本開示の実施形態の一例について図面に基づいて説明する。図1〜図22は本実施形態の実施例に係る図である。なお、以下の<>にて分類された項目は、独立又は関連して利用されうる。
本実施形態に係るOCT装置は、OCT光学系を備え、OCT光学系の検出器から出力されるスペクトル干渉信号を処理してOCTデータを取得可能であってもよい。この場合、OCT光学系は、例えば、フーリエドメインOCT光学系(SS−OCT光学系、SD−OCT光学系)であってもよく、OCT光学系は、OCT光源からの光を測定光路と参照光路に分割するための光分割器を有し、測定光路を介して被検物に導かれた測定光と参照光路からの参照光とのスペクトル干渉信号を検出してもよい。
<眼底広角撮影> OCT光学系は、OCT光源からの光を測定光路と参照光路に分割し、測定光路を介して被検眼眼底に導かれた測定光と参照光路からの参照光との干渉信号を検出器によって検出するために設けられてもよい。
OCT光学系は、測定光が眼底上を横断する一つの横断方向に関して眼底中心部と眼底周辺部を含む広角領域に測定光を導くことが可能なOCT光学系であってもよい。この場合、広角領域としては、例えば、特定の横断方向(例えば、水平方向)に関して測定光が眼底上で横断する場合、眼底中心部と眼底周辺部の両方に横断するように広い角度領域であってもよい。また、測定光が横断する横断領域に関して、例えば、眼底中心部での横断領域と眼底周辺部での横断領域は、横断方向に関して連続してもよい。広角領域としては、例えば、眼底上において18mm以上の領域であってもよい。もちろん、広角領域が18mmよりも狭い領域を得る場合に用いられてもよく、本実施形態の装置は、眼底の湾曲度が大きい被検眼の周辺領域を撮像する場合に特に有用である。
眼底の広角領域に測定光を導くことが可能なOCT光学系としては、例えば、対物レンズ光学系が用いられてもよいし、凹面ミラーを用いた対物ミラー光学系が用いられてもよい。また、対物レンズ光学系に、広角アタッチメントが取り付けられた構成であってもよい。
眼底中心部としては、例えば、少なくとも眼底の黄斑部及び乳頭部を含む領域が設定され、眼底周辺部として、一つの横断方向に関して眼底中心部の両端部よりも外側の領域をそれぞれ含む領域が設定されてもよい。もちろんこれに限定されず、例えば、眼底中心部として、少なくとも眼底の黄斑部を含む領域が設定され、眼底周辺部として、一つの横断方向に関して眼底中心部の両端部よりも外側の領域をそれぞれ含む領域が設定されてもよい。
OCT光学系は、複数の参照光路を備えてもよい。例えば、OCT光学系は、眼底中心部を含むOCTデータを得るために設定された光路長を有する第1の参照光路と、眼底周辺部を含むOCTデータを得るために設定された光路長を有し第1の参照光路とは異なる第2の参照光路と、を備えてもよい。この場合、第1の参照光路と第2の参照光路との光路長差は、眼底中心部と眼底周辺部との間での測定光の光路長差に対応して設定されてもよい。なお、眼球の湾曲を考慮し、例えば、第2の参照光路の方が、第1の参照光路よりも光路長が短く設定されてもよい。
本実施形態に係るOCT装置は、画像処理器を備えてもよく、画像処理器は、OCT光学系から出力されるスペクトル干渉信号を処理してOCTデータを取得可能であってもよい。
この場合、例えば、画像処理器は、眼底中心部に導かれた測定光と第1の参照光路からの参照光との干渉信号に基づいて眼底中心部を含むOCTデータを得てもよいし、眼底周辺部に導かれた測定光と第2の参照光路からの参照光との干渉信号に基づいて眼底周辺部を含むOCTデータを得てもよい。この場合、例えば、眼底中心部を含むOCTデータと、眼底周辺部を含むOCTデータは、横断方向と深さ方向の少なくともいずれかに関して連続してもよい。
これによれば、例えば、眼底中心部に対応する参照光路と眼底周辺部に対応する参照光路が設けられることによって、例えば、広角領域におけるOCTデータを良好な信号強度にて取得できる。
なお、画像処理器は、眼底中心部を含むOCTデータと前記眼底周辺部を含むOCTデータとを合成して、被検眼眼底の広角OCTデータを得てもよい。これによって、一枚の広角OCTデータを得ることができる。
OCT光学系は、測定光を被検眼眼底上で走査するための光走査部(光スキャナ)を備えてもよい。この場合、光走査部は、眼底上において測定光を一つの走査方向に走査することによって、眼底中心部と眼底周辺部を含む広角領域を走査してもよい。この場合、例えば、眼底中心部での走査領域と眼底周辺部での走査領域は、横断方向に関して連続してもよい。また、光走査部は、例えば、眼底上の広角領域を走査可能な走査角度まで測定光を走査できるように構成されてもよい。また、光走査部は、例えば、被検眼の瞳孔と略共役位置に配置され、瞳孔中心を旋回点として測定光を測定してもよい。
光走査部が設けられる場合、光走査部による1回のBスキャンによって、眼底中心部と眼底周辺部を含む広角領域に測定光を走査し、眼底中心部を含むOCTデータと眼底周辺部を含むOCTデータが取得されてもよい。これによって、例えば、広角領域におけるOCTデータをスムーズに取得できる。
OCT光学系は、例えば、眼底中心部に対応する第1の検出器と眼底周辺部に対応する第2の検出器とを備えてもよい。この場合、OCT光学系は、眼底中心部に導かれた測定光と第1の参照光路からの参照光との干渉信号を検出するための第1の検出器と、第1の検出器とは異なる第2の検出器であって眼底周辺部に導かれた測定光と第2の参照光路からの参照光との干渉信号を検出するための第2の検出器と、を備えてもよい。これによれば、例えば、第1の検出器と第2の検出器が並列的に用いることができるので、眼底中心部と眼底周辺部のOCTデータを確実に検出することができると共に、各OCTデータをスムーズかつ良好な信号強度にて取得できる。
<参照光路の光路長>
なお、第1の参照光路は、例えば、測定光と参照光との光路長が一致するゼロディレイ位置よりも眼底中心部の脈絡膜が前側に形成された状態での第1のOCTデータが取得されるように光路長が設定されてもよい。これによれば、例えば、第1のOCTデータにおいて、ミラーイメージと実像とが混在するのを軽減できると共に、脈絡膜側のコントラストを向上させることができる。
また、第2の参照光路は、例えば、測定光と参照光との光路長が一致するゼロディレイ位置よりも眼底周辺部の網膜が奥側に形成された状態での第2のOCTデータが取得されるように光路長が設定されてもよい。これによれば、例えば、第2のOCTデータにおいて、ミラーイメージと実像とが混在するのを軽減できると共に、眼底周辺部での光量低下の影響を軽減できる。
なお、第1の参照光路と第2の参照光路が上記のように設定されることで、第1のOCTデータ及び第2のOCTデータの両方においてミラーイメージと実像との混在を軽減できると共に、広角領域でのOCTデータ全体を良好な信号強度で得ることができる。
なお、第1の参照光路と第2の参照光路は、上記構成に限定されない。第1の参照光路は、例えば、ゼロディレイ位置よりも眼底中心部の網膜が奥側に形成された状態での第1のOCTデータが取得されるように光路長が設定されてよいし、第2の参照光路は、例えば、ゼロディレイ位置よりも眼底周辺部の脈絡膜が前側に形成された状態での第2のOCTデータが取得されるように光路長が設定されてもよい。
OCT光学系は、さらに、測定光路を介して被検眼前眼部に導かれた測定光と参照光路からの参照光との干渉信号を検出器によって検出可能であってもよい。この場合、第1の参照光路と第2の参照光路は異なる光路長に設定され、第1の参照光路と第2の参照光路の一方は、被検眼の角膜(例えば、角膜及び水晶体前面)を含むOCTデータを得るための光路長に設定され、第1の参照光路と第2の参照光路の他方は、被検眼の水晶体(例えば、水晶体後面)を含むOCTデータを得るための光路長に設定されてもよい。これによれば、広角領域でのOCTデータに加えて、前眼部の広範囲におけるOCTデータを良好な信号強度にて取得できる。
なお、上記説明においては、眼底中心部と眼底周辺部に対応する2つの参照光路を設けたが、これに限定されず、3つ以上の参照光路が設けられてもよい。例えば、眼底全体が、眼底中心部と、眼底中心部よりも外側の第1の眼底周辺部と、第1の眼底周辺部よりも外側の第2の眼底周辺部と、に分割され、眼底中心部に対応する第1の参照光路と、第1の眼底周辺部に対応する第2の参照光路と、第2の眼底周辺部に対応する第3の参照光路が設けられてもよい。
また、2つの参照光路の光路長を調整し、眼底中心部に対応する第1の参照光路と、第1の眼底周辺部に対応する第2の参照光路と、に設定された第1の広角撮影モードと、眼底中心部又は第1の眼底周辺部に対応する第1の参照光路と、第2の眼底周辺部に対応する第2の参照光路と、に設定された第2の広角撮影モードと、が切換可能であってもよい。
<実施例>
本実施例では、OCT装置として、図1に示される光コヒーレンストモグラフィー(OCT)装置が用いられる。本実施例に係るOCT装置は、例えば、波長掃引式OCT(SS−OCT:Swept Source-OCT)を基本的構成とし、波長可変光源102、干渉光学系(OCT光学系)100、演算制御器(演算制御部)70と、を含む。その他、OCT装置には、メモリ72、表示部75、図示無き正面像観察系及び固視標投影系が設けられてもよい。演算制御器(以下、制御部)70は、波長可変光源102、干渉光学系100、メモリ72、表示部75に接続されている。
干渉光学系100は、導光光学系150によって測定光を眼Eに導く。干渉光学系100は、参照光学系110に参照光を導く。干渉光学系100は、眼Eによって反射された測定光と参照光との干渉、によって取得される干渉信号光を検出器(受光素子)120に受光させる。さらに、本実施例の干渉光学系100は、FPN生成光学系200を備える(詳しくは後述する)。なお、干渉光学系100は、図示無き筐体(装置本体)内に搭載され、ジョイスティック等の操作部材を介して周知のアライメント移動機構により眼Eに対して筐体を3次元的に移動させることによって被検眼に対するアライメントが行われてもよい。
干渉光学系100には、SS−OCT方式が用いられ、光源102として出射波長を時間的に高速で変化させる波長可変光源(波長走査型光源)が用いられる。光源102は、例えば、レーザ媒体、共振器、及び波長選択フィルタによって構成される。そして、波長選択フィルタとして、例えば、回折格子とポリゴンミラーの組み合わせ、ファブリー・ペローエタロンを用いたフィルタが挙げられる。また、光源102として、VCSEL式波長可変光源が用いられてもよい。
カップラ(スプリッタ)104は、第1の光分割器として用いられ、光源102から出射された光を測定光路と参照光路に分割する。カップラ104は、例えば、光源102からの光を測定光路側の光ファイバー105に導光すると共に、参照光路側の参照光学系110に導光する。
