以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、本発明に係る検出方法および検出装置の一実施の形態として、SPFSにより被検出物質を検出する検出方法および検出装置について説明するが、本発明に係る検出方法および検出装置はこれに限定されない。
図1は、本発明の一実施の形態に係る検出装置(表面プラズモン共鳴蛍光分析装置;SPFS装置)100の構成を示す模式図である。図1に示されるように、検出装置100は、励起光照射ユニット110、反射光検出ユニット120、蛍光検出ユニット130、送液ユニット140、搬送ユニット150および制御部160を有する。検出装置100は、搬送ユニット150のチップホルダー154に検出チップ10を装着した状態で使用される。そこで、検出チップ10について先に説明し、その後に検出装置100の各構成要素について説明する。
(検出チップ)
検出チップ10は、入射面(第1面)21、成膜面(第2面)22および出射面(第3面)23を有するプリズム(誘電体部材)20と、成膜面22に形成された金属膜30と、成膜面22または金属膜30上に配置された流路蓋40とを有する。通常、検出チップ10は、分析のたびに交換される。検出チップ10は、好ましくは各片の長さが数mm〜数cmの構造物であるが、「チップ」の範疇に含まれないより小型の構造物またはより大型の構造物であってもよい。
プリズム20は、励起光αに対して透明な誘電体からなる。プリズム20は、入射面21、成膜面22、出射面23および底面24を有する。入射面21は、励起光照射ユニット110からの励起光αをプリズム20の内部に入射させる。成膜面22上には、金属膜30が配置されている。プリズム20の内部に入射した励起光αは、金属膜30の裏面で反射する。より具体的には、励起光αは、プリズム20と金属膜30との界面(成膜面22)で内部反射する。出射面23は、金属膜30で反射した励起光αをプリズム20の外部に出射させる。底面24は、成膜面22と対向して配置されており、入射面21および出射面23を繋ぐ。入射面21、成膜面22、出射面23および底面24の形状は、いずれも特に限定されない。入射面21、成膜面22、出射面23および底面24の形状は、それぞれ平面であってもよいし、それぞれ曲面であってもよいし、いずれかの面が平面で、他の面が曲面であってもよい。本実施の形態では、入射面21、成膜面22、出射面23および底面24の形状は、いずれも平面である。
プリズム20の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、プリズム20の形状は、台形を底面とする柱体である。台形の一方の底辺に対応する面が成膜面22であり、台形の他方の底辺に対応する面が底面24であり、一方の脚に対応する面が入射面21であり、他方の脚に対応する面が出射面23である。
入射面21は、励起光αが励起光照射ユニット110に戻らないように形成される。励起光αの光源がレーザーダイオード(以下「LD」ともいう)である場合、励起光αがLDに戻ると、LDの励起状態が乱れてしまい、励起光αの波長や出力が変動してしまう。そこで、理想的な増強角を中心とする走査範囲において、励起光αが入射面21に垂直に入射しないように、入射面21の角度が設定される。本実施の形態では、成膜面22および入射面21の二面角θaは80°であり、成膜面22および出射面23の二面角θbは82.5°である(図6参照)。ここで、「二面角」について説明する。まず、第1平面(本実施の形態では、成膜面22)および第2平面(本実施の形態では、入射面21または出射面23)に垂直な仮想平面を仮定する。そして、第1平面および仮想平面の交線を第1仮想交線とし、第2平面および仮想平面の交線を第2仮想交線とした場合、第1仮想交線および第2仮想交線がなす2つの角度のうち小さい方の角度を「二面角」とする。
なお、検出チップ10の設計により、共鳴角(およびその極近傍にある増強角)が概ね決まる。設計要素は、プリズム20の屈折率、金属膜30の屈折率、金属膜30の膜厚、金属膜30の消衰係数、励起光αの波長などである。金属膜30に固定化された被検出物質によって共鳴角および増強角がシフトするが、その量は数度未満である。
プリズム20は、複屈折特性を少なからず有する。プリズム20の材料の例には、樹脂およびガラスが含まれる。プリズム20の材料は、好ましくは、屈折率が1.4〜1.6であり、かつ複屈折が小さい樹脂である。
金属膜30は、プリズム20の成膜面22上に配置されている。これにより、成膜面22に全反射する条件で入射した励起光αの光子と、金属膜30中の自由電子との間で相互作用(表面プラズモン共鳴)が生じ、金属膜30の表面上に局在場光を生じさせることができる。なお、金属膜30は、成膜面22の少なくとも一部に配置されていればよい。すなわち、金属膜30は、成膜面22の全体に配置されていてもよいし、成膜面22の一部に配置されていてもよい。また、本実施の形態では、成膜面22が平面であるため、金属膜30の裏面も平面である。
金属膜30の材料は、表面プラズモン共鳴を生じさせうる金属であれば特に限定されない。金属膜30の材料の例には、金、銀、銅、アルミ、これらの合金が含まれる。本実施の形態では、金属膜30は、金薄膜である。金属膜30の形成方法は、特に限定されない。金属膜30の形成方法の例には、スパッタリング、蒸着、メッキが含まれる。金属膜30の厚みは、特に限定されないが、30〜70nmの範囲内が好ましい。
また、特に図示しないが、本実施の形態では、金属膜30のプリズム20と対向しない面(金属膜30の表面)には、被検出物質を捕捉するための捕捉体が固定化(配置)されている。捕捉体を固定化することで、被検出物質を選択的に検出することが可能となる。本実施の形態では、金属膜30上の所定の領域(反応場)に、捕捉体が均一に固定化されている。捕捉体の種類は、被検出物質を捕捉することができれば特に限定されない。本実施の形態では、捕捉体は、被検出物質に特異的な抗体またはその断片である。
流路蓋40は、金属膜30上に配置されている。金属膜30がプリズム20の成膜面22の一部にのみ形成されている場合は、流路蓋40は、成膜面22上に配置されていてもよい。流路蓋40の裏面には、流路溝が形成されており、流路蓋40は、金属膜30(およびプリズム20)と共に、液体が流れる流路41を形成する。液体の例には、被検出物質を含む試料液や、蛍光物質で標識された抗体を含む標識液、洗浄液などが含まれる。金属膜30に固定化されている捕捉体は、流路41内に露出している。流路41の両端は、流路蓋40の上面に形成された不図示の注入口および排出口とそれぞれ接続されている。流路41内へ液体が注入されると、液体は捕捉体に接触する。
流路蓋40は、金属膜30上から放出される蛍光γに対して透明な材料からなることが好ましい。流路蓋40の材料の例には、樹脂が含まれる。蛍光γを外部に取り出す部分が蛍光γに対して透明であれば、流路蓋40の他の部分は、不透明な材料で形成されていてもよい。流路蓋40は、例えば、両面テープや接着剤などによる接着や、レーザー溶着、超音波溶着、クランプ部材を用いた圧着などにより金属膜30またはプリズム20に接合されている。
