胞系列との間で異なる残基(類似の/保存されたアミノ酸)
各鎖に対する2つのヒト化配列を、DC8E8の活性に影響すると予測される変異とともに特定した:
配列番号147、152:Xタイプの残基だけが変異され得る
配列番号148、153:XとYの両方のタイプの残基が変異され得る重鎖可変領域(掲載順にそれぞれ配列番号138、145、139):
軽鎖可変領域(掲載順にそれぞれ配列番号141、150、142):
実施例4:組換えタウ欠失変異体およびタウ由来ペプチドを使用したDC8E8エピトープのマッピング
ヒトタウタンパク質2N4Rの欠失変異体ならびにタウ由来ペプチド(Antagene,Inc.(Sunnyvale,CA)およびEZBiolab,(USA))を、ELISAを使用するDC8E8のエピトープマッピングのために使用した(図6、7および8)。組換えヒトタウアイソフォーム(2N4R;2N3R)およびタウ欠失変異体(図6A、6B)を、実施例1に記載したように調製した。ペプチド(図7A、7B)は、EZBiolabs(USA)によって85%より高い純度で合成された。
マイクロタイタープレートを、37℃において組換えタウタンパク質またはタウペプチドで一晩コーティングした(PBS中5μg/ml、50μl/ウェル)。非特異的結合を減少させるために1%脱脂粉乳でブロッキングした後、プレートをPBS−0.05%Tween20で洗浄し、50μl/ウェルのDC8E8ハイブリドーマ培養上清とともに37℃で1時間インキュベートした。結合したモノクローナル抗体を、ヒツジ抗マウスIg HRP結合体(DAKO)を用いて検出した。その反応物を、ペルオキシダーゼ基質としてオルトフェニレンジアミン溶液を用いて発色させ、50μlの2M H2SO4で停止させた。吸光度を、Multiscan MCC/340 ELISAリーダー(Labsystems)を使用して492nmにおいて測定した。ネガティブコントロール(PBS)の吸光度の値の少なくとも2倍の値を有する読取値を、ポジティブと考えた。
DC8E8は、以下のヒトタウタンパク質:Δ358−441、Δ421−441、Δ134−168、Δ1−220、Δ1−126、Δ(1−296;392−441)/4RおよびΔ(1−150;392−441)/4Rを認識したが、欠失Δ222−427、Δ306−400、Δ228−441、Δ300−312、Δ257−400、Δ137−441およびΔ283−441を有するタウタンパク質を認識しなかった(図6B、6C)。DC8E8は、タウ2N4Rの病理学的/誤無秩序タウΔ(1−296;392−441)/4R、タウΔ(1−150;392−441)/4Rおよびタウ欠失変異体(Δ358−441、Δ421−441、Δ134−168、Δ1−220、Δ1−126)を認識するよりも低い程度で生理学的タウアイソフォーム2N4Rおよび2N3Rを認識した(図6C)。タウペプチドを使用したより詳細なエピトープマッピングから、DC8E8が、タウペプチド240−270、270−300および301−330を認識しないことが明らかになった(図7A、7B、7C)。同時に、これらの知見は、DC8E8が、ヒトタウ上に4つの結合部位またはエピトープを有することを示唆する(その各々は、タウタンパク質の微小管結合リピートドメイン領域内に位置し、そのエピトープの各々は、以下のタウ配列:267−KHQPGGG−273(配列番号98)(タウタンパク質の第1リピートドメイン)、298−KHVPGGG−304(配列番号99)(タウタンパク質の第2リピートドメイン)、329−HHKPGGG−335(配列番号100)(タウタンパク質の第3リピートドメイン)および361−THVPGGG−367(配列番号101)(タウタンパク質の第4リピートドメイン)(図7D)のうちの1つの中に別々に位置する)。さらに、DC8E8は、完全長3リピートおよび4リピートタウよりも良好に切断型のタウに結合するので、これらの結果は、DC8E8が、生理学的タウ(タウ39(2N3R)およびタウ40(2N4R))よりも疾患型のタウにより良く結合することも示唆する。また、タウは、生理学的タウ(天然無秩序タウ)から疾患タウ(誤無秩序および誤秩序タウ,Kovacechら、2010)にコンフォーメーションを変化させると考えられるので、これらの結果は、DC8E8に対する結合部位(DC8E8エピトープ)の1つもしくは複数が、疾患タウと生理学的タウとで異なるコンフォーメーションを有すること、およびDC8E8がコンフォーメーション変化を検出できることを示唆する。
これらのタウリピートドメインは、種間で保存されているので(図8A)、DC8E8は、ラット、マウス、ウシ、チンパンジー(chipanzee)、カエルなどのような多種多様な種由来のタウタンパク質と反応する可能性がある。様々な動物種のタウタンパク質のアラインメントを、ソフトウェアClustalW2(例えば、www.ebi.ac.uk/Tools/msa/clustalw2/において入手可能)を使用して行った。ヒトタウは、ヒト脳ニューロンにおいて発現される最も長いタウアイソフォーム(2N4R,441アミノ酸)によって代表される。他の種のタウタンパク質は、公的データベースから選択された。DC8E8抗体によって認識される4つのエピトープの各々が位置する配列は四角で囲まれている。
さらなる点変異および欠失を、ある特定のタウ由来ペプチド(8−mer、9−merおよび10−mer)に対して行うことにより、各ペプチドがDC8E8への結合についてタウΔ(1−150;392−441/4R)と競合する能力によって評価される、DC8E8エピトープをさらに定義した。ペプチドは、EZBiolabs(USA)によって85%より高い純度で合成された。競合ELISAを、以下の標準的なプロトコルに従って行った。ELISAプレート(IWAKI高結合プレート,#3801−096,Bertoni GmbH,Austria)を、100μl/ウェルの、PBS中の5μg/mlの組換え精製タウΔ(1−150;392−441/4R)で4℃において一晩コーティングした。そのIWAKI高結合プレートを、PBS/Tween20(0.05%v/v)で4回洗浄し、25℃において2時間、PBS/Tween20でブロッキングした。上記ペプチドの各々を別々に5mMの最終濃度でPBSに溶解した。PBS/Tween20中のそれらのペプチドの段階希釈物(2倍)を、コニカルウェル底を有するポリプロピレンプレート(Greiner,#651201)において調製した(濃度範囲80μM、40μM、20μM、10μM、5μMおよび2.5μM)。1ウェルあたり100μlの各希釈物を加えた。精製されたDC8E8モノクローナル抗体(精製は、下記の実施例5に記載されるように行った)を、PBS/Tween20中、2μg/mlの濃度に希釈し、100μlのこの希釈された抗体を、ペプチドの各段階希釈物と混合して、40μM、20μM、10μM、5μM、2.5μMおよび1.25μMの濃度でそれぞれの各試験ペプチドを含む100μlあたり100ngの抗体を含む200μlの混合物を得た。その抗体/ペプチド混合物を、250rpmに設定された回転プラットフォーム上で25℃において1時間インキュベートした。100マイクロリットル(100μl)の抗体/ペプチド混合物を、上記ポリプロピレンプレートから、タウΔ(1−150;392−441/4R)でコーティングされ、PBS/Tween20でブロッキングされたIWAKI高結合プレートに移し、250rpmに設定された回転プラットフォーム上で25℃において1時間インキュベートした。そのプレートをPBS/Tween20で4回洗浄した。それらのサンプル(プレート中)を、PBS/Tween20において1:4,000希釈された100μlのポリクローナルヤギ抗マウス免疫グロブリン/HRP(Dako,#P0447)とともに、回転プラットフォーム(250rpmに設定)上で25℃において1時間インキュベートした。そのプレートをPBS/Tweenで4回洗浄した。次いで、サンプル/プレートを、1.5μl/2mlの30%H2O2(SIGMA,H−0904)が補充された0.1M酢酸Na pH6.0(Roth,#6779)中の、100μlの1.5mg/2ml o−PDA溶液(o−フェニレンジアミン,SIGMA,P1526)とともに25℃において10分間、暗所においてインキュベートした。100μlの2M H2SO4(Merck,1.00731.1000)を加えることによって反応を停止した。その反応の程度を、サンプル/プレートの490nmにおける吸光度を読むことによって追跡した(例えば、Victor Multilabel Counter(Wallac)を使用して)。
図8Bは、以下の6つのペプチドを用いて行われた競合ELISAの結果を示している:NIKAVPGGGS(配列番号200)、NIKHVPGGGS(配列番号201)、IKHVPGGGS(配列番号202)、KHVPGGGSV(配列番号203)、HVPGGGSVQ(配列番号204)およびVPGGGSVQ(配列番号205)。タウ治療用エピトープ#2を含む、ペプチドKHVPGGGSV(配列番号203)およびHVPGGGSVQ(配列番号204)は、タウΔ(1−150;392−441/4R)上に存在する元の治療用エピトープの少なくとも1つと競合した。配列番号204のエピトープから、下線が引かれたヒスチジンが除去されることにより、競合活性が失われる(ペプチドVPGGGSVQ,配列番号205を参照のこと)。ヒスチジンからアラニンに変化させる点変異(「エピトープ#2」中の、対応するタウの299位におけるもの)は、競合活性を失わせる(ペプチドNIKAVPGGGS,配列番号200)。「ヒスチジン299」の前に(N末端に向かって)2または3個のアミノ酸を含むペプチドも、元のエピトープと競合した(それぞれペプチドIKHVPGGGS(配列番号202)およびNIKHVPGGGS(配列番号201))。これらの結果から、第2のタウリピート内に含まれるDC8E8の最小エピトープ(エピトープ#2)が、6−mer配列、すなわちHVPGGG(配列番号154)内に存在することが示唆される。
上述のマッピング実験から、DC8E8抗体のエピトープの1つもしくは複数(one ore more)の中のアミノ酸配列PGGGの存在が示唆された。さらに、このアミノ酸配列は、DC8E8によって結合されるタウタンパク質上の4つすべてのエピトープに存在する(配列番号98、99、100、101を参照のこと)。DC8E8エピトープのN末端領域における残基を決定するために、アラニンスキャニング実験を、タウの第2リピートドメイン内に含まれるDC8E8エピトープ(298−KHVPGGG−304内,配列番号99)を含むタウペプチド295−DNIKHVPGGGS−305において行った。
DC8E8に対する変異体ペプチドの結合能を、各ペプチドがDC8E8への結合についてタウΔ(1−150;392−441/4R)と競合する能力によって評価した。7つのペプチドが、EZBiolabs(USA)によって85%より高い純度で合成された:ANIKHVPGGGS(配列番号144)、DAIKHVPGGGS(配列番号146)、DNAKHVPGGGS(配列番号149)、DNIAHVPGGGS(配列番号151)、DNIKAVPGGGS(配列番号159)、DNIKHAPGGGS(配列番号161)、および元の配列DNIKHVPGGGS(配列番号171)を有するペプチド。競合ELISAを、以下の標準的なプロトコルに従って行った。ELISAプレート(IWAKI高結合プレート,#3801−096,Bertoni GmbH,Austria)を、100μl/ウェルの、PBS中の5μg/mlの組換え精製タウΔ(1−150;392−441/4R)で4℃において一晩コーティングした。そのIWAKI高結合プレートを、PBS/Tween20(0.05%v/v)で4回洗浄し、25℃において2時間、PBS/Tween20でブロッキングした。上記ペプチドの各々を別々に5mMの最終濃度でPBSに溶解した。PBS/Tween20中のそれらのペプチドの段階希釈物(2倍)を、コニカルウェル底を有するポリプロピレンプレート(Greiner,#651201)において調製した(濃度範囲320μM、160μM、80μM、40μM、20μM、10μM、5μMおよび2.5μM)。1ウェルあたり100μlの各希釈物を加えた。精製されたDC8E8モノクローナル抗体(精製は、下記の実施例5に記載されるように行った)を、PBS/Tween20中、2μg/mlの濃度に希釈し、100μlのこの希釈された抗体を、ペプチドの各段階希釈物と混合して、160μM、80μM、40μM、20μM、10μM、5μM、2.5μMおよび1.25μMの濃度でそれぞれの各試験ペプチドを含む100μlあたり100ngの抗体を含む200μlの混合物を得た。その抗体/ペプチド混合物を、250rpmに設定された回転プラットフォーム上で25℃において1時間インキュベートした。100マイクロリットル(100μl)の抗体/ペプチド混合物を、上記ポリプロピレンプレートから、タウΔ(1−150;392−441/4R)でコーティングされ、PBS/Tween20でブロッキングされたIWAKI高結合プレートに移し、250rpmに設定された回転プラットフォーム上で25℃において1時間インキュベートした。そのプレートをPBS/Tween20で4回洗浄した。それらのサンプル(プレート中)を、PBS/Tween20において1:4,000希釈された100μlのポリクローナルヤギ抗マウス免疫グロブリン/HRP(Dako,#P0447)とともに、回転プラットフォーム(250rpmに設定)上で25℃において1時間インキュベートした。そのプレートをPBS/Tweenで4回洗浄した。次いで、サンプル/プレートを、1.5μl/2mlの30%H2O2(SIGMA,H−0904)が補充された0.1M酢酸Na pH6.0(Roth,#6779)中の、100μlの1.5mg/2ml o−PDA溶液(o−フェニレンジアミン,SIGMA,P1526)とともに25℃において10分間、暗所においてインキュベートした。100μlの2M H2SO4(Merck,1.00731.1000)を加えることによって反応を停止した。その反応の程度を、サンプル/プレートの490nmにおける吸光度を読むことによって追跡した(例えば、Victor Multilabel Counter(Wallac)を使用して)。
図8Cは、以下の7つのペプチド:ANIKHVPGGGS(配列番号144)、DAIKHVPGGGS(配列番号146)、DNAKHVPGGGS(配列番号149)、DNIAHVPGGGS(配列番号151)、DNIKAVPGGGS(配列番号159)、DNIKHAPGGGS(配列番号161)およびDNIKHVPGGGS(配列番号171)を用いて行われた競合ELISAの結果を示している。ヒスチジンをアラニンに変化させる点変異(「エピトープ#2」内の対応するタウ299位におけるもの)は、DC8E8への結合についてのタウΔ(1−150;392−441/4R)との競合活性を完全に失わせる(ペプチドDNIKAVPGGGS、配列番号159)。アミノ酸D、N、I、KおよびVをアラニンに変化させた変異は、それぞれの変異体ペプチド(ペプチドANIKHVPGGGS(配列番号144)、DAIKHVPGGGS(配列番号146)、DNAKHVPGGGS(配列番号149)、DNIAHVPGGGS(配列番号151)、DNIKHAPGGGS(配列番号161)の競合活性を無効にしなかった。これらの結果は、第2のタウリピート内に含まれるDC8E8の最小エピトープ(エピトープ#2)が、6−mer配列、すなわちHVPGGG(配列番号154)内に存在し、DC8E8が、HXPGGG(配列番号164)に結合することを示唆している。
実施例5:DC8E8は、表面プラズモン共鳴によって評価されるとき、誤無秩序タウΔ(1−150;151−391)/4Rを認識する
表面プラズモン共鳴(SPR)は、結合事象をリアルタイムで直接モニタリングすることによって、タンパク質結合を検出するため、およびタンパク質複合体(例えば、抗体抗原複合体)の熱力学的パラメータを測定するために使用され得る。この技術は、診断用抗体と治療用抗体の両方を特徴付けるために日常的に使用されている(例えば、Karlsson and Larsson,Affinity Measurement Using Surface Plasmon Resonance,in Methods in Molecular Biology,Vol.248:Antibody Engineering:Methods and Protocols.B.K.C.Lo編(著作権)Humana Press Inc.,Totowa,NJ,(2008)を参照のこと)。
SPR実験のために、DC8E8モノクローナル抗体(mAb)を、以下のとおり、プロテインGアフィニティーカラム上で無血清ハイブリドーマ上清から精製した。ハイブリドーマ上清を、pH7.5に調整し、その溶液を遠心分離によって予め浄化し、0.45μmメンブランフィルターで濾過し、5mlのProtein G Sepharoseカラムに充填した。DC8E8 mAbを、0.1Mグリシン−HCl,pH2.7を用いてそのカラムから溶出した。溶出された画分を、直ちに1M Tris−HCl pH9.0で中和した。プールされた画分を、PBSに対して透析し、限外濾過によって濃縮し、−70℃で保管した。280nmにおける吸光度を測定することによって、式c(mg/ml)=A280nm/1.43を使用して、抗体の濃度を決定した。
CM5センサーチップを備えたBIACORE3000装置(Biacore AB,Uppsala)を、SPRアッセイのために使用した。アミンカップリング試薬(EDC、NHS、エタノールアミンpH8.5)、P20界面活性剤および10mM酢酸ナトリウムpH5.0を、Biacore ABから入手した。これらの実験を、ランニング緩衝液として、0.005%のP20を含むPBS pH7.4(PBS−P)中、25℃において行った。代表的には、5,000RU(応答単位)のポリクローナル抗マウス抗体(No.Z0420;DakoCytomation,Glostrup,Denmark)を、pH5.0において1級アミンを介して、2つのフローセル(その一方を基準測定として使用した)において同時に結合させた。
各解析サイクルにおいて、230〜250RUの固定化レベルに達するように、精製されたDC8E8を分析フローセルに捕捉した。KA測定のために、ならびに動態速度定数(kONおよびkOFF)の測定のために、タウタンパク質(それに対するDC8E8親和性が試験された)またはコントロールとしてPBS−Pの2倍段階希釈物を、50μl/分の流速でセンサーチップの上に注入した。動態結合データを、Myszka,1999に従って二重参照(double referenced)し、BIA評価ソフトウェア4.1(Biacore AB)によって2相反応モデルに当てはめた。動態速度定数を全体的に近似させ、最大レスポンスを局所的に当てはめ、バルクレスポンスを0に設定した。
試験されたタウタンパク質の各々に対してDC8E8の親和性を定量するために、会合平衡結合定数(KA)を、4リピートタウタンパク質アイソフォーム2N4R、3リピートタウタンパク質アイソフォーム2N3Rならびに誤無秩序タウΔ(1−150;392−441)/4Rおよび誤無秩序タウΔ(1−150;392−441)/3Rに対するDC8E8結合について測定した。SPRのために使用されたすべてのタウタンパク質は、実施例1に従って調製された。DC8E8の親和性は、4リピートタウΔ(1−150;392−441)/4Rに続いて、完全長4リピートタウアイソフォーム2N4R、次いで、3リピートタウΔ(1−150;392−441)/3R、そして最後に3リピート完全長タウアイソフォーム2N3Rに対して高かった(図9A、B)。これらの結果は、(1)誤無秩序形態のタウに対するDC8E8の特異性、および(2)完全長タウ(すなわち、正常または生理学的タウ)に優先して誤無秩序タウ(すなわち、疾患または病理学的タウ)に対するDC8E8の選択性を確証させた。
SPRを使用した結合事象のリアルタイムモニタリングは、DC8E8といくつかのタウタンパク質との間の会合(kON)および解離(kOFF)の動態速度の測定を可能にした。DC8E8の結合動態は、生理学的2N4Rタウと比べて、誤無秩序タウΔ(1−150;392−441)/4RおよびタウΔ(1−150;392−441)/3Rの変更されたコンフォーメーションを明らかにした(これは、誤無秩序(misdisorderd)タウタンパク質におけるより容易に到達可能なDC8E8エピトープによって示唆される)。これは、完全長の対応物と比べて誤無秩序タウタンパク質へのより速い結合およびより高いkONによって反映される。さらに、4リピートタウタンパク質種上の、DC8E8に対する余分な結合部位の存在によって、DC8E8との複合体からの4Rタウ種の10倍遅い解離およびそれに対応する10倍低いkOFFがもたらされた(図10A、B;コンピュータプログラムBIAEvaluation v4.1を使用した動態パラメータ計算によって、測定されたデータから破線が内挿された)。
実施例6:DC8E8は、ヒトアルツハイマー病脳におけるすべての発症段階の神経原線維変性を認識する
ヒト脳組織(パラフィンブロック)を、Netherlands brain bankから入手した。そのブロックをミクロトームにおいて切断した。アルツハイマー病脳(BraakステージVI)および非痴呆コントロール(BraakステージIおよびIII)の海馬嗅内皮質のパラフィン切片(8μm)を、室温(25℃)において冷(+4℃)99%ギ酸で1分間処理した。その組織切片をブロッキング溶液(50nM Tris−HCl中の、5%BSA、0.3%Triton X−100)中でインキュベートし、次いで、ブロッキング溶液で1:2,000希釈された、精製された1次抗体DC8E8(7.8mg/ml;実施例5に記載されたように調製された)とともに一晩インキュベートした。続いて、それらの切片を、ビオチン化二次抗体(Vectastain Elite ABC Kit,Vector Laboratories)とともに室温において1時間インキュベートし、次いで、アビジン−ビオチンペルオキシダーゼ複合体と両方とも室温(25℃)において60分間反応させた(Vectastain Elite ABC Kit,Vector Laboratories)。免疫反応を、ペルオキシダーゼ基質キット(Vector VIP,Vector laboratories,Ca,USA)を用いて可視化し、メチルグリーン(Vector Laboratories)で対比染色した。それらの切片をOlympus BX71顕微鏡で検鏡した。
モノクローナル抗体DC8E8は、前臨床ADと、臨床的に初発のADと、完全に発症した最終段階のADとを区別した。免疫組織化学的研究は、DC8E8が、ヒト前臨床AD−BraakステージIにおける初期の段階(タウ単量体、二量体)の病理学的タウを検出することを示した(図11A)。その脳は、限られた数の神経原線維変化(NFT)だけを嗅内皮質に含むが、海馬にはNFTを含まない(BraakステージI)。海馬にいくつかのNFTが見られた臨床的に初発のAD脳では(BraakステージIII)、DC8E8 mAbは、病理学的タウオリゴマーの段階(矢印)と病理学的タウポリマー(濃縮体)の段階の両方を認識した(図11B)。広範な神経原線維変性が存在する完全に発症したアルツハイマー病脳では、DC8E8は、主に病理学的タウポリマーを神経原線維変化、老人斑および糸屑状構造物(neurotic threads)の形態で認識する(図11C)。したがって、mAb DC8E8は、単量体、二量体、初期オリゴマー段階(図11D1)および後期オリゴマープレ濃縮体段階(図11D2)、ならびに後期の発症段階の病理学的タウポリマー−細胞内(図11D3)および細胞外の神経原線維変化(図11D4)を含む、ヒトアルツハイマー病脳組織におけるすべての発症段階の神経原線維病変を認識する。ゆえに、このmAb DC8E8の反応性は、この抗体の診断用途と治療用途の両方のために有用である。
実施例7:DC8E8は、ヒトアルツハイマー病で見られたように、トランスジェニックラットSHR72の脳におけるすべての発症段階の神経原線維変性を認識する
