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JP2018161799A - 炭素繊維強化シートおよびその製造方法 - Google Patents

炭素繊維強化シートおよびその製造方法 Download PDF

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JP2018161799A
JP2018161799A JP2017060320A JP2017060320A JP2018161799A JP 2018161799 A JP2018161799 A JP 2018161799A JP 2017060320 A JP2017060320 A JP 2017060320A JP 2017060320 A JP2017060320 A JP 2017060320A JP 2018161799 A JP2018161799 A JP 2018161799A
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厚 高橋
Atsushi Takahashi
厚 高橋
泰彦 鍋島
Yasuhiko Nabeshima
泰彦 鍋島
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Abstract

【課題】 取り扱い性に優れ、かつ低コストにて最終部材へ成形可能な積層体が求められていた。
【解決手段】 炭素繊維と熱可塑性樹脂からなる炭素繊維プリプレグを積層して一体化した炭素繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造方法であって、炭素繊維プリプレグを積層した後、予熱を行わず以下の温度条件にてプレスして成形する、炭素繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造方法。
<温度条件>
Tc−15<プレス温度<Tm
Tc:熱可塑性樹脂の結晶化温度
Tm:熱可塑性樹脂の融点
【選択図】 なし

Description

本発明は、炭素繊維強化シートおよびその製造方法に関する。
近年、強化繊維材料である炭素繊維は、各種のマトリックス樹脂と複合化され、得られる繊維強化プラスチックは種々の分野・用途に広く利用されるようになってきた。そして、高度の機械的特性や耐熱性等を要求される航空・宇宙分野や、一般産業分野では、従来、マトリックス樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂が使用されてきた。しかし、特に航空・宇宙分野では、これらのマトリックス樹脂は、脆く、耐衝撃性に劣るという欠点を有するため、その改善が求められてきた。また、熱硬化性樹脂の場合、これをプリプレグとしたとき、樹脂のライフタイムが短いために保存管理上に問題があること、製品形状に対して追従性が乏しいこと、成形時間が長く生産性が低いこと等の問題もあった。これに対して、熱可塑性樹脂プリプレグの場合は、複合材料としたときの耐衝撃性が優れ、成形時間が短く、かつ成形コスト低減の可能性もある。
熱可塑性樹脂を用いた積層体としては、炭素繊維を一方向に引きそろえた状態で熱可塑性樹脂を含浸し、炭素繊維シートにしたものを積層してなる積層体が一般的である。その他、積層シートに切込みを持たせた積層シート(特許文献1)、テープ状のシートを所定の大きさにカットし、ばらまいた後に成形する積層体(特許文献2)、炭素繊維束をカットして開繊させ、同時に熱可塑性樹脂と一体化するチョップドストランドプリプレグ(特許文献3)などがある。これらは部材成形時のスタンピング成形前に中間基材として積層体を作製される。しかし、このような積層体は一体化するために熱可塑性樹脂を結晶性樹脂の場合は融点以上にて軟化させたのちにプレスし、またその後、離型するために冷却する必要がある。その為、ベルトプレスや間欠プレス、熱ロールなどの大型装置を必要としたり、または、遠赤外線ヒーター+コールドプレスや加熱・冷却プレスを用いるバッチ方式など生産性の低い方法でシート化する必要があり、当該シートはどうしても高価なものとなる。
このような課題を解決するために、特許文献1では炭素繊維シートを積層したのち、半田ごてにて四隅を溶着することで、中間基材として一部のみ一体化した積層体を作製し、スタンピング成形を行うことが開示されている。また、特許文献4は積層シートを所定の面積あたりに複数点、点溶着することが記載されている。しかしながら、これらの方法では、溶着点数が多い場合は時間を要し、かつ溶着点数が少ない場合は取り扱製が難しくなるという問題点があった。また点での溶着の為、溶着部分の炭素繊維が乱れ物性を低下させる可能性もある。
特開2009−286817号公報 特開2012−97170号公報 特開2014−30913号公報 特開2007−262360号公報
