以下、本発明の積層体基板、導電性基板、積層体基板の製造方法、および導電性基板の製造方法の一実施形態について説明する。
(積層体基板、導電性基板)
本実施形態の積層体基板は、透明基材と、透明基材の少なくとも一方の面側に形成された積層体とを備えることができる。また、積層体は、Cu、Ni、Cr、Ti、Al、Fe、Co、Mo、V、Wからなる金属群から選択される1種類以上の金属からなる、あるいは上記金属群から選択された1種類以上の金属を主成分とする合金からなる下地金属層と、下地金属層上に配置され、酸素と、銅と、ニッケルとを含有する第1黒化層と、銅層と、を備えることができる。
そして、第1黒化層に含まれる金属成分のうち、ニッケルの割合を20質量%以上70質量%以下とすることができる。
なお、本実施形態における積層体基板とは、透明基材の表面に、パターニングする前の銅層や黒化層を有する基板である。また、導電性基板とは、透明基材の表面に、パターニングして配線の形状にした銅配線層や黒化配線層を有する配線基板である。
ここでまず、本実施形態の積層体基板に含まれる各部材について以下に説明する。
透明基材としては特に限定されるものではなく、可視光を透過する高分子フィルムや、ガラス基板等を好ましく用いることができる。
可視光を透過する高分子フィルムとしては例えば、ポリアミド系フィルム、ポリエチレンテレフタレート系フィルム、ポリエチレンナフタレート系フィルム、シクロオレフィン系フィルム、ポリイミド系フィルム、ポリカーボネート系フィルム等の樹脂フィルムを好ましく用いることができる。
透明基材の厚さについては特に限定されず、導電性基板とした場合に要求される強度や光の透過率等に応じて任意に選択することができる。透明基材の厚さとしては例えば10μm以上250μm以下とすることができる。特にタッチパネルの用途に用いる場合、20μm以上200μm以下であることが好ましく、より好ましくは20μm以上120μm以下である。タッチパネルの用途に用いる場合で、例えば特にディスプレイ全体の厚さを薄くすることが求められる用途においては、透明基材の厚さは20μm以上100μm以下であることが好ましい。
次に積層体について説明する。積層体は、透明基材の少なくとも一方の面側に形成され、下地金属層と、第1黒化層と、銅層とを有することができる。
ここではまず銅層について説明する。
銅層についても特に限定されないが、光の透過率を低減させないため、銅層と透明基材との間、または銅層と黒化層との間に接着剤を配置しないことが好ましい。すなわち銅層は、他の部材の上面に直接形成されていることが好ましい。
他の部材の上面に銅層を直接形成するため、スパッタリング法、イオンプレーティング法や蒸着法等の乾式めっき法を用いて銅薄膜層を形成し、該銅薄膜層を銅層とすることができる。
また銅層をより厚くする場合には、乾式めっき法で銅薄膜層を形成した後に湿式めっき法を用いることが好ましい。すなわち、例えば透明基材または黒化層上に、乾式めっき法により銅薄膜層を形成し、該銅薄膜層を給電層として、湿式めっき法により銅めっき層を形成することができる。この場合、銅層は銅薄膜層と、銅めっき層とを有することになる。
上述のように乾式めっき法のみ、または乾式めっき法と湿式めっき法とを組み合わせて銅層を形成することにより透明基材または黒化層上に接着剤を介さずに直接銅層を形成できるため好ましい。
銅層の厚さは特に限定されるものではなく、銅層を配線として用いた場合に、該配線の電気抵抗値や配線幅等に応じて任意に選択することができる。特に充分に電気が流れるように銅層は厚さが50nm以上であることが好ましく、60nm以上とすることがより好ましく、150nm以上であることがさらに好ましい。銅層の厚さの上限値は特に限定されないが、銅層が厚くなると、配線を形成するためにエッチングを行う際にエッチングに時間を要するためサイドエッチングが生じ、エッチングの途中でレジストが剥離する等の問題を生じ易くなる。このため、銅層の厚さは5000nm以下であることが好ましく、3000nm以下であることがより好ましい。なお、銅層が上述のように銅薄膜層と、銅めっき層とを有する場合には、銅薄膜層の厚さと、銅めっき層の厚さとの合計が上記範囲であることが好ましい。
次に、第1黒化層、および下地金属層について説明する。
銅層は金属光沢を有するため、透明基材上に銅層をエッチングした配線である銅配線層を形成したのみでは上述のように銅が光を反射し、例えばタッチパネル用の配線基板として用いた場合、ディスプレイの視認性が低下するという問題があった。そこで、黒化層を設ける方法が検討されてきたが、黒化層がエッチング液に対する反応性を充分に有していない場合があり、銅層と黒化層とを同時に所望の形状にエッチングすることは困難であったり、黒化層のエッチング残渣が生じる問題があった。
また、本発明の発明者らは当初、銅層表面の光の反射を抑制できる黒化層として、銅層の一部を酸化した酸化銅の層を形成する方法について検討を行った。そして、銅層の一部を酸化して黒化層とした場合、係る黒化層には不定比の銅酸化物や、酸化されていない銅が含まれている場合があることを見出した。
銅層、及び黒化層を備えた積層体基板の銅層、及び黒化層を同時にエッチングする場合、エッチング液として例えば銅層をエッチング可能なエッチング液を好適に用いることができる。そして、本発明の発明者らの検討によれば、黒化層が不定比の銅酸化物を含有する場合、銅層をエッチング可能なエッチング液に溶出しやすい。
このように、黒化層がエッチング液に対して溶出しやすい不定比の銅酸化物を含有する場合、黒化層はエッチング液に対する反応性が高く、銅層と比較して、黒化層のエッチング速度が大幅に速くなる。このため、銅層と黒化層とを同時にエッチング処理した場合、黒化層はアンダーカットになりやすかった。
そこで、本発明の発明者らは、銅層と、黒化層とを備え、同一のエッチング液により、一つの工程で銅層と、黒化層とを、アンダーカットの発生、及び開口部への黒化層の残渣の発生を抑制しつつ、エッチングできる積層体基板について、鋭意検討を行い、本発明を完成させた。
本実施形態の積層体基板が有する第1黒化層は、透明基材の表面に設けられた下地金属層上、すなわち下地金属層の表面に設けられる。
そして、下地金属層と第1黒化層との関係は、同一のエッチング液によりエッチングを行った場合に、下地金属層は、第1黒化層よりもエッチング液への反応性が高い層とすることができる。すなわち、下地金属層は、第1黒化層よりもエッチング液に溶解しやすく、別な言い方をすれば、下地金属層はエッチングされやすい層とすることができる。下地金属層を、第1黒化層よりもエッチング液への反応性が高い層とすることで、エッチング後に露出した透明基材の表面へのエッチング残渣の発生を抑制できる。このように、下地金属層のエッチング性が第1黒化層のエッチング性に影響するのである。
具体的には、本実施形態の積層体基板が有する第1黒化層は、酸素、および銅に加えて、エッチング液で溶解しにくいニッケル成分を含有することができる。
上述のように、第1黒化層は、金属成分として銅及びニッケルを含有することができる。また、第1黒化層が含有する金属成分は銅及びニッケルのみから構成することもできるが、この場合であっても、銅、及びニッケルのみに限定されるものではない。例えば第1黒化層は、金属成分としてさらに1質量%以下の不可避不純物が存在していてもよい。
第1黒化層は、酸素、銅、及びニッケルを含有していればよく、各成分がどのような状態で含まれているかは特に限定されるものではない。第1黒化層は、例えば少なくとも一部の銅や、ニッケルが酸化された、不定比の銅酸化物や、ニッケル酸化物を含有することができる。第1黒化層が上述のように不定比の銅酸化物を含有する場合でも、第1黒化層は、同時にニッケル成分も含有するため、エッチング液に対する反応性を銅層とほとんど差がないものとすることができる。特に、第1黒化層のエッチング液に対する反応性を、下地金属層よりも十分に抑制する観点から、第1黒化層は、ニッケルの不定比の酸化物を含有することが好ましい。
なお、第1黒化層が含有する酸素の量は特に限定されるものではない。ただし、第1黒化層や、後述する第2黒化層が含有する酸素の量は、積層体基板や、該積層体基板を用いて作製した導電性基板の光の反射率に影響を与える場合がある。このため、積層体基板や、該積層体基板を用いて作製する導電性基板において要求される光の反射率の程度や、第1黒化層の色調等に応じて、第1黒化層が含有する酸素の量、さらには第1黒化層を成膜する際に添加する酸素の量を選択することが好ましい。
第1黒化層に含まれる金属成分のうち、ニッケルの割合は特に限定されるものではないが、第1黒化層に含まれる金属成分のうち、ニッケルの割合は20質量%以上70質量%以下であることが好ましい。なお、第1黒化層に含まれる金属成分のうちのニッケルの割合とは、黒化層中の金属成分の含有量の合計、例えば銅と、ニッケルとの含有量の合計を100質量%とした場合のニッケルの割合を示している。
これは、第1黒化層に含まれる金属成分のうち、ニッケルの割合を20質量%以上とすることで、ニッケルの不定比の酸化物等の不定比の酸化物を含有しない下地金属層とのエッチング液に対する反応性の差、すなわち反応速度の差を十分確保することができるからである。
ただし、第1黒化層に含まれる金属成分のうち、ニッケルの割合が70質量%を超えて配合されるとニッケルが過剰で、第1黒化層のエッチングが困難になる恐れがある。すなわち第1黒化層のエッチング液への溶解速度が銅層と比較して遅く、銅層と同時にエッチングできる第1黒化層とすることができない恐れがある。このため、上述のように、第1黒化層に含まれる金属成分のうち、ニッケルの割合は、70質量%以下であることが好ましい。
