(第1実施形態)
以下、実施形態について適宜図面を参照しながら説明する。本実施形態は、充填時間が短い、つまり高スループットな光ナノインプリント技術(Short Spread Time Nanoimprint Lithography、以下、SST−NIL)に関する。SST−NILを、図2の模式断面図、および、図8のフローチャートを用いて説明する。
本実施形態に係るパターン形成方法は、工程[1]から工程[5]を有する。まず、基板201上に、液状の組成物(A1)を積層する(積層工程[1])。これにより、基板201上に組成物(A1)202の液膜202が形成される。次に、組成物(A1)の液膜202上に、組成物(A2)の液滴203を離散的に供給(吐出)する(供給工程[2])。すると、組成物(A1)の液膜202上に滴下された組成物(A2)の液滴203は、組成物(A1)と混合しながら204に示す方向に拡大する。次に、パターンが形成されたモールド(型)205と基板201の間に組成物(A1)と組成物(A2)が混合してなる混合物213を接触させながら挟み込む(型接触工程[3])。このとき、混合物213にモールド205を接触させて混合物213が押印される。また、モールド205のアライメントマークと基板201上のアラメントマークの相対位置を検出することにより位置合わせ制御が行われる。位置合わせは、基板を保持する基板ステージやモールドを保持するモールドステージの位置を制御することによって行われる。また、モールドの形状を変えるためにモールドに力を印加する機構を制御したり、基板に熱を与えてショット領域の形状を制御したりすることによっても位置合わせをすることができる。そして、前記2種の組成物が混合してなる混合物213にモールド側から光206を照射することにより混合物213を硬化させる(光照射工程[4])。そして、モールド205を硬化後の組成物からなる層から引き離し、硬化されたパターン207を得る(離型工程[5])。以上の工程[1]〜工程[5]を有する一連の工程(パターン形成プロセス)によって、所望の凹凸パターン形状(モールドの凹凸形状に因むパターン形状)を所望の位置に有する硬化膜を得ることができる。なお、以後、工程[2]から工程[5]までの一連の工程単位を「ショット」と称し、モールドが組成物(A1)及び(A2)と接触する領域、つまり、基板上でパターンが形成される領域を「ショット領域」と称する。
SST−NILにおいては、離散的に滴下された組成物(A2)の液滴が、組成物(A1)の液膜上又は液膜内において従来よりも速やかに拡大するため、充填時間が短く、高スループットである。ただし、組成物(A2)203の液滴と液滴の間において、組成物(A1)の濃度が高い領域209が生じうる。また、組成物(A2)の液滴の中央部分においては組成物(A2)の濃度が高くなる可能性がある。パターン形状を有する硬化膜207、つまり、組成物(A1)と組成物(A2)の混合硬化物をドライエッチングマスクとして基板201をドライエッチングで加工する場合がある。この場合、前述の濃度不均一性に基づいて硬化膜207にドライエッチング耐性の不均一性が生じる恐れがある。このため、組成物(A1)は組成物(A2)と同等以上のドライエッチング耐性を有していることが要求される。また組成物(A1)は、ドライエッチング耐性が必要なだけでなく、SST−NILの高スループット効果を得るために、ある程度低粘度である必要もある。
[組成物]
組成物(A1)に含まれる成分(a)を成分(a1)と表記し、組成物(A2)に含まれる成分(a)を成分(a2)と表記する。成分(b)から成分(d)についても同様である。本実施形態に係る組成物(A1)及び(A2)は、少なくとも重合性化合物である成分(a)を有する化合物である。組成物(A1)及び(A2)は、さらに、光重合開始剤である成分(b)、非重合性化合物(c)、溶剤である成分(d)を含有してもよい。
また、本明細書において硬化膜とは、基板上で組成物を重合させて硬化させた膜を意味する。なお、硬化膜の形状は特に限定されず、表面にパターン形状を有していてもよい。
以下、各成分について、詳細に説明する。
<成分(a):重合性化合物>
成分(a)は重合性化合物である。ここで、本明細書において重合性化合物とは、光重合開始剤(成分(b))から発生した重合因子(ラジカル等)と反応し、連鎖反応(重合反応)によって高分子化合物からなる膜を形成する化合物である。
このような重合性化合物としては、例えば、ラジカル重合性化合物が挙げられる。成分(a)である重合性化合物は、一種類の重合性化合物のみから構成されていてもよく、複数種類の重合性化合物で構成されていてもよい。
ラジカル重合性化合物としては、アクリロイル基又はメタクリロイル基を1つ以上有する化合物、すなわち、(メタ)アクリル化合物であることが好ましい。したがって、本実施形態に係る組成物は、成分(a)として(メタ)アクリル化合物を含むことが好ましく、成分(a)の主成分が(メタ)アクリル化合物であることがより好ましく、(メタ)アクリル化合物であることが最も好ましい。なお、ここで記載する成分(a)の主成分が(メタ)アクリル化合物であるとは、成分(a)の90重量%以上が(メタ)アクリル化合物であることを示す。
ラジカル重合性化合物が、アクリロイル基又はメタクリロイル基を1つ以上有する複数種類の化合物で構成される場合には、単官能(メタ)アクリルモノマーと多官能(メタ)アクリルモノマーを含むことが好ましい。これは、単官能(メタ)アクリルモノマーと多官能(メタ)アクリルモノマーを組み合わせることで、機械的強度が強い硬化膜が得られるからである。
アクリロイル基又はメタクリロイル基を1つ有する単官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3−(2−フェニルフェニル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、EO変性p−クミルフェノールの(メタ)アクリレート、2−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、EO変性フェノキシ(メタ)アクリレート、PO変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられるが、これらに限定されない。
上記単官能(メタ)アクリル化合物の市販品としては、アロニックス(登録商標)M101、M102、M110、M111、M113、M117、M5700、TO−1317、M120、M150、M156(以上、東亞合成製)、MEDOL10、MIBDOL10、CHDOL10、MMDOL30、MEDOL30、MIBDOL30、CHDOL30、LA、IBXA、2−MTA、HPA、ビスコート#150、#155、#158、#190、#192、#193、#220、#2000、#2100、#2150(以上、大阪有機化学工業製)、ライトアクリレートBO−A、EC−A、DMP−A、THF−A、HOP−A、HOA−MPE、HOA−MPL、PO−A、P−200A、NP−4EA、NP−8EA、エポキシエステルM−600A(以上、共栄社化学製)、KAYARAD(登録商標) TC110S、R−564、R−128H(以上、日本化薬製)、NKエステルAMP−10G、AMP−20G(以上、新中村化学工業製)、FA−511A、512A、513A(以上、日立化成製)、PHE、CEA、PHE−2、PHE−4、BR−31、BR−31M、BR−32(以上、第一工業製薬製)、VP(BASF製)、ACMO、DMAA、DMAPAA(以上、興人製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、アクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリル化合物としては、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO,PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロイルオキシ)イソシアヌレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、EO変性2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパン、PO変性2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパン、EO,PO変性2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシ)フェニル)プロパン等が挙げられるが、これらに限定されない。
