以下、本発明の融着装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1〜図3は、それぞれ、本発明の融着装置の使用状態(一例)を示す側面図である。図4は、図1中の矢印A方向から見た図である。図5は、図2中の矢印B方向から見た図である。図6は、図3中の矢印C方向から見た図である。図7および図8は、それぞれ、図1中の矢印D方向から見た図である。図9は、図2中の矢印E方向から見た図である。
図10は、図3中の矢印F方向から見た図である。図11は、図1中の一点鎖線で囲まれた領域[G]の垂直断面図である。図12は、本発明の融着装置の主要部のブロック図である。図13〜図15は、それぞれ、本発明の融着装置が備える制御部の制御プログラムを順に示すフローチャートである。なお、以下では、説明の都合上、図1〜図3および図11中(の上側を「上(または上方)」、下側を「下(または下方)」と言う。
図1〜図3に示すように、躯体1000が有する床部101は、シート防水構造10によって、防水処理が施されている。シート防水構造10は、防水シート(シート)11と、複数の固定ディスク9とを有している。
防水シート11は、床部101の防水処理を要する部分を覆うものである。防水シート11は、樹脂材料で構成され、その樹脂材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニルのような塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。これにより、防水シート11の溶剤溶着性や熱融着性を優れたものとすることができる。なお、塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルを含む重合体、すなわちオリゴマー、プレポリマーおよびポリマーであれば特に限定されないが、例えば、塩化ビニルの単量重合体、または塩化ビニルと、酢酸ビニル、エチレン、もしくはプロピレン等との共重合体、およびこれらの2種以上の重合体の混合物等が挙げられる。
防水シート11の厚さは、0.5mm以上4.0mm以下であるのが好ましく、1.0mm以上2.5mm以下であるのがより好ましい。
固定ディスク9は、防水シート11を床部101に対して固定するものである。この固定ディスク9は、床部101上に間隔を置いて配置されている。また、各固定ディスク9は、円板状をなすディスク部材91と、ディスク部材91の上面を覆う樹脂層92とで構成されている。
ディスク部材91は、磁性体(強磁性体)で構成され、その材料としては、特に限定されず、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、ガドリニウム、クロム等の金属のうちのいずれかまたはこれらのうちの1種以上を含む合金を用いることができる。
また、ディスク部材91の中心部には、ビス12が挿通する挿通孔911が貫通して形成されている。固定ディスク9は、挿通孔911を挿通したビス12を介して床部101に固定される。
なお、ディスク部材91の直径は、特に限定されないが、20mm以上150mm以下程度であるのが好ましく、40mm以上100mm以下程度であるのがより好ましい。また、ディスク部材91の厚さは、特に限定されないが、0.1mm以上3mm以下程度であるのが好ましく、0.3mm以上1.5mm以下程度であるのがより好ましい。
樹脂層92は、ディスク部材91の上面を覆うコート層である。樹脂層92を構成する樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニルのような塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ABS等の熱可塑性樹脂が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、ポリ塩化ビニルであるのが好ましい。これにより、樹脂層92と防水シート11とを融着した際、互いの密着性を向上させることができる。そして、この融着により、防水シート11は、床部101に対して固定される。また、樹脂層92を構成する樹脂として、ポリ塩化ビニルを用いた場合、このポリ塩化ビニルは、溶剤溶着性や熱融着性に優れるため、前記効果をより顕著に発揮させることができるとともに、固定ディスク9の腐食をより確実に防止することができる。
