本発明の硬化性組成物は、イソシアネート基含有樹脂と、オキサゾリジン化合物と、ビスマス化合物と、リン酸エステル化合物を含有することを特徴とする。以下、各成分について詳細に説明する。
イソシアネート基含有樹脂は、その樹脂中に1個以上のイソシアネート基を有する樹脂である。イソシアネート基は、活性水素含有化合物と反応して、ウレタン結合、ウレア結合等を形成し架橋硬化する。イソシアネート基含有樹脂としては、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(以下、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと、後述する光反応性不飽和結合を導入したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを含めて単に「ウレタンプレポリマー」という場合もある。)を好適に挙げることができる。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、有機イソシアネート化合物と活性水素含有化合物を一括あるいは逐次に反応させて、ウレタンプレポリマー中にイソシアネート基が残存するようにして製造することができる。有機イソシアネート化合物のイソシアネート基と活性水素含有化合物の活性水素のモル比(イソシアネート基/活性水素)は、1.2〜10が好ましく、さらに1.2〜5が好ましい。前記モル比が1.2未満であるとウレタンプレポリマーの粘度が高くなり、硬化性組成物の作業性が悪くなる。また、前記モル比が10を超えると、イソシアネート基が水と反応したときに発生する炭酸ガスの量が多くなり、硬化時の発泡の原因となる。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基含有量は、0.3〜15質量%が好ましく、特に0.5〜5質量%が好ましい。イソシアネート基含有量が0.3質量%未満の場合は、ウレタンプレポリマーの粘度が高くなり、硬化性組成物の作業性が悪くなる。また、イソシアネート基含有量が15質量%を超える場合は、イソシアネート基が水と反応したときに発生する炭酸ガスの量が多くなり、硬化時の発泡の原因となる。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの数平均分子量は、1,500以上が好ましく、1,500〜20,000がより好ましく、1,500〜15,000がさらに好ましく、1,500〜10,000が特に好ましい。なお、本発明における数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数値である。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの分岐密度は、0.03ミリモル/g以上が好ましく、さらに0.03〜0.1ミリモル/gが好ましい。ウレタンプレポリマーの分岐密度が0.03ミリモル/g未満であると、硬化性組成物の表面に養生シートを貼付した場合、養生シートが硬化性組成物の表面に付着し剥がしづらくなる。なお、ウレタンプレポリマーの分岐密度は、ウレタンプレポリマーを製造する原料(分岐構造を有する原料の含有量)から計算によって理論的に求めることができる。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの製造方法としては、従来公知の方法で行うことができる。具体的には、ガラス製やステンレス製等の反応容器に有機イソシアネート化合物と活性水素含有化合物を仕込み、必要に応じて反応触媒や有機溶剤を使用し、50〜120℃で攪拌しながら反応させる方法が挙げられる。この際、イソシアネート基が湿気等の水と反応するとウレタンプレポリマーが増粘するため、事前に容器内を窒素ガスで置換することや窒素ガス気流下で反応を行うことが好ましい。
有機イソシアネート化合物としては、有機ポリイソシアネートを挙げることができる。有機ポリイソシアネートは、その化合物中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であり、具体的には、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート等のトルエンポリイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート等のジフェニルメタンポリイソシアネート、1,2−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4,6−トリメチルフェニル−1,3−ジイソシアネート、2,4,6−トリイソプロピルフェニル−1,3−ジイソシアネート等のフェニレンポリイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等のナフタレンポリイソシアネート、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。また、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ポリイソシアネート、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トルエンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネートが挙げられる。さらに、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、クルードトルエンジイソシアネート等のポリメリックイソシアネートが挙げられる。またさらに、これらの有機ポリイソシアネートを変性して得られ、ウレトジオン結合、イソシアヌレート結合、アロファネート結合、ビュレット結合、ウレトンイミン結合、カルボジイミド結合、ウレタン結合またはウレア結合を1つ以上有する変性イソシアネートが挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのうち、硬化性組成物が耐候性に優れることから、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、およびこれらの有機ポリイソシアネートを変性して得られる変性イソシアネートが好ましい。
また、有機ポリイソシアネートとともに、有機モノイソシアネートを用いることができる。すなわち、有機ポリイソシアネートと有機モノイソシアネートの混合物を、上述の有機イソシアネート化合物として用いることができる。有機モノイソシアネートは、その化合物中に1個のイソシアネート基を有する化合物であり、具体的には、n−ブチルモノイソシアネート、n−ヘキシルモノイソシアネート、n−ヘキサデシルモノイソシアネート、n−オクタデシルモノイソシアネート、p−イソプロピルフェニルモノイソシアネート、p−ベンジルオキシフェニルモノイソシアネートが挙げられる。
活性水素含有化合物は、その化合物中に1個以上の活性水素(基)を有する化合物である。具体的には、高分子ポリオール、高分子ポリアミン、低分子ポリオール、低分子アミノアルコール、低分子ポリアミン、高分子モノオール、低分子モノオールが挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
高分子ポリオールとしては、ポリオキシアルキレン系ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、炭化水素系ポリオール、ポリ(メタ)アクリレート系ポリオール、動植物系ポリオールが挙げられる。中でも、ポリオキシアルキレン系ポリオール、ポリ(メタ)アクリレート系ポリオールが好ましい。本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味する。
高分子ポリオールの数平均分子量は、1,000〜30,000が好ましく、さらに1,000〜20,000が好ましい。
ポリオキシアルキレン系ポリオールとしては、ポリオキシアルキレン系トリオール、ポリオキシアルキレン系ジオールが挙げられる。
なお、本発明において、ポリオキシアルキレン系トリオール、ポリオキシアルキレン系ジオールの「系」とは、分子中の水酸基を除いた部分の50質量%以上、さらに80質量%以上、特に90質量%以上がポリオキシアルキレンで構成されていれば、残りの部分がエステル、ウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリオレフィン等で変性されていてもよいことを意味する。水酸基を除いた分子中の95質量%以上がポリオキシアルキレンからなるものが最も好ましい。
ポリオキシアルキレン系トリオール、ポリオキシアルキレン系ジオールは、重合触媒存在下で開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させて得られる。ポリオキシアルキレン系トリオール、ポリオキシアルキレン系ジオールの総不飽和度は、0.1meq/g以下が好ましく、さらに0.07meq/g以下が好ましく、特に0.04meq/g以下が好ましい。
重合触媒としては、ナトリウム系触媒、カリウム系触媒等のアルカリ金属化合物触媒、カチオン重合触媒、亜鉛ヘキサシアノコバルテートのグライム錯体やジグライム錯体等の複合金属シアン化錯体触媒、ホスファゼン化合物触媒が挙げられる。これらのうち、アルカリ金属化合物触媒、複合金属シアン化錯体触媒が好ましい。
開始剤としては、分子中の活性水素(基)(アルキレンオキシドと反応しうる水酸基やアミノ基)の数が2〜3である化合物を用いる。これらに、分子中の活性水素(基)の数が4である化合物を少量併用することもできる。
ポリオキシアルキレン系トリオールを製造する際の開始剤は、活性水素(基)の数が3である化合物を主に使用する。活性水素の数が3である化合物としては、具体的には、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価アルコールが挙げられる。
ポリオキシアルキレン系ジオールを製造する際の開始剤は、活性水素(基)の数が2である化合物を主に使用する。活性水素の数が2である化合物としては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等の2価アルコールが挙げられる。
アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタンが挙げられる。これらのうち、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとの併用が好ましく、さらにプロピレンオキシド、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとの併用が好ましい。