カップラ(スプリッタ)130は、第2の光分割器として用いられ、光ファイバー105からの光(測定光)を、導光光学系150の光路とFPN生成光学系200の光路に分割する。つまり、測定光路には、導光光学系150とFPN生成光学系200が設けられている。カップラ(スプリッタ)130は、ビームスプリッタであってもよいし、サーキュレータであってもよい。
<導光光学系>
導光光学系150は、測定光を眼Eに導くために設けられる。導光光学系150には、例えば、光ファイバー152、カップラ153、コリメータレンズ154、光スキャナ156、及び対物レンズ系158が順次設けられてもよい。この場合、測定光は、光ファイバー152、カップラ153を介して、コリメータレンズ154によって平行ビームとなり、光スキャナ156に向かう。光スキャナ156を通過した光は、対物レンズ系158を介して、眼Eに照射される。測定光は、前眼部及び後眼部の両方に照射され、各組織にて散乱・反射される。
光スキャナ156は、眼E上でXY方向(横断方向)に測定光を走査させてもよい。光スキャナ156は、例えば、2つのガルバノミラーであり、その反射角度が駆動機構によって任意に調整される。光源102から出射された光束は、その反射(進行)方向が変化され、眼底上で任意の方向に走査される。光スキャナ156としては、例えば、反射ミラー(ガルバノミラー、ポリゴンミラー、レゾナントスキャナ)の他、光の進行(偏向)方向を変化させる音響光学素子(AOM)等が用いられてもよい。
この場合、測定光による眼Eからの散乱光(反射光)は、対物レンズ系158、光スキャナ156、コリメータレンズ154、カップラ153、光ファイバー152を経た後、カップラ130に達する。カップラ130は、光ファイバー152からの光を、第1の検出器120aに向かう光路(例えば、光ファイバー115〜カップラ350a)と、第2の検出器120bに向かう光路(例えば、光ファイバー105〜カップラ104〜光ファイバー117〜カップラ350b)に分割する。
カップラ130によって分割された測定光のうち、第1の検出器120aに向かう光路を経由した測定光は、カップラ350aにて、第1の参照光路110aからの参照光と合波されて干渉する。また、第2の検出器120bに向かう光路を経由した測定光は、カップラ350bにて、第2の参照光路110bからの参照光と合波されて干渉する。
<参照光学系>
参照光学系110は、眼Eでの測定光の反射によって取得される反射光と合成される参照光を生成する。参照光学系110を経由した参照光は、カップラ(例えば、カップラ350a、350b)にて測定光路からの光と合波されて干渉する。参照光学系110は、マイケルソンタイプであってもよいし、マッハツェンダタイプであってもよい。
参照光学系110は、例えば、反射光学系によって形成され、カップラ104からの光を反射光学系により反射することにより検出器120に導いてもよい。参照光学系110は、透過光学系によって形成されてもよい。この場合、参照光学系110は、カップラ104からの光を戻さず透過させることにより検出器120へと導く。
なお、測定光路と参照光路の少なくともいずれかには、測定光と参照光との光路長差を調整するための光学部材が配置されてもよい。例えば、コリメータレンズ154とカップラ153とが一体的に移動されることで、測定光の光路長が調整され、結果として、測定光と参照光との光路長差が調整されてもよい。もちろん、参照光路に配置された光学部材が移動されることによって、結果として、測定光と参照光との光路長差が調整されてもよい。
本実施例において、参照光学系110として、複数の参照光路が設けられてもよく、例えば、第1の参照光路110aと、第2の参照光路110bとが設けられてもよい。
参照光学系110は、例えば、参照光路を第1の参照光路110aと、第2の参照光路110bに分割するための光分割器(例えば、カップラ111)が設けられてもよい。第1の参照光路110aと、第2の参照光路110bの少なくともいずれかには、例えば、参照光の光路長を変更するために移動される光学部材112が設けられてもよい。光学部材112は、制御部70によって制御される図示なき駆動部によって移動されてもよい。
例えば、カップラ104からの参照光は、カップラ111によって第1の参照光路110aと第2の参照光路110bに分割される。第1の参照光路110aを経由した参照光は、カップラ350aにて、光ファイバ115からの測定光と合波されて干渉する。第2の参照光路110bを経由した参照光は、カップラ350bにて、光ファイバ117からの測定光と合波されて干渉する。
第1の参照光路110aと、第2の参照光路110bは、互いに異なる光路長に設定されてもよい。これによって、例えば、互いに異なる深さ領域に対応する干渉信号を同時に取得でき、結果として、広範囲のOCTデータを同時に取得できる。
例えば、第1の参照光路110aが、被検眼における第1の深さ領域(例えば、水晶体、眼底)に対応する干渉信号を得るために設けられ、第2の参照光路110bは、被検眼における第2の深さ領域(例えば、角膜)に対応する干渉信号を得るために設けられてもよい。この場合、第2の深さ領域は、第1の深さ領域に対して異なる領域に設定される。この場合、第1の深さ領域と第2の深さ領域は、互いに分離した領域であってもよいし、互いに隣接した領域であってもよいし、一部が重複した領域であってもよい。
なお、第1の参照光路110aと、第2の参照光路110bは、同じ光路長に設定されてもよい。これによって、例えば、同一の深さ領域に対応する干渉信号を同時に取得でき、結果として、同一領域に関する複数のOCTデータを同時に取得できる。
<光検出器>
検出器120は、測定光路からの光と参照光路からの光による干渉を検出するために設けられている。なお、検出器120は、受光素子であってもよく、例えば、受光部が一つのみからなるポイントセンサであって、例えば、アバランシェ・フォト・ダイオードが用いられてもよい。
本実施例では、検出器120として、第1の検出器120aと、第1の検出器120aとは異なる第2の検出器120bと、が設けられてもよい。第1の検出器120aは、第1の参照光路110aからの参照光と光ファイバー115からの測定光との第1の干渉信号を検出するための検出器として設けられてもよい。第2の検出器120bは、第2の参照光路110bからの参照光と光ファイバ117からの測定光との第2の干渉信号を検出するための検出器として設けられてもよい。この場合、第1の検出器120aにて第1の干渉信号を検出すると同時に、第2の検出器120bにて第2の干渉信号を検出することによって、第1の干渉信号と第2の干渉信号を同時に検出可能である。これらの検出器のサンプリング速度は、互いに異なっていても良いし、同じであっても良い。
なお、第1の検出器120a、第2の検出器120bは、それぞれ平衡検出器であってもよい。この場合、第1の検出器120a、第2の検出器120bは、複数の受光素子をそれぞれ備え、第1受光素子からの干渉信号と第2受光素子からの干渉信号との差分を得て、干渉信号に含まれる不要なノイズを削減できる。
<FPN生成光学系>
FPN生成光学系200は、FPN信号を生成するために設けられてもよい。FPN生成光学系200は、FPNを発生させる光学部材(例えば、第1の光学部材204又は第2の光学部材206)を少なくとも一つ備えてもよい。本実施例において、FPN生成光学系200は、測定光が被検眼に向かう光路から分岐された位置に配置されている。
FPN生成光学系200としては、例えば、反射光学系であってもよく、FPN発生用光学部材としては、例えば、光反射部材(例えば、ミラー)が用いられてもよい。なお、本実施例においては、FPNを発生させる光学部材を複数設けたが、これに限定されず、FPN生成光学系200は、FPNを発生させる光学部材を一つ備える構成であってもよい。
第1の検出器120aには、第1の干渉信号と共にFPN信号が検出され、第2の検出器120bには、第2の干渉信号と共にFPN信号が検出される。FPN信号は、例えば、第1の干渉信号に基づく第1のOCTデータと、第2の干渉信号に基づく第2のOCTデータとの合成(詳しくは後述する)、各干渉信号の波数マッピング補正、偏光調整等に用いられてもよい。
例えば、FPN生成光学系200は、第1のFPN信号と第2のFPN信号を生成するために設けられてもよい。例えば、FPN生成光学系200は、第1のFPNを発生させる第1の光学部材204と、第2のFPNを発生させる第2の光学部材206と、を少なくとも備えてもよい。第2の光学部材206は、第2の光学部材を経由した光が、第1の光学部材204を経由した光による光路長とは異なるように配置されてもよい。これによって、第2のFPNは、第1のFPNに対して異なる位置に発生される。なお、後述するゼロディレイ位置は、OCTデータ上において、測定光の光路長と参照光の光路長とが一致する位置に対応する。
第1の光学部材204と第2の光学部材206とが同時に使用されることによって、2つのFPN信号を同時に生成することが可能であり、これによって、2つのFPN信号を処理する際の時間的なずれの影響を軽減できる。なお、FPN光学系200は、3つ以上のFPN発生用光学部材を備えてもよく、これらが同時に使用されることによって、3つ以上のFPN信号を同時に生成することが可能である。
FPN生成光学系200としては、例えば、反射光学系であってもよく、FPN発生用光学部材としては、例えば、光反射部材(例えば、ミラー)が用いられてもよい。本実施例では、第1のFPN発生用光学部材204、第2のFPN発生用光学部材206としてミラーが用いられているが、これに限定されない。
この場合、カップラ130からの光は、第1の光学部材204又は第2の光学部材206を経由した後、カップラ130に戻され、導光光学系150からの光と同様の経路を経て、カップラ350a,カップラ350bに達する。FPN生成光学系200からの光は、カップラ350a,350bにて参照光と合波されて干渉する。なお、光源102〜FPN生成光学系200〜カップラ350a,350bの光路長と、光源102〜参照光学系110〜カップラ350a,350bまでの光路長は、ほぼ同じ長さに設定されてもよい。
例えば、第1の光学部材204を経由した光が参照光と干渉することによって、第1のFPNに対応する干渉信号光が生成され、検出器120には第1のFPN信号が生成され、第2の光学部材206を経由した光が参照光と干渉することによって、第2のFPNに対応する干渉信号光が生成され、検出器120には第2のFPN信号が生成される。結果として、例えば、検出器120には、第1のFPN信号と第2のFPN信号の両方が同時に検出される。
FPN信号を所定の処理に用いる場合、検出器120a、検出器120bのそれぞれにおいて、第1のFPN信号と第2のFPN信号の両方が同時に検出されてもよいし、検出器120aにおいて一方のFPN信号が検出され、検出器120bにおいて他方のFPN信号が検出されてもよい。また、検出器120a、検出器120bの一方において、第1のFPN信号と第2のFPN信号の両方が同時に検出され、検出器120a、検出器120bの他方において第1のFPN信号と第2のFPN信号の一方が検出されてもよい。また、検出器120a、検出器120bの一方において、少なくとも一つのFPN信号が検出され、また、検出器120a、検出器120bの他方において、FPN信号が検出されなくてもよい。
