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JP2018154004A - 積層フィルム - Google Patents

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JP2018154004A
JP2018154004A JP2017052314A JP2017052314A JP2018154004A JP 2018154004 A JP2018154004 A JP 2018154004A JP 2017052314 A JP2017052314 A JP 2017052314A JP 2017052314 A JP2017052314 A JP 2017052314A JP 2018154004 A JP2018154004 A JP 2018154004A
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裕哉 長谷川
Yuya Hasegawa
裕哉 長谷川
三石 剛司
Takeshi Mitsuishi
剛司 三石
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Toray Industries Inc
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Abstract

【課題】ハードコート層との密着性および、高温高湿下における接着性に優れた積層フィルムを提供する。【解決手段】ポリエステル樹脂を主成分とする基材層(A層)と、A層に隣接する少なくとも一方の面に樹脂層(B層)とを有する積層フィルムであって、前記A層のポリエステル樹脂のカルボキシル末端基量が20eq/ton以上50eq/ton以下であり、かつ下記式1を満足する積層フィルム。230 ≦Tmeta+0.05T ・・・(式1)(ただし、上記Tmetaは、積層フィルムの示差走査熱量測定(DSC)により求められる微小吸熱ピーク温度(℃)、Tは積層フィルムの厚み(μm)である。)【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル樹脂を主成分とする基材層(A層)と、A層の少なくとも一方の面に隣接する樹脂層(B層)とを有する積層フィルムに関する。
熱可塑性樹脂フィルム、中でも二軸延伸ポリエステルフィルムは、機械的性質、電気的性質、寸法安定性、透明性、耐薬品性などに優れた性質を有するため、磁気記録材料、包装材料などの多くの用途において広く使用されている。
ポリエステルフィルムは、特に近年、タッチパネル、液晶ディスプレイパネル(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)、等の表示部材用途をはじめ、各種光学用フィルムに用いられている。
特にこのような用途においては、ポリエステルフィルム上にハードコート層が積層されたハードコートフィルムが使用されている。また、基材であるポリエステルフィルムとハードコート層との密着性を向上させるために、これらの中間層として、易接着性を有する樹脂層(以下、易接着性を有する樹脂層を易接着層と呼ぶ場合がある)が設けられる場合が多い。
ハードコートフィルムには、常温下、さらには高温高湿下における基材との接着性、透明性、耐擦傷性、防汚性などが求められている。また、ディスプレイ等の表面に用いられることが多いため、ハードコートフィルムには視認性や意匠性が要求されている。基材であるポリエステルフィルム上にハードコート層を積層した場合、ハードコート層と基材であるポリエステルフィルムとの屈折率が異なる場合には界面反射による干渉斑が生じ、視認性が悪化することから、干渉斑の低減が求められている。そのため、ハードコート層上に屈折率調整層(AR層、インデックスマッチング層)や、防汚層を形成した後においても、画像表示装置などの視認性が悪化する場合や、高級感が損なわれる場合がある。
一方、ハードコート層表面に、高屈折率層/低屈折率層、から構成される屈折率調整層を積層する場合、ハードコート層を高屈折率化することにより、屈折率調整層から高屈折率層を省略することができる。その結果、フィルムの製造工程において、機能を損なうことなく、大幅にコストを低減することができる。近年の強い低コスト化要求のためにこの技術は注目されている。
このような屈折率の高いハードコート層(例えば屈折率1.63)を基材のポリエステルフィルム上(例えば屈折率1.66)に設けた場合に、干渉斑を抑制する方法として、
ハードコート層と基材フィルムの間に、それらの中間の屈折率(1.63〜1.66)を有する高屈折率の易接着層を設ける方法(特許文献1,2)が開示されている。さらには、水溶性ポリエステル樹脂、数平均粒子径が3nm〜50nm以下の金属酸化物粒子、オキサゾリン系化合物などの架橋剤からなる易接着層を有する高屈折率ハードコート層を積層した際の干渉斑の抑制と、高屈折率ハードコート層との密着性に優れた積層フィルムが提案されている(特許文献3)。
特許第3632044号公報 特開2004−54161号公報 国際公開第2013/137101号パンフレット
近年、ディスプレイ分野においてさらなる大画面化、高精細化、使用環境の多様化にともない、特に耐湿熱処理後の層間の密着性と高い透明性の両立に対する要求レベルが高くなってきている。
特許文献1、2の方法では、それぞれ、水溶性ポリエステル樹脂に水溶性金属キレート化合物または金属アシレート化合物を添加する方法(特許文献1)、高分子バインダーと高屈折率の金属酸化物粒子を添加する方法(特許文献2)が提案されている。しかしながら、ナノオーダーの微粒子を大量に添加しなければならず、ナノオーダーの微粒子を用いた場合は、微粒子の表面積が劇的に増大するため凝集し、透明性が低下する問題があった。また微粒子が凝集すると樹脂層中の面内での屈折率が不均一になり、干渉斑の抑制も低下する問題があった。更に、樹脂層中において、微粒子が凝集した部分では、ハードコート層との接着性に寄与するバインダー成分の割合が相対的に低下するため、密着性も低下する問題があった。
特許文献3では、金属酸化物粒子の粒径と易接着層の成分を選択することにより、高屈折率層を積層した際の干渉斑を抑制し、高屈折率層との接着性を向上することが開示されている。しかしながら、特許文献3に記載の方法では、高温高湿環境下にて剥離が発生する場合があった。そこで本発明では、ハードコート層との密着性および、高温高湿下における接着性に優れた積層フィルムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の積層フィルムは次の構成を有する。
(1)ポリエステル樹脂を主成分とする基材層(A層)と、A層の少なくとも一方の面に隣接する樹脂層(B層)とを有する積層フィルムであって、前記A層のポリエステル樹脂のカルボキシル末端基量が20eq/ton以上60eq/ton以下であり、かつ下記式1を満足する積層フィルム。
230 ≦Tmeta+0.05T ・・・(式A)
(ただし、上記Tmetaは、積層フィルムの示差走査熱量測定(DSC)により求められる微小吸熱ピーク温度(℃)、Tは積層フィルム厚み(μm)である。)
(2)前記積層フィルムが下記式2を満足する(1)に記載の積層フィルム。
Tmeta+0.05T ≦ 245 ・・・(式B)
(3)前記樹脂層(B層)の厚みTbが5〜120nmである(1)、(2)のいずれかに記載の積層フィルム。
(4)前記樹脂層(B層)はポリエステル樹脂を主成分とする層である(1)〜(3)のいずれかに記載の積層フィルム。
(5)前記樹脂層(B層)が、ポリエステル樹脂(a)と、金属酸化物粒子(b)と、アクリル樹脂(c)と、オキサゾリン系化合物に由来する成分(d1)および/またはメラミン系化合物に由来する成分(d2)を含有している(1)〜(4)のいずれかに記載の積層フィルム。
(6)前記樹脂層(B層)が、ポリエステル樹脂(a)と、金属酸化物粒子(b)と、アクリル樹脂(c)と、オキサゾリン系化合物および/またはメラミン系化合物を含む塗料組成物を加熱して得られる(1)〜(5)のいずれかに記載の積層フィルム。
(7)ディスプレイ用途に用いられる(1)〜(6)のいずれかに記載の積層フィルム。
本発明によれば、ハードコート層との密着性および、高温高湿下における接着性に優れた積層フィルムを提供することができる。
本発明の積層フィルムは、ポリエステル樹脂を主成分とする基材層(A層)と、A層に隣接する少なくとも一方の面に樹脂層(B層)とを有する。