上記多官能(メタ)アクリル化合物の市販品としては、ユピマー(登録商標)UV SA1002、SA2007(以上、三菱化学製)、ビスコート#195、#230、#215、#260、#335HP、#295、#300、#360、#700、GPT、3PA(以上、大阪有機化学工業製)、ライトアクリレート4EG−A、9EG−A、NP−A、DCP−A、BP−4EA、BP−4PA、TMP−A、PE−3A、PE−4A、DPE−6A(以上、共栄社化学製)、KAYARAD(登録商標) PET−30、TMPTA、R−604、DPHA、DPCA−20、−30、−60、−120、HX−620、D−310、D−330(以上、日本化薬製)、アロニックス(登録商標)M208、M210、M215、M220、M240、M305、M309、M310、M315、M325、M400(以上、東亞合成製)、リポキシ(登録商標)VR−77、VR−60、VR−90(以上、昭和高分子製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
なお、上述した化合物群において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはそれと同等のアルコール残基を有するメタクリレートを意味する。(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基またはそれと同等のアルコール残基を有するメタクリロイル基を意味する。EOは、エチレンオキサイドを示し、EO変性化合物Aとは、化合物Aの(メタ)アクリル酸残基とアルコール残基がエチレンオキサイド基のブロック構造を介して結合している化合物を示す。また、POは、プロピレンオキサイドを示し、PO変性化合物Bとは、化合物Bの(メタ)アクリル酸残基とアルコール残基がプロピレンオキサイド基のブロック構造を介して結合している化合物を示す。
<成分(b):光重合開始剤>
成分(b)は、光重合開始剤である。本明細書において光重合開始剤は、所定の波長の光を感知して上記重合因子(ラジカル)を発生させる化合物である。具体的には、光重合開始剤は、光(赤外線、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線等の荷電粒子線等、放射線)によりラジカルを発生する重合開始剤(ラジカル発生剤)である。
成分(b)は、一種類の光重合開始剤で構成されていてもよく、複数種類の光重合開始剤で構成されていてもよい。
ラジカル発生剤としては、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−又はp−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の置換基を有してもよい2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン等のα―アミノ芳香族ケトン誘導体;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−t−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナンタラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル誘導体;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン、プロピルベンゾイン等のベンゾイン誘導体;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N−フェニルグリシン等のN−フェニルグリシン誘導体;アセトフェノン、3−メチルアセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体;チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン誘導体;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド誘導体;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル誘導体;キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられるが、これらに限定されない。
上記ラジカル発生剤の市販品として、Irgacure 184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI−1700、−1750、−1850、CG24−61、Darocur 1116、1173、Lucirin(登録商標) TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF製)、エベクリルP36(UCB製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
これらの中でも、成分(b)は、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤であることが好ましい。なお、上記の例のうち、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤は、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイド化合物である。
本実施形態において、組成物(A1)は実質的に光反応性を有さないことが好ましい。このために、光重合開始剤である成分(b)の組成物(A1)における配合割合は、成分(a)、成分(b)、後述する成分(c)の合計、すなわち溶剤成分(d)を除く全成分の合計重量に対して、0重量%以上0.1重量%未満とする。また、好ましくは、0.01重量%以下であり、さらに好ましくは0.001重量%以下である。なお、0重量%は組成物(A1)が光重合開始剤を含まない、ことを意味する。
組成物(A1)は、成分(b)の配合割合を成分(a)、成分(b)、成分(c)の合計に対して0.1重量%未満とすることにより、組成物(A1)は実質的に光反応性を有さない。このため、漏れ光による光硬化が生じず、隣接ショットにおいても短い充填時間でも未充填欠陥が少ないパターンが得られるのである。当該ショットにおける組成物(A1)の硬化反応については、後述する。
光重合開始剤である成分(b)の組成物(A2)における配合割合(含有量)は、成分(a)、成分(b)、後述する成分(c)の合計、すなわち溶剤成分(d)を除く全成分の合計重量に対して、0.1重量%以上50重量%以下であるとよい。また、好ましくは、0.1重量%以上20重量%以下であり、さらに好ましくは10重量%より大きく20重量%以下である。
組成物(A2)における成分(b)の配合割合を成分(a)、成分(b)、成分(c)の合計に対して0.1重量%以上とすることにより、組成物の硬化速度が速くなり、反応効率を良くすることができる。また、成分(b)の配合割合を成分(a)、成分(b)、成分(c)の合計に対して50重量%以下とすることにより、得られる硬化膜をある程度の機械的強度を有する硬化膜とすることができる。
<成分(c):非重合性化合物>
本実施形態に係る組成物(A1)及び(A2)は、前述した、成分(a)、成分(b)の他に、種々の目的に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で、更に成分(c)として非重合性化合物を含有することができる。このような成分(c)としては、(メタ)アクリロイル基などの重合性官能基を有さず、かつ、所定の波長の光を感知して上記重合因子(ラジカル)を発生させる能力を有さない化合物が挙げられる。例えば、増感剤、水素供与体、内添型離型剤、界面活性剤、酸化防止剤、ポリマー成分、その他添加剤等が挙げられる。成分(c)として前記化合物を複数種類含有してもよい。
増感剤は、重合反応促進や反応転化率の向上を目的として、適宜添加される化合物である。増感剤として、例えば、増感色素等が挙げられる。
増感色素は、特定の波長の光を吸収することにより励起され、成分(b)である光重合開始剤と相互作用する化合物である。なお、ここで記載する相互作用とは、励起状態の増感色素から成分(b)である光重合開始剤へのエネルギー移動や電子移動等である。
