以下、本実施例に係る撮像レンズ系及び撮像装置を説明する。
(実施例1:撮像レンズ系)
図1は、実施例1に係る撮像レンズ系の断面図である。図1において、撮像レンズ系11は、物体側から像側に向かって順に、正のパワーを有する第1レンズL1、絞りSTOP、負のパワーを有する第2レンズL2、正のパワーを有する第3レンズL3、像側が凹面を有する第4レンズL4と、からなる。撮像レンズ系11の結像面はIMGで示されている。また、撮像レンズ系11は、IRカットフィルタ12と、カバーガラス13と、レンズ鏡筒14とを備える。
第1レンズL1は、正のパワーを有する非球面レンズである。第1レンズL1の物体側レンズ面S1は非球面であり、物体側に突出する凸形状の曲面部分を有している。像側レンズ面S2は物体側に窪む凹形状の曲面部分を有している。
絞りSTOPは、通過する光の量を調整する。例えば、絞りSTOPは、孔を有する板形状のものが好適である。
第2レンズL2は、負のパワーを有するレンズである。第2レンズL2の物体側レンズ面像S4は、像側に窪む凹形状の曲面部分を有し、像側レンズ面S5は物体側に窪む凹形状の曲面部分を有している。
第3レンズL3は、正のパワーを有する非球面レンズである。第3レンズL3の物体側レンズ面S6は像側に窪む凹形状の曲面部分を有しており、像側レンズ面S7は像側に突出する凸形状の曲面部分を有している。
第4レンズL4は、正のパワーを有する非球面レンズである。第4レンズL4の物体側レンズ面S8は物体側に突出する凸形状の曲面部分を有しており、像側レンズ面S9は物体側に窪む凹形状の曲面部分を有している。
IRカットフィルタ12は、赤外光をカットするフィルタである。
カバーガラス13は、撮像素子を保護するためのガラス板である。カバーガラス13は、撮像レンズ系11の設計時には、撮像レンズ系11と一体として扱われる。しかし、カバーガラス13は、撮像レンズ系11の必須の構成要素ではない。
レンズ鏡筒14は、少なくとも第1レンズL1、絞りSTOP、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4の位置を固定するフランジである。具体的には、レンズ鏡筒14は、中空の筒形状を有し、内部にレンズ及び絞りの外周を保持する形状を有する。また、レンズ鏡筒14は、IRカットフィルタ12と、カバーガラス13及び結像面との位置関係を直接的または間接的に固定する形状を有していてもよい。
レンズ鏡筒14の材料は、レンズ及び絞りを固定できればいずれも適用できる。たとえばレンズ鏡筒14の材料は、金属または樹脂が好適である。レンズ鏡筒14の材料は、特にアルミニウムまたはプラスチックが好適である。
レンズ鏡筒14は、温度が上昇すると熱膨張して、長く伸びる。したがって、レンズ鏡筒14に保持されたレンズと結像面との距離は、温度が上昇すると、より長くなる。この結果、レンズ鏡筒14に保持されたレンズと結像面との距離は、撮像レンズ系の焦点距離からずれることになる。
一方、撮像レンズ系11では、第1レンズL1が結像面から一番離れた位置にあるので、温度変化による屈折率の変化が、焦点距離に大きく影響する。そこで、第1レンズL1が、温度が高くなるに連れて屈折率が小さくなる特性を有することにより、レンズ鏡筒の熱膨張に起因する前記撮像レンズ系と結像面との距離の変化を打ち消すように焦点距離を変化させることが容易になる。
温度が高くなるに連れて屈折率が小さくなる特性を有する第1レンズL1としては、フツリン酸系ガラス(もしくはリン酸系ガラス)を用いることが好適である。実施例1では、第1レンズL1にフツリン酸系ガラスを用いた例について説明する。
そして、撮像レンズ系11は、レンズ鏡筒14の熱膨張に起因する前記撮像レンズ系と結像面との距離の変化が、第1レンズL1、絞りSTOP、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4による撮像レンズ系の焦点距離の変化と打ち消し合うことにより、結像面とピント位置のずれを抑制する。詳細な数値の条件については、後述する。
以下、撮像レンズ系11の特性データについて述べる。
まず、表1に、撮像レンズ系11の各レンズ面のレンズデータを示す。レンズデータとしては、各面の曲率半径、次の面との面間隔、d線における25℃の屈折率、アッベ数及び温度帯別の屈折率の変化量を載せている。温度帯別の屈折率の変化量は、表に示す温度範囲での屈折率の温度変化量を示す。例えば、−40℃〜−20℃の欄は、温度が−40℃から−20℃の範囲における屈折率の変化量を示す。この表1を用いて第1レンズL1のd線の100℃の屈折率を求めると、第1レンズL1のd線の25℃の屈折率は、1.55332であるので、第1レンズL1のd線の100℃の屈折率は、1.55332+(40−25)×−0.0000062+(60−40)×−0.0000064+(80−60)×−0.0000064+(100−80)×−0.0000064=1.552843となる。表1では、−40℃以下と100℃以上は定義していないが、−40℃以下の変化量については−20℃〜−40℃、80℃以上については60℃〜80℃の温度変化係数を用いる事とする。なお、後述の実施例においても同様である。また、「*印」がついた面は、非球面であることを示している。
ここで、レンズ面に採用される非球面形状は、光軸方向のサグ量をY(h)、cを曲率半径の逆数、光軸に直交する方向の光軸からの高さをh、円錐係数をK、4次、6次、8次、10次、12次、14次、16次の非球面係数をそれぞれA4、A6、A8、A10、A12、A14、A16とすると、次式により表される。なお、各記号の意味及び非球面形状を表す式は、後述の実施例においても同様である。
