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JP2018154884A - 冷間工具鋼 - Google Patents

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JP2018154884A
JP2018154884A JP2017053837A JP2017053837A JP2018154884A JP 2018154884 A JP2018154884 A JP 2018154884A JP 2017053837 A JP2017053837 A JP 2017053837A JP 2017053837 A JP2017053837 A JP 2017053837A JP 2018154884 A JP2018154884 A JP 2018154884A
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卓宏 江口
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浩行 水野
康弘 福田
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康弘 福田
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Abstract

【課題】ハイテン材の成形に使用する冷間工具に適用可能な高い硬度を有し、高い衝撃値を確保でき、かつ冷間工具製造時に必要な被削性も維持することができる、高強度で衝撃値及び被削性に優れた冷間工具鋼を提供すること。【解決手段】C:0.55〜0.85%、Si:1.00〜2.50%、Mn:0.30〜1.50%、P:0.030%以下、S:0.100%以下、Cr:5.00〜8.00%、Mo:1.00〜2.00%、Ti:0.05〜0.20%、B:0.0005〜0.0050%、Al:0.005〜0.150%、N:0.0250%以下を含有し、式1:1.4×[Si]−2.7×[Mn]+1.7×[Mo]+1.5×[C]≧4を満足する。焼入れ焼戻し処理後の断面組織において、円相当径にて15μm以上の粗大炭化物が、0.4mm2の視野中に50個以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、鋼材料の冷間加工用の工具に用いられる冷間工具鋼に関する。
自動車の軽量化を図りつつ、衝突安全性確保、自動車骨格の高強度化等を実現するため、従来よりも薄い板厚で同等以上の強度を確保できる高張力鋼板(ハイテン材)の開発が積極的に進められ、その使用が増加している。しかし、ハイテン材は、軽量化に貢献できる一方で、深絞り、曲げ等の成形時の変形抵抗も増加するため、成形用の金型への負担が増加し、従来用いられてきた金型材では、耐摩耗性等の特性は不足しつつある。そのため、ハイテン材を加工する冷間工具(金型等)の性能向上が強く求められるようになってきた。
特開2009−132990号公報
ハイテン材の成形時に必要な耐摩耗性を確保するためには、より高硬度とする必要があるが、一般的に硬度を高めると耐摩耗性は向上するものの、被削性、衝撃値(靱性)が低下するため、単純に硬度を高めるだけでは、問題を解決することができない。例えば、特許文献1に記載された工具鋼は、粗大炭化物の面積率を規制すると共に、各種合金を添加することにより、60HRC程度の硬度を確保しているが、衝撃値についてはSKD11との比較では若干の改善が見られるものの、改善の程度が十分でない。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、ハイテン材の成形に使用する冷間工具(金型等)に適用可能な高い硬度を有し、その上で、高い衝撃値を確保でき、かつ冷間工具製造時に必要な被削性も維持することができる、高強度で衝撃値及び被削性に優れた冷間工具鋼、特に、60HRC以上の高硬度領域においてSKD11との比較において少なくとも2倍以上の衝撃値を確保可能な冷間工具鋼を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、質量%で、C:0.55〜0.85%、Si:1.00〜2.50%、Mn:0.30〜1.50%、P:0.030%以下、S:0.100%以下、Cr:5.00〜8.00%、Mo:1.00〜2.00%、Ti:0.05〜0.20%、B:0.0005〜0.0050%、Al:0.005〜0.150%、N:0.0250%以下を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、
