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JP2018184360A - 経口投与用の腸溶性徐放性製剤 - Google Patents

経口投与用の腸溶性徐放性製剤 Download PDF

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JP2018184360A
JP2018184360A JP2017086507A JP2017086507A JP2018184360A JP 2018184360 A JP2018184360 A JP 2018184360A JP 2017086507 A JP2017086507 A JP 2017086507A JP 2017086507 A JP2017086507 A JP 2017086507A JP 2018184360 A JP2018184360 A JP 2018184360A
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山崎淳治
Junji Yamazaki
帆足洋平
Yohei Hoashi
砂山友希
Tomoki Sunayama
林田知大
Tomohiro Hayashida
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ZENSEI YAKUHIN KOGYO KK
Nipro Corp
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ZENSEI YAKUHIN KOGYO KK
Nipro Corp
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Abstract

【課題】簡単な構成で、胃内での放出抑制と、腸管内での長時間に亘るシグモイド型0次放出とを両立することが可能な腸溶性徐放性医薬組成物を提供する。【解決の手段】経口投与用の腸溶性徐放性製剤は、薬物と吸水膨潤性ゲル化剤とを含有する素錠と、エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤とを含み素錠を被覆するフィルムコーティング皮膜とを備える。皮膜において、エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤との含有量の重量比と、素錠の表面積1.5cm2当たりの皮膜の量との関係は、図1に示す点a〜nで囲まれる領域内である。【選択図】図1

Description

本発明は、経口投与用の腸溶性徐放性製剤に関する。
患者のコンプライアンスを向上させ、治療効果を高めることを目的として、薬物を徐放性製剤として製剤化し、服用回数を減らし患者の負担を軽減させる試みは重要な課題であり、薬物を有効に徐放化させる製剤技術の開発、副作用のない有効な血中濃度を長時間維持させる製剤技術の開発が必要となる。そのような徐放化を達成させる最も理想的な放出は、投薬形状中の薬物濃度に無関係に均一な速度で薬物を放出させる薬剤放出方式(0次型溶出様式)である。このような理想的な0次型の薬物放出方式は、組織内薬物濃度を一定に保つことを可能にし、その結果、安全領域での血中薬物濃度の維持が可能になる。特に投薬で達しうる程度の濃度で副作用が出現する薬物において効果は最大限に発揮される。また、効果が持続するため、投薬回数の減少にもつながる。
徐放性製剤は多々開発され商品化されているが、当該薬剤からの薬物放出において0次を示現させた事例は少ない。通常の徐放製剤において0次放出を達成させた事例としては、薬物と水溶性ゲル化剤などで製した活性層と薬物の拡散を制御する支持プラットホーム層を組み合わせて多層錠に製したGeomatrixシステムによって製する錠剤(特許文献1および特許文献2)、および吸水膨潤性ゲル化剤と薬物を混合して製した錠剤にエチルセルロースおよびアセチルセルロースから選ばれる少なくとも1種を被覆することによって製する錠剤(特許文献3)がある。
また、特殊な徐放化事例として、急激な血漿中濃度の立ち上がりに起因する起立性低血圧という副作用を発現させる薬物や経口投与後に悪心を発現させやすい薬物に関して、投与後初期の胃内での薬物放出を充分に制御するとともに、投与後5〜6時間以上に亘って、急激な薬物放出を回避しつつ徐々に薬物を放出させる腸溶性の徐放性製剤が開発されている。起立性低血圧を防止する目的で開発された腸溶性の徐放性製剤がハルナールD錠(タムスロシン塩酸塩製剤;アステラス製薬)であり、経口投与後の悪心を防止する目的で開発された腸溶性の徐放性製剤がパキシルCR錠(パロキセチン塩酸塩水和物製剤;グラクソ・スミスクライン)である。
ハルナールD錠は、微粒子コーティング法(特許文献4を参照)で製したタムスロシン塩酸塩含有の腸溶性徐放性微粒子を低圧打錠加湿乾燥法(特許文献5を参照)で固形化するという製剤化技術を用いて製造された口腔内崩壊錠である。なお、特許文献4の実施例1に提示されているとおり、本剤は、日本薬局方溶出試験第1液(pH1.2塩酸緩衝液)での2時間の溶出値が10%以下であり、日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8リン酸緩衝液)において6時間以上に亘って徐放出する腸溶性の製剤である。
パキシルCR錠には、Geomatrixシステムによって製されたパロキセチン塩酸塩水和物を含有する錠剤に、腸溶性皮膜を被覆するという高度でかつ複雑な方法で錠剤化されており、腸管内での0次放出を実現させた理想的な徐放錠である(特許文献6を参照)。
米国特許第4839177号 米国特許第5422123号 特許第2861388号公報 国際公開WO2004/066991号 特許第4019374号公報 特許第3922392号公報
しかしながら、特許文献1〜6に記載の製剤は、いずれも、製造方法が複雑である。
ハルナールD錠については、特許文献4に記載されているように、微粒子コーティング法で製したタムスロシン塩酸塩含有の腸溶性徐放性微粒子を、特許文献5に記載されている低圧打錠加湿乾燥法で固形化する方法が採用されており、高度な製造技術を要する、製造に長時間を要する、などの問題がある。
また、パキシルCR錠で必要とされるGeomatrixシステムによって製する素錠は、薬物と水溶性ゲル化剤などで製した活性層と薬物の拡散を制御する支持プラットホーム層を組み合わせて、二層錠や三層錠という形状に特殊な打錠機で錠剤化する必要があるなど、非常に手の込んだ錠剤に製する必要がある。さらに、薬物を含有しない支持プラットホーム層を薬物含有層と同程度に厚く製する必要があり、そのために錠剤が必然的に大きくなる。
