JP2018161241A - 吸収体 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1には、吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂と親水性繊維粉とが直接接着した複合物が記載されている。該複合物は、親水性繊維粉が吸水性ポリアクリル酸ナトリウム樹脂同士の接触を防いで、吸水時のゲルブロッキングを防止するものである。特許文献2には、吸水性ポリマーの脱落を無くし、液との接触効率を高くする観点から、水不溶性吸水性樹脂中に繊維の一部が埋め込まれた複合吸収材が記載されている。
また、特許文献3には、ウイング部を有する吸収性物品の着用感を高める観点から、縦スリットを分散配置した排泄部スリット領域と中央スリット領域とを備える吸収体が記載されている。特許文献4には、吸収体の剛性緩和及び吸収性の向上の観点から、4列以上のスリットが間隔を空けて配された吸収体が記載されている。
吸収体の薄型化は、吸収性物品の柔らかさの向上による装着感の向上に寄与し、更に、吸収性物品の装着が着衣の外側から気づかれないなど自然な外観を作り出す。しかし、吸収体の更なる薄型化を行おうとすると、吸水性ポリマー材の更なる高密度化は避けられない。吸水性ポリマー材は、吸水により膨潤するとゲル化するため、受液面に近い側で先にゲル層を形成し、その後の液の透過や拡散の阻害(ゲルブロッキング)が生じやすい。これにより、吸収体内での液の通液性が阻害され、液吸収速度が低下しかねない。このように、薄型化による装着感の向上と液吸収速度の向上とが必ずしも両立し得ないという問題がある。特許文献1〜4のいずれにも、吸水性ポリマー材を用いた吸収体の薄型化と液吸収性の向上とを両立する技術についての記載は無い。
ここでスリット部42とは、基材シート4の細長い切込みを意味し、帯状部41に独立した変形性(可撓性)を付与し得るものであれば、吸収体10の吸収性を阻害しない範囲で適度に幅を有していてもよい。また、帯状部41同士が隣接しているとは、隣り合う帯状部41がその長手方向の側縁において接していることを意味し、隣り合う帯状部41同士が交差する態様を含まない。
本実施形態の使用前(すなわち液吸収前)の吸収体10において、基材シート4はシート状にされており、基材シート4は吸収体10の外形をなす大きさを有する。基材シート4の長手方向Y3及び幅方向X3は、吸収体の長手方向Y2及び幅方向X2に一致している。基材シート4の長手方向Y3及び帯状部41の長手方向Y2は、吸収体10を組み込んだ吸収性物品を着用したときの着用者の前後方向に一致することとなる。
また、本実施形態の使用前の吸収体10において、基材シート4が有する帯状部41は、長手方向Y1と幅方向X1とを有する矩形ないし短冊形状である。帯状部41は長手方向Y1を吸収体10の長手方向Y2に向けて配されている。そのため、帯状部41同士を区分するスリット部42は、吸収体10の長手方向Y2に延在している。この場合の可撓吸収部45では、スリット部によって区分される帯状部41が基材シート4の長手方向Y3に延出し、基材シート4の幅方向X3に沿って複数の帯状部41が交差することなく並列配置されている。
なお、帯状部41の長手方向Y1は、上記の形態に限定されるものではなく、吸収体10の幅方向X2、すなわち基材シート4の幅方向X3に向けて配されていてもよい。また、帯状部41の長手方向Y1は、吸収体10の幅方向X2及び長手方向Y2と交差する方向、すなわち基材シート4の幅方向X3及び長手方向Y3と交差する方向に向けて配されていてもよい。吸収性物品における排泄液の横漏れ防止性と高い液吸収性とを考慮すると、帯状部41の長手方向Y1は、吸収体10の長手方向Y2、すなわち基材シート4の長手方向Y3に向けて配さることが好ましい。スリット部42は、帯状部41の長手方向Y1に沿って延在する。この場合の可撓吸収部45では、スリット部によって区分される帯状部41が基材シート4の幅方向X3に延出し、基材シート4の長手方向Y3に沿って複数の帯状部41が交差することなく並列配置される。
