以下、実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
[超音波画像診断装置の構成]
図1は、実施の形態における超音波画像診断装置1の全体構成を機能的に示す機能ブロック図である。図1に示すように、超音波画像診断装置1は、被検体に対して超音波の送受信(送受波)を行う超音波プローブ2と、当該超音波プローブ2が着脱可能に接続される装置本体3とを備えている。
超音波プローブ2は、各超音波振動子により被検体内に超音波を送信してスキャン領域を走査し、被検体からの反射波をエコー信号として受信する。以下に説明する第1の実施の形態における超音波プローブ2は、例えば、特に被検体の経口から先端を差し入れ心臓等の臓器を超音波で撮像する経食道プローブである。経食道プローブとしては、例えば、上述したTEEプローブを挙げることができる。
当該TEEプローブは、操作者が把持する本体部と、本体部の一方から延びる装置本体3との接続を行う接続部と、本体部を挟み当該接続部とは反対側に延びる導中部とを備えている。また、導中部の先端には、被検体の経口に挿入され被検体内に超音波を送信し被検体からのエコー信号を受信する先端部が備えられている。導中部は、被検体の経口に挿入されることから、屈曲可能に構成されている。また、当該先端部は、複数の超音波振動子を内蔵しており、例えば1次元的に配列されている。
先端部は、撮影対象となる器官に向けて超音波を送信可能とするために、本体部から導中部を介して先端部に至る軸を回転軸として、当該先端部を正面に見た場合に、時計回り及び反時計回りに回転可能とされている。先端部を回転させる場合には、本体部に設けられている第1のボタン及び第2のボタンの2つのボタンを用いる。このうち、一方のボタンは、先端部を時計回りに回転させる機能を備え、他方は、当該先端部を反時計回りに回転させる機能を備えている。なお、時計回りに先端部を回転させる機能、反時計回りに先端部を回転させる機能をそれぞれ、第1のボタン、或いは、第2のボタンのいずれに割り当てても良い。
図2は、実施の形態における超音波プローブ2のボタンのON/OFF操作の信号波形を示す波形図である。図2には、3つの波形が上中下の格段に示されている。このうち、中段に示される波形図がここで説明を行う基準となる波形図である。
波形図は、操作者による第1のボタン、或いは、第2のボタンの操作を介して入力されるON/OFF信号を表わすものである。先端部を時計回りに回転させるための信号がCW信号であり、先端部を反時計回りに回転させるための信号がCCW信号である。第1のボタン、及び、第2のボタンはいずれも、いわゆるON/OFFスイッチであり、操作者がボタンを押すと装置本体3に向けてON信号が送信され、先端部が回転する。一方、ボタンから手を離してボタンを押すことを終了するとON信号の送信が停止し、先端部の回転が止まる(OFFの状態となる)。
超音波プローブ2からON信号を受信した後述する装置本体3の制御回路は、第1のボタン、或いは、第2のボタンから受信した信号の種類によって、先端部を回転させるための駆動信号を超音波プローブ2に送信する。超音波プローブ2では、受信した駆動信号によりその先端部が時計回り、或いは、反時計回りに回転する。
図2においては、操作者によってボタンが押し下げられ、ON信号が装置本体3に送信され、操作者がボタンから手を離し、ON信号の装置本体3への送信が終了し、OFFとなる一連の流れが、下向きに凸状となるように実線で示されている。
波形図においては、操作者によってボタンが押されてCW/CCW信号がONとなり、さらにOFFとなってから所定の時間が経過するまでが「TlongP」と表わされている。これは、操作者がボタンを短時間押したのか、長時間押し続けた(長押しをした)のかを判定するために設けられている時間である。なお、当該「TlongP」をどのくらいの長さの時間に設定するかは任意に設定することが可能である。
従って図2に示すように、「TlongP」よりも短い時間の間でCW/CCW信号がON、OFFされると、後述する制御回路により操作者がボタンを短時間押したものと判定される。一方、図示されてはいないが、「TlongP」の時間を超えてON信号が入力されると、制御回路により操作者がボタンを長押ししたものと判定される。
装置本体3は、送信回路31と、受信回路32と、信号処理回路33と、画像処理回路34と、ディスプレイ35と、入力回路36とを備える。送信回路31は、超音波プローブ2に対する駆動信号の送信を行う。受信回路32は、超音波プローブ2からの反射信号であるエコー信号の受信を行う。信号処理回路33は、当該エコー信号を処理する。画像処理回路34は、超音波画像を生成する。ディスプレイ35は、生成された超音波画像をはじめ、各種画像を表示する。入力回路36は、検査者などの操作者により入力操作されることで入力される信号を受信する。さらに、装置本体3は、図示しない他の機器との信号の送受信を制御する通信制御回路37と、記憶回路38と、各部を制御する制御回路39とを備えている。またこれら各回路は互いにバスBに接続され、各種信号のやりとりが可能とされている。なお、これら各回路の詳細な機能については、さらに以下に説明する。
なお、図1においては、説明及び図示の便宜上、バスBは1本のみ示し、当該バスBに各回路が接続されているように示している。但し、実際の超音波画像診断装置1においては1本のバスBに全ての回路が接続されていないことも多く、その意味で、図1に示すバスBは、超音波画像診断装置1の各回路が論理的に接続されていることを示している。
送信回路31は、制御回路39による制御に基づき、超音波プローブ2に超音波を発生させるための駆動信号、すなわち各圧電振動子に印加する電気パルス信号(以下、「駆動パルス」という)を生成し、その駆動パルスを超音波プローブ2に送信する。送信回路31は、図示しない、例えば、基準パルス発生回路、遅延制御回路、駆動パルス発生回路等の各回路を備えており、各回路が上述した機能を果たす。
