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JP2018193815A - 補強済建物及びその製造方法 - Google Patents

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JP2018193815A
JP2018193815A JP2017100016A JP2017100016A JP2018193815A JP 2018193815 A JP2018193815 A JP 2018193815A JP 2017100016 A JP2017100016 A JP 2017100016A JP 2017100016 A JP2017100016 A JP 2017100016A JP 2018193815 A JP2018193815 A JP 2018193815A
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純二 尾▲崎▼
Junji Ozaki
純二 尾▲崎▼
巧弥 柿原
Takuya Kakihara
巧弥 柿原
弘幸 都祭
Hiroyuki Tosai
弘幸 都祭
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Ube Construction Materials Co Ltd
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FUKUYAMA UNIV
Ube Construction Materials Co Ltd
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Abstract

【課題】既存建物の中間層部に対する補強を簡易且つ低コストに行う。
【解決手段】補強済建物1は、既存建物10と、既存建物10を補強する補強構造物20とを備える。補強構造物20は、既存建物10の柱部11に沿って配置された補強柱部21と、既存建物10の梁部に沿って配置された補強梁部22と、既存建物10の交差部13に対応する位置に配置された補強交差部23とを有する。補強柱部21及び補強梁部22は、鉄筋が埋設されたコンクリート硬化体を含む。補強交差部23は、鉄筋が埋設されたポリマーセメントモルタル硬化体を含む。梁部12のうち上縁側で且つ既存建物10の外表面側の隅部には切欠き部12Aが設けられている。補強梁部22は、コンクリート硬化体が切欠き部12Aに係止されることにより、梁部12に支持されている。
【選択図】図3

Description

本開示は、補強済建物及びその製造方法に関する。
既存建物の耐震性能を向上させるために、近年、種々の工法が提案されている。非特許文献1は、既存建物の補強を簡易且つ低コストに行う補強構造物の製造方法を開示している。当該方法は、既存建物の外壁面側で且つ柱部、梁部及び交差部に対応する位置に鉄筋を配置する工程と、鉄筋のうち柱部に対応する部分に構成された第1の型枠内と、鉄筋のうち梁部に対応する部分に構成された第2の型枠内とにそれぞれコンクリートを打設する工程と、鉄筋のうち交差部にする部分に構成された第3の型枠内にポリマーセメントモルタルを充填する工程とを含む。ポリマーセメントモルタルが硬化したモルタル硬化体の圧縮強度は、コンクリートが硬化したコンクリート硬化体の圧縮強度よりも大きくなる。
「建築技術性能証明評価概要報告書 デザインUフレーム工法−外付けRCフレームによる耐震補強工法−」、一般財団法人 日本建築総合試験所、GBRC性能証明第13-27号
ところで、例えば、中高層の既存建物(10階〜15階程度の既存建物)においては、下層部が鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)で構成されており、中間層部(例えば6階近傍部分)から上層部にかけて鉄筋コンクリート造(RC造)で構成されていることがある。すなわち、中間層部において、構造形式がSRC造からRC造に切り替わることがある。SRC造の下層部は、RC造の中間層部の耐震性能と比較して、十分な耐震性能が確保されていることがある。このような既存建物を補強する際に、既存建物の1階部分から補強構造物を構築すると、中間層部を補強する前に、すでに十分な強度を有する下層部も補強される。そのため、下層部に対する補強構造物の構築が、コスト増及び工期の長期化の要因となり得る。
そこで、本開示は、既存建物の中間層部に対する補強を簡易且つ低コストに行うことが可能な補強済建物及びその製造方法を説明する。
[1]本開示の一つの観点に係る補強済建物は、既存建物と、既存建物を補強する補強構造物とを備える。既存建物は、鉄筋を内部に含む柱部と、鉄筋を内部に含む梁部と、柱部及び梁部が交差する箇所に位置し且つ柱部の端部及び梁部の端部にそれぞれ接続された交差部とを有する。補強構造物は、柱部に沿って配置され、鉄筋が埋設されたコンクリート硬化体を含む補強柱部と、梁部に沿って配置され、鉄筋が埋設されたコンクリート硬化体を含む補強梁部と、交差部に対応する位置に配置され、補強柱部の端部及び補強梁部の端部にそれぞれ接続され、鉄筋が埋設されたポリマーセメントモルタル硬化体を含む補強交差部とを有する。梁部のうち上縁側で且つ既存建物の外表面側の隅部には切欠き部が設けられている。補強梁部は、コンクリート硬化体が切欠き部に係止されることにより、梁部に支持されている。
本開示の一つの観点に係る補強済建物では、補強梁部が切欠き部に係止されることにより、梁部に支持されている。そのため、梁部の切欠き部が補強梁部を既存建物に対して引っ掛けるフックのように機能するので、補強梁部が既存建物に対して支持されると共に、切欠き部において大きな剪断抵抗力が発揮される。従って、切欠き部を介して補強梁部の重量が梁部に極めて確実に伝達されるので、補強梁部を既存建物の下層部に対して構築することなしに、補強が求められる既存建物の中間層部に対して補強を行うことができる。その結果、既存建物の中間層部に対する補強を簡易且つ低コストに行うことが可能となる。
[2]上記第1項に記載の補強済建物において、切欠き部は、梁部の端部に位置しており、切欠き部と隣り合う交差部と離間していてもよい。ここで、地震等の発生によって補強済建物に対し水平方向の外力が作用すると、既存建物においては梁部と交差部との接続部分において破壊が生じやすい。そのため、切欠き部がこれと隣り合う交差部と離間していると、梁部のうち破壊が生じやすい部分における断面積の減少を招き難い。従って、梁部の強度を十分に確保することができる。