このように、腸溶性徐放性製剤は、胃内での制御放出及び腸管内での遅延徐放出という特殊な薬物放出を示現させ、優れた医療用用途を示現させた製剤であるが、それを実現させるために、煩雑で手のかかる製剤化法の採用が絶対化されており、長時間に亘って0次放出する腸溶性徐放錠を簡易な方法によって製剤化する方法の確立が求められている。
そこで、本発明の目的は、簡単な構成で、胃内での放出抑制と、腸管内での長時間に亘るシグモイド型0次放出とを両立することが可能な腸溶性徐放性医薬組成物を提供することである。
腸溶性の徐放性製剤は、胃内のpHに相当する試験液(pH1.2)では少なくとも2時間ほとんど溶出せず(日本薬局方における腸溶性錠剤の胃内滞留時間は2時間と想定されている)、腸管内のpHに相当する試験液(pH6.8)で薬物が数時間に亘って徐放出される製剤である。最も理想的な腸溶性徐放性製剤では、腸管内に準ずる試験液で薬物が長時間、例えば12時間以上に亘って0次放出される。
前述したとおり、現在上市されている腸溶性徐放錠としては、微粒子コーティング法で製した腸溶性徐放微粒子を低圧成形加湿乾燥法によって錠剤化した口腔内崩壊錠であるハルナールD錠と、Geomatrixシステムによって製された徐放性素錠に腸溶性皮膜を被覆する方法で製造された錠剤であるパキシルCR錠とがある。腸管内に準ずる試験液中で長時間に亘って0次放出を達成させることが可能な製剤はパキシルCR錠のみである。
本発明者らは、パロキセチン塩酸塩水和物として28.51mg(パロキセチンとしては25mg)を含有するパキシルCR錠25mg(ロット番号:12001)について、日本薬局方一般試験法製剤試験法収載の腸溶性製剤の溶出試験法に準じ、溶出試験第1液(pH1.2)及び溶出試験第2液(pH6.8)を用いてパドル法50rpmで溶出試験を実施した。表1に示すように、胃内のpHに相当するpH1.2では少なくとも12時間、溶出せず、腸管内のpHに相当するpH6.8では2時間までの溶出を抑制し12時間以上に亘るシグモイド型の0次放出を実現させた腸溶性製剤であった(図12)。
Figure 2018184360
しかしながら、パキシルCR錠は、上述のように、非常に手の込んだ錠剤に製する必要があったり、錠剤が必然的に大きくなったりする。
そこで、本発明者らがより簡易に0次放出する腸溶性の徐放錠を製造する方法について鋭意研究した結果、吸水膨潤性ゲル化剤と薬物を混合して製した素錠に、エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤を混合した皮膜を被覆することによって、第1液での薬物の放出を防御し、第2液で長時間に亘り薬物をシグモイド型で0次放出させる徐放錠を製しうることを見出し、本発明を完成させた。
具体的に述べれば、皮膜中のエチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤の混合割合と、素錠に対する皮膜の被覆量が、胃内のpHに相当する試験液での放出制御の程度と腸管内のpHに相当する試験液での薬物放出速度とに多大な影響を及ぼすことを知見し、その研究過程において、胃内のpHに相当する試験液での薬物放出の防御及び腸管内のpHに相当する試験液での薬物の0次放出を両立させた錠剤を製する方法を見出すことができた。
ところで、特許文献3には、吸水膨潤性ゲル化剤と薬物を混合して製した錠剤にエチルセルロースおよびアセチルセルロースから選ばれる少なくとも1種を被覆した錠剤が記載されている。しかしながら、この錠剤は、特許文献3の実施例2、実施例6及び実施例7に示されているとおり、第1液、水、第2液などpHの異なる試験液において同じ放出速度での0次放出を実現させた製剤である。特許文献3には、腸溶性に製することなど、錠剤からのpH依存性をからめた薬物の放出制御に関する記載は一切ない。
また、特許文献3に記載の錠剤は、素錠中に浸入する水により、錠剤のR面にコーティング皮膜が固着したまま、特許文献3の第2図に示されているように縦方向など特殊な形状に錠剤を膨潤させ、側面から薬物が放出するように設計されたものであり、そのことによって0次の薬物放出を実現させたものである。従って、皮膜が消化液などに溶解せず錠剤のR面に貼り付いて残存し、錠剤を該特許第2図に示す形状に膨潤させることが絶対条件である。また、特許文献3に記載の錠剤は、その事象が、胃内のpHに相当する試験液、腸管内のpHに相当する試験液などpHの異なる溶液中で同じように生じるよう設計された製剤である。そのため、胃内のpHに相当する試験液、腸管内のpHに相当する試験液などpHの異なる溶液において、ある溶液では水の浸入と錠剤の膨潤を完璧に防止して薬物放出を抑制させ、また、ある溶液では特殊な形状に錠剤を膨潤させ0次放出を実現させるというような事象、例えば腸溶性を発現させることは不可能である。
元来、吸水膨潤性の素錠に水および消化液に不溶なpH非依存性のエチルセルロースやアセチルセルロースのような半透膜を被覆した吸水膨潤型錠剤の場合、その半透膜はpHの異なる各種の試験液において水を同じ速度で通過させ錠剤を膨潤させる性質を有するから、ある液では水をほとんど通さず錠剤を膨潤させず、ある液では水をよく通して膨潤させ0次放出を実現させるという事象を実現させることはできない。
そこで本発明者らは、吸水膨潤型素錠に半透膜性を維持させた皮膜を被覆する錠剤化法によって、溶出試験第1液(pH1.2)では2時間溶出せず、溶出試験第2液で長時間に亘りシグモイド型0次放出する腸溶性徐放錠を製造する方法に関して精力的な検討を実施した。
具体的な開発目標製剤をパロキセチン塩酸塩水和物を含有するパキシルCR錠と同等の溶出特性を有する製剤とし、その溶出試験第2液での溶出特性を次のように定めた。後発医薬品(経口徐放性製剤)の生物学的同等性試験ガイドラインに従って溶出特性を測定し、規定された試験時間において標準製剤の平均溶出率が80%以上に達するときは、平均溶出率80%付近の時点において、試験製剤の平均溶出率が標準製剤の平均溶出率±15%の範囲にあるとき、標準製剤と試験製剤の溶出挙動は類似していると判断されることから、溶出試験第2液での12時間の平均溶出率が81%である本製剤に関しては、12時間後に66%〜96%がシグモイド型0次徐放出する徐放錠を開発目標製剤とした。なお、日本薬局方においては、腸溶性錠剤は、錠剤の胃内での滞留時間を考慮して、第1液中での2時間の平均溶出率が10%までは許容範囲とされているが、胃内では溶出しないのが原則であるから、本研究においてはより厳しく5%を許容範囲とした。また、投与初期の悪心などの消化器症状発現を軽減させることを期待し、胃内での初期の溶出を抑制する目的で開発されたシグモイド型放出の腸溶性徐放錠であるから、溶出試験第2液といえども、無酸症の人の胃内滞留時間2時間を考慮すれば、2時間の平均溶出率が10%を超えることは避ける必要がある。これらのことから、開発目標製剤は、第1液中での2時間後の溶出が5%以下であり、かつ、第2液中においては、2時間値が10%以下で、12時間以上に亘りシグモイド型溶出特性を有する徐放錠とした。
