[go: up one dir, main page]

JP2018145114A - 血管内皮障害の予防及び/又は治療剤 - Google Patents

血管内皮障害の予防及び/又は治療剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2018145114A
JP2018145114A JP2017039282A JP2017039282A JP2018145114A JP 2018145114 A JP2018145114 A JP 2018145114A JP 2017039282 A JP2017039282 A JP 2017039282A JP 2017039282 A JP2017039282 A JP 2017039282A JP 2018145114 A JP2018145114 A JP 2018145114A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
culture supernatant
stem cells
value
vascular endothelial
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017039282A
Other languages
English (en)
Inventor
祥嗣 古賀
Yoshitsugu Koga
祥嗣 古賀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hathor Co Ltd
Original Assignee
Hathor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hathor Co Ltd filed Critical Hathor Co Ltd
Priority to JP2017039282A priority Critical patent/JP2018145114A/ja
Publication of JP2018145114A publication Critical patent/JP2018145114A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

【課題】幹細胞培養上清を利用した新規で効果の高い血管内皮障害の予防剤及び/又は血管内皮の再生剤を提供すること。
【解決手段】幹細胞培養上清を含有することを特徴とする血管内皮障害の予防及び/又は治療剤。
【選択図】図3

Description

本発明は、血管内皮障害の予防及び/又は治療剤に関し、特に、幹細胞培養上清を用いた血管内皮障害の予防及び/又は治療剤に関する。
近年の様々な臨床所見から、血管内皮の機能障害が、動脈硬化症、プラークの蓄積、そして動脈閉塞とそれが引き起こす心臓発作等、種々の病状を引き起こす原因となることがわかってきた。血管内皮の機能障害とは、血管内皮そのものに引き起こされる病気であり、損傷した血管内皮細胞への炎症反応が引金となって引き起こされると考えられている。
しかしながら、従来の治療法、例えば、血管内に蓄積されたプラークの破裂による損傷を修復する治療法(ステント、薬、血管形成術、冠動脈バイパス手術)では、完全治癒が難しく、しかも一時的なものであるため、損傷した血管内皮細胞を完全に治療することができないという問題があるたけでなく、他の部位に蓄積したプラーク破裂の発症を遅らせる原因となっている。このように、近年の臨床所見から、血管内皮の機能障害が種々の病状を引き起こす原因となっていることや、従来の治療法では問題があることがわかっており、血管内皮障害の新たな予防法や治療法が提案されるようになっている。
例えば、特許文献1には、サラシア・オブロンガ(Salacia oblonga)等のサラシア属植物の根、幹、枝、茎及び葉の各部位に含まれ、サラシア属植物の根、幹、枝、茎又は葉を天日乾燥等により乾燥し、その細断物を熱水抽出することで血管攣縮抑制剤を得、この血管攣縮抑制剤を静注することにより、くも膜下出血発症後の脳梗塞等の血管攣縮に起因する疾患を有効に治療することが開示されている。
特許文献1に提案される発明では、安定供給が可能である食用植物から抽出することができるため安全性が高く、血管の正常収縮作用を殆ど抑制することがなく、血管の異常収縮(血管攣縮)を抑制することができ、かつ、経口投与のみならず、即効性の注射薬として用いることができる水溶性の血管攣縮抑制剤を提供することができるとしている。
また、特許文献2には、Xaa Pro Proとして、Ile Pro Pro及び/又はVal Pro Proを必須に含む、獣乳カゼインの加水分解物又はその濃縮物を有効成分として含有し、血管内皮の収縮・拡張機能改善及び血管内膜の肥厚抑制の少なくとも一方の作用を有する剤が開示されている。
特許文献2に係る発明では、血管内皮に係る機能を改善でき、血管内皮機能に係る各種疾病の予防や、血管内膜の肥厚抑制作用を有し、動脈硬化予防等の作用が期待できる、安全性に優れた血管内皮機能改善及び血管内膜の肥厚抑制の少なくとも一方の作用を有する剤、並びに動脈硬化予防剤を提供することができるとしている。
特開2016−56138号公報 特許第5642346号公報
以上のように、近年の臨床所見から、血管内皮の機能障害が種々の病状を引き起こす原因となっていることがわかってきており、新規で効果の高い血管内皮障害の予防及び/又は治療剤の開発及び提供が望まれている。
本願発明は、上記課題に鑑み、幹細胞培養上清を含有する新規で効果の高い血管内皮障害の予防及び/又は治療剤を提供することを目的とする。
本願第1発明の血管内皮障害の予防及び/又は治療剤は、幹細胞培養上清を含有することを特徴とする。
本願第2発明の血管内皮障害の予防及び/又は治療剤は、本願第1発明において、注射剤であることを特徴とする。
本願第3発明の血管内皮障害の予防及び/又は治療剤は、本願第1発明又は本願第2発明において、前記幹細胞が乳歯歯髄由来の幹細胞であることを特徴とする。
本願第1発明〜本願第3発明によれば、幹細胞培養上清に含まれるサイトカインやケモカイン、エクソソームタンパク等により、血管の内皮細胞が再生されるので、新規で効果の高い血管内皮障害の予防及び/又は治療剤を提供することができる。
特に、本願第2発明によれば、血管への注射により、血管内へ幹細胞培養上清を直接投与することができるので、血管の内皮細胞再生の効果をさらに高めることができる。
