JP2018029505A - 細胞構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の細胞構造体の製造方法は、培養面に温度応答性ポリマー又は温度応答性ポリマー組成物で被覆された被覆領域を調製し、該被覆領域に細胞懸濁液の液滴を形成し、該液滴中で細胞培養を行い、ここで、前記被覆領域の表面ゼータ電位を0〜50mVとする
ことを特徴とする。
ここで、本発明の細胞構造体の製造方法では、前記被覆領域に対する水の接触角を50〜90°とすることが好ましい。
また、本発明の細胞構造体の製造方法では、前記培養面に複数の前記被覆領域を調製することが好ましい。
更に、本発明の細胞構造体の製造方法では、前記被覆領域に複数の前記液滴を形成することが好ましい。
更に、本発明の細胞構造体の製造方法では、各前記被覆領域において、前記液滴の底面積を前記被覆領域の面積よりも小さくすることが好ましい。
更に、本発明の細胞構造体の製造方法では、前記液滴に含まれる細胞の数を3.0×105個/mL以下とすることが好ましい。
更に、本発明の細胞構造体の製造方法では、前記液滴の径を1μm〜8mmとすることが好ましい。
更に、本発明の細胞構造体の製造方法では、前記液滴の量を0.5〜50μLとすることが好ましい。
本発明の実施形態の細胞構造体の製造方法(以下、「本実施形態の製造方法」ともいう。)は、培養面に温度応答性ポリマー又は温度応答性ポリマー組成物で被覆された被覆領域を調製し、該被覆領域に細胞懸濁液の液滴を形成し、該液滴中で細胞培養を行うものである。
一方、本実施形態の製造方法によれば、液滴を培養面に載せた状態で保持することができるため、スフェロイド状の細胞構造体を簡便に製造することが可能となる。
一方、本実施形態の製造方法によれば、被覆領域における細胞懸濁液の液滴は非被覆領域から隔離されているため、上記の細胞非接着性を与えるような処理が必要とならず、そして、細胞の生育に悪い影響を与える可能性が低くなる。
一方、本実施形態の製造方法によれば、温度応答性ポリマー又は温度応答性ポリマー組成物で被覆されることで細胞接着性を備えることとなった被覆領域に、非被覆領域から隔離された状態で、細胞懸濁液の液滴を形成するため、非被覆領域の細胞を除去する必要性が小さいため、使用する細胞の量を低減することができ、また、培地交換ンどの操作の必要性が小さいため、使用する培地の量を低減することができる。総じて、本実施形態の製造方法によれば、製造コストを低減することが可能になる。
上記と同様の理由から、表面ゼータ電位は、好適には0〜35mVであり、更に好適には10〜25mVである。
これは、上記特定の範囲の表面ゼータ電位とすることによって、培養面に細胞毒性を惹起しない微弱な陽電荷を与えることができ、また、播種した細胞の速やかな接着を確保し、細胞の活性の向上及び細胞外マトリックスの分泌を促進し、更には、細胞遊走を適度に抑制して、細胞間の結合を強くすることができるものと推測される。
一方、本実施形態の製造方法で製造された細胞構造体(スフェロイド)は、培養面上に速やかに接着し、増殖しながら伸展するという経過を経たうえで形成されるものであるため、細胞間に産生された細胞外マトリックスが豊富に存在する。そのため、細胞構造体自体のバイアビリティ(活性)が極めて高い。
細胞構造体のサイズは、微小サイズ(例えば、数百μm以下のサイズ)とすることができ、50〜1,500μm径としてよく、50〜200μm径であることが好ましい。
なお、「細胞非接着性」とは、付着細胞(例えば、線維芽細胞、肝細胞、血管内皮細胞等)が、通常の培養条件下で、接着しない又は接着しにくい性質をいう。
ここで、上記(A)としては、例えば、(A−1)DMAEMAを水存在下で重合する方法により得られる温度応答性ポリマー、(A−2)主としてDMAEMAを含むポリマーブロック(重合鎖α末端)と、主としてDMAEMAとアニオン性モノマー(重合鎖ω末端)とを含む温度応答性ポリマー等が挙げられる。
本発明の実施形態において、これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A−1)の温度応答性ポリマーの製造方法では、まず、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)を含む混合物を調製する(調製工程)。ここで、混合物は、重合禁止剤及び水を更に含む。
水の混合物に対する重量割合は、1.0%〜50%であることが好ましく、9.0%〜33%であることが更に好ましい。上記範囲とすれば、側鎖の加水分解反応の反応速度と、重合するポリマー鎖の成長反応の反応速度とを、バランスよく調和させることができる。これにより、側鎖が加水分解されたDMAEMAに対する、側鎖が加水分解されていないDMAEMAの割合(共重合割合)が1.0〜20程度の温度応答性ポリマーを得ることができる。
この工程では、例えば、透明な密封バイアルに、上記混合物を加え、不活性ガスをバブリングすることによってバイアル内を不活性雰囲気とした後に、バイアルの外部から紫外線照射装置を用いて紫外線を照射する。
不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン等が挙げられる。
反応時間としては、7時間〜24時間であることが好ましく、17時間〜21時間であることが更に好ましい。上記範囲とすれば、(A−1)の温度応答性ポリマーを高収率で得ることができ、また、光分解反応や不要な架橋反応を抑制しながらラジカル重合を行うことができる。
