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JP2018171649A - 抵抗スポット溶接方法および抵抗スポット溶接の溶接条件判定方法 - Google Patents

抵抗スポット溶接方法および抵抗スポット溶接の溶接条件判定方法 Download PDF

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JP2018171649A JP2018057391A JP2018057391A JP2018171649A JP 2018171649 A JP2018171649 A JP 2018171649A JP 2018057391 A JP2018057391 A JP 2018057391A JP 2018057391 A JP2018057391 A JP 2018057391A JP 2018171649 A JP2018171649 A JP 2018171649A
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Abstract

【課題】高強度の亜鉛系めっき鋼板を径が小さいナゲットが形成されて接合される場合であっても耐遅れ破壊特性に優れた溶接部を形成することができる抵抗スポット溶接方法を提供する。【解決手段】少なくとも1枚の鋼板が、引張強さが980MPa以上1770MPa以下で且つ接合面側の表面に亜鉛系めっき層を有する高強度亜鉛系めっき鋼板であり、予通電工程と、予通電工程後に予通電工程よりも高い電流値で通電する本通電工程とを有し、予通電工程は、予通電工程が終了した段階で、接合される隣り合う2枚の鋼板のうち板厚の薄い方の鋼板の板厚をt[mm]として、溶融部22の径が2√t[mm]以下となり且つ径が3√t[mm]以上の亜鉛系めっきが吐き出された領域23とが形成される溶接条件で行い、本通電工程は、径が3√t[mm]以上のナゲットが形成される溶接条件で行なう。【選択図】図2

Description

本発明は、高強度亜鉛系めっき鋼板の抵抗スポット溶接方法、および抵抗スポット溶接における溶接部の耐遅れ破壊特性に優れた溶接条件を判定するための抵抗スポット溶接の溶接条件判定方法に関する。
自動車の燃費を向上させるための自動車車体の軽量化と衝突安全性の向上とを両立するために、使用する鋼板を高強度化してその板厚を低減する努力が続けられている。しかしながら、自動車用鋼板の引張強さ980MPa級以上への高強度化に伴い、溶接部の耐遅れ破壊特性の低下に対する懸念が生じてきた。
詳述すると、自動車の生産工程で主に用いられている溶接方法は抵抗スポット溶接であるが、この抵抗スポット溶接の溶接部は、溶融した部分が急冷されることによりマルテンサイト変態を起こしやすく硬い組織となる。また、該溶接部には冷却過程の熱収縮により引張残留応力が発生する。さらに、鋼板表面のめっき層、油や水分などから溶接中に溶接金属内に水素が取り込まれたり、使用環境(例えば酸性環境下)から溶接部へ水素が進入する場合がある。したがって、抵抗スポット溶接の溶接部は、耐遅れ破壊特性の観点からは非常に不利な状態となる場合がある。従来は、鋼板の強度(引張強さ)がそれほど高くなかったために、溶接部への応力集中が比較的小さく、遅れ破壊が問題とされることはなかったが、鋼板の引張強さが980MPa級程度以上の高強度鋼板においては、炭素等の焼入れ性元素を多く含むため、ナゲット(抵抗スポット溶接によって溶融、凝固した部分)およびその近傍が非常に硬くなって、耐遅れ破壊が発生しやすい状態となる。また、該高強度鋼板においては、プレス成形が難しくなることから、重ね合わせたときに鋼板間に隙間が生じやすい。この隙間を一対の対向する電極で強制的に潰して溶接する抵抗スポット溶接では、溶接部にこの鋼板の隙間起因の引張応力が追加され、さらに遅れ破壊が発生しやすい状態となることが考えられる。
このような高強度鋼板の抵抗スポット溶接の溶接部の遅れ破壊の問題を解決する方法として、次のような技術がある。例えば、ナゲットを形成する第1通電の後に無通電とし、さらに第2通電を行う2段通電によって、鋼板圧接部からナゲット端部までの間を軟化させる方法(特許文献1)や、溶接通電直後に加圧力を上昇させると共に電流を減少させる等して、溶接部の靭性を改善し、引張り残留応力を低減する方法(特許文献2)が開示されている。
国際公開第2014/171495号 特開2015−93282号公報
特許文献1および特許文献2の方法は、その実施例からわかるように、ナゲット径が4.5√t[mm](t:鋼板の板厚)や、5√t[mm]以上と大きな場合を対象としている。また、酸浸漬試験による外部からの水素進入、すなわち、使用環境からの水素進入に対しての耐遅れ破壊性の改善を主に行うものである。