特に、本願第3発明によれば、乳歯歯髄由来の幹細胞であるため、他の幹細胞、例えば、骨髄や脂肪由来の幹細胞を用いる場合のように、幹細胞採取に激しい生体侵襲を伴わない。また、他の幹細胞に比して、細胞の増殖能及び増殖スピードが高い。また、分化能もより高いと考えられることから、より高い治療効果を発揮し得ると考えられる。
血管壁(動脈及び静脈)の構造図。 血管内皮細胞の働きを示す図。 SHED-CMの作成を説明する図。
<SHED-CM>
胚性幹細胞(ES細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、及び体性幹細胞を初めとする種々の幹細胞を用いた再生医療が注目されている。体性幹細胞のうち、骨髄、脂肪組織、皮膚、臍帯、胎盤等の種々の組織から単離される間葉系幹細胞(MSC)が特に用いられているが、骨髄穿刺はドナーにとって侵襲性で有痛性の手技である。更に、骨髄幹細胞(BMSC)の数、増殖、及び分化能は年齢の進行と共に低下する等の短所がある。
このため、近年では、医療廃棄物であるヒト脱落乳歯歯髄幹細胞(stem cells from human exfoliated deciduous teeth; SHED)や智歯由来の永久歯歯髄幹細胞(dental pulp stem cells; DPSC)が自己複製能及び多分化能を有する新規な幹細胞集団として注目されている。これらの細胞は、神経系譜に近い性状を示す神経堤由来の細胞集団であり、神経細胞への分化誘導に高い反応性を示すことが知られており、従来のようにドナーに対して侵襲性や有痛性を有しない点で優れている。しかしながら、上記のような幹細胞を利用した細胞移植には免疫拒絶、がん化する危険性や保存性、培養法などの問題などがあり、本格的な治療の導入に向けて多くの課題が山積みになっている。
ところで、上記のような幹細胞を培養する際に生成される上澄み液(培養上清)には、数百種類以上のたんぱく質成分が含まれており、そこには、サイトカインやケモカイン、エクソソームタンパク等と呼ばれる細胞活性のカギとなる情報伝達物質が豊富に含まれており、例えば、Epidermal Growth Factor (EGF)、Fibroblast Growth Factor (FGF)、Platelet-Derived Growth Factor (PDGF)、Hepatocyto Growth Factor (HGF)、Trans Transforming growth factor(TGF)、vascular endothelial growth factor (VEGF)等の成長因子、エクソソーム等が含まれていることが知られている。
そして、このようなサイトカインやケモカイン、エクソソームタンパク等を含む培養上清は、損傷した組織の修復や、組織を保護する機能を持ち合わせ、最終的には自己の幹細胞とともに臓器を再生させることが様々な研究から実証されている。また、培養上清には、細胞自体は含まれないことから免疫拒絶反応を起こすこともない。このため、他人の幹細胞から作製した培養上清であっても使用することができ適用範囲が非常に高いという特徴がある。また、あらかじめ作製した培養上清を保存しておけば、必要な時にすぐに使用することができる等、利便性が非常に高い。このため、培養上清の利用は、まだまだ時間がかかると思われていた再生医療分野において、次世代の治療法として期待されている。
ここで、上記培養上清は、乳歯や永久歯の歯髄、骨髄、脂肪、臍帯などの幹細胞を利用して作られるが細胞の種類によって含まれる成分が異なる。その中でも、乳歯歯髄幹細胞から作られた培養上清(乳歯歯髄幹細胞培養上清(SHED-CM))には、特に多くのたんぱく質成分が含まれ、500種類以上のサイトカインやケモカイン、エクソソームタンパク等が含まれていることがわかっている。
なお、本態様において用語「幹細胞培養上清」とは、幹細胞を培養して得られる培養液であり、細胞成分(即ち細胞や幹細胞)を含まない。従って、例えば培養後に細胞成分を分離除去することによって、本発明に使用可能な培養上清を得ることができる。各種処理(例えば、遠心処理、濃縮、溶媒の置換、透析、凍結、乾燥、凍結乾燥、希釈、脱塩、保存等)を適宜施した培養上清を用いることにしてもよい。
また、歯髄幹細胞は、歯髄細胞の中の接着性細胞として選別可能である。従って、脱落した乳歯や永久歯から採取した歯髄細胞の中の接着性細胞又はその継代細胞を培養して得られる培養上清を「歯髄幹細胞の培養上清」として用いることができる。
「歯髄幹細胞の培養上清」は、歯髄幹細胞を培養して得られる、細胞成分を含まない培養液と定義される。本発明の血管内皮障害の予防及び/又は治療剤は「歯髄幹細胞の培養上清」を有効成分として含むものであるが、細胞(細胞の種類は問わない)を含まない。当該態様の血管内皮障害の予防及び/又は治療剤(組成物)は、該特徴によって、歯髄幹細胞自体は当然のこと、歯髄幹細胞を含む各種組成物と明確に区別される。尚、この態様の典型例は、歯髄幹細胞の培養上清のみで構成された組成物である。
本態様においては、好ましくは、乳歯歯髄幹細胞(SHED)を用いる。永久歯歯髄幹細胞(DPSC)に比べ、細胞の増殖能及び増殖スピードが高いからである。また、分化能もより高いと考えられることから、より高い治療効果を発揮し得ることもSHEDを用いる利点である。加えて、SHEDには、採取が簡単であるというメリットもある。
幹細胞培養上清は、血清を含まないことが好ましい。血清を含まないことでその安全性が高まるためである。例えば、血清を含まない培地(無血清培地)で歯髄幹細胞を培養することによって、血清を含まない培養上清を調製することができる。1回又は複数回の継代培養を行うことにし、最後又は最後から数回の継代培養を無血清培地で培養することによっても、血清を含まない培養上清を得ることができる。一方、回収した培養上清から、透析やカラムによる溶媒置換などを利用して血清を除去することによっても、血清を含まない培養上清を得ることができる。
<血管構造>
図1は、血管壁の構造図である。図1において、(a)が動脈の構成を示す図、1(b)が静脈の構成を示す図である。血管は、血液を身体の各所に送るための通路となる管であり、取り込んだ酸素や栄養分を体全体(の細胞)へ供給するのみならず、体(細胞)から排出される老廃物を運搬する役割を担う。血管は、動脈、静脈及び毛細血管の3種類からなり、図1に示すように、動脈及び静脈は、血液と直に接する内周面が血管内皮細胞で覆われた内膜、平滑筋と弾性線維からなる中膜及び外膜の3層構造を有している。また、毛細血管(不図示)は、内膜のみで構成される。
