図1は、本発明の一の実施の形態に係る男性用軽失禁パッド1を広げた状態で示す平面図である。男性用軽失禁パッド1(以下、単に「軽失禁パッド1」という。)は、着用者が着用する下着の内側(すなわち、着用者側)に取り付けられて着用者からの尿等の排泄物を受ける吸収性物品である。男性用軽失禁パッド1は、着用者が着用する使い捨ておむつ等の内側に取り付けられてもよい。図1では、着用時に着用者に接触する側の面を手前にして軽失禁パッド1を描いている。
図2ないし図4はそれぞれ、軽失禁パッド1を図1中に示すII−IIの位置、III−IIIの位置およびIV−IVの位置で長手方向(すなわち、図1中における上下方向)に垂直な面で切断した断面図である。図2ないし図4では、図示の都合上、軽失禁パッド1の各構成を厚さ方向に離して描いている。
図1ないし図4に示すように、軽失禁パッド1は、長手方向に延びるシート状の本体部2と、本体部2の一方側の面(主面)を覆うカバー部3とを備える。本体部2は、透液性のトップシート21と、撥水性または不透液性のバックシート23と、シート状の吸収コア22と、吸水紙24とを備える。吸収コア22は、トップシート21とバックシート23との間に配置される。吸水紙24は、吸収コア22とバックシート23との間に配置される。図1では、図の理解を容易にするために、吸収コア22の輪郭を示す破線を、吸水紙24の輪郭を示す破線よりも太くしている。軽失禁パッド1を平面視した図1では、吸水紙24の全体が本体部2の外周縁よりも内側に位置し、吸収コア22の全体が吸水紙24の外周縁よりも内側に位置する。
図2ないし図4に示すように、トップシート21は、吸収コア22の着用者側の主面を覆う。吸水紙24は、吸収コア22のもう一方の主面、すなわち、着用者とは反対側の主面を覆う。バックシート23は、吸水紙24における吸収コア22とは反対側の面、すなわち、着用者とは反対側の面を覆う。トップシート21は、吸収コア22の周りにおいてホットメルト接着剤等により吸水紙24に接合される。軽失禁パッド1では、トップシート21、カバー部3およびバックシート23により、本体部2の外形を規定するシート積層体20が形成される。シート積層体20は、本体部2と同様に長手方向に延びた形状である。
トップシート21は透液性のシート部材であり、着用者からの排泄物の水分を速やかに捕捉して吸収コア22へと移動させる。吸収コア22は、トップシート21を透過した水分を吸収して迅速に固定する。吸水紙24は、吸収コア22を通過した水分を吸収する。バックシート23は、バックシート23に到達した水分が、本体部2の外側にしみ出すことを防止する。
後述するように、着用者が軽失禁パッド1を着用した状態では、長手方向における軽失禁パッド1の一方の端部(図1では上側の端部)が、前方端部11として着用者の下腹部に接触する。また、軽失禁パッド1の他方の端部(図1では下側の端部)が、股下端部12として着用者の股間部に対向する。実際には、長手方向における軽失禁パッド1の前方端部11側の部位、すなわち、軽失禁パッド1を長手方向におよそ二等分した場合における前方端部11を含む部分が、着用者の男性器に接触する。以下の説明では、軽失禁パッド1の当該部分を「前方部110」といい、軽失禁パッド1の残りの部分、すなわち、長手方向における軽失禁パッド1の股下端部12側の部位を「股下部120」という。
長手方向に垂直な幅方向における軽失禁パッド1の幅、すなわち、シート積層体20の幅は、長手方向に沿って変化し、前方端部11は、シート積層体20の幅が最大となる部位を含む。シート積層体20の幅は、前方端部11から股下端部12に向かって漸次減少する。例えば、前方端部11と股下端部12との間におけるシート積層体20の各側縁は直線状であり、シート積層体20の幅は、前方端部11から股下端部12に向かって線形に減少する。このように、シート積層体20では、幅方向における股下端部12の幅が、前方端部11の幅(最大幅)よりも小さくなる。シート積層体20の形状は、略三角形と捉えることも可能である。
上述のホットメルト接着剤としては、ポリオレフィン系、ゴム系、酢酸ビニル系等のものが利用される。トップシート21と吸水紙24およびバックシート23との接合は、他の接合手法(例えば、熱融着接合や超音波接合等)により行われてもよい。ホットメルト接着剤を用いて接合を行う他の部分において同様である。