なお、FPN生成光学系200には、光量モニタ210が配置されてもよく、光源102からの光は、ビームスプリッタ208を介して光量モニタ120によって検出される。光量モニタ120からの出力信号は、光源102の出射光量が適正か否かを判定するために用いられてもよい。
<光量分岐比>
ここで、カップラ130は、カップラ104からの光を、導光光学系150の光路とFPN生成光学系200の光路に分割すると共に、導光光学系150及びFPN生成光学系200からの光を、第1の検出器350aへと向かう光路(例えば、光ファイバー115〜カップラ350a)と、カップラ104へと向かう光路(例えば、光ファイバー105〜カップラ104〜光ファイバー117〜カップラ350b)と、に分割する。
ファイバー105からの光を分割する際のカップラ130の光量分割比S1は、導光光学系150よりもFPN生成光学系200に多くの光が導かれるように設定されてもよい。この場合、ファイバー105からの光がカップラ130―によって分割される光量比は、導光光学系150<FPN生成光学系200となる。
導光光学系150からの光を分割する際のカップラ130の光量分割比S2は、光量分割比S1に依存する。この結果、導光光学系150からの光に関し、第1の検出器120aに向かう光路よりも、第2の検出器120aに向かう光路に、多くの光が導かれる。この場合、導光光学系150からの光がカップラ130によって分割される光量比は、第1の検出器120aに向かう光路<カップラ104に向かう光路となる。
第1の検出器120aに向かう光路を経由した測定光は、第1の参照光路110aからの光と干渉した後、第1の検出器120aにて第1の干渉信号として検出される。一方、カップラ104に向かう測定光は、カップラ104によって、光源102に向かう光路と、第2の検出器120bに向かう光路(例えば、光ファイバー117〜カップラ350b)に分割される。カップラ130からの光を分割する際の光量分割比S4は、光源102からの光を測定光路と参照光路とに分割する際の光量分割比S3に依存する。光量分割比S3が、測定光路よりも参照光路に多くの光が導かれるように設定された場合、カップラ130からの光がカップラ104によって分割される光量比は、光源102に向かう光路<第2の検出器120bに向かう光路となる。この結果、カップラ130からの光に関し、光源102に向かう光路よりも、第2の検出器120bに向かう光路に多くの光が導かれる。第2の検出器120bに向かう光路を経由した測定光は、第2の参照光路110bからの光と干渉した後、第2の検出器120bにて第2の干渉信号として検出される。
上記構成をまとめると、カップラ130の光量分割比S2に関して、第1の検出器120aに向かう光路<カップラ104に向かう光路であり、カップラ104の光量分割比S4に関して、光源102に向かう光路<第2の検出器120bに向かう光路にて設定されている。
この結果として、第1の検出器120aにて検出される第1の干渉信号と、第2の検出器120bにて検出される第2の干渉信号と、を適度なバランスにて検出できる。つまり、カップラ104を経由して第2の検出器120bに向かう光路の場合、導光光学系150からの光は、複数の光分割器(例えば、カップラ130、カップラ104)を経由するので、光量減衰の回数が多いのに対し、第1の検出器120aに向かう光路の場合、導光光学系150からの光は、カップラ130を経由して第1の検出器120aに達するので、光量減衰の回数が相対的に少ない。
そこで、カップラ130の光量分割比S2に関して、第1の検出器120aに向かう光路<カップラ104に向かう光路であり、カップラ104の光量分割比S4に関して、光源102に向かう光路<第2の検出器120bに向かう光路であることで、光量減衰が複数回行われたとしても、光量減衰を軽減でき、結果として、第1の検出器120aと第2の検出器120bとの間で信号強度の差異を少なくできる。したがって、第1の検出器120aによって得られるOCTデータと第2の検出器120bによって得られるOCTデータとの信号強度の差異が少なくなり、それぞれ適正なOCTデータを取得できる。
なお、カップラ130の光量分割比S2と、カップラ104の光量分割比S4に関して、第1の検出器120aに向かう光路と第2の検出器120bに向かう光路との光量比が同一となるように設定されてもよい。その一例としては、カップラ130の光量分割比S2に関して、第1の検出器120aに向かう光路:カップラ104に向かう光路=6:4、カップラ102の光量分割比S4に関して、光源102に向かう光路:第2の検出器120bに向かう光路=1:2となるように設定されてもよい。
上記限定されず、カップラ130の光量分割比S2と、カップラ104の光量分割比S4に関して、第1の検出器120aと第2の検出器120bによって検出されるOCTデータの撮影部位での反射光量の違いを考慮して、光量分割比が設定されてもよい。つまり、被検眼の角膜からの反射光は、反射光量が大きいが、水晶体及び眼底からの光は、反射光量が相対的に少ない。そこで、撮影部位による反射光量比を考慮して、結果として、第1の検出器120aと第2の検出器120bとの間でのOCTデータの信号強度が同一となるように、カップラ130の光量分割比S2と、カップラ104の光量分割比S4が設定されてもよい。
なお、本実施例において、導光光学系150からの光を複数の検出器に導光させる際、1つの光分割器(例えば、カップラ130)を介して第1の検出器120aに向かう光と、複数のカップラ(例えば、カップラ130、カップラ104)を介して第2の検出器120bに向かう光に分けたのは、導光光学系150からの光をより多く効率的に各検出器に導かれるためである。このような光学配置は、光源120の出射光量が限られており、被検眼からの反射光が微弱であるような場合に、特に有利である。
図2は、本実施例に係るFPN生成光学系の一例を示す図である。FPN生成光学系200は、例えば、第1の光学部材204を備える第1の光路203と、第2の光学部材206を備える第2の光路205とを少なくとも備えてもよい。ここで、第1の光路203と第2の光路205との間において、第1の光路203の光路長と第2の光路205の光路長が異なることによって、第2のFPNは、第1のFPNとは異なる位置に生成される。例えば、第2の光路205の光路長が第1の光路203の光路長よりも長いことによって、第1のFPNよりもゼロディレイから離れた位置に生成される。
FPN生成光学系200は、光路分割部材202(例えば、ビームスプリッタ)を備えてもよく、光路分割部材202は、光源側の光路を、第1の光路203と第2の光路205とに分割するために設けられてもよい。第1の光学部材204は、光路分割部材202によって分割された第1の光路203に配置されており、第2の光学部材206は、光路分割部材202によって分割された第2の光路に配置されている。
第1の光路203と第2の光路205は、互いに異なる光路長を持つ。つまり、光路分割部材202の分岐位置から第1の光学部材204までの光路長と、光路分割部材202の分岐位置から第2の光学部材206までの光路長は異なる。この結果として、第1の光学部材204によって形成される第1のFPNと、第2の光学部材206によって形成される第2のFPNは、OCT画像上において深さ方向に異なる位置に形成される。なお、深さ方向における第1のFPNと第2のFPNとの間の距離は、第1の光路203と第2の光路205との間の光路長差に起因する。
また、第1の光路203と第2の光路205は、互いに等しい光学的分散量に設定(構築)されている。この結果として、第1のFPNを用いて算出される各波数成分のマッピング情報(以下、第1の波数マッピング情報)と、第2のFPNを用いて算出される各波数成分のマッピング情報(以下、第2の波数マッピング情報)との間の差分に基づいて、各波数成分のマッピング状態を補正するための補正情報を演算により求める際、各マッピング情報に含まれる分散成分を適正にキャンセルできるので、補正情報を精度よく求めることができる(詳しくは、後述する)。この場合、互いに等しい分散量としては、厳密に同一である必要は必ずしもなく、一定の精度を確保し、分散成分を適正にキャンセルできればよい。
<偏波調整機構>
本実施例のOCT光学系100において、複数の偏光調整部が設けられてもよく、例えば、OCT光学系100の光路には、第1の偏光調整部300、第2の偏光調整部302、第3の偏光調整部304が設けられてもよい(図1参照)。
第1の偏光調整部300は、第1の参照光路110aの光路に配置され、第1の参照光路110aを経由する参照光の偏光状態を調整するために設けられてもよい。第2の偏光調整部302は、第2の参照光路110bの光路に配置され、第2の参照光路110bを経由する参照光の偏光状態を調整するために設けられてもよい。第3の偏光調整部304は、FPN生成光学系200の光路に配置され、FPN生成光学系200の光路を経由する光の偏光状態を調整するために設けられてもよい。
<深さ情報の取得>
光源102により出射波長が変化されると、これに対応する干渉信号光が検出器120に受光され、結果的に、スペクトル信号として検出器120によって検出される。制御部70は、検出器120によって検出されたスペクトル信号を処理(フーリエ解析)し、被検眼のOCTデータを得る。
スペクトル信号(スペクトルデータ)は、波長λの関数として書き換えられ、波数k(=2π/λ)に関して等間隔な関数I(k)に変換されてもよい。あるいは、初めから波数kに関して等間隔な関数I(k)として取得されてもよい(K―CLOCK技術)。演算制御器は、波数k空間でのスペクトル信号をフーリエ変換することにより深さ(Z)領域におけるOCTデータを得てもよい。
さらに、フーリエ変換後の情報は、Z空間での実数成分と虚数成分を含む信号として表されてもよい。制御部70は、Z空間での信号における実数成分と虚数成分の絶対値を求めることによりOCTデータを得てもよい。
本実施例では、制御部70は、第1の検出器120aによって検出された第1の干渉信号を処理して第1のOCTデータを得ると共に、第2の検出器120bによって検出された第2の干渉信号を処理して第2のOCTデータを得てもよい。ここで、第1の参照光路110aと第2の参照光路120bとが異なる光路長に設定される場合、第1のOCTデータと第2のOCTデータは、深さ方向に関して少なくとも一部が異なる領域のOCTデータが取得され、第1の参照光路110aと第2の参照光路120bとが同じ光路長に設定される場合、第1のOCTデータと第2のOCTデータは、深さ方向に関して同じ領域のOCTデータが取得される。
<制御系>