<血管内皮細胞>
従来、血管内皮細胞は、血液や血球に含まれる物質が直接平滑筋に接触して組織変化を起こすのを妨げたり、特定の化学物質が透過するのを遮ったりする単なる障壁の役割しか果たしていないと考えられていたため研究があまり行われていなかった。しかし、近年の研究において、血管内皮細胞が、血圧や血流などの変化に加え、さまざまな刺激物質に曝されたとき、それらに反応して強力な血管拡張物質あるいは血管収縮物質を産生・遊離することによって、血管の緊張性の調節、血管内血栓形成の防止、動脈硬化の予防にあたるなど、驚くべき多様な機能をもつことが明らかになっている。
図2は、血管内皮細胞の働き(機能)を示す図である。血管内皮細胞由来の主な拡張因子には、一酸化窒素(以下、NOと記載)、プロスタサイクリン、過分極因子等が存在する。L-アルギニンにNO合成酵素が作用するとNOが放出されて平滑筋内に入る。NOは平滑筋内で可溶性グアニル酸シクラーゼ(GC)を活性化する。GCはGTPに作用し、cGMP生成を促進する。cGMPはG-キナーゼを活性化し、G-キナーゼによる機能タンパクのリン酸化の結果、筋小胞体へのCa2 +の取り込み、細胞外へのCa2 +の排出が促進される。また、ミオシン軽鎖キナーゼの不活性化がもたらされ、その結果として、平滑筋拡張(弛緩)がもたらされる。
また、アラキドン酸にシクロオキシゲナーゼが作用するとPGH2、G2が生成され、このPGH2、G2にプロスタサイクリン合成酵素が作用してPGI2が生成される。PGI2は、アデニル酸シクラーゼを活性化し、cAMP生成を介して平滑筋弛緩をもたらす。さらに、内皮細胞由来のEDHFがK+チャネルを開孔し、血管平滑筋を過分極させることによって平滑筋拡張、すなわち平滑筋弛緩がもたらされる。
<血管内皮細胞障害による疾患>
以上のように、血管内皮細胞は、血圧や血流などの変化に加え、強力な血管収縮物質に曝されたときなど、それらに反応して強力な血管拡張物質を産生・遊離し、血管平滑筋を保護している。また、血管内血栓形成の防止や血液凝固系の抑制および線溶系の活性化にも重要な役割を果たしている。したがって血管内皮細胞が障害にさらされると、これらの作用が失われてしまうために動脈硬化、末梢血行障害、高血圧、冠血管や脳血管の攣縮、血栓や血液凝固促進等の循環器疾患が増加する。
また、近年では、加齢による老化ばかりでなく、食生活の欧米化(動物性脂肪摂取量増加等)によって、内皮細胞・血管の衰えが若年齢化しており、これが、いわゆる生活習慣病の急増にもつながっている。このように、内皮細胞障害は、動脈硬化、末梢血行障害、高血圧、冠血管や脳血管の攣縮、血栓や血液凝固促進等の循環器疾患の増加につながることから内皮細胞障害の予防・治療が極めて重要となっている。
本願発明の発明者らは、乳歯や永久歯の歯髄、骨髄、脂肪、臍帯などの幹細胞を利用した培養上清のうち、乳歯歯髄幹細胞培養上清(SHED-CM)が特に有用であることに着目し、この乳歯歯髄幹細胞培養上清(SHED-CM)を用いて、血管内皮細胞を修復、再生することで血管内皮障害を制御する新規で効果の高い血管内皮障害の予防及び/又は治療剤を提供するものである。
<SHED-CMの作成>
次に、図3を参照して、乳歯歯髄幹細胞培養上清(SHED-CM)の作成方法について説明する。なお、以下に説明する作成方法は、一例であり、他の手法により乳歯歯髄幹細胞培養上清(SHED-CM)を作成してもよい。
上記のように、乳歯歯髄幹細胞培養上清(SHED-CM)の製造方法は特に限定されないが、以下のステップ(1)〜(3)、即ち、(1)歯髄細胞から接着性細胞を選抜するステップ、(2)前記接着性細胞を培養するステップ、(3)培養上清を回収するステップ、を含む製造方法であることが好ましい。以下、ステップ毎に説明する。
ステップ(1)では、歯髄細胞の中から、接着性細胞である歯髄幹細胞を選抜する。以下、歯髄細胞は、事前に生体から単離するなどして用意すればよい。本選抜ステップは、歯髄細胞の用意を含むものであってよい。歯髄細胞の用意から歯髄幹細胞の選抜に至るまでの一連の操作手順の具体例を示す。
(a)歯髄の採取
自然に脱落した乳歯(又は抜歯した乳歯、或いは永久歯)をクロロヘキシジンまたはイソジン溶液で消毒した後、歯冠部を分割し歯科用リーマーにて歯髄組織を回収する。
(b)酵素処理
採取した歯髄組織を基本培地(10%ウシ血清・抗生物質含有ダルベッコ変法イーグル培地)に懸濁し、2mg/mlのコラゲナーゼ及びディスパーゼで37℃、1時間処理する。5分間の遠心操作(5000回転/分)により酵素処理後の歯髄細胞を回収する。セルストレーナーによる細胞選別はSHEDやDPSCの神経幹細胞分画の回収効率を低下させるので原則、使用しない。
(c)接着性細胞の選抜
細胞を4cc基本培地で再懸濁し、直径6cmの付着性細胞培養用ディッシュに播種する。培養液(例えば、10%FCS含有DMEM(Dulbecco's Modified Eagle's Medium))を添加した後、5%CO2、37℃に調整したインキュベータにて2週間程度培養する。培養液を除去した後、PBS等で細胞を1回又は数回洗浄する。この操作(培養液の除去及び細胞の洗浄)に代えて、コロニーを形成した接着性細胞(歯髄幹細胞)を回収することにしてもよい。この場合には例えば、0.05%トリプシン・EDTAにて5分間、37℃で処理し、ディッシュから剥離した細胞を回収する。
ステップ(1)に続くステップ(2)では、選抜した接着性細胞を培養する。例えば、細胞を付着性細胞培養用ディッシュに播種し、5%CO2、37℃に調整したインキュベータにて培養する。必要に応じて継代培養を行う。例えば、肉眼で観察してサブコンフルエント(培養容器の表面の約70%を細胞が占める状態)又はコンフルエントに達したときに細胞を培養容器から剥離して回収し、再度、培養液を満たした培養容器に播種する。継代培養を繰り返し行ってもよい。例えば継代培養を1〜8回行い、必要な細胞数(例えば約1×107個/ml)まで増殖させる。尚、培養容器からの細胞の剥離は、トリプシン処理など常法で実施することができる。以上の培養の後、細胞を回収して保存することにしてもよい(保存条件は例えば-198℃)。様々なドナーから回収した細胞を歯髄幹細胞バンクの形態で保存することにしてもよい。