この拮抗により、得られる生成物は、式(I)で表される繰り返し単位(A)
そのため、ポリマーが有するカチオン性官能基、すなわち、ジメチルアミノ基と、ポリマーが有するアニオン性官能基、すなわち、側鎖のエステル結合が加水分解されてできたカルボキシル基の両方を、バランスよく備えることができる。そして、(A−1)の温度応答性ポリマーの製造方法によれば、カチオン性官能基及びアニオン性官能基を有する、ポリ(2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート)由来のポリマーを、少ない工程で簡便に製造することができる。
例えば、DMAEMA及び重合禁止剤を含む混合物と、水とを別々に準備し、次いで、混合物と水とに不活性ガスをバブリングし、その後、混合物と水とを不活性雰囲気下で混合すると同時に紫外線を照射するという、温度応答性ポリマーの製造方法も、(A−1)の温度応答性ポリマーに含めることができる。
(A−1)の温度応答性ポリマーは、上記(A−1)の製造方法により製造される。
(A−1)の温度応答性ポリマーの分子量は、紫外線の照射時間及び照射強度の条件により、適宜調整することができる。
(A−2)の温度応答性ポリマーの製造方法では、まず、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)を含む第一混合物に紫外線を照射する(第一重合工程)。
ここで、第一混合物は、DMAEMA以外に、任意選択的に、例えば、他のモノマー、溶媒等を含んでよい。
また、紫外線は、不活性雰囲気下において、照射されてよい。
第一混合物に含まれ得る他のモノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド、ポリエチレングリコール側鎖を有するアクリル酸やメタクリル酸のエステル、N−イソプロピルアクリルアミド、3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド等が挙げられ、特に、イオンバランスの調整を安定的に行うことを可能にする観点から、N,N−ジメチルアクリルアミド、ポリエチレングリコール側鎖を有するアクリル酸やメタクリル酸のエステル、N−イソプロピルアクリルアミドが好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ここで、他のモノマーの使用量のDMAEMAの使用量に対する割合(モル数)は、0.001〜1とすることが好ましく、0.01〜0.5とすることが更に好ましい。
紫外線の照射強度としては、0.01〜50mW/cm2であることが好ましく、0.1〜5mW/cm2であることが更に好ましい。上記範囲とすれば、無用な化学結合の切断等による分解を抑制しつつ、安定的に、適切な速度(時間)で重合反応を進行させることができる。
不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン等が挙げられる。
反応時間としては、10分〜48時間であることが好ましく、60分〜24時間であることが更に好ましい。
ここで、第二混合物は、第一重合工程後の第一混合物、及びアニオン性モノマー以外に、例えば、他のモノマー、前述の第一混合物に含まれ得る溶媒(トルエン、ベンゼン、メタノール等)等を含んでよい。
また、アニオン性モノマーは、不活性雰囲気下において、添加されてよい。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、第一重合工程後の第一混合物中におけるポリマー化したPDMAEMAの数平均分子量は、所定の時点で重合系から少量の反応混合物を採取して、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)や光散乱法(SLS)等の当業者に周知の方法により、測定することができる。
ここで、紫外線は、不活性雰囲気下において、照射されてよい。
(A−2)の温度応答性ポリマーは、上記(A−2)の製造方法により製造される。
好適には、(A−2)の温度応答性ポリマーは、DMAEMAのホモポリマーブロックと、DMAEMAとアニオン性モノマーとのコポリマーブロックとを含み、更に好適には、これらブロックからなる。
温度応答性ポリマーの分子量は、紫外線の照射時間及び照射強度の条件により、適宜調整することができる。
(B)の温度応答性ポリマーの製造方法は、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)(以下、「モノマー(A)」ともいう。)と、カチオン性モノマー(以下、「モノマー(B)」ともいう。)と、アニオン性モノマー(以下、「モノマー(C)」ともいう。)とを重合させるものである。任意選択的に、上記3種類のモノマーにこれら以外の他のモノマーを加えて重合させてよい。