図1に示されるように、被検出物質を検出するときには、励起光αは、入射面21からプリズム20内に入射する。プリズム20内に入射した励起光αは、金属膜30に全反射角度(表面プラズモン共鳴が生じる角度)で入射する。このように、金属膜30に対して励起光αを表面プラズモン共鳴が生じる角度で照射することで、金属膜30上に局在場光(一般に「エバネッセント光」または「近接場光」とも呼ばれる)を発生させることができる。この局在場光により、金属膜30上に存在する被検出物質を標識する蛍光物質が励起され、蛍光γが出射される。検出装置100は、蛍光物質から放出された蛍光γの光量を検出することで、被検出物質の存在または量を検出する。
(検出装置)
次に、検出装置100の各構成要素について説明する。前述のとおり、検出装置100は、励起光照射ユニット110、反射光検出ユニット120、蛍光検出ユニット130、送液ユニット140、搬送ユニット150および制御部160を有する。
励起光照射ユニット110は、チップホルダー154に保持された検出チップ10に励起光αを照射する。被検出物質を検出するときには、励起光照射ユニット110は、金属膜30に対する入射角が表面プラズモン共鳴を生じさせる角度となるように、金属膜30に対するP波のみを入射面21に向けて照射する。ここで「励起光」とは、蛍光物質を直接または間接的に励起させる光である。たとえば、励起光αは、プリズム20を介して金属膜30に表面プラズモン共鳴が生じる角度で照射されたときに、蛍光物質を励起させる局在場光を金属膜30の表面上に生じさせる光である。また、本実施の形態に係る検出装置100では、励起光αは、検出チップ10の位置決めにも使用される。詳細は後述するが、検出チップ10を位置決めするときには、励起光照射ユニット110は、成膜面22の法線に対して所定の照射角度となるように、励起光αを照射する。
励起光照射ユニット110は、励起光αをプリズム20に向けて出射するための構成と、金属膜30の裏面に対する励起光αの入射角度を走査するための構成(成膜面22の法線に対する励起光αの照射角度を調整する構成)とを含む。本実施の形態では、励起光照射ユニット110は、光源ユニット111、角度調整部112および光源制御部113を含む。
光源ユニット111は、コリメートされ、かつ波長および光量が一定の励起光αを、金属膜30裏面における照射スポットの形状が略円形となるように出射する。光源ユニット111は、例えば、励起光αの光源、ビーム整形光学系、APC部および温度調整部(いずれも不図示)を含む。
光源の種類は、特に限定されず、例えばレーザーダイオード(LD)である。光源の他の例には、発光ダイオード、水銀灯、その他のレーザー光源が含まれる。光源から出射される光がビームでない場合は、光源から出射される光は、レンズや鏡、スリットなどによりビームに変換される。また、光源から出射される光が単色光でない場合は、光源から出射される光は、回折格子などにより単色光に変換される。さらに、光源から出射される光が直線偏光でない場合は、光源から出射される光は、偏光子などにより直線偏光の光に変換される。
ビーム整形光学系は、例えば、コリメーターやバンドパスフィルター、直線偏光フィルター、半波長板、スリット、ズーム手段などを含む。ビーム整形光学系は、これらのすべてを含んでいてもよいし、一部を含んでいてもよい。コリメーターは、光源から出射された励起光αをコリメートする。バンドパスフィルターは、光源から出射された励起光αを中心波長のみの狭帯域光にする。光源からの励起光αは、若干の波長分布幅を有しているためである。直線偏光フィルターは、光源から出射された励起光αを完全な直線偏光の光にする。半波長板は、金属膜30にP波成分が入射するように励起光αの偏光方向を調整する。スリットおよびズーム手段は、金属膜30裏面における照射スポットの形状が所定サイズの円形となるように、励起光αのビーム径や輪郭形状などを調整する。
APC部は、光源の出力が一定となるように光源を制御する。より具体的には、APC部は、励起光αから分岐させた光の光量を不図示のフォトダイオードなどで検出する。そして、APC部は、回帰回路で投入エネルギーを制御することで、光源の出力を一定に制御する。
温度調整部は、例えば、ヒーターやペルチェ素子などである。光源の励起光αの波長およびエネルギーは、温度によって変動することがある。このため、温度調整部で光源の温度を一定に保つことにより、光源の励起光αの波長およびエネルギーを一定に制御する。
角度調整部112は、被検出物質を検出する場合において、金属膜30(プリズム20と金属膜30との界面(成膜面22))に対するプリズム20への入射後の励起光αの出射角度を調整し、検出チップ10の位置情報を取得する場合において、成膜面22の法線に対するプリズム20への入射前の励起光α(光)の出射角度(照射角度)を調整する。励起光αの照射角度を調製するためには、励起光αの光軸と、チップホルダー154とを相対的に回転させればよい。
たとえば、被検出物質を検出する場合において、角度調整部112は、光源ユニット111を励起光αの光軸と直交する軸(図1の紙面に対して垂直な軸)を回転軸として回動させる。このとき、出射角を走査しても金属膜30上での照射スポットの位置がほとんど変化しないように、回転軸の位置を設定する。回転中心の位置を、出射角の走査範囲の両端における2つの励起光αの光軸の交点近傍(成膜面22上の照射位置と入射面21との間)に設定することで、照射位置のズレを極小化することができる。
金属膜30に対する励起光αの入射角のうち、プラズモン散乱光の最大光量を得られる角度が増強角である。増強角またはその近傍の角度に金属膜30に対する励起光αの入射角を設定することで、高強度の蛍光γを測定することが可能となる。なお、検出チップ10のプリズム20の材料および形状、金属膜30の膜厚、流路内の液体の屈折率などにより、励起光αの基本的な入射条件が決まるが、流路41内の蛍光物質の種類および量、プリズム20の形状誤差などにより、最適な入射条件はわずかに変動する。このため、測定ごとに最適な増強角を求めることが好ましい。本実施の形態では、金属膜30の法線(図1におけるz軸方向の直線)に対する励起光αの好適な照射角度は、約70°である。
また、検出チップ10の位置情報を取得する場合において、角度調整部112は、被検出物質を検出する場合と同様の軸を中心として回動させてもよいし、成膜面22に対して照射角度を走査しても入射面21上での照射スポットの位置がほとんど変化しないように、回転軸の位置を設定してもよい。
光源制御部113は、光源ユニット111に含まれる各種機器を制御して、光源ユニット111の出射光(例えば、励起光α)の出射を制御する。光源制御部113は、例えば、演算装置、制御装置、記憶装置、入力装置および出力装置を含む公知のコンピュータやマイコンなどによって構成される。
なお、励起光照射ユニット110は、光源内の光学系を移動させることにより、励起光αの出射角度(照射角度)を調整するようにしてもよい。この場合、検出装置100を簡略化および小型化することができる。
反射光検出ユニット120は、検出チップ10への操作(例えば、測定液の注入)、光学測定(例えば、増強角の検出や光学ブランク値の測定、蛍光γの検出)などを行う際の検出チップ10の位置決めのために、検出チップ10への励起光αの照射によって生じた第1反射光β1および第2反射光β2を検出する。反射光検出ユニット120は、最初の検出チップ10への操作を行う前に、検出チップ10の位置決めのために第1反射光β1および第2反射光β2を検出することが好ましい。ここで、「第1反射光β1」とは、光源から出射された光(本実施の形態では、励起光α)が入射面21で反射した光である。また、「第2反射光β2」とは、光源から出射された光が入射面21で入射し、成膜面22および出射面23で順次反射して、入射面21から出射した光である。なお、第2反射光β2の光路は、入射面21で入射した後、成膜面22および出射面23で順次反射すれば特に限定されない。本実施の形態では、第2反射光β2は、入射面21で入射した後、成膜面22および出射面23で順次反射し、他の面でさらなる反射または他の面をさらに透過することなく入射面21から出射された光である。