本発明において基材層(A層)の主成分となるポリエステル樹脂を構成するポリエステルとは、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子の総称である。好ましいポリエステルとしては、エチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、ブチレンテレフタレート、プロピレンテレフタレート、および1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどから選ばれた少なくとも1種の構成樹脂を主要構成樹脂とするものが挙げられる。これら構成樹脂は、1種のみ用いても2種以上併用してもよい。上述したポリエステルの極限粘度(25℃のo−クロロフェノール中で測定)は、0.4〜1.2dl/gが好ましく、より好ましくは0.5〜0.8dl/gの範囲にあるのもが本発明を実施する上で好適である。
なお、ポリエステル中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤および架橋剤などがその特性を悪化させない程度に添加されていてもよい。
また、本発明の積層フィルムの基材層(A層)として、二軸配向ポリエステルフィルムを用いることが好ましい。ここで、「二軸配向」とは、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。二軸配向ポリエステルフィルムは、一般に、未延伸状態のポリエステルシートをシート長手方向および幅方向に各々2.5〜5倍程度延伸し、その後、熱処理を施すことにより得ることができる。
また、基材層(A層)は、2層以上の積層構造体であっても良い。積層構造体としては、例えば、内層部と表層部とを有する複合体フィルムであって、内層部に実質的に粒子を含有せず、表層部のみに粒子を含有させた層を設けた複合体フィルムを挙げることができる。また、内層部と表層部を構成するポリエステルが同種であっても異種であってもよい。
本発明の積層フィルムにおいて、積層フィルムの厚み(T)は特に限定されるものではなく、用途や種類に応じて適宜選択されるが、後述する(式A)を満たす範囲で選択される。なお、機械的強度、ハンドリング性などの点から、好ましくは10〜500μm、より好ましくは23〜250μmである。また、ポリエステルフィルムは、共押出しによる複合フィルムであってもよい。
本発明における積層フィルムは、以下(式A)を満たす必要がある。
230 ≦Tmeta+0.05T ・・・(式A)
(ただし、上記Tmetaは、積層フィルムの示差走査熱量測定(DSC)により求められる微小吸熱ピーク温度(Tmeta)(℃)、Tは積層フィルムの厚み(T)(μm)である。)
Tmeta+0.05Tが230未満である場合は、基材層(A層)と樹脂層(B層)間の耐湿熱密着性が悪化する。また、積層フィルムの平面性の観点から、Tmeta+0.05Tの値は245以下であることが好ましい。Tmetaは熱処理工程においてフィルムに付与した熱量に応じた値であり、高いほど熱処理が高温・長時間実施された事を示している。二軸配向フィルムの製造プロセスにおいて熱処理工程は、二軸配向されたフィルムに熱を与えることにより、フィルム中のポリエステル分子の結晶化度を高め、熱安定性等を付与する。この工程において、分子中の結晶成長と同時に非晶成分の一部の分子規則性が緩和される。この配向が緩和された非晶部の存在よって、接着層との親和性が増加し、接着性や接着耐久性が向上するものと考えられる。Tmetaが220℃未満である場合は接着性や接着耐久性が低下する場合がある。Tmetaは、好ましくは225℃以上235℃以下であり、235℃を越える場合は熱処理時のフィルム破れにより安定した生産が出来ない場合があったり、耐湿熱性能が低下する場合がある。TmetaおよびTを上記(式A)の範囲にするための方法は特には限定されない。
本発明の積層フィルムのポリエステル樹脂を主成分とする基材層(A層)のカルボキシル末端基量は20〜60eq/tonである必要がある。より好ましくは、25〜50eq/ton、さらに好ましくは30〜45eq/tonである。従来技術において、ポリエステル樹脂を主成分とする層のカルボキシル末端基量は、耐熱性や耐湿熱性の観点から、少ないことが好ましいとされていた。しかしながら、本発明者らが鋭意検討した結果、上記Tmeta+0.05Tが230以上を満たす積層フィルムにおいて、基材層(A層)のカルボキシル末端基量を低下させていくと、ある量以下になると急激に基材層(A層)と樹脂層(B層)の初期密着性、耐湿熱密着性が低下することを見出した。現時点、この効果がどのようなメカニズムにより得られるか明らかになっているわけではないが、上記Tmeta+0.05Tが230以上を満たすくらいの大きな熱負荷が熱処理工程でかかると、基材層(A層)の表面付近に存在するカルボキシル末端基と樹脂層(B層)の反応末端基が反応し、A層とB層の接着性向上に寄与していると推定している。本発明者らは、後述する実施例において、種々のカルボキシル末端基量、Tmeta、Tを有する積層フィルムについて密着性評価を実施したところ、カルボキシル末端基量、Tmeta、Tが上記を満たさない積層フィルムは、A層とB層の間で剥離が発生する(A層とB層の界面で剥離が発生する)のに対して、カルボキシル末端基量、Tmeta、Tが上記を満たす積層フィルムは、A層とB層の間での剥離が抑制されることから、上記のとおりのメカニズムを推定している。基材層(A層)と樹脂層(B層)の接着性を向上させる観点からは、基材層(A層)のカルボキシル末端基量は多いほうが好ましいが、カルボキシル末端基量が60eq/ton以上である場合は、積層フィルムが着色し透明性を阻害する。また、カルボキシル末端基量が60eq/ton以上である場合は、初期密着性は良好ではあるももの、耐湿熱密着性は低下する。
ポリエステル原料のカルボキシル末端基量については、溶融製膜する際の溶融状態において増加するため、積層フィルムを構成するポリエステル樹脂における末端カルボキシル基量の目標値よりも2〜10eq/ton低い値とする事が好ましい。また、このような溶融時のポリエステル樹脂劣化を低減するためには、ポリエステル樹脂を減圧下にて加熱する等の方法にてあらかじめポリエステル樹脂中の水分量を50ppm以下とする事や、フィルムに溶融押出製膜する時のポリエステル樹脂の温度をポリエステル樹脂の融点(Tm)+40℃以下として、さらに押出機先端からキャスティングドラムに着地するまでの時間を短くすること、目安としては10分以下、より好ましくは5分以下、特に好ましくは3分以下とすることなどが好ましく用いられる。
本発明の積層フィルムにおける樹脂層(B層)の厚みは、5〜120nmの範囲であることが好ましい。より好ましくは20〜100nmである。上記範囲とすることで、本発明の積層フィルムにハードコートを塗工した後の干渉斑抑制を十分に発現させることが可能となるため好ましい。
本発明の積層フィルムにおける樹脂層(B層)はポリエステル樹脂を主成分とすることが好ましい。さらに、接着性及びハードコート塗工後の干渉斑抑制の観点からポリエステル樹脂(a)と、金属酸化物粒子(b)と、アクリル樹脂(c)と、オキサゾリン系化合物に由来する成分(d1)および/またはメラミン系化合物に由来する成分(d2)を含有していることが好ましい。さらに、上記ポリエステル樹脂(a)については、フルオレン骨格および/またはナフタレン骨格を有していることが好ましい。ポリエステル樹脂(a)にフルオレン骨格および/またはナフタレン骨格を付与せしめることでポリエステル樹脂の高屈折率化が可能となり、ハードコート塗工後の干渉斑が低減され、また、ポリエステル樹脂のガラス転移温度を上げることが出来るため、接着力の耐熱特性が向上し好ましい。
本発明において用いられるフルオレン構造を有するポリエステル樹脂(a)とは、主鎖あるいは側鎖にエステル結合を有するポリエステル樹脂を指し、以下のI)またはII)の方法によって得ることができる。また、I)とII)を併用する方法(ジカルボン酸成分(a−a)、グリコール成分(a−b)、および成分(a−c)を構成成分とし、これらを重縮合反応せしめる方法)も用いても良い。
I)ジカルボン酸成分(a−a)と、グリコール成分(a−b)とを構成成分とし、両者を重縮合反応せしめる方法、
II)1以上のアルコール性の基(ヒドロキシル基)と、1以上のカルボキシル基を有する成分(a−c)を構成成分とし、重縮合反応せしめる方法。
