ところで、1枚のシートから一度に複数枚の所定形状のワークを得る必要がある場合、打ち抜き機は、複数の打ち抜き金型を有する構成となる。このように複数の打ち抜き金型を有した構成の場合、隣接する打ち抜き金型同士の間にはある程度の間隙が必要となる。
このため、1枚のシートから打ち抜き金型により所定形状のワークを複数枚、形成する場合は、シートにおいてワークとして用いられず破棄されるロス部分が生じることとなる。
特にワークが切り出されるシートが、例えば、グラファイトシートのように高価な機能性シートの場合、ロス部分が多くなればなるほど1枚のシートから得られるワーク数が少なくなりワークの製造コストが高くなってしまうという問題がある。
そこで、1枚の機能性シートからできるだけ多くのワークを得るためには、ロス部分ができるだけ少なくなるようにワークを切り出すことが必要となる。ただし、1枚の機能性シートから、隣接するワーク同士の間にほぼ間隔が形成されないように切り出した場合、切り出された各ワークは密集して配列された状態となる。そのため、切り出されたワークをその下方に位置する収容部に搬送させ、切り出された順にワークを積層させるためには、各収容部を密接した状態で配置する必要があるが、このように収容部を密接して配置することは物理的に困難である。また、仮に密接した状態で収容部を配置することができたとしても、ワークを適切に収容部内に搬送させるためには、ワークの高精度な位置決めが必要となり、ワークの搬送自体も困難となる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、密集して配列された状態にある複数のワークを、収容部に搬送し、容易に積層させることができる搬送装置を提供することを目的とする。
本発明のある形態に係る搬送装置は、密集して配列された状態にある複数のワークを、隣接するワーク同士の間隔を維持したまま、所定数のワークからなるワーク群に区分けし、該ワーク群ごとに割り当てられた供給エリアまで移動させ、該ワーク群を構成する各ワークをそれぞれ異なるタイミングで供給する供給部と、前記ワーク群を構成する複数の前記ワークそれぞれを積層させた状態で収容する収容部と、前記供給部により供給された前記ワークを前記収容部に導く傾斜部と、を備え、前記傾斜部は、前記ワークを滑走させる傾斜面と、前記傾斜面の側部に配置され、前記供給部により供給された前記ワークを、該ワークの姿勢を維持したまま該傾斜面に導くとともに、該傾斜面を滑走するワークを前記収容部に導くようにガイドするガイド部と、を有する。
上記構成によると、供給部によって供給エリアに移動させたワーク群の各ワークを異なるタイミングで傾斜部に供給し、収容部に導くことができるため、ワーク群を構成するワークを該収容部内に積層させて積層体を形成することができる。また、傾斜部がガイド部を備えるため供給エリアにあるワークそれぞれを、姿勢を維持したまま傾斜面に導くとともに、傾斜面を滑走するワークを収容部内に導くことができる。
つまり、密集して配列された複数のワークを各ワーク群にグループ分けし、それぞれ供給エリアを割り当て、同じ供給エリアに割り当てられたワーク同士で供給タイミングを変える構成とすることで、ワークが密集して配列された状態にあったとしても、ワークを傾斜部へ供給する際には、この密集して配列された状態を解消することができる。また、傾斜部がガイド部を備えるため、供給エリアにおけるワークの位置に関わらず、傾斜面にワークを導くことができる。さらには、傾斜面を滑走するワークを収容部に導くことができる。
したがって、本発明のある形態に係る搬送装置は、密集して配列された状態にある複数のワークを、収容部に搬送し、容易に積層させることができるという効果を奏する。
また、本発明のある形態に係る搬送装置は、上記した構成において、前記ワークは、シート形状のフィルムであってもよい。
また、本発明のある形態に係る搬送装置は、上記した構成において、前記供給部は、前記ワークを保持するための保持部を有しており、前記保持部は、前記ワークを吸着または係着させて保持するように構成されていてもよい。
上記構成によると供給部は、ワークを吸着または係着させて保持することができるため、ワークを所定の位置に移動させたり、所定のタイミングで供給したりすることができる。
ここで、ワークを吸着させて保持する場合、保持部は、例えば、真空装置を用いて真空パッドでワークを吸着させる構成が例示できる。あるいはワークが強磁性を示す金属等から構成されている場合は、電磁石により吸着させる構成が例示できる。また、ワークを係着させて保持する場合、保持部は、例えば、ワークを支持する複数の爪を備え、これら複数の爪によってワークを係止させて持ち上げる構成が例示できる。
なお、ワークが擦れることを防止する必要がある場合は、ワークを吸着させて保持することが好ましい。例えば、ワークが、グラファイトシートのように、擦れると粉が出てしまうような材料により形成されている場合は、吸着によりワークを保持する構成の方が好適である。
また、本発明のある形態に係る搬送装置は、上記した構成において、複数の前記傾斜部が並列して配置されており、前記傾斜部において前記ワークが供給される側を上流側とし、前記収容部に該ワークが排出される側を下流側としたとき、前記傾斜部は上流側に設けられた上側傾斜部と下流側に設けられた下側傾斜部とから構成されており、前記供給部から供給された前記ワークを支持する支持部と、前記下側傾斜部を前記傾斜面における幅方向に移動させて、隣接する該下側傾斜部の間隔を可変とする間隔調整部とをさらに備える構成であってもよい。
ここで、傾斜面における幅方向とは、傾斜面において、収容部に向かって伸びる傾斜面の延伸方向に対して面内で垂直となる方向である。
上記構成によると、支持部を備えるため、下側傾斜部における所定の位置に、ワークを支持させることができる。このため、収容部へのワークの排出タイミングを調整することができる。
また、間隔調整部を備えているため、隣接する下側傾斜部の間隔を調整することで、隣接する下部傾斜部を滑走するワークの間隔を調整することができる。このため、隣接する下側傾斜部を滑走するワークの間隔が、該ワークがそれぞれ排出される収容部の間隔と一致していない場合であっても適切に調整することができる。