[3]上記第2項に記載の補強済建物において、切欠き部の内側端縁は、切欠き部と隣り合う交差部から、切欠き部が設けられている梁部の両端側に位置する柱部の内法の1/3の長さまでの範囲内に位置していてもよい。既存建物の梁部は床、壁等の重量を長期的に支持するので、梁部の中央部は特に撓みやすい。そのため、切欠き部が梁部の中央部に設けられると、梁部は大きく撓んでしまいうる。しかしながら、第3項に記載の補強済建物によれば、切欠き部の内側端縁が梁部の中央部から離れて位置する。そのため、梁部によって補強梁部が支持されている箇所が撓み難い。従って、梁部による補強梁部の支持力を十分に確保することができる。
[4]上記第2項又は第3項に記載の補強済建物において、切欠き部の水平方向における長さは梁部の長さの1/50〜1/4であってもよい。切欠き部の水平方向における長さが梁部の長さの1/50以上であると、補強梁部のコンクリート硬化体のうち切欠き部に位置する部分が、切欠き部によってしっかりと係止される傾向にある。切欠き部の水平方向における長さが梁部の長さの1/4以下であると、切欠き部が梁部の中央部ではなく端部寄りに位置するので、梁部の中央部に対する長期的な負荷が小さくなる傾向にある。
[5]上記第1項〜第4項のいずれか一項に記載の補強済建物において、切欠き部の鉛直方向における高さは、50mm以上で且つ梁部の梁成の1/2以下であってもよい。切欠き部の鉛直方向における高さが梁部の梁成の50mm以上であると、補強梁部のコンクリート硬化体のうち切欠き部に位置する部分が、切欠き部によってしっかりと係止される傾向にある。切欠き部の鉛直方向における高さが梁部の梁成の1/2以下であると、梁部のうち切欠き部の下側に位置する部分の大きさが十分に確保されるので、重量物である補強梁部が梁部によってしっかりと支持される傾向にある。
[6]上記第1項〜第5項のいずれか一項に記載の補強済建物において、切欠き部の角部は下方に向けて窪んでいてもよい。この場合、補強梁部のコンクリート硬化体のうち切欠き部に位置する部分が、切欠き部内に食い込みやすくなる。そのため、補強梁部を既存建物に対してより確実に支持することができる。
[7]上記第1項〜第6項のいずれか一項に記載の補強済建物において、補強構造物は、梁部と補強梁部とにわたってこれら双方の内部に挿通された接続部材をさらに有してもよい。この場合、接続部材を介して梁部及び補強梁部が一体化される。そのため、補強構造物の重量が接続部材を介して梁部に伝達されるので、補強梁部を既存建物に対してより確実に支持することができる。
[8]上記第1項〜第6項のいずれか一項に記載の補強済建物において、補強構造物は、切欠き部と補強梁部との間に位置する金属板をさらに有してもよい。この場合、切欠き部が金属板によって補強されるので、切欠き部においてより大きな剪断抵抗力を得ることができる。
[9]上記第8項に記載の補強済建物において、補強構造物は、梁部と補強梁部とにわたってこれら双方の内部に挿通された接続部材をさらに有し、接続部材は金属板に設けられた貫通孔に挿通されていてもよい。この場合、接続部材を介して梁部、補強梁部及び金属板が一体化される。そのため、補強構造物の重量が接続部材及び金属板を介して梁部に伝達されるので、補強梁部を既存建物に対してより確実に支持することができる。また、切欠き部が金属板によって補強されるので、切欠き部においてより大きな剪断抵抗力を得ることができる。
[10]上記第8項又は第9項に記載の補強済建物において、金属板には補強梁部内において延在する固定部材が設けられていてもよい。この場合、固定部材を介して補強梁部のコンクリート硬化体と金属板とが一体化される。そのため、補強構造物の重量が固定部材及び金属板を介して梁部に伝達されるので、補強梁部を既存建物に対してより確実に支持することができる。
[11]本開示の他の観点に係る補強済建物の製造方法は、柱部と、鉄筋を内部に含む梁部と、柱部及び梁部が交差する箇所に位置し且つ柱部の端部及び梁部の端部にそれぞれ接続された交差部とを有する既存建物に補強構造物を設けて既存建物が補強構造物によって補強された補強済建物を製造する方法であって、梁部のうち上縁側で且つ既存建物の外表面側の隅部を斫ることにより切欠き部を形成する第1の工程と、第1の工程の後に、柱部、梁部及び交差部にそれぞれ対応する位置に鉄筋を配置する第2の工程と、第2の工程の後に、柱部に配置された鉄筋を覆うように第1の型枠を設け、第1の型枠内にコンクリートを打設することにより補強柱部を形成する第3の工程と、第2の工程の後に、梁部に配置された鉄筋を覆うように第2の型枠を設け、切欠き部を充填しつつ第2の型枠内にコンクリートを打設することにより補強梁部を形成する第4の工程と、第2の工程の後に、交差部に配置された鉄筋を覆うように第3の型枠を設け、第3の型枠内にポリマーセメントモルタルを充填することにより補強交差部を形成する第5の工程とを含む。本実施形態の他の例に係る補強済建物の製造方法は、上記第1項に係る補強済建物と同様の作用効果を奏する。
[12]上記第11項に記載の方法において、切欠き部は、梁部の端部に位置しており、切欠き部と隣り合う交差部と離間していてもよい。この場合、上記第2項に係る補強済建物と同様の作用効果が得られる。
[13]上記第12項に記載の方法において、切欠き部の内側端縁は、切欠き部と隣り合う交差部から、切欠き部が設けられている梁部の両端側に位置する柱部の内法の1/3の長さまでの範囲内に位置していてもよい。この場合、上記第3項に係る補強済建物と同様の作用効果が得られる。
[14]上記第12項又は第13項に記載の方法において、切欠き部の水平方向における長さは梁部の長さの1/50〜1/4であってもよい。この場合、上記第4項に係る補強済建物と同様の作用効果が得られる。
[15]上記第11項〜第14項のいずれか一項に記載の方法において、切欠き部の鉛直方向における高さは、50mm以上で且つ梁部の梁成の1/2以下であってもよい。この場合、上記第5項に係る補強済建物と同様の作用効果が得られる。
[16]上記第11項〜第15項のいずれか一項に記載の方法において、切欠き部の角部は下方に向けて窪んでいてもよい。この場合、上記第6項に係る補強済建物と同様の作用効果が得られる。
[17]上記第11項〜第16項のいずれか一項に記載の方法は、第1の工程の後で且つ第4の工程の前に、先端部が外部に位置するように接続部材の基端部を梁部内に取り付ける第6の工程をさらに含み、第4の工程では、梁部に配置された鉄筋及び接続部材の先端部を覆うように第2の型枠を設け、切欠き部を充填しつつ第2の型枠内にコンクリートを打設することにより補強梁部を形成してもよい。この場合、上記第7項に係る補強済建物と同様の作用効果が得られる。
