(本開示の基礎となった知見)
LD等の固体光源と蛍光体との組み合わせによる白色発光装置としては、以下の方式の装置が考えられる。
一つ目は、青色LEDと黄色蛍光体YAG:Ceとを組み合わせた擬似白色光源である。この方式の発光装置は、消費電力を低減することができ、LEDの駆動制御を容易に行えることから広く使用されている。しかしながら、この白色光源では色成分が2色しかないため、電球色などの暖かみのある光を演出することができず、色制御が困難である。
二つ目は、青色LEDと黄色蛍光体YAG:Ceと赤色蛍光体CASN:Euとを組み合わせた白色光源である。この方式の発光装置では、白色が3色の色成分の混色であるため、色成分それぞれの光強度を調整することで任意の白色光を演出することができる。したがって、この方式の発光装置は、色成分が2色である前述の方式の発光装置と比較すると、色制御が容易である。この発光装置に用いられる黄色蛍光体YAG:Ceは、発光の量子効率が高く、また高出力の青色LEDあるいは青色LDで励起しても発光の量子効率がほとんど変化しない。一方、赤色蛍光体CASN:Euは、高出力光で励起すると発光の量子効率が低下するという問題があり、比較的低出力の光源にしか搭載されていない。これは、Euを発光中心とした蛍光体は、Ceを発光中心とした蛍光体と比較して発光寿命が長いため、高出力励起時に輝度飽和しやすいためである。そのため、従来、高出力かつ色制御が容易な白色光源を実現することができなかった。
そこで、高出力の光放射が可能であり、かつ色制御が容易な発光装置、例えば白色光を放射し得る発光装置を実現するために、本発明者らは鋭意研究した。
(本開示に係る一態様の概要)
本開示の第1の態様に係る発光装置は、固体光源と、波長変換素子と、を備える。前記固体光源は、480nm以上550nm以下の範囲内にピーク波長を有する緑色光を含む第1の光を発する。前記波長変換素子は、Ceを発光中心として含む赤色蛍光体を含む。前記赤色蛍光体は、少なくとも前記緑色光の一部によって励起されて第2の光を発する。前記第2の光のスペクトルは、600nm以上700nm以下の範囲内にピーク波長を有する。
第1の態様に係る発光装置は、Ceを発光中心として含む赤色蛍光体を用い、吸収効率の高い緑色光で赤色蛍光体を励起するため、高出力であって、さらに従来の発光装置よりも量子効率を向上させることができる。さらに、第1の態様に係る発光装置は、赤色蛍光体を用いているので、色制御も容易となる。特に、第1の態様に係る発光装置を白色発光装置として構成した場合には、高い演色性および色再現性を実現できる。このように、本開示の第1の態様によれば、高出力の光放射が可能であり、色制御が容易な発光装置を実現することができる。
第2の態様において、例えば、第1の態様に係る発光装置では、前記緑色光の前記ピーク波長が510nm以上540nm以下の範囲内にあってよい。
前記赤色蛍光体では、励起光の波長(すなわち固体光源から発せられる緑色光の波長)がより長波長であるほど、蛍光体でのエネルギー変換ロス(ストークス・ロス)を小さくできるため、エネルギー変換効率が高くなる。したがって、第2の態様に係る発光装置によれば、前記緑色光のピーク波長が510nm以上であるので、高出力を実現できる。
第3の態様において、例えば、第1または第2の態様に係る発光装置の前記固体光源は、GaN系半導体レーザー装置を含んでもよい。
第3の態様に係る発光装置によれば、GaN系半導体レーザー装置を使用することによって、高出力を実現できる。
第4の態様において、例えば、第1から第3の態様の少なくともいずれか1つの態様に係る発光装置の前記波長変換素子に含まれるすべての蛍光体の1/e残光値が100ns以下であってよい。
第4の態様に係る発光装置に用いられるすべての蛍光体は、輝度飽和特性に優れているため、高出力時においても高い量子効率を維持できる。したがって、第4の態様に係る発光装置によれば、高出力時においても、高い量子効率および色再現性を実現できる。
第5の態様において、例えば、第1から第6の態様の少なくともいずれか1つの態様に係る発光装置の前記赤色蛍光体は、Ce以外のランタノイド元素またはYを含む母体材料を含んでよい。
第5の態様に係る発光装置における赤色蛍光体は、Ce以外のランタノイド元素またはYを含む母体材料を含んでいる。Ce以外のランタノイド元素およびYのイオンは、Ce3+と同じ価数を有する。また、Ce以外のランタノイド元素およびYのイオン半径は、Ce3+のイオン半径に比較的近い。よって、この母体材料は、Ce3+を結晶構造内に安定的に取り込むことができる。したがって、このような赤色蛍光体を備えた第5の態様に係る発光光源は、高い発光効率を得ることができる。
第6の態様において、例えば、第1から第5の態様の少なくともいずれか1つの態様に係る発光装置の前記赤色蛍光体は、母体材料として、窒化物または酸窒化物を含んでよい。
窒化物または酸窒化物は高い熱伝導特性を有するため、高温になりにくい。したがって、第6の態様に係る発光装置によれば、温度消光による蛍光体の発光効率低下を抑制することができる。
第7の態様において、例えば、第1から第6の態様の少なくともいずれか1つの態様に係る発光装置の前記赤色蛍光体は、正方晶(テトラゴナル)の結晶構造を有する母体材料を含んでよい。
第8の態様において、例えば、第1から第7の態様の少なくともいずれか1つの態様に係る発光装置の前記赤色蛍光体は、化学組成CexM3-x-yβ6γ11-zを有する結晶相を含有し、Mは、Sc、Y、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luからなる群より選ばれる一種または二種以上の元素であり、βは、Siを50モル%以上含み、γは、Nを80モル%以上含み、0<x≦0.6であり、0≦y≦1.0であり、0≦z≦1.0であってよい。
第8の態様に係る発光装置によれば、高出力時において従来の発光装置よりも量子効率を向上させることができる。さらに、第8の態様に係る発光装置を白色発光装置として構成した場合には、高い演色性および色再現性を実現できる。
第9の態様において、例えば、第8の態様に係る発光装置の前記赤色蛍光体は、化学組成CexM3-xSi6-qAlqN11-zを有する結晶相を含有し、0≦q≦2.0であってよい。すなわち、第8の態様の化学組成において、βがSi、またはSiおよびAlであってもよい。
第9の態様に係る発光装置によれば、高出力時において従来の発光装置よりも量子効率を向上させることができる。さらに、第11の態様に係る発光装置を白色発光装置として構成した場合には、高い演色性および色再現性を実現できる。
第10の態様において、例えば、第9の態様に係る発光装置の前記赤色蛍光体は、化学組成CexLa3-xSi6-qAlqN11-zを有する結晶相を含有してよい。すなわち、第13の態様の化学組成において、MがLaであり、0<qであってもよい。
第10の態様に係る発光装置によれば、高出力時において従来の発光装置よりも量子効率を向上させることができる。さらに、第12の態様に係る発光装置を白色発光装置として構成した場合には、高い演色性および色再現性を実現できる。
第11の態様において、例えば、第9の態様に係る発光装置の前記赤色蛍光体は、化学組成CexYpLa3-x-pSi6N11を有する結晶相を含有し、(1.5−x)≦p≦(3−x)であってよい。すなわち、第8の態様の化学組成において、βがSiであり、MがYおよびLaであってもよい。
第11の態様に係る発光装置によれば、高出力時において従来の発光装置よりも量子効率を向上させることができる。さらに、第11の態様に係る発光装置を白色発光装置として構成した場合には、高い演色性および色再現性を実現できる。
第12の態様において、例えば、第1から第11の態様の少なくともいずれか1つの態様に係る発光装置の前記波長変換素子は、Ceを発光中心として含むガーネット結晶を含む緑色蛍光体をさらに含んでよい。
第12の態様に係る発光装置は、発光波長が異なる少なくとも2種類の蛍光体を備えているので、発光色を制御することができる。さらに、第12の態様に係る発光装置に用いられる蛍光体は輝度飽和特性に優れている。したがって、第14の態様に係る発光装置は、高出力時でも高い量子効率を実現できる。
第13の態様において、例えば、第1から第12の態様の少なくともいずれか1つの態様に係る発光装置の前記固体光源が発する前記第1の光は、430nm以上470nm以下の範囲内にピーク波長を有する青色光をさらに含む。
第13の態様に係る発光装置は、緑色光および青色光を発する固体光源を備えているので、高い演色性および色再現性を実現できる。
第14の態様において、例えば、第13の態様に係る発光装置の前記固体光源は、前記青色光を発するGaN系半導体レーザー装置と、前記緑色光を発する第2高調波発生器を備えたYAG:Nd固体レーザー装置とを含んでよい。
第14の態様に係る発光装置によれば、高出力を実現できる。
(本開示の実施の形態)
以下、本開示の実施の形態について詳細に説明する。当然ながら、本開示はこれらの実施形態に限定されるものでなく、本開示の技術的範囲を逸脱しない範囲で適宜変更して実施することができる。同一または実質的に同一の構成には同一の符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
[実施形態1]
実施形態1では、本開示の発光装置の一実施形態について説明する。
実施形態1の発光装置は、固体光源と、固体光源からの出射光を波長変換する波長変換素子と、を備える。固体光源は、少なくとも緑色光を発する。この緑色光のピーク波長は480nm以上550nm以下の範囲内にあり、望ましくは510nm以上540nm以下の範囲内にある。波長変換素子は、少なくともCeを発光中心とした赤色蛍光体を含む。この赤色蛍光体の発光スペクトルのピーク波長は600nm以上700nm以下の範囲内にある。
まず、実施形態1の発光装置に用いられる、Ceを発光中心とした赤色蛍光体(以下、「実施形態1における赤色蛍光体」ということがある)について説明する。
実施形態1における赤色蛍光体は、母体材料と、発光中心としてのCeとを含んでいる。母体材料は、Ce以外のランタノイド元素またはYを含んでいてもよい。また、母体材料は、窒化物または酸窒化物であってもよい。また、母体材料は、正方晶(テトラゴナル)の結晶構造を有していてもよい。
実施形態1における赤色蛍光体は、例えば、化学組成CexM3-x-yβ6γ11-zを有する結晶相を含有していてよい。以下、化学組成CexM3-x-yβ6γ11-zを有する結晶相を含有する赤色蛍光体を、実施形態1における第1例の赤色蛍光体と記載することがある。xは、0<x≦0.6を満たす。xは0より大きいので、Ceによる発光を得ることができる。xは、発光強度増大の観点から、望ましくは0.0003以上、より望ましくは0.015以上である。蛍光体が発光し得る限りxの最大値に特に制限はない。しかし、xが大きくなりすぎる場合には、濃度消光により発光強度が低下する。そのため、xを0.6以下とすることにより、発光強度の低下を抑制できる。また、xは、発光強度増大の観点から、望ましくは0.3以下、より望ましくは0.15以下である。
Mは、Ce以外の一種または二種以上の希土類元素である。具体的には、Sc、Y、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luからなる群より選ばれる一種または二種以上の元素である。また、Mは、Laを90モル%以上含んでもよい。La以外の上記の元素群は、Laとイオン半径が近いため、Mサイトに入ることができる。
yは、0≦y≦1.0を満たす。yを1.0以下とすることにより、結晶相の構造を安定化させることができる。
βは、Siを50モル%以上含む。すなわち、βは、Siのみであるか、または、Siを50モル%以上含み、他の元素を50モル%以下含む。また、βは、例えば、AlおよびGaからなる群より選ばれる一種または二種の元素を含んでもよい。また、βの(100x/6)モル%以上が、この一種または二種の元素であってもよい。すなわち、CexM3-x-yβ6γ11-zにおいて、この一種または二種の元素の物質量がCeの物質量以上であってもよい。また、βの(300x/6)モル%以上が、この一種または二種の元素であってもよい。すなわち、CexM3-x-yβ6γ11-zにおいて、この一種または二種の元素の物質量がCeの物質量の3倍以上であってもよい。また、βは、蛍光体が発光しうる限り、他の元素をさらに含んでもよい。
γは、Nを80モル%以上含む。すなわち、γは、Nのみであるか、または、Nを80モル%以上含み、他の元素を20モル%以下含む。また、γは、例えば、O(酸素)を含んでもよい。このように、例えば、Ce近傍のSiサイトの一部をAl(もしくはGa)で置換、または、Nサイトの一部をOで置換すると、Ceの配位子の対称性が低くなり、より長波長の発光が実現できる。
zは、0≦z≦1.0を満たす。Nが欠損すると(すなわち、zが0よりも大きい場合)、Ceの配位子の対称性が低くなり、より長波長の発光を実現できる。また、zを1.0以下とすることにより、結晶相の構造を安定化させることができる。
実施形態1における第1例の赤色蛍光体は、波長600nm以上800nm以下の範囲内に発光スペクトルの最大ピークを有する。ここで、最大ピークとは、スペクトル全体における最大値を有するピークである。上述の発光スペクトルのピークは、例えば、波長535nmで励起した場合に表れる。
また、実施形態1における第1例の赤色蛍光体は、波長500nm以上600nm以下の範囲内に励起スペクトルの第一のピークを有する。また、実施形態1における第1例の赤色蛍光体は、波長350nm以上500nm未満の範囲内に、励起スペクトルの第二のピークをさらに有してもよい。第一または第二のピークは励起スペクトルの最大ピークであってもよい。
また、実施形態1における第1例の赤色蛍光体の1/e発光寿命は、100ns以下の値を示してもよい。発光寿命は、輝度飽和特性に影響する。従来の赤色蛍光体であるCASN:Euなど、Euを含む蛍光体は、Ceを含む蛍光体と比較して発光寿命が長い。そのため、Euを含む蛍光体は、高出力励起時に量子効率が低下することで輝度飽和しやすい。したがって、Ceを発光中心とした実施形態1の蛍光体は、従来の赤色蛍光体と比較して、高出力時でも量子効率が高い赤色蛍光体として有望である。
また、実施形態1における第1例の赤色蛍光体における、化学組成CexM3-x-yβ6γ11-zを有する結晶相は、正方晶であってもよい。また、結晶相は、空間群がP4bm(#100)である領域を含んでもよい。また、実施形態1における第1例の赤色蛍光体の上述の結晶相は、一般式La3Si6N11で表される結晶と、ほとんど同じ結晶構造を有してもよい。
また、実施形態1における第1例の赤色蛍光体は、Cu−Kα線を用いたX線回折パターンにおいて、(1)2θ=17.8°以上18.8°以下、(2)2θ=26.2°以上27.2°以下、(3)2θ=27.2°以上28.2°以下、(4)2θ=30.5°以上31.5°以下、(5)2θ=32.8°以上33.8°以下、および、(6)2θ=35.8°以上36.8°以下、の範囲内に回折ピークを有してもよい。また、上記の回折ピークが示す面指数は、それぞれ、(001)、(211)、(310)、(221)、(311)、および、(410)であってもよい。
また、実施形態1における第1例の赤色蛍光体の上述の結晶相は、XAFS測定において、以下の特徴を有していてもよい。CeのK吸収端のEXAFS動径分布関数スペクトルにおいて、Ceの第一近接殻(first neighbor shell)のピークの高さが、Ceの第二近接殻(second neighbor shell)のピークの高さよりも低くてもよい。また、第一近接殻のピークの高さが、第二近接殻のピークの高さの0.8倍以上0.9倍以下であってもよい。
また、CeのK吸収端のEXAFS動径分布関数スペクトルから得られる、Ceの第一近接殻の配位数が7配位(coordination)であってもよい。この場合、Ce近傍の配位構造は、例えば、La3Si6N11におけるLaのAサイト近傍に窒素の欠陥が導入された構造となり、対称性が低い7配位の配位構造であってもよい。従来の一般式La3Si6N11で表される結晶は、対称性が高い8配位の配位構造を有する。そのため、対称性が低い7配位の配位構造であれば、5d軌道の分裂が大きくなり、4f軌道とのエネルギー差が減少することで、従来よりも長波長の発光が実現できる。
