JP2018179788A - 機械部品、時計、機械部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】回転部材の保持部で軸部材を保持させる際に角部の欠けの発生を抑え、回転部材の歯と噛み合う他の機械部品との間の摩擦力を小さくして、機械部品の品質や生産性の向上を図るとともに時計の精度の向上を図ることができる機械部品、その機械部品を用いた時計、及び機械部品の製造方法を提供する。
【解決手段】機械部品としてのがんぎ車は、軸部材と、軸部材を保持する保持部115と、複数の歯部114を有するリム部111とを有する回転部材としてのがんぎ歯車部101とを備え、保持部115を構成する複数の湾曲部112の角部112a及び歯部114の角部114aの断面形状が、ともに円弧状に形成されている。
【選択図】図6
【解決手段】機械部品としてのがんぎ車は、軸部材と、軸部材を保持する保持部115と、複数の歯部114を有するリム部111とを有する回転部材としてのがんぎ歯車部101とを備え、保持部115を構成する複数の湾曲部112の角部112a及び歯部114の角部114aの断面形状が、ともに円弧状に形成されている。
【選択図】図6
Description
本発明は、機械部品、時計、機械部品の製造方法に関する。
機械式時計には、歯車等に代表される数多くの機械部品が搭載されている。歯車等の機械部品は、外周に複数の歯部が形成された回転部材の中心に設けられた貫通孔(保持部)に、軸部材が挿入され固定(保持)されてなる。従来、機械部品は金属材料を機械加工することにより形成されているが、近年では、時計用の機械部品の材料としてシリコンを含む基材が用いられるようなっている。シリコンを基材とする機械部品は、金属を基材とするものに比べて軽いことから、機械部品の慣性力を小さくすることができるので、エネルギーの伝達効率の向上が見込まれる。また、シリコンはフォトリソグラフィーやエッチング技術を用いて形成する形状の自由度が高いため、シリコンを基材とすることで機械部品の加工精度を向上できるという利点もある。
特許文献1に、2層のシリコン層の間に酸化膜層を有するSOI基板をエッチングして時計用の機械部品を製造する方法が開示されている。特許文献1の方法では、SOI基板の一方のシリコン層上に機械部品の形状にマスクを形成し、酸化膜層をエッチングストッパーとしてそのシリコン層を深掘りエッチングして機械部品の形状を形成する。そして、他方のシリコン層と酸化膜層とを除去して、機械部品を分離する。このような方法によれば、マスクの形状通りに高精度で機械部品を製造できるとされている。
ところで、特許文献1に記載の機械部品の製造方法で、時計用の機械部品として、軸部材を保持する保持部と歯部を有するリム部とを備える回転部材を形成する場合、シリコン層のうちマスクが無い部分は深掘りエッチングでシリコン層を垂直方向に貫通して除去される。そのため、形成された回転部材の表裏両面と端面とが交差する角部の断面形状は、直角に近い形状となる。そうすると、回転部材の保持部に軸部材を嵌め込む際に、保持部の角部が欠けるおそれがある。保持部の角部が欠けると、回転部材の品質や生産性の低下を招く。また、角部がこのような形状であると、回転部材の歯と噛み合う他の機械部品との間の摩擦力が大きくなるおそれがある。摩擦力が大きくなると、回転部材の回転に対する抵抗が大きくなってエネルギーの伝達効率が低下するため、時計の精度の低下を招く。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る機械部品は、軸部材と、前記軸部材を保持する保持部と、複数の歯部を有するリム部と、を有する回転部材と、を備え、前記保持部の角部及び前記歯部の角部の断面形状が、ともに円弧状に形成されていることを特徴とする。
本適用例の機械部品の構成によれば、回転部材における保持部の角部の断面形状が円弧状に形成されているので、回転部材の保持部に軸部材を挿通する際に、角部の断面形状が円弧状でない場合と比べて、角部の欠けの発生が抑えられる。これにより、機械部品の品質や生産性の向上を図ることができる。また、回転部材における歯部の角部の断面形状が円弧状に形成されているので、角部の断面形状が円弧状でない場合と比べて、回転部材の歯と噛み合う他の機械部品との間の摩擦力が小さくなる。これにより、回転部材の回転に対する抵抗を小さくでき、エネルギーの伝達効率が向上するため、時計の精度の向上を図ることができる。
[適用例2]上記適用例に係る機械部品であって、前記円弧状に形成された角部は、前記回転部材の一方の面と前記保持部の端面及び前記歯部の端面とが交差する角部に形成されていることが好ましい。
本適用例の機械部品の構成によれば、回転部材の一方の面と保持部の端面とが交差する角部が円弧状に形成されているので、回転部材の一方の面側から保持部の端面に沿って軸部材を挿入する際に、保持部の角部の欠けの発生が抑えられる。また、回転部材の一方の面と歯部の端面とが交差する角部が円弧状に形成されているので、回転部材の歯の端面と、回転部材の歯と噛み合う他の機械部品の端面と、の間の摩擦力を小さくできる。
[適用例3]上記適用例に係る機械部品であって、前記保持部の円弧状の角部と前記歯部の円弧状の角部とは、同一形状であることが好ましい。
本適用例の機械部品の構成によれば、保持部の円弧状の角部と歯部の円弧状の角部とを、同一のエッチング工程で形成することができる。
[適用例4]上記適用例に係る機械部品であって、前記軸部材は、前記保持部の円弧状の角部と嵌合する領域に張出部を有していてもよい。
軸部材が保持部の円弧状の角部と嵌合する領域に張出部を有していると、保持部の角部が円弧状でない場合は、保持部で軸部材を保持させる際に軸部材の張出部と保持部の角部とが干渉する。本適用例の機械部品の構成によれば、保持部の角部が円弧状であるので、軸部材の張出部と保持部の角部との干渉を緩和できる。これにより、軸部材が保持部の円弧状の角部と嵌合する領域に張出部を有していても、軸部材を保持部に容易に挿通させることができる。
[適用例5]本適用例に係る時計は、上記に記載の機械部品を備えたことを特徴とする。