より具体的には、カチオン性モノマーとしては、生理活性物質を担持したり、アルカリ性条件下においたりしても、安定性が高いものが好ましく、例えば、3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)−(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)−(メタ)アクリレート、アミノスチレン、2−(N,N−ジメチルアミノエチル)−(メタ)アクリルアミド、2−(N,N−ジメチルアミノエチル)−(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中で、特に、3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミドは、高い陽電荷強度を有することから、アニオン性物質の担持を容易にするため、好ましい。
また、アミノスチレンは、高い陽電荷強度を有することから、アニオン性物質の担持を容易にすると共に、分子内の芳香環が水溶液中において他の物質の疎水性構造と相互作用することから、担持可能なアニオン性物質のバリエーションを広げるため、好ましい。
更に、2−(N,N−ジメチルアミノエチル)−メタクリルアミドは、中性域のpHで微弱な陽電荷を有し、且つ、水への溶解性が温度に影響されないことから、一度担持したアニオン性物質の放出を容易にするため、好ましい。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
より具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル安息香酸、等が挙げられ、特に、化学的安定性、細胞親和性の観点から、メタクリル酸、ビニル安息香酸が好ましい。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
他のモノマーは、電荷以外の親水性・疎水性のバランスの調整に使用可能であり、バリエーションを広げることが可能となる。
ラジカル重合としては、リビングラジカル重合が好ましく、リビングラジカル重合としては、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合、原子移動ラジカル重合(ATRP)、イニファーター重合等が挙げられ、イニファーター重合が好ましい。
イオン重合としては、リビングアニオン重合が好ましい。
この製造方法の一例では、まず、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)を含む第一混合物に紫外線を照射する(第一重合工程)。
ここで、第一混合物は、DMAEMA以外に、任意選択的に、例えば、他のモノマー、溶媒、連鎖移動剤、安定剤、界面活性剤等を含んでよい。
また、紫外線は、不活性雰囲気下において、照射されてよい。
紫外線の照射強度としては、0.01〜50mW/cm2であることが好ましく、0.1〜5mW/cm2であることが更に好ましい。
不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン等が挙げられる。
反応時間としては、反応時間としては、10分〜48時間であることが好ましく、60分〜24時間であることが更に好ましい。
ここで、第二混合物は、第一重合工程後の第一混合物、カチオン性モノマー、及びアニオン性モノマー以外に、例えば、他のモノマー、溶媒、連鎖移動剤、安定剤、界面活性剤等を含んでよい。
また、カチオン性モノマーとアニオン性モノマーとは、不活性雰囲気下において、添加されてよい。
ここで、紫外線は、不活性雰囲気下において、照射されてよい。
紫外線の照射強度としては、0.01〜50mW/cm2であることが好ましく、0.1〜5mW/cm2であることが更に好ましい。
不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン等が挙げられる。
反応時間としては、反応時間としては、10分〜48時間であることが好ましく、60分〜24時間であることが更に好ましい。
ここで、上記混合物は、例えば、溶媒、連鎖移動剤、安定剤、界面活性剤等を含んでよい。
また、紫外線は、不活性雰囲気下において、照射されてよい。
他の条件については、前述の一例の製造方法と同様としてよい。
(B)の温度応答性ポリマーは、上記(B)の製造方法により製造される。
好適には、(B)の温度応答性ポリマーは、主としてN−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)単位を含み、任意選択的に他のモノマー単位を含むポリマーブロック(重合鎖α末端)と、主としてカチオン性モノマー単位と、アニオン性モノマー単位とを含み、任意選択的に他のモノマー単位を含むコポリマーブロックとを含む。更に好適には、(B)の温度応答性ポリマーは、NIPAMのホモポリマーブロックと、NIPAMとカチオン性モノマーとアニオン性モノマーとのコポリマーブロックとを含み、特に好適には、これらブロックからなる。本ポリマーは、前述の一例の製造方法により製造することができる。
かかる温度応答性ポリマーでは、重合鎖α末端に必ずカチオン性モノマーが存在することから、重合鎖中におけるカチオン性サイトの位置の調整の自由度が高くはなく、また、カチオン性モノマーが主としてDMAEMAに限られることから、カチオン性サイトの陽電荷強度の調整や、温度応答性ポリマー水溶液のpHの調整も必ずしも容易とは言えなかった。
例えば、温度応答性ポリマーを薬物送達(DDS)に用いた場合、担持可能な薬剤の種類や量が限られる可能性があった。DDSの手法としては、例えば、細胞培養器に薬剤を担持させた温度応答性ポリマーを塗布して、塗布後の細胞培養器で細胞や組織を培養することによって、被覆物から細胞・組織に対して薬剤を徐放するといった手法等が挙げられる。ここで、上記特許文献1の温度応答性ポリマーでは、陽電荷強度が小さいDMAEMAを含むため、アニオン性物質の薬剤の担持は必ずしも容易とは言えず、担持可能な薬剤の種類や量が限られる可能性があった。
