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JP2018111864A - アルミニウム合金鍛造材 - Google Patents

アルミニウム合金鍛造材 Download PDF

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JP2018111864A
JP2018111864A JP2017003408A JP2017003408A JP2018111864A JP 2018111864 A JP2018111864 A JP 2018111864A JP 2017003408 A JP2017003408 A JP 2017003408A JP 2017003408 A JP2017003408 A JP 2017003408A JP 2018111864 A JP2018111864 A JP 2018111864A
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克史 松本
雅也 小塚
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雅也 小塚
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学 中井
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Masasada Hori
雅是 堀
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Abstract

【課題】強度および耐食性に優れたアルミニウム合金鍛造材を提供する。【解決手段】Mg:0.6質量%〜1.2質量%と、Si:0.7質量%〜1.5質量%と、Fe:0.01質量%〜0.5質量%と、Mn:0.05質量%〜0.8質量%、Cr:0.01質量%〜0.5質量%およびZr:0.01質量%〜0.2質量%から成る群から選択される一種または二種以上と、を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物であり、その集合組織が、<101>方位が最終鍛造方向に対して15°以内である結晶粒の面積率が65%以上であり、<001>方位が最終鍛造方向に対して15°以内である結晶粒の面積率が5%以下であり、<101>方位が最終鍛造方向に対して15°以内である結晶粒の平均結晶粒径が50μm以下である、アルミニウム合金鍛造材である。【選択図】なし

Description

本発明は、アルミニウム合金鍛造材に関する。より詳細には、自動車等の輸送機の足回り部品として好適な6000系アルミニウム合金鍛造材に関する。
近年、排気ガスなどによる地球環境問題に対して、自動車等の輸送機の車体の軽量化による燃費の向上が追求されている。かかる要求に応えるべく、自動車等の輸送機器の構造部品、特に、アッパーアームおよびロアーアームなどの自動車足回り部品として、強度および耐食性に比較的優れたAA乃至JISの規格でいう6000系(Al−Mg−Si系)アルミニウム合金鍛造材が使用されている。
自動車のより一層の軽量化のために、すなわち、自動車足回り部品のより一層の薄肉化を可能にするように、自動車足回り部品には、更なる高強度化が求められている。また、保安部品としての信頼性から、粒界腐食および応力腐食割れ等の耐食性についての更なる向上が求められている。
そのような要求に応えるため、自動車足回り部品の素材としての6000系アルミニウム合金鍛造材では、その組成およびミクロ組織を改善する種々の方法が従来から提案されている。
例えば、特許文献1および2には、アルミニウム合金材の高強度化の冶金的な手法として、6000系アルミニウム合金鋳造材に対して溶体化処理を行った後、150〜250℃程度の温間鍛造加工を繰返し行い、その後人工時効処理(人工時効硬化処理)を行うことにより高強度化を図っていることが開示されている。
特開2014−218685号公報 特開2008−196009号公報
しかし、特許文献1および2に開示された方法では、500℃以上の高い温度で熱間鍛造を行った場合には高強度化の効果が小さく、足回り部品に要求される高い強度と優れた耐食性とを十分に得られない可能性があった。
本発明は、このような要求に応えるためになされたものであって、その目的は、強度と耐食性に優れたアルミニウム合金鍛造材を提供することである。
本発明の態様1は、Mg:0.6質量%〜1.2質量%と、Si:0.7質量%〜1.5質量%と、Fe:0.01質量%〜0.5質量%と、Mn:0.05質量%〜0.8質量%、Cr:0.01質量%〜0.5質量%およびZr:0.01質量%〜0.2質量%から成る群から選択される一種または二種以上と、を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物であり、その集合組織が、<101>方位が最終鍛造方向に対して15°以内である結晶粒の面積率が65%以上であり、<001>方位が最終鍛造方向に対して15°以内である結晶粒の面積率が5%以下であり、<101>方位が最終鍛造方向に対して15°以内である結晶粒の平均結晶粒径が50μm以下である、アルミニウム合金鍛造材である。