しかしながら、引張強さ980MPa級以上の鋼板を用いた実際の車体組み立てにおいては、接合する部材間の隙間を抵抗スポット溶接機の電極加圧力で潰しきることが困難となるような場合も考えられる。その場合、特許文献1および特許文献2の方法では、通電開始時に鋼板間の接触状態が不十分となり、必要な径のナゲットを得ようとすると、スパッタが発生して適切な溶接条件とすることができない場合がある。また、自動車部品の性能を保証する上では、鋼板間の溶接部以外の接触部への分流など何らかの外乱によってナゲット径が予定より小さくなった場合においても、溶接部の耐遅れ破壊特性が良好であることも重要である。したがって、特許文献1および特許文献2に記載のナゲット径に比べて、より小さい4√t[mm]未満のナゲット径の場合においても、耐遅れ破壊特性が良好であることが求められる場合がある。特にナゲット径が小さい場合は、ナゲット端部にかかる応力が、ナゲット径が大きな場合に比較して大きくなることから、耐遅れ破壊性の観点からはより不利な状態となる。
そして、表面に亜鉛系めっき層を有する亜鉛系めっき鋼板を抵抗スポット溶接する場合においては、鋼板の製造プロセス中に鋼板中に取り込まれた拡散性水素が亜鉛系めっきの存在により残留し、遅れ破壊の原因となる拡散性水素が鋼板中に残りやすい。すなわち、亜鉛系めっき鋼板を抵抗スポット溶接する場合においては、亜鉛系めっき層、該亜鉛系めっき層表面に付着した油や水分を源とする拡散性水素が溶接中に溶接金属内に混入しやすく、遅れ破壊が生じやすくなる。このため、これら亜鉛系めっき層等に由来する水素に対しての耐遅れ破壊性の改善を行う抵抗スポット溶接方法とすることが重要である。
また、このような高強度の亜鉛系めっき鋼板を接合する抵抗スポット溶接の溶接部の耐遅れ破壊特性に優れた溶接条件の適否の判定方法は確立されていない。該判定方法を確立することができれば、その判定方法の結果に基づいて、高強度亜鉛系めっき鋼板に径の小さいナゲットが形成される場合であっても、耐遅れ破壊特性に優れた溶接部を形成できる抵抗スポット溶接を容易に適切に行うことができる。したがって、このような高強度亜鉛系めっき鋼板の抵抗スポット溶接の溶接部の耐遅れ破壊特性に優れた溶接条件の判定方法も望まれる。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、高強度の亜鉛系めっき鋼板に径の小さいナゲットが形成されて接合される場合であっても、耐遅れ破壊特性に優れた溶接部を形成することができる抵抗スポット溶接方法およびその溶接条件判定方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を繰り返し、以下の知見を得た。
高強度亜鉛系めっき鋼板に径の小さいナゲットが形成されて接合される抵抗スポット溶接の溶接部(以下、抵抗スポット溶接部と称する場合もある)に、溶接後比較的短時間で生じる遅れ破壊を抑制するためには、溶接中に溶接金属内に混入する水素を低減することが重要である。具体的には、予通電工程と予通電工程後に予通電工程よりも高い電流値で通電する本通電工程との2段階の通電で鋼板を溶接し、且つ、適切な予通電工程を施すことにより、予通電工程が終了した段階で溶融部の径を特定値以下とすると共に特定の亜鉛系めっきが吐き出された領域を形成することで、溶接中に溶接金属内に取り込まれる水素が低減され、溶接部の耐遅れ破壊特性を向上することができることを知見した。
また、このような耐遅れ破壊特性を向上することができる抵抗スポット溶接の溶接条件の判定方法として、予通電工程が終了した段階で、溶融部の径を特定値以下とすると共に特定の亜鉛系めっきが吐き出された領域を形成できる溶接条件か否かを判定することが有効であることを知見した。
本発明は以上のような知見に基づいてなされたものであり、要旨は以下のとおりである。
[1] 鋼板を2枚以上重ね合わせて一対の電極によって挟み加圧しながら通電してナゲットを形成すると共に前記鋼板を接合する抵抗スポット溶接方法であって、
少なくとも1枚の前記鋼板が、引張強さが980MPa以上1770MPa以下で且つ接合面側の表面に亜鉛系めっき層を有する高強度亜鉛系めっき鋼板であり、
予通電工程と、前記予通電工程後に前記予通電工程よりも高い電流値で通電する本通電工程とを有し、
前記予通電工程は、予通電工程が終了した段階で、接合される隣り合う2枚の前記鋼板のうち板厚の薄い方の鋼板の板厚をt[mm]として、溶融部の径が2√t[mm]以下になり且つ径が3√t[mm]以上の亜鉛系めっきが吐き出された領域が形成される溶接条件で行い、
前記本通電工程は、径が3√t[mm]以上のナゲットが形成される溶接条件で行なうことを特徴とする抵抗スポット溶接方法。
[2] 前記亜鉛系めっきが吐き出された領域の径を、接合される隣り合う2枚の前記鋼板を剥離したときに鋼板表面に観察される酸化亜鉛の白色のリング状領域の内径−1mmとすることを特徴とする[1]に記載の抵抗スポット溶接方法。
