以下、本発明に係る車両のトランスファ構造の具体的構成について、添付図面を参照しながら実施形態毎に説明する。
[第1実施形態]
図1〜図5を参照しながら、第1実施形態に係る車両のトランスファ構造について説明する。
[全体構成]
図1に示すように、第1実施形態に係るトランスファ構造を備えた車両1は、主駆動輪としての左右の前輪2と、副駆動輪としての左右の後輪4とを備えた所謂FF(フロントエンジン・フロントドライブ)ベースの四輪駆動車であり、前輪駆動状態と四輪駆動状態との間で切り換え可能となっている。
車両1は、駆動源としてのエンジン6を備えている。エンジン6は、横置き式であり、車両1の前部におけるエンジンルームに配設されている。エンジン6の車体幅方向一方側(例えば車体左側)には、トランスアクスル8が並設されている。トランスアクスル8は、例えばトルクコンバータ(図示せず)を介してエンジン6の出力軸に連結された変速機(図示せず)と、該変速機の出力部としての出力ギヤ9に連結された前輪用差動装置10とを備えている。
前輪2は、前輪用ドライブシャフト21,22、前輪用差動装置10及び前記変速機等を介してエンジン6に連結されており、これにより、エンジン6から前輪2に至る前輪側(主駆動輪側)の動力伝達系が構成されている。前輪2は、後述のカップリング60を介することなくエンジン6に連結されており、カップリング60の締結状態及び解放状態のいずれにおいても、エンジン6から前輪2への動力伝達がなされる。
前輪用ドライブシャフト21,22は、車体幅方向に延びるように配設されている。各前輪用ドライブシャフト21,22は、例えば一対の自在継手23,24を介して連結された複数のシャフト部材で構成されている。
前輪用差動装置10は、変速機の出力ギヤ9に噛み合うデフリングギヤ11、デフリングギヤ11が固定されるか又は一体に設けられたデフケース12、デフケース12に収容された左右のサイドギヤ18,19を備えている。
前輪用差動装置10の各サイドギヤ18,19には、前輪用ドライブシャフト21,22の一端部が、例えばスプライン嵌合によって、サイドギヤ18,19と共に回転するように連結されている。変速機の出力ギヤ9からデフリングギヤ11を介して前輪用差動装置10のデフケース12に伝達された動力は、走行状況に応じた回転差となるように左右の前輪用ドライブシャフト21,22に伝達される。
一方、後輪4は、後輪用ドライブシャフト31,32、後輪用差動装置70、カップリング60、プロペラシャフト50、トランスファ装置40、前輪用差動装置10のデフケース12及び前記変速機等を介してエンジン6に連結されている。
後輪用ドライブシャフト31,32は、車体幅方向に延びるように配設されている。各後輪用ドライブシャフト31,32は、例えば一対の自在継手33,34を介して連結された複数のシャフト部材で構成されている。
後輪用差動装置70は、前輪用差動装置10と同様、デフリングギヤ71、デフケース72及び左右のサイドギヤ78,79を備えている。各サイドギヤ78,79には、後輪用ドライブシャフト31,32の一端部が、例えばスプライン嵌合によって、サイドギヤ78,79と共に回転するように連結されている。
カップリング60は、入力要素としての入力軸61、出力要素としての出力軸62、及び、入力軸61と出力軸62との間を断接可能に連結する複数の摩擦板63を備えている。カップリング60は、例えば電子制御カップリングであり、摩擦板63間の締結力が制御されることで、前後輪のトルク配分が行われる。トルク配分(前輪:後輪)は、例えば、50:50〜100:0の範囲で制御可能となっている。
カップリング60の入力軸61は、車体前後方向に延びる軸線上に配設されている。入力軸61は、カップリング60よりもエンジン6側の回転部材であるプロペラシャフト50の後端部に連結されている。
複数の摩擦板63は、例えば湿式多板クラッチで構成されている。複数の摩擦板63には、ピストン(図示せず)による押圧によって締結力が加えられる。該ピストンは、例えば、電磁クラッチ及びカム機構を介して作動される。
カップリング60の出力軸62は、入力軸61よりも車体後方側において、入力軸61と同じ軸線上に配設されている。出力軸62の後端部にはピニオンギヤ64が設けられている。ピニオンギヤ64は後輪用差動装置70のデフリングギヤ71に噛み合っている。これにより、出力軸62は、ピニオンギヤ64とデフリングギヤ71との噛合部を介して、カップリング60よりも後輪4側の回転部材であるデフケース12に連結されている。
ピニオンギヤ64とデフリングギヤ71は、例えばハイポイドギヤ等の傘歯ギヤからなる。ピニオンギヤ64の軸心は、車体上下方向においてデフリングギヤ71の軸心よりも下側にオフセットして配置されている。デフリングギヤ71は、ピニオンギヤ64よりも大径である。これにより、カップリング60の出力軸62の回転は、減速されて後輪用差動装置70のデフケース72に伝達される。
プロペラシャフト50は、トランスファ装置40により取り出された動力を後輪4側へ伝達するものである。プロペラシャフト50は、車体前後方向に延びるように配設されている。プロペラシャフト50は、自在継手55を介して車体前後方向に連結された例えば2本のシャフト部材51,52で構成されている。プロペラシャフト50の後端部は、自在継手59を介して、カップリング60の入力軸61の前端部に連結されている。
トランスファ装置40は、一方(例えば車体右側)の前輪用ドライブシャフト22上に配設されている。トランスファ装置40は、その入力側において前輪用差動装置10のデフケース12に連結され、出力側において自在継手49を介してプロペラシャフト50の前端部に連結されている。
これにより、カップリング60が締結された状態において、変速機等を介して前輪用差動装置10のデフケース12に伝達されたエンジン6の動力の一部は、トランスファ装置40によって後輪4側に取り出されるようになっている。トランスファ装置40の構成については、後に説明する。
カップリング60が締結された状態において、トランスファ装置40によって取り出されたエンジン6の動力は、トランスファ装置40からプロペラシャフト50、カップリング60、後輪用差動装置70及び後輪用ドライブシャフト31,32を経由して後輪4に至る後輪側(副駆動輪側)の動力伝達系に伝達される。
後輪側の動力伝達系において後輪用差動装置70のデフケース72に入力された動力は、走行状況に応じた回転差となるように、左右の後輪用ドライブシャフト31,32を介して左右の後輪4に伝達される。
[トランスファ装置]
図2の断面図を参照しながら、トランスファ装置40の構成について説明する。
トランスファ装置40は、車体幅方向に延びる入力軸41、車体前後方向に延びる出力軸42、入力軸41上に設けられたドライブギヤ43、出力軸42上に設けられ、ドライブギヤ43に噛み合うドリブンギヤ44、並びに、入力軸41の一部、出力軸42の一部、ドライブギヤ43及びドリブンギヤ44等を収容するトランスファケース48を備えている。
入力軸41は、第1回転部材としての第1軸部材45、及び、第2回転部材としての第2軸部材46で構成されている。第1軸部材45と第2軸部材46は、前輪用ドライブシャフト22の軸心上に配置された筒状部材である。
第1軸部材45は、一方の前輪用ドライブシャフト22の外側に隙間を空けて嵌合されている。第1軸部材45の一方側(図2の左側)の端部(図示せず)は、例えばスプライン嵌合によって、前輪用差動装置10のデフケース12(図1参照)に連結されており、これにより、第1軸部材45は、デフケース12と共に回転するようになっている。