制御部70は、CPU(プロセッサ)、RAM、ROM等を備えてもよい(図1参照)。例えば、制御部70のCPUは、OCT装置の制御を司ってもよい。RAMは、各種情報を一時的に記憶する。制御部70のROMには、OCT装置の動作を制御するための各種プログラム、初期値等が記憶されてもよい。
制御部70には、記憶部としての不揮発性メモリ(以下、メモリに省略する)72、表示部75等が電気的に接続されてもよい。メモリ72には、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体が用いられてもよい。例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、および、OCT装置に着脱可能に装着されるUSBメモリ等をメモリ72として使用することができる。メモリ72には、OCTデータの取得及びOCT画像の撮影を制御するための制御プログラムが記憶されてもよいし、FPNを用いてOCT画像を合成するための演算処理プログラム、各波数成分のマッピング状態を補正するための補正情報を得る演算処理プログラム等が記憶されてもよい。また、メモリ72には、OCTデータから生成されるOCT画像の他、撮影に関する各種情報が記憶されてもよい。表示部75は、OCTデータから生成されるOCT画像を表示してもよい。
<FPNを用いた画像合成>
制御部70は、第1の干渉信号に基づく第1のOCTデータと、第2の干渉信号に基づく第2のOCTデータとを、第1の検出器120aによって検出されたFPN信号と第2の検出器120bによって検出されたFPN信号とに基づいて合成することによって合成OCTデータを得てもよい(図3〜図5参照)。つまり、FPN信号は、複数のOCTデータを合成するための基準信号として用いられてもよい。ここで、第2のOCTデータは、第1のOCTデータに対して被検眼上の深さ領域の少なくとも一部が異なってもよい。
一例としては、FPN生成光学系200においてFPN発生用の光学部材(例えば、光学部材204、206)の配置位置は既知であるから、第1のOCTデータと第2のOCTデータとの位置関係をFPN信号を用いて設定してもよい。
これによって、第1のOCTデータと第2のOCTデータとの位置関係を適正に設定できる。なお、本実施例では、第1のOCTデータが第1の検出器120aにて検出されると同時に、第2のOCTデータが第2の検出器120bにて検出されるので、被検眼の移動などによる位置ズレも軽減できる。
例えば、FPN生成光学系200は、第1のFPNを発生させる第1の光学部材(例えば、第1の光学部材204)と、第1のFPNとは異なる位置に第2のFPNを発生させる第2の光学部材(例えば、第2の光学部材206)と、を少なくとも備え、少なくとも2つのFPN信号を生成するためのFPN生成光学系であってもよい。
制御部70は、第1の干渉信号に基づく第1のOCTデータと、第2の干渉信号に基づく第2のOCTデータとを、第1の検出器120aによって検出された第1の光学部材によるFPNと第2の検出器120bによって検出された第2の光学部材によるFPNとに基づいて合成することによって合成OCTデータを得てもよい。
図3、4はFPN信号を用いて複数のOCTデータを合成する場合のデータの一例を示す図であり、図3は合成前、図4は合成後のイメージ図である。FPN1は、第1の光学部材204によって生成されたFPN信号であり、FPN2は、第2の光学部材206によって生成されたFPN信号である。
図3においては、第1のOCTデータには、FPN1が形成され、第2のOCTデータ
には、FPN2が形成される。第1のOCTデータは、第1の参照光路110a及び第1の検出器110aを用いて取得され、第2のOCTデータは、第2の参照光路110b及び第2の検出器110bを用いて取得されてもよい。
FPN信号を用いてOCTデータ間の位置関係を設定する場合、制御部70は、例えば、第1のOCTデータに含まれるFPN1と第2のOCTデータに含まれるFPN2を用いてOCTデータ間の位置関係を設定してもよい。ここで、制御部70は、深さ方向におけるFPNの位置を検出し、FPNの検出位置を基準として複数のOCTデータを合成してもよい(図4参照)。
ここで、第1の光学部材204と第2の光学部材204との間の位置関係は既知であるから(例えば、光路長ΔD)、制御部70は、第1のOCTデータと第2のOCTデータとを合成する場合、FPN1とFPN2の位置を検出し、FPN1の検出位置とFPN2の検出位置とが光路長ΔD分離間するように合成してもよい。なお、複数のOCTデータ間の重複部分に関する合成について、いずれか一方のOCTデータを用いるようにしてもよいし、両方のOCTデータの平均を求めるようにしてもよい。
制御部70は、上記のようにして合成された合成OCTデータに基づいて被検眼の寸法(例えば、前房深度、眼軸長等)を測定してもよく、さらに、得られた測定結果を表示部75上に表示してもよい。
図5は、FPN信号を用いて複数のOCTデータを合成する場合のデータの変容例を示す図であり、第3のOCTデータには、FPN1とFPN2が形成されている。ここで、第3のOCTデータは、第1の参照光路110a及び第1の検出器110aを用いて取得されてもよく、第1の参照光路110aの光路長が調整されることで、第3のOCTデータが取得されてもよい。
ここで、制御部70は、第3のOCTデータを利用して、第1のOCTデータと第2のOCTデータとの位置関係を設定してもよい。この場合、制御部70は、例えば、第1のOCTデータ上でのFPN1の検出位置と、第3のOCTデータ上でのFPN1の検出位置が、深さ方向に関して同じ位置となるように位置関係を設定してもよく、さらに、制御部70は、例えば、第2のOCTデータ上でのFPN2の検出位置と、第3のOCTデータ上でのFPN2の検出位置が、深さ方向に関して同じ位置となるように位置関係を設定してもよい。これによれば、仮に、FPN発生用の光学部材の位置が経年変化によって変動したとしても、実際の位置関係を利用できるので、第1のOCTデータと第2のOCTデータとの位置関係をより安定的に設定可能である。
なお、深さ方向におけるFPNの位置を検出する場合、例えば、制御部70は、検出器120a、120bにて取得されたOCTデータを処理し、FPN発生用の光学部材(例えば、第1の光学部材204又は第2の光学部材206)によるFPN信号を抽出してもよい。FPN信号の信号強度は既知であるから、制御部70は、例えば、OCTデータの各輝度信号に対し、FPN信号を得るために設定された閾値を超えるか否を判定することによって、FPN発生用の光学部材に対応するFPN信号(基準信号)を抽出できる。なお、FPN1とFPN2は、既知の配置を利用して判別可能である。
なお、上記手法に限定されず、図5の第3のOCTデータを第1のOCTデータとし、図5の第2のOCTデータとして、これらを合成するようにしてもよい(図6参照)。この場合、第1のOCTデータには、FPN1とFPN2が形成され、第2のOCTデータには、FPN2が形成される。第1のOCTデータは、第1の参照光路110a及び第1の検出器110aを用いて取得され、第2のOCTデータは、第2の参照光路110b及び第2の検出器110bを用いて取得されてもよい。
この場合、制御部70は、FPN2の位置を検出し、その検出位置を利用してOCTデータ間の位置関係を設定してもよいし、第1のOCTデータのFPN2と、第2のOCTデータのFPN2とを画像処理によってマッチングさせることによって位置関係を設定してもよい。この場合、制御部70は、合成OCTデータにおいて、第1のOCTデータのFPN1と第2のOCTデータのFPN1とが深さ方向において一致するように合成を行ってもよい。
なお、本実施例において、FPN生成光学系200について、第1の光学部材204が配置された第1の光路203と、第2の光学部材206が配置された第2の光路205は、互いに等しい光学的分散量に設定(構築)されている。この結果として、FPNによるPSF信号は相似形となるので、例えば光源の質が悪く、PSFが単峰性でない場合などでも、相応するピーク位置を検出しやすく、離間を容易に決定することが出来る。
図6は、一つのFPNを用いて画像合成を行う一例として考えることも可能である。FPN1の生成は必ずしも必須ではない。つまり、本実施例のFPN光学系200が、一つのFPN発生用の光学部材を備える場合であっても、画像合成は可能であり、装置の構成の簡略化が可能だが、複数のFPN信号を用いる場合と比較して深さ方向の撮像レンジが狭くなると共に、異なるOCTデータ間での重複領域が多くなる。一方、共通領域を設ける場合は、複数のFPN信号を用いることで、深さ方向の撮像レンジが広くできると共に、異なるOCTデータ間での重複領域を少なくできる。その他、間に不連続な領域を含んでもよい。この場合も、両者の離間が正確にわかるので、例えば眼の調節機能を調べたりする場合に有用である。
なお、本実施例に係るFPN生成光学系200について、OCTデータの合成に用いるFPN発生用の光学部材(例えば、第1の光学部材204、第2の光学部材206)は空気中に配置されており、その表面反射によって生成されたFPNが画像合成に利用されるので、この結果として、FPNの信号強度(SNR)の低下等を軽減できるので、FPNを用いたOCTデータの合成を正確に行うことができる。
なお、FPN信号を得るタイミングとしては、例えば、電源投入時に実施されてもよいし、被検者が変更される毎に実施されてもよい。また、OCT光学系における撮影条件を最適化する最適化制御の際に実施されてもよい。もちろん、これに限定されず、常時実施されてもよい。例えば、制御部は、FPN信号を含むOCTデータを予め取得しておき、予め取得されたFPN信号を用いて、後に取得されたOCTデータの合成、マッピング状態の補正、偏光調整等を行うようにしてもよい。
<遮光部材>
なお、FPN生成光学系200の光路に遮光部材又は減光部材が配置されることによって、被検眼の観察又は撮影に用いるOCTデータのFPN信号を軽減するようにしてもよい。この場合、第1の光路と第2の光路との少なくともいずれかが遮光又は減光されることで、OCTデータ上でのFPN信号を軽減するようにしてもよい。これらは、診断・観察等に用いるOCTデータを得る場合において有効である。また、これに限定されず、OCTデータに含まれるFPN信号を信号処理によって除去するようにしてもよい。
例えば、FPN生成光学系200の光路には、第1の光路を遮光するための第1の遮光部材210と、第2の光路を遮光するための第2の遮光部材212と、が各光路に対して挿脱可能に配置されてもよい。
<波数マッピングの補正>
図7は、本実施例に係るOCTデータの一例を示す図であり、OCTデータ上には、第1のFPN信号と第2のFPN信号とが同時に形成されている。なお、OCTデータ上には、被検眼のOCT画像が含まれていてもよい。