受光センサー121は、励起光αの照射によって生じた第1反射光β1および第2反射光β2を検出する。受光センサー121の種類は、第1反射光β1および第2反射光β2を検出できれば特に限定されない。たとえば、受光センサー121は、フォトダイオード(PD)、エリアセンサーなどである。受光センサー121の受光面の大きさは、励起光αのビーム径よりも大きいことが好ましい。たとえば、励起光αのビーム径が1.0〜1.5mm程度の場合、受光センサー121の受光面の1辺の長さは3mm以上であることが好ましい。また、受光センサー121がエリアセンサーの場合、受光面には、複数の画素が配置されている。
受光センサー121は、第1反射光β1および第2反射光β2が入射できる位置に配置される。受光センサー121は、蛍光γの検出時と異なる角度で出射された励起光αの第1反射光β1および第2反射光β2が入射する位置に配置されることが好ましい。本実施の形態では、成膜面22の法線(図1におけるz軸方向の直線)に対するプリズム20への入射前の励起光αの照射角度の走査範囲は、約66〜72°の範囲内である。入射面21からの第1反射光β1および第2反射光β2が搬送ステージ(移動ステージ)152の進行方向(図1におけるx軸方向)側にある受光センサー121の方向に進むように励起光αの照射角度を設定する。このように、受光センサー121は、第1反射光β1および第2反射光β2が入射する位置に配置される(図1参照)。また、受光センサー121と入射面21との間に第1反射光β1および第2反射光β2を受光センサー121に集光するためのレンズが配置されていてもよい。
センサー制御部122は、受光センサー121の出力値の検出や、検出した出力値による受光センサー121の感度の管理、適切な出力値を得るための受光センサー121の感度の変更、などを制御する。センサー制御部122は、例えば、演算装置、制御装置、記憶装置、入力装置および出力装置を含む公知のコンピュータやマイコンなどによって構成される。
蛍光検出ユニット130は、金属膜30への励起光αの照射によって生じた蛍光γを検出する。また、必要に応じて、蛍光検出ユニット130は、金属膜30への励起光αの照射によって生じたプラズモン散乱光も検出する。蛍光検出ユニット130は、例えば、受光ユニット131、位置切替部132およびセンサー制御部133を含む。
受光ユニット131は、検出チップ10の金属膜30(成膜面22)の法線方向(図1におけるz軸方向)に配置される。受光ユニット131は、第1レンズ134、光学フィルター135、第2レンズ136および受光センサー137を含む。
第1レンズ134は、例えば、集光レンズであり、金属膜30上から出射される光を集光する。第2レンズ136は、例えば、結像レンズであり、第1レンズ134で集光された光を受光センサー137の受光面に結像させる。両レンズの間の光路は、略平行な光路になっている。光学フィルター135は、両レンズの間に配置されている。
光学フィルター135は、蛍光成分のみを受光センサー137に導き、高いS/N比で蛍光γを検出するために、励起光成分(プラズモン散乱光)を除去する。光学フィルター135の例には、励起光反射フィルター、短波長カットフィルターおよびバンドパスフィルターが含まれる。光学フィルター135は、例えば、所定の光成分を反射する多層膜を含むフィルターであるが、所定の光成分を吸収する色ガラスフィルターであってもよい。
受光センサー137は、蛍光γを検出する。受光センサー137は、微小量の被検出物質からの微弱な蛍光γを検出することが可能な、高い感度を有する。受光センサー137は、例えば、光電子増倍管(PMT)、アバランシェフォトダイオード(APD)、高感度のフォトダイオード(PD)などである。
位置切替部132は、光学フィルター135の位置を、受光ユニット131における光路上または光路外に切り替える。具体的には、受光センサー137が蛍光γを検出する時には、光学フィルター135を受光ユニット131の光路上に配置し、受光センサー137がプラズモン散乱光を検出する時には、光学フィルター135を受光ユニット131の光路外に配置する。位置切替部132は、例えば、回転駆動部と、回転運動を利用して光学フィルター135を水平方向に移動させる公知の機構(ターンテーブルやラックアンドピニオンなど)とによって構成される。
センサー制御部133は、受光センサー137の出力値の検出や、検出した出力値による受光センサー137の感度の管理、適切な出力値を得るための受光センサー137の感度の変更などを制御する。センサー制御部133は、例えば、演算装置、制御装置、記憶装置、入力装置および出力装置を含む公知のコンピュータやマイコンなどによって構成される。
送液ユニット140は、チップホルダー154に保持された検出チップ10の流路41内に、試料液や標識液、洗浄液などを供給する。送液ユニット140は、薬液チップ141、シリンジポンプ142および送液ポンプ駆動部143を含む。
薬液チップ141は、試料液や標識液、洗浄液などの液体を収容する容器である。薬液チップ141としては、通常、複数の容器が液体の種類に応じて配置されるか、または複数の容器が一体化したチップが配置される。
シリンジポンプ142は、シリンジ144と、シリンジ144内を往復動作可能なプランジャー145とによって構成される。プランジャー145の往復運動によって、液体の吸引および排出が定量的に行われる。シリンジ144が交換可能であると、シリンジ144の洗浄が不要となる。このため、シリンジ144は、不純物の混入などを防止する観点から、交換可能であることが好ましい。シリンジ144が交換可能に構成されていない場合は、シリンジ144内を洗浄する構成をさらに付加することにより、シリンジ144を交換せずに使用することが可能となる。
送液ポンプ駆動部143は、プランジャー145の駆動装置、およびシリンジポンプ142の移動装置を含む。シリンジポンプ142の駆動装置は、プランジャー145を往復運動させるための装置であり、例えば、ステッピングモーターを含む。ステッピングモーターを含む駆動装置は、シリンジポンプ142の送液量や送液速度を管理できるため、検出チップ10の残液量を管理する観点から好ましい。シリンジポンプ142の移動装置は、例えば、シリンジポンプ142を、シリンジ144の軸方向(例えば垂直方向)と、軸方向を横断する方向(例えば水平方向)との二方向に自在に動かす。シリンジポンプ142の移動装置は、例えば、ロボットアーム、2軸ステージまたは上下動自在なターンテーブルによって構成される。
送液ユニット140は、薬液チップ141より各種液体を吸引し、検出チップ10の流路41内に供給する。このとき、プランジャー145を動かすことで、検出チップ10中の流路41内を液体が往復し、流路41内の液体が攪拌される。これにより、液体の濃度の均一化や、流路41内における反応(例えば抗原抗体反応)の促進などを実現することができる。このような操作を行う観点から、検出チップ10の注入口は多層フィルムで保護されており、かつシリンジ144がこの多層フィルムを貫通した時に注入口を密閉できるように、検出チップ10およびシリンジ144が構成されていることが好ましい。