第2軸部材46は、第1軸部材45の外側にスプライン嵌合されている。第2軸部材46は、第1軸部材45よりも反デフケース12側(図2の右側)に突出して延びている。第2軸部材46は、車体幅方向に間隔を空けて配置された一対の軸受101,102を介して回転可能にトランスファケース48に支持されている。第1軸部材45と第2軸部材46とのスプライン嵌合部は、その軸方向に占める領域が軸受101と重複している。
第2軸部材46の外周には上記のドライブギヤ43が設けられている。ドライブギヤ43は、第2軸部材46の外側にスプライン嵌合されており、これにより、入力軸41と共に回転するようになっている。
入力軸41には、弾性部材が周方向に圧縮変形することで捩り振動を減衰させる所謂圧縮タイプのダンパ80が設けられている。該ダンパ80がトランスファ装置40の動力伝達経路に設けられていることにより、後輪4側(副駆動輪側)の動力伝達系の捩り剛性が低減されている。これにより、該動力伝達系の捩り振動に関する固有振動数は、エンジン回転数の常用域で生じ得るトルク変動に対して共振しないような振動数域にずらされているとともに、ダンパ80によって捩り振動を減衰させることが可能になっている。ダンパ80の具体的構成については後に説明する。
出力軸42は、車体前後方向に延びるように配置された中実の軸部材である。出力軸42の軸心は、車体幅方向においてドライブギヤ43よりもデフケース12側に配置されている。また、出力軸42の軸心は、車体上下方向において前輪用ドライブシャフト22の軸心よりも下側にオフセットして配置されている。
出力軸42は、車体前後方向に間隔を空けて配置された前後一対の軸受103,104を介して回転可能にトランスファケース48に支持されている。一対の軸受103,104のインナレース間には、出力軸42の外側に嵌合された筒状のディスタンスピース105が介装されている。
出力軸42における車体後方側の軸受104よりも車体後方側部分の外側には連結部材106が嵌合されている。連結部材106の後端部には自在継手49(図1参照)が固定されている。これにより、出力軸42は、連結部材106及び自在継手49を介してプロペラシャフト50(図1参照)の前端部に連結されている。
出力軸42の後端部にはナット107が螺合されている。該ナット107が締め付けられることで、出力軸42上においてドリブンギヤ44とナット107との間に挟み込まれた一対の軸受103,104のインナレース、ディスタンスピース105及び連結部材106は、軸方向に位置決めされて出力軸42に固定されている。
組付け時においてナット107を締め付けるとき、ディスタンスピース105は、弾性変形状態を経て塑性変形し、ディスタンスピース105が塑性変形した状態で、軸受103,104の予圧が調整される。
出力軸42の前端部には、上記のドリブンギヤ44が例えば一体に設けられている。ドリブンギヤ44は、上記一対の軸受103,104を介して車体後方側から片持ち状に支持されているが、該ドリブンギヤ44の支持剛性は、上記のように軸受103,104の予圧が精密に管理されることで高められている。
ドライブギヤ43とドリブンギヤ44は、例えばハイポイドギヤ等の傘歯ギヤである。ドライブギヤ43の歯部は、車体幅方向のデフケース12側を向くように配置され、ドリブンギヤ44の歯部は、車体前方側を向くように配置されている。ドリブンギヤ44は、ドライブギヤ43よりも小径である。これにより、トランスファ装置40の入力軸41の回転は、増速されて出力軸42及びプロペラシャフト50(図1参照)に伝達される。
トランスファケース48内には潤滑用のオイルが封入されている。該オイルとしては、ドライブギヤ43とドリブンギヤ44との噛合部における焼付きを確実に防止し得る成分を含むものが用いられる。
入力軸41の第2軸部材46の外周面とトランスファケース48の内周面との間、第2軸部材46の内周面と前輪用ドライブシャフト22の外周面との間、前輪用ドライブシャフト22の外周面とトランスファケース48の内周面との間、及び、連結部材106の外周面とトランスファケース48の内周面との間には、それぞれ、両部材間の相対回転を許容しつつ油密性又は気密性を確保するシール部材111,112,113,114,115が介装されている。
[ダンパ]
ダンパ80は、第1筒部としての内筒部82と、第2筒部としての外筒部84とを備えた二重管構造を有する。
内筒部82と外筒部84は、例えば金属製の筒状部材で構成され、前輪用ドライブシャフト22及び入力軸41の軸心上に配置されている。内筒部82は、前輪用ドライブシャフト22の外側に隙間を空けて嵌合されている。内筒部82は、軸方向において、第1軸部材45の反デフケース12側(図2の右側)に隣接して配置されている。外筒部84は、内筒部82よりも大径とされ、径方向において内筒部82の外側且つ第2軸部材46の内側に配置されている。
内筒部82には、該内筒部82の軸方向デフケース12側(図2の左側)の端部から径方向外側に突出した環状の壁部82aと、壁部82aからデフケース12側へ軸方向に突出した筒状突部82bとが一体に設けられている。
壁部82aは、外筒部84の軸方向デフケース12側の端部の内側に嵌合されている。筒状突部82bは、入力軸41の軸心上に配置されている。筒状突部82bは、径方向において、壁部82aの内側端部と外側端部との間に配置されている。内筒部82は、その筒状突部82bにおいて、入力軸41の第1軸部材45の外側にスプライン嵌合されている。
ダンパ80の軸方向反デフケース12側(図2の右側)の端部には、環状のカバー部材86が設けられている。カバー部材86は、内筒部82の軸方向反デフケース12側の端部の外側に嵌合されている。軸方向において、カバー部材86は、外筒部84よりも反デフケース12側に配置され、カバー部材86の反デフケース12側には、出力軸42の第2軸部材46の内周面に装着されたスナップリング88が配置されている。カバー部材86は、外筒部84とスナップリング88によって軸方向の両側から挟み込まれることで、軸方向に位置決めされている。
外筒部84は、入力軸41の第2軸部材46の内側にスプライン嵌合されている。外筒部84と第2軸部材46とのスプライン嵌合部は、ドライブギヤ43の歯部よりも軸方向反デフケース12側に配置され、軸方向に占める領域が軸受102と重複している。
ダンパ80は、内筒部82と外筒部84との間に配置された弾性体層90を更に備えている。弾性体層90は、例えばゴム製の複数の弾性部材93,94(図5参照)で構成されている。弾性体層90を構成する弾性部材93,94(図5参照)は、軸方向において壁部82aとカバー部材86との間に挟み込まれるように配置され、これによって、軸方向に位置決めされている。弾性体層90のより具体的な構成については後に説明する。
入力軸41の第1軸部材45と第2軸部材46とのスプライン嵌合部、及び、ダンパ80の内筒部82における筒状突部82bと第1軸部材45とのスプライン嵌合部は、デフケース12側(図2の左側)からこの順で軸方向に並べて配置されている。これらのスプライン嵌合には、第1軸部材45の外周面に設けられた共通の外歯45a(図3及び図4参照)が用いられている。
図3は、第1軸部材45と第2軸部材46とのスプライン嵌合部を軸方向から見た図2のA−A線断面図であり、図4は、第1軸部材45と内筒部82とのスプライン嵌合部を軸方向から見た図2のB−B線断面図である。なお、図3及び図4では、周方向の一部のみが図示されており、残りの周方向部分の図示が省略されている。また、図3及び図4において、前輪用ドライブシャフト22は二点鎖線で図示されている。
