以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の内部構造を示す側面断面図であり、図2は、図1における画像形成部Pの部分拡大図である。画像形成装置(ここではモノクロプリンター)100内には、帯電、露光、現像及び転写の各工程によりモノクロ画像を形成する画像形成部Pが配設されている。画像形成部Pには、感光体ドラム1の回転方向(図1の反時計回り方向)に沿って、帯電装置4、露光ユニット(レーザー走査ユニット等)7、現像装置8、転写ローラー14、クリーニング装置19、及び除電装置6が配設されている。
画像形成動作を行う場合、反時計回り方向に回転する感光体ドラム1が帯電装置4により一様に帯電され、原稿画像データに基づく露光ユニット7からのレーザービームにより感光体ドラム1上に静電潜像が形成され、現像装置8により静電潜像に現像剤(トナー)が付着されてトナー像が形成される。
この現像装置8へのトナーの供給はトナーコンテナ9から行われる。なお、画像データはパーソナルコンピューター(図示せず)のような上位機器から送信される。また、感光体ドラム1の表面の残留電荷を除去する除電装置6が、感光体ドラム1の回転方向に対しクリーニング装置19の下流側に設けられている。
上記のようにトナー像が形成された感光体ドラム1に向けて、用紙が給紙カセット10又は手差し給紙装置11から用紙搬送路12及びレジストローラー対13を経由して搬送され、転写ローラー14(画像転写部)により感光体ドラム1の表面に形成されたトナー像が用紙に転写される。トナー像が転写された用紙は感光体ドラム1から分離され、定着装置15に搬送されてトナー像が定着される。定着装置15を通過した用紙は、用紙搬送路16により装置上部に搬送され、用紙の片面のみに画像を形成する場合(片面印字時)は、排出ローラー対17により排出トレイ18に排出される。
感光体ドラム1は、金属製の円筒状の素管(支持体)1aと、素管1aの表面に形成された感光層1bとからなる。素管1aを形成する金属としては、アルミニウム、鉄、チタン、マグネシウム等が挙げられる。感光層1bとしては、有機光伝導体を利用した有機感光層や無機光電体を利用した無機感光層等を利用できるが、耐久性の高さからシランガス等の蒸着等により製膜されたアモルファスシリコン感光層が好ましい。なお、感光体ドラム1の感光層1bの特性については後述する。
帯電装置4は、帯電ハウジング内に、感光体ドラム1に接触してドラム表面に帯電バイアスを印加する帯電ローラー41と、帯電ローラー41をクリーニングするための帯電クリーニングローラー42とを有している。
帯電ローラー41は例えば導電性ゴムで形成されており、感光体ドラム1に当接するように配置されている。そして、図2に示すように、感光体ドラム1が反時計回り方向に回転すると、感光体ドラム1の表面に接触する帯電ローラー41が時計回り方向に従動回転する。このとき、帯電ローラー41に所定の電圧を印加することにより、感光体ドラム1の表面が一様に帯電される。また、帯電ローラー41の回転に伴い、帯電ローラー41に接触する帯電クリーニングローラー42が反時計回り方向に従動回転して帯電ローラー41の表面に付着した異物を除去する。
クリーニング装置19は、クリーニングブレード51と回収スパイラル52とを備える。クリーニングブレード51はウレタンゴム等から構成されている。クリーニングブレード51の先端は、感光体ドラム1の回転方向(図2の矢印参照)に対してカウンター方向に当接している。回収スパイラル52は、ハウジングの内部下方寄りに配置され、回転することでハウジングの長手方向(図2の紙面と垂直な方向)の一方に回収トナーを搬送して廃トナー容器(図示せず)へと送り出す。