以下の式1を満足し、
式1:1.4×[Si]−2.7×[Mn]+1.7×[Mo]+1.5×[C]≧4(但し、式中における[X]は、元素Xの含有率(質量%)を示す。)、
かつ、焼入れ焼戻し処理後の断面組織において、円相当径にて15μm以上の粗大炭化物が、0.4mm2の視野中に50個以下である冷間工具鋼にある。
上記冷間工具鋼は、上記特定の範囲の化学成分にすることによって、焼入れ焼戻し処理後の断面組織において観察される上記粗大炭化物の数を上記特定の範囲に抑えることができる。粗大炭化物の存在は、硬度が比較的低い場合(60HRC未満の領域)においては、耐摩耗性向上に寄与することが知られている。しかし、60HRC以上の高硬度領域においては、後述するように粗大炭化物による耐摩耗性向上効果がほとんど見られなくなることが見出された。この点に着目し、上述したように粗大炭化物の数を上記特定の範囲に抑えることにより、金型等の冷間工具製造に問題のない被削性を維持しつつ、靱性及び耐摩耗性向上効果を高硬度領域において引き出すことが可能となる。
そして、化学成分については、上記関係式1:1.4×[Si]−2.7×[Mn]+1.7×[Mo]+1.5×[C]≧4を満足させることを必須としている。これにより、焼入れ焼戻し処理後における硬度を60HRC以上に確保することが可能となる。その上で、特に、TiとBの両方の元素を同時に適量含有させることによって、単独添加の効果の場合に比べて、相乗的な効果を発揮させることができる。すなわち、Ti添加による結晶粒の微細化とB添加によるPの粒界偏析抑制による粒界強化効果が得られるだけでなく、両者の複合添加によって靱性が格段に向上する。さらには、上記のごとく、粗大炭化物の生成を抑制できるので、靱性向上だけでなく、優れた被削性を実現できる。
実施例1における、式1の値と硬さ(HRC)との関係を示す説明図。 実施例1における、硬さと衝撃値の関係に及ぼすTi、B複合添加の効果を示す説明図。 実施例1における、硬さと比摩耗量の関係に及ぼす粗大炭化物の有無の影響を示す説明図。
まず、上記冷間工具鋼の化学成分の限定理由について説明する。
C:0.55〜0.85%、
C(炭素)は、硬さを確保するために必要な元素であり、0.55%以上含有させる。一方、Cは過剰に添加すると靱性及び被削性の低下を招くため、C含有率の上限は0.85%とする。
Si:1.00〜2.50%、
Si(ケイ素)は、鋼の硬さを確保すると共に焼戻し軟化抵抗性を高めるのに有効な元素であり、その効果を得るために1.00%以上含有させる。一方、Siは過剰に添加すると靱性低下と熱間加工性低下を招くため、Si含有率の上限は2.50%とする。
Mn:0.30〜1.50%、
Mn(マンガン)は、MnSの形成によって被削性向上に有効な元素である。そのため、Mnは0.30%以上含有させる。一方、Mnは過剰に添加すると焼戻し軟化抵抗性を低下させるため、Mn含有率の上限は1.50%とする。
P:0.030%以下、
P(リン)は、不可避的に含有される元素であるが、多量に含有された場合には、靱性低下のおそれがある。そのため、P含有率の上限は0.030%とする。
S:0.100%以下、
S(硫黄)は、不可避的に含有される元素であるが、少量の積極添加で被削性を改善することができる元素である。しかしながら、多量に含有された場合には、靭性低下及びワイヤカット、機械加工後の面粗さ低下のおそれがある。そのため、S含有率の上限は0.100%とする。
Cr:5.00〜8.00%、
Cr(クロム)は、焼戻し処理後に高硬度を確保するのに有効であり、その効果を得るために5.00%以上含有させる。一方、Crは過剰に添加すると靱性及び被削性が低下すると共に、PVDまたはCVDにより皮膜を形成した場合の皮膜の密着性が低下するおそれがあるため、Cr含有率の上限は8.00%とする。
Mo:1.00〜2.00%、
Mo(モリブデン)は、焼戻し軟化抵抗性を確保するのに有効であり、その効果を得るために1.00%以上含有させる。一方、Moは過剰に添加すると靱性及び被削性が低下するおそれがあるため、Mo含有率の上限は2.00%とする。
Ti:0.05〜0.20%、
Ti(チタン)は、上述したごとく、結晶粒の微細化に有効であると共に、Bとの複合添加によって高硬度域での靱性を相乗的に向上させる元素であり、これらの効果を得るために、0.05%以上含有させる。一方、Tiは過剰に添加すると逆に靱性低下のおそれがあるため、Ti含有率の上限は0.20%とする。