この点について、図2及び3を参照して以下に説明する。図2は、液吸収前の吸収体10の可撓吸収部45について、帯状部41の長手方向Y1に直交する方向の断面の一部を模式的に示している。図3は、図2に示す断面について、液吸収性複合材3を構成する吸水性ポリマー材1が液を吸収して膨潤した状態を模式的に示している。ここで膨潤した状態とは、少なくとも、25℃調温した生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水溶液)中に60分間吸収体10を浸漬した後の状態に相当する吸水状態をいう。
図3に示すように、この状態で吸収体10が可撓吸収部45において液を吸収すると、液吸収性複合材3を構成する吸水性ポリマー材1が膨潤して体積及び質量を増大させる。吸水性ポリマー材1の質量の増大に合わせて、各々の帯状部41が独自に、吸収前の位置と異なり、同一平面上にないように変形する。この変形は、吸水性ポリマー材1の膨潤に応じて生じるため、帯状部41の長手方向Y1の全体に限らず、部分的に生じ得る。ここで帯状部41の変形とは、少なくとも吸水性ポリマー材1が膨潤した部位において、膨潤後の帯状部41の基材シート4の厚み方向Zにおける位置が、膨潤前の位置とは異なる状態になることを言う。具体的には、基材シート4の厚み方向に真直ぐ上下にずれる場合、基材シート4の厚み方向Zであって斜め方向に上下にずれる場合、また両方のずれが生じる場合を含む。このように可撓吸収部45においては、帯状部41が吸水性ポリマー材1(液吸収性複合材3)の膨潤に合わせて自由に上下に動く変形性を有する。
吸収体3において上記変形が生じることによって、可撓吸収部45においては、吸水性ポリマー材1の体積が増大した液吸収性複合材3同士の衝突が緩和される。これによって、膨潤した液吸収性複合材3に掛かる圧力を低減でき、吸水性ポリマー材1の液吸収が阻害され難くなる。すなわち、吸水性ポリマー材1がゲルブロッキングによる吸収阻害を起こし難く、吸収性能を十分に発揮することができるようになるため、吸収体10は液吸収性を向上させることができる。吸収体10は、液吸収性複合材3を各帯状部41の表面上に接合基部2を介して固着させたことによって、薄型化と吸収性の向上とを同時に達成できる。
また、帯状部41が、長手方向Y1を基材シート4の幅方向X3に向けている場合は、基材シート4の幅方向X3の両端部に非スリット領域が配される(図示せず)。すなわち、基材シート4の幅方向X3に沿って、非スリット領域43、可撓吸収部45、非スリット領域43が配置される。このとき可撓吸収部45では、基材シート4の長手方向Y3について、複数の帯状部41が交差することなく並列されている。この場合、2つの非スリット領域43、43は、幅方向X3について、同じ長さを有していてもよく、異なる長さを有していてもよい。また非スリット領域43は、更に、基材シート4の長手方向Y3の端部(すなわち帯状部41群の幅方向X3の外方の端部)にあってもよく、長手方向に延びる非スリット領域が端部以外にあってもよい。
本実施形態のように帯状部41の長手方向Y1が基材シート4の長手方向Y3に向けられている場合、帯状部41の長手方向Y1の長さS1の基材シート4の長手方向Y3の長さS3に対する比(S1/S3)は、吸収体10の液吸収性を高める観点から、0.2以上が好ましく、0.5以上がより好ましい。また、前記比(S1/S3)は、吸収体10の構造の乱れを抑制する観点から、0.95以下が好ましく、0.9以下がより好ましい。具体的には、前記比(S1/S3)は、0.2以上0.95以下が好ましく、0.5以上0.9以下がより好ましい。
また、帯状部41の長手方向Y1が基材シート4の幅方向X3に向けられている場合、帯状部41の長手方向Y1の長さS1の基材シート4の幅方向X3の長さW3に対する比(S1/W3)は、吸収体10の液吸収性を高める観点から、0.2以上が好ましく、0.5以上がより好ましい。また、前記比(S1/W3)は、吸収体10の構造の乱れを抑制する観点から、0.95以下が好ましく、0.9以下がより好ましい。具体的には、前記比(S1/W3)は、0.2以上0.95以下が好ましく、0.5以上0.9以下がより好ましい。