[18]上記第11項〜第16項のいずれか一項に記載の方法は、第1の工程の後で且つ第4の工程の前に切欠き部に金属板を取り付ける第6の工程をさらに含み、第4の工程では、梁部に配置された鉄筋及び金属板を覆うように第2の型枠を設け、切欠き部を充填しつつ第2の型枠内にコンクリートを打設することにより補強梁部を形成してもよい。この場合、上記第8項に係る補強済建物と同様の作用効果が得られる。
[19]上記第19項に記載の方法は、第1の工程の後で且つ第4の工程の前に、先端部が外部に位置するように接続部材の基端部を梁部内に取り付ける第7の工程をさらに含み、第4の工程では、金属板に設けられた貫通孔に接続部材が挿通された状態で、梁部に配置された鉄筋、接続部材の先端部及び金属板を覆うように第2の型枠を設け、切欠き部を充填しつつ第2の型枠内にコンクリートを打設することにより補強梁部を形成してもよい。この場合、上記第9項に係る補強済建物と同様の作用効果が得られる。
[20]上記第18項又は第19項に記載の方法において、金属板には固定部材が設けられており、第4の工程では第2の型枠が固定部材を覆っており、固定部材は補強梁部内に延在していてもよい。この場合、上記第10項に係る補強済建物と同様の作用効果が得られる。
本開示に係る補強済建物及びその製造方法によれば、既存建物の中間層部に対する補強を簡易且つ低コストに行うことが可能となる。
図1は、既存建物に補強構造物が施工された補強済建物の一つの例(第1の例)を示す斜視図である。 図2は、図1の一部を模式的に示す正面図である。 図3は、図2のIII−III線断面図である。 図4は、補強済建物の他の例(第2の例)を図3と同様に切断したときの断面図である。 図5は、補強済建物の他の例(第3の例)を図3と同様に切断したときの断面図である。 図6は、補強済建物の他の例(第4の例)の一部を模式的に示す正面図である。 図7は、補強済建物の他の例(第5の例)の一部を模式的に示す正面図である。
以下に説明される本開示に係る実施形態は本発明を説明するための例示であるので、本発明は以下の内容に限定されるべきではない。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
<補強済建物の構成>
図1〜図3を参照して、本実施形態に係る補強済建物1の構造について説明する。補強済建物1は、既存建物10に補強構造物20が施工されたものである。既存建物10は、柱部11と、梁部12と、交差部13と、外壁14と、窓15と、スラブ部(図示せず)とを備える。柱部11、梁部12、交差部13及びスラブ部は、例えば鉄筋コンクリートによって構成される。
例えば梁部12は、図3に示されるように、コンクリート硬化体内に鉄筋R1が埋設されて構成されている。鉄筋R1は、梁部12の延在方向に延びる複数の主筋R1aと、複数の主筋R1aを取り囲むように複数の主筋R1aに取り付けられた複数の剪断補強筋R1bとを有する。
柱部11は、基礎部(図示せず)上に設けられ、鉛直方向に沿って延びる。梁部12は、隣り合う柱部11の間に配設され、水平方向に沿って延びる。そのため、柱部11と梁部12とが組み立てられた組物は、格子状を呈している。柱部11及び梁部12は、例えば矩形断面を有する四角柱状を呈する。柱部11の厚み(奥行)は、400mm〜1000mm程度であってもよい。柱部11の幅は、400mm〜1000mm程度であってもよい。梁部12の厚み(奥行)は、例えば200mm〜500mm程度であってもよい。梁部12の幅は、500mm〜1200mm程度であってもよい。
交差部13は、柱部11と梁部12とが交差する箇所に位置する部分である。交差部13は、柱部11の一部としても機能する。外壁14は、柱部11及び梁部12の間において鉛直面に沿って延びている。窓15は、外壁14のうち柱部11と梁部12とで囲まれる領域に設けられている。
スラブ部は、柱部11及び梁部12の間において水平面に沿って延びている。スラブ部は、床や天井として機能する。なお、図1に例示される既存建物10は、9階建ての建物である。
補強構造物20は、既存建物10の外壁面上に設けられている。補強構造物20は、補強柱部21と、補強梁部22と、補強交差部23と、接続部材30とを有する。補強柱部21、補強梁部22及び補強交差部23は、例えば矩形断面を有する四角柱状を呈する。
補強柱部21は、既存建物10の外壁面上で且つ柱部11に対応する位置に配置されている。補強柱部21は、柱部11の延在方向と同一方向に沿って延びている。図1に示される例において、補強柱部21は、既存建物10の5階から7階の間において鉛直方向に沿って延びている。補強柱部21の厚さ(奥行)は、例えば350mm〜600mm程度であってもよい。補強柱部21の幅は、500mm〜800mm程度であってもよい。
補強梁部22は、既存建物10の外壁面上で且つ梁部12に対応する位置に配置されている。補強梁部22は、梁部12の延在方向と同一方向に沿って延びている。すなわち、補強梁部22は、水平方向に沿って延びている。補強梁部22は、水平方向において隣り合う補強柱部21の間に位置している。補強梁部22の厚さ(奥行)は、例えば350mm〜600mm程度であってもよい。補強梁部22の梁成(高さ)は、500mm〜900mm程度であってもよい。
補強交差部23は、既存建物10の外壁面上で且つ交差部13に対応する位置に配置されている。補強交差部23は、補強柱部21及び補強梁部22の端部同士を接続している。そのため、補強交差部23は、補強柱部21と補強梁部22との交点に位置している。従って、補強構造物20は、補強柱部21、補強梁部22及び補強交差部23によって格子状に構成されている。補強交差部23の厚さ(奥行)は、例えば、補強梁部22の厚さと同程度であってもよいし、600mm以下であってもよい。
補強柱部21及び補強梁部22は、例えば鉄筋コンクリート(鉄筋が埋設されたコンクリート硬化体)によって構成されている。例えば補強梁部22は、図3に示されるように、コンクリート硬化体内に鉄筋R2が埋設されて構成されている。鉄筋R2は、補強梁部22の延在方向に延びる複数の主筋R2aと、複数の主筋R2aを取り囲むように複数の主筋R2aに取り付けられた複数の剪断補強筋R2bとを有する。
補強交差部23は、例えば鉄筋が埋設されたモルタル硬化体によって構成されている。モルタル硬化体は、ポリマーセメントモルタルが硬化されてなる。本実施形態において、モルタル硬化体の圧縮強度は、同日の材齢で比較した場合、コンクリート硬化体の圧縮強度よりも大きい。モルタル硬化体の材齢28日における圧縮強度は、65N/mm以上が好ましい。