トップシート21としては、例えば、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)にて形成された透液性の不織布が利用される。当該不織布は、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンボンド不織布である。なお、トップシート21として、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布(例えば、スパンレース不織布)が利用されてもよい。
バックシート23としては、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)や、撥水性または不透液性のプラスチックフィルム、あるいは、いずれかの不織布とプラスチックフィルムとが積層された積層シートが利用される。軽失禁パッド1のムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、バックシート23にて利用されるプラスチックフィルムは、透湿性(通気性)を有するものが好ましい。
図2ないし図4に示すように、吸収コア22は、複数の吸収シート220を備える。軽失禁パッド1の一例では、同じ構造の2つの吸収シート220が設けられ、厚さ方向(図2ないし図4の上下方向)に正確に重ねられる。後述するように、各吸収シート220の外形は矩形である。図1のように軽失禁パッド1を平面視した場合に、吸収コア22の外形は、吸収シート220の外形と一致しており、矩形である。以下の説明では、図2ないし図4に示す2つの吸収シート220を区別する場合に、トップシート21と接触する吸収シート220を「上側吸収シート220」と呼び、吸水紙24と接触する吸収シート220を「下側吸収シート220」と呼ぶ。吸収コア22では、1つの吸収シート220のみが設けられてもよい。
各吸収シート220は、透液性の上層シート221と、透液性の下層シート222と、高吸収性材料層223とを備える。上層シート221は、トップシート21と下層シート222との間に配置される。下層シート222は、上層シート221とバックシート23との間に配置される。高吸収性材料層223は、高吸収性材料224により構成される層である。図2ないし図4では、高吸収性材料224を白い丸にて抽象的に示す。高吸収性材料層223は、上層シート221と下層シート222との間に配置され、ホットメルト接着剤等により一方または両方に固定される。高吸収性材料層223は、上層シート221と下層シート222との間にて両者に接触する(接着剤を介して接触する場合を含む。)。上層シート221および下層シート222は、高吸収性材料224が存在しない領域において互いに重ねられて接合される。好ましい吸収シート220では、上層シート221と下層シート222との間には、接着剤を除き、原則として高吸収性材料224のみが存在する。
図5は、吸収シート220を示す平面図である。各吸収シート220の外形は、長手方向に長い矩形(長方形)である。上層シート221および下層シート222は、同様に長手方向に延びた形状である。吸収シート220では、複数の材料存在領域225と、複数の材料不存在領域226とが設けられる。各材料存在領域225では、高吸収性材料224が上層シート221と下層シート222との間に配置される。すなわち、複数の材料存在領域225には、高吸収性材料224が固定される。図5では、材料存在領域225に平行斜線を付している。
複数の材料存在領域225は、それぞれが長手方向に略平行に延びる帯状であり、幅方向に互いに離間しつつ配列される。すなわち、吸収シート220では、長手方向に延びるストライプ状に配置された複数の材料存在領域225が設けられる。図5の例では、複数の材料存在領域225の幅(幅方向における幅)は、互いに等しい。例えば、複数の材料存在領域225における高吸収性材料224の坪量(目付)は、およそ等しい。