上記I)の方法において、ジカルボン酸成分(a−a)は、フルオレン構造を有するジカルボン酸成分(a−a1)と、フルオレン構造を有しないジカルボン酸成分(a−a2)に区別される。また、グリコール成分(a−b)は、フルオレン構造を有するグリコール成分(a−b1)と、フルオレン構造を有しないグリコール成分(a−b2)に区別される。本発明では、ポリエステル樹脂にフルオレン構造を導入するために、フルオレン構造を有するジカルボン酸成分(a−a1)および/またはフルオレン構造を有するグリコール成分(a−b1)が共重合されていることが好ましい。
また、上記II)の方法において、成分(a−c)は、フルオレン構造を有する成分(Dc1)と、フルオレン構造を有しない成分(a−c2)に区別される。本発明では、ポリエステル樹脂(a)にフルオレン構造を導入するために、フルオレン構造を有する成分(a−c1)が共重合されていることが好ましい。
以下、フルオレン構造を有するポリエステル樹脂(a)(以下、「フルオレン共重合ポリエステル樹脂(a)」ということもある。)として、I)の方法を用いた場合の詳細について説明するが、II)の方法についてもI)の方法と同様である。
まず、本発明において、ジカルボン酸成分(a−a)には、ジカルボン酸をアルキルエステル化せしめたエステル形成誘導体が含まれる。また、ジカルボン酸成分(a−a)には、狭義のジカルボン酸のみならず、3価以上の多価カルボン酸も含まれる。また、ジカルボン酸成分(a−a)には、酸無水物も含まれる。
本発明において、グリコール成分(a−a)には、狭義のグリコールのみならず、3価以上のポリオールも含まれる。
フルオレン構造を有するジカルボン酸成分(a−a1)としては、例えば、9,9−ビス(t−ブトキシカルボニルメチル)フルオレン、9,9−ビス[2−(t−ブトキシカルボニル)エチル]フルオレン、9,9−ビス[1−(t−ブトキシカルボニル)エチル]フルオレン、9,9−ビス[2−(t−ブトキシカルボニル)−1−メチルプロピル]フルオレン、9,9−ビス[2−(t−ブトキシカルボニル)ブチル]フルオレン、9,9−ビス[5−(t−ブトキシカルボニル)ペンチル]フルオレン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
フルオレン構造を有しないジカルボン酸成分(a−a2)としては、フルオレン構造を有しない芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸や3価以上の多価カルボン酸が使用できる。本発明では、かかるジカルボン酸成分(a−a2)として、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビスフェノキシエタン−p,p’−ジカルボン酸、などを用いることができる。また、かかる脂肪族及び脂環族のジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸など、及びそれらのエステル形成性誘導体を用いることができる。
フルオレン構造を有するグリコール成分(a−b1)としては9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジイソプロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジベンジルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン9,9−ビス[4−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル]フルオレン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
フルオレン構造を有しないグリコール成分(a−b2)としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、o−,m−,及びp−ジヒドロキシベンゼン、4,4’−イソプロピリデンフェノール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオールなどを用いることができるがこれに限定されるものではない。
フルオレン共重合ポリエステル樹脂(a)におけるフルオレン構造を有するジカルボン酸成分(a−a1)の共重合量は、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(a)を構成するジカルボン酸成分(a−a)の量に対して40モル%以上であることが好ましく、より好ましくは80モル%以上である。上限は特に限定されるものではないが、95モル%以下であることが好ましい。
また、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(a)におけるフルオレン構造を有するグリコール成分(a−b1)の共重合量は、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(a)を構成するグリコール成分(Db)の量に対して40モル%以上であることが好ましく、より好ましくは80モル%以上である。上限は特に限定されるものではないが、特に好ましくは95モル%以下である。
フルオレン構造を有するジカルボン酸成分(a−a1)またはグリコール成分(a−b1)の共重合量が40モル%未満の場合、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(a)の高屈折率化が不十分となる可能性がある。また、上限は特に限定されるものではないが、共重合比率95モル%を超えるとフルオレン共重合ポリエステル樹脂(a)のガラス転移温度が高くなってしまい、後述するインラインコーティング法を用いて樹脂層を設ける場合に延伸追従性が乏しくなり、均一な樹脂層が設けられなくなることがある。
また、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(a)におけるフルオレン構造を有するジカルボン酸成分a−Da1)およびフルオレン構造を有するグリコール成分(a−b1)の共重合量は、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(a)を構成するジカルボン酸成分(a−a)の物質量とグリコール成分(a−b)の物質量の合計を100モル%としたとき、20モル%以上が好ましく、より好ましくは40モル%以上である。上限は特に限定されるものではないが、50モル%以下であることが好ましい。
本発明において、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(a)は水溶性であることが好ましい。フルオレン共重合ポリエステル樹脂(a)を水溶性とするためには、ポリエステル樹脂(a)の側鎖などにカルボン酸塩基を含む化合物や、スルホン酸塩基を含む化合物などの親水成分を導入することが好ましい。かかる親水成分の導入は、ジカルボン酸成分(b−a)として、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分(a−a3)や、3価以上の多価カルボン酸成分(b−a4)を用いることによって、達成することができる。
スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分(Da3)としては、例えばスルホイソフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7ジカルボン5[4−スルホフェノキシ]イソフタル酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が挙げられる。
また、3価以上の多価カルボン酸成分(Da4)としては、トリメリット酸等の多価カルボン酸の他、酸無水物を用いることもできる。具体的には、無水トリメリット酸、1,2,4,5−ブタンテトラカルボン酸二無水物(無水ピロメリット酸)、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’、4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
しかし近年のディスプレイ用途に代表されるような耐湿熱接着性の要求される用途においては、ポリエステル樹脂(a)の親水成分としてスルホン酸塩基を用いた場合には、スルホン酸塩基の親水性の強さによって、被接着物との高温高湿条件下でのハードコート層との接着性が低下することがある。