よって、搬送装置は、各ワークを、収容部に対し適切な排出位置となるように調整することができるとともに、供給された順番に適切なタイミングでワークを排出させることができる。
また、本発明のある形態に係る搬送装置は、上記した構成において、前記支持部は、前記ワークを吸着または係止させて支持するように構成されていてもよい。
上記構成によると支持部は、ワークを吸着または係止させて保持することができるため、下側傾斜部における所定の位置に、ワークを支持させることができる。
ここで、ワークを吸着させて支持する場合、支持部は、例えば、真空装置を用いて真空パッドでワークを吸着させる構成が例示できる。あるいはワークが強磁性を示す金属等から構成されている場合は、電磁石により吸着させる構成が例示できる。
また、ワークを係止させて支持する場合、支持部は、例えば、ワークを支持する係止ピンを利用し、該ワークを支持する構成が例示できる。
なお、ワークが擦れることを防止する必要がある場合は、ワークを吸着により支持することが好ましい。特に、ワークがグラファイトシートのように、擦れると粉が出て摩擦抵抗が小さくなり、傾斜面を滑走する速度が速くなってしまう材料により形成される場合は、吸着によりワークを支持する方が好適である。
また、本発明のある形態に係る搬送装置は、上記した構成において、前記傾斜面を滑走する前記ワークが移動する側を前側とした場合、前記下側傾斜部を前後に移動可能とさせる前後移動部を備え、前記搬送面を滑走した前記ワークの先端が前記収容部内に当接したとき、前記前後移動部は、前記下側傾斜部を後方に移動させ、該ワークを該収容部内に収容させる構成であってもよい。
上記構成によると前後移動部を備えているため、ワークの先端が収容部内に当接したときに下側傾斜部を後方に移動させることで、ワークが回転したりすることなく収容部内の適切な位置に配置させることができる。
また、本発明のある形態に係る搬送装置は、上記した構成において、前記傾斜部によって前記ワークを前記収容部に導く処理と、前記供給部によって前記ワーク群を前記供給エリアまで移動させる処理とは少なくとも一部が同時に行われていてもよい。
上記構成によるとワークを収容部に導く処理と、ワーク群を供給エリアに移動させる処理とが少なくとも一部が同時に行われるため、ワークの収容部への搬送処理の処理効率を向上させることができる。
また、本発明のある形態に係る搬送装置は、上記した構成において、複数の前記ワークは一列に配列されていてもよい。
また、本発明のある形態に係る搬送装置は、上記した構成において、前記傾斜部は、該傾斜部の上面の少なくとも一部を覆うカバー部をさらに備える構成であってもよい。
上記構成によると、カバー部をさらに備えるため、傾斜部の傾斜面を滑走するワークの滑走速度が速すぎて傾斜部から外部に飛び出てしまうことを防止することができる。
また、本発明のある形態に係る搬送装置は、上記した構成において、前記傾斜部は、前記傾斜面に、前記ワークの滑走速度を低減させる速度調整部をさらに備える構成であってもよい。
上記構成によると、速度調整部をさらに備えるため、傾斜部の傾斜面を滑走するワークが傾斜部から外部に飛び出るほど滑走速度が上がることを防止することができる。
特に、ワークが、グラファイトシートのように傾斜面と擦れると粉が出て摩擦抵抗が小さくなり滑走速度が所望の速度よりも大きくなる可能性がある材料から形成される場合、速度調整部によりワークの滑走速度を調整できる構成とすることは好適である。
なお、速度調整部としては、例えば、板状部材との当接または吸着によりワークの速度を低減させるブレーキ部材を備えた構成、あるいは滑走面に施されたワークの摩擦抵抗を上げる加工等が例示できる。
また、本発明のある形態に係る搬送装置は、上記した構成において、前記傾斜面の側部に配置された一対の前記ガイド部は、該ガイド部同士の間隔が前記傾斜部の上流側から下流側に向かって狭まったテーパー形状を形成する構成であってもよい。
上記構成によると傾斜部の上流側から下流側に向かって一対のガイド部はテーパー形状を形成するため、傾斜面をワークが滑走する間にワークの位置決めをガイド部によって適切に行うことができる。
また、本発明のある形態に係る搬送装置は、上記した構成において、前記ワークは、グラファイトシートから形成されていてもよい。
上記構成によると、密集して配列された状態にあるワークを適切に収容部内に導き、積層させることができる。このため、ワークを形成する前のグラファイトシートにおいて、ロス部分を低減させるように該ワークを切り出すことができ、ワークの製造コストを抑制することができる。
また、本発明のある形態に係るワークの搬送方法は、密集して配列された状態にある複数のワークを、隣接するワーク同士の間隔を維持したまま、所定数のワークからなるワーク群に区分けし、該ワーク群ごとに割り当てられた供給エリアまで移動させる移動ステップと、前記供給エリアにおいて前記ワーク群を構成する各ワークをそれぞれ異なるタイミングで傾斜部に供給する供給ステップと、前記供給ステップにおいて供給された前記ワークを、該ワークの姿勢を維持したまま前記傾斜部の傾斜面に導くとともに、該傾斜面を滑走する該ワークを収容部に導くようにガイドするガイドステップと、前記ガイドステップによってガイドされた前記ワークを、積層された状態で前記収容部に収容する収容ステップと、を含む。
上記方法によると、移動ステップおよび供給ステップを含むため、ワーク群に属するワークをそれぞれ異なるタイミングで傾斜部に供給させることができる。このため、ワーク群を構成する各ワークを積層させて積層体を形成することができる。また、ガイドステップを含むため、供給エリアにあるワークそれぞれを、姿勢を維持したまま傾斜面に導くとともに、傾斜面を滑走するワークを収容部内に導くことができる。
つまり、密集して配列された複数のワークを各ワーク群にグループ分けし、それぞれ供給エリアを割り当て、同じ供給エリアに割り当てられたワーク同士で供給タイミングを変えることで、ワークが密集して配列された状態にあったとしても、ワークを傾斜部へ供給させる際には、この密集して配列された状態を解消することができる。また、ガイドステップを含むため、供給エリアにおけるワークの位置に関わらず、傾斜面にワークを導くとともに、傾斜面を滑走するワークを収容部に導くことができる。
