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JP2018196888A - スラブの加熱炉抽出間隔決定方法及び熱延鋼板の製造方法並びにスラブの加熱炉抽出間隔決定装置 - Google Patents

スラブの加熱炉抽出間隔決定方法及び熱延鋼板の製造方法並びにスラブの加熱炉抽出間隔決定装置 Download PDF

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JP2018196888A JP2017102331A JP2017102331A JP2018196888A JP 2018196888 A JP2018196888 A JP 2018196888A JP 2017102331 A JP2017102331 A JP 2017102331A JP 2017102331 A JP2017102331 A JP 2017102331A JP 2018196888 A JP2018196888 A JP 2018196888A
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崇 式守
Takashi Shikimori
崇 式守
清吾 武藤
Seigo Muto
清吾 武藤
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JFE Steel Corp
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Abstract

【課題】高精度で仕上圧延機の入側に到達した際の被圧延材の温度を予測し、適正なスラブ抽出間隔を決定することで、ラインの生産効率を向上させることのできるスラブの加熱炉抽出間隔決定方法、及び該加熱炉抽出間隔決定方法を用いた熱延鋼板の製造方法を提供すること。【解決手段】所定の温度以下で仕上圧延を開始する制御圧延を行う熱間圧延ラインにおけるスラブの加熱炉抽出間隔決定方法であって、仕上圧延機の入側に到達した際の被圧延材の仕上入側温度を、データベースを用いたモデルによって算出し、前記仕上入側温度に基づいて、前記鋼板が仕上圧延機の入側で待機するのに要する仕上入側待機時間を算出し、算出した仕上入側待機時間を考慮して、スラブを加熱炉から抽出する間隔を決定するスラブの加熱炉抽出間隔決定方法。【選択図】図2

Description

本発明は、仕上圧延機の入側に到達した際の被圧延材の温度を高精度に予測することで、加熱炉から抽出するスラブの適正な間隔を算出し、これにより熱間圧延ラインの生産効率を向上することのできるスラブの加熱炉抽出間隔決定方法、及び該スラブの加熱炉抽出間隔決定方法を用いた熱延鋼板の製造方法に関する。また、前記スラブの適正な間隔を算出し、これにより熱間圧延ラインの生産効率を向上することのできるスラブの加熱炉抽出間隔決定装置に関する。
加熱したスラブを1本ずつ圧延するバッチ型の熱間圧延ラインにおいて、ラインの生産効率を向上させるためには、加熱炉からスラブを抽出する時間間隔を決定するミルペーシング制御が重要である。
ミルペーシング制御の精度が十分でないと、スラブの抽出間隔を大きくとりすぎてしまい、熱間圧延ラインの生産効率が低下する。一方で、スラブの抽出間隔が小さすぎると、ライン上で前材と当材が衝突し、重大事故につながる恐れがある。よって、熱間圧延ラインを運転する際には、ライン上での被圧延材の衝突を防ぎつつ、生産効率を向上させるように最短のスラブ抽出間隔を決定することが求められる。
従来のミルペーシング制御では、加熱炉から取り出された後の被圧延材がライン上を搬送される時間、及び圧延される時間等を予測し、被圧延材同士が同時刻にライン上の同地点を通過しないように、すなわち当材と前材とが干渉しないように加熱炉におけるスラブの抽出間隔を決定している。