SHR24トランスジェニックラット系統:この系統は、国際特許出願PCT WO2004/007547に記載されているタンパク質であるタウΔ(1−150;392−441)/3Rを発現する。このトランスジェニック系統の作出および特徴付けは、Filipcikら、2010に記載されている。これらのトランスジェニックラットは、皮質脳の領域において進行性の加齢依存的な神経原線維変性を発症する。神経原線維変化(NFT)は、ヒトアルツハイマー病における神経原線維変性を識別するために使用されるいくつかの重要な組織学的基準(銀親和性、コンゴーレッド複屈折およびチオフラビンS反応性を含む)を満たした。神経原線維変化は、ヒト脳における病理的タウを検出するために使用される抗体(疾患タウコンフォーメーションを認識する(Vechterovaら、2003;Kovacechら、2010)DC11を含む)、および過剰リン酸化型のタウタンパク質に特異的な抗体を用いても識別された。さらに、神経原線維変性は、ラット内在性およびトランスジェニック切断型タウ種からなるサルコシル不溶性タウタンパク質複合体の広範な形成によって特徴付けられた(Filipcikら、2010)。これらのトランスジェニックラットの最も顕著な病理組織学的特徴は、皮質における広範な神経原線維病理(神経原線維変化)である。トランスジェニックラットの生存時間の中央値は、222.5日(SD=43.56)であり、最も長い生存期間は、475日に達する(Filipcikら、2010)。
SHR72トランスジェニックラット系統:これらのトランスジェニックラットは、いくつかの脳領域および脊髄において、国際特許出願PCT WO2004/007547)に係るヒト切断型タウΔ(1−150;392−441)/4Rを発現する。このラット系統の作出は、Zilkaら、2006に記載され、タウ病理は、Kosonら、2008に記載された。これらのトランスジェニックラットの最も顕著な病理組織学的特徴は、広範な神経原線維病理、例えば、神経原線維変化である。NFTの外観は、ヒトADにおける神経原線維変性を識別するために使用されるいくつかの組織学的基準(銀親和性、コンゴーレッド複屈折およびチオフラビンS反応性を含む)を満たした。NFTは、異常なタウコンフォーメーションを認識してヒト脳において病理的タウを検出するために使用される抗体(DC11を含む)(米国特許第7,446,180号を参照のこと)および過剰リン酸化型のタウタンパク質に特異的な抗体を用いても識別された。さらに、神経原線維変性は、ラット内在性およびヒト切断型タウ種からなるサルコシル不溶性タウタンパク質複合体の広範な形成によって特徴付けられた。このモデルのヘテロ接合体系統では、最も広範な神経原線維病理が、脳幹および脊髄において観察された(Zilkaら、2006)。導入遺伝子発現のレベル、NFTの量、およびラットの寿命が、予め測定された。このトランスジェニックラット(SHR72系統)に対する生存時間の中央値は、222.5日だった(SD=24.48)(Kosonら、2008)。
トランスジェニックラット系統SHR24(タウΔ(1−150;392−441)/3Rを発現する)およびSHR72(タウΔ(1−150;392−441)/4Rを発現する)は、脳および脊髄において広範な神経原線維変性を生じさせた。トランスジェニックラット系統SHR24は、等皮質、脳幹および脊髄において重篤な神経変性を示す一方で、SHR72トランスジェニックラットは、NFTを主に脳幹および脊髄において生じさせるが皮質では生じさせない。感覚運動および神経の障害の進行は、両方のトランスジェニック系統において似ている;しかしながらSHR72トランスジェニックラットは、より短い寿命を示す。
本願に提示されるトランスジェニックラット研究では、ヘミ接合トランスジェニックラットを使用した(SHR24およびSHR72)。すべてのラットを、自由に水および食糧を摂取できる標準的な実験室条件下で収容し、日周期性の照明条件(7:00a.m.に明期を開始する12時間明/暗サイクル)下で維持した。使用されるラットの数を最小限にするように、ならびに不快、疼痛および苦痛を限定するように努力した。
DC8E8を用いたラット脳組織の免疫組織化学的検査:トランスジェニックラット(7ヶ月齢)に、深麻酔下において1分間、PBSを経心的に灌流した後、100mlの4%パラホルムアルデヒド(pH7.4)を灌流した。灌流後、頭部を切断し、すみやかに脳を取り出した。使い捨てメス刃を使用して、脳を矢状方向に2つの同じサイズの半球に切断した。その脳組織を4%パラホルムアルデヒド中で後固定し、パラフィンに包埋し、ミクロトームにおいて切片に切断した。8μmパラフィン包埋組織切片において免疫組織化学的検査および組織病理学的検査を行った。組織切片を、室温(25℃)において、抗原アンマスキング溶液(Vector laboratories,CA,USA)で20分間前処理し、冷(+4℃)90%ギ酸(Applichem,Germany)で1分間前処理した。ブロッキングの後、切片を、ブロッキング溶液(50nM Tris−HCl中の5%ウシ血清アルブミン、0.3%Triton X100)で1:2000希釈された精製されたモノクローナル抗体DC8E8(7.8mg/ml)とともに一晩インキュベートした。洗浄した後、切片を室温において1時間、ビオチン化二次抗体(Vectastain Elite ABC Kit,Vector Laboratories)とともにインキュベートし、次いで、室温(25℃)において、アビジン−ビオチンペルオキシダーゼ−複合体溶液と60分間反応させた(Vectastain Elite ABC Kit,Vector Laboratories)。免疫反応を、ペルオキシダーゼ基質キット(Vector VIP,Vector laboratories,Ca,USA)を用いて可視化し、切片をメチルグリーン(Vector Laboratories)で対比染色した。切片をOlympus BX71顕微鏡で検鏡した。
トランスジェニックラット脳(SHR72)において、mAb DC8E8は、疾患段階の病理学的タウオリゴマー(矢印)および疾患段階の病理学的タウポリマー(濃縮体)を認識した(図12A)。さらに、DC8E8は、軸索線維に位置するミスフォールドされたタウと反応した。同齢のコントロールラット脳では、その抗体は、神経細胞体または軸索突起を染色しなかった(図12B)。
ヒトアルツハイマー病脳におけるように(前出を参照のこと)、mAb DC8E8は、SHR72トランスジェニックラットの脳において、疾患の単量体、二量体および初期オリゴマー段階(図12C)ならびに後期オリゴマーのプレ濃縮体段階のタウ(図12D)、ならびに後期発症段階の病理学的タウポリマー(細胞内(図12E)および細胞外の神経原線維変化(図12F))を含むすべての発症段階の神経原線維病変を認識した。
DC8E8は、タウΔ(1−150;392−441)/3R)を発現しているトランスジェニックラットの脳における神経原線維変化も認識した(SHR24、図13A;SHR72、図13B)。
実施例8:DC8E8は、ヒトアルツハイマー病およびタウトランスジェニックラットの脳において、可溶性の誤無秩序タウと不溶性のタウ種の両方を認識する
可溶性タウおよび不溶性タウ複合体を、サルコシル法(Greenberg and Davies,1990)を使用して、ヒトAD脳または疾患タウトランスジェニックラット脳(実施例7に記載されたSHR24およびSHR72系統)から単離した。タンパク質抽出のために、凍結されたヒトAD脳組織(不等皮質,Netherlands brain bankから入手したBraakステージVおよびVIのサンプル)ならびにトランスジェニックSHR24ラット(等皮質、10、12および14ヶ月齢)およびトランスジェニックSHR72ラット(脳幹、7.5ヶ月齢)由来の組織を、10体積の冷抽出緩衝液(10mM Tris pH7.4、0.8M NaCl、1mM EGTAおよび10%スクロース)中でホモジナイズした。そのホモジネートを20,000×gで20分間遠心し、50μlの上清を可溶性タウの解析のために使用した。
サルコシル不溶性タウを調製するために、残りの上清に、N−ラウロイルサルコシン(SIGMA)を1%の最終濃度になるように補充し、振盪しながら室温において1時間インキュベートした。1時間にわたる100,000×gでの遠心分離の後、得られた上清を廃棄した(ペレットが、サルコシル不溶性タウ画分を含む)。
可溶性タウ画分およびサルコシル不溶性タウ画分を、免疫ブロット法によって解析した。可溶性タウ画分を、等体積の2×SDS−サンプルローディング緩衝液(β−メルカプトエタノールを含む)(Laemmli,1970)で希釈し、1レーンあたり15μgのタンパク質を充填した。サルコシル不溶性タウ画分に対しては、ペレットを、不溶性タウ画分の調製のために使用された可溶性画分の1/50体積の1×SDS−サンプルローディング緩衝液に溶解した。次いで、等体積の可溶性タウ画分およびサルコシル不溶性タウ画分を免疫ブロット解析のために使用した(それらは、可溶性画分中の15μgの総タンパク質に対応した)(Filipcikら、2010を参照のこと)。サンプルを95℃で5分間加熱し、5〜20%のグラジエントSDSポリアクリルアミドゲルに充填し、Tris−グリシン−SDS緩衝液系において、25mAで40分間、電気泳動した。タンパク質をポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜に移動させた(10mM CAPS,pH12において、150mAで1時間)。その移動の後、その膜をリン酸緩衝食塩水(PBS;136.89mM NaCl、2.7mM KCl、8.09mM Na2HPO4、1.47mM KH2PO4)中の5%脱脂粉乳において室温で1時間ブロッキングし、次いで、TBST−乳(20mM Tris−HCl、pH7.4、150mM NaCl、0.1%Tween20、5%脱脂粉乳)で1:1希釈されたDC8E8ハイブリドーマ培養上清とともに1時間インキュベートした後、大量のPBSで3回洗浄した。その膜を、二次抗体として、PBSで1:4,000希釈されたHRP結合体化ヤギ抗マウスIg(DAKO,Denmark)とともにインキュベートした(室温において1時間)。このインキュベーションの後、PBS中の0.2%Igepal CA−630(SIGMA)で洗浄した(3回)。SuperSignal West Pico Chemiluminescent Substrate(Pierce,U.S.A)を用いてそのブロットの像を得て、LAS3000イメージングシステム(FUJI Photo Film Co.,Japan)を使用してタンパク質シグナルを検出した。化学発光シグナル強度を、AIDA(Advanced Image Data Analyzer,Raytest,Straubenhardt,Germany)ソフトウェアを使用して定量した。
DC8E8は、SHR24トランスジェニックラットにおける可溶性ヒトタウΔ(1−150;392−441)/3Rと生理学的ラットタウアイソフォームの両方を認識した(図14A)。さらに、DC8E8は、SHR24ラット脳由来のサルコシル不溶性タウ画分中のタウΔ(1−150;392−441)/3Rおよび病理学的ラットタウタンパク質を認識した(図14B)。重要なことには、DC8E8は、ヒトAD脳におけるサルコシル不溶性タウ画分中の病理学的ヒトタウタンパク質を強く認識した(BraakステージVおよびVI、図14Bおよび14C)。DC8E8は、SHR72トランスジェニックラットにおける可溶性ヒトタウΔ(1−150;392−441)/4Rと完全長(生理学的)ラットタウアイソフォームの両方を認識した(図14D)。重大なことに、DC8E8は、SHR72ラット脳由来のサルコシル不溶性タウ画分中の病理学的タウΔ(1−150;392−441)/4Rおよび病理学的形態のラットタウを特異的に認識した(図14D)。
実施例9:DC8E8は、病理学的タウ−タウ相互作用を阻害する
タウ線維化アッセイ。DC8E8が病理学的タウ−タウ相互作用に対して阻害効果を有するか否かを判定するために、インビトロタウ線維化アッセイを使用した。このアッセイは、タウタンパク質の固有の特性、すなわち、硫酸グリコサミノグリカンヘパリンなどのポリアニオンとの相互作用においてコンフォーメーション変化を起こす能力に基づく。1つのタウ分子におけるこの変化したコンフォーメーションは、別のタウ分子とそれとの病理学的な相互作用をさらにもたらし、その相互作用しているタウ分子の微小管結合領域におけるクロスβシート構造の形成を介したタウ−タウ複合体の安定化をもたらし、そして最後に、アルツハイマー病様対らせん状細線維(PHF)の形成をもたらす(Skrabanaら、2006)。ベータシートリッチ構造の形成は、チオフラビンTなどの蛍光色素によって検出され得る。
病理学的タウ−タウ相互作用に対するDC8E8の効果を測定するアッセイを、20μM(最終濃度)の、実施例1に記載されたように精製された、試験される組換えタウタンパク質(タウΔ(1−150;392−441)/4RまたはタウΔ(1−296;392−441)/4R)のうちのいずれか1つ;5μMヘパリン(ブタ腸管粘膜由来のヘパリンナトリウム塩,≧150IU/mg,乾燥量基準,SIGMA製);および12.5μM(最終濃度)チオフラビンTを含むPBS(0.2μmフィルターで濾過されたもの)において設定した。各反応物(80μlの最終体積)を、密閉された黒色固体ポリスチレンプレート(384ウェル,Greiner BioOne)において、37℃で20時間インキュベートした。450nmの励起波長、510nmの発光および200msの測定時間とともに、蛍光リーダー(Fluoroskan Ascent FL(Labsystems))を使用して、チオフラビンTの蛍光を測定した。病理学的タウ−タウ相互作用に対するmAb DC8E8の阻害活性を測定するために、精製されたDC8E8(実施例5)を、上記反応混合物に20μMの最終濃度で加えた後、37℃でインキュベーションした。2つの抗体をコントロールとして使用した:DC51(狂犬病ウイルスのエンベロープタンパク質を認識する;Macikovaら、1992)およびDC11(ある特定の切断型のコンフォーメーションに変化した形態のタウを認識する、米国特許第7,446,180号)。
コンフォーメーションに変化し、原線維化した(fibrilized)タウの量を、DC8E8の非存在下(「Ctrl」)および存在下(「DC8E8」)におけるチオフラビンTの蛍光によって測定した(図15Aおよび15B)。20μMの最終濃度で加えられたmAb DC8E8は、両方の誤無秩序タウタンパク質の病理学的なコンフォーメーション変化および線維化を妨げ、線維化した病理学的タウの形態の量を、タウΔ(1−150;392−441)/4RおよびタウΔ(1−296;392−441)/4Rについてそれぞれ5%未満および16%未満に減少させた。このDC8E8の阻害活性は、ノンパラメトリックt検定によって解析されたとき、統計学的に有意だった(「DC8E8」、それぞれ図15Aおよび15Bにおいてp<0.001およびpp<0.01)。タウに結合しない無関係な抗体であるRab50(Macikovaら、1992)は、タウのコンフォーメーション変化を妨げず、チオフラビンTの蛍光を変化させなかった(「Rab50」)。ある特定の病理学的に変化したコンフォーメーションのタウを認識する抗体DC11(Vechterovaら、2003および米国特許第7,446,180号)は、原線維化したタウの形成をさらに促進した;この効果は、DC11による異常なタウ−タウ相互作用および原線維形成に必要とされる病理学的なコンフォーメーションのタウの安定化を反映し得る。
DC8E8は、誤無秩序タウΔ(1−296;392−441/4R)によるタウ二量体、三量体およびオリゴマーの形成も阻害した(図16)。組換えタウΔ(1−296;392−441)/4Rを、線維化アッセイについて上に記載されたようにDC8E8の存在下または非存在下において1、4および20時間インキュベートした。記載の時点において、SDS−サンプルローディング緩衝液を加えることによって、反応を停止させた。タンパク質の解析のために、10μlの各線維化反応物を5〜20%グラジエントSDSポリアクリルアミドゲルに充填し、Tris−グリシン−SDS緩衝液系において、25mAで40分間、電気泳動した。タンパク質をPVDF膜に移動させた後(10mM CAPS,pH12において150mAで1時間)、その膜を、PBS中の5%脱脂粉乳において室温で1時間ブロッキングし、次いで、PBSで1:1,000希釈されたHRP結合体化DC25(Skrabanaら(2006)とともに1時間インキュベートした後、大量のPBSで3回洗浄した。SuperSignal West Pico Chemiluminescent Substrate(Pierce,U.S.A)を用いてそのブロットの像を得て、LAS3000イメージングシステム(FUJI Photo Film Co.,Japan)を使用して化学発光シグナルを検出した。化学発光シグナル強度を、AIDA(Advanced Image Data Analyzer,Raytest,Straubenhardt,Germany)ソフトウェアを使用して定量した。
これらの結果は、DC8E8がヒトタウにおいて認識する/結合する4つの結合部位の1つもしくは複数が、単量体タウのコンフォーメーション変化、タウの線維化およびタウ凝集体(二量体、三量体および他のオリゴマー)の形成に関わることを明らかにしている。換言すれば、残基267−KHQPGGG−273(配列番号98)(タウタンパク質の第1リピートドメイン)、298−KHVPGGG−304(配列番号99)(タウタンパク質の第2リピートドメイン)、329−HHKPGGG−335(配列番号100)(タウタンパク質の第3リピートドメイン)および361−THVPGGG−367(配列番号101)(タウタンパク質の第4リピートドメイン)によって包含されるタウの4つの領域の1つもしくは複数が、タウの線維化およびタウ凝集体(二量体、三量体および他のオリゴマー)の形成を促進するおよび/またはそれに関わる。
実施例10:DC8E8は、誤無秩序タウの取り込みおよび分解を媒介する
マウスBV2ミクログリア細胞を、1μM組換えタウΔ(1−150;392−441)/4R単独またはタウΔ(1−150;392−441)/4RとDC8E8との混合物/複合体とともに、種々の時間にわたって6ウェルプレートにおいて処理した。培地を回収し、細胞を最初にPBSで洗浄し、次いで、弱酸洗浄液(0.5M NaCl、0.2M酢酸,pH3)で1分間洗浄した。次いで、洗浄された細胞をTTL緩衝液(20mM Tris pH7.4、150mM NaCl、1mM EDTA、1mM DTT、0.5%Triton X−100、50mM NaF、1mM Na3VO4,Roche−完全プロテアーゼ阻害剤)中で溶解し、すみやかに液体窒素中で凍結した。得られた細胞抽出物を、先に記載されているように(Kosonら、2008)12%SDS−PAGEゲルおよびウエスタンブロットにおいて解析した。簡潔には、タンパク質をニトロセルロース膜(Millipore,Billerica,MA,USA)上に移動させ、ポンソーSで染色することにより、均一なタンパク質の移動を確かめ、次いで、その膜を、タウ残基347〜353を認識する、pan−タウ抗体と称される(Axon Neuroscience,Vienna,Austria)DC25ハイブリドーマ培養上清でプロービングした。抗GADPH抗体(1:1,000,Abcam)を用いたウエスタンブロッティングをタンパク質充填コントロールとして使用した。DC25 1次抗体とのインキュベーションに続いて、洗浄、およびHRPに結合体化されたポリクローナルヤギ抗マウスIgG二次抗体(1:3,000;Dako,Glostrup,Denmark)とのインキュベーションを行った。SuperSignal West Pico Chemiluminescent Substrate(Pierce,U.S.A)を用いてそのブロットの像を得て、LAS3000イメージングシステム(FUJI Photo Film Co.,Japan)を使用して化学発光シグナルを検出した。
タウΔ(1−150;392−441)/4Rを、先のパラグラフに記載されたように単独でまたは1μM mAb DC8E8とともにマウスBV2細胞の培養物に1μMの濃度で加えた。2、4、6および12時間にわたるインキュベーションの後、細胞タンパク質を抽出し、内部移行したタウのレベルをウエスタンブロッティングによって解析した。Pan−タウ抗体DC25は、ミクログリア細胞内の誤無秩序タウの存在を示した。ウエスタンブロットプロファイルは、誤無秩序タウの分解がDC8E8の存在下においてより速いことを明らかにした(図17A)。
DC8E8抗体自体もまた、BV2細胞内に存在することが見出された。図17A。さらに、DC8E8は、細胞培地中の可溶性の誤無秩序タウの量を減少させた(これは、細胞外のタンパク分解の機構の活性化を反映し得る)(図17B)。
実施例11:DC8E8は、37℃において安定である
DC8E8(実施例5に記載されたように精製された)をPBSで2mg/mlの濃度に希釈し、アリコート(100μl)を37℃においてインキュベートした。様々な1ヶ月間隔で、アリコートを−20℃において凍結した。実験の期間全体にわたって−20℃で維持して保管されたDC8E8のアリコート(2mg/ml)を「コントロール」として使用した。4ヶ月後(すべてのサンプルが回収されたとき)、DC8E8活性(固相としての組換えタウΔ(1−150;392−441)/4Rに対する結合)、ゆえに37℃での保管寿命の安定性の解析を、実施例2に記載されたようにELISAによって行った。各DC8E8アリコートを、2,000倍(すなわち、2,000×または1:2,000)、4,000×、8,000×,16,000×、32,000×、64,000×,128,000×、256,000×および512,000×希釈した。DC8E8は、活性であり(タウΔ(1−150;392−441)/4Rに結合する能力によって測定されたとき)、ゆえに、「コントロール」と比べて、37℃での4ヶ月間のインキュベーションの後でさえ安定だった(図18)。
実施例12:DC8E8は、天然のエキソビボ様の条件下において、ヒトAD脳由来およびSHR72ラットの脳由来の可溶性タウと不溶性タウの両方に結合することおよびそれらを免疫沈降させることができる
サルコシル不溶性のミスフォールドされたタウタンパク質を、サルコシル法(Greenberg and Davies,1990)を用いて、ヒトAD脳またはタウトランスジェニックラット脳(実施例7に記載された系統SHR72)から生化学的に単離した。タンパク質抽出のために、未固定の凍結ヒトAD脳(移行嗅内皮質(transentorhinal cortex),BraakステージV,Netherlands Brain Bank,Netherlandsから入手したもの)およびSHR72トランスジェニックラット(等皮質,7.5ヶ月齢動物)組織を、10体積の氷冷抽出緩衝液[10mM Tris pH7.4、0.8M NaCl、1mM EGTAおよび10%スクロース(50mM NaF、1mM Na3VO4、およびEDTAを含まないプロテアーゼ阻害剤のカクテルComplete(登録商標)(Roche製)が補充されたもの]中でホモジナイズした。そのホモジネートを20,000×gで20分間遠心することにより、膜材料を除去した。サルコシル不溶性タウ画分を調製するために、上清にN−ラウロイルサルコシン(SIGMA)を1%の最終濃度になるように補充し、振盪しながら室温において1時間インキュベートした。1時間にわたる100,000×gでの遠心分離の後、得られた上清を廃棄し、ペレットを、3mlのリン酸緩衝食塩水(PBS、8.09mM Na2HPO4、1.47mM KH2PO4、136.89mM NaCl、2.7mM(KCl))中で1回洗浄した。次いで、オリゴマーおよびポリマーのミスフォールドされたタウ種(すなわち、疾患タウタンパク質)に濃縮された脳タンパク質画分に相当するそのペレットを、20%に設定された出力での20%デューティサイクルにおける、MS72プローブを備えたBandelin Sonopuls HD2200/UW2200(Bandelin Electronic,Germany)を使用した、氷上での2分間の超音波処理によって、1mlのPBS(50mM NaF、1mM Na3VO4、およびEDTAを含まないプロテアーゼ阻害剤のカクテルComplete(登録商標)(Roche)が補充されたもの)に再懸濁した。