図3及び図4は、画像形成装置100に搭載される現像装置8の側面断面図及び平面図である。なお、図3は現像装置8を図1の裏面側から見た状態を示している。また、図4では便宜上、上面カバーを取り外して現像装置8の内部が見える状態を表現している。図3及び図4に示すように、現像装置8は、磁性トナーのみから成る磁性一成分現像剤(以下、単に現像剤という)を収容する現像容器22と、現像剤を攪拌および搬送する第1攪拌スクリュー23及び第2攪拌スクリュー24と、現像ローラー25と、規制ブレード29とを備えている。
現像容器22内は現像容器22と一体形成された仕切壁22aによって、第1搬送室22bと第2搬送室22cとに区画されている。仕切壁22aは、現像容器22の長手方向に延びて第1搬送室22bと第2搬送室22cを並列させるように仕切っている。なお、図3に示すように、現像容器22の長手方向の両端部においては仕切壁22aが存在せず、仕切壁22aの長手方向の右側端部は、現像容器22の側壁部とともに第1連通部22eを形成し、一方、仕切壁22aの長手方向の左側端部は、現像容器22の側壁部とともに第2連通部22fを形成している。第1及び第2連通部22e、22fは、第1搬送室22bと第2搬送室22cとの間において現像剤の受け渡しが可能なように開放されている。
第1搬送室22bには第1攪拌スクリュー23が、第2搬送室22cには第2攪拌スクリュー24が配設されている。第1及び第2攪拌スクリュー23、24は、軸方向に螺旋状に形成される螺旋羽根を備える。第1攪拌スクリュー23は、第1搬送室22b内の現像剤を攪拌しながら矢印P方向へと搬送して第2搬送室22cに搬送し、第2攪拌スクリュー24は、第2搬送室22cに搬送されてきた現像剤を攪拌しながら矢印Q方向へと搬送して現像ローラー25に供給する。即ち、現像容器22内には、第1搬送室22bと、第1連通部22eと、第2搬送室22c、及び第2連通部22fとで現像剤の循環経路が形成されている。また、第1攪拌スクリュー23および第2攪拌スクリュー24は、現像剤を攪拌混合して現像剤を摩擦帯電させる。
現像ローラー25は、アルミニウム等の非磁性材料で円筒状に形成され、磁極部材26を内蔵している。また、現像ローラー25は、第2攪拌スクリュー24に隣接する位置で現像容器22内に回転可能に支持される。また、現像ローラー25は、現像容器22の開口から露出し、像担持体である感光体ドラム1に一定の間隔を有して対向している。そして、感光体ドラム1(図1参照)の回転に応じて回転することで、感光体ドラム1の感光層1bにトナーを供給する。現像ローラー25の詳細な構成については後述する。
現像ローラー25の内部には複数の磁極を有する永久磁石から成る磁極部材26が固定されている。この磁極部材26の磁力により現像ローラー25の表面に現像剤を付着(担持)させて磁気ブラシを形成する。現像ローラー25は、第1攪拌スクリュー23、第2攪拌スクリュー24と平行な状態で、現像容器22に回転可能に軸支されている。第1攪拌スクリュー23、第2攪拌スクリュー24、及び現像ローラー25は、モーター(図示せず)により回転駆動される。また、現像ローラー25の両端部には現像容器22と現像ローラー25との隙間からの現像剤の漏出を防止するための磁気シール部材27が配設されている。
規制ブレード29は、その長手方向(図3の紙面と垂直な方向)が現像ローラー25の最大現像幅よりも大きく形成されており、現像ローラー25と所定の間隔を隔てて配置されることにより、感光体ドラム1に供給するトナー量を規制する。規制ブレード29の材質としては、磁性体のSUS(ステンレス)等が用いられる。なお、非磁性体の規制ブレード29に永久磁石を装着して磁性を付与しても良い。
現像ローラー25の回転軸にはDSコロ31a、31bが回転可能に外挿されている。DSコロ31a、31bは、感光体ドラム1の外周面の両端部に当接することにより現像ローラー25と感光体ドラム1との距離を厳密に規制している。DSコロ31a、31bにはベアリングが内蔵されており、感光体ドラム1に従動して回転することでドラム表面の摩耗を防止できるようになっている。