ポリオキシアルキレン系トリオールとしては、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシエチレントリオール、ポリオキシエチレンプロピレントリオールが好ましく、さらにポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシエチレンプロピレントリオールが好ましい。また、ポリオキシアルキレン系トリオールの数平均分子量は、1,000〜30,000が好ましく、さらに1,000〜20,000が好ましい。
本発明において、「オキシエチレンプロピレン」とは、分子中にオキシエチレン基(−CH2CH2O−)とオキシプロピレン基(−CH(CH3)CH2O−)を含むものである。
ポリオキシアルキレン系ジオールとしては、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシエチレンジオール、ポリオキシエチレンプロピレンジオールが好ましく、さらにポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシエチレンプロピレンジオールが好ましい。また、ポリオキシアルキレン系ジオールの数平均分子量は、1,000〜30,000が好ましく、さらに1,000〜20,000が好ましい。
ポリエステルポリオールとしては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸等のポリカルボン酸や、これらの無水物あるいはメチルエステルやエチルエステル等のアルキルエステルを含むカルボン酸類の1種以上と、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオール類の1種以上との反応によって得られるポリエステルポリオールが挙げられる。また、これらのカルボン酸類、低分子ポリオール類に加え、さらにブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン等の低分子ポリアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール類の1種以上と反応させて得られるポリエステルアミドポリオールも挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、上述のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子ポリオール類とホスゲンとの脱塩酸反応、あるいは上述の低分子ポリオール類とジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネートとのエステル交換反応で得られるものが挙げられる。
ポリ(メタ)アクリレート系ポリオールとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を含有する(メタ)アクリレート単量体と他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体とを、ラジカル重合開始剤の存在下あるいは不存在下に共重合させたものが挙げられる。
炭化水素系ポリオールとしては、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等のポリオレフィンポリオール;水素添加ポリブタジエンポリオール、水素添加ポリイソプレンポリオール等のポリアルキレンポリオール;塩素化ポリプロピレンポリオール、塩素化ポリエチレンポリオール等のハロゲン化ポリアルキレンポリオールが挙げられる。
動植物系ポリオールとしては、ヒマシ油系ポリオール、絹フィブロインが挙げられる。
上述の高分子ポリオールは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、上述の高分子ポリオールとともに、高分子モノオールを併用することができる。高分子モノオールの数平均分子量は、1,000〜30,000が好ましく、さらに1,000〜20,000が好ましい。
高分子ポリオールと高分子モノオールを併用する場合、その組合せとしては、高分子トリオールと高分子ジオールと高分子モノオール、または、高分子トリオールと高分子モノオールが好ましい。
高分子モノオールとしては、ポリオキシアルキレン系モノオールが好ましい。
なお、本発明において、ポリオキシアルキレン系モノオールの「系」とは、分子中の水酸基を除いた部分の50質量%以上、さらに80質量%以上、特に90質量%以上がポリオキシアルキレンで構成されていれば、残りの部分がエステル、ウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリオレフィン等で変性されていてもよいことを意味する。水酸基を除いた分子中の95質量%以上がポリオキシアルキレンからなるものが最も好ましい。
ポリオキシアルキレン系モノオールは、重合触媒存在下で開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させて得られる。ポリオキシアルキレン系モノオールの総不飽和度は、0.1meq/g以下が好ましく、さらに0.07meq/g以下が好ましく、特に0.04meq/g以下が好ましい。
重合触媒としては、ナトリウム系触媒、カリウム系触媒等のアルカリ金属化合物触媒、カチオン重合触媒、亜鉛ヘキサシアノコバルテートのグライム錯体やジグライム錯体等の複合金属シアン化錯体触媒、ホスファゼン化合物触媒が挙げられる。これらのうち、アルカリ金属化合物触媒、複合金属シアン化錯体触媒が好ましい。
ポリオキシアルキレン系モノオールを製造する際の開始剤は、活性水素(基)の数が1である化合物を主に使用する。活性水素(基)の数が1である化合物としては、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の1価アルコール類;フェノール、ノニルフェノール等の1価フェノール類;ジメチルアミン、ジエチルアミン等の2級アミン類が挙げられる。
高分子モノオールを併用する場合、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー中の高分子モノオールの含有量は、ウレタンプレポリマー全体量に対し5〜30質量%が好ましい。ウレタンプレポリマー中の高分子モノオールの含有量が上記範囲であると硬化性組成物が耐久性(例えば、JIS A 5758の耐久性)に優れるものとなる。特に、ウレタンプレポリマーの分岐密度を高くしていくと、硬化性組成物の硬化後の物性が高モジュラスで低伸びとなり、耐久性が低下する傾向となるが、ウレタンプレポリマー中の高分子モノオールの含有量を上記範囲とすることで、ウレタンプレポリマーの分岐密度を高くしても硬化性組成物の硬化後の組成物が耐久性に優れるものとなる。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、耐候性を付与する目的でウレタンプレポリマー中に光反応性不飽和結合を導入することもできる。光反応性不飽和結合を導入したウレタンプレポリマーは、本発明の硬化性組成物において硬化成分として働くとともに、硬化後の組成物に被着面との良好な接着性、優れた耐候性を与えるものである。上述の光反応性不飽和結合とは、光に暴露されることにより比較的短時間に重合等の化学変化を起こす不飽和結合である。具体的には、ビニル基、ビニレン基、(メタ)アクリロイル基に由来する不飽和結合が挙げられる。本発明において、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基および/またはメタクリロイル基」を意味する。
光反応性不飽和結合を導入したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基は、活性水素含有化合物と反応して架橋硬化する。また、光反応性不飽和結合を導入したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの光反応性不飽和結合は、光に暴露されると重合反応し、硬化性組成物の表面に耐候性に優れた硬化皮膜を形成する。この硬化皮膜が硬化性組成物に優れた耐候性を付与するものと考えられる。光反応性不飽和結合は、耐候性付与効果が高い点で(メタ)アクリロイル基に由来する不飽和結合が好ましい。
光反応性不飽和結合をイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに導入する方法としては、下記の方法が挙げられる。
(イ)有機イソシアネート化合物と、高分子の活性水素含有化合物(数平均分子量1,000以上)と、分子内に活性水素と光反応性不飽和結合とを有する低分子の活性水素含有化合物(数平均分子量1,000未満)とを、活性水素の合計量に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得る方法;
(ロ)有機イソシアネート化合物と、分子内に活性水素と光反応性不飽和結合とを有する高分子(数平均分子量1,000以上)の活性水素含有化合物(例えば、ポリオキシアルキレントリオールのモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸のアルキレンオキシド付加物、ポリブタジエンポリオール)とを活性水素の合計量に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得る方法;および
(ハ)有機イソシアネート化合物と、分子内に光反応性不飽和結合とイソシアネート基とを有する低分子(数平均分子量1,000未満)の活性水素含有化合物(例えば、(メタ)アクリロイルイソシアネート)と、高分子(数平均分子量1,000以上)の活性水素含有化合物とを活性水素の合計量に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得る方法;
前記(イ)の方法が原料の入手しやすさと反応のしやすさの点で好ましい。本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸および/またはメタクリル酸」を意味する。