したがって、本発明のある形態に係るワークの搬送方法は、密集して配列された状態にある複数のワークを、収容部に搬送し、容易に積層させることができるという効果を奏する。
本発明によれば、密集して配列された状態にある複数のワークを、収容部に搬送し、容易に積層させることができるという効果を奏する。
本発明の実施形態に係る搬送装置100の構成について、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
まず、図1、2を参照して搬送装置100の構成について説明する。図1は本発明の実施形態に係る搬送装置100の概略構成を示す側面図である。図2は、1枚のグラファイトシート50から複数のワーク10を切り出し配列した状態の一例を示す図である。
搬送装置100は、密集して配列された状態にある複数のワーク10を、収容部21内に搬送させ、該収容部21内にワーク10を積層させた状態で収容させる装置である。ワーク10は図2に示すようにシート形状のフィルムであって、例えば、1枚の長尺のグラファイトシート50から所定形状に切り出し形成することができる。
ワーク10は、長尺のグラファイトシート50から切り出され形成されるが、これに限定されるものではなく、他の機能性シートから切り出され形成されるものであってもよい。
なお、本発明の実施形態に係るグラファイトシート50は、高分子フィルムを熱処理することによって製造することができる。グラファイトシート50の製造に適した高分子フィルムを構成する高分子としては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリパラフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスイミダゾール、ポリチアゾール等が挙げられる。特に、高分子フィルムとして好ましいのは、ポリイミドフィルムである。
高分子フィルムからグラファイトシートを得るには、炭化工程、および黒鉛化工程を行う。炭化工程、および黒鉛化工程は連続で行われても良いし、非連続で行われても良い。炭化工程では、出発物質である高分子フィルムを減圧下もしくは不活性ガス中で予備加熱処理して炭化する。この炭化は、通常1000℃程度の温度で行う。炭化工程の次の黒鉛化工程は、減圧下もしくは不活性ガス中で行われるが、不活性ガスとしてはアルゴン、ヘリウムが挙げられる。本発明の製造方法における黒鉛化の熱処理温度としては、最低でも2400℃以上、より好ましくは2600℃以上、さらに好ましくは2800℃以上であり、特に好ましくは、2900℃以上である。
また、ワーク10がグラファイトシートから形成される場合、グラファイトシートは、薄くて強度が弱く、傷および打痕が生じやすい。また、軽量であるため、搬送中に反転し易いという特徴がある。このため、できるだけワーク10に衝撃を与えないように搬送する必要がある。また、グラファイトシートは搬送面等において擦れると粉が出て摩擦抵抗が小さくなる。このため、搬送するワーク10の搬送速度を適切に調整する必要も考えられる。さらにまた、供給されるワーク10の形状によっては、供給されたワーク10同士が絡んでしまう可能性がある。このため、搬送するワーク10同士が絡まないように適切な間隔を隔てて搬送させる必要がある。これら、グラファイトシートの特性を考慮し、以下に示す構成を有した搬送装置100を提案する。
図1に示すように、搬送装置100は、供給部1、ストッカー2、傾斜部3、基底部20、傾斜部支持台33、一対の上流側支柱34a、一対の下流側支柱34b、一対の側部カバー35、一対の第1スライダー36a、一対の第2スライダー36b、一対のレール部37、および傾斜部支持面40を備えてなる構成である。なお、本実施形態では、傾斜部3においてワーク10が供給される側を上流側とし、ストッカー2に向かって該ワーク10が排出される側を下流側とする。また、図1の紙面では、搬送装置100において、供給部1が配置される側を「後」とし、ストッカー2が配置される側を「前」とする。
図1に示すように基底部20の上面において前側にストッカー2が載置され、後側に傾斜部支持台33が設けられている。傾斜部支持台33の両側部には、傾斜部3の上流側を支持する一対の上流側支柱34aと、傾斜部3の下流側を支持する一対の下流側支柱34bとがそれぞれ設けられている。上流側支柱34aおよび下流側支柱34bは、傾斜部支持台33か鉛直方向上向きに立設された棒状部材であり、傾斜部3の底面を支持する傾斜部支持面40と接合されている。そして、上流側支柱34aおよび下流側支柱34bは、傾斜部3が基底部20に対して所定の角度(例えば30度)に傾斜した状態となるように傾斜部支持面40を介して支持することができる。また、上流側支柱34aと下流側支柱34bとの間は、略矩形の薄板状部材により形成された側部カバー35によって覆われている。
また、側部カバー35、上流側支柱34a、および下流側支柱34bの基端側には第1スライダー36aおよび第2スライダー36bが設けられている。傾斜部支持台33の両側部には、前後方向に延設された一対のレール部37が設けられており、側部カバー35、上流側支柱34a、および下流側支柱34bは、これら第1スライダー36aおよび第2スライダー36bを介して傾斜部支持台33のレール部37に取り付けられている。
ここで、第1スライダー36aおよび第2スライダー36bは、レール部37に沿って前後に移動可能となっており、第1スライダー36a、第2スライダー36b、およびレール部37によって本発明の前後移動部を実現する。このため、第1スライダー36aおよび第2スライダー36bを前後に移動させることで、上流側支柱34aおよび下流側支柱34bによって支持されている傾斜部3も前後に移動することができる。
傾斜部3の上流側の端部の上方には供給部1が配置可能となっている。供給部1は、ワーク10を傾斜部3に供給する装置であり、ワーク10が配列されている位置から、該ワーク10を傾斜部3に供給する供給エリアまで移動できるように構成されている。なお、供給部1の移動は、産業用ロボットなどを利用して機械的に行ってもよいし、人手によって行われてもよい。供給部1は、ワーク10が配列されている位置と供給エリアとの間を移動可能な構成であればよい。