第2攪拌スクリュー24から供給された現像剤は、現像ローラー25の表面に担持されて磁気ブラシを形成する。磁気ブラシは規制ブレード29により一定の層厚に規制され、さらに、現像ローラー25の回転によって現像ローラー25と感光体ドラム1との対向領域(現像領域)に向けて搬送される。現像ローラー25に所定のバイアス電圧が印加されることにより、現像ローラー25と感光体ドラム1との間に電位差が生じ、現像領域において、現像ローラー25上に形成された磁気ブラシ中のトナーが感光体ドラム1に供給され、感光体ドラム1上の静電潜像はトナー像に現像される。また、現像ローラー25の回転に伴い磁気ブラシが感光体ドラム1から離間する際に、現像バイアスの交流成分によって感光体ドラム1上の余剰現像剤が磁気ブラシに回収される。
なお、現像容器22内のトナーが現像によって減少したときは、トナーコンテナ9(図1参照)内に貯留されたトナー(現像剤)がトナー補給口22d(図4参照)を介して第1搬送室22bの上流端に補給される。
(感光体ドラム1の感光層の特性)
以下、本実施形態の感光体ドラム1の特徴部分である感光層1bの特性について説明する。本実施形態の感光体ドラム1は、使用初期における感光層1bの表面の算術平均粗さRaが40[nm]以上70[nm]以下の範囲内である表面粗さを有する。なお、この表面状態は、少なくとも感光体ドラム1の使用初期(使用開始時の状態であり、換言すると、工場出荷後の状態である。)に有していればよい。また、算術平均粗さRa及び後述する十点平均粗さRz、平均間隔Smは、触針式2次元粗さ測定器を用いて1994年版のJISB0601で規定されている表面粗さ測定法により測定される。
使用初期の感光層1bの表面の算術平均粗さRaが40[nm]より小さい場合、高温高湿環境下においてトナーの帯電性が低下した場合に感光層に対するトナーの付着力が増大し、転写不良による濃度低下が発生する。算術平均粗さRaが70[nm]より大きい場合、クリーニングブレード51と感光層1bの表面との隙間が大きくなる。そのため、耐久印字の比較的早い段階から外添剤のすり抜け、およびそれに起因する帯電ローラー41の汚染が始まってしまい、感光体ドラム1の表面の帯電ムラによる縦筋等の画像不良が発生する。感光体ドラム1の使用初期における感光層1bの表面の算術平均粗さRaは、40[nm]以上70[nm]以下の範囲内にあるのが好ましく、40[nm]以上55[nm]以下の範囲内にあるのがより好ましい。
感光体ドラム1の使用初期における感光層1bの表面の算術平均粗さRaが、40[nm]以上70[nm]以下の範囲にある場合、感光体ドラム1の使用初期における感光層1bの表面の十点平均粗さRzは、0.4[μm]以上0.9[μm]以下の範囲にあることが好ましい。
これは、算術平均粗さRaが上記範囲内にあっても、大きな凹凸が存在する場合、クリーニングブレード51はある程度変形するものの感光ドラム1の表面形状に追従できず、感光体ドラム1とクリーニングブレード51との間に生じる隙間が大きくなる傾向にあり、これを防ぐための規定である。なお、感光体ドラム1とクリーニングブレード51との隙間が大きくなると、外添剤等のすり抜けが発生する。
換言すると、大きな凸部分が感光体ドラム1の表面に存在して、この凸部分の先端がクリーニングブレード51に接触してしまうと、大きな凸部分の間に位置する凹部分がクリーニングブレード51と接触しないことになり、算術平均粗さRaの大きさを規定した意味がなくなるからである。つまり、感光体ドラム1の表面は、突飛的な凹凸が存在せず、微小な凹凸が存在するのが好ましく、この条件を十点平均粗さRzと算術平均粗さRaとで規定している。なお、突飛的な凹凸が存在しないことを十点平均粗さRzで規定している。
感光体ドラム1の使用初期における感光層1bの表面の算術平均粗さRaが40[nm]以上70[nm]以下の範囲であり、十点平均粗さRzが0.4[μm]以上0.9[μm]以下の範囲にある場合、凹凸の平均間隔Smは14[μm]以下が好ましい。