また、受信回路32は、超音波プローブ2からの反射信号、すなわちエコー信号を受信し、その受信信号に対して整相加算を行い、その整相加算により取得した信号を信号処理回路33に出力する。
信号処理回路33は、受信回路32から供給された超音波プローブ2からの受信信号を用いて各種のデータを生成し、画像処理回路34や制御回路39に出力する。信号処理回路33は、いずれも図示しない、例えば、Bモード処理回路(或いは、Bcモード処理回路)やドプラモード処理回路、カラードプラモード処理回路などを有している。Bモード処理回路は、受信信号の振幅情報の映像化を行い、Bモード信号を基にしたデータを生成する。ドプラモード処理回路は、受信信号からドプラ偏移周波数成分を取り出し、さらに、FFT(Fast Fourier Transform)処理などを施し、血流情報のドプラ信号のデータを生成する。カラードプラモード処理回路は、受信信号に基づいて血流情報の映像化を行い、カラードプラモード信号を基にしたデータを生成する。
画像処理回路34は、信号処理回路33から供給されたデータに基づいてスキャン領域に関する二次元や三次元の超音波画像を生成する。例えば、画像処理回路34は、供給されたデータからスキャン領域に関するボリュームデータを生成する。そしてその生成したボリュームデータからMPR処理(多断面再構成法)により二次元の超音波画像のデータやボリュームレンダリング処理により三次元の超音波画像のデータを生成する。画像処理回路34は、生成した二次元や三次元の超音波画像をディスプレイ35に出力する。なお、超音波画像としては、例えば、Bモード画像やドプラモード画像、カラードプラモード画像、Mモード画像などがある。
ディスプレイ35は、画像処理回路34により生成された超音波画像や操作画面(例えば、操作者から各種指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface))などの各種画像を制御回路39の制御に従って表示する。このディスプレイ35としては、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどを用いることが可能である。
入力回路36は、例えば、画像表示、画像の切り替え、モード指定や各種設定などの操作者による様々な入力操作を受け付ける。この入力回路36としては、例えば、GUI、或いは、ボタンやキーボード、トラックボール、ディスプレイ35に表示されるタッチパネル等の入力デバイスを用いることが可能である。
また、本発明の実施の形態においては、ディスプレイ35、入力回路36を超音波画像診断装置1の1つの構成要素として記載しているが、このような構成に限られない。例えば、ディスプレイ35を超音波画像診断装置1の構成要素ではなく、超音波画像診断装置1とは別体に構成することも可能である。また、入力回路を当該別体のディスプレイを用いたタッチパネルとすることも可能である。
通信制御回路37は、図示しない通信ネットワークに互いに接続される、例えば、図示しない医用画像診断装置(モダリティ)、サーバ装置やワークステーション等と超音波画像診断装置1とを接続させる役割を担っている。この通信制御回路37及び通信ネットワークを介して他の機器とやり取りされる情報や医用画像に関する規格は、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)等、いずれの規格であっても良い。
記憶回路38は、例えば、半導体や磁気ディスクで構成されており、制御回路39で実行されるプログラムやデータ、診断ワークフロー等が記憶されている。当該診断ワークフローは、例えば、検査や治療ごとに予め定められている、操作者によって超音波画像診断装置1を操作して診断を行うための基本的な操作の流れが表わされているものである。当該診断ワークフローについては、後述する。
制御回路39は、超音波画像診断装置1の各部を統括的に制御する。制御回路39は、操作者による超音波画像診断装置1を用いた診断が行われる際に、診断ワークフローに従って操作者による超音波プローブ2のボタン操作がシングルクリックであるのかダブルクリックであるのかを判定し、操作者が所望する処理を行う。また、例えば、制御回路39は、画像処理回路34において生成された超音波画像をディスプレイ35に表示させる。
制御回路39は判定機能、設定機能、計時機能を実行する。判定機能は、操作者による超音波プローブの操作がどのような操作に該当するか判定する機能である。具体的には、超音波プローブ2が装置本体3に接続された際の接続信号や超音波プローブ2に設けられているボタンからの入力信号を受け付け、行われた当該操作が記憶回路38に記憶されている診断ワークフローにおけるいずれの段階の操作に該当するか判定する。その上で、操作者によって行われた本体部のボタン操作がシングルクリックに該当するのか、或いは、ダブルクリックに該当するのかを判定する。
制御回路39の設定機能は、判定機能によって判定された、操作者による操作が診断ワークフローにおけるいずれの段階における操作であるかに合わせて、操作者がボタンを2回クリックした際に、当該操作がシングルクリック、或いは、ダブルクリックと判定されるように、ボタンの応答に関する基準となる時間を調整して設定する。
ところで制御回路39は、操作者による1回目のボタンのON/OFF操作というボタン操作の後、2回目のON/OFF操作というボタン操作があった場合に、当該2回目のボタン操作がシングルクリックに該当するか、或いは、ダブルクリックに該当するかの判定を行う。当該判定は、操作者による2回目のボタン操作が1回目のボタン操作が行われた後、予め設定されている時間であるボタンの応答に関する基準となる時間(以下、このような時間を、適宜「基準時間」と表わす)を経過して行われたか否かを基準になされる。すなわち、当該基準時間を経過した後に2回目のボタン操作が行われた場合はシングルクリック、当該基準時間を経過する前に2回目のボタン操作が行われた場合はダブルクリックと判定される。なお、図2においては、2回目のボタン操作を下向きの大きな矢印で示している。