<ポリマーセメントモルタル>
ここで、ポリマーセメントモルタルについて説明する。ポリマーセメントモルタルは、ポリマーセメント組成物と水との混合物である。
(i)ポリマーセメント組成物
ポリマーセメント組成物は、補強工法用のポリマーセメント組成物であって、セメント、細骨材、流動化剤、再乳化形粉末樹脂、無機系膨張材、及び、合成樹脂繊維を含有する。
セメントは、水硬性材料として一般的なものであり、いずれの市販品も使用することができる。それらの中でも、JIS R 5210:2009「ポルトランドセメント」に規定されるポルトランドセメントを含むことが好ましい。
強度発現性の観点からセメントのブレーン比表面積は、
好ましくは2000cm/g〜6000cm/gであり、
より好ましくは2500cm/g〜5000cm/gである。
細骨材としては、珪砂、川砂、陸砂、海砂及び砕砂等の砂類を例示することができる。細骨材は、これらの中から選択される一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、ポリマーセメントモルタルの型枠への充填性を一層円滑にする観点から、珪砂を含むことが好ましい。
細骨材をJIS A 1102:2014「骨材のふるい分け試験方法」に規定される方法でふるい分けた場合、連続する各ふるいの間にとどまる質量分率(%)が、ふるい目開き2000μmにおいて、0質量%であることが好ましい。ふるい目開き2000μmのふるいを細骨材がすべて通過する場合、上記質量分率は0質量%である。
連続する各ふるいの間にとどまる質量分率(%)が、
ふるい目開き1180μmにおいて、5.0〜25.0であり、
ふるい目開き600μmにおいて、20.0〜50.0であり、
ふるい目開き300μmにおいて、20.0〜50.0であり、
ふるい目開き150μmにおいて、5.0〜25.0であることが好ましい。
連続する各ふるいの間にとどまる質量分率(%)が、
ふるい目開き1180μmにおいて、10.0〜20.0であり、
ふるい目開き600μmにおいて、25.0〜45.0であり、
ふるい目開き300μmにおいて、25.0〜45.0であり、
ふるい目開き150μmにおいて、10.0〜20.0であることがより好ましい。
細骨材を上記規定でふるい分けた場合、連続する各ふるいの間にとどまる質量分率(%)が上述の範囲内であることにより、より良好な材料分離抵抗性及び流動性を有するモルタルや、より高い圧縮強度を有するモルタル硬化体を得ることができる。
細骨材をJIS A 1102:2014「骨材のふるい分け試験方法」に規定される方法でふるい分けた場合、細骨材の粗粒率が
好ましくは、1.80〜3.00であり、
より好ましくは、2.00〜2.80である。
細骨材の粗粒率が上述の範囲であることにより、より良好な材料分離抵抗性や流動性を有するポリマーセメントモルタルや、より良好な強度特性を有するモルタル硬化体を得ることができる。
上記ふるい分けは、JIS Z 8801−1:2006「試験用ふるい−第1部:金属製網ふるい」に規定される目開きの異なる数個のふるいを用いて行うことができる。
細骨材の含有量は、セメント100質量部に対して、
好ましくは80〜250質量部であり、
より好ましくは90質量部〜200質量部であり、
さらに好ましくは95質量部〜150質量部である。
細骨材の含有量を上述の範囲とすることにより、より高い圧縮強度を有するモルタル硬化体を得ることができる。
流動化剤は、メラミンスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物、カゼイン、カゼインカルシウム、及びポリカルボン酸系のもの等を例示することができる。流動化剤は、これらの中から選択される一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。このうち、高い減水効果を得る観点から、ポリカルボン酸系の流動化剤を含むことが好ましい。ポリカルボン酸系の流動化剤を用いることによって、水粉体比を低減して、モルタル硬化体の強度発現性を一層良好にすることができる。
流動化剤の含有量は、セメント100質量部に対して、
好ましくは0.05質量部〜2.0質量部であり、
より好ましくは0.10質量部〜1.0質量部である。
流動化剤の含有量を上述の範囲とすることにより、より良好な流動性を有するポリマーセメントモルタルを得ることができる。また、一層高い圧縮強度を有するモルタル硬化体を得ることができる。
再乳化形粉末樹脂は、特にその種類及び製造方法は限定されず、公知の製造方法で製造されたものを用いてもよい。また、再乳化形粉末樹脂は、表面にブロッキング防止剤を有していてもよい。モルタル硬化体の耐久性の観点から、再乳化形粉末樹脂は、アクリルを含有することが好ましい。さらに、接着性及び圧縮強度の観点から、再乳化形粉末樹脂のガラス転移温度(Tg)は、−5℃〜20℃の範囲であることが好ましい。
再乳化形粉末樹脂の含有量は、セメント100質量部に対して、
好ましくは0.2質量部〜5.0質量部であり、
より好ましくは0.5質量部〜4.0質量部である。
再乳化形粉末樹脂の含有量を上述の範囲とすることにより、ポリマーセメントモルタルの接着性と、モルタル硬化体の圧縮強度を一層高水準で両立することができる。
無機系膨張材としては、生石灰−石膏系膨張材、石膏系膨張材、カルシウムサルフォアルミネート系膨張材、及び生石灰−石膏−カルシウムサルフォアルミネート系膨張材等を例示することができる。無機系膨張材は、これらの中から選択される一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。このうち、モルタル硬化体の圧縮強度をより向上する観点から、生石灰−石膏−カルシウムサルフォアルミネート系膨張材を含むことが好ましい。
無機系膨張材の含有量は、セメント100質量部に対して、
好ましくは2.0質量部〜10.0質量部であり、
より好ましくは3.0質量部〜9.0質量部である。
無機系膨張材の含有量を上述の範囲とすることにより、一層適正な膨張性が発現され、モルタル硬化体の収縮を抑制することができる。
合成樹脂繊維としては、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ビニロン及びポリ塩化ビニル等を例示することができる。合成樹脂繊維は、これらの中から選択される一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
合成樹脂繊維の繊維長は、モルタル中での分散性、及びモルタル硬化体の耐クラック性向上の点から、