培養液には基本培地、或いは基本培地に血清等を添加したもの等を使用可能である。但し、血清を含まない「歯髄幹細胞の培養上清」を調製するためには、全過程を通して或いは最後又は最後から数回の継代培養についは無血清培地を使用するとよい。尚、基本培地としてはDMEMの他、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)(GIBCO社等)、ハムF12培地(HamF12)(SIGMA社、GIBCO社等)、RPMI1640培地等を用いることができる。二種以上の基本培地を併用することにしてもよい。混合培地の一例として、IMDMとHamF12を等量混合した培地(例えば商品名:IMDM/HamF12(GIBCO社)として市販される)を挙げることができる。また、培地に添加可能な成分の例として、血清(ウシ胎仔血清、ヒト血清、羊血清等)、血清代替物(Knockout serum replacement(KSR)など)、ウシ血清アルブミン(BSA)、抗生物質、各種ビタミン、各種ミネラルを挙げることができる。
ステップ(2)に続くステップ(3)では、上記の方法で選抜・培養した歯髄幹細胞の培養上清を回収する。例えば、スポイトやピペットなどで培養液を吸引して回収することができる。回収した培養上清はそのまま或いは一以上の処理を経た後に本発明の組成物の有効成分として使用される。ここでの処理として、遠心処理、濃縮、溶媒の置換、透析、凍結、乾燥、凍結乾燥、希釈、脱塩、保存(例えば、4℃、-80℃)を例示することができる。
<幹細胞培養上清の濃縮方法>
幹細胞培養上清に含まれる生理活性物質は、製剤化することが可能である。製剤化のための細胞培養上清の濃縮方法としては、この目的のための通常行われている方法を適用することができる。濃縮方法の例としては、例えば、以下の二つの方法を挙げることができる。
<スピンカラム濃縮法>
培養上清をAmicon Ultra Centrifugal Filter Units-10K(ミリポア社製)を用いて濃縮する(最大75倍濃縮)。具体的な操作手順は次の通りである。
(i)培養上清(最大15ml)をAmicon Ultra Centrifugal Filter Units-10Kへ投入し、×4000gで約60分間遠心し、200μlまで濃縮する。
(ii)上記チューブへ培養上清と同量の滅菌PBSを投入し、再度×4000gで約60分間遠心し、ベース溶液をPBSへ置換する。
(iii)得られた溶液200μlをマイクロテストチューブへ回収し、濃縮幹細胞培養上清とする。
<エタノール沈殿濃縮法>
培養上清を、エタノール沈殿法を用いて濃縮する(最大10倍濃縮)。具体的な操作手順は次の通りである。
(i)培養上清5mlに対し100%エタノール45mlを加え、混和し、-20℃で60分間放置する。
(ii)4℃、×15000gで15分間遠心する。
(iii)上澄みを除去し、90%エタノール10mlを加え、よく攪拌する。
(iv)4℃、×15000gで5分間遠心する。
(v)上澄みを除去し、得られたペレットを滅菌水500μlに溶解し、マイクロテストチューブへ回収し、濃縮幹細胞培養上清とする。
<幹細胞培養上清の凍結乾燥方法>
また本発明における組成物における幹細胞培養上清は、凍結乾燥することもできる。これにより、良好な保存安定性が得られる。幹細胞培養上清の凍結乾燥方法としては、この目的のための通常行われている方法を適用することができる。凍結乾燥方法の例としては、例えば、以下の方法を挙げることができる。
(i)上記方法で得られた幹細胞培養上清又は濃縮幹細胞培養上清を-80℃で2時間から半日凍結する。
(ii)凍結後、サンプルチューブの蓋を開放し、凍結乾燥機へセットする。
(iii)1〜2日間凍結乾燥を行う。
(iv)得られたサンプルを凍結乾燥幹細胞培養上清とする(-80℃で保存が可能)。
<SHED-CMの作成>
発明者らは、血管内皮障害又は血管内皮障害の疑いのある患者8名に対し、人の乳歯歯髄幹細胞培養上清(SHED-CM)を投与し、血管内皮障害の症状が改善されるかを実施した。具体的には、上記患者へ、上述のエタノール沈殿濃縮法により10倍に濃縮された乳歯歯髄幹細胞培養上清(SHED-CM)を投与し、LOX-index(登録商標)(以下、登録商標の記載は省略する)の値が改善されるか検証した。
初めに、実施例での乳歯歯髄幹細胞培養上清(SHED-CM)の作成方法について説明するが、基本的には、実施の形態で既に述べた作成方法と同じであり、(1)歯髄細胞から接着性細胞を選抜するステップ、(2)前記接着性細胞を培養するステップ、(3)培養上清を回収・濃縮するステップ、を含んでいる。以下、ステップ毎に説明する。
ステップ(1)
(a)歯髄の採取
自然脱落乳歯をクロロヘキシジンまたはイソジン溶液で消毒した後、歯冠部を分割し歯科用リーマーにて歯髄組織を回収した。
(b)酵素処理
採取した歯髄組織を基本培地(10%ウシ血清・抗生物質含有ダルベッコ変法イーグル培地)に懸濁し、2mg/mlのコラゲナーゼ及びディスパーゼで37℃、1時間処理した。その後、5分間の遠心操作(5000回転/分)により酵素処理後の歯髄細胞を回収した。セルストレーナーによる細胞選別はSHEDやDPSCの神経幹細胞分画の回収効率を低下させるため使用しなかった。
(c)接着性細胞の選抜
細胞を4cc基本培地で再懸濁し、直径6cmの付着性細胞培養用ディッシュに播種した。培養液(例えば、10%FCS含有DMEM(Dulbecco's Modified Eagle's Medium))を添加した後、5%CO2、37℃に調整したインキュベータにて2週間培養し、培養液を除去した後、PBS等で細胞を数回洗浄した。
ステップ(2)
次に、選抜した接着性細胞を付着性細胞培養用ディッシュに播種し、5%CO2、37℃に調整したインキュベータにて培養した。この際、必要に応じて継代培養を行った。継代培養は、肉眼で観察してサブコンフルエント(培養容器の表面の約70%を細胞が占める状態)又はコンフルエントに達したときに細胞を培養容器から剥離して回収し、再度、培養液を満たした培養容器に播種した。尚、培養容器からの細胞の剥離は、トリプシン処理等、常法で実施した。
ステップ(3)
上記の方法で選抜・培養した歯髄幹細胞の培養上清を回収する。例えば、スポイトやピペットなどで培養上清を吸引して回収した後、この培養上清を、エタノール沈殿法を用いて10倍に濃縮した。具体的な操作手順は次の通りである。