また、上述の結晶相は、例えば、化学組成CexM3-x-ySi6-qAqN11-zで表される結晶相であってもよい。このとき、Mは、Sc、Y、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luからなる群より選ばれる一種または二種以上の元素であってもよい。Aは、AlおよびGaからなる群より選ばれる一種または二種の元素であってもよい。0<x≦0.6であってもよい。0≦y≦1.0であってもよい。0≦z≦1.0であってもよい。x≦q≦3.0であってもよい。AがAlのみである場合、qは、0≦q≦2.0を満たしてもよい。
実施形態1における赤色蛍光体は、例えば上記化学組成CexM3-xSi6-qAlqN11-zにおいて、MがLaのみであってもよい。すなわち、実施形態1における赤色蛍光体は、化学組成CexLa3-xSi6-qAlqN11-zを有する結晶相を含有してもよい。この化学組成において、qは、0<q≦2.0を満たしてよい。
実施形態1における赤色蛍光体は、例えば上記化学組成CexM3-xSi6-qAlqN11-zにおいて、MがYのみ、又は、Y及びLaであり、qが0であり、zが0であってもよい。すなわち、実施形態1における赤色蛍光体は、化学組成CexYpLa1-pSi6N11を有する結晶相を含有してもよい。この化学組成において、pは、(1.5−x)≦p≦(3−x)を満たしてよい。
<実施形態1における第1例の赤色蛍光体の製造方法>
以下、実施形態1における第1例の赤色蛍光体において、例えば上記の化学組成CexM3-x-ySi6-qAqN11-zで表される結晶相を有する赤色蛍光体の製造方法について説明する。なお、ここではMがLaの場合について説明する。原料としては、例えば、Ce、La、Si、およびAlを含有する化合物を用いてもよい。ここで、Alに代えてGaを用いてもよい。または、原料として、Ce単体、La単体、Si単体、およびAl単体を用いてもよい。ここで、Al単体に代えてGa単体を用いてもよい。化合物としては、窒素雰囲気下での焼成により窒化物になる化合物、高純度(純度99%以上)の窒化物、金属合金、などを用いることができる。また、反応を促進するために、フッ化物(フッ化アンモニウム等)を少量添加してもよい。
例えば、CexLa3-x-ySi6N11-z(0<x≦0.6、0≦y≦1.0、0≦z≦1.0)で表される化学組成比となるように、Ce化合物、La化合物、およびSi化合物を用意し、さらに、Al化合物(またはAl単体)を用意してもよい。ここで、Si化合物に代えてSi単体を用意してもよい。具体的な原料としては、例えば、CeF3粉末、LaN粉末、Si3N4粉末、および、AlN粉末を用いてもよい。ここで、CeF3粉末に代えてCeN粉末を用いてもよい。また、Si3N4粉末に代えてSi単体の粉末を用いてもよい。また、AlN粉末に代えてAl単体の粉末を用いてもよい。また、LaN粉末は、理論値よりも24%程度過剰に用意してもよい。LaNは焼成時に分解しやすいため、原料配合時に過剰に仕込むことで、副生成物であるLaSi3N5結晶の生成を抑制できる。
蛍光体の製造は、上記の原料を混合し、焼成して行う。原料の混合方法は、溶液中での湿式混合でも、乾燥粉体の乾式混合でもよい。工業的に通常用いられるボールミル、媒体撹拌ミル、遊星ミル、振動ミル、ジェットミル、V型混合機、攪拌機等を用いることができる。焼成は、窒素により加圧した雰囲気中において1500〜2000℃の温度範囲で1〜50時間程度行う。このときの圧力は、通常3気圧以上、望ましくは4気圧以上、より望ましくは8気圧以上である。焼成後の蛍光体は、例えば、濃度10%の硝酸溶液中で1時間洗浄してもよい。得られた蛍光体粉末を、ボールミルやジェットミルなどを用いて再度粉砕し、さらに必要に応じて洗浄または分級することにより、蛍光体粉末の粒度分布や流動性を調整してもよい。
以下に、実施形態1における赤色蛍光体について、より詳しく説明する。なお、以下では、本発明者らがその赤色蛍光体に到達した経緯についても説明する。
<希土類蛍光体の発光原理>
以下に、本発明者らが、希土類蛍光体の発光原理について考察を行い、Ce3+蛍光体に着目した経緯について説明する。
希土類元素のうちCe、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、TmおよびYbは、2価または3価のイオンの状態で、4f軌道に価電子を有する。このうち、ほとんどの希土類イオンは4fに複数の電子を有するので、図1Aに概念的に示したように4f軌道の縮退が解けて大きく分裂する。これにより、ある4f準位から別の4f準位への遷移(f−f遷移)を利用して発光を得ることができる。f−f遷移は禁制遷移であるため、励起状態の電子の寿命が長いという特徴を有している。そのため、希土類イオンを含む蛍光体は、レーザー媒質としてよく利用されている。しかしながら、このような蛍光体を一般の照明などのインコヒーレントな光源として利用すると、すぐに発光強度が飽和してしまう。
一方、Ce3+は、価電子として4f軌道に1つしか電子を有さない。これにより、図1Bに概念的に示したように、Ce3+の4f軌道の分裂は他の希土類イオンに比べて極めて小さい。また、例外として、Eu2+およびYb2+の4f軌道のエネルギー分裂も小さい。これは、Eu2+が4f軌道に7つの電子を有する半閉殻であり、および、Yb2+が4f軌道に14の電子を有する閉殻であるためである。
Ce3+、Eu2+およびYb2+は4f軌道の分裂が小さいため、4f基底準位と5d軌道との間のエネルギー差が大きい。また、4f基底準位と5d軌道との間に大きなエネルギーを持つ4f軌道が存在しない。よって、4fと5dとの間の遷移(4f−5d遷移)を利用しやすい。
4f−5d遷移は許容遷移であるため、励起状態の電子の寿命が短い。従って、励起すればすぐに発光するため、強い励起光で励起しても飽和(輝度飽和)しにくい。
本発明者らは、さらに、Ce3+、Eu2+およびYb2+のうちCe3+に着目した。Ce3+は4f−5d遷移に関わる電子は1つであるため、5dの励起状態から4fの基底状態に落ちる際に、4fの軌道が全て空いている、すなわち遷移に関わる4f軌道の状態密度が大きい。このため、本発明者らは、Ce3+は発光寿命が最も短いと考えた。一方、Eu2+は、5dに電子を励起しても4fに6つの電子が残っており、Yb2+は、5dに電子を励起しても4fに13つの電子が残っている。このため、Eu2+およびYb2+は、4f軌道の状態密度が小さく、Ce3+よりも長い発光寿命を有すると予測できる。従って、Ce3+蛍光体は希土類の中で最も発光寿命が短く、輝度飽和しにくいと考えられる。実際に、YAG:Ceでは1/e発光寿命が70ns程度であるのに対して、CASN:Euでは1/e発光寿命が600から800ns程度である。
この考えに基づけば、Ce3+蛍光体の方がEu2+蛍光体よりも優れていると言える。実際に、市販されている白色LEDでは、ほぼ全てにYAG:Ceが利用されている。しかしながら、赤色蛍光体としてはCASN:Euがよく使われている。本発明者らは、この理由として、赤色発光するCe3+蛍光体の実現は難しく、未だ有望な材料が見つかっていないからであると考えている。以下に、発光波長が決まる原理とともに、その理由を説明する。
<蛍光体の発光波長>
Ce3+を発光中心とする蛍光体およびEu2+発光中心とする蛍光体においては、基底状態である4f軌道から励起状態である5d軌道への遷移(4f−5d遷移)を利用する。Ce3+およびEu2+が蛍光体の母体となる結晶に導入されると、主に結合している最近接のアニオン原子(配位子)の影響を受け、4fおよび5d軌道のエネルギーが変化し、発光波長が変わる。すなわち、蛍光体の発光波長は、母体結晶によって決まる。
配位子の影響としては、4fまたは5d軌道のエネルギーがシフトすること、および5d軌道の5つの準位の縮退が解けること(すなわち、5d軌道の分裂)がある。前者のエネルギーシフトについては、4fまたは5d軌道の波動関数の広がり方と配位子の位置関係とが大きく影響する。また、後者の5d軌道の分裂に関しては、図2に示すように5d軌道の5つの準位のトータルエネルギーを保ったまま5d軌道が分裂する。よって、ある準位のエネルギーが大きくなれば、他の準位のエネルギーは小さくなる。従って、5d軌道の分裂を大きくすることで、5d軌道の最低エネルギーを小さくすることができる。
4f−5d遷移の発光は、図2に示すように5d軌道の最低エネルギーの準位から4fに落ちる際に起きる。このため、Ce3+またはEu2+を結晶に導入することで、4f−5d間のエネルギー差を小さくし、発光波長を長波長化することができる。
Ce3+は真空中(すなわち、結晶に未導入の状態)においては4f−5d間のエネルギー差が大きく深紫外域の発光を示すが、Eu2+は青色発光を示す。即ち、Eu2+の方が少ない長波長シフト量で赤色発光が実現でき、実際にCASN:Euが実用化されている。一方、Ce3+蛍光体で実用化されている最も長波長なものは黄色蛍光体のYAG:Ceであり、赤色蛍光体は実現されていない。
<発明者らの検討>
本発明者らは、Ceの赤色蛍光体を実現するためには、図3に示すように、5d軌道または4f軌道をシフトさせる必要があると考え、検討を進めた。
より5d軌道または4f軌道をシフトさせるためには、Ce3+の配位子として、(1)配位子距離が小さいこと、および
(2)配位子の対称性が低いこと、を満たすことが重要であると考えた。
まず(1)に関して、Ce3+から最近接のアニオンまでの配位子距離が小さいと、4f軌道または5d軌道のいずれか、あるいは両方がアニオンの軌道からより大きく影響を受け、大きくエネルギーシフトする。このとき4f軌道のエネルギーが増加する、あるいは5d軌道の分裂が大きくなり5d軌道の最低エネルギー準位が下がる。この効果により4f−5d間のエネルギー差が小さくなる。(2)に関しては、配位子の対称性が低いことで、配位子が存在しない方向への広がりが大きい波動関数を持つ5d軌道がより安定化される。これにより、4f−5d間のエネルギー差が小さくなる。
本発明者らは、これらの方針のもとに新しい材料の探索を行った。具体的には、結晶構造シミュレーションにより発光波長を計算する検討を行った。これらの取り組みで、赤色を示す複数の新規赤色蛍光体に到達した。以下でこれらの取り組みについて説明する。
<Ce蛍光体の発光波長の計算について>
本発明者らは、Ceを発光中心として用いた蛍光体の発光波長と励起波長との関係を明らかにするため、シミュレーションにより各種の結晶にCeをドープした場合の発光波長と励起波長とについて検討を行った。以下に、結晶構造シミュレーションの結果および考察を示す。
本発明者らは、文献「Y Jia et al., PHYSICAL REVIEW B 93, 155111 (2016)」に開示されている手法で発光波長の計算を行った。この手法は、基底状態の平衡点における全エネルギーとその原子座標での励起状態の全エネルギーとの差から励起波長を計算する。また、この手法は、励起状態が緩和した平衡点における全エネルギーとその原子座標での基底状態の全エネルギーとの差から発光波長を計算する。これにより、上記文献によると、YAG:Ce、LaSi3N5:Ce、La3Si6N11:Ceの3種類の蛍光体の発光波長と励起波長との計算値が実験値とほぼ一致することが確認されている。今回、本発明者らが、LaSi3N5:Ce、La3Si6N11:Ceに加えてYAlO3:Ceについて発光波長と励起波長との計算を行ったところ、上記文献と同様に高精度に実験結果を再現することを確認した。表1にシミュレーションにより求めた各蛍光体の励起波長と発光波長とを示す。
<新規組成系(La,Y)3Si6N11:Ce蛍光体>
まず、本発明者らは、配位子距離を短くするために、La3Si6N11:CeのLa3+サイトにY3+を置換することを考えた。
Y3+はLa3+に比べてイオン半径が小さいために、La3+サイトを置換すれば格子定数を小さくする可能性がある。格子定数の低下に伴い、配位子距離も短くすることができる期待がある。
上記の計算手法により、新規組成系である(La,Y)3Si6N11:Ce蛍光体について検討を行った。この組成系の蛍光体は、La3Si6N11:CeのLa3+サイトをY3+で置換した組成を有している。La3+に比べてY3+のイオン半径が小さいので、(La,Y)3Si6N11におけるCe3+の配位子距離は、La3Si6N11に比べて小さくなる。これにより、発光波長が長波長化することが期待できる。Y3+の置換量を変えて、Ce−N間の平均配位距離rave、励起波長λexおよび発光波長λemを計算した結果を表2に示す。また、図4に、励起波長と発光波長との関係を表したグラフを示す。図5に、Y3+の置換量xとa軸の格子定数との関係、およびY3+の置換量xとc軸の格子定数との関係を示す。図6に、平均配位距離raveと励起波長λexとの関係、および平均配位距離raveと発光波長λemとの関係を示す。図7に、La3Si6N11の結晶構造およびLaの2種類のサイトを示す。なお、図7中、La(2a)サイトを破線で、La(4c)サイトを一点鎖線で示している。図8Aから8Jに、試料番号1から10の結晶構造を示す。図9に、試料番号1から10の結晶構造から算出した粉末XRD回折パターン結果を示す。なお、表2中の※印は、その試料が比較例であることを示している。また、表2の「Y置換サイトと置換量」欄においては、Y置換サイトとY置換量とが「Y置換サイト←Y置換量」と表記されている。
表2および図4から、Y3+の置換量が増加すると発光波長が大きくなる傾向が読みとれる。また、励起ピーク波長も、発光波長の長波長化に伴い大きくなっていることがわかる。発光波長が600nm以上を示す赤色発光となる試料7から試料10の組成系においては、励起波長のピークが490nm以上の緑色領域となることがわかる。また、図5から明らかなように、Y3+の置換量が増加するほどa軸の格子定数が減少し、c軸の格子定数が増加するのがわかる。また表2および図6から明らかなように、Y3+の置換量が増加するほどCe−N間の平均配位距離raveが減少し、raveの減少と共に、発光波長および励起波長ともに増化することがわかる。
Eu2+の発光寿命は、Ce3+の発光寿命と比較して、とても長い。発光寿命は、Eu2+Ce3+それぞれの4f−5d遷移の遷移確率と相関があり、発光寿命が長いほど遷移確率が低いといえる。つまり、Eu2+の4f−5d遷移の励起確率は、Ce3+の4f−5d遷移の励起確率と比較して、とても低いといえる。しかしながら、Eu2+は5d励起準位が母体材料((La,Y)3Si6N11)のコンダクションバンドと重なりやすい。よって、Eu2+の4f基底準位と母体材料のコンダクションバンドとの間で効率的にエネルギーを吸収することが可能となる。この吸収エネルギーは、青色光領域のエネルギーに相当する。またEu2+は4f軌道に7つの電子があり、それぞれの電子のエネルギー準位が幅を有するため、励起波長はブロードとなる。つまりEu2+を発光中心として用いた赤色蛍光体の励起波長は、青色領域をピークとしたブロードな励起波長となる。そのため、Eu2+を発光中心として用いた赤色蛍光体を使用した光源では、励起光源には最も吸収効率の高くなる青色光が用いられている。
一方、Ce3+を発光中心として用いた蛍光体の場合では、5d励起準位が母体材料のコンダクションバンドと重なりにくい。よって、4f基底準位と母体材料のコンダクションバンドとの間でのエネルギー吸収は期待できない。そのため、4f−5d遷移がエネルギー吸収の主体となる。
本発明者らは、上述の検討の結果により、Ce3+を用いた赤色蛍光体の場合には、4f−5d遷移間のエネルギー差が緑色光領域のエネルギー差になることを明らかにした。したがって、Ce3+を用いた赤色蛍光体の場合には、励起光源に青色光を用いるよりも緑色光を用いた方が、蛍光体の吸収効率が高くなる。よって緑色光を用いることにより、光出力を高めることができる。さらに、青色光から赤色光へ変換する従来の方式と比較して、緑色光から赤色光へ変換する本願の方式の方が、エネルギー変換ロス(ストークス・ロス)を小さくできるため、より高出力の光を放射することが可能となる。
以上の結果から、本発明者らは、化学組成CexYpLa3-x-pSi6N11を有する結晶相を含有し、0<x≦0.6であり、(1.5−x)≦p≦(3−x)である、新規赤色蛍光体に到達した。この新規赤色蛍光体を実施形態1における第2例の赤色蛍光体といい、以下により詳しく説明する。
実施形態1における第2例の赤色蛍光体の化学組成において、xは、0<x≦0.6を満たす。xは0より大きいので、Ceによる発光を得ることができる。xは、発光強度増大の観点から、望ましくは0.0003以上、より望ましくは0.015以上である。蛍光体が発光し得る限りxの最大値に特に制限はない。しかし、xが大きくなりすぎる場合には、濃度消光により発光強度が低下する。そのため、xを0.6以下とすることにより、発光強度の低下を抑制できる。また、xは、発光強度増大の観点から、望ましくは0.3以下、より望ましくは0.15以下である。