本発明の態様2は、Cu:0.05質量%〜1.0質量%、Ti:0.01質量%〜0.1質量%、およびZn:0.005質量%〜0.2質量%から成る群から選択される一種または二種以上をさらに含有する、態様1に記載のアルミニウム合金鍛造材である。
本発明によれば、強度と耐食性に優れたアルミニウム合金鍛造材を提供することができる。
以下に、本発明の実施形態に係るアルミニウム合金鍛造材を詳細に説明する。
なお、本発明の実施形態でいう「鍛造材」とは、熱間鍛造によって製造(塑性加工)されたアルミニウム合金鍛造材を意味する。
1.組織
以下に説明するように、本発明の実施形態に係るアルミニウム合金鍛造材は、最終鍛造方向(すなわち温間加工方向)における集合組織の方位分布および結晶粒径を制御することにより、優れた耐食性を維持しながら、高い強度を得ることができる。
(<101>方位が最終鍛造方向に対して15°以内である結晶粒の面積率が65%以上、かつ<001>方位が最終鍛造方向に対して15°以内である結晶粒の面積率が5%以下)
本発明の実施形態に係るアルミニウム合金鍛造材は、<101>方位が最終鍛造方向に対して15°以内である結晶粒(以下において、単に“<101>方位の結晶粒”と称することがある)の面積率が65%以上であり、<001>方位が最終鍛造方向に対して15°以内である結晶粒(以下において、単に“<001>方位の結晶粒”と称することがある)の面積率が5%以下に制御されている。<101>方位の結晶粒および<001>方位の結晶粒の面積率をこのような範囲に制御することにより、最終鍛造方向に対して垂直な方向の面内に含まれる<111>方位の結晶粒割合を増大することができる。アルミニウム合金鍛造材において、最終鍛造方向に対して垂直な方向とは、足回り部品として使用する際に、最も応力が負荷される方向である。アルミニウム合金の<111>方位は全方位の中で最も強度が高い方位であるため、最終鍛造方向に対して垂直な方向の面内に含まれる<111>方位の結晶粒の割合を増大することで、足回り部品として要求される十分に優れた強度を得ることができるのである。
<101>方位の結晶粒の面積率は、好ましくは70%以上であり、より好ましくは75%以上である。
<001>方位の結晶粒の面積率は、好ましくは4%以下であり、より好ましくは3%以下である。
一方、<101>方位の結晶粒の面積率が65%未満、あるいは<001>方位の結晶粒の面積率が5%超である場合には、最終鍛造方向に対して垂直な方向の面内に含まれる<111>方位の結晶粒の割合が低下するため、強度が低下する。
(<101>方位が最終鍛造方向に対して15°以内である結晶粒の平均結晶粒径が50μm以下)
本発明の実施形態に係るアルミニウム合金鍛造材は、<101>方位が最終鍛造方向に対して15°以内である結晶粒の平均結晶粒径が50μm以下である。
一般的な条件でアルミニウム合金鍛造材を製造する場合は、溶体化処理後の結晶粒組織では、<101>方位の結晶粒が粗大になることで、組織の微細化が妨げられ、強度が低下する。
本発明の実施形態に係るアルミニウム合金鍛造材は、後述するように、温間加工工程を適切に制御することにより、<101>方位の結晶粒の平均粒径を小さくし、組織全体として微細化することにより、得られるアルミニウム合金鍛造材の強度を向上することができる。<101>方位の結晶粒の平均結晶粒径は、40μm以下が好ましく、より好ましくは30μm以下である。
一方、<101>方位の結晶粒の平均結晶粒径が50μm超である場合、結晶粒の微細化による強度向上の効果が得られない。
(最終鍛造方向)
なお、本発明の実施形態において、「最終鍛造方向」とは、温間加工工程におけるプレス方向を意味する。この最終鍛造方向は、製品としてのアルミニウム合金鍛造材から、例えば次のようにして特定することができる。
鍛造工程によって得られるアルミニウム合金鍛造材には、最終製品の形状に応じてメタルフローが形成される。従って、このような形成されたメタルフローの方向に基づいて、最終鍛造方向(すなわち、温間加工方向)を特定することができる。
(測定方法)
本発明の実施形態で規定する、<101>方位の結晶粒の面積率、<001>方位の結晶粒の面積率および<101>方位の結晶粒の平均結晶粒径は、いずれもEBSP法によって測定することができる。
具体的には、溶体化および焼入れ処理した鍛造材に、温間加工による歪を付与した上で人工時効処理を施す。そして、人工時効処理後の鍛造材の最も厚肉な部分の任意の位置、および使用中に最大応力が発生する最大応力発生部位の縦断面から、肉厚中心部を含む測定試料(例えば3個)を採取して、前記試料を鍛造材表面と平行にスライスし、肉厚中心が観察面として出るように機械研磨し、更に、バフ研磨に次いで電解研磨して、表面を調製した試料を用意する。そして、FE−SEM(Field Emission Scanning Electron Microscope:電界放出型走査電子顕微鏡)等のSEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)を用いて、EBSDによる結晶方位測定並びに結晶粒径測定を行ってよい。
