1.第一実施形態
物品搬送設備1の第一実施形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、物品搬送設備1は、走行経路Rに沿って走行する複数の物品搬送車2を備えている。本実施形態では、走行経路Rは、天井に支持された走行レール98(図4等参照)に沿って設定されている。そして、物品搬送車2は、このような走行レール98を走行する天井搬送車として構成されており、物品搬送設備1において工程間で材料や中間品を搬送する。但し、上記構成に限らず、物品搬送車2は、床面上を走行するものであっても良い。例えばその場合には、走行経路Rは、床面上の走行レールに沿って設定されていても良いし、走行レールによらず、例えば磁気等を用いて単に床面上に設定されたものであっても良い。
なお、以下の説明において、走行経路Rに沿って走行する物品搬送車2に関して、その進行の向きを基準として「前」及び「後」を定義するものとする。すなわち、進行方向に沿って進む先が「前」であり、その逆が「後」である。また、特定の物品搬送車2に注目した場合において、その前方を走行する他の物品搬送車2を“先行車2F”と称して、複数の物品搬送車2を区別する場合がある(図5等参照)。
図1及び図3に示すように、物品搬送設備1は、走行経路Rに沿って配設された走行レール98と、走行レール98(走行経路R)に沿って走行して物品Wを搬送する物品搬送車2とを備えている。走行レール98は、左右一対設けられて天井から吊り下げ支持されている(図4参照)。
図1に示すように、物品搬送設備1は複数のベイ(工程)を有しており、走行経路Rは、ベイ毎に設けられたベイ内経路RAと、複数のベイ内経路RAどうしを接続するベイ間経路REとを含んで構成されている。また、走行経路Rは、直線状に形成された直線区間RSと、湾曲状に形成されたカーブ区間RCとを含んで構成されている。ベイ間経路RE及びベイ内経路RAは、それぞれ複数の直線区間RSと複数のカーブ区間RCとを組み合わせて構成されている。
物品搬送設備1は、処理装置96と、載置台95と、自動倉庫94とを更に備えている。処理装置96は複数設けられ、それら複数の処理装置96がベイ内経路RAに沿って配設されている。処理装置96は、例えば半導体基板の加工等を行う半導体処理装置等であって良い。載置台95は、複数の処理装置96のそれぞれに隣接し、かつ、走行レール98と上下方向に重複する位置(本例では走行レール98の直下となる位置)に設けられている。自動倉庫94は、工程間における仕掛品を一時保管する。
物品搬送設備1は、建屋99内に設置されている。建屋99は、四方を区画壁93で囲まれている(図1には、一部の区画壁93のみを表示)。また、建屋99の内部空間は、図1に示すようにパーティション92によって複数の室空間に区分されていても良い。
図2〜図4に示すように、物品搬送車2は、走行体29と搬送本体部28とを備えている。走行体29は、車体本体29Aと、この車体本体29Aに回転自在に支持された複数の車輪29Bとを有する。車体本体29Aは、前後一対設けられている。車輪29Bは、前後一対の車体本体29Aのそれぞれにおいて左右一対設けられており、走行レール98の上面を転動する。複数の車輪29B(本例では4つ)のうちの少なくとも1つは、駆動モータ29Cによって回転駆動される駆動輪であり、物品搬送車2に推進力を付与する。
走行体29は、下部ガイドローラ29Dと上部ガイドローラ29Eとを有している。下部ガイドローラ29Dは、車体本体29Aよりも下方において、当該車体本体29Aに対して上下軸周りに回転自在に支持されている。下部ガイドローラ29Dは、走行レール98の側面に接して転動する。上部ガイドローラ29Eは、車体本体29Aよりも上方において、当該車体本体29Aに設けられた切替機構に対して上下軸周りに回転自在に支持されている。切替機構は、上部ガイドローラ29Eの位置を左右(走行レール98の幅方向)に切替自在に構成されている。上部ガイドローラ29Eは、走行経路Rの分岐点において、切替機構の状態に応じて、案内レール97における左右いずれかの側面に接して転動する。
前後一対の車体本体29Aのそれぞれには連結軸29Fが連結されており、これらの連結軸29Fを介して、走行体29に搬送本体部28が吊り下げ支持されている。搬送本体部28は、本体ケース27と保持部26とを備えている。図3に示す例では、本体ケース27の内側に、保持部26が収容されている。
本体ケース27は、保持部26に対して進行方向の前方側を覆う前方ケース部27Aと、保持部26に対して進行方向の後方側を覆う後方ケース部27Bと、保持部26の上方を覆うと共に前方ケース部27A及び後方ケース部27Bを連結する上方ケース部27Cと、を有する。前方ケース部27Aは、上方ケース部27Cの前方側の端部から下方に向かって延びており、後方ケース部27Bは、上方ケース部27Cの後方側の端部から下方に向かって延びている。本体ケース27は、側面視(走行レール98の幅方向視)で下方及び左右両側方に開口する角張ったU字状に形成されている。
保持部26は、物品Wを把持することにより当該物品Wを保持する。保持部26は、物品Wを保持した状態で、当該物品Wを昇降自在に構成されている。保持部26は、上昇位置で本体ケース27の内側に収容され、その状態で物品搬送車2が走行経路Rに沿って走行する。物品搬送車2が移載箇所(例えば載置台95や自動倉庫94の位置)にある状態で、保持部26は、降下位置まで降下し、物品Wの積み降ろしを行う。