また、第1黒化層に含まれる金属成分のうち、ニッケルの割合を20質量%以上70質量%以下とすることで、積層体基板、及び該積層体基板から形成した導電性基板の波長400nm以上700nm以下の光の正反射率の平均をより確実に55%以下と低くすることができる。このため、係る導電性基板をタッチパネル等の用途に用いた場合でも、ディスプレイの視認性の低下を抑制できるため、この点でも好ましい。
なお、後述するように、下地金属層の厚さも5nm以下とすることで、透明基材を透過して第1黒化層表面での波長400nm以上700nm以下の光の正反射率の平均を測定、算出した場合に、より確実に55%以下とすることができるため、好ましい。
一方、下地金属層は、Cu、Ni、Cr、Ti、Al、Fe、Co、Mo、V、Wからなる金属群から選択される1種類以上の金属からなる、あるいは上記金属群から選択された1種類以上の金属を主成分とする合金からなる層とすることができる。
ただし、下地金属層には、例えば金属成分としてさらに1質量%以下の不可避不純物が存在していてもよい。
また、上記金属群から選択された1種類以上の金属を主成分とする合金とは、上記金属群から選択された1種類以上の金属を、金属成分中、質量比で最も多く含有する合金であることを意味する。以下、本明細書中の同様の記載は同様の意味を有する。係る合金は、上記金属群から選択された1種類以上の金属からなる合金とすることもできる。
下地金属層は特に、Cu、Ni−Cu合金、Crを7質量%以下含むNi−Cr合金のいずれかからなることがさらに好ましい。ここで、Ni−Cr合金において、Crの含有量は0より多くすることができる。下地金属層が、上記いずれかの金属(合金)からなる場合、第1黒化層よりもエッチング液に対する反応性を特に高くすることができるため好ましい。
なお、下地金属層を成膜する際、酸素を添加しないので、下地金属層を構成する金属成分は金属として存在し、不定比の酸化物とはなっていない。
このように、下地金属層は酸素を含有しないため、下地金属層は、該下地金属層を構成する金属元素の不定比の酸化物、具体的には例えばニッケルの不定比の酸化物等のエッチング液に溶解しにくい成分を含まない構成とすることができる。
ここまで説明したように、下地金属層は所定の金属を含有することができ、酸素を含有しない構成とすることができる。一方、第1黒化層は酸素、銅、及びニッケルを含有することができる。
このため、本実施形態の積層体基板が有する下地金属層と、第1黒化層とは、エッチング液に対する反応性の差を生じ、上述のように下地金属層の方が、第1黒化層よりもエッチング液に対する反応性を高くすることができる。また、第1黒化層と銅層とのエッチング液に対する反応性をほとんど差がないものとすることができる。
本実施形態の積層体基板によれば、上述のように下地金属層がエッチングされやすいことから、積層体基板のパターニングを行った場合に、例えば透明基材の表面への黒化層のエッチング残渣の発生を抑制できる。これは、例えば下地金属層上に第1黒化層等の黒化層の残渣が生じていたとしても、下地金属層がエッチングにより容易に除去できるため、下地金属層の除去と共に、透明基材上から、係る黒化層の残渣も除去できるためである。そして、黒化層のエッチング残渣を少なくできることから、エッチングにより露出した透明基材の全光線透過率の減少率、言い換えれば開口部の全光線透過率の減少率を抑制できる。
ただし、下地金属層のエッチング液に対する反応性が高いため、下地金属層のみを設けた場合であれば、アンダーカットの発生が懸念される。しかし、本実施形態の積層体基板においては、下地金属層上に、下地金属層よりエッチングされにくい第1黒化層を配置し、第1黒化層で下地金属層を覆っている。このため、第1黒化層がエッチングで除去されなければ、下地金属層はエッチングで除去されないので、アンダーカットの発生を確実に抑制できる。さらには上述の通り、下地金属層がエッチングされやすいので、エッチング後の透明基材の表面に黒化層のエッチング残渣が残りにくい。
特にアンダーカットの発生を抑制する観点から、また第1黒化層表面での波長400nm以上700nm以下の光の正反射率の平均を抑制する観点から、下地金属層の厚さは5nm以下であることが好ましい。
なお、下地金属層の厚さの下限値についても特に限定されないが、下地金属層を膜として存在させるため、また第1黒化層のエッチング性を十分に高める観点からも、下地金属層の厚さは1.5nm以上であることが好ましい。
また、第1黒化層の厚さは特に限定されるものではなく、例えば銅層表面での光の反射を抑制する程度等に応じて任意に選択することができる。
特に、第1黒化層の厚さは、下限値は20nm以上であることが好ましい。
第1黒化層は上述のように銅層表面における光の反射を抑制する層として機能するが、第1黒化層の厚さが薄い場合には、銅層による光の反射を充分に抑制できない場合がある。これに対して、上述のように、第1黒化層の厚さを20nm以上とすることにより、銅層表面における光の反射をより確実に抑制できる。
第1黒化層の厚さの上限値は特に限定されるものではないが、必要以上に厚くしても成膜に要する時間や、配線を形成する際のエッチングに要する時間が長くなり、コストの上昇を招くことになる。このため、第1黒化層の厚さは70nm以下とすることが好ましく、50nm以下とすることがより好ましい。
以上に説明したように、本実施形態の積層体基板においては、所定の下地金属層と、第1黒化層を有するため、銅層と、第1黒化層と、を同時にエッチングすることができる。
なお、銅層と、第1黒化層と、を同時にエッチングできるとは、同一のエッチング液により、一つの工程で銅層と、第1黒化層とを、アンダーカットの発生、及び開口部への黒化層の残渣の発生を抑制しつつ、エッチングできることを意味している。
ただし、本実施形態の積層体基板においては、銅層と第1黒化層とを異なるエッチング液で配線加工することも可能であり、銅層を選択的に除去できるエッチング液と第1黒化層を選択的に除去できるエッチング液とを使い分け、より精細な金属細線を備えた導電性基板を作製することも可能である。このようにエッチング液を使い分ける場合でも、特に、下地金属層は第1黒化層よりもエッチング液に対する反応性が高いので、透明基材の面に黒化層の残渣なく精細な金属細線の形成が可能となる。
本実施形態の積層体基板に配置する下地金属層の成膜方法は特に限定されるものではない。下地金属層は例えばスパッタリング法等の乾式成膜法により形成することが好ましい。下地金属層をスパッタリング法により成膜する場合、下地金属層を構成する金属成分のターゲットを用いて、チャンバー内にスパッタリングガスとして用いられる不活性ガスを供給しながら成膜することができる。また、下地金属層の成膜の際のスパッタリングガスには酸素を添加しない。
本実施形態の積層体基板に配置する第1黒化層の成膜方法は特に限定されるものではない。第1黒化層は例えば、スパッタリング法等の乾式成膜法により形成することが好ましい。
第1黒化層をスパッタリング法により成膜する場合、例えば銅−ニッケル合金のターゲットを用いて、チャンバー内にスパッタリングガスとして用いられる不活性ガス以外に、酸素ガスを供給しながら成膜することができる。
第1黒化層の成膜で、スパッタリング時に銅−ニッケル合金のターゲットを用いた場合、銅−ニッケル合金中に含まれる金属成分、例えば銅及びニッケルのうち、ニッケルの割合は20質量%以上70質量%以下であることが好ましい。これは成膜する第1黒化層に含まれる金属成分、例えば銅及びニッケルのうちの、ニッケルの割合と、該黒化層を成膜する際に用いた銅−ニッケル合金のターゲットの、銅−ニッケル合金中に含まれる銅及びニッケルのうちのニッケルの割合と、が同じになるためである。
スパッタリング法により第1黒化層を成膜する際、チャンバー内に供給する酸素ガスの供給量を調整する方法は特に限定されるものではない。例えば酸素分圧が所望の分圧となるように予め酸素ガスと、不活性ガスとを混合した混合ガスを用いることもできる。また、チャンバー内に不活性ガス及び酸素ガスをそれぞれ同時に供給し、各ガスの供給量を調整することで、チャンバー内の酸素ガスの分圧を調整することもできる。特に後者の方が必要に応じてチャンバー内の各ガスの分圧を調整できることから好ましい。
なお、第1黒化層や、下地金属層を成膜する際の不活性ガスとしては特に限定されるものではなく、例えばアルゴンガスやキセノンガスを用いることができるが、アルゴンガスを好適に用いることができる。また、第1黒化層は、金属成分以外の成分として酸素以外に、水素、炭素から選ばれた1種類以上の成分もあわせて含有することもできる。このため、第1黒化層を成膜する際のガスは、酸素ガス、及び不活性ガス以外に、水蒸気、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガスから選択される1種類以上のガスを含んでいてもよい。
上述のように不活性ガスと、酸素ガス等とを、チャンバーに供給しながらスパッタリング法により第1黒化層を成膜する際、チャンバー内に供給する不活性ガスと、酸素ガスとの比は限定されるものではない。積層体基板や導電性基板に要求される光の反射率や、各黒化層の色調の程度等に応じて任意に選択することができる。
また、本実施形態の積層体基板は、第1黒化層以外にもさらに第2黒化層を有することもできる。この場合、積層体は、さらに第2黒化層を有することになる。第2黒化層は、銅層の表面に設けることができる。すなわち、銅層は第1黒化層と、第2黒化層との間に配置され、第1黒化層と、第2黒化層とに挟まれた状態とすることができる。第2黒化層を有する場合、第2黒化層の構成は特に限定されるものではなく、例えば第1黒化層と異なる構成とすることもできる。また、第2黒化層は、第1黒化層と同様の成分を含有する構成とすることもできる。第2黒化層は、具体的には例えば酸素と、銅とを含有することができる。また、第2黒化層はさらにニッケルを含有することもでき、酸素と、銅と、ニッケルとを含有することもできる。