B:0.0005〜0.0050%、
B(硼素)は、上述したごとく、Pの粒界偏析抑制による粒界強度向上効果があると共に、Tiとの複合添加によって高硬度域での靱性を相乗的に向上させる元素であり、これらの効果を得るために、0.0005%以上含有させる。一方、Bは過剰に添加しても、前記効果が飽和するので、B含有率の上限は0.0050%とする。
Al:0.005〜0.150%、
Al(アルミニウム)は、脱酸及び結晶粒微細化に有効な元素であり、その効果を得るために0.005%以上含有させる。一方、Alは過剰に添加すると酸化物系介在物の増加により靱性が低下するおそれがあるため、Al含有率の上限は0.150%とする。
N:0.0250%以下、
N(窒素)は、不可避的に含有される元素であるが、多量に含有された場合には靱性を低下させたり、TiNが増加して、ピン止め効果のあるTiCを減少させ、結晶粒を粗大化させるおそれがある。そのため、N含有率の上限は0.0250%とする。
さらに、上記冷間工具鋼は、上記必須添加元素に加えて、炭窒化物を利用したピン止めによる結晶粒微細化効果を得るために、以下のように任意元素を更に添加することができる。すなわち、V:0.20%以下、Nb:0.20%以下、W:0.50%以下、Ta:0.20%以下のうちの1種又は2種以上を含有することができる。
V:0.20%以下、Nb:0.20%以下、
V(バナジウム)、Nb(ニオブ)は、前記の通り、結晶粒微細化による効果によって、高硬度域での靱性向上効果が期待できる任意添加元素である。従って、必要に応じて添加することが好ましい。一方、Nbは多量添加しても効果が飽和し、Vは過剰添加により靱性及び被削性が低下するおそれがあるため、両元素とも上限を0.20%とする。
W:0.50%以下、Ta:0.20%以下、
W(タングステン)及びTa(タンタル)も、炭窒化物を形成し、ピン止め効果により結晶粒微細化に寄与する元素である。ただし、含有しすぎても効果が飽和し、かつコスト高となるため、W含有率の上限は0.50%、Ta含有率の上限は0.20%とする。
なお、炭窒化物(Tiは炭化物)を結晶粒微細化に利用するためには、一度ピン止め効果のない粗大な析出状態のものを固溶させ、再度微細に析出させなければならない。本発明の場合、固溶は、熱間圧延の際の加熱や鋼塊を鍛伸する際の加熱により行われ、析出は加工性向上のための球状化焼鈍処理により行うことになる。Tiは前記した通り結晶粒微細化とBとの複合添加による相乗効果によって靭性向上効果の大きい元素であるが、V、Nb、W、Taも結晶粒微細化に利用することは可能である。
また、上記冷間工具鋼は、上記必須添加元素に加えて、以下の任意元素を更に添加することができる。すなわち、Mg:0.10%以下、Te:0.10%以下、Bi:0.05%以下の1種又は2種以上を含有することができる。
Mg:0.10%以下、Te:0.10%以下、Bi:0.05%以下、
これらMg(マグネシウム)、Te(テルル)、Bi(ビスマス)は、添加することによって更に被削性を向上させる効果が得られる。一方、過剰に添加してもその効果が飽和するため、含有率量の上限を、MgとTeは0.10%、Biは0.05%とする。
次に、式1:1.4×[Si]−2.7×[Mn]+1.7×[Mo]+1.5×[C]≧4(但し、式中における[X]は、元素Xの含有率(質量%)を示す。)という要件は、上述した化学成分組成を前提として、さらに、60HRC以上の硬さを確保するために必要な条件であり、多くの実験により導かれたものである。したがって、上述した基本的な化学成分組成の範囲を満足するように各成分を含有させた上で、さらに、式1を満足するよう化学成分を制限することが、高硬度化を図るために重要である。
また、上記冷間工具鋼は、焼入れ焼戻し処理後の断面組織において、円相当径にて15μm以上の粗大炭化物が、0.4mm2の視野中に50個以下である。本発明の冷間工具鋼は、基本的に粗大炭化物が生成されにくい成分設計を行っているが、仮に生成されたとしても、0.4mm2の視野中に50個以下の範囲に制御するという意味である。そして、この要件を確保することによって、上述したごとく、優れた被削性と靱性を確保することができる。なお、粗大炭化物の観察を行う断面組織は、冷間工具として必須の熱処理である焼入れ焼戻し処理を施した後の状態において行う。焼入れ条件及び焼戻し処理の条件は、後述する範囲内での最適条件を採用すれば良い。