本適用例の時計の構成によれば、上記適用例のいずれかに記載の機械部品を備えているので、品質に優れた精度の高い時計を提供することができる。
[適用例6]本適用例に係る機械部品の製造方法は、基板の一方の面を機械部品の形状に沿って前記基板の厚さ方向における一部を残して異方性エッチングする工程と、前記基板の他方の面を等方性エッチングして前記機械部品を分離する工程と、を備えたことを特徴とする。
本適用例の機械部品の製造方法によれば、基板の厚さ方向における一部を残して異方性エッチングすることにより、一枚の基板から複数の機械部品を製造する場合に、基板から機械部品を分離することなく、基板の一方の面側を深掘りして機械部品の形状を形成することができる。そして、基板の他方の面を等方性エッチングすることにより、異方性エッチングする工程で残した基板の厚さ方向における一部を除去して、基板から機械部品を分離することができる。
[適用例7]上記適用例に係る機械部品の製造方法であって、前記機械部品を分離する工程において、前記等方性エッチングを、前記基板の厚さ方向における一部を除去する時間よりも長い時間施すことが好ましい。
本適用例の機械部品の製造方法によれば、機械部品を分離する工程において、異方性エッチングする工程で残した基板の厚さ方向における一部を除去する時間よりも長い時間、等方性エッチングを施すことにより、等方性エッチングする側の面における機械部品の各部位の角部を円弧状に形成することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、本発明の時計の一例として、機械式時計をとりあげる。そして、本発明の機械部品の一例として、機械式時計のムーブメントにおける時計部品を構成する歯車の1つであるがんぎ車を例にあげて説明する。以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材について実際とは異なる尺度で示している場合がある。
(実施形態1)
[機械式時計]
はじめに、本実施形態に係る時計としての機械式時計1について説明する。図1は、本実施形態に係る機械式時計のムーブメントの表側の平面図である。図1に示すように、本実施形態に係る機械式時計1は、ムーブメント10と、ムーブメント10を収納する図示しないケーシングと、により構成されている。
[機械式時計]
はじめに、本実施形態に係る時計としての機械式時計1について説明する。図1は、本実施形態に係る機械式時計のムーブメントの表側の平面図である。図1に示すように、本実施形態に係る機械式時計1は、ムーブメント10と、ムーブメント10を収納する図示しないケーシングと、により構成されている。
図1における紙面の手前側を表側といい、奥側を裏側という。ムーブメント10は、基板を構成する地板11を有している。地板11の裏側には、図示しない文字板が配されている。なお、ムーブメント10の表側に組み込まれる輪列を表輪列と称し、ムーブメント10の裏側に組み込まれる輪列を裏輪列と称する。
地板11には、巻真案内穴11aが形成されており、巻真案内穴11aに巻真12が回転自在に組み込まれている。巻真12は、おしどり13、かんぬき14、かんぬきばね15、及び裏押さえ16を有する切換装置により、その軸方向の位置が決められている。また、巻真12の案内軸部には、きち車17が回転自在に設けられている。
このような構成のもと、巻真12が、回転軸方向に沿ってムーブメント10の内側に一番近い方の第1の巻真位置(0段目)にある状態で巻真12を回転させると、図示しないつづみ車の回転を介してきち車17が回転する。そして、きち車17が回転することにより、きち車17と噛合う丸穴車20が回転する。そして、丸穴車20が回転することにより、丸穴車20と噛合う角穴車21が回転する。さらに、角穴車21が回転することにより、香箱車22に収容された図示しないぜんまい(動力源)を巻き上げる。
ムーブメント10の表輪列は、上述した香箱車(機械部品)22の他に、所謂番車と呼ばれる二番車(機械部品)25、三番車(機械部品)26、及び四番車(機械部品)27により構成されており、香箱車22の回転力を伝達する機能を果している。また、ムーブメント10の表側には、表輪列の回転を制御するための脱進機構30及び調速機構31が配置されている。
二番車25は、香箱車22に噛合う歯車である。三番車26は、二番車25に噛合う歯車である。四番車27は、三番車26に噛合う歯車である。脱進機構30は、上述した表輪列の回転を制御する機構であって、四番車27と噛み合うがんぎ車(機械部品)35と、がんぎ車35を脱進させて規則正しく回転させるアンクル(機械部品)36と、を備えている。調速機構31は、上述した脱進機構30を調速する機構であって、てんぷ(機械部品)40を具備している。
<がんぎ車>
次に、本実施形態に係る脱進機構30が備えるがんぎ車35について、より詳細に説明する。図2は、本実施形態に係る脱進機構の平面図である。図3は、本実施形態に係る機械部品としてのがんぎ車の斜視図である。図4は、図2のA−A’線に沿う断面図である。図5は、本実施形態に係る回転部材としてのがんぎ歯車部の平面図である。
次に、本実施形態に係る脱進機構30が備えるがんぎ車35について、より詳細に説明する。図2は、本実施形態に係る脱進機構の平面図である。図3は、本実施形態に係る機械部品としてのがんぎ車の斜視図である。図4は、図2のA−A’線に沿う断面図である。図5は、本実施形態に係る回転部材としてのがんぎ歯車部の平面図である。
図2〜図4に示すように、脱進機構30が備えるがんぎ車35は、回転部材としてのがんぎ歯車部101と、がんぎ歯車部101に同軸(軸線O1)上に固定された軸部材(回転軸)102と、を備えている。以下の説明では、がんぎ歯車部101及び軸部材102の軸線O1に沿う方向を単に軸方向といい、軸線O1に直交する方向を径方向といい、軸線O1回りに周回する方向を周方向という。また、径方向において、軸線O1側を内周側といい、軸線O1側とは反対側を外周側という。
図2〜図5に示すように、がんぎ歯車部101は、一方の面としての表面101a、及び、一方の面と反対側の他方の面としての裏面101bが平坦面とされるとともに、全面に亘って均一な厚みとされた板状のものである。がんぎ歯車部101は、単結晶シリコン等、結晶方位を有する材料、または金属等の材料からなる。