物品搬送車2は、異なる載置台95どうしの間、又は、載置台95と自動倉庫94との間等で、物品Wを搬送する。前述したように物品搬送設備1が半導体製造設備である場合(処理装置96が半導体処理装置である場合)には、物品Wは、例えば半導体基板を収容する容器(Front Opening Unified Pod;FOUP)等であると良い。
物品搬送車2は、物品搬送設備1内に備えられた電源3(図9参照)から電力の供給を受けている。これにより、物品搬送車2は、各種の動作を行うことが可能となっている。本実施形態では、物品搬送車2は、物品搬送車2の外部に設けられた電源3から、走行レール98に沿って設けられた給電線91(図4参照)を介して非接触で電力の供給を受けるように構成されている。図4に示す例では、給電線91は、一対の走行レール98のそれぞれに固定されており、物品搬送車2は、不図示の受電部によって、電磁誘導等を用いて非接触状態の給電線91から電力の供給を受けるようになっている。物品搬送車2は、このようにして電源3から供給された電源電圧を変換する変圧器Tを備えている。本例では、変圧器Tにより、高電圧となる電源電圧が、降圧されて物品搬送車2を動作させるために必要な電圧とされる。
図5及び図6に示すように、変圧器Tは、本体ケース27における後方ケース部27Bの内部に収納されている。本実施形態では、後方ケース部27Bには、変圧器Tの他、モータを駆動するためのモータドライバMDや、物品搬送車2の減速時のモータの回生電流を消費する放電抵抗ER等の各種搭載機器が収納されている。図6に示す例では、背面視において、変圧器Tは、右上部付近に配置され、放電抵抗ERは、左上部付近に配置され、モータドライバMDは、左下部付近に配置されている。これら変圧器T、放電抵抗ER、及びモータドライバMDは、作動中の発熱量が多く、高温になり易い機器である。
物品搬送車2は、図9に示すように、個別制御装置23を備えている。個別制御装置23は、複数の物品搬送車2のそれぞれに備えられており、それぞれが自車の動作を制御する。また、本実施形態では、物品搬送設備1は、複数の物品搬送車2を統括して制御する統括制御装置4を備えている。統括制御装置4は、複数の物品搬送車2のそれぞれが備える個別制御装置23と通信可能に構成されており、各個別制御装置23に対して、特定の場所へ物品Wを搬送させる指令等、各種の指令を送信する。統括制御装置4と各個別制御装置23との間の通信は、例えば、無線LAN等の無線通信によって行うことができる。本実施形態では、個別制御装置23が、「制御装置」に相当する。
ところで、物品搬送設備1では、走行経路Rにおいて物品搬送車2の走行方向が規定されており、少なくとも、設備の稼働状態(メンテナンス時などを除く通常時の状態)におけるベイ内経路RA及びベイ間経路REでは、物品搬送車2は規定された走行方向に対して逆方向に走行しないようになっている。そのため、互いに逆方向のベクトルで走行する2台の物品搬送車2が正面衝突するような事態が生じることはほとんどない。しかし、例えば、走行方向の前方を走行する他の物品搬送車2である先行車2Fが低速で走行中または停止中にもかかわらず、その後方の物品搬送車2が高速で走行している場合など、複数の物品搬送車2の間で適切な連携が図れていない場合などには、当該物品搬送車2が先行車2Fに追突する事態が生じることがある。そこで、この物品搬送設備1においては、物品搬送車2が先行車2Fに追突することを回避するための構成を備えている。
図5に示すように、物品搬送車2は、走行方向の前方に設定した設定エリアSE内の物体Bを検出する物体検出装置21を備えている。図2〜図5に示すように、物体検出装置21は、物品搬送車2の前部に前方に向けて設けられている。本実施形態では、物体検出装置21は、本体ケース27の前方ケース部27Aに取り付けられている。これにより、走行方向の前方に設定した設定エリアSE内の物体Bを適切に検出可能となっている。ここで、「設定エリアSE」とは、物品搬送車2の前方に存在する物体Bを検出するために予め定められたエリアである。例えば、設定エリアSEは、物品搬送車2の前方に向かって広がる扇状の範囲に設定される。
ここで、従来は、本実施形態の物体検出装置21のような装置によって、物品搬送車2の走行経路に合せて設定した前方の設定エリアSE内に物体Bを検出した場合には、当該物体Bを先行車2Fであると特定し、当該物体Bへの追突を回避するための制御が行われていた。しかし、単に、設定エリアSE内の物体Bを検出するような構成では、以下のように、先行車2F以外の他の物体Bを誤検出する場合があった。例えば、図1に示すように、走行経路Rにおけるカーブ区間RCの附近では、先行車2Fがカーブ区間RCを曲がった際、物品搬送車2の前方の視界から先行車2Fが消えて、物品搬送車2の前方の設定エリアSE内(前方の視界)にパーティション92が入ることがある。このような場合には、物体Bとしてのパーティション92を先行車2Fであると誤検出することがあり、実際には先行車2Fが存在しないにもかかわらず、追突を回避するために減速や停止等の各種の制御が実行されてしまう場合があった。また、パーティション92に限らず、走行経路Rの附近には、先行車2F以外の壁、柱、自動倉庫94等の他の物体Bが存在することもあり、このような他の物体Bを誤検出する可能性もあった。更に、例えば前述の設定エリアSEを必要以上に広く設定した場合には、このような問題に拍車がかかることになり、一方で、設定エリアSEを必要以上に狭く設定した場合には、先行車2Fとの車間距離が短くなる結果、設定エリアSE内の物体Bが先行車2Fであると認識している場合であっても当該先行車2Fへの追突を避けられない事態を招く可能性もある。本実施形態に係る物品搬送設備1は、設定エリアSEを必要な範囲で確保しつつ、上記のような誤検出を抑制するための構成を備えている。