(B)の温度応答性ポリマーでは、重合鎖α末端に必ずしもカチオン性モノマーが存在する必要はなく、重合鎖中におけるカチオン性サイトの位置を自由に調整することが可能であり、また、広範なカチオン性モノマーを用いることができるため、カチオン性サイトの陽電荷強度や温度応答性ポリマー水溶液のpHを容易に調整することが可能である。
(B)の温度応答性ポリマーによれば、例えば、温度応答性ポリマーを薬物送達(DDS)に用いた場合、担持可能な薬剤の種類を拡大しつつ、その量を増加させることが可能となり、ひいては、温度応答性ポリマーの応用範囲を拡大することができる。
他のモノマーも用いた場合には、他のモノマー単位の、NIPAM単位、カチオン性モノマー単位、アニオン性モノマー単位の合計に対する割合(モル)が、0.001〜0.2であることが好ましく、0.01〜0.1であることが更に好ましい。
温度応答性ポリマーの分子量は、重合条件により、適宜調整することができる。
(C)の温度応答性ポリマー組成物の製造方法は、まず、混合型温度応答性ポリマー組成物を調製する(混合物調製工程)。具体的には、(1)2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)及び/又はその誘導体の重合体と、(2)2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール(トリス)と、(3)核酸、ヘパリン、ヒアルロン酸、デキストラン硫酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリリン酸、硫酸化多糖類、カードラン及びポリアルギン酸並びにこれらのアルカリ金属塩からなる群から選択される一種以上のアニオン性物質とを混合する((2)トリスは任意選択的に含む。)。
上記組成物では、DMAEMA及び/又はその誘導体の重合体の側鎖とトリスとが、互いに相互作用(例えば、架橋する作用)して、上記重合体が凝集しやすくなっていると推定される。
特に、DNAとしては、iPS細胞、ES細胞、間葉系幹細胞等の幹細胞を分化細胞、特に、心筋細胞、肝細胞、神経細胞、血管内皮細胞、に分化誘導できるDNAが好ましい。
分子量を上記範囲とすれば、アニオン性物質は、カチオン性物質とイオン結合して、カチオン性物質を、長時間捕捉する役割を果たすことができ、安定したイオン複合体微粒子を形成させることがでる。また、一般的にカチオン性物質が有する、細胞の細胞膜表面に対する静電的相互作用に起因する細胞傷害性を緩和することもできる。
なお、割合((2)/(1))は、重量割合であるものとする。
この組成物によれば、上記組成物の親水性と疎水性とのバランスを更に好適にすることができる。そして、この好適なバランスが、培養面への細胞の接着性を好適に調整し、細胞の遊走や配向を活性化していると推定される。
上記割合を0.1以上とすることにより、曇点を低減させるという上記効果が得られやすい。また、細胞構造体を形成しやすくするという上記効果が得られやすい。
なお、本願明細書では、C/A比とは、組成物中に含まれる物質が有する正電荷の、組成物中に含まれる物質が有する負電荷に対する割合を指す。具体的には、C/A比は、(1)DMAEMA及び/又はその誘導体の重合体のモル数をN1、(3)アニオン性物質のモル数をN3としたときに、{(重合体1分子当たりの正電荷)×N1}/{(アニオン性物質1分子当たりの負電荷)×N3}という式で表される。
またなお、本願明細書では、アニオン性物質をDNAとした場合、アニオン性物質1分子当たりの負電荷数は、DNAの塩基対の数(bp数)×2で計算し、分子量(Da)は、bp数×660(ATペア及びCGペアの平均分子量)で計算するものとする。
上記組成物中の正電荷と負電荷とのバランスを好適にして、正電荷による細胞傷害性を抑制することができると推定される。また、上記組成物の親水性と疎水性とのバランスを更に好適にして、細胞の遊走や配向を生じやすくすることができると推定される。
培養面に複数の被覆領域を調製する場合、温度応答性ポリマー又は温度応答性ポリマー組成物の配置(スポット)手法としては、例えば、8連マイクロピペッターによる手技、溶液を定量吐出するスポッター印刷法、回転スクリーンドラム印刷法等が挙げられる。
被覆領域の面積は、0.1〜30mm2であることが好ましい。上記範囲とすれば、目的の微小サイズのスフェロイドが得られやすい。
被覆領域間の距離が、0.1〜10mmであることが好ましい。なお、「被覆領域間の距離」とは、被覆領域間の培養面上における最短距離をいう。0.1mm以上とすれば、隣接する被覆領域間で、それぞれの領域に播種された細胞どうしが接着してしまうことを抑制することができる。10mm以下とすれば、大量の細胞構造体(スフェロイド等)を効率良い作製することができる。
被覆領域の数は、実験者の目的に応じて適宜定められてよく、2以上としてよく、10以上としてよく、1,000以上としてよい。
被覆領域の平面視形状は、円形、楕円形、外輪郭線の内側に曲率中心を有する形状であることが好ましい。
曲率半径としては、0.1〜50mmであることが好ましく、1〜10mmであることが更に好ましい。