流路41内の液体は、再びシリンジポンプ142で吸引され、薬液チップ141などに排出される。これらの動作の繰り返しにより、各種液体による反応、洗浄などを実施し、流路41内の反応場に、蛍光物質で標識された被検出物質を配置することができる。
搬送ユニット150は、検出チップ10を測定位置または送液位置に搬送し、固定する。ここで「測定位置」とは、励起光照射ユニット110が検出チップ10に励起光αを照射し、それに伴い発生する蛍光γを蛍光検出ユニット130が検出する位置である。また、「送液位置」とは、送液ユニット140が検出チップ10の流路41内に液体を供給するか、または検出チップ10の流路41内の液体を除去する位置である。搬送ユニット150は、搬送ステージ152およびチップホルダー154を含む。チップホルダー154は、搬送ステージ152に固定されており、検出チップ10を着脱可能に保持する。チップホルダー154の形状は、検出チップ10を保持することが可能であり、かつ励起光α、第1反射光β1、第2反射光β2および蛍光γの光路を妨げない形状である。たとえば、チップホルダー154には、励起光α、第1反射光β1、第2反射光β2および蛍光γが通過するための開口が設けられている。搬送ステージ152は、チップホルダー154を一方向(図1におけるx軸方向)およびその逆方向に移動させる。搬送ステージ152は、例えば、ステッピングモーターなどで駆動される。
制御部160は、角度調整部112、光源制御部113、センサー制御部122、位置切替部132、センサー制御部133、送液ポンプ駆動部143および搬送ステージ152を制御する。また、制御部160は、反射光検出ユニット120の検出結果に基づいて、チップホルダー154に保持された検出チップ10の位置情報を取得するとともに、搬送ステージ152によりチップホルダー154を移動させて、検出チップ10を適切な測定位置または送液位置に移動させる位置調整部としても機能する。制御部160は、例えば、演算装置、制御装置、記憶装置、入力装置および出力装置を含む公知のコンピュータやマイコンなどによって構成される。
(検出方法)
次に、検出装置100の検出動作(本発明の一実施の形態に係る検出方法)について説明する。図2は、検出装置100の動作手順の一例を示すフローチャートである。
まず、検出装置100のチップホルダー154に検出チップ10が設置される(工程S100)。
次いで、制御部160は、搬送ステージ152を操作して、検出チップ10を測定位置近傍に移動させる(工程S110)。
次いで、制御部160は、励起光照射ユニット110および反射光検出ユニット120を操作して、励起光照射ユニット110から照射する光の照射角度を設定する(工程S120)。この工程では、励起光αが入射面21で反射した第1反射光β1と、励起光αが入射面21を透過し、成膜面22および出射面23で順次反射した第2反射光β2とが反射光検出ユニット120により同時に検出されるように、入射面21に対して励起光照射ユニット110から照射する光の照射角度を設定する。光の照射角度の設定工程において、第1反射光β1および第2反射光β2の入射面21に対する出射角は、励起光αの照射位置、照射角度、励起光が経由するプリズム20の面の角度、プリズム20の屈折率などにより決定する。
励起光αの初期の照射角度は、例えば、成膜面22および入射面21の二面角と、成膜面22および出射面23の二面角とに基づいて設定される。このように、励起光αの初期の照射角度をプリズム20の形状に対応した固有値として設定することで、プリズム20の形状が異なる2種類の検出チップ10を使い分けて被検出物質を検出する場合に、プリズム20からの反射光が反射光検出ユニット120の最適な位置に入射するように励起光αの照射角度を初期の照射角度に対して大きく走査して調整するする必要がなくなる、または励起光αの照射角度を調整する必要がなくなるため、測定時間を短縮できる。つまり、図3のS132のステップにおいて判定がNOのフローに遷移することが少なくなり、測定時間を短縮できる。ここで、検出装置100がプリズム20の形状を認識する方法としては、例えば、プリズム20の形状情報(検出チップの種類や出荷検査データ)が記録されたバーコードを検出チップ10に配置し、検出装置100内にあるバーコードリーダー(不図示)で読み込み、読み込んだ値を基に制御部160が認識する方法がある。なお、バーコードリーダーは、装置外に配置されていてもよい。また、ユーザーがバーコードリーダーを使用して検出装置100にプリズム20の形状情報をインプットしてもよい。さらに、プリズム20の形状情報は、バーコード以外の媒体に記録してもよい。また、プリズム20の形状の情報の読取り方法もバーコードリーダーを使用しなくてもよい。
さらに、プリズム20を製造する際に生じた形状誤差を含めた形状情報がバーコードリーダーに記録されていれば、検出装置100に形状情報をインプットすることで、プリズム20を製造する際に生じる形状誤差による第1反射光β1および第2反射光β2の出射角度のズレを補正できる。これにより、検出チップ10の位置情報を高精度かつ測定時間を短縮して取得できる。
また、励起光αの初期の照射角度は、プリズム20の屈折率に応じて設定されてもよい。このように、励起光αの初期の照射角度をプリズム20の屈折率に応じて設定することにより、異なる材料で成形されたプリズム20を有する2種類の検出チップ10を使い分けて被検出物質を検出する場合に、プリズム20からの反射光が反射光検出ユニット110の最適な位置に入射するように、初期の照射角度に対して、励起光αの照射角度を大きく走査して調整する必要がなくなるため、測定時間を短縮できる。
さらに、プリズム20を製造する際に生じた屈折率誤差も含めた屈折率情報がバーコードリーダーに記録されていれば、検出装置100に屈折率情報をインプットすることでプリズム20を製造する際に生じる屈折率誤差による第1反射光β1および第2反射光β2の出射角度のズレを補正できる。これにより、検出チップ10の位置情報を高精度かつ測定時間を短縮して取得することができる。
また、励起光αの初期の照射角度は、プリズム20の形状と、プリズム20の屈折率との両方に基づいて設定されてもよい。このように、励起光αの初期の照射角度をプリズム20の形状とプリズム20の屈折率とに対応した固有値として設定することで、プリズム20の形状が異なる2種類の検出チップ10を使い分けて被検出物質を検出する場合に、プリズム20からの反射光が反射光検出ユニット110に最適な位置に入射するように励起光αの照射角度を初期の照射角度に対して大きく走査して調整する必要がなくなる、もしくは初期の照射角度から照射角度を調整する必要がなくなるため、測定時間を短縮できる。より具体的には、励起光αの初期の照射角度は、以下の式を満足する照射角度θi付近に設定することが望ましい。
sin(θa−θi)=n1cosθb (3)
[式(3)において、θaは成膜面22および入射面21の二面角であり、θiは成膜面22の法線に対するプリズム20への入射前の励起光照射ユニット110からの励起光の照射角度であり、n1はプリズム20の屈折率であり、θbは成膜面22および出射面23の二面角である]