特に、被圧延材が規定温度以下となった後に仕上圧延を開始する制御圧延技術では、仕上圧延機の入側で被圧延材が規定温度以下となるまで待機し、被圧延材の空冷が行われる。従来のミルペーシング制御では、仕上圧延機の入側における待機時間は、加熱炉からスラブが抽出された後にライン上で決定されていることが一般的である。この場合、通板後に決定される待機時間の大小によって、被圧延材がライン上を搬送される時間等にも誤差が生じるので、正確なスラブの抽出間隔の予測が行えないという問題がある。
一方、被圧延材の待機時間を考慮したうえでミルペーシング制御を行う技術として、特許文献1及び2が挙げられる。
特許文献1では、ライン上の特定ポイント又は特定区間における到達時点の予測値と実績値との誤差に関する余裕値を求める際に、実績値の分布を解析して中央値と尖度を求めて搬送予測精度を高める方法が提案されている。
特許文献2では、加熱炉抽出時のスラブ温度から、仕上圧延機の入側に到達した際の被圧延材の温度を、熱伝導方程式を差分法で解く伝熱モデルを用いて予測し、予測温度に基づいて被圧延材の仕上入側待機時間を算出する方法が提案されている。
特開2013−126676号公報 特開2010−202958号公報
仕上入側待機時間に起因する被圧延材の搬送時間の予測誤差は、圧延材の鋼種や寸法等の各種条件による影響を受けやすい。特許文献1に記載の発明では、これらの各種条件に応じて細分化した実績値の解析を必要とし、搬送時間の予測誤差を少なくするために多大な労力が必要となる。
特許文献2に記載の発明では、加熱炉から抽出される際のスラブ温度のばらつきや、伝熱モデルの誤差等の影響により、被圧延材の仕上入側温度の予測精度が十分ではない。このように仕上入側温度の予測精度が十分でないと、安全を見て仕上入側待機時間を過大に見積もってしまい、ラインの生産効率が低下する場合がある。
本発明は、上記の問題点に鑑みて完成されたものであり、高精度で仕上圧延機の入側に到達した際の被圧延材の温度(仕上入側温度)を予測し、適正なスラブ抽出間隔を決定することで、ラインの生産効率を向上させることのできるスラブの加熱炉抽出間隔決定方法、及び該加熱炉抽出間隔決定方法を用いた熱延鋼板の製造方法を提供することを課題とする。また、前記適正なスラブ抽出間隔を決定することで、ラインの生産効率を向上させることのできるスラブの加熱炉抽出間隔決定装置を提供することを課題とする。
本発明の手段は、次の通りである。
[1]所定の温度以下で仕上圧延を開始する制御圧延を行う熱間圧延ラインにおけるスラブの加熱炉抽出間隔決定方法であって、仕上圧延機の入側に到達した際の被圧延材の仕上入側温度を、データベースを用いたモデルによって算出し、算出した仕上入側温度に基づいて、前記被圧延材が仕上圧延機の入側で待機するのに要する仕上入側待機時間を算出し、算出した仕上入側待機時間を考慮して、スラブを加熱炉から抽出する間隔を決定するに際し、前記データベースを用いたモデルでは、過去実績における製造条件を説明変数、被圧延材の仕上入側温度の実績値を目的変数として蓄積し、予測対象の説明変数を取得した際に、予測対象と過去実績との類似度に応じた重み係数及び過去実績における説明変数と目的変数を用いて、予測対象の目的変数を算出するスラブの加熱炉抽出間隔決定方法。
[2]前記データベースを用いたモデルでは、予測対象の目的変数と過去の目的変数との差に、前記重み係数を乗じた重み付き最小二乗を行い、重み付き最小二乗における計算値が最小となるようにモデルパラメータを設定し、該モデルパラメータと予測対象の説明変数とを用いて予測対象の目的変数を算出する[1]に記載のスラブの加熱炉抽出間隔決定方法。
[3]前記データベースを用いたモデルでは、過去の目的変数に前記重み係数を乗じた荷重平均を行うことにより、予測対象の目的変数を算出する[1]に記載のスラブの加熱炉抽出間隔決定方法。
[4]前記説明変数は、被圧延材の成分と相関のある鋼種コード、粗圧延前の被圧延材の寸法、粗圧延後の被圧延材の寸法、加熱炉内の温度、及び伝熱モデルを用いて算出した被圧延材の仕上入側温度の予測値を含む[1]から[3]までのいずれかに記載のスラブの加熱炉抽出間隔決定方法。
[5]仕上入側待機時間を考慮してスラブの加熱炉抽出間隔を決定する際に、必要となる被圧延材の間隔が最大となるネックポイントが、被圧延材の待機する仕上入側待機ポイントよりも下流にある場合に、算出した仕上入側待機時間の分だけスラブの抽出間隔を短く設定する請求項1から4までのいずれか一項に記載のスラブの加熱炉抽出間隔決定方法。