円形の被覆領域の直径としては、10μm〜10mmであることが好ましく、30μm〜1500μmであることが更に好ましい。
これらの形状は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、培養面は、マイクロプレート(例えば、96穴プレート等)をベースとして作製されてよく、例えば、創薬の分野(特に、薬剤スクリーニング)において好適に用いることができる。
なお、被覆領域に対する水の接触角とは、被覆領域内の任意の数点において、JIS R3257に準拠して、測定される接触角の平均値を指す。
培養面を被覆する工程においては、被覆領域の端縁では被覆領域の中央部分と比較して、単位面積当たりに対する温度応答性ポリマー又は温度応答性ポリマー組成物の量が多くなり、ときに被覆領域の端縁が中央部分に対して盛り上がることがある。この場合、被覆領域に接着した細胞がなす細胞構造体の形状が整いにくい傾向がある。液滴の底面積を被覆領域の面積よりも小さくすれば、被覆領域において温度応答性ポリマー又は温度応答性ポリマー組成物の量が不均一になるおそれのある領域には細胞を接着させないようにすることができるようになるため、形状の整った細胞構造体を調製しやすくなる。
上記と同様の理由から、具体的には、各被覆領域において、被覆領域の面積に対する液滴の底面積の割合の上限を99%以下としてよく、上限は、97%、95%、90%、80%、70%、60%、50%することも好ましい。
また、上記割合の下限を10%以上としてよく、下限は、20%、30%とすることも好ましい。上記割合を10%以上とすれば、十分なサイズの細胞構造体を効率良く調製することが可能となる。
細胞を播種する工程において、細胞密度が高過ぎる場合には、細胞が重なり合った状態で沈殿してしまい、温度応答性ポリマー又は温度応答性ポリマー組成物と接触しない細胞が生じることとなる。この場合、このようなポリマー又はポリマー組成物と非接触の細胞は、例えば、他の細胞との融合によりその性質を変えてしまう等といった有害な影響をもたらす可能性がある。液滴に含まれる細胞の数を3.0×105個/mL以下とすれば、被覆領域にほぼ単層で細胞を沈殿させることができ、細胞を好適な条件下で培養することが可能となる。
液滴の径が1μmより少ないと、培地量が少なくなりすぎるため、乾燥が引き起こされる等細胞培養において適当でない環境となる可能性がある。
液滴の径が8mmを超えると、細胞が液滴内でポリマー又はポリマー組成物上に沈殿する際に、ポリマー上に配置される細胞の細胞密度にばらつきが生じ、スフェロイド形成が複数箇所で生じ(細胞の凝集の核となる応力発生点が複数箇所となり)、スフェロイドが真球状となりにくいおそれがある。
上記と同様の理由から、液滴の径は、更に好適には100μm〜4mmであり、特に好適には300μm〜3mmである。
1μmより少ないと、液滴同士が結合してしまう可能性がある。500μmを超えると、効率的にスフェロイドを大量生産するという目的を達成できない可能性がある。
上記と同様の理由から、液滴間の間隔は、2〜250μmであることが更に好ましく、5〜100μmであることが特に好ましい。
また、この培養面は、従来的に用いられてきた放射線照射を伴うグラフト重合の方法を用いることなく製造することが可能であること(後述)、また、ため、放射線照射により生じる重合体の分解物の量を低減することができ、細胞の生育に良好な環境を提供することができる。
温度応答性ポリマーとしては、前述の(A)2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)単位と、アニオン性モノマー単位とを含む温度応答性ポリマー、(B)N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)単位と、カチオン性モノマー単位と、アニオン性モノマー単位とを含む温度応答性ポリマー等が挙げられる。
(a)ガラス製の培養面をビニル基を有するシランカップリング剤で処理し、処理された培養面上において2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)を水存在下で紫外線を照射しながら重合させる方法、
(b)ガラス製の培養面をハロゲン化アルキル基を有するシランカップリング剤で処理し、また、ハロゲン化アルキル基とN,N−ジアルキル置換ジチオカバミル酸との置換反応で、N,N−ジアルキル置換ジチオカルバモイル基を培養面に導入し、かかる培養面上において、N,N−ジアルキル置換ジチオカルバモイル基をラジカル重合開始点として2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)を水存在下で紫外線を照射しながらイニファーター重合させる方法、
が挙げられる。
具体的には、ビニルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
シランカップリング剤での処理の条件は、常法の通りとしてよい。
特に、上記(a)の方法では下記の条件とすることが好ましい。
・紫外線照射における紫外線の波長としては、重合体の分解物の量を低減する観点から、近紫外線の波長であることが好ましく、330〜400nmであることが更に好ましく、350〜390nmであることが特に好ましい。