図3に示すように、第1軸部材45と第2軸部材46とのスプライン嵌合部において、第1軸部材45の各外歯45aは、第2軸部材46の隣接する一対の内歯46a間の周方向中央部に、周方向の所定範囲内で相対移動可能に配置されている。これにより、第1軸部材45と第2軸部材46は、所定の角度範囲内での相対回転が許容されている。
これに対して、図4に示す第1軸部材45と内筒部82とのスプライン嵌合部において、第1軸部材45の各外歯45aは、内筒部82の隣接する一対の内歯82c間に略隙間なく配置されている。これにより、第1軸部材45と内筒部82とのスプライン嵌合部では、第1軸部材45と第2軸部材46とのスプライン嵌合部に比べて、周方向における外歯45aと内歯82cとの間の相対移動、ひいては、第1軸部材45と内筒部82との間の相対回転が厳しく制限されている。
また、ダンパ80の外筒部84と第2軸部材46とのスプライン嵌合部(図2参照)においても、図4に示す第1軸部材45と内筒部82とのスプライン嵌合部と同様、外筒部84の各外歯は第2軸部材46の隣接する一対の内歯間に略隙間なく配置されており、外筒部84と第2軸部材46との間の相対回転は、第1軸部材45と内筒部82との間の相対回転と同様、厳しく制限されている。
以上のように、第1軸部材45と第2軸部材46とのスプライン嵌合部(図3参照)における外歯45aと内歯46aとの間に生じるバックラッシュ(周方向のガタ)は、第1軸部材45と内筒部82とのスプライン嵌合部(図4参照)、及び、外筒部84と第2軸部材46とのスプライン嵌合部(図2参照)における各バックラッシュ(周方向のガタ)よりも大きくなるように構成されている。
また、第1軸部材45と第2軸部材46とのスプライン嵌合部(図3参照)におけるバックラッシュは、第1軸部材45と内筒部82とのスプライン嵌合部(図4参照)のバックラッシュと、外筒部84と第2軸部材46とのスプライン嵌合部(図2参照)におけるバックラッシュとの和よりも大きくなるように構成されている。
入力軸41の第1軸部材45と第2軸部材46との間でトルクが伝達されるとき、第1軸部材45と第2軸部材46は周方向に相対変位する。このとき、入力軸41の各スプライン嵌合部における外歯と内歯の係合は、第1軸部材45と第2軸部材46とのスプライン嵌合部(図3参照)よりも先に、第1軸部材45と内筒部82とのスプライン嵌合部(図4参照)、及び、外筒部84と第2軸部材46とのスプライン嵌合部(図2参照)においてなされる。
そのため、第1軸部材45と第2軸部材46との間で伝達されるトルクが所定値未満である場合、該トルクの伝達経路は、第1軸部材45と第2軸部材46とのスプライン嵌合部(図3参照)を経由することなく、第1軸部材45と内筒部82とのスプライン嵌合部、ダンパ80、及び、外筒部84と第2軸部材46とのスプライン嵌合部(図2参照)を経由した経路になる。
すなわち、例えば、カップリング60が解放された前輪駆動状態、又は、カップリング60の締結力が比較的弱く、後輪4側に分配されるトルクが比較的低い四輪駆動状態など、エンジン6側又は後輪4側からトランスファ装置40に入力されるトルクが所定値未満であるとき、トランスファ装置40では、ダンパ80を経由した経路でトルク伝達がなされる。
一方、第1軸部材45と第2軸部材46との間で伝達されるトルクが所定値以上である場合、第1軸部材45と第2軸部材46とのスプライン嵌合部(図3参照)を経由したトルク伝達がなされる。
すなわち、例えば、カップリング60が完全締結ないし締結力が比較的強い四輪駆動状態など、エンジン6側からトランスファ装置40に入力されるトルクが所定値以上であるとき、トランスファ装置40では、ダンパ80を経由しない経路でトルク伝達がなされる。
第1軸部材45と第2軸部材46との間でトルクが伝達されるとき、周方向における両軸部材45,46間の相対変位量は、両軸部材45,46間のスプライン嵌合部(図3参照)における外歯45aと内歯46aの干渉によって所定量以下に規制される。これにより、第1軸部材45にスプライン嵌合されたダンパ80の内筒部82と、第2軸部材46にスプライン嵌合された外筒部84との間においても、周方向の相対変位量が所定量以下に規制されることになる。
このように、第1軸部材45と第2軸部材46とのスプライン嵌合部(図3参照)は、ダンパ80の内筒部82と外筒部84との間の周方向の相対変位量を規制するストッパ機構として作用し、該ストッパ機構の作用により、ダンパ80の弾性体層90に過剰な荷重がかかることを抑制できる。
図5は、ダンパ80を軸方向の車体右側から見た図2のC−C線断面図である。なお、図5において、前輪用ドライブシャフト22は二点鎖線で図示されている。
車両1の前進走行時における前輪用ドライブシャフト22、内筒部82及び外筒部84の回転方向F1は、図5における時計回り方向であり、車両1の後退走行時におけるこれらの回転方向R1は、図5における反時計回り方向である。
図5に示すように、ダンパ80の内筒部82の外周面には、複数の外方突起部83が周方向に間隔を空けて設けられている。複数の外方突起部83は、周方向に等間隔を空けて配置されている。各外方突起部83の径方向外側の端部は、外筒部84の内周面に近接して対向配置されている。
外筒部84の内周面には、複数の内方突起部85が周方向に間隔を空けて設けられている。複数の内方突起部85は、周方向に等間隔を空けて配置されている。各内方突起部85の径方向内側の端部は、内筒部82の外周面に近接して対向配置されている。各内方突起部85は、周方向において、隣接する一対の外方突起部83間の中央部よりも一方側(図5の時計回り方向の前方側)にオフセットして配置されている。
弾性体層90は、車両1の前進走行時の回転方向F1において内筒部82が外筒部84に対して相対的に下流側に変位したときに外方突起部83と内方突起部85との間で圧縮変形される第1弾性部91と、同回転方向F1において内筒部82が外筒部84に対して相対的に上流側に変位したときに外方突起部83と内方突起部85との間で圧縮変形される第2弾性部92とを有する。
第1弾性部91は、前進走行時の回転方向F1における外方突起部83の下流側に隣接して配置された複数の第1弾性部材93からなる。各第1弾性部材93は、ダンパ80の軸方向に延びる棒状の部材である。第1弾性部材93は、例えばゴム等の弾性材料からなる。
第2弾性部92は、前進走行時の回転方向F1における内方突起部85の下流側に隣接して配置された複数の第2弾性部材94からなる。各第2弾性部材94は、ダンパ80の軸方向に延びる棒状の部材である。第2弾性部材94は、例えばゴム等の弾性材料からなる。
周方向に隣接する外方突起部83と内方突起部85との間の各区画には、それぞれ、第1弾性部材93又は第2弾性部材94のうちいずれか一方の弾性部材が1個ずつ配置されている。第1弾性部材93の総数と第2弾性部材94の総数は同じである。第1弾性部材93と第2弾性部材94は、周方向において、外方突起部83又は内方突起部85を介して交互に配置されている。
ダンパ80にトルクがかかっていない状態において、各第1弾性部材93及び各第2弾性部材94は、周方向に若干圧縮された状態で、外方突起部83と内方突起部85との間に挟み込まれて配置されている。
本実施形態において、全ての第1弾性部材93は、同じ素材からなり、同じ形状及び同じ大きさを有する。すなわち、全ての第1弾性部材93は、回転方向F1,R1(周方向)の荷重に対する剛性が等しくなっている。また、第2弾性部材94は、全て同じ素材からなり、全て同じ形状及び同じ大きさを有する。すなわち、全ての第2弾性部材94は、回転方向F1,R1(周方向)の荷重に対する剛性が等しくなっている。