なお、本発明の実施形態で規定する結晶粒の面積率は、EBSDにより測定する領域の体積率と等価と見なすことができる。
ここで肉厚中心部とは、鍛造材の平面視で、肉厚中心(板で言う板厚中心)における鍛造材表面と平行な面であって、肉厚中心において鍛造材表面と平行に延在する面である。
EBSP測定・解析システムは、例えば、EBSP:TSL社製(OIM)あるいはOXFORD社製(CHANNEL5)等を用いてよい。EBSDによる測定条件としては、例えば、前記観察面における、鍛造材の長手方向の辺の長さが1000μm×幅方向の辺の長さが320μmの、矩形領域の測定範囲に対して、1.0μmのピッチで電子線を照射することが好ましい。そして、1試料当たりの各結晶粒の面積率および平均結晶粒径を測定し、更に、測定した試料数(3個)で平均化することにより決定することができる。
前記SEM/EBSP法は、集合組織の測定方法として汎用され、FE−SEM等のSEMに、EBSP(Electron Back Scattering (Scattered) Pattern:後方散乱電子回折像)システムを搭載した結晶方位解析法である。この測定方法は、他の集合組織の測定方法に比して、高分解能ゆえに高測定精度である。そして、この方法によって、鍛造材の同じ測定部位の平均結晶粒径も同時に高精度に測定できる利点がある。アルミニウム合金の集合組織や平均結晶粒径の測定をEBSP法により行うこと自体は、従来から、例えば特開2008−45192号、特許4499369号、特開2009−7617号などの公報で公知であり、本発明でもこの公知の方法で行ってよい。
これら開示されたEBSP法は、前記SEMの鏡筒内にセットしたアルミニウム合金から成る試料に、電子線を照射してスクリーン上にEBSPを投影する。これを高感度カメラで撮影して、コンピュータに画像として取り込む。コンピュータでは、この画像を解析して、既知の結晶系を用いたシミュレーションによるパターンとの比較によって、結晶の方位が決定される。算出された結晶の各方位は3次元オイラー角として、位置座標(x、y)などとともに記録される。このプロセスが全測定点に対して自動的に行なわれるので、測定終了時には数万〜数十万点の結晶方位データが得られる。
このように、SEM/EBSP法には、透過電子顕微鏡を用いた電子線回折法よりも、観察視野が広く、数百個以上の多数の結晶粒に対する、平均結晶粒径、平均結晶粒径の標準偏差、あるいは方位解析の情報を、数時間以内で得られる利点がある。また、結晶粒毎の測定ではなく、指定した領域を任意の一定間隔で走査して測定するために、測定領域全体を網羅した上記多数の測定ポイントに関する、上記各情報を得ることができる利点もある。これらFE−SEM等のSEMにEBSPシステムを搭載した結晶方位解析法の詳細は、神戸製鋼技報/Vol.52 No.2(Sep.2002)P66-70などに詳細に記載されている。
ここで、アルミニウム合金から成る試料の場合、通常は、以下に示す多くの方位因子(これら各方位を有する結晶粒)からなる集合組織を形成し、それらに応じた結晶面が存在する。これらの事実は、例えば、長島晋一編著、「集合組織」(丸善株式会社刊)や軽金属学会「軽金属」解説Vol.43、1993、P285-293などに記載されている。
これらの集合組織の形成は同じ結晶系の場合でも加工、熱処理方法によって異なる。圧縮による鍛造材の集合組織の場合は、圧縮方向で表されており、圧縮方向の結晶方向は<uvw>のミラー指数で表現される(uvwは整数を示す)。かかる表現に基づき、アルミニウムの圧縮で形成される代表的な結晶方向は以下のとおりである。
・<001>方位
・<101>方位
・<111>方位
本発明の実施形態においては、基本的に、これらの結晶方向から±15°以内の方位のずれ(傾角)のものは同一の結晶方向(方位因子)に属するものとする。また、隣り合う結晶粒の方位差(傾角)が5°以上の結晶粒の境界を結晶粒界と定義する。
そして、前記したFE−SEM等のSEMにEBSPシステムを搭載した結晶方位解析法を用いて、鍛造材の集合組織を測定して、本発明の実施形態で規定した、<101>方位に含まれる結晶粒、<001>方位に含まれる結晶粒などの面積率の算出を行なうことができる。
なお、前記平均結晶粒径も、傾角が5°以上の粒界で測定および算出することができる。言い換えると、本発明では、±5°未満の方位のずれは同一の結晶粒に属するものと定義し、隣り合う結晶粒の方位差(傾角)が5°以上の結晶粒の境界を結晶粒界と定義した上で、平均結晶粒径を以下の式により算出できる。平均結晶粒径=(Σx)/n(ここで、nは測定した結晶粒の数、xはそれぞれの結晶粒径を示す)。
2.化学成分組成:
次に、本発明の実施形態に係るアルミニウム合金鍛造材の組成について説明する。本発明の実施形態に係るアルミニウム合金鍛造材は6000系アルミニウム合金からなるものであり、その成分組成は、6000系アルミニウム合金として通常の化学成分組成を有していればよい。