供給部1は、ワーク10を保持するための保持部11を有している。保持部11は、ワーク10を、例えば、吸着または係着により保持できる構成であってもよい。例えば、ワーク10を吸着により保持する場合、保持部11は、真空装置を用いて真空パッドでワークを吸着させる構成が例示できる。あるいはワーク10が本実施形態で例示するグラファイトシートではなく強磁性を示す金属等から構成されている場合は、電磁石により吸着させる構成が挙げられる。また、ワーク10を係着により保持する場合、保持部11は、例えば、ワーク10を支持する複数の爪を備え、これら複数の爪によってワーク10を係着させて持ち上げる構成が例示できる。
また、供給部1は、保持部11により保持しているワーク10を所定のタイミングで傾斜部3に供給することができる。例えば、保持部11が真空パッドによりワーク10を吸着させる構成の場合、所定のタイミングにおいて真空装置が真空破壊を行いワーク10に正圧を加えてワーク10を保持部11から離脱させる。また、保持部11が電磁石によりワーク10を吸着させる構成の場合、所定のタイミングにおいて電磁石に供給させている電流を停止させてワーク10を保持部11から離脱させる。また、保持部11が複数の爪によりワーク10を係着させる構成の場合、所定のタイミングにおいて複数の爪を移動させワーク10を保持部11から離脱させる。
一方、傾斜部3の下流側の端部の下方にはストッカー2が配置されている。ストッカー2にはワークを収容するための収容部21が設けられている。収容部21は、傾斜部3が最も前に位置するときに、該傾斜部3の下流側の端部位置の真下に位置するように設けられている。特に図示しないが、収容部21の開口寸法はワーク10の主面の寸法と略同様か、あるいはワーク10の主面の寸法よりも少し大きな寸法となっている。このため、ストッカー2の収容部21に複数のワーク10をそれぞれ異なるタイミングで導くことで、正確に位置決めされた状態でワーク10を積層させることができる。
次に、上記した構成を有する搬送装置100が備える供給部1について詳細に説明する。
(供給部)
供給部1は、密集して配列された状態にある複数のワーク10を、隣接するワーク10同士の間隔を維持したまま、所定数のワーク10からなるワーク群に区分けする。そして、ワーク群ごとに割り当てられた供給エリアまで各ワーク10を移動させ、各ワーク10をそれぞれ異なるタイミングで傾斜部3に供給させる。
より具体的には、図2に示すように、グラファイトシート50から切り出された複数のワーク10は、密集して配列された状態にある。なお、図2では、隣接するワーク10は小さな間隔を隔てて一列に配列されているが、両者は接した状態で一列に配列されていてもよい。また、グラファイトシート50の寸法とワーク10の寸法との関係から、ワーク10が複数列に配列されていてもよい。1枚のグラファイトシート50から効率よくワーク10を形成させるためには、ワーク10同士を接した状態で切り出し、ワーク10として用いられないロス部分を小さくすることが好適である。
供給部1は、上記したように密集して配列された複数のワーク10を、所定数のワーク10から成るワーク群に区分けする。本実施形態では、図2に示すように、2枚のワーク10からなるワーク群(ワーク群A、ワーク群B、・・・)に区分けするものとする。また、このワーク群(ワーク群A、ワーク群B、・・・)ごとに供給エリア(供給エリアA、供給エリアB、・・・)が割り当てられている。本実施形態では、ワーク群Aが供給エリアAに、ワーク群Bが供給エリアBにそれぞれ割り当てられているとする。そこで、供給部1は、隣接するワーク10同士の間隔を維持したままワーク群ごとに、割り当てられた供給エリアまで移動させる。そして、各ワーク群を構成する各ワーク10をそれぞれ異なるタイミングで傾斜部3に供給する。
(傾斜部)
次に、上記した図1に加えて、図3を参照して、傾斜部3の構成について説明する。図3は、図1に示す搬送装置100が備える傾斜部3の平面図である。なお、図3では、説明の便宜上、傾斜部3を支持する上流側支柱34aおよび下流側支柱34b、ならびに側部カバー35についは図示を省略する。
傾斜部3は、図1、3に示すように、上流側に設けられた上側傾斜部31と、上側傾斜部31の下流側に設けられた下側傾斜部32とから構成されている。また、図1に示すように、上側傾斜部31および下側傾斜部32は、両者が連設されるように傾斜部支持面40によって支持されている。
なお、搬送装置100は、図3に示すように複数の傾斜部3を備え、それぞれが並列して配置された構成であってもよい。本実施形態では、6つの傾斜部3を備え、6つの傾斜部3が並列して配置された構成を例示しているが、搬送装置100が備える傾斜部3の個数はこれに限定されるものではなく任意である。
上側傾斜部31は、上側傾斜面31aと一対の上側ガイド部31bとを備える。上側傾斜面31aは、ワーク10を滑走させる傾斜面である。上側ガイド部31bは、この上側傾斜面31aの両側部に配置されており、供給部1から供給されたワーク10を、このワーク10の姿勢を維持したまま上側傾斜面31aに導く。さらに、上側ガイド部31bは、上側傾斜面31aを滑走するワーク10をストッカー2の収容部21内に向かって導くようにガイドする。
なお、ワーク10の姿勢を維持したまま導くとは、ワーク10の姿勢が供給時の姿勢から上側傾斜面31a内において上下(前後)が逆転するように回転したり、ワーク10の上面と下面とが逆転するように反転したりすることなく導かれるということである。ワーク10の姿勢が回転したり、反転したりすると、ストッカー2の収容部21内において適切に積層体を形成することができなくなる。
ここで、上側傾斜面31aの幅寸法は、図4(a)、(b)に示すように、ワーク幅よりもやや大きくなる寸法(ワーク幅+α)となる。上側傾斜面31aの幅寸法は、ワーク10の滑走を阻害しないでかつ、ワーク10の姿勢が滑走中に傾いたり、上側傾斜面31aの面内で上下(前後)が逆になったりしない範囲で適宜設定される。なお、図4は、傾斜部3を構成する上側傾斜面31aを示す図であり、同図(a)は上側傾斜面31aの断面形状を示す斜視図であり、同図(b)は上側傾斜面31aの断面形状の拡大図である。