光反応性不飽和結合をイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに導入する反応は、原料を一括で仕込み反応させてもよいし、原料を逐次で仕込み反応させてもよい。有機イソシアネート化合物のイソシアネート基と、活性水素含有化合物(活性水素と光反応性不飽和結合とを有する化合物を含む)の活性水素とのモル比(イソシアネート基/活性水素)は、1.2〜10が好ましく、さらに1.2〜5が好ましい。光反応性不飽和結合を導入したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基含有量は0.3〜15質量%が好ましく、さらに0.5〜5質量%が好ましい。イソシアネート基含有量が0.3質量%未満の場合は、分子量が大きくなりすぎて粘度が増大し作業性が低下する。またウレタンプレポリマー中の架橋点が少なくなるため、十分な接着性が得られない。イソシアネート基含有量が15質量%を超えると、イソシアネート基が水と反応したときに発生する炭酸ガスの量が多くなり硬化時の発泡の原因となる。
光反応性不飽和結合を導入したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー中の光反応性不飽和結合の濃度は、0.01ミリモル/g以上が好ましく、さらに0.03〜1ミリモル/gが好ましく、特に0.05〜0.5ミリモル/gが好ましい。
上述の活性水素と光反応性不飽和結合とを有する(低分子および高分子の)活性水素含有化合物は、その化合物中に水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の活性水素(基)と、ビニル基、ビニレン基、(メタ)アクリロイル基等の光反応性不飽和結合の両方を有する化合物である。反応のしやすさや耐候性付与効果の高い点で、化合物中に水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有するものが好ましい。また、活性水素(基)と光反応性不飽和結合とを有する化合物の分子量は、反応しやすい点で数平均分子量1,000未満のものが好ましい。
水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有する活性水素含有化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等のアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステルである、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシネオペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘプチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のモノヒドロキシモノ(メタ)アクリレート類、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能以上アルキレンポリオールと(メタ)アクリル酸とのモノエステルあるいはジエステル、トリエステル等のポリエステルである、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のモノヒドロキポリ(メタ)アクリレート類、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート等のポリヒドロキモノ(メタ)アクリレート類、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等のポリヒドロキポリ(メタ)アクリレート類が挙げられる。また、これら以外に、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ビスフェノールAやビスフェノールFにエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したポリオール等のモノヒドロキシモノ(メタ)アクリレート類、ポリヒドロキシモノ(メタ)アクリレート類、ポリヒドロキシポリ(メタ)アクリレート類や(メタ)アクリル酸やヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの活性水素にエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加した化合物で水酸基を有するもの、ヒドロキシエチルアクリレートのカプロラクトン変性物等で水酸基を有している化合物も挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、ウレタンプレポリマーの粘度を低く抑えることができ、かつ耐候性付与効果を高めることができる点で、モノヒドロキシポリ(メタ)アクリレート類およびジヒドロキシポリ(メタ)アクリレート類が好ましい。
オキサゾリジン化合物について説明する。オキサゾリジン化合物は、酸素原子と窒素原子とを含む飽和5員環の複素環であるオキサゾリジン環を分子内に1個以上、好ましくは1〜6個、特に好ましくは2〜3個有する化合物である。オキサゾリジン化合物は、湿気等の水と反応して加水分解し、オキサゾリジン環が2級アミノ基とアルコール性水酸基を生成(再生)することで、イソシアネート基含有樹脂の潜在性硬化剤として機能するものである。イソシアネート基含有樹脂のイソシアネート基が湿気等の水と反応すると尿素結合を形成して硬化するが、この際、炭酸ガスも発生し、硬化物の中に炭酸ガスによる気泡が生じて外観の悪化、硬化物の破断、接着性の低下等の不具合を生じることがある。一方、イソシアネート基含有樹脂とオキサゾリジン化合物を併用した硬化性組成物を水と反応させた場合は、まず水とオキサゾリジン化合物が優先的に反応し、オキサゾリジン化合物のオキサゾリジン環が2級アミノ基とアルコール性水酸基(活性水素基)を生成する。次に生成した活性水素基(特に2級アミノ基)がイソシアネート基と優先的に反応するため、水とイソシアネート基の反応による炭酸ガスの発生を抑制し、硬化性組成物の硬化時の発泡を防止することができる。
また、イソシアネート基含有樹脂に使用する有機ポリイソシアネートとして、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートを使用すると硬化性組成物の硬化が遅くなる場合がある。イソシアネート基含有樹脂とオキサゾリジン化合物を併用すると、硬化性組成物の硬化を速められる。
さらに、オキサゾリジン化合物は、イソシアネート基含有樹脂と後述するシラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物を含有する硬化性組成物において、硬化性組成物の表面の亀裂の発生を防止する効果を有する。硬化性組成物の表面の亀裂は、硬化性組成物が硬化する際、シラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物が硬化性組成物の表面に移行(ブリード)し、加水分解して形成した硬化皮膜が硬いため硬化皮膜に変位が生じると、その変位に追従できず亀裂が発生すると推察される。オキサゾリジン化合物を配合すると、オキサゾリジン化合物が加水分解して生成した2級アミノ基とアルコール性水酸基の働きにより、シラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物の硬化皮膜が柔軟性を有するようになり、亀裂の発生を防止するものと推察される。
オキサゾリジン化合物としては、ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物、エステル基含有オキサゾリジン化合物、オキサゾリジンシリルエーテル化合物、カーボネート基含有オキサゾリジン化合物が挙げられる。これらのオキサゾリジン化合物は、水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の水酸基と、有機ポリイソシアネートのイソシアネート基や有機カルボン酸化合物のカルボキシル基とを反応させる等により得られる。これらのオキサゾリジン化合物のうち、製造し易いことからウレタン結合含有オキサゾリジン化合物が好ましい。
水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物としては、具体的には、アルカノールアミンの2級アミノ基と、ケトン化合物またはアルデヒド化合物のカルボニル基との脱水縮合反応により得られるN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンが挙げられる。この水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の製造方法としては、アルカノールアミンの2級アミノ基1モルに対し、アルデヒド化合物またはケトン化合物のカルボニル基を1モル以上、好ましくは1〜1.5モル、さらに好ましくは1〜1.2モル使用し、トルエン、キシレン等の有機溶剤中で、加熱、還流し、副生する水を除去しながら脱水縮合反応を行う方法が挙げられる。過剰のアルデヒド化合物やケトン化合物は蒸留により除去することができる。
アルカノールアミンとしては、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)アミンが挙げられる。ケトン化合物としては、アセトン、ジエチルケトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−tert−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンが挙げられる。アルデヒド化合物としては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−メチルペンチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、3,5,5−トリメチルヘキシルアルデヒド等の脂肪族アルデヒド化合物;ベンズアルデヒド、メチルベンズアルデヒド、トリメチルベンズアルデヒド、エチルベンズアルデヒド、イソプロピルベンズアルデヒド、イソブチルベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、ジメトキシベンズアルデヒド、トリメトキシベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのうち、水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の製造の容易さと、硬化性組成物が硬化するときの発泡防止性に優れている点で、アルカノールアミンとしてはジエタノールアミンが好ましく、ケトン化合物またはアルデヒド化合物のうちアルデヒド化合物が好ましく、さらにイソブチルアルデヒド、2−メチルペンチルアルデヒド、ベンズアルデヒドが好ましい。