当該基準時間は、図2に示す中段の波形図において、「TdoubleCmin」と「TdoubleCmax」との間の時間である。すなわち、基準時間のスタートとなるのが、図2において、「TdoubleCmin」と表わされている時点である。図2に示す波形図の場合、当該「TdoubleCmin」は、CW/CCW信号がONからOFFになり所定時間が経過した時点に設定されている。この「TdoubleCmin」をどの時点に設定するかは自由である。
一方、基準時間が終了する時点は、「TdoubleCmax」として規定される。上述した制御回路39の設定機能は、診断ワークフローに規定される各処理に応じて当該「TdoubleCmax」を基準時間から短縮し、或いは、延長して設定し、基準時間の調整を図る。
図2に示す3つの波形図のうち、中段に示す波形図が上述した通り元々設定されている基準時間を示す波形図となる。そして当該基準時間を短縮した場合を示すのが図2上段に示す波形図である。一方、基準時間を延長した場合を示すのが図2下段に示す波形図である。上段の波形図及び下段の波形図に対しては中段の波形図から矢印が延びている。すなわち、中段の波形図に示されている「TdoubleCmax」から上段の波形図の「TdoubleCmax」に向けた矢印は「α」の時間分短縮されている。一方、中段の波形図に示されている「TdoubleCmax」から下段の波形図の「TdoubleCmax」に向けた矢印は「α」の時間分延長されている。このように、操作者による操作に合わせて制御回路39が「TdoubleCmax」をいずれに設定するか決定し操作ごとに適用される基準時間を設定する。
図2の中段に示す波形図における、元々設定されている基準時間は予め定められており、記憶回路38に記憶されている。当該基準時間の長さは任意に設定可能であり、また、どのくらいの時間を延長、或いは、短縮するのか、図2で示すαの時間も任意に設定可能である。また、図2に示す波形図では、短縮する時間と延長する時間とを同じ時間に設定しているが、両者を異なる長さに設定することもできる。
制御回路39の計時機能は、「TlongP」の時間や基準時間を計時する機能である。制御回路39は、超音波プローブ2に関して何らかの操作がなされたとの信号を受信した場合には、計時機能を働かせて上述した各時間を計時する。
なお、例えば、信号処理回路33や画像処理回路34等については、所定のメモリや記憶回路38等に記憶されるプログラムをプロセッサに実行させるプログラムによって実現することも可能である。ここで本明細書における「プロセッサ」という文言は、例えば、専用又は汎用のCPU(Central Processing Unit) arithmetic circuit(circuitry)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。
プロセッサは、例えば記録回路に保存された、又は、プロセッサの回路内に直接組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。プログラムを記憶する記録回路は、プロセッサごとに個別に設けられるものであっても構わないし、或いは、例えば、図1における信号処理回路33が行う機能に対応するプログラムを記憶するものであっても、さらには図1に示す記憶回路38の構成を採用しても構わない。記憶回路の構成には、例えば、半導体や磁気ディスクといった一般的なRAM(Random Access Memory)やHDD(Hard Disc Drive)等の記憶装置が適用される。
[動作]
次に、診断ワークフローの流れと操作者による操作の流れとを対比させながらに制御回路39の制御について詳細に説明する。図3は、第1の実施の形態における操作者による超音波画像診断装置1を用いた操作の流れを示す診断ワークフローである。また、図4ないし図6は、第1の実施の形態における操作の流れを示すフローチャートである。以下においては、超音波プローブ2としてTEEプローブが選択され、当該TEEプローブを食道、胃等の上部消化管に経口的に挿入し、心臓等の臓器を超音波で撮像する検査が行われることを例に挙げて説明する。
すなわち、TEEプローブを食道、胃等の上部消化管に経口的に挿入し、心臓等の臓器を超音波で撮像する検査を例に挙げて説明することから、図3に示す診断ワークフローも当該検査を行う際の、操作者によって行われる処理が規定され示されている。
なお、ここで当該診断ワークフローは、図3に示す処理に限られず、適宜取捨選択されても良く、また、複数種類が記憶回路38に記憶されていても良い。このように、第1の実施の形態においては、当該診断ワークフローを基に処理内容を判定し、操作者によって実際に行われる処理内容において行われる超音波プローブ2の操作が適切に行われるように制御するものである。
また、ここでの診断ワークフローは、操作者ごとの個別の診断の流れを示すものではなく、操作者が誰であっても、検査が開始され診断がなされるまで概ねこの流れで行われる、という流れを示すものである。但し、操作者ごとに診断ワークフローを設定することを排除する訳ではない。この場合、検査が開始される前に、操作者に関する情報を基に当該操作者に関する診断ワークフローが記憶回路38から読み出されることになる。
さらに、図3では説明の都合上診断ワークフローをフローチャートの形式で示しているが、例えば、診断ワークフローと診断ワークフローに規定される各処理に対応した第1のボタン、或いは、第2のボタンの操作等をまとめて記憶回路38に記憶させていても良い。