増感色素の具体例としては、アントラセン誘導体、アントラキノン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、カルバゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、キサントン誘導体、クマリン誘導体、フェノチアジン誘導体、カンファキノン誘導体、アクリジン系色素、チオピリリウム塩系色素、メロシアニン系色素、キノリン系色素、スチリルキノリン系色素、ケトクマリン系色素、チオキサンテン系色素、キサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム塩系色素等が挙げられるが、これらに限定されない。
増感剤は、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を混合して用いてもよい。
水素供与体は、成分(b)である光重合開始剤から発生した開始ラジカルや、重合生長末端のラジカルと反応し、より反応性が高いラジカルを発生する化合物である。成分(b)である光重合開始剤が光ラジカル発生剤である場合に添加することが好ましい。
このような水素供与体の具体例としては、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、アリルチオ尿素、s−ベンジルイソチウロニウム−p−トルエンスルフィネート、トリエチルアミン、ジエチルアミノエチルメタクリレート、トリエチレンテトラミン、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエタノールアミン、N−フェニルグリシンなどのアミン化合物、2−メルカプト−N−フェニルベンゾイミダゾール、メルカプトプロピオン酸エステル等のメルカプト化合物、等が挙げられるが、これらに限定されない。
水素供与体は、一種類を単独で用いてもよいし二種類以上を混合して用いてもよい。また、水素供与体は、増感剤としての機能を有してもよい。
モールドとレジストとの間の界面結合力の低減、すなわち後述する離型工程における離型力の低減を目的として、組成物に内添型離型剤を添加することができる。本明細書において内添型とは、組成物の配置工程の前に予め組成物に添加されていることを意味する。
内添型離型剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤および炭化水素系界面活性剤等の界面活性剤等を使用できる。なお、本発明において内添型離型剤は、重合性を有さないものとする。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキル基を有するアルコールのポリアルキレンオキサイド(ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等)付加物、パーフルオロポリエーテルのポリアルキレンオキサイド(ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等)付加物等が含まれる。なお、フッ素系界面活性剤は、分子構造の一部(例えば、末端基)に、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルキル基、アミノ基、チオール基等を有してもよい。
フッ素系界面活性剤としては、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、メガファック(登録商標)F−444、TF−2066、TF−2067、TF−2068(以上、DIC製)、フロラード FC−430、FC−431(以上、住友スリーエム製)、サーフロン(登録商標) S−382(AGC製)、EFTOP EF−122A、122B、122C、EF−121、EF−126、EF−127、MF−100(以上、トーケムプロダクツ製)、PF−636、PF−6320、PF−656、PF−6520(以上、OMNOVA Solutions製)、ユニダイン(登録商標)DS−401、DS−403、DS−451(以上、ダイキン工業製)、フタージェント(登録商標) 250、251、222F、208G(以上、ネオス製)等が挙げられる。
また、内添型離型剤は、炭化水素系界面活性剤でもよい。
炭化水素系界面活性剤としては、炭素数1〜50のアルキルアルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した、アルキルアルコールポリアルキレンオキサイド付加物等が含まれる。
アルキルアルコールポリアルキレンオキサイド付加物としては、メチルアルコールエチレンオキサイド付加物、デシルアルコールエチレンオキサイド付加物、ラウリルアルコールエチレンオキサイド付加物、セチルアルコールエチレンオキサイド付加物、ステアリルアルコールエチレンオキサイド付加物、ステアリルアルコールエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。なお、アルキルアルコールポリアルキレンオキサイド付加物の末端基は、単純にアルキルアルコールにポリアルキレンオキサイドを付加して製造できるヒドロキシル基に限定されない。このヒドロキシル基が他の置換基、例えば、カルボキシル基、アミノ基、ピリジル基、チオール基、シラノール基等の極性官能基やアルキル基、アルコキシ基等の疎水性官能基に置換されていてもよい。
アルキルアルコールポリアルキレンオキサイド付加物は、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、青木油脂工業製のポリオキシエチレンメチルエーテル(メチルアルコールエチレンオキサイド付加物)(BLAUNON MP−400、MP−550、MP−1000)、青木油脂工業製のポリオキシエチレンデシルエーテル(デシルアルコールエチレンオキサイド付加物)(FINESURF D−1303、D−1305、D−1307、D−1310)、青木油脂工業製のポリオキシエチレンラウリルエーテル(ラウリルアルコールエチレンオキサイド付加物)(BLAUNON EL−1505)、青木油脂工業製のポリオキシエチレンセチルエーテル(セチルアルコールエチレンオキサイド付加物)(BLAUNON CH−305、CH−310)、青木油脂工業製のポリオキシエチレンステアリルエーテル(ステアリルアルコールエチレンオキサイド付加物)(BLAUNON SR−705、SR−707、SR−715、SR−720、SR−730、SR−750)、青木油脂工業製のランダム重合型ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテル(BLAUNON SA−50/50 1000R、SA−30/70 2000R)、BASF製のポリオキシエチレンメチルエーテル(Pluriol(登録商標) A760E)、花王製のポリオキシエチレンアルキルエーテル(エマルゲンシリーズ)等が挙げられる。
これらの炭化水素系界面活性剤の中でも内添型離型剤としては、アルキルアルコールポリアルキレンオキサイド付加物であることが好ましく、長鎖アルキルアルコールポリアルキレンオキサイド付加物であることがより好ましい。
内添型離型剤は、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を混合して用いてもよい。
非重合性化合物である成分(c)の組成物における配合割合は、成分(a)、成分(b)、後述する成分(c)の合計、すなわち溶剤を除く全成分の合計重量に対して、0重量%以上50重量%以下であるとよい。また、好ましくは、0.1重量%以上50重量%以下であり、さらに好ましくは0.1重量%以上20重量%以下である。
成分(c)の配合割合を成分(a)、成分(b)、成分(c)の合計に対して50重量%以下とすることにより、得られる硬化膜をある程度の機械的強度を有する硬化膜とすることができる。
<成分(d):溶剤>
本実施形態に係る組成物は、成分(d)として溶剤を含有していてもよい。成分(d)としては、成分(a)、成分(b)、成分(c)が溶解する溶剤であれば、特に限定はされない。好ましい溶剤としては常圧における沸点が80℃以上200℃以下の溶剤である。さらに好ましくは、エステル構造、ケトン構造、水酸基、エーテル構造のいずれかを少なくとも1つ有する溶剤である。具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、乳酸エチルから選ばれる単独、あるいはこれらの混合溶剤である。
本実施形態に係る組成物(A1)は、成分(d)を含有することが好ましい。後述するように、基板上への組成物(A1)の塗布方法としてスピンコート法が好ましいためである。
<組成物の配合時の温度>
