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JP2018165618A - 信号処理装置、検出装置、物理量測定装置、電子機器及び移動体 - Google Patents

信号処理装置、検出装置、物理量測定装置、電子機器及び移動体 Download PDF

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JP2018165618A JP2017062057A JP2017062057A JP2018165618A JP 2018165618 A JP2018165618 A JP 2018165618A JP 2017062057 A JP2017062057 A JP 2017062057A JP 2017062057 A JP2017062057 A JP 2017062057A JP 2018165618 A JP2018165618 A JP 2018165618A
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Abstract

【課題】カルマンフィルターが推定する推定値(DC成分)の正確性或いは安定性を向上できる信号処理装置、検出装置、物理量測定装置、電子機器及び移動体等を提供すること。【解決手段】信号処理装置100は、観測ノイズ及σmeas及びシステムノイズσsysに基づいてカルマンフィルター処理を行って、入力信号PIのDC成分DCQを推定値として出力するカルマンフィルター120と、監視部180と、を含む。カルマンフィルター120は、推定値の誤差共分散Vc2を出力する。監視部180は、入力信号PIに対応する信号レベルに対する、誤差共分散Vc2に基づく判定処理の結果に基づいて、カルマンフィルター120での観測更新処理の停止指示を行う。【選択図】 図2

Description

本発明は、信号処理装置、検出装置、物理量測定装置、電子機器及び移動体等に関する。
デジタルカメラ、スマートフォン等の電子機器や車、飛行機等の移動体には、外的な要因で変化する物理量を検出するための物理量測定装置が組み込まれている。例えば、角速度を検出するジャイロセンサーは、いわゆる手振れ補正、姿勢制御、GPS自律航法などに用いられている。
このような物理量測定装置において、物理量トランスデューサーからの検出信号にDCオフセットが含まれると、検出信号から物理量を得る際に誤差の原因となる可能性がある。例えば、ジャイロセンサーでは角速度を積算して角度を求めるため、角速度にDCオフセット(ゼロ点の誤差)が含まれると、角度の誤差が大きくなるおそれがある。
このようなDCオフセットを低減する技術として、特許文献1には、カルマンフィルター処理により入力信号のDC成分を抽出し、そのDC成分を入力信号から減算する技術が開示されている。この技術では、信号処理装置は、入力信号を監視する入力信号監視部と、カルマンフィルター処理を行って、入力信号のDC成分を抽出するカルマンフィルターと、を含む。そして、入力信号監視部は、入力信号の信号レベルが所定範囲を超えたか否かを判断し、カルマンフィルターは、超えたと判断された場合に誤差共分散の時間更新を停止する。
特開2015−114220号公報
上記の従来技術では、入力信号の信号レベルが所定範囲を超えた場合に、カルマンフィルターが誤差共分散の時間更新を停止している。即ち、カルマンフィルターの推定動作の有効と無効を切り替える閾値設定が固定である。そのため、固定の閾値よりも小さい入力(例えばジャイロセンサーにおける微小な角速度の回転)があった場合に、カルマンフィルターの推定動作が停止せず、推定値が入力に追従してしまうおそれがある。そうすると、DC成分の真値に対して推定値の正確性或いは安定性が低下するおそれがある。
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は態様として実現することが可能である。
本発明の一態様は、観測ノイズ及びシステムノイズに基づいてカルマンフィルター処理を行って、入力信号のDC成分を推定値として出力するカルマンフィルターと、監視部と、を含み、前記カルマンフィルターは、前記推定値の誤差共分散を出力し、前記監視部は、前記入力信号に対応する信号レベルに対する、前記誤差共分散に基づく判定処理の結果に基づいて、前記カルマンフィルターでの観測更新処理の停止指示を行う信号処理装置に関係する。
本発明の一態様によれば、入力信号に対応する信号レベルに対する判定処理が誤差共分散に基づいて行われ、その結果に基づいて、カルマンフィルターでの観測更新処理の停止指示が行われる。これにより、停止指示を行う信号レベルを誤差共分散に応じて適応的に変化させることが可能になる。停止指示を行う信号レベルが誤差共分散に応じて適応的に変化することで、カルマンフィルターが推定する推定値(DC成分)の正確性或いは安定性を向上できる。
また本発明の一態様では、前記監視部は、前記信号レベルが、前記誤差共分散に基づく閾値を超えた場合に、前記停止指示を行ってもよい。
このようにすれば、入力信号に対応する信号レベルと、誤差共分散に基づく閾値との比較により、誤差共分散に基づく判定処理を実現できる。例えば、誤差共分散が収束するに従って閾値を小さくしていくことで、入力信号がわずかに変化しただけでカルマンフィルターの観測更新処理を停止できる。
また本発明の一態様では、前記停止指示は、前記推定値及び前記誤差共分散の少なくとも一方の更新停止の指示であってもよい。
このようにすれば、誤差共分散に基づく判定処理の結果に基づいて、カルマンフィルターによる観測更新の少なくとも一部が停止される。DCオフセットの推定を阻害する入力信号が入力された場合に、観測更新の少なくとも一部が停止されることで、推定値の正確性或いは安定性を向上できる。
また本発明の一態様では、前記監視部は、前記入力信号から前記推定値が減算された信号の前記信号レベルに対する前記判定処理を行ってもよい。
入力信号にはDCオフセットが含まれるので、その信号レベルはDCオフセットの大きさを含んだレベルとなる。この点、入力信号から推定値を減算することで、DCオフセット(の推定値)が除かれた信号レベルが得られる。この信号レベルに対して判定処理を行うことで、より正確な判定処理を行うことが可能になる。
また本発明の一態様では、前記監視部は、前記入力信号に対応する信号が二乗演算処理された信号の前記信号レベルに対する前記判定処理を行ってもよい。
入力信号に対応する信号を二乗演算処理することで、入力信号に対応する信号の大きさ(の二乗)を表す信号レベルを生成できる。これにより、信号レベルと閾値の比較が、正の値どうしの比較となり、信号レベルが閾値を越えたか否かを判定できる。
