以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
また、図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状又は値などに限定されない。
また、本明細書にて用いる「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
また、本明細書において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。従って、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域またはソース電極)の間にチャネル領域を有しており、チャネル領域を介して、ソース、ドレイン間に電流を流すことができるものである。なお、本明細書等において、チャネル領域とは、電流が主として流れる領域をいう。
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極や配線をはじめ、トランジスタなどのスイッチング素子、抵抗素子、インダクタ、キャパシタ、その他の各種機能を有する素子などが含まれる。
また、本明細書等において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
また、本明細書等において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態(非導通状態、遮断状態、ともいう)にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態とは、特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低い状態、pチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも高い状態をいう。例えば、nチャネル型のトランジスタのオフ電流とは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低いときのドレイン電流を言う場合がある。
トランジスタのオフ電流は、Vgsに依存する場合がある。従って、トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、トランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを言う場合がある。トランジスタのオフ電流は、所定のVgsにおけるオフ状態、所定の範囲内のVgsにおけるオフ状態、または、十分に低減されたオフ電流が得られるVgsにおけるオフ状態、等におけるオフ電流を指す場合がある。
一例として、しきい値電圧Vthが0.5Vであり、Vgsが0.5Vにおけるドレイン電流が1×10−9Aであり、Vgsが0.1Vにおけるドレイン電流が1×10−13Aであり、Vgsが−0.5Vにおけるドレイン電流が1×10−19Aであり、Vgsが−0.8Vにおけるドレイン電流が1×10−22Aであるようなnチャネル型トランジスタを想定する。当該トランジスタのドレイン電流は、Vgsが−0.5Vにおいて、または、Vgsが−0.5V乃至−0.8Vの範囲において、1×10−19A以下であるから、当該トランジスタのオフ電流は1×10−19A以下である、と言う場合がある。当該トランジスタのドレイン電流が1×10−22A以下となるVgsが存在するため、当該トランジスタのオフ電流は1×10−22A以下である、と言う場合がある。
また、本明細書等では、チャネル幅Wを有するトランジスタのオフ電流を、チャネル幅Wあたりを流れる電流値で表す場合がある。また、所定のチャネル幅(例えば1μm)あたりを流れる電流値で表す場合がある。後者の場合、オフ電流の単位は、電流/長さの次元を持つ単位(例えば、A/μm)で表される場合がある。
トランジスタのオフ電流は、温度に依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、室温、60℃、85℃、95℃、または125℃におけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証される温度、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)におけるオフ電流、を表す場合がある。トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、室温、60℃、85℃、95℃、125℃、当該トランジスタが含まれる半導体装置の信頼性が保証される温度、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)、におけるトランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを指す場合がある。
トランジスタのオフ電流は、ドレインとソースの間の電圧Vdsに依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、Vdsが0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V、2.5V,3V、3.3V、10V、12V、16V、または20Vにおけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証されるVds、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVdsにおけるオフ電流、を表す場合がある。トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、Vdsが0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V、2.5V,3V、3.3V、10V、12V、16V、20V、当該トランジスタが含まれる半導体装置の信頼性が保証されるVds、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVds、におけるトランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを指す場合がある。
前述オフ電流の説明において、ドレインをソースと読み替えてもよい。つまり、オフ電流は、トランジスタがオフ状態にあるときのソースを流れる電流を言う場合もある。
また、本明細書等では、オフ電流と同じ意味で、リーク電流と記載する場合がある。また、本明細書等において、オフ電流とは、例えば、トランジスタがオフ状態にあるときに、ソースとドレインとの間に流れる電流を指す場合がある。
また、本明細書等において、トランジスタのしきい値電圧とは、トランジスタにチャネルが形成されたときのゲート電圧(Vg)を指す。具体的には、トランジスタのしきい値電圧とは、ゲート電圧(Vg)を横軸に、ドレイン電流(Id)の平方根を縦軸にプロットした曲線(Vg−√Id特性)において、最大傾きである接線を外挿したときの直線と、ドレイン電流(Id)の平方根が0(Idが0A)との交点におけるゲート電圧(Vg)を指す場合がある。あるいは、トランジスタのしきい値電圧とは、チャネル長をL、チャネル幅をWとし、Id[A]×L[μm]/W[μm]の値が1×10−9[A]となるゲート電圧(Vg)を指す場合がある。
また、本明細書等において、「半導体」と表記した場合であっても、例えば、導電性が十分に低い場合は、「絶縁体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「絶縁体」とは境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。したがって、本明細書等に記載の「半導体」と、「絶縁体」とは、互いに言い換えることが可能な場合がある。
また、本明細書等において、「半導体」と表記した場合であっても、例えば、導電性が十分に高い場合は、「導電体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「導電体」とは境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。したがって、本明細書等に記載の「半導体」と、「導電体」とは、互いに言い換えることが可能な場合がある。
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い表現での金属の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む)、酸化物半導体(Oxide Semiconductorまたは単にOSともいう)などに分類される。例えば、トランジスタの活性層に金属酸化物を用いた場合、当該金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、金属酸化物が増幅作用、整流作用、及びスイッチング作用の少なくとも1つを有する場合、当該金属酸化物を、金属酸化物半導体(metal oxide semiconductor)、略してOSと呼ぶことができる。また、OS FETと記載する場合においては、金属酸化物または酸化物半導体を有するトランジスタと換言することができる。
また、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
また、本明細書等において、CAAC(c−axis aligned crystal)、及びCAC(Cloud−Aligned Composite)と記載する場合がある。なお、CAACは結晶構造の一例を表し、CACは機能、または材料の構成の一例を表す。
また、本明細書等において、CAC−OSまたはCAC−metal oxideとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。なお、CAC−OSまたはCAC−metal oxideを、トランジスタの活性層に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(またはホール)を流す機能であり、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC−OSまたはCAC−metal oxideに付与することができる。CAC−OSまたはCAC−metal oxideにおいて、それぞれの機能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
また、本明細書等において、CAC−OSまたはCAC−metal oxideは、導電性領域、及び絶縁性領域を有する。導電性領域は、前述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、前述の絶縁性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察される場合がある。
また、CAC−OSまたはCAC−metal oxideにおいて、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3nm以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
また、CAC−OSまたはCAC−metal oxideは、異なるバンドギャップを有する成分により構成される。例えば、CAC−OSまたはCAC−metal oxideは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因するナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際に、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャップを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、前述CAC−OSまたはCAC−metal oxideをトランジスタのチャネル領域に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、及び高い電界効果移動度を得ることができる。
すなわち、CAC−OSまたはCAC−metal oxideは、マトリックス複合材(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal matrix composite)と呼称することもできる。
金属酸化物の結晶構造の一例について説明する。なお、以下では、In−Ga−Zn酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])を用いて、スパッタリング法にて成膜された金属酸化物を一例として説明する。前述ターゲットを用いて、基板温度を100℃以上130℃以下として、スパッタリング法により形成した金属酸化物をsIGZOと呼称し、前述ターゲットを用いて、基板温度を室温(R.T.)として、スパッタリング法により形成した金属酸化物をtIGZOと呼称する。例えば、sIGZOは、nc(nano crystal)及びCAACのいずれか一方または双方の結晶構造を有する。また、tIGZOは、ncの結晶構造を有する。なお、ここでいう室温(R.T.)とは、基板を意図的に加熱しない場合の温度を含む。なお、CAAC構造とは、複数のIGZOのナノ結晶がc軸配向を有し、かつa−b面においては配向せずに連結した結晶構造である。
本明細書等において、表示装置の一態様である表示パネルは表示面に画像等を表示(出力)する機能を有するものである。したがって表示パネルは出力装置の一態様である。
また、本明細書等では、表示パネルの基板に、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)もしくはTCP(Tape Carrier Package)などのコネクターが取り付けられたもの、または基板にCOG(Chip On Glass)方式等によりICが実装されたものを、表示パネルモジュール、表示モジュール、または単に表示パネルなどと呼ぶ場合がある。
また、本明細書等において、タッチセンサは指やスタイラスなどの被検知体が触れる、押圧する、または近づくことなどを検出する機能を有するものである。またその位置情報を検知する機能を有していてもよい。したがってタッチセンサは入力装置の一態様である。例えばタッチセンサは1以上のセンサ素子を有する構成とすることができる。
また、本明細書等では、タッチセンサを有する基板を、タッチセンサパネル、または単にタッチセンサなどと呼ぶ場合がある。また、本明細書等では、タッチセンサパネルの基板に、例えばFPCもしくはTCPなどのコネクターが取り付けられたもの、または基板にCOG方式等によりICが実装されたものを、タッチセンサパネルモジュール、タッチセンサモジュール、センサモジュール、または単にタッチセンサなどと呼ぶ場合がある。
なお、本明細書等において、表示装置の一態様であるタッチパネルは表示面に画像等を表示(出力)する機能と、表示面に指やスタイラスなどの被検知体が触れる、押圧する、または近づくことなどを検出するタッチセンサとしての機能と、を有する。したがってタッチパネルは入出力装置の一態様である。
タッチパネルは、例えばタッチセンサ付き表示パネル(または表示装置)、タッチセンサ機能つき表示パネル(または表示装置)とも呼ぶことができる。
タッチパネルは、表示パネルとタッチセンサパネルとを有する構成とすることもできる。または、表示パネルの内部または表面にタッチセンサとしての機能を有する構成とすることもできる。
また、本明細書等では、タッチパネルの基板に、例えばFPCもしくはTCPなどのコネクターが取り付けられたもの、または基板にCOG方式等によりICが実装されたものを、タッチパネルモジュール、表示モジュール、または単にタッチパネルなどと呼ぶ場合がある。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置と、その作製方法について説明する。ここでは半導体装置の一態様であるトランジスタについて説明する。
本発明の一態様のトランジスタは、ゲート電極としての機能を有する第1の導電層と、ゲート絶縁層としての機能を有する第1の絶縁層と、半導体層と、それぞれソース電極またはドレイン電極としての機能を有する第2の導電層及び第3の導電層と、保護層としての機能を有する第2の絶縁層及び第3の絶縁層とを有する。
半導体層は、金属酸化物膜を用いることが好ましい。特に、インジウムと、元素M(Mは、ガリウム、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、スズ、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムの一以上)と、亜鉛とを有すると好ましい。特に元素Mはアルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズとすることが好ましい。
半導体層として、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い金属酸化物膜を用いることで、優れた電気特性を有するトランジスタを作製することができ、好ましい。ここでは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性とよぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である半導体層は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。従って、該半導体層にチャネル領域が形成されるトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが抑制される。また、高純度真性または実質的に高純度真性である半導体層は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。また、高純度真性または実質的に高純度真性である半導体層は、オフ電流が著しく低い。
トランジスタのチャネル領域のキャリア密度及び欠陥準位は、トランジスタの電気特性及び信頼性に影響する。特に、チャネル長が短いトランジスタにおいては、チャネル領域のキャリア密度及び欠陥準位が、電気特性及び信頼性に顕著に影響する。したがって、チャネル領域のキャリア密度及び欠陥準位を低減することで、チャネル長が短いトランジスタにおいても良好な電気特性及び信頼性を得られる。
半導体層が有する金属酸化物膜から酸素が脱離し、酸素欠損(以下、Voと記す場合がある)が形成される場合がある。半導体層中に酸素欠損が多く存在すると、半導体層中の欠陥準位密度が高くなるなどし、トランジスタの電気特性及び信頼性に悪影響を及ぼす場合がある。したがって、トランジスタ作製工程において、十分な量の酸素を半導体層中に導入し、酸素欠損を低減することで、電気特性が良好で、信頼性の高いトランジスタを作製できる。また、酸素欠損の低減とともに、トランジスタの作製工程において、酸素欠損の発生を抑制することも重要である。
半導体層中に酸素欠損及び水素が存在すると、酸素欠損に水素が入った状態(以下、VoHと記す場合がある)が形成される場合がある。VoHはキャリア発生源となり、トランジスタの電気特性及び信頼性に悪影響を及ぼす場合がある。したがって、半導体層中の水素及びVoHを低減することにより、キャリア密度を低減でき、電気特性が良好で、信頼性の高いトランジスタを作製できる。また、水素及びVoHの低減とともに、外部から半導体層中へ水素を有する不純物が拡散するのを抑制することが重要である。水素を有する不純物としては、例えば水素、水などがある。
半導体層中の酸素欠損を低減する方法の一つとして、加熱により酸素を放出しうる層を半導体層の近傍に配置して加熱処理を施すことにより、該層から半導体層へ酸素を供給する方法を用いることができる。
保護層としての機能を有する第2の絶縁層は、半導体層の上面に接する。第2の絶縁層は、酸素を有することが好ましい。第2の絶縁層は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む絶縁膜であるとさらに好ましい。例えば、シリコンと酸素とを含む絶縁膜、又はシリコンと酸素と窒素を含む絶縁膜などを用いることが好ましい。
本明細書等において、化学量論的組成を超えて含まれる酸素を過剰酸素(exO)と記す場合がある。または、過剰酸素とは、例えば、加熱することで酸素が含まれる膜又は層から放出される酸素をいう。過剰酸素は、例えば、膜や層の内部を移動できる。過剰酸素の移動は、膜や層の原子間を移動する場合や、膜や層を構成する酸素と置き換わりながら玉突き的に移動する場合などがある。また、本明細書等において、過剰酸素(exO)を単に酸素と記す場合がある。
半導体層上に第2の絶縁膜を設けた後に加熱処理を行うことで、第2の絶縁層から半導体層に酸素が拡散し、半導体層中に酸素が供給される。半導体層中に供給された酸素が、半導体層が有する酸素欠損に近づくと、酸素は酸素欠損に捕獲され、酸素欠損が補填される。また、酸素が、半導体層が有する水素に近づくと、酸素と水素が作用して水(H2O)となり、半導体層から水分子として脱離する。また、酸素が、半導体層が有するVoHに近づくと、酸素はVoHの酸素欠損を補填する。また、該VoHが有していた水素は別の酸素と作用して水となり、半導体層から水として脱離する。このようにして、第2の絶縁層が有する酸素により、半導体層中の酸素欠損、水素及びVoHを低減させることができる。
保護層としての機能を有する第3の絶縁層は、第2の絶縁層の上面に接する。第3の絶縁層は、第2の絶縁層より窒素濃度が高い材料を用いることが好ましい。例えば、シリコン及び窒素を主成分とする絶縁膜を有することが好ましい。シリコン及び窒素を主成分とする絶縁膜は、水、水素、及び酸素などが拡散しにくい特徴を有する。そのため、第2の絶縁層上に第3の絶縁層を設けることで、半導体層及び第2の絶縁層から外部へ酸素が拡散(脱離)するのを抑制できる。したがって、半導体層中の酸素欠損が増加するのを抑制できる。
第3の絶縁層として、例えば、元素X(Xはアルミニウム、インジウム、ガリウム又は亜鉛の一以上)を有する酸化物を用いることができる。特に、金属と酸素を主成分として含む絶縁膜を用いることが好ましい。例えば、第3の絶縁層として酸化アルミニウム、又はIn−Ga−Zn酸化物を用いることができる。
また、前述した第2の絶縁層に空隙部が生じる場合がある。空隙部が存在すると、空隙部を介して外部から半導体層へ水、水素等の不純物が拡散し、半導体層中の水素が増加する場合がある。第2の絶縁層上に第3の絶縁層を設け、空隙部を覆うことで、空隙部を介して外部から半導体層へ不純物が拡散するのを抑制でき、半導体層中の水素が増加するのを抑制できる。
第2の絶縁層上に第3の絶縁層を設けることで、半導体層中の酸素欠損、水素及びVoHを低減させることができる。したがって、電気特性が良好で、信頼性が高いトランジスタを作製できる。
以下では、本発明の一態様のより具体的な例について、図面を参照して説明する。以下では、半導体装置の一例として、トランジスタを例に挙げて説明する。
<構成例1>
本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタ100Aの上面図を図1(A)、断面図を図1(B)及び図1(C)に示す。図1(B)は、図1(A)に示す一点鎖線X1−X2における切断図の断面図に相当し、図1(C)は、図1(A)に示す一点鎖線Y1−Y2における切断図の断面図に相当する。なお、図1(A)において、煩雑になることを避けるため、トランジスタ100Aの構成要素の一部(ゲート絶縁層等)を省略して図示している。また、一点鎖線X1−X2方向をチャネル長方向、一点鎖線Y1−Y2方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。また、トランジスタの上面図においては、以降の図面においても図1(A)と同様に、構成要素の一部を省略して図示する場合がある。
トランジスタ100Aは、基板102上の導電層104と、基板102及び導電層104上の絶縁層106と、絶縁層106上の金属酸化物層108と、金属酸化物層108の上面に接し、金属酸化物層108上で間をあけて設けられる導電層112a及び導電層112bと、を有する。また導電層112a、導電層112b及び金属酸化物層108上の絶縁層114と、絶縁層114上の絶縁層116とを有する。
導電層104の一部はゲート電極として機能する。絶縁層106の一部はゲート絶縁層として機能する。導電層112aはソース電極及びドレイン電極の一方として機能し、導電層112bはソース電極及びドレイン電極の他方として機能する。絶縁層114及び絶縁層116はそれぞれ保護層として機能する。
トランジスタ100Aは、いわゆるチャネルエッチ型、シングルゲート構造のトランジスタである。
図1(A)、図1(B)及び図1(C)に示すように、金属酸化物層108は、第1の金属酸化物層108aと、第1の金属酸化物層108a上の第2の金属酸化物層108bの積層構造とすることが好ましい。
第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bは、それぞれ金属酸化物を含むことが好ましい。第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bには、それぞれ前述した材料を用いることができる。
第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bは、それぞれInの原子数比がMの原子数比より多い領域を有すると、トランジスタの電界効果移動度を高めることができ、好ましい。一例としては、第1の金属酸化物層108aと第2の金属酸化物層108bのIn、M、及びZnの原子数の比を、それぞれ、In:M:Zn=4:2:3またはその近傍、あるいはIn:M:Zn=5:1:7またはその近傍とすると好ましい。ここで、近傍とは、Inが4の場合、Mが1.5以上2.5以下であり、かつZnが2以上4以下を含み、Inが5の場合、Mが0.5以上1.5以下であり、かつZnが5以上7以下を含む。第1の金属酸化物層108aと第2の金属酸化物層108bを概略同じ組成とすることで、同じスパッタリングターゲットを用いて形成できるため、製造コストを抑制できる。