本発明では積層した炭素繊維シートを、余熱なしに熱可塑性樹脂の結晶化温度から15℃低い温度以上、融点以下にてプレスすることにより、取り扱い性に優れ、低コストで簡易な方法で作製可能な積層体を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、積層した炭素繊維シートを、余熱なしに熱可塑性樹脂の結晶化温度−15℃以上、融点以下にてプレスすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち本発明の要旨は、以下の(1)〜(4)に存する。
(1) 炭素繊維と熱可塑性樹脂からなる炭素繊維プリプレグを積層して一体化した炭素繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造方法であって、炭素繊維プリプレグを積層した後、予熱を行わず以下の温度条件にてプレスして成形する、炭素繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造方法。
<温度条件>
Tc−15<プレス温度<Tm
Tc:熱可塑性樹脂の結晶化温度
Tm:熱可塑性樹脂の融点
(2)前記プレスのプレス圧が、積層体にかかる実圧で0.2MPa以上である、請求項1に記載の炭素繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造方法。
(3) 炭素繊維と熱可塑性樹脂からなる炭素繊維プリプレグの複数枚により構成される炭素繊維強化熱可塑性樹脂シートであって、炭素繊維強化熱可塑性樹脂シートの層間剪断強度が1〜20MPaである炭素繊維強化熱可塑性樹脂シート。
(4) 絶乾状態での曲げ弾性率が以下の範囲である上記(3)に記載の炭素繊維強化熱可塑性樹脂シート
3<弾性率(GPa)<0.75Vf
Vf:炭素繊維強化熱可塑性樹脂の炭素繊維体積含有率
本発明により、取り扱い性に優れ、かつ低コストにて最終部材へ成形可能な積層体が作製可能となる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定されない。
本発明の炭素繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造方法は、炭素繊維と熱可塑性樹脂からなる炭素繊維プリプレグを積層して一体化した炭素繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造方法であって、炭素繊維プリプレグを積層した後、予熱を行わず以下の温度条件にてプレスして成形する、炭素繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造方法である。
<温度条件>
Tc−15<プレス温度<Tm
Tc:熱可塑性樹脂の結晶化温度
Tm:熱可塑性樹脂の融点
また、本発明の炭素繊維強化熱可塑性樹脂シートは上記の炭素繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造方法で製造可能であり、炭素繊維と熱可塑性樹脂からなる炭素繊維プリプレグの複数枚により構成される炭素繊維強化熱可塑性樹脂シートであって、炭素繊維強化熱可塑性樹脂シートの層間剪断強度が1〜20MPaである炭素繊維強化熱可塑性樹脂シートである。
(炭素繊維)
本発明には炭素繊維が最も好ましいが、その他の繊維として、ガラス繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維、金属繊維などの高強度、高弾性率繊維の1種または2種以上を使用できる。炭素繊維の種類としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レイヨン系炭素繊維などがあげられるが、得られる成形品の力学特性の向上および成形品の軽量化効果の観点から好ましい。得られる成形品の強度と弾性率とのバランスの観点から、PAN系炭素繊維がさらに好ましい。
本発明に用いる炭素繊維の直径は特に限定されないが3μm〜20μmが好ましく、さらに好ましくは5μmから15μmである。用いる強化繊維の形状は真円である必要はなく、楕円上やその他の形状であってもよい。
本発明に用いる強化繊維束とは上記強化繊維が複数本束ねられた形態を示す。束に含まれる強化繊維の本数は500〜100000本であることが好ましく、更に好ましくは3000〜60000本であり、更に好ましくは15000本〜50000本である。
(熱可塑性樹脂)
本発明に用いることができる熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアミドイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ABS、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリエステルや、アクリロニトリルとスチレンの共重合体等をがあげれれる。