図3に示す診断ワークフローは、まず、操作者が超音波プローブ2を選択することから始まる(S1)。これは、超音波画像診断装置1を用いた操作、診断を開始するに当たっては、操作者が操作に用いる超音波プローブ2を選択することになるからである。操作者による超音波プローブ2の選択は、例えば、操作者が選択した超音波プローブ2を装置本体3に接続することや選択した超音波プローブ2に設けられているいずれかのボタンを押す操作を行うこと等、装置本体3に対して検査に用いられる超音波プローブ2がいずれの超音波プローブであるかが把握できるようになされれば良い。
装置本体3の制御回路39では、例えば、超音波プローブ2が装置本体3に接続された際の信号を受信したか否かを判定することで、操作者による超音波プローブ2の選択がなされたか否かを判定する(図4のST1)。操作者による超音波プローブ2の選択がなされない場合には(ST1のNO)、制御回路39は待機状態を継続する。
操作者による超音波プローブ2の選択がなされた信号を受信した場合(ST1のYES)、制御回路39は、記憶回路38から超音波画像診断装置1を用いて行われる予定の操作に合致した診断ワークフローを取得する。予定された操作に合致する診断ワークフローを取得するには、例えば、操作者によって選択された超音波プローブ2の種類に関する情報を用いることができる。なお、ここでは診断ワークフローを記憶回路38から取得すると記載したが、例えば、操作者による超音波プローブ2の操作が行われるたびに記憶回路38に記憶されている該当する診断ワークフローにアクセスして確認することもできる。
制御回路39は、取得した診断ワークフローに規定されている処理の流れを参照して、操作者が行う次の処理を判定する。すなわち、経食道プローブを用いた検査を行う場合、超音波プローブ2としてTEEプローブが選択された後、操作者は被検体の経口からその内部に向けて、検査対象の器官の近くまでTEEプローブの先端部を挿入させる。そして先端部の配置位置が適切な位置まで来ると、その位置に先端部を留める。
但し、操作者によるこの処理は、先端部と導中部を被検体の内部に挿入する行為であって、本体部に設けられている第1のボタン、或いは、第2のボタンを操作する処理ではない。そのため、図3に示す診断ワークフローには示されていない。
操作者が先端部を検査対象の器官近くの適切な位置に配置させると、次は、撮影処理に進む。但し、挿入しただけでは確かに先端部は検査対象の器官近傍にあるものの、超音波を検査対象に向けて送信するに対して適切な向きに向いているかは不明である。そこで、操作者はディスプレイ35を見ながら超音波を検査対象となる器官に適切に送信できるように、すなわち、当該器官を適切に撮影可能な向きに先端部を回転させる。先端部を回転させるに当たっては、まず先端部を大きく回転させて大まかな向きを決めた後(S2)、細かく回転させて微調整を行う(S3)。
制御回路39では、診断ワークフローを参照して、超音波プローブ2が選択された後には先端部を回転させる処理が行われると判定する。上述した通り、操作者がTEEプローブを用いて先端部を回転させる場合には、第1のボタン、或いは、第2のボタンを押し下げて、ボタンを押している間ON信号がTEEプローブから装置本体3に送信されて回転が継続し、ボタンから手を離すとOFFとなる。
このように超音波プローブ2の先端部を回転させる場合には、操作者は先端部を大きく回転させるべくボタンを長押しするか、或いは、先端部を細かく回転させて微調整するためにシングルクリックを行うか、のいずれかの操作、或いは、いずれの操作も行う。すなわち、第1のボタン、或いは、第2のボタンがダブルクリックされることはない。ここで本願における超音波プローブ2のボタン操作においてダブルクリックがされるのは、画像保存の処理が行われる場合である。従って、制御回路39において、操作者がボタンを押した際に、当該操作がダブルクリックによる画像保存の操作が行われたと判定してしまうと、操作者の意図と異なる動作が行われることになる。
そこで操作者によるボタン操作がダブルクリックではなくシングルクリックと判定されるように、制御回路39では、操作者が超音波プローブ2の先端部を回転させる処理を行う前に基準時間の長さを調整し、元々の基準時間よりも所定時間短縮された基準時間を設定する(ST2)。
ここでは短縮する所定時間は、図2の波形図に示されている通り「α」である。すなわち、制御回路39は、元々定められている基準時間における「TdoubleCmax」の値を「α」だけ短縮し設定する(図2では、「−α」と示されている。)。この「α」の値は任意に設定することができるが、操作者による2回目のボタン操作がダブルクリックと判定されないように基準時間が十分に短縮されるように設定される。
このように制御回路39が基準時間を改めて設定することで、操作者が先端部の回転操作を行う際の基準時間は、図2の上段の波形図のように、元々の基準時間からαだけ短縮された時間となる。基準時間が短く設定されることによって、操作者がボタンを2回目に押した時点は基準時間経過後となる確率が高くなる。
制御回路39は、操作者の操作に伴うボタンによる入力信号を受信する(ST3)。これは第1のボタン、或いは、第2のボタンのいずれを押した場合であっても良い。制御回路39では、当該入力信号を受信したので、超音波プローブ2の先端部を回転させるための制御信号を超音波プローブ2に向けて送信する(ST4)。
制御回路39は、また、計時機能を用いて超音波プローブ2からの入力信号を受信した時から計時を開始する。そして、入力信号を図2に示す「TlongP」を越えて継続的に受信しているか否かを判定する。その結果、入力信号が「TlongP」を越えて受信している場合には(ST5のYES)、継続して超音波プローブ2の先端部を回転させるための制御信号を送信し続ける(ST6)。このとき操作者はボタンを押し続けており、それに伴って超音波プローブ2の先端部を大きく回転させている。そして制御回路39は、入力信号の受信が途絶えた、すなわち操作者の手がボタンから離れ、OFFの状態になったか否かを判定する(ST7)。その結果、まだ操作者がボタンを押し続けている(入力信号を受信し続けている)場合には(ST7のNO)、ステップST6に戻り、そのまま継続して制御信号を送信し続ける。一方、入力信号がOFFになったと判定した場合には(ST7のYES)、計時機能を用い入力信号がOFFになったときから計時を開始する(ST8)。