本実施形態の組成物(A1)及び(A2)を調製する際には、少なくとも成分(a)、成分(b)を所定の温度条件下で混合・溶解させる。具体的には、0℃以上100℃以下の範囲で行う。成分(c)、成分(d)を含有する場合も同様である。
<組成物の粘度>
本実施形態に係る組成物(A1)及び(A2)は液体であることが好ましい。なぜならば、後述する型接触工程において、組成物(A1)及び/または(A2)のスプレッド及びフィルが速やかに完了する、つまり充填時間が短いからである。
本実施形態に係る組成物(A1)の溶剤(成分(d))を除く成分の混合物の25℃での粘度は、1mPa・s以上1000mPa・s以下であることが好ましい。また、より好ましくは、1mPa・s以上500mPa・s以下であり、さらに好ましくは、1mPa・s以上100mPa・s以下である。
本実施形態に係る組成物(A2)の溶剤(成分(d))を除く成分の混合物の25℃での粘度は、1mPa・s以上100mPa・s以下であることが好ましい。また、より好ましくは、1mPa・s以上50mPa・s以下であり、さらに好ましくは、1mPa・s以上12mPa・s以下である。
組成物(A1)及び(A2)の粘度を100mPa・s以下とすることにより、組成物(A1)及び(A2)をモールドに接触する際に、スプレッド及びフィルが速やかに完了する。つまり、本実施形態に係る組成物を用いることで、光ナノインプリント法を高いスループットで実施することができる。また、充填不良によるパターン欠陥が生じにくい。
また、粘度を1mPa・s以上とすることにより、組成物(A1)及び(A2)を基板上に塗布する際に塗りムラが生じにくくなる。さらに、組成物(A1)及び(A2)をモールドに接触する際に、モールドの端部から組成物(A1)及び(A2)が流出しにくくなる。
<組成物の表面張力>
本実施形態に係る組成物(A1)及び(A2)の表面張力は、溶剤(成分(d))を除く成分の組成物について23℃での表面張力が、5mN/m以上70mN/m以下であることが好ましい。また、より好ましくは、7mN/m以上50mN/m以下であり、さらに好ましくは、10mN/m以上40mN/m以下である。ここで、表面張力が高いほど、例えば5mN/m以上であると、毛細管力が強く働くため、組成物(A1)及び/または(A2)をモールドに接触させた際に、充填(スプレッド及びフィル)が短時間で完了する。
また、表面張力を70mN/m以下とすることにより、組成物を硬化して得られる硬化膜が表面平滑性を有する硬化膜となる。
本実施形態においては、溶剤(成分(d))を除く組成物(A1)の表面張力が、溶剤(成分(d))を除く組成物(A2)の表面張力より高いことが好ましい。型接触工程前に、後述するマランゴニ効果により組成物(A2)のプレスプレッドが加速され(液滴が広範囲に広がり)、後述する型接触工程中のスプレッドに要する時間が短縮され、結果として充填時間が短縮されるためである。
マランゴニ効果とは液体の表面張力の局所的な差に起因した自由表面移動の現象である。表面張力、つまり表面エネルギーの差を駆動力として、表面張力の低い液体が、より広い表面を覆うような拡散が生じる。つまり、基板全面に表面張力の高い組成物(A1)を塗布しておき、表面張力の低い組成物(A2)を滴下すれば、組成物(A2)のプレスプレッドが加速されるのである。
<組成物の接触角>
本実施形態に係る組成物(A1)及び(A2)の接触角は、溶剤(成分(d))を除く成分の組成物について、基板表面及びモールド表面の双方に対して0°以上90°以下であることが好ましい。接触角が90°より大きいと、モールドパターンの内部や基板−モールドの間隙において毛細管力が負の方向(モールドと組成物間の接触界面を収縮させる方向)に働き、充填しない。0°以上30°以下であることが特に好ましい。接触角が低いほど毛細管力が強く働くため、充填速度が速い。
<組成物に混入している不純物>
本実施形態に係る組成物(A1)及び(A2)は、できる限り不純物を含まないことが好ましい。ここで記載する不純物とは、前述した成分(a)、成分(b)、成分(c)および成分(d)以外のものを意味する。
したがって、本実施形態に係る組成物は、精製工程を経て得られたものであることが好ましい。このような精製工程としては、フィルタを用いた濾過等が好ましい。
フィルタを用いた濾過を行う際には、具体的には、前述した成分(a)、成分(b)および必要に応じて添加する添加成分を混合した後、例えば、孔径0.001μm以上5.0μm以下のフィルタで濾過することが好ましい。フィルタを用いた濾過を行う際には、多段階で行ったり、多数回繰り返したりすることがさらに好ましい。また、濾過した液を再度濾過してもよい。孔径の異なるフィルタを複数用いて濾過してもよい。濾過に使用するフィルタとしては、ポリエチレン樹脂製、ポリプロピレン樹脂製、フッ素樹脂製、ナイロン樹脂製等のフィルタを使用することができるが、特に限定されるものではない。
このような精製工程を経ることで、組成物に混入したパーティクル等の不純物を取り除くことができる。これにより、パーティクル等の不純物によって、組成物を硬化した後に得られる硬化膜に不用意に凹凸が生じてパターンの欠陥が発生することを防止することができる。
なお、本実施形態に係る組成物を、半導体集積回路を製造するために使用する場合、製品の動作を阻害しないようにするため、組成物中に金属原子を含有する不純物(金属不純物)が混入することを極力避けることが好ましい。このような場合、組成物に含まれる金属不純物の濃度としては、10ppm以下が好ましく、100ppb以下にすることがさらに好ましい。
[パターン形成方法]
次に、SST−NILの各工程について詳細に説明する。なお、本実施形態に係るパターン形状を有する硬化膜の製造方法によって得られる硬化膜は、1nm以上10mm以下のサイズのパターンを有する膜であることが好ましい。また、10nm以上100μm以下のサイズのパターンを有する膜であることがより好ましい。なお、一般に、光を利用してナノサイズ(1nm以上100nm以下)のパターン(凹凸構造)を有する膜を作製するパターン形成技術は、光ナノインプリント法と呼ばれている。
<積層工程[1]>
積層工程では、図2[1]に示す通り、液体状の組成物(A1)を基板201上に積層(塗布)して液膜202を形成する。組成物(A1)を配置する対象である基板201は、被加工基板であり、通常、シリコンウエハが用いられる。基板201上には、被加工層が形成されていてもよい。基板201及び被加工層の間にさらに他の層が形成されていてもよい。また、基板201として石英基板を用いれば、石英インプリントモールドのレプリカ(モールドレプリカ)を作製することができる。ただし、基板201はシリコンウエハや石英基板に限定されるものではない。基板201は、アルミニウム、チタン−タングステン合金、アルミニウム−ケイ素合金、アルミニウム−銅−ケイ素合金、酸化ケイ素、窒化ケイ素等の半導体デバイス用基板として知られているものの中からも任意に選択することができる。なお、使用される基板201(被加工基板)あるいは被加工層の表面は、シランカップリング処理、シラザン処理、有機薄膜の成膜、等の表面処理によって組成物(A1)及び(A2)との密着性を向上されていてもよい。
組成物(A1)を基板201又は被加工層上に配置する方法としては、例えば、インクジェット法、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スピンコート法、スリットスキャン法等を用いることができる。本実施形態においては、スピンコート法が特に好ましい。スピンコート法を用いて組成物(A1)202を基板201あるいは被加工層上に配置する場合、必要に応じてベーク工程を実施し、溶剤成分(d)を揮発させても良い。なお、組成物(A1)の平均膜厚は、使用する用途によっても異なるが、例えば、0.1nm以上10,000nm以下であり、好ましくは1nm以上20nm以下であり、特に好ましくは1nm以上10nm以下である。
<供給工程[2]>
供給工程では、図2[2]に示す通り、組成物(A2)の液滴203を、組成物(A1)層上に離散的に滴下して配置することが好ましい。配置方法としてはインクジェット法が特に好ましい。組成物(A2)の液滴203は、モールド上に凹部が密に存在する領域に対向する基板上には密に、凹部が疎に存在する領域に対向する基板上には疎に配置される。このことにより、後述する残膜を、モールド上のパターンの疎密によらずに均一な厚さに制御することができる。
供給工程で配置された組成物(A2)の液滴203は、前述のように、表面エネルギー(表面張力)の差を駆動力とするマランゴニ効果により速やかに広がる(プレスプレッド)(図2[2])。つまり、液体状の組成物(A1)内において組成物(A2)が広がり(204)、組成物(A1)と組成物(A2)との混合物213が得られる。