種々検討した結果、胃内滞留時間に相当する第1液(pH1.2)での2時間後の薬物放出が5%以下であり、第2液(pH6.8)で12時間以上に亘ってシグモイド型0次放出する徐放錠は、吸水膨潤性ゲル化剤と薬物を混合して製した素錠に、エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤の混合皮膜剤を被覆することによって製造できることを見出した。
前述したとおり、吸水膨潤性の素錠に半透膜を被覆する方法によって製した徐放錠からの薬物放出に、腸溶性というpH依存性を付与させることは容易ではないが、エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤の配合比を1:0.5〜1:6(エチルセルロースの配合量が66.6〜14.2%)の範囲とし、錠剤表面積が1.5cmの錠剤に対する被覆量として、3mg〜50mgの範囲で適切な被覆量のフィルムコーティングを施すことによって、目的とする徐放錠を製しうることを知見した。
このようにすることによって、腸溶性皮膜剤が溶け出した後エチルセルロースがややポーラスな状態になった皮膜であっても、きっちりと錠剤R面に貼り付いて残存し、0次放出を実現させることがわかった。
以上の知見に基づいて、本発明の経口投与用の腸溶性徐放性製剤は、以下のように構成される。
本発明に従った経口投与用の腸溶性徐放性製剤は、薬物と吸水膨潤性ゲル化剤とを含有する素錠と、エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤とを含み素錠を被覆するフィルムコーティング皮膜とを備える。皮膜において、エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤との含有量の重量比と、素錠の表面積1.5cm当たりの皮膜の量とは、図1の点a〜nで囲まれる範囲内である。
言い換えれば、エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤との含有量の重量比をX軸上の値とし、素錠の表面積1.5cm当たりの皮膜の量(または「被覆量」ともいう。)をY軸上の値とすれば、本発明に従った経口投与用の腸溶性徐放性製剤は、薬物と吸水膨潤性ゲル化剤とを含有する素錠と、エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤とを含み素錠を被覆するフィルムコーティング皮膜とを備え、皮膜において、エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤との含有量の重量比と、素錠の表面積1.5cm当たりの皮膜の量(mg)とは、(X,Y)が図1に示すa(1:7,30)、b(1:6,20)、c(1:4,10)、d(1:2,7)、e(1:1,3)、f(1:0.5,3)、g(1:0.4,3)、h(1:0.4,10)、i(1:0.5,15)、j(1:1,25)、k(1:2,27)、l(1:4,45)、m(1:6,50)、n(1:7,50)の点で囲まれる範囲内(ただし、境界線上の値を含まない。)である。
本発明に従った腸溶性徐放性製剤においては、皮膜において、エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤との含有量の重量比(X)と、素錠の表面積1.5cm当たりの皮膜の量(Y)(mg)とは、(X,Y)が図1に示すA(1:6,30)、B(1:4,20)、C(1:2,7.5)、D(1:1,4)、E(1:0.5,4)、F(1:0.5,10)、G(1:1,20)、H(1:2,25)、I(1:4,40)、J(1:6,40)の点で囲まれる範囲内(ただし、境界線上の値を含む。)であることが好ましい。
本発明に従った腸溶性徐放性製剤においては、吸水膨潤性ゲル化剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレンオキシド、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、グァーガム、アラビアガム、タラガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、コラーゲン、カゼイン、寒天の少なくとも1つを含むことが好ましい。
本発明に従った腸溶性徐放性製剤においては、吸水膨潤性ゲル化剤は、素錠に10重量%以上含まれていることが好ましい。
本発明に従った腸溶性徐放性製剤においては、腸溶性皮膜剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸フタル酸セルロース、メタクリル酸コポリマーLの少なくとも1つを含むことが好ましい。
本発明に従った腸溶性徐放性製剤においては、皮膜は可塑剤を含むことが好ましい。
本発明に従った腸溶性徐放性製剤においては、可塑剤はポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、ヒマシ油、グリセリン、プロピレングリコールの少なくとも1つを含むことが好ましい。
本発明に従えば、簡単な構成で、胃内での放出抑制と、腸管内での長時間に亘るシグモイド型0次徐放出とを両立することが可能な経口投与用の腸溶性徐放性医薬組成物を提供することができる。
皮膜における、エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤との含有量の重量比と、前記素錠の表面積1.5cm当たりの前記皮膜の量との関係を示す図である。 実施例1A〜Cと比較例1AのpH6.8(比較例1AはpH6.9)における溶出試験の結果を示す図である。 比較例1BのpH1.2とpH6.8における溶出試験の結果を示す図である。 比較例1CのpH1.2とpH6.8における溶出試験の結果を示す図である。 実施例2A,Bと比較例2のpH6.8における溶出試験の結果を示す図である。 実施例3A〜CのpH6.8における溶出試験の結果を示す図である。 実施例4A〜CのpH6.8における溶出試験の結果を示す図である。 比較例3、実施例5A〜CのpH6.8における溶出試験の結果を示す図である。 比較例4、実施例6A,BのpH6.8における溶出試験の結果を示す図である。 実施例7のpH6.8における溶出試験の結果を示す図である。 実施例8のpH6.8における溶出試験の結果を示す図である。 パキシルCR錠25mgのpH6.8における溶出試験の結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明の腸溶性徐放性製剤は、普通の製法で素錠を製することができ、また、その素錠に普通にフィルムコーティング液を噴霧して被覆する操作で造れるため、製造工程が単純で製造原価が安価なフィルムコーティング錠であることが特徴であるが、以下にその具体的な製法などについて述べる。
