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JP2018193468A - 樹脂組成物からなるフィルム - Google Patents

樹脂組成物からなるフィルム Download PDF

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JP2018193468A JP2017098018A JP2017098018A JP2018193468A JP 2018193468 A JP2018193468 A JP 2018193468A JP 2017098018 A JP2017098018 A JP 2017098018A JP 2017098018 A JP2017098018 A JP 2017098018A JP 2018193468 A JP2018193468 A JP 2018193468A
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雅資 井川
Masashi Igawa
雅資 井川
英子 岡本
Hideko Okamoto
英子 岡本
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Abstract

【課題】本発明は、透明性と柔軟性に優れ、かつ引き裂き耐性に優れるフィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】マクロモノマー(A)と、該マクロモノマー(A)と共重合可能な他のコモノマー(B)とを重合して得られる、ピークトップ分子量(Mp)が7万以上90万以下であるマクロモノマー共重合体(Y)を含有する樹脂組成物ならびにそれより得られたフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物からなるフィルムに関する。
ポリメチルメタクリレート(PMMA)に代表されるアクリル樹脂は、透明性や耐候性に優れる。そのため、様々な応用用途の中で、屋外環境に晒される物品あるいはそのような物品の保護材としても利用されている。しかし、硬く、脆い性質も併せ持つため、応用範囲が限定されてきたことも事実であり、様々な手法での改質が試みられてきた。
ポリマーを改質する手法として、二種以上のポリマーセグメントを化学結合させたブロックポリマーが知られている。互いに混じり合わないポリマーセグメントであっても、化学結合で連結しているため、相分離構造が微細化し(ミクロ相分離と呼ばれる)、各ポリマーセグメントが有する特性を損なわずに改質することができる。
例えば、特許文献1には、マクロモノマーを利用した(メタ)アクリルブロックコポリマーであって、溶液重合よりも環境への負荷が小さい懸濁重合により得られる、透明性に優れたポリマー及びその製造方法が開示されている。また、特許文献2には、(メタ)アクリルブロックコポリマーであって、流動性に優れるフィルム用成形材料および、透明で延伸しても白化しにくいフィルムが開示されている。
たしかに、これらの特許に開示されているポリマーおよびフィルム用成形材料から得られるフィルムは、透明性に優れる。また、コモノマーの調整により透明性を損なわずに柔軟性を容易にコントロールできる点で優れる。しかしながら、例えば、フィルムを曲面に貼りあわせる工程において、張力をかけると容易に引き裂かれてしまうなど、実用面で改良の余地があった。
国際公開第2014/098141号 特開2015−157903号公報
本発明の目的は、透明性と柔軟性に優れ、かつ引き裂き耐性に優れるフィルムを提供することにある。
本発明者は、鋭意検討した結果、末端に重合性二重結合を有するポリマー(マクロモノマー)と、前記マクロモノマーと共重合可能な他の重合性単量体(コモノマー)を共重合して得られた共重合体を含む樹脂組成物であって、前記共重合体のピークトップ分子量(Mp)が7万以上90万以下である場合に、前記樹脂組成物を成形して得られたフィルムが透明性と柔軟性に優れ、かつ引き裂き耐性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の特徴を有する。
[1] 下記一般式(1)で表されるマクロモノマー(A)と、該マクロモノマー(A)と共重合可能な他のコモノマー(B)とを重合して得られるマクロモノマー共重合体(Y)を含有する樹脂組成物であって、該マクロモノマー共重合体(Y)のピークトップ分子量(Mp)が7万以上90万以下である、樹脂組成物。
(式中、R及びR1〜Rnは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は複素環基である。X1〜Xnは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。Zは、末端基である。nは、2〜10,000の自然数である。)
[2] 前記マクロモノマー共重合体(Y)を含有量50質量%以上で含む、[1]の樹脂組成物。
[3] [1]又は[2]の樹脂組成物を成形して得られたフィルム。
[4] 少なくとも片面に易接着処理が施されたものである、[3]のフィルム。
本発明により、透明性と柔軟性に優れ、かつ引き裂き耐性に優れるフィルムを提供することができる。
本発明のフィルムは、下記一般式(1)で表されるマクロモノマー(A)と、前記マクロモノマー(A)と共重合可能なコモノマー(B)とを重合して得られる、ピークトップ分子量(Mp)が7万以上90万以下であるマクロモノマー共重合体(Y)を含有する樹脂組成物をフィルム状に成形することで得られる。
(式(1)中、R及びR1〜Rnは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は複素環基である。X1〜Xnは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。Zは、末端基である。nは、2〜10,000の自然数である。)
以下、本発明に係るフィルムを構成する各成分について説明する。なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」又は「メタクリレート」を、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸」又は「メタクリル酸」を、「(メタ)アクリルアミド」は「アクリルアミド」又は「メタクリルアミド」を、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」又は「メタクリロイル」をそれぞれ示す。
<マクロモノマー(A)>
上記一般式(1)で表されるマクロモノマー(A)は、ポリ(メタ)アクリル酸エステルセグメントの片末端に、ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する基を付加させたものである。ここで、マクロモノマーとは、重合可能な官能基を持ったポリマーであり、別名マクロマーとも呼ばれるものである。