<型接触工程[3]>
次に、図2[3]に示すように、前工程(積層工程、供給工程)で形成された組成物(A1)及び組成物(A2)が混合してなる液体213にパターン形状を転写するための原型パターンを有するモールド205を接触させる。これにより、モールド205が表面に有する微細パターンの凹部に組成物(A1)及び組成物(A2)が部分的に混合してなる液体が充填(フィル)されて、モールドの微細パターンに充填(フィル)された液膜となる。
モールド(型)205としては、次の光照射工程を考慮して光透過性の材料で構成されたモールド205を用いるとよい。モールド205を構成する材料の材質としては、具体的には、ガラス、石英、PMMA、ポリカーボネート樹脂等の光透明性樹脂、透明金属蒸着膜、ポリジメチルシロキサン等の柔軟膜、光硬化膜、金属膜等が好ましい。ただし、モールド205を構成する材料の材質として光透明性樹脂を使用する場合は、硬化性組成物205に含まれる成分に溶解しない樹脂を選択する必要がある。熱膨張係数が小さくパターン歪みが小さいことから、モールド205を構成する材料の材質は、石英であることが特に好ましい。
モールド205が表面に有する微細パターンは、4nm以上200nm以下のパターン高さを有することが好ましい。パターン高さが低いほど、離型工程においてモールドをレジストの光硬化膜から引き剥がす力、すなわち離型力が低く、また、離型に伴ってレジストパターンがひきちぎられてマスク側に残存する離型欠陥数が少ない。モールドを引き剥がす際の衝撃によるレジストパターンの弾性変形で隣接レジストパターン同士が接触し、レジストパターンが癒着あるいは破損する場合がある。ただし、パターン幅に対してパターン高さが2倍程度以下(アスペクト比2以下)であると、それらの不具合を回避できる可能性が高い。一方、パターン高さが低過ぎると、被加工基板の加工精度が低い。
モールド205には、組成物(A1)及び(A2)とモールド205の表面との剥離性を向上させるために、型接触工程の前に表面処理を行っておいてもよい。表面処理の方法としては、モールド205の表面に離型剤を塗布して離型剤層を形成する方法が挙げられる。ここで、モールド205の表面に塗布する離型剤としては、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、炭化水素系離型剤、ポリエチレン系離型剤、ポリプロピレン系離型剤、パラフィン系離型剤、モンタン系離型剤、カルナバ系離型剤等が挙げられる。例えば、ダイキン工業(株)製のオプツール(登録商標)DSX等の市販の塗布型離型剤も好適に用いることができる。なお、離型剤は、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を併用して用いてもよい。これらの中でも、フッ素系および炭化水素系の離型剤が特に好ましい。
型接触工程において、図2[3]に示すように、モールド205と組成物(A1)及び(A2)とを接触させる際に、組成物(A1)及び(A2)に加える圧力は特に限定はされない。該圧力は0MPa以上100MPa以下とするとよい。また、該圧力は0MPa以上50MPa以下であることが好ましく、0MPa以上30MPa以下であることがより好ましく、0MPa以上20MPa以下であることがさらに好ましい。
供給工程において組成物(A2)203の液滴のプレスプレッドが進行しているため、本工程における組成物(A2)203のスプレッドは速やかに完了する。
以上のように、本工程において組成物(A1)及び(A2)のスプレッド及びフィルが速やかに完了するため、モールド205と組成物(A1)及び(A2)を接触させる時間を短く設定できる。つまり短時間で多くのパターン形成工程を完了でき、高い生産性を得られることが、本実施形態の効果の一つである。接触させる時間は、特に限定はされないが、例えば0.1秒以上600秒以下とすると良い。また、該時間は0.1秒以上3秒以下であることが好ましく、0.1秒以上1秒以下であることが特に好ましい。0.1秒より短いと、スプレッド及びフィルが不十分となり、未充填欠陥と呼ばれる欠陥が多発する傾向がある。
本工程は、大気雰囲気下、減圧雰囲気下、不活性ガス雰囲気下のいずれの条件下でも行うことができるが、酸素や水分による硬化反応への影響を防ぐことができるため、減圧雰囲気や不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。不活性ガス雰囲気下で本工程を行う場合に使用することができる不活性ガスの具体例としては、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、各種フロンガス等、あるいはこれらの混合ガスが挙げられる。大気雰囲気下を含めて特定のガスの雰囲気下で本工程を行う場合、好ましい圧力は、0.0001気圧以上10気圧以下である。
型接触工程は、凝縮性ガスを含む雰囲気(以下、「凝縮性ガス雰囲気」と称する)下で行ってもよい。本明細書において凝縮性ガスとは、モールド205上に形成された微細パターンの凹部及びモールドと基板との間隙に、組成物(A1)及び(A2)と一緒に雰囲気中のガスが充填されたとき、充填時に発生する毛細管圧力で凝縮して液化するガスを指す。なお凝縮性ガスは、型接触工程で組成物(A1)及び(A2)とモールド205とが接触する前(図1[2])は雰囲気中に気体として存在する。
凝縮性ガス雰囲気下で型接触工程を行うと、微細パターンの凹部に充填されたガスが組成物(A1)及び(A2)により発生する毛細管圧力により液化することで気泡が消滅するため、充填性が優れる。凝縮性ガスは、組成物(A1)及び/または(A2)に溶解してもよい。
凝縮性ガスの沸点は、型接触工程の雰囲気温度以下であれば限定はされないが、−10℃〜23℃が好ましく、さらに好ましくは10℃〜23℃である。この範囲であれば、充填性がさらに優れる。
凝縮性ガスの型接触工程の雰囲気温度での蒸気圧は、型接触工程で押印するときのモールド圧力以下であれば制限がないが、0.1〜0.4MPaが好ましい。この範囲であれば、充填性がさらに優れる。雰囲気温度での蒸気圧が0.4MPaより大きいと、気泡の消滅の効果を十分に得ることができない傾向がある。一方、雰囲気温度での蒸気圧が0.1MPaよりも小さいと、減圧が必要となり、装置が複雑になる傾向がある。
型接触工程の雰囲気温度は、特に制限がないが、20℃〜25℃が好ましい。
凝縮性ガスとして、具体的には、トリクロロフルオロメタン等のクロロフルオロカーボン(CFC)、フルオロカーボン(FC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(CHF2CH2CF3、HFC−245fa、PFP)等のハイドロフルオロカーボン(HFC)、ペンタフルオロエチルメチルエーテル(CF3CF2OCH3、HFE−245mc)等のハイドロフルオロエーテル(HFE)等のフロン類が挙げられる。これらのうち、型接触工程の雰囲気温度が20℃〜25℃での充填性が優れるという観点から、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(23℃での蒸気圧0.14MPa、沸点15℃)、トリクロロフルオロメタン(23℃での蒸気圧0.1056MPa、沸点24℃)、及びペンタフルオロエチルメチルエーテルが好ましい。さらに、安全性が優れるという観点から、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンが特に好ましい。
凝縮性ガスは、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を混合して用いてもよい。またこれら凝縮性ガスは、空気、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等の非凝縮性ガスと混合して用いてもよい。凝縮性ガスと混合する非凝縮性ガスとしては、充填性の観点から、ヘリウムが好ましい。ヘリウムはモールド205を透過することができる。そのため、型接触工程でモールド205上に形成された微細パターンの凹部に組成物(A1)及び/または(A2)と一緒に雰囲気中のガス(凝縮性ガスおよびヘリウム)が充填されたとき、凝縮性ガスが液化するとともにヘリウムはモールドを透過する。
<光照射工程[4]>
次に、図2[4]に示すように、組成物(A1)及び組成物(A2)が部分的に混合してなる層に対し、モールド205を介して光を照射する。より詳細には、モールドの微細パターンに充填された組成物(A1)及び/または(A2)に、モールド205を介して光206を照射する。これにより、モールド205の微細パターンに充填された組成物(A1)及び/または(A2)は、照射される光によって硬化してパターン形状を有する硬化膜207となる。