そのため、本発明では、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(a)は、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分(a−a3)を有しないか、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(a)を構成するジカルボン酸成分(a−a)の量に対して0.1モル%未満有することが好ましい。スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分(a−a3)の量は、0.05モル%以下であることがより好ましく、特に好ましくは有しないこと(0モル%であること)である。
したがって、本発明では、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(a)に親水性(水溶性)を付与する場合は、3価以上の多価カルボン酸成分(a−a4)を共重合することが好ましい。3価以上の多価カルボン酸成分(a−a4)を共重合することによって、ポリエステル樹脂(a)の側鎖にカルボキシル基を導入する事ができる。また、該カルボキシル基をアンモニアや、水酸化ナトリウム等にて中和することにより、カルボン酸塩基としても良い。カルボン酸塩基とすることにより、親水性をさらに高めることができる。
また本発明では、3価以上の多価カルボン酸成分(a−a4)として、テトラカルボン酸を用いることがより好ましい。テトラカルボン酸は、トリメリット酸などの3価のカルボン酸と比べて、カルボキシル基を多く有するため、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(a)に親水性を付与するために必要な、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(a)中のジカルボン酸成分(a−a)における多価カルボン酸成分(a−a4)の割合を少なくすることができる。それによって、ポリエステル樹脂を重合する際の数平均分子量を充分に上げることができ、積層する高屈折率ハードコート層などとの密着性を向上させることができる。
なお、多価カルボン酸成分の共重合に際しては、ジカルボン酸成分(a−a)とグリコール成分(a−b)を反応させたポリエステルポリオール(ポリエステルオリゴマー)に、3価以上の多価カルボン酸無水物(a−a4)を反応させることでポリエステル樹脂(a)の側鎖にカルボキシル基を導入する方法を用いることが好ましい。かかる方法を用いることによって、ポリエステル樹脂(a)の側鎖にカルボキシル基をより効率的に導入する事ができる。
このとき用いられる多価カルボン酸無水物(a−a4)の物質量(a−a4m(モル))は、エステル化反応に用いたグリコール成分(Da)の物質量(Dam(モル))と、ジカルボン酸成分の物質量(a−bm(モル))の差(a−am−a−bm(モル))の0.5〜1.0倍の物質量とすることが好ましい。上記好ましい範囲とすると、調製した該樹脂層の基材への高温高湿条件下での接着性に優れ、一方、ポリエステルの数平均分子量が十分に上がる。
次に、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(a)の製造方法の一例について説明する。まず、フルオレン構造を有しないジカルボン酸成分(a−a2)としてコハク酸またはそのエステル形成性誘導体を、フルオレン構造を有するグリコール成分(a−a1)として9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンを、フルオレン構造を有しないグリコール成分(a−b2)としてエチレングリコールなどのグリコール成分と触媒を用いてエステル化反応を行い、ポリエステルポリオールを得る。このとき、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンとエチレングリコールの添加量は、全ジカルボン酸成分に対して1.01〜2.0倍モルとすることが好ましい。上記好ましい範囲であると、過剰のグリコール成分の存在下でポリエステルポリオールを円滑に重合することができ、一方、ポリエステル樹脂の数平均分子量分布が十分に上がる。
また、触媒としてはテトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート等のチタン系、三酸化アンチモン等のアンチモン系、酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム系の触媒、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、ジブチル錫オキサイド等の触媒が挙げられ、好ましくはテトラ−n−ブチルチタネートが用いられる。この際のエステル化反応は温度や時間には特に制限されるものではなく、公知の範囲で実施すればよい。
次に得られたポリエステルポリオールに多価カルボン酸無水物(Da4)を付加させるが、かかる反応は160〜200℃で1〜10時間程度実施すれば、目的とするポリエステルポリオールが得られる。このときには上記触媒を同程度添加してもよい。
本発明において、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(a)の固有粘度は特に限定されないが、ハードコート層などの被接着体との接着性を良好なものするために、0.3dl/g以上であることが好ましい。固有粘度の上限は特に限定されるものではないが、ハンドリング性の点で0.8dl/g以下であることが好ましい。目的とする固有粘度を有するフルオレン共重合ポリエステル樹脂(a)は重合時間や重合温度等の溶融重合条件を調節することによって得られる。
また、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(a)のガラス転移点(以下、Tgと略すことがある)は、50〜170℃であることが好ましく、より好ましくは50〜150℃である。上記好ましい範囲であると、湿熱接着性に優れ、一方、後述するインラインコート法において樹脂層を均一に塗設できる。Tgを上記範囲内とするには、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(a)のフルオレン構造を有するジカルボン酸成分以外のジカルボン酸成分(a−a2)として、脂肪族ジカルボン酸成分を用いる等の方法がある。
またフルオレン共重合ポリエステル樹脂(a)の酸価は、20mgKOH/g以上であることが好ましく、より好ましくは30mgKOH/g以上である。酸価を上記範囲内とすることにより、ハードコート層との接着性、特に湿熱接着性を良好にすることができる。酸価を上記範囲とするためには、フルオレン共重合ポリエステル樹脂(a)の重合時において、ポリエステルポリオールに反応させる多価カルボン酸無水物(a−a4)の量を調整することによって得られる。
本発明の積層フィルムにおいて樹脂層(B層)は、金属酸化物粒子(b)を含有することが好ましい。金属酸化物粒子(b)を用いることで、樹脂層(B層)の屈折率を高くすることができる。その結果、ハードコート層積層時の干渉斑の抑制が可能となる。また、本発明における金属酸化物粒子(b)とは、展性、延性に富み、電気および熱の良導体で、金属光沢をもつ元素、すなわち周期表において、ホウ素(B)、ケイ素(Si)、ヒ素(As)、テルル(Te)及びアスタチン(At)を結ぶ斜めの線より左に位置する元素の酸化物微粒子を指す。さらに、前記周期表にてアルカリ土類金属類(2族)よりも右に位置する元素の酸化物微粒子であることが好ましい。
このような金属酸化物微粒子としては、干渉斑の抑制の観点から、高屈折率の金属酸化物粒子、このましくは屈折率1.6以上の金属酸化物粒子であるものが好適である。この高屈折率金属酸化物粒子としては、TiO、ZrO、ZnO、CeO、SnO、Sb、インジウムドープ酸化錫(ITO)、リンドープ酸化錫(PTO)、Y、La、Al、などが挙げられる。
これらの金属酸化物粒子は1種を単独で用いても良く、2種以上を組合せて用いてもよい。分散安定性や屈折率の観点から、酸化チタン粒子(TiO)および/または酸化ジルコニウム粒子(ZrO)が特に好ましい。
本発明において樹脂層(B層)は、アクリル樹脂(c)を含有した塗料組成物より形成されることが好ましい。塗料組成物中にアクリル樹脂(c)が含有することにより、金属酸化物粒子(b)の凝集を抑制し、透明性に優れ、干渉斑を抑制したフィルムを得ることができる。
アクリル樹脂(c)は、式(1)で表されるモノマー単位(c1)と、式(2)で表されるモノマー単位(c2)と、式(3)で表されるモノマー単位(c3)を有する樹脂であることが好ましい。
Figure 2018154004