・処理された培養面の裏側から光を照射する(ガラスを透過させるように光を照射する)と、光源に含まれる短波長の紫外線をカットし、近紫外線領域の波長の光線を選択的に照射することも可能となり、かつ、ビニル基を有するシランカップリング剤側からDMAEMA側に向かって光照射して、モノマーの分解等よりも重合反応を優先させることも可能となるため、好ましい。
具体的には、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、p−クロロメチルベンジルトリクロロシラン、3−クロロプロピルトリクロロシラン等が挙げられる。
シランカップリング剤での処理の条件は、常法の通りとしてよい。
特に、上記(b)の方法では下記の条件とすることが好ましい。
・紫外線照射における紫外線の波長としては、重合体の分解物の量を低減する観点から、近紫外線の波長であることが好ましく、330〜400nmであることが更に好ましく、350〜390nmであることが特に好ましい。
・処理された培養面の裏側から光を照射する(ガラスを透過させるように光を照射する)と、光源に含まれる短波長の紫外線をカットし、近紫外線領域の波長の光線を選択的に照射することも可能となり、かつ、シランカップリング剤側からDMAEMA側に向かって光照射して、モノマーの分解等よりも重合反応を優先させることも可能となるため、好ましい
下記の試験において、市販の試薬は、特に断りのない限り更に精製することなく用いた。
(試験A1)ポリマーの製造
容量50mLの軟質ガラス製の透明なバイアル瓶に、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)10.0g、及び水5mLを加えて、磁気撹拌器を用いて撹拌した。そして、この混合物(液体)に対してG1グレードの高純度(純度:99.99995%)の窒素ガスを10分間パージ(流速:2.0L/分)することにより、この混合物を脱酸素した。なお、用いたDMAEMAには、重合禁止剤であるメチルヒドロキノン(MEHQ)が0.5質量%含まれていた。
その後、この反応物に対して、丸型ブラック蛍光灯(NEC社製、型番:FCL20BL、18W)を用いて、22時間紫外線照射することにより、上記反応物を重合させた。反応物は、5時間後に粘性を帯び15時間後に固化して、重合体が反応生成物として得られた。この反応生成物を2−プロパノールに溶解させ、溶液を透析チューブに移した。そして、透析を72時間行い、反応生成物を精製した。
反応生成物を含む溶液を、セルロース混合エステル製の0.2μmフィルター(東洋濾紙社製、型番:25AS020)で濾過し、得られた濾液を凍結乾燥させることにより、温度応答性(ホモ)ポリマーが得られた(収量:6.8g、転化率:68%)。このポリマーの数平均分子量(Mn)を、GPC(島津社製、型番:LC−10vpシリーズ)を用いて、ポリエチレングリコール(Shodex社製、TSKシリーズ)を標準物質として測定し、Mn=1.0×105g/mol(Mw/Mn=10.0)と決定した(実施例ポリマー1)。
1H−NMR(in D2O)δ 0.8−1.2(br,−CH2−C(CH3)−),1.6−2.0(br,−CH2−C(CH3)−),2.2−2.4(br,−N(CH3)2),2.5−2.7(br,−CH2−N(CH3)2),4.0−4.2(br,−O−CH2−).
ここで、主鎖のメチル基(δ 0.8−1.2)のプロトン数(DMAEMAのホモポリマーの場合はモノマー1分子につき3個)Aと、側鎖のジメチルアミノ基(δ 2.2−2.4)のメチルプロトン数(DMAEMAのホモポリマーの場合はモノマー1分子につき6個で)Bとから、側鎖が有するアミノ基の官能基数と、重合反応と同時に進行する側鎖のエステル結合の加水分解反応により生じた側鎖のカルボキシル基の官能基数との比を算出した。
その結果、上述の温度応答性ポリマーの場合は94:6となった。これは、カチオン性ポリマーとアニオン性ポリマーとを含む2成分混合系におけるイオン複合体で言うC/A比に換算すると、C/A比=15.6となる。
その結果、20℃〜30℃では、水溶液は透明であり、吸光度がほぼ0であったが、31℃付近から水溶液中に白濁が見られるようになり、32℃で吸光度が急激に上昇した。これにより、上記ポリマーは、約32℃の曇点を有することを確認した。
なお、実施例ポリマーを37℃まで昇温させると、ポリマー水溶液は、良好な応答性で、懸濁し、その後、水溶液全体が固化した。この固化物を室温(25℃)で維持したところ、数十時間の間、固化した状態のままであった。その後、固化物が徐々に溶解して、均質な水溶液に変化した。固化したポリマーは4℃まで冷却すると、速やかに溶解した。そして、上記昇温及び降温の操作を繰り返し行なっても、応答性に変化は生じなかったことから、ポリマーが可逆的に相転移を生じさせることが確認された。
実施例A1では、塗布・乾燥により調製した培養面を用いて、細胞構造体の製造を行った。
細胞培養器として、ポリスチレン製の35mm細胞培養プレート(イワキ社製、型番:3000−035−MYP、1ウェル当たりの底面積:9cm2)を用いた。
次いで、培養面上に、曇点以下に冷却した温度応答性ポリマーの水溶液(濃度:15μg/mL)40μLを、全面に亘って、塗布した。
そして、クリーンベンチ内にて放置することによって、塗布した温度応答性ポリマーの水溶液を乾燥させた。
こうして、細胞培養プレートの培養面に温度応答性ポリマーで被覆した被覆領域を設けた。