本発明に従った経口投与用の腸溶性徐放性製剤は、薬物と吸水膨潤性ゲル化剤とを含有する素錠と、エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤とを含み素錠を被覆するフィルムコーティング皮膜とを備える。皮膜において、エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤との含有量の重量比が1:0.5〜1:6であり、素錠の表面積1.5cm当たりの皮膜の量が3mg〜50mgである。
本発明に従った経口投与用の腸溶性徐放性製剤は、薬物と吸水膨潤性ゲル化剤とを含有する素錠と、エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤とを含み素錠を被覆するフィルムコーティング皮膜とを備える。皮膜において、エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤との含有量の重量比と、素錠の表面積1.5cm当たりの皮膜の量とは、図1の点a〜nで囲まれる範囲内である。
言い換えれば、エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤との含有量の重量比をX軸上の値とし、素錠の表面積1.5cm当たりの皮膜の量(または「被覆量」ともいう。)をY軸上の値とすれば、本発明に従った経口投与用の腸溶性徐放性製剤は、薬物と吸水膨潤性ゲル化剤とを含有する素錠と、エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤とを含み素錠を被覆するフィルムコーティング皮膜とを備え、皮膜において、エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤との含有量の重量比と、素錠の表面積1.5cm当たりの皮膜の量(mg)とは、(X,Y)が図1に示すa(1:7,30)、b(1:6,20)、c(1:4,10)、d(1:2,7)、e(1:1,3)、f(1:0.5,3)、g(1:0.4,3)、h(1:0.4,10)、i(1:0.5,15)、j(1:1,25)、k(1:2,27)、l(1:4,45)、m(1:6,50)、n(1:7,50)の点で囲まれる範囲内(ただし、境界線上の値を含まない。)である。
本発明に従った腸溶性徐放性製剤においては、皮膜において、エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤との含有量の重量比(X)と、素錠の表面積1.5cm当たりの皮膜の量(Y)(mg)とは、(X,Y)が図1に示すA(1:6,30)、B(1:4,20)、C(1:2,7.5)、D(1:1,4)、E(1:0.5,4)、F(1:0.5,10)、G(1:1,20)、H(1:2,25)、I(1:4,40)、J(1:6,40)の点で囲まれる範囲内(ただし、境界線上の値を含む。)であることが好ましい。
素錠に用いられる吸水膨潤性ゲル化剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレンオキシド、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、グァーガム、アラビアガム、タラガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、コラーゲン、カゼイン、寒天などがあり、これらの1種または2種以上を混合して用いることができる。ゲル化剤の配合量は、適用する薬物の性質、使用するゲル化剤の種類ならびに配合するその他の添加剤などにもよるが、一般的には素錠当り、10重量%以上、好ましくは20重量%以上配合して用いることが好ましい。
なお、吸水膨潤性ゲル化剤の種類と配合量を工夫し、後述する乳糖やコーンスターチなどの賦形剤を適正に配合して使用することにより、溶出試験第2液(pH6.8)中での素錠からの薬物の放出速度を自由にコントロールすることが可能である。
素錠に被覆する皮膜剤としては、水及び消化液に不溶な皮膜剤と腸溶性皮膜剤を混合して用いる。水及び消化液に不溶な皮膜剤としてはエチルセルロース及びアセチルセルロースを単独でまたは混合して用いることができる。腸溶性皮膜剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸フタル酸セルロース、メタクリル酸コポリマーLなどを単独でまたは混合して用いることができる。被覆剤については、有機溶剤または有機溶剤と水の混液に溶解する方法、あるいは水に乳化分散する方法のいずれかで溶液とし、素錠の被覆に供する。
水及び消化液に不溶のフィルムコーティング基剤としてはエチルセルロースが好ましく、腸溶性皮膜剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸フタル酸セルロース、メタクリル酸コポリマーLなどを、目的とする溶出特性に合致するように選択し配合することが好ましい。有機溶剤としては塩化メチレン、イソプロピルアルコール、エタノール、メタノールなどがあげられるが、最も好ましいのはエタノールであり、30%程度まで水を加えて用いてもよい。なお、この形態のフィルムコーティング錠の場合、水分散液で被覆するのに比べ、フィルムコーティング基剤を有機溶剤に溶解して用いる方法の方が、水および消化液に不溶性で、かつ水および消化液で膨潤などの変形を起こさない強靱なフィルムを形成できる。
また、本発明による腸溶性徐放性製剤の場合、内服時の薬物の効能効果をバラツキなく確実に発現させることが肝要なことは言うまでもなく、錠剤毎の溶出のバラツキを小さくする必要がある。そのためには、皮膜剤を素錠に均一に被覆し、皮膜を通しての水の浸入速度の錠剤毎のバラツキを小さくする方策を採ることが大切で、この水及び消化液に不溶な皮膜剤と腸溶性皮膜剤を混合した被覆剤処方中に、可塑剤を配合することにより目的を達成できることを知見した。用いられる可塑剤としては、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、ヒマシ油、グリセリン、プロピレングリコールなどがあり、成膜性に資するものであれば差し支えない。
本発明の腸溶性徐放性製剤の製造には、まず、吸水膨潤性ゲル化剤と薬物、必要であれば製剤用添加剤を混合し、湿式法あるいは乾式法により素錠を製する。次いでエチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと、腸溶性皮膜剤の混合物を主体とする基剤を有機溶剤に溶解して得られるフィルムコーティング基剤で、フィルムコーティングする。