(1)Si:0.7質量%〜1.5質量%
Siは、Mgとともに、人工時効処理により主として針状β’相(MgSi)として結晶粒内に析出して、高強度化および高耐力化に寄与する。
Siの含有量が少なすぎると、人工時効処理時の析出量が少なくなりすぎ、強度が低下する。また、固溶Si量の低下により、鍛造時または溶体化処理時に、より低い温度で再結晶しやすくなり、鍛造時に形成された集合組織が消滅しやすくなると共に結晶粒組織も粗大になる。その結果、<101>方位の結晶粒の面積率が低下し、<001>方位の結晶粒の面積率が過大になり、<101>方位の結晶粒が粗大になり、強度が低下する。従って、Si含有量は0.7質量%以上であり、好ましくは0.9質量%以上である。
一方、Siの含有量が多すぎると、鋳造時および溶体化処理後の焼入れ途中で、粗大な単体Si粒子が晶出および析出して、耐食性と靭性を低下させる。また、過剰Siが多くなって、高耐食性、高靭性、高疲労特性を得ることができない。さらに伸びが低くなるため、熱間鍛造性および加工性を低下させる。従って、Si含有量は1.5質量%以下であり、好ましくは1.3質量%以下である。
(2)Mg:0.6質量%〜1.2質量%
Mgも、人工時効硬化処理により、Siとともに、主として針状β’相として結晶粒内に析出し、高強度化および高耐力化に寄与する。
Mgの含有量が少なすぎると、人工時効処理時の析出量が少なくなりすぎ、強度が低下する。また、固溶Mg量の低下により、鍛造時または溶体化処理時により低い温度で再結晶しやすくなり、鍛造時に形成された集合組織が消滅しやすくなると共に結晶粒組織も粗大になる。その結果ため、<101>方位の結晶粒の面積率が低下し、<001>方位の結晶粒の面積率が過大になり、さらには<101>方位の結晶粒が粗大になり、強度が低下する。そのため、Mg含有量は0.6質量%以上であり、好ましくは0.7質量%以上である。
一方、Mg含有量が多すぎると、粗大なMg含有化合物が、結晶の粒内および粒界に生成してしまい、耐食性および靭性を低下させる。また、高温時の強度(耐力)が高くなりすぎ、熱間鍛造性および加工性を低下させる。そのため、Mg含有量は1.2質量%以下であり、好ましくは1.1質量%以下である。
(3)Fe:0.01質量%〜0.5質量%
Feは、Siと金属間化合物を生成して分散粒子(分散相)を生成し、再結晶後の粒界移動を妨げることで、再結晶を抑制し、結晶粒の粗大化を防止する。このようにして、結晶粒を微細化させる効果がある。Fe含有量が0.01質量%以上あればこのような効果を得ることができ、0.10質量%以上が好ましい。
一方、Feの含有量が多すぎると、結晶粒内および結晶粒界に粗大な化合物を形成しやすくなり、耐食性と靱性を低下させやすい。また、Feが形成する金属間化合物中にSiを含有しやすいため、Siを必要とする人工時効処理で生成する針状β’相が低減してしまい、強度が低下する。従って、Fe含有量は0.5質量%以下であり、好ましくは0.40質量%以下である。
(4)Mn:0.05質量%〜0.8質量%、Cr:0.01質量%〜0.5質量%およびZr:0.01質量%〜0.2質量%から成る群から選択される一種または二種以上
Mn、CrおよびZrは、Feと同様、Siと金属間化合物を形成して分散粒子(分散相)を生成し、再結晶後の粒界移動を妨げ、再結晶を抑制し、結晶粒の粗大化を防止することで、結晶粒を微細化させる効果がある。また、その効果により、鍛造時或いは溶体化処理時の再結晶が抑制され、鍛造時に形成された集合組織が残存しやすくなると共に結晶粒組織も微細になる。そのため、<101>方位の結晶粒の面積率を増加し、<001>方位の結晶粒の面積率を低下させ、さらには<101>方位の結晶粒を微細化することができる。これらの元素の一種または二種以上を含有させる場合、Mn含有量が0.05質量%以上、Cr含有量が0.01質量%以上、Zr含有量が0.01質量%以上であれば、このような効果を得ることができる。これらの元素の好ましい含有量は好ましくは、Mn:0.10質量%以上、Cr:0.10質量%以上、Zr:0.05質量%以上である。
一方、Mn、CrおよびZrの含有量が多すぎると、結晶粒内および結晶粒界に粗大な化合物を形成しやすくなり、耐食性と靭性を低下させやすい。また、これらの元素が形成する金属間化合物中にSiを含有しやすいため、Siを必要とする人工時効処理で生成する針状β’相が低減してしまい、強度が低下しやすくなる。従って、これらの元素の一種または二種以上を含有させる場合、Mn含有量が0.8質量%以下、Cr含有量が0.5質量%以下、Zr含有量が0.2質量%以下の範囲とする。好ましくは、Mn:0.6質量%以下、Cr:0.3質量%以下、Zr:0.15質量%以下である。
(5)残部
好ましい1つの実施形態では、残部は、Alおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としては、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれるB、V、Na、Ca、In、Be、Sr、Scなどの微量元素の混入が想定される。