また本発明の一態様では、前記監視部は、前記誤差共分散をゲイン処理するゲイン処理部と、前記ゲイン処理部の出力にオフセットを加算処理するオフセット加算処理部と、前記信号レベルと前記オフセット加算処理部の出力とを比較する処理を、前記判定処理として行うコンパレーターと、を含んでもよい。
誤差共分散をゲイン処理し、その結果にオフセットを加算処理することで、誤差共分散に応じて変化する閾値を求めることができる。そして、入力信号に対応する信号レベルとオフセット加算処理部の出力とを比較することで、信号レベルが、誤差共分散に応じて変化する閾値を超えたか否かを判定処理できる。
また本発明の一態様では、信号処理装置は、前記入力信号に応じて動的に変化する前記観測ノイズ及び前記システムノイズを推定するノイズ推定部を含んでもよい。
本発明の一態様によれば、ノイズ推定部が観測ノイズ及びシステムノイズを入力信号に応じて動的に変化させてカルマンフィルターに供給し、カルマンフィルターが、その動的に変化する観測ノイズ及びシステムノイズを受けてカルマンフィルター処理を行う。このように観測ノイズ及びシステムノイズをカルマンフィルターの外部から供給することで、カルマンフィルターの特性を制御でき、過渡応答性や追従性を向上したDC成分の抽出が可能になる。
また本発明の他の態様は、物理量トランスデューサーを駆動する駆動回路と、前記物理量トランスデューサーからの検出信号を受けて、物理量に応じた物理量信号を検出する検出回路と、前記物理量信号を前記入力信号として前記推定値である前記DC成分を抽出する、上記のいずれかに記載の信号処理装置と、を含む検出装置に関係する。
また本発明の更に他の態様は、上記に記載の検出装置と、前記物理量トランスデューサーと、を含む物理量測定装置に関係する。
また本発明の更に他の態様は、上記のいずれかに記載の信号処理装置を含む電子機器に関係する。
また本発明の更に他の態様は、上記のいずれかに記載の信号処理装置を含む移動体に関係する。
カルマンフィルターによるDC成分の推定処理の比較例を説明するタイミングチャート。 本実施形態の信号処理装置の第1の構成例。 本実施形態の信号処理装置の動作を模式的に示した第1のタイミングチャート。 本実施形態の信号処理装置の動作を説明する第2のタイミングチャート。 本実施形態の信号処理装置の第2の構成例。 本実施形態の信号処理装置の詳細な構成例。 閾値の設定手法を説明する図。 検出装置の構成例。 物理量測定装置の構成例。 移動体の構成例。 電子機器の構成例。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
例えば、以下ではジャイロセンサーの検出信号(角速度に応じた物理量信号)からDCオフセット(DC成分)を抽出する場合を例にとり、本発明の信号処理装置について説明する。但し、ジャイロセンサーの検出信号に限らず、例えば他の物理量トランスデューサーの物理量信号のDCオフセットを抽出するもの、或いは、物理量トランスデューサーに限らず何らかの回路や装置等からの入力信号からDCオフセットを抽出するものであれば、本発明を適用可能である。
1.比較例
図1は、カルマンフィルターによるDC成分の推定処理の比較例を説明するタイミングチャートである。縦軸は、信号値が表す角速度(dps: degree per second)である。
カルマンフィルターへの入力信号PIは、角速度ZPに相当するDCオフセットを含んでいる。カルマンフィルターは、観測値である入力信号PIからDCオフセットを推定(いわゆるゼロ点推定)し、推定値であるDC成分DCQAを出力する。観測値からDCオフセットを除いた値が真の角速度なので、角速度の検出値はPI−DCQAにより求める。例えばジャイロセンサーが静止している場合、PI=0+ZPである。仮にカルマンフィルターがDCオフセットの真値を推定できたとすると、DCQA=ZPが得られるので、角速度の検出値はPI−DCQA=(0+ZP)−ZP=0となり、正しい角速度が検出される。
ジャイロセンサーが回転した場合には、その入力信号PIはDCオフセットではない角速度になっているので、その入力信号PIをゼロ点推定に用いないことが望ましい。そのため、入力信号PIの絶対値が閾値thを超えた場合、カルマンフィルターの推定動作を一時的に停止する。
このとき、ジャイロセンサーに微小な回転が入力され、入力信号がPI=AGV+ZPになったとする。この入力信号PIが|AGV+ZP|<thであったとすると、カルマンフィルターの推定動作が停止しないので、入力信号PI=AGV+ZPに基づいてDC成分DCQAが推定されることになる。この場合、DC成分DCQAはZPから徐々にAGV+ZPに近づいていくと考えられる。そのため、DC成分DCQAが、DCオフセットの真値(ZP)に対して推定誤差ΔZを含み、DCQA=ZP+ΔZとなる。そうすると、角速度の検出値はAGV’=(AGV+ZP)−(ZP+ΔZ)=AGV−ΔZとなり、ゼロ点の推定誤差ΔZの分だけ真値(AGV)よりも小さくなってしまう。
またDC成分DCQAが推定誤差ΔZ’を含み、DCQA=ZP+ΔZ’となった状態でジャイロセンサーが静止し、入力信号がPI=ZPに戻ったとする。この場合、角速度の検出値はZP−(ZP+ΔZ’)=−ΔZ’となるので、実際には静止しているにも関わらず、角速度が検出されてしまう。
以上のように、ジャイロセンサーの回転を判断するための閾値thが固定されていると、ゼロ点推定が不正確になる(或いは時間的に不安定に変化する)おそれがある。そして、ゼロ点推定が不正確になったことで、角速度の検出値が不正確になるおそれがある。
2.信号処理装置の第1の構成例
図2は、本実施形態の信号処理装置の第1の構成例である。信号処理装置100は、カルマンフィルター120、監視部180を含む。なお、本実施形態は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したりする等の種々の変形実施が可能である。
カルマンフィルター120は、カルマンフィルター120は、観測ノイズσmeas及びシステムノイズσsysに基づいてカルマンフィルター処理を行って、入力信号PIのDC成分DCQを推定値として出力する。またカルマンフィルター120は、推定値の誤差共分散Vcを出力する。そして、監視部180は、入力信号PIに対応する信号レベルに対する、誤差共分散Vcに基づく判定処理の結果に基づいて、カルマンフィルター120での観測更新処理の停止指示を行う。
このようにすれば、観測更新処理の停止指示を行う信号レベルを、誤差共分散Vcに応じて適応的に変化させることが可能になる。例えば、比較例のような固定の閾値ではなく、誤差共分散Vcに応じて変化する閾値を設定することが可能になる。