実施形態1における第2例の赤色蛍光体では、発光波長および励起波長の長波長化の観点から、YによるLaの置換量が大きいことが望ましい。したがって、実施形態1における第2例の赤色蛍光体の化学組成において、xおよびpは、(1.5−0.5x)≦p≦(3−x)を満たすことが望ましく、1.5≦p≦(3−x)を満たすことがより望ましい。
実施形態1における第2例の赤色蛍光体は、波長600nm以上660nm以下の範囲内に発光スペクトルのピークを有する。実施形態1における第2例の赤色蛍光体は、例えば、波長605nm以上の発光スペクトルのピークを有してもよい。実施形態1における第2例の赤色蛍光体は、例えば、波長640nm以下の発光スペクトルのピークを有してもよく、波長636nm下の発光スペクトルピークを有してもよい。
実施形態1における第2例の赤色蛍光体は、波長480nm以上550nm以下の範囲内に励起スペクトルのピークを有する。実施形態1における第2例の赤色蛍光体は、例えば、波長490nm以上の励起スペクトルのピークを有してもよく、波長495nm以上の励起スペクトルピークを有してもよい。実施形態1における第2例の赤色蛍光体は、例えば、波長530nm以下の励起スペクトルのピークを有してもよく、波長508nm下の励起スペクトルピークを有してもよい。
実施形態1における第2例の赤色蛍光体は、波長480nm以上550nm以下の範囲の励起スペクトルのピークを第一の励起スペクトルのピークとした場合に、波長350nm以上480nm未満の範囲内に、第二の励起スペクトルのピークをさらに有してもよい。第一または第二の励起スペクトルのピークは、励起スペクトルの最大ピークであってもよい。
また、実施形態1における第2例の赤色蛍光体の結晶相の1/e発光寿命は、100ns以下の値を示してもよい。発光寿命は、輝度飽和特性に影響する。従来の赤色蛍光体であるCASN:EuなどのEuを含む蛍光体は、Ceを含む蛍光体と比較して発光寿命が長い。そのため、Euを含む蛍光体は、高出力励起時に量子効率が低下することで輝度飽和しやすい。したがって、Ceを発光中心とした実施形態1の赤色蛍光体は、従来の赤色蛍光体と比較して、高出力時でも量子効率が高い赤色蛍光体として有望である。
また、実施形態1における第2例の赤色蛍光体における母体材料の結晶が正方晶(テトラゴナル)であってよい。換言すると、実施形態1における第2例の赤色蛍光体における化学組成CexYpLa3-x-pSi6N11を有する結晶相が、正方晶(テトラゴナル)の結晶構造を有してもよい。また、当該結晶相は、一般式La3Si6N11で表される結晶と、ほとんど同じ結晶構造を有してもよい。
実施形態1における第2例の赤色蛍光体の結晶相は、CeがLa3Si6N11の結晶構造におけるLa(2a)サイトの少なくとも一部を置換している結晶構造を有してもよい。また実施形態1における第2例の赤色蛍光体の結晶相は、YがLa3Si6N11の結晶構造におけるLa(4c)サイトの少なくとも一部を置換している結晶構造を有してもよく、YがLa3Si6N11の結晶構造におけるLa(4c)サイトの過半数を置換している結晶構造を有してもよい。
La3Si6N11の結晶構造におけるLaの配位状態には、図7に示すように、La(2a)サイトと、La(4c)サイトとの2種類が存在する。La(2a)サイトは対称性が高く、La(4c)サイトは対称性が低い。例えば、対称性が高いLa(2a)サイトのLaがイオン半径の大きいCeで置換された場合、第一原理計算から求めた生成エンタルピーが約48meV程度低く、熱力学的に安定である。この観点から、実施形態1の蛍光体の結晶相は、CeがLa3Si6N11の結晶構造におけるLa(2a)サイトの少なくとも一部を置換している結晶構造を有することが望ましい。また、例えば、対称性が低いLa(4c)サイトのLaがYで置換された場合、格子ひずみが大きいためCeの5d軌道の分裂が大きくなる。よって、4f−5d軌道間のエネルギー差が減少するため、励起波長および発光波長を長波長側へシフトさせることができる。この観点から、実施形態1の蛍光体の結晶相は、YがLa3Si6N11の結晶構造におけるLa(4c)サイトの少なくとも一部を置換している結晶構造を有することが望ましい。さらに、YがLa3Si6N11の結晶構造におけるLa(4c)サイトの過半数を置換している結晶構造を有することがより望ましい。
<実施形態1における第2例の赤色蛍光体の製造方法>
以下、実施形態1における第2例の赤色蛍光体の製造方法について説明する。
原料としては、例えば、Ce、La、SiおよびYをそれぞれ含有する化合物を用いてもよいし、Ce、La、SiおよびYそれぞれの単体を用いてもよい。化合物としては、窒素雰囲気下での焼成により窒化物になる化合物、高純度(純度99%以上)の窒化物、金属合金、などを用いることができる。また、反応を促進するために、フッ化物(フッ化アンモニウム等)を少量添加してもよい。
例えば、CexYyLa3-x-ySi6N11(0<x≦0.6、(1.5−x)≦y≦(3−x)で表される化学組成比となるように、Ce化合物、La化合物、Si化合物およびY化合物を用意してもよい。ここで、Si化合物に代えてSi単体を用意してもよい。具体的な原料としては、例えば、CeF3粉末、LaN粉末、Si3N4粉末および、YN粉末を用いてもよい。ここで、CeF3粉末に代えてCeN粉末を用いてもよい。また、Si3N4粉末に代えてSi単体の粉末を用いてもよい。また、LaN粉末は、理論値よりも24%程度過剰に用意してもよい。LaNは焼成時に分解しやすいため、原料配合時に過剰に仕込むことで、副生成物であるLaSi3N5結晶の生成を抑制できる。
実施形態1における第2例の赤色蛍光体の製造は、上記の原料を混合し、焼成して行う。原料の混合方法は、溶液中での湿式混合でも、乾燥粉体の乾式混合でもよい。工業的に通常用いられるボールミル、媒体撹拌ミル、遊星ミル、振動ミル、ジェットミル、V型混合機、攪拌機等を用いることができる。焼成は、窒素により加圧した雰囲気中において1500〜2000℃の温度範囲で1〜50時間程度行う。このときの圧力は、通常3気圧以上、望ましくは4気圧以上、より望ましくは8気圧以上である。焼成後の蛍光体は、例えば、濃度10%の硝酸溶液中で1時間洗浄してもよい。得られた蛍光体粉末を、ボールミルやジェットミルなどを用いて再度粉砕し、さらに必要に応じて洗浄または分級することにより、蛍光体粉末の粒度分布や流動性を調整してもよい。
<新規組成系La3(Si,Al)6N11:Ce蛍光体>
また、本発明者らは、蛍光体の発光波長を長くしてCeの赤色蛍光体を実現するために、Ceの配位子の対称性を低くすることを検討した。具体的には、本発明者らは、La3Si6N11:CeにAl3+を導入することを考えた。
Al3+は、La3+に比べてかなり小さいイオン半径を有する。したがって、もしAl3+がLa3+サイトを置換すれば、結晶が大きく歪んで、その結果配位子が低対称化することが期待できる。あるいは、Al3+はSi4+にイオン半径が近いので、Si4+サイトにAl3+が入る可能性もある。この場合、価数を合わせるために、N3-がO2-に同時に置換されてもよい。また、3つのSi4+サイトがAl3+に置換すると同時にN3-が欠損してもよい。いずれの場合でも、配位子の対称性が低くなる。
以上の知見に基づき、本発明者らは、後述するように、従来のLSN:Ce黄色蛍光体におけるCeの配位子よりも、さらに対称性が低い配位子を有すると考えられる結晶構造を見出した。なお、従来のLSN:Ce黄色蛍光体の例である、特許文献1で開示されているLSN:Ceの化学組成を有する蛍光体は、発光のピーク波長が574nm〜594nmの範囲内にあり、励起のピーク波長が455nm〜460nmの範囲内にある。
以下に、結晶構造シミュレーションの結果および考察を示す。La3Si6N11の結晶構造においてCeが置換し得るサイトを検討するため、第一原理計算を用いて、La3Si6N11のLaサイトをCeで置換し、構造最適化を行った。第一原理計算には、ダッソー・システムズ・バイオビア社のCASTEPを使用した。汎関数はGGA、交換相関相互作用はPBEを使用した。
図10に、La3Si6N11の1×1×3スーパーセルの構造最適化を行った結果を示す。La3Si6N11のユニットセルの空間群は、P4bm(#100)であり、Laの配位状態は対称性の高いAサイトと対称性の低いBサイトが存在する。AサイトのLaをCeで置換し、構造最適化を行った結晶構造1を図11に示す。また、BサイトのLaをCeで置換し、構造最適化を行った結晶構造2を図12に示す。
図11からわかるように、AサイトのCeの周りには、8個のNがほぼ等距離に配置している。つまり、Ceを頂点とする二つの四角錐が共に頂点を共有し、底面の正方形が45°ねじれた構造をしており、Ceの配位子の対称性が高い8配位構造をしている。一方、図12からわかるように、BサイトのCeの周りには、距離も角度も異なる8個のNが配置されており、Ceの配位子の対称性がAサイトに比べて低い。
対称性を定量化するために、La3Si6N11結晶構造のAサイトのLaをCeで置換した結晶構造1と、La3Si6N11結晶構造のBサイトのLaをCeで置換した結晶構造2の、Ce−N間距離およびその標準偏差を、表3に示す。
この結果からも、BサイトのLaをCeで置換した結晶構造2の方が、AサイトのLaをCeで置換した結晶構造1よりも、Ce配位子の対称性が低いことが分かる。
さらに、LaのAサイトおよびBサイトのどちらがCeと置換されやすいかを調べるために、それぞれの結晶の生成エンタルピーを第一原理計算により計算した。その結果、BサイトのLaをCeで置換した結晶構造2に比べて、AサイトのLaをCeで置換した結晶構造1の方が、生成エンタルピーが48meV低く、構造として安定であることが判明した。
以上のことから、従来のLSN:Ce黄色蛍光体では、例えば、結晶構造1のように、配位子の対称性が高く、エネルギー的に安定なAサイトにCeが存在している。これにより、黄色発光が得られている可能性が考えられる。
以上の分析結果から、結晶構造2のような、BサイトのLaをCeで置換したLa3Si6N11:Ceでは、Ceの配位子の対称性が低いことで、4f軌道と5d軌道の平衡点がずれる。よって、従来のLSN:Ce黄色蛍光体よりも長波長の発光が実現できる可能性が考えられる。
ここで、実施形態1の赤色蛍光体は、出発原料にAlを含んでもよいため、蛍光体の結晶相にAlが取り込まれる可能性がある。また、原料中の含有Oにより、蛍光体結晶相にOが取り込まれる可能性がある。また、SiとAl、NとOは、それぞれイオン半径が近い値であるため、置換することが可能である。また、イオン半径に着目すると、Al>Si、N>Oである。よって、SiをAlで置換すると格子定数が大きくなり、NをOで置換すると格子定数が小さくなる。つまり、SiをAlに、NをOに同時に置換することで、結晶がより安定に存在できると考えられる。また、SiをAlに、NをOに同時に置換することで、結晶の価数を維持することができる。したがって、結晶相におけるAlとOの含有モル数は、同一であってもよい。
上述の観点を踏まえ、さらに対称性を低くする目的で、La3Si6N11:CeのCeに近接するSiサイトの一部をAlで置換し、Nサイトの一部をOで置換した結晶構造を検討した。この結晶構造において、AサイトのLaをCeで置換し、構造最適化を行った結晶構造3を図13に、BサイトのLaをCeで置換し、構造最適化を行った結晶構造4を図14に示す。また、結晶構造3および結晶構造4のCe−N間距離およびその標準偏差を、表3に示す。結晶構造1の標準偏差と比べ、結晶構造3および結晶構造4の標準偏差が大きいため、Ceの配位子の対称性が低下していることが分かる。
以上の分析結果から、結晶構造3または結晶構造4のような、La3Si6N11:CeのCe近傍のSiサイトの一部をAlで置換し、Nサイトの一部をOで置換した結晶構造では、Ceの配位子の対称性が低いことで、4f軌道と5d軌道の平衡点がずれることになり、従来のLSN:Ce黄色蛍光体よりも長波長の発光が実現できる可能性が考えられる。この場合、従来のLSN:Ce黄色蛍光体よりも長波長の発光を実現するためには、結晶相において、少なくともAlまたはOのいずれかがCeよりも多く含まれることが望ましいと考えられる。
さらに、La3Si6N11:CeのCeに近接するSiサイトの一部をAlで置換し、Nサイトが欠陥している結晶構造を検討した。Si4+をAl3+で置換するときに価数を合わせるためには、3つのSi4+を3つのAl3+に置換すると同時に、N3-が1つ欠損することが望ましい。Ceに近い位置に配位しているSiのAl置換と、N欠損が同時に起きることで、Ceの配位子の対称性が低くなる。よって、従来のLSN:Ce黄色蛍光体よりも長波長の発光が実現できる可能性が考えられる。
この場合、従来のLSN:Ce黄色蛍光体よりも長波長の発光を実現するためには、少なくともAlの物質量がCeの物質量以上であることが望ましいと考えられる。さらに、3つのSiサイトをAlで置換することで、Nの欠陥に対する電荷補償が可能であるので、Alの物質量はCeの物質量の3倍以上であることが望ましいと考えられる。
以上の結晶構造シミュレーションの結果から、(1)La3Si6N11結晶のBサイトのLaをCeで置換した結晶構造、および、(2)La3Si6N11結晶のLaのAサイトとBサイトの少なくとも一方をCeで置換し、Ce近傍のSi−Nの一部をAl−Oで置換した結晶構造、および、(3)La3Si6N11結晶のLaのAサイトとBサイトの少なくとも一方をCeで置換し、Ce近傍のSiをAlで置換し、Nが欠損した結晶構造、のいずれかを有する蛍光体は従来のLSN:Ce黄色蛍光体よりも長波長側で発光する可能性が示された。
以上のシミュレーション結果は、実施形態1の蛍光体が従来のLSN:Ce黄色蛍光体よりも長波長側の赤色発光を示す要因の一例として考えられる。つまり、上述のシミュレーション結果は、あくまで一例であり、実施形態1の蛍光体の結晶構造について、何ら限定するものではない。
以上の結果から、本発明者らは、化学組成CexLa3-xSi6-qAlqN11-zを有する結晶相を含有する、新規赤色蛍光体に到達した。この新規赤色蛍光体においては、x、q及びzは、0<x≦0.6、0<q≦3.0、0≦z≦1.0を満たす。この新規赤色蛍光体を実施形態1における第3例の赤色蛍光体といい、以下に、実施例を用いてより詳しく説明する。
(実施例1〜4および比較例1)
蛍光体の作製方法を以下に示す。出発原料として、LaN粉末、Si3N4粉末、AlN粉末、CeF3粉末を用意した。まず、LaN粉末とSi3N4粉末とCeF3粉末を、一般式La2.91Ce0.09Si6N11で表される組成となるように秤量し、それらを混合した。ただし、LaN粉末は、理論値よりも24%過剰に秤量した。この混合粉末にAlN粉末を表4に示す量を加え、更に混合した。なお、比較例1では、AlN粉末は加えなかった。混合の方法としては、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、乳鉢を用いた乾式混合を行った。混合した原料粉末を窒化ホウ素製の坩堝に入れた。この原料粉末を、0.5MPaの窒素雰囲気中で1900℃にて2時間焼成した。焼成後の試料を濃度10%の硝酸溶液中で1時間洗浄した。以上の方法により、表4に示したような出発原料で、実施例1〜4および比較例1を作製した。
(比較例2)
出発原料として、Ca3N2粉末、Si3N4粉末、AlN粉末、EuN粉末を用意した。Ca3N2粉末とSi3N4粉末とAlN粉末とEuN粉末を一般式Ca0.97Eu0.03AlSiN3で表される組成となるように秤量し、それらを混合した。混合の方法としては、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、乳鉢を用いた乾式混合を行った。混合した原料粉末を窒化ホウ素製の坩堝に入れた。この原料粉末を0.5MPaの窒素雰囲気中で1600℃にて2時間焼成した。焼成後の試料を濃度10%の硝酸溶液中で1時間洗浄した。以上の方法により、CASN:Euで表される、比較例2を作製した。
<発光/励起スペクトルの評価>
