JP2018178161A - 準結晶合金膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基材上に厚い準結晶合金膜を形成しても、その膜が基材から剥離し難い、準結晶合金膜の製造方法を提供する。
【解決手段】AlxCuyFez(61.0≦x≦66.0、22.0≦y≦29.0、及び10.0≦z≦13.0、並びにx+y+z=100.0)で表される組成を有する準結晶合金粒子を準備すること、及び前記準結晶合金粒子を溶射ガンに供給して溶射粒子を形成し、前記溶射粒子を基材に溶射すること、を含み、前記溶射粒子が前記基材に衝突するとき、前記溶射粒子の温度が944〜1340℃であり、かつ、前記溶射粒子の速度が100〜405m/秒であり、かつ、前記溶射ガン又は前記基材の運行方向に沿って行う1回の溶射操作で、160〜290μmの厚さの準結晶合金膜を形成する、準結晶合金膜の製造方法。
【選択図】図4
【解決手段】AlxCuyFez(61.0≦x≦66.0、22.0≦y≦29.0、及び10.0≦z≦13.0、並びにx+y+z=100.0)で表される組成を有する準結晶合金粒子を準備すること、及び前記準結晶合金粒子を溶射ガンに供給して溶射粒子を形成し、前記溶射粒子を基材に溶射すること、を含み、前記溶射粒子が前記基材に衝突するとき、前記溶射粒子の温度が944〜1340℃であり、かつ、前記溶射粒子の速度が100〜405m/秒であり、かつ、前記溶射ガン又は前記基材の運行方向に沿って行う1回の溶射操作で、160〜290μmの厚さの準結晶合金膜を形成する、準結晶合金膜の製造方法。
【選択図】図4
Description
本開示は、準結晶合金膜の製造方法に関する。本開示は、特に、基材上に厚く成膜しても、基材からその膜が剥離し難い、準結晶合金膜の製造方法に関する。
熱伝導性が温度によって変化する材料として、準結晶合金が注目されている。準結晶合金とは、準結晶相を有する合金である。準結晶相とは、長距離秩序は有しているが、並進対称性はない相をいう。
金属及び合金の電気伝導及び熱伝導は、結晶の周期性に由来している。しかし、準結晶相には完全な周期性がないため、準結晶合金は、低温時に、電気伝導性及び熱伝導性が低い。
準結晶合金については、その合金を構成する金属元素それぞれの粉末を混合して混合体とした後、その混合体を加熱することにより、それぞれの金属元素が相互に固相拡散して、塊状の準結晶合金が得られる。
基材の表面に、準結晶合金膜又は準結晶合金を含有する膜を形成する方法としては、溶融めっき法、溶射法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、蒸着法、及び電気めっき法を用いることが挙げられる。
例えば、特許文献1には、マトリックス中に準結晶合金の粒子を分散させた膜(以下、「準結晶合金粒子分散膜」ということがある。)を、基材上に溶射法で形成することが開示されている。また、特許文献1には、準結晶合金の粒子がAl−Fe−Cr−Ti−Co系合金であることが開示されている。さらに、特許文献1には、所望の膜を形成するために、溶射法で使用するガスの圧力と温度を制御することが開示されている。
特許文献1に開示された準結晶合金粒子分散膜においては、マトリックスが、アルミニウム基合金又はアルミニウム過飽和固溶体である。そのため、準結晶合金粒子分散膜を基材上に厚く形成しても、マトリックスの延性によって、準結晶合金粒子分散膜が剥離し難い。
一般に、準結晶合金は、通常の合金と比べて、延性が低い。そのため、溶射法によって準結晶合金膜を基材に厚く形成すると、準結晶合金膜と基材との間の密着性を確保することが難しく、準結晶合金膜が基材から剥離し易い、という課題を本発明らは見出した。
本開示は、上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、本開示は、基材上に厚い準結晶合金膜を形成しても、その膜が基材から剥離し難い、準結晶合金膜の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意検討を重ね、本開示の準結晶合金膜の製造方法を完成させた。本開示の準結晶合金膜の製造方法の要旨は、次のとおりである。