細胞培養プレートの小片に(試験A2)の手順と同様の手順に従って設けた被覆領域の表面ゼータ電位を、ゼータ電位計(大塚電子社製、型番:ELSZ)及び平板試料用セルユニットを用いて測定した。
具体的には、石英セルの下面に小片の試料を密着させ、セル内部にモニター粒子懸濁液を注入した。ここで、標準のモニター粒子として、ポリスチレンラテックス(粒子径:約500nm)をヒドロキシプロピルセルロース(Mw=30,000)で被覆した粒子(ゼータ電位:−5mV〜+5mV)を用いた。また、溶媒として、10mMの塩化ナトリウム水溶液をpH=7、37℃の条件下で用いた。そして、ゼータ電位は、Smoluchowski式を用いて算出した。
非被覆の細胞培養プレートの小片の表面のゼータ電位は−68mVであり、一般的な熱可塑性樹脂の固体表面のゼータ電位として当業者に周知の値であった。
一方、温度応答性ポリマーにより被覆された細胞培養プレートの小片の表面のゼータ電位は、+20mVであった。
なお、当業者に周知の通り、現在の技術では、固体表面のゼータ電位の測定値は、±10%程度のバラツキを有するものであり、また、試料の調製工程においても、コーティング操作自体にバラツキが存在するものであるため、上記ゼータ電位の測定値はある程度の誤差を有し得る。
細胞培養プレートの被覆領域に対する水の接触角を、JIS R3257に準拠して、接触角計(商品名:DMs−400、協和界面科学社製)を用いて測定したところ、70°±10°であった。
ここで、GFPでタグ付けしたラット皮下脂肪由来の間葉系脂肪幹細胞3.0×105個/mLを、完全培地(ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)+10%ウシ胎児血清(FBS)溶液、DMEM:ギブコ社製、型番:11995−065、FCS:インビロトジェン社製、ロット番号:928696)中に浮遊させ、細胞懸濁液を調製した。
細胞懸濁液をピペッターで、0.5μL、2μL、4μL、20μLの量を適宜選択しつつ、100箇所に液滴として滴下した(図1(iv)参照)。液滴の形状はほぼ真円形であり、液滴の径は、0.5μLの場合について1mm、2μLの場合について2mm、4μLの場合について3mm、20μLの場合について5.5mmであった。液滴間の間隔は、どの液滴間についても、200μm以上となるようにした。液滴の底面積の被覆領域の面積に対する割合は約75%であった。
この播種したラット皮下脂肪由来の脂肪幹細胞を、37℃、5%CO2雰囲気の細胞培養インキュベーター中で8時間培養した。
培養開始から0時間後(滴下直後)には、脂肪幹細胞が被覆領域の全面に接着していた(図1(v)参照)。
培養開始から2時間後に、被覆領域の外縁付近に位置する細胞が、自発的に剥離し始めた。
培養開始から3時間後〜6時間後にかけて、細胞の自発的な剥離は、被覆領域の外縁側から被覆領域の中心側に向かって、徐々に進行した。
培養開始から8時間後に、遂には、各被覆領域における培養から、被覆領域の数だけ、スフェロイド状の構造を有する細胞構造体が形成した(図1(vi)参照)。
形成したスフェロイド状の細胞構造体は、いずれも液滴の量に応じた所望のサイズの、ほぼ球形状の形状の整ったものであった。
実施例A2については、ポリマーの製造の条件を調整することにより、被覆領域の表面ゼータ電位を+20mVから+15mVに変更した以外は上記実施例A1と同様に、実験を行ったところ、実施例A1と同様に所望のサイズの形状の整ったスフェロイド状の構造を有する細胞構造体が得られた。
実施例A3については、ポリマーの製造の条件を調整することにより、被覆領域の表面ゼータ電位を+20mVから+35mVに変更した以外は上記実施例A1と同様に、実験を行ったところ、実施例A1と同様に所望のサイズの形状の整ったスフェロイド状の構造を有する細胞構造体が得られた。
実施例A4については、ポリマーの製造の条件を調整することにより、被覆領域に対する水の接触角を70°±10°から65°±7°に変更した以外は上記実施例A1と同様に、実験を行ったところ、実施例A1と同様に所望のサイズの形状の整ったスフェロイド状の構造を有する細胞構造体が得られた。
実施例A5については、ポリマーの製造の条件を調整することにより、被覆領域に対する水の接触角を70°±10°から75°±5°に変更した以外は上記実施例A1と同様に、実験を行ったところ、実施例A1と同様に所望のサイズの形状の整ったスフェロイド状の構造を有する細胞構造体が得られた。
(試験B1)培養面の調製
松浪硝子製の精密ガラス板:MICRO COVER GLASS(30mm×40mm×0.15mm厚)をジエチルエーテルで洗浄して乾燥させた。ガラス板同士の貼り付き防止用の油性成分や異物を清浄する目的で行った。
Vinyltrimethoxysilaneを4%酢酸水溶液へ溶解し、終濃度が0.5%または2.0%となるように調整した。このシラン化合物溶液をガラスの全面へ流延し,溶液厚が約0.1μmとなるよう液切りし、塩化カリウムの飽和溶液で84%となるように加湿した25℃の密閉デシケーター中で72時間静置した。RO水で洗浄した後に100℃で10分間処理して水分を蒸発させ、更にRO水および2−プロパノールで洗浄した。IRの分析によりシランカプリング剤Vinyltrimethoxysilaneに由来するビニル基がガラス表面へ固定されていることが確認された。