(i)培養上清5mlに対し100%エタノール45mlを加え、混和し、-20℃で60分間放置した。
(ii)4℃、×15000gで15分間遠心した。
(iii)上澄みを除去し、90%エタノール10mlを加え、よく攪拌した。
(iv)4℃、×15000gで5分間遠心した。
(v)上澄みを除去し、得られたペレットを滅菌水500μlに溶解し、マイクロテストチューブへ回収し、10倍濃縮幹細胞培養上清とした。
<LOX-indexの測定>
血管内皮障害が改善されたかどうかは、LOX-indexの値に基づいて評価した。LOX-indexは、動脈硬化の進行具合から将来の脳梗塞・心筋梗塞のリスクを判定する血液検査であり、sLOX-1(可溶性LOX-1:血中に放出されたLOX-1)とLAB(LOX-1 ligand containing ApoB)を測定し算出する指標である。LOX-indexの値から血管壁の硬化状況・硬化リスクを把握することが可能である。なお、LOX-indexの値が高いと脳梗塞・心筋梗塞の発症率が上昇する。つまりLOX-indexの値は、低いほうが良い。
以下の表1〜表8に、患者8名(患者A〜H)の臨床試験結果を示す。なお、表1〜表8に示す「sLOX-1」、「LAB」、「LOX-index」の値は、各施術前に採血した血液の測定値から算出したものである。例えば、第1回目の欄に記載されている「sLOX-1」、「LAB」、「LOX-index」の値は、第1回目の施術前に採血した血液の測定値から算出されている。また、第2回目の欄に記載されている「sLOX-1」、「LAB」、「LOX-index」の値は、第2回目の施術前に採血した血液の測定値から算出されている。
なお、本実施例では、上述の方法により作成された10倍濃縮された乳歯歯髄幹細胞培養上清(SHED-CM)を静脈への点滴により各患者へ投与した。すなわち、以下の表1〜表8において、施術内容の項目に記載されている「2ml点滴」とは、上述のようにして作成された10倍濃縮された乳歯歯髄幹細胞培養上清(SHED-CM)2mlを点滴により患者へ投与したとの意である。また、「5ml点滴」とは、上述のようにして作成された10倍濃縮された乳歯歯髄幹細胞培養上清(SHED-CM)5mlを点滴により患者へ投与したとの意である。さらに、「10ml点滴」とは、上述のようにして作成された10倍濃縮された乳歯歯髄幹細胞培養上清(SHED-CM)10mlを点滴により患者へ投与したとの意である。
Figure 2018145114
表1は、患者A(男性:62歳)の結果を示すデータである。表1に示すように、患者Aは、第1回目(平成28年8月27日)の施術前におけるsLOX-1の値が302、LABの値が3.4、sLOX-1及びLABの値から算出されるLOX-indexの値が1027であったが、第4回目(平成28年12月21日)の施術前におけるsLOX-1の値が108、LABの値が3.1、sLOX-1及びLABの値から算出されるLOX-indexの値が335であり、3回の施術でLOX-indexの値が約1/3となり、大幅な改善が見られる。
Figure 2018145114
表2は、患者B(男性:36歳)の結果を示すデータである。表2に示すように、患者Bは、第1回目(平成28年10月1日)の施術前におけるsLOX-1の値が383、LABの値が6.6、sLOX-1及びLABの値から算出されるLOX-indexの値が2528であったが、第2回目(平成28年11月19日)の施術前におけるsLOX-1の値が157、LABの値が3.4、sLOX-1及びLABの値から算出されるLOX-indexの値が534であり、たった1回の施術及び短い期間(約1ヶ月半)でLOX-indexの値が約1/5となり大幅な改善が見られる。
Figure 2018145114
表3は、患者C(男性:67歳)の結果を示すデータである。表3に示すように、患者Cは、第1回目(平成28年11月16日)の施術前におけるsLOX-1の値が1219、LABの値が3.2、sLOX-1及びLABの値から算出されるLOX-indexの値が3901であったが、第3回目(平成28年12月21日)の施術前におけるsLOX-1の値が567、LABの値が3.8、sLOX-1及びLABの値から算出されるLOX-indexの値が2155であり、LOX-indexの値が約1/2となり、改善が見られる。患者Cの場合、特に、値の高かったsLOX-1の値に大幅な改善が見られる。
Figure 2018145114
表4は、患者D(男性:53歳)の結果を示すデータである。表4に示すように、患者Dは、第1回目(平成28年11月16日)の施術前におけるsLOX-1の値が435、LABの値が4.5、sLOX-1及びLABの値から算出されるLOX-indexの値が1958であったが、第2回目(平成29年1月11日)の施術前におけるsLOX-1の値が696、LABの値が2.5、sLOX-1及びLABの値から算出されるLOX-indexの値が1740であり、LOX-indexの値に若干の改善が見られるため、このまま治療を継続することで、更にLOX-indexの値が改善することが見込まれる。
Figure 2018145114
表5は、患者E(男性:63歳)の結果を示すデータである。表5に示すように、患者Eは、第1回目(平成28年4月20日)の施術前におけるsLOX-1の値が544、LABの値が2.7、sLOX-1及びLABの値から算出されるLOX-indexの値が1469であったが、第7回目(平成28年11月19日)の施術前におけるsLOX-1の値が482、LABの値が1.8、sLOX-1及びLABの値から算出されるLOX-indexの値が868であり、LOX-indexの値が約1/2となっている。患者Eの場合、LOX-indexの値が上下動を繰り返しながらも全体として改善が見られる。
Figure 2018145114
表6は、患者F(男性:69歳)の結果を示すデータである。表6に示すように、患者Fは、第1回目(平成28年4月20日)の施術前におけるsLOX-1の値が318、LABの値が4.0、sLOX-1及びLABの値から算出されるLOX-indexの値が1272であったが、第2回目(平成28年5月14日)の施術前におけるsLOX-1の値が222、LABの値が3.3、sLOX-1及びLABの値から算出されるLOX-indexの値が733と改善が見られた。しかし、第3回目(平成28年7月16日)の施術前におけるsLOX-1の値が253、LABの値が4.8、sLOX-1及びLABの値から算出されるLOX-indexの値が1214となり、LOX-indexの値が高くなった。患者Fの場合、今後もLOX-indexの値が改善されるか継続的なモニターが必要であると考えられる。