[3] 鋼板を2枚以上重ね合わせて一対の電極によって挟み加圧しながら通電してナゲットを形成すると共に前記鋼板を接合する抵抗スポット溶接を行なうに際し、少なくとも1枚の前記鋼板が引張強さが980MPa以上1770MPa以下で且つ少なくとも接合面側の表面に亜鉛系めっき層を有する高強度亜鉛系めっき鋼板であり、前記通電が、予通電工程と、前記予通電工程後に前記予通電工程よりも高い電流値で通電して、接合される隣り合う2枚の前記鋼板のうち板厚の薄い方の鋼板の板厚をt[mm]として、径が3√t[mm]以上のナゲットを形成する本通電工程とを有するものである抵抗スポット溶接の溶接部の耐遅れ破壊特性判定方法であって、
予通電工程が終了した段階で、溶融部の径が2√t[mm]以下であり且つ径が3√t[mm]以上の亜鉛系めっきが吐き出された領域が存在する場合に耐遅れ破壊特性が良好となると判定することを特徴とする抵抗スポット溶接の溶接条件判定方法。
[4] 予通電工程が終了した段階で、接合される隣り合う2枚の前記鋼板を剥離する剥離試験を行なって、前記溶融部の径および前記亜鉛系めっきが吐き出された領域の径を求めることを特徴とする[3]に記載の抵抗スポット溶接の溶接条件判定方法。
[5] 前記剥離試験で求める前記亜鉛系めっきが吐き出された領域の径は、鋼板表面に観察される酸化亜鉛の白色のリング状領域の内径−1mmであることを特徴とする[4]に記載の抵抗スポット溶接の溶接条件判定方法。
[6] [3]〜[5]のいずれかに記載の抵抗スポット溶接の溶接条件判定方法に基づいて予通電工程の溶接条件を決定することを特徴とする抵抗スポット溶接方法。
本発明によれば、高強度亜鉛系めっき鋼板の抵抗スポット溶接において、溶接プロセスを予通電工程と予通電工程よりも高い電流値で通電する本通電工程に分け、予通電工程が終了した段階で溶融部の径を特定値以下とすると共に特定の亜鉛系めっきが吐き出された領域を形成することにより、本通電工程で形成されたナゲット径が小さい場合であっても、耐遅れ破壊特性に優れた溶接部(抵抗スポット溶接部)を形成することができるという効果を奏する。本発明は、例えば、自動車用部品の製造や車体の組立などの工程で使用される、高強度亜鉛系めっき鋼板を小さいナゲット径を形成して接合する抵抗スポット溶接に好適である。
図1は、抵抗スポット溶接方法の一例を模式的に示す断面図である。 図2(a)は、本発明における予通電工程が終了した段階での溶融部および亜鉛系めっきが吐き出された領域を模式的に示す断面図であり、図2(b)は、上記図2(a)に示した領域の鋼板を剥離したときの平面図である。 図3は、本発明の実施例において行なった抵抗スポット溶接の試験片を示す側面図である。
本発明の抵抗スポット溶接方法は、鋼板を2枚以上重ね合わせて一対の電極によって挟み加圧しながら通電してナゲットを形成すると共に鋼板を接合する抵抗スポット溶接方法であって、少なくとも1枚の鋼板が、引張強さが980MPa以上1770MPa以下で且つ接合面側の表面に亜鉛系めっき層を有する高強度亜鉛系めっき鋼板であり、予通電工程と、予通電工程後に予通電工程よりも高い電流値で通電する本通電工程とを有し、予通電工程は、予通電工程が終了した段階で、接合される隣り合う2枚の鋼板のうち板厚の薄い方の鋼板の板厚をt[mm]として、溶融部の径が2√t[mm]以下になり且つ径が3√t[mm]以上の亜鉛系めっきが吐き出された領域が形成される溶接条件で行い、本通電工程は、径が3√t[mm]以上のナゲットが形成される溶接条件で行なうものである。
本発明は、2枚以上の鋼板を抵抗スポット溶接によって接合するものである。図1は、抵抗スポット溶接方法の一例を模式的に示す断面図であり、2枚の鋼板の抵抗スポット溶接を行う例を示している。また、図2は、予通電工程が終了した段階での溶融部および亜鉛系めっきが吐き出された領域を模式的に示す断面図(図2(a))であり、該溶融部および亜鉛系めっきが吐き出された領域の鋼板を剥離したときの平面図(図2(b))である。以下に図1および図2を参照して、本発明の抵抗スポット溶接方法を説明する。
まず、2枚以上の鋼板を重ね合わせる。図1に示すように、2枚の鋼板を用いる場合においては、下側に配置される下鋼板1と上側に配置される上鋼板2とを重ね合わせる。
本発明において抵抗スポット溶接する鋼板は、少なくとも1枚が、引張強さが980MPa以上1770MPa以下で且つ少なくとも接合面側の表面に亜鉛系めっき層を有する高強度亜鉛系めっき鋼板である。鋼板の引張強さが980MPa未満の場合には遅れ破壊の問題が生じないことから、本発明の適用対象外である。また、鋼板の引張強さが1770MPa超えの場合は、強度が高すぎるため、本発明による耐遅れ破壊特性の改善効果が得られ難い。また、鋼板が有する亜鉛系めっきとしては、溶融亜鉛めっき(GI)、合金化溶融亜鉛めっき(GA)、電気純亜鉛めっき、電気亜鉛合金めっき(Zn−Ni)等が挙げられる。なお、亜鉛系めっき層は、下鋼板1や上鋼板2の少なくとも接合面(下鋼板1と上鋼板2の合わせ面)側の面に設けられていればよいが、下鋼板1、上鋼板2の両面に設けられていてもよい。重ね合わせる鋼板は、全て、引張強さが980MPa以上1770MPa以下で且つ少なくとも接合面側の表面に亜鉛系めっき層を有する高強度亜鉛系めっき鋼板であってもよい。