なお、樹脂層92の厚さは、特に限定されないが、0.03mm以上であるのが好ましく、0.05mm以上0.3mm以下であるのがより好ましい。これにより、防水シート11が風で煽られることに起因して、樹脂層92に応力が作用したとしても、この樹脂層92において亀裂や破断が生じるのを的確に抑制することができる。
図1〜図3に示すように、融着装置100は、防水シート11と、固定ディスク9(磁性体)とを融着する装置である。この融着装置100は、検出ユニット1を備えて(内蔵して)いる。
ところで、防水シート11は、透明性を有さず、不透明なものである。作業者(施工業者)は、防水シート11と固定ディスク9とを融着する際、固定ディスク9を、不透明な防水シート11で覆ってその融着作業を行なうため、固定ディスク9の位置を視認することができない。
そこで、融着装置100の検出ユニット1は、防水シート11と固定ディスク9とを融着するのに先立って、固定ディスク9の位置を検出するのに用いられる装置となっている。そして、融着装置100は、検出ユニット1による固定ディスク9の検出後、防水シート11と固定ディスク9とを融着することができる。これにより、床部101は、シート防水構造10によって、防水処理が施されたものとなる。
例えば、防水シート11を介した融着装置100と固定ディスク9との位置関係が、図1または図2に示す状態の場合、固定ディスク9の樹脂層92の上面921全面と、その面に当接する防水シート11の当接面111とを、後述する誘導加熱によって十分に加熱することができる。これにより、防水シート11と固定ディスク9とを過不足なく融着することができる。
これに対し、防水シート11を介した融着装置100と固定ディスク9との位置関係が、図3に示す状態の場合、固定ディスク9の樹脂層92の上面921全面を誘導加熱によって加熱することができず、その結果、防水シート11と固定ディスク9との融着が不十分となる。
図1に示すように、融着装置100は、融着ユニット(融着部)8と、検出ユニット1とを備えている。融着ユニット8は、ハウジング2と、磁場発生部7とを有している。検出ユニット1は、磁性体検出部3と、発光部4と、電源6とを有している。以下、各部の構成について説明する。
ハウジング2は、例えば、円筒状をなし、その内側に、例えば、磁性体検出部3や電源6等を収納するものである。このハウジング2は、上側に配置された天板21と、下側に配置された底板22と、天板21と底板22とをつなぐ側壁板23とを有している。
図1〜図3に示すように、天板21には、融着装置100(検出ユニット1)を用いるときに把持されるハンドル(把持部)24が固定されている。このハンドル24は、アーチ状をなし、その両端部がそれぞれ天板21に、例えばネジ止めにより固定されている。また、図7〜図10に示すように、ハンドル24は、円形をなす天板21の中心を通るように配置されている。これにより、ハンドル24を把持して、融着装置100を安定して使用することができる。
底板22は、その下面が、固定ディスク9(磁性体)を覆った状態の防水シート11に当接する当接面221となる。当接面221(底板22)の直径としては、平面視で固定ディスク9を包含することができる程度に十分に大きいのが好ましい。そして、図4〜図6に示すように、当接面221は、複数(図示の構成では9つ)の領域に分割されている。図4〜図6に示す構成では、当接面221は、一例として、中央部の円形の「第1領域(第1融着領域)221A」と、それを囲むように、すなわち、当接面221の縁部に沿って8つに等間隔に配置された扇形の「第2領域(第2融着領域)221B」と、「第3領域(第3融着領域)221C」と、「第4領域(第4融着領域)221D」と、「第5領域(第5融着領域)221E」と、「第6領域(第6融着領域)221F」と、「第7領域(第7融着領域)221G」と、「第8領域(第8融着領域)221H」と、「第9領域(第9融着領域)221i」とに分割されている。
なお、天板21、底板22および側壁板23の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ナイロンやポリカーボネート等のような各種熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂等の各種熱硬化性樹脂、金属を用いることができる。天板21、底板22および側壁板23の厚さは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
また、ハンドル24の構成材料としては、特に限定されず、例えば、アルミニウムやステンレス鋼等のような各種金属材料やその他各種樹脂材料を用いることができる。