好ましくは4mm〜20mmであり、
より好ましくは6mm〜18mmである。
合成樹脂繊維の含有量は、セメント100質量部に対して、
好ましくは0.10質量部〜0.60質量部であり、
より好ましくは0.15質量部〜0.55質量部である。
合成樹脂繊維の繊維長及び含有量を上述の範囲にすることにより、モルタル中での分散性やモルタル硬化体の耐クラック性をより向上することができる。
ポリマーセメント組成物は、用途に応じて、凝結調整剤、増粘剤、金属系膨張材、及び消泡剤等を含有してもよい。
(ii)ポリマーセメントモルタル
ポリマーセメントモルタルは、上述のポリマーセメント組成物と水とを含む。ポリマーセメントモルタルは、上述のポリマーセメント組成物と水とを配合し混練することによって調製することができる。このようにして調製されるポリマーセメントモルタルは、優れた流動性(フロー値)を有する。このため、補強構造物20を形成するための型枠内への充填を円滑に行うことができる。従って、補強構造物20用のポリマーセメントモルタルとして好適に用いることができる。ポリマーセメントモルタルを調製する際に、水粉体比(水量/ポリマーセメント組成物量)を適宜変更することによって、ポリマーセメントモルタルのフロー値を調整することができる。
水粉体比は、
好ましくは、0.13〜0.18であり、
より好ましくは、0.14〜0.17である。
本明細書におけるフロー値は、以下の手順で測定する。厚さ5mmのみがき板ガラスの上に内径50mm、高さ100mmの円筒形状の塩化ビニル製パイプを配置する。このとき、塩化ビニル製パイプの一端がみがき板ガラスと接触し、他端が上向きとなるように配置する。他端側の開口からポリマーセメントモルタルを注入して、塩化ビニル製パイプ内にポリマーセメントモルタルを充填した後、塩化ビニル製パイプを垂直に引き上げる。モルタルの広がりが静止した後、互いに直交する2つの方向における直径(mm)を測定する。測定値の平均値をフロー値(mm)とする。
ポリマーセメントモルタルのフロー値は、
好ましくは、170mm〜250mmであり、
より好ましくは、190mm〜245mmであり、
さらに好ましくは、210mm〜240mmである。
フロー値が上述の範囲であることにより、材料分離抵抗性及び充填性に優れたポリマーセメントモルタルを得ることができる。
(iii)モルタル硬化体
モルタル硬化体は、ポリマーセメントモルタルを硬化して形成することができる。このようにして形成されるモルタル硬化体は、補強構造物20を構成する鉄筋コンクリート製の補強柱部21及び補強梁部22と一体化するに際し高い圧縮強度を有することから、既存建物10の耐震性を向上することができる。
本明細書でいう「圧縮強度」はJIS A 1132:2014「コンクリートの強度試験用供試体の作り方」に準じて直径5cm×高さ10cmの円柱供試体を作製し、JIS A 1108:2006「コンクリートの圧縮強度試験方法」に準じて測定された値(N/mm)を意味する。
上述の試験方法で測定されるモルタル硬化体の材齢28日の圧縮強度は、
好ましくは、60N/mm以上であり、
より好ましくは、65N/mm以上であり、
さらに好ましくは、70N/mm以上である。
圧縮強度が上述の範囲であることにより、補強構造物20を構成する鉄筋コンクリート性の補強柱部21及び補強梁部22と一体化するに際し、一層優れた耐震性能を発揮することができる。
<切欠き部の説明>
続いて、図2及び図3を参照して、梁部12と補強梁部22との関係について詳細に説明する。本実施形態において、補強梁部22が配置される梁部12には、図2に示されるように、隣り合う柱部11の間において2つの切欠き部12Aが設けられている。一方の切欠き部12Aは、隣り合う柱部11の間において梁部12の一端寄りに位置している。他方の切欠き部12Aは、隣り合う柱部11の間において梁部12の他端寄りに位置している。切欠き部12Aは、当該切欠き部12Aと隣り合う交差部13と離間している。
切欠き部12Aは、図3に示されるように、梁部12のうち上縁側で且つ既存建物10の外表面側に設けられている。切欠き部12Aは、既存建物10の内側に向けて段状に窪んでいる。本実施形態では、切欠き部12Aは、直方体形状を呈している。そのため、切欠き部12Aを構成する各面は、隣り合う他の面と略直交している。
切欠き部12Aの幅(水平方向における長さ)w(図2参照)は、梁部12の長さ(隣り合う柱部11の内法)Wの1/50〜1/4程度であってもよい。幅wが長さWの1/50以上であると、補強梁部22のコンクリート硬化体のうち切欠き部12Aに位置する部分が、切欠き部12Aによってしっかりと係止される傾向にある。幅wが長さWの1/4以下であると、切欠き部12Aが梁部12の中央部ではなく端部寄りに位置するので、梁部12の中央部に対する長期的な負荷が小さくなる傾向にある。幅wの下限は、例えば、80mm程度であってもよいし、100mm程度であってもよい。
切欠き部12Aと、当該切欠き部12Aと隣り合う交差部13との、水平方向における直線距離l1(同図参照)は、梁部12の梁成H(図3参照)よりも大きくてもよい。一般に、地震等の発生によって補強済建物1に対し水平方向の外力が作用すると、梁部12の端部には曲げの力が生ずる。これにより、梁部12の端部と交差部13との境界部分の隅から30°〜45°程度の角度で斜めに延びるひび割れが、梁部12の端部に生ずることがある。このひび割れが切欠き部12Aに達すると、梁部12の強度が低下しやすくなる。しかしながら、直線距離l1が梁成Hよりも大きいと、45°程度の角度でひび割れが生じたとしても、ひび割れが切欠き部12Aに達し難くなる。そのため、梁部12による補強梁部22の支持力を十分に確保することができる。直線距離l1の下限は、例えば、梁成Hの1/4程度であってもよいし、梁成Hの1/3程度であってもよい。直線距離l1の下限は、例えば、100mm程度であってもよい。
水平方向において、切欠き部12Aと隣り合う交差部13と、切欠き部12Aの内側端縁(梁部12の中央部寄りの端縁)との直線距離l2(図2参照)は、梁部12の長さ(内法)Wの1/3以下であってもよい。
切欠き部12Aの鉛直方向における高さh(図3参照)の下限は、例えば、50mm程度であってもよいし、100mm程度であってもよい。高さhの上限は、例えば、梁部12の梁成Hの1/2程度であってもよい。
切欠き部12Aの水平方向における深さd(同図参照)の下限は、例えば、20mm程度であってもよい。深さdの上限は、例えば、梁部12の奥行D(同図参照)の1/4程度であってもよい。