複数の材料不存在領域226は、吸収シート220における、複数の材料存在領域225を除く領域である。複数の材料不存在領域226は、それぞれが長手方向に沿って延びる帯状である。図5の例では、幅方向における各材料不存在領域226の幅は、材料存在領域225の幅よりも小さい。また、複数の材料不存在領域226の幅は、互いに等しい。複数の材料不存在領域226と複数の材料存在領域225とは、幅方向に交互に配列される。
各材料不存在領域226では、上層シート221と下層シート222との間に、高吸収性材料が存在しない。材料不存在領域226では、上層シート221と下層シート222とが、熱融着接合や、エンボス加工による接合等、接着剤を用いない接合手法により互いに接合されることが好ましい。材料不存在領域226では、上層シート221と下層シート222とが部分的に非接合状態であってもよい。材料不存在領域226が、高吸収性材料を僅かに含む領域、すなわち、他の領域(材料存在領域225)よりも高吸収性材料224の密度が低い領域(材料低密度領域)であってもよい。
吸収シート220の上層シート221および下層シート222としては、例えば、トップシート21と同様に、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)にて形成された透液性の不織布が利用される。当該不織布は、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンボンド不織布である。また、上層シート221および下層シート222として、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布(例えば、スパンレース不織布)が利用されてもよい。上層シート221および下層シート222として、ティッシュや複数の開口を有するプラスチックフィルム等が利用されてもよい。
高吸収性材料224としては、例えば、粒状の高吸収性ポリマー(SAP(Super Absorbent Polymer))、または、繊維状の高吸収性ファイバー(SAF(Super Absorbent Fiber))が利用される。高吸収性材料224は、原則、ポリマーにより形成され、パルプは含まれない。
好ましい吸収コア22は、1つまたは複数の吸収シート220のみを含み、パルプ繊維等が集合した吸水用の繊維集合層を含まない。すなわち、好ましい軽失禁パッド1では、パルプレスの吸収コア22(いわゆる、ポリマーシート)が用いられる。このような吸収コア22の厚さは、例えば、5ミリメートル(mm)以下であり、1mm以上である。なお、上側吸収シート220および下側吸収シート220では、互いに構造が相違してもよい。例えば、幅方向における複数の材料存在領域225の位置が、上側吸収シート220と下側吸収シート220とで相違してもよい。
ここで、図1のように軽失禁パッド1を平面視した場合に、シート積層体20における吸収コア22の周囲の領域を、「吸収コア22の不存在領域」または「コア不存在領域」と呼ぶ。既述のように、吸収コア22は矩形であり、前方端部11は、シート積層体20の幅が最大となる部位を含む。したがって、前方端部11の両側部には、比較的大きなコア不存在領域が存在する。
吸水紙24は、下側吸収シート220の下層シート222とバックシート23との間に配置され、吸収コア22をバックシート23側から覆う(図2ないし図4参照)。図1に示すように、吸水紙24は、前方端部11から股下端部12に亘って長手方向に延び、長手方向における吸水紙24の長さは、吸収コア22の長さよりも大きい。幅方向における吸水紙24の幅は、長手方向のいずれの位置においても吸収コア22の幅よりも大きく、吸収コア22の全体が、吸水紙24によりバックシート23側から覆われる。
吸水紙24は、幅方向における幅が一定となる部位241と、当該部位241よりも幅が大きい部位242とを備える。以下、これらの部位241,242をそれぞれ「幅狭部241」および「幅広部242」という。幅広部242は、前方端部11に配置され、股下端部12には、幅狭部241の一部が配置される。すなわち、股下端部12における吸水紙24の幅は、前方端部11における吸水紙24の幅よりも小さい。吸水紙24の幅は、前方端部11において最大となる。既述のように、前方端部11の両側部には、比較的大きなコア不存在領域が位置し、当該コア不存在領域に、吸水紙24の幅広部242が重なる。