第2黒化層は一層から構成することもできるが、複層構造とすることもでき、例えば金属成分として銅を含有する層と、金属成分として銅及びニッケルを含有する層とを有する構成とすることもできる。
そして、第2黒化層は、第2黒化層中の金属成分、例えば銅、または銅及びニッケルのうち、ニッケルの割合が0質量以上70質量%以下であることが好ましい。これは、第2黒化層が金属成分として銅、場合によってはさらにニッケルを含有する場合に、金属成分である銅と、ニッケルとの含有量の合計を100質量%とした場合に、ニッケルの割合が70質量%を超えるとニッケルが過剰で、第2黒化層のエッチングが困難になる恐れがあるからである。
第2黒化層の厚さは特に限定されないが、例えば下限値は5nm以上とすることができる。また、上限値は例えば70nm以下とすることが好ましく、50nm以下とすることがより好ましい。
また、上述のように第2黒化層を複層構造とする場合、その厚さの合計が上記範囲であることが好ましい。
第2の黒化層の成膜方法は特に限定されないが、第1黒化層と同様に、スパッタリング法等の乾式成膜法により形成することが好ましい。
第2黒化層をスパッタリング法により成膜する場合、例えば銅ターゲットや、銅−ニッケル合金のターゲットを用いて、チャンバー内にスパッタリングガスとして用いられる不活性ガス以外に、酸素ガスを供給しながら成膜することができる。
第2黒化層の成膜で、スパッタリング時に銅−ニッケル合金のターゲットを用いた場合、銅−ニッケル合金中に含まれる金属成分、例えば銅及びニッケルのうち、ニッケルの割合は0質量%より多く70質量%以下であることが好ましい。
第2黒化層をスパッタリング法により成膜する際のスパッタリングガスについては、第1黒化層を成膜する場合と同様に選択することができるため、ここでは説明を省略する。
本実施形態の積層体基板においては、後述のように透明基材上に、下地金属層、第1黒化層、及び銅層、場合によってはさらに第2黒化層を積層することができ、係る下地金属層、第1黒化層、および銅層、場合によってはさらに第2黒化層をパターニングすることで導電性基板とすることができる。
このため、本実施形態の積層体基板から得られる導電性基板の銅配線層と下地金属配線層と、各黒化配線層とはそれぞれ、本実施形態の積層体基板の銅層と下地金属層と各黒化層との特徴が維持される。
次に、本実施形態の積層体基板の構成例について説明する。
上述のように、本実施形態の積層体基板は透明基材と、下地金属層、第1黒化層、及び銅層を有する積層体と、を有することができる。なお、既述のように積層体はさらに第2黒化層を有することもできる。
この際、積層体内で下地金属層上に第1黒化層を設けること以外は銅層と各黒化層とを透明基材上に配置する順番や、その層の数は特に限定されるものではない。つまり、例えば透明基材の少なくとも一方の面側に、銅層、下地金属層、及び第1黒化層を二層ずつ積層することもできる。また、積層体内で下地金属層と第1黒化層とをその順に積層しさえすれば銅層および/または第1黒化層は複数層形成することもできる。
ただし、積層体内で銅層と、黒化層とを配置する際、銅層表面での光の反射の抑制のため、銅層の表面のうち光の反射を特に抑制したい面に黒化層が配置されていることが好ましい。
特に黒化層が銅層の表面に形成された積層構造を有することがより好ましい、具体的には例えば、積層体は、黒化層として、第1黒化層以外にさらに第2黒化層を有し、銅層は第1の黒化層と、第2の黒化層との間に配置された構成とすることができる。より具体的には例えば、透明基材側から、下地金属層、第1黒化層、銅層、第2黒化層の順に積層することができる。
第2黒化層を設ける場合、既述のように複層構造とすることもできるが、複層構造とするか一層とするかは適宜選択すればよく、特に限定されない。
また、第2黒化層は、例えば第1黒化層と同様の構成とすることもできるし、第1黒化層とは異なる構成とすることもできる。すなわち第2黒化層は、酸素と、銅とを含有する層とすることもでき、酸素と、銅と、ニッケルとを含有する層とすることもできる。このため、第2黒化層中の金属成分のうち、ニッケルの割合は、0質量%以上70質量%以下であることが好ましい。これは、第2黒化層が金属成分として銅、場合によってはさらにニッケルを含有する場合に、金属成分である銅と、ニッケルとの含有量の合計を100質量%とした場合に、ニッケルの割合が70質量%を超えると、第2黒化層のエッチングが困難になる恐れがあるからである。
本実施形態の積層体基板の具体的な構成例について、図2、図3を用いて以下に説明する。図2、および図3は、本実施形態の積層体基板の、透明基材、銅層、下地金属層、及び第1黒化層の積層方向と平行な面における断面図の例を示している。
例えば、図2(a)に示した積層体基板10Aのように、透明基材11の一方の面11a側に下地金属層12、第1黒化層13と、銅層14とを一層ずつその順に積層することができる。すなわち、透明基材11の表面に設けられる下地金属層12と、下地金属層12の表面に設けられる第1黒化層13と、第1黒化層13の表面に設けられる銅層14とを備えた構成とすることができる。
また、図2(b)に示した積層体基板10Bのように、透明基材11の一方の面11a側と、もう一方の面(他方の面)11b側と、にそれぞれ下地金属層12A、12B、第1黒化層13A、13Bと、銅層14A、14Bと、を一層ずつその順に積層することができる。
また、既述のように、本実施形態の積層体基板は、透明基材11の少なくとも一方の面側に下地金属層、第1黒化層、銅層以外に第2黒化層を設けることもできる。例えば図3(a)に示した積層体基板20Aのように、透明基材11の一方の面11a側に、下地金属層12と、第1黒化層13と、銅層14と、第2黒化層15と、をその順に積層することができる。
このように黒化層として、下地金属層12、第1黒化層13、及び第2黒化層15を有し、銅層14を第1黒化層13と、第2黒化層15との間に配置することで、銅層14の上面側、及び下面側から入射する光の反射をより確実に抑制することが可能になる。
この場合も透明基材11の両面に銅層、下地金属層、第1黒化層、第2黒化層を積層した構成とすることができる。具体的には図3(b)に示した積層体基板20Bのように、透明基材11の一方の面11a側と、もう一方の面(他方の面)11b側と、にそれぞれ下地金属層12A、12B、第1黒化層13A、13Bと、銅層14A、14Bと、第2黒化層15A、15Bと、をその順に積層できる。
なお、第2黒化層15(15A、15B)の製造方法は特に限定されるものではない。例えば、第2黒化層15(15A、15B)は、酸素と、銅とを含有する黒化層とすることもできる。また、第2黒化層15(15A、15B)は、第1黒化層13(13A、13B)と同様に酸素と、銅と、ニッケルとを含有する黒化層とすることもできる。このため、第1黒化層と同じ成分を含有するか、一部含有する金属成分が異なる層とすることができ、第1黒化層と、第2黒化層とは、同様の手段により製造することができる。
透明基材11の両面に銅層と、下地金属層と、黒化層と、を積層した、図2(b)、図3(b)の構成例においては、透明基材11を対称面として透明基材11の上下に積層した層が対称になるように配置した例を示したが、係る形態に限定されるものではない。
例えば、図3(b)において、透明基材11の一方の面11a側の構成を図2(b)の構成と同様に、下地金属層12Aと、第1黒化層13Aと、銅層14Aとをその順に積層した形態とすることができる。そして、もう一方の面(他方の面)11b側の構成を、下地金属層12Bと、第1黒化層13Bと、銅層14Bと、第2黒化層15Bと、をその順に積層した形態として、透明基材11の上下に積層した層を非対称な構成としてもよい。
本実施形態の積層体基板の光の反射の程度は特に限定されるものではないが、例えば波長400nm以上700nm以下の光の正反射率の平均は55%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、30%以下であることがさらに好ましい。これは波長400nm以上700nm以下の光の正反射率の平均が55%以下の場合、例えば本実施形態の積層体基板を、タッチパネル用の導電性基板として用いた場合でもディスプレイの視認性の低下を特に抑制できるためである。
積層体基板の正反射率の測定は、下地金属層、または黒化層に光を照射するようにして測定を行うことができる。すなわち、積層体基板に含まれる黒化層及び銅層のうち、黒化層側から光を照射して測定を行うことができる。具体的には例えば図2(a)のように透明基材11の一方の面11aに下地金属層12、第1黒化層13、銅層14の順に積層した場合、下地金属層12に光を照射できるように、透明基材11の面11b側から、下地金属層12の表面に対して光を照射して測定できる。
また、波長400nm以上700nm以下の光の正反射率の平均とは、400nm以上700nm以下の範囲内で波長を変化させて正反射率の測定を行った際の測定結果の平均値を意味している。測定の際、波長を変化させる幅は特に限定されないが、例えば、10nm毎に波長を変化させて上記波長範囲の光について測定を行うことが好ましく、1nm毎に波長を変化させて上記波長範囲の光について測定を行うことがより好ましい。
なお、後述のように積層体基板は銅層、下地金属層、及び黒化層をエッチングによって配線加工することにより金属細線を形成して導電性基板とすることができる。導電性基板における光の正反射率とは、透明基材を除いた場合に、最表面に配置されている下地金属層、または黒化層の、光が入射する側の表面における正反射率を意味する。
このため、エッチング処理を行った後の導電性基板であれば、銅層、下地金属層、及び黒化層が残存している部分での測定値が上記範囲を満たしていることが好ましい。
次に、本実施形態の導電性基板について説明する。