これは以下の理由による。算術平均粗さRaや十点平均粗さRzが上記範囲内にあっても大きな凸部分が離れて存在する場合、クリーニングブレード51は大きな凸部分に接触する(支持される)ことになる。ここでは、大きな凸部分が離れているか否かの判断に凹凸の平均間隔Smを利用している。
クリーニングブレード51は、弾性変形可能であり、大きな凸(部分)間では感光体ドラム1に接触するように変形する。特に、凸部分の間隔が広い場合はクリーニングブレード51と感光体ドラム1との接触面積が増大することとなる。接触面積が増大すると、クリーニングブレード51との摩擦により感光体ドラム1の駆動トルクが増大すると共に、クリーニングブレード51の摩耗がひどくなり、やがて、クリーニングブレード51のスティックスリップを生じ、外添剤のすり抜けが生じたり、クリーニングブレード51のエッジが欠損したりする。なお、クリーニングブレード51のエッジが欠損すると、良好な画像が得られないのは言うまでもない。
また、平均間隔Smが大きくなると、凸部分(山)が大きく(山の裾が広く)なり、長期使用により凸部分の頂部が摩耗すると、頂部に広い平坦部分が生じ、クリーニングブレード51との接触面積が増大してしまう。
感光体ドラム1の使用初期における感光層1bの表面の算術平均粗さRaが40[nm]以上70[nm]以下の範囲内にあり、十点平均粗さRzが0.4[μm]以上0.9[μm]以下の範囲内にある場合、スキューネスRskが0.3以上であることが好ましい。
ここで、スキューネスRskとは表面粗さの強弱を表すパラメーターの一つであり、平均線を中心としたときの山部と谷部の対称性(凹凸のゆがみ度)を表し、以下の式(1)のように二乗平均平方根高さRqの三乗によって無次元化した基準長さにおいて、Z(x)の三乗平均で表される。
Rskが0より大きいときは、凹凸は平均線に対して下側に偏った形状となる 。一方、Rskが0より小さいときは、凹凸は平均線に対して上側に偏った形状となる。つまり、感光層のスキューネスRskが0より大きい方がクリーニングブレード51に対してより点接触となるため、接触面積が減少すると考えられる。本実施形態ではRsk≧0.3を満たすことで、感光体ドラム1とクリーニングブレード51との接触面積が減少し、摩擦が効果的に低減される。
感光体ドラム1の使用初期における感光層1bの表面の算術平均粗さRaが40[nm]以上70[nm]以下の範囲内にあり、十点平均粗さRzが0.4[μm]以上0.9[μm]以下の範囲内にある場合、凹凸の平均間隔Sm[μm]に対する算術平均粗さRa[nm]の比(Ra[nm]/Sm[μm])が3以上であることが好ましい。
表面粗さが上記範囲を満たすような凹凸を、感光層1bの表面に感光体ドラム1の軸方向及び周方向に不規則的に形成することで、感光体ドラム1とクリーニングブレード51との摩擦を低減し、感光体ドラム1の駆動トルク及びクリーニングブレード51のエッジの摩耗の低減を達成することができる。特に、Ra[nm]/Sm[μm]≧3を満たすことで、平均間隔Smに対して3倍以上の高さ(深さ)を有する凹凸形状となるため、感光体ドラム1とクリーニングブレード51との接触面積が減少し、摩擦が効果的に低減される。
感光体ドラム1の感光層1b表面の凹凸は、不規則的に存在するのが好ましい。不規則的とは、ある面内の任意の一方向で凹凸を見たときに、凹凸の存在に一定の規則性がないことをいう。ある方向に凹凸が存在しない場合(設計上は凹凸がないが、実際には微小な凹凸が存在するような場合が、凹凸が存在しない場合の一例に相当する)は不規則である。
また、算術平均粗さRa、十点平均粗さRz及び平均間隔Smは、感光体ドラム1の表面における画像形成領域の全域において、上記範囲であることが好ましい。
(現像装置8に用いるトナーの特性)