磁場発生部7は、固定ディスク9のディスク部材91を誘導加熱するものである。この加熱により、少なくとも固定ディスク9の樹脂層92(好ましくは樹脂層92と防水シート11との双方)が溶融して、この樹脂層92と、当該樹脂層92に接触している防水シート11の一部とが融着することができる。図12に示すように、磁場発生部7は、加熱コイル71と、誘導加熱発振回路72とを有している。
加熱コイル71は、ハウジング2内に配置されており、できる限り底板22に近い位置に固定されている。そして、図4〜図6に示すように、加熱コイル71は、第1領域221A〜第9領域221iの中央部に1つずつ配されている。第1領域221Aに配された加熱コイル71は、融着を主に担う主コイルであり、それ以外の残りの加熱コイル71は、主コイルによる融着を補助する補助コイルである。
また、加熱コイル71は、線状体711を、例えば渦巻き状(コイル状)に巻回されたものであるが、その形状は、特に限定されない。例えば、楕円状、三角形等とすることもできる。線状体711の構成材料としては、特に限定されず、例えば、リッツ線等を用いることができる。リッツ線は、細いエナメル線を撚ったものであり、高周波特性が良く、交流抵抗を小さくし、加熱コイルの過度の温度上昇を抑えることができる。
さらに、加熱コイル71全体(第1領域221A〜第9領域221i)の外周部の直径は、限定するものではないが、融着する固定ディスク9の直径の2倍以上あることが好ましい。
加熱コイル71には、誘導加熱発振回路72が電気的に接続されている。誘導加熱発振回路72は、例えば、高周波インバータであり、加熱コイル71に高周波を付与することができる。そして、高周波が付与された加熱コイル71は、固定ディスク9のディスク部材91を誘導加熱(高周波加熱)することができる。これにより、前述したように、固定ディスク9と防水シート11とを融着させることができる。なお、誘導加熱する時間としては、特に限定されず、例えば、3秒以上20秒以下であるのが好ましく、5秒以上10秒以下であるのがより好ましい。
また、誘導加熱発振回路72は、第1領域221A〜第9領域221iに配された加熱コイル71に個別に高周波を付与することができる。これにより、領域ごとに独立して融着を行なうことができる。
また、誘導加熱発振回路72は、各加熱コイル71に高周波を付与する時間を調整することができる。これにより、例えば、防水シート11の厚さや、防水シート11が使用される環境等の諸条件に応じて、各領域での融着の程度を適宜調整することができ、よって、その融着が好適な状態となる。
電源6は、例えば、充電可能な2次電池で構成されている。図12に示すように、電源6は、磁性体検出部3の制御部34、磁場発生部7の誘導加熱発振回路72等に電気的に接続されている。これにより、制御部34や誘導加熱発振回路72に電力を供給することができる。
磁性体検出部3は、固定ディスク9(磁性体)と防水シート11との融着に先立って、固定ディスク9を防水シート11で覆った状態で、固定ディスク9の位置を検出するものである。図11に示すように、磁性体検出部3は、ホール素子31と、磁石32と、スペーサ33とを有している。また、図12に示すように、磁性体検出部3は、制御部34と、信号増幅部35とを有している。
磁性体検出部3では、ホール素子31と磁石32とスペーサ33とが組(組立体)となって1つのユニットを構成しており、本実施形態では、9つのユニットが配置されている。図4〜図6に示すように、各ユニットは、「第1検出ユニット30A」として第1領域221Aに配置され、「第2検出ユニット30B」として第2領域221Bに配置され、
「第3検出ユニット30C」として第3領域221Cに配置され、「第4検出ユニット30D」として第4領域221Dに配置され、「第5検出ユニット30E」として第5領域221Eに配置され、「第6検出ユニット30F」として第5領域221Eに配置され、
「第7検出ユニット30G」として第7領域221Gに配置され、「第8検出ユニット30H」として第8領域221Hに配置され、「第9検出ユニット30i」として第9領域(第9融着領域)221iに配置されている。各ユニットは、各領域の加熱コイル71の中心部(内側)に配置されているのが好ましい。第1検出ユニット30A〜第9検出ユニット30iは、配置箇所が異なること以外は、同じ構成であるため、以下、第2検出ユニット30Bについて代表的に説明する。