上側ガイド部31bの断面形状は図4に示すように、上側傾斜面31aからワーク10の厚みよりもやや大きくなる寸法(ワーク厚+β)で垂直に立ち上がり、その後、山型形状となるように傾斜している。なお、上側ガイド部31bの断面形状における山型の尖頭部分は、ワーク10の保護のため面取りされていてもよい。ただし、上側傾斜面31a以外をワーク10が走行してしまうことを避けるために、R面取りをし、面取りされる範囲はワーク10の大きさに対し十分に小さいことが好ましい。また、山型形状を形成する傾斜部分の傾斜角度は供給されたワーク10の反転防止のため、できるだけ緩やかとなるように形成されることが好適である。
次に、上記した図3を参照して下側傾斜部32の構成について説明する。下側傾斜部32は、下側傾斜面32aと、一対の下側ガイド部32bと、支持部32cとを備えてなる構成である。
下側傾斜面32aは、上側傾斜面31a通じて滑走してきたワーク10を、さらに収容部21に向かって滑走させるように、この上側傾斜面31aの下流側の端部から連設された傾斜面である。下側ガイド部32bは、下側傾斜面32aの両側部に配置されており、下側傾斜面32aを滑走するワーク10を収容部21内に向かって導くようにガイドする。
支持部32cは、下側傾斜部32の所定の位置に設けられており、下側傾斜面32aを滑走するワーク10を止めて、支持する。また、支持部32cは、支持したワーク10を所定のタイミングで離脱させて、再度、滑走させる。このため、傾斜部3から収容部21内へのワーク10の排出タイミングを調整することができる。
支持部32cは、ワーク10を吸着または係止により支持する構成であってもよい。ワーク10を吸着により支持する場合は、支持部32cは、例えば、真空装置(不図示)を用いて真空パッド(不図示)でワーク10を吸着させる構成が例示できる。あるいはワーク10が本実施形態で例示するグラファイトシートではなく強磁性を示す金属等から構成されている場合は、電磁石(不図示)により吸着させる構成が例示できる。また、ワーク10を係止により支持する場合、支持部32cは、例えば、係止ピン(不図示)を利用し、該ワーク10を支持する構成が例示できる。例えば、係止ピンを下側傾斜面32aの所定の位置に埋め込み、ワーク10が通過する際に、この係止ピンを下側傾斜面32aから上方に突出させるように構成する。このように構成することで、係止ピンがワーク10の先端部と当接し、該ワーク10を支持することができる。
また、上記したように支持部32cは、支持しているワーク10を所定のタイミングで離脱させることができる。例えば、支持部32cが真空パッドによりワーク10を吸着させる構成の場合、所定のタイミングにおいて真空装置が真空破壊を行いワーク10に正圧を加えてワーク10を支持部32cから離脱させる。また、支持部32cが電磁石によりワーク10を吸着させる構成の場合、所定のタイミングにおいて電磁石に供給させている電流を停止させてワーク10を支持部32cから離脱させる。また、支持部32cが係止ピンによりワーク10を係止させる構成の場合、所定のタイミングにおいて下側傾斜面32aから突出させている係止ピンを下側傾斜面32aよりも下方に引っ込めてワーク10を係止状態から離脱させる。
また、下側傾斜部32の上流側の端部では、下側傾斜面32aの両側部に設けられた一対の下側ガイド部32b同士の間隔が、傾斜部3の上流側から下流側に向かって狭まったテーパー形状を形成している(テーパー部32d)。つまり、下側傾斜面32aの幅寸法は、上流側の端部では上側傾斜面31aと同じ寸法であるが、下流に向かうについて狭くなっている。下側傾斜面32aの幅寸法は、このテーパー部32dを通じて、ワーク幅+αの寸法から略ワーク幅の寸法へと変えられる。
このように、下側傾斜部32は、テーパー部32dを有するため、下側傾斜面32aをワーク10が滑走する間にワーク10の位置決めを下側ガイド部32bによって適切に行うことができる。なお、本発明の実施形態に係る搬送装置100では、テーパー部32dは、下側傾斜部32の上流側の端部に形成される構成であったが形成される位置はこれに限定されない。例えば、下側傾斜部32の中間位置であってもよいし、上側傾斜部31の下流側の端部であってもよい。また、下側傾斜部32全体、あるいは上側傾斜部31および下側傾斜部32全体に渡って、上記したテーパー部32dが形成された構成であってもよい。
なお、下側傾斜部32の断面形状は、上記したようにテーパー部32dが設けられている点、および下側傾斜面32aの幅寸法がワーク10の略幅寸法となる点を除けば上側傾斜部31の断面形状と同様とすることができる。このため、下側傾斜部32の断面形状の説明については省略する。
また、搬送装置100は、下側傾斜部32の下側傾斜面32aの下方において、図1、3に示すように間隔調整部41を備えている。間隔調整部41は、下側傾斜部32を下側傾斜面32aにおける幅方向に移動させて、隣接する下側傾斜部32同士の間隔を可変とするものである。より具体的には、間隔調整部41は、第1間隔調整レール41a1と、第2間隔調整レール41a2と、一対の第1レール固定部41b1と、一対の第2レール固定部41b2とを備えてなる構成である。
第1間隔調整レール41a1および第2間隔調整レール41a2は、下側傾斜面32aの下面側において下側傾斜部32を挿通する一対の円柱形状の棒部材である。第1間隔調整レール41a1の方が第2間隔調整レール41a2よりも上流側で下側傾斜部32を挿通している。本発明の実施形態に係る搬送装置100では、6つの下側傾斜部32が並列に配置された構成であるため、第1間隔調整レール41a1および第2間隔調整レール41a2は、6つの下側傾斜部32それぞれを挿通することとなる。
第1間隔調整レール41a1の両端部には、第1レール固定部41b1が配置され、第1間隔調整レール41a1を傾斜部支持面40上に固定する。また、第2間隔調整レール41a2の両端部には、第2レール固定部41b2が配置され、第2間隔調整レール41a2を傾斜部支持面40上に固定する。このように、下側傾斜部32は、第1間隔調整レール41a1および第2間隔調整レール41a2を介して、下側傾斜部32を傾斜部支持面40上に支持する構成となっている。
また、下側傾斜部32は、図5に示すように下側傾斜面32aの幅方向に、第1間隔調整レール41a1および第2間隔調整レール41a2の周面上を摺動できるように構成されている。このため、隣接する下側傾斜部32の間隔を調整することができる。図5は、図3に示す傾斜部3が備える下側傾斜部32を幅方向に移動させた後の状態の一例を示す図である。