また、制御回路39が入力信号の受信が「TlongP」の時間よりも短い時間に限られた場合(ST5のNO)には、上述したように、入力信号がOFFになったときから計時を開始する(ST8)。制御回路39は、予め設定されている所定期間が経過したか否かを判定し(ST9)、所定時間が経過した場合には(ST9のYES)、所定時間経過時を「TdoubleCmin」と設定する(ST10)。当該設定された「TdoubleCmin」は、基準時間のスタートとなる時である。
基準時間のスタートとなる「TdoubleCmin」が制御回路39によって設定されると、この時点から改めて最新の、すなわち、診断ワークフローを参照して設定された新たな基準時間の計時が開始される(ST11)。すなわち、図2の上段における波形図に示される、「TdoubleCmin」から「TdoubleCmax」までとして設定された基準時間の計時を開始する。
制御回路39は、計時を継続し、短縮されて設定されている基準時間が経過したか否かを判定する(図5のST12)。基準時間が経過していない場合には(ST12のNO)、そのまま計時が継続される。一方、基準時間が経過したと判定された場合には(ST12のYES)、制御回路39は、当該基準時間経過後に超音波プローブ2の第1のボタン、或いは、第2のボタンからの入力信号を受信したか否かを判定する(ST13)。
ここでは、操作者が2回目のボタン操作を行った際の入力信号を受信した際に、当該ボタン操作をダブルクリックと判定されることがないように、既に基準時間を十分に短い時間として設定している。従って、短縮された基準時間内に入力信号を受信することは想定されていない。従って、制御回路39では、基準時間経過後にボタンによる入力信号を受信したか否かを判定する。基準時間経過後に入力信号を受信したと判定された場合には(ST13のYES)、図4に示すステップST4に戻り、制御回路39から超音波プローブ2の先端部を回転させるための制御信号を送信する。
一方、基準時間が経過した後もボタンによる入力信号を受信しない場合には(ST13のNO)、制御回路39は操作者による超音波プローブ2の先端部を回転させる操作が終了したものと判定する。この状態は、超音波プローブ2の先端部が対象器官に向けて超音波を送信するに最適な向きに回転された、という状態である。
ここで制御回路39は、診断ワークフローを確認し、先端部の回転を行う操作の次にどのような操作が定められているか判定する。図3に示す診断ワークフローを見ると、先端部の回転の後に行われる操作として、今度は超音波をどの深さまで送信するかのdepth及び適宜診断モードを変更する操作が設定されている(S4、S5)。これらの操作は装置本体3に設けられている入力回路36を介して行われる。そこで、制御回路39では、装置本体3からの入力信号を受信し(ST14)、入力信号に該当する処理を行う。
また、これらの操作では、超音波プローブ2のボタンを用いての操作が行われるわけではないので、操作者によるボタン操作がシングルクリックであるかダブルクリックであるかを判定する必要はない。そこで、制御回路39は、一旦ここで「TdoubleCmax」の値を元々定められている値に補正する処理を行う(ST15)。なおここでは、上述したように、一旦「TdoubleCmax」の値をリセットする処理を行うこととしたが、当該処理を行わないこととしても良い。
制御回路39は、さらに診断ワークフローを用いて次に行われる操作を確認する。図3に示す診断ワークフローでは、撮影された器官をディスプレイ35に表示させる際のgein等の画質調整を行うこととされている(S6)。そこで、制御回路39は、装置本体3からのgein/画質調整の信号を受信したか否か判定する(ST16)。受信していないと判定された場合は(ST16のNO)、そのまま待機となる。
ここで、gein/画質調整の操作がなされると超音波画像診断装置1を用いて被検体を撮影する際の種々の準備が整ったことになる。そこで、図3に示す診断ワークフローにも示されている通り、操作者は撮影を開始し、画像観察を行うことになる(S7)。また、画像観察が行われると、操作者によって適宜画像保存の処理が行われる(S8)。
従って、制御回路39は、gein/画質調整の信号を受信した場合には(ST16のYES)、受信した入力信号に合わせてgein調整や画質調整の制御を行うとともに、今後行われる操作である画像保存のための準備を行う。すなわち、操作者が画像保存の処理を行う場合には、超音波プローブ2のボタンをダブルクリックすることになるが、装置本体3としては、このような操作をダブルクリックであると認識する必要がある。
そこで、制御回路39は、図2の下段の波形図に示すように、「TdoubleCmax」の値を所定時間延長するよう設定する(ST17)。図2の下段に示す波形図を見ると、中段に示す基準時間と比較して所定時間「α」だけ延長された時間が基準時間として設定されている(図2では、「+α」と示されている。)。基準時間を長く設定することによって、操作者が1回目のボタンをクリックした後の2回目のボタンのクリックが基準時間の中で行われることになり、2回目のボタンのクリックに基づく入力信号を1回目の入力信号を併せてダブルクリックと判定することができる。
このように制御回路39では、操作者がダブルクリックを行って画像保存を行うのに備えて、基準時間を設定する。そして、この状態で操作者によるボタン操作が行われるまで待機している。すなわち、操作者によってダブルクリックの1回目のボタン操作が行われたか否かが判定される(ST18)。
ここで、1回目のボタン操作が行われていない、ボタンを押し下げたことによる入力信号を受信していない場合には(ST18のNO)、引き続き待機状態となる。一方、操作者によるボタン操作が行われ、1回目の入力信号を受信した場合には(ST18のYES)、制御回路39では基準時間として設定されたTdoubleCmaxの時間を経過したか否かを判定する(図6のST19)。