好適には、帯状部41の長手方向Y1の長さS1は、同様の観点から、20mm以上が好ましく、30mm以上がより好ましく、50mm以上が更に好ましく、そして、950mm以下が好ましく、920mm以下がより好ましく、900mm以下が更に好ましい。具体的には、帯状部41の長手方向Y1の長さS1は、20mm以上950mm以下が好ましく、30mm以上920mm以下がより好ましく、50mm以上900mm以下が更に好ましい。
すなわち、本実施形態のように帯状部41の長手方向Y1が基材シート4の長手方向Y3に向けられている場合、帯状部41の幅方向X1の長さW1の基材シート4の幅方向X3の長さW3に対する比(W1/W3)は、0.001以上が好ましく、0.002以上がより好ましく、そして、0.2以下が好ましく、0.04以下がより好ましい。具体的には、0.001以上0.2以下が好ましく、0.002以上0.04以下がより好ましい。これにより、液吸収性複合材3の担持量を、ゲルブロッキングを抑えつつ好適に増やすことができ、また吸収体10の柔軟性、通気性を保持し、シート形状を好適に保持することができる。
また、帯状部41の長手方向Y1が基材シート4の幅方向X3に向けられている場合、帯状部41の幅方向X1の長さW1の基材シート4の長手方向Y3の長さS3に対する比(W1/S3)は、0.0003以上が好ましく、0.0006以上がより好ましく、そして、0.1以下が好ましく、0.02以下がより好ましい。具体的には、0.0003 以上0.1以下が好ましく、0.0006以上0.02以下がより好ましい。これにより、本実施形態と同様の作用を奏し得る。
好適には、帯状部41の幅方向X1の長さW1は、同様の観点から、0.3mm以上が好ましく、0.6mm以上がより好ましく、そして、10mm以下が好ましく、2mm以下であることがより好ましく、1.8mm以下が更に好ましい。具体的には、帯状部41の幅方向X1の長さW1は、0.3mm以上10mm以下が好ましく、0.6mm以上2mm以下がより好ましく、0.6mm以上1.8mm以下が更に好ましい。
また、帯状部41の長手方向Y1が基材シート4の幅方向X3に向けられている場合、1シートの基材シート4における帯状部41の本数は、3本以上が好ましく、10本以上がより好ましく、50本以上が更に好ましく、そして、3500本以下が好ましく、3000本以下がより好ましく、2000本以下が更に好ましい。具体的には、1シートの基材シート4における帯状部41の本数は、3本以上3500本以下が好ましく、10本以上3000本以下がより好ましく、50本以上2000本以下が更に好ましい。
なお、帯状部41の本数は、帯状部41の長手方向Y1に直交する方向に仮想線を任意に引いて該仮想線と交差する帯状部41が最大となるときの本数である。
前記樹脂成分としては、特に制限なく種々のものを用いることができる。具体的には、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、プロピレンとαオレフィンとからなる結晶性プロピレン共重合体等のポリオレフィン類;ポリアミド類;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ジオールとテレフタル酸/イソフタル酸等を共重合した低融点ポリエステル、ポリエステルエラストマー等のポリエステル類;フッ素樹脂等が挙げられる。
吸水性ポリマー材1としては、吸収体に用いられるものを特に制限なく種々採用することができる。例えば、アクリル酸又はアクリル酸塩を主成分とし、場合によって架橋剤を添加してなる水溶性のエチレン性不飽和モノマーを重合させて得られるヒドロゲル材料が挙げられる。また、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、スルホン化ポリスチレン及びポリビニルピリジンの架橋物、デンプン−ポリ(メタ)アクリロニトリルグラフト共重合物のケン化物、デンプン−ポリ(メタ)アクリル酸グラフト共重合物、デンプン−ポリ(メタ)アクリルエステルグラフト共重合物の加水分解物などが挙げられる。これらの吸水性ポリマー材は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
吸水性ポリマー材1及び接合基部2の平均粒径は下記の方法により測定される値である。