よって、搬送装置100では、隣接する下側傾斜部32を滑走するワーク10同士の間隔が、該ワーク10が排出される収容部21の間隔と一致しない場合であっても、隣接する下側傾斜部32の間隔を変更させることで適切に調整することができる。
なお、隣接する下側傾斜部32をユーザが幅方向に押圧することで、下側傾斜部32の間隔を調整する構成であってもよい。あるいは、側端部(例えば、右側端部)に配置されている下側傾斜部32を、幅方向に押下する押下装置(不図示)を設け、該押下装置の押圧によって隣接する下側傾斜部32の間隔を調整する構成であってもよい。
また、傾斜部3を滑走するワーク10の速度が大きくなると、傾斜面(上側傾斜面31aおよび下側傾斜面32a)からワーク10が飛び出す可能性がある。さらにまた、下側傾斜面32aに設けられた支持部32cによりワーク10の滑走を停止させて支持することができない場合も想定される。そこで、ワーク10の滑走速度を低減させる速度調整部61を備える構成であってもよい。
(速度調整部)
以下において、図6および図7を参照して速度調整部61の一例について説明する。図6は、本発明の実施形態に係る搬送装置100が備える速度調整部61の取り付け位置を模式的に示す図である。図7は、図6に示す速度調整部61の構成の一例を模式的に示す図である。なお、図6、7では説明の便宜上、上側傾斜部31が備える上側ガイド部31bについては図示を省略している。
本実施の形態に係る搬送装置100では、例えば、図6に示すように上側傾斜部31の下流側の端部に速度調整部61を備える。図7に示すように、速度調整部61は、上側傾斜部31の上側傾斜面31aごとに設けられており、カム部61aおよび当接部61bを備える。カム部61aは、図6、7に示すように円形の一部が突出した断面形状を有しており、突出した部分の下面に当接部61bが設けられている。また、カム部61aの中心には回転軸62が挿通しており、この回転軸62の回転に応じて、回転軸62周りにカム部61aは回転可能となっている。回転軸62は、その端部が回転駆動部63に接合されており、回転駆動部63により回転軸62の回転方向および回転力を制御できるようになっている。
当接部61bは、例えば、可撓性を有する薄板により形成されており、当接部61bの下面において滑走するワーク10と当接する。当接部61bは、例えば、プラスチック製の薄板によって形成することができる。
このように構成された速度調整部61では、以下のようにしてワーク10の滑走速度を低減させる。すなわち、上側傾斜面31aを滑走するワーク10が当接部61b位置を通過する際に、回転駆動部63が、カム部61aを回転軸62周りに、図7において左回転させ、その回転力を当接部61bに及ぼす。これにより、ワーク10は当接部61bにより、上側傾斜面31aに向かって押さえつける方向に力が及ぼされ滑走速度を低減させることができる。また、回転駆動部63により回転軸62の回転方向および回転力を調整することで、当接部61bによりワーク10に及ぼす力の大きさを調整することができるように構成されている。
なお、速度調整部61の構成は上述した構成に限定されるものではない。例えば、上側傾斜面31aに吸着パッドを設け、滑走するワーク10に対して吸着パッドから負圧によりワーク10を上側傾斜面31aに押し付ける方向に力を及ぼす構成としてもよい。速度調整部61は、ワーク10の滑走速度を低減できる機構を有していればその構成は限定されない。
あるいは、速度調整部61として、上側傾斜面31aの下流側の端部から所定区間に渡って、ワーク10と上側傾斜面31aとの間の摩擦抵抗を大きくするように加工が施された加工面を備える構成であってもよい。
なお、上記では搬送装置100が速度調整部61を備えることにより、ワーク10の滑走速度を低減させるように調節可能な構成について説明した。この構成において、さらに、ワーク10の傾斜部3からの飛び出しを防止するために、傾斜部3の一部の区間の上部を覆うカバー部(不図示)をさらに備えた構成としてもよい。あるいは、搬送装置100が速度調整部61を備える代わりに、カバー部を備えた構成としてもよい。カバー部を備えることで、ワーク10の滑走速度が速すぎて搬送装置100から外部に飛び出てしまうことを防止することができる。
(ワークの搬送方法)
次に、図8〜11を参照して搬送装置100によるワークの搬送方法について説明する。図8は、本発明の実施形態に係るワーク10の搬送方法の一例を示すフローチャートである。図9は、本発明の実施形態に係る搬送装置100における供給エリアにおけるワーク10の配置状態の一例を示す概略図である。図10は、本発明の実施形態に係る搬送装置100が備える傾斜部3の排出口から収容部21内に排出されたワーク10の状態の一例を模式的に示す図である。図11は、図8に示すフローチャートにおけるステップS13のサブルーチンの一例を示すフローチャートである。
図8に示すように、まず、供給部1がワーク群を供給エリアに移動させる(ステップS11)。すなわち、供給部1は、密集して配列された状態にある複数のワークを、隣接するワーク10同士の間隔を維持したまま、所定数のワーク10からなるワーク群に区分けする。本発明の実施形態に係る搬送装置100では、上記した図2に示すように、2枚のワーク10からなるワーク群に区分けするものとする。そして、供給部1は、ワーク群ごとに割り当てられた供給エリアまで各ワーク群を移動させる。例えば、図9に示すように、ワーク群Aを供給エリアA、ワーク群Bを供給エリアB・・・にそれぞれ移動させる。
次に、供給部1は、ワーク10を傾斜部3に供給する(ステップS12)。すなわち、供給部1は、供給エリアにおいてワーク群を構成する各ワーク10をそれぞれ異なるタイミングで傾斜部3に供給する。例えば、図9の例では、各ワーク群(ワーク群A、ワーク群B・・・)における紙面左側のワーク10を先に傾斜部3に供給する。なお、このワーク10の供給後、残余の各ワーク10は、略ワーク10の幅寸法分だけ間隔をあけて供給部1に保持された状態となる。