2−(N,N−Dimethylaminoethyl)methacrylateを10g、ROを5g混合した溶液を10分間窒素ガスでバブリングした。上記(1)で作製したビニル基が導入されたガラス板を100mm径シャーレへ配置し、窒素ガスバブリングにより脱酸素したモノマー水溶液10mLを加えてガラス板を浸漬し、内部が窒素雰囲気となるように密閉した。シャーレの底面から375nmのブラックライトを10時間照射し、ガラス板をRO水、2−プロパロールで洗浄して乾燥し、細胞培養器(1)を得た。
共重合体が固定されたガラス板表面上へラット皮下脂肪由来の間葉系幹細胞浮遊液(細胞密度:3.0×105個/mL、完全培地(ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)+10%ウシ胎児血清(FBS)溶液、DMEM:ギブコ社製、型番:11995−065、FCS:インビロトジェン社製、ロット番号:928696))をピペッターで0.5μL〜50μLの液滴として滴下し、底面の投影像から液滴の直径を測定した。液滴の量と液滴の径とは、図3(A)の通り、0.5μL〜50μLの液滴容量の全範囲では一次相関とはならなかった。
一方,図3(B)、(C)の通り、0.5μL〜5.0μLの範囲および5.0μL〜50μLの範囲へ分離すると、それぞれの領域で線形相関が確認され、液滴容量で液滴の直径が制御できることが示唆された。
図3(A)〜(C)に、実施例において培養面における液滴の量と液滴の径との相関を調査した結果を示す。
Vinyltrimethoxysilaneを4%酢酸水溶液へ溶解し、終濃度が2.0%となるように調整した。このシランカップリング剤の溶液を松浪硝子製の精密ガラス板上へ,0.5μLずつ、液滴の中心部から起算して1.2mm〜12mmの間隔を空けて4列×5行の20滴を滴下し、塩化カリウムの飽和溶液で84%に加湿した25℃のデシケーター中で72時間静置した。液滴をキャピラリーで吸引し、水およびメタノールで洗浄後して乾燥し、細胞培養器(2)を得た。
試験B1−1の場合と同様に、グラフト重合を行なった。IRの分析によりシランカップリン剤Vinyltrimethoxysilane溶液を滴下した液滴(ドット)上にのみ共重合体が固定されていることが確認された。
実施例B2では、グラフト重合により調製した培養面を用いて、細胞構造体の製造を行った。
試験B1−1で製造した共重合体が固定されたガラス板表面上へラット皮下脂肪由来の間葉系幹細胞浮遊液(細胞密度:3.0×105個/mL、完全培地(ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)+10%ウシ胎児血清(FBS)溶液、DMEM:ギブコ社製、型番:11995−065、FCS:インビロトジェン社製、ロット番号:928696))をピペッターで0.5μL〜2.0μLの範囲で4列×5行の20滴の液滴として滴下し、細胞培養インキュベーター(三洋電機,MCO−5C)で24時間培養した(37℃、5%炭酸ガス)。
個々の液滴中で細胞は単層を形成してガラス表面上へ接着し、細胞の上へ細胞が積載される状態はほとんど確認されなかった。液滴の滴下から1時間後には全数の細胞がガラス板上に接着して伸展していた。さらに培養を継続すると約9時間後から液滴の外周から中心に向かって凝集が始まり、21時間後には全細胞が一箇所へ集合して塊となって中心部でスフェロイドを形成した。
ガラス板を0.3%メチルセルロースのPBS溶液へ浸漬すると、すべてのスフェロイドをスフェロイド浮遊液として回収可能であった。
液滴と液滴の間の距離が30μm以下となると液滴同士が引力や空気相に対する表面張力の関係からか、お互いに融合し、結果、ガラス板の全面に浮遊液が流延した状態となり、細胞凝集の現象は随所で同時に起こる結果となった。
Claims (8)
- 培養面に温度応答性ポリマー又は温度応答性ポリマー組成物で被覆された被覆領域を調製し、該被覆領域に細胞懸濁液の液滴を形成し、該液滴中で細胞培養を行い、
ここで、前記被覆領域の表面ゼータ電位を0〜50mVとする
ことを特徴とする、細胞構造体の製造方法。 - 前記被覆領域に対する水の接触角を50〜90°とする、請求項1に記載の細胞構造体の製造方法。
- 前記培養面に複数の前記被覆領域を調製する、請求項1又は2に記載の細胞構造体の製造方法。
- 前記被覆領域に複数の前記液滴を形成する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の細胞構造体の製造方法。
- 各前記被覆領域において、前記液滴の底面積を前記被覆領域の面積よりも小さくする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の細胞構造体の製造方法。
- 前記液滴に含まれる細胞の数を3.0×105個/mL以下とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の細胞構造体の製造方法。
- 前記液滴の径を1μm〜8mmとする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の細胞構造体の製造方法。
- 前記液滴の量を0.5〜50μLとする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の細胞構造体の製造方法。
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