本発明の冷間工具鋼は、主としてハイテン等の板成形用の金型として使用される。そして、熱間圧延や鋼塊の鍛伸等により母材製造後、加工性向上のための球状化焼鈍(例えば850℃程度に5時間程度加熱保持後550℃程度まで徐冷)した後、所定の金型形状に機械加工された後に焼入れ焼戻し処理され、高硬度で高い衝撃値を有する金型として製造することができる。そして、この際の焼入れ条件は、被処理材を1000〜1050℃に加熱保持した後空冷するという条件を採用することができる。
また、焼入れ後の焼戻しは、以下に説明する低温焼戻しと高温焼戻しが選択でき、中間の温度域での焼戻しは脆化するため、選択されない。そして、低温焼戻しの場合には、例えば被処理材を150℃〜200℃に60分保持した後空冷する条件とすることができ、高温焼戻しの場合には、例えば被処理材を450℃〜550℃に60分保持した後空冷する条件とすることができる。従って、焼戻し処理としては、上記の低温焼戻しと高温焼戻しのいずれかを採用可能であるが、これは、加工としてワイヤカットを利用するか否か、CVD又はPVDによる成膜処理を行うか否か等によって選択することができる。例えば、ワイヤカット処理を行う場合及びCVD又はPVDによる成膜処理を行う場合には、高温での焼戻し処理が有効である。一方、これらの処理が不要の場合には、低温での焼戻し処理が有効である。
高温での焼戻し処理によれば、炭化物析出による二次硬化が期待でき、低温での焼戻し処理の場合と同等の高硬度特性を維持できると共に、残留オーステナイトを低減させることによるワイヤカット処理可能化やCVD又はPVDなどの高温での成膜処理が可能となるというメリットが得られる。一方、低温での焼戻し処理によれば、高温での焼戻し処理の場合よりも若干高めの衝撃値特性が得られるというメリットがある。したがって、冷間工具に求められる特性に応じて、焼戻し条件を設定することができる。
(実施例1)
上記冷間工具鋼の実施例につき、比較のための複数の試料と共に説明する。まず、供試材として、表1に示す化学成分を有する複数の鋼(試料No.1〜38)を準備した。このうち、試料No.1〜20が本発明の条件を満足する鋼であり、試料No.21〜36が一部の条件を満足しない比較鋼であり、試料No.37が、過去に開発され、既に市販されている従来鋼、試料No.38がJIS規格のSKD11である。これらの鋼は、電気炉で溶解して鋼塊を作製し、鋼塊に熱間鍛造を施した後、850℃に4時間保持した後、550℃まで20℃/時間の冷却速度で徐冷するという球状化焼鈍により、機械加工性を高めた後、150mm×90mm×40mmのブロック状の試験片に加工した。この試験片に対して、表2に示す焼入れ温度に加熱して30分間保持した後に空冷する焼入れ処理を施した後、同表に示す焼戻温度に60分間保持した後に空冷する焼戻し処理を施した。そして、以下の各種試験を実施した。
Figure 2018154884
Figure 2018154884
<シャルピー衝撃試験>
上述した球状化焼鈍後、焼入れ焼戻し処理を行う直前の試験片から10Rノッチシャルピー試験片を切り出した。切り出し方向は、上述したブロック状の試験片の長手方向がシャルピー試験片の長手方向となるように向きを揃えた。そして、表面酸化の影響を避けるため、真空中において上述した焼入れ焼戻し処理を実施してこの試験の試験片とした。シャルピー衝撃試験は常温において行った。
SKD11の硬度60HRCにおける10Rノッチの試験片によるシャルピー衝撃値は25J/cm2程度であり、その倍の値を超える60HRC以上において60J/cm2以上であれば、衝撃値は非常に優れていると言えるが、実際には、硬度が高いほど衝撃値が低くなる傾向にある。また、本発明では、ハイテン材を成形しても問題のない耐摩耗性を確保することを目的としているので、硬度は基本的に60HRC以上であることが必要である。そこで、60HRC以上の硬度域における各硬度ごとの目標衝撃値として、衝撃値評価値=シャルピー衝撃値(J/cm2)−(−10×硬さ(HRC)+660)(J/cm2)が正の値となれば良いという基準を設け、硬度が60HRC以上の試験片の結果に対してこの値を表2に示すと共に、正の場合を○、負の場合を×として示した。また、硬度が60HRC未満となった試験片の結果については、図2より、明らかに数値が劣るものについて、以下にその旨を記載した。
<硬さ測定>