がんぎ歯車部101は、周囲のリム部111と、中央の保持部115と、リム部111と保持部115とを連結するスポーク状の複数の弾性部113と、を有している。リム部111の外周面には、特殊な鉤型状に形成された複数の歯部114が径方向の外側に向けて突設されている。複数の歯部114の先端に、後述するアンクル36の爪石144a,144bが接触するようになっている。
図3〜図5に示すように、保持部115は、軸部材102を挿通させる貫通孔内に湾曲して張り出すように形成された複数の湾曲部112を有している。本実施形態に係る保持部115は3つの湾曲部112を有し、これらの湾曲部112により軸部材102が保持されるようになっている。
各弾性部113は、保持部115において隣り合う湾曲部112の間から、リム部111の内周縁に向かって2つに枝分かれした円弧状の形状で放射状に延在し、リム部111と保持部115とを連結している。
図3及び図4に示すように、軸部材102は、軸方向の両端部に位置するほぞ部121a,121bと、上述した四番車27(図1参照)の歯車部に噛合されるがんぎかな部122と、を有している。ほぞ部121a,121bのうち、軸方向の一端側に位置する一端ほぞ部121aは、図示しない輪列受に回転可能に支持され、軸方向の他端側に位置する他端ほぞ部121bは、上述した地板11に回転可能に支持されている。
がんぎかな部122は、軸部材102において、一端ほぞ部121a寄りに形成されている。そして、がんぎかな部122が四番車27に噛合されることで、四番車27の回転力が軸部材102に伝達され、がんぎ車35が回転するようになっている。
圧入軸部123は、上述したほぞ部121a,121bよりも大径に形成されている。圧入軸部123は、がんぎ歯車部101の保持部115(図3参照)において、複数の湾曲部112が配置された貫通孔内に裏面101b側から挿通されている。この場合、圧入軸部123は、その一部ががんぎ歯車部101の表面101aから軸方向他端側に向けて突出した状態で、保持部115内に配置されている。
また、軸部材102のうち、がんぎかな部122と圧入軸部123との間には、径方向の外側に向けて突出するフランジ部124が形成されている。フランジ部124の径は、保持部115の貫通孔内に張り出す3つの湾曲部112の頂部を通る内接円の開口よりも大径とされている。フランジ部124の軸方向の他端側に位置する端面は、湾曲部112の裏面101bに当接している。
ここで、保持部115の貫通孔内に張り出す3つの湾曲部112の頂部を通る内接円の直径は、貫通孔内に軸部材102が挿通されていない状態において、軸部材102の圧入軸部123を軸線O1と直交する方向に切った断面の直径よりも小さく設計されている。
図2に示すように、がんぎ車35の複数の歯部114は、アンクル36に噛合するようになっている。アンクル36は、3つのアンクルビーム143によってT字状に形成されたアンクル体142dと、軸であるアンクル真142fと、を備えている。アンクル体142dは、アンクル真142fによって回動可能に構成されている。なお、アンクル真142fは、その両端が上述した地板11及び図示しないアンクル受に対してそれぞれ回動可能に支持されている。
3つのアンクルビーム143のうち、2つのアンクルビーム143の先端には爪石144a,144bが設けられ、残り1つのアンクルビーム143の先端にはアンクルハコ145が取り付けられている。爪石144a,144bは、四角柱状に形成されたルビーであり、接着剤等によりアンクルビーム143に接着固定されている。
このように構成されたアンクル36がアンクル真142fを中心に回動した際に、爪石144a或いは爪石144bが、がんぎ車35の歯部114の先端に接触するようになっている。また、この際、アンクルハコ145が取り付けられたアンクルビーム143が、図示しないドテピンに接触するようになっており、これによってアンクル36は、同方向にそれ以上回動しないようになっている。その結果、がんぎ車35の回転も一時的に停止するようになっている。
次に、本実施形態に係るがんぎ歯車部101の断面形状を説明する。図6は、本実施形態に係るがんぎ歯車部の断面図である。詳しくは、図6は、図4に示すがんぎ歯車部101のうち軸線O1の右側の部分を拡大した部分断面図である。図7は、図6の湾曲部を拡大した部分断面図である。図8は、図4のC部を拡大した部分断面図である。図9は、図2のB−B’線に沿う部分断面図である。
図6に示すように、本実施形態に係るがんぎ歯車部101において、湾曲部112(保持部115)及び歯部114は、裏面101b側に、それぞれ角部112aと角部114aとを有している。湾曲部112(保持部115)の角部112a及び歯部114の角部114aの断面形状は、ともに円弧状に形成されている。
円弧状に形成された角部112aは、がんぎ歯車部101の裏面101bと湾曲部112の端面とが交差する角部に形成されている。ここで、端面とは、軸方向に沿った面、すなわち、がんぎ歯車部101の厚さ方向に沿った面である。湾曲部112の内周側端面112bは、保持部115の貫通孔内に挿通される軸部材102(図4参照)と接する端面である。湾曲部112は、内周側端面112bと外周側端面とに円弧状に形成された角部112aを有している。
円弧状に形成された角部114aは、がんぎ歯車部101の裏面101bと歯部114の外周側端面114bとが交差する角部に形成されている。また、本実施形態に係るがんぎ歯車部101において、裏面101bとリム部111の内周側端面とが交差する角部と、裏面101bとリム部111の外周側端面とが交差する角部と、にも円弧状の角部111aが形成されている。湾曲部112の円弧状の角部112aと、歯部114の円弧状の角部114aと、リム部111の円弧状の角部111aと、は同一形状である。なお、本明細書において同一形状とは、加工精度等のばらつきも考慮したものであり、いわゆる当業者がほぼ同じ形状と認識しうるものをいうものとする。