次に、傾斜部3に供給されたワーク10を、供給された際の姿勢を維持したまま傾斜部3の傾斜面に導くとともに、該傾斜面を滑走する該ワーク10を収容部21に導くようにガイドする(ステップS13)。より具体的には、図9に示すように、傾斜部3に供給されたワーク10は、上側ガイド部31bの傾斜面に当接し、該傾斜面を滑って上側傾斜面31aに導かれる。上側傾斜面31aに導かれたワーク10は、図3に示すように上側ガイド部31bおよび下側ガイド部32bによって収容部21に向かうように案内される。なお、ステップS13における処理の詳細は後述する。
このように、本発明の実施形態に係る搬送装置100では、ワーク群を構成する2つのワーク10のうち、一方のワーク10のみを先に傾斜部3に供給する構成である。このため、ワーク10の配列状態を、略ワーク10の幅寸法分だけ間隔をあけて該ワーク10がそれぞれ配置された配列状態であるとみなすことできる。それゆえ、隣り合う傾斜部3の傾斜面の間隔を密接させた状態とする必要がなく、ある程度の間隔(少なくともワーク10の幅寸法分)を隔てて傾斜面を配置させることができる。
なお、ワーク群を構成するワーク10の枚数は、図9に示すような2枚に限定されるものではなく2枚以上の任意の数とすることができる。ワーク群を構成するワーク10の枚数は、供給エリアとして設定されている領域の大きさ、ならびに収容部21において積層させるワーク10の枚数に応じて適宜、設定することができる。
上記したステップS13により収容部21へワーク10が導かれると、収容部21内にワーク10を収容する(ステップS14)。より具体的には、図10に示すように、ワーク10が収容部21に導かれると、その先端部が収容部21内に当接した状態であって、後端部が下側傾斜面32aに支持された状態となる。このような状態において、傾斜部3を後方へ移動させると、ワーク10の後端部は下側傾斜面32aによる支持が外れ、収容部21の底部に向かって落下する。このようにして、ワーク10は、収容部21の面内で回転または反転することなく収容される。
なお、収容部21と下側傾斜面32aとは図10に示す両者の相対的な位置関係が変わればよいため、上記したように傾斜部3を後方へ移動させる代わりに収容部21側を前方へ移動させる構成であってもよい。また、図10に示すように、ワーク10の先端部が収容部21内に当接し、後端部が下側傾斜面32aに支持されている状態において、ワーク10の後端部が接触する部分またはその周辺部分の下側傾斜面32aを分割可能な構成とし、ワーク10が接触している側の下側傾斜面32a部分だけを後方へ移動させても良い。
ここで、収容部21内に収容されたワーク10が所定の積層枚数に達したか否か判定する(ステップS15)。所定の積層枚数に達しているか否かの判定は、搬送装置100が、各部の動作を制御する制御部(不図示)を備え、該制御部により行う構成であってもよい。あるいは、搬送装置100のユーザが判定する構成であってもよい。
収容部21内に収容されたワーク10が所定の積層枚数に達していない場合(ステップS15において「NO」)は、ステップS12以降の処理を繰り返す。一方、ステップS15において「Yes」の場合は、ワーク10の搬送を終了させる。ここでは、まだ、1枚のワーク10だけが収容部21内に収容された状態であるため、図9に示すワーク群における紙面右側に配置されたワーク10の搬送を上記したステップS12以降の処理を繰り返して行う。
次に、ステップS13における、ワーク10を収容部21へ導くようにガイドする処理の詳細について図11を参照して説明する。まず、下側傾斜部32の支持部32cにおいて、下側傾斜面32aを滑走するワーク10を停止させて、一時的に支持する(ステップS31)。このように、ワーク10を支持した状態で、並列して配置された傾斜部3(下側傾斜部32)の間隔を調整する(ステップS32)。このように下側傾斜部32の間隔を調整することで、下側傾斜部32のワーク10の排出口の位置がストッカー2の収容部21の開口と一致するようにする。
下側傾斜部32の間隔を調整すると、支持部32cにより支持しているワーク10を離脱させる(ステップS33)。これにより、ワーク10は収容部21内に向かって、下側ガイド部32bによってガイドされながら下側傾斜面32a上を滑走する。以上のようにしてステップS13の「ワーク10を収容部21内へ導くようにガイドする処理を終了させる。
このようにして本発明の実施形態に係るワークの搬送方法では、密集して配列された状態にあるワーク10をストッカー2の収容部21内に導き、ワーク10を積層させることができる。
なお、ワーク10の搬送方法において、上記したステップS11の処理とステップS13の処理とは、少なくとも一部が同時に行われてもよい。このように、ステップS11の実行処理時間の少なくとも一部とステップS13の実行処理時間の少なくとも一部とが同じタイミングで行われることで、ワーク10の搬送処理にかかる時間を短縮させることができる。
(変形例1)
本発明の実施形態に係る搬送装置101では、下側傾斜部32に1つの支持部32cを備えた構成であったが、支持部32cを複数備えた構成としてもよい。以下において本発明の実施形態の変形例1に係る搬送装置101の構成について図12、13を参照して説明する。図12は、本発明の実施形態の変形例1に係る搬送装置101が備える下側傾斜部32の概略構成の一例を示す平面図である。図13は、本発明の実施形態の変形例1に係るワークの搬送方法の一例を示すフローチャートである。
変形例1に係る搬送装置101は、下側傾斜部32において、第1支持部32c1および第2支持部32c2を備える点を除けば、上記した本発明の実施形態に係る搬送装置100と同様の構成である。このため、下側傾斜部32の構成のみ説明し、それ以外の部材についての説明は省略する。
図12に示すように、下側傾斜部32は、下流側に第1支持部32c1を、上流側に第2支持部32c2をそれぞれ設け、異なるタイミングで供給されたワーク10をそれぞれで保持することができる構成となっている。第1支持部32c1および第2支持部32c2は、上記した支持部32cと同様に、ワーク10を吸着または係止により支持する構成であってもよい。なお、この変形例1では、下側傾斜部32において第1支持部32c1および第2支持部32c2を備え、収容部21に2枚のワーク10を積層させる構成について説明するが、下側傾斜部32に備えられる支持部32cの数はこの2つに限定されるものではない。下側傾斜部32に備えられる支持部32cの数は任意であり、収容部21内において積層させるワーク10の枚数に応じて適宜設定することができる。