上記のシャルピー試験に用いた試験片におけるノッチ面のある側の平坦な部分を#220番の研磨紙を用いて研磨した後、その面のHRC硬度を測定した。測定結果を表2に示す。
<切削試験(ドリル試験)>
理研製鋼株式会社製ドリル、刃径:5.0mm、溝長:42mm、全長:92mm、シャンク径:5.0mm、シンニング:X形、先端角:135°、ねじれ角30°、材質:高コバルト高速度鋼(ホモ処理あり)、を使用してドリル試験を行った。試験条件は、切削速度:20m/min、回転数:1273rpm、送り:0.05mm/rev(送り速度:64mm/min)、穴深さ25mm(止まり穴)、切削油:あり、とし、上述した球状化焼鈍処理後のブロック状試験片(150mm×90mm×40mm)に200穴まで加工した。従来鋼のSKD11(試料38)の球状化焼鈍材も同時に評価し、使用したドリルの外周コーナー摩耗幅を比較した。機械加工性は、過去の実績から、従来鋼であるSKD11と比較して同等以上であれば、問題なく金型に加工可能と判断できることを考慮し、外周コーナー摩耗幅がSKD11(試料38)と同等以上ならば切削性不良(×)、少なければ切削性良好(○)と判断した。
<粗大炭化物の確認>
焼入れ焼戻しの熱処理を施した後の断面組織を光学顕微鏡を用いて撮像した断面組織画像を用いて、0.4mm2の視野中での、円相当径15μm以上の粗大炭化物の個数を求めることにより行う。円相当径15μm以上であることの判断は、画像処理ソフトを用いることにより行うことができる。円相当径にて15μm以上の粗大炭化物が、0.4mm2の視野中に51個以上ある場合を、粗大炭化物有り、50個以下である場合を粗大炭化物の点で問題無しと判断し、表2に「有り」又は問題無しを意味する「○」で結果を示した。
表1及び表2から分かるように、試料No.1−20の鋼は、上述した特定の化学成分組成を具備し、かつ、式1の値が全て4.0以上である。また、粗大炭化物は、全て0.4mm2の視野中に50個以下の結果となっている。そのため、これらの鋼は、硬さが60HRC以上でありながら、衝撃値の値も非常に優れ、かつ、従来のSKD11と同等以上の、金型加工が可能な問題のない被削性を有していることが確認できた。
これに対し、比較鋼としての試料No.21−36及び従来鋼としての試料No.37及び38においては、要求特性を全て具備する結果は一例も得られなかった。具体的に見ると、試料No.21は、C含有率が低すぎ、式1も満たさず、十分な硬度が得られなかった。試料No.22は、C含有率が高すぎ、高硬度は確保できても基準個数以上の粗大炭化物の存在が確認され、その結果衝撃値が低くなり、被削性も低下した。
試料No.23は、Si含有率が低すぎ、式1も満たさず、十分な硬度が得られなかった。試料No.24は、Si含有率が高すぎ、高硬度は確保できても衝撃値が低くなった。
試料No.25は、Mn含有率が低すぎ、式1も満たさず、十分な硬度が得られなかっただけでなく、被削性向上に有効なMnSが十分に形成されず被削性が低下した。試料No.26は、Mn含有率が高すぎ、式1も満たさず、十分な硬度が得られなかった。
試料No.27は、Cr含有率が低すぎ、式1も満たさず、十分な硬度が得られなかった。試料No.28は、Cr含有率が高すぎ、式1も満たさず、十分な硬度が得られなかっただけでなく、所定個数以上の粗大炭化物の存在が確認され、粗大炭化物の影響で衝撃値及び被削性が低下した。
試料No.29は、Mo含有率が低すぎ、式1も満たさず、十分な硬度が得られなかった。試料No.30は、Mo含有率が高く、式1を満たすために高硬度化を図ることができたものの、目標を満足する衝撃値、被削性の結果が得られなかった。
試料No.31〜33は、本発明の衝撃値改善のためのポイントとなる元素であるTi及びBの含有率が低く、衝撃値改善効果が不十分となったため、式1を満たして十分な硬度が得られたものの、目標を満足する衝撃値が得られなかった。
試料No.34〜36は、個々の化学成分は上述した範囲内にあるものの式1を満たさないために十分な硬度が得られなかった。
試料No.37は、JIS鋼ではないが、過去に開発され市販されている従来鋼であるが、硬度が低く、かつ、衝撃値も低かった。試料No.38は、従来鋼(SKD11)であるが、硬度が低く、衝撃値が大きく劣るものであった。
図1は、表1及び表2に示す全ての試料について、式1の値を横軸に、硬さを縦軸にとってプロットしたものである。式1の値が4以上であることによって、60HRCを確実に確保できることがわかる。