本実施形態の導電性基板は、透明基材と、透明基材の少なくとも一方の面側に形成された金属細線とを備えることができる。そして、金属細線は、Cu、Ni、Cr、Ti、Al、Fe、Co、Mo、V、Wからなる金属群から選択される1種類以上の金属からなる、あるいは上記金属群から選択された1種類以上の金属を主成分とする合金からなる下地金属配線層と、下地金属配線層上に設けられ、酸素と、銅と、ニッケルとを含有する第1黒化配線層と、銅配線層とを備えた積層体とすることができる。また、第1黒化配線層に含まれる金属成分のうち、ニッケルの割合を20質量%以上70質量%以下とすることができる。
本実施形態の導電性基板は、例えば既述の積層体基板を配線加工して得ることができる。このため、銅配線層、下地金属配線層、及び第1黒化配線層は、エッチングによりパターニングした点以外は、それぞれ既述の銅層、下地金属層、及び第1黒化配線層と同様の構成を有することができる。
すなわち、銅配線層は、厚さが50nm以上であることが好ましく、60nm以上とすることがより好ましく、150nm以上であることがさらに好ましい。銅配線層の厚さの上限値は特に限定されないが、5000nm以下であることが好ましく、3000nm以下であることがより好ましい。
また、下地金属配線層は、Cu、Ni、Cr、Ti、Al、Fe、Co、Mo、V、Wからなる金属群から選択される1種類以上の金属からなる、あるいは上記金属群から選択された1種類以上の金属を主成分とする合金からなる層とすることができる。ただし、例えば下地金属配線層には、金属成分としてさらに1質量%以下の不可避不純物が存在していてもよい。
下地金属配線層は特に、Cu、Ni−Cu合金、Crを7質量%以下含むNi−Cr合金のいずれかからなることがさらに好ましい。
下地金属配線層の厚さについても特に限定されないが、1.5nm以上、5nm以下であることが好ましい。
第1黒化配線層は、金属成分として銅及びニッケルを含有することができ、第1黒化配線層に含まれる金属成分のうち、ニッケルの割合は20質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
第1黒化配線層の厚さは特に限定されるものではないが、下限値は20nm以上であることが好ましい。また、第1黒化配線層の厚さの上限値は特に限定されるものではないが、70nm以下とすることが好ましく、50nm以下とすることがより好ましい。
そして、本実施形態の導電性基板においては、透明基材上に銅配線層と、下地金属配線層と、第1黒化配線層と、場合によってはさらに第2黒化配線層を設けており、第1黒化配線層等の黒化配線層により、銅配線層による光の反射を抑制することができる。従って、黒化配線層を設けることにより、例えばタッチパネル等に用いた場合に良好なディスプレイの視認性を有することができる。
本実施形態の導電性基板は例えばタッチパネル用の導電性基板として好ましく用いることができる。この場合、導電性基板は既述の積層体基板における銅層、下地金属層、及び第1黒化層や、場合によってはさらに第2黒化層に開口部を設けることで形成した配線パターンを有する構成とすることができる。より好ましくは、メッシュ状の配線パターンを備えた構成とすることができる。
開口部を備えた配線パターンが形成された導電性基板は、ここまで説明した積層体基板の銅層と、下地金属層と、第1黒化層と、場合によってはさらに第2黒化層とをエッチングすることにより得ることができる。そして、例えば二層の金属細線によりメッシュ状の配線パターンを有する導電性基板とすることができる。具体的な構成例を図4に示す。
図4はメッシュ状の配線パターンを備えた導電性基板30を銅配線層と、下地金属配線層と、第1黒化配線層と、場合によってはさらに第2黒化配線層との積層方向の上面側から見た図を示している。図4に示した導電性基板30は、透明基材11と、図中X軸方向に平行な複数の銅配線層34BとY軸方向に平行な銅配線層34Aとを有している。なお、銅配線層34A、34Bは、既述の積層体基板をエッチングすることで形成でき、銅配線層34A、34Bの上面および/または下面には図示しない下地金属配線層、及び第1黒化配線層等が形成されている。また、下地金属配線層、及び第1黒化配線層等は、透明基材11の主表面、すなわち透明基材11の銅配線層34A、34B等を積層している面と平行な面での断面形状が、銅配線層34A、34Bとほぼ同じ形状となるようにエッチングされている。
透明基材11と銅配線層34A、34Bとの配置は特に限定されない。透明基材11と銅配線層との配置の構成例を図5に示す。図5は図4のA−A´線での断面図に当たる。
例えば、図5に示したように、透明基材11の上下面にそれぞれ銅配線層34A、34Bが配置されていてもよい。なお、図5に示した導電性基板の場合、銅配線層34A、34Bの透明基材11側には、下地金属配線層32A、32B、及び第1黒化配線層33A、33Bが配置されている。下地金属配線層32A、32B、及び第1黒化配線層33A、33Bは、透明基材11の主表面と平行な面での断面形状を、銅配線層34A、34Bとほぼ同じ形状とすることができる。
また、図5に示したように、銅配線層34A、34Bの透明基材11とは反対側の面には、第2黒化配線層35A、35Bを配置することもできる。この場合、第2黒化配線層35A、35Bについても、透明基材11の主表面と平行な面での断面形状が、銅配線層34A、34Bとほぼ同じ形状とすることができる。
すなわち、図5に示した導電性基板においては、ここまで説明したように、金属細線は、下地金属配線層32A、32B、第1黒化配線層33A、33B、及び銅配線層34A、34Bに加えてさらに、第2黒化配線層35A、35Bを有することができる。そして、銅配線層34A、34Bは、第1黒化配線層33A、33Bと、第2黒化配線層35A、35Bとの間に配置された構成を有することができる。
第2黒化配線層は、既述の第2黒化層をエッチングすることにより形成することができる。このため、第2黒化配線層は、エッチングによりパターニングした点以外は既述の第2黒化層と同様の構成を有することができる。
具体的には、第2黒化配線層は、例えば酸素と、銅と、を含有することができる。また、場合によってはさらにニッケルを含有することができる。すなわち、第2黒化配線層は銅および酸素、または銅、ニッケル、および酸素を含有することができる。そして、第2黒化配線層は、第2黒化配線層中の金属成分のうち、ニッケルの割合が0質量%以上70質量%以下であることが好ましい。なお、ここでの第2黒化配線層中の金属成分とは、第2黒化配線層が銅と酸素とを含有する場合は銅となり、第2黒化配線層が第1黒化配線層と同様に酸素と銅とニッケルとを含有する場合は、銅及びニッケルとなる。
また、第2黒化配線層は複層構造とすることもでき、例えば金属成分として銅を含有する層と、金属成分として銅及びニッケルを含有する層とを有する構成とすることもできる。
第2黒化配線層の厚さは特に限定されないが、例えば下限値は5nm以上とすることができる。また、上限値は例えば70nm以下とすることが好ましく、50nm以下とすることがより好ましい。第2黒化配線層を複層構造とする場合、その厚さの合計が上記範囲であることが好ましい。
なお、ここでは下地金属配線層、及び第1黒化配線層に加えて、第2黒化配線層を設けた例を示したが、係る形態に限定されるものではない。例えば黒化層として、第1黒化配線層のみを有する導電性基板とすることもできる。
図4に示したメッシュ状の配線を有する導電性基板は例えば、図2(b)、図3(b)のように透明基材11の両面に銅層14A、14Bと、下地金属層12A、12Bと、第1黒化層13A、13Bとを備えた積層体基板から形成することができる。
なお、例えば図5に示した黒化配線層として、第1の黒化配線層、及び第2黒化配線層を備えた導電性基板は、図3(b)に示した積層体基板から形成することができる。
そこで、図3(b)の積層体基板を用いて形成した場合を例に説明する。
まず、透明基材11の一方の面11a側の下地金属層12A、第1黒化層13A、銅層14A、及び第2黒化層15Aを、図3(b)中Y軸方向に平行な複数の線状のパターンが、X軸方向に沿って所定の間隔をあけて配置されるようにエッチングする。なお、図3(b)中のY軸方向とは、紙面と垂直な方向を指す。また、図3(b)中のX軸方向とは各層の幅方向と平行な方向を意味している。
そして、透明基材11のもう一方の面11b側の下地金属層12B、第1黒化層13B、銅層14B、及び第2黒化層15Bを、図3(b)中X軸方向と平行な複数の線状のパターンがY軸方向に沿って所定の間隔をあけて配置されるようにエッチングを行う。
以上の操作により図4、図5に示したメッシュ状の配線を有する導電性基板を形成することができる。なお、透明基材11の両面のエッチングは同時に行うこともできる。すなわち、下地金属層12A、12B、第1黒化層13A、13B、銅層14A、14B、及び第2黒化層15A、15Bのエッチングは同時に行ってもよい。
また、図2(b)に示した積層体基板を用いて、同様にエッチングを行うことで、第2黒化配線層35A、35Bを有しない点以外は、図5に示した導電性基板と同様の構成を有する導電性基板を形成することができる。
図4に示したメッシュ状の配線を有する導電性基板は、図2(a)または図3(a)に示した積層体基板を2枚用いることにより形成することもできる。図3(a)の導電性基板を用いた場合を例に説明すると、図3(a)に示した導電性基板2枚についてそれぞれ、下地金属層12、第1黒化層13、銅層14、及び第2黒化層15を、X軸方向と平行な複数の線状のパターンがY軸方向に沿って所定の間隔をあけて配置されるようにエッチングを行う。そして、上記エッチング処理により各導電性基板に形成した線状のパターンが互いに交差するように向きをあわせて2枚の導電性基板を貼り合せることによりメッシュ状の配線を備えた導電性基板とすることができる。2枚の導電性基板を貼り合せる際に貼り合せる面は特に限定されるものではない。