図7に示すように、がんぎ歯車部101の厚さをT1とする。本実施形態では、がんぎ歯車部101の厚さT1は、例えば、120μm程度である。がんぎ歯車部101の厚さ方向、すなわち軸方向において、湾曲部112の角部112aが円弧状に形成された部分の長さをC1とする。がんぎ歯車部101の径方向において、湾曲部112の角部112aが円弧状に形成された部分の長さをC2とする。本実施形態では、円弧状に形成された部分の長さC1,C2は、例えば、10μm程度である。歯部114の角部114a及びリム部111の角部111aも、同様の長さC1,C2で円弧状に形成されている。
図8に示すように、軸部材102の圧入軸部123は、がんぎ歯車部101の保持部115において、複数の湾曲部112が配置された貫通孔内に円弧状の角部112aが形成された裏面101b側から挿通されている。軸部材102は、軸部材102を押し付けるように貫通孔内に張り出す湾曲部112の頂部における内周側端面112bと接している。
また、軸部材102において、圧入軸部123と、圧入軸部123に対して径方向における外周側に向けて突出するフランジ部124と、の角部125は、がんぎ歯車部101の湾曲部112(保持部115)の円弧状の角部112aと嵌合する領域である。本実施形態では、軸部材102が湾曲部112の角部112aと嵌合する角部125に張出部125aを有している。張出部125aは円弧状の角部112aと対向し、その断面は角部125側へ窪むように円弧状に形成されている。
ここで、仮に、がんぎ歯車部101の湾曲部112の角部112aが円弧状ではなく、例えば直角であった場合を想定する。上述したように、保持部115の貫通孔内に張り出す3つの湾曲部112の頂部を通る内接円の直径は、軸部材102の圧入軸部123の直径よりも小さく設計されている(図3及び図4参照)。したがって、後述するがんぎ車35を製造する工程において、裏面101b側から湾曲部112の内周側端面112bを外周側に押し広げるように軸部材102が挿通される。
そのため、保持部115の貫通孔内に軸部材102を挿通する際に、裏面101bと内周側端面112bとの角部に位置する直角の角部112aが圧入軸部123と接触することや、湾曲部112の内周側端面112bが圧入軸部123と擦れ合うことで、湾曲部112の角部112aが欠けるおそれがある。また、軸部材102の角部125が張出部125aを有するため、湾曲部112の直角の角部112aが張出部125aに押し付けられることで欠けるおそれもある。
さらに、湾曲部112の角部112aが欠けなかった場合でも、角部112aが張出部125aと干渉することで、がんぎ歯車部101の裏面101bにフランジ部124が当接するまで確実に圧入軸部123を挿通させることが困難となる。湾曲部112の角部112aが欠けた場合や、圧入軸部123を確実に保持部115に挿通できなかった場合は、がんぎ車35の品質の低下や生産性の低下を招いてしまう。
本実施形態では、裏面101bと内周側端面112bとの角部に位置する角部112aが円弧状に形成されているため、裏面101b側から湾曲部112の内周側端面112bを外周側に押し広げるように軸部材102を挿通する際に、圧入軸部123が角部112aと接触しても欠けが生じにくい。また、湾曲部112の円弧状の角部112aが圧入軸部123とフランジ部124との角部125と対向する位置に形成されているため、角部112aと張出部125aとの干渉が緩和される。これにより、湾曲部112の角部112aの欠けの発生を抑えて、容易かつ確実に圧入軸部123を保持部115に挿通させることができる。
軸部材102の角部125における張出部125aの形状を半径R1の円弧に近似し、湾曲部112の角部112aの形状を半径R2の円弧に近似した場合、R1<R2であることが好ましい。このような構成であれば、圧入軸部123を保持部115に挿通する際に、湾曲部112の角部112aと張出部125aとが干渉しないため、より容易かつ確実に圧入軸部123を保持部115に挿通させることができる。
なお、本実施形態では、角部125に張出部125aを有していることとしたが、理想的には、軸部材102の角部125に張出部125aがないこと、すなわち、軸部材102の角部125が直角であることが望ましい。
図9には、がんぎ歯車部101の歯部114の外周側端面114bが、アンクル36の爪石144bの端面144cと接触した状態が示されている。歯部114の裏面101bと外周側端面114bとの角部114aの断面形状は円弧状である。
ここで、歯部114についても、角部114aが円弧状ではなく直角であった場合を想定する。この場合、歯部114の外周側端面114bが厚さ方向(軸方向)の全長に亘って爪石144bの端面144cと接触することや、歯部114の外周側端面114bと爪石144bの端面144cとが互いに平行でない状態で接触した場合に歯部114と爪石144bとが突っ張ることで、がんぎ歯車部101の歯部114と噛み合うアンクル36の爪石144bとの間の摩擦力が大きくなるおそれがある。摩擦力が大きくなると、がんぎ歯車部101の回転に対する抵抗が大きくなってエネルギーの伝達効率が低下するため、機械式時計1の精度の低下を招いてしまう。
本実施形態では、歯部114の角部114aの断面形状が円弧状であるので、歯部114の外周側端面114bが爪石144bの端面144cと接触する範囲を小さくできる。また、歯部114の外周側端面114bと爪石144bの端面144cとが互いに平行でない状態で接触した場合でも、歯部114と爪石144bとの突っ張りが生じにくくなる。したがって、がんぎ歯車部101の歯部114とアンクル36の爪石144bとの間の摩擦力を小さくできる。これにより、がんぎ歯車部101の回転に対する抵抗を小さくでき、エネルギーの伝達効率が向上するため、機械式時計1の精度の向上を図ることができる。
[がんぎ車の製造方法]
次に、本実施形態に係る機械部品としてのがんぎ車35の製造方法について説明する。図10は、本実施形態に係るがんぎ車の製造方法を示すフローチャートである。図11〜図18は、がんぎ車の製造方法を示す概略断面図である。図11〜図18は、図6に示す部分断面図に相当する。図19は、異方性エッチング装置の概略構成の一例を示す模式図である。図20は、等方性エッチング装置の概略構成の一例を示す模式図である。