本発明の実施形態に係るアルミニウム合金鍛造材は、上述した組成に限定されるものではない。本発明の実施形態に係るアルミニウム合金鍛造材の特性を維持できる限り、必要に応じてその他の元素を更に含んでよい。そのように選択的に含有させることができるその他の元素を以下に例示する。
(6)Cu:0.05質量%〜1.0質量%、Ti:0.01質量%〜0.1質量%、およびZn:0.005質量%〜0.2質量%から成る群から選択される一種または二種以上
Cu、TiおよびZnは、鍛造材の強度および靭性を向上させる元素であり、必要に応じて、一種または二種以上選択的に含有してもよい。
Cuは、固溶強化にて鍛造材の強度および靭性の向上に寄与する他、時効処理に際して、最終製品の時効硬化を著しく促進する効果も有する。Cuの含有量が少なすぎると、これらの強度向上効果が得られない。一方、Cuの含有量が多すぎると、アルミニウム合金鍛造材の耐食性や耐久性を低下させることがある。従って、含有させる場合のCuの含有量は0.05〜1.0%の範囲とする。
Tiは、鋳塊の結晶粒を微細化し、鍛造材組織を微細な亜結晶粒として、強度および靭性を向上させる効果がある。Tiの含有量が少なすぎると、この効果が発揮されない。しかし、Tiの含有量が多すぎると、粗大な晶出物を形成し、加工性を低下させることがある。従って、含有させる場合のTiの含有量は0.01〜0.1%の範囲とする。
Znは、人工時効処理において、Zn−Mg析出物を、微細かつ高密度に析出・形成して、強度および靭性を向上させる。また、固溶したZnは粒内の電位を下げ、腐食形態を粒界からではなく、全面的な腐食として、粒界腐食や応力腐食割れを結果として軽減する効果もある。一方、Znの含有量が多すぎると、耐食性が顕著に低下することがある。従って、含有する場合のZnの含有量は0.005〜0.2%の範囲とする。
3.製造方法
次に、本発明の実施形態に係るアルミニウム合金鍛造材の製造方法について説明する。
本発明の実施形態に係るアルミニウム合金鍛造材の製造方法は、特に温間加工工程に特徴を有する。具体的には、本発明の実施形態に係る製造方法は、温間加工前加熱条件として、150〜250℃の温度範囲に加熱した炉内で20〜120分間保持し、その後に、平均歪み速度:0.1/秒以上かつ温間加工率:5%以上の条件で温間加工を行うことを特徴とする。温間加工の条件をこのように制御することにより、温間加工時に歪みが導入されやすくなり、<101>方位の結晶粒にも歪みが蓄積され、転位強化による高強度効果が得られる。さらに、加工後の保持で起こる回復過程で、微細な亜結晶粒が形成されやすくなる。その結果<101>方位が最終鍛造方向に対して15°以内である結晶粒を微細化し、その平均結晶粒径を50μm以下にすることができる。
また、このような条件で温間加工を行うことにより、単軸圧縮や平面歪圧縮時の安定方位である<101>方位を発達させることができる。これにより、<101>方位が最終鍛造方向に対して15°以内である結晶粒の面積率が65%以上にすると同時に、<001>方位が最終鍛造方向に対して15°以内である結晶粒の面積率が5%以下にすることができる。その結果、足回り部品として使用した時の応力負荷方向である、最終鍛造方向に対して垂直な方向に含まれる<111>方位の結晶粒の割合を増大することができる。その結果、足回り部品として十分に優れた強度を有するアルミニウム合金鍛造材の強度を得ることができる。
(1)鋳造工程
鋳造工程は、上述した6000系アルミニウム合金成分組成に溶解調整された溶湯を鋳造して鋳塊とする工程である。連続鋳造圧延法、半連続鋳造法(DC鋳造法)およびホットトップ鋳造法などの通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造してよい。なお、鋳塊の形状は、丸棒などのインゴットまたはスラブ形状などがあり、特に制限されるものではない。
(2)均質化熱処理工程
均質化熱処理工程は、前記鋳塊に均質化熱処理を施す工程である。均質化熱処理工程では、450〜580℃の温度範囲で2時間以上保持することが好ましい。
保持温度が450℃未満では、温度が低すぎて鋳塊を均質化できない場合がある。保持温度が580℃を超えると、鋳塊表面のバーニングが発生する場合がある。なお、均質化熱処理後において、熱間鍛造工程に先立つ押出加工は不要であるが、必要に応じて行ってもよい。
(3)熱間鍛造工程
均質化熱処理後の鋳塊を再加熱し、材料温度が430〜550℃の範囲、金型温度が100〜250℃の範囲、最小の肉厚減少率が25%以上であるとともに、最大の肉厚減少率が90%以下の条件で熱間鍛造加工を行うことが好ましい。
熱間鍛造は、メカニカルプレスや油圧プレス等により、自動車足回り部品の最終製品形状(ニアネットシェイプ)に鍛造加工される。熱間鍛造は、鍛造途中の再加熱無しで、あるいは必要に応じて再加熱し、つぶし、荒鍛造、仕上げ鍛造と、熱間鍛造が複数回行われる。