本発明において抵抗スポット溶接する鋼板の板厚は特に限定されないが、例えば1.0mm以上2.3mm以下の範囲内であることが好ましい。板厚がこの範囲内である鋼板は、自動車用部材として好適に使用することができる。
抵抗スポット溶接する2枚以上の鋼板は、同じでも異なっていてもよく、同種および同形状の鋼板であってもよいし、異種や異形状の鋼板であってもよい。
次いで、一対の溶接電極、すなわち下側に配置される電極4および上側に配置される電極5で、重ね合わせた鋼板(下鋼板1と上鋼板2)を挟み、加圧しながら通電する。電極4と電極5によって加圧し、且つその加圧力を制御する構成は特に限定されず、エアシリンダやサーボモータ等の従来から知られている機器が使用でき、形状(定置式、ロボットガン)も特に限定されない。また、直流、交流のいずれにも本発明を適用でき、電源の種類(単相交流、交流インバータ、直流インバータ)など特に限定されるものではない。なお、交流の場合は、「電流」は「実効電流」を意味する。また、電極4や電極5の先端の形式も特に限定されず、例えば、JIS C 9304:1999に記載されるDR形(ドームラジアス形)、R形(ラジアス形)、D形(ドーム形)等が挙げられる。また、電極4や電極5の先端径は、例えば4mm〜16mmであり、また、電極4や電極5の先端の曲率半径は6.5mm〜200mmである。なお、電極が常に水冷されている状態で抵抗スポット溶接を行う。
このように重ね合わせた鋼板を一対の溶接電極で挟んだ状態で加圧しながら通電して、抵抗発熱によりナゲットを形成すると共に重ね合わせた鋼板を接合することで、溶接継手が得られる。本発明においては、この通電を、予通電工程および予通電工程後に予通電工程よりも高い電流値で通電する本通電工程とする。
そして、予通電工程は、予通電工程が終了した段階で、溶融部の径(外径)が2√t[mm]以下になり且つ亜鉛系めっきが吐き出された領域の径(外径)が3√t[mm]以上になるように形成される溶接条件で行う。t[mm]は、接合される隣り合う2枚の鋼板のうち板厚の薄い方の鋼板の板厚である。
ここで、予通電工程が終了した段階での溶融部および亜鉛系めっきが吐き出された領域について、図2を用いて説明する。図2(a)には、亜鉛系めっき層が下鋼板1および上鋼板2の両面に設けられたものを示す。鋼板の表面に亜鉛系めっき層21を有する鋼板(下鋼板1と上鋼板2)を、隙間がある状態で重ね合わせて一対の電極(図示無し)で挟み、加圧しながら通電する予通電工程を行うことにより、図2(a)に示すように、電極間の下鋼板1と上鋼板2を加熱する。亜鉛系めっきの融点は鋼板よりも低いため、はじめに電極直下の鋼板間付近の亜鉛系めっき層21が溶融し、加圧により電極直下の鋼板間付近からその外側に吐き出される(排出される)。この電極直下の鋼板間付近の亜鉛系めっき層21が吐き出されることにより亜鉛系めっき層21が減少した又は無くなった領域が、亜鉛系めっきが吐き出された領域23である。予通電工程において亜鉛系めっきが吐き出された領域23が形成されることにより、予通電工程の段階において、溶接部(溶接金属(すなわちナゲット3)および熱影響部)となる領域から亜鉛系めっきが排出されることになる。本発明においては、予通電工程が終了した段階で、この領域(上記した溶接部となる領域)の鋼板には、溶融せずに溶融部22が形成されてなくても、又は溶融して溶融部22が形成されていても構わない。溶融して溶融部22が形成された場合には、その溶融部22の径が特定の大きさになるようにする。また、予通電工程が終了した段階で、亜鉛系めっきが吐き出された領域23が特定の大きさになるようにする。具体的には、溶融部22の径が2√t[mm]以下(0[mm]を含む)で、且つ、亜鉛系めっきが吐き出された領域23の径が3√t[mm]以上となるように、予通電工程を行なう。
このように、本発明においては、本通電工程の前に行なう予通電工程において、電極直下の鋼板間付近の特定の亜鉛系めっきを溶融部22付近の外側に吐き出すことによって特定の溶融部22および特定亜鉛系めっきが吐き出された領域23が形成されるようにしている。これにより、水素源となり得る亜鉛系めっきおよび亜鉛系めっきに付着している油分や水分が溶融部22に混入することが抑制される。また、予通電工程時には接合される溶接部付近の領域は、電極の加圧による圧縮応力が加わった状態での通電により高温に加熱されるため、その領域の鋼板中にトラップされていた拡散性水素が急速に拡散放出され、本通電工程時に形成されるナゲットとなる溶融部22に混入する水素量を減少させることができる。また、予通電工程時に投入された熱により熱影響部が拡大して溶接部周辺が広く軟化し、その結果、本通電工程終了後のナゲット端部にかかる開口方向の引張り応力も低減させることができる。このような予通電工程の後に本通電工程でナゲットを形成するため、耐遅れ破壊特性の低下が問題となる高強度亜鉛系めっき鋼板を抵抗スポット溶接したときのナゲット径が、3√t[mm]以上4√t[mm]未満程度の小さいナゲット径となった場合であっても、溶接継手の溶接後比較的早い段階(24時間以内)に生じる遅れ破壊が抑制されて耐遅れ破壊特性が良好な溶接部が形成される。