一般式(1)において、R及びR1〜Rnは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は複素環基である。アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は複素環基は、置換基を有することができる。
アルキル基としては、例えば、炭素数1〜20の分岐又は直鎖アルキル基が挙げられる。具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びi−プロピル基が挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば、炭素数3〜20のシクロアルキル基が挙げられる。具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基及びアダマンチル基が挙げられる。
アリール基としては、例えば、炭素数6〜18のアリール基が挙げられる。具体例としては、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。
複素環基としては、例えば、炭素数5〜18の複素環基が挙げられる。具体例としては、γ−ラクトン基及びε−カプロラクトン基が挙げられる。
R又はR1〜Rnの置換基としては、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(−COOR’)、カルバモイル基(−CONR’R’’)、シアノ基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基(−NR’R’’)、ハロゲン、アリル基、エポキシ基、アルコキシ基(−OR’)、及び親水性若しくはイオン性を示す基からなる群から選択される基又は原子が挙げられる。なお、R’又はR’’は、それぞれ独立して、複素環基を除いてRと同様の基が挙げられる。
置換基としてのアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基が挙げられる。
置換基としてのカルバモイル基としては、例えば、N−メチルカルバモイル基及びN,N−ジメチルカルバモイル基が挙げられる。
置換基としてのアミド基としては、例えば、ジメチルアミド基が挙げられる。
置換基としてのハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が挙げられる。
置換基としてのアルコキシ基としては、例えば、炭素数1〜12のアルコキシ基が挙げられる。具体例としては、メトキシ基が挙げられる。
置換基としての親水性又はイオン性を示す基としては、例えば、カルボキシル基のアルカリ塩又はスルホキシル基のアルカリ塩、ポリエチレンオキシド基、ポリプロピレンオキシド基等のポリ(アルキレンオキシド)基及び四級アンモニウム塩基等のカチオン性置換基が挙げられる。
R及びR1〜Rnは、アルキル基及びシクロアルキル基から選ばれる少なくとも1種が好ましく、アルキル基がより好ましい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はi−プロピル基が好ましく、入手のしやすさの観点から、メチル基がより好ましい。
一般式(1)において、X1〜Xnは、それぞれ水素原子又はメチル基であり、メチル基が好ましい。さらに、マクロモノマー(A)の合成し易さの観点から、X1〜Xnの半数以上がメチル基であることが好ましい。
一般式(1)において、Zは、マクロモノマー(A)の末端基である。マクロモノマー(A)の末端基としては、例えば、公知のラジカル重合で得られるポリマーの末端基と同様に、水素原子及びラジカル重合開始剤に由来する基が挙げられる。
マクロモノマー(A)の数平均分子量(Mn)は、マクロモノマー(A)を含むマクロモノマー共重合体(Y)を含有する成形材料から得られる成形体の機械物性及びミクロ相分離構造制御の観点から、1,000以上100,000以下が好ましい。マクロモノマー(A)のMnの下限値は、3,000以上がより好ましく、5,000以上がさらに好ましく、7,000以上が特に好ましい。また、マクロモノマー(A)のMnの上限値は、70,000以下が好ましく、50,000以下がさらに好ましい。Mnが上記下限値以上であれば、マクロモノマー共重合体(Y)においてマクロモノマー(A)由来のセグメントの重量比を大きくすることができ、ミクロ相分離構造制御が容易になると共に、マクロモノマー共重合体(Y)の機械物性が良好になる。Mnが上記上限値以下であれば、マクロモノマー共重合体(Y)においてコモノマー(B)由来のセグメントの重量比を大きくすることができ、ミクロ相分離構造制御が容易になると共にマクロモノマー共重合体(Y)を合成する際の混合物粘度が取扱い容易な範囲内となる。
マクロモノマー(A)の数平均分子量(Mn)は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)(サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)とも呼ばれる)を使用し、分子量既知のポリメチルメタクリレート(PMMA)を標準ポリマーとして用いて作成した検量線から算出した値を意味する。
[マクロモノマー(A)の原料モノマー]
マクロモノマー(A)を得るための原料モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル等のカルボキシ基含有ビニル系単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有ビニル系単量体;グリジシル(メタ)アクリレート、グリジシルα−エチルアクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有ビニル系単量体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート系のビニル系単量体;(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等のアミド基を含有するビニル系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル系単量体;ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の多官能性のビニル系単量体;などが挙げられる。これらは、1種以上を適宜選択して使用することができる。
これらの中で、モノマーの入手のし易さの点で、メタクリレートが好ましい。
メタクリレートとしては、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び4−ヒドロキシブチルメタクリレートが好ましく、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート及び2−エチルヘキシルメタクリレートがより好ましい。