[6]前記[1]から[5]までのいずれかに記載のスラブの加熱炉抽出間隔決定方法を用いて決定した間隔によってスラブを加熱炉から抽出した後に、熱間圧延を行う熱延鋼板の製造方法。
[7]所定の温度以下で仕上圧延を開始する制御圧延を行う熱間圧延ラインにおけるスラブの加熱炉抽出間隔を決定するためのスラブの加熱炉抽出間隔決定装置であって、前記スラブの加熱炉抽出間隔決定装置は、仕上圧延機の入側に到達した際の被圧延材の仕上入側温度を、データベースを用いたモデルによって算出し、算出した仕上入側温度に基づいて、前記被圧延材が仕上圧延機の入側で待機するのに要する仕上入側待機時間を算出し、算出した仕上入側待機時間を考慮して、スラブを加熱炉から抽出する間隔を決定する演算手段を備え、前記演算手段の前記データベースを用いたモデルでは、過去実績における製造条件を説明変数、被圧延材の仕上入側温度の実績値を目的変数として蓄積し、予測対象の説明変数を取得した際に、予測対象と過去実績との類似度に応じた重み係数及び過去実績における説明変数と目的変数を用いて、予測対象の目的変数を算出するスラブの加熱炉抽出間隔決定装置。
本発明によると、被圧延材の仕上入側温度を精度よく算出することができ、加熱炉から抽出するスラブの適正な間隔をより高精度で決定できるので、熱間圧延ラインの生産効率を向上させることができる。
図1は、熱間圧延ラインの概略図である。 図2は、スラブの抽出間隔を決定する方法を示すフロー図である。 図3は、ミルペーシング制御における各チェックポイントの被圧延材の先端部、尾端部の通過時刻を示す図である。 図4は、重み付き最小二乗法に関するフロー図である。 図5は、重み付き平均法に関するフロー図である。 図6は、仕上入側温度の算出値から仕上入側待機時間を算出する方法を示すフロー図である。 図7は、熱間圧延ラインにおける当材及び前材の時間と位置との関係を示すグラフである。 図8は、実施例における結果を示すグラフである。
まず、図1を用いて、本発明が適用される熱間圧延ライン(熱間圧延設備)の概略について説明する。
加熱炉1において圧延加工が可能な温度まで昇温されたスラブは、粗圧延機2及び仕上圧延機4により製品厚まで圧延される。その後、ランアウトテーブル5において冷却され、コイラー6によって巻き取られることで、熱延鋼板が製造される。
熱間圧延ラインにおいて制御圧延を行う場合、製品品質の作り込みの観点から、仕上圧延機4で圧延を行える温度には上限値(所定の温度)が設けられる。よって、上限値を超える温度の被圧延材は、仕上圧延機の入側(仕上入側待機ポイント3)で上限値以下(所定の温度以下)となるまで待機させ、空冷した後に、仕上圧延を開始する。
加熱炉1からは、所定の間隔を開けてスラブが抽出される。抽出されたスラブは、被圧延材として順番に粗圧延機2及び仕上圧延機4にて熱間圧延を受ける。スラブを加熱炉1から抽出する際には、これから抽出される被圧延材(当材)が、一つ前の被圧延材(前材)と衝突しないように、スラブの加熱炉抽出間隔(単に「抽出間隔」ともいう。)を決定する必要がある。スラブの抽出間隔を決定する際には、前述した仕上入側待機ポイント3における被圧延材の仕上入側待機時間を考慮する。
次に、図2のフロー図を用いて、加熱炉におけるスラブの抽出間隔を決定する具体的な方法を説明する。
まず、ステップ1における設定計算により、図1に示す熱間圧延ラインの基本的な運転条件を設定する。
ここで、設定計算とは、加熱炉から抽出される被圧延材に対して、抽出時のスラブ温度実績、あるいは予測温度とスラブサイズから、熱間圧延終了時の板厚目標、温度目標値を達成するための、粗圧延、仕上圧延における、各圧延スタンドにおける板厚設定、速度設定、荷重設定や、仕上圧延機スタンド間張力設定などを定める計算であり、併せて、圧延機間、圧延機内の被圧延材の搬送速度設定や、仕上圧延入側、仕上圧延出側、コイラー巻き取りなどの各ポイントでの被圧延材の目標温度なども設定する計算である(参考文献「板圧延の理論と実際」社団法人鉄鋼協会発行、発効日昭和59年9月1日など参照)。