疾患タウタンパク質が濃縮された得られた懸濁液(ヒトAD脳とラットADモデルの脳の両方に由来)を2つの500μlの部分に分割し、各部分に、25μgの2つの精製された抗体:DC8E8またはコントロール抗体Rab50(狂犬病ウイルスのエンベロープタンパク質を認識する;Macikovaら、1992)のうちの一方を加えた。その懸濁液を、360度回転させながら(with head−over−tail rotation)6℃において2時間、その抗体とともにインキュベートした。形成された抗体−疾患タウ複合体を単離するために、PBS中で平衡化された50μlのProtein G Mag Sepharoseビーズ(GE Healthcare)の50%懸濁液を、各懸濁反応物に加え、それをさらに6℃において1時間インキュベートした。結合した抗体−タウ複合体を有するビーズを回収し、PBS(50mM NaF、1mM Na3VO4、0.02%IGEPAL CA−630(SIGMA)、およびEDTAを含まないプロテアーゼ阻害剤のカクテルComplete(登録商標)(Roche)が補充されたもの)で3回洗浄した。結合した抗体複合体を、100μlの200mMギ酸pH2.7中での3回の別個の5分間のインキュベーションによってビーズから溶出した。100μlの溶出液をプールし、凍結乾燥し、タンパク質をSDS−PAGEサンプルローディング緩衝液(Laemmli,1970)に溶解し、12%SDS−PAGEゲルにおいて分離し、ニトロセルロース膜上に移動させ、上記のようにHRP結合体化された(Kementec,Denmark)pan−タウ抗体DC25(2N4Rタウのエピトープ347−353,Axon Neuroscience,Vienna,Austria)とのインキュベーションによってタウタンパク質を検出した。インキュベーション(室温での1時間)の後、PBS中の0.2%Igepal CA−630(SIGMA)で洗浄した(3回)。SuperSignal West Pico Chemiluminescent Substrateシステム(Pierce,U.S.A)を用いてそのブロットの像を得て、LAS3000イメージングシステム(FUJI Photo Film Co.,Japan)を使用してシグナルを検出した。
DC8E8は、すべての形態の疾患タウタンパク質:アルツハイマー病を有する患者の脳に存在するオリゴマーおよびポリマーのミスフォールドされたタウ種を認識し、標的化し、それに結合する(図19A)。図19Aにおけるレーン1は、ヒトAD脳から生化学的に抽出された病理学的タウ種を示している。レーン3は、DC8E8との免疫沈降によって認識され、結合され、単離されたタウ種を示している。DC8E8に結合された/免疫沈降された疾患タウ種のパターンは、生化学的に抽出されたタウタンパク質のパターンだった。これらの結果は、ヒト脳における、DC8E8による病理学的タウ種の効率的なエキソビボ認識を示しており、すなわち、それらのタンパク質がインビボ様の未改変の形態である抽出物において、DC8E8がインビボにおいて疾患タウ種を標的化することができるという有用な治療特性を有することを示している。コントロール抗体Rab50(「Mock抗体」、レーン2)は、脳抽出物中に存在するいずれのタウタンパク質も認識しないことから、タウタンパク質へのDC8E8の結合が特異的であることが確かめられる。
図19Bは、タウタンパク質の免疫精製のために使用されたmock抗体(Rab50)およびDC8E8(それぞれレーン2および3)の量を示している。DC8E8の重鎖および軽鎖の位置もまた、図19Aのレーン3に表示されている。より多い量の抗体鎖の存在は、疾患タウのパターンを歪める。
DC8E8は、アルツハイマー病のSHR72ラットモデルの脳において、すべての形態のミスフォールドされた(疾患の)タウも認識し、標的化する。図20Aのレーン1は、トランスジェニックラットの脳から生化学的に抽出された疾患タウ種を示している。トランスジェニックラット脳抽出物とのDC8E8抗体のインキュベーションによって、その脳に存在する疾患タウ種の免疫精製が可能になった(図20A、レーン3)。DC8E8によって精製されたタウ種は、生化学的に単離されたタウタンパク質(図20A、レーン1)のパターンと同一のパターンを示し、それは、DC8E8が、そのトランスジェニックラット脳に存在するすべての病理学的タウ種を認識し、それに結合することを確証させる。タウタンパク質のバンドパターンのわずかな歪みは、DC8E8抗体の重鎖および軽鎖の存在によって引き起こされる(図20A、レーン3に表示されている)。Mock抗体Rab50(図20A、レーン2)は、いずれのタウタンパク質にも結合しなかった。
図20Bは、mock抗体(Rab50)、およびアルツハイマー病のトランスジェニックモデルのラットの脳抽出物からのタウタンパク質の免疫精製のために使用されたDC8E8(それぞれレーン2および3)の量を示している。DC8E8の重鎖および軽鎖の位置は、図20Aのレーン3にも表示されている。より多い量の抗体鎖の存在は、疾患タウのパターンをわずかに歪めた。
実施例13:DC8E8モノクローナル抗体は、トランスジェニックラットSHR72の脳から病理学的タウを除去する
DC8E8またはRab50(狂犬病ウイルス(virus rabbies)を認識するネガティブコントロール抗体)を産生するハイブリドーマ細胞を、10%NHSおよび1%グルタミンを含むDMEM中で培養した。それらの細胞をBuerkerカウントチャンバーにおいて計数した。1ミリリットルあたり500,000個の細胞を含む細胞懸濁液を100×gで5分間遠沈し、ペレットを1mlのPBSに再懸濁した。その細胞懸濁液を再度、100×gで5分間遠沈し、ペレットを5μlのPBSに再懸濁した。
トランスジェニックラットSHR72(6ヶ月齢)をこれらの実験のために使用した(1群あたり3匹のラット)。手術の少なくとも1時間前に、免疫抑制薬Sandimmun(15mg/kg)をラットの皮下に適用した。トランスジェニックラットを、Tiletamine−Zolazepam(100mg/ml)/Xylazine(20mg/ml)の3:5比での混合物の腹腔内注射によって麻酔した。麻酔薬の投与は、以下のとおりだった:Zoletil(30mg/kg)およびXylariem(10mg/kg)。麻酔されたラットの頭部を、各動物の外耳道に固定アームを留置することによって定位装置(David Kopf Instruments,Tujunga,CA,USA)に固定した。選択された定位座標(ブレグマに対して、外側5mm;前後4mm;背腹側−5mm)に従って、手術用ドリルを使用して各動物の頭に穴を開けた。DC8E8(105細胞)またはRab50(105細胞)を産生するハイブリドーマ細胞懸濁液を、ラットの脳の海馬の海馬采に両側注射した。手術の直後に、Ketonal(5mg/kg)を筋肉内投与した。Sandimmun(15mg/kg)を、適用後8日間、皮下に適用した。Enroxil(20mg/kg/24時間)を10日間にわたって飲料水において投与した。
外科手技の2週間後、ラットをZoletil(30mg/kg)およびXylariem(10mg/kg)との混合物によって麻酔した。2〜5分後、ラットを解剖用ステージに載せ、開腹した。灌流の前に、血液血清中のタウおよび抗体のレベルの解析のために血液を回収した。灌流針を左心室に留置し、蠕動ポンプ(Type pp1−05、Zalimp、速度−10×、程度7−22ml/1分という灌流液体)を使用してPBSをラットに2分間灌流した。各ラットを断頭し、その頭蓋をピーアンによって(by paean)開け、脳(脊髄の一部とともに)を慎重に取り出した。脳を矢状方向に(sagitally)2つの部分に切断した;右側を4%PFA(4℃)で一晩固定した。左側を切断し、脳幹および2つの皮質領をすみやかに液体窒素中で凍結した。
処置された動物の血清中のDC8E8抗体の量を、固相としてタウΔ(1−150;392−441)4Rを使用する、下記の実施例19に記載されるようなELISAによって測定した。各動物の血清(A、B、C)を、100×から12,800×まで段階希釈した(図21A)。DC8E8抗体の血清濃度を、標準物質として、精製されたDC8E8を使用して測定した。DC8E8は、処置動物において466、200および273ng/mlの濃度に達した(それぞれDC8E8処置群のA、B、C)。
各処置動物の血清中のタウの濃度も測定した。これは、Innotest hTAU ELISAキット(Innogenetics,Belgium)を製造者のプロトコルに従って使用して行った。DC8E8による処置は、血液中への抗体−タウ複合体の運搬を引き起こし、タウは、350pg/mlの平均濃度に達した。このDC8E8の効果は、脳から病理学的タウタンパク質を排除するのを助ける。他方で、狂犬病ウイルスのエンベロープタンパク質を認識する(Macikovaら、1992)mock抗体(Rab50)で処置された動物の血清中においてタウタンパク質は検出されなかった。グラフは、平均値の標準誤差(SEM)とともに平均値を示している(図21B)。
固定した脳組織をパラフィンに包埋し、ミクロトームにおいて切断した。8μmパラフィン包埋切片において免疫組織化学検査を行った。組織切片を、沸騰している抗原アンマスキング溶液(Vector Laboratories,Burlingame,CA,USA)で20分間前処理し、85%ギ酸(Applichem,Darmstadt,Germany)で1分間処理した。ブロッキングした後、組織切片をmAb DC8E8とともに一晩インキュベートした後、洗浄し、ビオチン化二次抗体(Vectastain Elite ABC Kit,Vector Laboratories)とともにインキュベーションした(1時間、室温)。洗浄した後、切片を室温において60分間、アビジン−ビオチンペルオキシダーゼ複合体(Vectastain Elite ABC Kit,Vector Laboratories)と反応させた。免疫反応を、ペルオキシダーゼ基質キットVIP(Vector VIP,Vector Laboratories,Burlingame,CA,USA)を用いて可視化した。上オリーブ複合体を、DC8E8神経細胞内シグナルの定量のために使用した。総シグナルを個々の運動ニューロン(1切片あたり少なくとも15個のニューロン)において定量した。AIDA(Advanced Image Data Analyzer,Raytest,Straubenhardt,Germany)ソフトウェアを使用して画像解析を行った。すべての処置動物の切片においてカウントを行い、次いで、ノンパラメトリックなマン・ホイットニー検定を用いて統計学的に評価した。
mockで処置された(図22A,右パネル)およびDC8E8で処置された(図22A,左パネル)動物由来の切片の上オリーブ複合体における病理学的タウの量の定量(図22B)は、mockで処置された動物と比べて、DC8E8で処置された3匹すべての動物において、試験された脳領域における病理学的タウの量の減少を示した(p<0.0001)(図22Aおよび22B)。
実施例14:タウの治療用エピトープのDC8E8の認識に影響するDC8E8結合部位内の残基のマッピング
a)一本鎖DC8E8抗体のクローニングおよび抗体結合部位の突然変異誘発。タウタンパク質の認識に必須のmAb DC8E8のアミノ酸残基のマッピングを助けるために、完全長DC8E8 mAbの機能的な一本鎖バージョン(scDC8E8v)を調製した。これは、実施例3に記載されたように調製されたDC8E8の軽鎖および重鎖のcDNAを用いて行われた。
DC8E8の可変領域を、NcoI(順方向プライマー:5’−ATATTACCATGGACATTGTGATGTCACAG−3’(配列番号155))およびXhoI(逆方向プライマー:5’−ATATTATTCTCGAGGGAGACGGTGACTGAGGT−3’(配列番号156))制限酵素に対する制限酵素認識部位を有するクローニングプライマー、ならびに重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを連結するために使用されたオリゴヌクレオチドリンカー配列(VH−LINK−F:5’−GGCGGCGGCGGCTCCGGTGGTGGTGGTTCCATGCAGGTCCAATTGCAGCAG−3’(配列番号157);VL−LINK−R:5’−GGAGCCGCCGCCGCCAGAACCACCACCACCAGAACCACCACCACCCCGTTTGATGTCCAGCTTGGTGCC−3’(配列番号158))を使用するPCRによってさらに増幅した(このリンカー配列は、Krebberら、1997に従ってデザインされた)。単離されたPCR産物の消化(NcoIおよびXhoI酵素を使用する)およびアガロースゲル電気泳動を介した精製の後、フラグメントを、T4−DNA−リガーゼ(Fermentas,Germany)を使用して、NcoIおよびXhoIで消化したpET22bプラスミドにクローニングした。細菌株DH5αを、得られたプラスミドの増幅のために使用し、選択されたクローンにおける正確な挿入位置を制限酵素解析によって確かめた。得られた一本鎖DC8E8コンストラクト(scDC8E8v)の配列の正確さを、3130Genetic Analyzer(Applied Biosystems,USA)を使用するDNA配列決定によって確かめた。
b)アラニンスキャニング突然変異誘発による、病理学的タウのDC8E8の認識に影響するDC8E8結合部位における残基の同定。タウへのDC8E8の結合に影響する残基を同定するために、scDC8E8vの選択された部位(太字かつ下線、下記を参照のこと)においてAlaスキャニング突然変異誘発を行った。Ala置換のために選択されたアミノ酸は、MacCallumら(J.Mol.Biol.1996)の成果に基づいて特定された。scDC8E8vの突然変異誘発を、SambrookおよびRussellによる“Molecular Cloning:A Laboratory manual”(2001)に記載されている標準的な手順によるPCRにおいて変異体オリゴヌクレオチドを使用するオーバーラップ伸長法によって行った。
変異体一本鎖を、元の各DC8E8配列に対して下記に列挙する。変異された残基は、太字かつ下線が引かれている。変異体一本鎖の名称は、コンストラクトの番号、可変重鎖または軽鎖の頭字語(VHまたはVL)、DC8E8における元のアミノ酸の一文字コードに続いて、軽鎖および重鎖配列のそれぞれ配列番号141および配列番号138におけるその位置、次いで、置換アラニンに対するAからなる。例えば、変異体1−VL−N31Aは、一本鎖変異体番号1に対応し、ここで、その可変軽鎖は、アスパラギン31(N31)をアラニン(A))で置き換えることによって、31位(DC8E8に対して)において変異された:
DC8E8軽鎖可変領域(CDRに下線が引かれている):
[配列番号141]:
CDR1[配列番号117](変異された残基は太字かつ下線が引かれている):
(CDR1の元のDC8E8配列)における変異
1−VL−N31A[配列番号247]
2−VL−R33A[配列番号248]
3−VL−Y38A[配列番号249]
CDR2の前にあるフレームワーク領域FR2:
(フレームワーク領域FR2の元のDC8E8配列)における変異。
4−VL−Y55A[配列番号252]
CDR2[配列番号118]:
(配列番号118)(CDR2の元のDC8E8配列)における変異
5−VL−W56A[配列番号253]
CDR3[配列番号119]:
(配列番号119)(CDR3の元のDC8E8配列)における変異
6−VL−K95A[配列番号254]
7−VL−Q96A[配列番号255]
8−VL−S97A[配列番号256]
9−VL−F98A[配列番号257]
10−VL−Y99A[配列番号258]
11−VL−L100A[配列番号259]
12−VL−R101A[配列番号260]
DC8E8重鎖可変領域(CDRに下線が引かれている):
[配列番号138]:
CDR1[配列番号120](変異された残基は太字かつ下線が引かれている):
(配列番号120)(CDR1の元のDC8E8配列)における変異
14−VH−Y32A[配列番号261]
15−VH−V33A[配列番号262]
CDR2の前にあるフレームワーク領域FR2:
(配列番号162)(フレームワーク領域FR2の元のDC8E8配列)における変異
16−VH−E50A[配列番号263]
CDR2[配列番号121]:
(配列番号121)(CDR2の元のDC8E8配列)における変異
17−VH−F52A[配列番号264]
18−VH−S57A[配列番号265]
CDR3[配列番号122]:
(配列番号122)(CDR3の元のDC8E8配列)における変異
19−VH−D99A[配列番号266]
20−VH−Y100A[配列番号267]
21−VH−Y101A[配列番号268]
22−VH−G102A[配列番号269]
組換えDC8E8抗体バリアントの解析用発現および予備発現:野生型抗体およびその変異体(それらのすべてがHisタグ化されている)のpET22b−scDC8E8v DNAコンストラクトを、産生株BL21(DE3)の大腸菌細胞に形質転換した。得られたクローンを、まず、組換えscDC8E8vの産生について確かめた。形質転換後に得られた個々のコロニーを、100μg/mlのアンピシリンが補充された2mlのLB培地に接種し、絶えず撹拌しながら37℃で5時間生育した(Sambrook and Russell 2001)。各培養物の100μlアリコートを取り出し、その体積の2/3の100%グリセロールと混合し、後の使用のために−80℃で凍結保存した。イソプロピル−β−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)を1mMの最終濃度まで加え、さらに3時間インキュベーションを続けることによって、組換えタンパク質の発現を誘導した。卓上遠心機における4℃、10,000×gでの1分間の遠心分離によって細胞を回収し、上清を廃棄し、細胞ペレットを1×SDS−サンプル緩衝液(Laemmli 1970)に再懸濁し、5分間煮沸した。そのサンプルを10,000×gで5分間遠心し、上清(細菌溶解産物)をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によって解析した。分離されたタンパク質を、Coomassie Brilliant Blue R250(SIGMA)で染色することによって可視化した。
各scDC8E8v抗体(天然および変異体)の予備発現のために、それぞれの発現プラスミドを含む細菌細胞を培養し、SambrookおよびRussellによる“Molecular Cloning:A Laboratory manual”(2001)に記載されているように誘導した。形質転換された細胞を、100μg/mlアンピシリンを含む100〜500mlのLB培地中で37℃、230rpmにおいて生育した。その培養物の600nmにおける吸光度が0.8〜1.0に達したら、IPTGを1mMの最終濃度まで加えて、scDC8E8vの発現を誘導した。37℃での3時間にわたるさらなるインキュベーションの後、3,000g、4℃での15分間の遠心分離によって細胞を回収した。細胞ペレットを10mlの溶解緩衝液(50mM PIPES pH6.9、50mM NaCl、0.1mM PMSF)に再懸濁し、TT−13チップ(50%デューティサイクル,50W電力出力,Sonopuls HD 2200,Bandelin,Germany)を使用して、30秒間作動30秒間休止を6回行う氷上での超音波処理を行った。溶解産物を遠心分離(21,000×g、15分間、4℃)によって浄化した。溶解産物を0.45μmメンブランフィルターで濾過し、使用するまで−80℃において保管した。誘導の成功および発現のレベルを調べるために、1mlの誘導された培養物を回収し、細胞を上記のように遠心分離によって回収し、100μlの1×SDSサンプル緩衝液に再懸濁し、95℃において5分間煮沸し、次いで、SDS−PAGEによって解析した(図23A)。細胞質溶解産物をタウタンパク質の結合/検出(ウエスタンブロット解析によるもの)およびタウに対する組換え抗体の親和性のSPR測定のために使用した(これらの両方ともが、天然および変異体scDC8E8v抗体の活性の尺度である)。
実施例15:モノクローナル抗体DC8E8の組換えscFVフラグメント(scDC8E8v)は病理学的タウ(タウΔ(1−150;392−441)/4R)を認識する 病理学的形態のタウへのscDC8E8vの結合特性を測定するために、scDC8E8vを発現している細菌由来のタンパク質溶解産物をTBS−T緩衝液(20mM Tris pH7.4、150mM NaCl、0.1%Tween20)に16倍希釈し、それを使用して、500、250および125ngの組換え切断型タウタンパク質(タウΔ(1−150;392−441)/4R)および組換えC末端切断型タウタンパク質(タウΔ228−441)を含むニトロセルロース膜の上にのせた(タンパク質のポンソーS染色、図23B)。結合したscDC8E8vを、抗6xhisTag(配列番号163)抗体(No.A00174;GenScript,Piscataway,NJ,USA)を用いた免疫ブロット法によって検出し、抗ウサギHRP結合体化抗体(DAKO Cytomation,Denmark)を用いて可視化した(図23C)。LAS3000イメージングシステム(FUJI Photo Film Co.,Japan)を使用して検出されるSuperSignal West Pico Chemiluminescent Substrate(Pierce,U.S.A)を用いて、そのブロットの像を得た。
ウエスタンブロット解析は、組換え一本鎖抗体(scDC8E8v)が切断型タウ[タウΔ(1−150;392−441)/4R]を検出することを示した。scDC8E8vは、インタクトなDC8E8によって認識される4つの治療用エピトープのいずれも含まないコントロール切断型タウタンパク質タウΔ228−441を認識しないので、その結合は、特異的である(図23C レーン4)。タウタンパク質を含むニトロセルロース膜(図23Bに示されるように充填されたもの)を、scDC8E8vを発現しないコントロール細菌由来の溶解産物でプロービングしても、いかなるシグナルも生成されなかった(図23D)。
実施例16:モノクローナル抗体DC8E8の組換えSCFVフラグメント(scDC8E8v)は、DC8E8抗体に類似のタウ結合特性を示し、病理学的タウ(タウΔ(1−150;392−441)/4R)を選択的に認識し、それを生理学的な天然のタウ(タウ2N4R)と有意に区別する
組換え一本鎖抗体scDC8E8vのタウ結合特性を定量するために、病理学的な切断型タウ(タウΔ(1−150;392−441)/4R)(図24A)および正常なヒト4リピートタウアイソフォーム2N4R(図24B)に対するscDC8E8vの結合を測定するSPR(Biacore 3000,Biacore,Sweden)によって動態親和性の測定を行った。この目的を達成するために,11,000RUのウサギポリクローナル抗Hisタグ抗体(No.A00174;GenScript,Piscataway,NJ,USA)をCM5センサーチップ上に固定化した。すべての実験を、ランニング緩衝液として、0.005%のP20を含むPBS pH7.4(PBS−P)中、25℃において行った。組換えHisタグ化scDC8E8vを、60RUの固定化レベルに達するように分析用フローセルにおいて捕捉し、既知濃度の各タウタンパク質またはPBS−Pコントロールサンプルを、100μl/分の流速でセンサーチップの上に注入した。動態結合データを二重参照し、BIA評価ソフトウェア4.1(Biacore AB)によって1:1相互作用モデルに当てはめた。動態速度定数を全体的に近似させ、最大レスポンスを局所的に当てはめ、バルクレスポンスを0に設定した。