また、第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bは、In、M、及びZnの原子数の比を、それぞれ、In:M:Zn=1:1:1またはその近傍を用いることができる。ここで、近傍とは、Inが1の場合、Mが0.5以上1.5以下であり、かつZnが0.1以上2以下を含む。InとMの原子数の比を概略同じとすることにより、第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bに酸素欠損が発生することを抑制でき、好ましい。酸素欠損の発生を抑制できることから、電気特性が良好で、信頼性が高いトランジスタを作製できる。
第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bは、それぞれ組成の異なるターゲットを用いて成膜された膜を用いてもよいが、特に同じ組成のターゲットを用い、大気に曝すことなく連続して成膜された積層膜を用いることが好ましい。連続して成膜することで、1つの成膜装置で処理を行えるほか、第1の金属酸化物層108aと第2の金属酸化物層108bの間に不純物が残留することを抑制できる。金属酸化物層の不純物はキャリア源となりうるため、不純物の増加を抑制することで、電気特性が良好で、信頼性が高いトランジスタを作製できる。
第2の金属酸化物層108bは、第1の金属酸化物層108aよりも、結晶性の高い領域を有することが好ましい。第2の金属酸化物層108bは結晶性の高い領域を有することで、第1の金属酸化物層108aよりもエッチング耐性に優れた膜とすることができる。そのため、導電層112a及び導電層112bを形成する際に、第2の金属酸化物層108bがエッチングにより消失してしまうことを防ぐことができる。したがって、図1(A)、図1(B)及び図1(C)に示すようなチャネルエッチ構造のトランジスタを実現できる。さらに、トランジスタのバックチャネル側に位置する第2の金属酸化物層108bに結晶性の高い膜を用いることで、導電層104側の第1の金属酸化物層108aへ拡散しうる不純物を低減できるため、電気特性が良好で、信頼性が高いトランジスタを作製できる。
また、第1の金属酸化物層108aに、第2の金属酸化物層108bよりも結晶性の低い領域を含む膜を用いることで、第1の金属酸化物層108a中に酸素が拡散しやすくなり、第1の金属酸化物層108aにおける酸素欠損の割合を低くすることができる。特に、第1の金属酸化物層108aは導電層104に近い側に位置し、主としてチャネルが形成されやすい層である。したがって、第1の金属酸化物層108aに酸素欠損が少ない膜を用いることで、電気特性が良好で、信頼性が高いトランジスタを作製できる。
第1の金属酸化物層108aと第2の金属酸化物層108bとは、例えば成膜条件を異ならせることで作り分けることができる。例えば、第1の金属酸化物層108aと第2の金属酸化物層108bとで、成膜ガス中の酸素ガスの流量を異ならせることができる。
このとき、第1の金属酸化物層108aの成膜条件として、ガス流量全体に占める酸素ガス流量の割合(酸素流量比又は酸素分圧ともいう)を、0%以上30%以下、好ましくは5%以上15%以下とする。前述の酸素流量比とすることで、第1の金属酸化物層108aの結晶性を低くすることができる。
一方、第2の金属酸化物層108bの成膜条件として、酸素流量比を30%より大きく100%以下、好ましくは50%以上100%以下、さらに好ましくは70%以上100%以下とする。前述の酸素流量比とすることで、第2の金属酸化物層108bの結晶性を高くすることができる。
なお、酸素流量比が高いと、金属酸化物層中にスピネル型の結晶構造を有する領域が生じる場合がある。スピネル型の結晶構造を有する領域を有する場合、該領域または/および該領域とその他の領域との界面は酸素欠損密度が高くなる場合がある。したがって、スピネル型の結晶構造を有する領域が生じない酸素流量比、例えば酸素流量比を30%より大きく50%以下を用いてもよい。
第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bの形成時の基板温度としては、室温(25℃)以上200℃以下が好ましく、室温以上130℃以下がより好ましい。基板温度を前述範囲とすることで、大面積のガラス基板を用いる場合に、基板の撓みまたは歪みを抑制できる。ここで、第1の金属酸化物層108aと第2の金属酸化物層108bとで、基板温度を同じ温度とすると、生産性を高めることができる。また、例えば第1の金属酸化物層108aと第2の金属酸化物層108bとで基板温度を異ならせる場合には、第2の金属酸化物層108b形成時の基板温度を高くすると、第2の金属酸化物層108bの結晶性をより高めることができる。
例えば、第1の金属酸化物層108aにCAC−OS(Cloud−Aligned Composite oxide semiconductor)膜を用い、第2の金属酸化物層108bにCAAC−OS(c−axis−aligned crystalline oxide semiconductor)膜を用いることが好ましい。
第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bの結晶性としては、例えば、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)、電子線回折(Electron Diffraction)等により解析できる。
第1の金属酸化物層108aの厚さとしては、1nm以上50nm以下、好ましくは5nm以上30nm以下とすればよい。また、第2の金属酸化物層108bの厚さとしては、10nmより大きく100nm以下、好ましくは20nm以上50nm以下とすればよい。
なお、第1の金属酸化物層108aと第2の金属酸化物層108bの境界(界面)を明確に確認できない場合がある。そこで、本発明の一形態を説明する図面では、これらの境界を破線で示している。
金属酸化物層108において、金属酸化物層108が有する酸素欠損と水素が作用してVoHが形成されると、キャリア密度が増加する場合がある。したがって、金属酸化物層108は酸素欠損が少ないことが好ましい。また、金属酸化物層108は不純物が少ないことが好ましい。特に、金属酸化物層108は水素を有する不純物が少ないことが好ましい。酸素欠損及び不純物が少ないことで、金属酸化物層108にVoHが形成されるのが抑制される。したがって、キャリア密度が低くなり、電気特性が良好で、信頼性が高いトランジスタを得られる。
なお、金属酸化物層108が単層構造としてもよい。金属酸化物層108を金属酸化物層108aと同様の構成を適用することで、トランジスタのオン電流を高めることができる。また、金属酸化物層108に金属酸化物層108bと同様の構成を適用することで、トランジスタの信頼性を向上させることができる。
絶縁層114には、酸素を含む雰囲気下で成膜した酸素を含む絶縁膜を用いることができる。酸素を含む雰囲気下で形成した絶縁膜は、加熱により多くの酸素を放出しやすい膜とすることができる。また、絶縁層114は、絶縁層116よりも窒素の濃度が低い材料を用いることが好ましい。例えば、シリコンと酸素とを含む絶縁膜、シリコンと酸素と窒素を含む絶縁膜などを用いることが好ましい。特に、酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を用いることがより好ましい。
本明細書等において、酸化窒化シリコンとは、シリコン、酸素及び窒素を有し、かつその組成として窒素よりも酸素の含有量が多い膜を指す。窒化酸化シリコンとは、シリコン、酸素及び窒素を有し、かつその組成として酸素よりも窒素の含有量が多い膜を指す。組成は、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)等を用いて測定できる。
絶縁層114として、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜等を用いる場合には、プラズマ化学気相堆積(PECVD:Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)装置を用いて形成すると好ましい。PECVD装置は、被形成面の段差被覆性が高く、また緻密で欠陥の少ない絶縁膜を成膜できるため好ましい。
絶縁層114は、絶縁層114aと、絶縁層114a上の絶縁層114bの積層構造としてもよい。絶縁層114a及び絶縁層114bは、それぞれ過剰酸素領域を有することが好ましい。絶縁層114a及び絶縁層114bが過剰酸素領域を有することで、金属酸化物層108中に酸素を供給できる。金属酸化物層108に形成されうる酸素欠損を酸素により補填できるため、電気特性が良好で、信頼性が高いトランジスタを提供できる。
金属酸化物層108のバックチャネル側に接する絶縁層114aは、絶縁層114bより窒素の含有量が少ない酸化物膜を用いる構成とすることができる。絶縁層114aとして窒素の含有量が少ない酸化物膜を用いることで、金属酸化物層108と接する絶縁層114a中に、準位を形成しうる窒素酸化物(NOx、xは0よりも大きく2以下、好ましくは1以上2以下。代表的にはNO2またはNO)が形成されにくい構成とすることができる。絶縁層114aの形成には、PECVD装置を用いることができる。絶縁層114aの形成は、絶縁層114bの形成よりパワーが低く、チャンバー圧力が低い成膜条件を用いることができる。
また、絶縁層114aは、酸素を透過することのできる絶縁膜である。なお、絶縁層114aは、後に形成する絶縁層114bを形成する際の、金属酸化物層108へのダメージ緩和膜としても機能する。
絶縁層114a上に設けられる絶縁層114bは、絶縁層114aより多くの過剰酸素(exO)を有する酸化物膜を用いる構成とすることができる。絶縁層114bの形成には、PECVD装置を用いることができる。絶縁層114bの形成は、絶縁層114aの形成よりパワーが高く、チャンバー圧力が高い成膜条件を用いることができる。また、絶縁層114bを形成する際の基板温度は180℃以上280℃以下とすることが好ましい。前述の基板温度で形成された膜では、シリコンと酸素の結合力が弱いため、後の工程の加熱処理により膜中の酸素の一部が脱離する。この結果、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含み、加熱により酸素の一部が脱離する絶縁膜を形成することができ、好ましい。
絶縁層114a及び絶縁層114bに同種の材料を用いる場合は、絶縁層114a及び絶縁層114bの界面を明確に確認できない場合がある。したがって、本実施の形態では、絶縁層114aと絶縁層114bの界面を破線で示している。なお、本実施の形態では、絶縁層114a及び絶縁層114bの2層構造について説明したが、本発明の一態様はこれに限定されず、例えば、絶縁層114a又は絶縁層114bのどちらか一方の単層構造、あるいは3層以上の積層構造としてもよい。
絶縁層114から金属酸化物層108中に拡散する酸素の経路について、図2(A)及び図2(B)を用いて説明する。図2(A)及び図2(B)は、金属酸化物層108中に拡散する酸素の経路を表す概念図であり、図2(A)はチャネル長方向の概念図であり、図2(B)はチャネル幅方向の概念図である。
絶縁層114a及び絶縁層114bが有する酸素は、上方側から、すなわち第2の金属酸化物層108bを通過して、第1の金属酸化物層108aに拡散する(図2(A)及び図2(B)に示すRoute 1)。
あるいは、絶縁層114a及び絶縁層114bが有する酸素は、第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bそれぞれの側面から金属酸化物層108中に拡散する(図2(B)に示すRoute 2)。
例えば、図2(A)及び図2(B)に示すRoute 1の場合、第2の金属酸化物層108bの結晶性が高い場合、酸素の拡散を阻害する場合がある。一方で、図2(B)に示すRoute 2の場合、第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bそれぞれの側面から、第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bに酸素を拡散させることが可能となる。
図2(B)に示すRoute 2の場合、第1の金属酸化物層108aが、第2の金属酸化物層108bよりも結晶性が低い領域を有する場合、当該領域が酸素の拡散経路となり、第1の金属酸化物層108aよりも結晶性の高い第2の金属酸化物層108bにも酸素を拡散させることができる。なお、図2(A)及び図2(B)中には、図示しないが、絶縁層106、領域106aが酸素を有する場合、絶縁層106、領域106aからも金属酸化物層108中に酸素が拡散しうる。
前述したように、金属酸化物層108を結晶構造が異なる膜の積層構造とし、結晶性の低い領域を酸素の拡散経路とすることで、電気特性が良好で、信頼性が高いトランジスタを提供できる。
金属酸化物層108上に絶縁層114を設ける構成とすることにより、金属酸化物層108は膜厚方向において酸素の濃度勾配を有し、絶縁層114側で酸素濃度が高くなる場合がある。元素分析の手法としては、例えばエネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X−ray spectroscopy)や、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)、X線光電子分光法(XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy)、オージェ電子分光法(AES:Auger Electron Spectroscopy)、などがある。
絶縁層114a及び絶縁層114bから、第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bに拡散する酸素について、図2(C)を用いて説明する。図2(C)に示すように、第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bには、酸素欠損(Vo)、水素(H)及び酸素欠損と水素が結合した状態(VoH)が存在しうる。絶縁層114a及び絶縁層114bが有する酸素が、第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bが有する酸素欠損に近づくと、酸素は酸素欠損に捕獲され、酸素欠損が補填される。また、酸素が水素に近づくと、酸素と水素が作用して水(H2O)となり、第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bから水分子として脱離する。また、酸素がVoHに近づくと、酸素は酸素欠損を補填する。また、該VoHが有していた水素は別の酸素と作用して水となり、第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bから水として脱離する。このようにして、絶縁層114a及び絶縁層114bが有する酸素により、第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108b中の酸素欠損、水素及びVoHを低減させることができる。したがって、電気特性が良好で、信頼性が高いトランジスタを作製できる。
ここで、過剰酸素を有する絶縁層114を設けない状態で、第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bから水素が脱離する場合を考える。第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bが有する水素は、第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bが有する酸素と結合し、水分子として脱離する場合がある。その場合、第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bが有する酸素が脱離することから、酸素欠損が発生し、好ましくない。
一方、本実施の形態に示すように過剰酸素を有する絶縁層114を設けた状態で、第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bから水素が脱離する場合を考える。第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bが有する水素は、絶縁層114から供給された酸素と作用し、水分子として脱離する。水素が絶縁層114から供給された酸素と作用することで、第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bに酸素欠損が新たに生成するのを抑制でき、好ましい。
絶縁層114a及び絶縁層114bから、第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bに酸素を供給することで、第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bが有する酸素欠損、水素及びVoHを低減できる。また、第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bに酸素欠損及びVoHが生成するのを抑制できる。酸素欠損及びVoHの生成を抑制することで、電気特性が良好で、信頼性が高いトランジスタを作製できる。
絶縁層114aを形成した後、絶縁層114aの表面を大気に曝すことなく、真空中で連続的に絶縁層114bを形成することが好ましい。連続して形成することで、絶縁層114aの表面に大気成分由来の不純物が付着するのを抑制できる。
絶縁層114b上に形成される絶縁層116は、酸素を拡散、透過しにくい絶縁膜を用いることが好ましい。また、絶縁層116は、不純物の放出が少なく、不純物を拡散、透過しにくい絶縁膜を用いることが好ましい。特に、絶縁層116は、水素を有する不純物の放出が少なく、不純物を拡散、透過しにくいことが好ましい。絶縁層116を設けることで、金属酸化物層108のキャリア密度が低くなり、電気特性が良好で、信頼性が高いトランジスタを得られる。
絶縁層116として、シリコン及び窒素を有する絶縁膜を用いることができる。特に、シリコンと窒素を主成分として含む絶縁膜を用いることが好ましい。例えば、窒化シリコン、窒化酸化シリコン等を単層又は積層で用いることができる。
または、絶縁層116として、元素X(Xはアルミニウム、インジウム、ガリウム又は亜鉛の一以上)を有する酸化物を用いることができる。特に、金属と酸素を主成分として含む絶縁膜を用いることが好ましい。例えば、絶縁層116として酸化アルミニウム、又はIn−Ga−Zn酸化物を用いることができる。酸素を含むガスを用いて、絶縁層116を形成するとより好適である。酸素を含むガスを用いることで、絶縁層116の被形成層である絶縁層114bに酸素を供給でき、好適である。絶縁層114bの供給された酸素は、前述したように金属酸化物層108中の酸素欠損、水素及びVoHを低減させることができる。したがって、電気特性が良好で、信頼性が高いトランジスタを提供できる。
絶縁層114a及び絶縁層114bとして酸素を放出する絶縁膜と、絶縁層116として酸素を拡散、透過しにくい絶縁膜を積層した状態で、加熱処理を行うことにより、金属酸化物層108に効率的に酸素を供給できる。その結果、金属酸化物層108中の酸素欠損、及び金属酸化物層108と絶縁層114の界面の欠陥を修復し、欠陥準位を低減することができる。これにより電気特性が良好で、信頼性が高いトランジスタを作製できる。
前述した絶縁層114a及び絶縁層114bは、絶縁層114a及び絶縁層114bに空隙部180が生じる場合がある。図3(A)に示すように、特に導電層112a及び導電層112bにより形成される絶縁層114a及び絶縁層114bの段差部分に、空隙部180が生じやすい。絶縁層114a及び絶縁層114bに空隙部180が存在すると、外部や後に形成される層から金属酸化物層108に不純物が拡散する場合がある。図3(B)に示すように、絶縁層114a及び絶縁層114b上に絶縁層116を設けることで、金属酸化物層108に不純物が拡散するのを抑制できる。また、金属酸化物層108から酸素が脱離し、外方へ拡散するのを抑制できる。酸素が外方へ拡散するのを抑制することで、金属酸化物層108中の酸素欠損、水素及びVoHが増加するのを抑制でき、電気特性が良好で、信頼性が高いトランジスタを作製できる。
絶縁層114bを形成した後、絶縁層114bの表面を大気に曝すことなく、真空中で連続的に絶縁層116を形成することが好ましい。連続して形成することで、絶縁層114bの表面に大気成分由来の不純物が付着するのを抑制できる。また、絶縁層114a、絶縁層114b及び絶縁層116を真空中で連続的に形成すると、絶縁層114a及び絶縁層114bの表面に大気成分由来の不純物が付着するのを抑制でき、さらに好ましい。
絶縁層106には、水素や酸素などの不純物が拡散しにくい絶縁膜を用いることができる。例えば、窒化絶縁膜などのバリア性の高い絶縁膜を用いることができる。特に、シリコンと窒素を主成分として含む絶縁膜を用いることが好ましい。
絶縁層106は、その上面近傍に位置する領域106aを有する。図1(B)及び図1(C)では、領域106aの界面を破線で示している。領域106aは、絶縁層106の他の領域よりも酸素濃度の高い領域である。なお、領域106a以外の絶縁層106の領域は、主成分として酸素を含まないことが好ましい。また領域106aは、絶縁層106の他の領域よりも水素濃度の低い領域であることが好ましい。金属酸化物層108は、領域106aと接して設けられている。
領域106aとしては、厚さが1nm以上10nm以下とすることができる。
酸素を多く含む領域106aと、金属酸化物層108が接する構成とすることで、これらの界面に欠陥準位が形成されることを抑制することができる。したがって、領域106aと金属酸化物層108の積層構造を有することで、トランジスタ100Aの電気特性を良好なものとすることができる。
領域106a上に金属酸化物層108を設ける構成とすることにより、金属酸化物層108は膜厚方向において酸素の濃度勾配を有し、領域106a側で酸素濃度が高くなる場合がある。また、前述したように、金属酸化物層108は絶縁層114側で酸素濃度が高くなる場合がある。つまり、金属酸化物層108は、膜厚方向において、酸素の濃度勾配を有し、領域106a側と、絶縁層114側とで酸素濃度が高くなる場合がある。元素分析の手法としては、例えばエネルギー分散型X線分光法(EDX)や、二次イオン質量分析法(SIMS)、X線光電子分光法(XPS)、オージェ電子分光法(AES)などがある。
さらにトランジスタ100Aは、領域106a、金属酸化物層108及び絶縁層114の積層構造を、絶縁層106と絶縁層116とで挟み込む構成を有する。絶縁層106及び絶縁層116は水、水素、及び酸素等が拡散しにくい層であるため、外部から金属酸化物層108へ水や水素が拡散することを防ぎ、且つ、金属酸化物層108から外部へ酸素が拡散(脱離)することを防ぐことができる。その結果、トランジスタ100Aの電気特性を良好なものとするだけでなく、信頼性を高めることができる。
領域106aの存在は、例えば、絶縁層106における、金属酸化物層108との界面を含む領域の元素分析を行うことにより確認することができる。このとき、絶縁層106の金属酸化物層108に近い領域に、酸素が多く検出されうる。また、絶縁層106と金属酸化物層108の界面近傍に酸素濃度の高い領域が観測される場合がある。また、絶縁層106の金属酸化物層108に近い領域に、他の部分よりも水素濃度が低い領域が観測されうる。元素分析の手法としては、例えばエネルギー分散型X線分光法(EDX)や、二次イオン質量分析法(SIMS)、X線光電子分光法(XPS)、オージェ電子分光法(AES)などがある。また、領域106aの存在は、断面における透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscopy)像などにおいて、他の部分とはコントラストの違う領域として観察できる場合がある。
以上が、構成例1についての説明である。
以下では、前述構成例1と一部の構成が異なるトランジスタの構成例について説明する。なお、以下では、前述構成例1と重複する部分は説明を省略する場合がある。また、以下で示す図面において、前述構成例1と同様の機能を有する部分についてはハッチングパターンを同じくし、符号を付さない場合もある。
<構成例2>
本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタ100Bの上面図を図4(A)、断面図を図4(B)及び図4(C)に示す。図4(B)は、図4(A)に示す一点鎖線X1−X2における切断図の断面図に相当し、図4(C)は、図4(A)に示す一点鎖線Y1−Y2における切断図の断面図に相当する。
トランジスタ100Bは、金属酸化物層108が第1の金属酸化物層108a、第2の金属酸化物層108b及び第3の金属酸化物層108cを有する点で、構成例1で例示したトランジスタ100Aと相違している。
図4(A)、図4(B)及び図4(C)に示すように、金属酸化物層108は、第3の金属酸化物層108cと、第3の金属酸化物層108c上の第1の金属酸化物層108aと、第1の金属酸化物層108a上の第2の金属酸化物層108bの積層構造とすることが好ましい。