水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物としては、2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−(1−メチルブチル)−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−フェニル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジンが挙げられる。
ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物としては、有機ポリイソシアネートのイソシアネート基と水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の水酸基とをイソシアネート基/水酸基のモル比が0.9〜1.2、好ましくは0.95〜1.05となるように使用し、必要に応じて有機溶剤や反応触媒を使用し、50〜120℃の温度で反応させて得られるものが好適に挙げられる。
ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の製造に用いられる有機ポリイソシアネートは、上述のウレタンプレポリマーの製造に用いられるのと同様のものが挙げられる。このうち、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートが好ましく、特にキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
エステル基含有オキサゾリジン化合物は、上述の水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物とジカルボン酸またはポリカルボン酸の低級アルキルエステルとの反応によって得ることができる。
オキサゾリジンシリルエーテル化合物は、上述の水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物と、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシランとの脱アルコール反応により得られる。
カーボネート基含有オキサゾリジン化合物は、上述の水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物とジアリルカーボネート等のカーボネートとを、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールを用いて反応させることによって得ることができる。
これらのオキサゾリジン化合物は、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、オキサゾリジン化合物は、イソシアネート基含有樹脂のイソシアネート基と反応するアミノ基や水酸基等の活性水素含有官能基、あるいはイソシアネート基を有していないことが好ましい。これはイソシアネート基含有樹脂の粘度上昇やオキサゾリジン化合物の発泡防止性能の低下を防止するためである。但し、上述のウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の製造において、モル比の選択により少量の活性水素含有官能基やイソシアネート基が分子内に残存する場合があるが、この場合は本発明の目的を達成する上で有していないとみなすことができる。なお、前記「少量」とは、分子内に残存する活性水素含有官能基またはイソシアネート基の量が、好ましくはオキサゾリジン化合物1g当たり、0.05ミリモル以下、さらに好ましくは0.02ミリモル以下である。
オキサゾリジン化合物の配合量は、イソシアネート基含有樹脂のイソシアネート基1モルに対して、オキサゾリジン化合物が加水分解して生成(再生)する2級アミノ基の活性水素が0.1〜1モルとするのが好ましく、0.3〜1モルとするのがより好ましく、特に0.5〜1モルとするのが好ましい。オキサゾリジン化合物が加水分解して生成(再生)する2級アミノ基の活性水素が0.1モル未満では発泡防止が不十分となり好ましくない。
ビスマス化合物について説明する。ビスマス化合物は、本発明の硬化性組成物の硬化を速めるものである。具体的には、イソシアネート基含有樹脂と活性水素含有化合物との反応を早めるものである。この反応における活性水素含有化合物としては、湿気等の水、オキサゾリジン化合物のオキサゾリジン環が加水分解(開環)して生成した2級アミノ基やアルコール性水酸基、本発明の硬化性組成物を二液型反応硬化性組成物として使用する場合の硬化剤(水酸基、アミノ基、チオール基)が挙げられる。また、ビスマス化合物は、上述のウレタンプレポリマーおよびオキサゾリジン化合物を合成する際の反応触媒として使用することができる。
ビスマス化合物は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成時、および/または、オキサゾリジン化合物の合成時、および/または、硬化性組成物の調製時に配合することができる。なお、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成時、および/または、オキサゾリジン化合物の合成時に配合した際に、硬化性組成物の硬化性を速める効果のある量が配合されていれば、硬化性組成物の調製時に配合しなくても硬化性組成物の硬化を速めることができる。
ビスマス化合物としては、ビスマスと有機酸との塩が挙げられ、なかでも3価のビスマスと有機酸との塩が好ましい。3価のビスマスと有機酸との塩としては、トリヘプタン酸ビスマス(III)、ビスマストリス(2−エチルヘキサン酸)ビスマス(III)、トリス(ネオデカン酸)ビスマス(III)、トリラウリン酸ビスマス(III)、トリステアリン酸ビスマス(III)が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
ビスマス化合物の配合量は、イソシアネート基含有樹脂100質量部に対し、0.005〜5質量部が好ましく、特に0.005〜2質量部が好ましい。
リン酸エステル化合物について説明する。リン酸エステル化合物は、本発明の硬化性組成物において、オキサゾリジン化合物のオキサゾリジン環の加水分解(開環)を促進させるものである。オキサゾリジン環の加水分解の促進により、生成した第2級アミノ基とアルコール性水酸基(活性水素基)がイソシアネート基含有樹脂のイソシアネート基と反応し、硬化性組成物の硬化が促進される。
イソシアネート基含有樹脂とオキサゾリジン化合物を含有する硬化性組成物において、イソシアネート基含有樹脂と活性水素(基)含有化合物の反応を速める硬化促進剤、および、オキサゾリジン化合物のオキサゾリジン環の加水分解を促進させる開環促進剤を使用すると硬化性組成物の硬化が速まるものの、硬化促進作用(機序)の異なる促進剤を使用すると硬化性組成物の硬化の調整は困難であり、汚染防止性、表面タック防止性、保存安定性、養生テープ剥がし性が悪化することも多い。
ビスマス化合物とリン酸エステル化合物を組み合わせて使用することにより、硬化促進性を確保しつつ、汚染防止性、表面タック防止性、保存安定性、養生テープ剥がし性に優れる硬化性組成物が得られる。
リン酸エステル化合物としては、正リン酸エステル化合物、亜リン酸エステル化合物が挙げられる。これらのうち、正リン酸エステル化合物が好ましい。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
正リンエステル化合物としては、正リン酸のトリアルキルエステル化合物、正リン酸のジアルキルエステル化合物、正リン酸のモノアルキルエステル化合物が挙げられる。
正リン酸のトリアルキルエステル化合物としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシリレルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジルジ2,6−キシレニルホスフェートが挙げられる。
正リン酸のモノアルキルエステル化合物およびジアルキルエステル化合物(酸性リン酸エステル化合物)としては、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルピロホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、アルキル(C12,C14,C16,C18)アシッドホスフェート、イソトリデシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、エチレングリコールアシッドホスフェート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートアシッドホスフェートが挙げられる。
モノアルキルエステル化合物としては、モノエチルホスフェート、モノブチルホスフェート、モノブトキシエチルホスフェート、モノn−オクチルホスフェート、モノ2−エチルヘキシルホスフェート、モノラウリルホスフェート、モノ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)ホスフェートが挙げられる。
ジアルキルエステル化合物としては、ジエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジブチルピロホスフェート、ジブトキシエチルホスフェート、ジn−オクチルホスフェート、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジイソトリデシルホスフェート、ジオレイルホスフェートが挙げられる。
これらの正リン酸エステル化合物は、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
亜リンエステル化合物としては、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト等の亜リン酸トリエステル化合物、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジオレイルハイドロゲンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイト等の亜リン酸ジエステル化合物が挙げられる。