前述したように、第9検出ユニット30iは、ホール素子31と、磁石32と、スペーサ33とをそれぞれ1つずつ有している。
図12に示すように、ホール素子31は、制御部34を介して電源6と電気的に接続されている。これにより、ホール素子31に電力を供給する、すなわち、電圧を印加して通電することができる。
図11に示すように、ホール素子31は、例えばブロック状をなし、ハウジング2の底板22に対して固定されている。また、ホール素子31の防水シート11と反対側、すなわち、上側には、磁石32が配置されている。これにより、ホール素子31は、磁石32から磁界を受ける。そして、ホール素子31を通電した状態とすると、ホール素子31の内部では、磁界の方向および電流の方向の双方向と直交する方向に、ホール効果による電位差(ホール電圧)が生じる。この電位差は、制御部34(電圧検出部)によって検出される。
ホール素子31の構成材料としては、特に限定されず、例えば、InSb(インジウムアンチモン)、GaAs(ガリウムひ素)等を用いることができる。
また、ホール素子31の平面視での形状としては、特に限定されず、例えば、正方形、長方形等のような四角形や、円形、楕円形等のような丸みを帯びた形状とするのが好ましい。例えば、ホール素子31の平面視での形状が正方形の場合、一辺の大きさは、2mm以上6mm以下であるのが好ましく、3mm以上5mm以下であるのがより好ましい。
また、磁石32としては、永久磁石を用いるのが好ましい。これにより、例えば電力供給により磁界を生じさせる電磁石よりも、簡単な構成で磁界を生じさせることができる。そして、ホール素子31は、磁界を迅速に受けることができる。
磁石32の磁束密度としては、特に限定されず、例えば、3000G以上6000G以下であるのが好ましく、4500G以上5500G以下であるのがより好ましい。
磁石32の形状としては、特に限定されず、例えば、円柱状や板状が好ましい。円柱状の場合、直径は、φ3mm以上φ6mm以下であるのが好ましく、φ3mm以上φ4mm以下がより好ましい。また、長さは、5mm以上15mm以下であるのが好ましく、10mm以上12mm以下がより好ましい。
磁石32の配置としては、通電時のホール素子31内での電流の方向にもよるが、磁石32を、例えば、N極が上側、S極が下側となるように配置するのが好ましい。
図11に示すように、ホール素子31と磁石32とは、離間している。そして、ホール素子31と磁石32との間には、非磁性体で構成されたスペーサ33が介在している。スペーサ33は、ブロック状をなし、磁石32をホール素子31上で支持している。このようなスペーサ33により、ホール素子31が磁石32から受ける磁界の強さを調整することができる。例えば、磁石32の磁束密度が4500Gの場合、スペーサ33によるホール素子31と磁石32との離間距離は、2mm以上5mm以下であるのが好ましく、3mm以上4mm以下であるのがより好ましい。
スペーサ33は、非磁性体で構成され、その材料としては、特に限定されず、例えば、前述した熱可塑性樹脂等を用いることができる。
制御部34は、例えばマイクロプロセッサを有するものである。この制御部34は、例えば、種々のプログラムが記憶されており、このプログラムに基づいた処理を行なうことができる。このプログラムには、例えば、固定ディスク9を検出して、その後、固定ディスク9と防水シート11との融着を行なうまでのプログラムが含まれている。
前述したように、ホール素子31を通電した状態とすると、ホール素子31の内部では、ホール効果による電位差が生じる。磁石32と固定ディスク9のディスク部材91(磁性体)との距離(最短距離)に応じて磁界が変化するため、その結果、電位差も同様に変化する。なお、距離が短ければ短いほど、電位差が大きくなり、距離が長ければ長いほど、電位差が小さくなる。
例えば、図1に示す状態では、図4に示すように、平面視で当接面221が固定ディスク9を包含している、すなわち、当接面221の内側に固定ディスク9がほぼ同心的に位置している。このような融着装置100と固定ディスク9との位置関係は、固定ディスク9と防水シート11との融着に適した位置関係にある。このとき、第1検出ユニット30Aのホール素子31とディスク部材91との距離d30Aと、第2検出ユニット30Bのホール素子31とディスク部材91との距離d30Bと、第3検出ユニット30Cのホール素子31とディスク部材91との距離d30cと、第4検出ユニット30Dのホール素子31とディスク部材91との距離d30Dと、第5検出ユニット30Eのホール素子31とディスク部材91との距離d30Eとは、ほぼ同じとなっている。この場合、融着には、第1領域211A〜第9領域211iの各加熱コイル71が用いられる。