第1の金属酸化物層108a、第2の金属酸化物層108b及び第3の金属酸化物層108cは、それぞれ金属酸化物を含むことが好ましい。第3の金属酸化物層108cとして、第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bに用いることができる材料を適用できる。
第1の金属酸化物層108a、第2の金属酸化物層108b及び第3の金属酸化物層108cは、それぞれ組成の異なるターゲットを用いて成膜された膜を用いてもよいが、特に同じ組成のターゲットを用い、大気に曝すことなく連続して成膜された積層膜を用いることが好ましい。連続して成膜することで、1つの成膜装置で処理を行えるほか、第3の金属酸化物層108cと第1の金属酸化物層108aの間、及び第1の金属酸化物層108aと第2の金属酸化物層108bの間に不純物が残留することを抑制できる。金属酸化物層の不純物はキャリア源となりうるため、不純物の増加を抑制することで、電気特性が良好で、信頼性が高いトランジスタを作製できる。
第3の金属酸化物層108c及び第2の金属酸化物層108bは、第1の金属酸化物層108aよりも、結晶性の高い領域を有することが好ましい。第3の金属酸化物層108cは結晶性の高い領域を有することで、第3の金属酸化物層108cより下層(例えば絶縁層106、導電層104、基板102)から第1の金属酸化物層108aに不純物が拡散するのを抑制できる。
第1の金属酸化物層108a、第2の金属酸化物層108b及び第3の金属酸化物層108cは、例えば成膜条件を異ならせることで作り分けることができる。例えば、第1の金属酸化物層108a、第2の金属酸化物層108b及び第3の金属酸化物層108cとで、成膜ガス中の酸素ガスの流量を異ならせることができる。
このとき、第1の金属酸化物層108aの成膜条件として、ガス流量全体に占める酸素ガス流量の割合(酸素流量比又は酸素分圧ともいう)を、0%以上30%以下、好ましくは5%以上15%以下とする。前述の酸素流量比とすることで、第1の金属酸化物層108aの結晶性を低くすることができる。
一方、第2の金属酸化物層108b及び第3の金属酸化物層108cの成膜条件として、酸素流量比を30%より大きく100%以下、好ましくは50%以上100%以下、さらに好ましくは70%以上100%以下とする。前述の酸素流量比とすることで、第2の金属酸化物層108b及び第3の金属酸化物層108cの結晶性を高くすることができる。なお、第2の金属酸化物層108bと第3の金属酸化物層108cで同じ酸素流量比としてもよいし、異なる酸素流量比としてもよい。
また、前述の酸素流量比とすることで、第3の金属酸化物層108cの形成時に、第3の金属酸化物層108cの被形成面となる絶縁層106中に酸素が添加される。絶縁層106中に添加された酸素は、過剰酸素として金属酸化物層108中に拡散しうる。したがって、金属酸化物層中の酸素欠損、水素及びVoHを低減させることができる。
第1の金属酸化物層108a、第2の金属酸化物層108b及び第3の金属酸化物層108cの形成時の基板温度としては、室温(25℃)以上200℃以下が好ましく、室温以上130℃以下がより好ましい。基板温度を前述範囲とすることで、大面積のガラス基板を用いる場合に、基板の撓みまたは歪みを抑制できる。ここで、第1の金属酸化物層108a、第2の金属酸化物層108b及び第3の金属酸化物層108cとで、基板温度を同じ温度とすると、生産性を高めることができる。また、例えば第1の金属酸化物層108a、第2の金属酸化物層108b及び第3の金属酸化物層108cとで基板温度を異ならせる場合には、第2の金属酸化物層108b及び第3の金属酸化物層108c形成時の基板温度を高くすると、第2の金属酸化物層108b及び第3の金属酸化物層108cの結晶性をより高めることができる。
例えば、第1の金属酸化物層108aにCAC−OS膜を用い、第2の金属酸化物層108b及び第3の金属酸化物層108cにCAAC−OS膜を用いることが好ましい。
第3の金属酸化物層108cの厚さとしては、1nm以上50nm以下、好ましくは1nm以上10nm以下とすればよい。また、第1の金属酸化物層108aの厚さとしては、1nm以上50nm以下、好ましくは5nm以上20nm以下とすればよい。また、第2の金属酸化物層108bの厚さとしては、5nmより大きく100nm以下、好ましくは5nm以上30nm以下とすればよい。
なお、第1の金属酸化物層108a、第2の金属酸化物層108b及び第3の金属酸化物層108cの境界(界面)を明確に確認できない場合がある。そこで、本発明の一形態を説明する図面では、これらの境界を破線で示している。
<構成例3>
本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタ100Cの上面図を図5(A)、断面図を図5(B)及び図5(C)に示す。図5(B)は、図5(A)に示す一点鎖線X1−X2における切断図の断面図に相当し、図5(C)は、図5(A)に示す一点鎖線Y1−Y2における切断図の断面図に相当する。
トランジスタ100Cは、導電層112a及び導電層112bが積層構造を有する点で、構成例1で例示したトランジスタ100Aと相違している。
導電層112aは、導電層121aと、導電層122aと、導電層123aが順に積層された積層構造を有する。導電層112bは、導電層121bと、導電層122bと、導電層123bが順に積層された積層構造を有する。
導電層121a及び導電層121bは、第1の金属酸化物層108aの側面、並びに金属酸化物層108bの上面及び側面を覆って設けられている。また、導電層121a及び導電層121bは絶縁層106の領域106a上に接して設けられている。導電層122a及び導電層122bは、それぞれ導電層121a及び導電層121b上に設けられている。導電層122a及び導電層122bは、平面視において、導電層121a及び導電層121bよりも内側に位置する。導電層123a及び導電層123bは、それぞれ導電層122a及び導電層122b上に設けられている。導電層123a及び導電層123bは、それぞれ導電層122a及び導電層122bの上面及び側面を覆って設けられている。また導電層123a及び導電層123bの一部は、それぞれ導電層121a及び導電層121bの上面に接して設けられている。導電層121aと導電層123aとは、平面視において端部が一致するように加工されている。導電層121bと導電層123bとは、平面視において端部が一致するように加工されている。
このような構成とすることで、導電層122aは導電層121aと導電層123aによって囲まれた構成とすることができる。導電層122bは導電層121bと導電層123bによって囲まれた構成とすることができる。言い換えると、導電層122a及び導電層122bの表面が露出しない構成とすることができる。これにより、導電層122a及び導電層122bに、金属酸化物層108中に拡散しやすい材料を用いることができる。
導電層122a及び導電層122bには、導電層121a、導電層121b、導電層123a及び導電層123bよりも低抵抗な材料を用いることが好ましい。また、導電層121a、導電層121b、導電層123a及び導電層123bには、導電層122a及び導電層122bよりも、金属酸化物層108に拡散しにくい材料を用いることができる。
導電層122a及び導電層122bには、少なくとも導電層121a、導電層121b、導電層123a及び導電層123bと異なる導電性材料を用いることができる。なお、導電層121a、導電層121b、導電層123a及び導電層123bに、それぞれ異なる導電性材料を用いることもできる。特に、導電層121a、導電層121b、導電層123a及び導電層123bに同じ導電性材料を用いると、製造装置を共通化でき、さらにこれらの端部における接触抵抗を低減できるため好ましい。
例えば、導電層121a、導電層121b、導電層123a及び導電層123bに、チタン膜またはモリブデン膜を用いることが好ましい。また、導電層122a及び導電層122bには、アルミニウム膜または銅膜を用いることが好ましい。このような構成により、導電層112a及び導電層112bの配線抵抗を低くしつつ、電気特性の良好なトランジスタを実現できる。
以上が構成例3についての説明である。
<構成例4>
本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタ100Dの上面図を図6(A)、断面図を図6(B)及び図6(C)に示す。図6(B)は、図6(A)に示す一点鎖線X1−X2における切断図の断面図に相当し、図6(C)は、図6(A)に示す一点鎖線Y1−Y2における切断図の断面図に相当する。
トランジスタ100Dは、導電層120a、導電層120b及び導電層112cを有する点で、前述構成例3で例示したトランジスタ100Cと相違している。
導電層120aは、絶縁層116上に設けられ、金属酸化物層108と重なる部分を有する。このとき、導電層104は第1のゲートとして機能し、導電層120aは第2のゲートとして機能する。絶縁層106の一部は第1のゲート絶縁層として機能し、絶縁層114及び絶縁層116の一部は、第2のゲート絶縁層として機能する。トランジスタ100Dは、一対のゲート電極を有するトランジスタである。
トランジスタ100Dは、いわゆるチャネルエッチ型、デュアルゲート構造のトランジスタである。
導電層120bは、接続部142bにより導電層112bの導電層123bと電気的に接続されている。接続部142bにおいて、導電層120bは、絶縁層116及び絶縁層114に設けられた開口部を介して導電層112bの導電層123bと電気的に接続されている。
図6(C)に示すように、導電層120aと導電層104とは接続部142aにより電気的に接続される構成とすることが好ましい。接続部142aには、導電層121c、導電層122c及び導電層123cが設けられている。接続部142aにおいて、導電層120aは、絶縁層114及び絶縁層116に設けられた開口を介して導電層123cと電気的に接続され、導電層121cは、絶縁層106に設けられた開口を介して導電層104と電気的に接続されている。
トランジスタ100Dにおける金属酸化物層108は、導電層104と、導電層120aとに挟持される。導電層104及び導電層120aは、チャネル長方向の長さ及びチャネル幅方向の長さが、金属酸化物層108のチャネル長方向の長さ及びチャネル幅方向の長さよりもそれぞれ長い。そのため、金属酸化物層108は絶縁層106並びに絶縁層114及び絶縁層116を間に挟んで、導電層104と導電層120aとに覆われた構成を有する。言い換えると、トランジスタ100Dのチャネル幅方向において、導電層104及び導電層120aは、金属酸化物層108を囲む構成を有する。
このような構成とすることで、トランジスタ100Dが有する金属酸化物層108を、導電層104及び導電層120aの電界によって電気的に囲むことができる。トランジスタ100Dのように、導電層104及び導電層120aの電界によって、チャネル領域が形成される金属酸化物層を電気的に囲むトランジスタのデバイス構造を、Surrounded channel(S−channel)構造と呼ぶことができる。
トランジスタ100Dは、S−channel構造を有するため、導電層104及び導電層120aによってチャネルを誘起させるための電界を効果的に金属酸化物層108に印加することができる。したがって、トランジスタ100Dの駆動能力が向上し、高いオン電流特性を得ることが可能となる。また、オン電流を高くすることが可能なため、トランジスタ100Dを微細化することが可能となる。また、トランジスタ100Dは、導電層104及び導電層120aによって金属酸化物層108が囲まれた構造を有するため、トランジスタ100Dの機械的強度を高めることができる。
また、前述構成とすることにより、金属酸化物層108においてキャリアの流れる領域が、金属酸化物層108の導電層104側と、金属酸化物層108の導電層120a側の両方に形成されることで、広い範囲となるため、トランジスタ100Dはキャリア移動量が増加する。その結果、導電層104と導電層120aのいずれか一方に所定の電位を与えた場合に比べて、トランジスタ100Dのオン電流を大きくできる。
なお、図7(A)、図7(B)及び図7(C)に示すトランジスタ100Eのように、金属酸化物層108を、第3の金属酸化物層108cと、第3の金属酸化物層108c上の第1の金属酸化物層108aと、第1の金属酸化物層108a上の第2の金属酸化物層108bの積層構造としてもよい。
また、図8(A)、図8(B)及び図8(C)に示すトランジスタ100Fのように、導電層112cを設けない構成としてもよい。接続部142aにおいて、導電層120aは、絶縁層106、絶縁層114及び絶縁層116に設けられた開口部を介して、導電層104と電気的に接続されている。
以上が構成例4についての説明である。
<構成例5>
本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタ100Gの上面図を図9(A)、断面図を図9(B)及び図9(C)に示す。図9(B)は、図9(A)に示す一点鎖線X1−X2における切断図の断面図に相当し、図9(C)は、図9(A)に示す一点鎖線Y1−Y2における切断図の断面図に相当する。
トランジスタ100Gは、金属酸化物層108と、導電層120a及び導電層120bの間に絶縁層150を有する点で、前述構成例4で例示したトランジスタ100Fと相違している。
絶縁層150は、金属酸化物層108の上面及び側面、ならびに絶縁層106を覆って設けられている。絶縁層150は、導電層112a及び導電層112bの加工時に金属酸化物層108を保護するためのチャネル保護層として機能する。
トランジスタ100Gは、いわゆるチャネル保護型、デュアルゲート構造のトランジスタである。
絶縁層150として、前述した絶縁層114aと同じ材料を用いることができる。
導電層112aと導電層112bとは、それぞれ絶縁層150上に設けられている。導電層112aは、接続部152aにより金属酸化物層108と電気的に接続される。接続部152aにおいて、導電層112aは絶縁層150に設けられた開口部を介して、金属酸化物層108と電気的に接続される。導電層112bは、接続部152bにより金属酸化物層108と電気的に接続される。接続部152bにおいて、導電層112bは絶縁層150に設けられた開口部を介して、金属酸化物層108と電気的に接続される。
このような構成とすることで、導電層112aと導電層112bを加工するためのエッチング工程において、金属酸化物層108が絶縁層150に覆われた状態で行われるため、金属酸化物層108がエッチングのダメージを受けにくい構成とすることができる。またこのような構成とすることで、導電層112a及び導電層112bの材料の選択の幅が広がるため好ましい。
なお、ここでは絶縁層150が、金属酸化物層108の上面だけでなく側面も覆う構成としたが、これに限られない。例えば、絶縁層150が島状に加工され、金属酸化物層108のチャネル形成領域の上に位置する構成としてもよい。
以上が、構成例5についての説明である。
<半導体装置の構成要素>
以下では、本実施の形態の半導体装置に含まれる構成要素について、詳細に説明する。
〔基板〕
基板102の材質などに大きな制限はないが、少なくとも、後の加熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有している必要がある。例えば、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板等を、基板102として用いてもよい。また、シリコンや炭化シリコンを材料とした単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム等の化合物半導体基板、SOI基板等を適用することも可能であり、これらの基板上に半導体素子が設けられたものを、基板102として用いてもよい。なお、基板102として、ガラス基板を用いる場合、第6世代(1500mm×1850mm)、第7世代(1870mm×2200mm)、第8世代(2200mm×2400mm)、第9世代(2400mm×2800mm)、第10世代(2950mm×3400mm)等の大面積基板を用いることで、大型の表示装置を作製することができる。
また、基板102として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、トランジスタを形成してもよい。または、基板102とトランジスタの間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上に半導体装置を一部あるいは全部完成させた後、基板102より分離し、他の基板に転載するのに用いることができる。その際、トランジスタは耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも転載できる。
〔導電層〕
導電層104、導電層112a、導電層112b、導電層120a、導電層120bとしては、クロム、銅、アルミニウム、金、銀、亜鉛、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン、マンガン、ニッケル、鉄、コバルトから選ばれた金属元素、または前述した金属元素を成分とする合金か、前述した金属元素を組み合わせた合金等を用いてそれぞれ形成することができる。
また、導電層104、導電層112a、導電層112b、導電層120a、導電層120bには、インジウムと錫とを有する酸化物(In−Sn酸化物)、インジウムとタングステンとを有する酸化物(In−W酸化物)、インジウムとタングステンと亜鉛とを有する酸化物(In−W−Zn酸化物)、インジウムとチタンとを有する酸化物(In−Ti酸化物)、インジウムとチタンと錫とを有する酸化物(In−Ti−Sn酸化物)、インジウムと亜鉛とを有する酸化物(In−Zn酸化物)、インジウムと錫とシリコンとを有する酸化物(In−Sn−Si酸化物)、インジウムとガリウムと亜鉛とを有する酸化物(In−Ga−Zn酸化物)等の酸化物導電体または酸化物半導体を適用することもできる。
ここで、酸化物導電体について説明を行う。本明細書等において、酸化物導電体をOC(Oxide Conductor)と呼称してもよい。酸化物導電体としては、例えば、半導体特性を有する金属酸化物に酸素欠損を形成し、該酸素欠損に水素を添加すると、伝導帯近傍にドナー準位が形成される。この結果、金属酸化物は、導電性が高くなり導電体化する。導電体化された金属酸化物を、酸化物導電体ということができる。一般に、半導体特性を有する金属酸化物は、エネルギーギャップが大きいため、可視光に対して透光性を有する。一方、酸化物導電体は、伝導帯近傍にドナー準位を有する金属酸化物である。したがって、酸化物導電体は、ドナー準位による吸収の影響は小さく、可視光に対して半導体特性を有する金属酸化物と同程度の透光性を有する。
また、導電層104、導電層112a、導電層112bには、Cu−X合金膜(Xは、Mn、Ni、Cr、Fe、Co、Mo、Ta、またはTi)を適用してもよい。Cu−X合金膜を用いることで、ウェットエッチングプロセスで加工できるため、製造コストを抑制することが可能となる。
また、導電層112a、導電層112bには、前述の金属元素の中でも、特に銅、チタン、タングステン、タンタル、及びモリブデンの中から選ばれるいずれか一つまたは複数を有すると好適である。また、導電層112a、導電層112bとして、銅膜やアルミニウム膜を用いると、導電層112a、112bの抵抗を低くすることができるため好適である。
〔絶縁層〕
ゲート絶縁層として機能する絶縁層106には、プラズマ化学気相堆積(PECVD:Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法、スパッタリング法等により形成された、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、窒化アルミニウム膜、窒化酸化アルミニウム膜等を一種以上含む絶縁層を用いることができる。なお、絶縁層106を2層以上の積層構造としてもよい。
金属酸化物層108上に設けられる絶縁層114a及び絶縁層114bとしては、PECVD法、スパッタリング法、ALD(Atomic Layer Deposition)法などにより形成された、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜および酸化ネオジム膜等を一種以上含む絶縁層を用いることができる。特に、PECVD法により形成された酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を用いることが好ましい。
絶縁層114aとしては、厚さが5nm以上150nm以下、好ましくは5nm以上50nm以下の絶縁膜を好適に用いることができる。
絶縁層114aは、欠陥量が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定により、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度が3×1017spins/cm3以下であることが好ましい。絶縁層114aに含まれる欠陥密度が多いと、該欠陥に酸素が結合し、絶縁層114aにおける酸素の透過性が減少してしまう。
なお、絶縁層114aにおいては、外部から絶縁層114aに入った酸素が全て絶縁層114aの外部に移動せず、絶縁層114aにとどまる酸素もある。また、絶縁層114aに酸素が入ると共に、絶縁層114aに含まれる酸素が絶縁層114aの外部へ移動することで、絶縁層114aにおいて酸素の移動が生じる場合もある。絶縁層114aとして酸素を透過することができる絶縁膜を形成すると、絶縁層114a上に設けられる、絶縁層114bから脱離する酸素を、絶縁層114aを介して金属酸化物層108a及び金属酸化物層108bに移動させることができる。
また、絶縁層114aは、窒素酸化物に起因する準位密度が低い絶縁膜を用いて形成することができる。なお、当該窒素酸化物に起因する準位密度は、金属酸化物膜の価電子帯の上端のエネルギー(Ev_os)と金属酸化物膜の伝導帯の下端のエネルギー(Ec_os)の間に形成され得る場合がある。前述絶縁膜として、窒素酸化物の放出量が少ない酸化窒化シリコン膜、または窒素酸化物の放出量が少ない酸化窒化アルミニウム膜等を用いることができる。
なお、窒素酸化物の放出量の少ない酸化窒化シリコン膜は、昇温脱離ガス分析法(TDS:Thermal Desorption Spectroscopy)において、窒素酸化物の放出量よりアンモニアの放出量が多い膜であり、代表的にはアンモニアの放出量が1×1018/cm3以上5×1019/cm3以下である。なお、アンモニアの放出量は、膜の表面温度が50℃以上650℃以下、好ましくは50℃以上550℃以下の加熱処理による放出量とする。
窒素酸化物(NOx、xは0よりも大きく2以下、好ましくは1以上2以下)、代表的にはNO2またはNOは、絶縁層114aなどに準位を形成する。当該準位は、金属酸化物層108a及び金属酸化物層108bのエネルギーギャップ内に位置する。そのため、窒素酸化物が、絶縁層114a及び金属酸化物層108bの界面に拡散すると、当該準位が絶縁層114a側において電子をトラップする場合がある。この結果、トラップされた電子が、絶縁層114a及び金属酸化物層108b界面近傍に留まるため、トランジスタのしきい値電圧をプラス方向にシフトさせてしまう。
また、窒素酸化物は、加熱処理においてアンモニア及び酸素と反応する。絶縁層114aに含まれる窒素酸化物は、加熱処理において、絶縁層114bに含まれるアンモニアと反応するため、絶縁層114aに含まれる窒素酸化物が低減される。このため、絶縁層114a及び金属酸化物層108bの界面において、電子がトラップされにくい。
絶縁層114aとして、前述絶縁膜を用いることで、トランジスタのしきい値電圧のシフトを低減することが可能であり、トランジスタの電気特性の変動を低減することができる。
また、前述絶縁膜は、SIMSで測定される窒素濃度が6×1020atoms/cm3以下である。
基板温度が220℃以上350℃以下であり、シラン及び一酸化二窒素を用いたPECVD法を用いて、前述絶縁膜を形成することで、緻密であり、且つ硬度の高い膜を形成することができる。
絶縁層114bは、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む絶縁膜である。前述の絶縁膜は、加熱により酸素の一部が脱離する。なお、TDSにおいて、前述の絶縁膜は、酸素の放出量が1.0×1019atoms/cm3以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm3以上の領域を有する。また、前述の酸素の放出量は、TDSにおける加熱処理の温度が50℃以上650℃以下、または50℃以上550℃以下の範囲での総量である。また、前述の酸素の放出量は、TDSにおける酸素原子に換算しての総量である。
絶縁層114bとしては、厚さが30nm以上500nm以下、好ましくは50nm以上400nm以下の、酸化シリコン、酸化窒化シリコン等を用いることができる。
また、絶縁層114bは、欠陥量が少ないことが好ましく、代表的には、ESR測定により、シリコンのダングリングボンドに由来するg=2.001に現れる信号のスピン密度が1.5×1018spins/cm3未満、さらには1×1018spins/cm3以下であることが好ましい。なお、絶縁層114aと比較して、絶縁層114bは金属酸化物層108a及び金属酸化物層108bから離れているため、絶縁層114aより、欠陥密度が多くともよい。
保護層として機能する絶縁層116には、前述した材料を用いることができる。絶縁層116を2層以上の積層構造としてもよい。絶縁層116は、酸素を拡散、透過しにくい絶縁膜を用いることが好ましい。また、絶縁層116は、不純物の放出が少なく、不純物を拡散、透過しにくい絶縁膜を用いることが好ましい。特に、絶縁層116は、水素を有する不純物の放出が少なく、不純物を拡散、透過しにくいことが好ましい。
絶縁層116としては、厚さが5nm以上200nm以下、好ましくは10nm以上150nm以下の絶縁膜を好適に用いることができる。