表2に、実施例1の撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表2において、例えば「−6.522528E−03」は、「−6.522528×10
−3」を意味する。
図2は、実施例1の撮像レンズ系の常温における像面湾曲図、歪曲収差図、球面収差図である。図2に示すように、実施例1の撮像レンズ系11では、半画角が13°、F値が1.8である。図2の像面湾曲図では、横軸は光軸Z方向の距離を示し、縦軸は像高(画角)を示す。また、図2の像面湾曲図において、Sagはサジタル面における像面湾曲を示し、Tanはタンジェンシャル面における像面湾曲を示す。図2の像面湾曲図に示すように、本実施例の撮像レンズ系11によれば、像面湾曲が良好に補正されている。従って、撮像レンズ系11が高解像度となる。
図2の歪曲収差図において、横軸は像の歪み量(%)を示し、縦軸は像高(画角)を示す。図2の像面湾曲図、歪曲収差図では、波長558nmの光線によるシミュレーション結果を示してある。図2の球面収差図では、横軸は光線が光軸と交わる位置を示し、縦軸は瞳径での高さを示す。図2の球面収差図に示すように、本実施例の撮像レンズ系11では、異なる波長でピントずれが発生することが抑制される。
図3〜7は、実施例1に係る撮像レンズ系の横収差図である。図3〜7において、横軸は、相対瞳X座標または相対瞳Y座標を示し、縦軸は横収差量を示す。図3は、半画角0°での撮像レンズ系の横収差図である。図4は、半画角5°での撮像レンズ系のタンジェンシャル面における横収差図である。図5は、半画角5°での撮像レンズ系のサジタル面における横収差図である。図6は、半画角8.8°での撮像レンズ系のタンジェンシャル面における横収差図である。図7は、半画角8.8°での撮像レンズ系のサジタル面における横収差図である。図3〜7に示すように、波長によるばらつきが少なく、色の滲みが抑制されている。
次に、表3に、実施例1の撮像レンズ系11の特性値を計算した結果を示す。撮像レンズ系11において、レンズ系全体の焦点距離をf、第1レンズL1の焦点距離をf
1、第2レンズL2の焦点距離をf
2、第3レンズL3の焦点距離をf
3、第4レンズL4の焦点距離をf
4、としたときのこれらの特性値及び、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4の屈折率を表3に示す。各種の焦点距離は、558nmの波長の光線を用いて計算した。
温度特性を表4に示す。各種の焦点距離は、558nmの波長の光線を用いて計算した。
表4において、dn/dT(10^−6)は、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4について、20℃から40℃に温度が変化した際の屈折率の変化量を10−6オーダーで示したものである。
1/f1*dn/dt×10^6は、第1レンズL1の焦点距離の逆数に、第1レンズL1の温度に対する屈折率の変化量を乗算し、更に106を乗算したものである。1/f2*dn/dt×10^6、1/f3*dn/dt×10^6及び1/f4*dn/dt×10^6も、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4について同様の計算を行った結果である。
f/f1*dn/dt×10^6は、レンズ系全体の焦点距離fを第1レンズL1の焦点距離f1除算した値に、第1レンズL1の温度に対する屈折率の変化量を乗算し、更に106を乗算したものである。
f/f2*dn/dt×10^6、f/f3*dn/dt×10^6及びf/f4*dn/dt×10^6も、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4について同様の計算を行った結果である。
L1〜像面(=LL1)は、第1レンズL1の像側レンズ面S2から結像面までの光軸上における距離を示す。L2〜像面(=LL2)、L3〜像面(=LL3)及びL4〜像面(=LL4)も同様に第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4の像側レンズ面S2から結像面までの光軸上における距離を示す。
ここで表4では、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4において、焦点距離の逆数に、レンズの温度に対する屈折率の変化量を乗算し、更に106を乗算した値f/f1*dn/dt×10^6、f/f2*dn/dt×10^6、f/f3*dn/dt×10^6、f/f4*dn/dt×10^6をそれぞれ、a、b、c、dを定義し、レンズから結像面までの距離LL1、LL2、LL3、LL4をe、g、h、iと定義する。
第1レンズL1における温度変化による焦点距離の変化は、上述の1/f1*dn/dt×10^6にL1〜像面(=LL1)を乗算した値により求まる。第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4における温度変化による焦点距離の変化も同様の計算により求まる。
すなわち、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4において、温度変化による焦点距離の変化は、それぞれ、aとeを乗算した値A、bとgを乗算した値B、cとhを乗算した値C、dとiを乗算した値Dとなる。
一方、レンズ鏡筒14の熱膨張に起因する焦点距離の変化は、レンズ光学系の全長TTLをレンズ系全体の焦点距離fで除算した値に、鏡筒の線膨張率を乗算することにより求まる。表4では、レンズ鏡筒14の熱膨張に起因する焦点距離の変化をFと定義する。