さらに、本実施形態において、第2弾性部材94は、第1弾性部材93と同じ素材からなる。第2弾性部材94は、第1弾性部材93と比べて、軸方向の長さ及び径方向の厚さが等しく、周方向の幅が短くなっている。これにより、第2弾性部材94は、第1弾性部材93と比べて、回転方向F1,R1(周方向)の荷重に対する剛性が高くなっている。
これにより、各第1弾性部材93は、各第2弾性部材94に比べて、周方向の同じ荷重に対する変形量が大きく、振動減衰能力が高くなっている。したがって、第1弾性部91全体の振動減衰能力は、第2弾性部92全体の振動減衰能力よりも高くなっている。
後輪4側(副駆動輪側)の動力伝達系における歯打ち音の抑制が課題となる二輪駆動状態において、トランスファ装置40では、カップリング60の引き摺り抵抗による微小なトルクのみが伝達されることから、トランスファ装置40でのトルク伝達経路は、通例、ダンパ80を経由した経路になる。
この場合において、トルク伝達方向がエンジン6側から後輪4側に向かう方向であるとき、ダンパ80では、内筒部82が外筒部84に対して前進走行時の回転方向F1の下流側に相対変位する。これにより、該回転方向F1の下流側に隣接する内方突起部85と、上流側に隣接する外方突起部83との間に挟み込まれた各第1弾性部材93が圧縮変形される。この結果、振動減衰能力が高い第1弾性部91によって、後輪4側の動力伝達系における捩り振動が効果的に減衰される。
また、このように、エンジン6側からトランスファ装置40に伝わる捩り振動が、プロペラシャフト50よりもエンジン6側に設けられたダンパ80によって効果的に減衰されることにより、プロペラシャフト50から後輪4に至る動力伝達系の捩り振動を効果的に抑制できる。
一方、ダンパ80を経由したトルク伝達がなされる場合において、トルク伝達方向が後輪4側からエンジン6側に向かう方向であるとき、ダンパ80では、内筒部82が外筒部84に対して前進走行時の回転方向F1の上流側に相対変位する。これにより、該回転方向F1の下流側に隣接する外方突起部83と、上流側に隣接する内方突起部85との間に挟み込まれた各第2弾性部材94が圧縮変形される。この場合は、第2弾性部92によって、捩り振動の減衰が果たされる。
このように、本実施形態のダンパ80によれば、カップリング60が解放された前輪駆動状態において、車両の運転状態に応じて第1弾性部91又は第2弾性部92が選択的に圧縮変形されることで、後輪4側の動力伝達系の捩り振動が減衰され、これにより、歯打ち音の発生を抑制できる。
また、本実施形態のダンパ80によれば、第1弾性部91と第2弾性部92の振動減衰能力を異ならせていることにより、振動減衰能力が比較的低い第2弾性部92において、各第2弾性部材94を周方向にコンパクトに構成することができる。
さらに、これにより創出された周方向スペースを利用して第1弾性部材93を配設できるため、第1弾性部材93を周方向に大型化しやすくなっている。そのため、第1弾性部材93が径方向に大型化することを抑制しつつ、第1弾性部材93の振動減衰能力を高めることができる。したがって、従来の圧縮タイプのダンパのように全ての弾性部材が一律の振動減衰能力を有する場合に比べて、ダンパ80を径方向にコンパクトに構成しやすくなっている。
ところで、以下に説明するように、ダンパ80でのトルク伝達方向は、車両1の前進走行時には内筒部82側から外筒部84側へ向かう方向になり、車両1の後退走行時には外筒部84側から内筒部82側へ向かう方向になるように構成されている。
図1を参照しながら具体的に説明する。カップリング60が締結された状態において、エンジン6側からトランスファ装置40に入力された回転は、トランスファ装置40のドライブギヤ43とドリブンギヤ44との噛合部において一旦増速された後、カップリング60の出力側に設けられたピニオンギヤ64と後輪用差動装置70のデフリングギヤ71との噛合部において減速されて、後輪4側へ伝達される。
本実施形態において、フロント側のドライブギヤ43とドリブンギヤ44との噛合部における増速比は、リヤ側のピニオンギヤ64とデフリングギヤ71との噛合部における減速比よりも、例えば1%程度大きく構成されている。
これにより、カップリング60の入力軸61から前輪2に至る動力伝達経路における第1の減速比は、カップリング60の出力軸62から後輪4に至る動力伝達経路における第2の減速比よりも大きくなっている。そのため、前輪2と後輪4が等速で回転している場合、カップリング60の入力軸61の回転数は出力軸62の回転数よりも大きくなる。
第1の減速比と第2の減速比との差は、車両走行中において前輪2と後輪4との間に生じ得る回転数差を考慮して、通常の車両走行状態において常にカップリング60の入力軸61の回転数が出力軸62の回転数よりも大きくなるのに十分な差とされている。
よって、本実施形態によれば、車両1の走行中において、タイヤのパンクや脱輪等の緊急事態が起きない限り、車両の運転状態、後席乗員の有無、車両後部の荷室における積載量等に関わらず、常に、カップリング60の入力軸61は、出力軸62よりも高速で回転する。
そのため、カップリング60が解放された前輪駆動状態での車両走行時において、カップリング60の引き摺り抵抗によって後輪4側の動力伝達系に生じるトルクの伝達方向は、常に、エンジン6側から後輪4側に向かう方向に維持される。
したがって、図5に示すように、車両1の前進走行時におけるダンパ80では、加速状態、コースティング状態又は減速状態のいずれにおいても、エンジン6側の内筒部82が、後輪4側の外筒部84に対して、回転方向F1の下流側に相対変位し、これにより、第1弾性部材93が圧縮変形されることになり、第1弾性部91による捩り振動の減衰が果たされる。
車両1の前進走行時には、特に高変速比での走行中において、エンジン6側から伝えられるトルク変動が後輪4側の動力伝達系で増幅しやすい傾向があるが、上記のように振動減衰能力の高い第1弾性部91によって捩り振動が効果的に減衰されるため、後輪4側の動力伝達系における各噛合部での歯打ち音を効果的に抑制できる。
一方、車両1の後退走行時におけるダンパ80では、加速状態、コースティング状態又は減速状態のいずれにおいても、エンジン6側の内筒部82が、後輪4側の外筒部84に対して、回転方向R1の下流側に相対変位し、これにより、第2弾性部材94が圧縮変形されることになり、第2弾性部92による捩り振動の減衰が果たされる。
車両1は、低変速比でのみ後退走行可能なように構成されていることから、後退走行中においては、エンジン6側から伝えられるトルク変動は、後輪4側の動力伝達系において増幅し難い状態となる。そのため、振動減衰能力が比較的低い第2弾性部92によっても、捩り振動を効果的に減衰させることができる。
[第2実施形態]
図6〜図8を参照しながら、第2実施形態に係る車両のトランスファ構造について説明する。
[全体構成]
図6に示すように、第2実施形態に係るトランスファ構造を備えた車両201は、副駆動輪としての左右の前輪202と、主駆動輪としての左右の後輪204とを備えた所謂FR(フロントエンジン・リヤドライブ)ベースの四輪駆動車であり、後輪駆動状態と四輪駆動状態との間で切り換え可能となっている。
車両201は、駆動源としてのエンジン206を備えている。エンジン206は、縦置き式であり、車両201の前部におけるエンジンルームに配設されている。エンジン206の車体後方側には変速機208が並設されている。変速機208の変速機構は、例えばトルクコンバータ(図示せず)を介してエンジン206の出力軸に連結されている。