〔半導体層〕
第1の金属酸化物層108a、第2の金属酸化物層108b及び第3の金属酸化物層108cとしては、先に示す材料を用いることができる。
第1の金属酸化物層108a、第2の金属酸化物層108b及び第3の金属酸化物層108cがIn−M−Zn酸化物の場合、In−M−Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In>Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=2:1:3、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8、In:M:Zn=6:1:6、In:M:Zn=5:2:5等が挙げられる。
また、第1の金属酸化物層108a、第2の金属酸化物層108b及び第3の金属酸化物層108cが、In−M−Zn酸化物の場合、スパッタリングターゲットとしては、多結晶のIn−M−Zn酸化物を含むターゲットを用いると好ましい。多結晶のIn−M−Zn酸化物を含むターゲットを用いることで、結晶性を有する金属酸化物層108を形成しやすくなる。なお、成膜される金属酸化物層108の原子数比は、前述のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。例えば、金属酸化物層108に用いるスパッタリングターゲットの組成がIn:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]の場合、成膜される金属酸化物層108の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]の近傍となる場合がある。
また、第1の金属酸化物層108a、第2の金属酸化物層108b及び第3の金属酸化物層108cは、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上である。このように、エネルギーギャップの広い金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
また、第1の金属酸化物層108a、第2の金属酸化物層108b及び第3の金属酸化物層108cは、非単結晶構造であると好ましい。非単結晶構造は、例えば、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶構造、微結晶構造、または非晶質構造を含む。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CAAC−OSは最も欠陥準位密度が低い。
<トランジスタの作製方法1>
以下では、本発明の一態様のトランジスタの作製方法例について説明する。ここでは、前述構成例3で例示したトランジスタ100Cを例に挙げて説明する。
なお、半導体装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、導電膜等)は、スパッタリング法、化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD:Pulse Laser Deposition)法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法等を用いて形成することができる。CVD法としては、プラズマ化学気相堆積(PECVD:Plasma Enhanced CVD)法や、熱CVD法などがある。また、熱CVD法のひとつに、有機金属化学気相堆積(MOCVD:Metal Organic CVD)法がある。
また、半導体装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、導電膜等)の形成には、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法等)、印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷等)の方法、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター等の設備を用いることができる。
また、半導体装置を構成する薄膜を加工する際には、フォトリソグラフィ法等を用いて加工することができる。それ以外に、ナノインプリント法、サンドブラスト法、リフトオフ法などにより薄膜を加工してもよい。また、メタルマスクなどの遮蔽マスクを用いた成膜方法により、島状の薄膜を直接形成してもよい。
フォトリソグラフィ法としては、代表的には以下の2つの方法がある。一つは、加工したい薄膜上にレジストマスクを形成して、エッチング等により当該薄膜を加工し、レジストマスクを除去する方法である。もう一つは、感光性を有する薄膜を成膜した後に、露光、現像を行って、当該薄膜を所望の形状に加工する方法である。
フォトリソグラフィ法において、露光に用いる光は、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、またはこれらを混合させた光を用いることができる。そのほか、紫外線やKrFレーザ光、またはArFレーザ光等を用いることもできる。また、液浸露光技術により露光を行ってもよい。また、露光に用いる光として、極端紫外光(EUV:Extreme Ultra−violet)やX線を用いてもよい。また、露光に用いる光に換えて、電子ビームを用いることもできる。極端紫外光、X線または電子ビームを用いると、極めて微細な加工が可能となるため好ましい。なお、電子ビームなどのビームを走査することにより露光を行う場合には、フォトマスクは不要である。
薄膜のエッチングには、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、サンドブラスト法などを用いることができる。
図10乃至図13に示す各図は、トランジスタ100Cの作製方法を説明する図である、各図において、左側にチャネル長方向の断面を、右側にチャネル幅方向の断面をそれぞれ示している。
〔導電層104の形成〕
基板102上に導電膜を形成し、当該導電膜をリソグラフィ工程及びエッチング工程を行い加工して、ゲート電極として機能する導電層104を形成する。
〔絶縁層106の形成〕
導電層104及び基板102を覆う絶縁層106を形成する(図10(A))。絶縁層106は、例えばPECVD法等を用いて形成することができる。
本実施の形態では、絶縁層106として、厚さ400nmの窒化シリコン膜を用いることができる。前述の窒化シリコン膜は、第1の窒化シリコン膜と、第2の窒化シリコン膜と、第3の窒化シリコン膜とを有する、3層積層構造である。該3層積層構造の一例としては、以下のように形成することができる。
第1の窒化シリコン膜としては、例えば、流量200sccmのシラン、流量2000sccmの窒素、及び流量100sccmのアンモニアガスを原料ガスとしてPE−CVD装置の反応室に供給し、反応室内の圧力を100Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて2000Wの電力を供給して、厚さが50nmとなるように形成すればよい。
第2の窒化シリコン膜としては、流量200sccmのシラン、流量2000sccmの窒素、及び流量2000sccmのアンモニアガスを原料ガスとしてPECVD装置の反応室に供給し、反応室内の圧力を100Paに制御し、27.12MHzの高周波電源を用いて2000Wの電力を供給して、厚さが300nmとなるように形成すればよい。
第3の窒化シリコン膜としては、第1の窒化シリコン膜と同様の成膜条件を用い、厚さが50nmとなるように形成すればよい。
なお、前述第1の窒化シリコン膜、第2の窒化シリコン膜、及び第3の窒化シリコン膜形成時の基板温度は350℃以下とすることができる。
窒化シリコン膜を前述の3層の積層構造とすることで、例えば、導電層104に銅を含む導電膜を用いる場合において、以下の効果を奏する。第1の窒化シリコン膜は、導電層104からの銅元素の拡散を抑制することができる。第2の窒化シリコン膜は、水素を放出する機能を有し、ゲート絶縁膜としての機能を有する絶縁膜の耐圧を向上させることができる。第3の窒化シリコン膜は、第3の窒化シリコン膜からの水素放出が少なく、かつ第2の窒化シリコン膜からの放出される水素の拡散を抑制することができる。
〔領域106aの形成〕
続いて、絶縁層106に対して酸素130aを添加し、表面近傍に、酸素を含む領域106aを形成すると好適である(図10(B))。
絶縁層106に添加する酸素130aとしては、酸素ラジカル、酸素原子、酸素原子イオン、酸素分子イオン等がある。また、添加方法としては、イオンドーピング法、イオン注入法、プラズマ処理法等がある。また、絶縁層106上に酸素の脱離を抑制する膜を形成した後、該膜を介して絶縁層106に酸素130aを添加してもよい。該膜は、酸素130aを添加した後に除去することが好ましい。
前述の酸素の脱離を抑制する膜として、インジウム、亜鉛、ガリウム、錫、アルミニウム、クロム、タンタル、チタン、モリブデン、ニッケル、鉄、コバルト、またはタングステンの1以上を有する導電膜あるいは半導体膜を用いることができる。
また、プラズマ処理で酸素130aの添加を行う場合、マイクロ波で酸素を励起し、高密度な酸素プラズマを発生させることで、絶縁層106への酸素添加量を増加させることができる。また、酸素を含む雰囲気下でプラズマ処理を行うことで、絶縁層106の表面に吸着した水や水素などを除去することができる。これにより、後に形成する金属酸化物層108中、または金属酸化物層108と絶縁層106との界面に存在しうる水や水素を低減できる。
絶縁層106として、窒化シリコンや窒化酸化シリコンなどを用いた場合には、絶縁層106中に水素が含まれる場合がある。このとき、前述のようなプラズマ処理等を行うことで、少なくとも金属酸化物層108と接する領域106aにおける水素濃度を低減することができる。
また、酸素130aの添加の前に、絶縁層106の表面及び膜中から水や水素を脱離させるための加熱処理を行ってもよい。例えば、窒素雰囲気下で300℃以上導電層104の耐熱温度未満、好ましくは300℃以上450℃以下の温度で加熱処理を行う。
〔金属酸化物層108の形成〕
続いて、絶縁層106上に金属酸化物膜128a及び金属酸化物膜128bを形成する(図10(C))。
金属酸化物膜128a及び金属酸化物膜128bは、それぞれ金属酸化物ターゲットを用いたスパッタリング法により形成することが好ましい。
また、金属酸化物膜128a及び金属酸化物膜128bを成膜する際に、酸素ガスの他に、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンガス、キセノンガスなど)を混合させてもよい。なお、金属酸化物膜を成膜する際の成膜ガス全体に占める酸素ガスの割合(以下、酸素流量比ともいう)としては、0%以上100%以下、好ましくは5%以上20%以下である。
酸素流量比を低くし、結晶性が比較的低い金属酸化物膜とすることで、導電性の高い金属酸化物膜を得ることができる。一方、酸素流量比を高くし、結晶性が比較的高い金属酸化物膜とすることで、エッチング耐性が高く、電気的に安定した金属酸化物膜を得ることができる。
例えば、金属酸化物膜128a及び金属酸化物膜128bの成膜条件としては、基板温度を室温以上180℃以下、好ましくは基板温度を室温以上140℃以下とすればよい。金属酸化物膜の成膜時の基板温度を、例えば、室温以上140℃未満とすると、生産性が高くなり好ましい。
より具体的には、金属酸化物膜128aの成膜時の酸素流量比を0%以上50%未満、好ましくは0%以上30%以下、より好ましくは0%以上20%以下、代表的には10%とする。金属酸化物膜128aの厚さとしては、1nm以上50nm以下、好ましくは5nm以上30nm以下とすればよい。
また、金属酸化物膜128bの成膜時の酸素流量比を50%以上100%以下、好ましくは60%以上100%以下、より好ましくは80%以上100%以下、さらに好ましくは90%以上100%以下、代表的には100%とする。また、金属酸化物膜128aと金属酸化物膜128bとで、成膜時の圧力、温度、電力等の条件を異ならせてもよいが、酸素流量比以外の条件を同じとすることで、成膜工程にかかる時間を短縮することができるため好ましい。金属酸化物膜128bの厚さとしては、10nmより大きく100nm以下、好ましくは20nm以上50nm以下とすればよい。
なお、金属酸化物膜128aと金属酸化物膜128bは、それぞれ異なる組成の膜であってもよい。このとき、金属酸化物膜128a及び金属酸化物膜128bの両方に、In−Ga−Zn酸化物を用いた場合、金属酸化物膜128aに、金属酸化物膜128bよりもInの組成が高い酸化物ターゲットを用いることが好ましい。
続いて、金属酸化物膜128b上にレジストマスクを形成し、金属酸化物膜128a及び金属酸化物膜128bをエッチングにより加工した後、レジストマスクを除去することで、金属酸化物層108a及び金属酸化物層108bを形成する(図11(A))。
金属酸化物層108a及び金属酸化物層108bを形成した後に、加熱処理(以下、第1の加熱処理と記す)を行ってもよい。第1の加熱処理により、金属酸化物層108a及び金属酸化物層108bに含まれる水素、水等を低減することができる。なお、水素、水等の低減を目的とした加熱処理は、金属酸化物膜128aと金属酸化物膜128bを島状に加工する前に行ってもよい。なお、第1の加熱処理は、金属酸化物層の高純度化処理の一つとも言える。
第1の加熱処理としては、例えば、150℃以上基板の歪み点未満、好ましくは200℃以上450℃以下、さらに好ましくは250℃以上350℃以下とする。
また、第1の加熱処理は、電気炉、RTA装置等を用いることができる。RTA装置を用いることで、短時間に限り基板の歪み点以上の温度で加熱処理を行うことができる。そのため、加熱時間を短縮することが可能となる。また、第1の加熱処理は、窒素、酸素、超乾燥空気(水の含有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)、または希ガス(アルゴン、ヘリウム等)の雰囲気下で行えばよい。なお、前述窒素、酸素、超乾燥空気、または希ガスに水素、水等が含まれないことが好ましい。また、窒素または希ガス雰囲気で加熱処理した後、酸素または超乾燥空気雰囲気で加熱してもよい。この結果、金属酸化物層中に含まれる水素、水等を脱離させると共に、金属酸化物層中に酸素を供給することができる。この結果、金属酸化物層中に含まれる酸素欠損を低減することができる。
〔導電層112a、導電層112bの形成〕
続いて、後に導電層121a及び導電層121bとなる導電膜121と、後に導電層122a及び導電層122bとなる導電膜122を積層して形成する。
続いて、導電膜122上にレジストマスク131を形成する(図11(B))。レジストマスク131は、金属酸化物層108のチャネルが形成されうる領域上で間をあけて設けられる。
その後、導電膜122をエッチングにより加工し、導電層122a及び導電層122bを形成する(図11(C))。このとき、図11(C)に示すように、導電層122a及び導電層122bの端部がレジストマスク131の端部よりも内側に位置するように加工することが好ましい。
導電膜122のエッチングには、等方性のエッチング法を用いることが好ましい。好適には、ウェットエッチング法を用いることができる。これにより、導電層122a及び導電層122bの端部が後退するようにエッチングすることができる。
導電層122a及び導電層122bの形成後、レジストマスク131を除去する。
続いて、導電層121a、導電層122a及び導電層122bを覆って、導電膜123を形成する。導電膜123は、後に導電層123a及び導電層123bとなる導電膜である。
続いて、導電膜123上に、レジストマスク132を形成する(図12(A))。このとき、レジストマスク132は、レジストマスク131と同じフォトマスクを用いて形成することができる。これにより、フォトマスクを共通化できるため、製造コストを抑えることができる。
続いて、導電膜121及び導電膜123をエッチングにより加工し、導電層121a、導電層121b、導電層123a及び導電層123bを形成する。このとき、導電層121aと導電層123aの端部が接し、導電層122aが露出しないように加工することが好ましい。このとき、導電層121bと導電層123bの端部が接し、導電層122bが露出しないように加工することが好ましい。
導電膜121及び導電膜123のエッチングには、異方性のエッチング法を用いることが好ましい。好適には、ドライエッチング法を用いることができる。これにより、導電層121a、導電層121b、導電層123a及び導電層123bの端部が後退しないように加工することが可能となる。これにより、導電層122aを囲むように導電層121a及び導電層123aを形成することができる。導電層122bを囲むように導電層121b及び導電層123bを形成することができる。また、トランジスタのチャネル長のばらつきを抑制することができる。
また、導電層121a、導電層121b、導電層123a及び導電層123bに同じ導電膜を用いることで、エッチングを容易なものとすることができる。また、導電層121a、導電層121b、導電層123a及び導電層123bの端部に凹凸が形成されにくくなるため好ましい。
その後、レジストマスク132を除去する。以上の工程により、導電層112aと導電層112bを形成することができる(図12(B))。
〔絶縁層114、絶縁層116の形成〕
続いて、導電層112a、導電層112b、及び金属酸化物層108等を覆うように、絶縁層114及び絶縁層116を形成する。
絶縁層114は、例えば酸素を含む雰囲気下で成膜することが好ましい。特に、PECVD法により形成することが好ましい。
絶縁層114としては、例えば酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜などの酸化物膜を、酸素を含む雰囲気下でPECVD装置を用いて形成することが好ましい。これにより、欠陥の少ない絶縁層114とすることができる。この場合、原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体及び酸化性気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化性気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。絶縁層114は、絶縁層114aと、絶縁層114a上の絶縁層114bとの積層構造を用いることができる。
絶縁層114aの形成において、前述の堆積性気体に対する酸化性気体の流量を20倍より大きく100倍未満、好ましくは40倍以上80倍以下とし、処理室内の圧力を100Pa未満、好ましくは50Pa以下とする。
本実施の形態においては、絶縁層114aとして、基板102を保持する温度を220℃とし、流量50sccmのシラン及び流量2000sccmの一酸化二窒素を原料ガスとし、処理室内の圧力を20Paとし、平行平板電極に供給する高周波電力を13.56MHz、100W(電力密度としては1.6×10−2W/cm2)とするPECVD法を用いて、酸化窒化シリコン膜を形成する。
絶縁層114bとしては、PECVD装置の真空排気された処理室内に載置された基板を180℃以上280℃以下、さらに好ましくは200℃以上240℃以下に保持し、処理室に原料ガスを導入して処理室内における圧力を100Pa以上250Pa以下、さらに好ましくは100Pa以上200Pa以下とし、処理室内に設けられる電極に0.17W/cm2以上0.5W/cm2以下、さらに好ましくは0.25W/cm2以上0.35W/cm2以下の高周波電力を供給する条件により、酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成する。
絶縁層114bの成膜条件として、前述圧力の反応室において前述パワー密度の高周波電力を供給することで、プラズマ中で原料ガスの分解効率が高まり、酸素ラジカルが増加し、原料ガスの酸化が進むため、絶縁層114bにおける酸素含有量が化学量論的組成よりも多くなる。一方、基板温度が、前述温度で形成された膜では、シリコンと酸素の結合力が弱いため、後の工程の加熱処理により膜中の酸素の一部が脱離する。この結果、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含み、加熱により酸素の一部が脱離する絶縁膜を形成することができる。
なお、絶縁層114bの形成工程において、絶縁層114aが金属酸化物層108の保護膜となる。したがって、金属酸化物層108へのダメージを低減しつつ、パワー密度の高い高周波電力を用いて絶縁層114bを形成することができる。
なお、絶縁層114bの成膜条件において、酸化性気体に対するシリコンを含む堆積性気体の流量を増加することで、絶縁層114bの欠陥量を低減することが可能である。その結果、トランジスタの信頼性を高めることができる。
なお、絶縁層114を、絶縁層114a及び絶縁層114bの2層構造とする構成について説明したが、本発明の一態様はこれに限定されず、例えば、絶縁層114は絶縁層114a又は絶縁層114bのどちらか一方の単層構造としてもよい。絶縁層114を単層構造とすることで、生産性を高めることができ好ましい。また、絶縁層114を3層以上の積層構造としてもよい。
続いて、絶縁層114bを覆うように絶縁層116を形成する。絶縁層116は、絶縁層106と同様の方法により形成することができる。
絶縁層116としては、例えば、窒化シリコン膜を用いると好適である。また、絶縁層116としては、例えば、スパッタリング法またはPECVD法を用いて形成することができる。例えば、絶縁層116をPECVD法で成膜する場合、基板温度は400℃未満、好ましくは375℃未満、さらに好ましくは180℃以上350℃以下である。絶縁層116を成膜する場合の基板温度を、上述の範囲にすることで、緻密な膜を形成できるため好ましい。また、絶縁層116を成膜する場合の基板温度を、上述の範囲にすることで、絶縁層114a及び絶縁層114b中の酸素または過剰酸素を、金属酸化物層108に移動させることが可能となる。
また、絶縁層116としてPECVD法により窒化シリコン膜を形成する場合、シリコンを含む堆積性気体、窒素、及びアンモニアを原料ガスとして用いることが好ましい。窒素と比較して少量のアンモニアを用いることで、プラズマ中でアンモニアが解離し、活性種が発生する。該活性種が、シリコンを含む堆積性気体に含まれるシリコン及び水素の結合、及び窒素の三重結合を切断する。この結果、シリコン及び窒素の結合が促進され、シリコン及び水素の結合が少なく、欠陥が少なく、緻密な窒化シリコン膜を形成することができる。一方、窒素に対するアンモニアの量が多いと、シリコンを含む堆積性気体及び窒素の分解が進まず、シリコン及び水素結合が残存してしまい、水素及び欠陥が多い、且つ粗な窒化シリコン膜が形成されてしまう。これらのため、原料ガスにおいて、アンモニアに対する窒素の流量比を5倍以上50倍以下、10倍以上50倍以下とすることが好ましい。前述の流量比とすることで、水素及び欠陥が少なく、密な窒化シリコンを形成できる。
本実施の形態においては、絶縁層116として、PECVD装置を用いて、シラン、窒素、及びアンモニアを原料ガスとして用いて、厚さ100nmの窒化シリコン膜を形成する。流量は、シランが50sccm、窒素が5000sccmであり、アンモニアが100sccmである。処理室の圧力を100Pa、基板温度を350℃とし、27.12MHzの高周波電源を用いて1000Wの高周波電力を平行平板電極に供給する。PECVD装置は電極面積が6000cm2である平行平板型のPECVD装置であり、供給した電力を単位面積あたりの電力(電力密度)に換算すると1.7×10−1W/cm2である。
絶縁層116の成膜温度を、絶縁層114a及び絶縁層114bより高い温度とすることができる。高い温度とすることで、絶縁層116膜中の水素などの不純物を低減することができる。また、絶縁層116形成時の基板温度を、絶縁層114a及び絶縁層114bと同様の温度とすることができる。同様の温度とすることで、生産性を高めることができる。
絶縁層114aを形成した後、絶縁層114aの表面を大気に曝すことなく、真空中で連続的に絶縁層114bを形成することが好ましい。連続して形成することで、絶縁層114aの表面に大気成分由来の不純物が付着するのを抑制できる。絶縁層114bを形成した後、絶縁層114bの表面を大気に曝すことなく、真空中で連続的に絶縁層116を形成することが好ましい。連続して形成することで、絶縁層114bの表面に大気成分由来の不純物が付着するのを抑制できる。絶縁層114a、絶縁層114b及び絶縁層116を連続して形成するとさらに好ましい。連続して形成することで、絶縁層114a及び絶縁層114bの表面に大気成分由来の不純物が付着するのを抑制できる。
絶縁層114a、絶縁層114b及び絶縁層116を形成した後に、加熱処理(以下、第2の加熱処理と記す)を行うと好適である。第2の加熱処理により、絶縁層114a、絶縁層114b及び絶縁層116に含まれる窒素酸化物を低減することができる。または、第2の加熱処理により、絶縁層114a及び絶縁層114bに含まれる酸素の一部を金属酸化物層108に移動させ、金属酸化物層108に含まれる酸素欠損及びVoHを低減することができる。
第2の加熱処理としては、例えば、代表的には、400℃未満、好ましくは375℃未満、さらに好ましくは、150℃以上350℃以下とする。
第2の加熱処理は、窒素、酸素、超乾燥空気(水の含有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)、または希ガス(アルゴン、ヘリウム等)の雰囲気下で行えばよい。なお、前述窒素、酸素、超乾燥空気、または希ガスに水素、水等が含まれないことが好ましい。該加熱処理には、電気炉、RTA等を用いることができる。
以上の工程により、トランジスタ100Cを作製することができる。