さらに、プリズム20を製造する際に生じた形状誤差および屈折率誤差も含めた情報がバーコードリーダーに記録されていれば、その情報を検出装置100にインプットすることで製造時に生じた形状誤差および屈折率誤差による第1反射光β1および第2反射光β2の出射角度のズレを補正できるため、検出チップ10の位置情報を高精度かつ測定時間を短縮して取得できる。
このように、検出チップ10の位置情報の取得開始時における励起光照射ユニット110からの励起光αの照射角度は、検出装置100にあらかじめ記憶されている固定値に設定されていることが好ましい。
次いで、制御部160は、励起光照射ユニット110、反射光検出ユニット120および搬送ステージ152を操作して、検出チップ10の位置情報を取得する(工程S130)。この工程では、励起光照射ユニット110から出射する励起光αの照射スポットが、入射面21および入射面21に隣接する他の面(本実施の形態では、流路蓋40の裏面)の境界上を通過するように、チップホルダー154に保持された検出チップ10を搬送ステージ152により移動しつつ、工程S120で設定された照射角度にて励起光照射ユニット110から励起光を照射し、反射光検出ユニット120により第1反射光β1および第2反射光β2を検出し、反射光検出ユニット120で検出される第1反射光β1よび第2反射光β2の検出結果に基づいて、チップホルダー154に保持された検出チップ10の位置情報を取得する。これにより得た検出チップ10の位置と測定位置または送液位置の相対位置ずれ量を特定できる。このように、本実施の形態では、入射面21に隣接する他の面が流路蓋40の裏面であるが、入射面21に隣接する他の面が成膜面22と対向するプリズム20の底面であってもよい。
図3は、検出チップ10の位置情報を取得する工程(工程S130)を説明するためのフローチャートである。図4は、検出チップ10の位置情報を取得する工程(工程S130)を説明するための模式図である。図5は、励起光αの照射角度を調整する工程(工程S134)を説明するための図である。図6は、受光センサー121による第1反射光β1および第2反射光β2の検出結果の例を示すグラフである。
図3に示されるように、検出チップ10の位置情報を取得する工程(工程S130)では、まず、検出チップ10を移動しながら受光センサー121で第1反射光β1および第2反射光β2を検出する(工程S131)。具体的には、図4Aに示されるように、検出チップ10が光源ユニット111から離れた位置にある場合、光源ユニット111が励起光αを出射すると、励起光αは流路蓋40で反射して、下側(搬送ステージ152側)に向かう。したがって、反射光検出ユニット120の受光センサー121には、検出チップ10からの反射光βは入射しない。なお、検出チップ10が光源ユニット111から離れた位置にある場合には、検出チップ10に励起光αが入射せず、第1反射光β1および第2反射光β2は発生していない。
この状態から検出チップ10を光源ユニット111側に近づけていくと、光源ユニット111から照射される励起光αの照射スポットは、プリズム20と流路蓋40との境界部(以下「エッジ部」という。プリズム20と流路蓋40の接合面が十分薄ければ、エッジ部はプリズム面21と22の境界部と同一とは言えない。)に到達する。この場合、図4Bに示されるように、励起光αのうち、一部の励起光αは、流路蓋40で反射して受光センサー121に入射しない。また、励起光αのうち、他の一部の励起光αは、入射面21で反射して第1反射光β1として、受光センサー121に入射する。また、本実施の形態では、励起光αのうち、他の一部の励起光αは、入射面21を透過して、成膜面22および出射面23で順次反射して、入射面21から出射して第2反射光β2として、受光センサー121に入射する。したがって、受光センサー121には、検出チップ10で反射した第1反射光β1および第2反射光β2が入射する。
さらに検出チップ10を光源ユニット111側に近づけていくと、光源ユニット111から照射された入射面21上における励起光αの照射スポットは、すべてプリズム20の入射面21に到達する。したがって、図4Cに示されるように、受光センサー121には、検出チップ10で反射した第1反射光β1と、および第2反射光β2が入射する。このように、本実施の形態では、入射面21と、入射面21に隣接する他の面との間で照射スポットを移動させ、第1反射光β1および第2反射光β2が入射するように、入射面21に対する励起光αの照射角度を設定する。
ここで、第1反射光β1と第2反射光β2との光量について検討する。ここでは、プリズム20の屈折率が1.5であり、入射面21での反射率が4%であり、金属膜30での反射率が約90%であり、出射面23での反射率が4%と仮定する。この場合、励起光αの光量を100%としたとき、第1反射光β1の光量は、励起光αの光量に対して4%の光量となる。また、励起光αの光量を100%としたとき、第2反射光β2の光量は、励起光αの光量に対して約3.5%の光量となる。すなわち、受光センサー121には、励起光αの光量を100%としたとき、最大で約7.5%の光量の反射光が入射する。
前述した例では、検出チップ10を移動しても第1反射光β1および第2反射光β2が受光センサー121に入射した場合を示したが、励起光αの初期の照射角度やプリズム20の形状誤差や設置誤差などによっては、検出チップ10を移動しても、受光センサー121に第1反射光β1および第2反射光β2が同時に入射しない場合がある。すなわち、受光センサー121が受光する光量が前述の最大光量とならない場合がある。本実施の形態では、検出チップ10を移動しても、受光センサー121に第1反射光β1および第2反射光β2が同時に入射するように、励起光αの照射角度を調整する。
具体的には、励起光αの照射角度は、検出チップ10を固定した状態で、励起光照射ユニット110による励起光αの照射角度の変更に伴って変化する受光センサー121での検出値に基づいて調整する。本実施の形態では、成膜面22の法線に対するプリズム20への入射前の励起光αの照射角度を徐々に大きく変更させた。励起光αの照射角度が著しく小さい場合、受光センサー121において第1反射光β1および第2反射光β2は、検出されない。そして、励起光αの照射角度を徐々に大きくすると、第2反射光β2のみが受光センサー121に入射し、続いて、第1反射光β1および第2反射光β2が受光センサー121に入射する。そして、励起光αの照射角度をさらに大きくすると、第2反射光β2が受光センサー121に入射しなくなり、続いて、第1反射光β1も受光センサー121に入射しなくなる。そして、第1反射光β1および第2反射光β2が受光センサー121に入射したか否かの判断は、受光センサー121の受光光量(検出値)が設定値に到達したか否かにより判断する。本実施の形態では、受光センサー121による受光光量の設定値は、受光センサー121で検出される第1反射光β1および第2反射光β2の合計光量が励起光照射ユニット110から照射された励起光αの光量の7.5%である。受光センサー121の受光光量が設定値に到達した場合(工程S132;YES)には、当該受光光量に基づいて検出チップ10の位置情報を取得する(工程S133)。
また、励起光αの照射角度の調整に関して、照射角度の初期位置から、任意の方向に微小に照射角度を変化させてもよい。このときの照射角度の変化量は、例えば0.01degでもよいし、0.1degでもよい。照射角度の変化量を小さくすれば高精度に位置検出ができる。一方、照射角度の変化量を大きくすれば迅速に測定できる。