また、図2に示す状態では、図5に示すように、平面視で固定ディスク9が当接面221に対して図5中の右側に偏心してはいるものの、当接面221は、固定ディスク9を包含している。このような融着装置100と固定ディスク9との位置関係も、固定ディスク9と防水シート11との融着に適した位置関係にある。このとき、距離d30Aと、距離d30cと、距離d30Dと、距離d30Eとは、ほぼ同じとなっているが、固定ディスク9が当接面221に対して偏心している分、距離d30Bは、距離d30A、距離d30c、距離d30D、距離d30Eよりも長くなっている(図2参照)。この場合、融着には、第1領域211Aの加熱コイル71と、第3領域211C〜第8領域211Hの各加熱コイル71が用いられる。
また、図3に示す状態では、図6に示すように、平面視で固定ディスク9は、当接面221に対して図6中の左側に大きく偏心しており、前記主コイルが配された第1領域221Aともほとんど重なっていない。このような融着装置100と固定ディスク9との位置関係は、固定ディスク9と防水シート11との融着に適した位置関係にないと扱われる。このとき、距離d30A、距離d30c、距離d30D、距離d30Eは、いずれも距離d30Bよりも長くなっている(図3参照)。
また、各ホール素子31内の電位差の検出は、制御部34によって行なわれる。このように制御部34は、ホール素子31に通電した状態で、磁石32と固定ディスク9のディスク部材91(磁性体)との距離(最短距離)に応じた電圧(電位差)を検出する電圧検出部として機能する。
この電圧検出部による検出結果に基づいて、各領域に(誘導加熱すべき程度に)十分に重なる固定ディスク9(磁性体)が有るか否か(固定ディスク9の有無)を判断することができる。この判断も、制御部34によって行なわれる。このように制御部34は、前記判断を行なう判断部としても機能する。
固定ディスク9の有無の判断は、電圧検出部で検出された電位差Enと、予め設定されている基準値E0との差ΔEが閾値α以上の場合に、固定ディスク9(磁性体)が有ると判断する。なお、電位差Enの添え字「n」は、1〜9の整数であり、n=1の場合、第1検出ユニット30Aのホール素子31で生じた電位差E1を表し、n=2の場合、第2検出ユニット30Bのホール素子31で生じた電位差E2を表し、n=3の場合、第3検出ユニット30Cのホール素子31で生じた電位差E3を表し、n=4の場合、第4検出ユニット30Dのホール素子31で生じた電位差E4を表し、n=5の場合、第5検出ユニット30Eのホール素子31で生じた電位差E5を表し、n=6の場合、第6検出ユニット30Fのホール素子31で生じた電位差E6を表し、n=7の場合、第7検出ユニット30Gのホール素子31で生じた電位差E7を表し、n=8の場合、第8検出ユニット30Hのホール素子31で生じた電位差E8を表し、n=9の場合、第9検出ユニット30iのホール素子31で生じた電位差E9を表す。また、基準値E0は、検出ユニット1が固定ディスク9から十分に離間している状態で、ホール素子31の内部で生じる電位差であり、例えば実験的に求められた値である。また、閾値αは、予め設定されている値であり、例えば実験的に求められた値である。
そして、電位差E1と基準値E0との差ΔEが閾値α以上の場合は、融着可能な図4(図1)や図5(図2)に示す状態とみなすことができる。図4に示す状態では、電位差E1が閾値α以上となった第1領域221Aの加熱コイル71と、電位差E1と同様に閾値α以上となった電位差Enが生じたホール素子31が属する領域(第2領域221B〜第9領域221i)の加熱コイル71とによって、融着が行なわれる。図5に示す状態では、電位差E1が閾値α以上となった第1領域221Aの加熱コイル71と、電位差E1と同様に閾値α以上となった電位差Enが生じたホール素子31が属する領域(第3領域221C〜第8領域221H)の加熱コイル71とによって、融着が行なわれる。
これに対し、電位差E1と基準値E0との差ΔEが閾値α未満となる場合もある。この場合、融着が勧められない図6(図3)に示す状態とみなすことができる。この状態で、固定ディスク9と防水シート11とを融着しても、その融着面積は、シート防水構造10による防水処理を保障することができる程度に十分には確保されない。