図2等に示すように、物品搬送設備1に備えられた各物品搬送車2は、走行方向の前方の温度分布を検出する温度分布検出装置22を備えている。先行車2Fとしての物品搬送車2は、物品Wを搬送するために各種の搭載機器を備えていることから、物品搬送設備1内に存在するパーティション92等の先行車2F以外の物体Bとは異なる温度分布を示す。そのため、当該温度分布に基づいて、先行車2Fと当該先行車2F以外の他の物体Bとの区別が可能となる。
本実施形態では、温度分布検出装置22は、前記検出物体Bから放射された赤外線の分布を二次元的に検出するサーマルカメラ22Aを備えている。サーマルカメラ22Aにより、物品搬送車2の前方の温度分布を二次元的に表した温度分布画像が得られる。
図7には、サーマルカメラ22Aによって先行車2Fを後方側から撮影した温度分布画像が模式的に示されている。また、図7のVIII−VIII断面での温度分布の一例を、縦軸を温度(T)として、図8に示している。図7における着色された部分が発熱部分であり、発熱部分における色の濃い部分ほど温度の高い部分であることを示している。図7に示された温度分布画像と、先行車2Fを後方側から見た図6と、を比べると、変圧器T、放電抵抗ER、及びモータドライバMDが配置されている位置の温度が高くなっていることがわかる。これは、前述のように、変圧器T、放電抵抗ER、及びモータドライバMDが、作動により発熱し、高温になり易いためである。このように、先行車2Fは、搭載機器が高温になることにより、パーティション92等の先行車2F以外の物体Bとは異なる温度分布を示す。このため、本実施形態では、温度分布検出装置22により検出された検出物体Bの温度分布に基づいて、当該検出物体Bが、先行車2Fか否かを判定する構成となっている。なお、サーマルカメラ22Aにより得られる温度分布画像は、静止画に限らず、動画であっても良い。いずれの場合であっても、先行車2Fと他の物体Bとの温度分布の相違により、両者を区別することができる。
以下、先行車2Fと他の物体Bとを区別するための構成を具体的に説明する。図9に、本実施形態に係る物品搬送設備1の制御構成を示す。前述のように、物品搬送設備1は、各物品搬送車2が個別に有する個別制御装置23を統括して制御する統括制御装置4を備えている。個別制御装置23は、統括制御装置4からの各種の指令を受けて、当該指令に応じて物品搬送車2の各部を制御する。本実施形態では、個別制御装置23は、記憶部23Mを有しており、当該記憶部23Mに記憶された各種の情報と、各検出装置によって検出された検出情報とに基づいて各部の制御や各種判定処理等を行う。
本実施形態では、物体検出装置21は、設定エリアSE内に存在する物体Bを検出するだけでなく、検出物体Bまでの距離を検出可能に構成されている。なお、本実施形態において「検出物体B」とは、物体検出装置21によって検出された設定エリアSE内の物体Bを指す。また、「物体B」とは、検出物体Bの他、物体検出装置21によっては検出不可能な、設定エリアSE外に存在するものも含む概念である。
本実施形態では、物体検出装置21は、検出物体Bからの反射波を利用して検出物体Bまでの距離を検出する距離センサ21Aを含んで構成されている。本例では、距離センサ21A自体が、物体検出装置21を構成している。距離センサ21Aは、放射波を検出物体Bに当てて反射させ、これを反射波として受け取り、検出物体Bとの距離を検出する。本実施形態では、距離センサ21Aには、レーザー距離センサが用いられ、先行車2Fに対しては、当該先行車2Fの後部に設けられた反射板25(図5等参照)からの反射波を受け取り、先行車2F(検出物体B)との距離を検出する。但し、先行車2Fに反射板25は設けられていなくても良く、距離センサ21Aは、先行車2Fに対しても先行車2F以外の検出物体Bと同様に、先行車2F(検出物体B)自体からの反射波を受け取ることにより当該先行車2F(検出物体B)との距離を検出しても良い。なお、距離センサ21Aが放射する放射波としては、レーザーの他に、比較的広い波長の光、超音波、又はマイクロ波等、各種の放射波であって良い。これらの場合には、光センサ、超音波センサ、又はマイクロ波センサ等が、距離センサ21Aとして好適に用いられる。
図9に示すように、各物品搬送車2が有する個別制御装置23は、物体検出装置21が検出した先行車2Fとの距離情報である検出距離情報を取得する検出距離情報取得部23Bと、当該検出距離情報と記憶部23Mに記憶された設定距離情報とを比較する距離比較部23Cと、を有している。ここで、記憶部23Mには、図5に示すように、設定エリアSEの外縁までの距離の情報と、設定エリアSEの外縁までの距離よりも短く且つ先行車2Fとの車間距離を安全に確保するために減速すべき距離である減速距離DDの情報と、減速距離DDよりも短く且つ先行車2Fへの追突を回避するために停止すべき距離である停止距離SDの情報と、が少なくとも記憶されている。なお、図5では、本体ケース27の内側に配置される部材等を省略して示している。
また、個別制御装置23は、距離比較部23Cによって比較された結果に基づいて設定エリアSE内に物体Bが存在するか否かを判定する距離判定部23Aを有している。その他、本実施形態では、距離判定部23Aは、先行車2Fが減速距離DD以内に存在するか否かを判定し、また、先行車2Fが停止距離SD以内に存在するか否かを判定する。