ここで、モールド205の微細パターンに充填された組成物(A1)及び/または(A2)に照射する光206は、組成物(A1)及び(A2)の感度波長に応じて選択される。具体的には、150nm以上400nm以下の波長の紫外光や、X線、電子線等を適宜選択して使用することが好ましい。
これらの中でも、照射光206は、紫外光が特に好ましい。これは、硬化助剤(光重合開始剤)として市販されているものは、紫外光に感度を有する化合物が多いからである。紫外光を発する光源として、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、低圧水銀灯、Deep−UVランプ、炭素アーク灯、ケミカルランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ、F2エキシマレーザが挙げられる。特に、超高圧水銀灯が好ましい。また使用する光源の数は1つでもよいし又は複数であってもよい。また、光照射を行う際には、モールドの微細パターンに充填された組成物(A1)及び/または(A2)の全面に行ってもよく、一部領域にのみ行ってもよい。
また、光照射は、基板上の全領域に断続的に複数回行ってもよいし、全領域に連続照射してもよい。さらに、第一の照射過程で一部領域Aを照射し、第二の照射過程で領域Aとは異なる領域Bを照射してもよい。
光照射工程[4]においては、前述のように漏れ光、つまり当該ショット領域外への光の拡散が、モールド及び装置のコストの制約上不可避である。
本実施形態においては、光開始剤成分(b1)を実質的に含有しない(0.1重量%未満)ため、組成物(A1)は単独では光照射によって硬化しない。このため、当該ショットから発生した漏れ光によって隣接ショット領域上の組成物(A1)が硬化することはない。このため、隣接ショットにおいてもその全域で短い充填時間で未充填欠陥の少ないパターンを形成することができるのである。
一方で、当該ショットにおいては、前述のように組成物(A1)及び組成物(A2)の混合の結果、組成物(A2)の光開始剤(b2)成分が組成物(A1)にも移行し、組成物(A1)が感光性を得る。そのため、組成物(A1)及び(A2)はいずれも、照射される光によって硬化してパターン形状を有する硬化膜207となるのである。
<離型工程[5]>
次に、パターン形状を有する硬化膜207とモールド205と引き離す。離型工程では、図2[5]に示すように、パターン形状を有する硬化膜207とモールド205とを引き離し、工程[4]においてモールド205上に形成された微細パターンの反転パターンとなるパターン形状を有する硬化膜207が自立した状態で得られる。なお、パターン形状を有する硬化膜207の凹凸パターンの凹部にも硬化膜が残存するが、この膜のことを残膜と呼ぶこととする。
なお、型接触工程を凝縮性ガス雰囲気下で行った場合、離型工程で硬化膜207とモールド205とを引き離す際に、硬化膜207とモールド205とが接触する界面の圧力が低下することに伴って凝縮性ガスが気化する。これにより、硬化膜207とモールド205とを引き離すために必要な力である離型力を低減させる効果を奏する傾向がある。
パターン形状を有する硬化膜207とモールド205とを引き離す方法としては、引き離す際にパターン形状を有する硬化膜207の一部が物理的に破損しなければ特に限定されず、各種条件等も特に限定されない。例えば、基板201(被加工基板)を固定してモールド205を基板201から遠ざかるように移動させて剥離してもよい。もしくは、モールド205を固定して基板201をモールドから遠ざかるように移動させて剥離してもよい。あるいは、これらの両方を正反対の方向へ引っ張って剥離してもよい。
以上の工程[1]〜工程[5]を有する一連の工程(製造プロセス)によって、所望の凹凸パターン形状(モールド205の凹凸形状に因むパターン形状)を、所望の位置に有する硬化膜を得ることができる。
[インプリント装置]
次に、上記のパターン形成方法を実行する装置の一例として、インプリント装置を説明する。図6(a)は第1実施形態のインプリント装置の概要を示したものである。インプリント装置の本体1は、空気ばね等を用いた三脚または四脚の除振機構2を介して、床の上に設置される。基板(ウエハ)3は、不図示のウエハチャックにより基板ステージ(ウエハステージ)4に保持されている。ウエハステージ4は、ウエハ3の全面にインプリント処理を行い、かつウエハ3を不図示のウエハ交換ハンドにて載せ降ろしを行う交換位置まで移動できるのに十分なX方向およびY方向のストロークを持っている。
図6(a)ではウエハステージ4は簡易的に一つの箱と車輪で示されているが、実際は次の構造を持つ。ウエハステージ4は、X方向およびY方向に長ストロークを持つ粗動ステージ上に、短ストロークで位置決め精度の高い微動ステージを搭載したものが使われている。ウエハステージ4の構成はこれに限らず、一般的に半導体露光装置用のウエハステージに用いられている高精度の位置決めのステージを用いることができる。
ウエハステージ4のX方向の位置は本体1に設けたレーザ干渉計5とウエハステージ4に設けたレーザ光を反射する不図示の反射鏡により計測される。同様にY方向を計測するレーザ干渉計も設けられている。ウエハステージ4の位置計測は、本体1に設けたスケール基板とウエハステージ4に設けた光学機器からなるエンコーダシステムを用いても良い。
ウエハステージ4上には高周波の振動を発生して基板に振動を与える加振器309(作動部)が設置されている。インプリント処理時に用いる光硬化型の樹脂(インプリント材)は、本体1に設けられたディスペンサ7(供給部)によりウエハ3上に供給される。微細なパターンが形成されたモールド(型、テンプレートともいう)8は、本体1に設置されたモールドステージ(インプリントヘッド機構)9により保持されている。モールドステージ9は、モールド8を保持しながらモールド8をZ方向に動かすことができる。ここでは、図1に示すようにモールドステージ9に保持されたモールド8を樹脂が供給されたウエハ3に対して押し付ける方向をZ方向とする。モールド8をウエハ3に対して押し付ける方向に直交し、ウエハ3の表面に平行な方向をX方向およびY方向とする。
ウエハ3のモールド8に対するウエハ3の表面に平行な方向(X方向およびY方向)の相対的な位置は、本体1に設けられた検出器10により検出される。ウエハ3には前の処理工程により各ショット領域の位置にアライメント用のマークが転写されている。モールド8にもこれに応じたアライメント用のマークが設けられている。検出器10は、アライメント光をモールド8とウエハ3に照射して、両者のアライメント用のマークをアライメントスコープにより検出する。制御部Cは、アライメントスコープの検出結果を画像処理することにより、モールド8とウエハ3との相対的な位置ずれを算出する。樹脂を硬化させる紫外線を照射する照射系11、は本体1に搭載されている。
図6(b)は、インプリント装置の制御系を示したものである。ウエハステージ4の位置制御はウエハステージ制御部12で行われる。ウエハステージ制御部12は、主制御部14から送られるステージ位置指令からレーザ干渉計5で計測されたステージ位置を引いた偏差をフィードバックするフィードバック制御系を用いている。検出器10から出力されたモールド8とウエハ3の位置ずれはステージ位置補正算出器13に入力され、ステージ位置補正信号としてウエハステージ制御部12に送られる。ウエハステージ制御部12では、前述のステージ位置指令にステージ位置補正信号を加えたものをウエハステージ4の目標位置として制御演算が行われる。制御演算の結果の制御指令はウエハステージ4を駆動するアクチュエータに送られて駆動力となり、ウエハステージ4を位置決め制御する。
次に、インプリント処理時の各動作を説明する。ウエハステージ4はウエハ3の交換位置に移動して不図示のウエハ交換ハンドによりウエハ3が不図示のウエハチャックに搭載される。制御部Cは、ウエハ3上のインプリント処理を行うショット領域がディスペンサ7の下になるようにウエハステージ4を移動し、ディスペンサ7によりウエハ3に樹脂を供給する。制御部Cは、ショット領域がモールド8の下になるようにウエハステージ4を移動した後、モールドステージ9によりモールド8を降下して押印を行う。この押印とは、モールドステージ9をZ方向に駆動してモールド8をウエハ面の樹脂に接触させることにより、モールド8とウエハ3の隙間を1μm以下として、この隙間に樹脂を充填することである。押印の初期はモールド8とウエハ3との水平方向(X方向、Y方向)における相対位置に位置ずれが生じている。この位置ずれは前述のように検出器10により検出され、ステージ位置補正算出器13により生成されたステージ補正信号がウエハステージ制御部12に送られる。