その中でも、電気・電子機器や自動車の部品としての用途から、軽量、かつ、力学特性や成形性のバランスに優れるポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂がより好ましく、さらに好ましくはポリアミド樹脂である。
好適な熱可塑性樹脂であるポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂について説明する。ここで言うポリプロピレン樹脂とは、無変性のものも、変性されたものも含まれる。無変性のポリプロピレン樹脂は、具体的には、プロピレンの単独重合体またはプロピレンと少なくとも1種のα−オレフィン、共役ジエン、非共役ジエンなどとの共重合体である。α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4ジメチル−1−ヘキセン、1−ノネン、1−オクテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等のプロピレンを除く炭素数2〜12のα−オレフィンなどが挙げられる。共役ジエン、非共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,5−ヘキサジエン等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。無変性ポリプロピレン樹脂の骨格構造としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンと前記その他の単量体のランダムあるいはブロック共重合体、またはプロピレンと他の熱可塑性単量体とのランダムあるいはブロック共重合体等を挙げることができる。例えば、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体などが好適なものとして挙げられる。プロピレンの単独重合体は成形品の剛性をより向上させる観点から好ましく、プロピレンと前記その他の単量体のランダムあるいはブロック共重合体は成形品の衝撃強度をより向上させる観点から好ましい。
また、変性ポリプロピレン樹脂としては、酸変性ポリプロピレン樹脂が好ましく、重合体鎖に結合したカルボン酸および/またはその塩の基を有するポリプロピレン樹脂がより好ましい。上記酸変性ポリプロピレン樹脂は種々の方法で得ることができ、例えば、ポリプロピレン樹脂に、中和されているか、中和されていないカルボン酸基を有する単量体、および/または、ケン化されているか、ケン化されていないカルボン酸エステルを有する単量体を、グラフト重合することにより得ることができる。
ポリアミド樹脂としては、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ナイロン69)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ナイロン9T、ナイロンMXD6、ナイロン6/66コポリマー、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンセバカミドコポリマー(ナイロン6/610コポリマー)、ナイロン6/6Tコポリマー、ナイロン6/66/610コポリマー、ナイロン6/12コポリマー、ナイロン6T/12コポリマー、ナイロン6T/66コポリマー、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6/6Iコポリマー)、ナイロン66/6I/6コポリマー、ナイロン6T/6Iコポリマー、ナイロン6T/6I/66コポリマー、ナイロン6/66/610/12コポリマー、ナイロン6T/M−5Tコポリマーなどが挙げられる。含浸性の観点から融点が250℃以下であるナイロン6、ナイロン12、ナイロン610、ナイロンMXD6が好ましく、更に好ましくは低コストであるナイロン6である。
(炭素繊維プリプレグ)
本発明に用いる炭素繊維プリプレグの形態は特に限定されないが、一例として炭素繊維を一方向に並べて熱可塑性樹脂を含浸させ一体化させたシート(プリプレグ)が挙げられる。
炭素繊維プリプレグの製造方法としては、熱可塑性樹脂のフィルムを作成し、炭素繊維束を一方向に連続的に送り出し、公知の方法にて開繊した炭素繊維シートに両側から挟み込み、加熱及び加圧を行う工程を経てプリプレグとする製造方法が挙げられる。より具体的には、対を形成する熱可塑性樹脂フィルムを送り出す2つのロールから二層分のフィルムを送り出すとともに、炭素繊維シートのロールから供給される炭素繊維シートをその層間に挟み込ませ、熱可塑性樹脂フィルム−繊維シート−熱可塑性樹脂フィルムの三層構造、いわゆるサンドイッチ構造が構成された後に、加熱及び加圧する。加熱及び加圧する手段としては、公知のものを用いることができ、1個以上の熱ロールを利用したり、予熱装置と熱ロールの対を複数使用したりするなどの多段階の工程を要するものであってもよい。またダブルベルトプレス機のような2枚のベルトに挟みこみ連続的に成形する方法も挙げられる。