本発明の腸溶性徐放性製剤のフィルムコーティングは、通常、常套のコーティングパン方式でなされ、コーティング方式はスプレー法が好ましく、自動または手動のいずれの方式であっても差し支えない。
フィルムの被覆量は、本発明の腸溶性徐放性製剤における重要な構成である。被覆量が少なく皮膜が薄すぎると、フィルムが弱く剥がれやすく、胃内のpHに相当する試験液での溶出の制御ができない、腸管内に相当する試験液での溶出コントロールが困難である、目的とする膨潤が得にくい等の問題がある。また、またフィルムの処方によっては、被覆量が増し皮膜が厚くなりすぎると、フィルムの半透膜性が減少する、初期の溶出ラグタイムが長くなり目的とする徐放化に劣る、フィルムがエッジ部で切れにくく目的とする膨潤が得られ難くなる等の問題があり、これらの問題を解決したのが本発明である。フィルムの厚みは、フィルムコーティングする前の錠剤とフィルムコーティング後の錠剤側面の厚みを比較して容易に測定することができ、厚み測定装置としては、手動厚み測定機、自動厚み測定機のいずれを使用しても差し支えない。
本発明の素錠には、従来から汎用されている、たとえば乳糖、コーンスターチ、結晶セルロースなどの賦形剤、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤、デンプン類、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム末、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、コポリビドン、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマーなどの結合剤、カルメロースカルシウム、カルメロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドンなどの崩壊剤、その他着色剤、矯味剤、吸着剤、防腐剤、湿潤剤、帯電防止剤などを自由に配合することができる。
本発明による技術は、ゲル化剤を選択配合し、かつ溶解性に寄与する適切な製剤用添加剤を選択配合することによって、主薬となる薬物の水溶性、水難溶性などに制限されることなく、任意の溶出速度を有する錠剤を製しうるため、0次放出型の腸溶性徐放錠であれば、いろいろな薬剤への応用が可能である。
加えるに、本発明の腸溶性徐放性製剤は、通常の湿式撹拌造粒機、流動層造粒乾燥機、箱形乾燥機、篩過装置、打錠機、パンコーティング装置などがあれば製造することができ、製造工程が簡便で特別な装置を必要としないことも大きなメリットで、腸溶性徐放性製剤としては理想的なものである。
本発明による錠剤は、吸水膨潤性ゲル化剤と薬物を混合して通常の湿式法あるいは乾式法で錠剤化用粒子を製し、この粒子を用いて通常の打錠機で普通に製した素錠に、エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤を混合したフィルムを通常のフィルムコーティング法で被覆することによって製造することができる。このように、非常に簡便な製剤化法で製しうる腸溶性0次放出製剤であり、その利用価値は高い。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
実験に用いた製剤原料は次の通りである。ポリビニルピロリドン(PVP−K30,BASFジャパン株式会社)、ヒプロメロース(商品名:メトローズ60SH50、信越化学)、ヒプロメロース(商品名:TC−5R、信越化学)、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業)、エチルセルロース(エトセルSTD7,ダウ・ケミカル)、ヒプロメロースフタル酸エステル(HP−55、信越化学)、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(AQOAT AS−LF、信越化学)、マクロゴール6000(日本油脂)、ヒマシ油(小堺製薬)、クエン酸トリエチル(森村商事)
(実験例1)
PVP−K30を27gとり、精製水121.5g及び無水エタノール121.5gの混合溶液に溶解しポビドン溶液を調製した。パロキセチン塩酸塩水和物を171.06g、メトローズ60SH50を348.72g、TC−5Rを348.72gとり軽く混合した後、噴霧乾燥式流動層造粒機(MP−01、パウレック)に投入し、ポビドン溶液を噴霧、造粒、乾燥し、18メッシュで整粒する。整粒末にステアリン酸マグネシウム4.5gを加えて混合し、直径7.5mm、8.5Rの杵を用いて1錠150mgの重量で、厚み4mm、錠剤表面積1.5cmの素錠を製した(1錠中に25mgのパロキセチンを含有する:パロキセチン塩酸塩水和物としては28.51mg)。
次いで、表2に示す処方で、aについては900g、bについては360g、cについては1080gのコーティング液を調製した。素錠210gを通気式コーティング装置(ドリアコーターDRC−200、パウレック)に仕込み、それぞれのコーティング液を必要量使用して3種のフィルムコーティング錠を製した。処方aによるコーティングについては、コーティング操作の途中10mg、15mg、20mgの皮膜量となった時点でサンプリングし、最終を25mgの被覆量とした(10mg被覆品を実施例1A、15mg被覆品を実施例1B、20mg被覆品を実施例1C、25mg被覆品を比較例1Aとした)。処方bによるコーティングに関しては、被覆量10mgの一水準のみとし、これを比較例1Bとした。また、処方cによるコーティングに関しても、被覆量は30mgの一水準のみとし、これを比較例1Cとした。
Figure 2018184360
これらの各種サンプルについて、溶出試験第1液及び溶出試験第2液を用い、パドル法50rpmで溶出試験を実施し、結果を表3、図2〜4に示した。
Figure 2018184360
実施例1Cに示した皮膜量が10mgの錠剤は、第1液中での薬物放出が制御され、第2液中で12時間以上に亘って薬物が効率よくシグモイド型の0次放出を達成できることがわかるとともに、この被覆量より少なくても可能性があることが示唆された。また、比較例1Aの被覆量が25mgの錠剤は、第2液での放出速度が低下し12時間値が不適となることがわかった。実施例1Cと比較例1Aなどのデータから、エトセル7:HP−55が1:1の本例の場合、錠剤表面積が1.5cmの錠剤に対する適切な被覆量は25mg未満であることが示唆された。
また、比較例1Bのエトセルのみの被覆膜処方の錠剤の場合、第1液、第2液ともに同じ溶出を示した。したがって、胃内では溶出しないことが原則とされ、すなわち、溶出試験第1液では溶出せず、溶出試験第2液でのみ有意義な徐放出を示現する真の腸溶性徐放錠は造れないことがわかった。比較例1Cの腸溶性皮膜剤(HP−55)のみの被覆膜処方の錠剤の場合、第2液の2時間の放出量が10%を超え、シグモイド型のきれいな溶出パターンの徐放錠は得られないことがわかった。