変速機208の変速機構は、車体前後方向に延びる出力軸209(図7参照)を有する。出力軸209の後端部は、例えばスプライン嵌合によって、後述のトランスファ装置240の入力軸241の前端部に連結されている。
主駆動輪である後輪204は、後輪用ドライブシャフト231,232、後輪用差動装置270、後輪用プロペラシャフト250、トランスファ装置240の入力軸241及び変速機208等を介してエンジン206に連結されている。
これにより、エンジン206から後輪204に至る後輪側(主駆動輪側)の動力伝達系が構成されている。後輪204は、後述のカップリング260を介することなくエンジン206に連結されており、カップリング260の締結状態及び解放状態のいずれにおいても、エンジン206から後輪204への動力伝達がなされる。
後輪用ドライブシャフト231,232は、車体幅方向に延びるように配設されている。各後輪用ドライブシャフト231,232は、例えば一対の自在継手233,234を介して連結された複数のシャフト部材で構成されている。
後輪用差動装置270は、第1実施形態と同様、デフリングギヤ271、デフケース272及び左右のサイドギヤ278,279を備えている。各サイドギヤ278,279には、後輪用ドライブシャフト231,232の一端部が、例えばスプライン嵌合によって、サイドギヤ278,279と共に回転するように連結されている。
後輪用プロペラシャフト250は、車体前後方向に延びるように配設されている。後輪用プロペラシャフト250は、自在継手253を介して車体前後方向に連結された例えば2本のシャフト部材251,252で構成されている。後輪用プロペラシャフト250の前端部は、自在継手249を介してトランスファ装置240の入力軸241の後端部に連結されている。
後輪用プロペラシャフト250の後端部には、自在継手254を介して、車体前後方向に延びるピニオンシャフト255の前端部が連結されている。ピニオンシャフト255の後端部には、ピニオンギヤ256が設けられている。ピニオンギヤ256は後輪用差動装置270のデフリングギヤ271に噛み合っている。
ピニオンギヤ256とデフリングギヤ271は、例えばハイポイドギヤ等の傘歯ギヤからなる。ピニオンギヤ256の軸心は、車体上下方向においてデフリングギヤ271の軸心よりも下側にオフセットして配置されている。デフリングギヤ271は、ピニオンギヤ256よりも大径である。これにより、後輪用プロペラシャフト250の回転は、減速されて後輪用差動装置270のデフケース272に伝達される。
このようにしてエンジン206側から後輪用差動装置270のデフケース272に伝達された動力は、走行状況に応じた回転差となるように左右の後輪用ドライブシャフト231,232に伝達される。
一方、前輪202は、前輪用ドライブシャフト221,222、前輪用差動装置210、前輪用プロペラシャフト258、トランスファ装置240及び変速機208等を介してエンジン206に連結されている。
前輪用ドライブシャフト221,222は、車体幅方向に延びるように配設されている。各前輪用ドライブシャフト221,222は、例えば一対の自在継手223,224を介して連結された複数のシャフト部材で構成されている。
前輪用差動装置210は、第1実施形態と同様、デフリングギヤ211、デフケース212及び左右のサイドギヤ218,219を備えている。各サイドギヤ218,219には、前輪用ドライブシャフト221,222の一端部が、例えばスプライン嵌合によって、サイドギヤ218,219と共に回転するように連結されている。
前輪用プロペラシャフト258は、トランスファ装置240の車体前方側において、車体前後方向に延びるように配設されている。前輪用プロペラシャフト258の後端部は、自在継手257を介して、トランスファ装置240の出力軸242に連結されている。トランスファ装置240の構成については後に説明する。
前輪用プロペラシャフト258の前端部には、自在継手259を介して、車体前後方向に延びるピニオンシャフト268の後端部が連結されている。ピニオンシャフト268の前端部には、ピニオンギヤ269が設けられている。ピニオンギヤ269は、前輪用差動装置210のデフリングギヤ211に噛み合っている。
ピニオンギヤ269とデフリングギヤ211は、例えばハイポイドギヤ等の傘歯ギヤからなる。ピニオンギヤ269の軸心は、車体上下方向においてデフリングギヤ211の軸心よりも下側にオフセットして配置されている。デフリングギヤ211は、ピニオンギヤ269よりも大径である。これにより、前輪用プロペラシャフト258の回転は、減速されて前輪用差動装置210のデフケース212に伝達される。
第2実施形態では、トランスファ装置240にカップリング260が設けられており、カップリング260が締結された状態において、トランスファ装置240によって取り出されたエンジン206の動力は、トランスファ装置240から前輪用プロペラシャフト258、前輪用差動装置210及び前輪用ドライブシャフト221,222を経由して前輪202に至る前輪側(副駆動輪側)の動力伝達系に伝達される。
前輪用差動装置210のデフケース212に伝達された動力は、走行状況に応じた回転差となるように左右の前輪用ドライブシャフト221,222に伝達される。
[トランスファ装置]
図7の断面図を参照しながら、トランスファ装置240の構成について説明する。
トランスファ装置240は、上記のように車体前後方向に延びる入力軸241、入力軸241に平行に配置された出力軸242、入力軸241上に設けられたドライブギヤ243、出力軸242上に設けられたドリブンギヤ244、カップリング260、ダンパ280、並びに、これらを収容するトランスファケース248を備えている。
入力軸241は、変速機208(図6参照)の出力軸209と同じ軸心上に配置された第1軸部材301及び第2軸部材302で構成されている。第1軸部材301及び第2軸部材302は、変速機208の出力軸209と共に回転するように設けられている。
第1軸部材301の前端部には、車体前方側に開放した凹部301aが設けられており、該凹部301aの内周面に、変速機208の出力軸209の後端部がスプライン嵌合されている。
第2軸部材302は、第1軸部材301の車体後方側に配置されている。第2軸部材302の前端部には、車体前方側に開放した凹部302aが設けられており、該凹部302aの内周面に、第1軸部材301の後端部がスプライン嵌合されている。
第2軸部材302の後端部には、連結部材303がスプライン嵌合部されている。連結部材303は、軸受323を介して回転可能にトランスファケース248に支持されている。連結部材303の後端部には自在継手249(図6参照)が固定されている。これにより、入力軸241は、連結部材303及び自在継手249を介して後輪用プロペラシャフト250(図6参照)の前端部に連結されている。
ドライブギヤ243は、入力軸241の第1軸部材301の外周に配置されている。ドライブギヤ243は、カップリング260を介して第2軸部材302に連結可能とされている。ドライブギヤ243は、その軸方向両側に隣接して配置された一対の軸受321,322を介して回転可能にトランスファケース248に支持されている。
出力軸242は、車体前後方向に延びる軸心を有する中空部材である。出力軸242には、ドライブギヤ243に噛み合うドリブンギヤ244が例えば一体に設けられている。出力軸242は、ドリブンギヤ244の軸方向両側に隣接して配置された一対の軸受328,329を介して回転可能にトランスファケース248に支持されている。