亜鉛系めっきが吐き出された領域23は、完全に亜鉛めっきが吐き出され亜鉛系めっきが存在しないことが好ましい。しかし、亜鉛系めっき表面に付着する水素源の一部が亜鉛系めっきと一緒に排出されるだけでも本通電工程時のナゲット内に混入する水素量の低減に効果はあるため、完全に排出されていなくてもよい。例えば、亜鉛系めっき層の厚さが溶接前の1/2以下に減少した領域を亜鉛系めっきが吐き出された領域23として、その領域の径が3√t[mm]以上あればよい。予通電工程が終了した段階で形成される亜鉛系めっきが吐き出された領域23の径は、好ましくは本通電工程で形成するナゲット径以上である。
予通電工程が終了した段階での溶融部22の径は、接合される隣り合う2枚の鋼板の接合面における溶融部22の最大径である。また、亜鉛系めっきが吐き出された領域23の径は、接合される隣り合う2枚の鋼板の接合面における亜鉛系めっきが吐き出された領域23の最小径である。
溶融部22の径および亜鉛系めっきが吐き出された領域23の径は、例えば、予通電工程が終了した段階で溶接を止めたサンプルを作成し、このサンプルに対して接合される隣り合う2枚の鋼板(下鋼板1および上鋼板2)を剥離する剥離試験を行なって、その剥離面の観察により求めることができる。例えば、溶融部22および吐き出された領域23付近から外側に吐き出された溶融した亜鉛系めっきは、亜鉛系めっきが吐き出された領域223の外側にリング状にたまる。溶融した亜鉛系めっきが、亜鉛系めっきが吐き出された領域23の外側にリング状にたまった領域を、図2の領域25で示す。さらにその外側には、気化した亜鉛が酸化して酸化亜鉛となり付着しており、剥離試験を行なうと、図2(b)に示すように、鋼板表面に白色のリング状領域24として観察される。したがって、溶融した亜鉛系めっきがリング状にたまった領域25の内径が、亜鉛系めっきが吐き出された領域23の径(外径)となる。ここで、この亜鉛系めっきが吐き出された領域23の径(外径)は判別しにくい場合もあるが、領域25の幅はめっき厚や、形状にもよるが、0.5mm弱程度である。白色のリング状領域24の内径から1mm引いた径を、亜鉛系めっきが吐き出された領域23の径(外径)とし、この酸化亜鉛の内径観察により、容易に亜鉛系めっきが吐き出された領域23の径を求めてもよい。すなわち、予通電工程の条件を、溶融部22の径が2√t[mm]以下となり且つ酸化亜鉛の白色のリング状領域24の内径−1mmが3√t[mm]以上となる溶接条件とするようにしてもよい。その他、下鋼板1および上鋼板2を剥離せずに断面観察を行なうことにより、溶融部22および亜鉛系めっきが吐き出された領域23の径を求めることもできる。
なお、図2においては、隙間を有するように鋼板(下鋼板1および上鋼板2)を重ね合わせて抵抗スポット溶接した形態を示したが、鋼板を隙間を有さないように重ね合わせてもよい。ただし、隙間を有するように鋼板を重ね合わせて抵抗スポット溶接する場合のほうが、隙間を潰すために付与する加圧力が大きくなり、その結果残留応力が大きくなるので遅れ破壊が生じやすくなる。したがって、本願発明の効果が顕著である。
本通電工程では、予通電工程よりも高い電流値で通電する。そして、本通電工程では、径が3√t[mm]以上のナゲット3が形成される溶接条件で行なう。上記予通電工程と同様に、t[mm]は、接合される隣り合う2枚の鋼板のうち板厚の薄い方の鋼板の板厚である。ここで3√t[mm]以上のナゲット径としたのは、3√t[mm]未満では溶接継手の引張せん断強さや、十字引張強さ等の機械的特性が低く、耐遅れ破壊特性を向上させても機械的特性が得られないためである。また、ナゲット径を4√t[mm]以上としてもよいが、ナゲット径が大きな場合は、本発明で問題としている耐遅れ破壊特性自体が問題とならない場合が多い。
本発明においては、予通電工程で、溶融部22の径を特定値以下とし且つ特定の亜鉛系めっきが吐き出された領域23を形成し、その後に、予通電工程よりも高い電流値で3√t[mm]以上のナゲット3が形成される溶接条件で本通電工程を行なっている。このため、形成されるナゲット3内に混入される水素量が少なく、また、ナゲット3端部にかかる開口方向の引張り応力が低減された、溶接部の耐遅れ破壊特性に優れた抵抗スポット溶接が可能となる。「ナゲット」とは、重ね抵抗溶接において溶接部に生じる溶融凝固した部分であり、ここでのナゲット径は、隣り合う鋼板の接合面における最大径とする。
図2においては2枚の鋼板を重ね合わせて溶接した例を示したが、3枚以上の鋼板を溶接する場合についても、同様に本発明を適用可能である。3枚以上の鋼板を溶接する場合は、引張強さ980MPa以上1770MPa以下の高強度亜鉛系めっき鋼板の亜鉛系めっき層の存在する接合面について、予通電工程の段階で形成された溶融部22および亜鉛系めっきが吐き出された領域23の径や、本通電工程で形成されるナゲット径が上記範囲になるようにすればよい。
このような特定の予通電工程および本通電工程を有する本発明の抵抗スポット溶接方法は、例えば、以下の予通電工程、冷却工程、本通電工程、および保持工程をこの順に行なう。