この場合、制御部70は、第1のFPNと第2のFPNの両方を同時に含む信号を処理して、各波数成分のマッピング状態を補正するための補正情報を取得しても追い。つまり、制御部70は、例えば、補正情報を得る演算処理器として用いられてもよい。また、OCT光学系を駆動させる制御部とは異なるプロセッサによって、補正情報が取得されてもよい。なお、制御部70は、例えば、OCT画像の撮影中ないし撮影前に、光源102により波長が掃引されることに伴う少なくとも2つのFPN信号の位相差情報を利用して、補正情報を生成してもよい。
より詳細には、制御部70は、サンプリングポイントpに対する各波長成分(波数成分)のマッピング状態(波数サンプリングマッピング)を、FPN生成光学系200によって生成される少なくとも2つのFPN信号に基づいて補正してもよい。
制御部70は、例えば、FPNの強度レベルを解析することによって、FPNに対応する位置でのスペクトル信号におけるφ(k)を求めてもよい。φ(k)は、掃引波長(波数)に応じたスペクトル信号の位相φの変化を示す。φ(k)は、横軸:波数k、縦軸:位相φである関数で表されてもよい。信号強度(振幅)の大きい波数k領域でのφ(k)に関して多項式フィッティングを行い、信号強度が小さい波数k領域でのφ(k)を外挿又は内挿によって求めてもよい。例えば、φ(k)は、FPNに対応する深さ位置におけるフーリエ変換値(強度値)Fの実数部RealFと虚数部ImagFの比のArc Tangent(逆正接)から求められてもよい。ここで、Arc Tangent処理によってフーリエ変換値の実数部と虚数部の比の逆正接が算出され、φ(k)が得られる。
少なくとも2つのFPN信号を同時に得た場合、制御部70は、第1のFPNを処理して第1の波数マッピング情報φ1(k)を求めると共に、第2のFPNを処理して第2の波数マッピング情報φ2(k)を求めてもよい(図8参照)。この場合、各波数マッピング情報は、各波数成分の位相情報として求められてもよい。
さらに、制御部70は、第1の波数マッピング情報φ1(k)と第2の波数マッピング情報φ2(k)との間の差分情報Δφ(k)を求めてもよい(図5参照)。なお、差分情報は、各波数成分の位相差情報として求められてもよい。差分情報Δφ(k)を得る場合、第2のFPNの方が位相の進みが早いので、Δφ(k)=φ2(k)−φ1(k)にて差分情報が得られてもよい。なお、差分情報を求めることで、各波数マッピング情報に含まれる分散成分をキャンセルできる。この場合、前述したように、第1の光路203と第2の光路205との間の分散量を等しくしておくことが好ましい。
ここで、第1のFPNと第2のFPNとの間の光学的距離(光路長差)をΔZとし、仮に、差分情報Δφ(k)が理想的であれば、以下の式(1)
に示されるような直線となるはずである。
ここでΔZは次のように求められる。干渉成分はexp(ikz)と一般化でき、kとzにはkz=2πの関係がある。これから、zはNをサンプリングポイント数、kmaxとkminを各サンプリングポイントで検出されるk値の最大・最小値として、以下の式(2)
として、表すことができる。なお、i=0,1,2,・・・,N/2
ここで、ΔZに相当する干渉信号が、i(ΔZ)に対応するサンプリングポイントで検出されるとすると、ΔZは以下の式(3)
と表すことができる。
Δφ(k)は理想的には傾きΔZ、切片0の直線になるはずなので、2次、3次の非線形項をσとすると、kは以下の式(4)
と補正される。これから補正された波長λ´がλ´=2π/k´と決まる。ここでσは以下の式(5)
と展開したときの非線形項σ=b2k2+b3k3である。なお、上記例では、非線形項が3次となっているが、これに限定されず、さらに多い非線形項であってもよい。例えば、9次程度であってもよい。あるいは、他のフィット方法(チャープされた正弦波によるフィット方法)が用いられてもよい。
なお、図9は、補正演算を行うことにより、補正されるスペクトル信号のマッピングを模式的に示した図である。また、補正されたΔφ(kmin)、Δφ(kmax)の値が、理想値であるz(peak)・kmin、z(peak)・kmaxから所定の許容範囲内(例えば、1E-5程度)であれば収束したと判断し、この条件が満たされなければ、上述の補正されたλ´を用いて再度同様の演算を繰り返す。
上記のようにして、制御部70は、FPN生成光学系200を用いて生成される少なくとも2つのFPN信号から補正情報を演算により求め、得られた補正情報をメモリ72に記憶させてもよい。これにより、検出器120にて検出された各波長成分と、各サンプリングポイントとの対応関係がより正確に求められる。得られた補正情報は、OCTデータの取得に用いられてもよい。なお、FPNからφ(k)を求める手法、波数マッピング情報を求める手法については、特開2013−156229号、特開2015−68775号公報等を参考になされたい。
なお、上記説明においては、SS−OCTにおいて波数マッピング情報を補正する場合を示したが、これに限定されず、SD−OCTにおいて波数マッピング情報を補正する場合においても、本実施例の適用は可能である。この場合、例えば、制御部70は、スペクトロメータの各受光素子に対する各波長(波数)分のマッピング状態を、FPN生成光学系200によって生成される少なくとも2つのFPN信号に基づいて補正してもよい。この場合、特開2010−220774号公報が参考されてもよい。
なお、本実施例に係る波数マッピング補正については、特願2017−017156を参照されたい。
なお、各波数成分のマッピング状態を補正するための補正情報を取得するタイミングとしては、例えば、電源投入時に実施されてもよいし、被検者が変更される毎に実施されてもよい。また、OCT光学系における撮影条件を最適化する最適化制御の際に実施されてもよい。もちろん、これに限定されず、常時実施されてもよい。なお、マッピング状態の補正後、ノイズ除去処理によってOCT画像上のFPNが除去されてもよい。
また、上記説明においては、測定光路から分岐した位置にFPN生成光学系が設けられたが、これに限定されず、OCT光学系の光路中であれば、これに限定されない。例えば、OCT光学系の参照光路から分岐した位置にFPN生成光学系が配置されてもよい。この場合、例えば、FPN生成光学系からの光と参照光(又は測定光)との干渉によるFPN信号が得られてもよい。また、例えば、測定光路と参照光路とが合流した後の光路から分岐した位置にFPN生成光学系が配置されてもよい。この場合、例えば、干渉光の光路に直接向かう干渉光と、干渉光の光路から分岐された位置に設けられたFPN生成光学系からの干渉光との干渉によるFPN信号が得られ、検出器120によって検出されてもよい。なお、検出器120が第1の検出器120aと第2の検出器120bを備える場合、各検出器の光路に分割される前に、FPN生成光学系が配置されることで、各検出器に同様のFPN信号が検出されてもよい。
<被検眼への適用例>
本装置は、被検眼のOCTデータを取得するための眼科用OCT装置であってもよい。例えば、眼科用OCT装置としては、眼底のOCTデータと、角膜及び水晶体を含む前眼部のOCTデータと、を取得可能な構成であってもよく、さらに、角膜及び眼底のOCTデータに基づいて眼軸長を測定可能な構成であってもよい。
例えば、眼科用OCT装置は、自動又は手動によるモード切換信号に応じて、OCT光学系100の光学配置を切換可能な構成であってもよい。以下、眼底撮影モード、前眼部撮影モード、眼軸長測定モードとの間でモード切換を行う場合の一例について説明する。
<眼底撮影モード>
眼底撮影モードに設定された場合、制御部70は、導光光学系150を制御し、眼底のOCTデータを得るための光学配置に切り替えてもよい。この場合、例えば、制御部70は、被検眼瞳孔上に測定光の旋回点が形成されると共に、測定光の集光位置が眼底上に形成されるように、導光光学系150の光学配置を切り換えてもよい。なお、導光光学系150の光学配置の切換に係る構成については、例えば、特開2016−209577号公報を参照されたい。
眼底撮影モードに設定された場合、制御部70は、測定光と参照光の少なくともいずれかの光路長を調整し、OCTデータの取得領域を眼底に設定してもよい。この場合、例えば、制御部70は、複数の参照光路の少なくともいずれかを経由した参照光の光路長が、眼底を経由した測定光の光路長と一致するように、測定光と参照光との間の光路長差を調整してもよい。なお、光路長差が調整される場合、ゼロディレイ位置よりも網膜が奥側に形成された状態でOCTデータが取得されるように調整されてもよいし、ゼロディレイ位置よりも脈絡膜が前側に形成された状態でOCTデータが取得されるように調整されてもよい。
本実施例では、例えば、眼底からの測定光の光路長と、第1の参照光路110aからの参照光とが一致するように、測定光路に配置された光学部材が移動されることによって、測定光の光路長が調整されてもよい。これによって、少なくとも、第1の検出器110aからの出力信号に基づいて得られる第1のOCTデータには、眼底のOCTデータが含まれる。
図10は眼底撮影モードにおいて取得されるOCTデータの一例を示す図である。制御部70は、光学部材112を移動させ、第1の参照光路110aと同一の光路長となるように、第2の参照光路110bの光路長を調整してもよい。この結果、第1の検出器110aに基づく第1のOCTデータと、第2の検出器110bに基づく第2のOCTデータとが、眼底の同一領域となる。この場合、制御部70は、第1のOCTデータと第2のOCTデータとに基づく合成OCTデータ(例えば、加算平均画像、超解像画像、等)を得てもよい。これによって、短時間で、所定の撮像領域に関する良好な眼底のOCTデータが得られる。
<眼軸長測定モード>
眼軸長測定モードに設定された場合、制御部70は、導光光学系150を制御し、前述の眼底撮影モードと同一の光学配置に切り替えてもよい。この場合、例えば、制御部70は、瞳孔上に測定光の旋回点が形成される共に、測定光の集光位置が眼底上に形成されるように、導光光学系150の光学配置を切り換えられてもよい。これによって、眼軸長測定の際に得られるOCTデータにおいて、眼底の形態情報(例えば、黄斑付近の情報)を詳細に取得でき、結果として、被検眼の眼軸長を精度よく測定可能となる。
眼軸長測定モードに設定された場合、制御部70は、測定光と参照光の少なくともいずれかの光路長を調整し、第1の検出器120aと第2の検出器120bの一方によるOCTデータの取得領域を眼底に設定し、第1の検出器120aと第2の検出器120bの他方によるOCTデータの取得領域を角膜に設定してもよい。
図11は眼軸長撮影モードにおいて取得されるOCTデータの一例を示す図である。本実施例では、例えば、眼底からの測定光の光路長と、第1の参照光路110aからの参照光とが一致するように、測定光路に配置された光学部材が移動されることによって、測定光の光路長が調整されてもよい。これによって、少なくとも、第1の検出器110aからの出力信号に基づいて得られる第1のOCTデータには、眼底のOCTデータが含まれる。