また、マクロモノマー(A)を得るための原料モノマーとしては、生成物であるマクロモノマー共重合体(Y)及びこれを含有する成形体の耐熱性の点から、上記のメタクリレート及びアクリレートを含有するモノマー組成物が好ましい。
アクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、i−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート及びt−ブチルアクリレートが挙げられる。これらの中で、入手しやすさの点で、メチルアクリレートが好ましい。
マクロモノマー(A)を得るためのモノマー組成物中のメタクリレートの含有量としては、生成物であるマクロモノマー共重合体(Y)及びこれを含有する成形体の耐熱性の点から、80質量%以上100質量%以下が好ましい。メタクリレートの含有量は、82質量%以上99質量%以下がより好ましく、84質量%以上98質量%以下がさらに好ましい。マクロモノマー(A)を得るためのモノマー組成物中のアクリレートの含有量としては、0質量%以上20質量%以下が好ましく、1質量%以上18質量%以下がより好ましく、2質量%以上16質量%以下がさらに好ましい。
[マクロモノマー(A)の製造方法]
マクロモノマー(A)は、公知の方法で製造できる。マクロモノマー(A)の製造方法としては、例えば、コバルト連鎖移動剤を用いて製造する方法(米国特許4680352号明細書)、α−ブロモメチルスチレン等のα置換不飽和化合物を連鎖移動剤として用いる方法(国際公開88/04304号)、重合性基を化学的に結合させる方法(特開昭60−133007号公報、米国特許5147952号明細書)及び熱分解による方法(特開平11−240854号公報)等が挙げられる。
これらの中で、マクロモノマー(A)の製造方法としては、製造工程数が少なく、連鎖移動定数が高い触媒を使用する点で、コバルト連鎖移動剤を用いて製造する方法が好ましい。
本発明において使用されるコバルト連鎖移動剤としては、従来公知のものを挙げることができ、例えば、特許第3587530号公報、特公平6−23209号公報、特公平7−35411号公報、米国特許第45269945号公報、米国特許第4694054号公報、米国特許第4837326号公報、米国特許第4886861号公報、米国特許第5324879号公報、国際公開第95/17435号、特表平9−510499号公報等に記載されているものを使用することができる。
コバルト連鎖移動剤としては、例えば、下記一般式(2)で表される化合物を使用することができる。
(式(2)中、R1〜R4は、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基及びアリール基より選択され、Xは、それぞれ独立して、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基及びアリール基より選択される)
コバルト連鎖移動剤としては、より具体的には、ビス(ボロンジフルオロジメチルジオキシイミノシクロヘキサン)コバルト(II)、ビス(ボロンジフルオロジメチルグリオキシメイト)コバルト(II)、ビス(ボロンジフルオロジフェニルグリオキシメイト)コバルト(II)、ビシナルイミノヒドロキシイミノ化合物のコバルト(II)錯体、テトラアザテトラアルキルシクロテトラデカテトラエンのコバルト(II)錯体、N,N’−ビス(サリチリデン)エチレンジアミノコバルト(II)錯体、ジアルキルジアザジオキソジアルキルドデカジエンのコバルト(II)錯体、コバルト(II)ポルフィリン錯体等が挙げられ、これらより一種以上を適宜選択して使用することができる。中でも、水性媒体中に安定に存在し、連鎖移動効果が高いビス(ボロンジフルオロジフェニルグリオキシメイト)コバルト(II)(式(2)中、R1〜R4はフェニル基、Xはフッ素原子で表わされる)が好ましい。
コバルト連鎖移動剤を用いてマクロモノマー(A)を製造する方法としては、例えば、塊状重合法、溶液重合法、水系分散重合法等が挙げられる。水系分散重合法には、懸濁重合法及び乳化重合法等が含まれる。
これらの中で、水系分散重合法及び溶液重合法を好ましく利用することができる。水系分散重合法によれば、マクロモノマー(A)の回収工程を簡略化することができる。水系分散重合法においては、水、水と水溶性溶剤(例えばエタノール)との混合物等を溶剤として使用することができる。また、溶液重合法によれば、得られたマクロモノマー(A)を回収せずに、そのままコモノマー(B)及び熱重合開始剤等を追添加してマクロモノマー共重合体(Y)の重合反応を開始することができる。溶液重合法においては、例えば、トルエン等の炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;アセトン等のケトン;メタノール等のアルコール;アセトニトリル等のニトリル;酢酸エチル等のビニルエステル;エチレンカーボネート等のカーボネート;及び超臨界二酸化炭素等の溶剤を利用することができ、これらより選択される一又は二種以上を使用することができる。
コバルト連鎖移動剤は、マクロモノマー(A)を得るための原料モノマー100質量部に対し0.0005質量部以上0.02質量部以下の量、好ましくは0.001質量部以上0.015質量部以下の量、より好ましくは0.001質量部以上0.01以下の量で用いることができる。コバルト連鎖移動剤の使用量が少ない場合(例えば、前記下限値未満である場合)には得られるマクロモノマー(A)の分子量を十分に低下させることができない場合があり、コバルト連鎖移動剤の使用量が多い場合(例えば、前記上限値超である場合)には得られるマクロモノマー(A)が着色される場合がある。
重合には、ラジカル重合開始剤を用いることがきる。本発明において利用可能なラジカル重合開始剤として、有機過酸化物あるいはアゾ化合物等が挙げられ、重合反応に用いる溶剤や原料に応じて適宜選択することができる。有機過酸化物の具体例としては、例えば、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、シクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。アゾ化合物の具体例としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)等が挙げられる。
これらラジカル重合開始剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ラジカル重合開始剤は、マクロモノマー(A)を得るための原料モノマー100質量部に対して0.0001質量部以上10質量部以下、好ましくは0.001質量部以上1質量部以下の範囲内で用いることができる。