動態測定は、正常タウ2N4Rよりも病理学的なADタウΔ(1−150;392−441)/4Rに対するscDC8E8vのより高い会合速度定数およびより低い解離速度定数を示した(図24C)。その結果として、切断型ADタウに対するscDC8E8vの親和性は、完全長タウアイソフォーム2N4Rよりも高い(平衡結合定数KAのより高い値)。これらの測定から、DC8E8抗体の一本鎖バージョン(scDC8E8v)が、親の完全長DC8E8抗体と同様に、コンフォーメーションが変化した病理学的タウタンパク質に対して結合優先性を示すことが確かめられた。したがって、組換えscDC8E8vは、その結合特性に関与するDC8E8抗体結合部位内のアミノ酸残基の同定に適している。
実施例17:病理学的タウエピトープのscDC8E8v/DC8E8の認識に影響するscDC8E8v結合部位における残基の同定
DC8E8−抗原相互作用に影響するいくつかのアミノ酸残基は、scDC8E8v結合部位の残基のアラニンスキャニング突然変異誘発によって決定された。軽鎖および重鎖における潜在的な抗原接触残基を、MacCallumら(J.Mol.Biol.1996)の成果に基づいて特定し、実施例14に記載されたようにアラニンに突然変異させた。続いて、scDC8E8vの変異体バージョンをBL21大腸菌株において発現させた(図25A,一本鎖タンパク質は星印によって示されている)。変異されたscDC8E8vの結合特性を、ウエスタンブロッティングによって解析した(図25B〜C)。図25Bは、様々な量の切断型タウΔ(1−150;392−441)/4Rタンパク質を含むニトロセルロース膜のポンソーS染色を示している。同一の膜を、様々な変異体一本鎖抗体による切断型タウの検出のために使用した(図25C)。
これらの結果に基づいて、DC8E8の可変領域におけるアミノ酸残基を以下のとおり3つの主要なカテゴリーに分類した:
カテゴリー1:このカテゴリーに列挙される残基(太字)は、病理学的な切断型ADタウ(タウΔ(1−150;392−441)/4R)へのscDC8E8vの結合に最も寄与した。これらの残基のいずれか1つのアラニンへの変異は、タウタンパク質上のDC8E8エピトープの認識を最も妨げた。
DC8E8軽鎖におけるカテゴリー1残基:
CDRL1[配列番号117]における31位のアスパラギン
CDRL1[配列番号117]における38位のチロシン
CDRL3[配列番号119]における97位のセリン
DC8E8重鎖におけるカテゴリー1残基:
CDRH2[配列番号121]の前にあるFRH2における50位のグルタミン酸
CDRH3[配列番号122]における101位のチロシン
カテゴリー2:このカテゴリーに列挙される残基は、病理学的タウ(タウΔ(1−150;392−441)/4R)へのscDC8E8vの結合に寄与する。これらの残基のいずれか1つのアラニンへの変異は、切断型ADタウ(タウΔ(1−150;392−441)/4R)に対するscDC8E8vの反応性を低下させるが、その反応性をカテゴリー1残基に対する変異よりも低い程度にまで妨げる:
DC8E8軽鎖におけるカテゴリー2残基:
CDRL2[配列番号118]の前にあるフレームワーク領域FRL2における55位のチロシン
CDRL3[配列番号119]における95位のリジン
DC8E8重鎖におけるカテゴリー2残基:
CDRH2[配列番号121]における57位のセリン
CDRH3[配列番号122]における100位のチロシン
CDRH3[配列番号122]における102位のグリシン
カテゴリー3:この最後のカテゴリーに列挙される残基は、病理学的なADタウ(タウΔ(1−150;392−441)/4R)へのscDC8E8vの結合に最も寄与しない。これらの残基のアラニンへの変異は、切断型タウ(タウΔ(1−150;392−441)/4R)に対するscDC8E8vの反応性を変化させない:
軽鎖におけるカテゴリー3残基:
CDRL1[配列番号117]における33位のアルギニン
CDRL2[配列番号118]における56位のトリプトファン
CDRL3[配列番号119]における96位のグルタミン
CDRL3[配列番号119]における98位のフェニルアラニン
CDRL3[配列番号119]における99位のチロシン
CDRL3[配列番号119]における100位のロイシン
CDRL3[配列番号119]における101位のアルギニン
重鎖におけるカテゴリー3残基:
CDRH1[配列番号120]における32位のチロシン
CDRH1[配列番号121]における33位のバリン
CDRH2[配列番号121]における52位のフェニルアラニン
CDRH3[配列番号122]における99位のアスパラギン酸
実施例18:治療用タウエピトープによる能動ワクチン接種:タウ上のDC8E8結合エピトープの1つに基づくワクチン用の免疫原の調製およびワクチン投与
a.ペプチド:ヒトタウタンパク質2N4Rの合成フラグメントからなるペプチド免疫原を、Antagene,Inc.(Sunnyvale,CA)およびEZBiolab,USAが95%より高い純度で合成した。各ペプチド配列を、タウ線維化/凝集に関わるおよび/またはそれを促進すると考えられている配列の少なくとも1つを含むようにデザインした(新規標的「治療用エピトープ」)(そのエピトープは、実施例1〜11に記載されたアッセイによって、DC8E8への結合部位として上記で同定された)。図26Aを参照のこと。これらの4つの配列は、本明細書中で「治療用エピトープ」とも称される(下記を参照のこと)。これらのエピトープは、タウ線維化/PHF構築にとって重要なタウ−タウ相互作用モチーフ(凝集エピトープ)に相当する。ゆえに、これらの戦略的に重要な治療用エピトープの標的化は、ADおよび関連タウオパチーの処置を成功させ得る。さらに、いくつかのタウエピトープの標的化は、自己免疫性応答を誘発し、その疾患を潜在的に悪化させると考えられているので(Furlanら、2003;Grudenら、2004)、上記のような特異的な抗タウ治療の使用は、ランダムに選択されたタウエピトープに依存する、目標が広範な治療よりも安全であることを証明するだろう。
したがって、タウベースの免疫療法の治療的な可能性をさらに測定するために、タウペプチドのいくつかのセットを免疫原として使用するために指定した。それらの残基のすべてが、441アミノ酸残基を有する完全長タウ2N4Rの残基を参照する。免疫原の第1セットは、配列番号1タウ251−PDLKNVKSKIGSTENLKHQPGGGKVQIINK−280;配列番号2タウ256−VKSKIGSTENLKHQPGGGKVQIINKKLDLS−285;配列番号3タウ259−KIGSTENLKHQPGGGKVQIINKKLDLSNVQ−288;配列番号4タウ275−VQIINKKLDLSNVQSKCGSKDNIKHVPGGG−304;配列番号5タウ201−GSPGTPGSRSRTPSLPTPPTREPKKVAVVR−230;配列番号6タウ379−RENAKAKTDHGAEIVYKSPVVSGDTSPRHL−408;配列番号7タウ181−TPPSSGEPPKSGDRSGYSSPGSPGTPGSRS−210;配列番号8タウ300−VPGGGSVQIVYKPVDLSK−317;および配列番号108タウ294−KDNIKHVPGGGS−305で構成された。これらの配列のうちのいくつかは、以前にADタウ病理に見られたリン酸化(phoshorylated)エピトープを有する。したがって、タウペプチド配列番号5は、217位にリン酸化トレオニンを含み、タウペプチド配列番号6は、396位および404位にリン酸化セリン残基を含み、タウペプチド配列番号7は、202位にリン酸化セリンおよび205位にトレオニンを含む。タウペプチド配列番号2を非リン酸化型およびリン酸化型で合成した。そのリン酸化型は、262位にリン酸化セリン残基を含む。
このセットのうち、免疫原の1つのサブセット(タウペプチド配列番号1〜4および108)は、配列番号98(タウ267−KHQPGGG−273)または配列番号99(タウ298−KHVPGGG−304)のいずれかによって表される治療用エピトープのうちの1つを含む。タウペプチドの別のサブセット(配列番号5〜7)は、アルツハイマー病および他のタウオパチーに見られるリン酸化部位を含む。タウペプチド配列番号8は、述べられたエピトープのいずれも有さず、コントロールとして使用された(図26)。
ペプチドの第2のセットは、配列番号9から97で構成され、それらは、ヒトタウ2N4Rの残基244〜390にわたって一部重複する配列である。これらのペプチドの各々は、異なるタウベースの環境においてタウ治療用エピトープ配列のうちの1つを含む。換言すれば、各サブセットにおいて、エピトープ#1から#4の各々は、そのN末端とC末端の両方において異なるタウ残基によって囲まれている(図26)。
b.ワクチンとして使用するための結合体化:タウペプチド配列番号2、4、7および108を、システイン結合を介してキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)に結合体化した。
この目的を達成するために、タウペプチド配列番号2、4、7および108を、KLHタンパク質の表面上にペプチドの配向結合を得る目的で、N末端に位置する余分なシステイン残基を有するシステイン付加(cysteinated)ペプチドとして合成した。ペプチドを、二機能性架橋剤N−[γ−マレイミドブチリルオキシ]スクシンイミドエステル(GMBS)を介してKLHキャリアに結合させた。結合体化反応物を調製するために、20mgのKLH(Calbiochem)を、10分間静かに混合することによって結合体化緩衝液(0.9M NaCl、10mM EDTAを含むPBS)に溶解して、10mg/mlの濃度にした。マレイミド活性化KLHを調製するために、2mgの活性な二機能性架橋剤GMBSを50μlの無水ジメチルホルムアミドに溶解し、2mlのKLH溶液と室温において1時間混合した。続いて、結合体化緩衝液において平衡化された5ml HiTrap Desaltingカラム(GE Healthcare)において、未反応のGMBSを除去した。ペプチドとマレイミド活性化KLHとの1:1比(w/w、20mgのペプチド)で室温(25℃)において2時間、結合体化を行った。得られた結合体を100倍過剰のPBSに対して透析し、4回の透析緩衝液の交換により、未結合体化ペプチドを除去した。透析の後、結合体を2℃、21,000×gで15分間遠心した。LC−MS/MSを使用して測定されるとき、透析緩衝液中に遊離ペプチドが存在しないことによって、結合体化の完成度を確かめた。その結合体を等分し、使用するまで−20℃で保管した。
c.ワクチンの調製:アルミニウム/ミョウバンアジュバントAdjuPhos(Brenntag Biosector,Denmark)を含む免疫用量を調製するために、200μgの各それぞれのタウペプチド結合体(150μlのPBSに溶解されたもの)を、300μlという最終的な投与体積において1:1(vol/vol)比においてAdjuPhosアジュバントで乳化した。各懸濁液/エマルションを、回転させながら4℃で一晩インキュベートすることにより、ペプチドをリン酸アルミニウム粒子に吸着させた。
フロイント完全アジュバントを含む免疫用量を調製するために、200μgの各それぞれのタウペプチド結合体(150μlのPBSに溶解されたもの)を、300μlという最終的な投与体積においてフロイント完全アジュバントで1:1(vol/vol)乳化した。その後の追加免疫の投与のために、免疫原を同様に調製したが、フロイント不完全アジュバントで乳化した。
d.ワクチン投与:調製されたワクチン用量を、ヒト切断型タウ導入遺伝子を有するタウトランスジェニックラット(タウΔ(1−150;392−441)/4Rを発現する、上記の実施例7に記載されたSHR72系統(Zilkaら、2006)に注射した。それらの2ヶ月齢のラットに、300μlという最終体積において200μgの免疫原の最初の皮下注射を投与した後、3週間後に2回目の注射を行い、その後、毎月のスケジュールで注射した。コントロールトランスジェニックラットには、PBSと1:1混合されたアジュバントを投与した。この免疫療法の有効性の評価は、実施例19に記載される。
ワクチン処置ラットにおける不溶性タウの定量的解析における内標準として使用するための、胎仔ラットタウの単離および精製:胎仔ラットタウ精製を、1%過塩素酸を使用して、本質的にはIvanovovaら、2008に記載されているように行った。1〜7日齢のラット仔から得られた脳組織を氷冷1%過塩素酸中でホモジナイズし(5mlの過塩素酸,PCAあたり1.5g組織)、氷上で20分間静置した。そのホモジネートを15,000×gで20分間遠沈し、Amicon Ultra Centrifugal Filterデバイス(Millipore)を使用して、透明な上清を濃縮し、同時に緩衝液を洗浄緩衝液(20mM Tris、pH7.4、150mM NaCl、0.1%Tween20)に交換した。約10mgの総タンパク質を含む濾過されたPCA脳抽出物を、固定化されたpan−タウmAb DC25(上記を参照のこと)を有するSepharoseが詰められたPoly−PrepカラムC10/10(GE Healthcare)に0.2ml/分の流速で充填した。溶出画分の吸光度(280nm)が安定になるまで、未結合のタンパク質を10〜15mlの洗浄緩衝液で洗い流した。mAb DC25に結合した胎仔タウを、0.1Mグリシン,pH2.6で溶出した。溶出された0.5ml画分を直ちに50μlの1M Tris−HCl,pH9で中和し、SDS−PAGEによってアッセイした。胎仔タウを含む画分を、Amicon Ultra Centrifugal Filterデバイス(Millipore)を使用して濃縮し、同時にPBSに緩衝液交換した。アフィニティークロマトグラフィーによって精製された胎仔タウを、Chenら(2005)に従って、10%トリクロロ酢酸を含む4体積の氷冷アセトンを加えることによって、沈殿させた。その混合物を−20℃で2時間インキュベートし、2℃、15,000×gで20分間遠心した。上清を廃棄し、沈殿物を1mlの氷冷アセトンに再懸濁し、氷上で20分間静置し、再度、上記のとおり遠心した。得られたペレットを室温において乾燥し、沈殿前の体積と等しい体積のPBSに溶解した。
実施例19:アルツハイマー病のトランスジェニックラットモデルにおいてタウペプチドワクチンを評価する一般的な方法
能動ワクチンを以下のアプローチによって評価した:(a)リン酸化特異的モノクローナル抗体AT270、DC209、DC217およびAT8を用いるラット脳サンプルの免疫ブロット解析を使用してリン酸化型の不溶性タウのレベルならびにpan−タウモノクローナル抗体DC25を使用して不溶性タウの総量に対するその投与の効果を評価することによって生化学的に;(b)NeuroScale評価を使用して神経行動学的に;(c)NFTの定量を含む免疫組織化学的に;および(d)誘導された抗体応答の解析によって。受動ワクチンもまた、とりわけこれらのアプローチの1つもしくは複数によって前臨床的に評価され得る。
(a)生化学的解析:サルコシル法(Greenberg and Davies,1990)を用いて、試験ペプチドで免疫されたトランスジェニック(SHR72)ラットの脳幹、ならびに実施例8に記載されたような、mockで処置されたSHR72ラット(アジュバントのみを注射された(コントロール))から、不溶性タウ画分を調製した。サルコシル不溶性タウサンプルを、下に記載されるように、様々なモノクローナル抗体を使用する免疫ブロット法によって解析した。免疫原性ペプチド配列番号1〜8および108に対するこの解析の結果を図26Bに要約する。不溶性タウのレベルは、SHR72トランスジェニックラットにおいてタウ病理の進行と相関すると示されている。Kosonら、2008。
免疫ブロット解析:サルコシル不溶性タウ画分のサンプルを、可溶性画分の1/50体積の1×ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)サンプルローディング緩衝液(Laemmli,1970)に溶解し(Filipcikら、2010を参照のこと)、95℃で5分間加熱した。次いで、6μlの各々を5〜20%グラジエントSDSポリアクリルアミドゲルに充填し、Tris−グリシン−SDS緩衝液系において、25mAで40分間、電気泳動した。タンパク質をPVDF膜に移動させた(10mM CAPS,pH12において150mAで1時間)。その移動の後、その膜をPBS中の5%脱脂粉乳において室温で1時間ブロッキングし、次いで、1次(タウ特異的)モノクローナル抗体(各抗体のより詳細な記載については下記を参照のこと)とともに1時間インキュベートした後、大量のPBSで3回洗浄した。洗浄後、PBSで1:4000希釈されたHRP結合体化ヤギ抗マウスIg(DAKO,Denmark)を二次抗体として使用した。インキュベーション(室温において1時間)の後、PBS中の0.2%Igepalで洗浄した(3回)。SuperSignal West Pico Chemiluminescent Substrate(Pierce,U.S.A)を用いてそのブロットの像を得て、LAS3000イメージングシステム(FUJI Photo Film Co.,Japan)を使用してシグナルを検出した。シグナル強度を、AIDAソフトウェア(Advanced Image Data Analyzer,Raytest,Straubenhardt,Germany)を使用して定量した。胎仔タウ(0.6μg/レーン)を、定量解析のための内標準として使用した。
モノクローナル抗体AT8およびAT270は、Innogenetics(Belgium)から購入し、その両方を免疫ブロット解析のために使用した。AT8は、免疫組織化学的検査にも使用した。AT8は、タウの微小管結合親和性の大部分に寄与する、タウのプロリンリッチドメインに位置するリン酸化セリン202およびトレオニン205を認識する。AT270は、プロリンリッチドメインに位置するリン酸化トレオニン181を認識する。両方の抗体が、可溶性タウおよび不溶性タウに結合する。本研究において使用されたリン酸化特異的モノクローナル抗体DC209(pT231を認識する)、DC217(pT217を認識する)は、Axon Neuroscience,GmbH(Vienna,Austria)によって調製された。Pan−タウ抗体DC25(Axon Neuroscience,GmbH)は、すべての形態の可溶性および不溶性タウにおける、タウタンパク質のC末端における第4の微小管結合リピートリピートにおけるエピトープ(347−353)を認識する。DC25抗体は、そのリン酸化レベルとは無関係なタウタンパク質を認識する。
(b)神経行動学的評価:最後のワクチン投与の10日後にラットの神経行動学的反応を、NeuroScale(ヒト切断型タウタンパク質を発現するトランスジェニックラットに対して当初はデザインされた一連の行動試験である)(Korenovaら、2009)を用いて評価した。そのNeuroScaleは、感覚運動の課題(梁歩行試験)、神経筋の課題(握力牽引力試験(prehensile traction test))および神経学的課題(踏み直り反射、立ち直り反射、姿勢反射、耳介反射、驚愕反射および後肢逃避伸展反射)から構成され、基本的な観測的評価によって強化される。
全般的な観察は、姿勢および肢の機能の評価を含み;神経学的検査は、基本的な反射応答を含んだ(すべてが、1点のスケールで点数をつけられた(正常反応は0点;遅延したまたは不完全な反応は1点))。後肢逃避伸展反射の評価は、3点のスケールで点数をつけた(正常反応は0〜1点;障害は2〜3点)。
梁歩行試験の場合、3種類の横断セグメントを使用した(3×3cm、4×2cmおよび直径3.5cmの丸い梁)。最高点は10点だった(潜時に対する5点+1つの梁のタイプにおける後肢のスリップに対する5点)。梁歩行試験から得られるスコアが低いほど、試験された動物の感覚運動協調性の能力が良い。達成し得る点数の合計は、30点だった。
握力牽引力試験の場合、ラットに、パッド入りの表面の76cm上に吊るされた水平方向のスチールワイヤ(直径3mm)を前肢で掴ませた。ワイヤから落ちるまでの潜時を測定した。与えることのできる最高点は、5点だった(それは、神経筋の機能性の重篤な障害および筋力低下を反映する)。落ちるまでの潜時が長いほど、この課題から得られるスコアが低く、そのスコアは、試験された動物の前肢の筋力および敏捷性を反映する。
個々の試験において得られたスコアからNeuroScaleスコアを計算した。観測的評価、神経学的検査、3種類の梁歩行試験および握力牽引力試験の寄与を加えることによって、49点という最高総スコアが可能だった。神経行動学的障害が重篤になるほど、NeuroScaleスコアは高くなる。
(c)免疫組織化学的検査:脳サンプルを回収するために、深麻酔下において2分間、ラットにPBSを経心的に灌流した。灌流後、そのラットの脳を取り出し、矢状方向に2つの同じサイズの半球に切断した。右半球の脳幹および小脳を生化学的解析のために回収した。左半球を、4℃において4%パラホルムアルデヒドで一晩固定した後、凍結保護を提供するために25%スクロースで48時間処理した。次いで、その材料を冷2−メチルブタン(−42℃)中で30秒間凍結し、クライオミクロトームにおいて薄片に切断した。矢状切片(40μm)を−18℃においてクライオスタットで切断した。浮遊切片を免疫組織化学的研究のために使用した。
処置ラットおよびコントロールラットの凍結脳切片において免疫組織化学的染色を行った。Kosonら、2008は、SHR72トランスジェニックラットの脳におけるNFTの数が、それらの動物の死去の時間と相関することを示した(すなわち、NFTが多いほど、動物の死去は早い)。ラット脳における神経原線維の変化を解析するために、その脳の矢状切片を調製した。浮遊組織切片を、室温(25℃)において30秒間、冷(+4℃)80%ギ酸で処理した。脳切片を、0.3%Triton X−100および1%H2O2を含むPBS中で室温において20分間インキュベートした後、ブロッキング溶液(0.3%Triton X−100、1%ウマ血清を含むPBS)中で30分間インキュベーションし、その後、精製されたAT8抗体(ブロッキング緩衝液において0.2μg/ml)またはハイブリドーマ培養上清DC217(ブロッキング緩衝液において1:100)とともに4℃において一晩インキュベーションした。両方の抗体が、トランスジェニックラットの脳幹において類似の免疫染色パターンを示した。洗浄後、それらの切片を、標準的なアビジンビオチンペルオキシダーゼ法(ABC Elite,Vector Laboratories,Burlingame,CA)を用いて免疫染色した。反応産物を、アビジン−ビオチン系および色素原としてVector VIP(Vector Laboratories)を使用して可視化した。次いで、切片をOlympus BX51顕微鏡で検鏡した。
(d)抗体応答:研究の開始前(すなわち、最初の注射の前)および最後の注射の2週間後にトランスジェニックラットから採血した。投与された免疫原/ワクチンに対する抗体応答を、段階希釈された血漿サンプルを使用するELISAによって測定した。ペプチド免疫原、組換えタウタンパク質タウΔ(1−150;392−441)/4Rおよび組換え完全長タウアイソフォーム2N4Rを、37℃において一晩、PBS中の10μg/mlの濃度で96ウェルプレート(IWAKI,Japan)上に別個にコーティングした。PBS中の1%脱脂粉乳でブロッキングした後、そのプレートをPBS−0.05%Tween20で洗浄し、50μl/ウェルの血漿段階希釈物(ブロッキング緩衝液において1:200〜1:128,000)とともに37℃において1時間インキュベートした。インキュベーションおよび洗浄の後、ペルオキシダーゼ結合体化二次抗体(ウサギ抗ラットIg,DAKO,Denmark)を1:1000希釈し、37℃において1時間、ウェルに適用した(50μl/ウェル)。その反応物を、ペルオキシダーゼ基質溶液(0.1Mリン酸緩衝液)中のo−フェニレンジアミンを用いて発色させ、50μlの2M H2SO4で停止させた。492nmにおける吸光度を、Multiscan MCC/340 ELISAリーダー(Labsystems)を使用して測定した。ネガティブコントロールの吸光度の値の少なくとも2倍の値を有する読取値を、ポジティブと考えた。