これらの亜リン酸エステル化合物は、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
リン酸エステル化合物の配合量は、イソシアネート基含有樹脂とオキサゾリジン化合物の合計量の100質量部に対し0.01〜5質量部が好ましく、特に0.01〜3質量部が好ましい。
本発明の硬化性組成物は、さらに表面処理炭酸カルシウムを配合することができる。表面処理炭酸カルシウムは、硬化性組成物に揺変性を付与し、硬化性組成物を垂直面や傾斜面で使用した際にタレ、スランプの発生を防止する目的や、硬化性組成物をビード塗布、クシ目ゴテ等で塗布した際に塗布形状を保持する目的で使用する。また、表面処理炭酸カルシウムは、15℃/minの昇温速度で200〜500℃の熱減量が50〜150mg/gの表面処理炭酸カルシウムをイソシアネート基含有樹脂と併用することで硬化性組成物が養生シート付着防止性に優れるものとなる。さらに、後述するシラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物とも併用することで硬化性組成物がさらに養生シート付着防止性に優れるものとなる。養生シート付着防止性の効果が確保できる範囲において、熱減量が50〜150mg/gの表面処理炭酸カルシウムと、熱減量が50〜150mg/gの表面処理炭酸カルシウム以外の表面処理炭酸カルシウムを併用することができる。
表面処理炭酸カルシウムとしては、脂肪酸表面処理炭酸カルシウムが挙げられる。脂肪酸表面処理炭酸カルシウムとしては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、コロイド炭酸カルシウムの表面を、脂肪酸、脂肪酸アルキルエステル、脂肪酸金属塩、脂肪酸有機塩等の脂肪酸類で処理したものが挙げられる。これらのうち、揺変性付与効果が高い点で、脂肪酸または脂肪酸金属塩で表面処理した炭酸カルシウムが好ましい。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、牛脂ステアリン酸、パーム核脂肪酸、部分硬化パーム脂肪酸、極度硬化パーム脂肪酸、ヤシ脂肪酸、部分硬化ヤシ脂肪酸、極度硬化ヤシ脂肪酸、パーム脂肪酸、パームステアリン酸、牛脂脂肪酸、部分硬化牛脂脂肪酸、極度硬化牛脂脂肪酸、大豆脂肪酸、部分硬化大豆脂肪酸、極度硬化大豆脂肪酸、ナフテン酸、アビエチン酸、ネオアビエチン酸が挙げられる。金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、有機塩としては、アンモニウム塩が挙げられる。
脂肪酸表面処理炭酸カルシウムの市販品としては、丸尾カルシウム社製のシーレッツ200、カルファイン200、カルファイン200M、カルファイン500、カルファインN−40、カルファインN−350;白石工業社の白艶華CC、白艶華CCR、白艶華CCR−S、白艶華CCR−B、VIGOT−10、VIGOT−15、Viscolite−SV、Viscolite−OS、Viscolite EL−20;日東粉化工業社のNCC#3010、NCC#1010が挙げられる。
表面処理炭酸カルシウムの粒子径は、0.01〜1μmが好ましく、さらに0.01〜0.3μmが好ましい。表面処理炭酸カルシウムの粒子径は、電子顕微鏡で測定される一次粒子径として求めることができる。表面処理炭酸カルシウムのBET比表面積は5〜200m2/gが好ましく、さらに10〜60m2/gが好ましい。粒子径が0.01μmを下回るか、あるいはBET比表面積が200m2/gを超えると、得られる硬化性組成物の粘度が高くなり作業性が悪化するため好ましくない。粒子径が1μmを上回るか、あるいはBET比表面積が5m2/gを下回ると揺変性付与効果が低下するため好ましくない。
表面処理炭酸カルシウムの熱減量は、硬化性組成物の養生シート付着防止性が良好となることから、50〜150mg/gが好ましく、さらに50〜120mg/gが好ましい。表面処理炭酸カルシウムの熱減量は、熱重量測定(TG)によって求めることができる。具体的に例えば、下記の測定方法によって求めることができる。
[測定方法]
直径5mmの白金製試料パンに表面処理炭酸カルシウムを10mg量り取り、熱重量分析機器(TG8120、リガク社製)を用いて、常温から510℃まで速度15℃/minで昇温する。このとき、200〜500℃の範囲で減少した重量を測定し、表面処理炭酸カルシウムの1gあたりの熱減量(mg/g)を求める。
表面処理炭酸カルシウムの配合量は、イソシアネート基含有樹脂100質量部に対し1〜200質量部が好ましく、さらに5〜150質量部が好ましい。
本発明の硬化性組成物は、さらに微粉末シリカを配合することができる。微粉末シリカは、上述の表面処理炭酸カルシウムと同様に硬化性組成物に揺変性を付与し、硬化性組成物を垂直面や傾斜面に使用した際にタレ、スランプの発生を防止する目的や、硬化性組成物をビード塗布、クシ目ゴテ等で塗布した際に塗布形状を保持する目的で使用する。また、微粉末シリカを使用することで、硬化性組成物が硬化時に変位(ムーブメント)を受けたとき、その表面のシワの発生を抑制する。
微粉末シリカとしては、親水性シリカ、疎水性シリカが挙げられる。揺変性付与効果が高く、硬化性組成物の耐ムーブメント性に優れることから親水性シリカが好ましい。これらは、いずれも1種または2種を組み合わせて使用することができる。
親水性シリカとしては、石英や珪砂等を微粉砕した天然シリカ、乾式シリカや湿式シリカ等の合成シリカが挙げられる。乾式シリカは、四塩化珪素等のシラン系化合物を酸水素炎中で燃焼させて得られるものであり、ヒュームドシリカということもある。また、湿式シリカは、珪酸ソーダ水溶液を酸で中和し、水溶液中でシリカを析出させる沈降法シリカがあり、ホワイトカーボンということもある。
疎水性シリカは、親水性シリカのシラノール基をシリコーンオイル、シランカップリング剤、ヘキサメチルジシラザン、クロロシラン類等と反応させてその表面を疎水化したものである。
微粉末シリカのBET比表面積は、10〜500m2/g、さらに50〜500m2/gが好ましい。微粉末シリカの平均一次粒子径は、1〜100nmが好ましい。
微粉末シリカは、その表面に0.5〜3個/nm2のシラノール基(Si−OH基)を有するものが好ましい。
微粉末シリカの配合量は、硬化性組成物全体に対して、0.1〜10質量%、さらに0.1〜5質量%が好ましい。
本発明の硬化性組成物は、さらにシラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物を配合することができる。シラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物は、イソシアネート基含有樹脂および熱減量が50〜150mg/gの表面処理炭酸カルシウムと組み合わせることにより、硬化性組成物に汚染防止性や養生シート付着防止性の効果を付与するものである。これは、硬化性組成物が湿気等の水により硬化する際に、前記シラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物が硬化途中から硬化性組成物の表面に移行(ブリード)し、湿気等の水により加水分解を受け、脱アルコールしながら縮合し、硬化性組成物の表面に親水性の皮膜を形成することで硬化性組成物の表面のべたつきを低減させることによるものと考えられる。硬化性組成物の表面のべたつきが低減されることで硬化性組成物の表面に塵や埃が付着しづらくなり、汚染防止性が向上する。また、硬化性組成物の表面に塵や埃が付着しても雨、シャワー等の流水や圧縮空気を吹き付けることにより、塵や埃を比較的容易に落とすことが可能となる。
前記シラン化合物は、下記一般式(1)で表す化合物で、分子内にメトキシ基以外のアルコキシ基を少なくとも1個有するシラン化合物である。
R4−mSi(OR1)m (1)
(式(1)中、Rは炭素数1〜6の1価の炭化水素基を表し、Rが複数のときは同じであっても異なっていてもよい。R1は炭素数1以上の1価の炭化水素基であるが、(OR1)の少なくとも1個は炭素数2〜6のアルコキシ基である。(OR1)が複数のときは同じであっても異なっていてもよい。mは1〜4の整数である。)
前記Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、フェニル基等の反応性の官能基を有しない炭素数1〜6の1価の炭化水素基が挙げられる。
前記(OR1)はアルコキシ基であり、mが1のときは、(OR1)はメトキシ基以外のアルコキシ基である。mが2、3または4のときは、(OR1)の少なくとも1個はメトキシ基以外のアルコキシ基である。
前記メトキシ基以外のアルコキシ基としては、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基、フェノキシ等の炭素数2以上のアルコキシ基が挙げられる。
前記シラン化合物としては、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシランが挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
シラン化合物の部分加水分解縮合物は、上述のシラン化合物のアルコキシ基を溶媒の存在下または不存在下で部分的に加水分解し、シラン化合物を線状または3次元状に縮合した多量体である。シラン化合物の部分加水分解縮合物は、硬化性組成物の表面への移行性(ブリード)、硬化性組成物の表面へ移行した後の皮膜形成性の観点から、2〜20量体が好ましい。
シラン化合物の部分加水分解縮合物としては、具体的に例えば、テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物を含む、エチルシリケート40(平均5量体)、エチルシリケート48(平均10量体)、コルコート社製;ジエトキシジメトキシシランの部分加水分解縮合物を含むEMS−485(平均10量体)、コルコート社製;テトラメトキシシランの部分加水分解縮合物をブタノールで一部ブトキシ化した縮合物を含むMKCシリケートMS58B15、MS58B30、MS51、MS56、M57、MS56S、三菱化学社製;が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
前記シラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物の配合量は、イソシアネート基含有樹脂100質量部に対して、0.01〜20質量部、さらに0.1〜10質量部が好ましい。配合量が0.01質量部未満では硬化性組成物の表面の汚染防止効果や養生シート付着防止効果が少ない。また配合量が20質量部を超えるとシラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物が加水分解して発生するアルコールの量が多くなり、発生したアルコールがイソシアネート基含有樹脂のイソシアネート基と反応して硬化不良を起こす場合がある。