また、重合は分散剤の存在下にて行うことができる。本発明において利用可能な分散剤としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、(メタ)アクリル酸スルホアルキルのアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、ポリスチレンスルホン酸のアルカリ金属塩、スチレンスルホン酸のアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、又はこれら単量体の組み合わせからなる共重合体;ケン化度70〜100%のポリビニルアルコ−ル、メチルセルロ−ス、澱粉及びヒドロキシアパタイトが挙げられ、重合反応に用いる溶剤や原料に応じて適宜選択することができる。これら分散剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。分散剤は反応液中、0.005質量部以上0.05質量部以下の量で用いることができる。
また、重合時の分散安定性の向上を目的として、無機電解質を併用することができる。無機電解質としては、特に限定されないが、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マンガン等が挙げられる。これらは1種以上を適宜選択して使用することができる。
重合温度については特に制限はなく、例えば、−100〜250℃の範囲より適宜選択することが可能であり、好ましくは0〜200℃の範囲とすることができる。
重合反応後、得られたマクロモノマー(A)は、濾過、透析、沈殿等のポリマーを分離・精製するための任意の手段により精製・回収することができ、必要に応じてさらに、乾燥工程に付してもよい。マクロモノマー(A)は、任意の形態(例えば、粉体、粒体、ペレット等の固体形態)にて、後述するマクロモノマー共重合体(Y)の製造に用いることができる。
マクロモノマー(A)は、単独で又は構造・組成の異なる2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<コモノマー(B)>
コモノマー(B)は、マクロモノマー(A)と重合可能な単量体であり、マクロモノマー(A)と重合可能であれば特に限定されず、必要に応じて各種の単量体を使用できる。具体的には、上記「マクロモノマー(A)を得るための原料モノマー」として列記したモノマーと同様のものが挙げられる。コモノマー(B)は、マクロモノマー(A)との良好な共重合性を有することから、(メタ)アクリレートが好ましく、特に、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ドデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
コモノマー(B)は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
<マクロモノマー共重合体(Y)>
マクロモノマー共重合体(Y)は、マクロモノマー(A)とコモノマー(B)とを重合して得られる重合体である。
マクロモノマー共重合体(Y)は、マクロモノマー(A)とコモノマー(B)を単量体単位とするブロックコポリマー、並びに側鎖にマクロモノマー(A)を有する、コモノマー(B)のグラフトコポリマーから選ばれる少なくとも一種を含む。
さらに、マクロモノマー共重合体(Y)には、マクロモノマー(A)のみを単量体単位とするポリマー、コモノマー(B)のみを単量体単位とするポリマー、未反応のマクロモノマー(A)、未反応のコモノマー(B)から選ばれる少なくとも1種が含まれていても良い。
マクロモノマー共重合体(Y)における未反応のマクロモノマー(A)の含有量は、マクロモノマー共重合体(Y)のミクロ相分離制御能と耐熱分解性の点で、少ない方が好ましい。マクロモノマー共重合体(Y)における未反応のマクロモノマー(A)の含有量は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。
マクロモノマー共重合体(Y)の質量平均分子量(Mw)は、成形体としたときの機械物性を保つためには高い方が好ましいが、Mwが高すぎると流動性が低下し、成形性の低下を招く。
マクロモノマー共重合体(Y)のMwは、機械物性と成形性を両立する点から、4万以上100万以下が好ましく、5万以上75万以下がより好ましく、6万以上50万以下が更に好ましい。なお、マクロモノマー共重合体(Y)の質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を使用し、分子量既知のポリメチルメタクリレート(PMMA)を標準ポリマーとして用いて作成した検量線から算出した値を意味する。
マクロモノマー共重合体(Y)のピークトップ分子量(Mp)は7万以上90万以下が好ましい。マクロモノマー共重合体(Y)のピークトップ分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を使用し、得られた微分分子量分布のピークトップに位置する分子量を、分子量既知であるポリメチルメタクリレート(PMMA)を標準ポリマーとして用いて作成した検量線から算出した値を意味する。
マクロモノマー共重合体(Y)のMpは、マクロモノマー共重合体(Y)に最も多く含まれるポリマー成分の分子量である。Mpが7万以上あると、マクロモノマー共重合体(Y)の機械物性、とりわけ引き裂き強度に優れる。Mpが高いほど、マクロモノマー共重合体(Y)の機械物性に優れるが、高すぎると成形体の外観不良(例えば、透明性の低下等)を招くおそれがあり、Mpは90万以下が好ましい。機械物性と良好な外観の両立の観点から、マクロモノマー共重合体(Y)のMpは8万以上90万以下がより好ましく、8万以上60万以下がさらに好ましく(例えば、8万以上50万以下、もしくは8万以上40万以下)、8万以上30万以下がよりさらに好ましい。
マクロモノマー共重合体(Y)の分子量分布(PDI)(質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、2.5以上16.0以下が好ましい。PDIが2.5以上であれば、低分子量体を含むため成形に好適な流動性を確保しやすい。また、16.0以下であれば、成形体の外観不良を招きにくい。PDIは、3.0以上12.0以下がより好ましく、3.2以上8.0以下が更に好ましい。ただし、分子量分布が上限を超えるマクロモノマー共重合体(Y)であっても、成形体表面に熱プレス等の加工を施すことにより、良好な外観を持つ成形体が得られる。
[マクロモノマー共重合体(Y)の製造方法]
マクロモノマー共重合体(Y)の製造方法は、マクロモノマー(A)とコモノマー(B)とを重合反応させる工程を有する。
マクロモノマー(A)とコモノマー(B)とを重合反応させる方法は特に限定されず、溶液重合、水系分散重合(例えば、懸濁重合、乳化重合等)、塊状重合等の種々の方法を用いることができる。
懸濁重合や乳化重合のような水系分散重合は、重合発熱の制御が容易である点で有利であり、その中でも回収操作の簡便性、生産性の高さから懸濁重合が好ましい。溶液重合は、反応溶液の均一性が重合後期まで保たれた状態で反応させることが可能である点で有利である。また、溶液重合や乳化重合は、マクロモノマー(A)の合成からマクロモノマー共重合体(Y)の合成まで連続して行うことが可能である点で有利である。