またフィルムを片側のみ使用し、片側から含浸させる方法でも良い。
他のプリプレグの製造方法としては、炭素繊維束を一方向に連続的に送り出した炭素繊維シートに、押出機から押し出された溶融樹脂をとこうし、ロールなどにより加圧して含浸させる方法が挙げられる。
さらに開繊した炭素繊維シートを溶融押出機のダイヘッドに供給し、ダイヘッド中で樹脂を含浸させる方法でプリプレグを作製することも可能である。
更に本発明においては、一方向性の連続炭素繊維を用いたプリプレグのほかに、カットした炭素繊維をランダムに配置したシート(ランダムプリプレグ)などもプリプレグに含まれる。
具体的には、テープ状のプリプレグを所定の長さにカットし、ランダムにばらまいた物を、加圧してプレスすることで得られるプリプレグや、炭素繊維束をカットしてランダムにばらまいた後、フィルムや粉末状等の熱可塑性樹脂と共に、加熱してプレスするなどにより得られるチョップドプリプレグ、炭素繊維束を抄紙法などによりランダム化して熱可塑樹脂と一体化したプルプレグなどである。このようなランダムプリプレグの場合の繊維長としては1mm以上100以下であることが好ましい。更に好ましくは5mm以上50mm以下、更に好ましくは5mm以上30mm以下である。このように本発明におけるプリプレグは連続繊維に限らず、一定の厚さを有し、積層して一体化する工程を得るならば、特に限定されない。
本発明での好ましいプリプレグの厚さは積層できる厚さであれば特に限定されないが、好ましくは0.05mm〜2mm、更に好ましくは0.08mm〜1mm、最も好ましくは0.1mm〜0.5mmである。
また本発明においては、一方向性プリプレグのシートを横切る方向に強化繊維を切断する深さの切込を有しても良い。切込の際に生じる強化繊維の平均繊維長は、短いほどスタンピング成形性に優れ、長いほど機械物性に優れるが、一般には両者のバランスを鑑み10mm以上100mm以下が好ましい。
(熱可塑性炭素繊維強化シートの製造方法)
本発明においては、先に説明したプリプレグを積層して一体化することにより、熱可塑性炭素繊維強化シートを作製できる。積層方法は求める物性によって変わる為、本発明においては特に限定されないが、一方向連続繊維のプリプレグにおいては、一方向での積層(UD)、直行積層(0°と90°方向への積層)、疑似等方積層(例として0、45、90、−45°方向への積層)などが挙げられる。またランダムプリプレグは特に方向性はなく積層が可能である。
このように積層したシートは、シートの隅を溶着することにより、仮固定しても良い。仮固定の方法としては、半田ごてや熱溶着、振動溶着など任意の方法を用いることができる。
つぎに積層したシートはプレス機を用いてプレスすることにより一体化される。通常成形品を作製する場合や、成形品前の中間材料を作製する場合、IRヒーター等で一度融点い以上に加熱し、融点以下の比較的低温の金型にてプレス成型する方法(コールドプレス)や積層したシートを融点以上の金型で一定時間プレスした後、融点以下にて再度プレスする方法(ホットアンドコールドプレス)などが採用される。しかし本発明においては、部材成形時の取り扱いが可能な程度に接着した中間材としてのシートを作製するため、事前の余熱は必要なく、直接ホットプレスに積層したシートを移動しての成形が可能である。 この時、プレス時の温度はプリプレグの結晶化温度をTcとするとTc−15℃から融点の範囲であるため、樹脂は流動せず、大掛かりな金型も必要ない。
本発明において好ましいプレス温度はTc−15℃から熱可塑性樹脂の融点となる。Tc−15℃より低いと温度が低すぎてプリプレグ同士が接着せず、一体化できない。一方融点以上となると樹脂が溶融して流動してしまうため、目的とする熱可塑性炭素繊維強化シートを作製することが困難となる。更に好ましい範囲としてはTc−10℃〜融点−10℃であり、更に好ましくはTc−10℃〜融点−15℃である。本発明においては非結晶性の樹脂も使用可能である。この場合はガラス転移温度(Tg)以上Tg+100以下が好ましい。
本発明において結晶化温度および融点はJIS K7121等に準じて、示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定する。融解温度はあらかじめ溶融温度より約100℃低い温度で装置が安定するまで保持した後、加熱温度10℃/min.にて融解ピーク終了時より約30℃高い温度まで加熱して曲線を得、そのピークの頂点を融点(Tm)とした。なお、本検討においては一番大きいピークを融点とした。