次に、本実施形態に係る機械部品としてのがんぎ車35の製造方法について説明する。図10は、本実施形態に係るがんぎ車の製造方法を示すフローチャートである。図11〜図18は、がんぎ車の製造方法を示す概略断面図である。図11〜図18は、図6に示す部分断面図に相当する。図19は、異方性エッチング装置の概略構成の一例を示す模式図である。図20は、等方性エッチング装置の概略構成の一例を示す模式図である。
図10に示すように、本実施形態に係る機械部品としてのがんぎ車35の製造方法は、回転部材としての歯車部(がんぎ歯車部101)を形成する工程(ステップS01〜ステップS07)と、軸部材102を形成する工程(ステップS11、ステップS12)と、これらの工程を経て準備したがんぎ歯車部101と軸部材102とを組み立てる工程(ステップS21、ステップS22)とを含む。がんぎ歯車部101を形成する工程は、異方性エッチングする工程(ステップS05)と等方性エッチングする工程(ステップS07)とを含む。
がんぎ歯車部101を形成する工程では、まず、基板200を準備する(ステップS01)。図11に示すように、基板200は、シリコンを含むウェハー状の基板であり、がんぎ歯車部101を複数取りできるマザー基板である。基板200の一方の面を表面200aとし、他方の面を裏面200bとする。基板200の厚さをT0とする。例えば、がんぎ歯車部101が完成したときの厚さT1(図7参照)を120μmとする場合、基板200の厚さT0は、135μm程度に設定される。
次に、図11に示すように、例えばスピンコート法やスプレーコート法等により、基板200の表面200aにフォトレジスト211を塗布する(図10に示すステップS02)。フォトレジスト211としては、ネガ型、及びポジ型のいずれの材料も採用することができる。基板200に塗布したフォトレジスト211に対して、所定の温度によるキュアを行う。
次に、図12に示すように、フォトレジスト211に対して、フォトリソグラフィー技術により露光を行う(図10に示すステップS03)。そして、現像を行う(図10に示すステップS04)。ステップS03及びステップS04により、フォトレジスト211から、がんぎ歯車部101の平面視形状に対応するマスク(エッチングマスク)となるフォトレジストパターン212が形成される。フォトレジストパターン212は、開口部21aを有し、基板200から得られる複数のがんぎ歯車部101のそれぞれに対応する。
次に、図13に示すように、がんぎ歯車部101の形状に沿ったフォトレジストパターン212をマスクとして、基板200に異方性エッチングを施す(図10に示すステップS05)。ステップS05における異方性エッチングとしては、例えば、誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)によるディープ・リアクティブ・イオンエッチング(Deep Reactive Ion Etching:DRIE)を用いることができる。
図19に、ICPによるDRIEを行う異方性エッチング装置300の概略構成を示す。図19に示すように、異方性エッチング装置300は、ステージ301とコイル302とを備えている。ステージ301上に、フォトレジストパターン212が形成された表面200a(図12参照)がコイル302側を向くように基板200を載置する。コイル302に高周波数の大電流を流すことによって、プラズマPが発生する。そして、ステージ301にバイアスをかけることにより、プラズマPの粒子がフォトレジストパターン212の開口部212aから基板200の表面200aに引き込まれる。これにより、基板200が表面200a側からフォトレジストパターン212に沿って厚さ方向に略垂直にエッチングされる。基板200は、例えばヘリウムにより、裏面200b側から冷却される。
図13に示すように、異方性エッチング工程(ステップS05)では、フォトレジストパターン212を介しがんぎ歯車部101の平面視形状に沿って、基板200の厚さ方向の一部を残してエッチングする。より具体的には、基板200を表面200a側から深さT2まで略垂直方向に深掘りし、裏面200b側に基板200の厚さ方向の一部である厚さT3の部分を残すようにエッチングする。
本実施形態では、基板200を表面200a側から深掘りする深さT2を130μmとし、裏面200b側に残す部分の厚さT3を5μmとする。これにより、基板200の表面200a側から130μmの厚さ(深さ)に亘って、複数のがんぎ歯車部101に対応する保持部115(湾曲部112)、弾性部113、リム部111、及び、歯部114の形状が形成される。そして、基板200の裏面200b側の厚さT3の部分がエッチングされずに残る。
なお、基板200を貫通する(厚さT3が0μmになる)までエッチングしてしまうと、マザー基板である基板200から、複数のがんぎ歯車部101が分離され個片化されてしまう。また、基板200を貫通するまでエッチングしてしまうと、ヘリウムが表面200a側へ漏れて、厚さ方向に沿って垂直な加工ができなくなる。本実施形態のように、基板200の裏面200b側の一部をエッチングせずに残すことで、深掘りする部分を厚さ方向に沿って略垂直に加工することができ、複数のがんぎ歯車部101が基板200から分離されない状態で保持することができる。
次に、図14に示すように、フォトレジストパターン212(フォトレジスト211)を除去する除去工程を行う(図10に示すステップS06)。図14には、フォトレジストパターン212を除去した後の状態を示している。なお、除去工程(ステップS06)は、フォトレジストパターン212(フォトレジスト211)を溶解・剥離可能な発煙硝酸や有機溶剤等でのウェットエッチング、あるいは、酸素プラズマアッシング等により行うことができる。
次に、がんぎ歯車部101の形状が形成された基板200の裏面200bの全面に等方性エッチングを施す(図10に示すステップS07)。ステップS07における等方性エッチングとしては、例えば、平行平板によるリアクティブ・イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)を用いることができる。