実施例1〜4および比較例1の発光スペクトルと励起スペクトルを、分光蛍光光度計(日本分光製FP−6500)を用いて測定した。実施例1および比較例1の発光スペクトルを図15に、励起スペクトルを図16に示す。また、波長450nmから波長800nmの範囲の発光ピーク波長と、波長400nmから波長600nmの範囲の励起ピーク波長を表4に示す。なお、励起光源にはXeランプを用いた。表4に示す各試料の励起ピーク波長を励起光源の波長として、発光スペクトルを測定した。表4に示す各試料の発光ピーク波長をモニター波長として、励起スペクトルを測定した。
出発原料にAlNを含まない比較例1は、発光ピーク波長が536nmの黄色発光を示した。また、励起ピーク波長は450nmであった。一般に、La3Si6N11で表される結晶にCeを賦活した蛍光体では、短波長側の発光ピーク(535nm程度)と、長波長側の発光ピーク(580nm程度)を有することが知られている。これは、特許文献1の蛍光体における、短波長側の発光ピークと長波長側の発光ピークとも、ほぼ一致している。また、励起ピーク波長の位置も、特許文献1とほぼ一致していた。
一方、実施例1〜4では、発光ピーク波長が640nm程度の赤色発光を示した。また、実施例1〜4では、波長540nm程度に励起ピークを有することがわかった。以上のことから、実施例1〜4は、比較例1と異なる発光特性を有することは明らかである。また、実施例1〜4では、波長350nm以上500nm未満の範囲内に、励起スペクトルのピークをさらに有していた。
<発光寿命の評価>
実施例1〜4および比較例1および比較例2の発光寿命を、蛍光寿命測定装置(浜松ホトニクス製Quantaurus−Tau小型蛍光寿命測定装置)により測定した。図17に、励起光を遮断した後の時間に対する発光強度の変化をプロットした残光スペクトルを、実施例1および比較例2について示す。また、表5に、実施例1〜4および比較例1および比較例2の1/e発光寿命を示す。
実施例1の1/e発光寿命は、54nsであった。また、実施例1〜4および比較例1において、1/e発光寿命はおよそ50ns程度であり、100ns以下の値を示すことを確認した。Ceの発光寿命は一般的に10ns〜100ns程度であることが知られている。よって、実施例1〜4および比較例1より得られた発光は、Ce由来であると考えられる。
一方、比較例2であるCASN:Euの発光寿命は、820nsであった。発光寿命は、輝度飽和特性に影響する。Ceを含む蛍光体に比べ、Euを含む蛍光体は、高出力励起時に量子効率が低下することで輝度飽和しやすいことが知られている。実施例1〜4および比較例1の蛍光体は、CASN:Euに比べて大幅に発光寿命の値が小さいため、輝度飽和しにくいと考えられる。よって、実施例1〜4および比較例1の蛍光体は、高出力の励起光源と組み合わせることで、高出力の発光デバイスを実現できる。
<結晶構造の評価>
実施例1〜4および比較例1の粉末X線回折パターンを、X線回折測定装置(Rigaku製RINT2100)を用いて測定した。測定には、Cu−Kα線を用い、表6に示す条件で行った。
得られたX線回折パターンを図18に示す。図18より、実施例1〜4のX線回折パターンは、比較例1で得られたX線回折パターンに対し、僅かに低角度側にシフトしているが、ほとんど一致していることがわかった。
また、得られた回折ピークのうち、La3Si6N11結晶型に対応する6つの回折ピークを、低角側からそれぞれピーク1〜6と定義し、それぞれの回折ピークの2θの値を表7に示す。
表7から、得られた蛍光体のX線回折パターンは、それぞれピーク1〜6に対応して、(1)2θ=17.8°以上18.8°以下、(2)2θ=26.2°以上27.2°以下、(3)2θ=27.2°以上28.2°以下、(4)2θ=30.5°以上31.5°以下、(5)2θ=32.8°以上33.8°以下、および、(6)2θ=35.8°以上36.8°以下、の範囲内に回折ピークを有することがわかった。また、ピーク1〜6が示す面指数は、それぞれ、(001)、(211)、(310)、(221)、(311)、および、(410)であった。また、図18に示したように、AlNの仕込み配合量が多くなるほど、AlNやLaSi3N5に相当する回折ピークの回折強度が強くなっている。AlNについては、配合時のAlNが未反応のまま残ったためだと考えられる。LaSi3N5については、La3Si6N11結晶のストイキオメトリー組成からずれていくことにより、LaSi3N5相が生成されやすくなったためだと考えられる。
また、実施例1の蛍光体の空間群を、単結晶X線構造解析装置(Rigaku製VariMax)を用いて解析した。その結果、正方晶であることがわかった。このことから、実施例1〜4および比較例1は、一般式La3Si6N11で表される結晶とほとんど同じ結晶構造を有すると考えられる。
(実施例5〜10)
蛍光体の作製方法を以下に示す。出発原料として、LaN粉末、Si3N4粉末、AlN粉末、CeN粉末を用意した。まず、LaN粉末とSi3N4粉末とCeN粉末を、一般式La3-xCexSi6N11で表される組成となるように秤量し、それらを混合した。ただし、LaN粉末は、理論値よりも24%過剰に秤量した。この混合粉末にAlN粉末を加えて更に混合した。混合の方法としては、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、乳鉢を用いた乾式混合を行った。混合した原料粉末を窒化ホウ素製の坩堝に入れた。この原料粉末を、0.5MPaの窒素雰囲気中で1900℃にて2時間焼成した。焼成後の試料を濃度10%の硝酸溶液中で1時間洗浄した。以上の方法により、表8に示したような出発原料で、実施例5〜10を作製した。
<発光/励起スペクトルの評価>
実施例5〜10の発光スペクトルと励起スペクトルを、分光蛍光光度計(日本分光製FP−6500)を用いて測定した。実施例5〜10の発光スペクトルおよび励起スペクトルを図19A〜図19Fにそれぞれ示す。なお、励起光源にはXeランプを用いた。表8に示す各試料の励起ピーク波長を励起光源の波長として、発光スペクトルを測定した。表8に示す各試料の発光ピーク波長をモニター波長として、励起スペクトルを測定した。実施例5〜10の全ての試料において、波長600nm以上に発光ピーク波長を有する赤色発光が確認された。なお、得られた発光ピーク波長は、624nm〜653nmの範囲内であった。
また、実施例5〜10の全ての試料において、波長500nm以上に励起ピーク波長を有することが確認された。なお、得られた励起ピーク波長は、534nm〜542nmの範囲内であった。蛍光体中のCe濃度(xの値)が増大すると、Ce同士の励起準位の波動関数の重なりが大きくなる。そして、励起準位エネルギー幅が増大し、一種のバンドを形成するため、基底準位とのエネルギー差が減少する。このため、Ce濃度の増大に伴い、発光ピーク波長が長波長側にシフトしたと考えられる。
また、実施例5〜10においても、波長350nm以上500nm未満の範囲内に、励起スペクトルのピークをさらに有していた。
<内部量子効率の評価>
実施例5〜10の内部量子効率(IQE)を、絶対PL量子収率測定装置(浜松ホトニクス製C9920−02)を用いて測定した。実施例5〜10の相対発光強度を図20に示す。ここで、本実施例における相対発光強度とは、実施例5のIQEを100%とした場合の、各試料の相対値である。
図20より、相対発光強度は蛍光体中のCe濃度xによって変化することがわかる。例えば、Ce置換濃度xが0.03より高い範囲では、Ce置換濃度xが高くなるにつれ、相対発光強度が低下している。これは、濃度消光によるものだと考えられる。xは0より大きいので、Ceによる発光を得ることができる。また、図20より、xは、例えば、望ましくは0.015以上である。また、蛍光体が発光し得る限りxの最大値に特に制限はない。しかし、xの値が大きくなりすぎる場合には、濃度消光により発光強度が低下する。そのため、xは0.6以下が望ましい。また、図20より、xは、例えば、望ましくは0.3以下、より望ましくは0.15以下である。例えば、Ce置換濃度xを上記の範囲内にすることで、より高い発光強度を有する蛍光体を実現できることが示された。
<発光寿命の評価>
実施例5〜10の発光寿命を、蛍光寿命測定装置(浜松ホトニクス製Quantaurus−Tau小型蛍光寿命測定装置)により測定した。表9に、実施例5〜10の1/e発光寿命を示す。
実施例5〜10において、1/e発光寿命は全て100ns以下の値を示すことを確認した。よって、実施例5〜10の蛍光体は、高出力の励起光源と組み合わせることで、高出力の発光デバイスを実現できる。Ce濃度が増加すると、近接するCe同士でのエネルギー伝達が起こりやすくなり、エネルギーの回遊が生じる。エネルギーの回遊が生じている間に、結晶中の欠陥に電子が捕捉されると、非輻射遷移として緩和される。つまり、Ce濃度が増加するにつれて、遷移確率の比較的低い電子が、非発光(非輻射遷移)となる確率が上がったため、発光寿命が短くなったと考えられる。
<結晶構造の評価>
実施例5〜10および比較例1の粉末X線回折パターンを、X線回折測定装置(Rigaku製RINT2100)を用いて測定した。測定には、Cu−Kα線を用い、表10に示す条件で行った。
得られたX線回折パターンを、図21に示す。実施例5〜10のX線回折パターンは、比較例1で得られたX線回折パターンに対し、僅かに低角度側にシフトしているが、ほとんど一致していることがわかった。
また、得られた回折ピークのうち、La3Si6N11結晶型に対応する6つの回折ピークを、低角側からそれぞれピーク1〜6と定義し、それぞれの回折ピークの2θの値を表11に示す。
表11から、得られた蛍光体のX線回折パターンは、それぞれピーク1〜6に対応して、(1)2θ=17.8°以上18.8°以下、(2)2θ=26.2°以上27.2°以下、(3)2θ=27.2°以上28.2°以下、(4)2θ=30.5°以上31.5°以下、(5)2θ=32.8°以上33.8°以下、および、(6)2θ=35.8°以上36.8°以下、の範囲内に回折ピークを有することがわかった。また、ピーク1〜6が示す面指数は、それぞれ、(001)、(211)、(310)、(221)、(311)、および、(410)であった。これらの結果から、実施例5〜10の蛍光体の空間群は、実施例1〜4および比較例1と同様に、正方晶であり、一般式La3Si6N11で表される結晶とほとんど同じ結晶構造を有すると考えられる。
(実施例11および比較例3)
蛍光体の作製方法を以下に示す。出発原料として、LaN粉末、Si3N4粉末、AlN粉末、CeN粉末を用意した。まず、LaN粉末とSi3N4粉末とCeN粉末を、一般式La3-xCexSi6N11で表される組成となるように秤量し、それらを混合した。ただし、LaN粉末は、理論値よりも24%過剰に秤量した。この混合粉末にAlN粉末を加え、更に混合した。混合の方法としては、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、乳鉢を用いた乾式混合を行った。混合した原料粉末を窒化ホウ素製の坩堝に入れた。この原料粉末を、0.5MPaの窒素雰囲気中で1900℃にて2時間焼成した。焼成後の試料を濃度3%の塩酸溶液中で24時間洗浄した。以上の方法により、表12に示したような出発原料で、実施例11および比較例3を作製した。
また、実施例1〜10と同様に、実施例11では、波長600nm以上に発光ピーク波長を有する赤色発光が確認された。また、波長500nm以上に励起ピーク波長を有することが確認された。
<発光寿命の評価>
実施例11および比較例3の発光寿命を、蛍光寿命測定装置(浜松ホトニクス製Quantaurus−Tau小型蛍光寿命測定装置)により測定した。表13に、実施例11および比較例3の1/e発光寿命を示す。
実施例11において、1/e発光寿命は100ns以下の値を示すことを確認した。
<結晶構造の評価>
実施例11および比較例3の粉末X線回折パターンを、X線回折測定装置(Rigaku製RINT2100)を用いて測定した。測定には、Cu−Kα線を用い、上述の表12に示す条件で行った。得られたX線回折パターンを、図22Aおよび図22Bに示す。
実施例11のX線回折パターンは、比較例3で得られたX線回折パターンとほとんど一致していることがわかった。また、実施例11におけるそれぞれのX線回折ピークは、比較例3におけるそれぞれのX線回折ピークと比べ、僅かながら低角度側へシフトしていることがわかった。
また、得られた回折ピークのうち、La3Si6N11結晶型に対応する6つの回折ピークを、低角側からそれぞれピーク1〜6と定義し、それぞれの回折ピークの2θの値を表14に示す。
表14から、得られた蛍光体のX線回折パターンは、それぞれピーク1〜6に対応して、(1)2θ=17.8°以上18.8°以下、(2)2θ=26.2°以上27.2°以下、(3)2θ=27.2°以上28.2°以下、(4)2θ=30.5°以上31.5°以下、(5)2θ=32.8°以上33.8°以下、および、(6)2θ=35.8°以上36.8°以下、の範囲内に回折ピークを有することがわかった。また、ピーク1〜6が示す面指数は、それぞれ、(001)、(211)、(310)、(221)、(311)、および、(410)であった。これらの結果から、実施例11の蛍光体の空間群は、実施例1〜10および比較例1および比較例3と同様に、正方晶であり、一般式La3Si6N11で表される結晶とほとんど同じ結晶構造を有すると考えられる。
<組成の評価>
誘導結合プラズマ分光分析法(ICP−AES)を用いた測定により、実施例11および比較例3の組成分析を行った。測定の前処理を以下に示す。過酸化ナトリウムを用いてアルカリ融解を行い、融成物を塩酸で溶解した後、純水で希釈し、Siの含有量を分析した。また、四ホウ酸リチウムと炭酸ナトリウムを用いてアルカリ融解を行い、融成物を塩酸で溶解した後、純水で希釈し、LaとAlとCeの含有量を分析した。その結果を表15に示す。
表15より、実施例11はAlを含有していることがわかった。
また、AlとSiの含有量の総量を6molに換算した場合の、各元素のモル比率を表16に示す。
表16より、実施例11および比較例3の試料は、LaとCeの含有量の総量は化学量論組成(3mol)よりも少ないことがわかる。これは、出発材料であるLaNとCeNが、焼成時に分解したためだと考えられる。このように、発光しうる限りは、LaとCeは化学量論組成よりも少なくてもよい。例えば、LaとCeの含有量の総量は2mol以上3mol以下であってもよい。
次に、窒素と酸素の含有量を分析した。実施例11および比較例3の試料を2300℃の不活性ガス中で融解し、非分散型赤外線吸収法(NDIR)により酸素量を測定し、熱伝導度法(TCD)により窒素量を測定した。その結果を表17に示す。
表17より、実施例11の試料はOを含有していることがわかった。このように、発光しうる限りは、Oを含有してもよい。なお、アニオンとカチオンを同時に絶対的に定量化することは困難であるため、表15〜17が示す各元素の含有量の絶対値は、誤差を含む。そのため、本開示の蛍光体の組成は、表15〜17が示す各元素の含有量の絶対値によって、限定的に解釈されない。
<Ce配位子の局所構造の評価>
実施例11および比較例3のCe配位子の局所構造をX線吸収微細構造分析(XAFS)により測定した。XAFS測定は、国立研究開発法人理化学研究所、SPring8のビームライン16B2を用いて行った。
測定の前処理を以下に示す。実施例11の試料0.16gをBN粉末0.01gと乳鉢により混合し、金型成型により直径8mmのペレットを作製した。また、同様にして、比較例3の試料0.16gをBN粉末0.01gと乳鉢により混合し、金型成型により直径8mmのペレットを作製した。Ceとその近傍の配位子の局所構造を明らかにするため、CeのK吸収端付近の吸収スペクトルを測定した。EXAFS(Extended X−ray Absorption Fine Structure)振動を、オープンソースであるEXAFS解析ソフトAthenaにて解析することで、Ce原子近傍の動径分布関数を得た。
解析に用いたパラメータを表18に示す。
図23に実施例11の動径分布関数のグラフを示す。また、図24に比較例3の動径分布関数のグラフを示す。一般に、動径分布関数の横軸(Radial distance)は、近傍原子までの距離に相当する。また、縦軸(ピークの高さ)は、配位数nを示す。図23および図24において、1.1Å付近のピークは、測定信号のノイズによるゴーストピークである。1.9Å付近のピーク(P1)はCeの第一近接殻のピークである。2.6Å付近のピーク(P2)はCeの第二近接殻のピークである。3.3Å付近のピークはCeの第三近接殻のピークである。