そして、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4の焦点距離の変化の合計は、表4において、sum(A〜D)で示される。sum(A〜D)はA、B、C及びDを加算した値である。上述の第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4の焦点距離の変化の合計が、レンズ鏡筒14の熱膨張に起因する焦点距離の変化と、打ち消し合うように設定する。例えば、表4においてE+Fで示した値の絶対値が所定の数値以下である場合、打ち消し合っているとみなす。
図8は、実施例1の撮像レンズ系の常温、低温、高温における球面収差図である。図8の球面収差図では、横軸は光線が光軸と交わる位置を示し、縦軸は瞳径での高さを示す。図8に示すように、常温、常温より温度が低い低温、常温より温度が高い高温のいずれの状態においても、本実施例の撮像レンズ系11では、異なる波長でピントずれが発生することが抑制される。
図9は、本実施例における半画角0°での撮像レンズ系のMTFデフォーカス特性を示す。図9において、横軸は、像面位置変化量を示し、縦軸はMTF(Modulation Transfer Function)を示す。図9に示すように、常温、常温より温度が低い低温、常温より温度が高い高温の状態で、ピーク位置の変化が抑制されている。
このように実施例1の撮像レンズ系によれば、第1レンズが、温度が高くなるに連れて屈折率が小さくなる特性を有し、レンズ鏡筒の熱膨張に起因する前記撮像レンズ系と結像面との距離の変化と焦点距離の変化が打ち消し合うことにより、結像面とピント位置のずれを抑制できる。
(実施例2:撮像レンズ系)
図10は、実施例2に係る撮像レンズ系の断面図である。図10において、撮像レンズ系11は、物体側から像側に向かって順に、正のパワーを有する第1レンズL1、絞りSTOP、負のパワーを有する第2レンズL2、正のパワーを有する第3レンズL3、像側が凹面を有する第4レンズL4からなる。撮像レンズ系11の結像面はIMGで示されている。また、撮像レンズ系11は、IRカットフィルタ12と、カバーガラス13と、図示しないレンズ鏡筒14とを備える。
第1レンズL1は、正のパワーを有する非球面レンズである。第1レンズL1の物体側レンズ面S1は非球面であり、物体側に突出する凸形状の曲面部分を有している。像側レンズ面S2は像側に突出する凸形状の曲面部分を有している。第1レンズL1は、温度が高くなるに連れて屈折率が小さくなる特性を有することが好ましい。温度が高くなるに連れて屈折率が小さくなる特性を有する第1レンズL1としては、フツリン酸系ガラス(もしくはリン酸系ガラス)を用いることが好適である。実施例1では、第1レンズL1にフツリン酸系ガラスを用いた例について説明する。
絞りSTOPは、通過する光の量を調整する。例えば、絞りSTOPは、孔を有する板形状のものが好適である。
第2レンズL2は、負のパワーを有するレンズである。第2レンズL2の物体側レンズ面像S4は、像側に窪む凹形状の曲面部分を有し、像側レンズ面S5は物体側に窪む凹形状の曲面部分を有している。
第3レンズL3は、正のパワーを有する非球面レンズである。第3レンズL3の物体側レンズ面S6は像側に窪む凹形状の曲面部分を有しており、像側レンズ面S7は像側に突出する凸形状の曲面部分を有している。
第4レンズL4は、正のパワーを有する非球面レンズである。第4レンズL4の物体側レンズ面S8は物体側に突出する凸形状の曲面部分を有しており、像側レンズ面S9は物体側に窪む凹形状の曲面部分を有している。
IRカットフィルタ12は、赤外光をカットするフィルタである。
カバーガラス13は、撮像素子を保護するためのガラス板である。カバーガラス13は、撮像レンズ系11の設計時には、撮像レンズ系11と一体として扱われる。しかし、カバーガラス13は、撮像レンズ系11の必須の構成要素ではない。
図示しないレンズ鏡筒14は、実施例1と同様に、少なくとも第1レンズL1、絞りSTOP、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4の位置を固定するフランジである。
そして、撮像レンズ系11は、レンズ鏡筒14の熱膨張に起因する焦点距離の変化が、第1レンズL1、絞りSTOP、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4による撮像レンズ系の焦点距離の変化と打ち消し合うことにより、結像面とピント位置のずれを抑制する。詳細な数値の条件については、後述する。
以下、撮像レンズ系11の特性データについて述べる。
まず、表5に、撮像レンズ系11の各レンズ面のレンズデータを示す。レンズデータとしては、各面の曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数及び温度帯別の屈折率の変化量を載せている。温度帯別の屈折率の変化量は、表5に示す温度範囲での屈折率の温度変化量を示す。例えば、−40℃〜−20℃の欄は、温度が−40℃から−20℃の範囲における屈折率の変化量を示す。また、「*印」がついた面は、非球面であることを示している。
表6に、実施例2の撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表6において、例えば「−6.522528E−03」は、「−6.522528×10
−3」を意味する。
図11は、実施例2の撮像レンズ系の常温における像面湾曲図、歪曲収差図、球面収差図である。図11に示すように、実施例2の撮像レンズ系11では、半画角が13°、F値が1.8である。図11の像面湾曲図では、横軸は光軸Z方向の距離を示し、縦軸は像高(画角)を示す。また、図11の像面湾曲図において、Sagはサジタル面における像面湾曲を示し、Tanはタンジェンシャル面における像面湾曲を示す。図11の像面湾曲図に示すように、本実施例の撮像レンズ系11によれば、像面湾曲が良好に補正されている。従って、撮像レンズ系11が高解像度となる。