誤差共分散Vcは、推定値(DC成分DCQ)がどの程度信用できるかをカルマンフィルター120が推定したものである。真値に近い推定値が得られていると判断されているほど、誤差共分散Vcが小さくなる。本実施形態では、誤差共分散Vcが小さくなるほど、観測更新処理の停止指示を行う信号レベルを小さくする。これにより、推定値が真値に収束した(誤差共分散Vcが小さくなった)状況では、ジャイロセンサーに僅かな回転が入力されただけで観測更新処理の停止指示が行われる。このため、比較例に比べてDC成分DCQの推定誤差が生じにくくなり、推定値の正確性或いは安定性を向上できる。
ここで、カルマンフィルター処理とは、観測値及びシステムの状態を表す変数にノイズ(誤差)が含まれると仮定し、過去から現在までに取得した観測値を用いてシステムの最適な状態を推定する処理である。本実施形態の場合、観測値は入力信号PIであり、推定する変数はDC成分DCQである。カルマンフィルター処理では、観測更新(観測過程)と時間更新(予測過程)を繰り返し行って状態を推定する。観測更新は、観測値と時間更新の結果を用いてカルマンゲイン、推定値、誤差共分散を更新する過程である。時間更新は、観測更新の結果を用いて、次の時刻での推定値、誤差共分散を予測する過程である。
観測ノイズσmeas及びシステムノイズσsysとしては、例えば予め見積もられた所定の値を用いる。この場合、観測ノイズσmeas及びシステムノイズσsys(或いは、それらの分散σmeas 、σsys )は、例えばレジスターやメモリー等に記憶され、カルマンフィルター120がレジスターやメモリーから観測ノイズσmeas及びシステムノイズσsysを読み出す。或いは、第2の構成例で後述するように、信号処理装置100が、観測ノイズσmeas及びシステムノイズσsysを動的に変化させるノイズ推定部110を含んでもよい。この場合、ノイズ推定部110からカルマンフィルター120に観測ノイズσmeas及びシステムノイズσsysが供給される。
カルマンフィルター120が推定(抽出)するDC成分DCQは、入力信号PIから取り出したい所望の信号成分よりも周波数が低い成分である。例えばジャイロセンサーでは、入力信号PI(物理量信号)にはオフセットが含まれており、そのオフセットを基準とする変化が実際の信号成分となる。この信号成分の周波数は、ジャイロセンサーが検出した動きの周波数に対応している。オフセットは温度変化等によって時間的に変動するため周波数ゼロではないが、動きの周波数に比べれば低い周波数である。
以下、図3、図4を用いて信号処理装置100の動作を説明する。図3は、本実施形態の信号処理装置の動作を模式的に示した第1のタイミングチャートである。
観測値である入力信号PIにはノイズが含まれている。カルマンフィルター120は、このノイズが含まれた入力信号PIから真値(真のゼロ点)を推定し、その推定値をDC成分DCQとして出力する。またカルマンフィルター120は、推定値の確からしさを誤差共分散Vcとして推定している。図3では、誤差共分散の平方根である誤差推定値Vc(偏差)を図示している。また図3では、誤差推定値Vcを範囲で図示しているが、この範囲の上限が+Vcに相当し、下限が−Vcに相当している。カルマンフィルター120は、推定値(DC成分DCQ)を中心とし且つ誤差推定値Vcを偏差とする分布内に真値が存在すると推定している。
監視部180は、誤差推定値Vcに応じて閾値Vthを設定する。具体的には、誤差推定値Vcが小さいほど、閾値Vthを小さくする。例えば、図6で後述するように、誤差共分散Vcを変数とする一次関数により閾値の二乗Vthを求める。監視部180は、入力信号PIが−Vth〜+Vthの範囲外となった場合に、停止フラグFLOVを非アクティブ(第1論理レベル、ローレベル)からアクティブ(第2論理レベル、ハイレベル)にする。図3には、入力信号PIが+Vthを超えた場合に、停止フラグFLOVをアクティブにする例を図示している。停止フラグFLOVをアクティブにすることが観測更新処理の停止指示に相当しており、カルマンフィルター120は、停止フラグFLOVがアクティブの間、観測更新処理を停止する。
図4は、本実施形態の信号処理装置の動作を説明する第2のタイミングチャートである。
比較例と同様に、入力信号PIは、角速度ZPに相当するDCオフセットを含んでいるものとする。入力信号PIがDCオフセットから大きく変化しない(ジャイロセンサーが静止している)場合、時間の経過とともに誤差推定値Vcは小さくなっていくので、閾値VthはDCオフセット(の推定値であるDCQ)付近に収束する。
このとき、ジャイロセンサーに微小な回転が入力され、入力信号がPI=AGV+ZPになったとする。閾値Vthが十分収束していれば、|AGV+ZP|>Vthとなるので、停止フラグFLOVがアクティブとなりカルマンフィルター120の観測更新処理が停止される。観測更新処理が停止される前に、カルマンフィルター120がDCオフセットの真値を推定できたとすると、DCQ=ZPとなっている。そして、|AGV+ZP|>Vthである間は、推定値であるDCQが変化しないので、DCQ=ZPが維持される。角速度の検出値はPI−DCQ=(AGV+ZP)−ZP=AGVとなり、正しい角速度AGVが検出される。
ジャイロセンサーが再び静止すると、入力信号がPI=0+ZPに戻り、観測更新処理が再開(観測更新処理の停止が解除)される。DCQ=ZPが維持された状態で観測更新処理が再開されるので、角速度の検出値はPI−DCQ=(0+ZP)−ZP=0となり、正しい角速度が検出される。
以上のように本実施形態では、監視部180は、入力信号PIに対応する信号レベルが、誤差共分散Vcに基づく閾値Vthを超えた場合に、観測更新処理の停止指示を行う。具体的には、閾値Vthは、誤差共分散Vcに応じて変化する。
このようにすれば、入力信号PIに対応する信号レベルと、誤差共分散Vcに基づく閾値Vthとの比較により、誤差共分散Vcに基づく判定処理を実現できる。誤差共分散Vcが収束するに従って閾値Vthが推定値(DC成分DCQ)に収束していくので、ジャイロセンサーがわずかに回転しただけでカルマンフィルター120の観測更新処理を停止できる。一方、誤差推定値Vcが大きい場合(例えばジャイロセンサーの起動時等)には、誤差共分散Vcが大きい(閾値VthとDC成分DCQの差分が大きい)ので、観測更新処理が停止される可能性は低くなる。そのため、推定値を素早く真値付近まで収束させることが可能になる。