<トランジスタの作製方法2>
以下では、トランジスタの作製方法1に示した作製方法と異なる、トランジスタ100Cの作製方法について説明する。なお、導電層112a及び導電層112bの形成までは、前述のトランジスタの作製方法1と同じである(図12(B)参照)。
〔絶縁層114の形成〕
次に、導電層112a、導電層112b、及び金属酸化物層108等を覆うように、絶縁層114を形成する(図13(A))。絶縁層114の形成方法については、トランジスタの作製方法1の記載を参照できるため、詳細な記載は省略する。なお、絶縁層114は、絶縁層114a及び絶縁層114bの2層構造としてもよい。本発明の一態様はこれに限定されず、例えば、絶縁層114a又は絶縁層114bのどちらか一方の単層構造としてもよい。絶縁層114を単層構造とすることで、生産性を高めることができ好ましい。また、絶縁層114を3層以上の積層構造としてもよい。
〔加熱処理〕
絶縁層114を形成した後に、加熱処理を行う。絶縁層114形成後に加熱処理を行うことにより、絶縁層114に含まれる窒素酸化物を低減することができる。また、加熱処理により、絶縁層114に含まれる酸素の一部を金属酸化物層108に移動させ、金属酸化物層108に含まれる酸素欠損及びVoHを低減することができる。
加熱処理としては、例えば、代表的には、400℃未満、好ましくは375℃未満、さらに好ましくは、150℃以上350℃以下とする。
加熱処理は、窒素、酸素、超乾燥空気(水の含有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)、または希ガス(アルゴン、ヘリウム等)の雰囲気下で行えばよい。なお、前述窒素、酸素、超乾燥空気、または希ガスに水素、水等が含まれないことが好ましい。該加熱処理には、電気炉、RTA等を用いることができる。
〔絶縁層116の形成〕
次に、絶縁層114を覆うように、絶縁層116を形成する。絶縁層116の形成方法については、トランジスタの作製方法1の記載を参照できるため、詳細な記載は省略する。
絶縁層116形成後の加熱処理は、トランジスタの作製方法1の記載を参照できるため、詳細な記載は省略する。
以上の工程により、トランジスタ100Cを作製することができる。
<トランジスタの作製方法3>
以下では、トランジスタの作製方法1に示した作製方法と異なる、トランジスタ100Cの作製方法について説明する。なお、導電層112a及び導電層112bの形成までは、前述のトランジスタの作製方法1と同じである(図12(B)参照)。
〔絶縁層114の形成〕
次に、導電層112a、導電層112b、及び金属酸化物層108等を覆うように、絶縁層114a及び絶縁層114bを形成する(図13(A))。絶縁層114a及び絶縁層114bの形成方法については、トランジスタの作製方法1の記載を参照できるため、詳細な記載は省略する。
絶縁層114aを形成した後、絶縁層114aの表面を大気に曝すことなく、真空中で連続的に絶縁層114bを形成することが好ましい。連続して形成することで、絶縁層114aの表面に大気成分由来の不純物が付着するのを抑制できる。
〔絶縁層116の形成〕
次に、絶縁層114を覆うように、絶縁層116を形成する。
絶縁層116として、前述した材料を用いることができる。例えば、絶縁層116として酸化アルミニウムを用いることができる。また、例えば、絶縁層116としてIn−Ga−Zn酸化物を用いることができる。In−Ga−Zn酸化物は、その組成としてガリウムの割合がインジウムの割合よりも大きい(例えば原子数比でIn:Ga:Zn=1:3:2)と、絶縁層116のバンドギャップが大きくなり好ましい。絶縁層116の形成にはスパッタリング装置を用いることができる。絶縁層114b上に絶縁層116を形成する際の成膜装置内部の断面模式図を図13(B)に示す。図13(B)は、スパッタリング装置内部に設置されたターゲット191と、ターゲット191の下方に形成されるプラズマ192とが、模式的に表されている。
まず、絶縁層116を形成する際に、酸素ガスを含む雰囲気にてプラズマを放電させる。その際に、絶縁層116の被形成面となる絶縁層114b中に、酸素130bが添加される。また、絶縁層116を形成する際に、酸素ガスの他に、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンガス、キセノンガスなど)を混合させてもよい。酸素130bは、絶縁層114a及び絶縁層114bに供給される場合がある。
絶縁層116を形成する際の成膜ガス全体に占める酸素ガスの割合としては、0%より大きく100%以下、好ましくは10%以上100%以下、さらに好ましくは30%以上100%以下である。
絶縁層114aを形成した後、絶縁層114aの表面を大気に曝すことなく、真空中で連続的に絶縁層114bを形成することが好ましい。連続して形成することで、絶縁層114aの表面に大気成分由来の不純物が付着するのを抑制できる。絶縁層114bを形成した後、絶縁層114bの表面を大気に曝すことなく、真空中で連続的に絶縁層116を形成することが好ましい。連続して形成することで、絶縁層114bの表面に大気成分由来の不純物が付着するのを抑制できる。絶縁層114a、絶縁層114b及び絶縁層116を連続して形成するとさらに好ましい。連続して形成することで、絶縁層114a及び絶縁層114bの表面に大気成分由来の不純物が付着するのを抑制できる。
絶縁層114a、絶縁層114b及び絶縁層116を形成した後に、加熱処理を行うと好適である。該加熱処理により、絶縁層114a、絶縁層114b及び絶縁層116に含まれる窒素酸化物を低減することができる。または、該加熱処理により、絶縁層114a及び絶縁層114bに含まれる酸素の一部を金属酸化物層108に移動させ、金属酸化物層108に含まれる酸素欠損及びVoHを低減することができる。
絶縁層116形成後の加熱処理は、トランジスタの作製方法1の記載を参照できるため、詳細な記載は省略する。
以上の工程により、トランジスタ100Cを作製することができる。
<トランジスタの作製方法4>
以下では、トランジスタの作製方法1及びトランジスタの作製方法3に示した作製方法と異なる、トランジスタ100Cの作製方法について説明する。なお、導電層112a及び導電層112bの形成までは、前述のトランジスタの作製方法1と同じである(図12(B)参照)。
〔絶縁層114の形成〕
次に、導電層112a、導電層112b、及び金属酸化物層108等を覆うように、絶縁層114a及び絶縁層114bを形成する(図13(A))。絶縁層114a及び絶縁層114bの形成方法については、トランジスタの作製方法1の記載を参照できるため、詳細な記載は省略する。
絶縁層114aを形成した後、絶縁層114aの表面を大気に曝すことなく、真空中で連続的に絶縁層114bを形成することが好ましい。連続して形成することで、絶縁層114aの表面に大気成分由来の不純物が付着するのを抑制できる。
絶縁層114bを形成した後に、加熱処理を行ってもよい。該加熱処理により、絶縁層114a及び絶縁層114bに含まれる窒素酸化物を低減することができる。また、該加熱処理により、絶縁層114a、絶縁層114bに含まれる酸素の一部を金属酸化物層108に移動させ、金属酸化物層108に含まれる酸素欠損、VoHを低減できる。
該加熱処理の温度は、代表的には、150℃以上400℃以下、好ましくは300℃以上400℃以下、好ましくは320℃以上370℃以下とする。該加熱処理は、窒素、酸素、超乾燥空気(水の含有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)、または希ガス(アルゴン、ヘリウム等)の雰囲気下で行えばよい。なお、前述窒素、酸素、超乾燥空気、または希ガスに水素、水等が含まれないことが好ましい。該加熱処理には、電気炉、RTA装置等を用いることができる。
〔酸素供給処理〕
次に、絶縁層114bを覆って導電膜134を形成する(図14(A))。
導電膜134としては、金属酸化物膜、若しくは金属膜または合金膜を用いることができる。導電膜134の厚さは、極めて薄いことが好ましく、例えば1nm以上20nm以下、好ましくは2nm以上15nm以下、より好ましくは3nm以上10nm以下、代表的には5nm程度とすることができる。
導電膜134に用いることのできる金属酸化物としては、例えば、In−Sn酸化物、In−W酸化物、In−W−Zn酸化物、In−Ti酸化物、In−Ti−Sn酸化物、In−Zn酸化物、In−Sn−Si酸化物、In−Ga−Zn酸化物等が挙げられる。
また、導電膜134として、アルミニウム、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、モリブデン、銀、インジウム、錫、タンタル、タングステンなどを含む金属膜または合金膜を用いることができる。
なお、導電膜134として、シリコンやゲルマニウム等の単体のほか、これら化合物半導体、酸化物半導体などを含む半導体膜を用いてもよい。
ここで、導電膜134として金属酸化物を用い、酸素を含む雰囲気下でスパッタリング法等により成膜すると、成膜時においても絶縁層114a及び絶縁層114b中に酸素を供給できるため好ましい。
導電膜134の形成工程にかかる最高温度は、350℃以下、好ましくは340℃以下、より好ましくは330℃以下、さらに好ましくは300℃以下とする。
続いて、導電膜134を介して絶縁層114a及び絶縁層114bに酸素130cを供給する処理(以下、酸素供給処理ともいう)を行う(図14(B))。
酸素供給処理としては、酸素雰囲気下におけるプラズマ処理(酸素プラズマ処理ともいう)を用いることが好ましい。酸素がプラズマ化することにより、酸素ラジカル、酸素原子、または酸素イオンを絶縁層114a及び絶縁層114bに導電膜134を介して添加することができる。装置に導入するガスにおける酸素流量比は高いほど好ましく、50%以上100%以下、好ましくは60%以上100%以下、より好ましくは80%以上100%以下、さらに好ましくは100%とする。
特に、処理装置として平行平板型の一対の電極を有する処理装置を用いることが好ましい。このとき、一対の電極間にバイアス電圧が印加される状態でプラズマ処理を行うことで、より多くの酸素を絶縁層114a及び絶縁層114bに供給することができる。バイアス電圧は、例えば酸素プラズマ中の酸素イオンが、基板側に移動しやすくなるように印加する。酸素プラズマ中の酸素イオンは、例えばO+またはO2+などの正の電荷を帯びやすいため、基板側に位置する電極が負電位となるようにバイアス電圧を印加すると、基板側に酸素イオンが移動しやすくなる。
ここで、導電膜134を設けずに絶縁層114a及び絶縁層114bに対して直接酸素供給処理を行った場合、絶縁層114a及び絶縁層114bに供給された酸素の一部が、再度外部へ脱離してしまう場合がある。しかしながら本作製方法例では、絶縁層114a及び絶縁層114b上に導電膜134が設けられていることにより、絶縁層114a及び絶縁層114bに供給された酸素が再度外部へ脱離してしまうことを防ぐことができる。また、導電膜134により、絶縁層114a及び絶縁層114bへのダメージを緩和することができる。
また、絶縁層114a及び絶縁層114b上の導電膜134は、酸素供給処理において一対の電極間にバイアス電圧が印加されると、イオン化した酸素をひきつけやすくなるといった効果を奏する。したがって、導電膜134を設けることでバイアス電圧を印加することによる効果を相乗的に高めることができる。
また、処理装置として、ドライエッチング装置、アッシング装置、PECVD装置などを用いると、他の処理と装置を共有できるため好ましい。特に、アッシング装置を用いることが好ましい。
酸素供給処理は、例えば室温以上350℃以下、好ましくは150℃以上350℃未満、より好ましくは200℃以上340℃以下の温度で行うことが好ましい。
また、処理装置が有する一対の電極間にバイアス電圧を印加する場合、そのバイアス電圧を例えば10V以上1kV以下とすればよい。または、バイアスの電力密度を例えば1W/cm2以上5W/cm2以下とすればよい。
なお、酸素供給処理は前述に限られず、導電膜134を介して絶縁層114a及び絶縁層114bに酸素を供給可能な方法を用いることができる。例えばイオン注入法、イオンドーピング法またはプラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いて、導電膜を介して酸素を絶縁膜に供給してもよい。または、酸素雰囲気下で加熱処理を行ってもよい。このような処理を用いた場合にも、導電膜134は絶縁層114a及び絶縁層114bに供給された酸素が脱離することを防ぐキャップ膜として機能させること、及び、絶縁層114a及び絶縁層114bへのダメージを緩和する緩和層として機能させることができる。
酸素供給処理を経ることにより、導電膜134が脆化する場合がある。また特に導電膜134に金属または合金を用いた場合には、酸素供給処理により酸化されて抵抗値が高くなる、または一部がエッチングされ、薄膜化してしまう場合もある。このような場合には導電膜134をエッチングにより除去することが好ましい。
図14(C)には、導電膜134をエッチングした後の断面図を示している。
導電膜134のエッチング工程にかかる最高温度は、350℃以下、好ましくは340℃以下、より好ましくは330℃以下、さらに好ましくは300℃以下とする。
なお、酸素供給処理として、導電膜134を設けずに酸素を含む雰囲気下におけるプラズマ処理を行ってもよい。導電膜134を設けないことにより、生産性を高めることができる。
〔絶縁層116の形成〕
次に、絶縁層114を覆うように、絶縁層116を形成する。絶縁層116の形成方法については、トランジスタの作製方法1の記載を参照できるため、詳細な記載は省略する。
以上の工程により、トランジスタ100Cを作製することができる。
以上がトランジスタの作製方法例についての説明である。
本実施の形態で例示した構成例、作製方法例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、作製方法例、または図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態においては、先の実施の形態で例示したトランジスタを有する表示装置の一例について説明を行う。
<構成例>
図15(A)は、表示装置の一例を示す上面図である。図15(A)に示す表示装置700は、第1の基板701上に設けられた画素部702と、第1の基板701に設けられたソースドライバ回路部704及びゲートドライバ回路部706と、画素部702、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706を囲むように配置されるシール材712と、第1の基板701に対向するように設けられる第2の基板705と、を有する。なお、第1の基板701と第2の基板705は、シール材712によって封止されている。すなわち、画素部702、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706は、第1の基板701とシール材712と第2の基板705によって封止されている。なお、図15(A)には図示しないが、第1の基板701と第2の基板705の間には表示素子が設けられる。
また、表示装置700は、第1の基板701上のシール材712によって囲まれている領域とは異なる領域に、画素部702、ソースドライバ回路部704、ゲートドライバ回路部706、及びゲートドライバ回路部706と、それぞれ電気的に接続されるFPC端子部708(FPC:Flexible printed circuit)が設けられる。また、FPC端子部708には、FPC716が接続され、FPC716によって画素部702、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706に各種信号等が供給される。また、画素部702、ソースドライバ回路部704、ゲートドライバ回路部706、及びFPC端子部708には、信号線710が各々接続されている。FPC716により供給される各種信号等は、信号線710を介して、画素部702、ソースドライバ回路部704、ゲートドライバ回路部706、及びFPC端子部708に与えられる。
また、表示装置700にゲートドライバ回路部706を複数設けてもよい。また、表示装置700としては、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706を画素部702と同じ第1の基板701に形成している例を示しているが、この構成に限定されない。例えば、ゲートドライバ回路部706のみを第1の基板701に形成しても良い、またはソースドライバ回路部704のみを第1の基板701に形成しても良い。この場合、ソースドライバ回路またはゲートドライバ回路等が形成された基板(例えば、単結晶半導体膜、多結晶半導体膜で形成された駆動回路基板)を、第1の基板701に形成する構成としても良い。なお、別途形成した駆動回路基板の接続方法は、特に限定されるものではなく、COG(Chip On Glass)方法、ワイヤボンディング方法などを用いることができる。
また、表示装置700が有する画素部702、ソースドライバ回路部704及びゲートドライバ回路部706は、複数のトランジスタを有しており、本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタを適用することができる。
また、表示装置700は、様々な素子を有することが出来る。該素子の一例としては、例えば、エレクトロルミネッセンス(EL)素子(有機物及び無機物を含むEL素子、有機EL素子、無機EL素子、LEDなど)、発光トランジスタ素子(電流に応じて発光するトランジスタ)、電子放出素子、液晶素子、電子インク素子、電気泳動素子、エレクトロウェッティング素子、プラズマディスプレイパネル(PDP)、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)ディスプレイ(例えば、グレーティングライトバルブ(GLV)、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、デジタル・マイクロ・シャッター(DMS)素子、インターフェロメトリック・モジュレーション(IMOD)素子など)、圧電セラミックディスプレイなどが挙げられる。
また、EL素子を用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイなどがある。電子放出素子を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)又はSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface−conduction Electron−emitter Display)などがある。液晶素子を用いた表示装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ)などがある。電子インク素子又は電気泳動素子を用いた表示装置の一例としては、電子ペーパーなどがある。なお、半透過型液晶ディスプレイや反射型液晶ディスプレイを実現する場合には、画素電極の一部、または、全部が、反射電極としての機能を有するようにすればよい。例えば、画素電極の一部、または、全部が、アルミニウム、銀、などを有するようにすればよい。さらに、その場合、反射電極の下に、SRAMなどの記憶回路を設けることも可能である。これにより、さらに、消費電力を低減することができる。
なお、表示装置700における表示方式は、プログレッシブ方式やインターレース方式等を用いることができる。また、カラー表示する際に画素で制御する色要素としては、RGB(Rは赤、Gは緑、Bは青を表す)の三色に限定されない。例えば、Rの画素とGの画素とBの画素とW(白)の画素の四画素から構成されてもよい。または、ペンタイル配列のように、RGBのうちの2色分で一つの色要素を構成し、色要素によって、異なる2色を選択して構成してもよい。またはRGBに、イエロー、シアン、マゼンタ等を一色以上追加してもよい。なお、色要素のドット毎にその表示領域の大きさが異なっていてもよい。ただし、開示する発明はカラー表示の表示装置に限定されるものではなく、モノクロ表示の表示装置に適用することもできる。
また、バックライト(有機EL素子、無機EL素子、LED、蛍光灯など)に白色発光(W)を用いて表示装置をフルカラー表示させるために、着色層(カラーフィルタともいう。)を用いてもよい。着色層は、例えば、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)、イエロー(Y)などを適宜組み合わせて用いることができる。着色層を用いることで、着色層を用いない場合と比べて色の再現性を高くすることができる。このとき、着色層を有する領域と、着色層を有さない領域と、を配置することによって、着色層を有さない領域における白色光を直接表示に利用しても構わない。一部に着色層を有さない領域を配置することで、明るい表示の際に、着色層による輝度の低下を少なくでき、消費電力を2割から3割程度低減できる場合がある。ただし、有機EL素子や無機EL素子などの自発光素子を用いてフルカラー表示する場合、R、G、B、Y、Wを、それぞれの発光色を有する素子から発光させても構わない。自発光素子を用いることで、着色層を用いた場合よりも、さらに消費電力を低減できる場合がある。
また、カラー化方式としては、前述の白色発光からの発光の一部をカラーフィルタを通すことで赤色、緑色、青色に変換する方式(カラーフィルタ方式)の他、赤色、緑色、青色の発光をそれぞれ用いる方式(3色方式)、または青色発光からの発光の一部を赤色や緑色に変換する方式(色変換方式、量子ドット方式)を適用してもよい。
図15(B)に示す表示装置700Aは、大型の画面を有する電子機器に好適に用いることのできる表示装置である。例えばテレビジョン装置、モニタ装置、デジタルサイネージなどに好適に用いることができる。
表示装置700Aは、複数のソースドライバIC721と、一対のゲートドライバ回路722を有する。
複数のソースドライバIC721は、それぞれFPC723に取り付けられている。また、複数のFPC723は、一方の端子が基板701に、他方の端子がプリント基板724にそれぞれ接続されている。FPC723を折り曲げることで、プリント基板724を画素部702の裏側に配置して、電気機器に実装することができる。
一方、ゲートドライバ回路722は、基板701上に形成されている。これにより、狭額縁の電子機器を実現できる。
このような構成とすることで、大型で且つ高解像度な表示装置を実現できる。例えば画面サイズが対角30インチ以上、40インチ以上、50インチ以上、または60インチ以上の表示装置に適用することができる。また、解像度がフルハイビジョン、4K2K、または8K4Kなどといった極めて高解像度の表示装置を実現することができる。
<断面構成例>
以下では、表示素子として液晶素子及びEL素子を用いる構成について、図16乃至図18を用いて説明する。なお、図16及び図17は、図15(A)に示す一点鎖線Q−Rにおける断面図であり、表示素子として液晶素子を用いた構成である。また、図18は、図15に示す一点鎖線Q−Rにおける断面図であり、表示素子としてEL素子を用いた構成である。
まず、図16乃至図18に示す共通部分について最初に説明し、次に異なる部分について以下説明する。
〔表示装置の共通部分に関する説明〕
図16乃至図18に示す表示装置700は、引き回し配線部711と、画素部702と、ソースドライバ回路部704と、FPC端子部708と、を有する。また、引き回し配線部711は、信号線710を有する。また、画素部702は、トランジスタ750及び容量素子790を有する。また、ソースドライバ回路部704は、トランジスタ752を有する。
トランジスタ750及びトランジスタ752は、実施の形態1で例示したトランジスタを適用することができる。
本実施の形態で用いるトランジスタは、高純度化し、酸素欠損の形成を抑制した酸化物半導体膜を有する。該トランジスタは、オフ電流を低くすることができる。よって、画像信号等の電気信号の保持時間を長くすることができ、電源オン状態では書き込み間隔も長く設定できる。よって、リフレッシュ動作の頻度を少なくすることができるため、消費電力を抑制する効果を奏する。
また、本実施の形態で用いるトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られるため、高速駆動が可能である。例えば、このような高速駆動が可能なトランジスタを表示装置に用いることで、画素部のスイッチングトランジスタと、駆動回路部に使用するドライバトランジスタを同一基板上に形成することができる。すなわち、別途駆動回路として、シリコンウェハ等により形成された半導体装置を用いる必要がないため、半導体装置の部品点数を削減することができる。また、画素部においても、高速駆動が可能なトランジスタを用いることで、高画質な画像を提供することができる。
容量素子790は、トランジスタ750が有する第1のゲート電極と機能する導電膜と同一の導電膜を加工する工程を経て形成される下部電極と、トランジスタ750が有する第2のゲート電極として機能する導電膜と同一の導電膜を加工する工程を経て形成される上部電極と、を有する。また、下部電極と上部電極との間には、トランジスタ750が有する第1のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜と同一の絶縁膜を形成する工程を経て形成される絶縁膜、及びトランジスタ750上の保護絶縁膜として機能する絶縁膜と同一の絶縁膜を形成する工程を経て形成される絶縁膜が設けられる。すなわち、容量素子790は、一対の電極間に誘電体膜として機能する絶縁膜が挟持された積層型の構造である。
また、図16乃至図18において、トランジスタ750、トランジスタ752、及び容量素子790上に平坦化絶縁膜770が設けられている。