まず、市販の製品等から分析する場合には、有機溶媒を用いて、接着剤を溶解させ、吸収性ポリマーが固着した不織布を取り出す。次いで、日本電子株式会社製の走査電子顕微鏡JCM−5100(商品名)を使用し、基材シート4に固着されている液吸収性複合材3を撮影する(測定する吸水性ポリマー材1又は接合基部2が測定できる倍率に調整、20サンプル測定)。撮影した画像の長軸径を粒径とし、20サンプルの平均値を平均粒径とする。なお、吸水性ポリマー材1と接合基部2の見分け方は、吸水により形状変形を起こすかどうかで判別できる。
吸水性ポリマー材1の表面における接合基部2の被覆の程度は、例えば、液吸収性複合材3における吸水性ポリマー材1と接合基部2の質量比として示すことができる。なお、接合基部2の質量とは、1つの液吸収性複合材3において接合基部2として存在する樹脂成分全体の質量である。したがって、接合基部2が1つの液吸収性複合材3に複数ある場合は、該複数の接合基部2の樹脂成分の合計質量である。液吸収性複合材3における吸水性ポリマー材1と接合基部2の質量比は、30:1〜2:1であることが好ましく、15:1〜3:1であることがより好ましく、10:1〜4:1であることが更に好ましい。
(被覆率の測定方法)
液吸収性複合材3における接合基部2の被覆率は、次の方法により測定することができる。
日本電子株式会社製の走査電子顕微鏡JCM−5100(商品名)を使用し、液吸収性複合材3を静置し、サンプルの測定する面に対して垂直の方向から撮影した画像(測定する液吸収性複合材3が測定できる倍率に調整)を印刷し、透明PET製シート上に液吸収性複合材3全体の面積と、接合基部2それぞれの面積をなぞる。前記の画像を二値化処理する。前記二値化した画像を用い、液吸収性複合材3の面積と接合基部2の面積を得る。被覆率(%)=接合基部2の合計面積/液吸収性複合材3の面積×100として算出する。測定は10ヶ所行い、平均して被覆率とする。
また、起毛繊維51は繊維集合部52の繊維よりも可動域が大きいため、液吸収性複合材3の水膨潤時に、起毛繊維51同士の間隔が広がりやすい。そのため、液吸収性複合材3が起毛繊維51に固着されていると、液吸収性複合材3の膨潤する余地が繊維集合部4Aよりも大きくなり好ましい。また、隣接する液吸収性複合材3同士の間隔も広がり、膨潤時のゲルブロッキング及びそれによる吸収阻害が生じ難くなり好ましい。また、肌に触れたときの柔らかさが向上する。
液吸収前及び液吸収後における吸収体の厚みは次の方法により測定することができる。
(1)液吸収前(吸液前)の測定
評価対象の製品から、コールドスプレーを用いてホットメルト接着剤の接着力を弱め、各部材を丁寧に剥がして吸収体を取り出し、吸収体を幅方向に切断する。吸収体の切断面を、株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−1000で測定する部位が十分に視野に入り測定できる大きさに拡大し、0.05kPaの圧力がかかるように重りを吸収体の上に置き、厚みを測定する。測定は、10回行い、平均値を液吸収前の吸収体の厚みとする。
(2)液吸収後(吸液後)の測定
評価対象の製品に含まれるすべてのギャザーを切り取るなどの手段で無効化し、フラットな形状にする。十分な量の人工尿(液がなくならない)に表面材側から液面に30分漬ける。表面材を下側にして金網の上に30分静置し、吸収しきれなかった液をきる。製品から各部材を丁寧に剥がして吸収体を取り出し、吸収体を幅方向に切断する。吸収体の切断面を、株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−1000で測定する部位が十分に視野に入り測定できる大きさに拡大し、0.05kPaの圧力がかかるように重りを吸収体の上に置き、厚みを測定する。測定は、10回行い、平均値を液吸収後の吸収体の厚みとする。
また、本発明の吸収体は、液吸収性複合体3が帯状部41の表面に露出して分散固定されているので、液膨潤を許容する空間を大きく有し、液吸収阻害の原因となるゲルブロッキングが生じ難い。加えて、帯状部41が有する変形性により、液吸収時に液膨潤を許容する空間が拡張され、ゲルブロッキングが更に抑えられて液吸収性能が向上する。