出力軸242の内側には、自在継手257がスプライン嵌合されている。これにより、出力軸242は、自在継手257を介して前輪用プロペラシャフト258(図6参照)の後端部に連結されている。
カップリング260は、入力要素としての入力回転部261、出力要素としての出力回転部262、及び、入力回転部261と出力回転部262との間を断接可能に連結する複数の摩擦板263を備えている。カップリング260は、例えば電子制御カップリングであり、摩擦板263間の締結力が制御されることで、前後輪のトルク配分が行われる。トルク配分(前輪:後輪)は、例えば、0:100〜50:50の範囲で制御可能となっている。
カップリング260の入力回転部261は、上記の第2軸部材302の凹部302aの周壁部で構成されている。入力回転部261は、カップリング260よりもエンジン206側の回転部材である上記の第1軸部材301に連結されている。
複数の摩擦板263は、例えば湿式多板クラッチで構成されている。複数の摩擦板263には、軸方向の例えば車体後方側からのピストン340による押圧によって締結力が加えられる。該ピストン340は、例えば、電磁クラッチ344及びカム機構346を介して作動される。電磁クラッチ344は、電磁コイル342への通電によって作動される。
カップリング260の出力回転部262は、入力軸241の軸心上に配置された中空部材で構成されている。出力回転部262の前端部は、ドライブギヤ243の内側にスプライン嵌合されている。
出力回転部262とドライブギヤ243とのスプライン嵌合部331において、第1実施形態における第1軸部材45と第2軸部材46とのスプライン嵌合部(図3参照)と同様、出力回転部262の各外歯は、ドライブギヤ243の隣接する一対の内歯間の周方向中央部に、周方向の所定範囲内で相対移動可能に配置されている。これにより、出力回転部262とドライブギヤ243は、所定の角度範囲内での相対回転が許容されている。
出力回転部262は、ドライブギヤ243に対して、上記のスプライン嵌合部331において直接連結されるとともに、ダンパ280を介した間接的な連結もなされている。ダンパ280は、第1実施形態のダンパ80と同様、所謂圧縮タイプのダンパである。
ダンパ280は、カップリング260の出力回転部262の外周に配置されている。ダンパ280は、軸方向において軸受322と複数の摩擦板263との間に配置されている。ダンパ280の内周側は、スプライン嵌合部330を介して出力回転部262に連結され、ダンパ280の外周側は、動力伝達部材299を介してドライブギヤ243に連結されている。
ダンパ280がトランスファ装置240の動力伝達経路に設けられていることにより、前輪202側(副駆動輪側)の動力伝達系の捩り剛性が低減されている。これにより、該動力伝達系の捩り振動に関する固有振動数は、エンジン回転数の常用域で生じ得るトルク変動に対して共振しないような振動数域にずらされているとともに、ダンパ280によって捩り振動を減衰させることが可能になっている。ダンパ280の具体的構成については後に説明する。
トランスファケース248は、相互に結合された複数のケース部材248a,248b,248cで構成されている。トランスファケース48内には潤滑用のオイルが封入されている。
入力軸241の第1軸部材301の外周面とトランスファケース248の内周面との間、出力軸242の外周面とトランスファケース248の内周面との間、動力伝達部材299の外周面とトランスファケース248の内周面との間、及び、連結部材303の外周面とトランスファケース248の内周面との間には、それぞれ、両部材間の相対回転を許容しつつ油密性を確保するシール部材311,312,313,314が介装されている。
動力伝達部材299の外周面とトランスファケース248の内周面との間に介装されたシール部材313は、軸方向において軸受322とダンパ280との間に配置されている。このシール部材313によって、トランスファケース248の内部空間は、ドライブギヤ243、ドリブンギヤ244及び軸受321,322,328,329を収容する第1の空間と、ダンパ280、カップリング260の摩擦板263及び電磁クラッチ344等を収容する第2の空間とに仕切られている。これにより、第1及び第2の空間に封入された成分の異なるオイルが混ざり合うことが抑制されている。
[ダンパ]
ダンパ280は、第1筒部としての内筒部282と、第2筒部としての外筒部284とを備えた二重管構造を有する。
内筒部282と外筒部284は、例えば金属製の筒状部材で構成され、入力軸241の軸心上に配置されている。内筒部282は、上記のスプライン嵌合部330において、カップリング260の出力回転部262の外側にスプライン嵌合されている。外筒部284は、内筒部282よりも大径とされ、径方向において内筒部282の外側に配置されている。
カップリング260の出力回転部262と内筒部282とのスプライン嵌合部330では、第1実施形態における第1軸部材45と内筒部82とのスプライン嵌合部(図4参照)と同様、出力回転部262の各外歯が、内筒部282の隣接する一対の内歯間に略隙間なく配置されている。
これにより、該スプライン嵌合部330では、上述した出力回転部262とドライブギヤ243とのスプライン嵌合部331に比べて、周方向における外歯と内歯との間の相対移動、ひいては、出力回転部262と内筒部282との間の相対回転が厳しく制限されている。
すなわち、カップリング260の出力回転部262と内筒部282とのスプライン嵌合部330における外歯と内歯との間に生じるバックラッシュ(周方向のガタ)は、出力回転部262とドライブギヤ243とのスプライン嵌合部331におけるバックラッシュ(周方向のガタ)よりも小さくなっている。
外筒部284は、入力軸241の軸心上に配置された中空の動力伝達部材299の内側に嵌合されており、該動力伝達部材299に、例えば圧入によって結合されている。動力伝達部材299は、外筒部284との結合部から車体前方側へ軸方向に延びるように設けられ、該車体前方側への延長部において、例えば圧入によってドライブギヤ243に結合されている。これにより、外筒部284は、動力伝達部材299を介してドライブギヤ243に連結され、該ドライブギヤ243と共に回転するようになっている。
上記の通り、ダンパ280は、その内筒部282において、第1回転部材としての出力回転部262に連結され、外筒部284において、第2回転部材としての動力伝達部材299に連結されている。これにより、ダンパ280は、カップリング260の出力回転部262とドライブギヤ243との間の動力伝達経路に設けられている。
ダンパ280は、内筒部282と外筒部284との間に配置された弾性体層290を更に備えている。第1実施形態のダンパ80(図5参照)と同様、弾性体層290は、例えばゴム製の複数の弾性部材293,294(図8参照)で構成されている。弾性体層290のより具体的な構成については後に説明する。
カップリング260の出力回転部262とドライブギヤ243との間でトルクが伝達されるとき、出力回転部262とドライブギヤ243は周方向に相対変位する。このとき、出力回転部262とドライブギヤ243とのスプライン嵌合部331よりも先に、出力回転部262とダンパ280の内筒部282とのスプライン嵌合部330において、外歯と内歯の係合がなされる。
そのため、出力回転部262とドライブギヤ243との間で伝達されるトルクが所定値未満である場合、該トルクの伝達経路は、出力回転部262とドライブギヤ243とのスプライン嵌合部331を経由することなく、ダンパ280の内筒部282とのスプライン嵌合部330を経由した経路になる。