図11の歪曲収差図では、横軸は像の歪み量(%)を示し、縦軸は像高(画角)を示す。図11の像面湾曲図、歪曲収差図では、波長558nmの光線によるシミュレーション結果を示してある。図11の球面収差図では、横軸は光線が光軸と交わる位置を示し、縦軸は瞳径での高さを示す。図11の球面収差図に示すように、本実施例の撮像レンズ系11では、異なる波長でピントずれが発生することが抑制される。
図12〜16は、実施例2に係る撮像レンズ系の横収差図である。図12〜16において、横軸は、相対瞳X座標または相対瞳Y座標を示し、縦軸は横収差量を示す。図12は、半画角0°での撮像レンズ系の横収差図である。図13は、半画角5°での撮像レンズ系のタンジェンシャル面における横収差図である。図14は、半画角5°での撮像レンズ系のサジタル面における横収差図である。図15は、半画角8.8°での撮像レンズ系のタンジェンシャル面における横収差図である。図16は、半画角8.8°での撮像レンズ系のサジタル面における横収差図である。図12〜16に示すように、色の滲みが抑制されている。
次に、表7に、実施例2の撮像レンズ系11の特性値を計算した結果を示す。撮像レンズ系11においてレンズ系全体の焦点距離をf、第1レンズL1の焦点距離をf
1、第2レンズL2の焦点距離をf
2、第3レンズL3の焦点距離をf
3、第4レンズL4の焦点距離をf
4、としたときのこれらの特性値及び、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4の屈折率を表7に示す。各種の焦点距離は、558nmの波長の光線を用いて計算した。
温度特性を表8に示す。各種の焦点距離は、558nmの波長の光線を用いて計算した。
表8において、dn/dT(10^−6)は、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4について、20℃から40℃に温度が変化した際の屈折率の変化量を10−6オーダーで示したものである。
1/f1*dn/dt×10^6は、第1レンズL1の焦点距離の逆数に、第1レンズL1の温度に対する屈折率の変化量を乗算し、更に106を乗算したものである。1/f2*dn/dt×10^6、1/f3*dn/dt×10^6及び1/f4*dn/dt×10^6も、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4について同様の計算を行った結果である。
f/f1*dn/dt×10^6は、レンズ系全体の焦点距離fを第1レンズL1の焦点距離f1除算した値に、第1レンズL1の温度に対する屈折率の変化量を乗算し、更に106を乗算したものである。
f/f2*dn/dt×10^6、f/f3*dn/dt×10^6及びf/f4*dn/dt×10^6も、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4について同様の計算を行った結果である。
L1〜像面(=LL1)は、第1レンズL1から結像面までの距離を示す。L2〜像面(=LL2)、L3〜像面(=LL3)及びL4〜像面(=LL4)も同様に第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4から結像面までの距離を示す。
ここで表8では、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4において、焦点距離の逆数に、レンズの温度に対する屈折率の変化量を乗算し、更に106を乗算した値f/f1*dn/dt×10^6、f/f2*dn/dt×10^6、f/f3*dn/dt×10^6及びf/f4*dn/dt×10^6をそれぞれ、a、b、c、dを定義し、レンズから結像面までの距離LL1、LL2、LL3、LL4をe、g、h、iと定義する。
第1レンズL1における温度変化による焦点距離の変化は、上述の1/f1*dn/dt×10^6にL1〜像面(=LL1)を乗算した値により求まる。第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4における温度変化による焦点距離の変化も同様の計算により求まる。
すなわち、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4において、温度変化による焦点距離の変化は、それぞれ、aとeを乗算した値A、bとgを乗算した値B、cとhを乗算した値C、dとiを乗算した値Dとなる。
一方、レンズ鏡筒14の熱膨張に起因する焦点距離の変化は、レンズ光学系の全長TTLをレンズ系全体の焦点距離fで除算した値に、鏡筒の線膨張率を乗算することにより求まる。表8では、レンズ鏡筒14の熱膨張に起因する焦点距離の変化をFと定義する。
そして、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4の焦点距離の変化の合計は、表8において、sum(A〜D)で示される。sum(A〜D)はA、B、C及びDを加算した値である。上述の第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4の焦点距離の変化の合計が、レンズ鏡筒14の熱膨張に起因する焦点距離の変化と、打ち消し合うように設定する。例えば、表8においてE+Fで示した値の絶対値が所定の数値以下である場合、打ち消し合っているとみなす。
図17は、実施例2の撮像レンズ系の常温、低温、高温における球面収差図である。図17の球面収差図では、横軸は光線が光軸と交わる位置を示し、縦軸は瞳径での高さを示す。図17に示すように、常温、常温より温度が低い低温、常温より温度が高い高温のいずれの状態においても、本実施例の撮像レンズ系11では、異なる波長でピントずれが発生することが抑制される。