図5は、励起光αの照射角度を調整する工程(工程S134)を説明するための図である。図5Aは、成膜面22に対するプリズム20への入射前の励起光αの照射角度が小さい場合における励起光αの光路図であり、図5Bは、成膜面22に対するプリズム20への入射前の励起光αの照射角度が大きい場合における励起光αの光路図であり、図5Cは、受光センサー121による第1反射光β1および第2反射光β2の検出結果の例を示す模式図である。
図5A〜Cに示されるように、励起光αの照射角度は、検出チップ10を固定した状態で、励起光照射ユニット110による励起光αの照射角度の変更に伴って変化する受光センサー121での検出値に基づいて調整されることが好ましい。本実施の形態では、成膜面22の法線に対するプリズム20への入射前の励起光αの照射角度を徐々に大きく変更させた。励起光αの照射角度が著しく小さい場合、受光センサー121において第1反射光β1および第2反射光β2は、検出されない(図5Cにおいて、点線で囲んだ領域A参照)。図5Aに示されるように、励起光αの照射角度を徐々に大きくすると、第2反射光β2のみが受光センサー121に入射する(図5Cにおいて、点線で囲んだ領域B参照)。図5Bに示されるように、励起光αの照射角度をさらに大きくすると、第1反射光β1および第2反射光β2が受光センサー121に入射する(図5Cにおいて、点線で囲んだ領域C参照)。このように、第1反射光β1および第2反射光β2が同時に受光センサー121に入射するための、成膜面22の法線に対するプリズム20への入射前の励起光αの照射角度は、所定の範囲に限られることがわかる。励起光αの照射角度をさらに大きくすると、第2反射光β2が受光センサー121に入射しなくなり、第1反射光β1のみが受光センサー121に入射する(図5Cにおいて、点線で囲んだ領域D参照)。励起光αの照射角度が著しく大きい場合、受光センサー121において第1反射光β1および第2反射光β2は、検出されない(図5Cにおいて、点線で囲んだ領域E参照)。なお、第1反射光β1および第2反射光β2が受光センサー121に入射したか否かは、第1反射光β1および第2反射光β2が受光センサー121に入射したときの受光センサー121による受光光量を予め設定しておき、受光センサー121の検出結果が受光光量に到達するか否かにより判断する。
このとき、第1反射光β1および第2反射光β2が受光センサー121に入射するための成膜面22の法線に対するプリズム20への入射前の励起光αの照射角度を検出チップ10の位置決めにおける励起光αの照射角度とする。なお、第1反射光β1および第2反射光β2が受光センサー121に入射するための最も小さい励起光αの照射角度と、第1反射光β1および第2反射光β2が受光センサー121に入射するための最も大きい励起光αの照射角度との中間の角度を検出チップ10の位置決めにおける励起光αの照射角度とすることが好ましい。なお、検出装置100に使用される検出チップ100の形状や屈折率が1種類であれば、励起光αの照射角度を固定値とし、励起光α照射角度を最適な位置に調整する工程(後述のS134)を行わなくてもよい。
また、受光センサー121上における第1反射光β1と第2反射光β2の照射スポットが大きく分離しないように、励起光αの照射角度は、第1反射光β1および第2反射光β2が略平行となるような角度に設定されることが好ましい。このようにすることで、受光センサー121を小型化することができる。
ここで、励起光αの照射角度と、第1反射光β1および第2反射光β2の出射角度との関係について説明する。図6は、励起光αの照射角度と、第1反射光β1および第2反射光β2の出射角度との関係を説明するための図である。図6Aは、励起光αの照射角度と、第1反射光β1の出射角度および第2反射光β2の出射角と、を説明するための図であり、図6Bは、励起光αの照射角度と、第1反射光β1および第2反射光β2の出射角度との関係を示すグラフである。図6Aの横軸は、励起光αの照射角度である。また、縦軸は、第1反射光β1または第2反射光β2の出射角度である。なお、図6Aの縦軸では、成膜面22を含む仮想平面より上側(流路蓋40)に向かう反射光の出射角度をプラスとし、成膜面22を含む仮想平面より下側(搬送ステージ152)に向かう反射光の出射角度をマイナスとして示した。図6Bにおける黒四角のシンボルは、第1反射光β1の結果を示しており、黒丸のシンボルは、第2反射光β2の結果を示している。なお、本実施の形態では、成膜面22および入射面21の二面角θaを78°とし、成膜面22および出射面23の二面角θbは、84°とし、プリズム20の屈折率を1.527としている。
図6Aに示されるように、励起光αの照射角度θiは、成膜面22の法線に対する角度である。また、第1反射光β1の出射角度θ1は、成膜面22を含む仮想平面に対する角度であり、第2反射光β2の出射角度θ2は、成膜面22を含む仮想平面に対する角度である。図6Bに示されるように、第1反射光β1は、励起光αの照射角度が大きくなるにつれて、出射角度が小さくなることが分かる。また、第2反射光β2は、励起光αの照射角度が大きくなるにつれて、出射角度も大きくなることが分かる。このグラフから、成膜面22の法線に対するプリズム20への入射前の励起光αの照射角度は、約66〜72°の範囲内が好ましいことが分かる。
さらに、励起光αの照射角度は、以下の式(1)を満たすように調整されることが好ましい。
sin(θa−θi−3°)<n1cosθb<sin(θa−θi+3°) (1)
[式(1)において、θiは成膜面22の法線に対するプリズム20への入射前の励起光照射ユニット110からの励起光の照射角度であり、n1はプリズム20の屈折率であり、θaは成膜面22および入射面21の二面角であり、θbは成膜面22および出射面23の二面角である]
前述の式(1)を満たすように励起光αの照射角度を調整すると、第1反射光β1および第2反射光β2は、略平行な2つの光線(光束)として受光センサー121に入射する。ここで、略平行とは、第1反射光β1と、第2反射光β2とのなす角度のうち小さい角度が3°未満であることを意味する。これにより、第1反射光β1および第2反射光β2の間隔は、ほぼ一定に保たれる(広がらない)ため、受光センサー121を小型化できる。また、受光センサー121の受光面に対して第1反射光β1および第2反射光β2が入射する範囲を小さくできるため、受光センサー121は、検出チップ10に微小な形成誤差が生じた場合であっても適切に受光できる。
なお、励起光αの照射角度は、以下の式(2)を満たすように調整されることがより好ましい。
sin(θa−θi−1.5°)<n1cosθb<sin(θa−θi+1.5°)
(2)
[式(2)において、θiは成膜面22の法線に対するプリズム20への入射前の励起光照射ユニット110からの励起光の照射角度であり、n1はプリズム20の屈折率であり、θaは成膜面22および入射面21の二面角であり、θbは成膜面22および出射面23の二面角である]
このとき、式(2)は、第1反射光β1と、第2反射光β2とのなす角度のうち小さい角度が1.5°未満であることを意味する。
そして、再度、検出チップ10を移動しながら受光センサー121で第1反射光β1および第2反射光β2を検出する(工程S131)。受光センサー121の受光光量が設定値に到達した場合(工程S132;YES)、検出チップ10の位置情報を取得する(工程S133)。