予め準備した吸水性ポリマー材に加水して混練する。次いで、熱融着性を有する樹脂成分を添加して混練する。前記加水により吸水性ポリマー材の表面に粘着性を生じさせ、これにより熱溶融性の樹脂成分からなる接合基部を形成し易くする。そのため、加水は、粘着性を生じさせる程度であればよい。具体的には、吸水性ポリマー材に対する質量比で、水を10倍程度加えることが好ましい。吸水性ポリマー材としては、吸収性物品等に通常用いられるものを特に制限なく用いることができる。
次いで、加水し前記樹脂成分を添加した吸水性ポリマー材に対し、乾燥、粉砕、分級などの処理を行って、本発明の吸収体に用いられる液吸収性複合材を得る。
なお、上記混練、乾燥、粉砕及び分級には、通常用いられる装置を特に制限なく用いることができる。
基材シートとなる原料不織布に対して帯状部を区分するスリット部を形成するために、通常用いられる種々のカット処理を特に制限なく採用することができる。例えば、周面に複数のカッター刃を備えるロータリーダイと、ロータリーダイに対向配置された、周面が平坦な受けロールとの間に前記原料不織布を搬送してカット処理することができる。カッター刃の向きによって、基材シートにおける、帯状部の長手方向の向きを決めることができる。カッター刃の長さによって、帯状部41の長手方向Y1の長さS1を適宜設定することができ、カッター刃の間隔によって、帯状部41の幅方向X1の長さW1を適宜設定することがでる。
また、基材シートをなす不織布の起毛した繊維に液吸収性複合材3を固着させる場合は、帯状部の形成工程の前後において、原料不織布の液吸収性複合材3を固着させる面に対し、バフィング処理など通常用いられる種々の処理を施す。
スリット部が形成された原料不織布に対して、液吸収性複合材3を散布する。その後、基材シートの各帯状部の表面と液吸収性複合材が接触しやすくする目的で、必要により、液吸収性複合材の上から加圧することが好ましい。この時点での加圧は、5kgのローラーを1往復させる程度の加圧とすることが好ましい。なお、原料不織布は、通常、長尺でロール状にされたものから巻き出されて使用するため、液吸収性複合材を散布する前に、必要により熱風回復処理しておくことが好ましい。また、散布前に必要により毛羽加工しておくことが好ましい。
次いで、液吸収性複合材を散布した基材シートに対して加熱処理を行って、接合基部及び基材シートの繊維を溶融一体化させる。ここでの加熱処理は、通常不織布に用いられる方法を特に制限なく採用することができる。その加熱温度は、基材シートの繊維の融点又は接合基部の融点のうち、高い融点に対して3℃から50℃高いことが好ましく、5℃から30℃高いことがより好ましい。なお、基材シートが熱溶融しない成分からなる場合は、接合基部の融点に対して上記範囲の加熱温度とすることが好ましい。該加熱処理が熱風処理である場合、熱風の風速は、1m/s以上10m/s以下に設定され、好ましくは1.5m/s以上8m/s以下に設定される。この熱風の風速は、上記の下限以上とすることで、基材シートの繊維及び接合基部への熱伝達し、確実に溶融固着させることができ、固定性が担保できる。一方、上記の上限以下とすることで、繊維へ熱が当たりすぎず、基材シートの風合いが良くなる。
(1)液吸収性複合材の調製
前述した(液吸収性複合材の製造方法)に基づいて液吸収性複合材を調製した。具体的には、花王株式会社製、商品名「メリーズパンツさらさらエアスルーLサイズ」(2016年製)の吸収体から取り出した吸水性ポリマー材30gに300gのイオン交換水を加えニーダーで5分間混合しながら均等に膨潤させた。次いで、接合基部となる熱溶融性の樹脂成分であるポリエチレンパウダー「XM−220」(商品名、三井化学株式会社製)5.0gを前記ニーダーに投入して更に10分間混合した。その後、電気乾燥機を用いて、105℃にて8時間乾燥を行った。次いで、粉砕機(大阪ケミカル製、ワンダークラッシャーWC−3L)を用いて粉砕し、電磁ふるいを用いて分級を行い、106μmより小さい粒径、850μmより大きい粒径を除去することで、実施例1の液吸収性複合材を得た。この液吸収性複合材における接合基部の被覆率は、前述した(被覆率の測定方法)に基づいて測定した結果、24%であった。
(2)吸収体の作製