吸水紙24の幅が最大となる長手方向の位置は、シート積層体20の幅が最大となる位置とほぼ同じである。既述のように、シート積層体20の幅は、前方端部11から股下端部12に向かって線形に減少する。吸水紙24では、幅が最大となる長手方向の位置から幅狭部241に向かって、幅広部242の幅が漸次減少し、その減少量は、シート積層体20の幅の減少量よりも大きい。したがって、幅広部242における幅狭部241側の部位では、長手方向において幅狭部241に近づくに従って、その側縁とシート積層体20の側縁との間の距離が漸次増大する。
ここで、シート積層体20の各側部において、シート積層体20の側縁と吸水紙24の側縁との間の領域201は、吸収コア22および吸水紙24の双方が配置されないため、非吸収性領域として捉えることができる。また、非吸収性領域201は、トップシート21も配置されず、カバー部3およびバックシート23の積層体からなることが好ましい。幅方向における非吸収性領域201の幅は、シート積層体20および吸水紙24の幅が最大となる長手方向の位置から、幅広部242と幅狭部241との境界位置に向かって漸次増大し、当該境界位置において最大となる。非吸収性領域201の幅が最大となる位置における幅の大きさは、15mm以上であれば摘まみ易くて好ましい。
吸水紙24は、例えば、パルプ繊維等により形成される。吸水紙24の坪量は、トップシート21およびバックシート23を構成する不織布の坪量よりも大きい。吸水紙24の坪量は、例えば20g/m2以上かつ45g/m2以下であり、好ましくは30g/m2以上かつ40g/m2以下である。20g/m2以上であれば吸水量と剛性を得ることができ、一方で、45g/m2以下であれば吸水紙24からのトップシート21への尿のウェットバックを抑えることができる。吸水紙24の厚さは、吸収コア22の厚さよりも小さい。
カバー部3は、本体部2のトップシート21側の面を覆う。カバー部3は、撥水性または不透液性の一対のカバーシート31と、カバー部弾性部材36とを備える。一対のカバーシート31は、幅方向における本体部2の両側の部位上、すなわち、本体部2を幅方向におよそ二等分した場合における2つの部分上にそれぞれに配置される。正確には、幅方向における本体部2の中央において、2つのカバーシート31は部分的に互いに重なる。各カバーシート31は、長手方向における本体部2のおよそ全長に亘る。
各カバーシート31は、外側縁部32と、内側縁部33とを備える。図6のように軽失禁パッド1を平面視した場合に、外側縁部32は、本体部2の周縁部29(以下、「本体周縁部29」という。)と重なる部位である。外側縁部32は、本体部2の着用者側の面(トップシート21、吸水紙24、バックシート23)にホットメルト接着剤等により接合される。図6では、外側縁部32に対して、平行斜線(後述の接合部331よりも間隔が広い平行斜線)を付している。各カバーシート31は、幅方向における本体部2の片側の部位に配置されるため、当該カバーシート31の外側縁部32は、幅方向における本体周縁部29の片側の部位に接合される。
図6の例では、本体周縁部29は、本体部2における吸収コア22の周囲の部分である。本体周縁部29は、吸収コア22の外縁部と重なっていてもよい。一対のカバーシート31における外側縁部32の縁は、本体部2の全周の縁(シート積層体20の全周の縁)と重なり、広げた状態の軽失禁パッド1における着用者側の表面は、カバーシート31の面である。幅方向における本体部2の中央において、2つのカバーシート31における互いに重なる外側縁部32の部分では、これらの部分同士もホットメルト接着剤等により接合される。カバー部3では、一対のカバーシート31の外側縁部32がカバー部3の周縁部となり、当該周縁部が本体周縁部29に接合されることにより、本体部2のトップシート21側の面がカバー部3により覆われる。