個別制御装置23は、温度分布検出装置22が検出した温度分布画像の情報である検出画像情報を取得する検出画像情報取得部23Eと、当該検出画像情報と記憶部23Mに記憶された搭載機器の配置パターン情報とを比較する画像比較部23Fと、を有している。ここで、「搭載機器の配置パターン」とは、物品搬送車2における搭載機器が配置された場所のパターンである。本実施形態では、「搭載機器の配置パターン」を、先行車2Fを後方から見た場合における搭載機器の配置パターンとして記憶している。より具体的には、記憶部23Mには、搭載機器の配置パターン情報として、変圧器Tの配置パターン情報TPIと、放電抵抗ERの配置パターン情報DPIと、異常発熱対象箇所ALの配置パターン情報PAIと、が少なくとも記憶されている(図11〜図13参照)。
また、個別制御装置23は、画像比較部23Fによって比較された結果に基づいて、検出物体Bが先行車2Fであるか否かを判定する先行車判定部23Dを有している。その他、本実施形態では、先行車判定部23Dは、先行車2Fが減速中であるか否かを判定し、また、先行車2Fが異常発熱状態であるか否かを判定する。
そして、個別制御装置23は、物体検出装置21により設定エリアSE内に物体Bがあることを検出した場合に、温度分布検出装置22により検出された検出物体Bの温度分布に基づいて、当該検出物体Bが、走行方向の前方を走行する他の物品搬送車2である先行車2Fか否かを判定し、当該判定結果に基づいて自車の動作を制御する。
以下、図10に示すフローチャートも参照して、個別制御装置23による自車の制御について説明する。
個別制御装置23による自車の制御では、物品搬送車2が走行中、設定エリアSE内に物体Bが存在するか否かの判定がされる(#1)。この判定は、例えば、物体検出装置21によって検出された物体Bとの距離(検出距離)を示す検出距離情報と、記憶部23Mに記憶された設定エリアSEにおける外縁までの距離(設定距離)を示す設定距離情報と、に基づいて行われる。そして、上記検出距離情報による検出距離が上記設定距離情報による設定距離以下である場合に、設定エリアSE内に物体Bが存在する旨の判定がされる(#1:Yes)。なお、本実施形態では、物体B(検出物体B)との距離は、物品搬送車2の前端部から物体B(検出物体B)の後端部までの距離とされる。
設定エリアSE内に物体Bが存在する旨の判定がされた場合には(#1:Yes)、当該検出物体Bが先行車2Fであるか否かの判定がされる(#2)。この判定は、温度分布検出装置22によって検出された検出物体Bの温度分布画像の情報である検出画像情報に基づいて行われる。本実施形態では、個別制御装置23は、温度分布検出装置22により検出された検出物体Bの温度分布に含まれる第1設定温度T1以上の第1高温領域E1の配置パターン(検出画像情報)と、記憶部23Mに記憶された、先行車2Fが有する変圧器Tの配置パターン情報TPI(図11参照)との比較に基づいて、検出物体Bが先行車2Fであるか否かを判定する(#2)。ここで、変圧器Tは、先行車2Fの走行中又は停止中にかかわらず、常に作動している部分であり、常に発熱している部分である。そのため、先行車2Fの走行に有無にかかわらず、変圧器Tが配置されている箇所は、周りの温度に比べて常に高温となり易い。図7及び図8に示す例では、変圧器Tの配置箇所(図6も参照)が、その周りに比べて高温となっている。本実施形態では、温度分布画像において変圧器Tの温度に起因した高温部分を抽出できるように第1設定温度T1が設定されている。例えば、第1設定温度T1は、通常動作中の変圧器Tがとり得る温度範囲の下限以下の温度であって、先行車2Fにおける変圧器Tの配置箇所の周辺部分がとり得る温度範囲の上限以上の温度に設定されると好適である。そして、第1設定温度T1以上の領域が第1高温領域E1とされている。
図11の左図には、第1高温領域E1の配置パターンである第1検出配置パターンP1(検出画像情報)が示されている。これは、温度分布画像から第1高温領域E1のみを抽出した画像である(詳細には、先行車2Fの外形も抽出している。以下同じ)。そして、図11の右図には、変圧器Tの配置パターン情報TPIが示されている。変圧器Tの配置パターンは物品搬送車2の種類等によって異なる場合があるため、記憶部23Mには、複数の変圧器Tの配置パターンが記憶されている。図11の右図におけるハッチングで示された部分が変圧器Tの配置領域である。本実施形態では、第1検出配置パターンP1と、変圧器Tの配置パターン情報TPIとの重複割合が、予め定めたしきい値以上であるか否かにより、検出物体Bが先行車2Fであるか否かの判定がされる(#2)。図11に示す例では、第1検出配置パターンP1と、変圧器Tの配置パターン情報TPIと、をマッチング(照合)させた場合に、変圧器Tの配置領域と第1高温領域E1とが重なるため、検出物体Bが先行車2Fである旨の判定がされる(#2:Yes)。このように本実施形態では、先行車2Fが備える変圧器Tの発熱に起因する温度分布を利用して、検出物体Bが先行車2Fであるか否かを判定することができ、これにより、先行車2Fでない検出物体Bを先行車2Fであると誤検出することを一層抑制することができる。