図18は、実施例2における半画角0°での撮像レンズ系のMTFデフォーカス特性を示す図である。図18において、横軸は、像面位置変化量を示し、縦軸はMTFを示す。図18に示すように、常温、常温より温度が低い低温、常温より温度が高い高温の状態で、ピーク位置の変化が抑制されている。
このように実施例2の撮像レンズ系によれば、第1レンズが、温度が高くなるに連れて屈折率が小さくなる特性を有し、レンズ鏡筒の熱膨張に起因する焦点距離の変化と焦点距離の変化が打ち消し合うことにより、結像面とピント位置のずれを抑制できる。
(実施例3:撮像レンズ系)
図19は、実施例3に係る撮像レンズ系の断面図である。図19において、撮像レンズ系11は、物体側から像側に向かって順に、正のパワーを有する第1レンズL1、絞りSTOP、負のパワーを有する第2レンズL2、正のパワーを有する第3レンズL3、像側が凹面を有する第4レンズL4からなる。撮像レンズ系11の結像面はIMGで示されている。また、撮像レンズ系11は、IRカットフィルタ12と、カバーガラス13と、図示しないレンズ鏡筒14とを備える。
第1レンズL1は、温度が高くなるに連れて屈折率が小さくなる特性を有することが好ましい。温度が高くなるに連れて屈折率が小さくなる特性を有する第1レンズL1としては、フツリン酸系ガラス(もしくはリン酸系ガラス)を用いることが好適である。実施例1では、第1レンズL1にフツリン酸系ガラスを用いた例について説明する。
第1レンズL1は、正のパワーを有する非球面レンズである。第1レンズL1の物体側レンズ面S1は非球面であり、物体側に突出する凸形状の曲面部分を有している。像側レンズ面S2は像側に突出する凸形状の曲面部分を有している。
絞りSTOPは、通過する光の量を調整する。例えば、絞りSTOPは、孔を有する板形状のものが好適である。
第2レンズL2は、負のパワーを有するレンズである。第2レンズL2の物体側レンズ面像S4は、物体側に突出する凸形状の曲面部分を有し、像側レンズ面S5は物体側に窪む凹形状の曲面部分を有している。
第3レンズL3は、正のパワーを有する非球面レンズである。第3レンズL3の物体側レンズ面S6は像側に窪む凹形状の曲面部分を有しており、像側レンズ面S7は像側に突出する凸形状の曲面部分を有している。
第4レンズL4は、正のパワーを有する非球面レンズである。第4レンズL4の物体側レンズ面S8は物体側に突出する凸形状の曲面部分を有しており、像側レンズ面S9は物体側に窪む凹形状の曲面部分を有している。
IRカットフィルタ12は、赤外光をカットするフィルタである。
カバーガラス13は、撮像素子を保護するためのガラス板である。カバーガラス13は、撮像レンズ系11の設計時には、撮像レンズ系11と一体として扱われる。しかし、カバーガラス13は、撮像レンズ系11の必須の構成要素ではない。
図示しないレンズ鏡筒14は、実施例1と同様に、少なくとも第1レンズL1、絞りSTOP、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4の位置を固定するフランジである。
そして、撮像レンズ系11は、レンズ鏡筒14の熱膨張に起因する焦点距離の変化が、第1レンズL1、絞りSTOP、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4による撮像レンズ系の焦点距離の変化と打ち消し合うことにより、結像面とピント位置のずれを抑制する。詳細な数値の条件については、後述する。
以下、撮像レンズ系11の特性データについて述べる。
まず、表9に、撮像レンズ系11の各レンズ面のレンズデータを示す。レンズデータとしては、各面の曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数及び温度帯別の屈折率の変化量を載せている。温度帯別の屈折率の変化量は、表9に示す温度範囲での屈折率の温度変化量を示す。例えば、−40℃〜−20℃の欄は、温度が−40℃から−20℃の範囲における屈折率の変化量を示す。また、「*印」がついた面は、非球面であることを示している。
表10に、実施例3の撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表10において、例えば「−6.522528E−03」は、「−6.522528×10
−3」を意味する。
図20は、実施例3の撮像レンズ系の常温における像面湾曲図、歪曲収差図、球面収差図である。図20に示すように、実施例3の撮像レンズ系11では、半画角が13°、F値が1.8である。図20の像面湾曲図では、横軸は光軸Z方向の距離を示し、縦軸は像高(画角)を示す。また、図20の像面湾曲図において、Sagはサジタル面における像面湾曲を示し、Tanはタンジェンシャル面における像面湾曲を示す。図20の像面湾曲図に示すように、本実施例の撮像レンズ系11によれば、像面湾曲が良好に補正されている。従って、撮像レンズ系11が高解像度となる。
図20の歪曲収差図では、横軸は像の歪み量(%)を示し、縦軸は像高(画角)を示す。図20の像面湾曲図、歪曲収差図では、波長558nmの光線によるシミュレーション結果を示してある。図20の球面収差図では、横軸は光線が光軸と交わる位置を示し、縦軸は瞳径での高さを示す。図20の球面収差図に示すように、本実施例の撮像レンズ系11では、異なる波長でピントずれが発生することが抑制される。
図21〜25は、実施例3に係る撮像レンズ系の横収差図である。図21〜25において、横軸は、相対瞳X座標または相対瞳Y座標を示し、縦軸は横収差量を示す。図21は、半画角0°での撮像レンズ系の横収差図である。図22は、半画角5°での撮像レンズ系のタンジェンシャル面における横収差図である。図23は、半画角5°での撮像レンズ系のサジタル面における横収差図である。図24は、半画角8.8°での撮像レンズ系のタンジェンシャル面における横収差図である。図25は、半画角8.8°での撮像レンズ系のサジタル面における横収差図である。図21〜25に示すように、色の滲みが抑制されている。