図24から明らかなように、比較例3では、第一近接殻のピーク(P1)の高さは、第二近接殻のピーク(P2)の高さよりも高い。また、図23から明らかなように、実施例11では、第一近接殻のピーク(P1)の高さは、第二近接殻のピーク(P2)の高さよりも低い(約0.84倍)。また、実施例11のP2の高さは、比較例3のP2の高さとほぼ等しい。一方、実施例11のP1の高さは、比較例3のP1の高さよりも、明らかに低い。
以上の結果から、実施例11のCeの第一近接殻の配位数は、比較例3のCeの第一近接殻の配位数よりも、少ないことがわかる。
図23および図24の動径分布関数を、オープンソースのEXAFS解析ソフトArtemisを用いて、配位原子の解析を行った。その結果、実施例11のCe原子も比較例3のCe原子も、結晶構造のLaのAサイトを置換していることが判明した。また、比較例3ではCeの第一近接殻には窒素が8個配位しているのに対し、実施例11ではCeの第一近接殻には窒素が7個のみ配位していることが判明した。
以上の結果から、比較例3におけるCeの近傍の配位構造は、La3Si6N11におけるLaのAサイトと同じく、窒素を8個配位した構造であり、比較的対称性が高い構造であることが判明した。また、実施例11におけるCeの近傍の配位構造は、La3Si6N11におけるLaのAサイト近傍に窒素の欠陥が導入された構造となり、対称性が低い7配位の配位構造であることが判明した。
このように、実施例11では、フレンケル欠陥等によってCe近傍の配位構造の対称性が低くなったため、5d軌道の分裂が大きくなり、4f軌道とのエネルギー差が減少したと考えられる。そのため、発光波長が長波長化し、赤色に発光するCe系蛍光体が実現できたと考えられる。
実施例1〜11の蛍光体は、一般式La3Si6N11で表される結晶とほとんど同じ結晶構造でありながら、従来のLSN:Ce黄色蛍光体よりも長波長側の赤色発光を示した。この理由は必ずしも明らかではないが、例えば、以下のような可能性が考えられる。実施例1〜11の蛍光体は、原料にAl(例えば、AlN粉末)を含んだことで、従来とは異なり、赤色発光を実現した可能性が考えられる。また、実施例1〜11の蛍光体は、例えば、La3Si6N11結晶において、LaのAサイトの一部をCeで置換し、Ce近傍のSiの一部をAlで置換(もしくは、Si−Nの一部をAl−Oで置換)し、Nの一部が欠損している結晶構造を有することで、赤色発光を実現した可能性が考えられる。
<発光装置>
次に、実施形態1の発光装置について説明する。上述のとおり、実施形態1の発光装置は、固体光源と、固体光源からの出射光を波長変換する波長変換素子と、を備える。
前記固体光源は、少なくとも緑色光を発する。緑色光のピーク波長は、480nm以上550nm以下の範囲内にあり、望ましくは510nm以上540nm以下の範囲内にある。
なお、上記の固体光源としては、例えば、LEDまたはLDが挙げられる。固体光源は、GaN系のLEDまたはLDであってもよく、GaN系のLDが望ましい。
波長変換素子は、少なくとも、Ceを発光中心とした赤色蛍光体を含む。Ceを発光中心とする赤色蛍光体については、上記で詳細に説明したとおりである。
以上の構成によれば、高出力時においても量子効率の高い発光装置を構成することができる。
本実施形態における波長変換素子は、Ceを発光中心とした赤色蛍光体を第一の蛍光体とした場合、波長500nm以上600nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する第二の蛍光体をさらに含んでもよい。第二の蛍光体としては、化学組成Y3Al5O12:Ce(YAG:Ce)の結晶相を含有する蛍光体や、化学組成La3Si6N11:Ce(LSN:Ce)を有する結晶相を含有する蛍光体などを用いてもよい。
また、第二の蛍光体を、黄色光を発する蛍光体とし、さらに、緑色光を発する第三の蛍光体を組み合わせてもよい。すなわち、本実施形態における波長変換素子は、Ceを発光中心とした赤色蛍光体および黄色光を発する第二の蛍光体に加えて、緑色光を発する第三の蛍光体をさらに含んでもよい。第三の蛍光体は、固体光源が発する光を照射されることで、固体光源が発する光よりも長波長の蛍光を発する。第三の蛍光体としては、化学組成Lu3Al5O12:Ce(LuAG:Ce)の結晶相を含有する蛍光体や、化学組成Y3(Al,Ga)5N12:Ce(YAGG:Ce)を有する結晶相を含有する蛍光体などを用いてもよい。
なお、第二の蛍光体や第三の蛍光体が発する光を利用して、Ceを発光中心とした赤色蛍光体を励起してもよい。
また、第二の蛍光体である黄色蛍光体の代わりに、第三の蛍光体である緑色蛍光体を組み合わせてもよい。すなわち、本実施形態における波長変換素子は、Ceを発光中心とした赤色蛍光体に加えて、緑色光を発する第三の蛍光体をさらに含んでもよい。なお、本開示の緑色蛍光体の発光スペクトルのピーク波長は、固体光源からの緑色光のピーク波長よりも長くてもよい。本開示の緑色蛍光体が出射する光のピーク波長は、例えば、500nm以上560nm未満の範囲内である。緑色蛍光体に代えて発光スペクトルのピーク波長が560nm以上600nm以下の範囲内にある黄色蛍光体を用いてもよい。
本実施形態の発光装置においては、固体光源、赤色蛍光体、並びに、第二および第三の蛍光体は、発光装置の用途に応じて、上述の範囲内で自由に選択することができる。
上述のように、本実施形態の発光装置は、緑色光を発する固体光源と、Ceを発光中心とする赤色蛍光体とを用いており、従来の発光装置にはない構成を有する。この構成により、本実施形態の発光装置は、高効率な発光装置を実現できる。
また、本実施形態における波長変換素子に含まれる、Ceを発光中心とする赤色蛍光体の1/e発光寿命は、100ns以下の値を示してもよい。発光寿命は、輝度飽和特性に影響する。従来の赤色蛍光体であるCASN:Euなど、Euを含む蛍光体は、Ceを含む蛍光体と比較して発光寿命が長い。そのため、Euを含む蛍光体は、高出力励起時に量子効率が低下することで輝度飽和しやすい。したがって、Ceを発光中心とした赤色蛍光体は、従来の赤色蛍光体と比較して、高出力時でも量子効率が高い赤色蛍光体として有望である。また、本実施形態における波長変換素子に含まれる全ての蛍光体の1/e発光寿命が100ns以下の値を示してもよい。この場合、波長変換素子には、高出力光で励起すると発光の量子効率が低下する蛍光体が含まれないので、本実施形態の発光装置のさらなる高出力化を実現できる。
[実施形態2]
実施形態2の発光装置の一例として、発光素子としてのLEDチップを光源とするLED発光装置について説明する。図25は、実施形態2のLED発光装置の一実施形態を示す模式的な断面図である。図25に示すように、LED発光装置10は、蛍光体11と、LEDチップ(固体光源の一例)15と、LED封止体24と、を備える。また、LED発光装置10は支持体23を備えてもよい。支持体23は、LEDチップ15を支持する。本実施形態では、LED発光装置10は、面実装が可能な構造を備えているため、支持体23は基板である。なお、LED発光装置10においては、蛍光体11およびLED封止体24によって、波長変換素子が構成されている。
本実施形態は高輝度LED発光装置に用いることができる。例えば、LEDチップ15で発生した熱を効率的に外部へ放熱することができるよう、支持体23は高い熱伝導率を有している。例えば、アルミナや窒化アルミニウムなどからなるセラミック基板を支持体23として用いることができる。
LEDチップ15には、少なくとも緑色光を発するものが用いられる。すなわち、LEDチップ15には、少なくとも波長480nm以上550nm以下の範囲内に発光スペクトルのピークを有するもの、望ましくは510nm以上540nm以下の範囲内に発光スペクトルのピークを有するものが用いられる。LEDチップ15は、支持体23上において、出射面15aが支持体23と接する面とならないように、半田27などによって支持体23に固定されている。また、LEDチップ15はボンディングワイヤ21によって支持体23に設けられた電極22に電気的に接続されている。LEDチップ15は、LED封止体24で覆われている。
LED封止体24には、例えばシリコーン樹脂が使用されている。蛍光体11が、LED封止体24中に分散している。シリコーン樹脂には、半導体発光素子の封止樹脂として用いられる種々の化学式で規定される構造のシリコーン樹脂を用いることができる。シリコーン樹脂は、例えば、耐変色性が高いジメチルシリコーンを含んでいる。また、耐熱性の高いメチルフェニルシリコーン等もシリコーン樹脂として用いることができる。シリコーン樹脂は1種類の化学式で規定されるシロキサン結合による主骨格を持つ単独重合体であってもよい。また、2種類以上の化学式で規定されるシロキサン結合を有する構造単位を含む共重合体や2種類以上のシリコーンポリマーのアロイであってもよい。
本実施形態では、LED封止体24中のシリコーン樹脂は硬化後の状態にある。したがって、LED封止体24も硬化した状態にある。以下において説明するように、LED封止体24は、未硬化のシリコーン樹脂を用いて作製することができる。シリコーン樹脂は、主剤および硬化剤を混合することにより硬化が促進される2液型であることが一般的である。しかし、熱硬化型、あるいは、光などのエネルギーを照射することによって硬化するエネルギー硬化型のシリコーン樹脂を用いることもできる。なお、LED封止体24には、シリコーン樹脂以外のものを使用してもよい。例えば、ガラス、エポキシ樹脂、ZnOで構成される無機材料等を用いてもよい。また、蛍光体11は、LED封止体24中に分散させずに、LED封止体24上に蛍光体板の形態で配置してもよい。
上述した例では、LEDチップはワイヤボンディングされていたが、本実施形態で用いられるLEDチップは他の構成であってもよい。すなわち、本実施形態で用いられるLEDチップは、フェイスアップで実装されるものであっても、フリップチップで実装されるものであってもよい。また本実施形態で用いられるLEDチップは、一般的な極性面(c面)の成長面を有する窒化物半導体から形成される発光層を備えるものであってもよい。
<蛍光体の概要>
蛍光体11は、LEDチップ15から出射される光のうち、一部の波長成分、あるいは、すべての波長成分を吸収し、蛍光を発する。吸収する光の波長および蛍光の波長は、蛍光体11に含まれる蛍光材料の種類によって決まる。蛍光体11は、光の混色により白色光が作り出されるように、複数の異なる色の蛍光体を含む混合蛍光体であってもよい。蛍光体11は、緑色蛍光体および赤色蛍光体の混合蛍光体であってもよい。赤色蛍光体としては、実施形態1で説明したCeを発光中心とした赤色蛍光体が用いられる。
緑色蛍光体としては、例えば、MII 2MgSi2O7:Eu2+(MII=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、SrSi5AlO2N7:Eu2+、SrSi2O2N2:Eu2+、BaAl2O4:Eu2+、BaZrSi3O9:Eu2+、MII 2SiO4:Eu2+(MII=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、BaSi3O4N2:Eu2+、Ca8Mg(SiO4)4Cl2:Eu2+、Ca3SiO4Cl2:Eu2+、β−SiAlON:Eu2+などの蛍光体を用いることができる。
別の態様として、蛍光体11は、黄色蛍光体および赤色蛍光体の混合蛍光体であってもよい。赤色蛍光体としては、実施形態1の蛍光体が用いられる。黄色蛍光体としては、例えば、Y3Al5O12:Ce3+、CaSi2O2N2:Eu2+、(Ba,Sr)Si2O2N2:Eu2+、Ca3Sc2Si3O12:Ce3+、CaSc2O4:Ce3+、α−SiAlON:Eu2+、La3Si6N11:Ce3+などの蛍光体を用いることができる。
また、蛍光体11の粒子径は、例えば、それぞれ1μm以上80μm以下である。本明細書において、粒子径とは、顕微鏡法による円相当径で表したものをいう。
蛍光体11は、例えば、封止体100重量部に対して、3重量部以上70重量部以下の割合でLED封止体24に含まれている。蛍光体11の含有量が3重量部よりも少ない場合、十分な強度の蛍光が得られないため、所望の波長の光を発光するLED発光装置10を実現できなくなる場合がある。蛍光体11に用いる各色に発光する蛍光体の重量比は、所望する光の色調と、それぞれの蛍光体の発光強度に応じて適宜決定することができる。なお、蛍光体11を、実施形態1の赤色蛍光体のみにすることによって、あるいは、他の色の蛍光体と組み合わせることによって、LED発光装置を、所望の色を発するLED発光装置として構成することができる。
実施形態1で説明したCeを発光中心とした赤色蛍光体以外の上記の蛍光体は、公知方法に従って製造することができる。具体的には、酸化物蛍光体を作製する場合、原料としては、水酸化物、蓚酸塩、硝酸塩など、焼成により酸化物になる化合物、または、酸化物を用いることができる。ここで、反応を促進するために、フッ化物(例えば、フッ化カルシウム等)や塩化物(例えば、塩化カルシウム等)を少量添加することができる。蛍光体の製造は、上記の原料を混合し、焼成して行う。
原料の混合方法としては、溶媒中での湿式混合でも、乾燥粉体の乾式混合でもよい。工業的に通常用いられるボールミル、媒体撹拌ミル、遊星ミル、振動ミル、ジェットミル、V型混合機、攪拌機等を用いることができる。蛍光体原料の焼成は、大気中または還元性雰囲気下において、1100〜1700℃の温度範囲で1〜50時間程度行う。焼成に用いる炉は、工業的に通常用いられる炉を用いることができる。例えば、プッシャー炉等の連続式またはバッチ式の電気炉やガス炉、または、プラズマ焼結(SPS)や熱間静水圧加圧焼結(HIP)等の加圧焼成炉を用いることができる。得られた蛍光体粉末を、ボールミルやジェットミルなどを用いて再度粉砕し、さらに必要に応じて洗浄または分級することにより、蛍光体粉末の粒度分布や流動性を調整することができる。
上述のように、実施形態2の発光装置は、緑色光を発する固体光源と、Ceを発光中心とする赤色蛍光体とを用いており、従来の発光装置にはない構成を有する。この構成により、実施形態2の発光装置は、高効率な光源を実現することができる。
[実施形態3]
実施形態3では、本開示の発光装置の一例として、発光素子としてのLDを光源とするLD発光装置について説明する。図26は、実施形態3に係るLD発光装置60の概略構成を示している。LD発光装置60は、LD素子(固体光源の一例)58と、波長変換部材(波長変換素子の一例)61と、を備える。波長変換部材61は、蛍光体を含む。蛍光体は、LD素子58からの出射光を、より長波長の光に波長変換する。
LD素子58は、LEDよりも高い光パワー密度の光を出射することができる。よって、LD素子58の使用により高出力のLD発光装置60を構成することができる。LD素子58から蛍光体に照射される光パワー密度は、LD発光装置60の高出力化の観点から、例えば、0.5W/mm2以上である。また、蛍光体に照射される光パワー密度は、2W/mm2以上であってもよく、3W/mm2以上であってもよく、10W/mm2以上であってよい。一方で、蛍光体に照射される光パワー密度が高すぎると、蛍光体からの発熱量が増大して、LD発光装置60に悪影響を及ぼすおそれがある。よって、蛍光体に照射される光パワー密度は、150W/mm2以下であってもよく、100W/mm2以下であってもよく、50W/mm2以下であってもよく、20W/mm2以下であってもよい。
LD素子58には、緑色光を出射するLD素子を使用することができる。すなわち、LD素子58は、少なくとも波長480nm以上550nm以下の範囲内に発光スペクトルのピークを有するもの、望ましくは510nm以上540nm以下の範囲内に発光スペクトルのピークを有するものが用いられる。
LD素子58は、1つのLDから構成されたものであってもよく、複数のLDを光学的に結合させたものであってもよい。LD素子58は、例えば、非極性面または半極性面である成長面を有する窒化物半導体から形成される発光層を備えてもよい。
波長変換部材61の蛍光体は、Ceを発光中心とする赤色蛍光体を含む。Ceを発光中心とする赤色蛍光体については、実施形態1で説明したとおりであるため、ここでは詳細な説明を省略する。波長変換部材61は、発光装置の所望の発光色に応じて、Ceを発光中心とする赤色蛍光体以外の蛍光体をさらに含んでいてもよい。例えば、波長変換部材61が、黄色蛍光体および緑色蛍光体をさらに含んでいてもよい。黄色蛍光体および緑色蛍光体としては、実施形態2で例示したものを使用することができる。波長変換部材61は、複数種の蛍光体が混合された一層の波長変換層であってもよく、単一種あるいは複数種の蛍光体を含む波長変換層が少なくとも2層以上積層されたものであってもよい。本実施形態では、特に、Ceを発光中心とする赤色蛍光体12で構成される第1の蛍光体層62と、黄色蛍光体13で構成される第2の蛍光体層63とを積層した構成を有する波長変換部材61が用いられる場合について説明する。