第1のOCTデータに眼底のOCTデータが含まれるように、測定光路に配置された光学部材の位置が調整された状態において、例えば、制御部70は、角膜からの測定光の光路長と、第2の参照光路110bからの参照光とが一致するように、第2の参照光路110bに配置された光学部材112が移動されることによって、第2の参照光路110bの参照光の光路長が調整されてもよい。これによって、第2の検出器110bからの出力信号に基づいて得られる第2のOCTデータには、角膜のOCTデータが含まれる。
眼底のOCTデータと角膜のOCTデータが取得されると、制御部70は、眼底のOCTデータに基づいて網膜位置を検出すると共に、角膜のOCTデータに基づいて角膜位置を検出してもよい。制御部70は、網膜位置の検出結果と、角膜位置の検出結果と、第1の参照光路110aと第2の参照光路110bとの光路長差を利用して眼軸長を測定してもよい。
この場合、例えば、第1の参照光路110aと第2の参照光路110bとの光路長差は、光学部材112を移動させるための駆動部の駆動位置によって求められてもよいし、光学部材112の位置に基づいて検出されてもよい。なお、第1の参照光路110aと第2の参照光路110bとの光路長差が固定の場合、既知の光路長差が用いられてもよい。また、これに限定されず、FPN生成光学系200において、角膜に対応するFPN信号を生成するためのFPN発生用光学部材と眼底に対応するFPN信号を生成するFPN発生用光学部材を備える構成とし、既知の光学部材の位置を利用して、光路長差を取得してもよい。この場合、光路長差に対応すべく、3つ以上のFPN発生用光学部材が用いられてもよい。
<前眼部撮影モード>
前眼部撮影モードに設定された場合、制御部70は、導光光学系150を制御し、角膜及び水晶体を含む前眼部のOCTデータを得るための光学配置に切り替えてもよい。この場合、被検眼瞳孔よりも装置側に測定光の旋回点が形成されると共に、測定光の集光位置が前眼部上に形成されるように、導光光学系150の光学配置を切り換えてもよい。なお、導光光学系150の光学配置の切換に係る構成については、例えば、特開2016−209577号公報を参照されたい。
前眼部撮影モードに設定された場合、制御部70は、制御部70は、測定光と参照光の少なくともいずれかの光路長を調整し、第1の検出器120aと第2の検出器120bの一方によるOCTデータの取得領域を水晶体に設定し、第1の検出器120aと第2の検出器120bの他方によるOCTデータの取得領域を角膜に設定してもよい。ここで、第1の検出器120aによって取得されるOCTデータと、第2の検出器120bによって取得されるOCTデータとは、被検眼上の取得領域の少なくとも一部が深さ方向に関して異なる。これによって、角膜領域を含むOCTデータと、水晶体領域を含むOCTデータが取得されてもよい。この場合、角膜領域を含むOCTデータに、角膜及び水晶体前面が少なくとも含まれ、水晶体領域を含むOCTデータに、水晶体後面が少なくとも含まれてもよい。つまり、前眼部領域における前側領域のOCTデータと、前眼部領域における後側領域のOCTデータとが、それぞれ別々に取得されてもよい。
なお、制御部70は、例えば、水晶体領域を含むOCTデータと、角膜領域を含むOCTデータとを合成してもよい。この場合、前述のFPN信号を用いた合成処理が用いられてもよく、角膜及び水晶体からの測定光の光路長と、FPN生成光学系200を経由した測定光の光路長が一致するように、FPN生成光学系200の光路長が設定されてもよい。いいかえれば、角膜領域を含むOCTデータと水晶体領域を含むOCTデータとを取得できるように導光光学系150の測定光と参照光との光路長差が設定された状態において、各OCTデータにFPN信号が含まれるように、FPN生成光学系200が設定されてもよい。
なお、光路長差が調整される場合、ゼロディレイ位置よりも角膜前面が奥側に形成された状態で角膜領域を含むOCTデータが取得されるように調整され、ゼロディレイ位置よりも水晶体後面が前側に形成された状態で水晶体領域を含むOCTデータが取得されるように調整されてもよい。これにより、画像合成時のミラーイメージによる影響を回避できる。また、第1のOCTデータと第2のOCTデータとの間において、深さ方向において被検眼上の取得領域の一部が重複するように、第1の参照光路110aと第2の参照光路110bの光路長差が設定されてもよい。これによって、画像合成における連結をスムーズに行うことができる。
図12は前眼部撮影モードにおいて取得されるOCTデータの一例を示す図である。本実施例では、例えば、水晶体からの測定光の光路長と、第1の参照光路110aからの参照光とが一致するように、測定光路に配置された光学部材が移動されることによって、測定光の光路長が調整されてもよい。これによって、少なくとも、第1の検出器110aからの出力信号に基づいて得られる第1のOCTデータには、水晶体領域のOCTデータが含まれる。
第1のOCTデータに水晶体のOCTデータが含まれるように、測定光路に配置された光学部材の位置が調整された状態において、例えば、制御部70は、角膜からの測定光の光路長と、第2の参照光路110bからの参照光とが一致するように、第2の参照光路110bに配置された光学部材112が移動されることによって、第2の参照光路110bの参照光の光路長が調整されてもよい。これによって、第2の検出器110bからの出力信号に基づいて得られる第2のOCTデータには、角膜のOCTデータが含まれる。
水晶体のOCTデータと角膜のOCTデータが取得されると、例えば、制御部70は、水晶体のOCTデータと角膜のOCTデータを合成し、合成OCTデータを取得してもよい。さらに、制御部70は、合成OCTデータに基づいて角膜位置、水晶体位置等を検出し、被検眼の前房深度、水晶体厚等を測定してもよい。
<他のOCTデータに含まれるFPN信号を用いたOCTデータの補正>
制御部70は、第1のOCTデータと第2のOCTデータの一方にてFPN信号を含むOCTデータを取得し、第1のOCTデータと第2のOCTデータの他方においてFPN信号を含まないOCTデータを取得してもよい。また、制御部70は、FPN信号を含むOCTデータにおけるFPN信号に基づいて波数マッピング情報を得て、FPN信号を含まないOCTデータを補正するようにしてもよい。当該構成によれば、複数の検出器を用いる場合において、各検出器に応じてFPN生成光学系を設ける必要が必ずしもなくなる。この場合、制御部70は、FPN信号を含まないOCTデータをリアルタイムで補正するようにしてもよく、これによれば、OCTデータの補正をさらに精度よく補正できる。
この場合、例えば、制御部70は、測定光と参照光の少なくともいずれかの光路長を調整し、第1の検出器120aと第2の検出器120bの一方によるOCTデータの取得領域を所定の撮影部位(例えば、眼底、角膜、水晶体)に設定してもよい。また、制御部70は、第1の検出器120aと第2の検出器120bの他方によるOCTデータの取得領域をFPN生成光学系200の光学部材(例えば、光学部材204、光学部材206)に設定する。
図13は眼底撮影モードにおいてリアルタイム補正を適用する場合の一例を示す図である。例えば、制御部70は、測定光と参照光の少なくともいずれかの光路長を調整し、第1の検出器120aと第2の検出器120bの一方によるOCTデータの取得領域を眼底に設定する(上記眼底撮影モード参照)。
また、制御部70は、第1の検出器120aと第2の検出器120bの他方によるOCTデータの取得領域をFPN生成光学系200の光学部材(例えば、光学部材204、光学部材206)に設定する。この場合、FPN生成光学系200の光路長は、眼底を経由して検出器120aに達した測定光の光路長とは異なる長さに設定される。例えば、制御部70は、複数の参照光路の少なくともいずれかを経由した参照光の光路長が、FPN生成光学系200を経由した測定光の光路長と一致するように、測定光と参照光との間の光路長差を調整してもよい。
本実施例では、例えば、眼底からの測定光の光路長と、第1の参照光路110aからの参照光とが一致するように、測定光路に配置された光学部材が移動されることによって、測定光の光路長が調整されてもよい。これによって、少なくとも、第1の検出器110aからの出力信号に基づいて得られる第1のOCTデータには、眼底のOCTデータが含まれる。
また、制御部70は、第1のOCTデータに眼底のOCTデータが含まれるように、測定光路に配置された光学部材の位置が調整された状態において、例えば、制御部70は、FPN生成光学系200の光学部材からの測定光の光路長と、第2の参照光路110bからの参照光とが一致するように、第2の参照光路110bに配置された光学部材112が移動されることによって、第2の参照光路110bの参照光の光路長が調整されてもよい。これによって、第2の検出器110bからの出力信号に基づいて得られる第2のOCTデータには、FPN信号を含むOCTデータが含まれる。この場合、結果として、FPN信号に加えて、角膜、水晶体等の信号が含まれてもよい。
なお、上記説明においては、眼底撮影モードでの適用例を示したが、これに限定されず、他の撮影モードにおいて、上記構成が適用されてもよい。
なお、上記説明において、第1のOCTデータと第2のOCTデータの一方にてFPN信号(例えば、FPN信号のみ)を含むOCTデータを取得し、第1のOCTデータと第2のOCTデータの他方にてFPN信号を含まない被検眼のOCTデータを取得するような場合、上記のような光路長調整に限定されず、遮光部材が用いられてもよい。例えば、制御部70は、遮光部材210を第1の光路中に配置することによって、FPN(例えば、FPN1)を含まない第1のOCTデータを得てもよい。この場合、第2の光路中から遮光部材212が外されているので、FPN(例えば、FPN2)を含む第2のOCTデータが得られる。なお、FPN信号のみが得られる場合、FPN信号を用いた補正を精度よく行うことができる。
<偏光調整>
制御部70は、偏光調整部(例えば、第1の偏光調整部300、第2の偏光調整部302、第3の偏光調整部304)を制御し、OCTデータを得る際の偏光状態を調整するようにしてもよい。なお、偏光状態を調整するタイミングとしては、例えば、電源投入時に実施されてもよいし、被検者が変更される毎に実施されてもよい。また、OCT光学系における撮影条件を最適化する最適化制御の際に実施されてもよい。
以下、前眼部撮影モードにおける偏光状態の調整を例として説明する。図14は、前眼部撮影モードにおいて偏光調整を行う場合のOCTデータの一例を示す図である。まず、制御部70は、第2の偏光調整部302を制御し、第2のOCTデータにおける角膜像の信号強度が最大となるように偏光状態を調整する。これによって、第2のOCTデータにおける角膜像が良好な信号強度で取得される。
図15はFPNの信号強度の一例を示す図である。次に、制御部70は、第3の偏光調整部304を制御し、第2のOCTデータにおけるFPN信号の信号強度が最大となるように偏光状態を調整する。これによって、第2のOCTデータにおけるFPN信号が良好な信号強度で取得される。この結果、第2のOCTデータにおける角膜像とFPN信号とが良好な信号強度で取得される。