〈1〉AlxCuyFez(61.0≦x≦66.0、22.0≦y≦29.0、及び10.0≦z≦13.0、並びにx+y+z=100.0)で表される組成を有する準結晶合金粒子を準備すること、及び
前記準結晶合金粒子を溶射ガンに供給して溶射粒子を形成し、前記溶射粒子を基材に溶射すること、
を含み、
前記溶射粒子が前記基材に衝突するとき、前記溶射粒子の温度が944〜1340℃であり、かつ、前記溶射粒子の速度が100〜405m/秒であり、かつ、
前記溶射ガン又は前記基材の運行方向に沿って行う1回の溶射操作で、160〜290μmの厚さの準結晶合金膜を形成する、
準結晶合金膜の製造方法。
〈1〉AlxCuyFez(61.0≦x≦66.0、22.0≦y≦29.0、及び10.0≦z≦13.0、並びにx+y+z=100.0)で表される組成を有する準結晶合金粒子を準備すること、及び
前記準結晶合金粒子を溶射ガンに供給して溶射粒子を形成し、前記溶射粒子を基材に溶射すること、
を含み、
前記溶射粒子が前記基材に衝突するとき、前記溶射粒子の温度が944〜1340℃であり、かつ、前記溶射粒子の速度が100〜405m/秒であり、かつ、
前記溶射ガン又は前記基材の運行方向に沿って行う1回の溶射操作で、160〜290μmの厚さの準結晶合金膜を形成する、
準結晶合金膜の製造方法。
本開示によれば、溶射粒子の温度と速度を所定の範囲にし、かつ、溶射ガン又は基材の運行方向に沿って行う1回の溶射操作により、基材上に厚い準結晶合金膜を形成しても、その膜が基材から剥離し難い、準結晶合金膜の製造方法を提供することができる。
以下、本開示の準結晶合金膜の製造方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本開示の準結晶合金膜の製造方法を限定するものではない。
溶射法によって基材に厚い準結晶合金膜を形成すると、準結晶合金膜と基材との密着性が充分でないために、準結晶合金膜が基材から剥離し易い。その理由は、理論に拘束されないが、次のとおりであると考えられる。溶射直後、準結晶合金膜と基材の温度差が大きい。そのため、準結晶合金膜と基材とで膨張差が生じる。これにより、準結晶合金膜内に熱応力が残留する。
理論に拘束されないが、準結晶合金膜内に熱応力が残留することを抑制するためには、次のことが有効であることを、本発明者らは知見した。
溶射直後、準結晶合金膜と基材の温度差を小さくするためには、準結晶合金膜の温度を低下させることと、基材の温度を上昇させることが有効である。溶射粒子が基材に衝突するときの温度と速度を低下させることによって、溶射直後の準結晶合金膜の温度を低下させることができる。
また、溶射ガン又は基材の運行方向に沿って行う溶射操作(以下、この操作を「パス」ということがある。)に関し、複数回のパスで準結晶合金膜を形成するよりも、1回のパスで準結晶合金膜を形成した方が、溶射直後の基材の温度を上昇させることができる。これは、溶射粒子が基材に衝突したとき、1回のパスで準結晶合金膜を形成した方が、粒子から基材に熱が伝わり易いためである。なお、「1回のパス」は、日本工業規格 H8200(2006)の「溶射用語」において、番号4019で定義される「パス」と同義である。また、本明細書において、「溶射粒子」は、日本工業規格 H8200(2006)の「溶射用語」で定義されるように、「溶融又はそれに近い状態で吹き付けられる溶射材料の粒子」のことをいう。
このようにして、溶射直後に、準結晶合金膜の温度を下降させ、かつ、基材の温度を上昇させることができる。これにより、準結晶合金膜と基材との温度差を小さくすることができる。その結果、準結晶合金膜中に熱応力が生じることを抑制でき、準結晶合金膜が基材から剥離し難くなる。
これらの知見に基づく、本開示に係る準結晶合金膜の製造方法の構成要件を、次に説明する。
≪本開示の準結晶合金膜の製造方法≫
本開示の準結晶合金膜の製造方法は、準結晶合金粒子を準備すること、及び、準結晶合金粒子を溶射ガンに供給して溶射粒子を形成し、溶射粒子を基材に溶射すること、を含む。以下、各工程について説明する。
本開示の準結晶合金膜の製造方法は、準結晶合金粒子を準備すること、及び、準結晶合金粒子を溶射ガンに供給して溶射粒子を形成し、溶射粒子を基材に溶射すること、を含む。以下、各工程について説明する。
〈準結晶合金粒子の準備〉
先ず、準結晶合金粒子を準備する。
先ず、準結晶合金粒子を準備する。