第1の蛍光体層62、第2の蛍光体層63は、それぞれ、バインダー68,69を用いて構成されている。バインダー68,69は、例えば、樹脂、ガラスまたは透明結晶などの媒体である。バインダー68,69は、同じ材質であってもよく、異なる材質であってもよい。なお、各蛍光体層は、蛍光体粒子のみで構成されていてもよい。
波長変換部材61とLD素子58との間には、LD素子58の光を第2の蛍光体層63に導く入射光学系59が設けられていてもよい。入射光学系59は、例えば、レンズ、ミラー、または光ファイバーなどを備えている。
次に、本実施形態のLD発光装置60の動作について説明する。LD素子58から出射された緑色光は、入射光学系59を通り、波長変換部材61の第2の蛍光体層63に入射する。この入射光により、第2の蛍光体層63の複数の黄色蛍光体13が励起されて黄色光を出射する。また、第2の蛍光体層63で吸収されずに透過したLD素子58から出射された緑色光は、第1の蛍光体層62に入射する。この入射により、第1の蛍光体層62の複数の赤色蛍光体12が励起され赤色光を出射する。また、第2の蛍光体層63から放射された黄色光が、第1の蛍光体層62に入射する。この入射光の一部により、第1の蛍光体層62の複数の赤色蛍光体12が励起され赤色光を出射してもよい。また、第1の蛍光体層62でも第2の蛍光体層63でも吸収されずに透過したLD素子58から出射された緑色光は、外部へと放射される。これらの赤色光、黄色光、および緑色光が混合された光が、LD発光装置60から放射される。
なお、各蛍光体層の厚みは、LD素子58から出射された緑色光が第1の蛍光体層62を透過しないように調整してもよい。また、第2の蛍光体層63から放射された黄色光が、第1の蛍光体層62を透過しないように調整してもよい。この場合には、外部へ赤色光のみが放射される。別の態様として、第2の蛍光体層63で用いている黄色蛍光体13に代えて、実施形態2で説明した緑色蛍光体を用いてもよい。
上述のように、実施形態3の発光装置は、緑色光を発する固体光源と、Ceを発光中心とする赤色蛍光体とを用いており、従来の発光装置にはない構成を有する。この構成により、実施形態3の発光装置は、高効率な光源を実現することができる。
[実施形態4]
実施形態4では、本開示の発光装置の一例として、発光素子としてのLDを光源とするLD発光装置について説明する。図27は、実施形態4に係るLD発光装置80の概略構成を示している。実施形態3と同一の部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。LD発光装置80は、LD素子58と、波長変換部材81と、を備える。
波長変換部材81は、蛍光体を含む。蛍光体は、LD素子58からの出射光を、より長波長の光に波長変換する。波長変換部材81の蛍光体は、赤色蛍光体12と、黄色蛍光体13および緑色蛍光体14からなる群より選ばれる少なくとも1種とが混合された波長変換層を有する。赤色蛍光体12としては、Ceを発光中心とする赤色蛍光体が用いられる。Ceを発光中心とする赤色蛍光体については、実施形態1で説明したとおりであるため、ここでは詳細な説明を省略する。黄色蛍光体および緑色蛍光体としては、実施形態2で例示したものを使用することができる。本実施形態では、特に、波長変換部材81が、赤色蛍光体12、黄色蛍光体13、および緑色蛍光体14の3種を混合して形成した蛍光体層である場合を説明する。3種の蛍光体の混合比率は、所望の光の色調や、各蛍光体の発光強度などに応じて、適宜調整することが可能である。
波長変換部材81である蛍光体層は、バインダー68を用いて構成されている。バインダー68は、例えば、樹脂、ガラス、または透明結晶などの媒体である。バインダー68は、単一の材質であってもよく、場所により異なる材質であってもよい。なお、蛍光体層は、蛍光体粒子のみで構成されていてもよい。
LD素子58から出射された緑色光は、入射光学系59を通り、波長変換部材81中の赤色蛍光体12、黄色蛍光体13、および緑色蛍光体14により、それぞれ赤色光、黄色光、緑色光に変換される。蛍光体で吸収されなかったLD素子58から出射された緑色光と、赤色蛍光体12、黄色蛍光体13および緑色蛍光体14によりそれぞれ変換された赤色光、黄色光および緑色光とが混合された光が、LD発光装置80から放射される。なお、赤色蛍光体12は、緑色蛍光体14により出射された緑色光の一部の入射により励起されて、赤色光を出射してもよい。
上述のように、実施形態4の発光装置は、緑色光を発する固体光源と、Ceを発光中心とする赤色蛍光体とを用いており、従来の発光装置にはない構成を有する。この構成により、実施形態4の発光装置は、高効率な光源を実現することができる。
[実施形態5]
実施形態5における発光装置は、固体光源と、固体光源からの出射光を波長変換する波長変換素子と、を備える。
前記固体光源は、緑色光を発し、さらに青色光を発する。緑色光のピーク波長は、480nm以上550nm以下の範囲内にあり、望ましくは510nm以上540nm以下の範囲内にある。青色光のピーク波長は、430nm以上470nm以下であってもよい。
なお、上記の固体光源としては、例えば、LEDまたはLDが挙げられる。固体光源は、GaN系のLEDまたはLDであってもよく、GaN系のLDが望ましい。また、固体光源は、青色光を発するGaN系半導体レーザー装置と、緑色光を発する、第2高調波発生器を備えたYAG:Nd固体レーザー装置と、を含んでいてもよい。
波長変換素子は、少なくとも、Ceを発光中心とした赤色蛍光体を含む。Ceを発光中心とする赤色蛍光体については、実施形態1で説明したとおりであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
以上の構成によれば、高出力時においても量子効率の高い発光装置を構成することができる。
本実施形態における波長変換素子は、Ceを発光中心とした赤色蛍光体を第一の蛍光体とした場合、波長500nm以上600nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する第二の蛍光体をさらに含んでもよい。第二の蛍光体は、青色励起光源が発する光を照射されることで、青色励起光源が発する光よりも長波長の蛍光を発する。第二の蛍光体としては、化学組成Y3Al5O12:Ce(YAG:Ce)の結晶相を含有する蛍光体や、化学組成La3Si6N11:Ce(LSN:Ce)を有する結晶相を含有する蛍光体などを用いてもよい。
また、第二の蛍光体を、黄色光を発する蛍光体とし、さらに、緑色光を発する第三の蛍光体を組み合わせてもよい。すなわち、本実施形態における波長変換素子は、Ceを発光中心とした赤色蛍光体および黄色光を発する第二の蛍光体に加えて、緑色光を発する第三の蛍光体をさらに含んでもよい。第三の蛍光体は、固体光源が発する光を照射されることで、励起光源が発する光よりも長波長の蛍光を発する。第三の蛍光体としては、化学組成Lu3Al5O12:Ce(LuAG:Ce)の結晶相を含有する蛍光体や、化学組成Y3(Al,Ga)5N12:Ce(YAGG:Ce)を有する結晶相を含有する蛍光体などを用いてもよい。
なお、第二の蛍光体や第三の蛍光体が発する光を利用して、Ceを発光中心とした赤色蛍光体を励起してもよい。
また、第二の黄色蛍光体の代わりに第三の緑色蛍光体を組み合わせてもよい。すなわち、本実施形態における波長変換素子は、Ceを発光中心とした赤色蛍光体に加えて、緑色光を発する第三の蛍光体をさらに含んでもよい。
本実施形態の発光装置においては、固体光源、赤色蛍光体、並びに、第二および第三の蛍光体は、発光装置の用途に応じて、上述の範囲内で自由に選択することができる。
また、本実施形態における波長変換素子に含まれる全ての蛍光体の1/e発光寿命が、100ns以下の値を示してもよい。発光寿命は、輝度飽和特性に影響する。従来の赤色蛍光体であるCASN:Euなど、Euを含む蛍光体は、Ceを含む蛍光体と比較して発光寿命が長い。そのため、Euを含む蛍光体は、高出力励起時に量子効率が低下することで輝度飽和しやすい。したがって、Ceを発光中心とした赤色蛍光体は、従来の赤色蛍光体と比較して、高出力時でも量子効率が高い赤色蛍光体として有望である。
上述のように、本実施形態の発光装置は、緑色光と青色光とを発する固体光源と、Ceを発光中心とする赤色蛍光体とを用いており、従来の発光装置にはない構成を有する。この構成により、本実施形態の発光装置は、演色性の高い高出力の発光装置や電球色に発光する高出力の発光装置を実現できる。
[実施形態6]
実施形態6では、本開示の発光装置の一例として、発光素子としてのLEDチップを光源とするLED発光装置について説明する。
図28は、実施形態6のLED発光装置の一実施形態を示す模式的な断面図である。図28に示すように、LED発光装置10は、蛍光体11と、LEDチップ15−1と、LEDチップ15−2と、LED封止体24と、を備える。また、LED発光装置10は支持体23を備えてもよい。支持体23は、LEDチップ15を支持する。本実施形態では、LED発光装置10は、面実装が可能な構造を備えているため、支持体23は基板である。なお、本実施形態において、LEDチップ15は、LEDチップ15−1およびLEDチップ15−2の両方を指す。
本実施形態は高輝度LED発光装置に用いることができる。例えば、LEDチップ15で発生した熱を効率的に外部へ放熱することができるよう、支持体23は高い熱伝導率を有している。例えば、アルミナや窒化アルミニウムなどからなるセラミック基板を支持体23として用いることができる。
LEDチップ15−1には、青色領域で発光するものが用いられ、波長430nm以上470nm以下の範囲内に発光スペクトルのピークを有するものが用いられる。LEDチップ15−1として、具体的には、青色LEDチップが用いられる。
LEDチップ15−2には、緑色領域で発光するものが用いられ、波長480nm以上550nm以下の範囲内に発光スペクトルのピークを有するもの、望ましくは510nm以上540nm以下の範囲内に発光スペクトルのピークを有するものが用いられる。LEDチップ15−2として、具体的には、緑色LEDチップが用いられる。
LEDチップ15は、支持体23上において、出射面15aが支持体23と接する面とならないように、半田27などによって支持体23に固定されている。また、LEDチップ15はボンディングワイヤ21によって支持体23に設けられた電極22に電気的に接続されている。LEDチップ15は、LED封止体24で覆われている。
LED封止体24には、シリコーン樹脂が使用されている。蛍光体11が、LED封止体24中に分散している。シリコーン樹脂には、半導体発光素子の封止樹脂として用いられる種々の化学式で規定される構造のシリコーン樹脂を用いることができる。シリコーン樹脂は、例えば、耐変色性が高いジメチルシリコーンを含んでいる。また、耐熱性の高いメチルフェニルシリコーン等もシリコーン樹脂として用いることができる。シリコーン樹脂は1種類の化学式で規定されるシロキサン結合による主骨格を持つ単独重合体であってもよい。また、2種類以上の化学式で規定されるシロキサン結合を有する構造単位を含む共重合体や2種類以上のシリコーンポリマーのアロイであってもよい。
本実施形態では、LED封止体24中のシリコーン樹脂は硬化後の状態にある。したがって、LED封止体24も硬化した状態にある。以下において説明するように、LED封止体24は、未硬化のシリコーン樹脂を用いて作製することができる。シリコーン樹脂は、主剤および硬化剤を混合することにより硬化が促進される2液型であることが一般的である。しかし、熱硬化型、あるいは、光などのエネルギーを照射することによって硬化するエネルギー硬化型のシリコーン樹脂を用いることもできる。なお、LED封止体24には、シリコーン樹脂以外のものを使用してもよい。例えば、ガラス、エポキシ樹脂等、ZnOで構成される無機材料を用いてもよい。また、蛍光体11は、LED封止体24中に分散させずに、LED封止体24上に蛍光体板の形態で配置してもよい。
上述した例では、LEDチップはワイヤボンディングされていたが、本実施形態で用いられるLEDチップは他の構成であってもよい。すなわち、本実施形態で用いられるLEDチップは、フェイスアップで実装されるものであっても、フリップチップで実装されるものであってもよい。また本実施形態で用いられるLEDチップは、一般的な極性面(c面)の成長面を有する窒化物半導体から形成される発光層を備えるものであってもよい。
<蛍光体の概要>
蛍光体11は、LEDチップ15−1から出射される青色領域の光と、LEDチップ15−2から出射される緑色領域の光のうち、一部の波長成分、あるいは、すべての波長成分を吸収し、蛍光を発する。吸収する光の波長および蛍光の波長は、蛍光体11に含まれる蛍光材料の種類によって決まる。蛍光体11は、光の混色により白色光が作り出されるように、複数の異なる色の蛍光体を含む混合蛍光体であってもよい。蛍光体11は、緑色蛍光体および赤色蛍光体の混合蛍光体であってもよい。赤色蛍光体としては、実施形態1で説明したCeを発光中心とした赤色蛍光体が用いられる。
緑色蛍光体としては、例えば、Lu3Al5O12:Ceや、Y3(Al,Ga)5N12:Ceなどの蛍光体を用いることができる。
別の態様として、蛍光体11は、黄色蛍光体および赤色蛍光体の混合蛍光体であってもよい。黄色蛍光体としては、例えば、Y3Al5O12:Ce(YAG:Ce)や、La3Si6N11:Ceなどの蛍光体を用いることができる。
また、蛍光体11の粒子径は、例えば、それぞれ1μm以上80μm以下である。本明細書において、粒子径とは、顕微鏡法による円相当径で表したものをいう。
蛍光体11は、例えば、封止体100重量部に対して、3重量部以上70重量部以下の割合でLED封止体24に含まれている。蛍光体11の含有量が3重量部よりも少ない場合、十分な強度の蛍光が得られないため、所望の波長の光を発光するLED発光装置10を実現できなくなる場合がある。蛍光体11に用いる各色に発光する蛍光体の重量比は、所望する白色光の色調と、それぞれの蛍光体の発光強度に応じて適宜決定することができる。なお、蛍光体11を、実施形態1の赤色蛍光体のみにすることによって、あるいは、他の色の蛍光体と組み合わせることによって、LED発光装置を、白色以外の色を発するLED発光装置として構成することもできる。
実施形態6の発光装置によれば、Ceを発光中心とした赤色蛍光体を用い、吸収効率の高い緑色光で赤色蛍光体を励起するため、従来よりも量子効率を向上させることができる。さらに、実施形態6の発光装置を白色発光装置として構成した場合には、高い演色性および色再現性を実現できる。
[実施形態7]
実施形態7では、本開示の発光装置の一例として、発光素子としてのLDを光源とするLD発光装置について説明する。図29は、実施形態7に係るLD発光装置60の概略構成を示している。LD発光装置60は、LD素子(固体光源)58−1と、LD素子(固体光源)58−2と、波長変換部材(波長変換素子)である蛍光体層62と、を備える。LD素子58−1は、青色光を発するLDである。LD素子58−2は、緑色光を発するLDである。蛍光体層62は、蛍光体を含む。蛍光体は、LD素子58からの出射光を、より長波長の光に波長変換する。なお、本実施形態において、LD素子58とは、LD素子58−1およびLD素子58−1の両方を指す。
LD素子58は、LEDよりも高い光パワー密度の光を出射することができる。よって、LD素子58の使用により高出力のLD発光装置60を構成することができる。LD素子58から蛍光体に照射される光パワー密度は、LD発光装置60の高出力化の観点から、例えば、0.5W/mm2以上である。また、蛍光体に照射される光パワー密度は、2W/mm2以上であってもよく、3W/mm2以上であってもよく、10W/mm2以上であってよい。一方で、蛍光体に照射される光パワー密度が高すぎると、蛍光体からの発熱量が増大して、LD発光装置60に悪影響を及ぼすおそれがある。よって、蛍光体に照射される光パワー密度は、150W/mm2以下であってもよく、100W/mm2以下であってもよく、50W/mm2以下であってもよく、20W/mm2以下であってもよい。