すなわち、例えば、カップリング260が解放された後輪駆動状態、又は、カップリング260の締結力が比較的弱く、前輪202側に分配されるトルクが比較的低い四輪駆動状態など、エンジン206側又は前輪202側からトランスファ装置240に入力されるトルクが所定値未満であるとき、トランスファ装置240では、ダンパ280を経由した経路でトルク伝達がなされる。
一方、出力回転部262とドライブギヤ243との間で伝達されるトルクが所定値以上である場合、出力回転部262とドライブギヤ243とのスプライン嵌合部331を経由したトルク伝達がなされる。
すなわち、例えば、カップリング260が完全締結ないし締結力が比較的強い四輪駆動状態など、エンジン206側からトランスファ装置240に入力されるトルクが所定値以上であるとき、トランスファ装置240では、ダンパ280を経由しない経路でトルク伝達がなされる。
出力回転部262とドライブギヤ243との間でトルクが伝達されるとき、周方向における両部材243,262間の相対変位量は、両部材243,262間のスプライン嵌合部331における外歯と内歯の干渉によって所定量以下に規制される。これにより、出力回転部262にスプライン嵌合されたダンパ280の内筒部282と、動力伝達部材299を介してドライブギヤ243に結合されたダンパ280の外筒部284との間においても、周方向の相対変位量が所定量以下に規制されることになる。
このように、出力回転部262とドライブギヤ243とのスプライン嵌合部331は、ダンパ280の内筒部282と外筒部284との間の周方向の相対変位量を規制するストッパ機構として作用し、該ストッパ機構の作用により、ダンパ280の弾性体層290に過剰な荷重がかかることを抑制できる。
図8は、ダンパ280を軸方向の車体前方側から見た図7のD−D線断面図である。車両201の前進走行時におけるダンパ280の内筒部282及び外筒部284の回転方向F2は、図8における時計回り方向であり、車両201の後退走行時におけるこれらの回転方向R2は、図8における反時計回り方向である。
図8に示すように、ダンパ280は、第1実施形態のダンパ80(図5参照)と同様の構造を有する。ダンパ280の内筒部282の外周面には、複数の外方突起部283が周方向に間隔を空けて設けられている。複数の外方突起部283は、周方向に等間隔を空けて配置されている。各外方突起部283の径方向外側の端部は、外筒部284の内周面に近接して対向配置されている。
外筒部284の内周面には、複数の内方突起部285が周方向に間隔を空けて設けられている。複数の内方突起部285は、周方向に等間隔を空けて配置されている。各内方突起部285の径方向内側の端部は、内筒部282の外周面に近接して対向配置されている。各内方突起部285は、周方向において、隣接する一対の外方突起部283間の中央部よりも一方側(図8の時計回り方向の前方側)にオフセットして配置されている。
弾性体層290は、車両201の前進走行時の回転方向F2において内筒部282が外筒部284に対して相対的に下流側に変位したときに外方突起部283と内方突起部285との間で圧縮変形される第1弾性部291と、同回転方向F2において内筒部282が外筒部284に対して相対的に上流側に変位したときに外方突起部283と内方突起部285との間で圧縮変形される第2弾性部292とを有する。
第1弾性部291は、前進走行時の回転方向F2における外方突起部283の下流側に隣接して配置された複数の第1弾性部材293からなる。各第1弾性部材293は、ダンパ280の軸方向に延びる棒状の部材である。第1弾性部材293は、例えばゴム等の弾性材料からなる。
第2弾性部292は、前進走行時の回転方向F2における内方突起部285の下流側に隣接して配置された複数の第2弾性部材294からなる。各第2弾性部材294は、ダンパ280の軸方向に延びる棒状の部材である。第2弾性部材294は、例えばゴム等の弾性材料からなる。
周方向に隣接する外方突起部283と内方突起部285との間の各区画には、それぞれ、第1弾性部材293又は第2弾性部材294のうちいずれか一方の弾性部材が1個ずつ配置されている。第1弾性部材293の総数と第2弾性部材294の総数は同じである。第1弾性部材293と第2弾性部材294は、周方向において、外方突起部283又は内方突起部285を介して交互に配置されている。
ダンパ280にトルクがかかっていない状態において、各第1弾性部材293及び各第2弾性部材294は、周方向に若干圧縮された状態で、外方突起部283と内方突起部285との間に挟み込まれて配置されている。
全ての第1弾性部材293は、同じ素材からなり、同じ形状及び同じ大きさを有する。すなわち、全ての第1弾性部材293は、回転方向F2,R2(周方向)の荷重に対する剛性が等しくなっている。また、第2弾性部材294は、全て同じ素材からなり、全て同じ形状及び同じ大きさを有する。すなわち、全ての第2弾性部材294は、回転方向F2,R2(周方向)の荷重に対する剛性が等しくなっている。
さらに、第2弾性部材294は、第1弾性部材293と同じ素材からなる。第2弾性部材294は、第1弾性部材293と比べて、軸方向の長さ及び径方向の厚さが等しく、周方向の幅が短くなっている。これにより、第2弾性部材294は、第1弾性部材293と比べて、回転方向F2,R2(周方向)の荷重に対する剛性が高くなっている。
これにより、各第1弾性部材293は、各第2弾性部材294に比べて、周方向の同じ荷重に対する変形量が大きく、振動減衰能力が高くなっている。したがって、第1弾性部291全体の振動減衰能力は、第2弾性部292全体の振動減衰能力よりも高くなっている。
前輪202側(副駆動輪側)の動力伝達系における歯打ち音の抑制が課題となる二輪駆動状態において、トランスファ装置240では、カップリング260の引き摺り抵抗による微小なトルクのみが伝達されることから、トランスファ装置240でのトルク伝達経路は、通例、ダンパ280を経由した経路になる。
この場合において、トルク伝達方向がエンジン206側から前輪202側に向かう方向であるとき、ダンパ280では、内筒部282が外筒部284に対して前進走行時の回転方向F2の下流側に相対変位する。これにより、該回転方向F2の下流側に隣接する内方突起部285と、上流側に隣接する外方突起部283との間に挟み込まれた各第1弾性部材293が圧縮変形される。この結果、振動減衰能力が高い第1弾性部291によって、前輪202側の動力伝達系における捩り振動が効果的に減衰される。
また、このように、エンジン206側からトランスファ装置240に伝わる捩り振動が、前輪用プロペラシャフト258よりもエンジン206側に設けられたダンパ280によって効果的に減衰されることにより、前輪用プロペラシャフト258から前輪202に至る動力伝達系の捩り振動を効果的に抑制できる。
一方、ダンパ280を経由したトルク伝達がなされる場合において、トルク伝達方向が前輪202側からエンジン206側に向かう方向であるとき、ダンパ280では、内筒部282が外筒部284に対して前進走行時の回転方向F2の上流側に相対変位する。これにより、該回転方向F2の下流側に隣接する外方突起部283と、上流側に隣接する内方突起部285との間に挟み込まれた各第2弾性部材294が圧縮変形される。この場合は、第2弾性部292によって、捩り振動の減衰が果たされる。