切欠き部12A内には、図3に示されるように、補強梁部22のコンクリート硬化体が配置されている。すなわち、補強梁部22のコンクリート硬化体は、切欠き部12Aに係止されている。そのため、補強梁部22は、梁部12に支持されている。
接続部材30は、図3に示されるように、梁部12と補強梁部22とを接続している。接続部材30は、水平方向において延びるように、梁部12と補強梁部22とにわたってこれら双方の内部に挿通されている。すなわち、接続部材30の基端部は梁部12内に埋設されており、接続部材30の先端部は補強梁部22内に埋設されている。接続部材30は、例えば、鉄筋であってもよいし、アンカーボルトであってもよい。
図3では、鉛直方向において2つの接続部材30が並んでいる。上側に位置する接続部材30は、切欠き部12Aを通過している。下側に位置する接続部材30は、切欠き部12Aの下方を通過している。接続部材30の数及び位置は、特に限定されない。
<補強済建物の製造方法>
続いて、既存建物10の中間層部に対して補強構造物20を施工する方法(補強済建物1の製造方法)を説明する。まず、中間層部に位置する梁部12の所定箇所をコンクリートハンマ等により斫り、切欠き部12Aを形成する。このとき、梁部12の鉄筋R1が露出する程度まで斫ってもよい。
次に、梁部12のうち切欠き部12Aに対応する領域と、梁部12のうち切欠き部12Aの下方の領域とに、ドリル等を用いて挿通孔を形成する。次に、当該挿通孔内に接続部材30を挿通し、接続部材30の基端部を梁部12内に埋設する。これにより、接続部材30が梁部12に固定される。なお、接続部材30の先端部は、挿通孔外に位置している。
次に、既存建物10の外壁面上で且つ柱部11、梁部12及び交差部13に対応する位置に、鉄筋を配置する。次に、梁部12に配置された鉄筋R2を覆うように梁部型枠を構成する。これにより、鉄筋R2及び接続部材30の先端部は梁部用型枠と梁部12の外壁面とで囲まれる。次に、梁部用型枠内にコンクリートを打設する。このとき、コンクリートは、切欠き部12A内にも充填される。コンクリートが硬化してコンクリート硬化体となった後に梁部用型枠を取り外すことで、梁部12に対応する位置に補強梁部22が形成される。
次に、前の工程で形成された補強梁部22の両端側において、交差部13に配置された鉄筋を覆うように交差部用型枠を構成する。これにより、当該鉄筋は交差部用型枠と交差部13の外壁面とで囲まれる。次に、交差部用型枠内にポリマーセメントモルタルを充填する。交差部用型枠内へのポリマーセメントモルタルの充填は、梁部用型枠内に打設されたコンクリートの貫入抵抗値が0.1N/mm以上になった後(例えば2時間程度が経過した後)であれば、行うことができる。ポリマーセメントモルタルが硬化してモルタル硬化体となった後に交差部用型枠を取り外すことで、交差部13に対応する位置で且つ補強梁部22の両端側に、補強交差部23が形成される。ここで、「貫入抵抗値」とは、JIS A 1147−2007「コンクリートの凝結時間試験方法」に記載の試験方法により得られる値である。
次に、前の工程で形成された補強交差部23の上側において、柱部11に配置された鉄筋を覆うように柱部用型枠を構成する。これにより、当該鉄筋は、柱部用型枠と柱部11の外壁面とで囲まれる。次に、柱部用型枠内にコンクリートを打設する。コンクリートが硬化してコンクリート硬化体となった後に柱部用型枠を取り外すことで、柱部11に対応する位置で且つ補強交差部23の上側に補強柱部21が形成される。換言すれば、補強柱部21の下端には、前の工程で形成された補強交差部23が位置する。
次に、前の工程で形成された補強柱部21の上端側において、梁部12に配置された鉄筋を覆うように梁部用型枠を構成する。これにより、当該鉄筋は梁部用型枠と梁部12の外壁面とで囲まれる。次に、梁部用型枠内にコンクリートを打設する。コンクリートが硬化してコンクリート硬化体となった後に梁部用型枠を取り外すことで、前の工程で形成された補強柱部21の上端側で且つ梁部12に対応する位置に、補強梁部22が形成される。換言すれば、前回の工程で形成された補強梁部22の上方に、今回の工程で形成された補強梁部22が位置する。
その後は、上記と同様に、補強交差部23、補強柱部21及び補強梁部22が既存建物10の下側から上側に向けて順次形成される。以上により、既存建物10に補強構造物20が設けられ、補強済建物1が完成する。
<作用>
以上のような本実施形態では、補強梁部22が切欠き部12Aに係止されることにより、梁部12に支持されている。そのため、梁部12の切欠き部12Aが補強梁部22を既存建物10に対して引っ掛けるフックのように機能するので、補強梁部22が既存建物10に対して支持されると共に、切欠き部12Aにおいて大きな剪断抵抗力が発揮される。従って、切欠き部12Aを介して補強梁部22の重量が梁部12に極めて確実に伝達されるので、補強梁部22を既存建物10の下層部に対して構築することなしに、補強が求められる既存建物10の中間層部に対して補強を行うことができる。その結果、既存建物10の中間層部に対する補強を簡易且つ低コストに行うことが可能となる。
本実施形態では、切欠き部12Aが、梁部12の端部に位置しており、切欠き部12Aと隣り合う柱部11と離間している。ここで、地震等の発生によって補強済建物1に対し水平方向の外力が作用すると、既存建物10においては梁部12と交差部13との接続部分において破壊が生じやすい。そのため、切欠き部12Aがこれと隣り合う柱部11と離間していると、梁部12のうち破壊が生じやすい部分における断面積の減少を招き難い。従って、梁部12の強度を十分に確保することができる。
ところで、既存建物10の梁部12は床、壁等の重量を長期的に支持するので、梁部12の中央部は特に撓みやすい。そのため、切欠き部12Aが梁部12の中央部に設けられると、梁部12は大きく撓んでしまいうる。しかしながら、本実施形態では、直線距離l2が梁部12の長さWの1/3以下に設定しうる。この場合、切欠き部12Aの内側端縁が梁部12の中央部から離れて位置する。そのため、梁部12によって補強梁部22が支持されている箇所が撓み難い。従って、梁部12による補強梁部22の支持力を十分に確保することができる。
本実施形態では、高さhが、50mm以上で且つ梁部12の梁成Hの1/2であってもよい。高さhが50mm以上であると、補強梁部22のコンクリート硬化体のうち切欠き部12Aに位置する部分が、切欠き部12Aによってしっかりと係止される傾向にある。高さhが梁部12の梁成Hの1/2以下であると、梁部12のうち切欠き部12Aの下側に位置する部分の大きさが十分に確保されるので、重量物である補強梁部22が梁部12によってしっかりと支持される傾向にある。