熱間鍛造の加工率として、最小の肉厚減少率が25%未満では、前記した複雑形状の自動車足回り部品を、形状精度よく鍛造加工できなくなる可能性がある。一方、最大の肉厚減少率が90%を超える場合、再結晶を抑制することが難しく、粗大な再結晶粒が発生する可能性がある。
(4)溶体化および焼入れ処理工程
熱間鍛造工程の後、溶体化および焼入れ処理を行う。溶体化処理は、530〜570℃の温度範囲に、1時間以上8時間以下保持することが好ましい。溶体化処理温度が低すぎる、または保持時間が短すぎると、溶体化が不足し、Mg−Si系化合物の固溶が不十分となり、続く人工時効処理における化合物の析出量が少なすぎ、強度が低下するおそれがある。保持時間は長くてもよいが、8時間を超えるとその効果は飽和する。
溶体化処理後、500℃から100℃までを25℃/秒以上の平均冷却速度で焼入れ処理を行うことが好ましい。このような平均冷却速度は、水冷、特に気泡をバブリングしつつ冷却水を循環させる、水冷(水槽浸漬)により行うことが好ましい。このような冷却方法であれば、鍛造材を均一に冷却できるため、鍛造材の歪を防止することができる。この焼入れ処理時の冷却速度が低くなると、粒界上にMg−Si系化合物、Si等が析出し、人工時効後の製品において、粒界破壊が生じ易くなり、靱性ならびに疲労特性が低下するおそれがある。また、冷却途中に、粒内にも、安定相であるMg−Si系化合物、Siが形成され、人工時効時に析出するβ相およびβ’相の析出量が減少し、強度が低下するおそれがある。
一方、焼入れ時の冷却速度が大きくなりすぎると、焼入れ歪み量が多くなり、焼入れ後に、矯正工程が新たに必要になったり、矯正工程の工数がまず問題も新たに生じる。また残留応力も高くなり、製品の寸法、形状精度が低下する問題も新たに生じる。この点、製品製造工程を短縮し、低コスト化するためには、焼入れ歪みが緩和される30〜85℃の温湯焼入れが好ましい。ここで、温湯焼入れ温度が30℃未満では焼入れ歪みが大きくなり、85℃を超えると冷却速度が小さくなりすぎ、靱性、疲労特性および強度が低下するおそれがある。
(5)温間加工工程
このように得られた溶体化および焼入れ処理後の鍛造材に対して、人工時効処理前に温間加工を行う。
温間加工条件として、溶体化および焼入れ処理後48時間以内に温間加工を行うことが好ましい。このような加熱条件によって、加熱保持中に先に粒内に均一微細なβ’相の析出が生じる。その後に温間加工するため、温間加工によって導入された転位によるβ’相の不均一析出が抑制される。また、既に析出しているβ’相が転位をピン止めし、人工時効処理時の転位の回復を抑制し、加工硬化量も確保される。そのような効果を出すためには、温間加工の加熱保持中にβ’相を多量に出す必要があるが、温間加工を溶体化および焼入れ処理後48時間を越えて人工時効を施した場合、いわゆる負の効果により、β’相の形成が抑制され、上述した効果が得られない可能性があるからである。
温間加工前の加熱として、150〜250℃の温度範囲に加熱した炉内で20〜120分間保持する。
温間加工前の加熱温度が150℃未満では、加工中の動的回復が進みにくく、鍛造によって<101>方位以外の加工集合組織も発達しやすくなるため、<101>方位の結晶粒の面積率が低下する。その結果、最終鍛造方向に対して垂直な方向に含まれる<111>方位の結晶粒の面積率が低下し、強度が低下する。
一方、温間加工前の加熱温度が250℃超では、高温域での加工で発達しやすい<001>方位が発達するため、<001>方位の結晶粒の面積率が過剰になり、その結果、最終鍛造方向に対して垂直な方向に含まれる<111>方位の結晶粒の面積率が低下し、強度が低下する。また、高温域での加工では導入された転位の回復が進み、亜結晶粒も粗大化しやすいため、<101>方位の結晶粒が粗大化し、強度が低下する。
また、炉内での保持時間が20分未満であると、十分な加熱効果が得られず、<101>方位以外も発達するため、<101>方位の結晶粒の面積が低下し、強度が低下する。
一方、炉内での保持時間が120分を超えると、析出が進行してアルミマトリックス中の固溶量が低下し、<001>方位が発達しやすくなるため、<001>方位の結晶粒の面積率が過剰になり、その結果、最終鍛造方向に対して垂直な方向に含まれる<111>方位の結晶粒の面積率が低下し、強度が低下する。
温間加工前の加熱として上記条件で炉内保持して取出し後、遅滞なく温間加工を行う。本発明の実施形態に係る製造方法では、平均歪み速度:0.1/秒以上、かつ温間加工率:5%以上の条件で温間加工を行う。
歪み速度と温間加工率をこのような範囲にして温間加工を行うことにより、温間加工時の歪みの導入により、<101>方位の結晶粒にも歪みが蓄積され、転位強化による強度増大効果が得られるとともに、加工後の保持で起こる回復過程で、微細な亜結晶粒が形成されやすくなる。そのため<101>方位の結晶粒を微細化することができ、アルミニウム合金鍛造材の強度を向上することができる。また、このような条件で温間加工を行うことにより、鍛造時の再結晶を抑制して<001>方位の発達を抑えつつ、適度な動的回復により、<101>方位を発達させることで、<101>方位の結晶粒の面積率を高くすると同時に、<001>方位の結晶粒の面積率を低くすることができる。これにより、最終鍛造方向に対して垂直な方向に含まれる<111>方位の結晶粒割合を増大することができ、足回り部品の鍛造方向に対して垂直な方向に対する強度向上効果を得ることができる。