(実験例2)
PVP−K30を22.5gとり、精製水101.25g及び無水エタノール101.25gの混合溶液に溶解しポビドン溶液を調製する。パロキセチン塩酸塩水和物を142.55g、メトローズ60SH50を290.6g、TC−5Rを290.6gとり軽く混合した後、噴霧乾燥式流動層造粒機(MP−01、パウレック)に投入し、ポビドン溶液を噴霧、造粒、乾燥し、18メッシュで整粒する。整粒末を2バッチ製造し混合したものに、ステアリン酸マグネシウム7.5gを加えて混合し、直径7.5mm、8.5Rの杵を用いて1錠150mgの重量で、厚み4mm、錠剤表面積1.5cmの素錠を製した(1錠中に25mgのパロキセチンを含有する:パロキセチン塩酸塩水和物としては28.51mg)。
次いで、表4に示す処方でコーティング液を540g調製する。素錠210gを通気式コーティング装置(ドリアコーターDRC−200、パウレック)に仕込み、コーティング液を必要量使用して錠剤1錠当たり15mgのフィルムコーティングを施した。なお、コーティング操作の途中、4mg及び10mgの皮膜量となった時点でサンプリングを行った。4mg及び10mg被覆品をそれぞれ実施例2A、2Bとし、15mg被覆品を比較例2とした。
Figure 2018184360
これらの3種のサンプルについて、溶出試験第1液及び溶出試験第2液を用い、パドル法50rpmで溶出試験を実施し、結果を表5と図5に示した。
Figure 2018184360
実施例2Aの結果から、この皮膜処方の場合、被覆量が4mgで第1液中での2時間の溶出量を5%以下に抑制でき、かつ目的とするシグモイド型0次放出が達成できることが確認された。この結果から、被覆量が3mgより多ければ、pH1.2での溶出が5%以下を実現し、かつpH6.8の溶出を適合させられることが示唆された。また、実施例2Bと比較例2の結果から、皮膜量が12mgを超えれば第2液での放出速度が低下し12時間値が不適となることが示唆された。したがって、エトセル7:HP−55が1:0.5の本例の場合、錠剤表面積が1.5cmの錠剤に対する適切な被覆量は、3mgより多く15mg未満、好ましくは、4mg以上12mg以下、より好ましくは4mg以上10mg以下であることがわかった。また、実施例2の結果から、エトセル7:HP−55が1:0.4であれば、錠剤表面積が1.5cmの錠剤に対する適切な被覆量は、3mgより多く10mg未満であると考えられる。
(実験例3)
表6に示す処方でコーティング液を720g調製する。実験例2で製した素錠210gを通気式コーティング装置(ドリアコーターDRC−200、パウレック)に仕込み、コーティング液を必要量使用して錠剤1錠当たり20mgのフィルムコーティングを施した。なお、コーティング操作の途中、4mg及び10mgの皮膜量となった時点でサンプリングを行った。4mg、10mg及び20mg被覆品をそれぞれ実施例3A、実施例3B及び実施例3Cとした。
Figure 2018184360
これらの3種のサンプルについて、溶出試験第1液と溶出試験第2液を用い、パドル法50rpmで溶出試験を実施し、結果を表7と図6に示した。
Figure 2018184360
実施例3Aに示すとおり、本皮膜の場合、皮膜量が4mgのフィルムであっても第1液の放出制御ができ、第2液でのシグモイド型0次放出が達成できることがわかった。この結果から、被覆量が3mgより多ければ、pH1.2での溶出が5%以下を実現し、かつpH6.8の溶出を適合させられることが示唆された。また、実施例3Bと実施例3Cの12時間溶出量の結果から、皮膜量が25mg未満、好ましくは22mg以下であれば第1液の放出が制御でき、第2液でのシグモイド型0次放出が達成できることが示唆された。したがって、エトセル7:HP−55が1:1の本例の場合、錠剤表面積が1.5cmの錠剤に対する適切な被覆量は、3mgより多く25mg未満、より好ましくは4mg以上22mg以下、さらに好ましくは4mg以上20mg以下であることがわかった。
(実験例4)
表8に示す処方でコーティング液を900g調製する。実験例2で製した素錠210gを通気式コーティング装置(ドリアコーターDRC−200、パウレック)に仕込み、コーティング液を必要量使用して錠剤1錠当たり25mgのフィルムコーティングを施した。なお、コーティング操作の途中、7.5mg及び20mgの皮膜量となった時点でサンプリングを行った。7.5mg及び20mg被覆品をそれぞれ実施例4A及び実施例4B、25mg被覆品を実施例4Cとした。
Figure 2018184360
これらの3種のサンプルについて、溶出試験第1液及び溶出試験第2液を用い、パドル法50rpmで溶出試験を実施し、結果を表9と図7に示した。
Figure 2018184360
実施例4Aから、皮膜量が7.5mgのものは第1液中で2時間の放出制御が十分にでき、第2液でのシグモイド型0次放出が達成できることがわかった。この結果から、被覆量が7mgより多ければ、pH1.2での溶出が5%以下を実現し、かつpH6.8の溶出を適合させられることが示唆された。また、実施例4Bと実施例4Cの12時間溶出量の結果から、被覆量は27mg程度以下であることが好ましいことが示唆された。したがって、エトセル7:HP−55が1:2の本例の場合、錠剤表面積が1.5cmの錠剤に対する適切な被覆量は、7mgより多く27mg未満、好ましくは7.5mg以上25mg以下であることがわかった。
(実験例5)
表10に示す処方でコーティング液を1440g調製する。実験例2で製した素錠210gを通気式コーティング装置(ドリアコーターDRC−200、パウレック)に仕込み、コーティング液を必要量使用して錠剤1錠当たり40mgのフィルムコーティングを施した。なお、コーティング操作の途中、10mg、20mg及び30mgの皮膜量となった時点でサンプリングを行った。10mg被覆品を比較例3、20mg、30mg及び40mg被覆品をそれぞれ実施例5A、実施例5B及び実施例5Cとした。
Figure 2018184360
これらの4種のサンプルについて、溶出試験第1液及び溶出試験第2液を用い、パドル法50rpmで溶出試験を実施し、結果を表11と図8に示した。
Figure 2018184360
比較例3及び実施例5Aの結果から、皮膜量が20mg未満の錠剤の場合、第2液の2時間の放出量が10%を超え、シグモイド型0次放出を達成しないことがわかった。
また、実施例5A、実施例5B及び実施例5Cで示すとおり皮膜量が増加すれば、目的とするシグモイド型0次放出が達成されることがわかったが、これは、錠剤R面に貼り付いて残るエトセルの量が、皮膜量が増すにつれて多くなることによると考えられる。