(式(1)において、R1基は、水素原子またはメチル基を表す。またnは、9以上34以下の整数を表す。)。
Figure 2018154004
(式(2)において、R2基は、水素原子またはメチル基を表す。また、R4基は、飽和の炭素環を2つ以上含む基を表す。)。
Figure 2018154004
(式(3)において、R3基は、水素原子またはメチル基を表す。また、R5基は、水酸基、カルボキシル基、3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、スルホン酸基、または、リン酸基を表す。)
ここで、本発明におけるアクリル樹脂(c)は、式(1)で表されるモノマー単位(c1)を有する樹脂であることが好ましい。
式(1)において、nが9以上34以下のモノマー単位を有するアクリル樹脂を用いると、水系溶媒中における金属酸化物粒子(b)の分散性が安定となるため好ましい。式(1)におけるnが9以上34以下のモノマー単位を有するアクリル樹脂を用いると、樹脂組成物中において金属酸化物粒子(b)が凝集または沈降したりすることを抑制できるため好ましい。また、乾燥工程において金属酸化物粒子(b)の凝集を抑制することができるため好ましい。その結果、透明性の良好な積層フィルム、さらには高屈折率ハードコート層積層時の干渉斑が良好となるため好ましい。
本発明におけるアクリル樹脂が、式(1)で表されるモノマー単位(c1)を有するためには、次の式(4)で表される(メタ)アクリレートモノマー(c1’)を原料として用い、重合することがより好ましい。
該(メタ)アクリレートモノマー(c1’)としては、式(4)におけるnが9以上34以下の整数で表される(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、より好ましくは11以上32以下の(メタ)アクリレートモノマー、更に好ましくは13以上30以下の(メタ)アクリレートモノマーである。
Figure 2018154004
(メタ)アクリレートモノマー(c1’)は、式(4)におけるnが9以上34以下である(メタ)アクリレートモノマーであれば特に制限されないが、具体的にはデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、1−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、テトラコシル(メタ)アクリレート、トリアコンチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、特にドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレートが好ましい。これらは1種で使用してもよく、2種以上の混合物を使用してもよい。
また、本発明におけるアクリル樹脂は、前記式(2)で表されるモノマー単位(b2)を有する樹脂であることが重要である。
式(2)において、飽和の炭素環を2つ以上含むモノマー単位を有するアクリル樹脂を用いると、立体障害としての機能が有効に作用し、金属酸化物粒子(b)が凝集または沈降を抑制でき、さらに乾燥工程において金属酸化物粒子(b)の凝集を抑制できるため好ましい。
その結果、透明性の良好な積層フィルム、高屈折率ハードコート層積層時の干渉斑が良好となり、またハードコート層との接着性が良好となるため好ましい。
本発明におけるアクリル樹脂(c)が、式(2)で表されるモノマー単位(c2)を有するためには、次の式(5)で表される(メタ)アクリレートモノマー(c2’)を原料として用い、重合することが好ましい。
式(5)で表される(メタ)アクリレートモノマー(c2’)としては、架橋縮合環式(2つまたはそれ以上の環がそれぞれ2個の原子を共有して、結合した構造を有する)、スピロ環式(1個の炭素原子を共有して、2つの環状構造が結合した構造を有する)などの各種環状構造、具体的には、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ基などを有する化合物が例示でき、その中でも特にバインダーとの相溶性の観点から、ビシクロ基を含有する(メタ)アクリレートが好ましい。
Figure 2018154004
上記ビシクロ基を含有する(メタ)アクリレートとしては、イソボニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、ジシロクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、特にイソボニル(メタ)アクリレートが好ましい。
さらに、本発明におけるアクリル樹脂は、前記式(3)で表されるモノマー単位(c3)を有する樹脂であることが好ましい。
式(3)におけるR5基が、水酸基、カルボキシル基、3級アミノ基、4級アンモニウム基、スルホン酸基、リン酸基、のモノマー単位を有するアクリル樹脂を用いると、アクリル樹脂の水系溶媒中への相溶性が良化し、樹脂組成物中において、アクリル樹脂や、金属酸化物粒子(b)の水系溶媒中における均一分散が可能となり、さらに乾燥工程において金属酸化物粒子(b)の凝集を抑制できるため好ましい。
本発明におけるアクリル樹脂が、式(3)で表されるモノマー単位(c3)を有するためには、式(6)で表される(メタ)アクリレートモノマー(c3’)を原料として用い、重合することが必要である。
式(6)で表される(メタ)アクリレートモノマー(c3’)として次の化合物が例示される。
Figure 2018154004
水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2、3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル化物、あるいは、該モノエステル化物にε−カプロラプトンを開環重合した化合物などが挙げられ、特に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。
カルボキシル基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸などのα、β−不飽和カルボン酸、あるいは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと酸無水物とのハーフエステル化物などが挙げられ、特にアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
3級アミノ基含有モノマーとしては、N、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、などのN、N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのN、N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられ、特にN、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
4級アンモニウム塩基含有モノマーとしては、上記3級アミノ基含有モノマーにエピハロヒドリン、ハロゲン化ベンジル、ハロゲン化アルキルなどの4級化剤を作用させたものが好ましく、具体的には、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムブロマイド、2−(メタクリロイオキシ)エチルトリメチルアンモニウムジメチルホスフェートなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリアルキルアンモニウム塩、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムブロマイドなどの(メタ)アクリロイルアミノアルキルトリアルキルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム(メタ)アクリレートなどのテトラアルキル(メタ)アクリレート、トリメチルベンジルアンモニウム(メタ)アクリレートなどのトリアルキルベンジルアンモニウム(メタ)アクリレートなどが挙げられ、特に2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライドが好ましい。