ここで制御回路39が、TdoubleCmaxを経過したか否かを判定するのは、設定された基準時間内に操作者による2回目のボタン操作が行われたか否かを把握するためである。すなわち、TdoubleCmaxが経過する前であって(ST19のYES)、2回目のボタン操作による入力信号を受信したか否かを判定する(ST20)。このように基準時間内にダブルクリックの2回目のボタン操作が行われない場合には(ST20のNO)、制御回路39はこのまま待機状態となる。
もし基準時間内に制御回路39が2回目のボタン操作による入力信号を受信した場合には(ST19のYES、ST20のYES)、基準時間内に操作者によって画像保存の処理を行うダブルクリックが行われたと判定して、画像保存のための制御信号を送信し、操作者が所望する画像を、例えば記憶回路38に記憶させる(ST21)。
そして、さらに制御回路39は、画像保存処理の終了を示す信号を受信したか否かを判定する(ST22)。その結果、画像保存処理の終了を示す信号を受信していないと判定した場合には(ST22のNO)、操作者による画像保存の処理が継続していると判定できることから、再度図5に示すステップST18に戻り、次の画像保存の処理が行われるまで待機する。一方、画像保存処理の終了を示す信号を受信したと判定した場合には(ST22のYES)、診断ワークフローに規定されている一連の操作が終了したと判定する。
次に、診断ワークフローを基にすると次に操作者によって行われる処理は画像保存であるとして基準時間を延長したものの、当該基準時間内に2回目のボタン操作が行われずダブルクリックと判定できない場合には(ST19のYES)、画像保存処理以外の操作が行われていると制御回路39は判定する。
そこで、併せて制御回路39は、TdoubleCmax操作者によって画像保存の処理が行われると判定して設定した新たな基準時間を一旦取り消し、元々の基準時間に戻す(設定し直す)処理を行う(ST23)。
その上で、このように基準時間を元に戻してリセットした上で、操作者がどのような操作を行ったのか、制御回路39では入力された信号の種類を判定する(ST24)。
ここで操作者によって行われる処理としては、例えば、再度gein等の画質調整の操作を行うことや新たな位置での撮影を行うべく、超音波プローブ2の先端部を回転させる操作を行うといった操作が考えられる。制御回路39は受信した信号を基に、操作者がどのような操作を行うのかを把握する。
その結果、制御回路39は改めてTdoubleCmaxの値を、元々の基準時間より所定時間短縮する必要があるか否か、判定する(ST25)。その結果、新たに例えば、超音波プローブ2の先端部を回転する操作が行われると判定した場合には(ST25のYES)、図4のステップST2に戻り、所定時間分TdoubleCmaxの値を短縮し、改めて超音波プローブ2の先端部を回転させるために必要な基準時間を設定する。
一方、制御回路39がgein等の画質調整の操作が行われたと、入力された信号から判定した場合には(ST25のNO)、図5のステップST16に戻り、次の操作者による処理を画像保存と判定して所定時間分TdoubleCmaxの値を延長する。
なお、1回目のボタン操作による入力信号を受信してから画像保存の処理が行われるとして設定された基準時間内に2回目のボタン操作が行われずに基準時間が経過してしまった場合に、上述した説明ではすぐにTdoubleCmaxの再設定を行うこととしていた。但し、操作者が画像保存を行うつもりであったものの、1回目のボタン操作以降、2回目のボタン操作を失念してしまったことも想定できる。そこで制御回路39は、すぐにこのような処理を行うのではなく、例えば、この時点ではTdoubleCmaxの再設定を行わず、画像保存の処理が行われることを想定した基準時間を維持するようにしても良い。
以上説明したように、超音波プローブに設けられているボタンのそれぞれに複数の機能が割り当てられ、このようなボタンを用いて複数の操作を行うことが求められる場合に、予め定められている診断ワークフローに基づいて、操作者による一連の操作、処理を把握して基準時間を設定することにより、操作者によるボタン操作の適切化を図ることができる超音波画像診断装置を提供することが可能である。
(第2の実施の形態)
次に本発明における第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態において、上述の第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
第1の実施の形態においては、診断ワークフローを利用して操作者によって行われるボタン操作に合わせて基準時間の設定を行った。これに対して第2の実施の形態においては、超音波画像診断装置1を使用する操作者の操作の傾向、いわば癖を把握し、操作者がストレスなくスムーズに操作を行うことができるように基準時間を設定するものである。
なお、第1の実施の形態においては、超音波プローブ2が経食道プローブ(TEEプローブ)であるとして説明を行ったが、第2の実施の形態においては、超音波プローブ2を特にTEEプローブに限定することはなく、診断部位に応じて任意に選択される、一般的なセクタ走査対応、リニア走査対応、コンベックス走査対応等のいずれであっても良い。
図7は、第2の実施の形態における操作者の操作の適格性を判断する際の条件、判断、対応の関係を示す説明図である。図7においては、例として縦にAからDまでの4つのパターンを並べて挙げている。また、横軸には、「回数」、「操作」、「動作」、「所定時間経過」、「判定」、「対応」の6つの項目が挙げられている。