また、図16乃至図18においては、画素部702が有するトランジスタ750と、ソースドライバ回路部704が有するトランジスタ752と、を同じ構造のトランジスタを用いる構成について例示したが、これに限定されない。例えば、画素部702と、ソースドライバ回路部704とは、異なるトランジスタを用いてもよい。具体的には、画素部702にトップゲート型のトランジスタを用い、ソースドライバ回路部704にボトムゲート型のトランジスタを用いる構成、あるいは画素部702にボトムゲート型のトランジスタを用い、ソースドライバ回路部704にトップゲート型のトランジスタを用いる構成などが挙げられる。なお、前述のソースドライバ回路部704を、ゲートドライバ回路部と読み替えてもよい。
また、信号線710は、トランジスタ750、752のソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜と同じ工程を経て形成される。信号線710として、例えば、銅元素を含む材料を用いた場合、配線抵抗に起因する信号遅延等が少なく、大画面での表示が可能となる。
また、FPC端子部708は、接続電極760、異方性導電膜780、及びFPC716を有する。なお、接続電極760は、トランジスタ750、752のソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜と同じ工程を経て形成される。また、接続電極760は、FPC716が有する端子と異方性導電膜780を介して、電気的に接続される。
また、第1の基板701及び第2の基板705としては、例えばガラス基板を用いることができる。また、第1の基板701及び第2の基板705として、可撓性を有する基板を用いてもよい。該可撓性を有する基板としては、例えばプラスチック基板等が挙げられる。
また、第1の基板701と第2の基板705の間には、構造体778が設けられる。構造体778は柱状のスペーサであり、第1の基板701と第2の基板705の間の距離(セルギャップ)を制御するために設けられる。なお、構造体778として、球状のスペーサを用いていても良い。
また、第2の基板705側には、ブラックマトリクスとして機能する遮光膜738と、カラーフィルタとして機能する着色膜736と、遮光膜738及び着色膜736に接する絶縁膜734が設けられる。
〔液晶素子を用いる表示装置の構成例〕
図16に示す表示装置700は、液晶素子775を有する。液晶素子775は、導電膜772、導電膜774、及び液晶層776を有する。導電膜774は、第2の基板705側に設けられ、対向電極としての機能を有する。図16に示す表示装置700は、導電膜772と導電膜774に印加される電圧によって、液晶層776の配向状態が変わることによって光の透過、非透過が制御され画像を表示することができる。
また、導電膜772は、トランジスタ750が有するソース電極またはドレイン電極として機能する導電膜と電気的に接続される。導電膜772は、平坦化絶縁膜770上に形成され画素電極、すなわち表示素子の一方の電極として機能する。
導電膜772としては、可視光において透光性のある導電膜、または可視光において反射性のある導電膜を用いることができる。可視光において透光性のある導電膜としては、例えば、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)の中から選ばれた一種を含む材料を用いるとよい。可視光において反射性のある導電膜としては、例えば、アルミニウム、または銀を含む材料を用いるとよい。
導電膜772に可視光において反射性のある導電膜を用いる場合、表示装置700は、反射型の液晶表示装置となる。また、導電膜772に可視光において透光性のある導電膜を用いる場合、表示装置700は、透過型の液晶表示装置となる。反射型の液晶表示装置の場合、視認側に偏光板を設ける。一方、透過型の液晶表示装置の場合、液晶素子を挟む一対の偏光板を設ける。
また、導電膜772上の構成を変えることで、液晶素子の駆動方式を変えることができる。この場合の一例を図17に示す。また、図17に示す表示装置700は、液晶素子の駆動方式として横電界方式(例えば、FFSモード)を用いる構成の一例である。図17に示す構成の場合、導電膜772上に絶縁膜773が設けられ、絶縁膜773上に導電膜774が設けられる。この場合、導電膜774は、共通電極(コモン電極ともいう)としての機能を有し、絶縁膜773を介して、導電膜772と導電膜774との間に生じる電界によって、液晶層776の配向状態を制御することができる。
また、図16及び図17において図示しないが、導電膜772または導電膜774のいずれか一方または双方に、液晶層776と接する側に、それぞれ配向膜を設ける構成としてもよい。また、図16及び図17において図示しないが、偏光部材、位相差部材、反射防止部材などの光学部材(光学基板)などは適宜設けてもよい。例えば、偏光基板及び位相差基板による円偏光を用いてもよい。また、光源としてバックライト、サイドライトなどを用いてもよい。
表示素子として液晶素子を用いる場合、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。
また、横電界方式を採用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善するために数重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を液晶層に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が短く、光学的等方性であるため配向処理が不要である。また配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理も不要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減することができる。また、ブルー相を示す液晶材料は、視野角依存性が小さい。
また、表示素子として液晶素子を用いる場合、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro−cell)モード、OCB(Optical Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モードなどを用いることができる。
また、ノーマリーブラック型の液晶表示装置、例えば垂直配向(VA)モードを採用した透過型の液晶表示装置としてもよい。垂直配向モードとしては、いくつか挙げられるが、例えば、MVA(Multi−Domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、ASVモードなどを用いることができる。
〔発光素子を用いる表示装置〕
図18に示す表示装置700は、発光素子782を有する。発光素子782は、導電膜772、EL層786、及び導電膜788を有する。図18に示す表示装置700は、画素毎に設けられる発光素子782が有するEL層786が発光することによって、画像を表示することができる。なお、EL層786は、有機化合物、または量子ドットなどの無機化合物を有する。
有機化合物に用いることのできる材料としては、蛍光性材料または燐光性材料などが挙げられる。また、量子ドットに用いることのできる材料としては、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、コア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料、などが挙げられる。また、12族と16族、13族と15族、または14族と16族の元素グループを含む材料を用いてもよい。または、カドミウム(Cd)、セレン(Se)、亜鉛(Zn)、硫黄(S)、リン(P)、インジウム(In)、テルル(Te)、鉛(Pb)、ガリウム(Ga)、ヒ素(As)、アルミニウム(Al)、等の元素を有する量子ドット材料を用いてもよい。
図18に示す表示装置700には、平坦化絶縁膜770及び導電膜772上に絶縁膜730が設けられる。絶縁膜730は、導電膜772の一部を覆う。なお、発光素子782はトップエミッション構造である。したがって、導電膜788は透光性を有し、EL層786が発する光を透過する。なお、本実施の形態においては、トップエミッション構造について、例示するが、これに限定されない。例えば、導電膜772側に光を射出するボトムエミッション構造や、導電膜772及び導電膜788の双方に光を射出するデュアルエミッション構造にも適用することができる。
また、発光素子782と重なる位置に、着色膜736が設けられ、絶縁膜730と重なる位置、引き回し配線部711、及びソースドライバ回路部704に遮光膜738が設けられている。また、着色膜736及び遮光膜738は、絶縁膜734で覆われている。また、発光素子782と絶縁膜734の間は封止膜732で充填されている。なお、図18に示す表示装置700においては、着色膜736を設ける構成について例示したが、これに限定されない。例えば、EL層786を画素毎に島状形成する、すなわち塗り分けにより形成する場合においては、着色膜736を設けない構成としてもよい。
〔表示装置に入出力装置を設ける構成例〕
また、図16乃至図18に示す表示装置700に入出力装置を設けてもよい。当該入出力装置としては、例えば、タッチパネル等が挙げられる。
図17に示す表示装置700にタッチパネル791を設ける構成を図19に、図18に示す表示装置700にタッチパネル791を設ける構成を図20に、それぞれ示す。
図19は図17に示す表示装置700にタッチパネル791を設ける構成の断面図であり、図20は図18に示す表示装置700にタッチパネル791を設ける構成の断面図である。
まず、図19及び図20に示すタッチパネル791について、以下説明を行う。
図19及び図20に示すタッチパネル791は、基板705と着色膜736との間に設けられる、所謂インセル型のタッチパネルである。タッチパネル791は、遮光膜738、及び着色膜736を形成する前に、基板705側に形成すればよい。
なお、タッチパネル791は、遮光膜738と、絶縁膜792と、電極793と、電極794と、絶縁膜795と、電極796と、絶縁膜797と、を有する。例えば、指やスタイラスなどの被検知体が近づくことで生じうる、電極793と電極794との間の容量の変化を検知することができる。
また、図19及び図20に示すトランジスタ750の上方においては、電極793と、電極794との交差部を明示している。電極796は、絶縁膜795に設けられた開口部を介して、電極794を挟む2つの電極793と電気的に接続されている。なお、図19及び図20においては、電極796が設けられる領域を画素部702に設ける構成を例示したが、これに限定されず、例えば、ソースドライバ回路部704に形成してもよい。
電極793及び電極794は、遮光膜738と重なる領域に設けられる。また、図19に示すように、電極793は、発光素子782と重ならないように設けられると好ましい。また、図20に示すように、電極793は、液晶素子775と重ならないように設けられると好ましい。別言すると、電極793は、発光素子782及び液晶素子775と重なる領域に開口部を有する。すなわち、電極793はメッシュ形状を有する。このような構成とすることで、電極793は、発光素子782が射出する光を遮らない構成とすることができる。または、電極793は、液晶素子775を透過する光を遮らない構成とすることができる。したがって、タッチパネル791を配置することによる輝度の低下が極めて少ないため、視認性が高く、且つ消費電力が低減された表示装置を実現できる。なお、電極794も同様の構成とすればよい。
また、電極793及び電極794が発光素子782と重ならないため、電極793及び電極794には、可視光の透過率が低い金属材料を用いることができる。または、電極793及び電極794が液晶素子775と重ならないため、電極793及び電極794には、可視光の透過率が低い金属材料を用いることができる。
そのため、可視光の透過率が高い酸化物材料を用いた電極と比較して、電極793及び電極794の抵抗を低くすることが可能となり、タッチパネルのセンサ感度を向上させることができる。
例えば、電極793、794、796には、導電性のナノワイヤを用いてもよい。当該ナノワイヤは、直径の平均値が1nm以上100nm以下、好ましくは5nm以上50nm以下、より好ましくは5nm以上25nm以下の大きさとすればよい。また、前述ナノワイヤとしては、Agナノワイヤ、Cuナノワイヤ、またはAlナノワイヤ等の金属ナノワイヤ、あるいは、カーボンナノチューブなどを用いればよい。例えば、電極664、665、667のいずれか一つあるいは全部にAgナノワイヤを用いる場合、可視光における光透過率を89%以上、シート抵抗値を40Ω/□以上100Ω/□以下とすることができる。
また、図19及び図20においては、インセル型のタッチパネルの構成について例示したが、これに限定されない。例えば、表示装置700上に形成する、所謂オンセル型のタッチパネルや、表示装置700に貼り合わせて用いる、所謂アウトセル型のタッチパネルとしてもよい。
このように、本発明の一態様の表示装置は、様々な形態のタッチパネルと組み合わせて用いることができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置を有する表示装置について、図21を用いて説明を行う。
<表示装置の回路構成>
図21(A)に示す表示装置は、表示素子の画素を有する領域(以下、画素部502という)と、画素部502の外側に配置され、画素を駆動するための回路を有する回路部(以下、駆動回路部504という)と、素子の保護機能を有する回路(以下、保護回路506という)と、端子部507と、を有する。なお、保護回路506は、設けない構成としてもよい。
駆動回路部504の一部、または全部は、画素部502と同一基板上に形成されていることが望ましい。これにより、部品数や端子数を減らすことが出来る。駆動回路部504の一部、または全部が、画素部502と同一基板上に形成されていない場合には、駆動回路部504の一部、または全部は、COGやTAB(Tape Automated Bonding)によって、実装することができる。
画素部502は、X行(Xは2以上の自然数)Y列(Yは2以上の自然数)に配置された複数の表示素子を駆動するための回路(以下、画素回路501という)を有し、駆動回路部504は、画素を選択する信号(走査信号)を出力する回路(以下、ゲートドライバ504aという)、画素の表示素子を駆動するための信号(データ信号)を供給するための回路(以下、ソースドライバ504b)などの駆動回路を有する。
ゲートドライバ504aは、シフトレジスタ等を有する。ゲートドライバ504aは、端子部507を介して、シフトレジスタを駆動するための信号が入力され、信号を出力する。例えば、ゲートドライバ504aは、スタートパルス信号、クロック信号等が入力され、パルス信号を出力する。ゲートドライバ504aは、走査信号が与えられる配線(以下、走査線GL_1乃至GL_Xという)の電位を制御する機能を有する。なお、ゲートドライバ504aを複数設け、複数のゲートドライバ504aにより、走査線GL_1乃至GL_Xを分割して制御してもよい。または、ゲートドライバ504aは、初期化信号を供給することができる機能を有する。ただし、これに限定されず、ゲートドライバ504aは、別の信号を供給することも可能である。
ソースドライバ504bは、シフトレジスタ等を有する。ソースドライバ504bは、端子部507を介して、シフトレジスタを駆動するための信号の他、データ信号の元となる信号(画像信号)が入力される。ソースドライバ504bは、画像信号を元に画素回路501に書き込むデータ信号を生成する機能を有する。また、ソースドライバ504bは、スタートパルス、クロック信号等が入力されて得られるパルス信号に従って、データ信号の出力を制御する機能を有する。また、ソースドライバ504bは、データ信号が与えられる配線(以下、データ線DL_1乃至DL_Yという)の電位を制御する機能を有する。または、ソースドライバ504bは、初期化信号を供給することができる機能を有する。ただし、これに限定されず、ソースドライバ504bは、別の信号を供給することも可能である。
ソースドライバ504bは、例えば複数のアナログスイッチなどを用いて構成される。ソースドライバ504bは、複数のアナログスイッチを順次オン状態にすることにより、画像信号を時分割した信号をデータ信号として出力できる。また、シフトレジスタなどを用いてソースドライバ504bを構成してもよい。
複数の画素回路501のそれぞれは、走査信号が与えられる複数の走査線GLの一つを介してパルス信号が入力され、データ信号が与えられる複数のデータ線DLの一つを介してデータ信号が入力される。また、複数の画素回路501のそれぞれは、ゲートドライバ504aによりデータ信号のデータの書き込み及び保持が制御される。例えば、m行n列目の画素回路501は、走査線GL_m(mはX以下の自然数)を介してゲートドライバ504aからパルス信号が入力され、走査線GL_mの電位に応じてデータ線DL_n(nはY以下の自然数)を介してソースドライバ504bからデータ信号が入力される。
図21(A)に示す保護回路506は、例えば、ゲートドライバ504aと画素回路501の間の配線である走査線GLに接続される。または、保護回路506は、ソースドライバ504bと画素回路501の間の配線であるデータ線DLに接続される。または、保護回路506は、ゲートドライバ504aと端子部507との間の配線に接続することができる。または、保護回路506は、ソースドライバ504bと端子部507との間の配線に接続することができる。なお、端子部507は、外部の回路から表示装置に電源及び制御信号、及び画像信号を入力するための端子が設けられた部分をいう。
保護回路506は、自身が接続する配線に一定の範囲外の電位が与えられたときに、該配線と別の配線とを導通状態にする回路である。
図21(A)に示すように、画素部502と駆動回路部504にそれぞれ保護回路506を設けることにより、ESD(Electro Static Discharge:静電気放電)などにより発生する過電流に対する表示装置の耐性を高めることができる。ただし、保護回路506の構成はこれに限定されず、例えば、ゲートドライバ504aに保護回路506を接続した構成、またはソースドライバ504bに保護回路506を接続した構成とすることもできる。あるいは、端子部507に保護回路506を接続した構成とすることもできる。
また、図21(A)においては、ゲートドライバ504aとソースドライバ504bによって駆動回路部504を形成している例を示しているが、この構成に限定されない。例えば、ゲートドライバ504aのみを形成し、別途用意されたソースドライバ回路が形成された基板(例えば、単結晶半導体膜、多結晶半導体膜で形成された駆動回路基板)を実装する構成としても良い。
ここで、図22に、図21(A)とは異なる構成を示す。図22では、ソース線方向に配列する複数の画素を挟むように、一対のソース線(例えばソース線DLa1とソース線DLb1)が配置されている。また、隣接する2本のゲート線(例えばゲート線GL_1とゲート線GL_2)が電気的に接続されている。
また、ゲート線GL_1に接続される画素は、片方のソース線(ソース線DLa1、ソース線DLa2等)に接続され、ゲート線GL_2に接続される画素は、他方のソース線(ソース線DLb1、ソース線DLb2等)に接続される。
このような構成とすることで、2本のゲート線を同時に選択することができる。これにより、一水平期間の長さを、図21(A)に示す構成と比較して2倍にすることができる。これにより、表示装置の高解像度化、及び大画面化が容易となる。
また、図21(A)に示す複数の画素回路501は、例えば、図21(B)に示す構成とすることができる。
図21(B)に示す画素回路501は、液晶素子570と、トランジスタ550と、容量素子560と、を有する。トランジスタ550に先の実施の形態に示すトランジスタを適用することができる。
液晶素子570の一対の電極の一方の電位は、画素回路501の仕様に応じて適宜設定される。液晶素子570は、書き込まれるデータにより配向状態が設定される。なお、複数の画素回路501のそれぞれが有する液晶素子570の一対の電極の一方に共通の電位(コモン電位)を与えてもよい。また、各行の画素回路501の液晶素子570の一対の電極の一方に異なる電位を与えてもよい。
例えば、液晶素子570を備える表示装置の駆動方法としては、TNモード、STNモード、VAモード、ASM(Axially Symmetric Aligned Micro−cell)モード、OCB(Optically Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モード、MVAモード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、IPSモード、FFSモード、又はTBA(Transverse Bend Alignment)モードなどを用いてもよい。また、表示装置の駆動方法としては、前述した駆動方法の他、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード、PNLC(Polymer Network Liquid Crystal)モード、ゲストホストモードなどがある。ただし、これに限定されず、液晶素子及びその駆動方式として様々なものを用いることができる。
m行n列目の画素回路501において、トランジスタ550のソース電極またはドレイン電極の一方は、データ線DL_nに電気的に接続され、他方は液晶素子570の一対の電極の他方に電気的に接続される。また、トランジスタ550のゲート電極は、走査線GL_mに電気的に接続される。トランジスタ550は、オン状態またはオフ状態になることにより、データ信号のデータの書き込みを制御する機能を有する。
容量素子560の一対の電極の一方は、電位が供給される配線(以下、電位供給線VL)に電気的に接続され、他方は、液晶素子570の一対の電極の他方に電気的に接続される。なお、電位供給線VLの電位の値は、画素回路501の仕様に応じて適宜設定される。容量素子560は、書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
例えば、図21(B)の画素回路501を有する表示装置では、例えば、図21(A)に示すゲートドライバ504aにより各行の画素回路501を順次選択し、トランジスタ550をオン状態にしてデータ信号のデータを書き込む。
データが書き込まれた画素回路501は、トランジスタ550がオフ状態になることで保持状態になる。これを行毎に順次行うことにより、画像を表示できる。
また、図21(A)に示す複数の画素回路501は、例えば、図21(C)に示す構成とすることができる。
また、図21(C)に示す画素回路501は、トランジスタ552、554と、容量素子562と、発光素子572と、を有する。トランジスタ552及びトランジスタ554のいずれか一方または双方に先の実施の形態に示すトランジスタを適用することができる。
トランジスタ552のソース電極及びドレイン電極の一方は、データ信号が与えられる配線(以下、信号線DL_nという)に電気的に接続される。さらに、トランジスタ552のゲート電極は、ゲート信号が与えられる配線(以下、走査線GL_mという)に電気的に接続される。
トランジスタ552は、オン状態またはオフ状態になることにより、データ信号のデータの書き込みを制御する機能を有する。
容量素子562の一対の電極の一方は、電位が与えられる配線(以下、電位供給線VL_aという)に電気的に接続され、他方は、トランジスタ552のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
容量素子562は、書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
トランジスタ554のソース電極及びドレイン電極の一方は、電位供給線VL_aに電気的に接続される。さらに、トランジスタ554のゲート電極は、トランジスタ552のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
発光素子572のアノード及びカソードの一方は、電位供給線VL_bに電気的に接続され、他方は、トランジスタ554のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
発光素子572としては、例えば有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子ともいう)などを用いることができる。ただし、発光素子572としては、これに限定されず、無機材料からなる無機EL素子を用いても良い。
なお、電位供給線VL_a及び電位供給線VL_bの一方には、高電源電位VDDが与えられ、他方には、低電源電位VSSが与えられる。
図21(C)の画素回路501を有する表示装置では、例えば、図21(A)に示すゲートドライバ504aにより各行の画素回路501を順次選択し、トランジスタ552をオン状態にしてデータ信号のデータを書き込む。
データが書き込まれた画素回路501は、トランジスタ552がオフ状態になることで保持状態になる。さらに、書き込まれたデータ信号の電位に応じてトランジスタ554のソース電極とドレイン電極の間に流れる電流量が制御され、発光素子572は、流れる電流量に応じた輝度で発光する。これを行毎に順次行うことにより、画像を表示できる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について、図面を参照して説明する。
以下で例示する電子機器は、表示部に本発明の一態様の表示装置を備えるものである。したがって、高い解像度が実現された電子機器である。また高い解像度と、大きな画面が両立された電子機器とすることができる。