本実施形態では、接続部材30が梁部12と補強梁部22とにわたってこれら双方の内部に挿通されている。そのため、接続部材30を介して梁部12及び補強梁部22が一体化される。従って、補強構造物20の重量が接続部材30を介して梁部12に伝達されるので、補強梁部22を既存建物10に対してより確実に支持することができる。
<他の実施形態>
以上、本開示に係る実施形態について詳細に説明したが、本発明の要旨の範囲内で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。例えば、隣り合う交差部13の間において1つ以上の切欠き部12Aが梁部12に設けられていてもよい。
切欠き部12Aは、当該切欠き部12Aと隣り合う交差部13と離間していなくてもよい。
接続部材30の基端部は、梁部12の鉄筋R1と接続されていてもよい。接続部材30の基端部を梁部12の鉄筋R1に接続する方法としては、例えば、フック状に屈曲された当該基端部を鉄筋R1に引っ掛ける方法や、当該基端部を鉄筋R1に溶接する方法や、当該基端部が既存建物10内において露出するように接続部材30を梁部12に貫通させて、既存建物10の内側から当該基端部にナットを締結する方法等が挙げられる。梁部12が鉄骨鉄筋コンクリートで構成されている場合には、鉄骨に当該基端部を螺合する方法や、鉄骨に当該基端部を溶接する方法等が挙げられる。一方、補強構造物20は、接続部材30を有していなくてもよい。
図4に示されるように、切欠き部12Aの角部は下方に向けて窪んでいてもよい。この場合、補強梁部22のコンクリート硬化体のうち切欠き部12Aに位置する部分が、切欠き部12A内に食い込みやすくなる。そのため、補強梁部22を既存建物10に対してより確実に支持することができる。ここで、図4に示されるように、切欠き部12Aを構成する各面のうち、梁部12の梁成方向に延びる主面と、梁部12の奥行方向に延びる底面とがなす角θは、45°〜90°程度であってもよい。
図5に示されるように、補強構造物20は、切欠き部12Aと補強梁部22との間に位置する金属板32を有してもよい。金属板32は、少なくとも切欠き部12Aの表面に位置していればよい。図5においては、金属板32は、切欠き部12Aからその下方に至るまで梁部12の外表面に沿って延びており、クランク形状を呈している。金属板32が切欠き部12Aと補強梁部22との間に介在することで、切欠き部12Aが金属板32によって補強されるので、切欠き部12Aにおいてより大きな剪断抵抗力を得ることができる。
金属板32は、梁部12の外表面に鉄筋R2を配置する前に切欠き部12Aに取り付けられる。そのため、梁部用型枠内にコンクリートが打設される際には、金属板32も梁部用型枠によって覆われる。金属板32を切欠き部12Aに取り付ける前に、切欠き部12Aの表面に充填材(例えば、パテ、モルタル等)を供給し、切欠き部12Aの表面を略平坦にしてもよい。また、切欠き部12Aから鉄筋R1が露出している場合には、露出した鉄筋R1と金属板32とを溶接、接着等によって接続してもよい。
図5に示されるように、金属板32には、その厚さ方向に延びる貫通孔32aが形成されていてもよい。貫通孔32aは、梁部12に対する接続部材30の設置位置に対応する箇所に形成されている。そのため、貫通孔32aには接続部材30が挿通可能である。接続部材30は、金属板32に対してナットで固定されている。この場合、接続部材30を介して梁部12、補強梁部22及び金属板32が一体化される。そのため、補強構造物20の重量が接続部材30及び金属板32を介して梁部12に伝達される。従って、補強梁部22を既存建物10に対してより確実に支持することができる。なお、金属板32を切欠き部12Aに取り付けた後に、貫通孔32aを通じて接続部材30を梁部12に設けてもよいし、接続部材30を梁部12に設けた後に、貫通孔32a内にこれらの接続部材30が挿通するように金属板32を切欠き部12Aに取り付けてもよい。
図5に示されるように、金属板32には、補強梁部22内において延在する固定部材34が設けられていてもよい。固定部材34としては、例えば、スタッドボルト、鉄筋等が挙げられる。固定部材34は、溶接等によって金属板32に接続されていてもよい。この場合、固定部材34を介して補強梁部22のコンクリート硬化体と金属板32とが一体化される。そのため、補強構造物20の重量が固定部材34及び金属板32を介して梁部12に伝達される。従って、補強梁部22を既存建物10に対してより確実に支持することができる。なお、梁部用型枠内にコンクリートが打設される際には、金属板32及び固定部材34も梁部用型枠によって覆われる。
図6に示されるように、切欠き部12A内に、補強梁部22のコンクリート硬化体のみならず、補強交差部23のモルタル硬化体が配置されていてもよい。すなわち、補強梁部22のコンクリート硬化体及び補強交差部23のモルタル硬化体が同じ切欠き部12Aに係止されていてもよい。この場合、補強梁部22及び補強交差部23が梁部12に支持される。
図7に示されるように、梁部12の端部に複数の切欠き部12Aが設けられていてもよい。この場合も、複数の切欠き部12Aのうちもっとも内側に位置する切欠き部12Aの内側端縁と、当該複数の切欠き部12Aと隣り合う交差部13との直線距離は、梁部12の長さ(内法)Wの1/3以下であってもよい。
1…補強済建物、10…既存建物、20…補強構造物、11…柱部、12…梁部、12A…切欠き部、13…交差部、21…補強柱部、22…補強梁部、23…補強交差部、30…接続部材、32…金属板、32a…貫通孔、34…固定部材、R1,R2…鉄筋。

Claims (20)

  1. 既存建物と、
    前記既存建物を補強する補強構造物とを備え、
    前記既存建物は、
    鉄筋を内部に含む柱部と、
    鉄筋を内部に含む梁部と、
    前記柱部及び梁部が交差する箇所に位置し且つ前記柱部の端部及び前記梁部の端部にそれぞれ接続された交差部とを有し、
    前記補強構造物は、
    前記柱部に沿って配置され、鉄筋が埋設されたコンクリート硬化体を含む補強柱部と、
    前記梁部に沿って配置され、鉄筋が埋設されたコンクリート硬化体を含む補強梁部と、
    前記交差部に対応する位置に配置され、前記補強柱部の端部及び前記補強梁部の端部にそれぞれ接続され、鉄筋が埋設されたポリマーセメントモルタル硬化体を含む補強交差部とを有し、
    前記梁部のうち上縁側で且つ前記既存建物の外表面側の隅部には切欠き部が設けられており、