例えば、2枚の導電性基板について、図3(a)における透明基材11の銅層14等が積層されていない面11b同士を貼り合せることで、図5に示した構成とすることができる。
なお、図4に示したメッシュ状の配線を有する導電性基板における金属細線の幅や、金属細線間の距離は特に限定されるものではなく、例えば、金属細線に必要な電気抵抗値等に応じて選択することができる。
ただし、透明基材と、金属細線とが十分な密着性を有するように、以下のアンダーカット量比率が所定の範囲にあることが好ましい。
ここで、図6を用いてアンダーカット量比率について説明する。図6は、透明基材11上に、黒化配線層61、銅配線層62がその順に積層された導電性基板の、黒化配線層及び銅配線層の積層方向に沿った面における断面図を示している。なお、図6においては黒化配線層61が1層と、銅配線層62が1層とにより金属細線が構成された例を示している。
導電性基板を構成する層のうち、透明基材に接する層が、透明基材に接する層の上面に形成された層よりもエッチング速度が速い場合、透明基材に接する層のパターン幅が、透明基材に接する層上に形成された層のパターン幅よりも狭くなる場合がある。すなわち、アンダーカットが発生する場合がある。
図6に示した構成例において、透明基材に接する黒化層のエッチング速度が、黒化層の上面に形成された銅層のエッチング速度よりも速い場合、アンダーカットが発生する場合がある。図6に示した構成例においてアンダーカットが発生した場合、金属細線の底部幅となる、透明基材11に接する黒化配線層61の幅(W2)が、金属細線のパターン幅となる黒化配線層61上に形成された銅配線層62の幅(W1)よりも狭くなる。
この場合、アンダーカット量比率は、金属細線の底部幅(W2)と、金属細線のパターン幅(W1)とにより、(W1−W2)/2W1の式で表される。
なお、本実施形態の導電性基板においては、既述のように透明基材11側から例えば下地金属配線層、第1黒化配線層、銅配線層の順に積層することができる。導電性基板が係る形態を有する場合には、下地金属配線層と、第1黒化配線層とをあわせたものを図6における黒化配線層61とみなし、透明基材11に接する下地金属配線層の幅を上述の金属細線の底部幅W2とすることができる。また、銅配線層の幅を上記金属細線のパターン幅W1とすることができる。
そして、アンダーカット量比率は(W1−W2)/2W1≦0.075の関係を有することが好ましい。これはアンダーカット量比率が上記関係を充足することで、黒化層と、銅層とを同時にエッチングし、所望のパターンにパターニングできているといえ、透明基材11と金属細線との密着性を高める観点からも好ましいからである。
ここまで図4、図5においては、直線形状の金属細線を組み合わせてメッシュ状の配線パターンを形成した例を示したが、係る形態に限定されるものではなく、配線パターンを構成する金属細線は任意の形状とすることができる。例えばディスプレイの画像との間でモアレ(干渉縞)が発生しないようメッシュ状の配線パターンを構成する金属細線の形状をそれぞれ、ぎざぎざに屈曲した線(ジグザグ直線)等の各種形状にすることもできる。
本実施形態の導電性基板は、既述の積層体基板を配線加工し、積層体基板における下地金属層、第1黒化層等の黒化層、及び銅層に開口部を設けることで形成した配線パターンを有する。このため、配線パターンに含まれる金属細線間には透明基材を露出する開口部が設けられている。
そして、該開口部の波長400nm以上700nm以下の光の透過率の平均の、透明基材の波長400nm以上700nm以下の光の透過率の平均からの減少率は、3.0%以下であることが好ましい。
これは、上記開口部の波長400nm以上700nm以下の光の透過率の平均の、積層体基板に供する透明基材の波長400nm以上700nm以下の光の透過率の平均からの減少率が3.0%を超えると、透明基材を目視で観察すると黄色に変色して見える場合があるからである。上記減少率が3.0%を超えるのは、下地金属層を設けない場合であって、第1黒化層、及び銅層をエッチングする際に第1黒化層のエッチング速度が遅く第1黒化層と銅層とを同時にエッチングできていないためである。このため、既述のように、第1黒化層よりもエッチングされやすい下地金属層を設けることが必要である。
また、本実施形態の導電性基板の光の反射の程度は特に限定されるものではないが、例えば波長400nm以上700nm以下の光の正反射率の平均は55%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、30%以下であることがさらに好ましい。これは波長400nm以上700nm以下の光の正反射率の平均が55%以下の場合、例えばタッチパネル用の導電性基板として用いた場合でもディスプレイの視認性の低下を特に抑制できるためである。
ここまで説明した本実施形態の2層の配線から構成されるメッシュ状の配線を有する導電性基板は、例えば投影型静電容量方式のタッチパネル用の導電性基板として好ましく用いることができる。
(積層体基板の製造方法、導電性基板の製造方法)
次に本実施形態の積層体基板の製造方法の構成例について説明する。
本実施形態の積層体基板の製造方法は、以下の工程を有することができる。
透明基材を準備する透明基材準備工程。
透明基材の少なくとも一方の面側に積層体を形成する積層体形成工程。
そして、上記積層体形成工程は以下のステップを含むことができる。
Cu、Ni、Cr、Ti、Al、Fe、Co、Mo、V、Wからなる金属群から選択される1種類以上の金属からなる、あるいは上記金属群から選択される1種類以上の金属を主成分とする合金からなる下地金属層を堆積する下地金属層成膜手段により下地金属層を成膜する下地金属層形成ステップ。
下地金属層上に、酸素と、銅と、ニッケルとを含有する第1黒化層を堆積する第1黒化層成膜手段により第1黒化層を形成する第1黒化層形成ステップ。
銅層を堆積する銅層成膜手段により銅層を形成する銅層形成ステップ。
そして、下地金属層形成ステップ、及び第1黒化層形成ステップは減圧雰囲気下において実施することが好ましい。また、第1黒化層に含まれる金属成分のうち、ニッケルの割合が20質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
以下に本実施形態の積層体基板の製造方法について説明するが、以下に説明する点以外については上述の積層体基板の場合と同様の構成とすることができるため説明を省略している。
上述のように、本実施形態の積層体基板は透明基材と、銅層及び各黒化層を有する積層体と、を有することができる。この際、積層体内で下地金属層上に第1黒化層を設けること以外は銅層と各黒化層とを透明基材上に配置する順番や、その層の数は特に限定されるものではない。つまり、例えば透明基材の少なくとも一方の面側に、銅層と下地金属層と第1黒化層とをそれぞれ複数層積層することもできる。
このため、上記銅層形成ステップと、下地金属層形成ステップと、第1黒化層形成ステップとは、下地金属層形成ステップの直後に第1黒化層形成ステップを実施する点以外は、その実施する順番や、実施する回数については特に限定されるものではない。従って、形成する積層体基板の構造に合わせて任意の回数、タイミングで実施することができる。
透明基材準備工程は、例えば可視光を透過する高分子フィルムや、ガラス基板等により構成された透明基材を準備する工程であり、具体的な操作は特に限定されるものではない。例えば後段の各工程、ステップに供するため必要に応じて任意のサイズに切断等を行うことができる。なお、可視光を透過する高分子フィルムとして好適に用いることができるものについては既述のため、ここでは説明を省略する。
次に積層体形成工程について説明する。積層体形成工程は透明基材の少なくとも一方の面側に積層体を形成する工程であり、下地金属層形成ステップと、第1黒化層形成ステップと、銅層形成ステップとを有することができる。各ステップについて以下に説明する。
まず、下地金属層形成ステップ、及び第1黒化層形成ステップについて説明する。
下地金属層形成ステップは、透明基材の少なくとも一方の面側にCu、Ni、Cr、Ti、Al、Fe、Co、Mo、V、Wからなる金属群から選択される1種類以上の金属からなる、あるいは上記金属群から選択される1種類以上の金属を主成分とする合金からなる下地金属層を堆積する下地金属層成膜手段により下地金属層を成膜するステップである。
また、第1黒化層形成ステップは、下地金属層上に、酸素と、銅と、ニッケルとを含有する第1黒化層を堆積する第1黒化層成膜手段により第1黒化層を形成するステップである。
下地金属層形成ステップにおける下地金属層成膜手段、及び第1黒化層形成ステップにおける第1黒化層成膜手段は特に限定されるものではないが、乾式めっき法であることが望ましい。
なお、本実施形態の積層体基板は、第2黒化層を有することもでき、この場合、積層体形成工程は、第2黒化層形成ステップを有することができる。第2黒化層形成ステップでは、第2黒化層を堆積する第2黒化層成膜手段により第2黒化層を形成することができる。第2黒化層成膜手段についても特に限定されるものではないが、乾式めっき法であることが好ましい。
上述の下地金属層形成ステップや、第1黒化層形成ステップ、第2黒化層形成ステップで好適に用いることができる乾式めっき法としては特に限定されるものではないが、減圧雰囲気下において、スパッタリング法、イオンプレーティング法を用いることができる。特に下地金属層や、黒化層の組成や厚さの制御が容易であることから、スパッタリング法を用いることがより好ましい。すなわち、下地金属層成膜手段、及び第1黒化層成膜手段はスパッタリング成膜法であることが好ましい。また、第2黒化層も成膜する場合には、第2黒化層成膜手段はスパッタリング成膜法であることが好ましい。すなわち、黒化層を成膜する第1黒化層成膜手段、及び第2黒化層成膜手段は、スパッタリング成膜法であることが好ましい。