本発明の一態様の電子機器の表示部には、例えばフルハイビジョン、4K2K、8K4K、16K8K、またはそれ以上の解像度を有する映像を表示させることができる。また、表示部の画面サイズとしては、対角20インチ以上、または対角30インチ以上、または対角50インチ以上、対角60インチ以上、または対角70インチ以上とすることもできる。
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。
本発明の一態様の電子機器または照明装置は、家屋もしくはビルの内壁もしくは外壁、または、自動車の内装もしくは外装の曲面に沿って組み込むことができる。
本発明の一態様の電子機器は、アンテナを有していてもよい。アンテナで信号を受信することで、表示部で映像や情報等の表示を行うことができる。また、電子機器がアンテナ及び二次電池を有する場合、アンテナを、非接触電力伝送に用いてもよい。
本発明の一態様の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
本発明の一態様の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機能等を有することができる。
図23(A)にテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7000が組み込まれている。ここでは、スタンド7103により筐体7101を支持した構成を示している。
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
図23(A)に示すテレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7111により行うことができる。または、表示部7000にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7000に触れることで操作してもよい。リモコン操作機7111は、当該リモコン操作機7111から出力する情報を表示する表示部を有していてもよい。リモコン操作機7111が備える操作キーまたはタッチパネルにより、チャンネル及び音量の操作を行うことができ、表示部7000に表示される映像を操作することができる。
なお、テレビジョン装置7100は、受信機及びモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
図23(B)に、ノート型パーソナルコンピュータ7200を示す。ノート型パーソナルコンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス7213、外部接続ポート7214等を有する。筐体7211に、表示部7000が組み込まれている。
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
図23(C)、(D)に、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)の一例を示す。
図23(C)に示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7000、及びスピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
また、図23(D)は円柱状の柱7401に取り付けられたデジタルサイネージ7400である。デジタルサイネージ7400は、柱7401の曲面に沿って設けられた表示部7000を有する。
図23(C)、(D)において、表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
表示部7000が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表示部7000が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることができる。
表示部7000にタッチパネルを適用することで、表示部7000に画像または動画を表示するだけでなく、使用者が直感的に操作することができ、好ましい。また、路線情報もしくは交通情報などの情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作によりユーザビリティを高めることができる。
また、図23(C)、(D)に示すように、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400は、ユーザが所持するスマートフォン等の情報端末機7311または情報端末機7411と無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部7000に表示される広告の情報を、情報端末機7311または情報端末機7411の画面に表示させることができる。また、情報端末機7311または情報端末機7411を操作することで、表示部7000の表示を切り替えることができる。
また、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400に、情報端末機7311または情報端末機7411の画面を操作手段(コントローラ)としたゲームを実行させることもできる。これにより、不特定多数のユーザが同時にゲームに参加し、楽しむことができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置を適用することのできるテレビジョン装置の例について、図面を参照して説明する。
図24(A)に、テレビジョン装置600のブロック図を示す。
なお、本明細書に添付した図面では、構成要素を機能ごとに分類し、互いに独立したブロックとしてブロック図を示しているが、実際の構成要素は機能ごとに完全に切り分けることが難しく、一つの構成要素が複数の機能に係わることもあり得る。
テレビジョン装置600は、制御部601、記憶部602、通信制御部603、画像処理回路604、デコーダ回路605、映像信号受信部606、タイミングコントローラ607、ソースドライバ608、ゲートドライバ609、表示パネル620等を有する。
前述実施の形態で例示した表示装置は、図24(A)における表示パネル620に適用することができる。これにより、大型且つ高解像度であって、視認性に優れたテレビジョン装置600を実現できる。
制御部601は、例えば中央演算装置(CPU:Central Processing Unit)として機能することができる。例えば制御部601は、システムバス630を介して記憶部602、通信制御部603、画像処理回路604、デコーダ回路605及び映像信号受信部606等のコンポーネントを制御する機能を有する。
制御部601と各コンポーネントとは、システムバス630を介して信号の伝達が行われる。また制御部601は、システムバス630を介して接続された各コンポーネントから入力される信号を処理する機能、各コンポーネントへ出力する信号を生成する機能等を有し、これによりシステムバス630に接続された各コンポーネントを統括的に制御することができる。
記憶部602は、制御部601及び画像処理回路604がアクセス可能なレジスタ、キャッシュメモリ、メインメモリ、二次メモリなどとして機能する。
二次メモリとして用いることのできる記憶装置としては、例えば書き換え可能な不揮発性の記憶素子が適用された記憶装置を用いることができる。例えば、フラッシュメモリ、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、PRAM(Phase change RAM)、ReRAM(Resistive RAM)、FeRAM(Ferroelectric RAM)などを用いることができる。
また、レジスタ、キャッシュメモリ、メインメモリなどの一時メモリとして用いることのできる記憶装置としては、DRAM(Dynamic RAM)や、SRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性の記憶素子を用いてもよい。
例えば、メインメモリに設けられるRAMとしては、例えばDRAMが用いられ、制御部601の作業空間として仮想的にメモリ空間が割り当てられ利用される。記憶部602に格納されたオペレーティングシステム、アプリケーションプログラム、プログラムモジュール、プログラムデータ等は、実行のためにRAMにロードされる。RAMにロードされたこれらのデータやプログラム、プログラムモジュールは、制御部601に直接アクセスされ、操作される。
一方、ROMには書き換えを必要としないBIOS(Basic Input/Output System)やファームウェア等を格納することができる。ROMとしては、マスクROMや、OTPROM(One Time Programmable Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)等を用いることができる。EPROMとしては、紫外線照射により記憶データの消去を可能とするUV−EPROM(Ultra−Violet Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリなどが挙げられる。
また、記憶部602の他に、取り外し可能な記憶装置を接続可能な構成としてもよい。例えばストレージデバイスとして機能するハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)やソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)などの記録メディアドライブ、フラッシュメモリ、ブルーレイディスク、DVDなどの記録媒体と接続する端子を有することが好ましい。これにより、映像を記録することができる。
通信制御部603は、コンピュータネットワークを介して行われる通信を制御する機能を有する。例えば、制御部601からの命令に応じてコンピュータネットワークに接続するための制御信号を制御し、当該信号をコンピュータネットワークに発信する。これによって、World Wide Web(WWW)の基盤であるインターネット、イントラネット、エクストラネット、PAN(Personal Area Network)、LAN(Local Area Network)、CAN(Campus Area Network)、MAN(Metropolitan Area Network)、WAN(Wide Area Network)、GAN(Global Area Network)等のコンピュータネットワークに接続し、通信を行うことができる。
また、通信制御部603は、Wi−Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の通信規格を用いてコンピュータネットワークまたは他の電子機器と通信する機能を有していてもよい。
通信制御部603は、無線により通信する機能を有していてもよい。例えばアンテナと高周波回路(RF回路)を設け、RF信号の送受信を行えばよい。高周波回路は、各国法制により定められた周波数帯域の電磁信号と電気信号とを相互に変換し、当該電磁信号を用いて無線で他の通信機器との間で通信を行うための回路である。実用的な周波数帯域として数10kHz乃至数10GHzが一般に用いられている。アンテナと接続される高周波回路には、複数の周波数帯域に対応した高周波回路部を有し、高周波回路部は、増幅器(アンプ)、ミキサ、フィルタ、DSP、RFトランシーバ等を有する構成とすることができる。
映像信号受信部606は、例えばアンテナ、復調回路、及びA−D変換回路(アナログ−デジタル変換回路)等を有する。復調回路は、アンテナから入力した信号を復調する機能を有する。またA−D変換回路は、復調されたアナログ信号をデジタル信号に変換する機能を有する。映像信号受信部606で処理された信号は、デコーダ回路605に送られる。
デコーダ回路605は、映像信号受信部606から入力されるデジタル信号に含まれる映像データを、送信される放送規格の仕様に従ってデコードし、画像処理回路に送信する信号を生成する機能を有する。例えば8K放送における放送規格としては、H.265 | MPEG−H High Efficiency Video Coding(略称:HEVC)などがある。
映像信号受信部606が有するアンテナにより受信できる放送電波としては、地上波、または衛星から送信される電波などが挙げられる。またアンテナにより受信できる放送電波として、アナログ放送、デジタル放送などがあり、また映像及び音声、または音声のみの放送などがある。例えばUHF帯(約300MHz乃至3GHz)またはVHF帯(30MHz乃至300MHz)のうちの特定の周波数帯域で送信される放送電波を受信することができる。また例えば、複数の周波数帯域で受信した複数のデータを用いることで、転送レートを高くすることができ、より多くの情報を得ることができる。これによりフルハイビジョンを超える解像度を有する映像を、表示パネル620に表示させることができる。例えば、4K2K、8K4K、16K8K、またはそれ以上の解像度を有する映像を表示させることができる。
また、映像信号受信部606及びデコーダ回路605は、コンピュータネットワークを介したデータ伝送技術により送信された放送のデータを用いて、画像処理回路604に送信する信号を生成する構成としてもよい。このとき、受信する信号がデジタル信号の場合には、映像信号受信部606は復調回路及びA−D変換回路等を有していなくてもよい。
画像処理回路604は、デコーダ回路605から入力される映像信号に基づいて、タイミングコントローラ607に出力する映像信号を生成する機能を有する。
またタイミングコントローラ607は、画像処理回路604が処理を施した映像信号等に含まれる同期信号を基に、ゲートドライバ609及びソースドライバ608に出力する信号(クロック信号、スタートパルス信号などの信号)を生成する機能を有する。また、タイミングコントローラ607は、前述信号に加え、ソースドライバ608に出力するビデオ信号を生成する機能を有する。
表示パネル620は、複数の画素621を有する。各画素621は、ゲートドライバ609及びソースドライバ608から供給される信号により駆動される。ここでは、画素数が7680×4320である、8K4K規格に応じた解像度を有する表示パネルの例を示している。なお、表示パネル620の解像度はこれに限られず、フルハイビジョン(画素数1920×1080)または4K2K(画素数3840×2160)等の規格に応じた解像度であってもよい。
図24(A)に示す制御部601や画像処理回路604としては、例えばプロセッサを有する構成とすることができる。例えば、制御部601は、中央演算装置(CPU:Central Processing Unit)として機能するプロセッサを用いることができる。また、画像処理回路604として、例えばDSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等の他のプロセッサを用いることができる。また制御部601や画像処理回路604に、前述プロセッサをFPGA(Field Programmable Gate Array)やFPAA(Field Programmable Analog Array)といったPLD(Programmable Logic Device)によって実現した構成としてもよい。
プロセッサは、種々のプログラムからの命令を解釈し実行することで、各種のデータ処理やプログラム制御を行う。プロセッサにより実行しうるプログラムは、プロセッサが有するメモリ領域に格納されていてもよいし、別途設けられる記憶装置に格納されていてもよい。
また、制御部601、記憶部602、通信制御部603、画像処理回路604、デコーダ回路605、及び映像信号受信部606、及びタイミングコントローラ607のそれぞれが有する機能のうち、2つ以上の機能を1つのICチップに集約させ、システムLSIを構成してもよい。例えば、プロセッサ、デコーダ回路、チューナ回路、A−D変換回路、DRAM、及びSRAM等を有するシステムLSIとしてもよい。
なお、制御部601や、他のコンポーネントが有するIC等に、チャネル形成領域に酸化物半導体を用い、極めて低いオフ電流が実現されたトランジスタを利用することもできる。当該トランジスタは、オフ電流が極めて低いため、当該トランジスタを記憶素子として機能する容量素子に流入した電荷(データ)を保持するためのスイッチとして用いることで、データの保持期間を長期にわたり確保することができる。この特性を制御部601等のレジスタやキャッシュメモリに用いることで、必要なときだけ制御部601を動作させ、他の場合には直前の処理の情報を当該記憶素子に待避させることにより、ノーマリーオフコンピューティングが可能となる。これにより、テレビジョン装置600の低消費電力化を図ることができる。
なお、図24(A)で例示するテレビジョン装置600の構成は一例であり、全ての構成要素を含む必要はない。テレビジョン装置600は、図24(A)に示す構成要素のうち必要な構成要素を有していればよい。また、テレビジョン装置600は、図24(A)に示す構成要素以外の構成要素を有していてもよい。
例えば、テレビジョン装置600は、図24(A)に示す構成のほか、外部インターフェース、音声出力部、タッチパネルユニット、センサユニット、カメラユニットなどを有していてもよい。例えば外部インターフェースとしては、例えばUSB(Universal Serial Bus)端子、LAN(Local Area Network)接続用端子、電源受給用端子、音声出力用端子、音声入力用端子、映像出力用端子、映像入力用端子などの外部接続端子、赤外線、可視光、紫外線などを用いた光通信用の送受信機、筐体に設けられた物理ボタンなどがある。また、例えば音声入出力部としては、サウンドコントローラ、マイクロフォン、スピーカなどがある。
以下では、画像処理回路604についてより詳細な説明を行う。
画像処理回路604は、デコーダ回路605から入力される映像信号に基づいて、画像処理を実行する機能を有することが好ましい。
画像処理としては、例えばノイズ除去処理、階調変換処理、色調補正処理、輝度補正処理などが挙げられる。色調補正処理や輝度調整処理としては、例えばガンマ補正などがある。
また、画像処理回路604は、解像度のアップコンバートに伴う画素間補間処理や、フレーム周波数のアップコンバートに伴うフレーム間補間などの処理を実行する機能を有していることが好ましい。
例えば、ノイズ除去処理としては、文字などの輪郭の周辺に生じるモスキートノイズ、高速の動画で生じるブロックノイズ、ちらつきを生じるランダムノイズ、解像度のアップコンバートにより生じるドットノイズなどのさまざまなノイズを除去する。
階調変換処理は、画像の階調を表示パネル620の出力特性に対応した階調へ変換する処理である。例えば階調数を大きくする場合、小さい階調数で入力された画像に対して、各画素に対応する階調値を補間して割り当てることで、ヒストグラムを平滑化する処理を行うことができる。また、ダイナミックレンジを広げる、ハイダイナミックレンジ(HDR)処理も、階調変換処理に含まれる。
また、画素間補間処理は、解像度をアップコンバートした際に、本来存在しないデータを補間する。例えば、目的の画素の周囲の画素を参照し、それらの中間色を表示するようにデータを補間する。
また、色調補正処理は、画像の色調を補正する処理である。また輝度補正処理は、画像の明るさ(輝度コントラスト)を補正する処理である。例えば、テレビジョン装置600が設けられる空間の照明の種類や輝度、または色純度などを検知し、それに応じて表示パネル620に表示する画像の輝度や色調が最適となるように補正する。または、表示する画像と、あらかじめ保存してある画像リスト内の様々な場面の画像と、を照合し、最も近い場面の画像に適した輝度や色調に表示する画像を補正する機能を有していてもよい。
フレーム間補間は、表示する映像のフレーム周波数を増大させる場合に、本来存在しないフレーム(補間フレーム)の画像を生成する。例えば、ある2枚の画像の差分から2枚の画像の間に挿入する補間フレームの画像を生成する。または2枚の画像の間に複数枚の補間フレームの画像を生成することもできる。例えばデコーダ回路605から入力される映像信号のフレーム周波数が60Hzであったとき、複数枚の補間フレームを生成することで、タイミングコントローラ607に出力する映像信号のフレーム周波数を、2倍の120Hz、または4倍の240Hz、または8倍の480Hzなどに増大させることができる。
また、画像処理回路604は、ニューラルネットワークを利用して、画像処理を実行する機能を有していることが好ましい。図24(A)では、画像処理回路604がニューラルネットワーク610を有している例を示している。
例えば、ニューラルネットワーク610により、例えば映像に含まれる画像データから特徴抽出を行うことができる。また画像処理回路604は、抽出された特徴に応じて最適な補正方法を選択することや、または補正に用いるパラメータを選択することができる。
または、ニューラルネットワーク610自体に画像処理を行う機能を持たせてもよい。すなわち、画像処理を施す前の画像データをニューラルネットワーク610に入力することで、画像処理が施された画像データを出力させる構成としてもよい。
また、ニューラルネットワーク610に用いる重み係数のデータは、データテーブルとして記憶部602に格納される。当該重み係数を含むデータテーブルは、例えば通信制御部603により、コンピュータネットワークを介して最新のものに更新することができる。または、画像処理回路604が学習機能を有し、重み係数を含むデータテーブルを更新可能な構成としてもよい。
図24(B)に、画像処理回路604が有するニューラルネットワーク610の概略図を示す。
なお、本明細書等においてニューラルネットワークとは、生物の神経回路網を模し、学習によってニューロンどうしの結合強度を決定し、問題解決能力を持たせるモデル全般を指す。ニューラルネットワークは入力層、中間層(隠れ層ともいう)、出力層を有する。ニューラルネットワークのうち、2層以上の中間層を有するものをディープラーニング(またはディープニューラルネットワーク(DNN))という。
また、本明細書等において、ニューラルネットワークについて述べる際に、既にある情報からニューロンとニューロンの結合強度(重み係数とも言う)を決定することを「学習」と呼ぶ場合がある。また、本明細書等において、学習によって得られた結合強度を用いてニューラルネットワークを構成し、そこから新たな結論を導くことを「推論」と呼ぶ場合がある。
ニューラルネットワーク610は、入力層611、1つ以上の中間層612、及び出力層613を有する。入力層611には入力データが入力される。出力層613からは出力データが出力される。
入力層611、中間層612、及び出力層613には、それぞれニューロン615を有する。ここでニューロン615は、積和演算を実現しうる回路素子(積和演算素子)を指す。図24(B)では、2つの層が有する2つのニューロン615間におけるデータの入出力方向を矢印で示している。
それぞれの層における演算処理は、前層が有するニューロン615の出力と重み係数との積和演算により実行される。例えば、入力層611の第i番目のニューロンの出力をxiとし、出力xiと次の中間層612の第jニューロンとの結合強度(重み係数)をwjiとすると、当該中間層の第jニューロンの出力はyj=f(Σwji・xi)である。なお、i、jは1以上の整数とする。ここで、f(x)は活性化関数でシグモイド関数、閾値関数などを用いることができる。以下同様に、各層のニューロン615の出力は、前段層のニューロン615の出力と重み係数の積和演算結果に活性化関数を演算した値となる。また、層と層との結合は、全てのニューロン同士が結合する全結合としてもよいし、一部のニューロン同士が結合する部分結合としてもよい。
図24(B)では、3つの中間層612を有する例を示している。なお、中間層612の数はこれに限られず、1つ以上の中間層を有していればよい。また、1つの中間層612が有するニューロンの数も、仕様に応じて適宜変更すればよい。例えば1つの中間層612が有するニューロン615の数は、入力層611または出力層613が有するニューロン615の数よりも多くてもよいし、少なくてもよい。
ニューロン615同士の結合強度の指標となる重み係数は、学習によって決定される。学習は、テレビジョン装置600が有するプロセッサにより実行してもよいが、専用サーバーやクラウドなどの演算処理能力の優れた計算機で実行することが好ましい。学習により決定された重み係数は、テーブルとして前述記憶部602に格納され、画像処理回路604により読み出されることにより使用される。また、当該テーブルは、必要に応じてコンピュータネットワークを介して更新することができる。
以上がニューラルネットワークについての説明である。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
本実施例では、本発明の一態様である絶縁層について評価を行った。本実施例においては、試料A1、試料A2及び試料A3を作製した。試料A1及び試料A2は本発明の一態様の絶縁層であり、実施の形態で示した絶縁層106及び領域106aに相当する。試料A3は比較用の絶縁層である。
<試料A1、試料A2、試料A3>
まず、本実施例で作製した各試料について、説明する。
試料A1、試料A2及び試料A3は、それぞれガラス基板上に厚さ400nmの窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。窒化シリコン膜の成膜条件としては、基板温度を350℃とし、流量200sccmのシランガスと、流量2000sccmの窒素ガスと、流量100sccmのアンモニアガスをチャンバー内に導入し、圧力を100Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に2000WのRF電力を供給して、厚さ50nmの窒化シリコン膜を成膜し、次に、アンモニアガスの流量を2000sccmに変更して、厚さ300nmの窒化シリコン膜を成膜し、次に、アンモニアガスの流量を100sccmに変更して、厚さ50nmの窒化シリコン膜を成膜した。