基材シートとなる長尺シート状の原料不織布(坪量25g/m2)の1面に、バフィング処理(起毛処理)を施して起毛繊維を形成した。なお、この原料不織布は、構成繊維として、芯がポリエチレンテレフタレート(融点258℃)で鞘がポリエチレン(融点135℃)からなる2.4dtex×51mmの芯鞘型複合繊維を用いた。
次いで、起毛処理をした原料不織布に対しスリット部を形成して裁断し、帯状部と非スリット部とを備える、大きさ135mm×280mmの基材シートを作製した。作製した基材シートにおいては、帯状部の長手方向Y1を基材シートの長手方向Y3に向け、該帯状部の長手方向の前後端に非スリット部が配置された構成とした。帯状部の長手方向Y1の長さS1及び幅方向X1の長さW1はそれぞれ224mm、1.5mmであり、作製された基材シートにおいて、帯状部は90本配されていた。
前記基材シートの帯状部に上述の液吸収性複合材を5.8g散布し、飛散しないように5kgのローラーを1往復させて加圧した。次いで、140℃の熱風を風速1.4m/sで3分間を吹き付ける熱風処理を行い、液吸収性複合材の接合基部及び基材シートの構成繊維の表面成分を溶融一体化させる処理を行った。すなわち、液吸収性複合材を接合基部を介して基材シートの繊維に固着させる処理を行った。
以上の処理を経て、実施例1の吸収体試料を作製した。
この吸収体試料S1について電子顕微鏡を用いて確認したところ、液吸収性複合材は基材シートの起毛繊維の表面に接合されていた。また、液吸収性複合材3には、熱溶融性の樹脂成分であるポリエチレンパウダーからなる接合基部が複数、吸水性ポリマー材の表面に形成されていた。液吸収性複合材は、該接合基部を介して基材シートの起毛繊維に固着されていることを確認した。以下、実施例2〜5においても同様であった。
(3)おむつの作製
花王株式会社製、商品名「メリーズパンツさらさらエアスルーLサイズ」(2016年製)から吸収体を取り除き、その代わりに、吸収体試料を導入し、評価用のベビー用おむつを作製した。
接合基部となるポリエチレンパウダーの量を1.0gとし、被覆率を8%とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の吸収体試料を作製した。また、別途、吸収体試料を用いて、実施例1と同様にして、実施例2の評価用のベビー用おむつを作製した。
接合基部となるポリエチレンパウダーの量を15.0gとし、被覆率を73%とした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の吸収体試料を作製した。また、別途、吸収体試料を用いて、実施例1と同様にして、実施例3の評価用のベビー用おむつを作製した。
基材シートに起毛処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、実施例4の吸収体試料を作製した。また、別途、吸収体試料を用いて、実施例1と同様にして、実施例4の評価用のベビー用おむつを作製した。
基材シートを、帯状部を有さないものとした以外は、実施例1と同様にして、比較例1の吸収体試料を作製した。また、別途、吸収体試料を用いて、実施例1と同様にして、比較例1の評価用のベビー用おむつを作製。
基材シートを、帯状部を有さないものとした以外は、実施例4と同様にして、比較例2の吸収体試料を作製した。また、別途、吸収体試料を用いて、実施例1と同様にして、比較例2の評価用のベビー用おむつを得た。
吸収体の液保持部を、坪量150g/m2のパルプ繊維と坪量250g/m2の吸水性ポリマー材(実施例1と同様のもの)との混合積繊体とし、両面が凹凸面のない平坦な形状として作製し、その外表面をティッシュペーパーで被覆して、比較例3の吸収体試料とした。また、別途、吸収体試料を用いて、実施例1と同様にして、比較例3の評価用のベビー用おむつを作製した。
パルプ繊維の坪量を75g/m2とした以外は、比較例3と同様にして、比較例4の吸収体試料を作製した。また、別途、吸収体試料を用いて、実施例1と同様にして、比較例4の評価用のベビー用おむつを作製した。
1.各吸収体試料の厚みの測定
前述した(吸収体の厚みの測定方法)の、(1)液吸収前(吸液前)の測定及び(2)液吸収後(吸液後)の測定に記載した各測方法に基づいて、実施例1〜4、比較例1〜4の各吸収体試料の吸液前及び吸液後の厚みを測定した。