次に、現像装置8で使用される現像剤について詳細に説明する。現像装置8で使用される現像剤は、磁性一成分現像剤としての磁性トナーである。図5は、本実施形態の画像形成装置100に用いられるトナーのコア−シェル構造を示す概略図である。磁性トナー90は、トナーコア92と、当該トナーコア92の表面92aを被覆するように形成されたトナーシェル93とからなるコア−シェル構造を有する。トナーコア92は、磁性粉を含有し、粉砕法により作製される分級品である。トナーコア92はアニオン性を有する。トナーコア92のアニオン性は、例えば日本画像学会が提供する標準キャリアを用いた摩擦帯電において−10μC/g以上の負帯電性を示すか否かにより確認される。また水系媒体下でのトナーコア92のアニオン性は、ゼータ電位測定において−10mV以上の負帯電性を示すか否かにより確認される。
トナーシェル93は例えばメラミン樹脂や尿素樹脂などの熱硬化性樹脂からなり、トナーコア92の表面92aを被覆するように形成されている。トナーシェル93はカチオン性を有する。
トナーシェル93の形成方法としては、in situ重合法、液中硬化被覆法またはコアセルベーション法などが好ましく、反応性などの観点からin situ重合法がより好ましい。in situ重合法では、水系媒体から供給される樹脂原料がトナーコア92の表面2a上で反応して樹脂化することによりトナーシェル93が形成される。なお、トナーシェル93の形成方法は、所望の平均粒子径および粒子径分布を有する磁性トナー90が得られる方法であればよく、特に限定されない。
トナーシェル93の形成に用いられる樹脂原料としては、磁性トナー90の凝集を十分に抑制し、かつ優れた成膜性を確保する観点からメラミン系、尿素レゾルシン系などの尿素系、ウレタン系、アミド系、オレフィン系またはゼラチン・アラビアゴム系の樹脂原料が好ましく、低吸水性および貯蔵安定性の観点からメラミン系または尿素レゾルシン系などの尿素系の樹脂原料が好ましい。メラミン樹脂および尿素樹脂は吸水性が低いため、シェル化後のトナーを乾燥させる際にトナー同士の結着が抑制され、トナーの平均粒子径および粒子径分布の変化を抑制することができる。
具体的には、メラミンとホルムアルデヒドとの付加反応により生成する前駆体(メチロール化物)であるメチロールメラミンの縮合重合によりメラミン樹脂からなるトナーシェル93が形成されてもよい。また、尿素とホルムアルデヒドとの付加反応により生成する前駆体(メチロール化物)であるメチロール化尿素の縮合重合によりトナーシェル93が形成されてもよい。なお、トナーシェル93の形成に用いられる樹脂原料は、上記方法に用いられるものであれば、特に限定されない。
トナーシェル93の形成は、メチロールメラミンやメチロール化尿素などのメチロール化物を溶解させることが可能な溶媒中で行われることが好ましい。この溶媒としては、例えば水、メタノールまたはエタノールを用いることが好ましい。
トナーシェル93の形成においては、上記溶媒中に分散剤を含有させることが好ましい。これにより、溶媒中にトナーコア92を高度に分散させることが可能となり、トナーコア92の表面92aを上記メチロール化物により均一に被覆することができる。
分散剤としては、例えばポリアクリル酸ナトリウム、ポリパラビニルフェノール、部分鹸化ポリ酢酸ビニル、イソプレンスルホン酸、ポリエーテル、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリアスパラギン酸ナトリウム、デンプン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドンよびリグニンスルホン酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも一種類の分散剤を用いることができる。また、上記群から選択される一種類の分散剤が用いられてもよいし、上記群から選択される二種類以上の分散剤が組み合わされて用いられてもよい。また分散剤の濃度は特に限定されないが、100質量部のトナーコア92に対して75質量部以下であることが好ましい。