これにより、ステップ2−1及び2−2のように、ライン上における被圧延材の搬送速度のパターンが決定され、加熱炉を出てからライン上に設定された複数のチェックポイントまでの搬送時間が計算される。
ここで、図3はミルペーシング制御における各チェックポイント、の被圧延材(前材、当材)の先端部、尾端部の通過時刻を示す図である(経過時間は縦軸)。仕上ミルは複数スタンド(通常7スタンド程度)から構成されており、図3では入側の最初のスタンド(Fミル表記)まで記載されている。
被圧延材の搬送速度のパターンは、前述のように被圧延材の各チェックポイントまでの搬送時間をつなげ作成されたもので、各被圧延材のスケジュールとしては、加熱炉抽出後の起点(例えば図3におけるHSB(ホットスケールブレーカ))を定め、その起点からの経過時間として、各チェックポイントの時刻が設定される(先端、尾端ともに同様に設定される)。
次いでステップ3のように、ライン上に定められた各チェックポイントにおいて、起点からの経過時間として設定された当材先端の進入時刻(当材進入時刻)と、前材尾端が抜ける時刻(前材抜け時刻)との差を求める。尚、この際には、ステップ2−3〜ステップ2―5のように、仕上圧延機の入側で被圧延材が待機する時間を考慮に入れる必要がある。また、当材を処理するための設備設定の変更に要する時間(設備設定替え時間)を別途考慮に入れる必要がある。そして、(前材抜け時刻+設備設定替え時間−当材進入時刻)で求められる時刻の差が、当該チェックポイントにおける前材の払い出しから当材の受け入れまでの間に必要な時間以上、例えば前述の仕上圧延機の入側で被圧延材が待機する時間などを考慮した時間以上となるように、前材と当材との間の必要間隔が計算される。ライン全体において当材と前材との衝突を防ぐためには、各チェックポイントで求められた必要間隔のうち、最大となる必要間隔以上の間隔を設けて、加熱炉からスラブを抽出する必要がある(ステップ4)。つまり、ステップ3で計算された必要間隔の最大値が、前材と当材との衝突を防ぎつつ被圧延材同士の間隔を最小化してラインの生産効率を高められる、適正なスラブの抽出間隔となる。
前材と当材との抽出間隔をより精度よく求めるためには、制御圧延を行う際の仕上入側待機ポイントにおける被圧延材の待機時間を正確に算出することが求められる。例えばこの待機時間が正確に算出できないと、当材と前材との衝突を防ぐためにより安全を見て待機時間を過大に見込んでしまい、特に仕上圧延以降のステップにおいて前材と当材との間隔が必要以上に開き、生産効率を低下させることにつながる。
本発明では、図2のステップ2−3〜ステップ2−5に示すように、データベースモデルを用いた方法によって、被圧延材の仕上入側温度を正確に算出することができる。これにより、仕上入側待機時間も正確に算出することができ、より精度よく適正なスラブの抽出間隔を決定することができるので、ラインの生産効率を向上させることが可能となる。
データベースを用いた方法では、データベースにおいて過去の操業時の製造条件及び被圧延材の仕上入側温度の実績値を、それぞれ説明変数及び目的変数として蓄積し、予測対象(当材)と過去実績との類似度に応じた重み係数及び過去実績における目的変数を用いて、予測対象の目的変数を算出する。類似度に応じた重み係数を用いることで、予測対象の被圧延材と時間的或いは製造条件的に近い過去実績のデータをより重視して計算を行うことができ、説明変数の非線形性にも対応可能でより精度の高い温度算出が可能となる。より具体的には、重み付き最小二乗法、又は重み付き平均法という方法を用いることができる。以下において説明する。
(重み付き最小二乗法)
図4のフロー図を用いて、重み付き最小二乗法について説明する。まず、予測対象とする被圧延材(当材)の説明変数を取得する。説明変数は、被圧延材の温度を予測する際に用いられる製造条件に関する各種パラメータである。説明変数の具体例としては、被圧延材の鋼種コード、粗圧延前の被圧延材の寸法(スラブの長さ、スラブの幅、及びスラブの板厚)、粗圧延後の被圧延材の寸法、加熱炉内の温度、及び被圧延材の設定計算による仕上入側温度の予測値等を挙げることができる。尚、図4において説明変数は、x 、x 、・・・x といった符号で示される。