図7は、受光センサー121による第1反射光β1および第2反射光β2の検出結果の例を示すグラフである。この例では、工程S131のように、搬送ステージ152により検出チップ10を一方向(x軸方向)に移動させながら、受光センサー121により第1反射光β1および第2反射光β2の合計の光量を測定した。図7では、3本の近似直線も示している。
図7に示されるように、検出チップ10をX軸方向に移動させても、初期段階では受光センサー121において、反射光(第1反射光β1または第2反射光β2)は測定されない。これは、励起光αが、流路蓋40で反射して、下側(搬送ステージ152側)に向かい、受光センサー121に入射しないためである(図4A参照)。検出チップ10の移動を続けると、受光センサー121に入射する第1反射光β1および第2反射光β2の光量が徐々に増大する。これは、励起光αの一部が、入射面21で反射して、第1反射光β1として受光センサー121に入射するためである。また、励起光αの他の一部が、入射面21で入射して、成膜面22および出射面23で順次反射して、入射面21から出射して第2反射光β2として、受光センサー121に入射するためである(図4B参照)。検出チップ10の移動をさらに続けると、受光センサー121に入射する第1反射光β1および第2反射光β2の光量が一定となる。これは、第1反射光β1および第2反射光β2のすべてが、受光センサー121に入射するためである(図4C参照)。
図7では、前半の水平部と、傾斜部と、後半の水平部のそれぞれを直線近似している。グラフ中の点Aは、前半の水平部の近似直線と傾斜部の近似直線との交点である。点Bは、傾斜部の近似直線と後半の水平部の近似直線との交点である。点Cは、点Aと点Bとの中点である。点Aは、反射光βの光量の最小値に対応する。点Bは、反射光βの光量の最大値に対応する。点Cは、反射光βの光量の中間値に対応する。
図7のグラフにおいて、検出チップ10の位置を特定するには、点A〜Cのいずれかを使用すればよい。点Aおよび点Bは、励起光αの照射スポットの縁がエッジ部に到達した地点を示している。したがって、励起光αの照射スポット径を考慮すれば、エッジ部の位置を特定することができ、結果として検出チップ10の位置を特定することができる。一方、点Cは、励起光αの照射スポットの中心がエッジ部に到達した地点を示している。点Cを利用する場合は、励起光αの照射スポット径を考慮することなく、エッジ部の位置を特定することができ、結果として検出チップ10の位置を特定することができる。したがって、励起光αの照射スポット径の影響を抑制する観点からは、励起光αの反射光βの光量の中間値を用いて、検出チップ10の位置を特定することが好ましい。
このように、検出チップ10に励起光αを照射するとともに、励起光αの第1反射光β1および第2反射光β2を同時に検出することで、検出チップ10の位置を特定することができる。
次いで、制御部160は、工程S130で取得した検出チップ10の位置情報に基づいて、搬送ステージ152を操作して、検出チップ10を送液位置に移動させる(工程S140)。
次いで、制御部160は、送液ユニット140を操作して、流路41内を洗浄液で洗浄する(工程S150)。なお、検出チップ10の流路41内に保湿剤が存在する場合は、捕捉体が適切に被検出物質を捕捉できるように、試料液を導入する前に流路41内を洗浄して保湿剤を除去する。
次いで、制御部160は、工程S130で取得した検出チップ10の位置情報に基づいて、搬送ステージ152によりチップホルダー154を移動させて、検出チップ10を適切な測定位置に移動させる(工程S160)。このとき、取得した位置情報に基づいて、検出チップ10を移動させるため、高精度に検出チップ10を検出位置に移動させることができる。
次いで、制御部160は、励起光照射ユニット110および蛍光検出ユニット130を操作して、適切な測定位置に配置された検出チップ10に励起光αを照射するとともに、励起光αと同一波長のプラズモン散乱光を検出して、増強角を検出する(工程S170)。具体的には、制御部160は、励起光照射ユニット110を操作して金属膜30に対する励起光αの入射角を走査しつつ、蛍光検出ユニット130を操作してプラズモン散乱光を検出する。このとき、制御部160は、位置切替部132を操作して、光学フィルター135を受光ユニット131の光路外に配置する。そして、制御部160は、プラズモン散乱光の光量が最大の時の金属膜30に対する励起光αの入射角を増強角として決定する。なお、増強角は、検出チップ10の位置情報を取得する工程(工程S130)で取得された励起光αの照射角度と異なることが好ましい。仮に、増強角が検出チップ10の位置情報を取得する工程(工程S130)で取得された励起光αの照射角度と同じ角度だった場合、検出チップ10から反射した第1反射光β1および第2反射光β2が、受光センサー137の受光面で反射し、蛍光検出ユニット130側に反射光が進むことで迷光が発生して測定精度が悪化するおそれがある。さらに、仮に位置検出情報を取得する工程(工程S130)の前に試料液を注入する工程(工程S150)を行う手順にした場合、検出チップ10の位置情報を取得する際に、金属膜30近傍で励起光αによるプラズモンが発生してしまい、励起光αの成膜面22での反射光量が変化し、検出センサー121で検出される光量が変化し、正確に検出チップ10の位置検出ができなくなってしまうおそれがある。
次いで、制御部160は、励起光照射ユニット110および蛍光検出ユニット130を操作して、適切な測定位置に配置された検出チップ10に励起光αを照射するとともに、受光センサー137の出力値(光学ブランク値)を記録する(工程S180)。このとき、制御部160は、角度調整部112を操作して、金属膜30に対する励起光αの入射角を増強角に設定する。また、制御部160は、位置切替部132を制御して、光学フィルター135を受光ユニット131の光路内に配置する。
次いで、制御部160は、工程S120で取得した検出チップ10の位置情報に基づいて、搬送ステージ152を操作して、検出チップ10を送液位置に移動させる(工程S190)。
次いで、制御部160は、送液ユニット140を操作して、薬液チップ141内の試料液を検出チップ10の流路41内に注入する(工程S200)。流路41内では、抗原抗体反応(1次反応)によって、金属膜30上に被検出物質が捕捉される。この後、流路41内の試料液は除去され、流路内は洗浄液で洗浄される。
次いで、制御部160は、洗浄後、送液ユニット140を操作して、蛍光物質で標識された2次抗体を含む液体(標識液)を検出チップ10の流路41内に導入する(工程S210)。流路41内では、抗原抗体反応(2次反応)によって、金属膜30上に捕捉されている被検出物質が蛍光物質で標識される。この後、流路41内の標識液は除去され、流路内は洗浄液で洗浄される。
次いで、制御部160は、工程S130で取得した検出チップ10の位置情報に基づいて、搬送ステージ152により被検出物質を検出する検出位置に検出チップ10を移動させる(工程S220)。このとき、取得した位置情報に基づいて、検出チップ10を移動させるため、高精度に検出チップ10を測定位置に移動させることができる。