このように、第2実施形態のダンパ280によれば、カップリング260が解放された後輪駆動状態において、車両の運転状態に応じて第1弾性部291又は第2弾性部292が選択的に圧縮変形されることで、前輪202側の動力伝達系の捩り振動が減衰され、これにより、歯打ち音の発生を抑制できる。
また、第1実施形態と同様、上記のダンパ280によれば、第1弾性部291と第2弾性部292の振動減衰能力を異ならせていることにより、振動減衰能力が比較的低い第2弾性部292において、各第2弾性部材294を周方向にコンパクトに構成することができる。
さらに、これにより創出された周方向スペースを利用して第1弾性部材293を配設できるため、第1弾性部材293を周方向に大型化しやすくなっている。そのため、第1弾性部材293が径方向に大型化することを抑制しつつ、第1弾性部材293の振動減衰能力を高めることができる。したがって、従来の圧縮タイプのダンパのように全ての弾性部材が一律の振動減衰能力を有する場合に比べて、ダンパ280を径方向にコンパクトに構成しやすくなっている。
また、第2実施形態においても、第1実施形態と同様、ダンパ280でのトルク伝達方向は、車両201の前進走行時には内筒部282側から外筒部284側へ向かう方向になり、車両201の後退走行時には外筒部284側から内筒部282側へ向かう方向になるように構成されている。
図6を参照しながら具体的に説明する。カップリング260が締結された四輪駆動状態において、エンジン206側からトランスファ装置240に入力された回転は、後輪用プロペラシャフト250及び後輪用差動装置270を経由して後輪204側へ伝達されると共に、トランスファ装置240のドライブギヤ43とドリブンギヤ44との噛合部、前輪用プロペラシャフト258及び前輪用差動装置210を経由して前輪202側へ伝達される。
後輪204側(主駆動輪側)の動力伝達系において、後輪204側に伝達される回転は、後輪用プロペラシャフト250の後端側のピニオンギヤ256と後輪用差動装置270のデフリングギヤ271との噛合部において減速される。
一方、前輪202側(副駆動輪側)の動力伝達系において、前輪202側に伝達される回転は、前輪用プロペラシャフト258の前端側のピニオンギヤ269と前輪用差動装置210のデフリングギヤ211との噛合部において減速される。トランスファ装置240のドライブギヤ43とドリブンギヤ44との噛合部での回転の伝達は、減速ないし増速されて行われてもよいし、等速で行われてもよいが、前輪202側の動力伝達系全体としては、減速されて前輪202側に回転が伝達される。
第2実施形態において、トランスファ装置240の入力軸241から後輪204に至る後輪204側の動力伝達経路全体での減速比は、トランスファ装置240の入力軸241から前輪202に至る前輪202側の動力伝達経路全体での減速比よりも、例えば1%程度大きく構成されている。
これにより、カップリング260の入力回転部261から後輪204に至る動力伝達経路における第1の減速比は、カップリング260の出力回転部262から前輪202に至る動力伝達経路における第2の減速比よりも大きくなっている。そのため、前輪202と後輪204が等速で回転している場合、カップリング260の入力回転部261の回転数は出力回転部262の回転数よりも大きくなる。
第1の減速比と第2の減速比との差は、車両走行中において前輪202と後輪204との間に生じ得る回転数差を考慮して、カップリング260の入力回転部261の回転数が出力回転部262の回転数よりも常に大きくなるのに十分な差とされている。
よって、第1実施形態と同様、車両201の走行中において、タイヤのパンクや脱輪等の緊急事態が起きない限り、車両の運転状態、後席乗員の有無、車両後部の荷室における積載量等に関わらず、常に、カップリング260の入力回転部261は、出力回転部262よりも高速で回転する。
そのため、カップリング260が解放された後輪駆動状態での車両走行時において、カップリング260の引き摺り抵抗によって前輪202側の動力伝達系に生じるトルクの伝達方向は、常に、エンジン206側から前輪202側に向かう方向に維持される。
したがって、図8に示すように、車両201の前進走行時におけるダンパ280では、加速状態、コースティング状態又は減速状態のいずれにおいても、エンジン206側の内筒部282が、前輪202側の外筒部284に対して、回転方向F2の下流側に相対変位し、これにより、第1弾性部材293が圧縮変形されることになり、第1弾性部291による捩り振動の減衰が果たされる。
車両201の前進走行時には、特に高変速比での走行中において、エンジン206側から伝えられるトルク変動が前輪202側の動力伝達系で増幅しやすい傾向があるが、上記のように振動減衰能力の高い第1弾性部291によって捩り振動が効果的に減衰されるため、前輪202側の動力伝達系における各噛合部での歯打ち音を効果的に抑制できる。
一方、車両201の後退走行時におけるダンパ280では、加速状態、コースティング状態又は減速状態のいずれにおいても、エンジン206側の内筒部282が、前輪202側の外筒部284に対して、回転方向R2の下流側に相対変位し、これにより、第2弾性部材294が圧縮変形されることになり、第2弾性部292による捩り振動の減衰が果たされる。
車両201は、低変速比でのみ後退走行可能なように構成されていることから、後退走行中においては、エンジン206側から伝えられるトルク変動は、前輪202側の動力伝達系において増幅し難い状態となる。そのため、振動減衰能力が比較的低い第2弾性部292によっても、捩り振動を効果的に減衰させることができる。
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述の実施形態では、ダンパ80,280の内筒部82,282が、ダンパの駆動源側の第1回転部材に連結された第1筒部であり、ダンパ80,280の外筒部84,284が、ダンパの副駆動輪側の第2回転部材に連結された第2筒部である例を説明したが、ダンパの内筒部が第2筒部であり、外筒部が第1筒部である場合にも、本発明を同様に適用可能である。
また、上述の実施形態では、トランスファ装置の入力軸の軸心上にダンパが設けられる例を説明したが、本発明において、具体的なダンパの配置は特に限定されるものでない。ただし、本発明において、ダンパは、トランスファ装置内の動力伝達経路に設けられることが好ましく、例えば、トランスファ装置の出力軸側にダンパが設けられてもよい。
さらに、本発明において、ダンパの構成に関しても、第1弾性部の振動減衰能力が第2弾性部の振動減衰能力よりも高い限り、種々の変更が可能である。
例えば、上述の実施形態では、隣接する外方突起部83,283と内方突起部85,285との間の各区画に弾性部材が1個ずつ配置される例を説明したが、1つの区画に複数の弾性部材が配置されるようにしてもよい。この場合、各区画に配置される第1弾性部材93,293の個数を、各区画に配置される第2弾性部材94の個数よりも多くしてもよく、これにより、第1弾性部の剛性を第2弾性部の剛性よりも低く構成しやすくなる。
また、上述の実施形態では、第1弾性部を構成する部材(第1弾性部材93,293)が第2弾性部を構成する部材(第2弾性部材94,294)よりも周方向に大きい例を説明したが、第1弾性部を構成する弾性部材と、第2弾性部を構成する弾性部材は、同じ大きさであってもよい。この場合、例えば、上記の1つの区画に配置される弾性部材の個数を、第2弾性部に比べて第1弾性部の方が多くなるようにしたり、弾性部材を、第2弾性部に比べて第1弾性部の方が剛性の低い素材で構成したりすることで、第1弾性部の振動減衰能力を第2弾性部の振動減衰能力よりも高くすることが可能である。