次に、表11に、実施例3の撮像レンズ系11の特性値を計算した結果を示す。撮像レンズ系11においてレンズ系全体の焦点距離をf、第1レンズL1の焦点距離をf
1、第2レンズL2の焦点距離をf
2、第3レンズL3の焦点距離をf
3、第4レンズL4の焦点距離をf
4、としたときのこれらの特性値及び、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4の屈折率を表11に示す。各種の焦点距離は、558nmの波長の光線を用いて計算した。
温度特性を表12に示す。各種の焦点距離は、558nmの波長の光線を用いて計算した。
表12において、dn/dT(10^−6)は、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4について、20℃から40℃に温度が変化した際の屈折率の変化量を10−6オーダーで示したものである。
1/f1*dn/dt×10^6は、第1レンズL1の焦点距離の逆数に、第1レンズL1の温度に対する屈折率の変化量を乗算し、更に106を乗算したものである。1/f2*dn/dt×10^6、1/f3*dn/dt×10^6及び1/f4*dn/dt×10^6も、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4について同様の計算を行った結果である。
f/f1*dn/dt×10^6は、レンズ系全体の焦点距離fを第1レンズL1の焦点距離f1除算した値に、第1レンズL1の温度に対する屈折率の変化量を乗算し、更に106を乗算したものである。
f/f2*dn/dt×10^6、f/f3*dn/dt×10^6及びf/f4*dn/dt×10^6も、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4について同様の計算を行った結果である。
L1〜像面(=LL1)は、第1レンズL1から結像面までの距離を示す。L2〜像面(=LL2)、L3〜像面(=LL3)及びL4〜像面(=LL4)も同様に第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4から結像面までの距離を示す。
ここで表12では、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4において、焦点距離の逆数に、レンズの温度に対する屈折率の変化量を乗算し、更に106を乗算した値f/f1*dn/dt×10^6、f/f2*dn/dt×10^6、f/f3*dn/dt×10^6及びf/f4*dn/dt×10^6をそれぞれ、a、b、c、dを定義し、レンズから結像面までの距離LL1、LL2、LL3、LL4をe、g、h、iと定義する。
第1レンズL1における温度変化による焦点距離の変化は、上述の1/f1*dn/dt×10^6にL1〜像面(=LL1)を乗算した値により求まる。第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4における温度変化による焦点距離の変化も同様の計算により求まる。
すなわち、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4において、温度変化による焦点距離の変化は、それぞれ、aとeを乗算した値A、bとgを乗算した値B、cとhを乗算した値C、dとiを乗算した値Dとなる。
一方、レンズ鏡筒14の熱膨張に起因する焦点距離の変化は、レンズ光学系の全長TTLをレンズ系全体の焦点距離fで除算した値に、鏡筒の線膨張率を乗算することにより求まる。表12では、レンズ鏡筒14の熱膨張に起因する焦点距離の変化をFと定義する。
そして、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4の焦点距離の変化の合計は、表12において、sum(A〜D)で示される。sum(A〜D)はA、B、C及びDを加算した値である。上述の第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4の焦点距離の変化の合計が、レンズ鏡筒14の熱膨張に起因する焦点距離の変化と、打ち消し合うように設定する。例えば、表12においてE+Fで示した値の絶対値が所定の数値以下である場合、打ち消し合っているとみなす。
図26は、実施例3の撮像レンズ系の常温、低温、高温における球面収差図である。図26の球面収差図では、横軸は光線が光軸と交わる位置を示し、縦軸は瞳径での高さを示す。図26に示すように、常温、常温より温度が低い低温、常温より温度が高い高温のいずれの状態においても、本実施例の撮像レンズ系11では、異なる波長でピントずれが発生することが抑制される。
図27は、実施例3における半画角0°での撮像レンズ系のMTFデフォーカス特性を示す図である。図27において、横軸は、像面位置変化量を示し、縦軸はMTFを示す。図27に示すように、常温、常温より温度が低い低温、常温より温度が高い高温の状態で、ピーク位置の変化が抑制されている。
このように実施例3の撮像レンズ系によれば、第1レンズが、温度が高くなるに連れて屈折率が小さくなる特性を有し、レンズ鏡筒の熱膨張に起因する焦点距離の変化と焦点距離の変化が打ち消し合うことにより、結像面とピント位置のずれを抑制できる。
(実施例4:撮像レンズ系)