吸収体の中心を幅方向に切断する。切断面を下に向けて、手で50回振とうした。
担持率=(振とう前の吸水性ポリマー材重量(g)-脱落した吸水性ポリマー材重量(g))/振とう前の吸水性ポリマー材重量(g)x100
で算出した。
吸収時間の測定は、評価対象のおむつ上に3.5kPaの圧力を均等にかけ、試験体のほぼ中央に設置した断面積1000mm2の筒を当て、そこから人口尿を注入した。10分ごとに40gずつ4回にわたり、計160gの人工尿を注入し、4回目の注入の際に円筒から液がおむつ表面から全てなくなる時間を測定した。3回測定し、その平均を吸収時間とした。
前記測定方法で用いた人工尿の組成は次の通り。尿素1.94質量%、塩化ナトリウム0.7954質量%、硫酸マグネシウム(七水和物)0.11058質量%、塩化カルシウム(二水和物)0.06208質量%、硫酸カリウム0.19788質量%、ポリオキシエチレンラウリルエーテル0.0035質量%及びイオン交換水(残量)。
また、比較例3及び4の吸収体はパルプ繊維を含んでおり、液吸収前において1mmを超える厚みを有していた。厚みのある分だけ、吸収時間は80秒、95秒と、比較例1及び2より短時間であった。比較例4においては、比較例3よりもパルプ繊維坪量を下げて厚みを薄くした分、ゲルブロッキングが見られ吸収速度が下がっていた。固定性も比較例3よりも悪かった。したがって、比較例3及び4は、吸収体の薄型化と液吸収性の向上とは両立できていなかった。
これに対し、実施例1〜4の吸収体は、帯状部を有するシート状の基材シートに液吸収性複合材を固着させて薄型化され、液吸収前の厚みは1mm未満であった。同時に、4回合計160gの人工尿を全て吸収することができ、しかも時間は34秒〜52秒の間で1分もかからなかった。これは、同じ薄型化した比較例1及び2が達成し得ない優れた吸収時間であり、また、パルプ繊維を含む比較例3及び4の約3分の1の吸収時間であって、吸収性能に優れていた。これは、基材シートが有する帯状部が、吸水性ポリマー材の液吸収膨潤時に変形して膨潤空間を確保することができたことによるものであると考えらえる。すなわち、吸収阻害の原因となるゲルブロッキングを抑えて、高い吸収速度を保持できたものと考えられる。また、実施例1〜4において、液吸収前の厚みと液吸収後の厚みの差が適度に生じることにより、吸水性ポリマー材の距離が離れやすく(膨らむ空間が確保でき)、吸収速度が速くなっていた。
以上のとおり、実施例1〜4は、薄型化と液吸収の向上とを両立できていた。
2 接合基部
3 液吸収性複合材
4 基材シート
41 帯状部
42 スリット部
43 非スリット領域
45 帯状部の配置領域(可撓吸収部)
46 可動吸収部
5 繊維
10 吸収体
Claims (8)
- 複数の帯状部を備えた基材シートを有し、
吸水性ポリマー材の表面に熱溶融性の樹脂成分を含む接合基部を有する液吸収性複合材が、前記帯状部に、前記接合基部を介して固着されている、吸収体。 - 前記吸水性ポリマー材の液吸収膨潤時に、前記の隣接する帯状部同士が前記基材シート表面について互いに同一平面上にないように液吸収時の変形性を有する請求項1記載の吸収体。
- 前記接合基部は前記吸水性ポリマー材の表面に直接接合されている請求項1又は2記載の吸収体。
- 前記基材シートが、前記帯状部の長手方向の両端部に、非スリット領域を備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収体。
- 前記基材シートが不織布である請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収体。
- 前記液吸収性複合材は、前記帯状部が備える起毛した繊維に固着されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収体。
- 前記非スリット領域が、前記吸収体を吸収性物品に組み込む際の接合領域である請求項4記載の吸収体。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸収体を有する吸収性物品。
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