上記の実施例5に記載されたようにSPRを使用して親和性測定を行った。簡潔には、ランニング緩衝液として0.005%のP20を含むリン酸緩衝食塩水pH7.4(PBS−P)中、25℃において実験を行った。3000RU(応答単位)のポリクローナル抗マウス抗体(No.Z0420;DakoCytomation,Glostrup,Denmark)を、5μg/ml(10mM酢酸ナトリウム緩衝液pH4.5における200μg/mlの0.5×PBS原液の40倍希釈によって調製される)の濃度において1級アミンを介して、2つのフローセル(その一方を測定の基準として使用した)において同時に結合させた。各解析サイクルにおいて、ほぼ飽和に等しい約850RUの固定化レベルに達するように、1000倍希釈された血清を分析フローセルに捕捉した。KA測定のために、ならびに動態速度定数の測定のために、タウ免疫原性ペプチドまたはタウタンパク質の100nM溶液を100μl/分の流速でセンサーチップの上に注入した。PBS−P注射を、二重参照手順(Myszka J Mol Rec 1999)におけるバックグラウンドシグナル減算のために使用した。動態データをBIA評価ソフトウェア4.1(Biacore AB)によって1:1反応モデルに当てはめた。動態速度定数を全体的に近似させ、最大レスポンスを局所的に当てはめ、バルクレスポンスを0に設定した。
実施例20:4つの治療用エピトープ配列の少なくとも1つを含むタウペプチドワクチンは、ヒトアルツハイマー病をモデル化するトランスジェニックラットにおいて有益である
a.配列番号1タウ251−PDLKNVKSKIGSTENLKHQPGGGKVQIINK−280。トランスジェニックラット(SHR72)を、Adju−phosアジュバントとともに製剤化されたタウペプチド配列番号1で免疫した。
可溶性型からサルコシル不溶性病理型へのタウの変換は、タウ病理の発生における重要な工程として理解され、いくつかの因子(例えば、タウの濃度、タウの切断およびタウリン酸化の程度)に依存するとみられる(Alonsoら、2001;Kosonら、2008;Kovacech and Novak 2010)。タウペプチド配列番号1で免疫されたラットの群およびコントロール群から回収されたサルコシル不溶性脳画分中の不溶性タウの免疫ブロット定量的解析の結果を、図26Cに示す。そのワクチン接種によって、アジュバント単独を投与されたコントロールラットよりも、タウ251−280(配列番号1)で免疫されたラットにおいて不溶性タウの量が減少した(図26C)。この減少は、全レベルの不溶性タウ(残基347−353を認識するDC25pan−タウ抗体によって評価されるとき)、ならびに図26Bおよび26Cに記載されている、サルコシル不溶性画分中に存在すると知られている他のすべての試験されたAD関連タウエピトープ(ADの代用マーカー)の両方について観察された。実際に、タウペプチド配列番号1による免疫は、不溶性タウの統計学的に有意な(p<0.001)減少を誘導し、これは、pan−タウモノクローナル抗体DC25を使用して、全不溶性タウレベルにおいて観察された(71%)(図26B、C)。DC217(pThr217)、AT270(pThr181)を用いた解析から、コントロールラットと比べて免疫されたラットにおいて不溶性タウのThr217(42%)およびpThr181(58%)においてリン酸化のレベルが低下する傾向が明らかになった。より弱い処置効果(11%)が、不溶性タウタンパク質ホスホエピトープpThr231において観察された(図26B)。これらの結果から、上記ワクチンが、タウ凝集の阻害に関与する機序および/またはタウ−タウ相互作用を起こしやすいタウタンパク質のレベルの低下に関わる機序を活性化させたと示唆される。
タウペプチド免疫原配列番号1で処置されたラットは、コントロールラットと比べて、梁歩行試験において統計学的に有意に減少した逃避潜時を示した(*p=0.045)(図27A)。同様に、後肢のスリップ回数は、コントロールと比べてワクチン接種群において減少した;しかしながら、この差は、わずかに統計学的に有意なだけだった(p=0.059,図27B)。NeuroScaleスコア(上記の実施例19に記載された)を、梁歩行試験、握力牽引力試験および神経学的検査(基本的な反射、後肢逃避伸展反射)において得られた値から計算した。上記免疫は、コントロール群と比べて、ペプチド配列番号1で処置されたラットのNeuroScaleスコアを改善したが、この改善は、統計学的に有意でなかった(p=0.065,図27C)。全NeuroScaleスコアから、未処置ラットと比べて処置ラットの神経行動学的改善が確かめられた。すべての統計データは、ノンパラメトリックなマン・ホイットニーU検定を用いて得られた。
神経行動学的パラメータは、脳幹における不溶性タウのレベルと相関した。低レベルの不溶性タウを有する処置ラットは、コントロールと比べて、より短い逃避潜時およびより少ない後肢のスリップを示した。これらの知見は、高度に不溶性のミスフォールドされたタウの減少によって、免疫されたラットにおいて機能的改善がもたらされること(これは、治療的な価値があり得る)を示唆している。タウペプチド配列番号1を用いた免疫療法は、処置ラットの神経行動学的パラメータの改善をもたらした。この効果に続いて、免疫されたラットの脳における不溶性タウレベルが減少した。これらの知見は、不溶性タウレベルの低下が治療的利点を有することを示唆している。
タウペプチド配列番号1を用いた免疫療法の有効性を免疫組織化学的レベルでさらに試験した(図28)。処置されたラットおよびmockで処置された(アジュバント/PBSだけを投与された)コントロールトランスジェニックラットSHR72の脳幹において、神経原線維変化(NFT)を、抗タウ抗体AT8、DC217(病理学的タウ上のリン酸化エピトープを認識する)を使用して解析した。半定量的方法を用いてNFTの数を測定した。3つの定量的レベルを割り当てた:1)神経原線維変化が無いまたはほとんど無い(脳幹において最大3つ);2)中程度(主に脳幹の網様体における多くのNFT);および3)重篤(脳幹の全領域における多くのNFT)。「広範」は、神経原線維の神経変性の中程度から重篤な段階を意味する。免疫組織化学的解析は、トランスジェニック動物のワクチン処置群における神経原線維変化の量の50%減少を示した。
生化学的に測定された不溶性タウレベルの減少は、免疫組織化学的解析の結果と相関した。配列番号1による免疫からのデータは、DC8E8エピトープNo.1を含むこのペプチドの処置能力を示している。
b.配列番号2タウ256−VKSKIGSTENLKHQPGGGKVQIINKKLDLS−285。トランスジェニックラット(SHR72)を、キャリアKLHに結合体化されたタウペプチド配列番号2で免疫した(上に記載されたように)。
免疫ブロット解析は、上記ワクチンが、アジュバント単独を投与されたコントロールラットと比べて、免疫されたラットにおける不溶性タウの量を減少させることを明らかにした。図29は、不溶性/凝集タウに存在するモニターされたすべてのエピトープの減少を示している。pan−タウDC25免疫反応性の定量的解析は、アジュバントだけを投与されたコントロールラットと比べて、免疫されたラットにおける不溶性タウの41%減少を明らかにした(統計学的に有意、p<0.001)(図26B)。同様に、不溶性タウ上のリン酸化されたAD特異的エピトープを認識する他の抗体の免疫反応性も低下した(図26Bおよび図29)。さらに、その処置は、別のタウホスホエピトープ(これは、2つのホスホ残基Ser202/Thr205によって作り出され、ADの病理のマーカーとして公知である)のレベルにも影響を与えた。そのワクチンは、非処置動物と比較して、免疫されたトランスジェニックラットにおいて、このエピトープの80%減少を誘導した。同様に、リン酸化されたタウエピトープThr217、Thr231およびThr181のレベルは、それぞれ72%(p<0.001)、64%および74%(p<0.01)低下した。これらの結果は、そのワクチンが、タウ凝集の阻害に関与する機序および/または病理学的タウ−タウ相互作用を起こしやすいタウ種を減少させる機序を誘導したことを示唆している。
上記ラットを行動解析に供し、図30は、梁歩行試験(図30A)、後肢スリップ試験(図30B)およびneuroscale解析(図30C,*p,0.05)において得られた結果を示している。タウペプチド配列番号2で処置されたラットの群では、梁歩行逃避潜時(beam walking escape latency)の正の傾向が観察された(p=0.096)。その免疫は、横断梁試験において後肢のスリップ回数を減少させた;しかしながら、コントロール群と比較して、差は統計学的に有意でなかった(p=0.25)。握力牽引力試験および神経学的検査とともに運動障害試験をNeuroscaleスコアに要約した。図30は、コントロール群と比べて、タウペプチド配列番号2で処置されたラットのNeuroscaleスコアの統計学的に有意な改善を示している(*p=0.036)。概して、タウペプチド配列番号2による免疫は、全体的な運動能力を改善した。神経行動学的レベルの改善は、コントロールと比べて、免疫された動物における不溶性タウ(AD鋳型タウ)の量の減少と相関した。これらの知見は、より低い不溶性タウレベルが、治療的な利点を有し得ることを示唆している。
タウペプチド配列番号2による免疫療法の有効性を免疫組織化学的レベルにおいてさらに試験した(図31)。この目的のために、リン酸化された可溶性タウと不溶性タウの両方を認識する2つの異なる抗タウ抗体を使用した(AT8、DC217)。これらのラット(SHR72)における神経原線維病理は、主に、脳幹および脊髄、ならびに部分的に小脳に局在する(データ示さず)。半定量的方法を用いてNFTの数を測定した。3つの定量的レベルを割り当てた:1)神経原線維変化が無いまたはほとんど無い(脳幹において最大3つ);2)中程度(主に脳幹の網様体における多くのNFT);および3)重篤(脳幹の全領域における多くのNFT)。「広範」は、神経原線維の神経変性の中程度から重篤な段階を意味する。ペプチド配列番号2による免疫療法は、脳幹に広範なNFTを有するトランスジェニックラットの数をほぼ60%減少させた(図31)。
これらの結果は、タウペプチド配列番号2によるワクチン接種が、いくつかの望ましいワクチンの結果:1)生化学的レベルでの、免疫されたトランスジェニックラットの脳における不溶性タウの減少;2)行動レベルでの、免疫されたトランスジェニック(trangenic)ラットにおける感覚運動障害の軽減;および3)免疫組織化学的レベルでの、神経原線維病変の数の減少を示すことを証明する。
リン酸化Ser262を有する配列番号2タウ256−VKSKIGSTENLKHQPGGGKVQIINKKLDLS−285。262位にリン酸化セリンを含む配列番号2をKLHに結合体化した。
DC25抗体による、ラット脳サルコシル不溶性タウ画分の免疫ブロットは、そのワクチンが、アジュバントだけを投与されたコントロールトランスジェニックラットと比べて、免疫された動物において不溶性タウの総量を統計学的に有意に46%減少させることを明らかにした(p<0.01)(図32および図26B、DC25ベースの測定(「347−353」データ)。同様に、DC209(pThr231)、DC217(pThr217)、AT8(pSer202、pThr205)およびAT270(pT181)のシグナルの定量は、コントロールと比べて、免疫された動物群においてより低いレベルの不溶性リン酸化タウを示した(図26B)。しかしながら、pThr217(p<0.001;73%)、pThr231(84%)、pSer202/pThr205(82%)およびpThr181(p<0.01;82%)におけるリン酸化された不溶性タウのレベルの低下は、不溶性タウ全体において観察された低下よりも顕著だった。ADタウのミスフォールディングカスケードに関わるホスホエピトープのレベルのこれらの変化は、処置の効果の有用な指標である。ADに関連するタウエピトープの減少は、そのワクチンが、タウ凝集の阻害に関与する機序および/または内在性タウと病理学的な相互作用を起こしやすいタウのレベルを低下させる機序を活性化したことを示す。
免疫組織化学的プロファイル(図33)は、ホスホペプチド配列番号2による免疫療法が、脳幹に広範なNFTを有するトランスジェニックラットの数を減少させたことを示す。コントロール非免疫群と比べて広範なNFTを有するトランスジェニックラットの数の78%の減少が、免疫された群において観察された。その免疫は、免疫された動物において脳タウ病理の発生を停止した。生化学的レベルにおいても解析されたADに関連するエピトープに対して類似の効果が得られ、不溶性タウが減少した(図26Bおよび32)。
これらの結果は、タウホスホペプチド配列番号2/pSer262によるワクチン接種が、1)生化学的レベルでの、免疫されたトランスジェニックラットの脳における不溶性タウの減少;および2)免疫組織化学的レベルでの、神経原線維病変の数に対する正の処置効果を誘発したことを証明する。
d.配列番号3タウ259−KIGSTENLKHQPGGGKVQIINKKLDLSNVQ−288。トランスジェニックラット(SHR72系統)を、ミョウバンアジュバント(AdjuPhos)とともに製剤化されたタウペプチド配列番号3で免疫した。
図34は、免疫療法が、アジュバントだけを投与されたコントロールラットと比べて、免疫されたラットにおいて不溶性タウを減少させることを証明している。不溶性タウレベルの低下は、解析されたすべてのタウエピトープについて(すなわち、347−353/DC25抗体、pT217/DC217抗体、pT231/DC209抗体、pS202/pT205/AT8抗体およびpT181/AT270抗体について)検出された。不溶性タウ全体のレベルは、pan−タウ抗体DC25を用いた免疫検出によって明らかにされたとき、40%減少した。同様に、ワクチンは、図26Bおよび図34に示されるように、pT217においてリン酸化されたタウタンパク質の30%減少を誘導した。処置は、非免疫ラットと比べて、免疫されたラットにおいて、Thr231(63%)、Thr181(74%)およびSer202/Thr205(61%)においてリン酸化された不溶性タウ型のレベルに対してより高い効果を有した(図26Bおよび図34)。これらの知見は、不溶性タウの減少が、病理をもたらすタウタンパク質のレベルをさらに変化させ得ること、およびゆえに、治療的有意性を有し得ることを示す。ADに関連するタウエピトープの減少は、上記ワクチンが、タウ凝集の阻害に関与する機序および/または内在性タウとの病理学的な相互作用を起こしやすいタウのレベルを低下させる機序を活性化したことを示す。
図35A〜Cは、神経行動学的評価によって得られた結果を示している。ペプチド配列番号3で処置されたラットの群において、梁歩行逃避潜時の正の傾向が観察された;しかしながら、ペプチド処置ラットと非処置/コントロールラットとの間に統計学的に有意な差はなかった(図35A;p=0.21)。同様に、処置は、非処置ラットと比べて、免疫されたラットの群において後肢のスリップ回数を減少させたが、この効果は、統計学的に有意でなかった(図35B,p=0.15)。総Neuroscaleスコアによって、非処置ラットと比べてタウペプチド配列番号3で処置されたラットにおいて神経行動学的改善が確かめられた(両方の場合においてp=0.11)。しかしながら、Neuroscaleスコアの差は、統計学的に有意でなかった(p=0.19)。タウペプチド配列番号3による免疫療法は、梁歩行試験ならびに後肢スリップ試験において、コントロールラットと比べて処置ラットのより良好な感覚運動協調性をもたらした;これらの結果は、Neuroscaleスコアによって確かめられた。
さらに、免疫組織化学的プロファイルは、ホスホペプチド配列番号3による免疫療法が、ワクチン処置動物の脳幹においてNFTを58%減少させることを明らかにした(図36)。これらの結果は、DC8E8エピトープNo.1を含む配列番号3による免疫が、NFTに構築された病理的ポリマーのタウを有意に減少させたことを示している。さらに、この正の処置効果は、不溶性の病理学的タウの統計学的に有意な減少によって表される、生化学的レベルでも示された。
e.配列番号4タウ275−VQIINKKLDLSNVQSKCGSKDNIKHVPGGG−304。タウペプチド配列番号4を、KLHに結合体化し、ミョウバンアジュバント(AdjuPhos)とともに免疫のために使用した。
図37および図26Bは、配列番号4による免疫療法が、アジュバントだけを投与されたコントロールラットと比べて、免疫されたラットにおける不溶性タウの量を減少させることを示している。そのデータは、不溶性タウのレベルの低下が、解析されたすべてのタウエピトープについて検出されたことを示す。不溶性タウ全体のレベルは、pan−タウ抗体DC25との免疫反応性によって明らかにされたとき、63%減少した。同様に、そのワクチンは、図26Bに示されるように、pThr217(92%)、Thr231(95%)、Thr181(87%)およびSer202/Thr205(95%)においてリン酸化されたタウタンパク質の減少を誘導した。不溶性タウのレベルがタウ病理の進行と相関することは以前に示されている(Zilkaら、2006)。本結果は、配列番号99の中に含まれる治療用タウエピトープに対する免疫療法が、不溶性タウのレベルを低下させ得ることおよびタウ病理の進行を遅くすることを示している。
複合スコアであるNeuroscaleでの神経学的検査と組み合わされた標準的な運動試験のセットによって、複合運動障害を測定した。この免疫療法の効果を測定する目的で、6.5ヶ月齢において、タウペプチド配列番号4で処置されたトランスジェニックラットSHR72を行動試験に供した。タウペプチド免疫原配列番号4で処置されたラットは、梁歩行試験において、アジュバントだけを投与されたトランスジェニックラット(コントロール)と比べて逃避潜時の短縮を示した(図38A)。同様に、後肢のスリップ回数の正の結果が、トランスジェニック処置コントロールと比較してワクチン接種群において観察された(図38B)。梁歩行試験、握力牽引力試験および神経学的検査(基本的な反射、後肢逃避伸展反射)において得られたデータから、総Neuroscaleスコアを計算した。その免疫は、コントロール処置群と比べて、ペプチド配列番号4で処置されたラットのNeuroscaleスコアを改善した(図38C)。総Neuroscaleスコアは、非処置トランスジェニックラットと比べて、処置されたトランスジェニックラットの神経行動学的改善を確証させた。
タウペプチド配列番号4による免疫療法の有効性を、免疫組織化学的レベルにおいてさらに試験した(図39)。神経原線維変化(NFT)を、ワクチンで処置されたおよびアジュバントで処置された(コントロール)SHR72ラットの脳幹における病理学的タウ上のリン酸化エピトープを認識する抗タウ抗体AT8およびDC217を使用して解析した。アジュバントのみを投与された動物由来の脳組織は、脳幹の全領域に、主に脳幹の網様体に、AT8陽性およびDC217陽性のNFTを含んだ。免疫組織化学的解析は、ワクチンで処置されたトランスジェニックラットSHR72における神経原線維病理の66%減少を示した(図39)。
トランスジェニックラット系統SHR72の脳幹における不溶性タウレベルの変化は、処置効果の高感度の指標である。総不溶性タウレベルならびにリン酸化タウレベル(病理学的な単量体、二量体、オリゴマーおよびポリマー)は両方とも、タウペプチド配列番号4での処置によって、脳幹において効果的に減少した(63〜95%減少;図26B)。測定された不溶性タウレベルの低下は、免疫組織化学的解析から得られた結果と生化学的に相関した。この解析は、ワクチンを注射されたトランスジェニックラットの脳幹における神経原線維病理の60%超の減少を示した(図38)。配列番号4による免疫からのデータは、DC8E8エピトープNo.2を含むこのペプチドの処置の能力を示す。
f.217位にリン酸化トレオニンを有する配列番号5タウ201−GSPGTPGSRSRTPSLPTPPTREPKKVAVVR−230。トレオニン217の位置においてリン酸化されたタウペプチド配列番号5を、ミョウバンアジュバント(AdjuPhos)を使用してSHR72トランスジェニックラットに投与した。
免疫ブロット解析は、ホスホペプチド配列番号5による免疫が、アジュバントだけを投与されたコントロールTgラットと比べて、総不溶性タウ(DC25抗体で検出される)の量に影響しないことを示した(図40および図26B)。しかしながら、抗体DC209およびAT270を用いた解析は、不溶性タウ画分中のホスホ−タウpThr231およびpThr181のレベルの約30%減少を明らかにした(図26B)。他方で、処置は、コントロールトランスジェニックラットと比べて、トレオニン217においてリン酸化された不溶性タウ(11%増加)およびホスホ部位(phosphosites)Ser202/Thr205を有するタウ(31%増加)の中程度の増加を誘導した。この知見は、評価されているADに関連するマーカーに対する、ホスホペプチド配列番号5による免疫のあいまいなまたは中立のワクチン効果を示唆し得る(そのペプチドは、治療用エピトープとして上(実施例1から11)で同定されたタウ凝集エピトープ#1から#4のいずれも含まない)。
リン酸化されたタウペプチド配列番号5で処置されたラットの神経行動学的解析は、コントロール群と比べて、梁歩行試験での処置群における神経行動学的機能(図41A,p=0.19)または後肢のスリップ回数(図41B)に有意な改善がないことを示した。総NeuroScaleスコア(図41C)は、mockで免疫されたラットと比べて、処置ラットの神経行動学的改善を確証させなかった(p=0.28)。
タウホスホペプチド配列番号5による免疫療法は、免疫組織化学的検査によってコントロールトランスジェニックラットと比べたとき、脳幹に広範なNFTを有するトランスジェニックラット(SHR72)の数を減少させなかった(図42)。
これらの結果は、タウペプチド配列番号5 pT217(すべての治療用エピトープ(配列番号98〜101)を欠く)によるワクチン接種が、神経行動学的機能を統計学的に有意に改善しないこと、および免疫組織化学的レベルにおいて神経原線維病変の数をわずかおよそ11%しか減少させないことを示している。DC25抗体によって評価したとき、不溶性タウの減少に関しては、生化学的レベルに対する効果は観察されなかった。
g.396位および404位にリン酸化セリン残基を有する配列番号6タウ379−RENAKAKTDHGAEIVYKSPVVSGDTSPRHL−408。396位および404の位置においてリン酸化されたタウペプチドを、ミョウバンアジュバント(AdjuPhos)を使用してSHR72に投与した。配列番号6/pS396/pS404は、配列番号98〜101によって表される治療用エピトープのいずれも欠くが、AD脳タウタンパク質において大きな比率を占めるホスホエピトープを含む(Greenbergら、1992;Otvosら、1994)。
ペプチド配列番号1〜4を用いて観察されたサルコシル不溶性タウの量の減少とは対照的に、リン酸化されたペプチド配列番号6による免疫は、アジュバントだけを投与されたコントロールラットと比べて、免疫されたラットにおいて不溶性タウの量を増加させた。免疫ブロット解析は、不溶性ホスホ−タウレベルの全体的な増加の傾向を明らかにした(図43および図26B)。免疫は、pan−タウmAb DC25によって明らかにされたように、不溶性タウ画分中の総タウレベルを増加させた。タウエピトープpT217(33%増加)、Thr231(44%増加)およびThr181(7%増加)においても増加が観察された。しかしながら、ADに関連するエピトープpS202/pT205は、例外だった(図26B)。このホスホエピトープを有するタウタンパク質のレベルは、コントロールラットと比べて19%減少した。複数の疾患に関連する病理学的不溶性タウタンパク質のレベルの上昇は、上記ラットに対するこのワクチンの望ましくない負の効果を示唆する。