以上のような構成の検出ユニット1は、樹脂材料で構成された防水シート11に融着される固定ディスク9の位置を、各ホール素子31の内部で生じた電位差を検出するという簡単な構成で、正確かつ確実に検出することができる。そして、防水シート11と固定ディスク9とを融着する際、この検出結果を用いて、融着可能か否かを判断することができる。また、融着する場合には、どの領域で融着を行なうかが選択される。
図12に示すように、ホール素子31は、信号増幅部35を介しても、制御部34と電気的に接続されている。信号増幅部35は、電位差E1〜電位差E9の各電位差と、基準値E0との差ΔEを増幅する回路である。これにより、各差ΔEが閾値α以上であるか否かの判断を正確に行なうことができる。
なお、信号増幅部35の構成としては、特に限定されず、例えば、トランジスタを有する構成とすることができる。
また、制御部34の電圧検出部として機能する部分(検出回路)は、各ホール素子31に対して、1つずつ配置されるのが好ましい。これにより、各ホール素子31に対する電位差の検出を迅速に行なうことができ、よって、検出ユニット1全体として、電位差検出処理時間を短縮することができる。
図7〜図10に示すように、天板21には、が設けられている。この発光部4には、第1発光部4Aと、第2発光部4Bと、第3発光部4Cと、第4発光部4Dと、第5発光部4Eと、第6発光部4Fと、第7発光部4Gと、第8発光部4Hと、第9発光部4iとが含まれている。第1発光部4A〜第9発光部4iは、それぞれ、例えば、LEDで構成されている。
第1発光部4Aは、第1検出ユニット30A(ホール素子31)に対応して設けられ、第1検出ユニット30Aのホール素子31で発生する電位差E1の大小に応じて、すなわち、電位差E1と基準値E0との差ΔEが閾値α以上であるか否かの判断に応じて、点灯、消灯する。第1発光部4Aは、差ΔEが閾値α以上であれば点灯し、それ以外では消灯する。
第2発光部4Bは、第2検出ユニット30B(ホール素子31)に対応して設けられ、第2検出ユニット30Bのホール素子31で発生する電位差E2の大小に応じて、すなわち、電位差E2と基準値E0との差ΔEが閾値α以上であるか否かの判断に応じて、点灯、消灯する。第2発光部4Bは、差ΔEが閾値α以上であれば点灯し、それ以外では消灯する。
第3発光部4Cは、第3検出ユニット30C(ホール素子31)に対応して設けられ、第3検出ユニット30Cのホール素子31で発生する電位差E3の大小に応じて、すなわち、電位差E3と基準値E0との差ΔEが閾値α以上であるか否かの判断に応じて、点灯、消灯する。第3発光部4Cは、差ΔEが閾値α以上であれば点灯し、それ以外では消灯する。
第4発光部4Dは、第4検出ユニット30D(ホール素子31)に対応して設けられ、第4検出ユニット30Dのホール素子31で発生する電位差E4の大小に応じて、すなわち、電位差E4と基準値E0との差ΔEが閾値α以上であるか否かの判断に応じて、点灯、消灯する。第4発光部4Dは、差ΔEが閾値α以上であれば点灯し、それ以外では消灯する。
第5発光部4Eは、第5検出ユニット30E(ホール素子31)に対応して設けられ、第5検出ユニット30Eのホール素子31で発生する電位差E5の大小に応じて、すなわち、電位差E5と基準値E0との差ΔEが閾値α以上であるか否かの判断に応じて、点灯、消灯する。第5発光部4Eは、差ΔEが閾値α以上であれば点灯し、それ以外では消灯する。
第6発光部4Fは、第6検出ユニット30F(ホール素子31)に対応して設けられ、第6検出ユニット30Fのホール素子31で発生する電位差E6の大小に応じて、すなわち、電位差E6と基準値E0との差ΔEが閾値α以上であるか否かの判断に応じて、点灯、消灯する。第6発光部4Fは、差ΔEが閾値α以上であれば点灯し、それ以外では消灯する。
第7発光部4Gは、第7検出ユニット30G(ホール素子31)に対応して設けられ、第7検出ユニット30Gのホール素子31で発生する電位差E7の大小に応じて、すなわち、電位差E7と基準値E0との差ΔEが閾値α以上であるか否かの判断に応じて、点灯、消灯する。第7発光部4Gは、差ΔEが閾値α以上であれば点灯し、それ以外では消灯する。
第8発光部4Hは、第8検出ユニット30H(ホール素子31)に対応して設けられ、第8検出ユニット30Hのホール素子31で発生する電位差E8の大小に応じて、すなわち、電位差E8と基準値E0との差ΔEが閾値α以上であるか否かの判断に応じて、点灯、消灯する。第8発光部4Hは、差ΔEが閾値α以上であれば点灯し、それ以外では消灯する。