スルホン酸基含有モノマーとしては、ブチルアクリルアミドスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などの(メタ)アクリルアミド−アルカンスルホン酸、あるいは、2−スルホエチル(メタ)アクリレートなどのスルホアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、特に2−スルホエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
リン酸基含有アクリルモノマーとしては、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、特にアシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
本発明の積層フィルムを製造する際には、結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムに、水系溶媒を含む樹脂組成物を塗布し、延伸、熱処理により結晶配向を完了させる方法が、好適に用いられる。高温での熱処理が可能であり、基材と樹脂層との接着力が向上することや、より均一で薄膜の樹脂層を設けることができるためである。この方法によって樹脂層を形成する場合には、アクリル樹脂(c)は水系溶媒に溶解、乳化、あるいは懸濁し得る水系のものが環境汚染や防爆性の点で好ましい。このような、水に溶解、乳化または懸濁が可能なアクリル樹脂は、親水性基を有するモノマー(アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、ビニルスルホン酸およびその塩等)との共重合や反応性乳化剤や界面活性剤を用いた乳化重合、懸濁重合、ソープフリー重合等の方法によって作製することができる。
重合開始剤としては特に限定されるものではないが一般的なラジカル重合開始剤、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の水溶性過酸化物、または過酸化ベンゾイルやt−ブチルハイドロパーオキサイド等の油溶性過酸化物、あるいはアゾジイソブチロニトリル等のアゾ化合物が使用できる。
また、式(1)で表されるモノマー単位(c1)と式(2)で表されるモノマー単位(c2)と式(3)で表されるモノマー単位(c3)を有するアクリル樹脂は、塗料組成物において、金属酸化物粒子(b)とフルオレン構造を有するポリエステル樹脂(a)の固形分重量の合計を100重量部としたとき、1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。より好ましくは、2質量部以上9質量部以下、さらに好ましくは3質量部以上8質量部以下である。上記範囲とすることで、金属酸化物粒子(b)同士の凝集をさらに抑制することが可能となり、その結果、樹脂層の屈折率、透明性の向上、更には、ハードコート層積層時の干渉斑抑制を十分に発現させることが可能となるため好ましい。
本発明における樹脂層(B層)には、金属酸化物粒子(b)同士の凝集防止の観点から、オキサゾリン系化合物に由来する成分(d1)および/またはメラミン系化合物に由来する成分(d2)を含有していることが好ましい。
オキサゾリン系化合物(d’)としては、オキサゾリン基またはオキサジン基を1分子当たり少なくとも1つ以上有するものであれば特に限定されないが、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーを単独で重合、もしくは他のモノマーとともに重合した高分子型が好ましい。
付加重合性オキサゾリン基含有モノマーとしては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンを挙げることができる。これらは、1種で使用してもよく、2種以上の混合物を使用してもよい。これらの中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限なく、例えばアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2ーエチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等の(メタ)クリル酸エステル類やアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N、N−ジアルキルアクリルアミド、N、N−ジアルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸のエステル部にポリアルキレンオキシドを付加させたもの等のビニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα、β−不飽和モノマー類、スチレン、α−メチルスチレン、等のα、β−不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種または2種以上のモノマーを使用することができる。
本発明におけるメラミン系化合物に由来する成分(d2)とは、次に述べるメラミン系化合物(d’)のみならず、メラミン系化合物(d’)がアクリル樹脂(c)や、(c)以外のアクリル樹脂またはオキサゾリン系化合物(d’)などと架橋構造を形成する場合は、メラミン系化合物(d’)に由来する成分(例えば残基など)を含む。
メラミン系化合物(d’)としては、例えば、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロール化メラミン誘導体、メチロール化メラミンに低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、及びこれらの混合物などを用いることができる。具体的には、トリアジンとメチロール基を有する化合物が特に好ましい。またメラミン系化合物としては単量体、2量体以上の多量体からなる縮合物にいずれでもよく、これらの混合物でもよい。エーテル化に用いられる低級アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノールなどを用いることができる。基としては、イミノ基、メチロール基、あるいはメトキシメチル基やブトキシメチル基等のアルコキシメチル基を1分子中に有するもので、イミノ基型メチル化メラミン樹脂、メチロール基型メラミン樹脂、メチロール基型メチル化メラミン樹脂、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂などである。その中でもメチロール化メラミン樹脂が最も好ましい。更に、メラミン系化合物の熱硬化を促進するため、例えばp−トルエンスルホン酸などの酸性触媒を用いてもよい。
このようなメラミン系化合物(d’)を用いると、前述のように、樹脂組成物を乾燥する過程において、金属酸化物粒子(b)が凝集するのを抑制でき、樹脂層の透明性、反射率を高めることができ、その結果、ハードコートを積層した際に、透明性、接着性、視認性に優れた積層フィルムを得ることができる。
本発明において、オキサゾリン系化合物に由来する成分(d1)および/またはメラミン系化合物に由来する成分(d2)は、金属酸化物粒子(b)と、アクリル樹脂(c)の効果を損なわなければ任意の量を用いることが可能である。
オキサゾリン系化合物に由来する成分(d1)の原料であるオキサゾリン系化合物(d’)、またメラミン系化合物に由来する成分(d2)の原料であるメラミン系化合物(d’)の量は、金属酸化物粒子(b)とアクリル樹脂(c)の合計100質量部に対して10〜50質部が好ましく、より好ましくは15〜45質量部である。10質量部以上とすることで、樹脂層中において、オキサゾリン系化合物に由来する成分(C1)および/またはメラミン系化合物に由来する成分(C2)の効果を発現することが可能となる。
またオキサゾリン系化合物に由来する成分(C1)および/またはメラミン系化合物に由来する成分(C2)に加え、他の化合物、例えば、カルボジイミド系化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、アミドエポキシ化合物、チタンキレートなどのチタネート系カップリング剤、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系化合物、アクリルアミド系化合物などを任意で用いることもできる。
塗料組成物のポリエステルフィルムへの塗布方法はインラインコート法で行うことが好ましい。インラインコート法とは、ポリエステルフィルムの製造の工程内で塗布を行う方法である。具体的には、ポリエステル樹脂を溶融押し出ししてから二軸延伸後熱処理して巻き上げるまでの任意の段階で塗布を行う方法を指し、通常は、溶融押出し後・急冷して得られる実質的に非晶状態の未延伸(未配向)ポリエステルフィルム(Aフィルム)、その後に長手方向に延伸された一軸延伸(一軸配向)ポリエステルフィルム(Bフィルム)、またはさらに幅方向に延伸された熱処理前の二軸延伸(二軸配向)ポリエステルフィルム(Cフィルム)の何れかのフィルムに塗布する。