なお、入力信号PIに対応する信号レベルが閾値Vthを超えるとは、入力信号PIに対応する信号が、負の閾値(−Vth)から正の閾値(+Vth)までの範囲外となることである。即ち、入力信号PIに対応する信号が、正の閾値(+Vth)を超えること、又は、負の閾値(−Vth)を下回ることである。
また本実施形態では、停止指示は、推定値(DC成分DCQ)及び誤差共分散Vcの少なくとも一方の更新停止の指示である。
カルマンフィルター120は、観測更新処理として、推定値の更新及び誤差共分散Vcの更新を行う。監視部180は、推定値の更新停止、又は誤差共分散Vcの更新停止、又は推定値及び誤差共分散Vcの更新停止を指示する。それぞれ、カルマンフィルター120は、推定値の更新、誤差共分散Vcの更新、推定値及び誤差共分散Vcの更新を停止する。
このようにすれば、入力信号PIに対応する信号レベルが閾値Vthを超えた場合に、カルマンフィルター120による観測更新の少なくとも一部が停止される。DCオフセット(ゼロ点)の推定を阻害する入力信号PIが入力された場合に、観測更新の少なくとも一部が停止されることで、推定値の正確性或いは安定性を向上できる。なお、推定値の正確性或いは安定性の点から、少なくとも推定値の更新停止を行うことが、より望ましい。
また本実施形態では、監視部180は、入力信号PIからDC成分DCQが減算された信号の信号レベルに対する判定処理を行ってもよい。
入力信号PIにはDCオフセットが含まれるので、その信号レベルはDCオフセットの大きさを含んだレベルとなる。この点、入力信号PIからDC成分DCQを減算することで、DCオフセット(の推定値)が除かれた信号レベル(真の信号レベルと推定される信号レベル)が得られる。この信号レベルと閾値Vthとを比較することで、より正確な閾値判定を行うことが可能になる。
なお、判定処理に用いる信号レベルは、入力信号PIからDC成分DCQが減算された信号の信号レベルに限定されず、入力信号PIに対応する信号レベルであればよい。例えば、入力信号PIの信号レベルをそのまま用いてもよい。或いは、入力信号PIに何らかの処理(加算、減算、乗算等)を行い、その処理後の信号の信号レベルを用いてもよい。例えば、入力信号PIをハイパスフィルター処理した信号を入力信号PIから減算し、その減算された信号の信号レベルを用いてもよい。
また本実施形態では、監視部180は、入力信号PIに対応する信号が二乗演算処理された信号の信号レベルに対する判定処理を行ってもよい。
信号を二乗演算処理することで、入力信号PIに対応する信号の大きさ(の二乗)を表す信号レベルを生成できる。これにより、信号レベルと閾値Vthの比較が、正の値どうしの比較となり、信号レベルが閾値Vthを越えたか否かを判定できる。
なお、判定処理に用いる信号レベルは、入力信号PIに対応する信号が二乗演算処理された信号の信号レベルに限定されず、信号値の大きさを表す値であればよい。信号値の大きさは、信号に基づいて生成される正の値であり、例えば信号値の絶対値や、信号値の二乗や、信号のピークトゥーピーク値や、所定時間内での信号の最大値と最小値との差分等である。或いは、それらに対して何らかの演算(例えばゲイン処理等)を行って得られる値であってもよい。
3.信号処理装置の第2の構成例
図5は、本実施形態の信号処理装置の第2の構成例である。図5では、信号処理装置100が、ノイズ推定部110を更に含む。なお、図2で説明した構成要素には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。また、本実施形態は図5の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したりする等の種々の変形実施が可能である。
ノイズ推定部110は、入力信号PI(入力データ)に応じて動的に変化する観測ノイズσmeas及びシステムノイズσsysを推定する。具体的には、ノイズ推定部110は、入力信号PIから観測ノイズの分散σmeas 及びシステムノイズの分散σsys を生成し、入力信号PIの信号値或はその変化に応じて観測ノイズの分散σmeas 及びシステムノイズの分散σsys を変化させる。
カルマンフィルター120は、ノイズ推定部110により推定された観測ノイズの分散σmeas 及びシステムノイズの分散σsys に基づいてカルマンフィルター処理を行って、入力信号PIのDC成分DCQを抽出する。
一般的なカルマンフィルターでは、誤差共分散の初期値及びシステムノイズを既知のものとして予め与えておく。誤差共分散は観測更新や時間更新により値が更新されていく。このように、一般的なカルマンフィルターでは、更新の繰り返しの途中で新たに観測ノイズやシステムノイズが外部から与えられるものではない。
一方、本実施形態では観測ノイズσmeas及びシステムノイズσsysを動的に変化させ、カルマンフィルター120に外部から供給する。下式(1)〜(5)で後述するように、観測ノイズσmeas及びシステムノイズσsysはカルマンゲインg(k)等の内部変数に影響を与える。即ち、観測ノイズσmeas及びシステムノイズσsysを制御することでカルマンフィルター120のフィルター特性を適応的に制御できることを意味している。本実施形態では、これを利用することで、入力信号PI(ジャイロセンサーの物理量信号)のDC成分が変化していないときには通過帯域を低周波数にしておき、信号成分の通過帯域を低周波側に広げることができる。また、DC成分が変化したときには観測ノイズσmeas及びシステムノイズσsysを変化させて通過帯域を広げ、DC成分の変化に追従させることができる。このようにして、入力信号PIの変化に対する過渡応答性や、DC成分の変化に対する追従性を向上できる。
以下、カルマンフィルター処理の詳細を説明する。カルマンフィルター120は、下式(1)〜(5)に示す一次の線形カルマンフィルター処理を行う。
上式(1)、(2)は時間更新(予測過程)の式であり、上式(3)〜(5)は観測更新(観測過程)の式である。kは離散的な時間を表し、kが1つ進む度に時間更新及び観測更新が1回行われる。x(k)はカルマンフィルター120の推定値である。即ちDCQ=x(k)である。x-(k)は観測値を得る前に予測した事前推定値である。P(k)はカルマンフィルター120の誤差共分散である。即ち、Vc=P(k)である。P-(k)は観測値を得る前に予測した誤差共分散である。y(k)は観測値である。即ち、PI=y(k)である。σsys(k)はシステムノイズであり、σmeas(k)は観測ノイズである。
カルマンフィルター120は、1つ前の時間k−1に更新した推定値x(k−1)と誤差共分散P(k−1)を記憶している。そして、現在の時間kにおいて観測値y(k)と観測ノイズσmeas(k)とシステムノイズσsys(k)を受付け、それらを用いて上式(1)〜(5)の時間更新及び観測更新を実行し、推定値x(k)をDC成分として出力する。