(予通電工程)
予通電工程は、下記(1)式および(2)式を満たす通電条件、好ましくは下記(1)式および(3)式を満たす通電条件とする。
2<Ip≦1.3F (1)
Tp≧7tt (2)
Tp≧10tt (3)
ただし、上記(1)〜(3)式中において、Ip:予通電工程における電流値[kA]、F:電極加圧力[kN]、Tp:予通電工程における通電時間[サイクル(50Hz)]、tt:隣り合う2枚の鋼板の総板厚[mm]であり、ここで加圧力Fは低すぎると高強度鋼板の抵抗スポット溶接を安定して行うことが困難となるため、2.5kN以上であり、総板厚ttは1.5mm以上である。
なお、本明細書において、上記各式は数値のみの関係を規定したものである。
予通電工程の電流値(溶接電流)Ipが2kA以下の場合は、溶接電流が低すぎるために亜鉛系めっき層を排出した領域23が3√t[mm]以上となるには非常に長い通電時間が必要となる。一方、電極加圧力Fが高いほど鋼板間の接触径が大きくなり、大きな電流をかけても過大な溶融部22を形成させないことが可能となるため、高い電流を適用することが可能となるが、電流値Ipが1.3F[kA]を超える場合は、予通電工程中に大きな溶融部22が急速に成長し、溶融部22付近から亜鉛系めっきを十分に排出する前に溶融金属内に亜鉛系めっきと水素源となる付着物である水や油等を取り込んでしまう場合がある。よって、予通電工程の電流値Ipは、上記(1)式を満たすことが好ましい。
また、予通電工程の通電時間Tpが7tt[サイクル(cyc)]未満の時間の場合は、通電の時間が短く、亜鉛系めっきが吐き出された領域23の大きさが不十分である。また鋼板中の水素を加圧力と熱により放出させる効果が小さい。よって、予通電工程の通電時間Tpは、上記(2)式を満たすことが好ましい。より好ましくは、上記(3)式のとおり、予通電工程の通電時間Tpが10tt[サイクル]以上である。ここでは特に、予通電工程の通電時間Tpの上限は設けないが、生産性の観点より、20tt[サイクル]以下とすることが好ましい。
なお、予通電工程の通電パターンは、溶融部22の径が2√t[mm]以下になり且つ径が3√t[mm]以上の亜鉛系めっきが吐き出された領域23が形成されれば、上記の1段通電だけではなく、2段、あるいは3段以上の多段通電条件でも構わない。本発明では、1サイクル=20msとする。
(冷却工程)
冷却工程は、予通電工程後、電極でワークを加圧したまま電流を停止した状態(無通電)で保持することで冷却する工程であり、本発明においては必要に応じて行えばよい。
(本通電工程)
本通電工程は、冷却工程後、予通電工程の電流値より大きい電流値であって目標とするナゲット径を得るのに必要な通電時間および溶接電流で溶接する。
目標とするナゲット3の径は、望ましくは4√t[mm]以上である。上述のように、本発明はこの本通電工程で形成するナゲット径が、何らかの影響で3√t[mm]以上4√t[mm]未満となっても、抵抗スポット溶接部の遅れ破壊が発生しにくくなるものである。
(保持工程)
保持工程は、本通電工程後、電極でワークを加圧したまま電流を停止した状態(無通電)で保持することで溶接部を冷却、凝固させる工程である。保持時間は、好ましくは1サイクル以上である。ここでは特に保持時間の上限は設けないが、生産性の観点より、10サイクル以下とすることが好ましい。
なお、予通電工程、冷却工程、本通電工程および保持工程に亘って、電極の加圧力は一定とする。
このように、本発明においては、上記特定の予通電工程および本通電工程とすることにより、溶接継手の溶接後比較的早い段階(24時間以内)に生じる遅れ破壊を抑制することができる。
また、上記知見に基づく本発明の抵抗スポット溶接における溶接部の耐遅れ破壊特性に優れた溶接条件の判定方法について、以下に説明する。なお、上記本発明の抵抗スポット溶接方法と重複する説明は一部省略する。
本発明の抵抗スポット溶接の溶接条件判定方法は、鋼板を2枚以上重ね合わせて一対の電極によって挟み加圧しながら通電してナゲットを形成すると共に鋼板を接合する抵抗スポット溶接を行なうに際し、少なくとも1枚の鋼板が引張強さが980MPa以上1770MPa以下で且つ少なくとも接合面側の表面に亜鉛系めっき層を有する高強度亜鉛系めっき鋼板であり、通電が、予通電工程と、予通電工程後に予通電工程よりも高い電流値で通電して、接合される隣り合う2枚の鋼板のうち板厚の薄い方の鋼板の板厚をt[mm]として、径が3√t[mm]以上のナゲットを形成する本通電工程とを有する抵抗スポット溶接方法により良好な耐遅れ破壊特性に優れた溶接部が得られる抵抗スポット溶接の溶接条件を判定する方法である。