本発明では、結晶配向が完了する前の上記Aフィルム、Bフィルム、の何れかのポリエステルフィルムに、塗料組成物を塗布し、その後、ポリエステルフィルムを一軸方向又は二軸方向に延伸し、溶媒の沸点より高い温度で熱処理(加熱処理)を施しポリエステルフィルムの結晶配向を完了させるとともに樹脂層を設ける方法を採用することが好ましい。この方法によれば、ポリエステルフィルムの製膜と、塗料組成物の塗布乾燥(すなわち、樹脂層の形成)を同時に行うことができるために製造コスト上のメリットがある。また、塗布後に延伸を行うために樹脂層の厚みをより薄くすることが容易である。
中でも、長手方向あるいは幅方向に一軸延伸されたフィルム(Bフィルム)に、塗料組成物を塗布し、その後、幅方向あるいは長手方向に延伸し、熱処理する方法が優れている。未延伸フィルムに塗布した後、二軸延伸する方法に比べ、延伸工程が1回少ないため、延伸による組成物層の欠陥や亀裂が発生しづらく、透明性や平滑性に優れた組成物層を形成できるためである。
ここで、ポリエステルフィルムへの塗料組成物の塗布方式は、公知の塗布方式、例えばバーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ブレードコート法等の任意の方式を用いることができる。
したがって、本発明において最良の樹脂層の形成方法は、水系溶媒を用いた塗料組成物を、ポリエステルフィルム(基材層(A層))上にインラインコート法を用いて塗布し、乾燥、熱処理(加熱)することによって形成する方法である。またより好ましくは、一軸延伸後のBフィルムに塗料組成物をインラインコートする方法である。本発明の積層フィルムの製造方法において、乾燥は塗料組成物の溶媒の除去を完了させるために、80〜130℃の温度範囲で実施することができる。
次に、本発明の積層フィルムの製造方法について、ポリエステルフィルムとしてポリエチレンテレフタレート(以下、PET)フィルムを用いた場合を例にして説明するが、これに限定されるものではない。まず、PETのペレットを十分に真空乾燥した後、押出機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出し、冷却固化せしめて未延伸(未配向)PETフィルム(Aフィルム)を作製する。このフィルムを80〜120℃に加熱したロールで長手方向に2.5〜5.0倍延伸して一軸配向PETフィルム(Bフィルム)を得る。このBフィルムの片面に所定の濃度に調製した本発明の塗料組成物を塗布する。
この時、塗布前にPETフィルムの塗布面にコロナ放電処理等の表面処理を行ってもよい。コロナ放電処理等の表面処理を行うことで、塗料組成物のPETフィルムへの濡れ性が向上し、塗料組成物のはじきを防止し、均一な塗布厚みの樹脂層を形成することができる。塗布後、PETフィルムの端部をクリップで把持して80〜130℃の熱処理ゾーン(予熱ゾーン)へ導き、塗料組成物の溶媒を乾燥させる。乾燥後幅方向に1.1〜5.0倍延伸する。引き続き200℃〜250℃の熱処理ゾーン(熱固定ゾーン)へと導き、1〜30秒間の熱処理を行い、結晶配向を完了させる。
この熱処理工程(熱固定工程)で、必要に応じて幅方向、あるいは長手方向に3〜15の弛緩処理を施してもよい。かくして得られた積層フィルムは、ハードコート層との密着性および、高温高湿下における接着性に優れた積層フィルムとなるため、ディスプレイ用途に好適に用いることができる。
[特性の測定方法および効果の評価方法]
本発明における特性の測定法および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)基材厚み(T)
JIS−C2151に準拠し、積層フィルム上から無作為に15点の基材厚みをマイクロメーター(ミツトヨ製シックネスゲージTNKK547-401)にて測定し、その平均値を基材厚み(T)とした、
(2)樹脂層(B層)の厚み
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて断面を観察することにより、ポリエステルフィルム上の樹脂層(B層)の厚みを測定した。樹脂層(B層)の厚みは、TEMにより20万倍の倍率で撮影した画像から樹脂層(B層)の厚みを読み取った。合計で20点の樹脂層(B層)厚みを測定して平均値とした。
(3)カルボキシル末端基量
Mauliceの方法(文献 M.J.Maulice,F.Huizinga.Anal.Chim.Acta,22 363(1960))に準じて、以下の方法にて測定した。
ポリエステル樹脂またはポリエステルフィルム2gをo−クレゾール/クロロホルム(重量比7/3)50mLに温度80℃にて溶解し、0.05NのKOH/メタノール溶液によって滴定し、末端カルボキシル基濃度を測定し、当量/ポリエステル1tの値で示した。なお、滴定時の指示薬はフェノールレッドを用いて、黄緑色から淡紅色に変化したところを滴定の終点とした。
(4)微小吸熱ピーク(Tmeta)
フィルムを示差走査熱量計(TA Instruments社製DSC Q100)により、20℃/分の昇温速度にて30℃〜280℃の範囲で測定を実施した。この測定により得られた示差走査熱量測定チャートにおけるポリエステル結晶融解ピーク前の微小吸熱ピーク温度をTmeta(℃)とした。
(5)積層体との接着性
積層フィルムの樹脂層(B層)側に、下記の割合で混合したUV硬化型樹脂を、バーコーターを用いて硬化後の膜厚が2μmとなるように均一に塗布した。
・ハードコート剤の調整
・二酸化チタン微粒子(石原産業(株)製、TTO−55B):30質量部
・カルボン酸基含有モノマー(東亜合成(株)製、アロニックスM−5300):4.5質量部
・シクロヘキサノン:65.5質量部
上記混合物を、サンドグラインダーミルにより分散し、平均粒子径が55nmの二酸化チタン微粒子の分散液を調整した。
前記の二酸化チタン微粒子の分散液に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製、DPHA)と、光開始剤(チバガイギー社製、イルガキュア184)をモノマーの合計量(ジペンタエリスリト−ルヘキサアクリレートとアニオン性モノマーの合計量)に対し5質量%添加し、混合し、ハードコート層の屈折率が1.65になるように調整した。
次いで、UV硬化樹脂層を積層した面から9cmの高さにセットした120W/cmの照射強度を有する集光型高圧水銀灯(アイグラフィックス(株)製、H03−L31)で、積算照射強度が300mJ/cm2となるように紫外線を照射し、硬化させ、積層フィルム上にハードコート層が積層されたハードコート積層フィルムを得た。なお、紫外線の積算照射強度測定には工業用UVチェッカー(日本電池(株)製、UVR−N1)を用いた。得られたハードコート積層フィルムについて、得られたハードコート積層フィルムのハードコート積層面に、1mm2のクロスカットを100個入れ、“セロテープ”(登録商標)(ニチバン(株)製、CT405AP)を貼り付け、ハンドローラーで1.5kg/cm2の荷重で押しつけた後、ハードコート積層フィルムに対して90度方向に急速に剥離した。接着性は残存した格子の個数により、4段階評価を行った。測定は10回実施し、その平均値を用いて評価を行なった。Cは実用上問題のあるレベル、Bは実用レベルであり、AとSのものは良好とした。また、残存した格子の個数が、80個未満であった場合は、剥離した格子部分をSEMによる表面観察を行い、剥離界面(剥離がどの場所で起きているのか)を同定した。なお、表中の剥離界面の欄には、剥離が起きた格子のうち、もっとも剥離が多くおきていた箇所を示した。また、表面観察を実施しなかった場合、表中の剥離界面の欄には、「−」と示した。
S:90個以上100個以下残存
A:80個以上90個未満残存
B:50個以上80個未満残存
C:0個以上50個未満残存。
(6)湿熱密着性
積層フィルムの樹脂層側に、(5)と同様の方法で、ハードコート層を積層し、ハードコート積層フィルムを得た。さらに、得られたハードコート積層フィルムを、温度75℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽中に240時間放置し、湿熱接着試験用サンプルを得た。得られた湿熱接着試験用サンプルについて、(5)と同様の方法で、接着性試験を行い、残存した格子の個数により4段階評価を行った。測定は10回実施し、その平均値を用いて評価を行なった。Cは実用上問題のあるレベル、Bは実用レベルであり、AとSのものは良好とした。また、(5)と同様の方法で、剥離界面の同定を行った。