次に、供給工程[2]における混合物の濃度不均一性について説明する。前述のように、供給工程[2]において、組成物(A2)203の液滴と液滴の間において、組成物(A1)の濃度が高い領域209が生じうる。組成物(A1)と組成物(A2)は、異なる組成物であり、両者は組成物(A2)の滴下後、光照射工程前までに混合される。組成物(A1)が実質的に光反応性を有さない場合、組成物(A1)及び組成物(A2)の混合の結果、組成物(A2)の光開始剤(b)成分が組成物(A1)にも移行し、組成物(A1)が初めて感光性を獲得する。ショット領域内の組成物(A1)と組成物(A2)の液滴との混合は、組成差による相互拡散に依存するため、均一な組成になるまでに数〜数10秒といった長い時間を要する。拡散させる時間が不足していると図2[3]に示す通り、組成が十分に混合していない領域209が発生する。組成物(A1)と組成物(A2)の混合が不十分な状態の領域209の組成物に光照射を行い硬化させると、硬化させた膜のドライエッチング耐性などの膜物性が不均一となる問題がある。
一般に、組成物(A1)と組成物(A2)のドライエッチング耐性に差がある場合が多い。例えば、組成物(A1)のドライエッチング耐性が、組成物(A2)よりも低い場合、混合が不十分な領域209ではドライエッチング耐性が低い。ドライエッチング耐性が低い領域は後工程でのエッチング時に欠陥となる。前記のような欠陥を回避するには組成物同士の混合を十分に行う必要がある。組成物(A1)に組成物(A2)を拡散させるためには、長時間、組成物(A1)と組成物(A2)同士を接液させる必要がある。しかし、混合に時間をかけると1ショットにかかる時間が長くなるため、スループットが著しく低下する課題がある。
そこで、図3に示すように、供給工程[2]において、組成物(A2)の液滴203を組成物(A1)202(液膜)上に配置した状態で加振器309(作動部)にて基板201に振動を印加する。基板201の振動によって液体状の組成物(A1)202と組成物(A2)203とが振動されて、液体状の組成物(A1)と組成物(A2)との混合が促進される。これにより、組成物(A1)と組成物(A2)がより広い範囲において混合し、より均一な濃度で混合された混合物210をより短い時間で得ることができる。つまり、加振器309は、液体状の組成物(A1)と組成物(A2)とをより広い範囲で混合させるように基板を振動させる。
加振器309はアクチュータを備え、アクチュエータを駆動することにより振動を発生させることができる。アクチュータとしては、ピエゾアクチュエータやDCモータ、ACモータなどを用いることができる。図3[2]では、加振器309は基板201に直接接触させて設けているが、基板上の組成物に振動が伝われば、基板201に直接接触させなくてもよい。例えば、加振器309を、基板201を保持して移動させる基板ステージに設けてもよく、基板を真空吸着で保持する基板チャックに設けても良い。
加振器309による振動は低周波でも高周波でも行うことができ、超音波のような高周波の振動を与えてもよい。振動は、基板の平面の方向だけでなく、基板の平面に対して垂直な方向(法線方向)に与えてもよい。また、基板を任意の軸回りに回転させるように振動させてもよい。振動の方向、周波数、振幅及び時間は、組成物(A1)と組成物(A2)の粘度、滴下された組成物(A2)の液滴の量などによって決定される。よって、事前に組成物(A1)及び組成物(A2)とモールドとを接触させた状態で振動の方向、周波数、振幅及び時間を変化させて混合状態を確認し、実際に用いる値を決めることが良い。混合状態は、インプリント装置に設けられたカメラで観察可能である。また、カメラで撮像された画像から組成物の混合状態を判定し、混合状態が十分であれば基板の振動を止め、混合状態が不十分であれば基板の振動を続けるか、振動の方向、周波数や振幅を変化させるように制御を行っても良い。
振動の振幅は特に限定はされないが、振幅が大きすぎると、ショット領域503外に組成物(A2)が染み出してしまう恐れがある。組成物がショット領域外にはみ出すと、モールドの壁面に付着する恐れがあり、付着した硬化性組成物によってモールドが基板と面で接触できなくなる可能性がある。その場合は、モールドの洗浄作業が必要になる。そこで、平面方向の振動の振幅はショット領域の寸法の半分以下が望ましく、1μm以下に抑えることがより好ましい。これにより、組成物のはみ出しを減らし、モールド壁面に組成物を付着させず、モールドの洗浄1回あたりのショット回数を多くすることができる。
以上のように、本実施形態によれば、基板上の組成物の混合を促進し、組成物の硬化までに要する時間を短縮することができる。したがって、パターン形成におけるスループットを向上させることができる。
また、上述のようにより広い範囲において混合した混合物210に対して、型接触工程[3]、光照射工程[4]、離型工程[5]を行うことによって、欠陥の少ないパターン207を高精度に形成することができる。
(第2実施形態)
本実施形態のパターン形成方法は、供給工程[2]及び型接触工程[3]が図3に示す工程と異なる以外は、第1実施形態と同じである。ここでは、異なる部分について説明を行う。
<供給工程[2]>
本実施形態では、組成物(A1)に組成物(A2)を滴下した後に基板201への振動は印加せず、滴下した状態のまま次の型接触工程[3]に移行する。
<型接触工程[3]>
図4[3]に示すように、前工程(積層工程、供給工程)で形成された組成物(A1)及び組成物(A2)が部分的に混合してなる液体213にパターン形状を転写するための原型パターンを有するモールド205を接触させる。モールド205を接触させると、組成物(A1)及び組成物(A2)の混合物213が押し広げられるが、滴下した組成物(A2)の液滴と液滴の間では、十分に混合しきれない領域209が発生する。この液滴間の領域において組成物を混合させるために、図4[3]に示すように、組成物(A1)及び組成物(A2)を基板201とモールド205で挟み込んで接触させながら、モールドに対して基板201をその表面(平面)の方向409へ移動させる。これにより、モールド又は基板によって組成物にせん断力が加わり、組成物(A1)及び組成物(A2)の混合が促進され、組成物(A1)と組成物(A2)の混合物210が得られる。基板の移動は、基板を保持する基板ステージ(作動部)によって行われる。なお、移動においては、基板201とモールド205を基板201の表面(平面)の方向に相対的に移動させればよく、基板に対してモールドを移動させてもよい。つまり、組成物(A1)及び組成物(A2)とモールド205とを接触させながら、組成物(A1)と組成物(A2)との混合がより広い範囲で行われるように、モールドと基板とを相対的に移動させる。モールドはモールドを保持するモールドステージ(作動部)によって移動される。基板とモールドのどちらかを移動させる以外に両方を同時に移動させてもよい。平面方向に基板とモールドの両方を同時に動かす場合は、基板とモールドの動作がお互いに逆方向又は異なる方向になるようにし、間に挟まれている組成物へのせん断力を大きくすることが望ましい。
移動させる方向は、モールドに対して基板の平面方向だけでなく、基板の平面に対して垂直な方向でもよく、平面方向と垂直方向の両方の方向に移動させてもよい。また、任意の軸回りに回転させるように移動させてもよい。平面方向への移動は、特定の一方向に動作させてもよいが、より効率的に組成物を混合させるために複数の方向に同時に動作させることが望ましい。例えば、円を描くように基板を移動させるなどである。垂直方向への移動は、モールドと基板上の組成物が接液した状態で、組成物の表面張力によってモールドと基板の間にできるメニスカスが保たれている状態、つまり接液している状態で動作を行うことが望ましい。動作させる振幅が大きくなりすぎるとメニスカスが壊れ、モールドまたは基板から組成物が離液してしまう。離液するとモールドのパターン内に気泡を噛みこんでしまう可能性がある。
移動の方向、周期、振幅及び時間は、組成物(A1)と(A2)の粘度、滴下された組成物(A2)の液滴の量、モールドと基板間の距離などによって決定される。よって、事前に基板上に組成物(A1)を積層し、組成物(A2)を滴下し、モールドと基板で挟み込んだ状態で移動の方向、周期、振幅及び時間を変化させて混合状態を確認し、実際に用いる値を決めることがよい。混合状態は、インプリント装置に設けられたカメラで観察可能である。また、カメラで撮像された画像から組成物の混合状態を判定し、混合状態が十分であれば基板及びモールドの少なくとも一方の移動を止め、混合状態が不十分であれば相対移動を続けるか、移動の方向、周期、振幅及び時間を変化させるように制御を行っても良い。