タウペプチド配列番号6/pS396/pS404で処置されたラットおよびコントロールの神経行動学的反応を評価した(図44A、BおよびC)。免疫療法は、梁歩行逃避潜時(p=0.82)または後肢のスリップ回数(p=0.75)において、処置ラットとコントロールラットとの間に統計学的有意差を示さなかった。これらの結果を、Neuroscaleスコアによって確かめたところ(p=0.96)、免疫されたラットとコントロールラットとの間に全体的な神経行動学的能力に統計学的有意差は観察されなかった。したがって、ペプチド配列番号6/pS396/pS404による処置は、梁歩行試験逃避潜時、後肢のスリップ回数(number or hind−limb slips)、または試験されたラットの全体的な運動能力に対して統計学的に有意な影響を有しなかった。
図45は、AT8を用いた免疫組織化学によって評価したときの、広範なタウ病理を有するトランスジェニックラットのパーセンテージを示している。タウペプチド配列番号6/pS396/pS404による免疫療法は、コントロール群と比べて濃縮体の量を9%増加させた。したがって、免疫組織化学的レベルでの配列番号6/pS396/pS404の負の効果が、生化学的レベルおよび神経行動学的レベルにおいて確かめられた。
これらの結果は、タウホスホペプチド配列番号6/pS396/pS404(配列番号98〜101に表されている治療用タウエピトープのいずれも有しない)によるワクチン接種が、1)免疫されたラットの脳における不溶性タウに対して治療効果が無いこと;2)行動レベルにおいて効果が無いこと;および3)濃縮体の量の減少が無く、むしろ9%増加することを示すことを証明する。ゆえに、AD特異的であると報告されている(Greenbergら、1992;Otvosら、1994)このホスホエピトープは、治療効果を誘導しなかった。
h.202位にリン酸化セリン残基および205位にリン酸化トレオニン残基を有する配列番号7タウ181−TPPSSGEPPKSGDRSGYSSPGSPGTPGSRS−210。得られたタウペプチド配列番号7/pS202/pT205は、配列番号98〜101に表されている治療用エピトープのいずれも有しない。そのホスホペプチドをKLHに結合体化し、フロイントアジュバント中においてトランスジェニックラット(SHR72系統)に投与した。
免疫ブロットによる脳幹におけるタウ免疫反応性の定量的解析は、いかなる治療効果も示さなかった(図46)。総タウのレベル(DC25エピトープ、6%増加)、ならびに疾患に関連するタウエピトープpT217(3%増加)、Thr231(11%増加)およびThr181(7%増加)上でリン酸化されたタウタンパク質のレベルは、コントロールと比べて、免疫されたラットにおいてわずかに増加した(図46および26B)。免疫は、Ser202/Thr205においてリン酸化された不溶性タウタンパク質のより大きな増加を誘導した(41%増加)。
リン酸化されたペプチド配列番号7による免疫療法は、ラットの感覚運動機能に有意に影響しなかった(図47)。免疫されたラットは、コントロールと比べて、神経行動学的パラメータの明らかな改善を示した。しかしながら、処置ラットとコントロールとの間で、梁歩行逃避潜時(p=0.47、図47A)ならびに後肢のスリップ回数(p=0.54、図47B)およびNeuroScaleスコア(p=0.3、図47C)に統計学的有意差が観察されなかったので、それらの群は、統計学的に異ならなかった。
ペプチド配列番号7は、いずれのDC8E8エピトープも含まないリン酸化タウエピトープを有する。処置されたSHR72ラットの脳幹の検査は、タウペプチド配列番号7による免疫療法が、神経原線維変化の量を減少させることができないことを明らかにした(図48)。ワクチン接種された動物由来およびコントロール動物由来の脳組織は、脳幹の全領域、主に、網様体に、ほぼ同一の数のAT8およびDC217陽性のNFTを含んだ。DC8E8エピトープを有しない配列番号7を含むワクチンは、処置動物においていかなる有益な効果も示さなかった。
これらの結果は、タウホスホペプチド配列番号7/pS202/pT205によるワクチン接種が、1)生化学的レベルでは、免疫されたラットの脳における不溶性タウのレベルを変化させないこと;および2)行動レベルでは効果をもたらないことを証明する。このホスホペプチドは、pS202/pThr205によって表されるホスホ部位が、病理学的タウタンパク質を排除する免疫反応および/またはラットの神経行動学的状態に正に影響する免疫反応を誘発するのに十分でないというさらなる証拠を提供する。対照的に、治療用タウエピトープ(配列番号98〜101)は、この効果を達成する。
i.配列番号8タウ300−VPGGGSVQIVYKPVDLSK−317。より短いタウペプチド(4つのタウ「治療用エピトープ」のうちの1つが存在し得る完全なタウ6−merもリン酸化エピトープも有しないので、コントロールとして使用された)による免疫療法を、脳における病理学的不溶性タウおよび神経原線維の沈着物のレベルに影響する能力を測定するために、行った。pan−タウmAb DC25によって検出される総不溶性タウのレベルは、アジュバントだけを投与されたコントロールと比べて、免疫されたラットにおいて有意に上昇した(82%)(図49および図26B)。同様に、免疫療法は、T231においてリン酸化された不溶性タウのレベルの増加(60%)およびT181の位置においてリン酸化された不溶性タウのより小さい増加(10%)を誘導した。異なる抗体セットであるDC217(pT217)およびAT8(pS202/pT205)を用いた定量的解析は、不溶性タウにおけるこれらのエピトープに対していかなる効果も明らかにしなかった(図26B)。
動物を行動解析に供した(図50A、B、C)。ペプチド配列番号8で処置されたラットは、コントロールと比べて、梁歩行試験における逃避潜時に統計学的有意差を示さなかった(p=0.6)。後肢のスリップ回数の差も、コントロールと比べて統計学的に有意でなかった(p=0.49)。同様に、NeuroScaleスコアに統計学的有意差はなかった(p=0.9)。したがって、ペプチド配列番号8の投与は、ラットの運動能力に統計学的に有意に影響しなかった。
これらの結果は、タウペプチド配列番号8(上記治療用エピトープ(配列番号98〜101の中)のすべてを有しない)によるワクチン接種が、1)生化学的レベルにおいて、免疫されたラットの脳における不溶性タウに変化をもたらさなかったこと;および2)神経行動学的レベルにおいて効果をもたらさなかったことを証明する。
処置動物およびmockコントロール動物(アジュバントのみを投与された)の脳幹におけるNFTの量に対するペプチドワクチンの効果を、免疫組織化学的検査(imunohistochemistry)によって評価した。その結果は、タウペプチド配列番号8による免疫療法が、神経原線維変化の量を減少させないことを示した(図51)。処置動物およびmockコントロール動物は、AT8およびDC217染色によって明らかにされるとき、脳幹の全領域、主に、脳幹の網様体においてほぼ同一の数の神経変性の変化をもたらした。
配列番号8(いかなる完全な治療用エピトープ(配列番号98〜101)も含まない)によるワクチン接種は、処置動物においていかなる有益な効果も示さなかった。したがって、ペプチド配列番号5〜8による免疫の結果は、少なくとも1つの完全な治療用エピトープ(配列番号98〜101の中に位置する)の存在が、ワクチンの所望の正の効果(タウ病理の減少および少なくとも1つの神経行動学的パラメータの改善)のために必要であることを示す。
j.配列番号108タウ294−KDNIKHVPGGGS−305。ミョウバンアジュバントとともに製剤化され、動物1匹あたり100μgの用量で投与される、キャリアKLHに結合体化されたタウペプチド配列番号108でSHR72ラットを免疫した。
トランスジェニックラットSHR72にタウペプチド配列番号108をワクチン接種することにより、不溶性の病理学的タウが統計学的に有意に減少した(p<0.001)。SHR72におけるアルツハイマー病の病理は、病理学的不溶性タウ型(病理学的タウの単量体、二量体、オリゴマーおよびポリマーによって表される)によって引き起こされるので、12−merの受動ワクチン配列番号108による処置の不溶性タウレベルに対する影響を解析した。それぞれの免疫原で免疫したトランスジェニック動物およびアジュバントだけで免疫したコントロール群の脳幹を、サルコシル不溶性の病理学的タウの抽出のために使用した(上に記載されたように)。タウペプチド配列番号108で免疫されたトランスジェニックラットの群およびコントロール群からの定量的免疫ブロット解析の結果を図52および26Bに示す。ワクチン接種は、アジュバントだけを投与されたコントロールトランスジェニックラットと比べて、免疫された動物において病理学的不溶性タウを統計学的に有意に減少させた(図52)。この減少は、解析されたすべてのADに関連するタウエピトープにおいて観察された。タウペプチド配列番号108による免疫は、pan−タウモノクローナル抗体DC25を用いた測定によって明らかにされた、不溶性の病理学的タウの有意な減少を誘導した(p<0.001;70%)(図52)。さらに、ホスホ依存性mAb DC217(pThr217)およびAT8(pSer202/pThr205)を用いた解析は、コントロールと比べて、免疫されたラットの不溶性タウにおけるThr217(p<0.001;96%)およびSer202/pThr205(p<0.05;98%)においてリン酸化された病理学的タウ種のレベルの有意な低下を明らかにした(図52)。統計学的に有意な低下は、pThr231(p<0.05;97%)およびpThr181(p<0.05;94%)を有する不溶性の病理学的タウのレベルにおいても観察された。これらの結果は、このワクチンによって誘導される免疫応答が、初期の形態の病理学的タウ(単量体、二量体、オリゴマーによって代表される)および後期の形態の病理学的タウポリマー(PHFによって代表される)の統計学的に有意な減少をもたらすことを示している。
タウペプチド配列番号108によるトランスジェニックラットSHR72のワクチン接種は、神経行動学的パラメータを統計学的に有意に改善した(p<0.05)。複合スコアであるNeuroscaleでの神経学的検査と組み合わされた標準的な運動試験のセットによって、運動障害を測定した。免疫療法の効果を測定する目的で、6.5ヶ月齢において、タウペプチド配列番号108で処置されたトランスジェニックラットSHR72を行動試験に供した。タウペプチド免疫原配列番号108で処置されたラットは、梁歩行試験において、アジュバントだけを投与されたトランスジェニックラット(コントロール)と比べて逃避潜時の有意な短縮を示した(*p=0.04)(図53)。同様に、後肢のスリップ回数の正の傾向が、トランスジェニック処置コントロールと比較してワクチン接種群において観察され、この差は有意だった(*p=0.045、図53)。梁歩行試験、握力牽引力試験および神経学的検査(基本的な反射、後肢逃避伸展反射)において得られたデータから、総Neuroscaleスコアを計算した。その免疫は、コントロール処置群と比べて、ペプチド配列番号108で処置されたラットのNeuroscaleスコアを有意に改善した(*p=0.047)(図53C)。総Neuroscaleスコアは、非処置トランスジェニックラットと比べて、処置されたトランスジェニックラットの神経行動学的改善を確証させた。すべての統計データは、ノンパラメトリックなマン・ホイットニーU検定を用いて得られた。
神経行動学的パラメータは、処置されたトランスジェニック動物の脳幹における不溶性の病理学的タウレベルと相関した。ワクチンペプチド配列番号108で処置された動物は、コントロール処置動物と比較して、より短い逃避潜時およびより少ない後肢のスリップ回数に関連する、低レベルの不溶性の病理学的タウを示した。これらの知見は、不溶性の病理学的タウの減少が、12−merペプチド(配列番号108)ワクチンで免疫されたトランスジェニック動物の群において、神経行動学的障害の統計学的に有意な改善をもたらすことを示し、その治療的な価値を示す。
タウペプチド配列番号108によるトランスジェニックラットSHR72のワクチン接種は、神経原線維変化(NFT)の量を60%減少させた。脳幹における神経原線維のタウ病理(神経原線維変化,NFT)の免疫組織化学的解析は、ワクチンで処置されたSHR72ラットにおいて達成されたNFTの減少を示した(図54)。脳幹に広範なNFTを有する免疫されたトランスジェニックラットの数は、アジュバントで処置された動物と比べて、60%超減少した。その免疫は、配列番号108ペプチドワクチンで免疫されたトランスジェニック動物の脳におけるタウ病理(病理学的タウポリマー,PHF)を減少させた。
上記の結果は、タウペプチド配列番号108による免疫療法が、SHR72ラットにおいてタウ病理を効果的に減少させたことを示している。ワクチン接種が、免疫された動物の脳における不溶性の病理学的タウのレベルを統計学的に有意に減少させ、ならびに神経原線維変化の量(PHF)を減少させた。病理学的タウタンパク質の量の減少は、処置されたトランスジェニックラットの神経行動学的パラメータの統計学的に有意な改善をもたらした。したがって、タウペプチド配列番号108の投与は、ADを処置するための能力を有する。
実施例21:AD治療ペプチドによる免疫療法は、免疫原性であり、トランスジェニックラットにおいて疾患タウ特異的抗体の産生を誘導する
a.タウペプチドワクチンを5回投与した後、処置ラットにおけるそのペプチドの免疫原性の解析を行った。免疫されたラット由来の血清を抗体価の測定のために使用した。アジュバントだけで免疫されたラット由来の血清をコントロールとして使用した。特異的な抗タウ抗体の力価を、実施例19に記載されたようにELISAによって測定した。各血清の段階希釈物を、予めマイクロタイターウェルプレート上にコーティングしておいたADタウΔ(1−150;392−441)/4Rおよび組換え完全長タウ2N4Rに対して試験した。アッセイされた免疫原は、特異的な抗タウ抗体の産生を誘導した。
例えば、275−VQIINKKLDLSNVQSKCGSKDNIKHVPGGG−304(配列番号4)による免疫の後、抗タウ特異的抗体が産生された。タウペプチド配列番号4によって誘導された抗体は、タウ2N4Rよりも誤無秩序タウΔ(1−150;392−441)/4Rに対しておよそ3倍高い結合活性を示した(図55;1:3,200希釈)。これらの結果はさらに、このワクチンが、アルツハイマー病における病理学的タウタンパク質を認識するおよび排除する/中和する治療的可能性を有する抗体を誘導したことを示唆する。
また、タウペプチド配列番号108によるトランスジェニックラットSHR72のワクチン接種は、生理学的タウにまさって病理学的タウタンパク質に優先的に結合する抗体の形成を誘導した。ワクチンを5回投与した後、ワクチン接種された各ラットにおいて免疫原性の解析を行った。最後の追加免疫の投与の2週間後に動物から採血し、回収された血清を幾何平均抗体価(GMT)の測定のために使用した。特異的な抗タウ抗体の力価を、実施例19に記載されたようにELISAによって測定した。各血清の段階希釈物(1:100から1:51,200)を、固相として使用される病理学的タウΔ(1−150;392−441)/4Rおよび生理学的タウ2N4Rに対して試験した。力価は、最大光学濃度(吸光度)の半分をもたらす血清の希釈度の逆数と定義された。幾何平均抗体価を計算するために、100より小さい力価の読取値を、10という値として割り当てた。図56に示されるように、病理学的タウΔ(1−150;392−441)/4Rに対する抗体価(GMT12800)は、完全長タウ2N4Rに対する抗体価(GMT4200)よりも3倍高かった。抗体価は、実施例19に記載された同じ方法を使用して、非結合体化ペプチド配列番号108に対しても測定された。図56は、タウペプチド配列番号108に対して最も高い抗体価(GMT20800)がもたらされたことを示している。アジュバントのみで免疫されたトランスジェニックラットでは抗体応答は観察されなかった(GMT10;データ示さず)。DC8E8エピトープNo.2(配列番号99の中)を有するペプチド配列番号108のワクチン接種は、病理学的タウタンパク質を優先的に認識するがゆえに病理学的タウΔ(1−150;392−441/4R)と生理学的タウ2N4Rとを区別する抗体を誘導した。さらに、結果は、配列番号108が、免疫原性であり、ゆえに、アルツハイマー病における病理学的タウタンパク質を排除する治療的可能性を有することを示した。
さらに、タウペプチド配列番号108によるトランスジェニックラットSHR72のワクチン接種が、病理学的タウに特異的なIgG抗体アイソタイプの形成を優先的に誘導した。ペプチド配列番号108に応答して産生される抗体の特異的なアイソタイプを判定するために、免疫群およびコントロール群のラット由来の血清を、1:100から1:12,800まで段階希釈し、病理学的なタウΔ(1−150;392−441)/4Rに対するELISA(実施例19に記載されたように)によって2つ組で試験した。ラットIgG1、IgG2a、IgG2b、IgG2cおよびIgMアイソタイプを検出するために、抗ラットサブクラス特異的HRP結合体化二次抗体を、PBSにおいて1:5,000希釈した(Pierce,抗IgG1−PA1−84708、抗IgG2a−PA1−84709、抗IgG2b−PA1−84710、抗IgG2c−PA1−84711および抗IgM−PA1−84712)。図57は、代表的な1:800希釈に対する結果を示している。データは、KLHに結合体化されたペプチド配列番号108が、広範囲の抗タウ抗体アイソタイプを誘導したことを証明する。そのワクチンは、高レベルの抗体アイソタイプ(IgG1、IgG2a、IgG2bおよびIgG2c)(これらは高親和性抗体であると考えられている)を産生させた。対照的に、アイソタイププロファイルは、非常に低いレベルのIgM抗体を示した。これらは、抗原に対して低い親和性を有すると考えられる。病理学的タウに対して優先的な親和性を有する高力価のIgG抗体の存在は、ワクチンによって誘導される免疫応答が病理学的タウ種に特異的であることを示唆した。mockで免疫された(アジュバント単独を投与された)ラットから得られたコントロール血清は、陰性だった。
これらのデータを、免疫応答の偏り(Th1/Th2表現型)の測定のためにさらに使用した。免疫によって誘導されるIgG1およびIgG2aアイソタイプのレベルは、Th2サイトカインと比べてTh1サイトカインの免疫応答への寄与を間接的に示唆する。一般に、IgG1抗体の産生は、Th2サイトカインによって誘導され、IgG2a抗体の産生は、Th1サイトカインによって誘導される。ゆえに、IgG1アイソタイプとIgG2aアイソタイプとの比を、IgG1に対するOD値をIgG2aに対するOD値で除算することによって計算した。これらのデータは、免疫応答がTh1表現型にわずか転じたこと示唆する(上記比=0.625)。
b.表面プラズモン共鳴を使用した結合事象のリアルタイムモニタリングによって、タウペプチド275−VQIINKKLDLSNVQSKCGSKDNIKHVPGGG−304(配列番号4)で免疫されたラットのプールされた血清由来の抗体の会合(kON)および解離(kOFF)の動態速度の測定が可能だった。その解析は、タウΔ(1−150;392−441)/4Rの認識と生理学的タウアイソフォーム2N4Rの認識との違いを示した(図58)。免疫によって誘導された抗体は、対応する完全長アイソフォーム2N4Rに対する親和性と比べて、切断型ADタウに対して3倍高い親和性でこのタウタンパク質に結合するタウΔ(1−150;392−441)/4Rに対して優先的な親和性を示した。この結合の差は、タウΔ(1−150;392−441)/4Rに対するおよそ5倍大きいkON速度に部分的に起因すると判定された(データ示さず)。
c.治療用タウペプチドで免疫されたラットにおいて誘導された抗体の特異性をさらに測定するために、ヒトAD脳由来の海馬の凍結切片の免疫組織化学的染色のために抗血清を使用することができる。例えば、配列番号4による免疫の後に誘導された抗体をこのアッセイによって評価した。ヒトAD脳由来の海馬を、4℃において2日間、4%パラホルムアルデヒドで固定した後、凍結保護を提供するために25%スクロースで72時間処理した。次いで、その材料を冷2−メチルブタン(−42℃)中で30秒間凍結し、クライオミクロトームにおいて薄片に切断した。冠状切片(40μm)をクライオスタットにおいて−18℃で切断した。免疫組織化学的研究のために浮遊切片を使用した。浮遊組織切片を室温(25℃)において冷(+4℃)99%ギ酸で1分間処理した。脳切片を室温において、0.3%Triton X−100および1%H2O2を含む0.01MのPBS,pH7.4中で20分間インキュベートした後、ブロッキング溶液(0.3%Triton X−100、1%ウマ血清を含む0.01M PBS)中で30分間インキュベーションし、その後、ペプチド配列番号4を含むワクチンで免疫されたトランスジェニックラット由来の血清(1:1000希釈されたもの)とともに4℃において一晩インキュベーションした。洗浄した後、切片を、標準的なアビジンビオチンペルオキシダーゼ法(ABC Elite,Vector Laboratories,Burlingame,CA)を使用して免疫染色した。反応産物を、アビジン−ビオチンおよび色素原としてVector VIP(Vector Laboratories)を使用して可視化した。次いで、切片をOlympus BX51顕微鏡で検鏡した。免疫組織化学的染色は、ペプチド配列番号4による免疫によって誘導された抗体が、アルツハイマー病脳の海馬において、病理学的タウ構造、すなわち、神経原線維病変を特異的に認識することを示した(図59A、B)。アジュバントだけを投与されたコントロールラット由来の血清をネガティブコントロールとして使用したところ、それは、いかなる神経細胞の病理も認識しなかった(データ示さず)。
タウペプチド配列番号108によるトランスジェニックラットSHR72のワクチン接種は、ヒトアルツハイマー病脳組織由来の切片において病理学的タウタンパク質を認識する抗体を誘導した。治療用タウペプチド配列番号108で免疫されたラットにおいて誘導された抗体の特異性をさらに判定するために、それらの血清を、ヒトAD脳(BraakステージVI)の凍結切片を使用する嗅内皮質の免疫組織化学的染色のために使用した。浮遊組織切片を、免疫されたトランスジェニックラット由来の血清(1:1000希釈されたもの)とともに4℃においてインキュベートした。配列番号108でワクチン接種された動物由来の個々の血清を別々に使用したが、アジュバントのみでワクチン接種された動物由来の血清は、プールした。標準的なアビジン−ビオチンペルオキシダーゼ法(ABC Elite,Vector Laboratories,Burlingame,CA)を使用して免疫染色した後、切片をOlympus BX51顕微鏡で検鏡した。免疫組織化学的染色は、ペプチド配列番号108での免疫によって誘導された抗体が、アルツハイマー病脳の嗅内皮質において病理学的タウ構造、すなわち、神経原線維病変を特異的に認識することを示した。図60(A〜E)は、ワクチン接種された5匹のトランスジェニックラットSHR72から回収されたラット血清による代表的な免疫染色を示している。配列番号108でワクチン接種された動物の血清は、神経原線維病理を非常に強くデコレートした(decorated)ことから、その抗体が病理学的タウタンパク質を効率的に標的化することが確かめられた。アジュバントだけを投与されたコントロールラット由来の血清をネガティブコントロールとして使用した。それらは、いかなる神経原線維病理も認識しなかった(図60F)。