LD素子58−1には、青色領域で発光するものが用いられ、波長430nm以上470nm以下の範囲内に発光スペクトルのピークを有するものが用いられる。LD素子58−1として、具体的には、青色光を出射するLD素子が用いられる。LD素子58−1として、GaN系半導体レーザー装置、すなわちGaN系のLDを用いてもよい。
LD素子58−2には、緑色領域で発光するものが用いられ、波長480nm以上550nm以下の範囲内に発光スペクトルのピークを有するもの、望ましくは510nm以上540nm以下の範囲内に発光スペクトルのピークを有するものが用いられる。LD素子58−2として、具体的には、緑色光を出射するLD素子が用いられる。LD素子58−2として、GaN系半導体レーザー装置、すなわちGaN系のLDを用いてもよい。LD素子58−2として、第2高調波発生器を備えたYAG:Nd固体レーザー装置を用いてもよい。
LD素子58は、例えば、非極性面または半極性面である成長面を有する窒化物半導体から形成される発光層を備えてもよい。
波長変換部材である蛍光体層62は、Ceを発光中心とした赤色蛍光体12を含む。Ceを発光中心とする赤色蛍光体については、実施形態1で説明したとおりであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
蛍光体層62は、バインダー68を用いて構成されている。バインダー68は、例えば、樹脂、ガラス又は透明結晶などの媒体である。なお、蛍光体層62は、蛍光体粒子のみで構成されていてもよい。
蛍光体層62とLD素子58−1との間、および、蛍光体層62とLD素子58−2には、LD素子58の光を蛍光体層62に導く入射光学系59が設けられていてもよい。入射光学系59は、例えば、レンズ、ミラー、または光ファイバーなどを備えている。
次に、本実施形態のLD発光装置60の動作について説明する。LD素子58−1から出射された青色光は、入射光学系59を通り、蛍光体層62に入射する。この入射光により、蛍光体層62の複数の赤色蛍光体12が励起されて赤色光を出射する。また、蛍光体層62で吸収されずに透過したLD素子58−1から出射された青色光は、外部へと放射される。
LD素子58−2から出射された緑色光は、入射光学系59を通り、蛍光体層62に入射する。この入射光により、蛍光体層62の複数の赤色蛍光体12が励起されて赤色光を出射する。また、蛍光体層62で吸収されずに透過したLD素子58−2から出射された緑色光は、外部へと放射される。
蛍光体層62から外部へ放射された上記の赤色光、緑色光、および青色光が混合して、白色光となる。
なお、蛍光体層62の厚みは、LD素子58−1から出射された青色光およびLD素子58−2から出射された緑色光が、蛍光体層62を透過しないように調整してもよい。この場合には、外部へ赤色光のみが放射される。
次に、本実施形態のLD発光装置60の変形例について、図30Aから図30Hを参照しながら説明する。なお、以下の説明では、図29に示したLD発光装置60の構成を、基本構成ということがある。
図30Aは、本実施形態のLD発光装置60の第1変形例の概略構成を示している。第1変形例のLD発光装置60は、入射光学系59と蛍光体層62との間に、入射光学系59から出射された青色光及び緑色光を1点に集光して蛍光体層62に照射するための、集光レンズ70が設けられている。第1変形例のその他の構成は、基本構成と同じである。
図30Bは、本実施形態のLD発光装置60の第2変形例の概略構成を示している。第2変形例のLD発光装置60には、LD素子58−1用に設けられている入射光学系59と蛍光体層62との間に、入射光学系59から出射された青色光を1点に集光して蛍光体層62に照射するための集光レンズ70が設けられている。さらに、第2変形例のLD発光装置60には、LD素子58−2用に設けられている入射光学系59と蛍光体層62との間に、入射光学系59から出射された緑色光を1点に集光して蛍光体層62に照射するための集光レンズ70が設けられている。第2変形例のその他の構成は、基本構成と同じである。
図30Cは、本実施形態のLD発光装置60の第3変形例の概略構成を示している。第3変形例のLD発光装置60は、第2変形例の構成をさらに変形した構成を有する。第3変形例のLD発光装置60は、第2変形例の構成において、LD素子58−1およびLD素子58−2のそれぞれが、蛍光体層62の照射面に対して傾けられた状態で設置されている。この構成によれば、蛍光体層62に対する青色光及び緑色光の照射領域を揃えることができる。
図30Dは、本実施形態のLD発光装置60の第4変形例の概略構成を示している。第4変形例のLD発光装置60は、1つのLD素子58に青色LDと緑色LDの両方が搭載された構成を有する。第4変形例のその他の構成は、基本構成と同じである。この構成によれば、1つのLD素子で緑色光と青色光との両方を発することが可能となり、例えば発光装置の小型化が可能となる。
図30Eは、本実施形態のLD発光装置60の第5変形例の概略構成を示している。第5変形例のLD発光装置60は、LD素子58−1から出射された青色光と、LD素子58−2から出射された緑色光とを蛍光体層62に導くためのダイクロイックミラー71を備えている。第5変形例のLD発光装置60は、さらに、ダイクロイックミラー71と蛍光体層62との間に、ダイクロイックミラー71から出射された青色光及び緑色光を1点に集光して蛍光体層62に照射するための、集光レンズ70が設けられている。第5変形例のその他の構成は、基本構成と同じである。
図30Fは、本実施形態のLD発光装置60の第6変形例の概略構成を示している。第6変形例のLD発光装置60は、LD素子58−1から出射された青色光を蛍光体層62に入射させない構成を有する。すなわち、第6変形例のLD発光装置60では、LD素子58−2から出射された緑色光のみが蛍光体層62に入射する。第6変形例のその他の構成は、基本構成と同じである。この第6変形例の構成では、LD素子58−2から出射された緑色光は、入射光学系59を通り、蛍光体層62に入射する。この入射光により、蛍光体層62の複数の赤色蛍光体12が励起されて赤色光を出射する。また、蛍光体層62で吸収されずに透過したLD素子58−2から出射された緑色光は、外部へと放射される。このように蛍光体層62から外部へ放射された赤色光および緑色光と、LD素子58−1から出射された青色光とが混合して、白色光となる。
図30Gは、本実施形態のLD発光装置60の第7変形例の概略構成を示している。第6変形例のLD発光装置60は、基本構造に対してLD素子58−3をさらに備える。LD素子58−3には、緑色領域で発光するものが用いられ、波長480nm以上550nm以下の範囲内に発光スペクトルのピークを有するもの、望ましくは510nm以上540nm以下の範囲内に発光スペクトルのピークを有するものが用いられる。第6変形例のLD発光装置60では、LD素子58−3から出射された緑色光のみが蛍光体層62に入射する。LD素子58−1から出射された青色光およびLD素子58−2から出射された緑色光は、蛍光体層62は入射せず、そのまま使用される。この第7変形例の構成では、LD素子58−3から出射された緑色光は、入射光学系59を通り、蛍光体層62に入射する。この入射光により、蛍光体層62の複数の赤色蛍光体12が励起されて赤色光を出射する。また、蛍光体層62で吸収されずに透過したLD素子58−2から出射された緑色光は、外部へと放射される。このように蛍光体層62から外部へ放射された赤色光および緑色光と、LD素子58−1から出射された青色光と、LD素子58−2から出射された緑色光とが混合して、白色光となる。
図30Hは、本実施形態のLD発光装置60の第8変形例の概略構成を示している。第8変形例のLD発光装置60では、LD素子58−2から出射された緑色光のみが蛍光体層62に入射する。LD素子58−1から出射された青色光は、散乱体64を含む散乱体層65に入射する。この第8変形例の構成では、LD素子58−2から出射された緑色光は、入射光学系59を通り、蛍光体層62に入射する。この入射光により、蛍光体層62の複数の赤色蛍光体12が励起されて赤色光を出射する。また、蛍光体層62で吸収されずに透過したLD素子58−2から出射された緑色光は、外部へと放射される。一方、LD素子58−1から出射された青色光は、散乱体層65に入射し、散乱体64で散乱されて、インコヒーレント光として外部へ放射される。このように、蛍光体層62から外部へ放射された赤色光および緑色光と、散乱体層65から放射された青色光とが混合して、白色光となる。
図30Iは、本実施形態のLD発光装置60の第9変形例の概略構成を示している。第第9変形例のLD発光装置60では、LD素子58−1から出射された青色光およびLD素子58−2から出射された緑色光が光ファイバー介して蛍光体層62に入射する。第9変形例のLD発光装置60は、LD素子58−1から出射された青色光およびLD素子58−2から出射された緑色光が入射する光ファイバー72と、青色光および緑色光を合波する合波器73とを備えている。第9変形例のLD発光装置60では、合波された光は、入射光学系59および集光レンズ70を介して、蛍光体層62に入射する。
実施形態7の発光装置によれば、Ceを発光中心とした赤色蛍光体を用い、吸収効率の高い緑色光で赤色蛍光体を励起するため、従来よりも量子効率を向上させることができる。さらに、実施形態7の発光装置を白色発光装置として構成した場合には、高い演色性および色再現性を実現できる。
[実施形態8]
実施形態8では、本開示の発光装置の一例として、発光素子としてのLDを光源とするLD発光装置について説明する。図31は、実施形態8に係るLD発光装置60の概略構成を示している。実施形態8のLD発光装置は、波長変換部材(波長変換素子)が2層の蛍光体層で構成されている点を除き、図29に示されている実施形態7のLD発光装置60と同じ構成を有する。したがって、ここでは、波長変換部材ついてのみ説明する。
波長変換部材61の蛍光体は、Ceを発光中心とする赤色蛍光体を含む。Ceを発光中心とする赤色蛍光体については、実施形態1で説明したとおりであるため、ここでは詳細な説明を省略する。波長変換部材61は、発光装置の所望の発光色に応じて、Ceを発光中心とする赤色蛍光体以外の蛍光体をさらに含んでいてもよい。本実施形態における波長変換部材61は、Ceを発光中心とする赤色蛍光体12で構成される第1の蛍光体層62と、黄色蛍光体13で構成される第2の蛍光体層63とを積層した構成を有する。
第1の蛍光体層62、第2の蛍光体層63は、それぞれ、バインダー68,69を用いて構成されている。バインダー68,69は、例えば、樹脂、ガラスまたは透明結晶などの媒体である。バインダー68,69は、同じ材質であってもよく、異なる材質であってもよい。なお、各蛍光体層は、蛍光体粒子のみで構成されていてもよい。
次に、本実施形態のLD発光装置60の動作について説明する。
LD素子58−1から出射された青色光は、入射光学系59を通り、波長変換部材61の第2の蛍光体層63に入射する。この入射光により、第2の蛍光体層63の複数の黄色蛍光体13が励起されて黄色光を出射する。また、第2の蛍光体層63で吸収されずに透過したLD素子58−1から出射された青色光は、第1の蛍光体層62に入射する。この入射により、第1の蛍光体層62の複数の赤色蛍光体12が励起され赤色光を出射する。また、第2の蛍光体層63から放射された黄色光が、第1の蛍光体層62に入射する。この入射光の一部により、第1の蛍光体層62の複数の赤色蛍光体12が励起され赤色光を出射してもよい。また、第1の蛍光体層62でも第2の蛍光体層63でも吸収されずに透過したLD素子58−1から出射された青色光は、外部へと放射される。
LD素子58−2から出射された緑色光は、入射光学系59を通り、波長変換部材61の第2の蛍光体層63に入射する。この入射光により、第2の蛍光体層63の複数の黄色蛍光体13が励起されて黄色光を出射する。また、第2の蛍光体層63で吸収されずに透過したLD素子58−1から出射された緑色光は、第1の蛍光体層62に入射する。この入射により、第1の蛍光体層62の複数の赤色蛍光体12が励起され赤色光を出射する。また、第2の蛍光体層63から放射された黄色光が、第1の蛍光体層62に入射する。この入射光の一部により、第1の蛍光体層62の複数の赤色蛍光体12が励起され赤色光を出射してもよい。また、第1の蛍光体層62でも第2の蛍光体層63でも吸収されずに透過したLD素子58−1から出射された緑色光は、外部へと放射される。
これらの赤色光、黄色光、青色光および緑色光が混合して、白色光となる。
なお、各蛍光体層の厚みは、LD素子58から出射された青色光が第1の蛍光体層62を透過しないように調整してもよい。また、第2の蛍光体層63から放射された黄色光が、第1の蛍光体層62を透過しないように調整してもよい。この場合には、外部へ赤色光のみが放射される。別の態様として、第2の蛍光体層63で用いている黄色蛍光体13に代えて、実施形態2で説明した緑色蛍光体を用いてもよい。
実施形態8の発光装置によれば、Ceを発光中心とした赤色蛍光体を用い、吸収効率の高い緑色光で赤色蛍光体を励起するため、従来よりも量子効率を向上させることができる。さらに、実施形態8の発光装置を白色発光装置として構成した場合には、高い演色性および色再現性を実現できる。
[実施形態9]
実施形態9では、本開示の発光装置の一例として、発光素子としてのLDを光源とするLD発光装置について説明する。図32は、実施形態9に係るLD発光装置80の概略構成を示している。なお、実施形態7および8と同一の部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。
LD発光装置80は、LD素子58−1と、LD素子58−2と、波長変換部材81と、を備える。波長変換部材81の蛍光体は、赤色蛍光体12と、黄色蛍光体13および緑色蛍光体14からなる群より選ばれる少なくとも1種とが混合された波長変換層を有する。赤色蛍光体12としては、Ceを発光中心とする赤色蛍光体が用いられる。Ceを発光中心とする赤色蛍光体については、実施形態1で説明したとおりであるため、ここでは詳細な説明を省略する。黄色蛍光体および緑色蛍光体としては、実施形態2で例示したものを使用することができる。本実施形態では、特に、波長変換部材81が、赤色蛍光体12、黄色蛍光体13、および緑色蛍光体14の3種を混合して形成した蛍光体層である場合を説明する。3種の蛍光体の混合比率は、所望の白色光の色調や、各蛍光体の発光強度などに応じて、適宜調整することが可能である。
波長変換部材81である蛍光体層は、バインダー68を用いて構成されている。バインダー68は、例えば、樹脂、ガラス、または透明結晶などの媒体である。バインダー68は、単一の材質であってもよく、場所により異なる材質であってもよい。なお、蛍光体層は、蛍光体粒子のみで構成されていてもよい。
LD素子58−1から出射された青色光は、入射光学系59を通り、波長変換部材81中の赤色蛍光体12、黄色蛍光体13、および緑色蛍光体14により、それぞれ赤色光、黄色光、緑色光に変換される。LD素子58−1から出射された緑色光は、入射光学系59を通り、波長変換部材81中の赤色蛍光体12および黄色蛍光体13により、それぞれ赤色光、黄色光に変換される。蛍光体で吸収されなかったLD素子58−1から出射された青色光と、蛍光体で吸収されなかったLD素子58−2から出射された緑色光と、赤色蛍光体12、黄色蛍光体13および緑色蛍光体14によりそれぞれ変換された赤色光、黄色光および緑色光とを混合して、白色光となる。なお、赤色蛍光体12は、緑色蛍光体14により出射された緑色光の一部の入射により励起されて、赤色光を出射してもよい。また、波長変換部材81の厚みは、LD素子58−1から出射された青色光およびLD素子58−2から出射された緑色光が波長変換部材81を透過しないように調整してもよい。この場合には、外部へ赤色光のみが放射される。
次に、本実施形態のLD発光装置80の変形例について、図33Aから図33Cを参照しながら説明する。なお、以下の説明では、図32に示したLD発光装置80の構成を、基本構成ということがある。
図33Aは、本実施形態のLD発光装置80の第1変形例の概略構成を示している。第1変形例のLD発光装置80では、波長変換部材81が、赤色蛍光体12および緑色蛍光体14の2種を混合して形成した蛍光体層である。第1変形例のその他の構成は、基本構成と同じである。この構成では、LD素子58−1から出射された青色光は、入射光学系59を通り、波長変換部材81に入射する。この入射光により、波長変換部材81の複数の赤色蛍光体12が励起されて赤色光を出射する。また、波長変換部材81で吸収されずに透過したLD素子58−1から出射された青色光は、外部へと放射される。LD素子58−2から出射された緑色光は、入射光学系59を通り、波長変換部材81に入射する。この入射光により、波長変換部材81の複数の赤色蛍光体12が励起されて赤色光を出射する。また、波長変換部材81で吸収されずに透過したLD素子58−2から出射された緑色光は、外部へと放射される。これらの赤色光、緑色光、および青色光が混合して、白色光となる。