第9発光部4iは、第9検出ユニット30i(ホール素子31)に対応して設けられ、第9検出ユニット30iのホール素子31で発生する電位差E9の大小に応じて、すなわち、電位差E9と基準値E0との差ΔEが閾値α以上であるか否かの判断に応じて、点灯、消灯する。第9発光部4iは、差ΔEが閾値α以上であれば点灯し、それ以外では消灯する。
例えば、検出ユニット1が図1に示す状態にあるときには、第1発光部4A〜第9発光部4iは、図7に示す状態、すなわち、全消灯状態から図8に示す状態、すなわち、全点灯状態となる。この状態を視認した作業者は、融着が可能と判断することができる。そして、作業者は、そのまま融着作業に移行することができる。
また、検出ユニット1が図2示す状態にあるときには、第1発光部4Aおよび第4発光部4D〜第7発光部4Gは、それぞれ、点灯状態となるが、それ以外の発光部は、消灯したままとなる。この状態を視認した作業者は、融着作業が可能と判断することができる。そして、作業者は、そのまま融着作業に移行することができる。
また、検出ユニット1が図3に示す状態にあるときには、第2発光部4B、第8発光部4Hおよび第9発光部4iは、それぞれ、点灯状態となるが、それ以外の発光部は、消灯したままとなる。この場合、融着装置100を図3に示す状態から図中の左側へ移動させて、図1または図2に示す状態とするのが好ましい。これにより、発光部4の点灯状態は、図8または図9に示す状態となる。そして、この状態を視認した作業者は、融着作業が可能と判断して、融着作業に移行することができる。
また、図7〜図10に示すように、天板21には、スイッチ5が設けられている。このスイッチ5は、磁場発生部7を作動させて、融着を開始するスタートスイッチである。なお、スイッチ5は、少なくとも第1発光部4Aが点灯状態となったときに、すなわち、図8または図9に示す状態となったときに、「ON」とすることができる。
次に、固定ディスク9の位置を検出してから、この固定ディスク9と防水シート11とを融着するまでの制御プログラムを図13〜図15に示すフローチャートに基づいて説明する。
第1検出ユニット30Aのホール素子31で生じた電位差E1を検出する(ステップS1)。次いで、電位差E1と基準値E0との差ΔEを演算して(ステップS2)、差ΔEが閾値α以上であるか否かを判断する(ステップS3)。ステップS3において差ΔEが閾値α以上であると判断されたら、第1発光部4Aを発光させる(ステップS4)。なお、ステップS3において差ΔEが閾値α以上ではないと判断されたら、ステップS1に戻り、以後、それより下位のステップを順次実行する。そして、作業者は、差ΔEが閾値α以上であると判断されるまで融着装置100の位置調整を繰り返すことができる。
第2検出ユニット30Bのホール素子31で生じた電位差E2を検出する(ステップS5)。次いで、電位差E2と基準値E0との差ΔEを演算して(ステップS6)、差ΔEが閾値α以上であるか否かを判断する(ステップS7)。ステップS7において差ΔEが閾値α以上であると判断されたら、第2発光部4Bを発光させる(ステップS8)。なお、ステップS7において差ΔEが閾値α以上ではないと判断されたら、ステップS8を飛ばして(省略して)、下位のステップを順次実行する。
第3検出ユニット30Cのホール素子31で生じた電位差E3を検出する(ステップS9)。次いで、電位差E3と基準値E0との差ΔEを演算して(ステップS10)、差ΔEが閾値α以上であるか否かを判断する(ステップS11)。ステップS11において差ΔEが閾値α以上であると判断されたら、第3発光部4Cを発光させる(ステップS12)。なお、ステップS11において差ΔEが閾値α以上ではないと判断されたら、ステップS12を飛ばして(省略して)、下位のステップを順次実行する。
第4検出ユニット30Dのホール素子31で生じた電位差E4を検出する(ステップS13)。次いで、電位差E4と基準値E0との差ΔEを演算して(ステップS14)、差ΔEが閾値α以上であるか否かを判断する(ステップS15)。ステップS15において差ΔEが閾値α以上であると判断されたら、第4発光部4Dを発光させる(ステップS16)。なお、ステップS15において差ΔEが閾値α以上ではないと判断されたら、ステップS16を飛ばして(省略して)、下位のステップを順次実行する。