トナーシェル93が形成される温度は特に限定されないが、40℃以上80℃以下であることが好ましく、55℃以上70℃以下であることがより好ましい。この温度範囲では、トナーコア92の表面92aにおけるトナーシェル93の形成が良好に進行し、これによりシェル化された磁性トナー90の分散液が得られる。その後、必要に応じて洗浄工程および乾燥工程を行うことにより、シェル化された磁性トナー90の母粒子が得られる。
上記コア−シェル構造により、電荷減衰係数が0.008以上0.05以下の範囲内に調整された磁性トナー90が得られる。また磁性トナー90の電気抵抗値は、トナーシェル93の厚みやトナーシェル93の外側に添加されるシリカや酸化チタンなどの外添剤により調整される。
(トナーの電荷減衰係数)
磁性トナー90は、電荷減衰係数が0.008以上0.05以下の範囲内に調整されている。以下、電荷減衰係数の測定について説明する。電荷減衰係数は、トナーの電荷減衰速度を表しており、具体的には以下のような静電気拡散率測定装置を用いて測定することができる。先ず、測定セルとして、内径10mm、深さ1mmの凹部が形成された、金属製の測定セルを用いる。この測定セルに、トナーを入れ、スライドガラスで、上から押し込む。そして、押し込んだスライドガラスで、測定セルの表面を往復させることによって、測定セルからあふれたトナーをすり切る。このとき、凹部へのトナーの充填量が、0.04g以上0.06g以下となるように、スライドガラスでの押し込み具合を調整する。
次に、トナーが充填された測定セルを、温度32.5℃相対湿度80%の環境下で12時間放置し、その後、接地した状態で測定セルを静電気拡散率測定装置内に置き、コロナ放電を行う。そして、コロナ放電終了後0.7秒経過した後から、トナーの表面電位を連続的に測定する。この測定結果に基づいて、下記の式(1)から、電荷減衰係数(電荷減衰速度)αを算出する。
V=V0exp(−α√t)・・・(1)
上記式(1)中、Vは、表面電位(V)を示し、V0は、初期表面電位(V)を示し、αは、電荷減衰係数(電荷減衰速度)を示し、tは、減衰時間(秒)を示す。この静電気拡散率測定装置としては、具体的には、NS−D100型(株式会社ナノシーズ製)等が挙げられる。
この電荷減衰は主に現像ローラー25と感光体ドラム1の対向領域(現像領域)で発生している。現像ローラー25に印加される現像バイアスと感光体ドラム1の表面電位との電位差が大きいと、現像ローラー25からトナーへ注入される電荷量も多くなるが、同時に、感光体ドラム1側へ流出する(減衰)電荷量も大きくなる。この注入と減衰の比率に関係しているのがトナーの電荷減衰係数で、この値が大きくなるほど、トナーに電荷を溜め込む能力が低下するため、電荷減衰の比率が大きくなる。その結果、トナーの帯電量が一定以上上昇しなくなるといった現象が発生する。具体的には、電荷減衰係数が大きすぎると、この最大帯電量のレベル自体が低くなりすぎるため、カブリなどの不具合が発生してしまう。逆に、電荷減衰係数が小さいと、電荷が抜けにくく、トナーの過帯電による転写不良が発生してしまう。
そこで、本実施形態の画像形成装置100では、電荷減衰係数が0.008以上0.05以下のトナー、より好ましくは電荷減衰係数が0.022以上0.05以下のトナーを用いることにより、現像ローラー25からトナーへ注入される電荷量と感光体ドラム1側へ流出する電荷量とのバランスが調整される。その結果、トナーの帯電量低下に起因するカブリの発生やトナーの過帯電に起因する転写不良の発生を効果的に抑制することができる。