S:90個以上100個以下残存
A:80個以上90個未満残存
B:50個以上80個未満残存
C:0個以上50個未満残存。
(7)干渉斑視認性
(5)と同様の方法にて、積層フィルム上に厚み2μmのハードコート層(屈折率1.65)が積層されたハードコート積層フィルムを得た。 次いで、得られた光学用積層フィルムから、8cm(積層フィルム幅方向)×10cm(積層フィルム長手方向)の大きさのサンプルを切り出し、ハードコート層の反対面に黒色光沢テープ(ヤマト(株)製、ビニ−ルテープNo.200−50−21:黒)を、気泡を噛み込まないように貼り合わせた。
このサンプルを暗室にて3波長蛍光灯(パナソニック(株)製、3波長形昼白色(F・L 15EX−N 15W))の直下30cmに置き、視角を変えながら目視により干渉斑の程度を観察し、以下の評価を行った。A以上のものを良好とした。
S:干渉斑がほぼ見えない
A:干渉斑がわずかに見える
B:弱い干渉斑が見える。
C:干渉斑が強い。
(8)平面性評価
フィルム長手方向に1m、幅方向に1m切り出して平面台の上に置き、フィルム端部からの逆側の端部にかけて棒に布を巻きつけた治具を用いて平面台とフィルム間の空気を抜き、密着させる。その状態で30秒整地したあと、端部の浮き上がりの数を計測する。長手方向の長さが15mm以上、幅方向の長さが40mm以上、かつ高さが1.0mm以上のフィルムの浮き上がり箇所をカウントした。評価は3回実施し、その平均値をもって、以下のように評価した。Aおよび、Sを合格とした。
S:1箇所未満
A:1箇所以上5箇所未満
B:5箇所以上。
本発明の実施例に基づいてさらに具体的に説明する。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
まず、本実施例で用いるポリエステル樹脂(a)、金属酸化物粒子(b)、アクリル樹脂(c)、オキサゾリン化合物(d1)、メラミン化合物(d2)、塗料組成物の調整方法について下記する。
・ポリエステル樹脂(a)
下記の共重合組成からなるポリエステル樹脂をポリエステル樹脂(a)として用いた。以下のジカルボン酸成分、ジオール成分の組成比率は、全ジカルボン酸成分、全ジオール成分をそれぞれ100モル%としたときの値を示す。また、全ジカルボン酸成分と全ジオール成分のモル比は、1:1である。
(ジカルボン酸成分)
コハク酸 : 100モル%
(ジオール成分)
9、9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン :90モル%
エチレングリコール :10モル%
・金属酸化物粒子(b)
金属酸化物粒子である酸化ジルコニウム分散液SZR−CW(堺化学工業(株)製、酸化ジルコニウム粒子:数平均粒子径20nm)を用いた。
・アクリル樹脂(c)
山南合成化学(株)製“サンナロン”(登録商標)WG−658(固形分濃度30重量%)を用いた。
・オキサゾリン化合物
(株)日本触媒製“エポクロス”(登録商標)WS−500(固形分濃度40重量%)を用いた。
・メラミン化合物
三和ケミカル(株)製“ニカラック”(登録商標)MW12LFを用いた。
・塗料組成物
純粋中に、金属酸化物粒子(b)50質量部と、アクリル樹脂(c)を固形分質量として5量部と、pH調整剤(炭酸ナトリウム)を添加し、ホモミキサーを用いて撹拌し、pHが10.0の金属酸化物(b)分散液を得た。
この金属酸化物(b)分散液に、ポリエステル樹脂(a)を固形分質量として50質量部、オキサゾリン系化合物(d1)を固形分質量として20質量部添加、メラミン化合物(e1)を固形分質量として40質量部を添加した後、混合し、pHが10.0の塗料組成物1を得た。
(実施例1)
実質的に粒子を含有しないPETペレット(極限粘度0.63dl/g)を圧力1kPaの減圧下、温度160℃で4時間真空乾燥した後、押し出し機に供給し285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。この未延伸フィルムを90℃に加熱して長手方向に3.4倍延伸し、一軸延伸フィルム(Bフィルム)とした。
次に塗料組成物1を一軸延伸フィルムのコロナ放電処理面にバーコートを用いて塗布した。塗料組成物を塗布した一軸延伸フィルムの幅方向両端部をクリップで把持して予熱ゾーンに導き、雰囲気温度75℃とした後、引き続いてラジエーションヒーターを用いて雰囲気温度を110℃とし、次いで雰囲気温度を90℃として、塗料組成物を乾燥させ、樹脂層(B層)を形成せしめた。引き続き連続的に120℃の加熱ゾーン(延伸ゾーン)で幅方向に3.5倍延伸し、続いて235℃の熱処理ゾーン(熱固定ゾーン)で19秒間熱処理を施し、結晶配向の完了した積層フィルムを得た。得られた積層フィルムにおいてPETフィルムの厚みは125μm、樹脂層の厚みは40nmであった。
得られた積層フィルムの特性等を表に示す。ハードコート層との初期密着性および、耐湿熱密着性に優れた結果となった。
(実施例2、3、4、比較例1、2)
積層フィルムのカルボキシル基末端の量が表に記載のとおりにした以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。
(実施例5、6、7、比較例3、4)
熱固定ゾーンの熱処理温度を表に記載したとおりの温度に変更した以外は実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。
(実施例8、9、10)
樹脂層(B層)の膜厚を表に記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。
(実施例11、比較例5、6)
熱固定ゾーンの熱処理温度および時間を表に記載したとおりの温度に変更した以外は実施例1と同様の方法で基材厚み50μmの積層フィルムを得た。
(実施例12,13、比較例7)
熱固定ゾーンの熱処理温度および時間を表に記載したとおりの温度に変更した以外は実施例1と同様の方法で基材厚み188μmの積層フィルムを得た。
(実施例14〜18)
塗液組成部中の固形分重量比を表に記載したとおりに変更した塗剤組成物を使用した以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。
Figure 2018154004
Figure 2018154004

Claims (7)

  1. ポリエステル樹脂を主成分とする基材層(A層)と、A層の少なくとも一方の面に隣接する樹脂層(B層)とを有する積層フィルムであって、前記A層のポリエステル樹脂のカルボキシル末端基量が20eq/ton以上60eq/ton以下であり、かつ下記式1を満足する積層フィルム。
    230 ≦Tmeta+0.05T ・・・(式1)
    (ただし、上記Tmetaは、積層フィルムの示差走査熱量測定(DSC)により求められる微小吸熱ピーク温度(℃)、Tは積層フィルムの厚み(μm)である。)
  2. 前記積層フィルムが下記式2を満足する請求項1に記載の積層フィルム。
    Tmeta+0.05T ≦ 245 ・・・(式2)
  3. 前記樹脂層(B層)の厚みTbが5〜120nmである請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 前記樹脂層(B層)が、ポリエステル樹脂を主成分とする層である請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 前記樹脂層(B層)が、ポリエステル樹脂(a)と、金属酸化物粒子(b)と、アクリル樹脂(c)と、オキサゾリン系化合物に由来する成分(d1)および/またはメラミン系化合物に由来する成分(d2)を含有している請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 前記樹脂層(B層)が、ポリエステル樹脂(a)と、金属酸化物粒子(b)と、アクリル樹脂(c)と、オキサゾリン系化合物および/またはメラミン系化合物を含む塗料組成物を加熱して得られる請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
  7. ディスプレイ用途に用いられる請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
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