第1の構成例で説明したように、観測更新処理の停止は、推定値及び誤差共分散の少なくとも一方の更新停止である。推定値の更新停止は、上式(4)による更新を停止することである。例えば、上式(4)の右辺の演算結果をレジスターに格納することが、推定値の更新に相当する。このレジスターへの格納を停止することで、推定値の更新停止を行う。或いは、上式(4)の右辺の演算を停止することで、推定値の更新停止を行ってもよい。誤差共分散の更新停止は、上式(5)による更新を停止することである。
4.信号処理装置の詳細な構成例
図6は、本実施形態の信号処理装置の詳細な構成例である。信号処理装置100は、カルマンフィルター120、第1の推定部140、第2の推定部150、第3の推定部160、監視部180、減算処理部121、セレクター122、ゲイン処理部135、加算処理部167を含む。第1の推定部140、第2の推定部150、第3の推定部160、ゲイン処理部135、加算処理部167が、図5のノイズ推定部110に対応している。なお、本実施形態は図6の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したりする等の種々の変形実施が可能である。
セレクター122は、カルマンフィルター120が推定したDC成分DCQ、又はデータ「0」のいずれかを選択する。減算処理部121は、入力信号PIからセレクター122の出力を減算し、その結果を信号PQとして出力する。セレクター122がDC成分DCQを選択した場合、PQ=PI−DCQであり、セレクター122がデータ「0」を選択した場合、PQ=PIである。なお、セレクター122を省略し、DC成分DCQを直接、減算処理部121に入力してもよい。或いは、セレクター122及び減算処理部121を省略し、入力信号PIを直接、信号PQとして用いてもよい。
監視部180は、ゲイン処理部181、オフセット加算処理部182、コンパレーター183を含む。ゲイン処理部181は、誤差共分散Vcをゲイン処理する。オフセット加算処理部182は、ゲイン処理部181の出力にオフセットVOSを加算処理する。コンパレーター183は、信号PQの信号レベルとオフセット加算処理部182の出力とを比較する処理を、誤差共分散Vcに基づく判定処理として行う。
具体的には、ゲイン処理部181は、誤差共分散VcにゲインGA3を乗算する。オフセット加算処理部182の出力は閾値Vthの二乗(Vth)に対応しており、下式(6)となる。コンパレーター183は、信号PQの二乗(PQ)と閾値Vthの二乗(Vth)を比較し、信号PQの二乗(PQ)が閾値Vthの二乗(Vth)より大きい場合にアクティブの停止フラグFLOVを出力し、信号PQの二乗(PQ)が閾値Vthの二乗(Vth)より小さい場合に非アクティブの停止フラグFLOVを出力する。なお、下式(6)のゲインGA3、オフセットVOSの詳細は後述する。
本実施形態によれば、誤差共分散Vcをゲイン処理し、その結果にオフセットVOSを加算処理することで、誤差共分散Vcに応じて変化する閾値Vthを求めることができる。そして、信号PQの信号レベルとオフセット加算処理部182の出力とを比較することで、信号レベルが、誤差共分散Vcに応じて変化する閾値Vthを超えたか否かを判定処理できる。また、誤差共分散Vcの一次関数(ゲイン処理、オフセットの加算処理)により閾値Vthの二乗を求めるので、その一次関数により閾値Vthを調整できる。これにより、システムに適切な閾値Vthを設定できる。
第1の推定部140は、ジャイロセンサーの動き(入力信号PIの大きな変化)によるノイズを推定する。具体的には、第1の推定部140は、ハイパスフィルター141、二乗演算処理部142、ピークホールド部143、ゲイン処理部144、加算処理部145を含む。
ハイパスフィルター141は、信号PQからDC成分を除去する。後段で2乗平均を行うので、DC成分を除去しておくことで、DC成分が2乗されて観測ノイズσmeasの誤差となることを防止できる。二乗演算処理部142は、ハイパスフィルター141からの信号を二乗する。ピークホールド部143は、ハイパスフィルター141と二乗演算処理部142を通過したAC成分の信号を受けて、その信号をピークホールドする。ゲイン処理部144は、ピークホールド部143の出力にゲイン処理(ゲインGA4を乗じる処理)を行い、その結果を動きノイズVpp(動きノイズの分散)として出力する。加算処理部145は、動きノイズVppと、第2の推定部150が生成するフロアノイズVnとを加算し、その結果を観測ノイズの分散σmeas として出力する。
ジャイロセンサーが検出した動きが大きいほど、ピークホールド部143からの信号も大きくなるため、動きが大きいほど観測ノイズσmeasが増加する。観測ノイズσmeasを増加させると、上式(3)から分かるようにカルマンゲインg(k)が小さくなり、上式(4)から分かるように観測値y(k)のウエイトを下げて推定値x(k)を算出できる。これにより、動きのAC成分が大きいほど観測値y(k)の影響を低下させて、より精度の高いDC成分を抽出できる。
動きノイズVppから出力されるフロアノイズは、下式(7)で表される。Vnは入力信号PIのフロアノイズである。GA4はゲイン処理部のゲインであり、ピークホールド部143の影響度を調整する係数である。なお、ノイズの二乗信号をピークホールド処理することは、ある一定期間の最大値を出力することとなり、ノイズの二乗信号の平均値に対して実効的なゲインGpeakがかかる。ピークホールド部143は、入力信号をピークホールドしたのち、Gpeakで除算した信号を出力する。
第2の推定部150は、入力信号PIのフロアノイズを推定する。具体的には、第2の推定部150は、二乗演算処理部151、セレクター152、ローパスフィルター153、リミッター154を含む。
二乗演算処理部151は、信号PQを二乗する。セレクター152は、二乗演算処理部151の出力、又は第1の推定部140の二乗演算処理部142の出力を選択する。ローパスフィルター153は、二乗演算処理部151により二乗された信号をフィルタリング(平滑化)し、二乗平均を求める。この二乗平均により信号のノイズ成分が抽出される。リミッター154は、ローパスフィルター153からの信号に対してリミット処理を行う。具体的には、ローパスフィルター153からの信号が下限値以下である場合には出力を下限値にリミットし、ローパスフィルター153からの信号が下限値よりも大きい場合には、その信号をそのまま出力する。下限値は、想定される最小のフロアノイズよりも小さい値であり、例えば1digitである。その結果、リミッター154の出力からは、フロアノイズVn(フロアノイズの分散)が出力される。