「回数」とは、操作者が超音波プローブ2に設けられているボタンを操作した回数を示している。「操作」は、操作者が行ったボタン操作が示されている。ここで「CWボタン」とは、超音波プローブ2の先端部を時計回りに回転させるボタンのことである。一方、「CCWボタン」とは、超音波プローブ2の先端部を反時計回りに回転させるボタンのことである。「動作」は、操作者のボタン操作によって行われた超音波プローブ2の動作を示している。
「所定時間経過」は、各パターンに示されている2回の操作の間の時間、すなわち、1回目の操作が行われてから2回目の操作が行われるまでの間の時間を「所定時間」とした時に、当該所定時間を経過したか否かを示すものである。この所定時間は任意に設定することができ、図7においては、設定された所定時間を経過しない場合には「無」と、経過した場合には「有」と示されている。
「判定」とは、制御回路39が操作者による2回のボタン操作、それに伴う超音波プローブ2の動作、所定時間の経過の有無の各条件を基に行う判定を示している。また、「対応」は当該判定に基づいて制御回路39が採る対応を示している。
例えば、パターンAを例に挙げて説明すると、以下の通りである。操作者はまず1回目の操作として、「CWボタンを連続して2回クリック」したところ、超音波プローブ2の先端部が時計回りに2°回転した。次に2回目の動作として、操作者は今度は、「CCWボタンを連続して2回クリック」させて超音波プローブ2の先端部を反時計回りに2°回転させた。そして、これら操作者による2回の操作の間は、所定時間が経過していない(図7に示す「所定時間経過」の欄を見ると「無」と示されている)。
このような状況から、制御回路39は、「操作者の意図としては、CWボタンをダブルクリックして「画像保存」の処理を行おうとしていたが、意図に反して超音波プローブ2の先端部が回転してしまったので、すぐに先端部を反対に回転させるべくCCWボタンを2回クリックした」、と判定する。すなわち、操作者の意図としては画像保存の処理を行うためにダブルクリックしたつもりが超音波画像診断装置1にシングルクリックと判定されてしまったため、操作をやり直した、ということになる。
この場合、操作者がダブルクリックのボタン操作を行う際に、1回目のボタンを押してから2回目のボタンを押すまでの時間が長く、操作者のボタン操作がダブルクリックではなくシングルクリックと認識されてしまっている。すなわち、この操作者はダブルクリックを行う際の1回目のボタン操作と2回目のボタン操作との間が長めである、との癖が見て取れる。
そこで制御回路39は、操作者による連続2回のボタン操作をシングルクリックと認識するのではなくダブルクリックと認識するように基準時間の設定を修正する。具体的には「対応」の欄に示されているように、TdoubleCmaxの値を所定の時間延長するように設定する。このような設定をすることによって、たとえダブルクリックを行う際の1回目のボタン操作と2回目のボタン操作との間が長めである、との癖がある操作者であっても超音波画像診断装置1が適切にダブルクリックと認識することができるようになる。
次にパターンBについて説明する。パターンBにおける操作者の操作及び当該操作に伴う超音波プローブ2の動作は上述したパターンAと同じである。すなわち、CWボタンを連続2回クリックして超音波プローブ2の先端部を時計回りに2°回転させた後、CCWボタンを連続2回クリックして超音波プローブ2の先端部を反時計回りに2°回転させている。
但し、パターンBでは、所定時間は経過している(所定時間経過「有」である)。従ってこの場合、所定時間が経過していることから、操作者は1回目の操作の後、時間を置かずにすぐに2回目の操作として逆の操作を行っているのではなく、1回目の操作と2回目の操作とは、十分時間が離れて行われていることが理解できる。ここから制御回路39は、操作者が意図する通り超音波プローブ2の先端部の回転操作が行われたと判定する。
このように、操作者が意図した操作が行われている場合には、操作者によるボタン操作は適切にシングルクリック、或いは、ダブルクリックと認識されていることになる。そこで、制御回路39は、制御回路39は、設定されている基準時間を再設定し直す必要はなく、現在設定している状態のままとする。
パターンCでは、操作者は1回目のボタン操作でCWボタンを連続して2回クリックしている。操作者による当該操作に基づいて、超音波画像診断装置1では、画像保存の処理を行った。一方、2回目のボタン操作も同様にCWボタンを連続して2回クリックした。但し、このときには超音波画像診断装置1では超音波プローブ2の先端部を2°時計回りに回転させる動作を行っている。そして、2回目のボタン操作は1回目のボタン操作から所定時間が経過する前に行われた(所定時間の経過「無」)。
このような場合、制御回路39は、所定時間が経過する前に操作者が時間を置かずに2度にわたって同じ操作を行ったということは、1回目のボタン操作において操作者が意図しない動作が行われたものと判定する。すなわち、パターンCに示すように、操作者がCWボタンを連続して2回クリックするという同じ操作を2度行ったのは、1回目のボタン操作による画像保存の処理が意図しない動作であり、超音波プローブ2の先端部を2°回転させるべくすぐに同じ操作をやり直したものであると推測することが可能である。
そこで、制御回路39では、操作者のボタン操作におけるクリックをダブルクリックと認識するのではなく、シングルクリックと認識することができるように、基準時間を設定し直す。具体的には、元々の基準時間から所定時間短縮したTdoubleCmaxを設定し、新たな基準時間を設定する。
最後にパターンDについてである。パターンDにおいては、操作者は1回目のボタン操作と2回目のボタン操作として、いずれもCWボタンを連続して2回クリックしている。そして、いずれの操作に対する超音波画像診断装置1における動作も画像保存である。さらに、2回目のボタン操作は1回目のボタン操作から所定時間が経過してから後に行われている(所定時間の経過「有」)。