該判定方法においては、予通電工程が終了した段階で、径が3√t[mm]以上の亜鉛系めっきが吐き出された領域が存在し、且つその時に溶融部が形成されていないか溶融部が形成された場合はその溶融部の径が2√t[mm]以下である場合に、耐遅れ破壊特性を良好と判定する。一方、予通電工程が終了した段階で、亜鉛系めっきが吐き出された領域の径が3√t[mm]未満であること、および溶融部が形成された場合に溶融部の径が2√t[mm]超えであることの少なくとも一方を満たす場合に、その溶接条件では耐遅れ破壊特性が不良となると判定する。溶融部の径および亜鉛系めっきが吐き出された領域の径は、予通電工程が終了した段階で、溶接部の断面観察を行うことによって求めることが好ましいが、例えば接合される隣り合う2枚の鋼板を剥離する剥離試験を行なうことで求めることもできる。剥離試験により観察される酸化亜鉛の白色のリング状領域の内径−1mmで求められる値を、亜鉛系めっきが吐き出された領域の径とすることが好ましい。
また、本発明の抵抗スポット溶接の溶接条件判定方法に基づいて予通電工程の溶接条件を決定する抵抗スポット溶接方法とすることができる。この本発明の抵抗スポット溶接の溶接部の耐遅れ破壊特性に優れた溶接条件の判定方法に基づいて予通電工程の溶接条件を決定する抵抗スポット溶接方法においては、まず、ある溶接条件で予通電工程を行ない、該予通電工程が終了した段階で剥離試験等によって溶融部22の径および亜鉛系めっきが吐き出された領域23の径を求めて、これらがそれぞれ2√t[mm]以下および3√t[mm]以上を満たすか否かを判定し、これを満たしていれば良好と判定する。そして、良好と判定された場合は、この良好と判定された溶接条件を、抵抗スポット溶接の予通電工程の溶接条件と決定する。そして、次回以降の抵抗スポット溶接において、決定された該溶接条件での予通電工程および本通電工程を行なう。一方、良好と判定されなかった場合は、この良好と判定されなかった溶接条件を、判定結果(溶融部の径、亜鉛系めっきが吐き出された領域の径)に基づいて変更する。変更した溶接条件が良好と判定されるまで、この判定および変更を繰り返す。そして、良好と判定された溶接条件を、抵抗スポット溶接の予通電工程の溶接条件と決定する。以上によって、高強度亜鉛系めっき鋼板を抵抗スポット溶接したときに、仮に径が小さいナゲット3が形成された場合であっても、耐遅れ破壊特性に優れた溶接部を形成することができる抵抗スポット溶接方法の溶接条件を予通電工程までの試験によって容易に決定することができ、容易に耐遅れ破壊特性に優れた溶接部を形成することができる。
以下に、本発明の更なる理解のために実施例を用いて説明するが、実施例はなんら本発明を限定するものではない。
(本発明例および比較例)
図1に示すように、下鋼板1と上鋼板2を重ね合わせて、抵抗スポット溶接を行い、その耐遅れ破壊特性を評価した。
用いた鋼板は980MPa級合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA980)、1180MPa級溶融亜鉛めっき鋼板(GI1180)、1180MPa級合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA1180)、Zn−Niめっきホットスタンプ材(HS)である。表1に各鋼板の引張強さおよび板厚を記載する。引張強さはJIS5号引張試験片にて、JIS Z 2241:2011の規定に準拠して引張試験を実施して求めた引張強さである。Zn−Niめっきホットスタンプ材は大気炉にて鋼材を900℃まで3分間で昇温した後、金型冷却して得られたものであり、引張強さは1470MPa級である。溶接機はインバータ直流抵抗スポット溶接機とした。また、電極4と電極5は、いずれも先端の直径(先端径)6mm、曲率半径40mmのDR形クロム銅製電極とした。
抵抗スポット溶接は、図3に示すように、上記鋼板(長辺125mm、短辺40mm)の試験片(下鋼板31、上鋼板32)の間に、板厚1.8mmで40mm四方のスペーサ33を両側に挟み込んで隙間34が鋼板間に存在するようにした状態でスペーサ33部分を仮溶接したものを試験体とした。該試験体の中央部を、上記および表1に記載する溶接条件で溶接した。図3は、[実施例](本発明例および比較例)において行なった抵抗スポット溶接の試験片を示す側面図である。
表1の通り、予通電工程、冷却工程、本通電工程および保持工程をこの順に行なって溶接継手を製造すると共に、これらとは別に表1に記載する予通電工程が終了した段階で溶接を止めたサンプルを作製した。そして、得られたサンプルに対して、以下の通り剥離試験を行った。
(剥離試験)
この予通電工程が終了した段階で溶接を止めたサンプルからスペーサが設けられたスペーサ部を切り離した後、鏨にて2枚の鋼板の接合面で剥離した。剥離された下鋼板31の接合面を観察して、溶融部22の径を測定し、その径が2√t[mm]以下であった場合を記号「○」、2√t[mm]超えであった場合を記号「×」として評価した。また、この剥離された下鋼板31の接合面を観察して、溶融部22周辺に形成された酸化亜鉛の白色のリングの内径を測定して、それから1mmを引いた値を亜鉛系めっきが吐き出された領域23の径とし、その径が3√t[mm]以上の場合を記号「○」、3√t[mm]未満の場合を記号「×」として評価した。得られた評価結果を表1に示す。各記号の横に示した括弧内には、測定した値を併記する。なお、下鋼板31と上鋼板32にそれぞれ形成された溶融部22の径および亜鉛系めっきが吐き出された領域23の径は、下鋼板31と上鋼板32とで同じであった。