図20に、平行平板によるRIEを行う等方性エッチング装置310の概略構成を示す。図20に示すように、等方性エッチング装置310は、平行平板であるステージ(下電極)311と上電極312とを備えている。ステージ311(下電極)上に、基板200を載置する。このとき、図15に示すように、基板200の表面200aと裏面200bとを反転させて、表面200aがステージ311側となり、裏面200bが上電極312側となるように基板200を載置する。
図20に示すように、ステージ(下電極)311はアースされており、上電極312に高周波電圧を印加することによって、ステージ311(下電極)と上電極312との間にプラズマPが発生する。ステージ311(下電極)の自己バイアスにより、プラズマPの粒子が基板200の裏面200bの全面に引き込まれる。これにより、基板200が裏面200b側から全面に亘って等方的にエッチングされる。
図16には、等方性エッチング工程(ステップS07)において、基板200の裏面200b側に残されていた厚さT3(5μm)の部分が除去された状態を示している。このとき、基板200の厚さは、異方性エッチング工程(ステップS05)でがんぎ歯車部101の保持部115(湾曲部112)、弾性部113、リム部111、及び歯部114の形状が形成された部分の厚さT2(130μm)となっている。
基板200の裏面200b側から厚さT3の部分が除去されることで、基板200から複数のがんぎ歯車部101が分離され個片化される。したがって、等方性エッチング工程は、がんぎ歯車部101を分離する工程である。図16に示す状態における基板200(がんぎ歯車部101)の表面を200cとする。がんぎ歯車部101が分離されたことにより、湾曲部112、リム部111、及び歯部114に、それぞれ略直角の角部112a、角部111a、及び角部114aが形成される。
等方性エッチング工程(ステップS07)では、基板200の裏面200b側に残されていた厚さT3の部分を除去する時間よりも長い時間エッチングを行う。すなわち、図16に示す状態における基板200を表面200c側からさらに継続してエッチングする。そして、図17に示すように、基板200が表面200c側から10μmエッチングされ、基板200の厚さががんぎ歯車部101の所定の厚さT1(120μm)となったところで、等方性エッチング工程(ステップS07)を終了する。図17に示す状態における基板200の表面を200dとする。
ここで、基板200が図16に示す状態から図17に示す状態までエッチングされる際に、表面200c側に位置する湾曲部112の角部112a、リム部111の角部111a、及び歯部114の角部114aは、表面200c側から基板200の厚さ方向にエッチングされるとともに、基板200の厚さ方向と交差する方向からもエッチングされる。その結果、表面200d側において、湾曲部112の角部112a、リム部111の角部111a、及び歯部114の角部114aの断面形状は円弧状になる。
なお、異方性エッチング工程(ステップS05)において、所謂ボッシュプロセスを用いて基板200を深掘りする場合、エッチングされた箇所(例えば、湾曲部112の内周側端面112bや歯部114の外周側端面114b)にスキャロップ(段々形状)が形成されることが多い。本実施形態では、等方性エッチング工程(ステップS07)において、がんぎ歯車部101が分離された状態からさらに基板200を等方性エッチングすることにより、湾曲部112の内周側端面112bや歯部114の外周側端面114bも僅かにエッチングされるので、スキャロップを緩和することができる。
図17に示す状態において、基板200の表面200dががんぎ歯車部101の裏面101bとなり、表面200aががんぎ歯車部101の表面101aとなる。したがって、がんぎ歯車部101の裏面101bと湾曲部112の内周側端面112bとが交差する角部112aと、がんぎ歯車部101の裏面101bと歯部114の外周側端面114bとが交差する角部114aとが円弧状となる。以上の工程により、図18に示すがんぎ歯車部101が完成する。
図10に示す軸部材102を形成する工程(ステップS11、ステップS12)は、ステップS01〜ステップS07のがんぎ歯車部101を形成する工程とは別に行われる。
まず、軸部材102となる部材を準備する(ステップS11)。軸部材102は、軸体として十分な剛性を有しているとともに、後述する酸化処理を行う工程における高温に耐える耐熱性を有していることが望ましい。軸部材102の材料としては、1000℃以上の高温で行う熱酸化処理などの酸化処理の温度に対する十分な耐熱性を有する材料であるタンタル(Ta)またはタングステン(W)が好ましい。タンタルやタングステンは、上述した剛性や耐熱性に優れた材料であることに加えて、切削加工や研削加工などの加工性も高い材料であるため、軸部材102の材料として特に好適である。
次に、軸部材102となる部材に対して、切削加工や研削加工などの機械加工を行うことにより軸部材102を形成する(ステップS12)。これにより、図3及び図4に示す軸部材102が完成する。
なお、ステップS12において切削加工や研削加工などの機械加工を行う際に、軸部材102における圧入軸部123とフランジ部124との角部125に、角部125側へ窪む円弧状の張出部125aが形成されてしまう場合がある(図8参照)。本実施形態では、軸部材102の角部125に張出部125aが形成された場合でも、張出部125aと対向する湾曲部112の角部112aが円弧状に形成されているため、後述する軸部材位置決め工程(ステップS21)において、角部112aと張出部125aとの干渉が緩和される。
次に、上述した工程で形成されたがんぎ歯車部101と軸部材102とを組み合わせてがんぎ車35を形成する。図10に示すステップS21では、がんぎ歯車部101の保持部115の複数の湾曲部112が張り出した貫通孔内に、上記の準備工程で準備した軸部材102を挿通させて位置決めを行う。上述したように、ステップS21において、保持部115の複数の湾曲部112が張り出した貫通孔内に軸部材102を挿通させると、保持部115において、軸部材102に接触する複数の湾曲部112が外側に押し広げられるように応力が加わる。