重合反応に用いるマクロモノマー(A)とコモノマー(B)の各量は特に限定されないが、両者の合計量を100質量部とした場合、マクロモノマー(A)を20質量部以上60質量部以下、例えば25質量部以上55質量部以下、好ましくは30質量部以上50質量部以下の範囲より選択される量とすることができる。マクロモノマー(A)を当該量にて含めることによって、マクロモノマー共重合体(Y)のミクロ相分離構造制御を容易とし良好な機械物性を得ることができ、また重合反応系における混合物の粘度を取扱い容易なものとすることができる。
特に限定されるものではないが、本発明のマクロモノマー共重合体(Y)の製造に際しては、マクロモノマー(A)とコモノマー(B)とを、全て同一の反応容器内に投入した後に、重合反応が開始されることが好ましい。また、マクロモノマー(A)とコモノマー(B)との滴下が必要な場合には、両者を予め、反応容器内と同じ組成比で均一に混合したものを滴下することが好ましい。これらの操作により、反応容器中のマクロモノマー(A)とコモノマー(B)の組成比を常に一定に保つことができ、それによってマクロモノマー(A)のみが残ったり、コモノマー(B)のみが残ったりする現象を抑制することができる。
重合に際しては、重合体の分子量を調節するために、連鎖移動剤を用いても良い。このような連鎖移動剤として、メルカプタン類(例えば、1−オクタンチオール等)、水素、αメチルスチレンダイマー、テルペノイド類等を利用することができる。連鎖移動剤は、マクロモノマー(A)とコモノマー(B)の合計量100質量部に対し0.0001質量部以上10質量部以下、好ましくは0.001質量部以上1質量部以下の量で用いることができる。
重合はラジカル重合開始剤の存在下で行うことができる。マクロモノマー共重合体(Y)の製造において利用可能なラジカル重合開始剤としては、上記のラジカル重合開始剤が挙げられる。
ラジカル重合開始剤は、マクロモノマー(A)とコモノマー(B)の合計量100質量部に対して0.0001質量部以上10質量部以下、好ましくは0.001質量部以上1質量部以下の範囲内で用いることができる。
また、重合は分散剤の存在下にて行うことができる。本発明において利用可能な分散剤としては、上記の分散剤が挙げられ、重合反応に用いる溶剤や原料に応じて適宜選択することができる。分散剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。分散剤は反応液中、0.005質量部以上0.05質量部以下の量で用いることができる。
また、重合時の分散安定性の向上を目的として、無機電解質を併用することができる。利用可能な無機電解質としては、上記の無機電解質を挙げることができ、1種以上を適宜選択して使用することができる。
重合温度については特に制限はなく、例えば、−100〜250℃の範囲より適宜選択することが可能であり、好ましくは0〜200℃の範囲である。
重合反応後、得られたマクロモノマー共重合体(Y)は、濾過、透析、沈殿等のポリマーを分離・精製するための任意の手段により精製・回収することができ、必要に応じてさらに、乾燥工程に付してもよい。マクロモノマー共重合体(Y)は、任意の形態(例えば、粉体、粒体、ペレット等の固体形態)とすることができる。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、マクロモノマー共重合体(Y)を含有する組成物である。当該樹脂組成物は、フィルム等の成形体を製造するための原材料として用いることができる。
本発明の樹脂組成物には、マクロモノマー共重合体(Y)を好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上の量にて含めることができる。マクロモノマー共重合体(Y)をこの量で含めることによって、樹脂組成物をフィルム状に成形した際に良好な透明性や機械物性を得ることができる。
本発明の樹脂組成物には、マクロモノマー共重合体(Y)に加えて、さらなる別のポリマーを含めても良い。このようなポリマーとしては、例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂、ポリオレフィン、ポリアミド、不飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の飽和ポリエステル及びポリカーボネートが挙げられる。これらの中でも、耐候性に優れるポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂やポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂、良好な透明性を有する成形体の製造を可能とするポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂が、特に好ましい。アクリル樹脂を構成する単量体としては、上記「コモノマー(B)」を構成する原料モノマーと同様のものが挙げられる。本発明の樹脂組成物には、マクロモノマー共重合体(Y)と共に、このような別のポリマーを単独で、又は複数種を組み合わせて含めることができる。
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて添加剤を含有させることができる。添加剤の量は、本発明の樹脂組成物を成形して得られるフィルムの光学性能や機械特性を損なわない範囲で適宜選択することでき、少ないほど好ましく、添加剤の含有量は樹脂組成物100質量部に対して0〜20質量部が好ましく、0〜10質量部がより好ましく、0〜5質量部が更に好ましい。
添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、合成シリカやシリコン樹脂粉末等のブロッキング防止剤、可塑剤、抗菌剤、防カビ剤、ブルーイング剤、帯電防止剤が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾエート系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、サリチレート系化合物、アクリロニトリル系化合物、金属錯塩系化合物、ヒンダードアミン系化合物;粒子径が0.01〜0.06μm程度の超微粒子酸化チタン、粒子径が0.01〜0.04μm程度の超微粒子酸化亜鉛等の無機系粒子が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光安定剤としては、例えば、N−H型、N−CH3型、N−アシル型、N−OR型等のヒンダードアミン系又はフェノール系の光安定剤が挙げられる。
耐熱安定剤としては、例えば、フェノール系、アミン系、硫黄系又は燐酸系の酸化防止剤が挙げられる。
紫外線吸収剤又は酸化防止剤として、例えば、重合体を構成する主鎖又は側鎖に、紫外線吸収剤又は酸化防止剤を化学結合させた重合体型のものを使用することもできる。