準結晶合金粒子の組成は、AlxCuyFez(61.0≦x≦66.0、22.0≦y≦29.0、及び10.0≦z≦13.0、並びにx+y+z=100.0)で表される。x、y、及びzは、それぞれ、Al、Cu及びFeの含有量であり、原子%である。
x+y+z=100.0を満足しつつ、x、y、及びzそれぞれを、61.0≦x≦66.0、22.0≦y≦29.0、及び10.0≦z≦13.0の範囲にすることによって、粒子中の相の80体積%以上を準結晶相にすることができる。この観点からは、x、y、及びzは、次のとおりであってもよい。すなわち、xは、例えば、61.5以上、62.0以上、又は62.5以上であってよく、65.5以下、65.0以下、又は64.5以下であってよい。yは、例えば、22.5以上、23.0以上、23.5以上、24.0以上、又は24.5以上であってよく、28.5以下、28.0以下、27.5以下、27.0以下、又は26.5以下であってよい。zは、例えば、10.2以上、10.5以上、10.7以上、又は11.0以上であってよく、12.8以下、12.5以下、12.2以下、又は12.0以下であってよい。
準結晶合金粒子の合成の際には、少量の結晶相及び非結晶相を不可避に生成する。準結晶合金粒子は、このような不可避的生成相を含有してよい。準結晶合金粒子中で、準結晶相の含有量は、80体積%以上が好ましく、90体積%以上がより好ましく、95体積%以上がより一層好ましい。一方、準結晶合金粒子中で、準結晶相を100体積%にすると、製造コストの高騰を招く。そのため、準結晶合金粒子中で、準結晶合金相の含有量を、99体積%以下、98体積%以下、又は97体積%以下にしても、機能上、実質的に問題ない。
準結晶合金粒子中には、Al、Cu、及びFe以外の不可避的不純物を含有してもよい。不可避的不純物とは、原材料に含まれる不純物等、その含有を回避することが避けられない、あるいは、回避するためには著しい製造コストの上昇を招くような不純物のことをいう。準結晶合金粒子の純度は、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、98質量%以上がより一層好ましい。
準結晶合金粒子の粒径は、準結晶合金粒子を溶射する際に不都合が生じない限りにおいて、適宜決定すればよい。粒径が小さいほど、得られる準結晶合金膜が均一になり易い。一方、粒径が大きいほど、溶射装置内部で、準結晶合金粒子の供給性及び流動性が劣化し易い。
溶射法として、高速フレーム溶射(HVOF:High Velocity Oxy−Fuel)法を用いる場合、準結晶合金粒子の粒径としては、例えば、15μm以上、20μm以上、25μm以上、30μm以上、又は35μm以上であってよく、200μm以下、150μm以下、100μm以下、70μm以下、又は50μm以下であってよい。本明細書中で、準結晶合金粒子の粒径は、特に断りのない限り、全準結晶合金粒子についての投影面積円相当径の平均である。
準結晶合金粒子の合成方法は、特に限定されない。例えば、上述した組成の溶湯を、気相中に噴霧するアトマイズ法で、準結晶合金粒子を合成することが挙げられる。溶湯保持中、又は噴霧中に、特定の元素が蒸発等により減耗する場合には、予め、その減耗分を見込んで、原材料を溶解してよい。溶射法として、高速フレーム溶射法を用いる場合、準結晶合金粒子は、球形又は球形に近い形態を有することが好ましい。このような形態を得やすいという観点から、準結晶合金粒子の合成方法として、アトマイズ法が好ましい。
1000〜10000K/秒の速度で溶湯を冷却することができるように、アトマイズ法の諸条件を設定することが好ましい。このような速度で溶湯を冷却することによって、準結晶合金粒子中に、準結晶相を80体積%以上含有させることができ、不可避に存在する相(結晶相及び非晶質相)を低減することができる。なお、アトマイズ法で合成した準結晶合金粒子を熱処理して、準結晶合金粒子を、実質的に準結晶相単相にしてもよい。実質的に準結晶相単相とは、準結晶相が99体積%以上であることをいう。実質的に準結晶相単相にするための熱処理条件としては、例えば、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で、680〜720℃で、48〜96時間にわたり熱処理することが挙げられる。熱処理温度は、690〜710℃であってもよく、熱処理時間は、60〜84時間であってもよい。不活性ガス雰囲気には窒素ガス雰囲気も含まれる。