ゲイン処理部135は、第2の推定部150からのフロアノイズVnに対して一定のゲインGA1を乗算し、加算処理部167に出力する。ゲインGA1は、下式(11)のように設定する。下式(11)の導出手法について以下に説明する。
まず、十分に時間が経過した状態での観測ノイズσmeasとシステムノイズσsysの関係を求める。十分に時間が経過した状態はk=∞の状況を想定すればよく、事前誤差共分散P-(k)が一定値に収束しているとすると、下式(8)が成り立つ。事前誤差共分散P-(k)の収束値をPとしている。
上式(2)、(5)に上式(8)を適用した式と、上式(3)に上式(8)を適用した式とを連立方程式としてカルマンゲインg(k)について解くと、下式(9)となる。下式(9)では、収束状態k=∞におけるカルマンゲインg(k)をgとしている。また右辺の近似では、カルマンフィルター120の収束状態では通過帯域が非常に低いためσsys<<σmeasが成り立つと仮定している。
上式(9)より、収束状態ではσsys =gσmeas なので、ゲインGA1=gである。DC成分を抽出するための所望のフィルター特性とカルマンゲインgとの関係が分かれば、その所望のフィルター特性が得られるようにゲインGA1を設定できる。
上式(1)、(4)より、時間が経過したときの最終的な伝達関数を求め、その伝達関数に双一次変換を適用し、その伝達関数に含まれるローパスフィルター特性のカットオフ周波数fを求め、カルマンゲインgについて解くと、下式(10)となる。fは、カルマンフィルター120のサンプリング周波数(動作周波数)である。下式(10)の右辺の近似では、f<<fとした。
上式(10)より、ゲインGA1=gは下式(11)のように求まる。下式(11)において、収束状態で最終的に得たい所望のカットオフ周波数(ターゲットカットオフ周波数)をfに設定する。
第3の推定部160は、温度変動によるゼロ点(DCオフセット)の変動を推定する。第3の推定部160は、温度変化があった場合にシステムノイズσsysを増加させ、カルマンフィルター120を収束状態から推定状態に戻す。具体的には、第3の推定部160は、遅延部161、減算処理部162、ローパスフィルター163、ゲイン処理部164、二乗演算処理部165、乗算処理部166、加算処理部167を含む。
遅延部161と減算処理部162は、温度センサーの時間kでの検出信号TSと1つ前の時間k−1での検出信号TSとの差分を求める。ローパスフィルター163は、その差分を平滑化する。
ゲイン処理部164は、ローパスフィルター163からの信号にゲインGA5を乗算する。二乗演算処理部165は、その乗算後の信号を2乗する。乗算処理部166は、その2乗後の信号と第2の推定部150からのフロアノイズVnとを乗算する。加算処理部167は、乗算処理部166の出力とゲイン処理部135の出力を加算し、その結果をシステムノイズの分散σsys としてカルマンフィルター120に出力する。
ゲインGA5は、下式(12)により設定される。TSENは、温度センサーの感度(digi/℃)であり、TCOEFFは、ジャイロセンサーの温度係数(dps/℃)であり、SENは、ジャイロセンサーの感度(digit/dps)である。
以下、図7を用いて、監視部180が閾値Vthを設定する上式(6)のゲインGA3、オフセットVOSについて説明する。図7は、閾値Vthの設定手法を説明する図である。
観測ノイズの分散σmeas は、上式(7)より下式(13)となる。
誤差共分散の収束状態における入力信号PIのノイズレベルをVmin(フロアノイズ)とすると、Vn=Vmin である。このとき、上式(13)より下式(14)が成り立つ。また、動作開始時(収束前状態)は、信号PQは入力信号PIのDC成分DCQとなる。DC成分DCQの想定されうる最大値をVmax(最大ゼロ点誤差)とすると、ハイパスフィルター141の出力はVmax、二乗演算処理部142の出力はVmax 、ゲイン処理部144の出力はGA4×Vmax となる。一方、ローパスフィルター153の出力はVmax となり、下式(15)が成り立つ。なお、計算の簡略化のため、ピークホールド部の実効的なゲインGpeakを1とする。
収束状態では、上式(2)、(5)、(9)より下式(16)が成り立つ。
上式(8)、(10)、(16)より、収束状態における誤差共分散Pとして下式(17)が求められる。
収束前状態を、ターゲットカットオフ周波数fの時定数時間前の状態と仮定すると、収束前状態における誤差共分散Pとして下式(18)が求められる。
図7に示すように、収束前状態における閾値を最大閾値Vとし、収束状態における閾値を最小閾値Vとする。上式(6)より、最大閾値Vを下式(19)、最小閾値Vを下式(20)とおくことができる。
上式(19)、(20)を連立方程式として解き、上式(14)、(15)、(17)、(18)を用いると、下式(21)、(22)が求められる。即ち、監視部180のゲインGA3は下式(21)により設定され、オフセットVOSは下式(22)により設定される。
5.検出装置、物理量測定装置
図8は、本実施形態の信号処理装置を含む検出装置の構成例である。検出装置300(回路装置、集積回路装置)は、駆動回路30、検出回路60、信号処理装置100(信号処理回路)、温度センサー190を含む。なお、本実施形態は図8の構成に限定されず、その構成要素の一部(例えば温度センサー)を省略したり、他の構成要素を追加したりする等の種々の変形実施が可能である。
駆動回路30は、物理量トランスデューサー12に駆動信号DQを供給し、物理量トランスデューサー12を駆動する。検出回路60は、物理量トランスデューサー12からの検出信号TQを受けて、物理量に応じた物理量信号を検出する。信号処理装置100は、物理量信号を入力信号PIとしてDC成分DCQを抽出する。
具体的には、物理量トランスデューサー12は、物理量を検出するための素子やデバイスである。物理量は、例えば角速度、角加速度、速度、加速度、距離、圧力、音圧、磁気量又は時間等である。なお、検出装置300は、複数の物理量トランスデューサーからの検出信号に基づいて物理量を検出してもよい。例えば、第1〜第3の物理量トランスデューサーが、各々、第1軸、第2軸、第3軸についての物理量を検出する。第1軸、第2軸、第3軸についての物理量とは、一例としては第1軸、第2軸、第3軸回りでの角速度又は角加速度、或いは第1軸、第2軸、第3軸方向での速度又は加速度などである。第1軸、第2軸、第3軸は一例としてはX軸、Y軸、Z軸である。なお第1軸〜第3軸のうちの2軸の物理量だけを検出するものであってもよい。