本発明の樹脂組成物は、マクロモノマー共重合体(Y)及び所望により任意成分を所定量配合し、任意の混合手段や混練手段(例えば、ロール、バンバリーミキサー、単軸押出機、二軸押出機等の通常の混練機)を用いて調製することができる。本発明の樹脂組成物は任意の形態とすることができ、例えば、粉体、粒体、ペレット等の固体形態とすることができる。
<フィルム>
本発明のフィルムは、前記樹脂組成物をフィルム状に成形したものである。
本発明のフィルムは、透明性と柔軟性に優れ、かつ引き裂き耐性に優れる。
(透明性)
本発明のフィルムの全光線透過率としては、日本工業規格(JIS K 7361−1)「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法−第1部:シングルビーム法」に準拠して測定した場合に80%以上100%以下が好ましく、85%以上100%以下がより好ましく、90%以上100%以下が更に好ましい。
全光線透過率が80%以上あれば、厚いフィルムであったとしても充分な透明感が得られる。
本発明のフィルムのヘーズ値としては、日本工業規格(JIS K 7136)「プラスチック−透明材料のヘーズの求め方」に準拠して測定した場合に、0%以上10%以下が好ましく、0%以上5%以下がより好ましく、0%以上3%以下が更に好ましい。ヘーズ値が10%以下であれば、曇りの少ない透明感が得られる。
フィルムは通常、厚さが薄いほど透明性が高いものが得られやすい。そのため、本発明のフィルムの厚は20〜400μmが好ましく、25〜350μmがより好ましく、30〜300μmが更に好ましい。
本発明において、フィルムの厚さは、製膜時の流れ方向に垂直な方向(TD方向)で任意に三か所測定した測定値の平均値をいう。
(機械物性)
本発明のフィルムは、室温下では張力を与えても引き裂かれにくいため取扱い性に優れ、加温下では施工に適した柔軟性と高い破断伸度を示す。加温とは、フィルムを熱することで室温以上の温度を与えることを指すが、その温度は施工手法によりさまざまである。なお、本明細書では、特に断りの無い限り、「室温」又は「室温下」とは23℃を指し、「加温」又は「加温下」とは40℃を指すこととする。
本発明のフィルムの室温下での弾性率は、日本工業規格(JIS K 7127)「プラスチック−引張特性の試験方法-第3部:フィルム及びシートの試験条件」に準拠して、23℃で200mm/分の速度で測定した場合、100MPa以上1200MPa以下が好ましい。
弾性率が100MPa以上あればフィルムとして取り扱うことができる。また、1200MPa以下であれば、室温でも曲面に追従させることができる。
本発明のフィルムの室温下での弾性率は150MPa以上1000MPa以下がより好ましく、200MPa以上800MPa以下が更に好ましい。
本発明のフィルムの加温下での弾性率としては、JIS K 7127に準拠して、40℃で200mm/分の速度で測定した場合、1MPa以上700MPa以下が好ましい。
弾性率が1MPa以上あれば追従させた後に剥して微調整(リワーク)することができる。また、700MPa以下であれば、凹凸面にも容易に追従させることができる。
本発明のフィルムの加温下での弾性率は10MPa以上600MPa以下がより好ましく、20MPa以上500MPa以下が更に好ましい。
本発明のフィルムの加温下での破断伸度としては、JIS K 7127に準拠して、40℃で200mm/分の速度で測定した場合、100%以上伸びることが好ましい。
破断伸度が100%以上あれば、熱をかけてフィルムを変形させても容易には破断せず、施工がしやすい。
破断伸度は高いほどよいが、フィルムは伸ばすほど薄くなり、貼りあわせる面の微小突起などで破れやすくなるため、300%以下が好ましい。
本発明のフィルムの加温下での破断伸度は120%以上300%以下がより好ましく、140%以上300%以下が更に好ましい。
また、本発明のフィルムの室温下での引き裂き強度は、日本工業規格(JIS K 7128−3)「プラスチック-フィルム及びシートの引裂強さ試験方法−第3部:直角形引裂法」に準拠して、23℃で200mm/分の速度で測定した場合に、80N/mm以上200N/mm以下であることが好ましい。引き裂き強度が80N/mm以上であれば曲面追従時などに力をかけても引き裂かれにくく、取扱いやすい。引き裂き強度が200N/mm以下であれば打ち抜き等の加工性に優れる。
本発明のフィルムの引き裂き強度は、耐久性と加工性の観点から85N/mm以上であることがより好ましく、90N/mm以上であることが更に好ましく、85N/mm以上200N/mm以下であることが特に好ましく、90N/mm以上200N/mm以下が最も好ましい。
(フィルムの表面処理)
本発明のフィルムは、そのまま用いてもよく、あるいは、片面又は両面に耐候性、表面硬度、耐擦傷性、耐薬品性、印刷特性、易接着性、撥水性、帯電防止、反射防止、防眩、艶消し等の各種機能を付与又は向上させるために表面加工が施されていても良い。
表面加工の具体例としては、例えば、各種コーティング処理(例えば、印刷、塗布、湿式メッキ処理、乾式メッキ処理、ラミネート加工等)、易接着処理などが挙げられるが、これらに限定はされない。「易接着処理」とは、本発明のフィルムと、他のシートやフィルム、塗料や接着剤等との間の密着性を向上させるために行う処理であり、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、スパッタエッチング処理、スルホン化処理、グラフト処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、粘着剤(例えば、(メタ)アクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレンイミン、シランカップリング剤、ペルフルオロオクタンスルホン酸等)の塗布(粘着層の設置)等の処理をいう。本発明のフィルムは、易接着処理が施された易接着フィルムが好ましい。なかでも、人が手作業で貼りあわせやすい点で、粘着層を設けた易接着フィルムがより好ましく、本発明フィルムと粘着層の界面剥離が起きにくいため、(メタ)アクリレートをモノマー単位とするポリマーを含む粘着層を設けた易接着フィルムが更に好ましい。
<フィルムの製造方法>
本発明のフィルムは、前記樹脂組成物を任意の手段でフィルム又はシート状に成形することにより製造することができる。成形方法としては、例えば、射出成形法、圧縮成形法、中空成形法、押出成形法、回転成形法、流延法及び溶媒キャスト法が挙げられる。例えば、本発明のフィルムは、前記樹脂組成物を溶融した後、フィルム形状とし、その後冷却して固化させる工程により製造することができる。このような方法としては、生産性の観点から溶融押出法が好ましい。溶融押出法の例としては、Tダイ法、インフレーション法が挙げられるが、これらのうち経済性の点でTダイ法が好ましい。
溶融押出温度は、170℃以上240℃以下程度が好ましい。また、押出機としては、例えば、単軸押出機及び二軸押出機等を利用することができる。
<フィルムの用途>