上記した構成を有する変形例1に係る搬送装置101では、図13に示すワークの搬送方法により、ワーク10を収容部21へ搬送させる。
まず、供給部1がワーク群を供給エリアに移動させる(ステップS51)。次に、供給部1は、ワーク10を傾斜部3に供給する(ステップS52)。なお、ステップS51、S52の処理は、図8に示すステップS11、S12の処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
供給部1により傾斜部3に供給されたワーク10は、上側ガイド部31bの傾斜面に当接し、該傾斜面を滑って上側傾斜面31aに導かれる。上側傾斜面31aに導かれたワーク10は、図3に示すように上側ガイド部31bおよび下側ガイド部32bによって、収容部21に向かって導かれるように案内される。より具体的には、ワーク群において最初に傾斜部3に供給され、傾斜面を滑走するワーク10は、下側傾斜部32における下流側に配置された第1支持部32c1の位置で停止させられ、支持される(ステップS53)。ここで搬送装置100では、下側傾斜部32において支持されているワーク10が所定枚数に達したか否か判定する(ステップS54)。所定枚数に達しているか否かの判定は、搬送装置100が、各部の動作を制御する制御部(不図示)を備え、該制御部により行う構成であってもよい。あるいは、搬送装置100のユーザが判定する構成であってもよい。ここでは、まだ、1枚目のワーク10だけが第1支持部32c1に支持された状態であり所定枚数に達していないため(ステップS54において「NO」)、次のワーク10の搬送を上記したステップS52、S53を繰り返して行う。そして、次に傾斜部3に供給されたワーク10は、下側傾斜部32における上流側に配置された第2支持部32c2により支持される。
ここで搬送装置101では、下側傾斜部32において支持されるワーク10が所定枚数に達したか否か判定し(ステップS54)、所定枚数に達したと判定された場合(ステップS54において「Yes」)、傾斜部3の間隔を調整する(ステップS55)。傾斜部3の間隔の調整がなされると、まず、下側傾斜部32における第1支持部32c1によって支持されているワーク10を離脱させ(ステップS56)、収容部21内へワーク10を収容させる(ステップS57)。そして、収容部21内に収容されたワーク10が所定の積層枚数に達したか否か判定する(ステップS58)。なお、ステップS55〜58は、上記したステップS32、S33、およびステップS14、S15と同様にして行われるため詳細な説明は省略する。
ここでは、まだ所定の積層枚数に達していないため(ステップS58において「NO」)、ステップS56に戻る。ステップS56では、下側傾斜部32における第2支持部32c2によって支持されているワーク10を離脱させ、収容部21内へワーク10を収容させる(ステップS57)。そして、収容部21内に収容されたワーク10が所定の積層枚数に達したと判定されると(ステップS58において「Yes」)、処理を終了させる。
変形例1に係る搬送装置101では、積層させるワーク10を下側傾斜部32の第1支持部32c1および第2支持部32c2それぞれに支持させた状態で、傾斜部3の間隔を調整する構成である。このため、変形例1に係る搬送装置101は、搬送装置100のように、供給部1によってワーク10が傾斜部3に供給される度に傾斜部3の間隔を調整する必要がなく、1度、間隔を調整するだけでよい。このため変形例1に係る搬送装置101は、搬送装置100と比較して、搬送処理をより容易に行うことができる点で有利である。
なお、ワーク10の搬送方法において、上記したステップS51の処理とステップS55、S56の処理とは、少なくとも一部が同時に行われてもよい。このように、ステップS51の実行処理時間の少なくとも一部とステップS55、S56の実行処理時間の少なくとも一部とが同じタイミングで行われることで、ワーク10の搬送処理にかかる時間を短縮させることができる。
なお、本発明の実施形態に係る搬送装置100および変形例1に係る搬送装置101では、傾斜部3を複数備えた構成を例に挙げて説明したが、傾斜部3は1つであってもよい。ただし、傾斜部3を1つだけ備える構成の場合、ワーク群および供給エリアもそれぞれ1つだけ設定されることとなる。
また、本発明の実施形態に係る搬送装置100および変形例1に係る搬送装置101では、複数の下側傾斜部32を備え、下側傾斜部32それぞれを幅方向に移動させて隣接する下側傾斜部32の間隔を調整する構成であった。また、この構成により、下側傾斜部32の排出口が収容部21上に位置するように位置決めを行うことができた。しかしながら、1つの傾斜面を複数の下側ガイド部32bによって区切ることで複数の下側傾斜部32を形成する構成としてもよい。このようにして複数の下側傾斜部32が形成される場合、下側ガイド部32bを幅方向に可動できるように設け、下側ガイド部32bを傾斜面上で幅方向に移動させることで、上記した位置決めを行ってもよい。
また、本発明の実施形態に係る搬送装置100および変形例1に係る搬送装置101では、傾斜部3は上側傾斜部31と下側傾斜部32とによって構成されていたが、このように分割されていなくてもよい。傾斜部3が分割されていない構成の場合、一対のガイド部の間隔を上流側から下流側に向かうにつれ徐々に変化させ、ワーク10が収容部21内に向かって滑走できるように構成する。このように、一対のガイド部の間隔を調整することでワーク10を収容部21内に導くように構成する場合、間隔調整部41および支持部32cを備える必要がないため構成が簡易となるが、傾斜部3をより長くする必要があり、また、ガイド部の形状が複雑となる。
以上のように、本発明の実施形態に係る搬送装置100および変形例1に係る搬送装置101は、供給部1、傾斜部3、および収容部21からなる簡易な構造とすることができる。また、簡易な構造で組み立てることができるため軽量化を図ることもできる。このため、産業用ロボットまたは人手によって容易に操作することができる。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。