信号処理装置100は、ゼロ点推定部102、減算処理部104、処理部106を含む。例えば、信号処理装置100はDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサーにより実現され、例えば各部の処理がDSPによる時分割処理で実現される。或いは、信号処理装置100は、その各部が個別のハードウェア(ロジック回路)として構成されてもよい。
ゼロ点推定部102は、入力信号PIと温度センサー190からの検出信号TS(温度検出電圧)とに基づいて観測ノイズ及びシステムノイズを動的に変化させ、その観測ノイズ及びシステムノイズに基づいてカルマンフィルター処理を行い、入力信号PIのDC成分DCQ(DCオフセット、ゼロ点)を推定する。ゼロ点推定部102は、図2のカルマンフィルター120、監視部180、或いは図5のカルマンフィルター120、監視部180、ノイズ推定部110に対応している。
減算処理部104は、入力信号PIからDC成分DCQを減算し、その結果を信号PQとして出力する。なお、減算処理部104として図6の減算処理部121を用いてもよい。
処理部106は、信号PQに対して種々のデジタル信号処理(例えば補正、積分等)を行い、物理量を表すデジタル値を出力する。処理部106が出力する物理量の種類は、検出回路60が検出する物理量の種類と同一でもよいし、非同一でもよい。例えば、ジャイロセンサーでは検出回路60が角速度を検出するが、処理部106は角速度を出力してもよいし、或いは角速度を積分した角度を出力してもよい。
図9は、本実施形態の検出装置(信号処理装置)を含む物理量測定装置の構成例である。図9では、物理量測定装置の一例として、角速度を検出するジャイロセンサーの構成例を示す。なお、図7で説明したように、例えば角速度、角加速度、速度、加速度、距離、圧力、音圧、磁気量又は時間等の種々の物理量を検出する物理量測定装置に、本実施形態の信号処理装置100を適用可能である。
ジャイロセンサー400(角速度センサー)は、振動子10、駆動回路30、検出回路60、信号処理装置100を含む。
振動子10(角速度検出素子)は、所定の軸での回転により振動子10に働くコリオリ力を検出し、そのコリオリ力に応じた信号を出力する素子(物理量トランスデューサー)である。振動子10は、例えば圧電振動子である。例えば、振動子10はダブルT字型、T字型、音叉型等の水晶振動子等である。なお、振動子10として、シリコン基板を用いて形成されたシリコン製振動子としてのMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)振動子等を採用してもよい。
駆動回路30は、振動子10からのフィードバック信号DIが入力される増幅回路32と、自動ゲイン制御を行うゲイン制御回路40と、駆動信号DQを振動子10に出力する駆動信号出力回路50を含む。また同期信号SYCを検出回路60に出力する同期信号出力回路52を含む。
増幅回路32(I/V変換回路)は、振動子10からのフィードバック信号DIを増幅する。例えば振動子10からの電流の信号DIを電圧の信号DVに変換して出力する。この増幅回路32は、演算増幅器、帰還抵抗素子、帰還キャパシターなどにより実現できる。
駆動信号出力回路50は、増幅回路32による増幅後の信号DVに基づいて、駆動信号DQを出力する。例えば駆動信号出力回路50が、矩形波(又は正弦波)の駆動信号を出力する場合には、駆動信号出力回路50はコンパレーター等により実現できる。
ゲイン制御回路40(AGC)は、駆動信号出力回路50に制御電圧DSを出力して、駆動信号DQの振幅を制御する。具体的には、ゲイン制御回路40は、信号DVを監視して、発振ループのゲインを制御する。例えば駆動回路30では、ジャイロセンサーの感度を一定に保つために、振動子10の駆動用振動部に供給する駆動電圧の振幅を一定に保つ必要がある。このため、駆動振動系の発振ループ内に、ゲインを自動調整するためのゲイン制御回路40が設けられる。ゲイン制御回路40は、振動子10からのフィードバック信号DIの振幅(振動子10の駆動用振動部の振動速度)が一定になるように、ゲインを可変に自動調整する。このゲイン制御回路40は、増幅回路32の出力信号DVを全波整流する全波整流器や、全波整流器の出力信号の積分処理を行う積分器などにより実現できる。
同期信号出力回路52は、増幅回路32による増幅後の信号DVを受け、同期信号SYC(参照信号)を検出回路60に出力する。この同期信号出力回路52は、正弦波(交流)の信号DVの2値化処理を行って矩形波の同期信号SYCを生成するコンパレーターや、同期信号SYCの位相調整を行う位相調整回路(移相器)などにより実現できる。
検出回路60は、増幅回路64、同期検波回路81、A/D変換回路82、信号処理装置100(DSP)を含む。増幅回路64は、振動子10からの第1、第2の検出信号IQ1、IQ2を受けて、電荷−電圧変換や差動の信号増幅やゲイン調整などを行う。同期検波回路81は、駆動回路30からの同期信号SYCに基づいて同期検波を行う。A/D変換回路82は、同期検波後の信号のA/D変換を行う。信号処理装置100はA/D変換回路82からのデジタル信号(入力信号PI)に対してデジタルフィルター処理やデジタル補正処理(例えばゼロ点補正処理や感度補正処理など)を行う。ゼロ点補正処理は、カルマンフィルター処理によりゼロ点を推定し、入力信号PIのゼロ点を補正する処理である。
6.移動体、電子機器
図10、図11は、本実施形態の信号処理装置を含む移動体、電子機器の例である。本実施形態の信号処理装置100は、例えば、車、飛行機、バイク、自転車、或いは船舶等の種々の移動体に組み込むことができる。移動体は、例えばエンジンやモーター等の駆動機構、ハンドルや舵等の操舵機構、各種の電子機器を備えて、地上や空や海上を移動する機器・装置である。
図10は、移動体の具体例としての自動車206を概略的に示したものである。自動車206には、信号処理装置100を含むジャイロセンサー(不図示)が組み込まれている。ジャイロセンサーは車体207の姿勢を検出することができる。ジャイロセンサーの検出信号は車体姿勢制御装置208に供給される。車体姿勢制御装置208は例えば車体207の姿勢に応じてサスペンションの硬軟を制御したり個々の車輪209のブレーキを制御したりすることができる。その他、こういった姿勢制御は二足歩行ロボットや航空機、ヘリコプター等の各種の移動体において利用されることができる。姿勢制御の実現にあたってジャイロセンサーは組み込まれることができる。