配列番号108ワクチンによって誘導された抗体は、SHR72の脳およびヒトAD脳から抽出された病理学的タウタンパク質を認識する。タウペプチド配列番号108で免疫されたラット由来の血清の特異性を、免疫ブロット法を使用して、可溶性および不溶性の病理学的タウの病理学的形態についてさらに調べた(実施例19に記載されたように)。その病理の後期におけるSHR72ラットの脳幹を可溶性不溶性の病理学的タウタンパク質の抽出のために使用した。ヒトAD脳(BraakステージVI;Netherlands Brain Bank,Netherlandsから入手したもの)の側頭皮質をヒト病理学的ADタウの抽出のために使用した。可溶性および不溶性の病理学的タウタンパク質を、実施例8に記載された方法と同じ方法を使用して調製した。可溶性タウ画分の場合、1レーンあたり15μgの総タンパク質を充填した。不溶性タウ画分の場合、ペレットを、不溶性タウ画分の調製のために使用された可溶性画分の1/50体積の1×ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)サンプルローディング緩衝液(Laemmli,1970)に溶解し、等体積をSDS−PAGEに充填した。免疫された動物由来のプールされた血清をPBSにおいて1:1000希釈し、1次抗体として使用した。1次抗体とのインキュベーションの後、西洋ワサビペルオキシダーゼに結合体化されたポリクローナルウサギ抗ラット免疫グロブリン(1:3000;Dako,Glostrup,Denmark)とインキュベーションした。ウエスタンブロットシグナルを、LAS3000 CCDイメージングシステム(Fujifilm,Japan)を用いてデジタル化した。この免疫ブロット解析の結果を図61に示す。
結果(図61)は、DC8E8エピトープ2(配列番号99)を有するペプチドに対して産生された抗体が、SHR72およびAD脳組織から抽出された病理学的タウタンパク質を認識することを示している。誘導された抗体は、単量体型の病理学的タウ(レーンNo.1、2およびNo.3)、ならびにADに特徴的なA68タウトリプレットを含むオリゴマー型の病理学的タウ(レーンNo.2およびNo.3)を認識した。これらの知見は、アルツハイマー病のこのラットモデルを使用する免疫療法に対して重要な影響を有する。ワクチンによって産生された高親和性抗体は、すべての形態の病理学的タウタンパク質を標的化する。それらは、単量体型の病理学的タウタンパク質を標的化するので、病理学的タウ−タウ相互作用(オリゴマー化)を妨げ、ワクチン接種されたラットにおいて不溶性タウレベルを低下させ、その結果として、神経行動学的パラメータを改善する。産生された抗体は、オリゴマー型の病理学的タウにも結合し、mAb DC8E8について実施例10に記載されたように、それらを分解、例えば、ミクログリアによる分解に標的化する。
実施例22:AD治療用ペプチドによる免疫療法は、マウスにおいて疾患タウ特異的抗体の産生を誘導する
配列番号100または101のいずれかの中に上記治療用エピトープのうちの1つを有する、ペプチド配列番号109、配列番号110(配列番号88は配列番号110+結合体化のためのさらなるN末端Cysに対応する)、配列番号111および配列番号112は、免疫されたマウスにおいて抗体の産生を誘導した。得られた抗体は、生理学的タウ2N4Rよりも病理学的タウΔ(1−150;392−441)/4Rに対して統計学的に有意に高い結合活性を示す。
実際には、1つもしくは複数の治療用DC8E8エピトープを有するペプチド(例えば、7−mer:配列番号100および配列番号101の中に)の免疫原性の可能性をさらに判定するために、DC8E8治療用エピトープの1つを有する12および30アミノ酸長のペプチド(配列番号109、配列番号110、配列番号111および配列番号112)をデザインした。タウペプチド配列番号109(30アミノ酸)および配列番号111(12アミノ酸)は、配列番号100における治療用エピトープをそれらの中に含む。タウペプチド配列番号110(30アミノ酸)および配列番号112(12アミノ酸)は、配列番号101における治療用エピトープをそれらの中に含む。実施例18〜19に記載されたようにN末端のCys残基を介してペプチドをKLHに結合体化した。免疫のためのワクチンを、100μlのPBS中に100μgの結合体化されたペプチドを含むペプチド−KLH結合体を用いて調製し、最終投与体積の200μlにおいてフロイントアジュバントと1:1(vol/vol)で乳化した。1処置群あたり5匹のBalb/cマウスを使用した。最初の免疫を、フロイント完全アジュバントとともに製剤化されたPBS中のペプチド結合体を使用して行った。2週間間隔での次の2回の免疫を、フロイント不完全アジュバントとともに製剤化されたPBS中のペプチド結合体を使用して行った。コントロールとして、アジュバントのみを含むワクチンを使用した。最後の免疫の10日後に血清を回収し、実施例19に記載されたようにELISAによって抗体応答を測定した。個々のマウス由来の血清を1:100から1:12,800まで段階希釈し、2つ組で試験した。血清の特異性を判定するために、病理学的タウΔ(1−150;392−441/4R)および生理学的タウ2N4Rを固相として使用した。図62から65は、1:800希釈の血清に対する結果の要約を示している。ELISAの結果を、ノンパラメトリックなマン・ホイットニー検定を使用して統計学的に評価した。
試験されたすべてのペプチドが、免疫されたマウスにおいてタウ特異的抗体を産生させた。タウペプチド配列番号109、配列番号110、配列番号111および配列番号112によるワクチン接種によって誘導された抗体は、生理学的タウ2N4Rよりも病理学的タウΔ(1−150;392−441)/4Rに対して統計学的に有意に高い結合活性を示した(図62〜65)。さらに、ペプチドを30アミノ酸(配列番号109、配列番号110)から12アミノ酸(配列番号111および配列番号112)まで短縮することにより、病理学的タウを優先的に認識する特異的抗体の有意に多い産生がもたらされた(配列番号109,p=0.0115;配列番号110,p=0.0029;配列番号111,p=0.0007;配列番号112,p<0.001)。全体的にみて、これらの結果は、ペプチド配列番号109および配列番号111(配列番号100の中に治療用エピトープを有する)ならびにペプチド配列番号110および配列番号112(配列番号101の中に治療用エピトープを有する)が免疫原性であり、アルツハイマー病に罹患している患者の脳に存在する病理学的タウタンパク質を標的化する治療活性を有することを示した。
実施例23:少なくとも1つのDC8E8エピトープへの結合について病理学的タウと競合することができるデザイナーペプチド(デザイナー治療用エピトープ)の同定
エピトープ#1(KHQPGGGの中、配列番号98)と#2(KHVPGGGの中、配列番号99)と#3(HHKPGGGの中、配列番号100)と#4(THVPGGGの中、配列番号101)との間で保存されたアミノ酸残基に基づいて、2つのさらなるペプチド(11−mer)をデザインした。それらのデザインにおいて、これらのエピトープへのDC8E8の結合に寄与する5残基:配列HxPGGG(配列番号164)の中のヒスチジン、プロリンおよび3つのグリシン残基を固定して維持した。ペプチドは、EZBiolabs(USA)によって85%より高い純度で合成された。2つのデザイナー治療用エピトープは、GWSIHSPGGGSC(配列番号250)およびSVFQHLPGGGSC(配列番号251)である。
これらのペプチドを競合ELISAによって病理学的タウと競合する能力について解析した。ELISAプレート(IWAKI高結合プレート,#3801−096,Bertoni GmbH,Austria)を、100μl/ウェルの、PBS中の5μg/mlの精製された組換えタウΔ(1−150;392−441)4Rで、4℃において一晩コーティングした。コーティングされたELISAプレートを、PBS/Tween20(0.05%v/v Tween20が補充されたリン酸緩衝食塩水)で4回洗浄し、25℃において2時間、PBS/Tween20でブロッキングした。各ペプチドを別々に5mMの最終濃度でPBSに溶解した。ポリプロピレンプレート(Greiner,#651201)においてPBS/Tween20中のペプチドの2倍段階希釈物を調製した(濃度範囲80μM、40μM、20μM、10μM、5μMおよび2.5μM)。100μlの各ペプチド希釈物を100μlの2μg/mlの精製されたDC8E8モノクローナル抗体と混合した(精製は、実施例5に記載されたように行った)。次いで、得られた200μlの混合物は、1μg/mlのDC8E8抗体、ならびに40μM、20μM、10μM、5μM、2.5μMおよび1.25μMのペプチドを含んだ。ポジティブコントロールとしてタウΔ(1−150;392−441)4Rを含めた。抗体/ペプチド混合物を、250rpmに設定された回転プラットフォーム上において25℃で1時間インキュベートした。次いで、100マイクロリットルの抗体/ペプチド混合物を、調製されたELISAプレートに移し、250rpmに設定された回転プラットフォーム上において25℃で1時間インキュベートした。そのELISAプレートをPBS/Tween20で4回洗浄した。次いで、そのELISAプレートを、PBS/Tween20で1:4000希釈された100μlのポリクローナルヤギ抗マウス免疫グロブリン/HRP(Dako,#P0447)とともにインキュベートし、250rpmに設定された回転プラットフォーム上において25℃で1時間インキュベートした。そのELISAプレートをPBS/Tween20で4回洗浄した。次いで、そのELISAプレートを、1.5μl/2mlの30%H2O2(SIGMA,H−0904)が補充された0.1M 酢酸Na pH=6.0(Roth,#6779)中の100μlの1.5mg/2mlのo−PDA(o−フェニレンジアミン,SIGMA,P1526)とともに25℃で10分間、暗所においてインキュベートした。100μlの2M H2SO4(Merck,1.00731.1000)を加えることによって反応を停止した。発色されたシグナルを、490nmにおいて読むことによって測定した(例えば、Victor Multilabel Counter(Wallac)を使用して)。
2つのデザイナーペプチド、すなわち、GWSIHSPGGGSC(配列番号250)およびSVFQHLPGGGSC(配列番号251)の両方ともが、DC8E8への結合についてタウΔ(1−150;392−44)4Rと競合することができた(図66)。デザイナー治療用エピトープ1と呼ばれるペプチドGWSIHSPGGGSC(配列番号250)は、タウΔ(1−150;392−441)4Rと比べてDC8E8に対して最もよく似た親和性を示した。デザイナー治療用エピトープ2と呼ばれるペプチドSVFQHLPGGGSC(配列番号251)のDC8E8に対する親和性は、この抗体に対する疾患タウ(タウΔ(1−150;392−441)4Rの親和性よりも1桁超高かった。
実施例24:デザイナー治療用エピトープ1および2の免疫原性および免疫応答の特異性についてのインビボ試験
デザイナー治療用エピトープ1(GWSIHSPGGGSC,配列番号250)およびデザイナー治療用エピトープ2(SVFQHLPGGGSC,配列番号251)を、C末端Cys残基を介してKLHに結合体化し(実施例18に記載されたように)、Balb/cマウスを免疫するために使用した。各デザイナー治療用エピトープに対して3匹のマウスを使用した。免疫は、以下のとおり行った。免疫用のワクチンを、100μlのPBS中に100μgの結合体化ペプチドを含むデザイナー治療用エピトープ−KLH結合体を用いて調製し、最終投与体積の200μlにおいてフロイントアジュバントと1:1(vol/vol)で乳化した。最初の免疫を、フロイント完全アジュバントとともに製剤化されたPBS中のデザイナー治療用エピトープ−KLH結合体を使用して行った。4週間間隔での次の4回の免疫を、フロイント不完全アジュバントとともに製剤化されたPBS中のデザイナー治療用エピトープ−KLH結合体を使用して行った。コントロール免疫のために、デザイナー治療用エピトープ−結合体の代わりにPBSを使用した。最後の免疫の14日後に血清を調製した。
1.抗体は病理学的タウを区別する。血清の特異性を判定するために、2つのタウタンパク質を使用した:組換え病理学的タウΔ(1−150;392−441)4Rおよび生理学的タウ2N4R。各マウス由来の血清を、1:100から1:12,800まで段階希釈し、3つ組で試験した。1:4,000希釈されたポリクローナルヤギ抗マウス免疫グロブリン/HRP(Dako,#P0447)を使用して、抗体価を測定した。図67は、1:3200希釈に対する代表的な結果を示している。
両方のデザイナー治療用エピトープが、免疫されたマウスにおいて高い免疫応答をもたらした。さらに、試験された両方のデザイナー治療用エピトープが、生理学的タウ2N4Rと比べてより高い親和性で病理学的タウΔ(1−150;392−441)4Rを認識する抗体を誘導した(図67)。この区別は、免疫されたすべての動物由来の血清について統計学的に有意である。全体的にみて、DC8E8を用いて観察された活性を用いて得られた結果と組み合わせて、これらの結果は、デザイナー治療用エピトープ1および2の両方が免疫原性であり、アルツハイマー病患者の脳における病理学的タウタンパク質を標的化する治療的可能性を有する抗体応答を誘導することを示している。
2.抗体アイソタイプ:これらのデザイナー治療用エピトープ1および2に応答して産生される抗体の特定のアイソタイプを判定するために、同じ群のマウス由来の血清をプールし、1:100から1:12,800まで段階希釈し、抗体アイソタイプELISAによって3つ組で試験した。マウスIgM、IgG1、IgG2a、IgG2bおよびIgG3アイソタイプを検出するために、抗マウスサブクラス特異的HRP結合体化二次抗体を使用した(Lifespan Biosciencesから購入した抗体,抗IgG1−#LS−C59107、抗IgG2a−#LS−C59112、抗IgG2b−#LS−C59117、抗IgG3−#LS−C59125および抗IgM−#LS−C55875)。コントロールマウスから得られた抗血清は、陰性だった。図68は、1:800希釈に対する代表的な結果を示している。プールされた血清を用いて得られたデータは、試験された両方のデザイナー治療用エピトープによる免疫が広範囲の抗タウ抗体アイソタイプを誘導することおよびアイソタイププロファイルがすべての試験において非常によく似ていることを証明した。両方のデザイナー治療用エピトープが、IgG2a、IgG2bおよびIgG3応答と比較して、主にIgG1抗体を産生させた(図68)。
3.デザイナー治療用エピトープは、病理学的タウと生理学的タウとを統計学的に非常に有意に区別する抗体応答を誘導する。デザイナー治療用エピトープに対して産生された抗体の親和性の解析を、実施例5および19に記載されたように、CM5センサーチップを使用したBIACORE3000(Biacore AB,Uppsala)における表面プラズモン共鳴によって行った。各解析サイクルにおいて、GWSIHSPGGGSC(配列番号250)であるデザイナー治療用エピトープ1(100倍希釈されたもの)またはSVFQHLPGGGSC(配列番号251)であるデザイナー治療用エピトープ2(100倍希釈されたもの)に対するマウス抗血清(3匹のマウス由来のプールされた抗血清)を、ほぼ飽和に等しい約950RUの固定化レベルに達するように、分析フローセルに捕捉した。基準として、タウに結合しない無関係の抗体Rab50(Macikovaら、1992)を基準フローセルに捕捉した。KA測定のために、ならびに動態速度定数kONおよびkOFFの測定のために、病理学的タウΔ(1−150;392−441)4Rまたは生理学的タウ2N4Rの100nM溶液を100μl/分の流速でセンサーチップの上に注入した。
デザイナー治療用エピトープ1および2によるワクチン接種によって誘導された抗体は、病理学的タウΔ(1−150;392−441)4Rと生理学的タウ2N4Rとを区別した(図69Aおよび69B)。表面プラズモン共鳴によって測定された、デザイナー治療用エピトープ1(GWSIHSPGGGSC、配列番号250)に対する抗血清中に存在する抗体の親和性は、生理学的タウと比べて、病理学的タウに対してほぼ50倍高い親和性を示した(これは、非常に統計学的に有意である(p<0.001))。表面プラズモン共鳴によって測定された、デザイナー治療用エピトープ2(SVFQHLPGGGSC(配列番号251)に対する抗血清中に存在する抗体の親和性は、生理学的タウと比べて、病理学的タウに対してほぼ15倍高い親和性を示した(これは、非常に統計学的に有意である(p<0.01))。
4.デザイナー治療用エピトープは、ヒトAD脳における病理学的タウ種を認識する抗体応答を誘導する。デザイナー治療用エピトープで免疫されたマウスにおいて産生される抗体の特異性を判定するために、ヒトAD脳の凍結切片において免疫組織化学的染色を行った。
ヒトAD脳組織サンプル(嗅内皮質,AD Braak VI,Netherlands Brain Bankによって提供されたもの)を、4℃において2日間、PBS中の4%パラホルムアルデヒドで固定し、次いで、凍結保護し(25%スクロース)、冷2−メチルブタン(−42℃)中で凍結し、クライオトームにおいて薄片に切断した。浮遊組織切片(40μm)を、室温(25℃)において1分間、冷(4℃)99%ギ酸で処理した。その切片を、標準的なアビジン−ビオチンペルオキシダーゼ法(ABC Elite,Vector Laboratories,Burlingame,CA)を使用して免疫染色した。デザイナー治療用エピトープ1(配列番号250)およびデザイナー治療用エピトープ2(配列番号251)に対するマウス抗血清(各々、3匹の免疫マウスからプールされたもの)を、ブロッキング溶液(PBS中の、5%ウシ血清アルブミン、0.3%Triton X−100)で1:2000希釈した。次いで、切片をOlympus BX51顕微鏡で検鏡した。
免疫組織化学的染色は、両方のデザイナー治療用エピトープGWSIHSPGGGSC(配列番号250)およびSVFQHLPGGGSC(配列番号251)に対して産生されたマウス免疫血清(immunosera)が、アルツハイマー病脳の嗅内皮質における病理学的タウ構造、すなわち、神経原線維変化および糸屑状構造物を特異的に認識することを示した(図70A〜D)。デザイナー治療用エピトープ1およびデザイナー治療用エピトープ2に対する抗血清は、コントロールヒト脳における正常タウを認識しなかった(図70E、F)。
5.デザイナー治療用エピトープ2(SVFQHLPGGGSC、配列番号251)は、アルツハイマー病のトランスジェニックラットモデルの脳における病理学的タウ種を認識する抗体応答を誘導する。デザイナー治療用エピトープで免疫されたマウスにおいて産生される抗体の特異性を判定するために、トランスジェニックラットSHR72の脳のパラフィン包埋切片において免疫組織化学的染色を行った。
SHR72系統のトランスジェニックラット(7ヶ月齢)に、深麻酔下において1分間、PBSを経心的に灌流した後、100mlの4%パラホルムアルデヒド(pH7.4)を灌流した。灌流後、頭部を切断し、すみやかに脳を取り出した。使い捨てメス刃を使用して、脳を矢状方向に2つの同じサイズの半球に切断した。その脳組織を4%パラホルムアルデヒド中で後固定し、パラフィンに包埋し、ミクロトームにおいて切片に切断した。8μmパラフィン包埋組織切片において免疫組織化学的検査および組織病理学的検査を行った。組織切片を、室温(25℃)において、抗原アンマスキング溶液(Vector laboratories,CA,USA)で20分間前処理し、冷(+4℃)90%ギ酸(Applichem,Germany)で1分間前処理した。ブロッキングの後、切片を、ブロッキング溶液(50nM Tris−HCl中の5%ウシ血清アルブミン、0.3%Triton X100)で1:1000希釈されたデザイナー治療用エピトープ2(SVFQHLPGGGSC、配列番号251)に対して産生された血清とともに一晩インキュベートした。洗浄した後、切片を室温において1時間、ビオチン化二次抗体(Vectastain Elite ABC Kit,Vector Laboratories)とともにインキュベートし、次いで、室温(25℃)において、アビジン−ビオチンペルオキシダーゼ−複合体溶液と60分間反応させた(Vectastain Elite ABC Kit,Vector Laboratories)。免疫反応を、ペルオキシダーゼ基質キット(Vector VIP,Vector laboratories,Ca,USA)を用いて可視化した。切片をOlympus BX71顕微鏡で検鏡した。
トランスジェニックラット脳(SHR72)において、デザイナー治療用エピトープ2(SVFQHLPGGGSC、配列番号251)に対して産生された血清は、神経原線維変化を認識した(図70G)。同齢のコントロールラット脳において、その抗体は、神経細胞を染色しなかった(図70H)。
デザイナー治療用エピトープ2(SVFQHLPGGGSC、配列番号251)に対して産生された血清は、オリゴマーのプレ濃縮体段階のタウ(図70I)、ならびに細胞内の神経原線維変化(図70J)を認識した。
6.デザイナー治療用エピトープ1および2によって誘導された抗体は、ヒトAD脳における可溶性および不溶性の病理学的タウを認識する:サルコシル可溶性および不溶性の病理学的タウをヒトアルツハイマー病の側頭皮質(Netherlands Brain Bankから入手したもの)から単離し、実施例8に記載されたように免疫ブロット法によって解析した。
可溶性および不溶性の病理学的タウタンパク質画分を含む膜を、PBST中の5%脱脂粉乳で1:1希釈されたDC8E8ハイブリドーマ上清またはデザイナー治療用エピトープ1(配列番号250、GWSIHSPGGGSC)に対して産生されたプールされたマウス抗血清またはデザイナー治療用エピトープ2(SVFQHLPGGGSC、配列番号251)に対して産生されたプールされたマウス抗血清とともにインキュベートした(ここで、両方のプールされた抗血清が、PBST中の5%脱脂粉乳において1:100希釈された)。膜を洗浄し、次いで、1:4000希釈されたペルオキシダーゼ結合体化ヤギ抗マウスIgG(DAKO,Denmark)とともにインキュベートした。LAS3000イメージングシステム(FUJI Photo Film Co.,Japan)を使用して検出されるSuperSignal West Pico Chemiluminescent Substrate(Pierce,U.S.A)を用いて、そのブロットの像を得た。シグナル強度を、AIDAソフトウェア(Advanced Image Data Analyzer,Raytest,Straubenhardt,Germany)を使用して定量した。
この免疫ブロット解析の結果を図71に示す。これらの結果は、デザイナー治療用エピトープ1(すなわち、GWSIHSPGGGSC)(配列番号250)と2(すなわちSVFQHLPGGGSC)(配列番号251)の両方に対して産生された抗体が、DC8E8と同じ病理学的タウタンパク質を認識することを示している。GWSIHSPGGGSC(配列番号250)抗血清、SVFQHLPGGGSC(配列番号251)抗血清およびDC8E8抗体のすべてが、AD脳組織から単離されたサルコシル可溶性および不溶性タウ画分中に存在する病理学的タウタンパク質を特異的に認識した(図71)。
7.デザイナー治療用エピトープ1および2によって誘導された抗体は、タウトランスジェニックラットの脳における可溶性および不溶性の病理学的タウを認識する。サルコシル可溶性および不溶性の病理学的タウを、実施例8に記載されたように、タウトランスジェニックラット脳(実施例7に記載されたSHR72系統)の脳から単離した。
免疫ブロット解析(実施例8に記載された)の結果を図72に示す。これらの結果は、デザイナー治療用エピトープ1(すなわち、GWSIHSPGGGSC)(配列番号250)および2(すなわち、SVFQHLPGGGSC)(配列番号251)によって誘導された抗体が、DC8E8と同じ病理学的タウタンパク質を認識することを示している(図72)。単量体およびオリゴマーの病理学的タウタンパク質を標的化することによって、病理学的タウ凝集体の生成が妨げられ、タウ病理が減少し、ヒトにおける治療効果およびADの処置がもたらされる。
実施例25:ADをモデル化するトランスジェニックラットにおけるデザイナー治療用エピトープのインビボ有効性