すなわち、操作者は所定時間が経過した後に、2回目のボタン操作として1回目のボタン操作と同じ操作を行っている。ということは、操作者は自身が行った操作に満足しており、2回目も1回目と同様の操作を行ったと判定することができる。そこで制御回路39は、操作者が意図した通りの動作(画像保存)が行われたと判定し、基準時間の修正は行わない。
以上パターンごとに説明したように、操作者の操作、当該操作に伴う超音波画像診断装置1の動作、及び、操作者による複数の操作間における経過時間という要素を参照すれば、操作者が行った操作が意図した動作に結びついているか否かを判定することができる。当然のことながら、全ての操作者の意図を把握することは困難であるものの、ボタン操作における基準時間を調整することで、操作者が意図しない操作を行うことを減らすことができるように超音波画像診断装置1の側で調整を行うことが可能である。
[動作]
次に、制御回路39による、操作者による操作を基にした基準時間の補正処理について、図8を用いて以下説明する。図8は、第2の実施の形態における操作者の操作に基づく超音波画像診断装置1の応答の適格性を判定する流れを示すフローチャートである。
なお、操作者の操作に基づく超音波画像診断装置1の応答の適格性を判定するに当たっては、当然いずれの操作者が超音波画像診断装置1の操作を行うのかについては事前に超音波画像診断装置1の方で把握しておく必要がある。そのため、操作者が超音波画像診断装置1を使用する際に、例えば、自身のIDを入力する等の、操作者を特定するログオン操作を超音波画像診断装置1が受けて、操作者を特定する。但し、ログオン操作に基づいて操作者を特定する超音波画像診断装置1の処理については、図8では省略しており、既にログオン操作が完了し、操作者を特定した状態から図8に示す各処理が開始される。
そして、例えば、記憶回路38には操作者とこれまでの応答の適格性(癖)が紐付けて記憶されており、制御回路39は、特定された操作者とこれまでの応答を基に判定処理を行う。
さらに、ここで「1回目」、「2回目」とは、操作者による超音波プローブ2のボタン操作のまとまりを表わしている。すなわち、図7に示す各パターンにおける「回数」である。従って、操作者が超音波プローブ2に設けられているボタンを、例えばダブルクリックする場合、操作者はボタンを2回押すことになるが、このボタンを押した回数を示すものではない。また、制御回路39による判定処理の流れについては、適宜上述したパターンA及びパターンBを利用しながら説明を行う。
制御回路39では、操作者が超音波プローブ2のボタンを操作することによる、超音波プローブ2からの1回目の入力信号を受信する(ST41)。すなわち、パターンAであれば、操作者がCWボタンを連続して2回クリックしたことによる入力信号を受信する。
制御回路39では、当該入力信号に基づいて操作者が所望する動作を超音波プローブ2に行わせるため、入力信号に合致した動作を行うための制御信号を超音波プローブ2に向けて送信する(ST42)。ここでは操作者はCWボタンを連続して2回クリックしているので、制御回路39は、超音波プローブ2の先端部を時計回りに2°回転させるための駆動信号を送信する。
併せて制御回路39は、計時機能を用いて、当該1回目の入力信号を受信してから2回目に入力信号を受信するまでの時間の計測を開始する(ST43)。当該計時の結果は、図7にも示されているように、所定時間が経過したか否かの判定を行う際に利用される。
制御回路39は、操作者による2回目のボタン操作に基づく入力信号を受信する(ST44)。この入力信号は、図7におけるパターンAに示す2回目の操作であるCCWボタンの操作に伴うものである。また、制御回路39は、当該2回目の入力信号を受信すると、時間の計測を終了する(ST45)。そして、2回目の入力信号に合致する制御信号を超音波プローブ2に送信し、当該制御信号に基づいて、該当箇所が駆動される。ここでパターンAを例に挙げると、2回目のボタン操作は、CCWボタンを連続2回クリックするものであることから、送信された制御信号は、超音波プローブ2の先端部を反時計回りに2°回転させるための信号である。
制御信号を送信する一方で、制御回路39では、2度にわたる操作者の操作が適切なものであったかの判定処理を開始する(ST46)。すなわち、図7に示すパターンごとに操作者の操作に基づいて意図した動作が行われたか否かを判定する(ST47)。
ここで、例えば、図7に示すパターンAの場合は、操作者の操作等から操作者が意図した動作が行われなかったと判定し(ST48のNO)、基準時間の設定を見直す。具体的には、TdoubleCmaxの値を延長する補正を行う(ST49)。その上で、当該補正の内容を操作者の操作、超音波プローブ2の動作、及び、所定時間の経過の有無といった、例えば、図7に示す各要素と操作者とを関連付けて記憶回路38に記憶させる(ST50)。なお、記憶回路38に記憶させる内容については、任意に選択、設定することができる。
一方、例えば、パターンBの場合には、各要素を基に判定すると操作者が意図した動作が行われていると判定できる。このような場合には(ST48のYES)、基準時間の補正も行われず、記憶回路38への記憶処理も行われない。
制御回路39は、さらに別の操作に基づく入力信号を受信したかを判定し(ST51)、新たな入力信号を受信した場合には(ST51のYES)、改めてステップST41に戻り、上述した処理を行う。一方、これ以降入力信号を受信しなかった場合には(ST51のNO)、制御回路39における各処理は終了する。
以上説明した通り、超音波プローブに設けられているボタンのそれぞれに複数の機能が割り当てられ、このようなボタンを用いて複数の操作を行うことが求められる場合に、超音波プローブを操作する操作者の操作等に基づいて、操作者による操作の傾向を把握して基準時間を設定することにより、操作者によるボタン操作の適切化を図ることができる超音波画像診断装置を提供することが可能である。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。