図2は、表1及び表2に示す全ての試料について、硬さを横軸に、衝撃値を縦軸にとってプロットしたものである。化学成分が適正なものを黒塗りのプロット点とし、適正でないものを白抜きのプロット点として示した。この結果より、本発明は、60HRC以上の硬さ領域において、Ti、Bの複合添加による相乗効果によって、衝撃値が高くなることが明確に理解できる。
(実施例2)
本例では、鋼材の硬さと粗大炭化物の有無とによる耐摩耗性への影響を調べた。まず、表3に示すごとく、本願における実施例に相当する開発鋼(E1〜E4)、従来鋼であるSKD11(S1〜S4)、市販のA鋼(A1〜A4)、市販のB鋼(B1〜B4)、市販のC鋼(C1〜C4)という大きく分けて5種類の鋼種についてそれぞれ4つの試料、合計20種類の試料を準備した。このうち、従来鋼SKD11とB鋼が粗大炭化物が生成される成分設計がされている鋼であり、その他は粗大炭化物が生成されにくい成分設計がされている鋼である。
各試料は、実施例1と同様の製造方法によって製造し、最終の焼戻し温度を500℃〜530℃の範囲で変化させて硬さを調整した。各試料について、実施例1の場合と同様に、硬さを測定した。そして、耐摩耗性については、次のように、大越式摩耗試験機を用いて行った。
<耐摩耗性試験>
大越式摩耗試験機による試験は、平板状の試験片に、リング部材を回転させながらその側面を押しつけ、試験片を摩耗させる試験である。リング部材としては、SCM415を使用した。試験条件は、試験距離:400m、摩耗速度:0.74m/s、荷重:6.3kgf(最終荷重)、潤滑油無しとした。試験片の摩耗幅を測定し、各鋼種の比摩耗量(Ws)を比較した。比摩耗量(Ws)の定義を以下に示す。
比摩耗量Ws=(Bb3)/(8rPL)mm2/kgf、
ここで、B:回転リングの厚み(mm)、r:回転リングの半径(mm)、b:摩耗痕幅(mm)、P:最終荷重(kgf)、L:摩擦距離(mm)である。
得られた硬さ及び比摩耗量について表3に示すと共に、図3に示した。図3は、横軸に硬さ、縦軸に比摩耗量をとり、各鋼種ごとにプロット点のマーク形状を変更し、粗大炭化物が形成されるSKD11とB鋼の結果を白抜きのプロット点で、その他の鋼種を黒塗りのプロット点で示した。そして、粗大炭化物が形成される鋼種のプロット点を大まかに結ぶ線を点線で示し、粗大炭化物が形成されにくい鋼種のプロット点を大まかに結ぶ線を実線で示した。
Figure 2018154884
同図から知られるように、硬さが60HRC未満の範囲内では、硬さが同じであれば粗大炭化物有りの鋼種の方が耐摩耗性に優れているが、60HRC以上の場合には、粗大炭化物の有無による耐摩耗性に対する影響はほとんど無いことが分かる。この結果からみれば、60HRC以上においては、粗大炭化物を無くすことによって、これによる靱性及び被削性の向上を追求することが優位であることが明確に理解できる。

Claims (3)

  1. 質量%で、C:0.55〜0.85%、Si:1.00〜2.50%、Mn:0.30〜1.50%、P:0.030%以下、S:0.100%以下、Cr:5.00〜8.00%、Mo:1.00〜2.00%、Ti:0.05〜0.20%、B:0.0005〜0.0050%、Al:0.005〜0.150%、N:0.0250%以下を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、
    以下の式1を満足し、
    式1:1.4×[Si]−2.7×[Mn]+1.7×[Mo]+1.5×[C]≧4(但し、式中における[X]は、元素Xの含有率(質量%)を示す。)、
    かつ、焼入れ焼戻し処理後の断面組織において、円相当径にて15μm以上の粗大炭化物が、0.4mm2の視野中に50個以下である冷間工具鋼。
  2. 上記残部の一部に代えて、V:0.20%以下、Nb:0.20%以下、W:0.50%以下、Ta:0.20%以下のうちの1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の冷間工具鋼。
  3. 上記残部の一部に代えて、Mg:0.10%以下、Te:0.10%以下、Bi:0.05%以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の冷間工具鋼。
JP2017053837A 2017-03-20 2017-03-20 冷間工具鋼 Active JP6772915B2 (ja)

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