次に、酸素を含む雰囲気でプラズマ処理を行った。試料A1に行うプラズマ処理の条件は、温度350℃、圧力40Pa、電源電力3000W、酸素流量3000sccm、処理時間300秒とした。試料A2に行うプラズマ処理の条件は、温度350℃、圧力40Pa、電源電力3000W、一酸化二窒素流量3000sccm、処理時間300秒とした。試料A3はプラズマ処理を行わなかった。なお、試料A1及び試料A2は、それぞれ窒化シリコン膜の成膜後、真空中で連続してプラズマ処理を行った。
前述の各試料に用いたガラス基板は、600mm×720mmサイズとした。
<X線光電子分光法>
次に、試料A1、試料A2及び試料A3のX線光電子分光法(XPS)を行った。
XPS測定で得られたSi2p、O1s及びN1sのスペクトルを図25に示す。図25は、横軸に結合エネルギー(Binding Energy)[eV]を示し、縦軸に光電子の強度(Intensity)(任意単位)を示す。
XPS測定は、ULVAC−PHI社製のQuantera SXMを用いた。X線源には単色化したAl Kα線(1486.6eV)を用いた。検出領域は100μmφとした。取出角は45°とした。検出深さは約4nmから5nm程度と考えられる。
図25に示すように、試料A3と比較して、試料A1及び試料A2はSi−N結合に由来するピークが小さく、Si−O結合に由来するピークが大きくなっていることが分かった。したがって、試料A1及び試料A2は、前述のプラズマ処理により窒化シリコン膜表面近傍が酸化され、窒化シリコンよりも酸素を多く有する領域が形成されたことが分かった。
<TEM観察>
次に、試料A1乃至試料A3を集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)により薄片化し、試料の断面をTEMで観察した。TEM観察には、日立ハイテクノロジーズ社製透過電子顕微鏡H−9500を用い、加速電圧は300kVとした。
試料A1の断面TEM像を図26(A)、試料A2を図26(B)、試料A3を図26(C)に示す。図26(A)乃至図26(C)は倍率200万倍の透過電子像(TE像:Transmission Electron Image)である。
図26(A)及び図26(B)に示すように、試料A1及び試料A2の表面近傍にTEM像の濃度(輝度)が異なる領域を確認できた。前述のXPS測定結果を鑑みると、試料A1及び試料A2は窒化シリコンの表面が酸化され、窒化シリコンよりも酸素を多く有する領域(以下、酸化領域と記す)が形成されたと考えられる。なお、試料A3の表面近傍にTEM像の濃度(輝度)が異なる層は確認できなかった。
試料A1及び試料A2の酸化領域の厚さを測長した。試料A1の測長箇所を図27(A)、試料A2を図27(B)に示す。図27(A)及び図27(B)において、矢印は測長した箇所を示している。試料A1及び試料A2とも、それぞれ3か所を測長した。測長結果を表1に示す。表1において、「酸化領域」と記載している列は、測長箇所毎の値を示している。「average」と記載している列は、試料毎の平均値を示している。試料A1、試料A2とも酸化領域の厚さは6nm程度であることが分かった。
なお、本実施例に示す構成は、他の実施の形態または他の実施例に記載の構成と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例では、本発明の一態様である金属酸化物膜の結晶性について評価を行った。なお、本実施例においては、試料B1乃至試料B29と、試料C1乃至試料C25と、を作製した。なお、試料B1乃至試料B29、及び試料C1乃至試料C25は、本発明の一態様の金属酸化物膜である。
<試料B1乃至試料B29、試料C1乃至試料C25>
まず、本実施例で作製した各試料について、説明する。
試料B1乃至試料B29は、ガラス基板上に膜厚100nmの金属酸化物膜が形成された構造である。金属酸化物膜が形成にはスパッタリング装置を用い、スパッタリングターゲットとしてIn−Ga−Zn酸化物(In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比])を用いた。スパッタリング処理は、圧力を0.6Paに制御し、2500WのAC電力を投入して成膜した。試料B1乃至試料B29は、それぞれ成膜時の基板温度(Tsub.)、Ar流量及びO2流量が異なっている。成膜条件の主な項目を表2に示す。
試料C1乃至試料C25は、ガラス基板上に膜厚100nmの金属酸化物膜が形成された構造である。金属酸化物膜が形成にはスパッタリング装置を用い、スパッタリングターゲットとしてIn−Ga−Zn酸化物(In:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比])を用いた。スパッタリング処理は、圧力を0.6Paに制御し、2500WのAC電力を投入して成膜した。試料C1乃至試料C25は、それぞれ成膜時の基板温度(Tsub.)、Ar流量およびO2流量が異なっている。成膜条件の主な項目を表3に示す。
表2及び表3において、基板温度(Tsub.)で室温(R.T.)と記している箇所は、成膜時に基板を加熱しなかったことを示している。また、酸素流量比と記している列は、ガス総流量(Ar流量及びO2流量の総和)に対するO2流量の比率を示している。
なお、試料B1乃至試料B29、試料C1乃至試料C25は、それぞれ平行平板型スパッタリング装置を用いて形成した。また、上述の各試料の成膜時にターゲットに印加する電源としては、AC電源を用いた。また、上述の各試料に用いたガラス基板は、600mm×720mmサイズとした。
<XRD測定による結晶性評価>
次に、試料B1乃至試料B29と、試料C1乃至試料C25のX線回折(XRD)測定を行った。XRDを行ったガラス基板の座標を図28に示す。図28は、600mm×720mmサイズのガラス基板のXRDを行った場所を表す座標である。XRDを行った座標としては、図28に白抜き丸印で示すB、E、Hに対応する位置とした。
試料B1乃至試料B17のXRDスペクトルを図29、試料B18乃至試料B29を図30に示す。試料C1乃至試料C15のXRDスペクトルを図31、試料C16乃至試料C25を図32に示す。
図29乃至図32は、out−of−plane法の一種であるθ−2θスキャン法によるスペクトルであり、横軸に回折角度2θ[deg.]を示し、縦軸に回折X線強度(任意単位)を示す。θ−2θスキャン法は、X線の入射角を変化させるとともに、X線源に対向して設けられる検出器の角度を入射角と同じにしてX線回折強度を測定する方法である。θ−2θスキャン法は、粉末法と呼ばれる場合がある。
XRD測定にはBruker AXS社製X線回折装置D8 ADVANCEを用いた。X線源として波長0.15418nmのCuKα線を用い、走査範囲を2θ=15deg.乃至50deg.、ステップ幅を0.01deg.、走査速度を6.0deg./分とした。
図29及び図30に示すように、試料B2乃至試料B29は、CAAC−OSを示す2θ=31°近傍にピークを確認できた。試料B2乃至試料B29は、良好な結晶性を有することが分かった。試料B1は、2θ=31°近傍に明確なピークを確認できなかった。試料B1は、試料B2乃至試料B29と比較して結晶性が低いことが分かった。
また、図29及び図30に示すように、成膜時の基板温度を高くする、または、成膜時の酸素ガス流量比の割合を大きくすることで、2θ=31°付近のピーク強度が高くなる傾向となった。なお、試料B1乃至試料B29は、スピネル相に起因すると示唆される2θ=36°近傍にピークは確認できなかった。
図31及び図32に示すように、試料C3乃至試料C5、試料C7乃至試料C10、試料C12乃至試料C25は、CAAC−OSを示す2θ=31°近傍にピークを確認できた。試料C3乃至試料C5、試料C7乃至試料C10、試料C12乃至試料C25は、良好な結晶性を有することが分かった。また、試料C2及び試料C11は、CAAC−OSを示す2θ=31°近傍に微小なピークを確認できた。試料C2及び試料C11も結晶性を有することが分かった。試料C1及び試料C6は、2θ=31°近傍に明確なピークを確認できなかった。試料C1及び試料C6は、試料C2乃至試料C5、試料C7乃至試料C25と比較して結晶性が低いことが分かった。
また、図31及び図32に示すように、成膜時の基板温度を高くする、または、成膜時の酸素ガス流量比の割合を大きくすることで、2θ=31°付近のピーク強度が高くなる傾向となった。なお、試料C3乃至試料C5、試料C8乃至試料C10、試料C12乃至試料C15、試料C17乃至試料C20、試料C22乃至試料C25は、スピネル相に起因すると示唆される2θ=36°近傍にピークが確認された。
なお、本実施例に示す構成は、他の実施の形態または他の実施例に記載の構成と適宜組み合わせて用いることができる。
本実施例においては、トランジスタを作製し、該トランジスタの電気特性の評価を行った。本実施例においては、以下に示す試料D1乃至試料D4を作製し評価を行った。試料D1乃至試料D4は、それぞれ金属酸化物層108の構成が異なる。また、試料D1乃至試料D4は、トランジスタのチャネル幅Wを50μmとし、チャネル長Lを2μm及び3μmとした。試料D1乃至試料D4は、各チャネル長Lのトランジスタがそれぞれ10個ずつ形成されている。
<試料D1の作製方法>
まず、基板102上に導電層104を形成した。基板102としては、ガラス基板を用いた。また、厚さ100nmのタングステン膜を、スパッタリング装置を用いて成膜し、これを加工して導電層104を形成した。
次に、基板102及び導電層104上に絶縁層106を形成した。絶縁層106としては、厚さ400nmの窒化シリコン膜と、該窒化シリコン上に厚さ5nmの酸化窒化シリコン膜とを、PECVD装置を用いて形成した。
絶縁層106の成膜条件としては、基板温度を350℃とし、流量200sccmのシランガスと、流量2000sccmの窒素ガスと、流量100sccmのアンモニアガスをチャンバー内に導入し、圧力を100Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に2000WのRF電力を供給して、厚さ50nmの窒化シリコン膜を成膜し、次に、アンモニアガスの流量を2000sccmに変更して、厚さ300nmの窒化シリコン膜を成膜し、次に、アンモニアガスの流量を100sccmに変更して、厚さ50nmの窒化シリコン膜を成膜した。窒化シリコン膜を成膜した後に、PECVD装置のチャンバー内で連続して酸化窒化シリコン膜を形成した。該酸化窒化シリコン膜の成膜条件としては、基板温度を350℃とし、流量20sccmのシランガスと、流量3000sccmの一酸化二窒素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を40Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に500WのRF電力を供給して成膜した。
次に、絶縁層106上に金属酸化物層108を形成した。なお、試料D1の金属酸化物層108としては、第1の金属酸化物層IGZOa1と、第1の金属酸化物層IGZOa1上の第2の金属酸化物層IGZOb1と、の積層構造とした。第1の金属酸化物層IGZOa1及び第2の金属酸化物層IGZOb1は、スパッタリング装置を用いて、真空中で連続して形成した。当該積層された金属酸化物層を加工して金属酸化物層108を得た。
IGZOa1としては、厚さ20nmのIn−Ga−Zn酸化物膜を形成した。なお、IGZOa1の成膜条件としては、基板温度を室温とし、流量180sccmのアルゴンガスと、流量20sccmの酸素ガス(酸素流量比10%)をチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、多結晶の金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比])に2500WのAC電力を投入して成膜した。
IGZOb1としては、厚さ30nmのIGZO膜を形成した。なお、IGZOb1の成膜条件としては、基板温度を室温とし、流量100sccmのアルゴンガスと、流量100sccmの酸素ガス(酸素流量比50%)をチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、多結晶の金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比])に2500WのAC電力を投入して成膜した。
次に、窒素雰囲気下、350℃で1時間の加熱処理を行った後、窒素と酸素との混合ガス雰囲気下で、350℃で1時間の加熱処理を行った。
次に、絶縁層106及び金属酸化物層108上に導電膜を形成し、当該導電膜を加工することで、導電層112a、導電層112bを形成した。ここでは、導電膜としては、厚さ30nmの第1のチタン膜と、厚さ200nmの銅膜とを順にスパッタリング装置を用いて形成した。次に、フォトリソグラフィ法により銅膜をエッチングした後、厚さ100nmの第2のチタン膜を、スパッタリング装置を用いて形成した。次に、フォトリソグラフィ法により、第1のチタン膜及び第2のチタン膜をエッチングし、導電層112a、導電層112bを形成した。
次に、露出した金属酸化物層108の表面(バックチャネル側)を、リン酸を用いて洗浄した。リン酸洗浄には、濃度85weight%のリン酸を100分の1に希釈した水溶液を用い、室温で15秒間処理を行った。
次に、酸素ガスを含む雰囲気で第1のプラズマ処理を行った。第1のプラズマ処理にはPECVD装置を用いた。第1のプラズマ処理の条件は、温度350℃、圧力40Pa、電源電力3000W、酸素流量3000sccm(酸素流量比100%)、処理時間300秒とした。
次に、絶縁層106、金属酸化物層108、導電層112a及び導電層112b上に絶縁層114を形成した。絶縁層114としては、厚さ50nmの酸化窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。
絶縁層114の成膜条件としては、基板温度を350℃とし、流量100sccmのシランガスと、流量2500sccmの一酸化二窒素ガスをチャンバー内に導入し、圧力を400Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に500WのRF電力を供給して成膜した。
絶縁層114を形成した後に、PECVD装置のチャンバー内で連続して第2のプラズマ処理を行った。第2のプラズマ処理の条件は、温度350℃、圧力40Pa、電源電力3000W、酸素流量3000sccm(酸素流量比100%)、処理時間600秒とした。
次に、酸素ガスを含む雰囲気で第3のプラズマ処理を行った。第3のプラズマ処理にはPECVD装置を用いた。第3のプラズマ処理の条件は、温度220℃、圧力40Pa、電源電力3000W、酸素流量3000sccm(酸素流量比100%)、処理時間600秒とした。
次に、絶縁層114上に絶縁層116を形成した。絶縁層116としては、厚さ100nmの窒化シリコン膜を、PECVD装置を用いて形成した。
また、絶縁層116の成膜条件としては、基板温度を350℃とし、流量50sccmのシランガスと、流量5000sccmの窒素ガスと、流量100sccmのアンモニアガスとをチャンバー内に導入し、圧力を100Paとし、PECVD装置内に設置された平行平板の電極間に1000WのRF電力を供給して成膜した。
その後、絶縁層116上に、厚さ約1.5μmのアクリル樹脂膜を成膜し、これを加工して平坦化膜を得た。アクリル樹脂膜は、アクリル系の感光性樹脂を用い、窒素雰囲気下、250℃で1時間の焼成を行うことにより形成した。その後、さらに、窒素雰囲気下、250℃で1時間の加熱処理を行った。
以上の工程で本実施例の試料D1を作製した。
<試料D2の作製方法>
試料D2は、先に示す試料D1と金属酸化物層108の成膜条件が異なる。それ以外の工程については、試料D1と同様とした。
試料D2の金属酸化物層108としては、第3の金属酸化物層IGZOc2と、第3の金属酸化物層IGZOc2上の第1の金属酸化物層IGZOa2と、第1の金属酸化物層IGZOa2上の第2の金属酸化物層IGZOb2と、の積層構造とした。第3の金属酸化物層IGZOc2、第1の金属酸化物層IGZOa2及び第2の金属酸化物層IGZOb2は、スパッタリング装置を用いて、真空中で連続して形成した。当該積層された金属酸化物層を加工して金属酸化物層108を得た。
IGZOc2としては、厚さ5nmのIGZO膜を形成した。なお、IGZOc2の成膜条件としては、基板温度を室温とし、流量100sccmのアルゴンガスと、流量100sccmの酸素ガス(酸素流量比50%)をチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、多結晶の金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比])に2500WのAC電力を投入して成膜した。
IGZOa2としては、厚さ20nmのIn−Ga−Zn酸化物膜を形成した。なお、IGZOa2の成膜条件としては、基板温度を室温とし、流量180sccmのアルゴンガスと、流量20sccmの酸素ガス(酸素流量比10%)をチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、多結晶の金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比])に2500WのAC電力を投入して成膜した。
IGZOb2としては、厚さ30nmのIGZO膜を形成した。なお、IGZOb2の成膜条件としては、基板温度を室温とし、流量100sccmのアルゴンガスと、流量100sccmの酸素ガス(酸素流量比50%)をチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、多結晶の金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比])に2500WのAC電力を投入して成膜した。
以上の工程で本実施例の試料D2を作製した。
<試料D3の作製方法>
試料D3は、先に示す試料D1と金属酸化物層108の成膜条件が異なる。それ以外の工程については、試料D1と同様とした。
試料D3の金属酸化物層108としては、第1の金属酸化物層IGZOa3と、第1の金属酸化物層IGZOa3上の第2の金属酸化物層IGZOb3と、の積層構造とした。第1の金属酸化物層IGZOa3及び第2の金属酸化物層IGZOb3は、スパッタリング装置を用いて、真空中で連続して形成した。当該積層された金属酸化物層を加工して金属酸化物層108を得た。
IGZOa3としては、厚さ20nmのIn−Ga−Zn酸化物膜を形成した。なお、IGZOa3の成膜条件としては、基板温度を70℃とし、流量180sccmのアルゴンガスと、流量20sccmの酸素ガス(酸素流量比10%)をチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、多結晶の金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比])に2500WのAC電力を投入して成膜した。
IGZOb3としては、厚さ30nmのIGZO膜を形成した。なお、IGZOb3の成膜条件としては、基板温度を70℃とし、流量100sccmのアルゴンガスと、流量100sccmの酸素ガス(酸素流量比50%)をチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、多結晶の金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比])に2500WのAC電力を投入して成膜した。
以上の工程で本実施例の試料D3を作製した。
<試料D4の作製方法>
試料D4は、先に示す試料D1と金属酸化物層108の成膜条件が異なる。それ以外の工程については、試料D1と同様とした。
試料D4の金属酸化物層108としては、第3の金属酸化物層IGZOc4と、第3の金属酸化物層IGZOc4上の第1の金属酸化物層IGZOa4と、第1の金属酸化物層IGZOa4上の第2の金属酸化物層IGZOb4と、の積層構造とした。第3の金属酸化物層IGZOc4、第1の金属酸化物層IGZOa4及び第2の金属酸化物層IGZOb4は、スパッタリング装置を用いて、真空中で連続して形成した。当該積層された金属酸化物層を加工して金属酸化物層108を得た。
IGZOc4としては、厚さ5nmのIGZO膜を形成した。なお、IGZOc4の成膜条件としては、基板温度を70℃とし、流量100sccmのアルゴンガスと、流量100sccmの酸素ガス(酸素流量比50%)をチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、多結晶の金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比])に2500WのAC電力を投入して成膜した。
IGZOa4としては、厚さ20nmのIn−Ga−Zn酸化物膜を形成した。なお、IGZOa4の成膜条件としては、基板温度を70℃とし、流量180sccmのアルゴンガスと、流量20sccmの酸素ガス(酸素流量比10%)をチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、多結晶の金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比])に2500WのAC電力を投入して成膜した。
IGZOb4としては、厚さ30nmのIGZO膜を形成した。なお、IGZOb4の成膜条件としては、基板温度を70℃とし、流量100sccmのアルゴンガスと、流量100sccmの酸素ガス(酸素流量比50%)をチャンバー内に導入し、圧力を0.6Paとし、多結晶の金属酸化物スパッタリングターゲット(In:Ga:Zn=1:1:1.2[原子数比])に2500WのAC電力を投入して成膜した。
以上の工程で本実施例の試料D4を作製した。
<トランジスタの電気特性>
次に、上記作製した試料について、トランジスタのId−Vg特性を測定した。なお、トランジスタのId−Vg特性の測定条件としては、ゲート電圧(Vg)を、−15Vから+20Vまで0.25Vのステップで印加した。また、ソース電圧(Vs)を0Vとし、ドレイン電圧(Vd)を、0.1V及び15Vとした。また、測定数は、各試料それぞれ10とした。
次に、上記作製した試料D1乃至試料D4のId−Vg特性を測定した。試料D1のId−Vg特性結果を図33(A)及び図33(B)、試料D2を図34(A)及び図34(B)、試料D3を図35(A)及び図35(B)、試料D4を図36(A)及び図36(B)に示す。図33(A)、図34(A)、図35(A)及び図36(A)は、チャネル長Lが2μm、チャネル幅Wが50μmであるトランジスタの結果を示し、図33(B)、図34(B)、図35(B)及び図36(B)は、チャネル長Lが3μm、チャネル幅Wが50μmであるトランジスタの結果を示している。また、図33(A)、図33(B)、図34(A)、図34(B)、図35(A)、図35(B)、図36(A)及び図36(B)において、第1縦軸がId[A]を、第2縦軸がμFE[cm2/Vs]を、横軸がVg[V]を、それぞれ示す。
図33(A)、図33(B)、図34(A)、図34(B)、図35(A)、図35(B)、図36(A)及び図36(B)に示すように、試料D1乃至試料D4のいずれもチャネル長L=3μmにおいて、ばらつきの少ない良好な電気特性であることが確認された。また、試料D2及び試料D4はチャネル長L=2μmにおいても、ばらつきの少ない良好な電気特性であることが確認された。
次に、上記作製した試料D1乃至試料D4の信頼性評価を行った。信頼性評価としては、バイアス−熱ストレス試験(以下、GBT試験と呼ぶ。)を用いた。
本実施例でのGBT試験条件としては、ゲート電圧(Vg)を±30V、とし、ドレイン電圧(Vd)とソース電圧(Vs)を0V(comm)とし、ストレス温度を70℃とし、ストレス印加時間を1時間とし、測定環境をダーク環境及び光照射環境(白色LEDにて約10000lxの光を照射)の2つの環境で、それぞれ行った。すなわち、トランジスタのソース電極とドレイン電極を同電位とし、ゲート電極にはソース電極及びドレイン電極とは異なる電位を一定時間(ここでは1時間)印加した。GBT試験に用いたトランジスタは、チャネル長Lが3μm、チャネル幅Wが50μmである。
また、ゲート電極に与える電位がソース電極及びドレイン電極の電位よりも高い場合をプラスストレスとし、ゲート電極に与える電位がソース電極及びドレイン電極の電位よりも低い場合をマイナスストレスとした。したがって、測定環境と合わせて、プラスGBT(ダーク)、マイナスGBT(ダーク)、プラスGBT(光照射)、及びマイナスGBT(光照射)の合計4条件にて信頼性評価を実施した。なお、プラスGBT(ダーク)をPBTS(Positive Bias Temperature Stress)とし、マイナスGBT(ダーク)を、NBTS(Negative Bias Temperature Stress)とし、プラスGBT(光照射)をPBITS(Positive Bias Illumination Temperature Stress)とし、マイナスGBT(光照射)をNBITS(Negative Bias Illumination Temperature Stress)として、以下記載する場合がある。
試料D1乃至試料D4のGBT試験結果を図37に示す。また、図37において、縦軸にトランジスタのしきい値電圧の変化量(ΔVth)、横軸に試料名を示す。
図37に示すように、試料D1乃至試料D4のいずれもGBT試験におけるしきい値電圧の変化量(ΔVth)が、±2V以内であった。したがって、本発明の一態様の金属酸化物膜を有するトランジスタは、高い信頼性を有することが確認された。
なお、本実施例に示す構成は、他の実施の形態、または実施例と適宜組み合わせて用いることができる。