また結晶化温度は融解ピークより30℃高い温度まで加熱した後、10分保持し、10℃/min.にて結晶化ピークよりも約50℃低い温度まで冷却して求めた。本検討においては一番高い温度のピークを結晶化温度とした。
本発明において好ましいプレス圧力としては、実圧で0.2MPa以上である。実圧とは実際に積層体にかかる圧力のことを指す。条件は特に限定されないが、10MPa以下が好ましい。0.2MPa以下では圧力が小さすぎて、プリプレグ間の接着が弱くなり好ましくない。
本発明では、積層体は熱可塑性樹脂の融点以下で成形されるため、積層体はプレス時に流動しない。そのため、成形時に流動を抑制する機構を持つ金型を必要としない。プレス時には離形できる材料であれば特に問題なく、離形剤を塗布したプレス板に直接挟む方法、金属の平板に挟む方法、テフロン(商品名)やPETなど離形フィルムを用いる方法、離型紙を用いる方法などにより成形可能である。
(熱可塑性炭素繊維強化シート)
本発明では、積層したシートのチャージした際の面積(M1)とプレスにより一体化して熱可塑性炭素繊維強化シートとした際の面積(M2)の比、M2/M1は1.0〜1.2の範囲となる。これ以上大きいと、シートが流動したことになり、均一な厚さのシートが得られない。
また、本発明で得られる熱可塑性炭素繊維強化シートは、炭素繊維と熱可塑性樹脂からなる炭素繊維プリプレグの複数枚により構成される炭素繊維強化熱可塑性樹脂シートであって、炭素繊維強化熱可塑性樹脂シートの層間剪断強度が1〜20MPaであることが好ましい。層間剪断強度が20MPa以上である場合は、積層体を融点以上で加熱してプレス成型したシートで得られる領域の物性となり、このように高い接着性を有するシートは、本発明の目的である、取り扱いが容易で簡易に成形できる形態とはそぐわない。一方1MPa以下の場合は、積層体が十分接着しているとは言わず、取り扱い性が悪くなる。本発明において層間剪断強度の更に好ましい範囲は5〜15MPaである。
さらに本発明で得られる熱可塑性炭素繊維強化シートは絶乾状態での曲げ弾性率が以下の範囲であることが好ましい。
3<弾性率(GPa)<0.75Vf
GPa Vf:積層体の炭素繊維体積含有率
ここで、絶乾状態とは80℃以上の温度で真空乾燥させた際に、重量変化がおこならなくなる状態のことを指す。曲げ弾性率が3GPa以下であると層間の接着が悪く、取り扱い性が良くない。一方 0.75Vf GPaを超えたものは製造時に樹脂の溶融が起こっている可能性があり、生産性が悪くなる。
(炭素繊維体積含有率)
本発明においては炭素繊維体積含有率(Vf)が20%以下であると、強度、剛性等が低く、満足する物性の熱可塑性炭素繊維強化シートが得られない。一方Vfが60%を超えると、樹脂の含浸性が悪くなり、ボイドが多くなることから、良好な熱可塑性炭素繊維強化シートを得ることが出来ない。このような観点から、本発明において好ましい炭素繊維体積含有率(Vf)は20%以上60%以下である。またより好ましくは25%以上50%以下である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
(炭素繊維)
炭素繊維(三菱レイヨン株式会社製、製品名:TR50S15L、密度1.82g/cm
(原料樹脂)
ナイロン6(宇部興産株式会社製 1013B)
(一方向プリプレグの製作)
炭素繊維を一方向に配向した目付100.0g/mの炭素繊維のみからなるシートの両面に30μm厚のナイロン6フィルムを積層させた後、250℃に加熱して、1MPaにて加圧させることで、熱可塑性樹脂フィルムを炭素繊維のシート状物に溶融含浸させ、その後、80℃まで冷却することにより熱可塑性プリプレグを得た。得られた熱可塑性プリプレグの厚みは114μm、炭素繊維体積含有率は48.0%であった。
(融点の測定)
得られたプリプレグを用いて、示差走査熱量測定(DSC)により融点測定した。融解温度はあらかじめ窒素フロー下、加熱温度10℃/min.にて30℃から260℃まで加熱して曲線を得、そのピークの頂点を融点(Tm)とした。
得られた融点は225℃であった。
(結晶化温度の測定)
得られたプリプレグを用いて、示差走査熱量測定(DSC)により結晶化温度を測定した。窒素フロー下、プリプレグを260℃まで加熱した後、10分保持し、10℃/min.にて100℃まで冷却した。得られた結晶化ピークにおいて一番高い温度のピークを結晶化温度とした。結晶化温度は188℃であった。
(層間剪断強度の測定)
得られた熱可塑性炭素繊維強化シート(厚さ約2mm)を10mmx14mmにカットし、120℃にて12時間真空乾燥した後、JIS K7078に準じて層間剪断強度を評価した。
(曲げ弾性率の測定)
得られた熱可塑性炭素繊維強化シート(厚さ約2mm)を15mmx100mmにカットし、120℃にて12時間真空乾燥した後、JIS K7074に準じて曲げ弾性率を評価した。
(実施例1)
作製した熱可塑性プリプレグを300mm角に切り出した後、([0/45/90/−45]s)2の積層構成にて16枚積層することにより、疑似等方のプリプレグの積層体を作製した。