下地金属層、及び第1黒化層、場合によってはさらに第2黒化層等は例えば図7に示したロール・ツー・ロールスパッタリング装置70を用いて好適に成膜することができる。
図7はロール・ツー・ロールスパッタリング装置70の一構成例を示している。ロール・ツー・ロールスパッタリング装置70は、その構成部品のほとんどを収納した筐体71を備えている。図7において筐体71の形状は直方体形状として示しているが、筐体71の形状は特に限定されるものではなく、内部に収容する装置や、設置場所、耐圧性能等に応じて任意の形状とすることができる。例えば筐体71の形状は円筒形状とすることもできる。ただし、成膜開始時に成膜に関係ない残留ガスを除去するため、筐体71内部は1Pa以下まで減圧できることが好ましく、10−3Pa以下まで減圧できることがより好ましく、10−4Pa以下まで減圧できることがさらに好ましい。なお、筐体71内部全てが上記圧力まで減圧できる必要はなく、スパッタリングを行う、後述するキャンロール73が配置された図中下側の領域のみが上記圧力まで減圧できるように構成することもできる。
筐体71内には、第1黒化層または第2黒化層を成膜する基材を供給する巻出ロール72、キャンロール73、スパッタリングカソード74a〜74d、前フィードロール75a、後フィードロール75b、テンションロール76a、76b、巻取ロール77を配置することができる。また、下地金属層や、第1黒化層、第2黒化層を成膜する基材の搬送経路上には、上記各ロール以外に任意にガイドロール78a〜78hや、ヒーター79等を設けることもできる。
巻出ロール72、キャンロール73、前フィードロール75a、巻取ロール77にはサーボモータによる動力を備えることができる。巻出ロール72、巻取ロール77は、パウダークラッチ等によるトルク制御によって銅薄膜層を成膜する基材の張力バランスが保たれるようになっていることが好ましい。
キャンロール73の構成についても特に限定されないが、例えばその表面が硬質クロムめっきで仕上げられ、その内部には筐体71の外部から供給される冷媒や温媒が循環し、一定の温度に調整できるように構成されていることが好ましい。
テンションロール76a、76bは例えば、表面が硬質クロムめっきで仕上げられ張力センサーが備えられていることが好ましい。また、前フィードロール75aや、後フィードロール75b、ガイドロール78a〜78hについても表面が硬質クロムめっきで仕上げられていることが好ましい。
スパッタリングカソード74a〜74dは、マグネトロンカソード式でキャンロール73に対向して配置することが好ましい。スパッタリングカソード74a〜74dのサイズは特に限定されないが、スパッタリングカソード74a〜74dの下地金属層や、第1黒化層等を成膜する基材の巾方向の寸法は、対向する下地金属層や、第1黒化層等を成膜する基材の巾より広いことが好ましい。
下地金属層や、第1黒化層等を成膜する基材は、ロール・ツー・ロール真空成膜装置であるロール・ツー・ロールスパッタリング装置70内を搬送される。そして、キャンロール73上であって、スパッタリングカソード74a〜74dと対向する位置を通過する際に下地金属層や、第1黒化層等が成膜される。ロール・ツー・ロールスパッタリング装置70を用いて第1黒化層を成膜する場合の手順の構成例について説明する。
まず、銅−ニッケル合金ターゲットをスパッタリングカソード74a〜74dに装着し、第1黒化層を成膜する基材を巻出ロール72にセットした筐体71内を真空ポンプ80a、80bにより真空排気する。なお、形成する第1黒化層に含まれる金属成分、例えば銅、及びニッケルのうち、ニッケルの割合は20質量%以上70質量%以下であることが好ましい。このため、第1黒化層を成膜する際に用いる銅−ニッケル合金ターゲットについても、銅、及びニッケルのうち、ニッケルの割合が20質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
そしてその後、不活性ガス、例えばアルゴンと、酸素とからなるスパッタリングガスを気体供給手段81により筐体71内に導入することができる。なお、気体供給手段81の構成は特に限定されないが、図示しない気体貯蔵タンクを有することができる。そして、気体貯蔵タンクと筐体71との間に、ガス種ごとにマスフローコントローラー(MFC)811a、811b、及びバルブ812a、812bを設け、各ガスの筐体71内への供給量を制御できるように構成できる。図7ではマスフローコントローラーと、バルブとを2組設けた例を示しているが、設置する数は特に限定されず、用いるガス種の数に応じて設置する数を選択することができる。
この際、スパッタリングガスの流量と、真空ポンプ80bと筐体71との間に設けられた圧力調整バルブ82の開度とを調整して筐体71内を例えば0.13Pa以上13Pa以下に保持して成膜を実施することが好ましい。
なお、不活性ガス、酸素ガスは予め混合したガスを筐体71内に供給することもできるが、それぞれ個別に筐体71に供給し、筐体71内でそれぞれのガスが所望の分圧となるようにその供給量、圧力を調整することもできる。また、スパッタリングガスは、既述のように不活性ガスと、酸素とからなるガスに限定されるものではなく、水蒸気、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガスから選択される1種類以上のガスをさらに含んでいてもよい。
この状態で、巻出ロール72から基材を例えば毎分0.5m以上10m以下程度の速さで搬送しながら、スパッタリングカソード74a〜74dに接続したスパッタリング用直流電源より電力を供給してスパッタリング放電を行う。これにより基材上に所望の第1黒化層を連続成膜することができる。
なお、ロール・ツー・ロールスパッタリング装置70には上述した以外にも必要に応じて各種部材を配置できる。例えば筐体71内の圧力を測定するための圧力計83a、83bや、ベントバルブ84a、84bを設けることもできる。
下地金属層は、銅−ニッケル合金ターゲットに替えて、Cu、Ni、Cr、Ti、Al、Fe、Co、Mo、V、Wからなる金属群から選択される1種類以上の金属からなる、あるいは上記金属群から選択される1種類以上の金属を主成分とする合金のターゲットをスパッタリングカソード74a〜74dに装着する点とスパッタリングガスに酸素を添加しない点以外は上述の第1黒化層の場合と同様にして成膜することができる。
なお、下地金属層は特に、Cu、Ni−Cu合金、Crを7質量%以下含むNi−Cr合金のいずれかからなることがさらに好ましい。このため、これらの組成に対応したターゲットを用いて、下地金属層を成膜することが好ましい。
また、既述のように、本実施形態の積層体基板は、下地金属層、第1黒化層以外に、第2黒化層を有することもできる。このように、第2黒化層を成膜する場合には、第2黒化層の目的とする組成に応じたターゲット、例えば銅ターゲットや、銅−ニッケル合金ターゲットをスパッタリングカソード74a〜74dに装着する以外は、上述の第1黒化層の場合と同様にして成膜することができる。
そして、下地金属層形成ステップ、及び第1黒化層形成ステップは減圧雰囲気下において実施することが好ましい。また、第2黒化層形成ステップを行う場合には、第2黒化層形成ステップについても同様に減圧雰囲気下で実施することが好ましい。
次に、銅層形成ステップについて説明する。
銅層形成ステップでは透明基材の少なくとも一方の面側に銅層、すなわち銅を堆積する銅層成膜手段により銅層を形成することができる。
銅層形成ステップでは、乾式めっき法を用いて銅薄膜層を形成することが好ましい。また銅層をより厚くする場合には、乾式めっき法により銅薄膜層を形成後に湿式めっき法を用いてさらに銅めっき層を形成することが好ましい。
このため、銅層形成ステップは、例えば乾式めっき法により銅薄膜層を形成するステップを有することができる。また、銅層形成ステップは、乾式めっき法により銅薄膜層を形成するステップと、該銅薄膜層を給電層として、湿式めっき法により銅めっき層を形成するステップと、を有していてもよい。
従って、上述の銅層成膜手段としては1つの成膜手段に限定されるものではなく、複数の成膜手段を組み合わせて用いることもできる。
上述のように乾式めっき法のみ、又は乾式めっき法と湿式めっき法とを組み合わせて銅層を形成することにより透明基材または黒化層上に接着剤を介さずに直接銅層を形成できるため好ましい。
上述のように、銅層形成ステップでは、例えば乾式めっき法により銅薄膜層を形成することができる。
乾式めっき法としては特に限定されるものではないが、減圧雰囲気下において、スパッタリング法、イオンプレーティング法や蒸着法等を好ましく用いることができる。
特に、銅薄膜層の形成に用いる乾式めっき法としては、厚さの制御が容易であることから、スパッタリング法を用いることがより好ましい。すなわちこの場合、銅層形成ステップにおける銅層を堆積させる銅層成膜手段としてスパッタリング成膜手段(スパッタリング成膜法)を好ましく用いることができる。
銅薄膜層は、例えば図7に示したロール・ツー・ロールスパッタリング装置70を用いて好適に成膜することができる。なお、ロール・ツー・ロールスパッタリング装置70の構成については既述のため、ここでは説明を省略する。
以下にロール・ツー・ロールスパッタリング装置を用いた場合を例に銅薄膜層を形成するステップを説明する。
ロール・ツー・ロールスパッタリング装置70を用いて銅薄膜層を成膜する場合の手順について説明する。
まず、銅ターゲットをスパッタリングカソード74a〜74dに装着し、銅薄膜層を成膜する基材を巻出ロール72にセットした筐体71内を真空ポンプ80a、80bにより真空排気する。
その後、不活性ガス、例えばアルゴン等のスパッタリングガスを気体供給手段81により筐体71内に導入することができる。