また、トナーの電荷減衰係数が大きい場合は高温高湿環境下でトナーの帯電量が低下し、感光体ドラム1から用紙への転写不良が発生するおそれがあるが、本実施形態では感光層1bの算術表面粗さRaが40nm以上70nm以下の感光体ドラム1と併用することで、感光層1bの表面に対するトナーの接触面積が小さくなり、感光体ドラム1に対するトナーの付着力を低減させることができる。その結果、高温高湿環境下においても転写性が向上し、転写不良の発生が抑制される。また、感光層1bの算術表面粗さRaが40nm以上70nm以下と極めて小さいため、感光層1bとクリーニングブレード51との隙間からのトナー外添剤のすり抜けによるクリーニング不良、及びそれに伴う帯電ローラー41の汚染も発生しない。
なお、磁性一成分現像方式の場合、現像ローラー25内の磁極部材26に分離極が存在しないため、電荷減衰もしくは電荷注入されたトナーが現像ローラー25から分離されず、帯電量が低下したトナーや過帯電トナーが現像ローラー25上に存在し続ける。そのため、本発明は磁性一成分現像方式において特に有効である。
また、磁性一成分現像方式において、現像ローラー25上のトナー層の層厚を規制する方法は、本実施形態のように規制ブレード29として磁性の金属部材を用い、非接触で現像ローラー25に対向させる方法と、規制ブレード29としてゴム部材を用い、現像ローラー25に接触させる方法とがある。磁性金属製の規制ブレード29を現像ローラー25に非接触で対向させる構成を用いた場合、規制ブレード29からトナーへの電荷注入が可能となるため、本実施形態のように電荷減衰係数が大きいトナーを用いる場合に効果的である。
その他、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、画像形成装置100の例として、モノクロプリンターについて説明したが、例えば、タンデム方式やロータリー式のカラープリンターにも適用できる。また、複写機、ファクシミリ或いはこれらの機能を備えた複合機等の画像形成装置にも適用できる。ただし、感光体ドラム1と、一成分現像方式の現像装置8とを備える必要はある。また、感光体ドラム1をクリーニングするための手段としてクリーニングブレード51を有しているのが好ましい。
上記実施形態における感光体ドラム1は、支持体として円筒状の素管1aを利用したが、他の形状の支持体を利用しても良い。他の形状としては、板状、無端ベルト状であってもよい。また、上記実施形態における感光体ドラム1は、感光層1bとしてアモルファスシリコンを利用したが、例えば、支持体からの電荷の注入を阻止する電荷注入阻止層を有しても良い。以下、実施例により本発明の効果について更に詳細に説明する。
感光体ドラム1の感光層1bの表面粗さと画像濃度及びクリーニング性との関係について調査した。試験方法としては、感光層1bの算術平均粗さRaを変化させて、高温高湿環境下(30℃、80%)でソリッド(ベタ)画像を含む印字率5%のテスト画像を1000枚連続印字した。現像性については、ソリッド画像の濃度(イメージデンシティ;ID)の平均値を算出し、目標値(1.0)以上であるかを判定した。クリーニング性については、画像にクリーニング不良に起因する縦筋等が発生していないかを目視により観察し、縦筋が認められない場合を○、縦筋が若干認められる場合を△、縦筋が顕著に認められる場合を×とした。
試験条件は、アルミニウム製の素管1aの外周面に感光層1bとしてアモルファスシリコン感光層が形成された感光体ドラム1を用い、感光層1bのRaを30nm、40nm、55nm、70nm、80nmとした。トナーとしては、平均粒子径6.8μm、電荷減衰係数が0.05の正帯電性トナーを用いた。クリーニングブレード51としては、基端部から先端部までの長さ(自由長)が11.0mm、厚み2.0mmであるウレタンゴム製のブレードを用い、感光体ドラム1の外周面に対する角度を24°、喰い込み量を1.2mm、線圧を20.0N/mに設定した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、トナーの電荷減衰係数が0.05の場合、感光層1bのRaが40nmよりも小さくなるとソリッド画像の濃度(ID)が目標値を下回った。