準結晶合金粒子の別の合成方法としては、例えば、Al粉末、Cu粉末、及びFe粉末を混合して混合粉末とし、この混合粉末を、Al、Cu、及びFeが相互に拡散する温度に加熱して準結晶合金塊を得て、この準結晶合金塊を粉砕する方法が挙げられる。この合成方法は、拡散時間を充分にとることによって、不可避に存在する相(結晶相及び非晶質相)を低減しやすい。拡散中に、特定の元素が蒸発等により減耗する場合には、予め、その減耗分を見込んで、混合粉末を配合してよい。
準結晶合金粒子の合成方法としては、これらの他に、例えば、単ロール法又は双ロール法による液体急冷法、スパッタリング法、メカニカルアロイング法、並びにメカニカルグラインディング法等で得た準結晶合金塊を粉砕する方法が挙げられる。これらの方法で準結晶合金を合成する場合、その合成中に、特定の元素が蒸発等により減耗する場合には、予め、その減耗分を見込んで、原材料の組成を決定してよい。
〈溶射粒子を基材に溶射する工程〉
準結晶合金粉末を溶射ガンに供給して溶射粒子を形成し、その溶射粒子を基材に溶射する。
準結晶合金粉末を溶射ガンに供給して溶射粒子を形成し、その溶射粒子を基材に溶射する。
溶射方法は、溶射粒子の温度と速度を、後述する範囲にすることができれば、特に限定されない。溶射方法としては、例えば、フレーム溶射法、コールドスプレー法、爆発照射法、アーク溶射法、プラズマ溶射法、及び高速フレーム溶射法等が挙げられる。高速フレーム溶射法は、燃料と酸素を混合し、その混合体を燃焼させ、溶射粒子に高い運動エネルギーを与えて溶射する方法である。そのため、高速フレーム溶射法を用いると、溶射粒子の温度と速度を、後述する範囲にし易い。溶射粒子の温度と速度の観点からは、高速フレーム溶射法が好ましい。
図1は、本開示の準結晶合金膜の製造方法に用いる溶射装置の一例を示す縦断面模式図である。図1に示した装置は、高速フレーム溶射法で用いる装置の一例であるが、これに限られない。
溶射ガン110は、チャンバ120とバレル130を備える。チャンバ120は、燃料供給口150と酸素ガス供給口160を備える。バレル130は、原料粒子供給口170を備える。
溶射ガン110において、燃料供給口150と酸素ガス供給口160の反対側は開口しており、その開口部は基材140と対向している。
燃料及び酸素ガスが、それぞれ、燃料供給口150及び酸素ガス供給口160から、チャンバ120の内部に供給される。チャンバ120の内部で、燃料が燃焼し始め、高温の燃焼ガスとなって、バレル130に導かれる。
準結晶合金粒子175が、原料粒子供給口170から、バレル130の内部に供給される。バレル130の内部で、準結晶合金粒子175から溶射粒子178が形成される。そして、溶射フレーム190が、溶射ガン110の先端から基材140に向かって噴射される。溶射フレーム190中には、溶射粒子178が存在しており、溶射粒子178が基材140に衝突することによって、準結晶合金膜180が形成される。
次に、溶射粒子の温度及び速度と、溶射操作について説明する。図1を用いて説明するが、高速フレーム溶射の場合に限られず、他の溶射法の場合も同様である。
〈溶射粒子の温度〉
溶射粒子178が基材140に衝突するとき、溶射粒子178の温度は、944〜1340℃である。溶射粒子178が基材140に衝突するときとは、溶射粒子178が基材140に衝突する直前のことをいう。溶射粒子178の温度とは、溶射粒子178が基材140に衝突する直前の温度のことをいう。
溶射粒子178が基材140に衝突するとき、溶射粒子178の温度は、944〜1340℃である。溶射粒子178が基材140に衝突するときとは、溶射粒子178が基材140に衝突する直前のことをいう。溶射粒子178の温度とは、溶射粒子178が基材140に衝突する直前の温度のことをいう。
溶射粒子178の温度が944℃以上であれば、溶射フレーム190中で、溶射粒子178が溶融又はそれに近い状態であることができる。この観点からは、溶射粒子178の温度は、970℃以上、1000℃以上、又は1050℃以上であってよい。