実施例5B及び5CのpH6.8の液における12時間溶出量の結果から、被覆量が45mgより少なければ、pH1.2での溶出が5%以下を実現し、かつpH6.8の溶出を適合させられることが示唆された。したがって、エトセル7:HP−55が1:4の本例の場合、錠剤表面積が1.5cmの錠剤に対する適切な被覆量は、10mgより多く45mg未満、好ましくは20mg以上40mg以下であることがわかった。
(実験例6)
表12に示す処方でコーティング液を1440g調製する。実験例2で製した素錠210gを通気式コーティング装置(ドリアコーターDRC−200、パウレック)に仕込み、コーティング液を必要量使用して錠剤1錠当たり40mgのフィルムコーティングを施した。なお、コーティング操作の途中、20mg及び30mgの皮膜量となった時点でサンプリングを行った。20mg被覆品を比較例4、30mg及び40mg被覆品を実施例6A及び実施例6Bとした。
Figure 2018184360
これら3種のサンプルについて、溶出試験第1液及び溶出試験第2液を用い、パドル法50rpmで溶出試験を実施し、結果を表13と図9に示した。
Figure 2018184360
比較例4の皮膜量が20mgの錠剤の場合、第2液の2時間の放出量が多く、きれいなシグモイド型0次放出を達成しないことがわかった。また、実施例6A及び実施例6Bに示すとおり皮膜量を30mg以上にすれば、目的とするシグモイド型0次放出が達成されることがわかり、かつ被覆量が50mgより少なければ、pH1.2での溶出が5%以下を実現し、かつpH6.8の溶出を適合させられることが示唆された。
実施例5及び実施例6の結果から、腸溶性皮膜剤の配合量が多くなると、シグモイド型の放出になり難くなることがわかる一方で、腸溶性皮膜剤の配合量が増しても、被覆量を増し皮膜を厚くすればシグモイド型0次放出になる傾向があることはつかめた。ただし、錠剤を特異的な形状に膨潤させるために、錠剤のR面にエトセルが貼り付いて残ることが肝要で、エトセルは腸溶性皮膜剤との配合比において、15%以上を配合する必要がある。また、被覆するフィルムの量に関しては、皮膜が厚くなりすぎれば投与後に生体内で溶出を開始する時間が必要以上に遅くなる恐れがあり実用性に劣る、製造原価が高くなる、などの問題が生じるため、皮膜の被覆量は錠剤表面積が1.5cmの錠剤に対する被覆量として50mg未満が好ましい。したがって、エトセル7:HP−55が1:6の本例の場合、錠剤表面積が1.5cmの錠剤に対する適切な被覆量は、20mgより多く50mg未満、好ましくは30mg以上、40mg以下であることがわかった。また、実施例6の結果から、エトセル7:HP−55が1:7であれば、錠剤表面積が1.5cmの錠剤に対する適切な被覆量は、30mgより多く50mg未満であると考えられる。
(実施例7)
実験例2と同じ方法で1錠150mgの重量に素錠を製した。エトセルSTD7を18g、AQOAT(AS−LF)を18g、マクロゴール6000を4gとり、エタノール544gと精製水136gの混合溶液に溶解してコーティング液を製した。ドリアコーターDRC−200に素錠210gを仕込み、コーティング液を噴霧スプレーして錠剤1錠当たり20mgのフィルムコーティングを施した。このサンプルについて、溶出試験第1液及び溶出試験第2液を用い、パドル法50rpmで溶出試験を実施し、結果を表14と図10に示した。
Figure 2018184360
実施例7の錠剤は、第1液の放出制御ができ、第2液中でシグモイド型0次放出が達成できることがわかった。
(実施例8)
パロキセチン塩酸塩水和物を71.275g、TC−5Rを301.85gとり軽く混合した後、噴霧乾燥式流動層造粒機(MP−01、パウレック)に投入し、50%エタノール水溶液101.25gを噴霧、造粒、乾燥し、18メッシュで整粒する。整粒末にステアリン酸マグネシウム1.875gを加えて混合し、1錠150mgの重量に錠剤を製した。次いで、エトセルSTD7を14.4g、HP−55を21.6g、クエン酸トリエチルを4gとり、エタノール544gと精製水136gの混合溶液に溶解してコーティング液を製した。ドリアコーターDRC−200に素錠210gを仕込み、コーティング液を噴霧スプレーして錠剤1錠当たり20mgのフィルムコーティングを施した。被覆されたフィルムの厚みは、約100μmであった。
このサンプルについて、溶出試験第1液及び溶出試験第2液を用い、パドル法50rpmで溶出試験を実施し、結果を表15と図11に示した。
Figure 2018184360
実施例8の錠剤は、12時間に亘り第1液の放出制御ができ、第2液中で目的とするシグモイド型0次放出が達成できることがわかった。
(実験例9)
実験例2と同じ方法で1錠150mgの重量に素錠を製した。表16に示す処方で、処方iについては900g、処方jについては895gのコーティング液を調製した。ドリアコーターDRC−200に素錠210gを仕込み、処方h及び処方iのコーティング液を噴霧スプレーして錠剤1錠当たり20mgのフィルムコーティングを施し、処方iでコーティングしたものを実施例9A、処方jでコーティングしたものを実施例9Bとした。
Figure 2018184360
このサンプルについて、溶出試験第2液を用い、パドル法50rpmで溶出試験を実施し、溶出率と標準偏差(SD)を表17に示した。
Figure 2018184360
この結果から、可塑剤としてクエン酸トリエチルを添加したフィルムの方が溶出のバラツキが小さく、シングルユニットの本錠剤の場合、可塑剤を添加することが好ましいことがわかった。
本発明を要約すれば、以下の通りである。
(1)本発明に従った経口投与用の腸溶性徐放性製剤は、薬物と吸水膨潤性ゲル化剤とを含有する素錠と、エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤とを含み素錠を被覆するフィルムコーティング皮膜とを備える。皮膜において、エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤との含有量の重量比と、素錠の表面積1.5cm当たりの皮膜の量とは、図1の点a〜nで囲まれる範囲内である。