図11は、電子機器の具体例としてのデジタルスチルカメラ610を概略的に示したものである。例えばデジタルスチルカメラ610においてジャイロセンサーや加速度センサーを用いた手ぶれ補正等を行うことができる。また電子機器の具体例として生体情報検出装置(ウェアラブル健康機器。例えば脈拍計、歩数計、活動量計等)を想定できる。生体情報検出装置において、ジャイロセンサーや加速度センサーを用いて、ユーザーの体動を検出したり、運動状態を検出したりできる。このように、本実施形態の信号処理装置100はデジタルスチルカメラ610や生体情報検出装置などの種々の電子機器に適用できる。
また、移動体又は電子機器の具体例としてロボットを想定できる。本実施形態の信号処理装置100は、例えばロボットの可動部(アーム、関節)や本体部に適用できる。ロボットは、移動体(走行・歩行ロボット)、電子機器(非走行・非歩行ロボット)のいずれも想定できる。走行・歩行ロボットの場合には、例えば自律走行にジャイロセンサー(本実施形態の信号処理装置を含む)を利用できる。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本発明の範囲に含まれる。また信号処理装置、検出装置、物理量測定装置、電子機器、移動体の構成・動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
10…振動子、12…物理量トランスデューサー、30…駆動回路、32…増幅回路、
40…ゲイン制御回路、50…駆動信号出力回路、52…同期信号出力回路、
60…検出回路、64…増幅回路、81…同期検波回路、82…A/D変換回路、
100…信号処理装置、102…ゼロ点推定部、104…減算処理部、106…処理部、
110…ノイズ推定部、120…カルマンフィルター、121…減算処理部、
122…セレクター、135…ゲイン処理部、140…第1の推定部、
141…ハイパスフィルター、142…二乗演算処理部、143…ピークホールド部、
144…ゲイン処理部、145…加算処理部、150…第2の推定部、
151…二乗演算処理部、152…セレクター、153…ローパスフィルター、
154…リミッター、160…第3の推定部、161…遅延部、162…減算処理部、
163…ローパスフィルター、164…ゲイン処理部、165…二乗演算処理部、
166…乗算処理部、167…加算処理部、180…監視部、181…ゲイン処理部、
182…オフセット加算処理部、183…コンパレーター、190…温度センサー、
206…自動車、207…車体、208…車体姿勢制御装置、209…車輪、
300…検出装置、400…ジャイロセンサー、610…デジタルスチルカメラ、
DCQ…DC成分、FLOV…停止フラグ、PI…入力信号、VOS…オフセット、
Vc…誤差共分散、Vn…フロアノイズ、Vpp…動きノイズ、Vth…閾値、
σmeas…観測ノイズ、σsys…システムノイズ

Claims (11)

  1. 観測ノイズ及びシステムノイズに基づいてカルマンフィルター処理を行って、入力信号のDC成分を推定値として出力するカルマンフィルターと、
    監視部と、
    を含み、
    前記カルマンフィルターは、
    前記推定値の誤差共分散を出力し、
    前記監視部は、
    前記入力信号に対応する信号レベルに対する、前記誤差共分散に基づく判定処理の結果に基づいて、前記カルマンフィルターでの観測更新処理の停止指示を行うことを特徴とする信号処理装置。
  2. 請求項1に記載の信号処理装置において、
    前記監視部は、
    前記信号レベルが、前記誤差共分散に基づく閾値を超えた場合に、前記停止指示を行うことを特徴とする信号処理装置。
  3. 請求項1又は2に記載の信号処理装置において、
    前記停止指示は、前記推定値及び前記誤差共分散の少なくとも一方の更新停止の指示であることを特徴とする信号処理装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の信号処理装置において、
    前記監視部は、
    前記入力信号から前記推定値が減算された信号の前記信号レベルに対する前記判定処理を行うことを特徴とする信号処理装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の信号処理装置において、
    前記監視部は、
    前記入力信号に対応する信号が二乗演算処理された信号の前記信号レベルに対する前記判定処理を行うことを特徴とする信号処理装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の信号処理装置において、
    前記監視部は、
    前記誤差共分散をゲイン処理するゲイン処理部と、
    前記ゲイン処理部の出力にオフセットを加算処理するオフセット加算処理部と、
    前記信号レベルと前記オフセット加算処理部の出力とを比較する処理を、前記判定処理として行うコンパレーターと、
    を含むことを特徴とする信号処理装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の信号処理装置において、
    前記入力信号に応じて動的に変化する前記観測ノイズ及び前記システムノイズを推定するノイズ推定部を含むことを特徴とする信号処理装置。
  8. 物理量トランスデューサーを駆動する駆動回路と、
    前記物理量トランスデューサーからの検出信号を受けて、物理量に応じた物理量信号を検出する検出回路と、
    前記物理量信号を前記入力信号として前記推定値である前記DC成分を抽出する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の信号処理装置と、
    を含むことを特徴とする検出装置。
  9. 請求項8に記載の検出装置と、
    前記物理量トランスデューサーと、
    を含むことを特徴とする物理量測定装置。
  10. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の信号処理装置を含むことを特徴とする電子機器。
  11. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の信号処理装置を含むことを特徴とする移動体。
JP2017062057A 2017-03-28 2017-03-28 信号処理装置、検出装置、物理量測定装置、電子機器及び移動体 Withdrawn JP2018165618A (ja)

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