一方、溶射粒子178の温度が1340℃以下であれば、溶射直後の準結晶合金膜180の温度を低下させることができ、溶射直後の準結晶合金膜180と基材140の温度差を小さくすることに寄与する。溶射直後の準結晶合金膜180の温度を低下させる観点からは、溶射粒子178の温度は、1300℃以下、1250℃以下、1200℃以下、1150℃以下、又は1100℃以下であってよい。
本明細書で、溶射粒子178の温度は、Oseir(オゼール)社製の溶射粒子温度・速度計測システム“SprayWactch(登録商標)”を用いて測定された数値であるが、これに限られない。その他の測定手段で溶射粒子178の温度を測定しても、同等の数値が得られる。SprayWactch(登録商標)は、溶射フレーム190を特殊なCCDカメラで連続撮影して、溶射粒子178の温度と速度を測定する装置である。
〈溶射粒子の速度〉
溶射粒子178が基材140に衝突するとき、溶射粒子178の速度は、100〜405m/秒である。溶射粒子178が基材140に衝突するときとは、溶射粒子178が基材140に衝突する直前のことをいう。溶射粒子178の速度とは、溶射粒子178が基材140に衝突する直前の速度のことをいう。
溶射粒子178が基材140に衝突するとき、溶射粒子178の速度は、100〜405m/秒である。溶射粒子178が基材140に衝突するときとは、溶射粒子178が基材140に衝突する直前のことをいう。溶射粒子178の速度とは、溶射粒子178が基材140に衝突する直前の速度のことをいう。
溶射粒子178の速度が100m/秒以上であれば、基材140に溶射粒子178を衝突させることができる。この観点からは、溶射粒子178の速度は、例えば、110m/秒以上、130m/秒以上、又は150m/秒以上であってよい。
一方、溶射粒子178の速度が405m/秒以下であれば、溶射直後の準結晶合金膜180の温度を低下させることができ、溶射直後の準結晶合金膜180と基材140の温度差を小さくすることに寄与する。溶射直後の準結晶合金膜180の温度を低下させる観点からは、溶射粒子178の速度は、例えば、350m/秒以下、300m/秒以下、270m/秒以下、250m/秒以下、又は200m/秒以下であってよい。
本明細書で、溶射粒子178の速度は、Oseir(オゼール)社製の溶射粒子温度・速度計測システム“SprayWactch(登録商標)”を用いて測定された数値であるが、これに限られない。その他の測定手段で溶射粒子178の速度を測定しても、同等の数値を得られる。SprayWactch(登録商標)は、溶射フレーム190を特殊なCCDカメラで連続撮影して、溶射粒子178の温度と速度を測定する装置である。
〈溶射操作〉
溶射ガン110又は基材140の運行方向に沿って行う1回の溶射操作で、160〜290μmの厚さの準結晶合金膜180を形成する。言い換えると、1回のパスで160〜290μmの厚さの準結晶合金膜180を基材140上に形成する。
溶射ガン110又は基材140の運行方向に沿って行う1回の溶射操作で、160〜290μmの厚さの準結晶合金膜180を形成する。言い換えると、1回のパスで160〜290μmの厚さの準結晶合金膜180を基材140上に形成する。
1回のパスで160〜290μmの厚さの準結晶合金膜180を基材140上に形成することによって、溶射直後の基材140の温度を上昇させることができ、溶射直後の準結晶合金膜180と基材140の温度差を小さくすることに寄与する。
1回のパスで形成する準結晶合金膜180の厚さは、例えば、180μm以上、200μm以上、又は220μm以上であってよく、290μm以下、280μm以下、又は270μm以下であってよい。
溶射に際しては、1回のパスで上記厚さの準結晶合金膜180を形成することができれば、溶射ガン110を移動させてもよいし、基材140を移動させてもよい。1回のパスで準結晶合金膜180を形成することができれば、ある部位は溶射ガン110を移動させて準結晶合金膜180を形成し、別の部位は基材140を移動させて準結晶合金膜180を形成してもよい。
1回のパスで上記厚さの準結晶合金膜180を形成するため、バレル長、酸素供給速度、燃料供給速度、溶射距離、溶射ガン又は基材送り速度、及び準結晶合金粒子供給速度は、次のとおりであってよい。
バレル長は、例えば、40mm以上、50mm以上、又は60mm以上であってよく、200mm以下、180mm以下、又は150mm以下であってよい。