本発明の硬化性組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上述した各成分以外に必要に応じて各種の添加剤を含有することができる。添加剤は、硬化性組成物に配合して硬化性組成物の粘度調整、硬化促進、接着性等の各種の性能を向上させるために使用する。具体的には、硬化促進触媒、可塑剤、耐候安定剤、充填剤、揺変性付与剤、接着性向上剤、貯蔵安定性向上剤(脱水剤)、着色剤および有機溶剤を挙げることができる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
硬化促進触媒は、イソシアネート基含有樹脂が湿気等の水と反応して架橋硬化するのを促進させるために使用する。また、オキサゾリジン化合物から生成した第2級アミノ基やアルコール性水酸基とイソシアネート基含有樹脂のイソシアネート基との反応を促進させるために使用する。さらに本発明の硬化性組成物を二液型反応硬化性組成物として使用する場合の硬化剤(水酸基、アミノ基、チオール基)とイソシアネート基含有樹脂のイソシアネート基との反応を促進させるために使用する。なお、ここでいう硬化促進触媒とは、上述のビスマス化合物、リン酸エステル化合物以外のものである。硬化促進触媒は、上述のウレタンプレポリマーおよび/またはオキサゾリジン化合物の製造時の反応触媒としても使用することができる。なお、ウレタンプレポリマーおよび/またはオキサゾリジン化合物の製造時の反応触媒として使用した場合は、ウレタンプレポリマー中および/またはオキサゾリジン化合物中に残存する反応触媒が硬化性組成物の硬化促進触媒として作用することもある。
硬化促進触媒としては、具体的には、金属系触媒、アミン系触媒を挙げることができる。
金属系触媒としては、金属と有機酸との塩、有機金属と有機酸との塩、金属キレート化合物が挙げられる。金属と有機酸との塩としては、錫、ジルコニウム、亜鉛、マンガン等の各種金属とオクチル酸、ネオデカン酸、ステアリン酸、ナフテン酸等の有機酸との塩が挙げられる。具体的には、オクチル酸錫、ナフテン酸錫、オクチル酸ジルコニウムが挙げられる。有機金属と有機酸との塩としては、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物が挙げられる。金属キレート化合物としては、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、錫系キレート化合物である旭硝子社製EXCESTAR C−501、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、チタンテトラキス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アセチルアセトンコバルト、アセチルアセトン鉄、アセチルアセトン銅、アセチルアセトンマグネシウム、アセチルアセトンニッケル、アセチルアセトン亜鉛、アセチルアセトンマンガンが挙げられる。
アミン系触媒としては、3級アミン類が挙げられる。3級アミン類としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7(DBU)、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン(DABCO)やこれら三級アミン類と有機カルボン酸の塩が挙げられる。
これらの硬化促進触媒は、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
硬化促進触媒の配合量は、イソシアネート基含有樹脂100質量部に対して、0.005〜5質量部、特に0.005〜2質量部が好ましい。
上述の金属系触媒、アミン系触媒の他に、有機カルボン酸系触媒、p−トルエンスルホニルイソシアネートと水との反応物を使用することができる。有機カルボン酸系触媒、p−トルエンスルホニルイソシアネートと水との反応物は、硬化性組成物にオキサゾリジン化合物を配合した場合に、オキサゾリジン化合物のオキサゾリジン環の加水分解を促進させるものである。オキサゾリジン環の加水分解の促進により、生成した第2級アミノ基とアルコール性水酸基(活性水素基)がイソシアネート基含有樹脂のイソシアネート基と反応し、硬化性組成物の硬化が促進される。
有機カルボン酸系触媒としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、2−エチルヘキサン酸(オクチル酸)、オクテン酸、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪族カルボン酸、マレイン酸、アクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸、フタル酸、安息香酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸が挙げられる。
p−トルエンスルホニルイソシアネートと水との反応物としては、本発明の硬化性組成物に配合する前にp−トルエンスルホニルイソシアネートと水とを予め反応させて得られるもの、p−トルエンスルホニルイソシアネートを硬化性組成物に配合している間に水を添加して反応させたもの、硬化性組成物中に存在する水と反応させたものが挙げられる。
可塑剤は、硬化性組成物の粘度を下げて作業性を改善するとともに、硬化性組成物の硬化後のゴム物性を調節する目的で使用する。具体的には、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチル、オレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類等の低分子量の可塑剤;上述のウレタンプレポリマーの合成に使用できるものと同様のポリオキシアルキレン系トリオール、ポリオキシアルキレン系ジオール、ポリオキシアルキレン系モノオールをウレタン化、エーテル化またはエステル化した数平均分子量が1,000以上の高分子量の可塑剤;ポリ−α−メチルスチレン、ポリスチレン等のポリスチレン類等のイソシアネート基と反応しない数平均分子量1,000以上の高分子量の可塑剤が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
可塑剤の配合量は、イソシアネート基含有樹脂100質量部に対して、1〜200質量部、さらに2〜50質量部が好ましい。
耐候安定剤は、硬化性組成物の酸化、光劣化、熱劣化を防止して耐候性や耐熱性をさらに向上させる目的で使用する。耐候安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、紫外線吸収剤が挙げられる。これらの耐候安定剤は、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジル)エステル、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の分子量1,000未満の低分子量の化合物;コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物の他、ADEKA社製のアデカスタブLA−63P、LA−68LD等の分子量1,000以上の高分子量の化合物が挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオアミド]、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシC7−C9側鎖アルキルエステル、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノールが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等のトリアジン系紫外線吸収剤;オクタベンゾン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤が挙げられる。
これらのうち耐候性向上の効果が高い点で、ヒンダードアミン系光安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤およびそれらの混合物が好ましい。耐候安定剤の配合量は、イソシアネート基含有樹脂100質量部に対して、0.01〜30質量部、さらに0.1〜10質量部が好ましい。
充填剤は、硬化性組成物の増量剤として、また、硬化物の物性補強を目的として使用する。無機系充填剤と有機系充填剤が挙げられる。無機系充填剤としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、コロイド炭酸カルシウム、マイカ、カオリン、ゼオライト、グラファイト、珪藻土、白土、クレー、タルク、無水ケイ酸、石英、アルミニウム粉末、亜鉛粉末、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ等の無機粉末状充填剤;ガラス繊維、炭素繊維等の無機系繊維状充填剤が挙げられる。有機系充填剤としては、木粉、クルミ穀粉、もみ殻粉、パルプ粉、ゴム粉末、熱可塑性あるいは熱硬化性樹脂の粉末等の有機粉末状充填剤が挙げられる。また、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の難燃性付与充填剤が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
充填剤の配合量は、イソシアネート基含有樹脂100質量部に対して、1〜500質量部、さらに10〜300質量部、特に10〜200質量部が好ましい。
揺変性付与剤は、上述の表面処理炭酸カルシウムや微粉末シリカと同様に硬化性組成物に揺変性を付与し、硬化性組成物を垂直面や傾斜面に使用した際にタレ、スランプの発生を防止する目的や、硬化性組成物をビード塗布、クシ目ゴテ等で塗布した際に塗布形状を保持する目的で使用する。揺変性付与剤としては、無機系揺変性付与剤、有機系揺変性付与剤が挙げられる。無機系揺変性付与剤としては、上述の表面処理炭酸カルシウムや微粉末シリカの他に、セピオライト(マグネシウムケイ酸塩)、アパタルジャイト(マグネシウムアルミニウムケイ酸塩)、ワラストナイト(カルシウムシリケート)が挙げられる。有機系揺変性付与剤としては、脂肪酸アマイドが挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