また、表1の通り予通電工程、冷却工程、本通電工程および保持工程をこの順に行なった。本通電の溶接条件は、本通電にて得られるナゲット径が3√t〜4√t[mm]となるように調整した。得られた溶接継手に対して、以下の通り耐遅れ破壊特性試験を行った。
(耐遅れ破壊特性試験)
得られた溶接継手を、室温で大気中に静置し、溶接終了後24時間経過したところで、スペーサが設けられたスペーサ部を切り離し、溶接部中央で板厚方向に切断した。該断面を研磨後にピクリン酸飽和水溶液でエッチングしてナゲット形状を現出させることで、ナゲットの断面を光学顕微鏡にて観察した。そのナゲット内まで延びる割れが観察されなかったものを「割れなし」、ナゲット内に延びる割れが観察されたものを「割れ有」として、耐遅れ破壊特性を評価した。また、切断面において、下鋼板31と上鋼板32の接合面を観察し、ナゲット3の径を測定した。評価結果およびナゲット径の測定値を表1に示す。
表1から明らかなように、予通電工程が終了した段階で亜鉛系めっきが吐き出された領域の径が3√t[mm]以上であり、かつ、予通電工程が終了した段階での溶融部の径が2√t[mm]以下である本発明例においては、得られた溶接継手のナゲット径は3√t[mm]以上であり、ナゲット断面に遅れ破壊が発生しなかった(ナゲット内に到達する割れが発生しなかった)。
一方、予通電工程を行なわなかった比較例や、予通電工程が終了した段階で亜鉛系めっきが吐き出された領域の径が3√t[mm]以上且つ溶融部の径が2√t[mm]以下を満たさない比較例では、ナゲット内に到達する割れが発生した。
Figure 2018171649
1、31 下鋼板
2、32 上鋼板
3 ナゲット
4、5 電極
21 亜鉛系めっき層
22 溶融部
23 亜鉛系めっきが吐き出された領域
24 白色のリング状領域
25 領域
33 スペーサ
34 隙間

Claims (6)

  1. 鋼板を2枚以上重ね合わせて一対の電極によって挟み加圧しながら通電してナゲットを形成すると共に前記鋼板を接合する抵抗スポット溶接方法であって、
    少なくとも1枚の前記鋼板が、引張強さが980MPa以上1770MPa以下で且つ接合面側の表面に亜鉛系めっき層を有する高強度亜鉛系めっき鋼板であり、
    予通電工程と、前記予通電工程後に前記予通電工程よりも高い電流値で通電する本通電工程とを有し、
    前記予通電工程は、予通電工程が終了した段階で、接合される隣り合う2枚の前記鋼板のうち板厚の薄い方の鋼板の板厚をt[mm]として、溶融部の径が2√t[mm]以下になり且つ径が3√t[mm]以上の亜鉛系めっきが吐き出された領域が形成される溶接条件で行い、
    前記本通電工程は、径が3√t[mm]以上のナゲットが形成される溶接条件で行なうことを特徴とする抵抗スポット溶接方法。
  2. 前記亜鉛系めっきが吐き出された領域の径を、接合される隣り合う2枚の前記鋼板を剥離したときに鋼板表面に観察される酸化亜鉛の白色のリング状領域の内径−1mmとすることを特徴とする請求項1に記載の抵抗スポット溶接方法。
  3. 鋼板を2枚以上重ね合わせて一対の電極によって挟み加圧しながら通電してナゲットを形成すると共に前記鋼板を接合する抵抗スポット溶接を行なうに際し、少なくとも1枚の前記鋼板が引張強さが980MPa以上1770MPa以下で且つ少なくとも接合面側の表面に亜鉛系めっき層を有する高強度亜鉛系めっき鋼板であり、前記通電が、予通電工程と、前記予通電工程後に前記予通電工程よりも高い電流値で通電して、接合される隣り合う2枚の前記鋼板のうち板厚の薄い方の鋼板の板厚をt[mm]として、径が3√t[mm]以上のナゲットを形成する本通電工程とを有するものである抵抗スポット溶接の溶接部の耐遅れ破壊特性判定方法であって、
    予通電工程が終了した段階で、溶融部の径が2√t[mm]以下であり且つ径が3√t[mm]以上の亜鉛系めっきが吐き出された領域が存在する場合に耐遅れ破壊特性が良好となると判定することを特徴とする抵抗スポット溶接の溶接条件判定方法。
  4. 予通電工程が終了した段階で、接合される隣り合う2枚の前記鋼板を剥離する剥離試験を行なって、前記溶融部の径および前記亜鉛系めっきが吐き出された領域の径を求めることを特徴とする請求項3に記載の抵抗スポット溶接の溶接条件判定方法。
  5. 前記剥離試験で求める前記亜鉛系めっきが吐き出された領域の径は、鋼板表面に観察される酸化亜鉛の白色のリング状領域の内径−1mmであることを特徴とする請求項4に記載の抵抗スポット溶接の溶接条件判定方法。
  6. 請求項3〜5のいずれか一項に記載の抵抗スポット溶接の溶接部の溶接条件判定方法に基づいて予通電工程の溶接条件を決定することを特徴とする抵抗スポット溶接方法。
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