内側縁部33は、各カバーシート31の周縁部のうち外側縁部32を除く部分である。内側縁部33は、幅方向における本体部2の中央近傍にて長手方向に延びる。内側縁部33の縁は、好ましくは、長手方向に延びる直線状である。本体部2を長手方向に伸張した状態において、一対のカバーシート31の内側縁部33は、長手方向に沿って互いに重なる。すなわち、一方のカバーシート31における内側縁部33の着用者側の面を覆うように、他方のカバーシート31の内側縁部33が配置される。例えば、これらの内側縁部33は、本体部2の全長に亘って互いに重なる。
各内側縁部33は、接合部331と、非接合部332とを備える。接合部331は、股下部120における内側縁部33の部位である。一対のカバーシート31における内側縁部33の接合部331は、ホットメルト接着剤等により互いに接合される(図4参照)。図6では、接合部331に対して、外側縁部32よりも間隔が狭い平行斜線を付している。このように、カバー部3の股下部120側の部位において、一対のカバーシート31の内側縁部33を互いに接合することにより、カバー部3の当該部位が、本体部2との間で袋状部34を形成する。袋状部34では、前方部110側を除く各方向が閉じられた内部空間が形成される。袋状部34は、ポケットと捉えることも可能である。
非接合部332は、前方部110における内側縁部33の部位である。一対のカバーシート31における内側縁部33の非接合部332は、互いに接合されない(図2および図3参照)。これにより、後述するように着用者が軽失禁パッド1を着用した状態において、着用者の男性器の陰茎が挿入される(挿入可能な)開口部35が形成される。一対のカバーシート31の非接合部332は、開口部35の縁部であり、開口部35は長手方向に長い。軽失禁パッド1を長手方向に伸張した状態を示す図1および図6では、一対のカバーシート31における非接合部332が互いに重なっている。
以上のように、軽失禁パッド1では、長手方向におけるカバー部3の一方側の部位(前方部110側の部位)に開口部35が形成され、カバー部3の他方側の部位(股下部120側の部位)に袋状部34が形成される。長手方向における中央からずれた位置に開口部35が形成される軽失禁パッド1では、袋状部34において大きな内部空間を確保することが可能である。幅方向において2つの内側縁部33が重なる幅は、例えば5mm以上である。これにより、2つの内側縁部33の接合部331において十分な接合強度が確保される。また、2つの内側縁部33が重なる幅が過度に大きい場合、男性器を開口部35に挿入する際に、開口部35を広げる作業が繁雑となる。このような観点では、幅方向において2つの内側縁部33が重なる幅は、10mm以下であることが好ましい。
図1ないし図3に示すように、各カバーシート31の内側縁部33には、長手方向に延びるカバー部弾性部材36がホットメルト接着剤等により伸張状態で接合される。図2および図3の例では、カバーシート31を構成するシートにおいて、その側縁をトップシート21側に折り返した折り返し部と、当該折り返し部に対向する対向部との間にカバー部弾性部材36が配置されており、両者の一方または双方に、カバー部弾性部材36が接合される。当該折り返し部の先端は、当該シートの本体部2側の面に接合される。ここでは、内側縁部33は、折り返し部および対向部を含む。
図1に示すように、カバー部弾性部材36は、非接合部332に設けられる、すなわち、開口部35の縁に沿って設けられる。カバー部弾性部材36が開口部35の縁に沿って収縮することにより、図2および図3に示すように、2つのカバーシート31の非接合部332が着用者に向かって本体部2から離間する。また、2つのカバーシート31の非接合部332の間に、幅方向の隙間が生じる。すなわち、開口部35が予め開口した状態が維持される。これにより、後述するように、着用者が軽失禁パッド1を着用する際に、男性器を開口部35に容易に挿入することが可能となる。内側縁部33の非接合部332は、カバーシート31の自由端部と捉えることもできる。カバー部弾性部材36は、好ましくは、長手方向における非接合部332の全体に亘って設けられる。カバー部弾性部材36は、非接合部332に加えて、接合部331の一部または全体に設けられてもよい。
カバーシート31としては、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS不織布等)が利用される。カバー部弾性部材36としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状または帯状の天然ゴム等が利用され、図1に示す軽失禁パッド1では、ポリウレタン糸が利用される。