そして、気体供給手段81によりスパッタリングガスを筐体71内に供給した際、スパッタリングガスの流量と、真空ポンプ80bと筐体71との間に設けられた圧力調整バルブ82の開度と、を調整して装置内を例えば0.13Pa以上1.3Pa以下に保持し、成膜を実施することが好ましい。
この状態で、巻出ロール72から基材を例えば毎分1m以上20m以下の速さで搬送しながら、スパッタリングカソード74a〜74dに接続したスパッタリング用直流電源より電力を供給してスパッタリング放電を行う。これにより基材上に所望の銅薄膜層を連続成膜することができる。
また、既述のように乾式めっき後に湿式めっき法を用いてさらに銅層(銅めっき層)を成膜することができる。
湿式めっき法により銅めっき層を成膜する場合、上述した乾式めっきにより成膜した銅薄膜層を給電層とすることができる。そしてこの場合、銅層形成ステップにおける銅を堆積させる銅層成膜手段として、電気めっき成膜手段を好ましく用いることができる。
銅薄膜層を給電層として、湿式めっき法により銅めっき層を形成する工程における条件、すなわち、電気めっき処理の条件は、特に限定されるものではなく、常法による諸条件を採用すればよい。例えば、銅めっき液を入れためっき槽に銅薄膜層を形成した基材を供給し、電流密度や、基材の搬送速度を制御することによって、銅めっき層を形成できる。
ここまで、本実施形態の積層体基板の製造方法に含まれる各工程、ステップについて説明した。
本実施形態の積層体基板の製造方法により得られる積層体基板は、既述の積層体基板と同様に、銅層は厚さが50nm以上であることが好ましく、60nm以上とすることがより好ましく、150nm以上であることがさらに好ましい。銅層の厚さの上限値は特に限定されないが、銅層の厚さは5000nm以下であることが好ましく、3000nm以下であることがより好ましい。なお、銅層が上述のように銅薄膜層と、銅めっき層を有する場合には、銅薄膜層の厚さと、銅めっき層の厚さとの合計が上記範囲であることが好ましい。
下地金属層についても厚さは特に限定されないが、1.5nm以上5nm以下が好ましい。
第1黒化配線層についても厚さは特に限定されるものではないが、下限値は20nm以上であることが好ましい。また、第1黒化層の厚さの上限値は特に限定されるものではないが、70nm以下とすることが好ましく、50nm以下とすることがより好ましい。
第2黒化層を設ける場合、その厚さは特に限定されないが、例えば下限値は5nm以上とすることができる。また、上限値は例えば70nm以下とすることが好ましく、50nm以下とすることがより好ましい。なお、既述のように第2黒化層は複層構造とすることもでき、この場合、第2黒化層を構成する複数の層の厚さの合計が上記範囲であることが好ましい。
さらに、本実施形態の積層体基板の製造方法により得られる積層体基板は、波長400nm以上700nm以下の光の正反射率の平均は55%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、30%以下であることがさらに好ましい。
本実施形態の積層体基板の製造方法により得られる積層体基板を用いて、銅層、下地金属層、及び第1黒化層に開口部を備えた配線パターンが形成された導電性基板とすることができる。導電性基板は、より好ましくは、メッシュ状の配線を備えた構成とすることができる。
係る本実施形態の導電性基板の製造方法は、上述の積層体基板の製造方法により得られた積層体基板の下地金属層と、第1黒化層と、銅層とをエッチングし、下地金属配線層と、第1黒化配線層と、銅配線層とを備えた積層体である金属細線を有する配線パターンを形成するエッチング工程を有することができる。そして、係るエッチング工程により、下地金属層、第1黒化層、及び銅層に開口部を形成できる。
エッチング工程では例えばまず、エッチングにより除去する部分に対応した開口部を有するレジストを、積層体基板の最表面に形成する。例えば、図2(a)に示した積層体基板の場合、積層体基板に配置した銅層14の露出した表面A上にレジストを形成することができる。なお、エッチングにより除去する部分に対応した開口部を有するレジストの形成方法は特に限定されないが、例えばフォトリソグラフィー法により形成することができる。
次いで、レジスト上面からエッチング液を供給することにより、下地金属層12、第1黒化層13、及び銅層14のエッチングを実施することができる。
なお、図2(b)のように透明基材11の両面に銅層、黒化層を配置した場合には、積層体基板の表面A及び表面Bにそれぞれ所定の形状の開口部を有するレジストを形成し、透明基材11の両面に形成した下地金属層12A、12B、第1黒化層13A、13B、及び銅層14A、14Bを同時にエッチングしてもよい。また、透明基材11の両側に形成された下地金属層12A、12B、第1黒化層13A、13B、及び銅層14A、14Bについて、一方の側ずつエッチング処理を行うこともできる。すなわち、例えば、下地金属層12A、第1黒化層13A、銅層14Aのエッチングを行った後に、下地金属層12B、第1黒化層13B、銅層14Bのエッチングを行うこともできる。
本実施形態の積層体基板の製造方法で形成する第1黒化層は、銅層と同様のエッチング液に対する反応性を示す。また、下地金属層は、係るエッチング液に対する反応性が第1黒化層よりも高い。このため、エッチング工程で用いるエッチング液は特に限定されるものではなく、一般的に銅層のエッチングに用いられるエッチング液を好ましく用いることができる。
エッチング工程で用いるエッチング液としては例えば、硫酸、過酸化水素水、塩酸、塩化第二銅、及び塩化第二鉄から選択された1種類を含む水溶液、または上記硫酸等から選択された2種類以上を含む混合水溶液をより好ましく用いることができる。エッチング液中の各成分の含有量は、特に限定されるものではない。
エッチング液は室温で用いることもできるが、反応性を高めるため加温して用いることもできる、例えば40℃以上50℃以下に加熱して用いることができる。
上述したエッチング工程により得られるメッシュ状の配線の具体的な形態については、既述のとおりであるため、ここでは説明を省略する。
また、図2(a)、図3(a)に示した透明基材11の一方の面側に下地金属層、第1黒化層、及び銅層を有する2枚の積層体基板をエッチング工程に供して導電性基板とした後、2枚の導電性基板を貼り合せてメッシュ状の配線を備えた導電性基板とする場合、導電性基板を貼り合せる工程をさらに設けることができる。この際、2枚の導電性基板を貼り合せる方法は特に限定されるものではなく、例えば光学接着剤(OCA)等を用いて接着することができる。
なお、本実施形態の導電性基板の製造方法により得られる導電性基板は、波長400nm以上700nm以下の光の正反射率の平均は55%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、30%以下であることがさらに好ましい。
これは波長400nm以上700nm以下の光の正反射率の平均が55%以下の場合、例えばタッチパネル用の導電性基板として用いた場合でもディスプレイの視認性の低下を特に抑制できるためである。
以上に本実施形態の積層体基板、導電性基板、積層体基板の製造方法、及び導電性基板の製造方法について説明した。係る積層体基板、または積層体基板の製造方法により得られる積層体基板においては、銅層と、第1黒化層等の黒化層とを備え、銅層と、黒化層とを同時にエッチング処理を行うことができる。そして、銅層と黒化層とを同時にエッチングすることができるため、容易に所望の形状の銅配線層、及び黒化配線層を形成することができる。
また、第1黒化配線層等の黒化配線層を設けることで銅配線層による光の反射を抑制することができ、例えばタッチパネル用の導電性基板とした場合に、視認性の低下を抑制することができる。このため、黒化配線層を設けることで良好な視認性を有する導電性基板とすることができる。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって、なんら限定されるものではない。
(評価方法)
(1)正反射率
以下の各実施例、比較例において作製した積層体基板について正反射率の測定を行った。
測定は、紫外可視分光光度計(株式会社 島津製作所製 型式:UV−2550)に反射率測定ユニットを設置して行った。
各実施例で図3(a)の構造を有する積層体基板を作製したが、反射率の測定は図3(a)における下地金属層12の透明基材11と対向する一方の面12aに対して透明基材11を通じて入射角を5°として、波長400nm以上700nm以下の範囲の光を照射して実施した。なお、積層体基板に照射した光は、波長400nm以上700nm以下の範囲内で、1nm毎に波長を変化させて各波長の光について正反射率の測定を行い、測定結果の平均を該導電性基板の正反射率の平均とした。なお、表1中では反射率として示している。
(2)金属細線のアンダーカット量比率
アンダーカット量比率は、各実施例、比較例で作製した導電性基板の配線の断面をSEMで観察し、金属細線のパターン幅W1及び金属細線の底部幅W2を求めて算出した。なお、金属細線のパターン幅W1、金属細線の底部幅W2については図6を用いて既に説明した通りである。
(3)開口部の全光線透過率の減少率
各実施例、比較例で作製した導電性基板の透明基材を露出する金属細線間の開口部について、全光線透過率の測定を行った。
測定は、正反射率を測定した際の紫外可視分光光度計に積分球付属装置を設置して行った。照射した光は、波長400nm以上700nm以下の範囲内で、1nm毎に波長を変化させて各波長の光について透過率の測定を行い、測定結果の平均を該導電性基板の開口部の全光線透過率の平均とした。
また、予め積層体基板を製造する際に用いた透明基材について、同様にして全光線透過率の平均を測定しておいた。