複数のショット領域を同一基板内に配置する場合、基板のショット領域から組成物がはみ出さないように制御する必要がある。そのため、平面方向の移動の振幅(移動量)は、図4[2]に示すように組成物(A2)の液滴203のピッチ410もしくはそのピッチの半分の距離と同等の距離にすることが望ましい。ただし、ショット領域から組成物(A2)がはみ出さない距離にする。複数のショット領域の間隔の半分以下の距離が望ましく、1μm以下に抑えることがより好ましい。ショット領域から組成物がはみ出すと、隣接するショット領域に不具合をもたらす。具体的には、組成物(A2)がショット領域外にはみ出すと、モールドの壁面に付着する恐れがあり、付着した組成物によってモールドが基板と面で接触できなくなる可能性がある。その場合は、モールドの洗浄作業が必要になる。そのため、組成物の染み出しは極力減らした方が洗浄1回あたりのショット回数を稼ぐことができる。モールド壁面に付着させないためには、染み出し量を1μm以下にすることが好ましい。
図5を用いて、ショット領域と接液領域との関係を説明する。図5[1]では、基板501のショット領域503上に組成物502が配置されている状態を示す。図5[2]では、組成物502とモールドとが接触したときの接液領域504を示す。平面方向に動作させる場合、モールドと基板上の硬化性組成物に接液した瞬間は、[2]に示す振幅505のように振幅を大きく取る。その後、モールドを押し付けると、モールドと基板との距離が近づき、接液領域504が広がる。このとき、図5[3]、[4]に示すように、モールドと基板との距離を近づけながら、モールドと基板の相対移動の振幅505を小さくさせるような制御を行うことが好ましい。相対移動の振幅が大きすぎると、図5[5]に示すように、ショット領域からはみ出した組成物506が形成されてしまう。
半導体チップを製作する場合、基板上の組成物にモールドを押印する時に基板とモールドとの正確な位置合わせを必要とする。位置合わせは、基板ステージまたはモールドステージを動作させ、組成物(A1)と組成物(A2)を混合した後に行うことが望ましい。
なお、上記では、組成物(A1)及び組成物(A2)とモールド205とを接触させながらモールドと基板とを相対的に移動させたが、組成物(A1)及び組成物(A2)とモールド205とを接触させながら基板を振動させてもよい。基板の振動は第1実施形態のように行うことができる。なお、型接触工程[3]においては、前述のように基板とモールドの位置合わせを行っている。そのため、基板とモールドの位置合わせを行っている間に、基板の振動を行うと、基板やモールドのアライメントマークを検出するための光学センサによる検出結果に影響を与える可能性がある。当該光学センサは、基板やモールドからの検出光を所定の時間累積し、平均値を電気信号に変換しているので、振動が1kHz以上の周波数であれば平均効果により光学センサの検出結果における振動の影響が少なくなる。そこで、組成物(A1)及び組成物(A2)とモールド205とを接触させながら基板を振動させる場合、1kHz以上の周波数の振動を与えることが望ましい。また、振動の周波数が1kHz以下にする場合、基板とモールドの位置合わせを一時停止して、基板を振動させて組成物が全体的に均一に混合された状態になった後に、位置合わせを再開することにしてもよい。
以上のように、本実施形態によれば、基板上の組成物の混合を促進し、組成物の硬化までに要する時間を短縮することができる。したがって、パターン形成におけるスループットを向上させることができる。
また、上述のように、より広い範囲において混合した混合物に対して光照射工程[4]、離型工程[5]を行うことによって、欠陥の少ないパターンを高精度に形成することができる。
(第3実施形態)
本実施形態では、型接触工程[3]におけるモールドの動作の方法が第2実施形態とは異なる。図7を用いて説明する。
本実施形態では、型接触工程[3]において、モールドと基板上の組成物とが接触している時にモールドと基板間の気体を抜きやすくするために、モールドを基板側に凸形状になるように撓ませている。モールドにはパターンが形成されているパターン部の反対側に気体の圧力を制御する空間が設けられており、この空間内の気体の圧力を制御する制御部(作動部)によって、モールドの撓みの量(形状)を制御している。そこで、モールドを撓ませつつ接液させながら、この空間内の圧力を制御することによってモールドの撓み量を変化させてモールドに振動710を加える。これにより、モールドからの振動を基板上の組成物に伝え、基板上にある複数種類の組成物の混合を促進させることができる。
なお、モールドを振動させる作動部としては、当該空間内の圧力の制御によらず、モールドステージに設けられた、モールドを振動させる加振器や、モールドを変形させるためのアクチュエータを用いることもできる。
モールドの振動は低周波でも高周波でも行うことができ、超音波のような高周波の振動を与えてもよい。振動の方向は任意に設定することができる。振動の方向、周波数、振幅及び時間は、組成物(A1)と組成物(A2)の粘度、滴下された組成物(A2)の液滴の量などによって決定される。よって、事前に組成物(A1)及び組成物(A2)とモールドとを接触させた状態で振動の方向、周波数、振幅及び時間を変化させて混合状態を確認し、実際に用いる値を決めることが良い。混合状態は、インプリント装置に設けられたカメラで観察可能である。また、カメラで撮像された画像から組成物の混合状態を判定し、混合状態が十分であればモールドの振動を止め、混合状態が不十分であれば基板の振動を続けるか、振動の方向、周波数や振幅を変化させるように制御を行っても良い。また、第2実施形態と同様に、組成物(A1)及び組成物(A2)とモールド205とを接触させながらモールドを振動させる場合、1kHz以上の周波数の振動を与えることが望ましい。また、振動の周波数が1kHz以下にする場合、基板とモールドの位置合わせを一時停止して、モールドを振動させて組成物が全体的に均一に混合された状態になった後に、位置合わせを再開することにしてもよい。
また、モールドを撓ませながら接液し、モールドの撓み量を減らしつつ、第2実施形態のように基板ステージを動作させてもよい。
以上のように、本実施形態によれば、基板上の組成物の混合を促進し、組成物の硬化までに要する時間を短縮することができる。したがって、パターン形成におけるスループットを向上させることができる。また、より広い範囲において混合した混合物に対して光照射工程[4]、離型工程[5]を行うことによって、欠陥の少ないパターンを高精度に形成することができる。
(物品製造方法)
次に、前述のパターン形成方法又はインプリント装置を利用した物品(半導体IC素子、液晶表示素子、カラーフィルタ、MEMS、光学部品、モールド等)の製造方法を説明する。物品は、前述のパターン形成方法を使用して、混合した硬化性組成物が設けられた基板(ウエハ、ガラス基板等)を露光する工程と、その組成物を硬化させる工程とを行い、基板上にパターンを形成する。そして、パターンが形成された基板を、他の周知の加工工程で処理することにより製造される。他の周知の工程には、エッチング、ダイシング、ボンディング、パッケージング等が含まれる。本製造方法によれば、従来よりも高品位の物品を製造することができる。
以上、各実施形態を説明したが、これらに限らず、これらの実施形態を組合せることもできる。例えば、第1実施形態の供給工程[2]と第2実施形態の型接触工程[3]とを組み合わせることができる。例えば、組成物(A1)に組成物(A2)を滴下した後に基板に振動を印加し、滴下した組成物(A1)に組成物(A2)を混合させる。混合後に第2実施形態の型接触工程[3]において、基板ステージ又はモールドステージの移動によって組成物(A1)、(A2)をさらに混合させることができる。これにより、より均一な濃度に混合させることができ、第2実施形態の型接触工程[3]における組成物の混合時間を短くすることができる。
また、組成物の混合方法は、上記のインプリント装置内で行うことに限らず、インプリント装置外でも行うことができる。例えば、組成物(A1)や組成物(A2)を基板上に供給する装置内において、組成物(A1)の液膜上に組成物(A2)が供給された基板を振動させてもよい。また、パターンが形成されてない型(物体)と基板上の組成物を接触させながら基板と物体を相対的に移動させたり、物体を振動させたりしてもよい。