第5検出ユニット30Eのホール素子31で生じた電位差E5を検出する(ステップS17)。次いで、電位差E5と基準値E0との差ΔEを演算して(ステップS18)、差ΔEが閾値α以上であるか否かを判断する(ステップS19)。ステップS19において差ΔEが閾値α以上であると判断されたら、第5発光部4Eを発光させる(ステップS20)。なお、ステップS19において差ΔEが閾値α以上ではないと判断されたら、ステップS20を飛ばして(省略して)、下位のステップを順次実行する。
第6検出ユニット30Fのホール素子31で生じた電位差E6を検出する(ステップS21)。次いで、電位差E6と基準値E0との差ΔEを演算して(ステップS22)、差ΔEが閾値α以上であるか否かを判断する(ステップS23)。ステップS23において差ΔEが閾値α以上であると判断されたら、第6発光部4Fを発光させる(ステップS24)。なお、ステップS23において差ΔEが閾値α以上ではないと判断されたら、ステップS24を飛ばして(省略して)、下位のステップを順次実行する。
第7検出ユニット30Gのホール素子31で生じた電位差E7を検出する(ステップS25)。次いで、電位差E7と基準値E0との差ΔEを演算して(ステップS26)、差ΔEが閾値α以上であるか否かを判断する(ステップS27)。ステップS27において差ΔEが閾値α以上であると判断されたら、第7発光部4Gを発光させる(ステップS28)。なお、ステップS27において差ΔEが閾値α以上ではないと判断されたら、ステップS28を飛ばして(省略して)、下位のステップを順次実行する。
第8検出ユニット30Hのホール素子31で生じた電位差E8を検出する(ステップS29)。次いで、電位差E8と基準値E0との差ΔEを演算して(ステップS30)、差ΔEが閾値α以上であるか否かを判断する(ステップS31)。ステップS31において差ΔEが閾値α以上であると判断されたら、第8発光部4Hを発光させる(ステップS32)。なお、ステップS31において差ΔEが閾値α以上ではないと判断されたら、ステップS32を飛ばして(省略して)、下位のステップを順次実行する。
第9検出ユニット30iのホール素子31で生じた電位差E9を検出する(ステップS33)。次いで、電位差E9と基準値E0との差ΔEを演算して(ステップS34)、差ΔEが閾値α以上であるか否かを判断する(ステップS35)。ステップS35において差ΔEが閾値α以上であると判断されたら、第9発光部4iを発光させる(ステップS36)。なお、ステップS35において差ΔEが閾値α以上ではないと判断されたら、ステップS36を飛ばして(省略して)、下位のステップを順次実行する。
次いで、スイッチ5が操作されたと判断された場合には(ステップS37)、磁場発生部7が作動して、誘導加熱発振回路72によって加熱コイル71に高周波を付与する(ステップS38)。なお、高周波が付与される加熱コイル71は、差ΔEが閾値α以上であると判断されたホール素子31が属する領域の加熱コイル71である。
次いで、制御部34に内蔵されているタイマーが作動して(ステップS39)、タイムアップとなったら(ステップS40)、加熱コイル71への高周波の付与を停止する(ステップS41)。
なお、高周波付与停止後、圧着治具等を用いて防水シート11の上から固定ディスク9を押さえることにより、防水シート11と固定ディスク9の融着を確実にできる。
以上のように、融着装置100では、防水シート11と固定ディスク9とを融着する際、まず、第1領域221A〜第9領域221iに対する固定ディスク9の位置を、ホール効果を用いるという簡単な構成で、正確かつ確実に検出することができる。そして、その検出結果に応じて、第1領域221A〜第9領域221iのどの領域で融着するのかが選択され、当該選択された領域で融着が行なわれる。
以上、本発明の融着装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、融着装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、ハウジングの当接面は、前記実施形態では9つの領域に分割されているが、分割数は、これに限定されず、例えば、2つ〜8つ、または、10以上であってもよい。また、分割数に応じて、当接面をどのように分割するかについても、特に限定されない。
また、融着に用いられる領域数は、前記実施形態での数に限定されず、少なくとも1つあればよい。
また、磁性体検出部のホール素子は、前記実施形態では各領域に1つずつ配置されているが、ホール素子の配置数は、これに限定されず、例えば、2つ以上であってもよい。
また、磁性体検出部の磁石としては、前記各実施形態では永久磁石であったが、これに限定されず、例えば、電磁石であってもよい。