検出物体Bが先行車2Fである旨の判定がされた場合には(#2:Yes)、先行車2Fの発熱状態(或いは温度状態)が正常であるか否かの判定がされる(#3)。この判定は、温度分布検出装置22によって検出された先行車2Fの温度分布画像の情報である検出画像情報と、記憶部23Mに記憶された異常発熱対象箇所ALの配置パターン情報PAI(図13参照)と、に基づいて行われる。本実施形態では、個別制御装置23は、温度分布検出装置22により検出された検出物体Bの温度分布に基づいて、先行車2Fと判定された検出物体Bについて、異常発熱対象箇所ALの温度が予め設定された異常判定温度TAよりも高い異常発熱状態であるか否かを判定し(#3)、異常発熱状態であると判定した場合には(#3:No)、統括制御装置4に先行車2Fの異常を通知する(#4)。
ここで、「異常発熱対象箇所AL」は、先行車2Fの異常発熱状態を判定するために設定される箇所であり、先行車2Fの少なくとも一部(例えば、変圧器T、モータ等の配置位置)に設定される。本実施形態では、モータドライバMDの配置位置に、異常発熱対象箇所ALが設定される。また、「異常判定温度TA」は、先行車2Fの異常発熱状態を判定するために、異常発熱対象箇所ALに応じて設定される温度である。本例では、異常判定温度TAは、モータドライバMDが通常動作中にとり得る温度範囲の上限付近の温度に設定されると好適である。また、異常発熱対象箇所ALを、例えば、変圧器Tの配置箇所、モータの配置箇所等も含め、複数個所に設定しても好適である。その場合も、異常判定温度TAは、各異常発熱対象箇所ALに配置される機器の通常動作中にとり得る温度範囲の上限付近の温度に設定されると好適である。なお、本実施形態では、異常発熱対象箇所ALが「対象箇所」に相当する。
図13の左図には、異常判定温度TA以上の異常高温領域EAの配置パターンである異常検出配置パターンPA(検出画像情報)が示されている。これは、温度分布画像から異常判定温度TA以上の異常高温領域EAのみを抽出した画像である。本例では、異常判定温度TAが、第1設定温度T1及び第2設定温度T2よりも低く設定されているため、第1設定温度T1以上の第1高温領域E1(図11参照)に相当する箇所、及び、第2設定温度T2以上の第2高温領域E2(図12参照)に相当する箇所が異常高温領域EAとして示されている。そして、図13の右図には、異常発熱対象箇所ALの配置パターン情報PAIが示されている。記憶部23Mには、先行車2Fにおける様々な箇所を異常発熱対象箇所ALとした場合における配置パターン情報PAIが記憶されている。図13の右図におけるハッチングで示された部分が、本例における異常発熱対象箇所ALの配置箇所、すなわち、モータドライバMDの配置領域である。本実施形態では、異常検出配置パターンPAと、異常発熱対象箇所ALの配置パターン情報PAIとの重複割合が、予め定めたしきい値以上であるか否かにより、先行車2Fの発熱状態が正常であるか否かの判定(異常発熱状態であるか否かの判定)がされる(#3)。図13に示す例では、異常検出配置パターンPAと、異常発熱対象箇所ALの配置パターン情報PAIと、をマッチング(照合)させた場合に、異常発熱対象箇所ALの配置領域と異常高温領域EAとが重なるため、先行車2Fが異常発熱状態である旨の判定(発熱状態が正常でない旨の判定)がされる(#3:No)。先行車2Fが異常発熱状態である旨の判定がされた場合には(#3:No)、個別制御装置23は統括制御装置4に対して異常を通知する(#4)。これにより、統括制御装置4によって、例えば、異常発熱状態と判定された先行車2Fのメンテナンススケジュールを早めるなど、適切な措置を実行することが可能となる。
先行車2Fの発熱状態が正常である旨の判定がされた場合には(#3:Yes)、先行車2Fが減速中であるか否かの判定がされる(#5)。この判定も、温度分布検出装置22によって検出された先行車2Fの温度分布画像の情報である検出画像情報に基づいて行われる。本実施形態では、個別制御装置23は、温度分布検出装置22により検出された検出物体Bの温度分布に含まれる第2設定温度T2以上の第2高温領域E2の配置パターン(検出画像情報)と、記憶部23Mに記憶された、先行車2Fにおける減速中に発熱する減速発熱箇所DLの配置パターン情報DPI(図12参照)との比較に基づいて、先行車2Fが減速中であるか否かを判定する(#5)。ここで、「減速発熱箇所DL」は、先行車2Fが減速中であるか否かを判定するために設定される箇所であり、先行車2Fの減速に起因して発熱する箇所に設定される。本実施形態では、放電抵抗ERの配置位置が、減速発熱箇所DLに設定される。放電抵抗ERは、減速時のモータ(例えば駆動モータ29C)の回生電流を熱に変換する素子であり、先行車2Fの減速中に発熱する。そのため、放電抵抗ERが配置されている箇所は、先行車2Fの減速中に、周辺の温度に比べて高温となる。図7及び図8に示す例では、放電抵抗ERの配置箇所(図6も参照)が、その周りに比べて高温となっている。本実施形態では、温度分布画像において放電抵抗ERの温度に起因した高温部分を抽出できるよう第2設定温度T2が設定されている。例えば、第2設定温度T2は、先行車2Fが加速中又は定常走行中に放電抵抗ERがとり得る温度範囲の上限より高い温度であって、先行車2Fが減速中に放電抵抗ERがとり得る温度範囲の下限以下の温度に設定されると好適である。また、第2設定温度T2は、先行車2Fが減速中に放電抵抗ERの配置箇所の周辺部分がとり得る温度範囲の上限以上の温度に設定されると更に好適である。そして、第2設定温度T2以上の領域が第2高温領域E2とされている。本例では、図8に示すように、第2設定温度T2は、第1設定温度T1よりも低く設定されている。