がんぎ歯車部101は、保持部115の複数の湾曲部112とリム部111との間に、隣り合う湾曲部112の間からリム部111に延在する弾性部113を有しているので、湾曲部112に加わる応力が弾性部113の弾性により緩和されるとともに、弾性部113の弾性により軸部材102を保持する保持力が得られる。したがって、保持部115に軸部材102を挿通させた際に湾曲部112に加わる応力によって、がんぎ歯車部101が破損するなどのダメージを抑えながら、がんぎ歯車部101に適切な保持力で軸部材102を保持して位置決めすることができる。
本実施形態では、図8に示すように裏面101bと内周側端面112bとの角部に位置する角部112aが円弧状に形成されているため、ステップS21において、裏面101b側から湾曲部112の内周側端面112bを外周側に押し広げるように軸部材102を挿通する際に、圧入軸部123が角部112aと接触しても欠けが生じにくい。また、湾曲部112の円弧状の角部112aが圧入軸部123とフランジ部124との角部125と対向する位置に形成されているため、角部112aと張出部125aとの干渉が緩和される。これにより、ステップS21において、湾曲部112の角部112aの欠けの発生を抑えて、容易かつ確実に圧入軸部123を保持部115に挿通させることができる。
続いて、図10に示すステップS22では、保持部115に軸部材102を挿通させて位置決めしたがんぎ歯車部101の表面に、二酸化ケイ素(SiO2)からなるシリコン酸化膜を形成する酸化処理を行う。酸化処理は、例えば1000℃以上の高温で行う熱酸化処理を行うことが好ましい。熱酸化処理によれば、所定の厚さの緻密なシリコン酸化膜を比較的短時間に形成することができる。本実施形態では、水蒸気酸化法による熱酸化処理を行う。水蒸気酸化法は、熱酸化処理におけるドライ酸化法に比べてシリコン酸化膜の成長が速いので、より効率よく所望の厚みのシリコン酸化膜を形成することができる。
ステップS22において、シリコンを含む材料からなるがんぎ歯車部101の表面(湾曲部112の内周側端面112bや表面101a及び裏面101bを含む表面)に形成されるシリコン酸化膜により、がんぎ歯車部101の機械的強度が向上する。そして、以下に述べる作用によって、機械部品としてのがんぎ車35における、回転部材としてのがんぎ歯車部101と軸部材102との嵌合強度を向上させることができる。
即ち、がんぎ歯車部101の保持部115に、軸部材102を挿通させて位置決めした後で酸化処理を施すことにより、がんぎ歯車部101の表面に形成されるシリコン酸化膜は、保持部115の湾曲部112と軸部材102との接触部周辺において、湾曲部112と軸部材102との隙間を埋めるように形成される。これにより、保持部115に軸部材102の圧入軸部123が嵌合され、がんぎ歯車部101に軸部材102が強固に固定された機械部品としてがんぎ車35を提供することができる。
また、切削加工や研削加工などの機械加工により形成された軸部材102は、表面に微小なキズなどの凹凸を有しているので、これらの凹凸にがんぎ歯車部101のシリコン酸化膜が入り込むことにより、所謂アンカー効果が働いて、がんぎ歯車部101の保持部115に軸部材102がより強固に固定される効果が得られる。
以上述べた酸化処理工程までの工程を経ることによって、機械部品としてのがんぎ車35の一連の製造工程が終了する。なお、本実施形態の機械部品の製造方法によれば、シリコンの基板を用いて機械部品(がんぎ歯車部101)を形成するので、特許文献1に記載のSOI基板を用いて機械部品を形成する方法と比べて、機械部品の生産コストを低減することが可能となる。
上記実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。変形例としては、例えば、以下のようなものが考えられる。
(変形例1)
上記実施形態では、軸部材102の材料として、タンタルまたはタングステンが好ましいことを説明したが、本発明はこれに限定されない。軸部材102の材料として、シリコンを含む材料を用いる構成としてもよい。
上記実施形態では、軸部材102の材料として、タンタルまたはタングステンが好ましいことを説明したが、本発明はこれに限定されない。軸部材102の材料として、シリコンを含む材料を用いる構成としてもよい。
このような構成によれば、がんぎ歯車部101の保持部115に軸部材102を挿通させて位置決めした後で酸化処理する工程により、回転部材であるがんぎ歯車部101の表面だけでなく、軸部材102の表面にもシリコン酸化膜が形成される。そのため、より短時間で、より強く、回転部材としてのがんぎ歯車部101の保持部115に軸部材102を強固に固定することができる。
(変形例2)
上記実施形態では、軸部材102の材料として、タンタルまたはタングステンが好ましいことを説明したが、これに限らない。軸部材102の材料として、炭素鋼を含む材料を用いる構成としてもよい。また、予め、がんぎ歯車部101の表面にシリコン酸化膜を形成しておき、しかる後に軸部材102を挿通してもよい。さらに、がんぎ歯車部101の表面にシリコン酸化膜を形成しない場合や、がんぎ歯車部101を金属等で形成した場合においても、酸化膜の有無にかかわらず上述の弾性部により軸部材102を適切な保持力によって保持することが可能である。
上記実施形態では、軸部材102の材料として、タンタルまたはタングステンが好ましいことを説明したが、これに限らない。軸部材102の材料として、炭素鋼を含む材料を用いる構成としてもよい。また、予め、がんぎ歯車部101の表面にシリコン酸化膜を形成しておき、しかる後に軸部材102を挿通してもよい。さらに、がんぎ歯車部101の表面にシリコン酸化膜を形成しない場合や、がんぎ歯車部101を金属等で形成した場合においても、酸化膜の有無にかかわらず上述の弾性部により軸部材102を適切な保持力によって保持することが可能である。