これは、感光層1bのRaが小さくなるとトナーの付着性が増大し、感光体ドラム1から用紙への転写性が低下するためである。一方、感光層1bのRaが70nmよりも大きくなるとクリーニング不良による縦筋が発生した。これは、感光層1bのRaが大きくなるとクリーニングブレード51と感光層1bとの隙間からの外添剤のすり抜けが発生し、帯電ローラー41に外添剤が付着することによる感光体ドラム1表面の帯電ムラが発生するためである。
トナーの電荷減衰係数と画像濃度及び現像ローラー25上のトナー層の層乱れとの関係について調査した。試験方法としては、トナーの電荷減衰係数を変化させて、高温高湿環境下(30℃、80%)でソリッド(ベタ)画像及びハーフ画像を含む印字率5%のテスト画像を1000枚連続印字した。現像性については、実施例1と同様にソリッド画像の濃度(イメージデンシティ;ID)の平均値を算出し、目標値(1.0)以上であるかを判定した。トナー層の層乱れについては、ハーフ画像にトナー層の層乱れに起因する濃度ムラが発生していないかを目視により観察し、濃度ムラが認められない場合を○、濃度ムラが若干認められる場合を△、濃度ムラが顕著に認められる場合を×とした。
試験条件は、アルミニウム製の素管1aの外周面に感光層1bとしてアモルファスシリコン感光層が形成された実施例1と同様の感光体ドラム1を用い、感光層1bのRaを40nmとした。また、平均粒子径6.8μm、電荷減衰係数が0.002、0.008、0.022、0.036、0.05、0.064の正帯電性トナーを用いた。クリーニングブレード51は実施例1と同様とした。結果を表2に示す。
表2から明らかなように、感光層1bのRaが40nmの場合、トナーの電荷減衰係数が0.05よりも大きくなるとソリッド画像の濃度(ID)が目標値を下回った。これは、トナーの電荷減衰係数が大きくなると、高温高湿環境下でトナーの帯電量が低下し、感光体ドラム1から用紙への転写性が低下するためである。一方、トナーの電荷減衰係数が0.008よりも小さくなると現像ローラー25上のトナー層の層乱れが発生した。これは、トナーの電荷減衰係数が小さい場合は現像ローラー25上に担持された磁気ブラシが規制ブレード29を通過する際にトナーが過帯電となり、現像ローラー25上に強固に付着するためトナー層の層厚が不均一となるためである。
表1及び表2の結果より、感光体ドラム1の感光層1bのRa、およびトナーの電荷減衰係数を所定の範囲とすることで、画像濃度の低下、及びクリーニング不良やトナー層の層乱れに起因する画像不良の両方を効果的に抑制できることが確認された。表1及び表2の結果、及び感光層1bのRaと電荷減衰係数の他の組み合わせも含めてまとめると表3のようになる。
感光層1bのRaとトナーの電荷減衰係数の他の組み合わせについても同様に試験を行った結果、感光層1bのRaが40nm以上70nm以下の範囲であり、且つトナーの電荷減衰係数が0.008以上0.05以下の範囲(表3の網掛け領域)であるとき、画像濃度の低下が発生せず、画像不良も実用上問題のない範囲であった。さらに、感光層1bのRaが40nm以上55nm以下の範囲であり、且つトナーの電荷減衰係数が0.022以上0.05以下の範囲(表3の斜線領域)であるとき、画像濃度の低下、及び画像不良の発生がなかった。
以上より、感光層1bのRaが40nm以上70nm以下、好ましくは40nm以上55nm以下である感光体ドラム1と、電荷減衰係数が0.008以上0.05以下、好ましくは0.022以上0.05以下のトナーとを組み合わせることで、高温高湿環境下においても感光体ドラム1から用紙上へのトナーの転写性を向上させて画像濃度を維持しつつ、クリーニング不良やトナー層の層乱れに起因する画像不良も効果的に抑制できることが確認された。