次に、制御部70は、第1の偏光調整部300を制御し、第2のOCTデータにおけるFPN信号と第1のOCTデータにおけるFPN信号との間の信号強度比が、所定の信号強度比(例えば、互いの信号強度比が等しい状態)となるように偏光状態を調整する。これによって、第1のOCTデータにおけるFPN信号が良好な信号強度で取得されると共に、第1のOCTデータにおける水晶体像が良好な信号強度で取得される。
上記のような制御によれば、第1のOCTデータと第2のOCTデータとの間での信号強度のバランスを調整できる。さらに、水晶体を含むOCTデータに関する偏光状態の調整において、第2のOCTデータにおけるFPN信号と第1のOCTデータにおけるFPN信号との間の信号強度比を用いることで、水晶体像を用いて偏光状態を調整するよりも、精度よく偏光状態が調整される。つまり、この場合の水晶体像は、水晶体後面の情報のみに限定される可能性があり、画像としての情報量が比較的少ないため、信号評価値としての精度が低くなる可能性がある。その結果、良好な偏光状態に調整できない場合がある。これに対し、FPN信号が用いられることで、安定的な信号強度を確保できるので、信号評価値としての精度を確保でき、偏光状態を良好に調整できる。
加えて、水晶体後面の情報のみに最適化された偏光状態である場合、第1のOCTデータと第2のOCTデータとの間で検出している偏光のミスマッチが生じ、これにより両者の接続領域で強度信号のギャップが生じてしまう。これは例えば、水晶体がギャップ位置にある場合などに顕著である。すなわち水晶体の(一般には弱い)強度信号が不連続になるということであり、混濁具合などを定量評価しようとした場合に致命的となりうる。一方、本実施例により第1のOCTデータと第2のOCTデータとの間で検出している偏光のミスマッチが解消されていれば、このようなギャップは生じない。
また、上記説明において、FPN生成光学系の偏光状態が調整されることで、FPN信号を精度よく検出できるので、FPN信号を用いた各種処理を適正に行うことができる。
なお、上記説明においては、FPN信号を用いて水晶体を含むOCTデータに関する偏光状態を調整したが、これに限定されず、OCTデータにおける水晶体像全体の信号強度を用いて偏光状態を調整してもよい。
なお、上記説明においては、第1の検出器120aと第2の検出器120bを用いる場合に、第1の検出器120aによって得られるOCTデータと、第2の検出器120bによって得られるOCTデータのそれぞれに関して、偏光状態を調整することで、各OCTデータを良好な信号強度にて取得できる。もちろん、これに限定されず、一方のOCTデータに関してのみ、偏光状態が調整されてもよい。
また、第1の検出器120aと第2の検出器120bのいずれか一方を用いる場合には、例えば、使用される検出器によって得られるOCTデータに関して、偏光状態が調整されてもよい。
<広角眼底撮影モード>
上記眼底撮影モードは、眼底中心部と眼底周辺部を含む広角領域でのOCTデータを得るための広角眼底撮影モードであってもよい。また、上記のような通常の眼底撮影モードと、広角眼底撮影モードとが切換可能であってもよい。また、広角眼底撮影モードにおいては、光スキャナ156による眼底上での測定光の走査範囲が、眼底の中心部と周辺部を含む広角領域に設定されてもよい。この場合、広角撮影用のレンズアタッチメントが用いられてもよい。
図16は広角眼底撮影モードにおいて取得されるOCTデータの一例を示す図である。広角眼底撮影モードに設定された場合、制御部70は、測定光と参照光の少なくともいずれかの光路長を調整し、第1の検出器120aと第2の検出器120bによるOCTデータの取得領域を、眼底中心部と眼底周辺部とを含む広角領域に設定してもよい。例えば、制御部70は、第1の検出器120aによるOCTデータの取得領域を、眼底中心部に設定し、第2の検出器120bによるOCTデータの取得領域を、眼底周辺部に設定してもよい。本実施例では、第1の検出器120aによって第1のOCTデータが取得され、第2の検出器120bによって第2のOCTデータが取得されてもよい。
ここで、眼は、眼球中心を中心として球状となっており、眼底は、眼底中心部を底部とする凹形状となっているところ、測定光は、瞳孔中心付近を中心に旋回され眼底を走査される。この場合、走査中心から眼底中心部までの光路長よりも、走査中心から眼底周辺部までの光路長の方が短くなる。通常、OCTデータを得る際の深度方向の撮像可能範囲は、ゼロディレイ位置から所定距離であり、眼底を広角に走査した場合、深度方向に関して撮像可能範囲から外れてしまう可能性がある。
そこで、例えば、眼底中心部と眼底周辺部との間の光路長差を考慮して第1の参照光路110aと第2の参照光路110bとの間の光路長差が設定されると共に、被検眼眼底に対して測定光と参照光の光路長差が調整されることで、眼底中心部のOCTデータを含む第1のOCTデータと、眼底周辺部のOCTデータを含む第2のOCTデータと、が取得可能となる。この場合、例えば、第1の参照光路110aの光路長が、眼底中心部からの測定光の光路長に合わせて設定され、第2の参照光路110bの光路長が、眼底周辺部からの測定光の光路長に合わせて設定されてもよい。この場合、眼球形状を考慮し、眼底周辺部に対応する参照光路110bの方が、眼底中心部に対応する参照光路110aよりも光路長が短く設定されてもよい。もちろん、場合によっては、眼底周辺部に対応する参照光路110bの方が、眼底中心部に対応する参照光路110aよりも光路長が長く設定されてもよい。
例えば、第2のOCTデータに含まれる眼底周辺部のOCTデータは、第1のOCTデータに含まれる眼底中心部のOCTデータが端部にて横断方向及び深度方向の少なくともいずれかに関して連続するOCTデータであってもよい。この場合、例えば、互いのOCTデータの一部が、横断方向及び深度方向の少なくともいずれかに関して重複し、かつ、端部にて連続するOCTデータであってもよい。なお、広角領域でのOCTデータを得る際の第1の参照光路110aと第2の参照光路110bとの間の光路長差は、固定であってもよいし、可変であってもよい。
例えば、第1のOCTデータは、少なくとも眼底の黄斑部及び乳頭部を含む第1の眼底領域でのOCTデータを含み、第2のOCTデータは、第1の眼底領域の両端部よりも外側の領域をそれぞれ含んでもよい。また、これに限定されず、第1のOCTデータは、少なくとも眼底の黄斑部を含む第1の眼底領域でのOCTデータを含み、第2のOCTデータは、第1の眼底領域の両端部よりも外側の領域をそれぞれ含んでもよい。
例えば、第1のOCTデータと第2のOCTデータは、深度方向における被検眼上のデータ取得領域が異なってもよく、この場合、第1のOCTデータと第2のOCTデータとの間において、深度方向において被検眼上の取得領域の一部が重複するように、第1の参照光路110aと第2の参照光路110bの光路長差が設定されてもよい。これによって、第1のOCTデータと第2のOCTデータとを合成する際の連結処理をスムーズに行うことができる。
図17は広角眼底撮影モードにおいて取得されたOCTデータを合成した場合の一例を示す図である。制御部70は、例えば、第1のOCTデータと第2のOCTデータとを合成することによって、第1のOCTデータと第2のOCTデータに基づく広角OCTデータを取得してもよい。この場合、第1のOCTデータと第2のOCTデータとが深度方向に関して連続するように合成されてもよい。
この場合、制御部70は、前述のFPN信号を用いた合成処理を行ってもよく、眼底の中心部及び周辺部からの測定光の光路長と、FPN生成光学系200を経由した測定光の光路長が一致するように、FPN生成光学系200の光路長が設定されてもよい。
眼底中心部のOCTデータを含む第1のOCTデータと、眼底周辺部のOCTデータを含む第2のOCTデータとを取得できるように、測定光と参照光との光路長差が設定された状態において、各OCTデータにFPN信号が含まれるように、FPN生成光学系200が設定されてもよい。
なお、合成処理としては、FPNを用いた処理に限定されず、例えば、制御部70は、第1のOCTデータと第2のOCTデータとの間の重複領域を用いたマッチング処理によって、第1のOCTデータと第2のOCTデータの位置関係を規定してデータ合成を行ってもよい。また、制御部70は、第1の参照光路110aと第2の参照光路110bとの間の光路長差を利用して第1のOCTデータと第2のOCTデータの位置関係を規定してデータ合成を行ってもよい。その際、重複領域がある場合は、感度が高い側の信号を採用しても良いし、ノイズ・アーチファクトが少ない側を採用しても良い。また接続部で急激な変化が生じないように、接続部で各種スムーズ化等の処理がなされても良い。
<1回のBスキャンでの広角撮影>
制御部70は、光スキャナ156を制御し、1回のBスキャンによって、眼底の中心部と周辺部を含む広角領域に測定光を走査して第1のBスキャンOCTデータと第2のBスキャンOCTデータを取得するようにしてもよい(図16参照)。
例えば、水平方向に関して始点Aから終点Dとする1回のBスキャンが行われる場合、始点Aから点B付近の眼底領域が走査されると、第2の検出器120bからの出力信号に基づいて、眼底周辺部(左側)からの反射光と参照光とによるOCTデータが取得される。また、第1の検出器120aからの出力信号に基づいて、眼底周辺部(左側)に近い眼底中心部からの反射光と参照光とによるOCTデータが取得される。
次に、点B付近から点C付近までの眼底領域が走査されると、第1の検出器120aからの出力信号に基づいて、中心部からの反射光と参照光とによるOCTデータが取得される。さらに、点C付近から終点Dまでの眼底領域が走査されると、第2の検出器120bからの出力信号に基づいて、周辺部(右側)からの反射光と参照光とによるOCTデータが取得される。また、第1の検出器120aからの出力信号に基づいて、眼底周辺部(右側)に近い眼底中心部からの反射光と参照光とによるOCTデータが取得される。
上記制御によれば、広角領域でのBスキャンOCTデータをスムーズに取得できる。この場合、取得された第1のOCTデータと第2のOCTデータを合成することによって、広角BスキャンOCTデータが取得されてもよい。
また、眼底上の複数の広角領域に関してBスキャンをそれぞれ行うようにしてもよい(例えば、クロススキャン、マルチラインスキャン、ラジアルスキャン等)。なお、これに限定されず、眼底中心部と眼底周辺部を含む広角領域を複数回に分けてBスキャンを行い、第1のBスキャンOCTデータと第2のBスキャンOCTデータを取得するようにしてもよい。