Figure 2018145114
表7は、患者G(男性:59歳)の結果を示すデータである。表7に示すように、患者Gは、第1回目(平成28年4月20日)の施術前におけるsLOX-1の値が567、LABの値が2.7、sLOX-1及びLABの値から算出されるLOX-indexの値が1531であったが、第6回目(平成28年10月29日)の施術前におけるsLOX-1の値が277、LABの値が2.9、sLOX-1及びLABの値から算出されるLOX-indexの値が1099であり、LOX-indexの値が約2/3となり、改善が見られる。
Figure 2018145114
表8は、患者H(男性:76歳)の結果を示すデータである。表8に示すように、患者Hは、第1回目(平成28年8月20日)の施術前におけるsLOX-1の値が283、LABの値が2.2、sLOX-1及びLABの値から算出されるLOX-indexの値が623であったが、第3回目(平成28年9月17日)の施術前におけるsLOX-1の値が253、LABの値が1.9、sLOX-1及びLABの値から算出されるLOX-indexの値が481であり、LOX-indexの値が約3/4となり、改善が見られる。患者Hの場合、LOX-indexの値がもともと低いことを考えると、大幅に改善が見られるものと考えられる。
以上のように、血管内皮障害又は血管内皮障害の疑いのある患者8名に対し、10倍に濃縮された乳歯歯髄幹細胞培養上清(SHED-CM)を投与した結果、略全ての患者においてLOX-indexの値の改善が見られた。これは、患者の血管内に投与された乳歯歯髄幹細胞培養上清(SHED-CM)に含まれるサイトカインやケモカイン、エクソソームタンパク等(特に、VEGF(血管内皮増殖因子))の働きにより傷ついた(損傷した)血管内皮細胞が修復・再生されたことにより、本実施例のような良好な結果が得られたものと推測される。なお、改善があまりみられなかった患者の場合、他の要因、例えば、ストレス等の心理的な要因が主因となり、LOX-indexの値が高くなっていることが考えられる。
すなわち、本発明によれば、幹細胞を培養して得られた幹細胞培養上清は、サイトカインやケモカイン、エクソソームタンパク等の混合物が含まれているため、血管内に投与されると、血管内皮細胞の損傷部における細胞を増殖させる。その結果、内皮細胞組織が修復され、血管内皮障害を予防又は治療することができる。本発明で使用される幹細胞培養上清中のサイトカインやケモカイン、エクソソームタンパク等の混合物が標的組織の内在性幹細胞に対する誘導シグナルとして作用することにより、内在性幹細胞が、分化し、増殖し得ると推論し得る。その結果、血管内皮細胞の損傷部での細胞の増殖及び細胞外マトリクスの生成などが行われ、血管内皮細胞組織の内在性幹細胞の再生能に基づいて修復することができると推測される。
<その他の実施の形態>
本発明に用いられる体性幹細胞の例としては、真皮系、消化系、骨髄系、神経系等に由来する幹細胞が含まれるが、これらに限定されるものではない。真皮系の体性幹細胞の例としては、上皮幹細胞、毛包幹細胞等が含まれる。消化系の体性幹細胞の例としては膵臓(全般の)幹細胞、肝幹細胞等が含まれる。骨髄系の体性幹細胞の例としては、造血幹細胞、間葉系幹細胞等が含まれる。神経系の体性幹細胞の例としては、神経幹細胞、網膜幹細胞等が含まれる。本発明に用いられる体性幹細胞は、目的の処置を達成することができれば、天然のものであってもよく、遺伝子改変したものであってもよい。
幹細胞の起源は、外胚葉、内胚葉、又は中胚葉に分類される。外胚葉起源の幹細胞は主に脳に存在し、神経幹細胞が含まれる。内胚葉起源の幹細胞は主に骨髄に存在し、血管幹細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞等が含まれる。中胚葉起源の幹細胞は主に臓器に存在し、肝幹細胞、膵臓幹細胞等が含まれる。
本発明では、如何なる間葉系に由来し得る体性幹細胞も使用することが好ましく、より好ましくは歯髄に由来する体性幹細胞、最も好ましくはヒトの脱落した乳歯に由来する体性幹細胞を用いる。間葉系由来の体性幹細胞は、血管内皮増殖因子(VEGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、インシュリン様成長因子(IGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、形質転換成長因子-ベータ(TGF-β)-1及び-3、TGF-α、KGF、HBEGF、SPARC等の種々のサイトカインを産生し得る。本発明では、幹細胞培養上清が少なくとも2つのサイトカインを含むことが好ましく、血管内皮増殖因子(VEGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、インシュリン様成長因子(IGF)、血小板由来成長因子(PDGF)及び形質転換成長因子-ベータ(TGF-β)からなる群より選択された2つ以上の組み合わせを含むことが更に好ましい。
本発明に用いられるサイトカインやケモカイン、エクソソームタンパク等の混合物は、幹細胞培養上清の一部として又は幹細胞培養上清から単離されたサイトカインやケモカイン、エクソソームタンパク等の混合物として使用され得る。幹細胞培養上清から単離されたサイトカインやケモカイン、エクソソームタンパク等の混合物中、サイトカインやケモカイン、エクソソームタンパク等の一部を1又は複数の公知の対応するサイトカインやケモカイン、エクソソームタンパク等で置き換えてもよい。
本発明に用いられる幹細胞培養上清は、体性幹細胞の培養から得られる幹細胞培養上清に限定されず、胚性幹細胞(ES細胞)、誘導多能性幹細胞(iPS細胞)、胚性癌腫細胞(EC細胞)等の培養から得られた幹細胞培養上清が含まれていてもよい。