鋼種コードは、C及びCr等に代表される、鋼の機械的特性を決定する上で重要な成分組成と相関関係があるパラメータである。
被圧延材の設定計算による仕上入側温度の予測値は、加熱炉から抽出される際のスラブの温度から、伝熱モデル等を用いて算出することができる。伝熱モデルとしては、従来公知の方法を用いることができ、特に制限されない。伝熱モデルの典型例としては、特許文献2に開示された、熱伝導方程式を差分法で解くモデルを挙げることができる。
また、設定計算による仕上入側温度の予測値を説明変数に加えることにより、実質的には、設定計算で予測した仕上入側温度の誤差を極小化するモデルをデータベースから抽出したデータに基づいて構築することとなる。
次に、データベースから、過去の圧延実績における説明変数と目的変数とを抽出する。データベース内には、過去の操業時の説明変数、及び目的変数(仕上圧延機の入側に到達した際のスラブの実績温度)のデータが多数蓄積されている。本発明では、これら過去のデータのうち複数のデータを選択、抽出して以下の計算に用いてもよいし、過去のデータのうち全てのデータを抽出して以下の計算に用いてもよい。
データベースから抽出した過去のデータの目的変数(y、y、y、・・・y:総称して「Y」と書く。)と、予測対象となる被圧延材(圧延予定材)の目的変数予定値との差の二乗に、圧延予定材と過去実績との類似度に基づいて設定された重み係数を乗じた和を計算する。この和の計算値が最小となるように、モデルパラメータを設定する。
具体的には、以下の式(1)に示される重み付き最小二乗を行い、モデルパラメータを算出する。
また、上記式(1)で示されるWは、重み係数wi(i=0、1、・・・n―1、nはデータ数、0<wi<1)を対角成分に備えた重み行列である。具体的には、以下の式(2)に示す。
重み係数wiは、蓄積された実績データのうち類似度の高いデータほど大きい値とする。これにより、大きい重み係数が設定された実績データほど、圧延予定材の目的変数を算出する上でより重視されることになる。重み係数wiの値は、過去データとの類似度をどのように設定するかによって適宜変更することができる。例えば、過去データのうち、時間的により近いデータほど重み係数を大きくし、時間的により遠いデータほど重み係数を小さくすることも有効である。また、過去データの説明変数と圧延予定材の説明変数とのベクトル空間上における距離を算出し、この距離に基づいて重み係数を設定することも有効である。この場合、距離が小さいほど両データの類似性が高いと推定されるので、距離の小さい過去データほど重み係数を大きく、距離の大きい過去データほど重み係数を小さくすればよい。具体的には、距離を変数とするガウス関数などが用いられる。
最後に、以下の式(3)のように、求めたモデルパラメータ、及び圧延予定材の説明変数を用いて、圧延予定材の仕上入側温度(目的変数)が計算される。
(重み付き平均法)
次に、図5を用いて、重み付き平均法について説明する。
まず上述の説明と同様に、予測対象の説明変数を取得し、データベースから過去実績のデータを抽出する。
次に、抽出した過去実績の目的変数に、予測対象との類似度に応じた重み係数を乗じた荷重平均(重み付き平均)を行う。これにより、圧延予定材の仕上入側温度(目的変数)が計算される。
上記の重み係数wは、過去実績のデータのうち今回の圧延材との類似度に応じて設定される値である。前述したように、圧延予定材と過去実績のデータとの時間の近接度合いによってwの大小を決定してもよいし、圧延予定材の説明変数と過去実績のデータの説明変数とのベクトル空間上における距離に応じてwの大小を決定してもよい。