本発明のフィルムの用途としては、例えば、オーバーレイフィルム、ラミネートフィルム、メディア印刷フィルム等の用途;ウェザーストリップ、バンパー、バンパーガード、サイドマッドガード、ボディーパネル、スポイラー、フロントグリル、ストラットマウント、ホイールキャップ、センターピラー、ドアミラー、センターオーナメント、サイドモール、ドアモール、ウインドモール、窓、ヘッドランプカバー、テールランプカバー、風防部品等の自動車外装用途;インストルメントパネル、コンソールボックス、メーターカバー、ドアロックペゼル、ステアリングホイール、パワーウィンドウスイッチベース、センタークラスター、ダッシュボード等の自動車内装用途;AV機器や家具製品のフロントパネル、ボタン、エンブレム、表面化粧材等の用途;携帯電話等のハウジング、表示窓、ボタン等の用途;家具用外装材用;壁面、天井、床等の建築用内装材用途;サイディング等の外壁、塀、屋根、門扉、破風板等の建築用外装材用途;窓枠、扉、手すり、敷居、鴨居等の家具類の表面化粧材用途;各種ディスプレイ;フレネルレンズ、偏光フィルム、偏光子保護フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルム、視野角拡大フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、プリズムシート、マイクロレンズアレイ、タッチパネル用導電フィルム、導光用途フィルム、電子ペーパー用途フィルム等の光学用途;窓ガラス、電車、航空機、船舶等の自動車以外の各種乗り物の内外装用途;瓶、化粧品容器、小物入れ等の各種包装容器及び包装材料;景品や小物等の雑貨等のその他各種用途向けのフィルム;太陽電池表面保護フィルム、太陽電池用封止フィルム、太陽電池用裏面保護フィルム、太陽電池用基盤フィルム、農業用ビニルハウス、高速道路遮音板用保護フィルム並びに交通標識用最表面保護フィルム等が挙げられるが、これらに限定はされない。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、実施例中の「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」を示す。
[評価方法]
実施例、比較例における各評価は、以下の方法により実施した。
(樹脂組成物の評価方法)
(1)分子量、及び分子量分布
質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、およびピークトップ分子量(Mp)は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製、商品名:HLC−8220)を使用し、以下の条件にて測定した。
カラム:TSK GUARD COLUMN SUPER HZ−L(4.6×35mm)と2本のTSK−GEL SUPER HZM−N(6.0×150mm)を直列に接続
溶離液:THF
測定温度:40℃
流速:0.6mL/分
尚、Mw、Mn及びMpは、Polymer Laboratories製のピークトップ分子量が1590、10290、55600及び141500である4種のポリメチルメタクリレートを標準ポリマーとして用いて作成した検量線を使用して求めた。
(フィルムの評価方法)
(2)透過率、ヘーズ
ヘーズメーターNDH2000(日本電色製)を用いて、JIS K 7136、JIS K 7361−1に準拠してヘーズ及び全光線透過率を測定した。1サンプルにつき三点ずつ測定して平均値を求めた。
(3)引張試験
フィルムから15mm×150mmの短冊形状の試験片をMD方向に沿って切り出した。テンシロン万能試験機RTC−1250A(オリエンテック製)にてチャック間距離100mmとして、JIS K 7127に準拠して、引張試験を行った。室温23℃及び40℃にて、速度200mm/分で引張試験を実施し、その時の応力歪み曲線から、それぞれの試験温度における破断伸度、弾性率、降伏応力を求めた。
(4)引き裂き試験
フィルムから打ち抜いた直角型試験片を用いて、JIS K 7128−3に準拠して、テンシロン万能試験機RTC−1250A(オリエンテック製)にて引き裂き試験を行った。TD方向に引き裂く試験を室温23℃及び引張速度200mm/分で実施し、引き裂き強度、最大点伸度、破断伸度を求めた。
<製造例1>
[分散剤]
撹拌機、冷却管及び温度計を備えた容量1200Lの反応容器内に、17%水酸化カリウム水溶液61.6部、メチルメタクリレート(三菱ケミカル(株)製、以下同様)19.1部及び脱イオン水19.3部を仕込んだ。次いで、反応装置内の液を室温にて撹拌し、発熱ピークを確認した後、更に4時間撹拌した。この後、反応装置内の反応液を室温まで冷却してカリウムメタクリレート水溶液を得た。
次いで、撹拌機、冷却管及び温度計を備えた容量1050Lの反応容器内に、脱イオン水900部、2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸ナトリウム(三菱ケミカル(株)製、商品名:アクリエステルSEM−Na)60部、上記のカリウムメタクレート水溶液10部及びメチルメタクリレート12部を入れて撹拌し、重合装置内を窒素置換しながら、50℃に昇温した。その中に、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(和光純薬工業(株)製、商品名:V−50)0.08部を添加し、更に60℃に昇温した。
昇温後、滴下ポンプを利用してメチルメタクレートを0.24部/分の速度で75分間連続的に滴下した。反応溶液を60℃で6時間保持した後、室温に冷却して、透明な水溶液である固形分10%の分散剤を得た。
<製造例2>
[マクロモノマー]
(コバルト連鎖移動剤の合成)
撹拌装置を備えた合成装置中に、窒素雰囲気下で、酢酸コバルト(II)四水和物(和光純薬(株)製、和光特級)2.00g(8.03mmol)及びジフェニルグリオキシム(東京化成(株)製、EPグレード)3.86g(16.1mmol)及び予め窒素バブリングにより脱酸素したジエチルエーテル100mlを入れ、室温で2時間攪拌した。
次いで、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(東京化成(株)製、EPグレード)20mlを加え、更に6時間攪拌した。得られたものを濾過し、固体をジエチルエーテルで洗浄し、20℃において12時間真空乾燥し、茶褐色固体のコバルト錯体5.02g(7.93mmol、収率99%)を得た。
(マクロモノマーの合成)
撹拌機、冷却管及び温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水145部、硫酸ナトリウム(Na2SO4)0.1部及び製造例1で製造した分散剤(固形分10%)0.26部を入れて撹拌して、均一な水溶液とした。次に、メチルメタクリレート(MMA)95部、メチルアクリレート(MA)(三菱ケミカル(株)製)5部、上記方法で製造したコバルト連鎖移動剤0.0016部及び重合開始剤として1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日油(株)製、商品名:パーオクタ(登録商標)O)0.1部を加え、水性分散液とした。次いで、重合装置内を充分に窒素置換し、水性分散液を80℃に昇温してから4時間保持した後に92℃に昇温して2時間保持した。その後、反応液を40℃に冷却して、マクロモノマーの水性懸濁液を得た。この水性懸濁液を濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄し、40℃で16時間乾燥して、マクロモノマーを得た。