図12の左図には、第2高温領域E2の配置パターンである第2検出配置パターンP2(検出画像情報)が示されている。これは、温度分布画像から第2設定温度T2以上の第2高温領域E2のみを抽出した画像である。前述のように本例では、第2設定温度T2が、第1設定温度T1よりも低く設定されているため、第1設定温度T1以上の第1高温領域E1(図11参照)に相当する箇所についても第2高温領域E2として示されている。そして、図12の右図には、放電抵抗ERの配置パターン情報DPIが示されている。放電抵抗ERの配置パターンは物品搬送車2の種類等によって異なる場合があるため、記憶部23Mには、複数の放電抵抗ERの配置パターンが記憶されている。図12の右図におけるハッチングで示された部分が放電抵抗ERの配置領域である。本実施形態では、第2検出配置パターンP2と、放電抵抗ERの配置パターン情報DPIとの重複割合が、予め定めたしきい値以上であるか否かにより、先行車2Fが減速中であるか否かの判定がされる(#5)。図12に示す例では、第2検出配置パターンP2と、放電抵抗ERの配置パターン情報DPIと、をマッチング(照合)させた場合に、放電抵抗ERの配置領域と第2高温領域E2とが重なるため、先行車2Fが減速中である旨の判定がされる(#5:Yes)。このように本実施形態では、減速中に発熱する減速発熱箇所DLの発熱状態を利用して、先行車2Fが減速中であるか否かを判定することができる。
本実施形態では、個別制御装置23は、先行車2Fが減速中であると判定した場合には(#5:Yes)、先行車2Fが減速中でないと判定した場合に比べて減速距離DDを長く設定する(#6)。言い換えると、個別制御装置23は、先行車2Fが減速中か否かに応じて減速距離DDを可変設定する。これにより、より一層、物品搬送車2が先行車2Fに追突する可能性を低減することができる。先行車2Fが減速中でない旨の判定がされた場合には(#5:No)、減速距離DDは通常設定のままとされ、次のステップ(#7)が実行される。
先行車2Fが減速中であるか否かの判定がされた後には(#5)、先行車2Fとの距離が減速距離DD以下であるか否かの判定がされる(#7)。本実施形態では、個別制御装置23は、温度分布検出装置22により検出された温度分布に基づいて検出物体Bが先行車2Fであると判定した場合であって(#2:Yes)、物体検出装置21により検出された検出物体Bまでの距離が予め設定された減速距離DD以下である場合には(#7:Yes)、自車の減速制御を行う(#8)。減速制御では、先行車2Fの走行速度よりも遅い速度となるように、自車の走行速度が減速される。なお、ここでいう「予め設定された減速距離DD」とは、減速制御が行われる前の段階で設定された減速距離DDという意味であり、ステップ#6において先行車2Fが減速中か否かに応じて可変設定された減速距離DDも含むものである。
減速制御が実行された後には(#8)、先行車2Fとの距離が減速距離DDよりも大きいか否かの判定がされる(#9)。通常であれば、先行車2Fの走行速度よりも遅い速度となるように自車の走行速度が減速される場合には、先行車2Fとの距離は、徐々に開いき、やがて減速距離DDよりも大きくなる。また、先行車2Fの速度が次第に減速してゼロになるような場合には、自車の走行速度も次第に減速してゼロになる。一方、何らかの原因により、減速制御が実行されたにもかかわらず先行車2Fとの距離が短くなる場合には、先行車2Fへの追突を回避するため、先行車2Fとの距離が停止距離SDよりも大きいか否かの判定がされる(#10)。本実施形態では、個別制御装置23は、温度分布検出装置22により検出された温度分布に基づいて検出物体Bが先行車2Fであると判定した場合であって(#2:Yes)、物体検出装置21により検出された検出物体Bまでの距離が予め設定された停止距離SD以下である場合には(#10:Yes)、自車の停止制御を行う(#11)。停止制御では、自車の走行速度がゼロとされる。
停止制御が実行された場合、先行車2Fが走行状態を維持している場合には、先行車2Fとの距離が徐々に開く。そこで、停止制御が実行された後には(#11)、先行車2Fとの距離が停止距離SDよりも大きいか否かの判定がされる(#12)。個別制御装置23は、先行車2Fとの距離が停止距離SDよりも大きいと判定した場合には(#12:Yes)、自車の走行を再開(走行制御)する(#13)。
走行制御が実行された後(#13)、及び、減速制御が実行された後には(#8)、先行車2Fとの距離が減速距離DDよりも大きいか否かの判定がされる(#9)。個別制御装置23は、先行車2Fとの距離が減速距離DDよりも大きいと判定した場合には(#9:Yes)、自車の通常制御を行う(#14)。ここで、「通常制御」とは、統括制御装置4によって与えられた指令の内容を実行するために必要とされる制御である。例えば、通常制御では、規定の走行速度で自車を走行させつつ、先行車2Fとの距離を一定以上に保つ制御が行われる。
2.第二実施形態
次に、物品搬送設備1の第二実施形態について図14を参照して説明する。本実施形態では、検出物体Bとの距離をサーマルカメラ22Aによって検出する点で、距離センサ21Aによって検出物体Bとの距離を検出する上記の第一実施形態とは異なる。以下では、本実施形態に係る物品搬送設備1について、上記の第一実施形態との相違点を中心として説明する。なお、特に説明しない点については、上記の第一実施形態と同様とする。
図14は、走行する2台の物品搬送車2を上方から見た模式図である。本実施形態では、物品搬送車2が有する温度分布検出装置22は、検出物体Bから放射された赤外線の分布を二次元的に検出するサーマルカメラ22Aを複数台(図示の例では2台)備えている。換言すれば、温度分布検出装置22は、複数台のサーマルカメラ22Aを含んで構成されている。