温間加工の平均歪み速度が0.1/秒未満では、温間加工時の動的回復が顕著になり、歪みの蓄積量が低下し、<101>方位の結晶粒の微細化効果が得られない。また、温間加工時の動的回復が顕著になることで、<001>方位が発達しやすくなるため<001>方位の結晶粒の面積率が大きくなる。そのため、最終的に得られるアルミニウム合金鍛造材の強度が低下する。
温間加工率が5%未満では、導入される歪み量が少なく、転位強化の効果が得られない。さらに、加工後の回復過程での微細な亜結晶粒の形成も困難となり、<101>方位の結晶粒の微細化効果が得られない。また、<101>方位の発達が進まないため、相対的に、<001>方位の結晶粒の面積率が大きくなる。そのため、最終的に得られるアルミニウム合金鍛造材の強度が低下する。
温間加工の平均歪み速度および温間加工率の上限は特に制限されないが、150〜250℃の温度範囲で温間加工を工業的に行う上での上限としては、平均歪み速度の上限は50/秒、温間加工率の上限は60%である。
温間加工の態様は、鍛造材の形状に応じて行い、棒状、板状、円形状または円柱状などの単純な形状であれば、ロールによる圧延加工やプレス加工が適用でき自動車足回り部品などの複雑形状であれば、温間での型鍛造や自由鍛造などを用いてよい。
(6)人工時効処理工程
以上の温間加工後に、人工時効処理(人工時効硬化処理)を施す。室温時効を進めないためには、前記温間加工後に、速やかに、例えば、1時間以内に人工時効処理を行うことが好ましい。この人工時効処理は、好ましくは100〜250℃の温度範囲で、1〜24時間の保持を行うことが好ましい。
ただし、この条件範囲内であっても、組成、熱間鍛造、溶体化および焼入れ処理、冷間あるいは温間加工などの、前工程の条件に見合った最適条件を選択すべきであり、これらの組成や前工程条件に見合わず、この人工時効処理温度が低すぎるか高すぎる、あるいは保持時間が短すぎるか長すぎると、所望の規定する組織や、高い引張り強度と高い耐力、そして高い伸びを得ることができない可能性がある。
なお、前記した均質化熱処理、溶体化処理には、空気炉、誘導加熱炉または硝石炉などが適宜用いられる。さらに、人工時効処理には、空気炉、誘導加熱炉またはオイルバス等が適宜用いられる。
本発明に係る鍛造材は、自動車足回り部品用として、前記人工時効処理の前後に、機械加工や表面処理などが適宜施されてもよい。
以上に説明した本発明の実施形態に係るアルミニウム合金鍛造材の特性およびその製造方法に接した当業者であれば、試行錯誤により、上述した製造方法と異なる製造方法により本発明に係るアルミニウム合金鍛造材を得ることができる可能性がある。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
1.サンプル作製
表1に示す各アルミニウム合金組成で、溶体化および焼入れ処理までは同じ製造条件とした鍛造材を、表2に示す各異なる条件で温間加工と人工時効処理を施し、自動車足回り部品の素材となるアルミニウム合金鍛造材を製造した。
具体的には、各例とも共通して、表1に示すアルミニウム合金鍛造材の化学成分からなる鋳塊を鋳造した。なお、表1に示す各アルミニウム合金例は、共通して、100gのAl中の水素濃度は0.10〜0.15mlであった。ここで、表1中の各元素の含有量の表示において、各元素における数値欄を「−」としている表示は、その含有量が検出限界以下であることを示す。
Figure 2018111864
これら各アルミニウム合金鋳塊の外表面を、厚さ3mm面削して、長さ120mm×φ75mmの丸棒状ビレットに切断後、520℃×5時間、均質化熱処理した。その後、ファンを用いて100℃/時間以上の冷却速度で鋳塊を強制空冷した。
均質化熱処理後の鋳塊の熱間鍛造は、各例とも共通して、最終の肉厚まで再加熱なしに3回鍛造し、鍛造開始時の温度が500〜520℃の範囲、金型温度が170〜200℃の範囲、鍛造材中央部の肉厚変化率が75%の条件で、上下金型を用いたメカニカルプレスにより行った。
なお、これら熱間鍛造では、各例とも、後述する温間加工にて共通した最終鍛造材形状とするため、温間加工の各加工率に応じた、各ニアネットシェイプ形状の鍛造材とした。
これらの鍛造材を、各例とも共通して空気炉を用い、550℃×5時間の溶体化処理後に、500℃から100℃までを25℃/秒以上の平均冷却速度で冷却した。
このようにして得られた溶体化および焼入れ処理後の鍛造材に対して、表2に示す条件で温間加工および人工時効処理を施した。
温間加工は、表2に示す温間加工前加熱条件にて加熱後、上下金型を用いたメカニカルプレスにより、表2の加工率および平均歪み速度により温間加工し、最終形状とした。
製造した鍛造材の最終形状は、各例とも共通して、平面視で略三角形の全体形状からなるとともに、この三角形の頂点部分となる3箇所のボールジョイントを、幅狭で肉厚(高さ)が60mmの周縁リブと、幅広で肉厚(高さ)が31mmの薄肉な中央部のウエブとからなる、断面が略H型のアームで繋いだ足回り部品形状とした。