図33Bは、本実施形態のLD発光装置80の第2変形例の概略構成を示している。第2変形例のLD発光装置80では、波長変換部材81が、赤色蛍光体12が設けられている領域と、緑色蛍光体14が設けられている領域との2つの領域に分割されている。詳しくは、波長変換部材81において、LD素子58−1から出射された青色光が照射される領域は、緑色蛍光体14が設けられている領域である。LD素子58−2から出射された緑色光が照射される領域は、赤色蛍光体12が設けられている領域である。第2変形例のその他の構成は、基本構成と同じである。この構成では、LD素子58−1から出射された青色光は、入射光学系59を通り、波長変換部材81に入射する。この入射光により、波長変換部材81の複数の緑色蛍光体14が励起されて緑色光を出射する。また、波長変換部材81で吸収されずに透過したLD素子58−1から出射された青色光は、外部へと放射される。LD素子58−2から出射された緑色光は、入射光学系59を通り、波長変換部材81に入射する。この入射光により、波長変換部材81の複数の赤色蛍光体12が励起されて赤色光を出射する。また、波長変換部材81で吸収されずに透過したLD素子58−2から出射された緑色光は、外部へと放射される。これらの赤色光、緑色光、および青色光が混合して、白色光となる。
図33Cは、本実施形態のLD発光装置80の第3変形例の概略構成を示している。第3変形例のLD発光装置80では、波長変換部材81が、赤色蛍光体12で構成される第1の蛍光体層82と、黄色蛍光体13で構成される第2の蛍光体層83と、緑色蛍光体14で構成される第3の蛍光体層84と、が積層された構成を有する。第3変形例のその他の構成は、基本構成と同じである。この構成では、LD素子58−1から出射された青色光は、入射光学系59を通り、波長変換部材81の第3の蛍光体層84に入射する。この入射光により、第3の蛍光体層84の複数の緑色蛍光体14が励起されて緑色光を出射する。また、第3の蛍光体層84で吸収されずに透過したLD素子58−1から出射された青色光は第2の蛍光体層83に入射する。この入射により、第2の蛍光体層83の複数の黄色蛍光体13が励起されて黄色光を出射する。また、第2の蛍光体層83で吸収されずに透過したLD素子58−1から出射された青色光は、第1の蛍光体層82に入射する。この入射により、第1の蛍光体層82の複数の赤色蛍光体12が励起され赤色光を出射する。一方、LD素子58−2から出射された緑色光は、入射光学系59を通り、波長変換部材81の第3の蛍光体層84に入射する。第3の蛍光体層84で吸収されずに透過したLD素子58−1から出射された緑色光は、第2の蛍光体層83に入射する。この入射により、第2の蛍光体層83の複数の黄色蛍光体13が励起されて黄色光を出射する。また、第2の蛍光体層83で吸収されずに透過したLD素子58−2から出射された緑色光は、第1の蛍光体層82に入射する。この入射により、第1の蛍光体層82の複数の赤色蛍光体12が励起され赤色光を出射する。また、第1の蛍光体層82の赤色蛍光体は、第3の蛍光体層84から出射された緑色光によって励起されて赤色光を出射してもよい。これらの赤色光、黄色光、青色光および緑色光が混合して、白色光となる。
実施形態9の発光装置によれば、Ceを発光中心として用いた赤色蛍光体を用い、吸収効率の高い緑色光で赤色蛍光体を励起するため、従来よりも量子効率を向上させることができる。さらに、実施形態9の発光装置を白色発光装置として構成した場合には、高い演色性および色再現性を実現できる。
[実施形態10]
実施形態10では、本開示の照明装置の一例について説明する。図34は、実施形態10に係る照明装置120の概略構成を示している。照明装置120は、光源121と、光源121が発する光を前方に導く出射光学系122と、を備える。光源からの発光色を調整するために、光源からの光を吸収または反射する波長カットフィルター123を設けてもよい。光源121は、Ceを発光中心とした赤色蛍光体を含む。また、光源121は、実施形態2〜9の発光装置10、60または80であってもよい。出射光学系122は、例えば、リフレクタであってもよい。出射光学系122は、例えば、AlまたはAgなどの金属膜、または、表面に保護膜が形成されたAl膜を有してもよい。
実施形態10の照明装置によれば、Ceを発光中心とした赤色蛍光体を用いるため、高出力時において従来の照明装置よりも量子効率を向上させることができる。さらに、白色照明装置として構成した場合には、高い演色性および色再現性を実現できる。
(実施形態11)
実施形態11では、本開示の照明装置の応用例として、照明装置を備えた車両について説明する。図35は、実施形態11に係る車両140の概略構成を示している。車両140は、実施形態10の照明装置120である車両用ヘッドランプと、電力供給源141と、を備える。また、車両140は、エンジン等の駆動源によって回転駆動され、電力を発生する発電機142を有してもよい。発電機142が生成した電力は、電力供給源141に蓄えられてもよい。電力供給源141は、充放電が可能な2次電池であってもよい。照明装置120は、電力供給源141からの電力によって点灯する。車両140は、例えば、自動車、2輪車、または特殊車両である。また、車両140は、エンジン車、電気車、またはハイブリッド車であってもよい。
実施形態11の車両によれば、Ceを発光中心とした赤色蛍光体を含む車両用ヘッドランプを用いるため、高出力時において従来よりも前方を明るく照らすことができる。さらに、白色照明装置として構成した場合には、高い演色性および色再現性を実現できる。
[実施形態12]
図36〜38にCIE色度座標図を示す。白色には電球色、温度白色、白色、昼白色、および昼光色がある。JIS Z 9112:2004において、これらの白色それぞれの色度座標値は表19に示す範囲であると定められている。
黄色蛍光体と青色光源の組み合わせによる擬似白色光源では、黄色蛍光体の色度点と青色光源の色度点を直線で結んだ線上の色しか再現することができない。そのため、例えば図36に示すような黄色蛍光体(CIEx=0.458,CIEy=0.528)と青色光源(CIEx=0.161,CIEy=0.014)を組み合わせた擬似白色光源では白色しか表示することができない。
一方で、緑色蛍光体と赤色蛍光体と青色光源の組み合わせによるRGB白色光源では、緑色蛍光体の色度点と赤色蛍光体の色度点と青色光源の色度点を直線で結んだ三角形で表せる範囲内の色を再現可能となる。そのため、緑色蛍光体と赤色蛍光体の混合比率を変化させることで電球色、温度白色、白色、昼白色、昼光色のすべての白色光を表示させることができる。例えば、図37に示すような緑色蛍光体(CIEx=0.361,CIEy=0.576)と赤色蛍光体(CIEx=0.645,CIEy=0.353)の混色1の色度点となるように緑色蛍光体と赤色蛍光体を混合すると昼光色を表示することができる。また、同図内で表した緑色蛍光体と赤色蛍光体の混色2の色度点となるように緑色蛍光体と赤色蛍光体を混合すると電球色を表示することができる。
しかしながら、このRGB白色光源の方式では、蛍光体の配合比率を変化させなければ、白色光の色味を変化させることができない。つまり、昼光色となるよう作製した白色光源を電球色で光らせることはできない。そのため、色味を変化させることのできる発光デバイスを作製する場合には、例えば昼光色に発光する光源デバイスと電球色に発光する光源デバイスを併用し、それぞれの明るさを変化させることで色味を変化させる。そのため、色味が固定された光源デバイスに比べ、色味を変化させることのできる光源デバイスでは、器具のサイズが大きくなる。
本実施形態の白色光源の方式を用いれば、白色光源の色味を自由に変化させることが可能となる。本実施形態の白色光源である発光装置は、例えば、上述した実施形態、変形例および実施例の何れかで説明した赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色光源、および緑色光源を備えている。この白色光源は、赤色蛍光体と、他の蛍光体(例えば緑色蛍光体)と、を含む波長変換素子と、青色光を発する青色光源と、緑色光を発する緑色光源を備える。赤色蛍光体は、少なくとも緑色光の一部によって励起されて第2の光を発する。前記第2の光のスペクトルは、600nm以上700nm以下の範囲内にピーク波長を有する。他の蛍光体は、少なくとも青色光の一部で励起されて第3の光を発する。第3の光のスペクトルは、500nm以上600nm以下の範囲内にピーク波長を有する。波長変換素子を通過する緑色光と、波長変換素子から出射される第2の光との合成光の色度点は、0.48<CIEx<0.6、および0.4<CIEy<0.49を満足する。また、波長変換素子を通過する青色光と、波長変換素子から出射される第3の光との合成光の色度点は、0.15<CIEx<0.3、および0.2<CIEy<0.36を満足する。
例えば、本実施形態の白色光源方式では、例えば図38に示すような青色光源(CIEx=0.161,CIEy=0.014)により緑色蛍光体(CIEx=0.361,CIEy=0.576)を発光させることで、青色光源と緑色蛍光体の混色の色度点を再現できる。また、緑色光源(CIEx=0.098,CIEy=0.828)により赤色蛍光体(CIEx=0.634,CIEy=0.364)を発光させることで、緑色光源と赤色蛍光体の混色の色度点を再現できる。これらの色度点を直線で結んだ線上の色を再現することができるため、青色光源と緑色光源の出力を変化させることで、電球色、温度白色、白色、昼白色、昼光色のすべての白色光を表示させることができる。つまり、本実施形態の白色光源方式では、器具のサイズを大きくすることなく色味を変化させることができる。
本実施形態の発光装置は、固体光源を制御して青色光の強度および緑色光の強度をそれぞれ変化させる制御回路を備えていてもよい。この制御回路は、固体光源を制御により、波長変換素子を通過する緑色光および青色光、ならびに波長変換素子から出射される第2の光および第3の光の合成光の合成光を、昼光色、昼白色、白色、温白色および電球色からなる群より選択される1つから、当該群より選択される他の1つに変化させる。すなわち、発光装置から出射される合成光が、ある白色(例えば昼光色)から他の白色(例えば温白色)に変化する。
図39に、本実施形態の発光装置の出力光の色調を制御する制御方法の一例を示す。また、図41および42に、本実施形態の発光装置の出力光の色調を制御する制御方法の別の例を示す。本実施形態の発光装置で用いられている赤色蛍光体は、実施形態1で説明したように、青色光での励起効率が低く強く発光しない。このため、励起光として主に青色光を使用することで、主として緑色蛍光体が発光する。よって、出力される白色光は、主に青色と緑色とが混合された白色となるため、色温度の高い青白い白色光となる。これに対して、励起光として青色に緑色を併せて使用することで、赤色蛍光体が発光する。よって、出力される白色光は、青色と緑色と赤色とが混合された白色となるため、色温度の低い赤味がかった白色光となる。
この際、図39に示すように、青色励起光を出射する青色(B)−LDの駆動電流および青色励起光を出射する緑色(G)−LDの駆動電流をそれぞれ制御することで、出力される白色光の色調を変化させることが可能となる。より具体的には、青色(B)−LDの駆動電流を大きくし、緑色(G)−LDの駆動電流を小さくすることで色温度の高い青白い白色光を出力することができる。また、青色(B)−LDの駆動電流を小さくし、緑色(G)−LDの駆動電流を大きくすることで、色温度の低い赤味がかった白色光を出力することができる。また、別の制御方法として、図41および42に示すように、青色励起光を出射する青色(B)−LDの駆動電流および青色励起光を出射する緑色(G)−LDの駆動電圧をパルス駆動とし、それぞれの駆動電圧のパルス幅を変化させるパルス幅変調駆動(PWM駆動)することで、出力される白色光の色調を変化させることが可能となる。具体的には、図41に示すように、青色(B)−LDの駆動電圧のパルス幅を大きくし、緑色(G)−LDのパルス幅を小さくすることで色温度の高い青白い白色光を出力することができる。また、図42に示すように、青色(B)−LDの駆動電圧パルス幅を小さくし、緑色(G)−LDのパルス幅を大きくすることで色温度の低い赤味がかった白色光を出力することができる。
図40は、本実施形態の光源駆動部の一例を示すブロック図である。光源駆動部394は、上述した白色光の色味変化を実現するために光源を駆動する。光源駆動部394は、上述した何れの実施形態にも適用することができる。光源駆動部394は、青色光源であるLD素子58−1と、緑色光源であるLD素子58−2と、電流制御部391、392と、制御信号発生部393と、を備えている。電流制御部391は、LD素子58−1に駆動電流を出力し、LD素子58−1を駆動する。電流制御部392は、LD素子58−2に駆動電流を出力し、LD素子58−2を駆動する。制御信号発生部393は、制御信号を電流制御部391、392に出力し、電流制御部391、392が出力する駆動電流を独立に制御する。これにより、LD素子58−1、58−2の光出力をおのおの独立に制御できるため、白色光の色味を変化させ全ての白色光を表示させることができる。
図43は、本実施形態の光源駆動部の別の例を示すブロック図である。光源駆動部404は、上述した白色光の色味変化を実現するために、別の方法で光源を駆動してもよい。光源駆動部404は、電流制御部391、392、および制御信号発生部393に代えて、パルス制御部401、402、および制御信号発生部403を備えていることを除き、上述した光源駆動部394と同じ構成を有する。パルス制御部401は、LD素子58−1に駆動パルスを出力し、LD素子58−1を駆動する。パルス制御部402は、LD素子58−2に駆動パルスを出力し、LD素子58−2を駆動する。制御信号発生部403は、制御信号をパルス制御部401、402に出力し、パルス制御部401、402が出力する駆動パルスのパルス幅を独立に制御する。これにより、LD素子58−1、58−2の光出力をおのおの独立に制御できるため、白色光の色味を変化させ全ての白色光を表示させることができる。
本開示において、ユニット、装置、部材又は部の全部又は一部、又は図に示される機能ブロックの全部又は一部は、半導体装置、半導体集積回路(IC)、又はLSI(large scale integration)を含む一つ又は複数の電子回路によって実行されてもよい。LSI又はICは、一つのチップに集積されてもよいし、複数のチップを組み合わせて構成されてもよい。例えば、記憶素子以外の機能ブロックは、一つのチップに集積されてもよい。ここでは、LSIやICと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(very large scale integration)、若しくはULSI(ultra large scale integration) と呼ばれるものであってもよい。 LSIの製造後にプログラムされる、Field Programmable Gate Array (FPGA)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができるreconfigurable logic deviceも同じ目的で使うことができる。
さらに、ユニット、装置、部材又は部の全部又は一部の機能又は操作は、ソフトウエア処理によって実行することが可能である。この場合、ソフトウエアは一つ又は複数のROM、光学ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録され、ソフトウエアが処理装置(processor)によって実行されたときに、そのソフトウエアで特定された機能が処理装置(processor)および周辺装置によって実行される。システム又は装置は、ソフトウエアが記録されている一つ又は複数の非一時的記録媒体、処理装置(processor)、及び必要とされるハードウエアデバイス、例えばインターフェース、を備えていても良い。
本開示の実施形態、変形例および実施例からなる群より選択した少なくとも2つを適宜組み合わせることができる。