図28は、実施例4に係る撮像レンズ系の断面図である。図28において、撮像レンズ系11は、物体側から像側に向かって順に、正のパワーを有する第1レンズL1、絞りSTOP、負のパワーを有する第2レンズL2、正のパワーを有する第3レンズL3、像側が凹面を有する第4レンズL4からなる。撮像レンズ系11の結像面はIMGで示されている。また、撮像レンズ系11は、IRカットフィルタ12と、カバーガラス13と、図示しないレンズ鏡筒14とを備える。
第1レンズL1は、温度が高くなるに連れて屈折率が小さくなる特性を有することが好ましい。温度が高くなるに連れて屈折率が小さくなる特性を有する第1レンズL1としては、フツリン酸系ガラス(もしくはリン酸系ガラス)を用いることが好適である。実施例1では、第1レンズL1にフツリン酸系ガラスを用いた例について説明する。
第1レンズL1は、正のパワーを有する非球面レンズである。第1レンズL1の物体側レンズ面S1は非球面であり、物体側に突出する凸形状の曲面部分を有している。像側レンズ面S2は像側に突出する凸形状の曲面部分を有している。
絞りSTOPは、通過する光の量を調整する。例えば、絞りSTOPは、孔を有する板形状のものが好適である。
第2レンズL2は、負のパワーを有するレンズである。第2レンズL2の物体側レンズ面像S4は、物体側に突出する凸形状の曲面部分を有し、像側レンズ面S5は物体側に窪む凹形状の曲面部分を有している。
第3レンズL3は、正のパワーを有する非球面レンズである。第3レンズL3の物体側レンズ面S6は像側に窪む凹形状の曲面部分を有しており、像側レンズ面S7は像側に突出する凸形状の曲面部分を有している。
第4レンズL4は、正のパワーを有する非球面レンズである。第4レンズL4の物体側レンズ面S8は物体側に突出する凸形状の曲面部分を有しており、像側レンズ面S9は物体側に窪む凹形状の曲面部分を有している。
IRカットフィルタ12は、赤外光をカットするフィルタである。
カバーガラス13は、撮像素子を保護するためのガラス板である。カバーガラス13は、撮像レンズ系11の設計時には、撮像レンズ系11と一体として扱われる。しかし、カバーガラス13は、撮像レンズ系11の必須の構成要素ではない。
図示しないレンズ鏡筒14は、実施例1と同様に、少なくとも第1レンズL1、絞りSTOP、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4の位置を固定するフランジである。
そして、撮像レンズ系11は、レンズ鏡筒14の熱膨張に起因する焦点距離の変化が、第1レンズL1、絞りSTOP、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4による撮像レンズ系の焦点距離の変化と打ち消し合うことにより、結像面とピント位置のずれを抑制する。詳細な数値の条件については、後述する。
以下、撮像レンズ系11の特性データについて述べる。
まず、表13に、撮像レンズ系11の各レンズ面のレンズデータを示す。レンズデータとしては、各面の曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数及び温度帯別の屈折率の変化量を載せている。温度帯別の屈折率の変化量は、表13に示す温度範囲での屈折率の温度変化量を示す。例えば、−40℃〜−20℃の欄は、温度が−40℃から−20℃の範囲における屈折率の変化量を示す。また、「*印」がついた面は、非球面であることを示している。
表14に、実施例4の撮像レンズ系11において、非球面とされたレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表14において、例えば「−6.522528E−03」は、「−6.522528×10
−3」を意味する。
図29は、実施例4の撮像レンズ系の常温における像面湾曲図、歪曲収差図、球面収差図である。図29に示すように、実施例4の撮像レンズ系11では、半画角が13°、F値が1.8である。図29の像面湾曲図では、横軸は光軸Z方向の距離を示し、縦軸は像高(画角)を示す。また、図29の像面湾曲図において、Sagはサジタル面における像面湾曲を示し、Tanはタンジェンシャル面における像面湾曲を示す。図29の像面湾曲図に示すように、本実施例の撮像レンズ系11によれば、像面湾曲が良好に補正されている。従って、撮像レンズ系11が高解像度となる。
図29の歪曲収差図では、横軸は像の歪み量(%)を示し、縦軸は像高(画角)を示す。図29の像面湾曲図、歪曲収差図では、波長558nmの光線によるシミュレーション結果を示してある。図29の球面収差図では、横軸は光線が光軸と交わる位置を示し、縦軸は瞳径での高さを示す。図29の球面収差図に示すように、本実施例の撮像レンズ系11では、異なる波長でピントずれが発生することが抑制される。
図30〜25は、実施例4に係る撮像レンズ系の横収差図である。図30〜25において、横軸は、相対瞳X座標または相対瞳Y座標を示し、縦軸は横収差量を示す。図30は、半画角0°での撮像レンズ系の横収差図である。図31は、半画角5°での撮像レンズ系のタンジェンシャル面における横収差図である。図32は、半画角5°での撮像レンズ系のサジタル面における横収差図である。図33は、半画角8.8°での撮像レンズ系のタンジェンシャル面における横収差図である。図34は、半画角8.8°での撮像レンズ系のサジタル面における横収差図である。図30〜25に示すように、色の滲みが抑制されている。
次に、表15に、実施例4の撮像レンズ系11の特性値を計算した結果を示す。撮像レンズ系11において、レンズ系全体の焦点距離をf、第1レンズL1の焦点距離をf
1、第2レンズL2の焦点距離をf
2、第3レンズL3の焦点距離をf
3、第4レンズL4の焦点距離をf
4、としたときのこれらの特性値及び、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4の屈折率を表15に示す。各種の焦点距離は、558nmの波長の光線を用いて計算した。