Figure 2018111864
2.組織の観察
各合金例について、上述した方法により、<101>方位が最終鍛造方向に対して15°以内である結晶粒の面積率、<001>方位が最終鍛造方向に対して15°以内である結晶粒の面積率、および<101>方位が最終鍛造方向に対して15°以内である結晶粒の平均結晶粒径を測定した。これらの結果を表3に示す。
3.機械的特性
前記鍛造材の最も厚肉のリブ部の任意の部位の肉厚中心部および最大応力発生部位から試料を採取し、この試料から、厚み方向の中心位置に肉厚中心を含んで、鍛造材の長手方向にそのL方向が延在するように、外径φ5mm、標点間距離25mm、引張り試験片(L方向)を3個作製した。そして、この試験片の0.2%耐力(MPa)および伸び(%)の機械的性質を、室温にて測定し、これらの平均値を求めた。引張り速度は0.2%耐力までは、5mm/分、0.2%耐力以降は20mm/分とした。
ここで、自動車足回り部品用の鍛造材としての合格基準は、0.2%耐力が400MPa以上、伸びが10%以上とした。結果を表3に示す。
4.耐食性
耐食性の評価は、JIS H8711の交互浸漬法の規定に準じて、粒界腐食性の評価を行った。すなわち、耐応力腐食割れ性評価用試験片(SCC試験用Cリング)に300MPaの応力を負荷し、割れの大小に関わらず、粒界腐食割れが生じるまでの時間(日数)を測り、30日未満の場合は×、30日以上60日未満の場合は○、と評価した。結果を表3に示す。
Figure 2018111864
4.まとめ
表1〜3に示すように、発明例であるNo.1〜9は、いずれも本発明で規定する全ての要件(組成、製造条件および組織)を満たす実施例である。これらの発明例はいずれも、0.2%耐力が400MPa以上であり、伸びが10%以上であり、耐食性に優れていた。
これに対して、比較例であるNo.10〜19は、いずれも0.2%耐力が400MPa未満であり、強度が劣っていた。
No.10は、人工時効処理前の温間加工を行っていない例であり、<101>方位粒の面積率および<001>方位粒の面積率が本発明の規定から外れ、強度が低下した。
No.11は、温間加工の際の加熱温度が低すぎる例であり、<101>方位粒の面積率および<101>方位粒の平均粒径が本発明の規定から外れ、強度が低下した。
No.12は、温間加工の際の加熱温度が高すぎる例であり、<001>方位粒の面積率および<101>方位粒の平均粒径が本発明の規定から外れ、強度が低下した。
No.13は、温間加工の際の加熱保持時間が短すぎる例であり、<101>方位粒の平均粒径が本発明の規定から外れ、強度が低下した。
No.14は、温間加工の際の加熱保持時間が長すぎる例であり、<001>方位粒の面積率が本発明の規定から外れ、強度が低下した。
No.15は、温間加工の加工率が小さすぎる例であり、<001>方位粒の面積率および<101>方位粒の平均粒径が本発明の規定から外れ、強度が低下した。
No.16は、温間加工の平均歪み速度が小さすぎる例であり、<001>方位粒の面積率および<101>方位粒の平均粒径が本発明の規定から外れ、強度が低下した。
No.17は、Mgの含有量が少なすぎる例であり、<101>方位粒の面積率、<001>方位粒の面積率および<101>方位粒の平均粒径が本発明の規定から外れ、強度が低下した。
No.18は、Siの含有量が少なすぎる例であり、<101>方位粒の面積率および<001>方位粒の面積率が本発明の規定から外れ、強度が低下した。
No.19は、Mn、CrおよびZnのいずれも含有していない例であり、<101>方位粒の面積率、<001>方位粒の面積率および<101>方位粒の平均粒径が本発明の規定から外れ、強度が低下した。

Claims (2)

  1. Mg:0.6質量%〜1.2質量%と、
    Si:0.7質量%〜1.5質量%と、
    Fe:0.01質量%〜0.5質量%と、
    Mn:0.05質量%〜0.8質量%、Cr:0.01質量%〜0.5質量%およびZr:0.01質量%〜0.2質量%から成る群から選択される一種または二種以上と、を含有し、
    残部がAlおよび不可避的不純物であり、
    その集合組織が、
    <101>方位が最終鍛造方向に対して15°以内である結晶粒の面積率が65%以上であり、
    <001>方位が最終鍛造方向に対して15°以内である結晶粒の面積率が5%以下であり、
    <101>方位が最終鍛造方向に対して15°以内である結晶粒の平均結晶粒径が50μm以下である、
    アルミニウム合金鍛造材。
  2. Cu:0.05質量%〜1.0質量%、
    Ti:0.01質量%〜0.1質量%、および
    Zn:0.005質量%〜0.2質量%
    から成る群から選択される一種または二種以上をさらに含有する、請求項1に記載のアルミニウム合金鍛造材。
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