上述のように、仕上入側温度を算出した後、被圧延材が仕上圧延機の入側で待機するのに要する仕上入側待機時間を計算する。具体的には、図6のフロー図を用いて説明する。まず、上述のようなデータベースを用いる方法によって、仕上入側温度を算出した後に、算出値と、制御圧延において設定された上限値とを比較する。算出値が上限値超となる場合には、算出値と上限値との差(超過温度)を計算する。次いで、超過温度を冷却係数で除することにより仕上入側待機時間が算出される。この場合、実際の通板時には、算出した仕上入側待機時間の分だけ、仕上入側待機ポイントにて被圧延材の待機作業が実施されると予測される。一方で、算出値が上限値超とならない場合には、被圧延材の待機が実施されずにそのまま仕上圧延が行われると予測されるので、仕上入側待機時間を算出する必要はない。
前述した冷却係数は、被圧延材が空冷によって単位時間あたりどれだけ温度低下するかを示す係数であり、被圧延材の鋼種や寸法等に応じて適宜決定される。
算出した仕上入側待機時間を用いてスラブの抽出間隔を決定することは、ネックポイント(当材と前材との必要間隔が最大となるチェックポイント)が仕上入側待機ポイントよりも下流にある場合に特に効果的である。
被圧延材の待機を行う場合、仕上入側待機ポイントよりも下流では、仕上入側待機時間の分だけ実際の被圧延材の到達時間は遅くなる。つまり、仕上入側待機ポイントよりも下流のネックポイントでは、仕上入側待機時間の分だけ当初の抽出間隔よりも被圧延材同士の間隔が開く。よって、オシレーション(仕上入側での待機)による遅れ時間を見込んで加熱炉におけるスラブの抽出間隔を決定することで、抽出間隔を小さくすることができ、能率改善効果が得られる。
具体的には、図7を用いて説明する。図7には、横軸に熱間圧延ラインの位置、縦軸に時間をとったグラフを示す。当材と前材とは、所定の間隔(ピッチ)を開けて通板される。上述したように、当材と前材との加熱炉からの抽出間隔は、当材と前材との必要間隔の最大値として設定される。図7(a)では、仕上入側待機ポイントよりも下流のポイントAをネックポイントとし、これらのネックポイントでは当材と前材との間隔として時間xが必要であるとする。図7(a)は、仕上入側待機ポイントでの待機時間を考慮に入れず、加熱炉における当材と前材との抽出間隔をxとした例である。この場合、仕上入側待機ポイントよりも上流では当材と前材との間で必要間隔(x)が設けられているものの、仕上入側待機ポイントでの待機時間の分(x)だけ、仕上入側待機ポイントよりも下流では当材と前材との間隔が広がってしまう。このように仕上入側待機ポイントよりも下流では、当材と前材とが過大な間隔をもって通板されることになり、ラインの生産効率が低下する。
一方で、図7(b)では仕上入側待機時間の分(x)だけ、前材と当材との加熱炉における抽出間隔を短くする。このようにすると、仕上入側待機を行った後のネックポイント(A)において、過不足のない必要間隔(x)が確保される。よって、加熱炉における抽出間隔を短くして、ラインの生産効率を向上させることができる。
なお、上述の各ステップは、適宜演算手段を用いて行えばよく、上述した本発明の方法は、例えば上述の各ステップを実施するための演算手段を備えるスラブの加熱炉抽出間隔決定装置により行うことができる。前記演算手段としては、特に限定されず、例えばパーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータ等の情報処理装置を用いることができる。
比較例として特許文献2に示す伝熱モデルを用いた従来のロジックと、本発明例として本発明に係るロジック(重み付き最小二乗法を用いる)とをオフラインコンピュータに実装し、仕上圧延機入側での被圧延材の待機時間(OSC時間)を予測し、実際の待機時間との比較を行った。図8に結果を示す。(a)が比較例、(b)が本発明例の結果である。横軸にOSC時間の予測値を示し、縦軸に実績値を示す。全体のトレンドが、実績=予測となるy=x上の直線に近づくほど、計算精度が高いことになる。尚、OSC時間の予測計算の際には、データベースから過去2週間分の被圧延材の圧延実績データ(説明変数及び目的変数)を抽出した。説明変数としては、被圧延材の鋼種コード、粗圧延前後の被圧延材の寸法、加熱炉における加熱条件、伝熱モデルを用いて算出した被圧延材の仕上入側温度の予測値、及び圧延条件を使用し、目的変数としては被圧延材の仕上入側温度の実績値を使用した。