GPCで分析したところ、マクロモノマーのMwは27000、Mnは14000、分子量分布(PDI)は1.9であった。
結果を表1に示す。
<製造例3>
[マクロモノマー共重合体(Y−1)]
脱イオン水145部、硫酸ナトリウム0.1部及び製造例1で製造した分散剤0.26部を混合して懸濁用水分散媒を調製した。
冷却管付セパラブルフラスコに、マクロモノマー(A)として製造例2で合成したマクロモノマーを40部、コモノマー(B)としてn−ブチルアクリレート(BA)(三菱ケミカル(株)製)36部及びメチルメタクリレート24部、1−オクタンチオール0.1部を混合し、攪拌しながら50℃に加温して原料シラップを得た。原料シラップを40℃以下に冷却した後、原料シラップにAMBN(大塚化学(株)製2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))0.3部を溶解させ、シラップを得た。
次いで、シラップに懸濁用水分散媒を加えた後、窒素バブリングによりセパラブルフラスコ内の雰囲気を窒素置換しながら、攪拌回転数を上げてシラップ分散液を得た。
シラップ分散液を75℃に昇温し、重合発熱ピークが出るまでセパラブルフラスコの外温を保持した。重合発熱ピークが出た後、シラップ分散液が75℃になったところで、シラップ分散液を85℃に昇温し、30分保持して重合を完結させ、懸濁液を得た。
懸濁液を40℃以下に冷却した後に、懸濁液を濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄し、40℃で16時間乾燥してマクロモノマー共重合体(Y−1)を得た。
結果を表2に示す。マクロモノマー共重合体(Y−1)のMwは248000、Mnは52000、PDIは4.8であった。またMpは65300であった。
<製造例4>
[マクロモノマー共重合体(Y−2)]
製造例3において、コモノマー(B)としてn−ブチルアクリレート(BA)及びメチルメタクリレート(MMA)を表2の通り用いたこと以外は同様にして、マクロモノマー共重合体(Y−2)を得た。
結果を表2に示す。マクロモノマー共重合体(Y−2)のMwは247000、Mnは57100、PDIは4.3であった。またMpは84400であった。
<製造例5>
[マクロモノマー共重合体(Y−3)]
製造例3において、コモノマー(B)としてn−ブチルアクリレート(BA)及びメチルメタクリレート(MMA)を表2の通り用いたこと以外は同様にして、マクロモノマー共重合体(Y−3)を得た。
結果を表2に示す。
マクロモノマー共重合体(Y−3)のMwは209000、Mnは57900、PDIは3.6であった。またMpは84400であった。
<実施例1>
[フィルムの作製]
製造例4で作製したマクロモノマー共重合体(Y−2)を50℃で一晩予備乾燥させた後、φ30mm二軸混練押出機(Werner&Pfleiderer社製)により最高温度220℃で押出し、ペレット状の成形材料(樹脂組成物)を得た。
得られたペレットを50℃で一晩予備乾燥させた後、150mm幅のTダイが搭載されたφ30mm単軸押出機(GMエンジニアリング社製)により押出温度180〜220℃、Tダイ温度220℃で一本の冷却ロール温度40℃で製膜して厚さ50μmのフィルム(実施例1)を得た。
得られたフィルムの23℃での引張試験結果、40℃での引張試験結果、23℃での引き裂き試験結果、ならびに光学試験結果を表3に示す。
<比較例1、実施例2>
実施例1において、マクロモノマー共重合体として製造例3で得たマクロモノマー共重合体(Y−1)あるいは製造例5で得たマクロモノマー共重合体(Y−3)を用いたこと以外は同様にして、各共重合体より比較例1及び実施例2のフィルムを得た。
フィルムの評価結果を表3に示す。
表3に示す通り、実施例1〜2に記載のフィルムは、比較例1に記載のフィルムに対し、引き裂き強度に優れ、室温23℃で力をかけたときに引き裂かれにくく、取扱い性に優れる。また、40℃での引張試験の破断伸度も有意に高い。フィルムを二次加工する際に40℃に加温して引っ張った時に、破断しにくいため、施工性に優れる。また、実施例1〜2に記載のフィルムは全光線透過率が90%を越え、ヘーズ値も1%以下と低いことから、優れた透明性を有するものである。すなわち、実施例1、2に示したフィルムは透明であり、取扱い性と施工性に優れたフィルムであることがわかる。
マクロモノマー共重合体(Y−1)〜(Y−3)は数平均分子量、重量平均分子量共にいずれも大きな差はない(表2)。しかしながら、マクロモノマー共重合体(Y−2)および(Y−3)は、マクロモノマー共重合体(Y−1)に比べピークトップ分子量が高く、比較的高い分子量のポリマー鎖が多く含まれたため、優れた機械物性を発揮したと考えられる。
マクロモノマー共重合体の重合にて、コモノマー(B)の仕込み比率を僅かに変更するだけで、このような効果が達成されたことは、驚くべきことである。
以上に例示したように、ピークトップ分子量が所定以上のマクロモノマー共重合体を成形することで、透明性と柔軟性に優れ、かつ引き裂き耐性に優れるフィルムが得られることが明らかとなった。
本発明のフィルムは意匠用フィルム、農業用フィルム、車載用フィルム、外装用フィルム、建築内装用フィルム、包装材料等に好適に使用できる。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表されるマクロモノマー(A)と、該マクロモノマー(A)と共重合可能な他のコモノマー(B)とを重合して得られるマクロモノマー共重合体(Y)を含有する樹脂組成物であって、該マクロモノマー共重合体(Y)のピークトップ分子量(Mp)が7万以上90万以下である、樹脂組成物。
    (式中、R及びR1〜Rnは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は複素環基である。X1〜Xnは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。Zは、末端基である。nは、2〜10,000の自然数である。)
  2. 前記マクロモノマー共重合体(Y)を含有量50質量%以上で含む、請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2記載の樹脂組成物を成形して得られたフィルム。
  4. 少なくとも片面に易接着処理が施されたものである、請求項3記載のフィルム。
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