酸素供給速度は、例えば、標準状態で、500リットル/分以上、600リットル/分以上、又は700リットル/分以上であってよく、1500リットル/分以下、1200リットル/分以下、又は1000リットル/分以下であってよい。
燃料供給速度は、例えば、灯油の場合、0.20リットル/分以上、0.25リットル/分以上、又は0.30リットル/分以上であってよく、0.80リットル/分以下、0.60リットル/分以下、又は0.50リットル/分以下であってよい。
溶射距離は、例えば、250mm以上、300mm以上、又は400mm以上であってよく、1100mm以下、1000mm以下、又は900mm以下であってよい。なお、溶射距離とは、溶射ガン110の先端から基材140の表面までの距離をいう。
溶射ガン又は基材送り速度は、例えば、20mm/秒以上、30mm秒以上、又は40mm/秒以上であってよく、500mm/秒以下、250mm/秒以下、150mm/秒以下、又は100mm/秒以下であってよい。
準結晶合金粒子供給速度は、例えば、10g/分以上、15g/分以上、又は20g/分以上であってよく、70g/分以下、50g/分以下、又は40g/分以下であってよい。
これまで説明してきた構成要件を満足して準結晶合金膜180を形成することができれば、基材140は特に限定されない。基材140としては、例えば、金属材料等が挙げられる。金属材料には、合金も含まれる。金属材料としては、鋳鉄、鋼、アルミニウム、又はアルミニウム合金等が挙げられる。
基材140は、平面でなくてもよく、例えば、曲面であってもよい。基材140は、例えば、内燃機関の燃焼室を構成する部材の表面であってもよい。図2は、本開示の準結晶合金膜の製造方法を、内燃機関の燃焼室付近の部材に適用する一例を示す縦断面模式図である。
内燃機関90は、シリンダブロック10、シリンダヘッド20、ピストン30、及びバルブ40を備える。また、シリンダブロック10には、シリンダボア12が形成されている。そして、燃焼室50が、シリンダボア12の内壁、シリンダヘッド20、ピストン30、及びバルブ40で包囲されていることによって、形成されている。
燃焼室50の内壁に、本開示の製造方法を用いて、準結晶合金膜60を形成してもよい。なお、図2においては、準結晶合金膜60が識別可能なように、準結晶合金膜60の厚さは、誇張して描写されている。実際の準結晶合金膜60の厚さは、160〜290μmである。
基材の表面が、内燃機関90のシリンダボア12の内壁面15であるとして、本開示の製造方法を適用すれば、所望の準結晶合金膜60が得られる。
同様に、基材の表面が、内燃機関90のシリンダヘッド20の燃焼室50に臨む面22であるとして、本開示の製造方法を適用すれば、所望の準結晶合金膜60が得られる。
同様に、基材の表面が、内燃機関90のピストン30の燃焼室50に臨む面32であるとして、本開示の製造方法を適用すれば、所望の準結晶合金膜60が得られる。
以下、本開示の準結晶合金の製造方法を実施例及び比較例により、さらに詳細に説明する。なお、本開示の準結晶合金の製造方法は、以下の実施例で用いた条件に限定されるものではない。
(試料の準備)
アルミニウム基材に、図1に示した溶射装置を用いて、高速フレーム溶射で、準結晶合金膜を形成し、実施例又は比較例の試料とした。準結晶合金粒子の組成は、Al63.00Fe11.85Cu25.15であった。なお、溶射前に、準結晶合金粒子を、アルゴンガス雰囲気中で、700℃で72時間にわたり熱処理して、粒子中を実質的に準結晶相単相にした。また、準結晶合金粒子は、図3の走査型電子顕微鏡像が示すように、球状又は球状に近い形状を有していた。また、準結晶合金粒子の粒径は、25〜53μmであった。溶射条件を表1に示す。
アルミニウム基材に、図1に示した溶射装置を用いて、高速フレーム溶射で、準結晶合金膜を形成し、実施例又は比較例の試料とした。準結晶合金粒子の組成は、Al63.00Fe11.85Cu25.15であった。なお、溶射前に、準結晶合金粒子を、アルゴンガス雰囲気中で、700℃で72時間にわたり熱処理して、粒子中を実質的に準結晶相単相にした。また、準結晶合金粒子は、図3の走査型電子顕微鏡像が示すように、球状又は球状に近い形状を有していた。また、準結晶合金粒子の粒径は、25〜53μmであった。溶射条件を表1に示す。