(変形例3)
本発明に係る回転部材としてのがんぎ歯車部101の構成や平面視形状は、上記実施形態の図5に示す形状に限定されない。がんぎ歯車部101の構成(例えば、リム部111、保持部115、弾性部113等の部位)が異なっていてもよいし、平面視形状が他の形状であってもよい。
本発明に係る回転部材としてのがんぎ歯車部101の構成や平面視形状は、上記実施形態の図5に示す形状に限定されない。がんぎ歯車部101の構成(例えば、リム部111、保持部115、弾性部113等の部位)が異なっていてもよいし、平面視形状が他の形状であってもよい。
(変形例4)
上記実施形態では、機械部品(がんぎ車35)の製造方法として、回転部材としてのがんぎ歯車部101の保持部115に、軸部材102を挿通させて位置決めする工程の後で、がんぎ歯車部101の表面にシリコン酸化膜を形成する酸化処理を行う構成を説明したが、本発明はこれに限定されない。酸化処理を行わない状態のがんぎ歯車部101の機械的強度が必要十分に確保され、且つ、位置決めする工程において、がんぎ歯車部101の保持部115に保持された軸部材102の保持力が必要十分に確保できていれば、酸化処理を行わない構成としてもよい。
上記実施形態では、機械部品(がんぎ車35)の製造方法として、回転部材としてのがんぎ歯車部101の保持部115に、軸部材102を挿通させて位置決めする工程の後で、がんぎ歯車部101の表面にシリコン酸化膜を形成する酸化処理を行う構成を説明したが、本発明はこれに限定されない。酸化処理を行わない状態のがんぎ歯車部101の機械的強度が必要十分に確保され、且つ、位置決めする工程において、がんぎ歯車部101の保持部115に保持された軸部材102の保持力が必要十分に確保できていれば、酸化処理を行わない構成としてもよい。
(変形例5)
上記実施形態では、機械部品の一例としてがんぎ車35を例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明の機械部品の構成及びその製造方法は、香箱車22、二番車25、三番車26、四番車27、アンクル36、てんぷ40等の他の機械部品にも適用することができる。
上記実施形態では、機械部品の一例としてがんぎ車35を例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明の機械部品の構成及びその製造方法は、香箱車22、二番車25、三番車26、四番車27、アンクル36、てんぷ40等の他の機械部品にも適用することができる。
1…機械式時計(時計)、35…がんぎ車(機械部品)、101…がんぎ歯車部(回転部材)、101a…表面(一方の面)、101b…表面(他方の面)、102…軸部材、111…リム部、112…湾曲部(保持部)、112a…角部、114…歯部、114a…角部、115…保持部、125a…張出部、200…基板、200a…表面(一方の面)、200b…裏面(他方の面)。
Claims (7)
- 軸部材と、
前記軸部材を保持する保持部と、複数の歯部を有するリム部と、を有する回転部材と、を備え、
前記保持部の角部及び前記歯部の角部の断面形状が、ともに円弧状に形成されていることを特徴とする機械部品。 - 前記円弧状に形成された角部は、前記回転部材の一方の面と前記保持部の端面及び前記歯部の端面とが交差する角部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の機械部品。
- 前記保持部の円弧状の角部と前記歯部の円弧状の角部とは、同一形状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の機械部品。
- 前記軸部材は、前記保持部の円弧状の角部と嵌合する領域に張出部を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の機械部品。
- 請求項1から4のいずれか一項に記載の機械部品を備えたことを特徴とする時計。
- 基板の一方の面を機械部品の形状に沿って前記基板の厚さ方向における一部を残して異方性エッチングする工程と、
前記基板の他方の面を等方性エッチングして前記機械部品を分離する工程と、を備えたことを特徴とする機械部品の製造方法。 - 前記機械部品を分離する工程において、前記等方性エッチングを、前記基板の厚さ方向における一部を除去する時間よりも長い時間施すことを特徴とする請求項6に記載の機械部品の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2017080337A JP2018179788A (ja) | 2017-04-14 | 2017-04-14 | 機械部品、時計、機械部品の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2017080337A JP2018179788A (ja) | 2017-04-14 | 2017-04-14 | 機械部品、時計、機械部品の製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2018179788A true JP2018179788A (ja) | 2018-11-15 |
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ID=64275140
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2017080337A Pending JP2018179788A (ja) | 2017-04-14 | 2017-04-14 | 機械部品、時計、機械部品の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2018179788A (ja) |
-
2017
- 2017-04-14 JP JP2017080337A patent/JP2018179788A/ja active Pending
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