体性幹細胞の培養上清は、体性幹細胞を培養して得られる培養液であり、細胞そのものを含まない。従って、例えば培養後に細胞成分を分離除去することによって、本発明に使用可能な培養上清を得ることができる。各種処理(例えば、遠心処理、濃縮、溶媒の置換、透析、凍結、乾燥、凍結乾燥、希釈、脱塩、保存等)を適宜施した培養上清を用いることにしてもよい。
幹細胞培養上清を得るための幹細胞は、常法により選別可能であり、細胞の大きさや形態に基づいて、又は接着性細胞として選別可能である。歯髄幹細胞の場合には、後述するように、脱落した乳歯や永久歯から採取した歯髄細胞から、接着性細胞又はその継代細胞として選別することができる。後述する中枢神経疾患治療用組成物の製造方法は、前記損傷部治療用組成物の製造方法としても好ましく適用され得る。歯髄幹細胞培養上清には、選別された幹細胞を培養して得られた培養上清を用いることができる。その他の幹細胞を用いる場合には、目的とする幹細胞を含みうる組織から、同様にして幹細胞を得ることによって、幹細胞培養上清を得ることができる。
なお、「幹細胞の培養上清」は、幹細胞を培養して得られる細胞そのものを含まない培養液と定義される。本発明の組成物は「幹細胞の培養上清」を有効成分として含むものであり、その一態様では組成物全体としても細胞(細胞の種類は問わない)を含まない。当該態様の組成物はこの特徴によって、幹細胞自体は当然のこと、幹細胞を含む各種組成物と明確に区別される。この態様の典型例は、幹細胞を含まず、幹細胞の培養上清のみで構成された組成物である。
幹細胞の培養液には基本培地、或いは基本培地に血清等を添加したもの等を使用可能である。但し、血清を含まない「歯髄幹細胞の培養上清」を調製するためには、全過程を通して或いは最後又は最後から数回の継代培養についは無血清培地を使用するとよい。尚、基本培地としてはDMEMの他、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)(GIBCO社等)、ハムF12培地(HamF12)(SIGMA社、GIBCO社等)、RPMI1640培地等を用いることができる。二種以上の基本培地を併用することにしてもよい。混合培地の一例として、IMDMとHamF12を等量混合した培地(例えば商品名:IMDM/HamF12(GIBCO社)として市販される)を挙げることができる。また、培地に添加可能な成分の例として、血清(ウシ胎仔血清、ヒト血清、羊血清等)、血清代替物(Knockout serum replacement(KSR)など)、ウシ血清アルブミン(BSA)、抗生物質、各種ビタミン、各種ミネラルを挙げることができる。
幹細胞の培養には、通常用いられる条件をそのまま適用することができる。幹細胞培養上清の製造方法については、幹細胞の種類に応じて幹細胞の単離及び選抜工程を適宜調整する以外は、後述する中枢神経疾患治療用組成物の製造方法と同様とすればよい。幹細胞の種類に応じた幹細胞の単離及び選抜は、当業者であれば適宜行うことができる。
適用される被検体の状態に応じて、期待される治療効果が維持されることを条件として、本発明の組成物に他の成分を追加的に使用することを妨げない。本発明において追加的に使用され得る成分の一例は以下の通りである。
(i)生体吸収性材料
有機系生体吸収性材料としてヒアルロン酸、コラーゲン、フィブリノーゲン(例えばボルヒール(登録商標))等を使用することができる。
(ii)ゲル化材料
ゲル化材料は、生体親和性が高いものを用いることが好ましく、ヒアルロン酸、コラーゲン又はフィブリン糊等を用いることができる。ヒアルロン酸、コラーゲンとしては種々のものを選択して用いることができるが、本発明の組成物の適用目的(適用組織)に適したものを採用することが好ましい。用いるコラーゲンは可溶性(酸可溶性コラーゲン、アルカリ可溶性コラーゲン、酵素可溶性コラーゲン等)であることが好ましい。
(iii)その他
製剤上許容される他の成分(例えば、担体、賦形剤、崩壊剤、緩衝剤、乳化剤、懸濁剤、無痛化剤、安定剤、保存剤、防腐剤、生理食塩水など)を含有させることもできる。賦形剤としては乳糖、デンプン、ソルビトール、D-マンニトール、白糖等を用いることができる。崩壊剤としてはデンプン、カルボキシメチルセルロース、炭酸カルシウム等を用いることができる。緩衝剤としてはリン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等を用いることができる。乳化剤としてはアラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、トラガント等を用いることができる。懸濁剤としてはモノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸アルミニウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム等を用いることができる。無痛化剤としてはベンジルアルコール、クロロブタノール、ソルビトール等を用いることができる。安定剤としてはプロピレングリコール、アスコルビン酸等を用いることができる。保存剤としてはフェノール、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルパラベン等を用いることができる。防腐剤としては塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸、クロロブタノール等を用いることができる。抗生物質、pH調整剤、成長(増殖)因子(例えば、内皮細胞増殖因子(VEGF)、上皮細胞成長因子(EGF)、神経成長因子(NGF))等を含有させることにしてもよい。
本発明の血管内皮障害の予防及び/又は治療剤の投与経路としては、特に制限されないが、非経口投与であることが好ましく、非経口投与としては、血管内へ直接投与することが好ましい。このような投与の例としては、
静脈内投与、動脈内投与などを挙げることができる。また、他の投与方法の例としては、目的部位への局所注射、塗布又は噴霧、門脈内投与、皮内投与、皮下投与、筋肉内投与、腹腔内投与、及び鼻腔内投与等を挙げることができる。投与スケジュールとしては例えば一週間一回〜数回を採用できる。投与スケジュールの作成においては、対象(レシピエント)の性別、年齢、体重、病態などを考慮することができる。また、他の薬剤と組み合わせて投与してもよい。この際は、本発明の幹細胞培養上清と異なる作用機序を有する薬剤を組み合わせること好ましい。作用機序が異なるため副作用の虞も小さく、効果が高まることが期待できるためである。