接着性向上剤は、硬化性組成物の接着性の向上を目的として使用する。具体的には、シラン系、アルミニウム系、ジルコアルミネート系等の各種カップリング剤またはその部分加水分解縮合物を挙げることができる。このうちシラン系カップリング剤またはその部分加水分解縮合物が接着性に優れているため好ましい。
シラン系カップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のアルコキシシリル基を含有する分子量500以下の化合物が挙げられる。また、これらのシラン系カップリング剤の1種または2種以上の部分加水分解縮合物で分子量200〜3,000の化合物が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
貯蔵安定性向上剤(脱水剤)は、硬化性組成物の貯蔵安定性を向上させる目的で使用する。具体的には、硬化性組成物中に存在する水と反応して脱水剤の働きをするビニルトリメトキシシラン、酸化カルシウムが挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
着色剤は、硬化性組成物を着色し、硬化物に意匠性を付与する目的で使用する。具体的には、酸化チタンや酸化鉄等の無機系顔料、銅フタロシアニン等の有機系顔料、カーボンブラックが挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
有機溶剤は、硬化性組成物の粘度を下げ、押出し性、打設や塗布等の作業性を向上させる目的で使用する。有機溶剤としては、硬化性組成物中の他の成分との相溶性が良好で、かつ、他の成分と反応しない有機溶剤であれば特に制限なく使用することができる。具体的には、ジメチルカーボネート等のカーボネート系溶剤、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル系溶剤、n−ヘキサン等の脂肪族系溶剤、シクロヘキサン等の脂環族系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、ミネラルスピリットや工業ガソリン等の石油留分系溶剤等の有機溶剤が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの有機溶剤は、ウレタンプレポリマーの合成時に使用してもよいし、硬化性組成物の調製時に使用してもよい。
本発明の硬化性組成物は、空気中の湿気等の水と反応して硬化するため、一液型湿気硬化性組成物として使用することができる。また、本発明の硬化性組成物を主剤としポリアミンやポリオール等の活性水素含有化合物を硬化剤とする二液型反応硬化性組成物としても使用できる。主剤と硬化剤の混合の手間がなく配合ミスや混合不足による硬化不良の発生もなく作業性に優れているため、一液型湿気硬化性組成物として使用するのが好ましい。
本発明の硬化性組成物を用いて施工する場合、施工の対象となる材料(部材)としては、モルタル、コンクリート、ALC(Autoclaved Lightweight Concrete)、ガラス、大理石、御影石、サイディング、タイル、瓦、レンガ等の無機材料;鉄、銅、ステンレス、ガルバニウム鋼板、トタン、アルミニウム、チタン等の金属材料、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル、ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene copolymer)、FRP(Fiber Reinforced Plastic)等の合成樹脂製の材料;木材や合板等の木質材料を挙げることができる。
本発明の硬化性組成物の製造方法としては、特に限定されないが、具体的には、イソシアネート基含有樹脂、オキサゾリジン化合物、ビスマス化合物、リン酸エステル化合物、および必要に応じて、熱減量が50〜150mg/gの表面処理炭酸カルシウム、微粉末シリカ、シラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物、添加剤をガラス製、ステンレス製、鉄製等で湿気等の水を遮断できる攪拌装置付き混合容器に仕込み、乾燥空気や乾燥窒素気流下で攪拌、混合して製造することができる。また、硬化性組成物の製造方法は、バッチ式や連続式の方法を用いることができる。
本発明の硬化性組成物は、湿気等の水により増粘、硬化するため、湿気等の水を遮断できる容器に詰め密封して貯蔵するのが好ましい。前記容器としては、湿気等の水を遮断できる容器であれば特に制限はない。具体的に例えば、金属製や樹脂製のペール缶、アルミ製や樹脂製の袋、紙製や樹脂製のカートリッジが挙げられる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明が実施例に限定されて解釈されるものではない。
[合成例1](イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1の合成)
攪拌機、温度計、窒素シール管、加熱・冷却装置付き反応容器に、窒素ガスを流しながら、ポリオキシプロピレンジオール(数平均分子量3,300、エクセノール3021、旭硝子社製)を581.8g、ポリオキシプロピレントリオール(数平均分子量4,000、Triol−MN−4000、三井化学社製)を160.0g、ポリオキシプロピレンモノオール(数平均分子量3080、プレミノール1003、旭硝子社製)を100.0g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(分子量298)を30.0g仕込み、攪拌しながらイソホロンジイソシアネート(分子量222.3、エボニックジャパン社製)128.2g、トリス(2−エチルヘキサン酸)ビスマス(III)(ネオスタンU−600、日東化成社製)を0.2g仕込み、加温して75〜85℃で4時間反応させた。イソシアネート基含有量が理論値(2.3質量%)以下になった時点で反応を終了させ、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1を合成した。イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1の分岐密度(理論値)は0.04ミリモル/gであり、アクリロイル基の含有量(理論値)は0.3ミリモル/gである。
[合成例2](イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−2の合成)
攪拌機、温度計、窒素シール管、加熱・冷却装置付き反応容器に、窒素ガスを流しながら、ポリオキシプロピレンジオール(数平均分子量3,300、エクセノール3021、旭硝子社製)を581.8g、ポリオキシプロピレントリオール(数平均分子量4,000、Triol−MN−4000、三井化学社製)を160.0g、ポリオキシプロピレンモノオール(数平均分子量3080、プレミノール1003、旭硝子社製)を100.0g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(分子量298)を30.0g仕込み、攪拌しながらイソホロンジイソシアネート(分子量222.3、エボニックジャパン社製)128.2g、ジブチル錫ジラウレート(ネオスタンU−100、日東化成社製)を0.2g仕込み、加温して75〜85℃で4時間反応させた。イソシアネート基含有量が理論値(2.3質量%)以下になった時点で反応を終了させ、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−2を合成した。イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−2の分岐密度(理論値)は0.04ミリモル/gであり、アクリロイル基の含有量(理論値)は0.3ミリモル/gである。
[合成例3](ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1の合成)
攪拌機、温度計、窒素シール管、エステル管、加熱・冷却装置付き反応容器に、ジエタノールアミン(分子量105)を435.0gとトルエンを183.0g仕込み、攪拌しながらイソブチルアルデヒド(分子量72.1)を328.0g仕込み、窒素ガスを流しながら、加温して110〜150℃で還流脱水反応を続け、副生する水(74.5g)を系外に取り出した。反応終了後、さらに減圧下(50〜70hPa)で加熱し、トルエンと未反応のイソブチルアルデヒドを除去し、中間の反応生成物であるN−ヒドロキシエチル−2−イソプロピルオキサゾリジンを得た。
次いで、得られたN−ヒドロキシエチル−2−イソプロピルオキサゾリジン659.0gに、さらにヘキサメチレンジイソシアネート(分子量168)を348.0g加え、80℃で8時間加熱し、滴定による実測NCO含有量が0.0質量%になった時点で反応終点とし、分子内にオキサゾリジン環を2個有するウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1を得た。ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1は常温で液体であった。
[実施例1]
攪拌機、加熱、冷却装置、窒素シール管付き混練容器に、窒素ガスを流しながら、合成例1で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1を100g仕込み、攪拌しながら予め100〜110℃の乾燥機中で乾燥して水分含有量を0.05質量%以下にした重質炭酸カルシウム(ホワイトンB、白石カルシウム社製)を20g、脂肪酸表面処理炭酸カルシウム(カルファインN−40、熱減量95.0mg/g、丸尾カルシウム社製)を100g、酸化チタンを10g、フタル酸ジイソノニル(DINP)を10g仕込み、内容物が均一になるまで混合した。次いで、ジメチルカーボネート5gにヒンダードアミン系光安定剤(アデカスタブLA−63P、ADEKA社製)を1g、ヒンダードフェノール系酸化防止剤{ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]}(イルガノックス1010、BASF社製)を1g加えた溶液、シラン化合物の部分加水分解縮合物(ポリブトキシメトキシシロキサン、MKCシリケートMS58B30、三菱化学社製)を2g、合成例3で得たウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1を12g、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート(JP−508、城北化学工業社製)を0.2g、微粉末シリカ(親水性シリカ、レオロシールQS−102、トクヤマ社製)を2.6g仕込み、内容物が均一になるまでさらに混合した。次いで、50〜100hPaで減圧脱泡し、容器に充填、密封して硬化性組成物を調製した。