そして、各実施例、比較例で作製した導電性基板の開口部の全光線透過率の平均の、透明基材の全光線透過率の平均からの減少率である、開口部の全光線透過率の減少率を算出した。
(試料の作製条件)
実施例、比較例として、以下に説明する条件で積層体基板、及び導電性基板を作製し、上述の評価方法により評価を行った。
[実施例1]
図3(a)に示した構造を有する積層体基板を作製した。
(透明基材準備工程)
まず、透明基材準備工程を実施した。
具体的には、幅500mm、厚さ100μmの光学用ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)製の透明基材を準備した。
(積層体形成工程)
次に、積層体形成工程を実施した。
積層体形成工程として、下地金属層形成ステップ、第1黒化層形成ステップ、銅層形成ステップ、第2黒化層形成ステップを実施した。以下に具体的に説明する。
(1)下地金属層形成ステップ
まず下地金属層形成ステップを実施した。
準備した透明基材を図7に示したロール・ツー・ロールスパッタリング装置70にセットした。また、スパッタリングカソード74aに、銅ターゲット、(住友金属鉱山(株)製)を装着した。なお、下地金属層は薄いことから、1つのスパッタリングカソード74aにのみ銅ターゲットをセットし、他のスパッタリングカソード74b〜74dにはターゲットをセットしなかった。
そして、ロール・ツー・ロールスパッタリング装置70のヒーター79を100℃に加熱し、透明基材を加熱し、基材中に含まれる水分を除去した。
続いて筐体71内を1×10−4Paまで真空ポンプ80a、80bにより排気した後、気体供給手段81によりアルゴンガスの流量が240sccmとなるようにしてアルゴンガスを筐体71内に導入した。そして、透明基材を巻出ロール72から毎分2mの速さで搬送しながら、スパッタリングカソード74aに接続したスパッタリング用直流電源より電力を供給し、スパッタリング放電を行い、透明基材上に所望の下地金属層を成膜した。係る操作により透明基材上に下地金属層を厚さ2nmとなるように形成した。
(2)第1黒化層形成ステップ
次に第1黒化層形成ステップを実施した。
第1の黒化層形成ステップでは、スパッタリングカソード74a〜74dに装着するターゲットを、銅−ニッケル合金ターゲット(住友金属鉱山(株)製)とし、筐体71内を1×10−4Paまで排気後、ロール・ツー・ロールスパッタリング装置70の筐体71内に、気体供給手段81によりアルゴンガスの流量が240sccm、酸素ガスの流量が80sccmとなるようにしてアルゴンガスと酸素ガスとを筐体71内に導入し、スパッタリングカソード74a〜74dに接続したスパッタリング用直流電源より電力を供給した以外は、下地金属層の場合と同様にして下地金属層の上面に第1黒化層を厚さ20nmとなるように形成した。
なお、基材としては、下地金属層形成ステップで、透明基材上に下地金属層を形成した基材を用い、下地金属層上に第1黒化層を成膜している。
また、銅−ニッケル合金ターゲットとしては、表1に示すように、Niを20質量%、Cuを80質量%含有するターゲットを用いた。
(3)銅層形成ステップ
続いて、銅層形成ステップを実施した。
銅層形成ステップでは、スパッタリングカソード74a〜74dに装着するターゲットを銅ターゲット(住友金属鉱山(株)製)に変え、筐体71内を排気後、ロール・ツー・ロールスパッタリング装置70の筐体71内にアルゴンガスのみを導入した点以外は第1黒化層の場合と同様にして第1黒化層の上面に銅層を厚さ200nmとなるように形成した。
なお、銅層を形成する基材としては、下地金属層形成ステップと、第1黒化層形成ステップとで、透明基材上に、下地金属層、及び第1黒化層をその順に形成した基材を用いた。
(4)第2黒化層形成ステップ
続いて、第2黒化層形成ステップを実施した。
第2黒化層形成ステップでは、下地金属層形成ステップと、第1黒化層形成ステップと、銅層形成ステップとで、透明基材上に、下地金属層、第1黒化層、及び銅層をその順に形成した基材を用いた点以外は第1黒化層形成ステップと同様にして、第2黒化層を形成した。
作製した積層体基板の波長400nm以上700nm以下の光の正反射率の平均を、上述の手順により測定したところ、波長400nm以上700nm以下の光の正反射率の平均は54%であった。
また、得られた積層体基板について正反射率測定を行った後、エッチング工程を行い、導電性基板を作製した。
エッチング工程ではまず、エッチングにより除去する部分に対応した開口部を有するレジストを、作製した積層体基板の図3(a)における表面C上に形成した。そして、塩化第二鉄10質量%と、塩酸10質量%と、残部が水と、からなるエッチング液に1分間浸漬して導電性基板を作製した。
作製した導電性基板について、金属細線のアンダーカット量比率、及び開口部の全光線透過率の測定を行った。
評価結果を表1に示す。
[実施例2]
第1黒化層、第2黒化層を成膜する際に筐体内に供給した酸素の供給量を表1に示したように変更した点以外は実施例1と同様にして積層体基板、及び導電性基板を作製し、評価を行った。
なお、第2黒化層形成ステップにおいても、本実施例の第1黒化層形成ステップと同様に酸素の供給量を実施例1の際の条件から変更している。
評価結果を表1に示す。
[実施例3〜実施例7]
下地金属層を成膜する際に用いたスパッタリングターゲットの組成、及び下地金属層の厚さ、第1黒化層、第2黒化層を成膜する際に筐体内に供給した酸素の供給量、第1黒化層、第2黒化層を成膜する際に用いたスパッタリングターゲットである、銅−ニッケル合金ターゲットの組成、及び第1黒化層、第2黒化層の厚さを表1に示したように変更した点以外は実施例1と同様にして積層体基板、及び導電性基板を作製し、評価を行った。
なお、第2黒化層形成ステップにおいても、各実施例の第1黒化層形成ステップと同様に成膜する際に筐体内に供給した酸素の供給量、銅−ニッケル合金ターゲットの組成を実施例1の際の条件から変更している。また、各実施例で第2黒化層は、第1黒化層と同じ厚さになるように成膜を行っている。
下地金属層を成膜する際のスパッタリングターゲットとして、表1に示したように実施例5ではNiを60質量%、Cuを40質量%含有するターゲットを用いている。また、実施例6ではCrを7質量%、Niを93質量%含有するターゲットを用いている。
評価結果を表1に示す。
[比較例1]
下地金属層を形成しなかった点以外は実施例3と同様にして積層体基板、及び導電性基板を作製し、評価を行った。
評価結果を表1に示す。
[比較例2]
下地金属層の厚さを1nmとした点以外は実施例3と同様にして積層体基板、及び導電性基板を作製し、評価を行った。
評価結果を表1に示す。
[比較例3]
下地金属層の厚さを6nmとした点以外は実施例3と同様にして積層体基板、及び導電性基板を作製し、評価を行った。
評価結果を表1に示す。
[比較例4]
第1黒化層、第2黒化層を成膜する際に筐体内に供給した酸素の供給量、第1黒化層、第2黒化層を成膜する際に用いたスパッタリングターゲットである、銅−ニッケル合金ターゲットの組成、を表1に示したように変更した点以外は実施例1と同様にして積層体基板、及び導電性基板を作製し、評価を行った。
評価結果を表1に示す。
[比較例5]
下地金属層の厚さを3nmにした点と、第1黒化層、第2黒化層を成膜する際に筐体内に供給した酸素の供給量、第1黒化層、第2黒化層を成膜する際に用いたスパッタリングターゲットである、銅−ニッケル合金ターゲットの組成、第1黒化層、第2黒化層の厚さを25nmにした点以外は実施例1と同様にして積層体基板、及び導電性基板を作製し、評価を行った。
評価結果を表1に示す。
表1に示した結果によると、実施例1〜実施例7については、金属細線のアンダーカット量比率が0.075以下、開口部の全光線透過率の減少率が3.0%以下となった。すなわち、下地金属層と、第1黒化層と、銅層と、第2黒化層とを同時にエッチングできることを確認できた。
これは、第1黒化層を成膜する際に用いたスパッタリングターゲットに含まれる銅及びニッケルのうち、ニッケルの割合が20質量%以上70質量%以下であり、成膜した第1黒化層においても同様の組成であったためと考えられる。すなわち、第1黒化層のエッチング液に対する反応性を銅層と同等にすることができたためと考えられる。
そして、下地金属層については、酸素を含有しない、所定の金属を含有する層とすることで、第1黒化層よりもエッチング液に対する反応性が高くすることができたため、黒化層の残渣を透明基材上に残すことなく除去できたと考えられる。
これに対して、比較例1は、開口部の全光線透過率の減少率が3.0%を超えていることが確認できた。これは下地金属層を形成しなかったため、透明基材上に黒化層の残渣が生じたためと考えられる。なお、表1中アンダーカット比率について「エッチング残」とは開口部に黒化層のエッチング残渣が確認できたことを意味している。
このように、下地金属層を有しない比較例1については、第1黒化層と銅層とを同時にエッチングできないことが確認できた。
比較例2は、下地金属層が1nmと薄く、一部に下地金属層が形成されない部分があり、当該部分では、透明基材上に直接第1黒化層が形成されたのでエッチング残渣が発生した。
比較例3は、下地金属層が厚く、下地金属層による反射が大きくなり、得られた積層体基板の正反射率の平均が61%と非常に高くなることが確認された。
比較例4は、第1黒化層、第2黒化層を形成する際の銅−ニッケル合金ターゲットに含まれるニッケルの割合が11質量%と低かったため、得られた積層体基板の正反射率の平均が60%と非常に高くなることが確認された。
また、比較例5は第1黒化層、第2黒化層を形成する際の銅−ニッケル合金ターゲットに含まれるニッケルの割合が80質量%と非常に高く、導電性基板とするためエッチングを行う際に、第1黒化層、第2黒化層のエッチング速度が非常に遅かったため、アンダーカットが生じたものと考えられる。