複数台のサーマルカメラ22Aは、走行方向の前方を向けて、互いに離間して配置されている。図14に示す例では、温度分布検出装置22が備える2台のサーマルカメラ22Aは、平面視において走行方向に直交する方向である幅方向の異なる位置に配置されている。但し、複数台のサーマルカメラ22Aは、このような配置構成に限定されることなく、例えば、上下方向の異なる位置に配置されていても良く、また、上下方向及び幅方向の異なる位置に配置されていても良い。
本実施形態では、この温度分布検出装置22を構成する複数台のサーマルカメラ22Aが、距離センサ21A及び物体検出装置21を兼ねている。そして、このような距離センサ21Aを含む物体検出装置21は、複数台のサーマルカメラ22Aから得られた複数の画像の差分に基づいて、検出物体Bまでの距離を検出する。これにより、温度分布検出装置22と距離センサ21Aとを別個に備える必要がなくなるため、物品搬送車2の部品点数の削減に寄与することができる。
3.その他の実施形態
次に、物品搬送設備1のその他の実施形態について説明する。
(1)上記の各実施形態では、先行車2Fが備える変圧器Tの発熱に起因する温度分布を利用して、検出物体Bが先行車2Fであるか否かを判定する例について説明した。しかし、変圧器T以外の、先行車2Fが備える他の機器、例えば放電抵抗ERやモータドライバMD等の発熱に起因する温度分布を利用して上記判定をするようにしても良い。更には、このような機器に限らず、例えば、走行レール98を転動することにより車輪29Bに生じる摩擦熱に起因する温度分布を利用して上記判定をするようにしても良いし、温度分布画像に示される先行車2Fに特有の形状、例えば本体ケース27や車体本体29Aの外形等を利用して上記判定をするようにしても良い。
(2)上記の各実施形態では、対象箇所としての異常発熱対象箇所ALが、先行車2Fの一部であるモータドライバMDの配置箇所に設定される例、及び、モータドライバMDに加えて、変圧器Tやモータ等の配置箇所を含む複数個所に設定される例について説明した。しかし、対象箇所としての異常発熱対象箇所ALは、先行車2Fにおける特定の部分に定められていなくても良い。例えば、先行車2Fの全体における最も高温となる任意の部分が、異常発熱対象箇所ALとして設定されていても良い。
(3)上記の各実施形態では、先行車2Fの減速に起因して発熱する放電抵抗ERの配置位置が減速発熱箇所DLとして設定されている例について説明した。しかし、減速発熱箇所DLは、先行車2Fの減速に起因して発熱する部分に設定されていれば良い。例えば、先行車2Fが摩擦を利用したブレーキを備える場合には、ブレーキ時(減速時)に発生する摩擦熱によって高温となる部分を、減速発熱箇所DLとして設定しても良い。
(4)上記の各実施形態では、物体検出装置21が、個別制御装置23が有する距離判定部23A、検出距離情報取得部23B、及び距離比較部23Cとは独立して構成されている例について説明した。しかし、物体検出装置21は、距離判定部23A、検出距離情報取得部23B、及び距離比較部23Cを含んで構成されていても良い。また、物体検出装置21は、これら距離判定部23A、検出距離情報取得部23B、及び距離比較部23Cの一部を組み合わせて構成されていても良い。
(5)上記の各実施形態では、温度分布検出装置22が、個別制御装置23が有する先行車判定部23D、検出画像情報取得部23E、及び画像比較部23Fとは独立して構成されている例について説明した。しかし、温度分布検出装置22は、先行車判定部23D、検出画像情報取得部23E、及び画像比較部23Fを含んで構成されていても良い。また、温度分布検出装置22は、これら先行車判定部23D、検出画像情報取得部23E、及び画像比較部23Fの一部を組み合わせて構成されていても良い。
(6)上記の各実施形態では、第1設定温度T1と第2設定温度T2とが異なる温度に設定されている例について説明した。しかし、第1設定温度T1と第2設定温度T2とは、同じ温度に設定されていても良い。
(7)上記の各実施形態では、個別制御装置23が自車を制御する際に、先行車2Fが減速中であると判定した判定した場合に、先行車2Fが減速中でないと判定した場合に比べて減速距離DDを長く設定(可変設定)するステップ(#6)を実行する例について説明した。しかし、自車制御にこのようなステップ(#6)は含まれていなくても良い。また同様に、上記の各実施形態では、個別制御装置23が、物品搬送車2が異常発熱状態であると判定した場合に異常を通知するステップ(#3,#4)を実行する例について説明したが、このようなステップ(#3,#4)も含まれていなくて良い。
(8)なお、前述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
4.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した物品搬送設備の概要について説明する。
走行経路に沿って走行する複数の物品搬送車を備えた物品搬送設備であって、
前記物品搬送車は、走行方向の前方に設定した設定エリア内の物体を検出する物体検出装置と、前記走行方向の前方の温度分布を検出する温度分布検出装置と、制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記物体検出装置により前記設定エリア内に物体があることを検出した場合に、前記温度分布検出装置により検出された検出物体の温度分布に基づいて、当該検出物体が、前記走行方向の前方を走行する他の物品搬送車である先行車か否かを判定し、当該判定結果に基づいて自車の動作を制御する。