[比較例1]〜[比較例3]
表1に示す組成で各成分を配合し、実施例1と同様の操作を行って、比較例1〜3の硬化性組成物を調製した。なお、表1に示す各成分は次の通りであり、単位はgである。
・イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1(合成例1)
・イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−2(合成例2)
・重質炭酸カルシウム(ホワイトンB、白石カルシウム社製)
・脂肪酸表面処理炭酸カルシウム(カルファインN−40、熱減量95.0mg/g、丸尾カルシウム社製)
・ヒンダードフェノール系酸化防止剤{ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]}(イルガノックス1010、BASF社製)
・ヒンダードアミン系光安定剤(アデカスタブLA−63P、ADEKA社製)
・シラン化合物の部分加水分解縮合物(ポリブトキシメトキシシロキサン、MKCシリケートMS58B30、三菱化学社製)
・ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1(合成例3)
・2−エチルヘキシルアシッドホスフェート(JP−508、城北化学工業社製)
・パラトルエンスルホニルイソシアネート
・微粉末シリカ(親水性シリカ、レオロシールQS−102、トクヤマ社製)
<硬化性組成物の評価>
実施例1および比較例1〜3の硬化性組成物を用いて、下記の評価を行った。評価結果を表1に示す。
[養生シート付着防止性]
a)養生シート付着防止性(5℃40%RH)
スレート板上に10mmの角バッカーを用いて幅30mm×深さ10mm×長さ100mmの目地を作製した。この目地に硬化性組成物を充填し、余分のものをヘラでかきとり、表面を平らに仕上げ試験体とした。
試験体を直ちに5℃40%RHの環境下(室内)で3日間または5日間養生した。養生後の硬化性組成物の表面に養生シート(ポリマスカー(布テープ+ポリエチレンシート)、大塚刷毛製造社製)を目地の長手方向に直交するように貼付した。貼付から1日後に養生シートを剥がし、剥がれ状況を目視で確認した。なお、このとき硬化性組成物の表面を指触したところ、表面は硬化していたが、内部は硬化していなかった。
b)養生シート付着防止性(23℃50%RH)
スレート板上に10mmの角バッカーを用いて幅30mm×深さ10mm×長さ100mmの目地を作製した。この目地に硬化性組成物を充填し、余分のものをヘラでかきとり、表面を平らに仕上げ試験体とした。
試験体を直ちに23℃50%RHの環境下(室内)で1日間または2日間養生した。養生後の硬化性組成物の表面に養生シート(ポリマスカー(布テープ+ポリエチレンシート)、大塚刷毛製造社製)を目地の長手方向に直交するように貼付した。貼付から1日後に養生シートを剥がし、剥がれ状況を目視で確認した。なお、このとき硬化性組成物の表面を指触したところ、表面は硬化していたが、内部は硬化していなかった。
養生シート付着防止性は下記の通り評価した。
評価:
◎:養生シートが硬化性組成物の表面に付着せず、きれいに剥がれる。
○:養生シートが硬化性組成物の表面に僅かに付着するが、きれいに剥がれる。
△:養生シートが硬化性組成物の表面に部分的に付着し、剥がすと硬化性組成物の表層部を引っ張り意匠上の不具合あり。
×:養生シートが硬化性組成物の表面に付着し、強く引っ張らないと剥がれない。養生シートを剥がすと硬化性組成物の表層部の大部分が引っ張られ意匠上の不具合あり。
[汚染防止性]
<黒色珪砂汚染>
スレート板上に10mmの角バッカーを用いて幅20mm×深さ20mm×長さ100mmの目地を作製した。この目地に硬化性組成物を充填し、余分のものをヘラでかきとり、表面を平らに仕上げ試験体とした。
試験体を直ちに23℃50%RHの環境下(室内)で7日間養生した。養生後の硬化性組成物の表面に黒色珪砂(8ブラック、ケイミュービューセラ社製)をふりかけ、直ちに試験体を裏返し、スレート板の底を手でたたき、余分の黒色珪砂を落とした。硬化性組成物表面に付着して残った黒色珪砂(汚れ)の状態を目視により観察し、硬化途中の汚染防止性を下記の通り評価した。
評価:
○:硬化性組成物の表面に黒色珪砂の付着がほとんど認められず、きれいな状態。
×:硬化性組成物の表面に黒色珪砂が多量に付着し、黒く汚れた状態。
[表面タック]
a)指触
スレート板上に10mmの角バッカーを用いて縦50mm×横50mm×深さ10mmの四角枠を作り、この枠内に硬化性組成物を充填し、余分のものをヘラでかきとり、表面を平らに仕上げ試験体とした。試験体を23℃50%RHの環境下(室内)に7日間静置した後、硬化性組成物の表面を指触し表面タック(べたつき)を評価した。
評価:
○:硬化性組成物の表面にべたつきがない。
×:硬化性組成物の表面にべたつきがある。
b)タッキネス測定
スレート板上に10mmの角バッカーを用いて縦50mm×横50mm×深さ10mmの四角枠を作り、この枠内に硬化性組成物を充填し、余分のものをヘラでかきとり、表面を平らに仕上げ試験体とした。試験体を23℃50%RHの環境下(室内)に7日間静置した後、タッキネスチェッカ(HTC−1、東洋精機製作所社製)を用いて硬化性組成物の表面のタッキネス(粘着力)[N]を測定した。なお、測定温度は23℃、接触子は面圧子(形式AL−R1)、接触子圧着力は10N、圧着時間は3秒である。
[耐ムーブメント性]
縦50mm×横50mm×厚さ25mmのモルタルを2個用意し、被着面(50mm×25mm)にプライマー(OP−2019、オート化学工業社製)を塗布して、23℃で30分間養生した。次いで、被着面に10mm角バッカーを二重貼りし、角バッカーが目地底となるようにモルタルを合わせて、モルタル間の目地が長さ50mm×幅20mm×深さ15mmとなる試験体を作製した。試験体をJIS A 1439(2016)建築用シーリング材の試験方法5.12.1g)の繰返し試験機に固定し、目地に硬化性組成物を充填した後、ヘラで余分なものを取り除き、表面を平滑に仕上げた。直ちに繰返し試験機を稼働させ、目地に1mmまたは2mmの拡大変位を与えた後、硬化性組成物の表面の状態を目視により観察し、硬化時の耐ムーブメント性を下記の通り評価した。なお、拡大変位は近似正弦波とし、1サイクル/24時間とした。すなわち、24時間で、目地幅が1mmまたは2mm拡大したのち元の目地幅に戻るサイクルである。試験は、23℃50%RHの環境下(室内)で行った。
評価:
○:硬化性組成物の表面にシワが発生しない。
△:硬化性組成物の表面に僅かにシワが発生する。
×:硬化性組成物の表面に全体的にシワが発生し、美観を損ねる。
[保存安定性]
<初期>
硬化性組成物を調製後、紙管カートリッジに入れ密封し、23℃50%RHの環境下(室内)で1日静置したものを使用した。
<加熱保存後>
硬化性組成物を調製後、紙管カートリッジに入れ密封し、60℃のオーブンの中に30日間入れて加熱保存した。加熱保存後、60℃のオーブンから紙管カートリッジを取り出し、23℃50%RHの環境下(室内)で1日静置したものを使用した。
[押し出し性]
手動のカートリッジガンを用いて、初期と加熱保存後の紙管カートリッジを押し出し、その状況から押し出し性を評価した。なお、紙管カートリッジの吐出口(プラスチック製ノズル)は8mmΦとした。
評価
○:押し出しすれば内容物が容易に出る
△:強く押し出さないと内容物が出ない
×:かなり強く押し出さないと内容物が出ない
[粘度上昇率]
初期と加熱保存後の硬化性組成物の粘度をE型粘度計(25℃、30倍コーン、10rpm)で測定し、硬化性組成物の粘度上昇率(加熱保存後の粘度/初期の粘度)を求めた。
[養生テープ剥がし性]
スレート板上に10mmの角バッカーを用いて幅20mm×深さ20mm×長さ100mmの目地を作製した。この目地際に沿って養生テープ(マスキングテープ、幅17mm、カモ井加工紙社製)を貼付し試験体を作製した。
初期と加熱保存後の硬化性組成物を試験体の目地に打設し、ヘラで硬化性組成物の表面を平らにならした。平らにならした際に養生テープ上には余分な硬化性組成物が付着している状態であった。次いで、35℃70%RHの環境下(恒温器)で硬化性組成物を30分間または60分間養生した後、養生テープを剥がした。養生テープを剥がした際の状況を目視で確認し、養生テープ剥がし性を評価した。
評価
○:養生テープ上の硬化性組成物がきれいに剥がれ、意匠上の不具合を生じない
△:養生テープ上の硬化性組成物が部分的に養生テープに引っ張られて目地際に若干のバリが生じ、意匠上の不具合を生じる
×:養生テープ上の硬化性組成物が養生テープに引っ張られてきれいに剥がれず、養生テープを無理に引っ張るとバリが生じて目地上または目地際にバリが残り、意匠上の不具合を生じる
実施例1の結果から、本発明の硬化性組成物は、養生シート付着防止性や耐ムーブメント性に優れることが分かる。また、本発明の硬化性組成物は、その表面に黒色珪砂をふりかけても汚染は認められず、その表面の指触によるべたつきがなく、その表面のタックネス(粘着力)も低いことが分かる。さらに、本発明の硬化性組成物は、60℃30日保存後の粘度上昇率が低く、保存後であっても押出し性が良好であり、養生テープ剥がし性にも優れることが分かる。
一方、比較例1と比較例3の硬化性組成物は、60℃30日保存後の粘度上昇が大きくなり、押出し性が悪化した。比較例3の硬化性組成物は、60℃30日保存後の粘度が高くなりすぎて粘度測定できなかった。また、比較例1と比較例3の硬化性組成物は、35℃70%RHでの養生テープ剥がし性が悪いことが分かる。比較例2の硬化性組成物は、その表面にタック(べたつき)があるため、タックネスの数値が大きく、黒色珪砂による汚染が認められた。
上述の通り、本発明の硬化性組成物は、養生シート付着防止性、耐ムーブメント性、養生テープ剥がし性に優れ、その表面のタック(べたつき)もなく、汚染防止性、加熱保存後の安定性にも優れるから、シーリング材組成物、防水材組成物、接着剤組成物、コーティング材組成物として好適に使用することができる。また、本発明の硬化性組成物は、建築用、土木用に好適に使用することができる。特に、ワーキングジョイントのシーリング材組成物として好適に使用することができる。