デザイナー治療用エピトープによる免疫療法は、処置されたラットの神経行動学的パラメータの改善を示した。トランスジェニックラットSHR72における免疫療法のために、デザイナー治療用エピトープ2(配列番号251)を選択した。Adju−phosアジュバントと組み合わされた、KLHに結合体化されたデザイナー治療用エピトープ2(配列番号251)を含むワクチン用量を、ラットの皮下に免疫した。実施例18に記載されたようにワクチンを調製した。1用量は、100μgの結合体化されたデザイナー治療用エピトープ2を含んだ。複合スコアであるNeuroscaleでの神経学的検査と組み合わされた標準的な運動試験のセットによって、複合運動障害を測定した。免疫療法の効果を測定する目的で、6.5ヶ月齢において、デザイナー治療用エピトープ2(配列番号251)を含むワクチンで処置されたトランスジェニックラットSHR72を行動試験に供した。
デザイナー治療用エピトープ2(配列番号251)で処置されたラットは、梁歩行試験において、アジュバントだけを投与されたトランスジェニックコントロールラットよりも27%の逃避潜時の短縮を示した(図73A)。後肢のスリップ回数は、トランスジェニックコントロールと比較して、ワクチン接種群において統計学的に有意に44%減少した(p<0.05)(図73B)。梁歩行試験、握力牽引力試験および神経学的検査(基本的な反射、後肢逃避伸展反射)において得られた値から、Neuroscaleスコアを計算した。その免疫は、コントロール群と比べて、ペプチド配列番号251で処置されたラットのNeuroscaleスコアを有意に26%改善した(図73C)。総Neuroscaleスコアは、非処置トランスジェニックラットと比べて、処置されたトランスジェニックラットの神経行動学的改善を確証させた。すべての統計データは、ノンパラメトリックなマン・ホイットニーU検定を用いて得られた。
デザイナー治療用エピトープ2による免疫療法は、処置されたアルツハイマートランスジェニックラットの脳における病理学的タウの統計学的に有意な減少を示した(p<0.05)。不溶性の病理学的タウのレベルに対する、デザイナー治療用エピトープ2(配列番号251)による免疫の効果を確かめるために、本発明者らは、ラット脳サンプルの免疫ブロット解析を使用した。デザイナー治療用エピトープ2(配列番号251)で免疫されたトランスジェニック動物およびアジュバントだけで免疫されたトランスジェニック動物のコントロール群の脳組織(脳幹)を、実施例8に記載されたように、サルコシル不溶性タウ画分の調製のために使用した。実施例19に記載されたように、免疫ブロット解析を行った。T検定によって統計解析を行った。リン酸化依存的モノクローナル抗体AT8、DC209、DC217およびpan−タウモノクローナル抗体DC25を、この研究において使用した。
デザイナー治療用エピトープ2(配列番号251)で免疫されたたトランスジェニックラットの群およびコントロール群の不溶性タウレベルの免疫ブロットの定量的解析の結果を図74に示す。免疫療法は、アジュバントだけを投与されたコントロールトランスジェニックラットと比べて、免疫された動物において不溶性タウの量を統計学的に有意に減少させた。不溶性タウの減少は、解析されたすべてのタウエピトープにおいて観察された。347−353エピトープおよびホスホ−タウエピトープにおける減少は、統計学的に有意だった(P<0.05)。観察された減少は、以下のとおりだった:347−353タウエピトープにおいて、46%(P<0.05)、pT217タウエピトープにおいて、57%(P<0.05)、p231−タウエピトープにおいて、55%(P<0.05)、pS202/pT205タウエピトープにおいて、47%(P<0.05)。
これらの結果は、そのワクチンが、病理学的タウを減少させる病理学的タウ特異的抗体を誘導したことを示している。処置されたアルツハイマー病ラットモデルの脳における病理学的タウレベルの低下は、神経行動学的パラメータと相関した。低レベルの不溶性タウを有する処置された動物は、コントロール動物と比較して、より短い逃避潜時および統計学的に有意に減少した後肢のスリップ回数を示した(p<0.05)。これらの知見は、デザイナー治療用エピトープによる免疫が、処置された動物において不溶性の病理学的タウの減少および神経行動学的改善をもたらすことを示し、これは、ヒトアルツハイマー病および関連タウオパチーを処置するためのそのワクチンの治療的可能性を強調する。
実施例26:DC8E8最小エピトープ(治療用コアユニット用)のさらなる特徴付け DC8E8の最小エピトープをさらに特徴付けるために、ヒトタウタンパク質2N4Rの微小管結合リピート領域(MTBR1、MTBR2、MTBR3、MTBR4)に由来する、種々の長さ(42−mer、19−mer、12−mer、7−mer、6−merおよび5−mer)を有するタウペプチドのパネルをデザインした(図75A、B)。ペプチドは、EZBiolabs(USA)によって95%より高い純度で合成された。すべてのペプチドを、DC8E8への結合について病理学的タウΔ(1−150;392−441)/4Rと競合する能力について競合ELISAによって解析した。ELISAプレート(Sarstedt,#821581001)を50μl/ウェルの、PBS中の5μg/mlの精製された組換えタウΔ(1−150;392−441)/4R)で、37℃において一晩コーティングした。コーティングされたプレートを、PBS/Tween20(0.05%v/v)で5回洗浄し、25℃において1時間、PBS/Tween20(0.05%v/v)でブロッキングした。各ペプチドを別々に1mMの最終濃度でPBSに溶解した。コニカルウェル底を有するポリプロピレンマイクロタイタープレート(Greiner,#651201)においてPBS/Tween20中のペプチドの段階希釈物(2.5×)を、200μM;80μM;32μM;12.8μM;5.12μM;2.048μM;0.8192μM;0.32768μMの濃度範囲内で調製した。確認用モノクローナル抗体DC8E8を、PBSにおいて0.6μg/mlの濃度に希釈し、60μlのこの希釈された抗体を、120μl/ウェルの混合物をもたらすペプチドの段階希釈となるように各ウェルに加えた。その抗体/ペプチド混合物を、230rpmに設定された回転プラットフォーム上で25℃において1時間インキュベートした。50μl/ウェルの抗体/ペプチド混合物を、ポリプロピレンプレートから、タウΔ(1−150;392−441)/4RでコーティングされPBS/Tween20でブロッキングされたELISAプレートに移し(2つ組で)、25℃において1時間インキュベートした。そのプレートをPBS/Tween20で5回洗浄し、50μl/ウェルの、PBS/Tween20で1:1000希釈されたポリクローナルヤギ抗マウス免疫グロブリン/HRP(Dako,#P0447)とともに25℃において1時間インキュベートした。洗浄した後、次にプレートを、50μl/ウェルの、1.5μl/2mlの30%H2O2(Sigma,H−0904)が補充された0.1M酢酸Na pH=6.0(Roth,#6779)中の1mg/2mlのo−PDA(o−フェニレンジアミン,Sigma,P1526)とともに暗所において25℃で20分間インキュベートした。50μl/ウェルの2M H2SO4(Merck,1.00731.1000)を加えることによって反応を停止した後、プレートを492nmにおいて読んだ(例えば、Powerwave HT,Bio−Tek)。
図76は、以下のペプチドを用いて行われた競合ELISAの結果を示している:TENLKHQPGGGK(配列番号270)、KHQPGGG(配列番号271)、HQPGGG(配列番号272)、HQPGG(配列番号273)、QPGGG(配列番号274)、ENLKHQPGGGKVQIINKKLDLSNVQSKCGSKDNIKHVPGGGS(配列番号275)、KHVPGGG(配列番号276)、HVPGGG(配列番号277)、HVPGG(配列番号278)、VPGGG(配列番号279)、DNIKHVPGGGSVQIVYKPV(配列番号280)、HHKPGGG(配列番号281)、HKPGGG(配列番号282)およびTHVPGGG(配列番号283)。タウ治療用エピトープを含む解析されたすべてのペプチドが、病理学的タウΔ(1−150;392−441/4R)と競合した。図76に示されるように、6−merペプチド(配列番号272、配列番号277および配列番号282)でさえ、DC8E8への結合についてタウΔ(1−150;392−441)/4Rと競合することができた。しかしながら、ヒスチジンの除去(5−merペプチド配列番号274、279)または最後のグリシンの除去(5−merペプチド配列番号273、278)によって、DC8E8への結合についてタウΔ(1−150;392−441/4R)との競合活性が失われた(それらの5−merペプチドは、下線が引かれた除去されたアミノ酸HisおよびGlyを有する配列番号272および配列番号277に由来した。上記を参照のこと)。これらの結果は、それらの5−merペプチドが、病理学的タウ上にDC8E8によって認識される治療的な3D構造をもたらさなかったことを示唆する。他方で、6つのアミノ酸残基を含むペプチドは、競合ELISAによって測定される生物学的活性に関与する治療的な3D構造を作り出し、DC8E8の最小エピトープ(治療用コアユニット)を形成する。それらのデザインにおいて、保存されている5つのアミノ酸残基が、DC8E8認識にとって重要である(配列HxPGGGにおけるヒスチジン、プロリンおよび3つのグリシン残基)。
結論:上記データは、ヒトタウ上の最小DC8E8エピトープが、残基HQPGGG(MTBR1の中に位置する)、HVPGGG(MTBR2の中)、HKPGGG(MTBR3の中)およびHVPGGG(MTBR4の中)を含む6アミノ酸からなることを示唆する。したがって、DC8E8結合部位(=エピトープ)は、2N4Rタウにおいて4回および2N3Rタウにおいて3回、登場する。これは、その6−mer配列の中で必須のアミノ酸が、ヒスチジンおよび3つすべてのグリシンであることを示唆する。
実施例27:DC8E8最小エピトープを有するペプチドの免疫原性の測定
a)DC8E8の最小エピトープを有するペプチドは、免疫原性である:個々のタウペプチドの免疫原性の潜在能力を測定する目的で、ペプチドを、そのN末端のCys残基を介してKLHに結合体化した。
この目的のために、KLHタンパク質の表面上にペプチドの配向結合を得る目的で、N末端に位置する余分なシステイン残基を有するシステイン付加ペプチドとしてタウペプチドを合成した。ペプチドを、二機能性架橋剤N−[γ−マレイミドブチリルオキシ]スクシンイミドエステル(GMBS)を介してKLHキャリアに結合させた。結合体化反応物を調製するために、20mgのKLH(Calbiochem)を、10分間静かに混合することによって結合体化緩衝液(0.9M NaCl、10mM EDTAを含むPBS)に溶解して、10mg/mlの濃度にした。マレイミド活性化KLHを調製するために、2mgの活性な二機能性架橋剤GMBSを50μlの無水ジメチルホルムアミドに溶解し、2mlのKLH溶液と室温において1時間混合した。続いて、結合体化緩衝液において平衡化された5ml HiTrap Desaltingカラム(GE Healthcare)において、未反応のGMBSを除去した。ペプチドとマレイミド活性化KLHとの1:1比(w/w、20mgのペプチド)で室温(25℃)において2時間、結合体化を行った。得られた結合体を100倍過剰のPBSに対して透析し、4回の透析緩衝液の交換により、未結合体化ペプチドを除去した。透析の後、結合体を2℃、21,000×gで15分間遠心した。その結合体を等分し、使用するまで−20℃で保管した。
免疫のためのワクチンを、100μlのPBS中に100μgの結合体化ペプチドを含むペプチド−KLH結合体を用いて調製し、最終投与体積の200μlにおいてフロイントアジュバントと1:1(vol/vol)で乳化した。1処置群あたり5匹のC57/BLマウスを使用した。最初の免疫を、フロイント完全アジュバントとともに製剤化されたPBS中のペプチド結合体を使用して行った。1週間間隔での次の2回の免疫を、フロイント不完全アジュバントとともに製剤化されたPBS中のペプチド結合体を使用して行った。最後の追加免疫の投与の1週間後に動物から採血し、回収された血清を抗体価の測定のために使用した。特異的な抗タウ抗体の力価を、実施例19に記載されたようにELISAによって測定した。各血清の段階希釈物(1:100から1:102400)を、固相として使用される病理学的タウΔ(1−150;392−441)/4Rおよび生理学的タウ2N4Rに対して試験した。図77A〜Cは、1:800希釈の血清に対する結果の要約を示している。ELISAの結果を、ノンパラメトリックなマン・ホイットニー検定を使用して統計学的に評価した。力価は、最大ODの2分の1をもたらす血清の希釈度の逆数と定義され、それを図78に要約した。
タウペプチドTENLKHQPGGGK(配列番号270)、KHQPGGG(配列番号271)、ENLKHQPGGGKVQIINKKLDLSNVQSKCGSKDNIKHVPGGGS(配列番号275)、KHVPGGG(配列番号276)、HVPGGG(配列番号277)、DNIKHVPGGGSVQIVYKPV(配列番号280)、HHKPGGG(配列番号281)およびTHVPGGG(配列番号283)でマウスを免疫することにより、免疫されたマウスにおいて、高レベルのタウ特異的抗体が誘導された。さらに、誘導された抗体は、生理学的タウ2N4Rよりも病理学的タウΔ(1−150;392−441)/4Rに対してより高い親和性を示した(図77A〜C)。この区別は、免疫されたすべての動物由来の血清について統計学的に有意だった(配列番号270,p<0.0079;配列番号271,p<0.0052;配列番号275,p<0.0079;配列番号276,p<0.0079;配列番号277,p<0.0379;配列番号280,p<0.0159;配列番号281,p<0.0379および配列番号283,p<0.0286)。概して、病理学的タウΔ(1−150;392−441)/4Rに対する幾何平均抗体価は、生理学的タウ2N4Rに対するそれよりも3〜5倍高かった(図78)。図78に示されるように、病理学的タウに対する最も高い抗体価は、タウペプチド配列番号275(GMT51200)、配列番号280(GMT51200)、配列番号270(GMT22286)および配列番号276(GMT22286)によって誘導された。治療的な3D構造を欠くとみられる5−merペプチド(配列番号273、274、278、279)は、免疫された動物においてタウ特異的抗体を誘導することができなかった。全体的に見て、これらの結果は、最小の治療用エピトープ(治療用コアユニット)を有するペプチド(配列番号270、271、272、275、276、277、280、281および283)が免疫原性であり、アルツハイマー病患者の脳における病理学的タウタンパク質を標的化する治療的な潜在能力を有する抗体を誘導することを示した。上述のエピトープマッピング実験は、ペプチド配列番号282が治療的な3D構造を作り出す(例えば、最小DC8E8エピトープを少なくとも部分的に模倣する)が、それにもかかわらず、免疫されたマウスにおいて特異的抗体応答を誘導しない(病理学的タウに対するGMTは174だった。図78)ことを示した。
b)アイソタイププロファイル:C57/BLマウスにタウペプチド配列番号270、271、275、276、277、280、281および283をワクチン接種することにより、病理学的タウに特異的なIgG1およびIgG2b抗体アイソタイプの形成が優先的に誘導された。ペプチドに応答して産生された抗体の特異的アイソタイプを判定するために、マウス由来の血清をプールし、1:100から1:12,800まで希釈し、病理学的タウΔ(1−150;392−441)/4Rに対するELISAによって2つ組で試験した(実施例19に記載されたように)。マウスIgG1、IgG2b、IgG2c、IgG3およびIgMアイソタイプを検出するために、抗マウスサブクラスに特異的なHRP結合体化二次抗体を、PBSにおいて1:5,000希釈した(抗体はLifespan Biosciencesから購入した)。図79は、代表的な1:800希釈に対する結果を示している。そのデータは、KLHに結合体化されたペプチドが、広範囲の抗タウ抗体アイソタイプを誘導したことを示唆している。概して、ペプチドのワクチン接種によって、高親和性抗体であると考えられている抗体アイソタイプ(IgG1、IgG2b)が最も高いレベルで産生された。病理学的タウに対して優先的な親和性を有する高力価のIgG1およびIgG2b抗体の存在は、ワクチンによって誘導された免疫応答が病理学的タウ種に対するものであることを示唆した。mockで免疫されたマウス(アジュバントだけを投与された)から得られたコントロール血清は、陰性だった(データ示さず)。
c)治療用エピトープを有するペプチドは、病理学的タウと生理学的タウとを区別する抗体を誘導する:表面プラズモン共鳴を使用した結合事象のリアルタイムモニタリングによって、個々のタウペプチドTENLKHQPGGGK(配列番号270)、KHQPGGG(配列番号271)、HQPGGG(配列番号272)、HQPGG(配列番号273)、QPGGG(配列番号274)、ENLKHQPGGGKVQIINKKLDLSNVQSKCGSKDNIKHVPGGGS(配列番号275)、KHVPGGG(配列番号276)、HVPGGG(配列番号277)、HVPGG(配列番号278)、VPGGG(配列番号279)、DNIKHVPGGGSVQIVYKPV(配列番号280)、HHKPGGG(配列番号281)、HKPGGG(配列番号282)およびTHVPGGG(配列番号283)で免疫されたマウスC57/BLのプールされた血清由来の抗体の会合(kON)および解離(kOFF)の動態速度の測定が可能だった。実施例5および19に記載されたようにCM5センサーチップを使用するBIACORE3000(Biacore AB,Uppsala)における表面プラズモン共鳴によって解析を行った。その解析は、上記ペプチドによる免疫によって誘導された抗体がタウΔ(1−150;392−441)/4Rおよび生理学的タウアイソフォーム2N4Rの認識を区別することができることを示した(図80)。最小の治療用エピトープを有する、ペプチド配列番号270、271、272、275、276、277、280、281および283による免疫によって誘導された抗体は、対応する生理学的タウ2N4Rに対する親和性と比べて、タウΔ(1−150;392−441)/4Rに対して優先的な親和性を示した。この区別は、ペプチド:配列番号270(p=0.0392)、配列番号271(p=0.0363)、配列番号272(p=0.0022)、配列番号276(p=0.0013)、配列番号277(p=0.0023)、配列番号280(p=0.0104)、配列番号281(p=0.0123)および配列番号283(p=0.0011)からの血清に対して統計学的に有意だった。得られた結果は、図77A〜Cおよび図78に要約されている以前の免疫原性実験と一致する。
d)ペプチドによって誘導された抗体は、ウエスタンブロットによって病理学的形態のタウを認識する:マウスC57/BLを個々のタウペプチドで免疫することによって誘導された抗体を、免疫ブロット法(実施例19に記載されたように)を使用して病理学的形態のタウに対して調べた。神経原線維病理の後期におけるSHR72ラットの脳幹を、不溶性の病理学的タウタンパク質の抽出のために使用した。ヒトAD脳の側頭皮質(BraakステージVI;Netherlands Brain Bank,Netherlandsから入手したもの)を、ヒト病理学的ADタウの抽出のために使用した。サルコシル法(Greenberg and Davies 1990)に従って、抽出されたタウタンパク質を調製した。免疫された動物由来のプールされた血清を、PBSで1:1000希釈し、1次抗体として使用した。1次抗体とのインキュベーションの後、西洋ワサビペルオキシダーゼに結合体化されたポリクローナルウサギ抗ラット免疫グロブリン(1:3000;Dako,Glostrup,Denmark)とインキュベーションした。次いで、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体化抗体を、SuperSignal West Pico Chemiluminescence Substrate(Thermo Scientific,Belgium)を使用して化学発光によって可視化した。そのシグナルを、LAS3000 CCDイメージングシステム(Fujifilm,Japan)を用いてデジタル化した。要約された結果を図81に提供する。DC8E8エピトープの治療的な3D構造をおそらく作り出すペプチド(配列番号270、271、272、275、276、277、280、281および283)のワクチン接種によって誘発された抗体は、SHR72およびAD脳組織から抽出されたすべての病理学的形態のタウタンパク質(ADに特徴的なA68タウトリプレットを含む)を認識した。それにもかかわらず、治療的な3D構造を作り出すとみられるペプチド配列番号282(DC8E8への結合についてタウΔ(1−150;392−441)/4Rと競合する)は、この免疫されたマウスにおいて特異的抗体応答を誘導せず、ゆえに、反応性は陰性だった。同様に、タウ特異的抗体応答を誘導することができなかった5−merペプチドも、この解析において陰性だった。
e)ペプチドによって誘導された抗体は、ヒトアルツハイマー病脳組織由来の切片において病理学的タウタンパク質を認識する:マウスC57/BLを個々のペプチドでワクチン接種するによって誘発されたタウ特異的抗体を、Netherlands brain bankから入手したヒト脳組織(パラフィンブロック)において試験した。そのブロックをミクロトームにおいて切断した。アルツハイマー病脳(BraakステージV)由来の海馬−CA1区域のパラフィン切片(8μm)を、室温(25℃)において冷(+4℃)99%ギ酸で1分間処理した。その組織切片をブロッキング溶液(50nM Tris−HCl中の、5%BSA、0.3%Triton X−100)中でインキュベートし、次いで、ブロッキング溶液で1:1000希釈された血清とともに一晩インキュベートした。続いて、それらの切片を、ビオチン化二次抗体(Vectastain Elite ABC Kit,Vector Laboratories)とともに室温において1時間インキュベートし、次いで、アビジン−ビオチンペルオキシダーゼ複合体と両方とも25℃においてさらに1時間反応させた(Vectastain Elite ABC Kit,Vector Laboratories)。免疫反応を、ペルオキシダーゼ基質キット(Vector VIP,Vector laboratories,Ca,USA)を用いて可視化し、メチルグリーン(Vector Laboratories)で対比染色した。それらの切片をOlympus BX71顕微鏡で検鏡した。免疫組織化学的染色(図82A〜C、図83)は、ペプチド配列番号270、271、275、276、280、281および283による免疫によって誘導された抗体が、アルツハイマー病脳組織の海馬における病理学的タウ構造、すなわち、神経原線維変化を特異的に認識したことを示唆している。上述のペプチドをワクチン接種された動物の血清は、神経原線維病理を強くデコレートしたことから、それらの抗体が、病理学的タウタンパク質を標的化したことが確かめられた。ペプチド配列番号272および277のワクチン接種によって誘導された抗体は、脳組織において病理学的タウ構造のより弱い強度の染色を示す。より低いレベルのタウ特異的抗体応答を誘導したペプチドまたはタウ特異的抗体応答を誘導しなかったペプチド(配列番号273、274、278、279および282)は、この解析において陰性だった。アジュバントだけを投与されたマウス由来の血清を、ネガティブコントロールとして使用した。それらは、神経原線維の病理を認識しなかった(図82C)。
本明細書に引用されたすべての参考文献(特許、特許出願、論文、教科書などを含む)およびそれらの中で引用された参考文献は、それらがすでに引用されていない範囲まで、それらの全体が参照により本明細書に援用される。さらに、先のパラグラフにおいてより省略された形態で引用された以下の参考文献もまた、そのような参考文献において引用された参考文献を含んで、それらの全体が参照により本明細書に援用される。
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