言い換えれば、エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤との含有量の重量比をX軸上の値とし、素錠の表面積1.5cm当たりの皮膜の量をY軸上の値とすれば、本発明に従った経口投与用の腸溶性徐放性製剤は、薬物と吸水膨潤性ゲル化剤とを含有する素錠と、エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤とを含み素錠を被覆するフィルムコーティング皮膜とを備え、皮膜において、エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤との含有量の重量比と、素錠の表面積1.5cm当たりの皮膜の量(mg)とは、(X,Y)が図1に示すa(1:7,30)、b(1:6,20)、c(1:4,10)、d(1:2,7)、e(1:1,3)、f(1:0.5,3)、g(1:0.4,3)、h(1:0.4,10)、i(1:0.5,15)、j(1:1,25)、k(1:2,27)、l(1:4,45)、m(1:6,50)、n(1:7,50)の点で囲まれる範囲内(ただし、境界線上の値を含まない。)である。
(2)本発明に従った腸溶性徐放性製剤においては、皮膜において、エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤との含有量の重量比(X)と、素錠の表面積1.5cm当たりの皮膜の量(Y)(mg)とは、(X,Y)が図1に示すA(1:6,30)、B(1:4,20)、C(1:2,7.5)、D(1:1,4)、E(1:0.5,4)、F(1:0.5,10)、G(1:1,20)、H(1:2,25)、I(1:4,40)、J(1:6,40)の点で囲まれる範囲内(ただし、境界線上の値を含む。)であることが好ましい。
(3)本発明に従った腸溶性徐放性製剤においては、吸水膨潤性ゲル化剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレンオキシド、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、グァーガム、アラビアガム、タラガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、コラーゲン、カゼイン、寒天の少なくとも1つを含むことが好ましい。
(4)本発明に従った腸溶性徐放性製剤においては、吸水膨潤性ゲル化剤は、素錠に10重量%以上含まれていることが好ましい。
(5)本発明に従った腸溶性徐放性製剤においては、腸溶性皮膜剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸フタル酸セルロース、メタクリル酸コポリマーLの少なくとも1つを含むことが好ましい。
(6)本発明に従った腸溶性徐放性製剤においては、皮膜は可塑剤を含むことが好ましい。
(7)本発明に従った腸溶性徐放性製剤においては、可塑剤はポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、ヒマシ油、グリセリン、プロピレングリコールの少なくとも1つを含むことが好ましい。
以上に開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変形を含むものである。

Claims (7)

  1. 薬物と吸水膨潤性ゲル化剤とを含有する素錠と、
    エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤とを含み前記素錠を被覆するフィルムコーティング皮膜とを備え、
    前記皮膜において、エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤との含有量の重量比(X)と、前記素錠の表面積1.5cm当たりの前記皮膜の量(Y)(mg)とは、(X,Y)が図1に示すa(1:7,30)、b(1:6,20)、c(1:4,10)、d(1:2,7)、e(1:1,3)、f(1:0.5,3)、g(1:0.4,3)、h(1:0.4,10)、i(1:0.5,15)、j(1:1,25)、k(1:2,27)、l(1:4,45)、m(1:6,50)、n(1:7,50)の点で囲まれる範囲内(ただし、境界線上の値を含まない。)である、腸溶性徐放性製剤。
  2. 前記皮膜において、エチルセルロースおよび/またはアセチルセルロースと腸溶性皮膜剤との含有量の重量比(X)と、前記素錠の表面積1.5cm当たりの前記皮膜の量(Y)(mg)とは、(X,Y)が図1に示すA(1:6,30)、B(1:4,20)、C(1:2,7.5)、D(1:1,4)、E(1:0.5,4)、F(1:0.5,10)、G(1:1,20)、H(1:2,25)、I(1:4,40)、J(1:6,40)の点で囲まれる範囲内(ただし、境界線上の値を含む。)である、請求項1に記載の腸溶性徐放性製剤。
  3. 前記吸水膨潤性ゲル化剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレンオキシド、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、グァーガム、アラビアガム、タラガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、コラーゲン、カゼイン、寒天の少なくとも1つを含む、請求項1または請求項2に記載の腸溶性徐放性製剤。
  4. 前記吸水膨潤性ゲル化剤は、前記素錠に10重量%以上含まれている、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の腸溶性徐放性製剤。
  5. 前記腸溶性皮膜剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸フタル酸セルロース、メタクリル酸コポリマーLの少なくとも1つを含む、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の腸溶性徐放性製剤。
  6. 前記皮膜は可塑剤を含む、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の腸溶性徐放性製剤。
  7. 前記可塑剤はポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、ヒマシ油、グリセリン、プロピレングリコールの少なくとも1つを含む、請求項6に記載の腸溶性徐放性製剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH09104620A (ja) * 1994-12-27 1997-04-22 Kanebo Ltd 持続性製剤
WO2003043661A1 (fr) * 2001-11-21 2003-05-30 Eisai Co., Ltd. Compositions de preparation contenant des composes actifs au plan physiologiques et instables aux acides et leur procede de production

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