図7は、折り畳まれた状態の軽失禁パッド1を示す図である。軽失禁パッド1は、折り畳まれた状態で所定の包装袋91(図7中に破線にて示す。)に収容される。軽失禁パッド1を折り畳む際には、長手方向に垂直な2つの折曲線F1,F2(図1中に一点鎖線にて示す。)で、軽失禁パッド1がカバー部3側に、すなわち、カバー部3が内側となるように折り曲げられる。一方の折曲線F1は、前方部110において開口部35と重なり、他方の折曲線F2は、折曲線F1から股下端部12側に向かって離れた位置に設けられる。
好ましい軽失禁パッド1では、バックシート23におけるトップシート21とは反対側の面に、粘着剤が塗布されており、バックシート23の当該面には、バックシート23のおよそ全体を覆う帯状のフィルムが貼付される。軽失禁パッド1は、当該フィルムが貼付された状態で2つの折曲線F1,F2でカバー部3側に折り畳まれる。軽失禁パッド1と共に3つ折りされたフィルムの各側部を、所定の接合手法にて接合することにより、当該フィルムにより形成される包装袋91内に、軽失禁パッド1が収容される。なお、予め袋状に形成された包装袋91内に、フィルムと共に折り畳まれた軽失禁パッド1が収容されてもよい。軽失禁パッド1は、粘着テープ(両面粘着テープ)のテープ片等により、下着に止着可能とされてもよい。
着用者が軽失禁パッド1を着用する際には、包装袋91から軽失禁パッド1が取り出され、バックシート23に貼付されたフィルムが剥がされる。続いて、着用者が着用する下着を下方(つま先側)にずらした状態で、軽失禁パッド1が、バックシート23の粘着剤により、当該下着の内面に取り付けられる。このとき、下着において、着用時に着用者の男性器に対向する位置に、前方部110が配置され、着用者の股間部に対向する位置に、股下端部12が配置される。そして、着用者に対して当該下着を上方に引き上げ、さらに、男性器の陰茎を開口部35に挿入することにより、着用者において軽失禁パッド1が着用される(すなわち、軽失禁パッド1を取り付けた下着が着用される。)。
軽失禁パッド1の吸収コア22では、上層シート221と下層シート222との間において、高吸収性材料224により構成される高吸収性材料層223が設けられ、パルプ繊維等が集合した吸水用の繊維集合層は設けられない。これにより、吸収コア22の薄型化を図ることができ、衣類を身につけた着用者の外見において、当該着用者が軽失禁パッド1を着用していることを判りにくくすることができる。また、着用者において、男性器の周囲に軽失禁パッド1による違和感が生じることを抑制することができる。
前方端部11の両側部が、吸収コア22の不存在領域であることにより、当該両側部が嵩高い、または、ごわついた状態となることを防止して、着用者の外見において、軽失禁パッド1を着用していることをさらに判りにくくすることができる。また、後述するように、吸収コア22の高吸収性材料224が、着用者により排泄された尿を吸収して膨潤した状態であっても、着用者の下腹部への、膨潤した吸収コア22による圧迫を抑制することができる。
軽失禁パッド1では、包装袋91に収容する際における、一方の折曲線F1が内側縁部33の非接合部332と交差するように設けられ、当該折曲線F1において本体部2がバックシート23側に突出するように癖付けされている。これにより、カバー部弾性部材36の収縮と相俟って、非接合部332が本体部2から離間する距離が大きくなり、開口部35が大きく開いた状態となる。その結果、着用者が男性器を開口部35に容易に挿入することができる。また、着用者が軽失禁パッド1を着用した状態において、着用者の男性器に対向する本体部2の部位が、着用者とは反対側に突出していることにより、着用者において、男性器の周囲に軽失禁パッド1による違和感が生じることをさらに抑制することができる。軽失禁パッド1では、幅方向における股下端部12の幅が、前方端部11の幅よりも小さいことにより、着用者において、股間部に軽失禁パッド1による違和感が生じることを抑制することができる。