温度特性を表16に示す。各種の焦点距離は、558nmの波長の光線を用いて計算した。
表16において、dn/dT(10^−6)は、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4について、20℃から40℃に温度が変化した際の屈折率の変化量を10−6オーダーで示したものである。
1/f1*dn/dt×10^6は、第1レンズL1の焦点距離の逆数に、第1レンズL1の温度に対する屈折率の変化量を乗算し、更に106を乗算したものである。1/f2*dn/dt×10^6、1/f3*dn/dt×10^6及び1/f4*dn/dt×10^6も、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4について同様の計算を行った結果である。
f/f1*dn/dt×10^6は、レンズ系全体の焦点距離fを第1レンズL1の焦点距離f1除算した値に、第1レンズL1の温度に対する屈折率の変化量を乗算し、更に106を乗算したものである。
f/f2*dn/dt×10^6、f/f3*dn/dt×10^6及びf/f4*dn/dt×10^6も、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4について同様の計算を行った結果である。
L1〜像面(=LL1)は、第1レンズL1から結像面までの距離を示す。L2〜像面(=LL2)、L3〜像面(=LL3)及びL4〜像面(=LL4)も同様に第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4から結像面までの距離を示す。
ここで表16では、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4において、焦点距離の逆数に、レンズの温度に対する屈折率の変化量を乗算し、更に106を乗算した値f/f1*dn/dt×10^6、f/f2*dn/dt×10^6、f/f3*dn/dt×10^6及びf/f4*dn/dt×10^6をそれぞれ、a、b、c、dを定義し、レンズから結像面までの距離LL1、LL2、LL3、LL4をe、g、h、iと定義する。
第1レンズL1における温度変化による焦点距離の変化は、上述の1/f1*dn/dt×10^6にL1〜像面(=LL1)を乗算した値により求まる。第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4における温度変化による焦点距離の変化も同様の計算により求まる。
すなわち、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4において、温度変化による焦点距離の変化は、それぞれ、aとeを乗算した値A、bとgを乗算した値B、cとhを乗算した値C、dとiを乗算した値Dとなる。
一方、レンズ鏡筒14の熱膨張に起因する焦点距離の変化は、レンズ光学系の全長TTLをレンズ系全体の焦点距離fで除算した値に、鏡筒の線膨張率を乗算することにより求まる。表16では、レンズ鏡筒14の熱膨張に起因する焦点距離の変化をFと定義する。
そして、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4の焦点距離の変化の合計は、表16において、sum(A〜D)で示される。sum(A〜D)はA、B、C及びDを加算した値である。上述の第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3及び第4レンズL4の焦点距離の変化の合計が、レンズ鏡筒14の熱膨張に起因する焦点距離の変化と、打ち消し合うように設定する。例えば、表16においてE+Fで示した値の絶対値が所定の数値以下である場合、打ち消し合っているとみなす。
図35は、実施例4の撮像レンズ系の常温、低温、高温における球面収差図である。図35の球面収差図では、横軸は光線が光軸と交わる位置を示し、縦軸は瞳径での高さを示す。図35に示すように、常温、常温より温度が低い低温、常温より温度が高い高温のいずれの状態においても、本実施例の撮像レンズ系11では、異なる波長でピントずれが発生することが抑制される。
図36は、実施例4における半画角0°での撮像レンズ系のMTFデフォーカス特性を示す図である。図36において、横軸は、像面位置変化量を示し、縦軸はMTFを示す。図36に示すように、常温、常温より温度が低い低温、常温より温度が高い高温の状態で、ピーク位置の変化が抑制されている。
このように実施例4の撮像レンズ系によれば、第1レンズが、温度が高くなるに連れて屈折率が小さくなる特性を有し、レンズ鏡筒の熱膨張に起因する焦点距離の変化と焦点距離の変化が打ち消し合うことにより、結像面とピント位置のずれを抑制できる。
(実施例5:撮像装置への適用例)
図37は、実施例5に係る撮像装置の断面図である。撮像装置20は、撮像レンズ系11と、撮像素子21と、を備える。撮像レンズ系11と、撮像素子21と、は筐体(不図示)に収容されている。撮像レンズ系11は、上述の実施の形態1に記載された撮像レンズ系11である。
撮像素子21は、受光した光を電気信号に変換する素子であり、例えば、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサが用いられる。撮像素子21は、撮像レンズ系11の結像位置に配置されている。なお、水平画角とは、撮像素子21の水平方向に対応する画角である。
なお、本発明は上記実施例に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、実施例5は、実施の形態2〜4に適用してもよい。