次いで、制御部160は、励起光照射ユニット110および蛍光検出ユニット130を操作して、適切な測定位置に配置された検出チップ10に励起光αを照射するとともに、捕捉体に捕捉されている被検出物質を標識する蛍光物質から放出された蛍光γを検出する(工程S230)。このとき、制御部160は、角度調整部112を操作して、励起光αの出射角度を増強角に設定する。また、励起光照射ユニット110は、検出チップ10の位置情報を取得する工程(工程S130)で取得された励起光αの照射角度と異なる角度で、励起光αを照射することが好ましい。制御部160は、検出値から光学ブランク値を引き、被検出物質の量に相関する蛍光強度を算出する。検出された蛍光強度は、必要に応じて、被検出物質の量や濃度などに換算される。
以上の手順により、試料液中の被検出物質の存在またはその量を検出することができる。
なお、被検出物質を検出するときの励起光αの照射角度があらかじめ決まっている場合は、増強角の検出(工程S170)を省略してもよい。また、上記の説明では、被検出物質と捕捉体とを反応させる工程(1次反応、工程S200)の後に、被検出物質を蛍光物質で標識する工程(2次反応、工程S210)を行った(2工程方式)。しかしながら、被検出物質を蛍光物質で標識するタイミングは、特に限定されない。たとえば、検出チップ10の流路内に試料液を導入する前に、試料液に標識液を添加して被検出物質を予め蛍光物質で標識しておいてもよい。また、検出チップ10の流路内に試料液と標識液を同時に注入してもよい。前者の場合は、検出チップ10の流路内に試料液を注入することで、蛍光物質で標識されている被検出物質が捕捉体により捕捉される。後者の場合は、被検出物質が蛍光物質で標識されるとともに、被検出物質が捕捉体により捕捉される。いずれの場合も、検出チップ10の流路内に試料液を導入することで、1次反応および2次反応の両方を完了することができる(1工程方式)。このように1工程方式を採用する場合は、抗原抗体反応の前に増強角の検出(工程S170)が実施され、さらにその前に、励起光αの照射角度を設定する工程(工程S120)および検出チップ10の位置情報を取得する工程(工程S130)が実施される。
また、励起光αは、上記した経路と異なる経路を経て第2反射光β2として、入射面21から出射されてもよい。図8は、プリズム20における励起光αの他の光路を示した図である。図8に示されるように、第2反射光β2は、入射面21で入射した後、成膜面22および出射面23で順次反射した後に、プリズム20の底面で反射した後に、入射面21から出射してもよい。この場合、出射面23で反射した光は、底面24で全反射することが好ましい。例えば、底面24は、ミラー面であってもよい。
また、検出装置100の検出動作(検出チップ10の位置情報を取得する工程)において、検出チップ10や検出装置100の不具合を検知してもよい。図9、10は、他の検出チップ10の位置情報を取得する工程を説明するためのフローチャートである。この検出チップ10の位置情報を取得する工程は、受光センサー121による検出値が所定値以下の場合に、励起光照射ユニット110から照射される励起光αの照射角度を調整して再度受光センサー121での検出を行うか、または、次の前記被検出物質を検出する工程において、受光センサー121での検出を停止する点のみで、前述の検出チップ10の位置情報を取得する工程(工程S130)と異なる。そこで、工程S130と同様の工程については、同様の符号を付してその工程の説明を省略する。
図9に示されるように、検出チップ10の位置情報を取得する工程では、検出チップ10を光源ユニット111に近づけたときの受光センサー121の受光光量が所定値以下の場合(工程S132;NO)、励起光αの照射角度を調整(工程S134)して、再度、検出チップ10を光源ユニット111に近づけながら受光センサー121で第1反射光β1および第2反射光β2を受光する。このとき、励起光αの照射角度を調整(工程S134)する工程を複数回繰り返し(工程S135;NO)、繰り返し回数が所定の回数(例えば、3回)に到達したときに(工程S135;YES)被検出物質の検出をせずに終了するようにしてもよい。このように、検出チップ10の位置情報を取得する工程において、検出チップ10や検出装置100の不具合を検知することができる。また、図2に示されるように、測定フローの比較的初期段階で不具合を検知できるため測定エラーいち早くユーザーに知らせることができるためユーザーの負担が軽減される。
また、図10に示されるように、受光センサー121が複数の画素を有するエリアセンサーの場合、検出チップ10の位置情報を取得する工程では、第1反射光β1および第2反射光β2が入射したエリアセンサーの受光面の全画素の合計検出値に基づいて、検出チップ10の位置情報を取得し(工程S132)、第1反射光βおよび第2反射光βが到達した受光面の画素の位置に基づいて、受光センサー121での検出を停止するか否かの判断を行う工程をさらに含んでいてもよい。第1反射光β1および第2反射光β2が所定の位置で検出された場合(工程S136;YES)、検出チップ10を送液位置に移動させる工程(工程S140)に進む。一方、第1反射光β1もしくは第2反射光β2が所定の位置で検出されなかった場合(工程S136;NO)、被検出物質の検出をせずに終了する。第1反射光β1もしくは第2反射光β2が所定の位置で検出されない場合、検出チップ10の設置位置が規定範囲外に設置されていたり、検出チップ10や検出装置100に不具合があったりすることを検知でき、誤測定を防ぐことができる。
このように、受光センサー121による受光光量が著しく小さい場合や、所定の位置に第1反射光β1および第2反射光β2が到達しなかった場合に、検出チップ10の設置位置の誤差や装置の不具合を検出できるため、被検出物質の誤測定を防ぐことができる。
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る検出装置100および検出方法によれば、励起光αを入射面21に照射しつつ、第1反射光β1および第2反射光β2が検出されるように、成膜面22の法線に対するプリズム20への入射角を設定するため、プリズム20内に入射した励起光αによる検出チップ10の位置合わせ精度の低下を抑制できる。
なお、上記実施の形態では、位置情報を取得する工程および被検出物質を検出する工程において照射される光はいずれも励起光αであるが、両工程において照射される光は、同じでなくてもよい。すなわち、被検出物質を検出する工程において照射される光が励起光αであれば、検出チップ10の位置情報を取得する工程において照射される光は、励起光αでなくてもよい。また、位置情報を取得する工程および被検出物質を検出する工程において照射される光の光量も同じでなくてもよい。
また、上記実施の形態では、SPFSを利用した検出方法および検出装置100について説明したが、本発明に係る検出方法および検出装置100は、これに限定されない。たとえば、本発明は、SPR法を利用した検出方法および検出装置にも適用できる。この場合、蛍光検出ユニット130は、検出チップ10に捕捉された被検出物質の量に応じた検体光として、蛍光γではなく、プリズム20の成膜面22で反射し、出射面23で出射した光を検出する。また、本発明は、SPRを利用することなく被検出物質を標識する蛍光物質をエバネッセント光で励起するエバネッセント蛍光法を利用した検出方法および検出装置にも適用できる。この場合、検出チップ10は金属膜30を有していなくてもよい。