図8において(b)の方が(a)よりもy=xとの相関性が強く、本発明例の方が比較例に比べて温度の推定精度が高いことが確認された。予測誤差の標準偏差は、比較例で10.4sec、本発明例で7.4secとなっており、このことからも本発明例では計算精度が高いことが示された。待機時間の予測精度はミルペーシングにおけるスラブの抽出間隔の計算精度に直結するので、本発明を利用することにより、加熱炉におけるスラブの抽出間隔を適正化でき、生産能率の向上を図ることができることが確認された。
1 加熱炉
2 粗圧延機
3 仕上入側待機ポイント
4 仕上圧延機
5 ランアウトテーブル
6 コイラー

Claims (7)

  1. 所定の温度以下で仕上圧延を開始する制御圧延を行う熱間圧延ラインにおけるスラブの加熱炉抽出間隔決定方法であって、
    仕上圧延機の入側に到達した際の被圧延材の仕上入側温度を、データベースを用いたモデルによって算出し、
    算出した仕上入側温度に基づいて、前記被圧延材が仕上圧延機の入側で待機するのに要する仕上入側待機時間を算出し、
    算出した仕上入側待機時間を考慮して、スラブを加熱炉から抽出する間隔を決定するに際し、
    前記データベースを用いたモデルでは、過去実績における製造条件を説明変数、被圧延材の仕上入側温度の実績値を目的変数として蓄積し、予測対象の説明変数を取得した際に、予測対象と過去実績との類似度に応じた重み係数及び過去実績における説明変数と目的変数を用いて、予測対象の目的変数を算出するスラブの加熱炉抽出間隔決定方法。
  2. 前記データベースを用いたモデルでは、予測対象の目的変数と過去の目的変数との差に、前記重み係数を乗じた重み付き最小二乗を行い、重み付き最小二乗における計算値が最小となるようにモデルパラメータを設定し、該モデルパラメータと予測対象の説明変数とを用いて予測対象の目的変数を算出する請求項1に記載のスラブの加熱炉抽出間隔決定方法。
  3. 前記データベースを用いたモデルでは、過去の目的変数に前記重み係数を乗じた荷重平均を行うことにより、予測対象の目的変数を算出する請求項1に記載のスラブの加熱炉抽出間隔決定方法。
  4. 前記説明変数は、被圧延材の成分と相関のある鋼種コード、粗圧延前の被圧延材の寸法、粗圧延後の被圧延材の寸法、加熱炉内の温度、及び伝熱モデルを用いて算出した被圧延材の仕上入側温度の予測値を含む請求項1から3までのいずれか一項に記載のスラブの加熱炉抽出間隔決定方法。
  5. 仕上入側待機時間を考慮してスラブの加熱炉抽出間隔を決定する際に、
    必要となる被圧延材の間隔が最大となるネックポイントが、被圧延材の待機する仕上入側待機ポイントよりも下流にある場合に、算出した仕上入側待機時間の分だけスラブの抽出間隔を短く設定する請求項1から4までのいずれか一項に記載のスラブの加熱炉抽出間隔決定方法。
  6. 請求項1から5までのいずれか一項に記載のスラブの加熱炉抽出間隔決定方法を用いて決定した間隔によってスラブを加熱炉から抽出した後に、熱間圧延を行う熱延鋼板の製造方法。
  7. 所定の温度以下で仕上圧延を開始する制御圧延を行う熱間圧延ラインにおけるスラブの加熱炉抽出間隔を決定するためのスラブの加熱炉抽出間隔決定装置であって、
    前記スラブの加熱炉抽出間隔決定装置は、仕上圧延機の入側に到達した際の被圧延材の仕上入側温度を、データベースを用いたモデルによって算出し、
    算出した仕上入側温度に基づいて、前記被圧延材が仕上圧延機の入側で待機するのに要する仕上入側待機時間を算出し、
    算出した仕上入側待機時間を考慮して、スラブを加熱炉から抽出する間隔を決定する演算手段を備え、
    前記演算手段の前記データベースを用いたモデルでは、過去実績における製造条件を説明変数、被圧延材の仕上入側温度の実績値を目的変数として蓄積し、予測対象の説明変数を取得した際に、予測対象と過去実績との類似度に応じた重み係数及び過去実績における説明変数と目的変数を用いて、予測対象の目的変数を算出するスラブの加熱炉抽出間隔決定装置。
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