    前記補強梁部は、前記コンクリート硬化体が前記切欠き部に係止されることにより、前記梁部に支持されている、補強済建物。
  2. 前記切欠き部は、前記梁部の端部に位置しており、前記切欠き部と隣り合う前記交差部と離間している、請求項1に記載の補強済建物。
  3. 前記切欠き部の内側端縁は、前記切欠き部と隣り合う前記交差部から、前記切欠き部が設けられている前記梁部の両端側に位置する前記柱部の内法の1/3の長さまでの範囲内に位置している、請求項2に記載の補強済建物。
  4. 前記切欠き部の水平方向における長さは前記梁部の長さの1/50〜1/4である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の補強済建物。
  5. 前記切欠き部の鉛直方向における高さは、50mm以上で且つ前記梁部の梁成の1/2以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の補強済建物。
  6. 前記切欠き部の角部は下方に向けて窪んでいる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の補強済建物。
  7. 前記補強構造物は、前記梁部と前記補強梁部とにわたってこれら双方の内部に挿通された接続部材をさらに有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の補強済建物。
  8. 前記補強構造物は、前記切欠き部と前記補強梁部との間に位置する金属板をさらに有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の補強済建物。
  9. 前記補強構造物は、前記梁部と前記補強梁部とにわたってこれら双方の内部に挿通された接続部材をさらに有し、
    前記接続部材は前記金属板に設けられた貫通孔に挿通されている、請求項8に記載の補強済建物。
  10. 前記金属板には前記補強梁部内において延在する固定部材が設けられている、請求項8又は9に記載の補強済建物。
  11. 柱部と、鉄筋を内部に含む梁部と、前記柱部及び梁部が交差する箇所に位置し且つ前記柱部の端部及び前記梁部の端部にそれぞれ接続された交差部とを有する既存建物に補強構造物を設けて前記既存建物が前記補強構造物によって補強された補強済建物を製造する方法であって、
    前記梁部のうち上縁側で且つ前記既存建物の外表面側の隅部を斫ることにより切欠き部を形成する第1の工程と、
    前記第1の工程の後に、前記柱部、前記梁部及び前記交差部にそれぞれ対応する位置に鉄筋を配置する第2の工程と、
    前記第2の工程の後に、前記柱部に配置された前記鉄筋を覆うように第1の型枠を設け、前記第1の型枠内にコンクリートを打設することにより補強柱部を形成する第3の工程と、
    前記第2の工程の後に、前記梁部に配置された前記鉄筋を覆うように第2の型枠を設け、前記切欠き部を充填しつつ前記第2の型枠内にコンクリートを打設することにより補強梁部を形成する第4の工程と、
    前記第2の工程の後に、前記交差部に配置された前記鉄筋を覆うように第3の型枠を設け、前記第3の型枠内にポリマーセメントモルタルを充填することにより補強交差部を形成する第5の工程とを含む、補強済建物の製造方法。
  12. 前記切欠き部は、前記梁部の端部に位置しており、前記切欠き部と隣り合う前記交差部と離間している、請求項11に記載の方法。
  13. 前記切欠き部の内側端縁は、前記切欠き部と隣り合う前記交差部から、前記切欠き部が設けられている前記梁部の両端側に位置する前記柱部の内法の1/3の長さまでの範囲内に位置している、請求項12に記載の方法。
  14. 前記切欠き部の水平方向における長さは前記梁部の長さの1/50〜1/4である、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記切欠き部の鉛直方向における高さは、50mm以上で且つ前記梁部の梁成の1/2以下である、請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記切欠き部の角部は下方に向けて窪んでいる、請求項11〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記第1の工程の後で且つ前記第4の工程の前に、先端部が外部に位置するように接続部材の基端部を前記梁部内に取り付ける第6の工程をさらに含み、
    前記第4の工程では、前記梁部に配置された前記鉄筋及び前記接続部材の先端部を覆うように第2の型枠を設け、前記切欠き部を充填しつつ前記第2の型枠内にコンクリートを打設することにより補強梁部を形成する、請求項11〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記第1の工程の後で且つ前記第4の工程の前に前記切欠き部に金属板を取り付ける第6の工程をさらに含み、
    前記第4の工程では、前記梁部に配置された前記鉄筋及び前記金属板を覆うように第2の型枠を設け、前記切欠き部を充填しつつ前記第2の型枠内にコンクリートを打設することにより補強梁部を形成する、請求項11〜16のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記第1の工程の後で且つ前記第4の工程の前に、先端部が外部に位置するように接続部材の基端部を前記梁部内に取り付ける第7の工程をさらに含み、
    前記第4の工程では、前記金属板に設けられた貫通孔に前記接続部材が挿通された状態で、前記梁部に配置された前記鉄筋、前記接続部材の先端部及び前記金属板を覆うように第2の型枠を設け、前記切欠き部を充填しつつ前記第2の型枠内にコンクリートを打設することにより補強梁部を形成する、請求項18に記載の方法。
  20. 前記金属板には固定部材が設けられており、
    前記第4の工程では前記第2の型枠が前記固定部材を覆っており、
    前記固定部材は前記補強梁部内に延在している、請求項18又は19に記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2021102869A (ja) * 2019-12-25 2021-07-15 株式会社長谷工コーポレーション 耐震補強構造
CN114411999A (zh) * 2021-12-23 2022-04-29 佛山建装建筑科技有限公司 一种混凝土构件

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