得られたプリプレグの積層体を2枚の1.5mmのSUS製の板の間にはさみ、盤面を190℃としたプレス機に置き、積層体にかかる実圧で1.0MPaの圧力で8分間プレスし、プレス後にすぐに取り出すことにより、熱可塑性炭素繊維強化シートを作製した。
得られた熱可塑性炭素繊維強化シートは全面にわたって接着しており、剥がれ部分のない良好な炭素繊維強化シートであった。
得られた熱可塑性炭素繊維強化シートの層間剪断強度および曲げ強度を測定した。結果を表1に示した。
(実施例2)
作製した熱可塑性プリプレグを得られたプリプレグを、300mm角に切り出した後、カッティングプロッタ(レザック製、製品名:L−2500)を用いて一定間隔で切込を入れた。その際、シートの端部より5mm内側部分を除き、強化繊維の長さL=25.0mm一定、平均切込長l=42.4mmになるよう、繊維を切断する切込と強化繊維のなす角度θ=45°の切込加工を施した。その後([0/45/90/−45]s)2の積層構成にて16枚積層することにより、スリット疑似等方のプリプレグの積層体を作製した。
その後、実施例1と同様の方法にて熱可塑性炭素繊維強化シートを作製した。
得られた熱可塑性炭素繊維強化シートは全面にわたって接着しており、剥がれ部分のない良好な炭素繊維強化シートであった。
得られた熱可塑性炭素繊維強化シートの層間剪断強度および曲げ弾性率を測定した。結果を表1に示した。
(比較例1)
プレス機の盤面温度を160℃とした以外は実施例1と同様の方法にて、熱可塑性炭素繊維強化シートを作製した。得られた熱可塑性炭素繊維強化シートは接着されておらず、層間剪断強度、弾性率とも測定不可能であった。
(比較例2)
プレス機の盤面温度を230℃とした以外は実施例1と同様の方法にて熱可塑性炭素繊維強化シートを作製した。得られた熱可塑性炭素繊維シートは固化しておらず、SUS板に樹脂が接着することにより外観が良いシートを得ることが出来なかった。
(比較例3)
実施例1と同様の積層体を作製し、プレス機の盤面温度を230℃とし、積層体にかかる実圧で1.0MPaの圧力で8分間プレスした後、80℃の盤面温度としたプレス機にて実圧で1MPa、3分間プレスすることで熱可塑性炭素繊維シートを作製した。
得られた熱可塑性炭素繊維シートの層間剪断強度および曲げ弾性率を測定した。結果を表1に示した。
(比較例4)
プレス時の実圧を0.1MPaとした以外は実施例1と同様の方法にて熱可塑性炭素繊維強化シートを作製した。得られた熱可塑性炭素繊維強化シートは接着されておらず、層間剪断強度、弾性率とも測定不可能であった。

Claims (4)

  1. 炭素繊維と熱可塑性樹脂からなる炭素繊維プリプレグを積層して一体化した炭素繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造方法であって、炭素繊維プリプレグを積層した後、予熱を行わず以下の温度条件にてプレスして成形する、炭素繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造方法。
    <温度条件>
    Tc−15<プレス温度<Tm
    Tc:熱可塑性樹脂の結晶化温度
    Tm:熱可塑性樹脂の融点
  2. 前記プレスのプレス圧が、積層体にかかる実圧で0.2MPa以上である、請求項1に記載の炭素繊維強化熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  3. 炭素繊維と熱可塑性樹脂からなる炭素繊維プリプレグの複数枚により構成される炭素繊維強化熱可塑性樹脂シートであって、炭素繊維強化熱可塑性樹脂シートの層間剪断強度が1〜20MPaである炭素繊維強化熱可塑性樹脂シート。
  4. 絶乾状態での曲げ弾性率が以下の範囲である請求項3に記載の炭素繊維強化熱可塑性樹脂シート
    3 < 弾性率(GPa) < 0.75Vf
    Vf:炭素繊維強化熱可塑性樹脂の炭素繊維体積含有率
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JP2023143202A (ja) * 2022-03-25 2023-10-06 フクビ化学工業株式会社 繊維強化樹脂成形体及びその製造方法
EP4052894A4 (en) * 2019-12-17 2024-02-14 Fukuvi Chemical Industry Co., Ltd. FIBER REINFORCED RESIN COMPOSITE SHEET, FIBER REINFORCED RESIN COMPOSITE MATERIAL AND MOLDED RESIN ARTICLE THEREFROM

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