着用者の男性器から尿が排泄されると、当該尿は、原則として前方部110において受けられ、トップシート21を通過して吸収コア22に到達する。尿は、複数の材料存在領域225の高吸収性材料224により吸収され、高吸収性材料224が膨潤する。このとき、尿は、材料不存在領域226を介して長手方向にある程度拡散するため、前方部110における広範囲の高吸収性材料224を尿の吸収に利用することができる。また、開口部35に男性器が挿入されていることにより、排泄された尿の軽失禁パッド1外への漏れを防止することができる。軽失禁パッド1では、開口部35において男性器の陰茎が保持されるため、軽失禁パッド1に対して当該陰茎の位置がずれることも防止される。
ある程度の量の尿が着用者により排泄されて、前方部110の高吸収性材料224が膨潤した後には、互いに隣接する材料存在領域225の間の材料不存在領域226において長手方向に延びる溝部が形成される。その後、着用者により尿がさらに排泄される場合に、当該尿は、当該溝部を介して長手方向に(主として、股下端部12側に)効率よく拡散され、軽失禁パッド1における広範囲の高吸収性材料224を尿の吸収に利用することができる(材料低密度領域が設けられる場合において同様)。さらに、着用者(特に、座位または立位の着用者)により多量の尿が排泄され、吸収コア22による全ての尿の吸収に時間を要する場合でも、比較的大きな内部空間を有する袋状部34において当該尿が保持されることにより、尿が着用者側に戻ることを防止することができる。
軽失禁パッド1では、長手方向における前方端部11と股下端部12との間の所定位置において、非吸収性領域201の幅が最大となる。したがって、軽失禁パッド1の使用後には、着用者(または介護者)が、当該所定位置において非吸収性領域201を摘まんで(尿を含む吸収コア22や吸水紙24の部分を摘まむことなく)、軽失禁パッド1を下着から容易に取り外すことができる。なお、吸水紙24の側縁に沿って非吸収性領域201をトップシート21側へと曲げることにより、非吸収性領域201を簡易的な側壁部として利用することも可能である。
軽失禁パッド1では、吸水紙24を省略することも可能である。この場合、前方端部11の両側部における吸収コア22の不存在領域の部位が、カバーシート31、トップシート21およびバックシート23のみにより形成される。その結果、当該部位の剛性が低くなり、当該部位が不必要に折れ曲がることにより、着用者において違和感が生じる可能性がある。
一方、好ましい軽失禁パッド1では、吸収コア22とバックシート23との間に吸水紙24が設けられ、前方端部11の両側部における吸収コア22の不存在領域に、吸水紙24の一部が重なる。これにより、前方端部11の各側部において、ある程度の剛性を確保することができ、前方端部11を幅方向に適切に広げた状態を維持することができる。その結果、当該領域の部位の折れ曲がりにより着用者において違和感が生じることを抑制することができる。
図1の軽失禁パッド1におけるカバー部3は、いわゆる立体ギャザーの作製に係る設備を利用して容易に作製可能である。図8は、軽失禁パッド1におけるカバー部3を、立体ギャザーを形成する一対のサイドシート81に変更した比較例の軽失禁パッド8を示す断面図である。比較例の軽失禁パッド8では、各サイドシート81が、長手方向の全長に亘る折曲線82にて折り曲げられる。サイドシート81のうち、折曲線82の一方側の部位が側壁固定部83であり、他方側の部位が側壁部84である。側壁固定部83は、軽失禁パッド1の外側縁部32の一部に相当し、本体部2の側部上に接合される。側壁部84は、折曲線82にて側壁固定部83から連続する。長手方向における側壁部84の各端部841(以下、「側壁端部841」という。)では、側壁部84が2つ折りにされて側壁固定部83に重ねて接合される。側壁部84の先端部には、弾性部材85が伸張状態で接合される。当該弾性部材85が収縮することにより、長手方向における両端部(2つの側壁端部841)の間において、側壁部84が本体部2から着用者に向かって起立して、立体ギャザーとなる(図8中に二点鎖線にて示す側壁部84参照)。