本構成によれば、物体検出装置により設定エリア内の物体を検出した場合に、検出物体の温度分布に基づいて当該検出物体が先行車であるか否かを判定することができる。先行車としての物品搬送車は、例えば、物品を搬送するために各種の動作を行うことから、設備内に存在する壁等の先行車以外の物体とは異なる温度分布を示す。従って、本構成によれば、先行車でない物体を先行車であると誤検出することを抑制できる。
ここで、前記先行車は、電源電圧を変換する変圧器を備え、
前記制御装置は、前記温度分布検出装置により検出された前記検出物体の温度分布に含まれる第1設定温度以上の第1高温領域の配置パターンと、前記先行車が有する前記変圧器の配置パターン情報との比較に基づいて、前記検出物体が前記先行車であるか否かを判定すると好適である。
本構成によれば、先行車が備える変圧器の発熱に起因する温度分布を利用して、検出物体が先行車であるか否かを判定することができる。物品搬送車は、電源電圧を変換するために変圧器を備えることが多く、この変圧器は、物品搬送車の動作状態に関わらず比較的高温(第1設定温度以上)になり易い。また、物品搬送車の中での変圧器の配置は定まっているので、配置パターン情報として準備しておくことが可能である。従って、検出物体の温度分布に含まれる比較的高温(第1設定温度以上)の領域の配置パターンと変圧器の配置パターン情報との比較に基づいて、比較的精度良く、検出物体が先行車であるか否かを判定することができる。従って、本構成によれば、先行車でない物体を先行車であると誤検出することを一層抑制することができる。
また、前記物体検出装置は、前記検出物体までの距離を検出可能であり、
前記制御装置は、前記温度分布検出装置により検出された温度分布に基づいて前記検出物体が前記先行車であると判定した場合であって、前記物体検出装置により検出された前記検出物体までの距離が予め設定された減速距離以下である場合には、自車の減速制御を行うと好適である。
本構成によれば、検出物体が先行車であった場合で、当該先行車までの距離が減速距離以下となった場合に、減速制御により自車の走行速度を減速させることで、検出物体が先行車でない場合にまで無駄に減速することを抑制しつつ、先行車に追突する可能性を低減することができる。
また、前記制御装置は、前記温度分布検出装置により検出された前記検出物体の温度分布に含まれる第2設定温度以上の第2高温領域の配置パターンと、前記先行車における減速中に発熱する減速発熱箇所の配置パターン情報との比較に基づいて、前記先行車が減速中であるか否かを判定し、前記先行車が減速中であると判定した場合には、前記先行車が減速中でないと判定した場合に比べて前記減速距離を長く設定すると好適である。
本構成によれば、減速中に発熱する減速発熱箇所の発熱状態を利用して、先行車が減速中であるか否かを判定できる。物品搬送車は、例えば、減速のためのブレーキやモータの回生電流を消費する放電抵抗など、減速中に発熱して比較的高温(第2設定温度以上)になる部品等の減速発熱箇所を有していることが多い。また、物品搬送車の中でのこのような減速発熱箇所の配置は定まっているので、配置パターン情報として準備しておくことが可能である。従って、検出物体の温度分布に含まれる比較的高温(第2設定温度以上)の領域の配置パターンと減速発熱箇所の配置パターン情報との比較に基づいて、比較的精度良く、先行車が減速中であるか否かを判定することができる。そして、先行車が減速中であった場合には減速距離を長く設定するので、より一層、先行車に追突する可能性を低減することができる。
また、複数の前記物品搬送車を統括して制御する統括制御装置を備え、
前記制御装置は、前記温度分布検出装置により検出された前記検出物体の温度分布に基づいて、前記先行車と判定された前記検出物体について、対象箇所の温度が予め設定された異常判定温度よりも高い異常発熱状態であるか否かを判定し、前記異常発熱状態であると判定した場合には、前記統括制御装置に前記先行車の異常を通知すると好適である。
本構成によれば、物品搬送車の全体又は特定の部分に対応して設定された対象箇所についての温度分布に基づいて、物品搬送車の異常発熱状態を判定することができる。そして、異常発熱状態であると判定した場合には、統括制御装置に先行車の異常を通知するので、統括制御装置により、例えば、当該先行車のメンテナンススケジュールの変更など、適切な措置を実行することが可能となる。
また、前記物体検出装置は、前記検出物体からの反射波を利用して前記検出物体までの距離を検出する距離センサを含むと好適である。
本構成によれば、物体検出装置を用いて、検出エリア内の物体の有無に加えて、検出物体までの距離も検出することができる。従って、当該検出物体までの距離と、検出物体の温度分布に基づく先行車か否かの判定結果とに応じて、自車に対する各種の制御をより適切に行うことが可能となる。
また、前記温度分布検出装置は、前記検出物体から放射された赤外線の分布を二次元的に検出するサーマルカメラを複数台備え、
複数台の前記サーマルカメラは、前記走行方向の前方を向けて、互いに離間して配置され、
前記物体検出装置は、複数台の前記サーマルカメラから得られた複数の画像の差分に基づいて、前記検出物体までの距離を検出すると好適である。
本構成によれば、複数台のサーマルカメラに、温度分布検出装置と検出物体までの距離を検出する距離センサとを兼ねさせることができる。これにより、温度分布検出装置と距離センサとを別個に備える必要がなくなるため、物品搬送車の部品点数の削減に寄与することができる。