Claims (3)

  1. 幹細胞培養上清を含有することを特徴とする血管内皮障害の予防及び/又は治療剤。
  2. 注射剤であることを特徴とする請求項1に記載の血管内皮障害の予防及び/又は治療剤。
  3. 前記幹細胞培養上清に含まれる幹細胞は、乳歯歯髄由来であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の血管内皮障害の予防及び/又は治療剤。

JP2017039282A 2017-03-02 2017-03-02 血管内皮障害の予防及び/又は治療剤 Pending JP2018145114A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017039282A JP2018145114A (ja) 2017-03-02 2017-03-02 血管内皮障害の予防及び/又は治療剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017039282A JP2018145114A (ja) 2017-03-02 2017-03-02 血管内皮障害の予防及び/又は治療剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018145114A true JP2018145114A (ja) 2018-09-20

Family

ID=63590656

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017039282A Pending JP2018145114A (ja) 2017-03-02 2017-03-02 血管内皮障害の予防及び/又は治療剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018145114A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20230161580A (ko) * 2022-05-18 2023-11-28 (주)셀앤매터 유치 줄기세포 배양액을 유효성분으로 포함하는 혈관 및 신경 재생용 조성물

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20230161580A (ko) * 2022-05-18 2023-11-28 (주)셀앤매터 유치 줄기세포 배양액을 유효성분으로 포함하는 혈관 및 신경 재생용 조성물
KR102851894B1 (ko) 2022-05-18 2025-09-10 (주)셀앤매터 유치 줄기세포 배양액을 유효성분으로 포함하는 혈관 및 신경 재생용 조성물

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5968442B2 (ja) 心筋梗塞の修復再生を誘導する多能性幹細胞
Bao et al. C-Kit Positive cardiac stem cells and bone marrow–derived mesenchymal stem cells synergistically enhance angiogenesis and improve cardiac function after myocardial infarction in a paracrine manner
EP2902483B1 (en) Method for in vitro proliferation of cell population containing cells suitable for treatment of ischemic disease
JP6993026B2 (ja) 再生治療用組成物
US20140079673A1 (en) Treatment of ischemia using stem cells
WO2003013570A1 (en) Platelet-derived growth factor protection of cardiac myocardium
JP2015159895A (ja) 脳梗塞治療のための多能性幹細胞
US20040048375A1 (en) Application of pluripotential stem cells for body organ tissue repair and venous capillary expansion
JP2017119646A (ja) 性ホルモン分泌促進剤及び生殖細胞増殖促進剤
US20060110374A1 (en) Method to accelerate stem cell recruitment and homing
US20250073278A1 (en) Methods and compositions for treatment of penile defects
WO2004101775A1 (ja) 新規な成体組織由来の幹細胞およびその用途
KR20100097574A (ko) 발모 유도 세포 조성물
CN104862281A (zh) 表达bFGF和PDGF-BB的重组载体修饰的间充质干细胞及其制备方法和用途
CN106754680A (zh) 一种胎盘源性干细胞的分离方法及其应用
JP2019026573A (ja) 育毛剤
US20220339196A1 (en) Pharmaceutical composition for preventing or treating obesity or non-alcoholic fatty liver, containing dental tissue-derived multipotent stem cells
CN113574167B (zh) 利用混合物4f增加干细胞生物学活性的组合物
JP2018145114A (ja) 血管内皮障害の予防及び/又は治療剤
JP6604492B2 (ja) 脳梗塞治療のための多能性幹細胞
RU2268061C1 (ru) Биотрансплантат, способ его получения (варианты) и способ лечения ишемической болезни сердца
CN117750964A (zh) 含有成纤维细胞的肾疾病治疗用医药组合物
Orlic Adult BM stem cells regenerate mouse myocardium
WO2019240296A1 (ja) 組織治癒剤
RU2268062C1 (ru) Биотрансплантат, способ его получения (варианты) и способ лечения дилятационной кардиомиопатии

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20170508

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20170508

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20170508