一方、図2の軽失禁パッド1では、図8の比較例の軽失禁パッド8における一対のサイドシート81が、一対のカバーシート31として扱われ、カバー部3の作製では、折曲線82での折り曲げが省略される。また、側壁端部841の形成に係る側壁部84の2つ折りも省略され、側壁端部841に対応する側壁部84の部位が、延びた状態で本体部2に接合される。これにより、側壁固定部83および側壁部84の当該部位が外側縁部32となる。さらに、側壁部84の先端部が内側縁部33となり、長手方向における所定範囲において、一対のカバーシート31における内側縁部33同士を接合することにより、接合部331が形成される(図4参照)。これにより、一対のカバーシート31により形成されるカバー部3が作製される。以上のように、図1の軽失禁パッド1のカバー部3は、立体ギャザーの作製に係る設備に対する簡単な変更で作製することができ、立体ギャザーを有する比較例の軽失禁パッド8の製造と、図1の軽失禁パッド1の製造との切替を容易に行うことができる。
上記軽失禁パッド1では様々な変形が可能である。
図9に示すように、カバーシート31を構成する不織布の側縁を着用者側に折り返した折り返し部が設けられてもよい。この場合、当該折り返し部の先端は、当該不織布の着用者側の面に接合される。また、カバー部弾性部材36は、当該折り返し部と、当該折り返し部に対向する対向部との間に配置される。このように、各カバーシート31の内側縁部33において、当該カバーシート31を構成する不織布の縁を、トップシート21とは反対側(着用者側)に折り返すことにより、当該不織布の縁が、カバー部3と本体部2との間の空間に配置されず、開口部35内に配置された男性器の陰茎を刺激することを防止することができる。
軽失禁パッド1では、内側縁部33においてカバー部弾性部材36を省略した設計を採用することも可能である。しかしながら、この場合、一対のカバーシート31の内側縁部33同士、または、内側縁部33と本体部2とが接触した状態が維持されやすくなり、軽失禁パッド1を着用する際に、着用者が一対のカバーシート31における非接合部332を本体部2から離間させて開口部35を広げる手間が必要になる。一方、開口部35の縁に沿ってカバー部弾性部材36を設ける場合には、カバー部弾性部材36の収縮により開口部35が自然に広がるため、着用者における上記手間を排除することが可能となる。
図10に示すように、カバー部3が一枚のカバーシート31aにより形成されてもよい。カバーシート31aは、本体部2の着用者側の面(トップシート21側の面)の全体を覆う。また、カバーシート31aの前方部110側の部位には、幅方向に延びるスリットが開口部35として形成され、開口部35の縁に沿って、カバー部弾性部材36が設けられる。カバーシート31aの股下部120側の部位には、本体部2との間に袋状部34が形成される。図10の軽失禁パッド1においても、開口部35に男性器を挿入することにより、排泄された尿の軽失禁パッド1外への漏れを防止することができる。また、多量の尿が排泄された場合でも、袋状部34により当該尿が保持されることにより、尿が着用者側に戻ることを防止することができる。カバーシート31aにおいて、長手方向に延びる開口部35が形成されてもよい。
図11に示すように、吸収コア22において、複数の吸収シート220が重ねて設けられる領域A1と、領域A1よりも少ない個数の吸収シート220が設けられる領域A2とが設定されてもよい。好ましくは、領域A1は、前方部110に設けられ、領域A2は、股下部120に設けられる。このように、大きな吸収量が求められる前方部110においてのみ、他の部位よりも多くの吸収シート220を重ねることにより、軽失禁パッド1の製造コストを削減することができる。
軽失禁パッド1の設計によっては、吸収コア22が矩形以外の形状であってもよい。また、軽失禁パッド1において求められる尿の吸収量によっては、前方部110のみに吸収コア22が設けられてもよい。
吸収シート220において、材料存在領域225のパターンは適宜変更されてよい。軽失禁パッド1の薄型化が求められない場合には、パルプ繊維等が集合した吸水用の繊維集合層が吸収コア22に含まれてもよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。