結果を図4に示す。図5は、実施例12の試料について、準結晶合金膜の断面の走査型電子顕微鏡像を示す図である。図5に示すように、アルミニウム基材140と準結晶合金膜180は密着しており、剥離は生じていなかった。他の実施例の試料も同様であった。なお、図4のプロットの大きさは、各試料の準結晶合金膜の厚さを相対的に表している。図4の破線で示した内側の部分は、従来の溶射法(溶射条件)で準結晶合金膜を形成した場合に、準結晶合金膜の剥離が生じていた領域を示す。
図6は、比較例5の試料について、準結晶合金膜の断面の走査型電子顕微鏡像を示す図である。アルミニウム基材140と準結晶合金膜180との間に隙間185が存在し、かつ、準結晶合金膜180のアルミニウム基材140と反対側の部分が欠落して、準結晶合金膜180が薄くなっており、準結晶合金膜180の剥離が認められる。比較例6の試料についても同様であった。比較例1〜4の試料については、剥離は生じていなかったが、準結晶合金膜180が薄かった。
以上の結果から、本開示の準結晶合金膜の製造方法の効果を確認できた。
10 シリンダブロック
12 シリンダボア
15 シリンダボアの内壁面
20 シリンダヘッド
22 シリンダヘッドの燃焼室に臨む面
30 ピストン
32 ピストンの燃焼室に臨む面
40 バルブ
50 燃焼室
60 準結晶合金膜
70 冷却回路
90 内燃機関
110 溶射ガン
120 チャンバ
130 バレル
140 基材
150 燃料供給口
160 酸素ガス供給口
170 原料粒子供給口
175 準結晶合金粒子
178 溶射粒子
180 準結晶合金膜
185 隙間
190 溶射フレーム
12 シリンダボア
15 シリンダボアの内壁面
20 シリンダヘッド
22 シリンダヘッドの燃焼室に臨む面
30 ピストン
32 ピストンの燃焼室に臨む面
40 バルブ
50 燃焼室
60 準結晶合金膜
70 冷却回路
90 内燃機関
110 溶射ガン
120 チャンバ
130 バレル
140 基材
150 燃料供給口
160 酸素ガス供給口
170 原料粒子供給口
175 準結晶合金粒子
178 溶射粒子
180 準結晶合金膜
185 隙間
190 溶射フレーム
Claims (1)
- AlxCuyFez(61.0≦x≦66.0、22.0≦y≦29.0、及び10.0≦z≦13.0、並びにx+y+z=100.0)で表される組成を有する準結晶合金粒子を準備すること、及び
前記準結晶合金粒子を溶射ガンに供給して溶射粒子を形成し、前記溶射粒子を基材に溶射すること、
を含み、
前記溶射粒子が前記基材に衝突するとき、前記溶射粒子の温度が944〜1340℃であり、かつ、前記溶射粒子の速度が100〜405m/秒であり、かつ、
前記溶射ガン又は前記基材の運行方向に沿って行う1回の溶射操作で、160〜290μmの厚さの準結晶合金膜を形成する、
準結晶合金膜の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2017075586A JP2018178161A (ja) | 2017-04-05 | 2017-04-05 | 準結晶合金膜の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2017075586A JP2018178161A (ja) | 2017-04-05 | 2017-04-05 | 準結晶合金膜の製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2018178161A true JP2018178161A (ja) | 2018-11-15 |
Family
ID=64282402
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2017075586A Pending JP2018178161A (ja) | 2017-04-05 | 2017-04-05 | 準結晶合金膜の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2018178161A (ja) |
-
2017
- 2017-04-05 JP JP2017075586A patent/JP2018178161A/ja active Pending
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