また、制御部70は、1回のラスタースキャンによって、各走査ラインにて眼底中心部と眼底周辺部を含む広角領域に測定光を走査して第1の3次元OCTデータと第2の3次元OCTデータを取得するようにしてもよい。この場合、ラスタースキャンを構成する複数の走査ラインに関してそれぞれ測定光が走査される。各走査ラインは、それぞれ広角領域に対応する走査範囲を有してもよい。これによって、広角領域での3次元OCTデータをスムーズに取得できる。この場合、例えば、制御部70は、ラスタースキャンを構成する各走査ラインに関して複数回測定光を走査し、各走査ラインでの時間的に異なる複数のOCTデータに基づいて広角での3次元モーションコントラストOCTデータ(OCTアンジオデータ)を取得してもよい。
なお、1回のBスキャンにおける走査範囲は、図16に示された正面画像に対する走査範囲に限定されるものではなく、さらに広角の眼底領域を走査する場合においても、本実施例の適用が可能であることはいうまでもない。この場合、2つの参照光路が用いられてもよいし、3つ以上の参照光路が用いられてもよい。
<光路長調整>
以下、広角眼底撮影モードにおける光路長調整の一例を以下に示す。本実施例では、例えば、眼底中心部からの測定光の光路長と第1の参照光路110aからの参照光の光路長とが略一致するように、測定光路に配置された光学部材が配置されることによって、測定光の光路長が調整されてもよい。これによって、少なくとも、第1の検出器110aからの出力信号に基づいて得られる第1のOCTデータには、眼底中心部を含むOCTデータが含まれる。
眼底中心部のOCTデータが取得されるように、測定光路に配置された光学部材の位置が調整された状態において、例えば、制御部70は、眼底周辺部からの測定光の光路長と第2の参照光路110bからの参照光の光路長とが略一致するように、第2の参照光路110bに配置された光学部材112が配置されることによって、第2の参照光路110bの参照光の光路長が調整されてもよい。これによって、第2の検出器110bからの出力信号に基づいて得られる第2のOCTデータには、眼底周辺部のOCTデータが含まれる。なお、上記において、測定光の光路長が調整される代わりに、第1の参照光路110aの参照光の光路長が調整されてもよい。
<光路長設定に関する第1実施例>
第1の参照光路110aは、ゼロディレイ位置よりも眼底中心部の脈絡膜が前側に形成された状態で第1のOCTデータが取得されるように光路長が設定されてもよい(図16参照)。これによれば、例えば、眼底中心部でのOCTデータにおいて感度減衰に伴う脈絡膜像の劣化が軽減されると共に、第1のOCTデータにおいてミラーイメージ(虚像)と実像とが混在するのを軽減できる。
また、第2の参照光路110bは、ゼロディレイ位置よりも眼底周辺部の網膜が奥側に形成された状態で第2のOCTデータが取得されるように光路長が設定されてもよい(図16参照)。これによれば、例えば、眼底周辺部での光量低下に伴う画像の劣化が軽減されると共に、第2のOCTデータにおいてミラーイメージ(虚像)と実像とが混在するのを軽減できる。
なお、広角領域でOCTデータを得る場合、周辺に向かうほど光量が低下するという傾向が顕著に表れる。これは、対物光学系の特性上、瞳孔中心が眼底曲率と必ずしも一致しておらず、中心から外れるほど照射する光の方向と、反射・散乱され検出される光の方向とに乖離が生じてしまうためである。例えば、眼底周辺部において最も中心から離れた位置での戻り光量が最も低くなる。このことは、眼底OCT像において、表面に垂直に光が照射され検出系の方向と一致している中心近傍では表面反射による飽和部が生じるのに対し、周辺部ではこの現象が見られないことからも明らかである。この結果、眼底周辺部での信号強度は、眼底中心部に比べて低下する傾向にある。更に一般に投光系の光学性能は軸外になるほど収差が発生し低下することが知られており、その影響も鑑みれば最周辺での戻り光量低下は不可避と言うことが出来る。そしてその影響は線形でなく、少なくとも半画角の2乗で寄与するため、系を広角化するに伴い、顕著に現れる。
そこで、周辺に向かうほど戻り光量が低下するという傾向と、ゼロディレイ位置に近いほど感度が増大するという深さ方向での感度特性とを考慮し、ゼロディレイ位置よりも眼底周辺部の網膜が奥側に形成された状態で第2のOCTデータが取得されるように光路長が設定されることによって、周辺に向かうほど感度を高くすることができるので、眼底周辺部での光量低下の影響を軽減できる。
なお、第1のOCTデータに関し、眼底中心部での脈絡膜がゼロディレイ位置よりも前側に形成された状態で取得され、第2のOCTデータに関し、眼底周辺部での網膜がゼロディレイ位置よりも奥側に形成されることによって、第1のOCTデータ及び第2のOCTデータの両方においてミラーイメージと実像との混在を軽減できると共に、広角領域でのOCTデータ全体を良好な信号強度で得ることができる。
<光路長設定に関する第2実施例>
なお、上記説明においては、ミラーイメージと実像との混在を軽減するための手法を例示したが、これに、限定されない。図18は広角眼底撮影モードにおいて取得されるOCTデータの他の例を示す図である。例えば、第2のOCTデータを取得する際、ゼロディレイ位置よりも眼底周辺部での脈絡膜が前側に形成され、かつ、ゼロディレイ位置よりも眼底中心部での網膜が奥側に形成されるように光路長が設定されてもよい。この場合、眼底中心部が走査されたときのミラーイメージと眼底周辺部が走査されたときの実像との混在が発生するが、眼底は、比較的に厚みが少ない面状の組織であるので、重複する範囲は小さく、適切に使用領域を切り出すことで眼底診断において使用可能である場合もあり得る。
図19は、図18にて例示されたOCTデータを合成した場合の一例を示す図である。例えば、第1のOCTデータと第2のOCTデータを合成する際、第2のOCTデータにおける周辺部分のデータと、第1のOCTデータにおける中心部分のデータを合成することによって、ミラーイメージの影響を軽減できる。
上記のように第2のOCTデータを取得するのに加えて、例えば、第1のOCTデータを取得する際、ゼロディレイ位置よりも眼底中心部での脈絡膜が前側に形成されるように光路長が設定されてもよい。これによって、各OCTデータにおいて脈絡膜側が高い感度となるので、脈絡膜における組織変化を広角領域においてより容易に判別できる。
<光路長設定に関する第3実施例>
例えば、第1のOCTデータを取得する際、ゼロディレイ位置よりも眼底中心部での網膜が奥側に形成されるように光路長が設定され、かつ、ゼロディレイ位置よりも眼底周辺部での脈絡膜が前側に形成されるように光路長が設定されてもよい。この場合、眼底周辺部が走査されたときのミラーイメージと眼底中心部が走査されたときの実像との混在が発生するが、眼底は、比較的に厚みが少ない面状の組織であるので、重複する範囲は小さく、眼底診断において使用可能である場合もあり得る。
また、例えば、第1のOCTデータと第2のOCTデータを合成する際、第2のOCTデータにおける周辺部分のデータと、第1のOCTデータにおける中心部分のデータを合成することによって、ミラーイメージの影響を軽減できる。
上記のように第1のOCTデータを取得するのに加えて、例えば、第2のOCTデータを取得する際、ゼロディレイ位置よりも眼底周辺部での網膜が奥側に形成されるように光路長が設定されてもよい。これによって、各OCTデータにおいて網膜側が高い感度となるので、網膜における組織変化を広角領域においてより容易に判別できる。
<広角撮影での複数の検出器利用>
図20は、複数の参照光路及び複数の検出器を用いて眼底中心部と眼底周辺部のOCTデータを得た場合の一例を示す図である。図21、図22は、一つの参照光路及び一つの検出器を用いて眼底中心部と眼底周辺部のOCTデータを得た場合の一例を示す図である。なお、図20〜図22におけるΔWは、ゼロディレイ位置での感度に対して所定量感度を保って撮影可能な領域を示す。
本実施例において、眼底中心部のOCTデータを得るための参照光路及び検出器と、眼底周辺部でのOCTデータを得るための参照光路及び検出器とを、それぞれ設けることによって、眼底中心部と眼底周辺部のOCTデータを良好な信号強度で同時に得ることができる(図20参照)
この場合、第1の検出器120aと第2の検出器120bの一方にて第1のOCTデータが取得され、第1の検出器120aと第2の検出器120bの他方にて第2のOCTデータが取得されてもよい。
なお、一つの参照光路及び一つの検出器のみで眼底中心部と眼底周辺部のOCTデータを同時に取得しようとする場合、第1の構成として、ゼロディレイ位置よりも前側に眼底中心部が配置される(図21参照)、又は、第2の構成として、ゼロディレイ位置よりも奥側に眼底周辺部が配置される場合があり得る(図22参照)。この場合、ゼロディレイ位置から離れるほど感度が減衰するという深さ方向での感度減衰特性と、周辺に向かうほど光量が低下するという光量低下特性の影響を受ける。
第1の構成の場合、中心付近の網膜及び脈絡膜は比較的コントラストよく見えるが、眼底周辺部の画質は、感度減衰特性と光量低下特性による2重の影響によって大きく低下してしまう。従って、広角に撮影したとしても広角領域で感度が十分でなく、広角化による診断能の向上は限定的と言わざるを得ない。一方、第2の構成の場合、周辺付近の網膜及び脈絡膜は比較的コントラストよく見えるが、眼底疾患において重要な黄斑部及び乳頭部での画質が大きく低下してしまう(図21参照)。近年、眼疾患による構造変化は網膜よりも先に脈絡膜近傍に現れるという研究が知られており、第2の構成の場合、広角とすることで却って脈絡膜側の診断能を下げることにも繋がる。
なお、上記構成においては、眼底中心部と眼底周辺部とでそれぞれ検出器を設けるものとしたが、眼底中心部と眼底周辺部で検出器を兼用してもよく、この場合、例えば、複数の参照光路を光スイッチ等により選択的に切換える構成であってもよい。このような構成であっても、眼底中心部と眼底周辺部のOCTデータを良好な信号強度で得ることができる。
<前眼部撮影モードとの併用>
なお、本実施例では、眼底中心部のOCTデータを得るための参照光路及び検出器と、眼底周辺部でのOCTデータを得るための参照光路及び検出器とを、角膜及び水晶体前面及び後面を含む前眼部のOCTデータの取得に用いることによって、眼底の中心部及び周辺部のOCTデータと、角膜及び水晶体前面及び後面を含む前眼部のOCTデータと、を良好な信号強度にて得ることができ、眼球全体のOCTデータを良好な信号強度にて得ることができる。なお、前眼部撮影モードについては、前述しており、特段の説明を省略する。
なお、角膜と水晶体とでそれぞれ別の検出器を用いることで、同時検出が可能となるが、角膜と水晶体で検出器を兼用してもよく、この場合、例えば、複数の参照光路を光スイッチ等により選択的に切換える構成であってもよい。
なお、上記説明においては、SS−OCTを例としたが、これに限定されず、SD−OCTにおいて本実施例が適用されてもよい。この場合、複数の検出器として、複数のスペクトロメータが用いられてもよい。
なお、上記説明においては、被検眼を撮影するためのOCT装置を例としたが、これに限定されず、被検物のOCTデータを撮影するためのOCT装置において、本実施形態が適用されてもよい。また、被検物は、例えば、眼(前眼部、眼底等)、皮膚など生体のほか、生体以外の材料であってもよい。